説明

半導体発光素子、半導体発光素子の製造方法、照明装置及びバックライト

【課題】ワイヤーボンディングをすることなくパッケージングが可能な半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に順次に積層された第1電極層、第1絶縁層、第2電極層、第2半導体層、活性層及び第1半導体層と、基板を貫通して、第1電極層と電気的に接続する第1コンタクトと、基板、第1電極層及び第1絶縁層を貫通して、第2電極層と電気的に接続する第2コンタクトと、を備え、第2電極層、第2半導体層及び活性層を貫通するコンタクトホールが形成され、第1電極層は、コンタクトホールを介して、第1半導体層と電気的に連結される半導体発光素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子、半導体発光素子の製造方法、照明装置及びバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の半導体発光素子は、p型半導体層、n型半導体層及び活性層を有し、活性層における電子と正孔との再結合により発光する。発光ダイオードは、外部回路から電子及び正孔を活性層に供給する複数の電極を有する(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1 特開2009−88521号公報
特許文献2 特開平6−151964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プリント基板等にフリップチップ実装される発光素子は、複数の電極が半導体発光素子の同一面上に設けられる。具体的には、p型半導体層および活性層をエッチングした領域にn型電極を設け、エッチングしないp型半導体層にp型電極を設ける。つまり、n型電極およびp型電極は、それぞれ重ならないように異なる領域に形成される。このため、n型電極およびp型電極を設ける位置が制限される。
【0004】
ここで、n型電極を複数設けて、n型半導体層における電流拡散を均等化することが考えられる。しかし、n型電極を設ける位置が制限されるので、n型半導体層における電流拡散を均等化することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様においては、基板上に順次に積層された第1電極層、第1絶縁層、第2電極層、第2半導体層、活性層及び第1半導体層と、基板を貫通して、第1電極層と電気的に接続する第1コンタクトと、基板、第1電極層及び第1絶縁層を貫通して、第2電極層と電気的に接続する第2コンタクトと、を備え、第2電極層、第2半導体層及び活性層を貫通するコンタクトホールが形成され、第1電極層は、コンタクトホールを介して、第1半導体層と電気的に連結される半導体発光素子を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様においては、基板上に順次に積層された第1電極層、第1絶縁層、第2電極層、第2半導体層、活性層及び第1半導体層と、基板を貫通して、第1電極層と電気的に接続する第1コンタクトと、基板、第1電極層及び第1絶縁層を貫通して、第2電極層と電気的に接続する第2コンタクトと、を備え、第1電極層は、第2電極層、第2半導体層及び活性層を貫通するコンタクトホールを介して第1半導体層と電気的に連結され、第1絶縁層は、コンタクトホールを取り囲み、第1電極層を第2電極層から絶縁することを特徴とする半導体発光素子を提供する。
【0007】
上記の半導体発光素子は、コンタクトホールを複数備え、複数のコンタクトホールのそれぞれは、第1電極層で満たされていてもよい。半導体発光素子は、例えば、第2コンタクトの外周に、少なくとも第2コンタクトと第1電極層とを絶縁する第2絶縁層をさらに備える。第2電極層は、例えば、活性層から発生した光を反射させる反射層である。一例として、第2電極層は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物で構成されたグループから選択された少なくともいずれか一つの物質で形成されている。
【0008】
上記の基板は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、サファイア及びポリマーのうちのいずれか一つの物質で形成された非導電性基板である。基板が導電性基板であり、第1コンタクト及び第2コンタクトが形成された貫通ホールの内周面に第3絶縁層が形成されていてもよい。この場合には、例えば、基板は、Si、Ge及びAl含有Siから選択されたいずれか一つを含む。
【0009】
本発明の第3の態様においては、基板上に順次に積層された第1電極層、第1絶縁層、第2電極層、第2半導体層、活性層及び第1半導体層と、第1電極層の一部の領域上に形成された第1電極パッドと、第1電極層の残りの領域上に形成された第2絶縁層と、第2電極層、及び、第2絶縁層における第1電極層に接する面以外の面に接する第2電極パッドと、基板を貫通して、第1電極パッドと電気的に連結された第1コンタクトと、基板を貫通して、第2電極層と通電する第2コンタクトと、を備え、第1電極層は、第2電極層、第2半導体層及び活性層を貫通するコンタクトホールを満たして、第1半導体層と電気的に連結され、第1絶縁層は、コンタクトホールを取り囲み、第1電極層を第2電極層から絶縁することを特徴とする半導体発光素子を提供する。
【0010】
上記の半導体発光素子は、コンタクトホールを複数備え、複数のコンタクトホールのそれぞれは、第1電極層で満たされていてよい。第2電極層は、例えば、活性層から発生した光を反射させる反射層である。一例として、第2電極層は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物で構成されたグループから選択された少なくともいずれか一つの物質で形成されている。
【0011】
上記の基板は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、サファイア及びポリマーのうちのいずれか一つの物質で形成された非導電性基板である。基板が導電性基板であり、第1コンタクト及び第2コンタクトが形成された貫通ホールの内周面に第3絶縁層が形成されていてもよい。この場合には、例えば、基板は、Si、Ge及びAl含有Siから選択されたいずれか一つを含む。
【0012】
本発明の第4の態様においては、第1基板上に、第1半導体層、活性層、第2半導体層を順次に形成するステップと、第2半導体層を貫通し、第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成し、コンタクトホールに、第1半導体層と連結されるように、コンタクト層を形成するステップと、第2半導体層上に、コンタクトホールを取り囲む第2電極層を形成するステップと、第2電極層上に、第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層上に、コンタクト層と連結された第1電極層を形成するステップと、第2基板を第1電極層上に接合し、第1基板を除去するステップと、第2基板の露出面から第1電極層と連結される第1貫通ホール、及び第2電極層と連結される第2貫通ホールを形成するステップと、第1貫通ホールと第2貫通ホールとをそれぞれメタルで満たして、第1電極層と第2電極層とにそれぞれ連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0013】
一例として、コンタクトホールの形成ステップは、コンタクトホールの内面に、第1コンタクトと第2半導体層とを絶縁する第2絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールの底部の第2絶縁層をエッチングして、第1半導体層を露出させるステップと、をさらに含み、コンタクト層の形成ステップは、露出された第1半導体層上に、コンタクト層を形成するステップである。コンタクトホール及びコンタクト層の形成ステップは、複数のコンタクトホールと複数のコンタクト層とを形成するステップであってもよい。
【0014】
第2電極層を形成するステップは、例えば、第2半導体層上に第3絶縁層を形成するステップと、コンタクトホール以外の領域における第3絶縁層を除去して、第2半導体層を露出させるステップと、露出された第2半導体層上に、第2電極層を形成するステップと、を含む。第1電極層の形成ステップは、例えば、コンタクト層を露出させるように、第1絶縁層をエッチングするステップと、露出されたコンタクト層を覆うように、第1電極層を形成するステップと、を含む。第2貫通ホールを形成するステップは、第2貫通ホールの内周に第4絶縁層を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の第5の態様においては、第1基板上に、第1半導体層、活性層、第2半導体層を順次に積層するステップと、第2半導体層を貫通し、第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成し、コンタクトホールに、第1半導体層と連結されるように、コンタクト層を形成するステップと、第2半導体層上に、コンタクトホールを取り囲む第2電極層を形成するステップと、第2電極層上に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層上に、コンタクト層と連結された第1電極層を形成するステップと、第2基板に、第1電極層と連結される第1貫通ホール、及び第2電極層と連結される第2貫通ホールを形成するステップと、第1貫通ホールと第2貫通ホールとをそれぞれメタルで満たして、第1電極層と第2電極層とにそれぞれ連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと、第1電極層の露出された表面において、第1電極層から絶縁され、第2電極層に連結される第3コンタクトを形成するステップと、第3コンタクトと第2コンタクトとが接触するように、第2基板を第1電極層上に接合するステップと、第1基板を除去するステップと、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0016】
コンタクトホールの形成ステップは、例えば、コンタクトホールを覆う第3絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールの底部の第3絶縁層をエッチングして、第1半導体層を露出させるステップと、をさらに含み、コンタクト層の形成ステップは、露出された第1半導体層上にコンタクト層を形成するステップである。コンタクトホール及びコンタクト層の形成ステップは、例えば、複数のコンタクトホールと複数のコンタクト層とを形成するステップである。
【0017】
第2電極層の形成ステップは、第2半導体層上に第4絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールを取り囲む第4絶縁層を除去して、第2半導体層を露出させるステップと、露出された第2半導体層上に、第2電極層を形成するステップと、を含んでよい。第1電極層の形成ステップは、コンタクト層を露出させるように、第1絶縁層をエッチングするステップと、露出されたコンタクト層を覆うように、第1電極層を形成するステップと、を含んでもよい。
【0018】
本発明の第6の態様においては、第1基板上に、第1半導体層、活性層、第2半導体層、第2電極層を順次に形成するステップと、第2電極層から第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成するステップと、第2電極層上に、コンタクトホールを覆う第1絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールの底部の第1絶縁層をエッチングして、第1半導体層を露出させるステップと、露出された第1半導体層と接触する第1電極層を形成するステップと、第2基板を第1電極層上に接合し、第1基板を除去するステップと、第2基板の露出面から第1電極層と連結される第1貫通ホール、及び第2電極層と連結される第2貫通ホールを形成するステップと、第1貫通ホールと第2貫通ホールとをそれぞれメタルで満たして、第1電極層と第2電極層とにそれぞれ連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第7の態様においては、第1基板上に、第1半導体層、活性層、第2半導体層を順次に形成するステップと、第2半導体層及び活性層を貫通して第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成し、コンタクトホールに、第1半導体層と連結されるコンタクト層を形成するステップと、第2半導体層上に、コンタクトホールを取り囲む第2電極層を形成するステップと、第2電極層上に第1絶縁層を形成するステップと、第1絶縁層上における、第2電極層上の第1領域を除く第2領域に、コンタクト層と連結された第1電極層を形成するステップと、第1電極層の少なくとも一部を覆う第2絶縁層を形成するステップと、第2電極層上の第1領域において第2電極層と連結され、かつ、第2絶縁層上に延伸する第2電極パッドを形成するステップと、第2電極パッドと離隔され、かつ、第1電極層と連結される第1電極パッドを形成するステップと、第2基板に互いに離隔された貫通ホールをメタルで満たして、第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと、第2基板を、第1コンタクト及び第2コンタクトがそれぞれ第1電極パッド及び第2電極パッドと連結されるように接合するステップと、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0020】
上記の製造方法において、コンタクトホールの形成ステップは、コンタクトホールを覆う第4絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールの底部の第4絶縁層をエッチングして、第1半導体層を露出させるステップと、をさらに含み、コンタクト層の形成ステップは、露出された第1半導体層上に、コンタクト層を形成するステップであってもよい。2電極層の形成ステップは、第2半導体層上に第5絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールを取り囲む第5絶縁層を除去して、第2半導体層を露出させるステップと、露出された第2半導体層上に、第2電極層を形成するステップと、を含んでもよい。第1電極層の形成ステップは、コンタクト層を露出させるように、第1絶縁層をエッチングするステップと、露出されたコンタクト層を覆うように、第1電極層を形成するステップと、を含んでもよい。
【0021】
本発明の第8の態様においては、第1基板上に、第1半導体層、活性層、第2半導体層、第2電極層を順次に形成するステップと、第2電極層、第2半導体層及び活性層を貫通し、第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成するステップと、第2電極層上に、コンタクトホールの内周を覆う第1絶縁層を形成するステップと、コンタクトホールの底部の第1絶縁層をエッチングして、第1半導体層を露出させるステップと、第1絶縁層上における、第2電極層上の第1領域を除く第2領域に、第1半導体層と連結された第1電極層を形成するステップと、第1電極層の少なくとも一部を覆う第2絶縁層を形成するステップと、第2電極層上の第1領域において第2電極層と連結され、かつ、第2絶縁層上に延伸する第2電極パッドを形成するステップと、第2電極パッドと離隔され、かつ、第1電極層と連結される第1電極パッドを形成するステップと、第2基板に互いに離隔された貫通ホールをメタルで満たして、第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと、第2基板を、第1コンタクト及び第2コンタクトがそれぞれ第1電極パッド及び第2電極パッドと連結されるように接合するステップと、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の第9の態様においては、複数の上記の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子が実装された回路基板と、回路基板を介して半導体発光素子に電力を供給する配線部とを備える照明装置を提供する。
【0023】
本発明の第10の態様においては、複数の上記の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子が照射する光が内部に入射され、当該光を光射出面から出射する導光板とを備えるバックライトを提供する。
【0024】
本発明の第11の態様においては、第1伝導型の不純物がドープされた第1半導体層と、第1半導体層上に設けられている活性層と、活性層上に設けられている、第1伝導型と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされた第2半導体層と、第2半導体層及び活性層を貫通して、第1半導体層に電気的に結合された第1導電体と、第2半導体層と電気的に結合された第2導電体と、第1導電体に接する領域を有する第1導電性接合層と、第2導電体に接する領域を有する第2導電性接合層と、第1導電性接合層に接する第1導電性基板と、第2導電性接合層に接する第2導電性基板と、第1導電性基板を貫通して第1導電性接合層に接する第1電極と、第2導電性基板を貫通して第2導電性接合層に接する第2電極と、第1導電性基板と第2導電性基板とを絶縁し、かつ、第1導電性接合層と第2導電性接合層とを絶縁する絶縁隔壁とを備える半導体発光素子を提供する。
【0025】
当該絶縁隔壁は、例えば、第1導電性接合層と第2導電性接合層とを絶縁する。当該発光素子において、第1電極の面積は第1導電体の面積よりも大きく、第2電極の面積は第2導電体の面積よりも大きくてよい。第1導電性接合層の面積は、第1導電体の面積及び第1電極の面積よりも大きく、第2導電性接合層の面積は、第2導電体の面積及び第2電極の面積よりも大きくてよい。第2導電体が第2半導体層に接する面積は、第1導電体が第1半導体層に接する面積よりも大きくてよい。
【0026】
当該発光素子は、第1導電体の側面の少なくとも一部の領域に接して設けられ、第1導電体と第2導電体とを絶縁する絶縁層をさらに備えてもよい。絶縁層は、例えば、第1導電体と、第2半導体層及び活性層との間に設けられている。第1半導体層及び活性層の積層方向に垂直な水平方向における絶縁隔壁の幅は、絶縁層が第2半導体層に接する領域の幅よりも小さくてよい。
【0027】
当該発光素子は、第1半導体層上に等間隔に設けられた複数の第1導電体を備えてもよい。当該発光素子においては、たとえば、第1半導体層にはn型不純物がドープされており、第2半導体層にはp型不純物がドープされている。第1半導体層、活性層及び第2半導体層は、例えば窒化ガリウム系化合物半導体である。
【0028】
本発明の第12の態様においては、成長基板上に、第1伝導型の不純物を含む第1半導体層を形成する段階と、第1半導体層上に、活性層を形成する段階と、活性層上に、第1伝導型の不純物と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされた第2半導体層を形成する段階と、第2半導体層及び活性層を貫通し、第1半導体層の一部を露出する第1開口部を形成する段階と、第1開口部に第1導電体を形成する段階と、第2半導体層上に第2導電体を形成する段階と、第1導電体上に第1導電性接合層を形成する段階と、第2導電体上に第2導電性接合層を形成する段階と、導電性基板を準備する段階と、導電性基板に、導電性基板を貫通し、かつ、第1導電性接合層に電気的に結合される第1電極と、第2導電性接合層に電気的に結合される第2電極とを形成する電極形成段階と、第1導電性接合層及び第2導電性接合層に導電性基板を接合する基板接合段階と、成長基板を除去する段階とを備える半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0029】
当該製造方法は、基板接合段階の後に、第1導電性接合層と第2導電性接合層とを絶縁する絶縁隔壁を形成する段階をさらに備えてもよい。当該製造方法は、第1導電体と第2導電体との間を絶縁する絶縁層を形成する段階をさらに備えてもよい。絶縁隔壁を形成する段階は、導電性基板を貫通して絶縁層を露出する第2開口部を導電性基板に形成する段階と、第2開口部に絶縁物質を充填する段階とを有してよい。
【0030】
電極形成段階において、第1電極の面積を第1導電体の面積よりも大きくしてよい。第1導電体を形成する段階は、第2半導体層の表面及び第1開口部の内面に保護層を形成する段階と、第1開口部の底部の保護層を除去して第1半導体層の一部の領域を露出する段階と、露出する段階において露出した第1半導体層に第1導電体を設ける段階とを有し、第2導電体を形成する段階は、第2半導体層の表面に形成された保護層の少なくとも一部を除去する段階と、保護層の少なくとも一部が除去された第2半導体層上に第2導電体を設ける段階とを有してよい。
【0031】
当該製造方法において、絶縁層を形成する段階は、第1導電体、第2導電体、第1半導体層、活性層及び第2半導体層の露出された面に、絶縁物質層を塗布する段階と、絶縁物質層を塗布する段階の後に、絶縁物質層のうち、第1導電体上の領域の一部及び第2導電体上の領域の一部を除去する絶縁物質層除去段階とを有してもよい。当該製造方法は、第1電極、第2電極及び絶縁隔壁の表面を平坦化する段階をさらに備えてもよい。
【0032】
本発明の第13の態様においては、第1伝導型の不純物がドープされた第1半導体層、第1半導体層上に設けられている活性層、及び、活性層上に設けられている、第1伝導型と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされた第2半導体層とを備える半導体構造物と、第2半導体層上に設けられ、第1半導体層及び第2半導体層それぞれに電気的に結合される第1導電体及び第2導電体と、半導体構造物から、第1導電体及び第2導電体を絶縁する第1絶縁層と、第1導電体上を含む第1領域で第1導電体と結合された第1金属層と、第2導電体上を含む第2領域で第2導電体と結合された第2金属層と、第1絶縁層上に設けられ、かつ、第1金属層と第2金属層とを絶縁する第2絶縁層と、第1金属層上に設けられた第1電極と、第2金属層上に設けられた第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられた絶縁隔壁と、を備える半導体発光素子を提供する。
【0033】
一例として、第1導電体は、第2半導体層及び活性層を貫通し、第1半導体層に達する少なくとも一つのコンタクトホールを通じて、第1半導体層に電気的に結合され、第1金属層は、第1導電体と電気的に結合している。第1絶縁層は、少なくとも一つのコンタクトホールの側壁に形成され、第1導電体と第2半導体層との間を絶縁してよい。
【0034】
本発明の第14の態様においては、成長基板上に、第1伝導型の不純物を含む第1半導体層を形成する段階と、第1半導体層上に、活性層を形成する段階と、活性層上に、第1伝導型の不純物と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされた第2半導体層を形成する段階と、第1半導体層に電気的に結合される第1導電体を形成する段階と、第2半導体層に電気的に結合される第2導電体を形成する段階と、第1導電体上の第1電極領域及び第2導電体上の第2電極領域との間に絶縁層を形成する段階と、第1電極領域における第1導電体上に第1電極を形成する段階と、第2電極領域における第2導電体上に第2電極を形成する段階と、第1電極と第2電極との間に絶縁隔壁を形成する段階と、成長基板を除去する段階と、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0035】
第1導電体及び第2導電体を形成する段階は、第2半導体層及び活性層を貫通し、第1半導体層に達する少なくとも一つのコンタクトホールを形成する段階と、第2半導体層及び少なくとも一つのコンタクトホールに保護層を形成する段階と、少なくとも一つのコンタクトホールの底部に形成された保護層を除去して、第1半導体層を露出させる段階と、第1半導体層の露出された領域に第1導電体を形成する段階と、第2半導体層の第1導電体を取り囲んだ領域を除いた残りの領域の保護層を除去する段階と、第2半導体層の保護層が除去されて露出された領域に第2導電体を形成する段階とを含んでよい。絶縁層を形成する段階は、第1導電体、第2導電体、第1半導体層、活性層及び第2半導体層の露出された面に絶縁層を塗布する段階と、絶縁層のうち、第1導電体及び第2導電体が位置した領域の一部を除去する段階とを含んでよい。
【0036】
上記の半導体発光素子の製造方法は、第1電極を形成する段階、及び、第2電極を形成する段階は、第1電極領域と第2電極領域との間の領域にフォトレジストを形成する段階と、フォトレジストに隣接する領域に、第1電極及び第2電極を形成する段階と、フォトレジストを除去する段階とを含んでもよい。当該製造方法は、第1電極を形成する段階、及び、第2電極を形成する段階は、第1電極領域と第2電極領域とにメッキのためのシード層を形成する段階をさらに含んでもよい。当該製造方法は、第1電極、第2電極及び絶縁隔壁の上面を平坦化する段階をさらに含んでもよい。
【0037】
本発明の第15の態様においては、成長基板上に、第1伝導型の不純物を含む第1半導体層を形成する段階と、第1半導体層上に、活性層を形成する段階と、活性層上に、第1伝導型の不純物と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされた第2半導体層を形成する段階と、第1半導体層及び第2半導体層にそれぞれ電気的に結合される第1導電体及び第2導電体を形成する段階と、第1導電体と第2導電体とを絶縁する第1絶縁層を形成する段階と、第1絶縁層、第1導電体及び第2導電体を覆う第2絶縁層を形成する段階と、第2絶縁層をエッチングして、第1導電体の一部である第1電極領域と、第2導電体の第2電極領域とを露出させる段階と、第1電極領域及び第2電極領域にそれぞれ第1金属層と第2金属層とを形成する段階と、第1金属層上に第1電極を形成する段階と、第2金属層上に第2電極を形成する段階と、第1電極と第2電極との間の領域に絶縁物質を充填して、絶縁隔壁を形成する段階と、成長基板を除去する段階と、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法を提供する。
【0038】
上記の半導体発光素子の製造方法は、第1導電体及び第2導電体を形成する段階は、第2半導体層から第1半導体層まで少なくとも一つのコンタクトホールを形成する段階と、第2半導体層及び少なくとも一つのコンタクトホールに保護層を形成する段階と、少なくとも一つのコンタクトホールの底部に形成された保護層を除去して、第1半導体層を露出させる段階と、第1半導体層の露出された領域に第1導電体を形成する段階と、第2半導体層の第1導電体を取り囲んだ領域を除いた残りの領域の保護層を除去する段階と、第2半導体層の保護層が除去されて、露出された領域に第2導電体を形成する段階とを含んでもよい。
【0039】
本発明の第16の態様においては、複数の上記半導体発光素子と、半導体発光素子に電源電力を伝送する電力伝送部とを備える照明装置を提供する。本発明の第7の態様においては、複数の上記半導体発光素子と、複数の半導体発光素子が照射する光が内部に入射され、当該光を光射出面から出射する導光板とを備えるバックライトを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】本発明の一実施形態による半導体発光素子の概略的な断面図である。
【図1B】図1Aの変形例の断面図である。
【図2】図1AのII−II'線の断面図である。
【図3A】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3C】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3D】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3E】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3F】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3G】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3H】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3I】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図3J】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図4A】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図4B】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図4C】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】他の実施形態による半導体発光素子の概略的な断面図である。
【図6A】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6B】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6C】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6D】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6E】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6F】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図6G】本発明の他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための図面である。
【図7A】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図7B】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図7C】本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。
【図8A】半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図8B】半導体発光素子1000をプリント基板1010に搭載した場合の概略断面図である。
【図9】半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10A】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10B】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10C】製造工程における半導体発光素子2000の電極パターンの一例を示す平面図である。
【図10D】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10E】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10F】第2導電体1140を形成した後の半導体発光素子2000の平面図である。
【図10G】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10H】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10I】絶縁物質層1122の一部の領域をエッチングした後の半導体発光素子2000の平面図である。
【図10J】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10K】第1電極領域1151と第2電極領域1152との関係を示す半導体発光素子2000の平面図である。
【図10L】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10M】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10N】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10O】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図10P】製造工程における半導体発光素子2000の概略断面図である。
【図11A】製造工程における半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図11B】製造工程における半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図11C】製造工程における半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図11D】製造工程における半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図11E】製造工程における半導体発光素子1000の概略断面図である。
【図12】半導体発光素子2500の概略的な断面図である。
【図13A】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13B】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13C】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13D】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13E】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13F】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図13G】製造工程における半導体発光素子2500の概略断面図である。
【図14A】製造工程における半導体発光素子2500の電極パターンの一例を示す平面図である。
【図14B】製造工程における半導体発光素子2500の電極パターンの一例を示す平面図である。
【図14C】製造工程における半導体発光素子2500の電極パターンの一例を示す平面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る照明装置800の概略断面図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係るバックライト900の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。この過程で、図面に示した層および領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示している。明細書を通じて、実質的に同じ構成要素には、同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0042】
図1Aは、本発明の一実施形態による半導体発光素子100の概略的な断面図である。図1Bは、図1Aの変形例である。図2は、図1AのII−II'線の断面図である。本実施形態の半導体発光素子100は、半導体構造物110と、半導体構造物110の一面に設けられた電極構造物と、電極構造物を支持する基板(本例では非導電性基板150)とを備える。電極構造物は、第2電極層120、絶縁層130及び第1電極層140を有する。
【0043】
半導体構造物110は、例えば、サファイア基板上で結晶成長して順次に形成された第1半導体層111、活性層112及び第2半導体層113を備える。サファイア基板は製造工程で除去されるので、図1Aには示されていない。
【0044】
半導体構造物110は、例えば、GaN、InN又はAlNのようなIII−V族半導体で形成される。サファイア基板は、これらの窒化物半導体との格子構造が近似するので、結晶成長のための基板として使われる。第1半導体層111はn型導電性を有し、第2半導体層113はp型導電性を有する。第1半導体層111がp型導電性を有し、第2半導体層113がn型導電性を有してもよい。
【0045】
活性層112は、第1半導体層111と第2半導体層113との間に設けられる。活性層112は、例えば、多重量子ウェル構造を有する。多重量子ウェル構造は、複数の量子ウェル層と、それらの間に形成された複数の量子障壁層とからなる。
【0046】
一例として、半導体構造物110が窒化ガリウム系発光ダイオードである場合、第1半導体層111は、n型不純物でドーピングされたGaNで形成され、第2半導体層113は、p型不純物でドーピングされたGaNで形成され、活性層112は、InGaNからなる多重ウェル層と、GaNからなる量子障壁層とが交互に積層されて形成される。第1半導体層111と第2半導体層113とを通じて注入された電子及び正孔は、活性層112で結合して光Lを放出する。放出された光Lは、半導体構造物110の第1半導体層111を通じて放出される。
【0047】
第2半導体層113の下部には、第2電極層120、絶縁層130、第1電極層140及び非導電性基板150が順次に配置される。第1電極層140は、非導電性基板150の上面全体に渡って形成される。つまり、第1電極層140の下面の外形は、非導電性基板150の上面の外形と略同一であってよい。
【0048】
また、絶縁層130は、第1電極層140の上面全体に渡って形成される。ただし、コンタクトホール180が設けられる領域には、絶縁層130が形成されない。第2電極層120は、絶縁層130の上面全体に渡って形成される。
【0049】
第1電極層140は、コンタクトホール180を介して第1半導体層111と電気的に接続される。コンタクトホール180は、絶縁層130、第2電極層120、第2半導体層113及び活性層112を貫通し、第1半導体層111の一部の領域に到達して形成される。第1電極層140は、コンタクトホール180の内部に充填された充填部を有してよい。コンタクトホール180は、図2に示すように複数形成される。複数のコンタクトホール180に形成された複数の充填部を有する第1電極層140は、電流を第1半導体層111に速く拡散して供給できる。
【0050】
コンタクトホール180は、電流拡散及び光抽出効率を均一にするために、マトリックスに配列される。マトリックス配列は、縦方向及び横方向のうち少なくとも一方向に等間隔を有した配列であってよい。必要に応じて、間隔がそれぞれ異なるランダムな配列であってもよい。またコンタクトホール180は、第1電極層140の端部から所定の距離だけ離間して形成されてよい。本例のコンタクトホール180は、半導体発光素子100の側面に表出しない。
【0051】
コンタクトホール180は、直径0.1μm以上500μm以下の大きさに形成され、望ましくは、5μm以上300μm以下でありうる。本実施形態では、30μm以上100μm以下のコンタクトホールを使用した。
【0052】
コンタクトホール180の第1半導体層111と接触する部分の面積は、コンタクトホールを備える第1半導体層111の面積の0.01%以上30%以下であり、望ましくは、0.9%以上10.4%以下であり、さらに望ましくは、約2.6%である。約2.6%とは、例えば1.6%から3.6%程度を指す。コンタクトホール180の面積が0.01%より小さい場合、動作電圧の上昇によって、光効率が低下し、消費電力が大きくなる。逆にコンタクトホール180の面積が30%より大きい場合、相対的に発光有効面積が小さくなる。
【0053】
本実施形態では、縦横それぞれ1100μm大きさの正方形のチップを使用し、第1半導体層111と接触するコンタクトホール180の面積がそれぞれ11300μm(チップ面積に比べて0.9%)、31400μm(チップ面積に比べて2.6%)、126000μm(チップ面積に比べて10.4%)である場合の3種類の発光素子の光効率を比較した。光効率は、コンタクトホールの面積が31400μm(チップ面積に比べて2.6%)であるチップが最も良好であり、残りの二つのサンプルは、約10%光効率が低下した。
【0054】
コンタクトホール180の底部の平面(第1半導体層111)に対するホールの側面傾斜角αは、0°より大きく、90°より小さく形成される。望ましくは、約30から60°である。傾斜角が90°以上であれば、傾斜面にコンタクトホール180上に絶縁層130の形成が困難であり、第1電極層140の工程が困難である。コンタクトホール180の傾斜面は、光抽出効率の向上のために階段状に形成されてもよく、傾斜面に凹凸が形成されてもよい。また、傾斜面上の一部または全面に反射物質をコーティングすることもできる。反射物質としては、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含んで形成され、単層あるいは複層で形成される。反射物質は、光を外部に抽出する効率を向上させる。
【0055】
第1電極層140と第2電極層120との間には、第1電極層140と活性層112及び第2半導体層113との間を電気的に絶縁させるための絶縁層130が形成されている。絶縁層130は、コンタクトホール180を取り囲む。絶縁層130は、第1電極層140と第2電極層120との間だけでなく、コンタクトホール180により露出される第2電極層120、第2半導体層113及び活性層112の側面と第1電極層140との間にも形成される。また、コンタクトホール180が接する第1半導体層111の一部の領域の側面にも、絶縁層130が形成される。
【0056】
第2電極層120は、第2半導体層113と接する。第2電極層120は、第2半導体層113との接触抵抗を最小化するとともに、活性層112から生成された光を反射させて外部に向かわせて発光効率を向上させる反射層として機能する物質で形成される。例えば、第2電極層120は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物で構成された物質を少なくとも一つ含んで形成され、単層あるいは複層で形成される。
【0057】
各層の厚さは、それぞれ0.1nm以上5000nm以下に形成される。望ましくは、2nm以上2000nm以下である。本実施形態では、第2電極層120は、Ag/Ni/Ti/TiNの4層構造に形成し、それぞれを150nm/50nm/50nm/400nmの厚さに蒸着した。第2電極層120のAg(150nm)層の厚さは、40nmより薄いと反射度が低下して光出力が減少し、150nmより厚いと、材料コスト及び工程時間が増加するので、100nm以上150nm以下の範囲が適切である。
【0058】
第2電極層120の形成後、オーミックコンタクトの形成のために熱処理を行う。本実施形態では、熱処理としてRTA(Rapid Thermal Annealing)法を使用して、350℃で60秒間実施して、良好なオーミック特性を得た。熱処理の温度及び時間は、オーミック電極の材料によって異なるが、300℃以上800℃以下で、約5秒以上5000秒以下の間行われる。適切には、300℃以上600℃以下で30秒以上180秒以下が望ましい。
【0059】
非導電性基板150には、第1電極層140に電流を供給する第1コンタクト153が満たされた第1貫通ホール151と、第2電極層120に電流を供給する第2コンタクト154が満たされた第2貫通ホール152とが形成されている。第2貫通ホール152は、第1電極層140を貫通する。第2貫通ホール152の内周には、第2コンタクト154を第1電極層140と電気的に分離させる絶縁層156がさらに形成されている。第1コンタクト153は、非導電性基板150を貫通して、第1電極層140と電気的に接続される。第2コンタクト154は、非導電性基板150、第1電極層140及び絶縁層130を貫通して、第2電極層120と電気的に接続される。
【0060】
第2コンタクト154の数は、コンタクトホール180の数よりも少なくてよい。例えば第2コンタクト154の数は1である。第1コンタクト153の数は、コンタクトホール180の数よりも少なくてよい。例えば第1コンタクト153の数は1である。
【0061】
非導電性基板150は、窒化物系(GaN、AlN、AlGaN、InGaNなど)、アルミニウム酸化物系(サファイア、アルミナなど)、ダイヤモンド、シリコン系(Siなど)、Ga酸化物系(Ga、LiGaOなど)、Zn酸化物系(ZnOなど)の物質、セラミック、ポリマーのうちいずれか一つの物質を含む。
【0062】
上記の実施形態では、非導電性基板150に、第1コンタクト153及び第2コンタクト154が形成されている例を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、導電性基板(図4B)に貫通ホールを形成し、貫通ホールの内周及び導電性基板の表面に絶縁層460(図4B)を形成し、その内部にメタルを満たして、第1コンタクト453(図4B)と第2コンタクト454(図4B)とを形成した構造を有してもよい。導電性基板は、Si系、Ge系、アルミニウム含有Si系、窒化物系(GaNなど)の物質で形成される。
【0063】
本発明の実施形態による半導体発光素子100は、前述したように、第1半導体層と第2半導体層とに連結された電極を発光素子の下部面に有することで、発光面積の損失が減少するように電極が形成されているので、発光効率を極大化できる。また、半導体発光素子100においては、電極が非導電性基板150の下部面に形成されるので、ワイヤーボンディングすることなく、基板に直接パッケージダイボンディングをすることができる。
【0064】
そして、コンタクトホール180が、第2電極層120を貫通して形成されるので、第1半導体層111および第1電極層140を接続する充填部の配置の自由度を向上することができる。このため、第1半導体層111における電流拡散を均一化することができる。また、第1電極層140が、基板の上面全体に渡って形成されるので、充填部の配置の自由度を向上させ、且つ、複数のコンタクトホール180に形成した充填部を電気的に接続することができる。そして、第1電極層140を貫通する第2コンタクト154を設けることで、第2電極層120を外部に接続することができる。
【0065】
図1Bは、図1Aの変形例である半導体発光素子100′を概略的に示す断面図である。図1Aの構成要素と実質的に同じ構成要素には、同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0066】
半導体発光素子100′は、半導体構造物110の第1半導体層111上にサファイア基板102が配置される。サファイア基板102は、半導体構造物110の成長基板である。サファイア基板102の表面には、凹凸部が形成される。凹凸部は、半導体発光素子100′の光抽出効率を向上させることができる。半導体発光素子100′の他の構成要素は、半導体発光素子100と実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0067】
図3Aから図3Jは、半導体発光素子100の製造方法を説明するための断面図である。図3Aから図3Jは、説明の便宜上、一つの発光素子を製造する工程を示したが、複数の発光素子をウェーハ上に一体に形成した後、それぞれ切断して個別発光素子としたり、複数の発光素子を一体に形成した発光素子としたりしてもよい。また、図3Aから図3Jに示す各構成において、符号の下二桁が図1Aから図2に示した符号の下二桁と一致するものは、図1Aから図2に示した構成要素に対応する。
【0068】
図3Aに示すように、基板202の上面に、第1半導体層211、活性層212及び第2半導体層213を順次に結晶成長させて、半導体構造物210を形成する。基板202は、結晶成長させようとする半導体に適したものを選択できる。例えば、窒化物半導体単結晶を成長させる場合、基板202は、サファイア基板、ZnO基板、GaN基板、SiC基板及びAlN基板から選択できる。
【0069】
基板202は、サイズによって約300μm以上1200μm以下の厚さを有する。基板202は、上面に結晶成長させる物質の種類(熱膨張係数差)によって、基板202の表面または背面に複数の形態のパターンを形成することもできる。当該パターンは、結晶成長時の結晶欠陥を減らす役割も担うと共に、熱膨脹によるストレス緩和の役割も担う。当該パターンにより、光の外部抽出効率を向上させることもできる。
【0070】
パターンの形状は、平面上に円形または多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、八角形など)に形成され、断面形状としては、半球形、円錐または多角形(三角形、台形などの四角形、五角形、六角形など)などに形成される。基板202は、結晶成長後にレーザービームまたは化学的エッチングなどにより、全体または一部が除去されてもよい。基板202は、約50μm以上300μm以下の厚みを有してよく、表面に凹凸パターンを有してもよい。
【0071】
図3Aには示していないが、基板202と第1半導体層211との間に、バッファ層がさらに形成されてもよい。バッファ層は、第1半導体層211と基板202との間の格子整合を向上させるための層である。窒化物半導体の単結晶を成長させる場合、バッファ層は、例えば、SiC、窒化物(GaN、AlGaN、InGaN、InN、AlInGaNなど)、Zn酸化物、Si酸化物またはそれらの組み合わせからなる物質のうち一つを含む。
【0072】
バッファ層は、400℃以上800℃以下で2nm以上800nm以下の厚さに単一層あるいは多層で形成され、非晶質または多結晶またはそれらの混合物で形成される。バッファ層の上面には、単結晶の半導体層が形成される。例えば、500℃以上600℃以下で非晶質または多結晶の混合物GaNバッファ層を形成し、次いで、1000℃以上1200℃以下で単結晶のGaN層を形成する。この過程で、上記の非晶質または多結晶の混合物GaNバッファ層の少なくとも一部が単結晶化される。
【0073】
半導体構造物210は、例えば、GaN、InN、AlNのようなIII−V族半導体を結晶成長させて形成する。一例として、半導体構造物210が窒化ガリウム系発光ダイオードである場合、第1半導体層211、活性層212及び第2半導体層213は、AlInGa(1−x−y)Nの組成(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を有する半導体物質であり、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)設備を利用したエピタキシャル成長方法などで形成される。すなわち、第1半導体層211は、Si、Ge、Snのような第1導電型不純物がドーピングされるか、またはノンドーピングまたはそれらの組み合わせからなる窒化物半導体層(GaN、InN、InGaN、AlGaN、AlN、AlInGaNまたはそれらの組み合わせ)で形成される。
【0074】
活性層212は、多重量子ウェル構造(InGaN/GaN層、InGaN/InGaN層、AlGaN/GaN層、AlGaN/AlGaN層、AlInGaN/AlInGaN層またはそれらの組み合わせ)で形成されるか、または一つの量子ウェル層またはダブルヘテロ構造でも形成される。第2半導体層213は、Mg、Zn、Beのような第2導電型不純物がドーピングされるか、あるいはノンドーピングまたはそれらの組み合わせからなる窒化物半導体層(GaN、InN、InGaN、AlGaN、AlN、AlInGaNまたはそれらの組み合わせ)で形成される。第1半導体層211、活性層212、第2半導体層213は、各層の役割によって、多様な厚さ(1nmから10000nm)または不純物濃度(1×1015/cmから1×1022/cm)を有する。
【0075】
図3Bを参照すれば、第2半導体層213から所定の深さ(0.5μm以上20μm以下)にドライエッチング(ICP−RIE方法など)及び/またはウェットエッチングを利用して、第1半導体層211の一部の深さまでエッチングしたコンタクトホール210aを形成する。コンタクトホール210aのエッチングの深さは、少なくとも第1半導体層211の表面が露出されるように、第2半導体層213及び活性層212を除去する。第1半導体層211の一部も、所定の深さ(0.1nm以上5000nm以下)にエッチングでき、必要に応じて貫通ホールを形成してもよい。
【0076】
コンタクトホール210aの大きさ(直径)は、0.1μm以上500μm以下に形成され、望ましくは、5μmから300μmが適当である。コンタクトホール210aは、複数形成され、第1半導体層211と接触する部分のコンタクトホール210aの面積は、コンタクトホール210aを含む第1半導体層211の面積に比べて0.01%以上30%以下であり、望ましくは、0.9%以上10.4%以下であり、さらに望ましくは、約2.6%である。
【0077】
コンタクトホール210aの底部の平面(第1半導体層211)に対するコンタクトホール210aの側面傾斜角αは、0°より大きく、90°より小さく形成する。望ましくは、約30から60°である。傾斜角が90°より大きければ、傾斜面に絶縁層221の形成が困難であり、後述する第1電極層の形成が困難である。コンタクトホール210aの傾斜面は、光抽出効率を向上させるべく、階段状に形成されてもよく、傾斜面に凹凸が形成されてもよい。また、傾斜面上の一部または全面に、反射物質をコーティングすることもできる。反射物質としては、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含んで形成され、単層あるいは複層で形成される。反射物質は、光の外部抽出を向上させる。
【0078】
コンタクトホール210aを含む半導体構造物210の上部面全域に絶縁層221を、蒸着方法を利用して塗布する。例えば、絶縁層221は、プラズマ化学蒸着(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)を利用して、SiOまたはSiNを蒸着して形成できる。絶縁層221は、0.001μm以上50μm以下の厚さに形成される。望ましくは、0.3μm以上1.2μm以下の厚さに形成される。
【0079】
図3Cを参照すれば、絶縁層221のうちコンタクトホール210aの底部に形成された部分をエッチングして、第1半導体層211を露出させる。かかるエッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)ドライエッチングまたはBOE(Buffered Oxide Echant)を利用したウェットエッチング方法からなる。
【0080】
第1半導体層211の露出された領域にコンタクト層231を形成する。コンタクト層231は、第1半導体層211とオーミックコンタクトを形成できる物質で形成するが、反射度に優れた物質が望ましい。例えば、Al、Ti、Pt、Ag、Ni、TiN、Au、Sn及びそれら混合物のうち少なくとも一つを含む物質からなる単層あるいは相異なる複層で構成される。各層の厚さは、それぞれ0.1nm以上5000nm以下である。例えば、本実施形態では、Al/Ti/Pt/Ti層を200nm/300nm/100nm/2nmの厚さに蒸着して形成した。
【0081】
コンタクト層231の上端は、第2半導体層213の上面よりも突出してよい。コンタクト層231は、柱状であってよい。つまり、コンタクト層231と、絶縁層221との間には隙間があってよい。コンタクト層231の底面の面積は、コンタクトホール210aの底面の面積よりも小さい。
【0082】
コンタクト層231は複数の層に形成されて、第1半導体層211への電流拡散を向上させる。複数のコンタクト層231は、マトリックス状に配列される。コンタクト層231の形成後には、オーミックコンタクトの形成のための熱処理を行う。本実施形態において、RTA法により550℃で60秒間の熱処理を実施して、良好なオーミック特性を得た。熱処理の温度及び時間は、オーミック電極の材料によって異なるが、300℃以上800℃以下で約5秒以上5000秒以下の間行われる。適切には、300℃以上600℃以下で30秒以上180秒以下が望ましい。
【0083】
続いて、第2半導体層213、コンタクト層231および絶縁層221上に絶縁層222を形成して、コンタクトホール210aで、絶縁層221とコンタクト層231との間を絶縁層222で満たす。絶縁層222は、絶縁層221と同じ物質で形成される。絶縁層222は、コンタクト層231を覆って形成される。
【0084】
図3Dを参照すれば、コンタクトホール210aを取り囲む領域を除いた残りの領域の絶縁層221及び絶縁層222をエッチングして、第2半導体層213を露出させる。RIEドライエッチングまたはBOEを利用したウェットエッチングを使用できる。以下では、絶縁層221及び絶縁層222を合わせた絶縁層を絶縁層220とも称する。絶縁層220は、第2半導体層213の上面よりも突出して形成される。
【0085】
図3Eを参照すれば、露出された第2半導体層213の上面全体に渡って、コンタクトホール210a(または絶縁層220)を取り囲む第2電極層240を形成する。第2電極層240の上面の位置は、絶縁層220の上面の位置と略一致することが好ましい。第2電極層240を形成した後、絶縁層220および第2電極層240の上面が一致するまで、絶縁層220および第2電極層240を研磨してもよい。なお、絶縁層220でコンタクト層231を覆っているので、第2電極層240がコンタクト層231に接続されるのを防ぐことができる。
【0086】
第2電極層240は、オーミック特性と光反射特性とを同時に有した金属で形成して、反射膜の役割を行うか、またはオーミック特性と光反射特性とをそれぞれ有した金属が順次に積層されて形成された多重層で形成できる。第2電極層240は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含んで形成され、単層あるいは複層で形成される。それらの物質は、光の外部抽出を向上させる。第2電極層240上に所定の厚さに絶縁層223を形成する。絶縁層223は、例えば、PECVDを利用してSiOを蒸着して形成できる。
【0087】
図3Fを参照すれば、絶縁層220および絶縁層223をエッチングして、コンタクト層231を露出させる。絶縁層220の上面全体に金属物質を塗布して、露出されたコンタクト層231と連結される第1電極層230を形成する。第1電極層230は、略平面上の平面部分と、コンタクト層231に接続する接続部分とを有する。第1電極層230は、Ti(100nm)/Ni(100nm)構成の層を4回反復して積層した後、Ti(100nm)/Au(1500nm)/Sn(1400nm)/Au(10nm)層をさらに積層した。
【0088】
このような処理により、金属の第2電極層240を貫通して形成され、且つ、絶縁材料で覆われた配線を形成することができる。当該配線は、コンタクト層231および第1電極層230との境界において、直径が変化してよい。例えば、コンタクト層231の当該境界における接続部分の直径は、当該境界における第1電極層230の直径よりも小さい。これにより、テーパー状のコンタクトホール210aの底面よりも面積が小さいコンタクト層231を用いることが容易となり、且つ、コンタクト層231および第1電極層230の接続信頼性を向上させることができる。
【0089】
図3Gを参照すれば、第1電極層230上に非導電性基板250をボンディングする。非導電性基板250としては、アルミナ基板、AlN基板、サファイア基板、セラミック基板、ポリマー基板などを使用できる。非導電性基板250を第1電極層230上に接合するために、それらの間に導電性の接着物質または非導電性の接着物質を媒介体として使用できる。導電性の接着物質としては、AuSn、Au、Cu、Pb、W、Ti、Pt、Sn、TiSnまたはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含む物質の単層または多層で使われる。非導電性の接着物質としては、SOG、ポリマーなどが使われる。
【0090】
図3Hを参照すれば、第1半導体層211から基板202を除去する。例えば、基板202上にレーザー光を照射して、基板202と第1半導体層211との間の物質層(図示せず)で熱的反応を起こして、材料分離を起こす。基板202を第1半導体層211からリフトオフして除去する。基板202を、化学的エッチングまたは化学機械的研磨方法を行って除去することもできる。
【0091】
図3Iを参照すれば、非導電性基板250の露出された表面から、第1電極層230及び第2電極層240とそれぞれ連結された第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252を形成する。第2貫通ホール252は、非導電性基板250、第1電極層230及び絶縁層223を貫通する。
【0092】
非導電性基板250の厚さは、50μm以上300μm以下となり、100μm以上200μm以下が望ましい。非導電性基板250の厚みが大き過ぎると、第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252の形成に時間がかかるという工程上問題点が生じる。非導電性基板250の厚みが小さ過ぎると、支持基板としての役割を十分に果たせない。
【0093】
第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252の大きさ(直径)は、0.1μm以上500μm以下であり、望ましくは、5μm以上300μm以下である。第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252は、単数あるいは複数形成される。第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252の面積は、非導電性基板250の底面250aの約0.01%以上30%以下でありうる。第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252は、底面250aを基準として階段状またはテーパー状に傾斜して形成できる。
【0094】
図3Jを参照すれば、第2貫通ホール252の側面には、絶縁層256を形成する。この時、第1貫通ホール251の側面にも、絶縁層(図示せず)が絶縁層256と共に形成される。第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252に、それぞれメタルで形成された第1コンタクト253と第2コンタクト254とを形成する。第1貫通ホール251及び第2貫通ホール252は、レーザードリリング、ドライエッチング方法、またはウェットエッチング方法により形成できる。
【0095】
図4Aから図4Cは、本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。図4Aから図4Cに示す工程は、図3Aから図3Fの工程に続いて行われる。
【0096】
図4Aを参照すれば、図3Aから図3Fの工程による結果物において、第1電極層230の露出された表面から、第2電極層240と連結された貫通ホール441を形成する。貫通ホール441の側面には、絶縁層442を形成する。貫通ホール441にメタルで形成されたコンタクト443を形成する。貫通ホール441は、レーザードリリング、ドライエッチング方法などを使用して形成できる。
【0097】
第1電極層230の厚さは、0.1μm以上300μm以下であり、0.5μm以上100μm以下が望ましい。300μmより厚ければ、貫通ホール441の形成に時間がかかり、コストが上昇するなどの工程上問題点があり、0.1μmより薄ければ、接合層としての役割を十分に行えない。
【0098】
貫通ホール441の大きさ(直径)は、0.1μm以上500μm以下であり、望ましくは、5μm以上300μm以下である。本実施形態では、30μm以上100μm以下の大きさに貫通ホール441を形成した。貫通ホール441は、単数あるいは複数形成される。貫通ホール441の面積は、第1電極層230の面積に比べて0.01%以上30%以下でありうる。貫通ホール441は、第1電極層230の上面230aを基準として階段状またはテーパー状に傾斜して形成できる。
【0099】
絶縁層442は、0.001以上50μm以下の厚さに形成され、貫通ホール441の直径に比べて、絶縁層442の厚さは、約0.01%以上30%以下が適当である。本実施形態において、絶縁層442の厚さは、0.01μm以上0.9μm以下の範囲で形成した。
【0100】
図4Bを参照すれば、導電性基板450に第1貫通ホール451と第2貫通ホール452とを形成する。第2貫通ホール452は、貫通ホール441と対応して形成し、第1貫通ホール451は、第2貫通ホール452と離隔して形成する。導電性基板は、Si、Ge、金属含有シリコン(例えば、Al含有シリコン)で形成される。
【0101】
導電性基板450において、第1貫通ホール451と第2貫通ホール452との内周面を含む表面に絶縁層460を形成する。第1貫通ホール451と第2貫通ホール452とをメタルで満たして、それぞれ第1コンタクト453と第2コンタクト454とを形成する。
【0102】
コンタクト443および第2コンタクト454の境界におけるそれぞれの直径は異なっていてよい。当該境界において、コンタクト443の直径は、第2コンタクト454の直径よりも大きくてよい。これにより、第2コンタクト454の位置がずれても、第2コンタクト454と第1電極層230とが接触するのを防ぐことができる。
【0103】
図4Cを参照すれば、導電性基板450の第2コンタクト454がコンタクト443と接触するように、導電性基板450を第1電極層230上にボンディングする。導電性基板450を第1電極層230上に接合するために、第1コンタクト453及び第2コンタクト454上に導電性の接着物質(図示せず)を形成し、他の部分に非導電性の接着物質(図示せず)を媒介体として使用できる。導電性の接着物質としては、AuSn、Au、Cu、Pb、W、Ti、Pt、Sn、TiSnまたはそれらの混合物のうち少なくとも一種類の物質を含み、単層または複層で形成される。非導電性の接着物質としては、SOG、ポリマーなどが使われる。
【0104】
続いて、第1半導体層211から基板202を除去する。例えば、基板202上にレーザー光を照射して、基板202と第1半導体層211との間の物質層(図示せず)で熱的反応を起こして、材料分離を起こす。基板202を第1半導体層211からリフトオフして除去する。基板202を、化学的エッチングまたは化学機械的研磨方法を行って除去してもよい。基板202の厚さを薄くするか、または基板202の表面に凹凸を形成して、基板202を除去することなく使用してもよい。
【0105】
図4Aから図4Cの製造方法では、導電性基板450を使用したが、非導電性基板250を使用する方法にも適用でき、詳細な説明は省略する。
【0106】
図5は、他の実施形態による半導体発光素子500の概略的な断面図である。図5を参照すれば、本実施形態の半導体発光素子500は、半導体構造物510と、半導体構造物510の一面に設けられた電極構造物と、電極構造物を支持する基板560とを備える。
【0107】
半導体構造物510は、例えばサファイア基板上に結晶成長して順次に形成された第1半導体層511、活性層512、第2半導体層513を備える。サファイア基板は、製造工程で除去されるので、図5には示していない。
【0108】
半導体構造物510は、例えば、窒化ガリウム系(GaN、InN、InGaN、AlGaN、AlN、AlInGaNまたはそれらの組み合わせ)のようなIII−V族半導体で形成され、サファイア基板は、それらの窒化物半導体との格子構造が類似して、結晶成長のための基板として使われる。第1半導体層511は、n型導電性を有し、第2半導体層513は、p型導電性を有する。または、第1半導体層511がp型導電性を有し、第2半導体層513がn型導電性を有してもよい。
【0109】
第1半導体層511と第2半導体層513との間には、活性層512が形成されている。活性層512は、例えば、単一または多重量子ウェル構造を有する。第1半導体層511と第2半導体層513とを通じて注入された電子及び正孔は、活性層512で結合して光Lを放出する。放出された光Lは、半導体構造物510の第1半導体層511を通じて放出される。
【0110】
第2半導体層513の下部には、第2電極層520、絶縁層530、第1電極層540及び基板560が順次に配置される。第2電極層520は、第2半導体層513の下面全体に渡って形成される。
【0111】
第1電極層540は、コンタクトホール580を介して第1半導体層511と電気的に接続される。コンタクトホール580は、絶縁層530、第2電極層520、第2半導体層513及び活性層512を貫通する。第1電極層540は、第1半導体層511に到達するコンタクトホール580に充填された充填部を有する。コンタクトホール580は、複数形成される(例えば図2参照)。複数のコンタクトホール580を満たした第1電極層540は、電流を第1半導体層511に速く拡散させて供給できる。
【0112】
コンタクトホール580のエッチングの深さが、少なくとも第1半導体層511の表面が露出される深さになるように、第2半導体層513及び活性層512を除去する。第1半導体層511の一部も、所定の深さ(0.1nm以上5000nm以下)にエッチングでき、必要に応じては貫通ホールを形成してもよい。コンタクトホール580は、0.1μm以上500μm以下の大きさ(直径)であり、望ましくは、5μm以上300μm以下である。コンタクトホール580は、複数形成され、第1半導体層211と接触する部分のコンタクトホール580の面積は、コンタクトホール580を含む第1半導体層211の面積に比べて0.01%以上30%以下であり、望ましくは、0.9%以上10.4%以下であり、さらに望ましくは、約2.6%である。
【0113】
コンタクトホール580の底部には、凹凸が形成される。コンタクトホール580の底部の平面(第1半導体層511)に対するコンタクトホール580の側面傾斜角αは、0°より大きく、90°より小さく形成する。望ましくは、約30から60°である。傾斜角が90°より大きければ、傾斜面に絶縁層530の形成が困難であり、第1電極層540の形成が困難である。コンタクトホール580の傾斜面は、光抽出効率を向上させるべく、階段状に形成されてもよく、傾斜面に凹凸が形成されてもよい。また、傾斜面上の一部または全面に反射物質をコーティングしてもよい。反射物質としては、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含んで形成され、単層あるいは複層で形成される。反射物質は、光を外部に抽出する効率を向上させる。
【0114】
第1電極層540と第2電極層520との間には、第1電極層540と第1半導体層511を除いた他の層とを電気的に絶縁させるための絶縁層530が形成されている。絶縁層530は、第1電極層540と第2電極層520との間だけでなく、コンタクトホール580により露出される第2電極層520、第2半導体層513及び活性層512の側面と第1電極層540との間にも形成される。また、コンタクトホール580が貫通した第1半導体層511の一定領域の側面にも、絶縁層530が形成される。絶縁層530は、0.001以上50μm以下の厚さに形成され、コンタクトホール580の直径に比べて、絶縁層530の厚さは、約0.001%以上30%以下が適当である。本実施形態において、絶縁層530の厚さは、0.01以上0.9μm以下の範囲で形成した。
【0115】
第2電極層520は、第2半導体層513と接触する。コンタクトホール580が貫通する一定領域には、第2電極層520が存在しない。第2電極層520が第2半導体層513と電気的に接触するため、第2半導体層513との接触抵抗を最小化しつつも、活性層512で生成された光を反射させて外部に向かわせて、発光効率を向上させる反射機能を有する物質で形成される。第2電極層520は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物で構成された物質のうち少なくとも一つを含んで形成される。
【0116】
第1電極層540の一部の領域の下部には、第1電極パッド551が形成されている。第1電極層540における第1電極パッド551に接していない領域には、絶縁層534が形成されている。絶縁層534は、絶縁層530の一部の領域と接してもよい。
【0117】
第2電極層520の下部において、絶縁層530が形成されていない領域には、第2電極パッド552が形成されている。第2電極パッド552は、第2電極層520と電気的に接続される。つまり、本例においては、第1電極層540を貫通し、第2電極層520を外部と接続する第2電極パッド552が、半導体発光素子500の端部に形成される。第2電極パッド552は、半導体発光素子500の側面に表出してよい。
【0118】
第2電極パッド552は、基板560と第1電極層540との間に延伸して形成される。絶縁層534は、少なくとも第1電極層540および第2電極パッド552に挟まれる領域に形成される。
【0119】
第2電極パッド552は、空間554により第1電極パッド551と離隔される。空間554は、第2電極パッド552が基板560と第1電極層540との間に延伸して形成された端部と、第1電極パッド551の端部との間に形成される。絶縁層534は、空間554に対応する領域まで延伸してよい。つまり、絶縁層534の端部は、空間554において第1電極パッド551と接してよい。空間554には絶縁材料が充填されてもよい。空間554は、絶縁層534で充填されてよい。第2電極パッド552は、第1電極パッド551と離隔され、かつ、第2電極パッド552の一部は、積層方向において第1電極パッド551と同じ高さに形成される。第2電極パッド552及び第1電極パッド551の面積は、任意の大きさであってよい。
【0120】
第1電極パッド551及び第2電極パッド552としては、AuSn、Au、Al、Ni、Cu、Pb、W、Ti、Pt、Sn、TiSnまたはそれらの混合物のうち少なくとも一つを含む物質で形成される。第1電極パッド551及び第2電極パッド552は、単層または相異なる物質の層の複層で形成される。第1電極パッド551及び第2電極パッド552の厚さは、0.1以上500μm以下でありうる。第1電極パッド551が第2電極パッド552より大きいか、または第2電極パッド552と同じ面積であるかは、必要とされる放熱特性に基づいて定めてよい。空間554は、絶縁物質(図示せず)で満たされていてもよい。
【0121】
第1電極パッド551及び第2電極パッド552の下部には、基板560が付着される。基板560には、離隔された第1貫通ホール561及び第2貫通ホール562が形成されている。第1貫通ホール561及び第2貫通ホール562には、それぞれ第1コンタクト563と第2コンタクト564とが形成されている。第1コンタクト563及び第2コンタクト564は、それぞれ第1電極パッド551及び第2電極パッド552と連結される。基板560が導電性基板である場合、基板560を第1コンタクト563、第2コンタクト564、第1電極パッド551及び第2電極パッド552と絶縁するように、絶縁層570がさらに形成される。第2電極パッド552及び第2コンタクト564が、図1Aから図2に示した第2コンタクト154に対応する。
【0122】
半導体発光素子500には、第2コンタクト564と接触する第2電極パッド552の領域が広く形成されているので、容易に基板560を電極パッドにボンディングすることができる。また、コンタクトが形成された基板との接続のために、容易に第1電極パッド551及び第2電極パッド552の位置及び面積を変更できる。第2電極パッド552と第2コンタクト564との接触を容易にするために、第2電極パッド552の面積は、第2コンタクト564の面積より少なくとも1.2倍以上になるように形成する。第1電極パッド551及び第1コンタクト563も同様に、相互接触を容易にするべく、第1電極パッド551の面積が第1コンタクト563の面積より少なくとも1.2倍以上にすることが望ましい。
【0123】
図6Aから図6Gは、半導体発光素子500の製造方法を説明するための図面である。図6Aから図6Gに示す工程は、図3Aから図3Eの工程に続いて行われ、同じ部材に対して同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0124】
図6Aには、便宜上、2のコンタクト層231を示した。図6Aを参照すれば、絶縁層223をエッチングして、コンタクト層231を露出させる。絶縁層223上で、第2電極層240の第1領域A1上にフォトレジスト632を形成し、フォトレジスト632に露出された第2領域A2に金属物質を塗布して、露出されたコンタクト層231と連結される第1電極層630を形成する。
【0125】
図6Bを参照すれば、フォトレジスト632を除去した後、絶縁層223上に、第1電極層630を覆う絶縁層634を形成する。
【0126】
図6Cを参照すれば、第1領域A1の絶縁層634及び絶縁層223をパターニングして第2電極層240を露出させた後、露出された第2電極層240と連結された第2電極パッド652を形成する。第2電極パッド652は、第2領域A2の一部の絶縁層634を覆うように形成して、第2電極パッド652の形成領域を増加させる。
【0127】
図6Dを参照すれば、第2領域A2の絶縁層634の一部をエッチングして、第2電極パッド652と離隔されるように第1電極層630を露出させた後、露出された第1電極層630上に、第1電極パッド651を形成する。第1電極パッド651の表面及び第2電極パッド652の表面が水平に形成される。
【0128】
図6Eは、図6Dの結果物の平面図である。図6Eを参照すれば、第1電極パッド651と第2電極パッド652とは互いに離隔される。第1電極パッド651及び第2電極パッド652は、第1電極層630及び第2電極層240の面積と関係なく容易に設計できる。したがって、後述するあらかじめ設けられた基板に形成された電極との電気的接続を容易にする。
【0129】
図6Fを参照すれば、基板660に、第1貫通ホール661と第2貫通ホール662とを形成する。第1貫通ホール661と第2貫通ホール662とは、それぞれ第1電極パッド651及び第2電極パッド652と対応して形成する。
【0130】
第2基板は、Si、Ge、金属を含有するシリコン(例えば、Al含有シリコン)などの導電性物質で形成される。導電性基板450において、第1貫通ホール661と第2貫通ホール662との内周面を含む表面に絶縁層670を形成する。第2基板660が非導電性基板、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、サファイアなどの非導電性物質で形成される場合、絶縁層670の形成工程を省略しうる。第1貫通ホール661と第2貫通ホール662とをメタルで満たして、それぞれ第1コンタクト663と第2コンタクト664とを形成する。
【0131】
図6Gを参照すれば、第2基板660の第1コンタクト663と第2コンタクト664とが、それぞれ第1電極パッド651及び第2電極パッド652と接触してボンディングする。次いで、第1半導体層211から基板202を除去する。第1電極パッド651と第2電極パッド652とは、空間654により離隔されている。空間654は、絶縁層(図示せず)で満たされることもある。半導体層の物質/構造、電極材料/サイズなどは、前述した他の実施形態の構造と同じ部分は説明を省略する。
【0132】
図7Aから図7Cは、本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するための断面図である。図7Aを参照すれば、基板702の上面に、第1半導体層711、活性層712及び第2半導体層713を順次に結晶成長させて、半導体構造物710を形成する。基板702は、結晶成長させようとする半導体に適したものを選択できる。例えば、窒化物半導体単結晶を成長させる場合、基板702は、サファイア基板、ZnO基板、GaN基板、SiC基板、AlN基板などから選択できる。次いで、第2半導体層713上に第2電極層740を形成する。
【0133】
図7Bを参照すれば、第2電極層740から所定の深さにICP−RIE方法を利用して、第1半導体層711の一部の深さまでエッチングしたコンタクトホール710aを形成する。コンタクトホール710aを含む半導体構造物710の上部面の全域に絶縁層721を、蒸着方法を利用して塗布する。例えば、絶縁層721は、PECVD法を利用して、SiOまたはSiNを蒸着して形成できる。詳細な製造方法は、前述した部分と同一である。
【0134】
図7Cを参照すれば、絶縁層721のうちコンタクトホール710aの底部に形成された部分をエッチングして、第1半導体層711を露出させる。かかるエッチングは、例えば、RIEドライエッチングまたはBOEを利用したウェットエッチング方法からなる。
【0135】
次に、絶縁層721上に、第1半導体層711の露出された領域を覆う第1電極層730を形成する。第1電極層730上に他の基板を形成し、基板702を除去するステップと、上記の他の基板に第1電極層及び第2電極層と連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップとは、非導電性基板を使用する製造工程(図3Gから図3J)、または導電性基板を使用する製造工程(図4Aから図4C)を参照すればわかるので、詳細な説明は省略する。また、第1電極層730上に電極パッドを形成した後、他の基板を形成する工程は、図6Aから図6Gを参照すれば分かるので、詳細な説明は省略する。
【0136】
図8Aは、半導体発光素子1000の概略断面図である。半導体発光素子1000は、半導体構造物1110、第1導電体1130、第2導電体1140、絶縁層1120、第1導電性接合層1260−1、第2導電性接合層1260−2、第1導電性基板1270−1、第2導電性基板1270−2、第1電極1271、第2電極1272及び絶縁隔壁1281を備える。半導体構造物1110は、第1半導体層1111、活性層1112及び第2半導体層1113を有する。活性層1112は、第1半導体層1111と第2半導体層1113との間に設けられる。
【0137】
半導体構造物1110は、例えば、GaN、InN及びAlNなどのIII−V族化合物半導体で結晶成長された窒化物系半導体ダイオードである。半導体構造物1110は、一例として、成長基板上に第1半導体層1111、活性層1112、第2半導体層1113を結晶成長させることにより、形成される。第1半導体層1111、活性層1112、第2半導体層1113が結晶成長した後で成長基板を除去してもよい。
【0138】
成長基板は、結晶成長させる化合物半導体に適した材料で形成された基板である。例えば、窒化物系半導体結晶を成長させる場合には、成長基板として、サファイア基板、ZnO基板、GaN基板、SiC基板又はAlN基板を用いることができる。成長基板と第1半導体層1111との間に、バッファ層を形成してもよい。バッファ層は、成長基板の格子定数と第1半導体層1111の格子定数との間の格子定数を有することで、成長基板と第1半導体層1111とを擬似的に格子整合させる。例えば、窒化物系半導体結晶を成長させる場合には、バッファ層はAlN/GaNで形成される。
【0139】
第1半導体層1111及び第2半導体層1113は、AlInGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有する。第1半導体層1111及び第2半導体層1113は、GaAs系半導体又はGaP系半導体であってもよい。
【0140】
第1半導体層1111には、第1伝導型の不純物がドープされている。第1伝導型の不純物は、例えばn型の不純物である。一例として、第1半導体層1111がGaNである場合に、第1半導体層1111にはSi、Ge又はSnが不純物としてドープされている。
【0141】
第2半導体層1113には、第1伝導型と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされている。第1伝導型がn型である場合には、第2伝導型はp型である。一例として、第2半導体層1113がGaNである場合に、第2半導体層1113にはZn又はMgが不純物としてドープされている。
【0142】
活性層1112は、例えば多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造は、多数の量子井戸層、及び、それぞれの量子井戸層の間に形成された多数の量子障壁層を有する。第1半導体層1111及び第2半導体層1113がGaNである場合、活性層1112はInGaNからなる複数の多重井戸層、及び、GaNからなる複数の量子障壁層が積層された層である。
【0143】
第1半導体層1111及び第2半導体層1113を通して注入された電子及び正孔は活性層1112で再結合し、光Lを放出する。放出された光Lは半導体構造物1110の発光面1110cから放出される。ここで、発光面1110cは、第1半導体層1111が有する面のうち、活性層1112に接する面と反対側の面である。
【0144】
第1導電体1130は、第2半導体層1113及び活性層1112を貫通し、かつ、第1半導体層1111、第2半導体層1113及び活性層1112に囲まれた開口を介して、第1半導体層1111に電気的に結合する。一例として、図8Aにおける第1導電体1130は、第2半導体層1113の表面から第1半導体層1111まで貫通したビアホール1110aを介して、第1半導体層1111に電気的に結合されている。
【0145】
ビアホール1110aは、例えば、公知の方法で第2半導体層1113及び活性層1112をエッチングすることにより形成される。半導体構造物1110は、一つまたは複数のビアホール1110a及び第1導電体1130を有する。半導体構造物1110が複数の第1導電体1130を有する場合には、より効果的に電流を拡散することができる。
【0146】
ビアホール1110aは、テーパーを有してよい。例えば、ビアホール1110aは、側面が、第1導電体1130は、第1半導体層1111、第2半導体層1113及び活性層1112の積層方向に対して傾斜している。ビアホール1110aは、第1半導体層1111に接する側面が上記の積層方向に形成されており、第2半導体層1113及び活性層1112に接する側面が上記の積層方向に対して傾斜していてもよい。
【0147】
第2導電体1140は、第2半導体層1113上に設けられ、第2半導体層1113と電気的に結合する。一例として、積層方向における第1導電体1130の表面の位置において、第2導電体1140の面積は、第1導電体1130の面積よりも大きい。第2導電体1140は、例えば、第2半導体層1113におけるビアホール1110aが形成されていない領域に形成される。
【0148】
第2導電体1140が第2半導体層1113に接する面積は、第1導電体1130が第1半導体層1111に接する面積よりも大きいことが好ましい。第2半導体層1113がp型不純物を含む場合には、第2導電体1140が第2半導体層1113に接する面積が大きい方が、電流拡散をより大きくすることができるので、発光効率を高めることができる。
【0149】
なお、第1半導体層1111がp型不純物を含む場合には、半導体発光素子1000は、第1半導体層1111の底面を覆う透明電極をさらに有してよい。この場合、第1導電体1130は第1半導体層1111を貫通して、透明電極に接続される。
【0150】
第1導電性接合層1260−1は、絶縁層1120及び第1導電体1130に接合する。第2導電性接合層1260−2は、絶縁層1120及び第2導電体1140に接合する。第1導電性接合層1260−1は、絶縁層1120及び第1導電体1130に接合する面と反対の面において、第1導電性基板1270−1と接合する。第2導電性接合層1260−2は、絶縁層1120及び第2導電体1140に接合する面と反対の面において、第2導電性基板1270−2と接合する。
【0151】
第1導電性基板1270−1は第1電極1271を有する。第2導電性基板1270−2は第2電極1272を有する。第1電極1271は、第1導電性基板1270−1を貫通して、第1導電性接合層1260−1に接合する。第2電極1272は、第2導電性基板1270−2を貫通して、第2導電性接合層1260−2に接合する。第1電極1271は、第1導電性接合層1260−1を介して第1導電体1130に電流を供給する。第2電極1272は、第2導電性接合層1260−2を介して第2導電体1140に電流を供給する。
【0152】
第1導電性接合層1260−1及び第2導電性接合層1260−2は、導電性基板1270−1及び導電性基板1270−2の表面に塗布され、所定温度及び圧力が加えられることにより、絶縁層1120、第1導電体1130及び第2導電体1140の表面と導電性基板1270とを接合する。第1導電性接合層1260−1の面積は、第1導電体1130の面積及び第1電極1271の面積よりも大きい。第2導電性接合層1260−2の面積は、第2導電体1140の面積及び第2電極1272の面積よりも大きい。
【0153】
したがって、半導体構造物1110の積層方向と垂直な方向における第1導電体1130の位置及び第1電極1271の位置が一致しない場合であっても、第1導電体1130及び第1電極1271は電気的に結合する。同様に、半導体構造物1110の積層方向と垂直な方向における第2導電体1140の位置及び第2電極1272の位置が一致しない場合であっても、第2導電体1140及び第2電極1272は電気的に結合する。
【0154】
第1電極1271の面積は、第1導電体1130の面積よりも大きい。第2電極1272の面積は、第2導電体1140の面積よりも大きい。第1電極1271及び第2電極1272は、半導体発光素子1000の側面に露出していてもよい。
【0155】
絶縁隔壁1281は、第1導電体1130及び第2導電体1140が導電性接合層1260によって電気的に結合されることを防ぐ。絶縁隔壁1281は、導電性接合層1260−1と、導電性接合層1260−2との間の開口1280内に設けられている。絶縁隔壁1281は、公知の絶縁性物質、例えばポリイミドなどの物質で形成される。絶縁隔壁1281の幅wは、第1導電体1130と第2導電体1140の間の絶縁層1120の幅Wよりも小さくてよい。
【0156】
図8Bは、半導体発光素子1000をプリント基板1010に搭載した場合の概略断面図である。プリント基板1010は、導電性接合部1030、導電性接合部1040、金属配線1050及び金属配線1060を備える。半導体発光素子1000は、例えば、半田などの導電性材料により、プリント基板1010に接合される。
【0157】
具体的には、第1電極1271は導電性接合部1030に接合される。第2電極1272は導電性接合部1040に接合される。導電性接合部1030の面積は、第1電極1271の面積よりも大きい。導電性接合部1040の面積は、第2電極1272の面積よりも大きい。
【0158】
導電性接合部1030は、第1導電性基板1270−1の一部の領域と接合してもよい。導電性接合部1040は、第2導電性基板1270−2の一部の領域と接合してもよい。導電性接合部1030が、第1電極1271及び第1導電性基板1270−1の両方に接合することにより、導電性接合部1030と第1導電体1130との間のインピーダンスが小さくなる。同様に、導電性接合部1040が、第2電極1272及び第2導電性基板1270−2の両方に接合することにより、導電性接合部1040と第2導電体1140との間のインピーダンスが小さくなる。
【0159】
また、半導体構造物1110の積層方向と垂直な方向における第1電極1271の位置が導電性接合部1030の位置と一致していない場合であっても、導電性接合部1030及び第1導電体1130を電気的に結合させることができる。同様に、半導体構造物1110の積層方向と垂直な方向における第2電極1272の位置が導電性接合部1040の位置と一致していない場合であっても、導電性接合部1040及び第2導電体1140を電気的に結合させることができる。
【0160】
図9は、半導体発光素子2000の概略断面図である。半導体発光素子2000は、図8Aに示した半導体発光素子1000の第1導電性基板1270−1及び第1電極1271の代わりに第1電極1171を有し、第2導電性基板1270−2及び第2電極1272の代わりに第2電極1172を有する。第1電極1171及び第2電極1172は、メッキ電極層1170を構成する。半導体発光素子2000は、第1導電性接合層1260−1の代わりにシード層1150−1を有し、第2導電性接合層1260−2の代わりにシード層1150−2を有する。半導体発光素子2000における絶縁層1120は、保護層1121及び絶縁物質層1122を有する。
【0161】
保護層1121は、半導体発光素子2000の製造工程において、第1導電体1130の金属原子が活性層1112及び第2半導体層1113に拡散することを防ぐ。保護層1121は、例えばSiOである。
【0162】
保護層1121は、第1導電体1130と、活性層1112及び第2半導体層1113との間に設けられる。保護層1121は、第2半導体層1113の側面及び第2半導体層1113の表面の一部に接してよい。さらに、保護層1121は、第2導電体1140の側面に接してもよい。
【0163】
第2導電体1140は、第2半導体層1113の表面において、保護層1121が形成される領域以外の領域を覆う。第2導電体1140の面積は、第1導電体1130の面積より大きくてよい。また、第1導電体1130が複数設けられる場合、第2導電体1140の面積は、複数の第1導電体1130の面積の和より大きくてよい。
【0164】
絶縁物質層1122は、第1導電体1130と第2導電体1140とを絶縁する。絶縁物質層1122は、第1導電体1130と、活性層1112及び第2半導体層1113とをさらに絶縁してもよい。絶縁物質層1122は、保護層1121と第1導電体1130の間に設けられる。また、絶縁物質層1122は、第1導電体1130と活性層1112及び第2半導体層1113との間に設けられている。
【0165】
絶縁物質層1122は、第1導電体1130の側面の少なくとも一部の領域に接する。絶縁物質層1122は、第1導電体1130の側面に沿って、ビアホール内に形成されるとともに、第1導電体1130の表面付近において屈曲して、第2導電体1140の表面上にさらに延伸されている。絶縁物質層1122は、第2導電体1140における半導体構造物1110と接していない側の面の一部の領域に接して設けられる。
【0166】
絶縁物質層1122は、例えば、SiOである。保護層1121及び絶縁物質層1122は絶縁層1120を形成し、第1導電体1130と、第2導電体1140、活性層1112及び第2半導体層1113とを絶縁する。絶縁物質層1122は、第2導電体1140の表面の半分以上を覆って設けられる。ただし絶縁物質層1122には、第2導電体1140の一部が露出するように開口が形成される。
【0167】
絶縁層1120は、半導体構造物1110の表面において、第1導電体1130が設けられた領域及び第2導電体1140が設けられた領域の一部を除く領域に設けられてもよい。例えば、絶縁層1120は、第2導電体1140における半導体構造物1110と接していない側の面の一部の領域に接して設けられる。
【0168】
金属層1135は、第1導電体1130を第1電極1171と接続する。金属層1145は、第2導電体1140を第2電極1172と接続する。金属層1135及び金属層1145は、銅、ニッケル、クロム等の金属である。金属層1145は、絶縁物質層1122に設けられた開口内に形成される。金属層1145の面積は、第2導電体1140の面積より小さい。例えば金属層1145の面積は、第2導電体1140の面積の半分以下である。また、第2導電体1140は、半導体構造物1110の上面の半分以上を覆ってよい。
【0169】
シード層1150−1及びシード層1150−2は、第1電極1171及び第2電極1172をメッキ法により形成する場合にメッキを容易にするシードとして機能する。シード層1150−1及びシード層1150−2は、金属層1135と第1電極1171との間、及び、金属層1145と第2電極1172との間に設けられる。シード層1150は、第1電極1171及び第2電極1172と同じ種類の金属である。
【0170】
シード層1150−1の面積は、第1導電体1130の面積より大きい。また、シード層1150−2の面積は、金属層1145の面積より大きい。また、シード層1150−1の面積は、シード層1150−2の面積より大きい。シード層1150−1の面積は、半導体構造物1110の面積の半分より大きくてよい。シード層1150−2の面積は、半導体構造物1110の面積の半分より小さくてよい。
【0171】
メッキ電極層1170は、第1電極1171及び第2電極1172を有する。メッキ電極層1170は、第1電極1171と第2電極1172との間に、絶縁隔壁1180を有する。絶縁隔壁1180は、第1電極1171と第2電極1172とを絶縁する。絶縁隔壁1180は、ポリイミドなどの絶縁材料で形成される。
【0172】
第1電極1171は、第1導電体1130の上方に設けられ、第1導電体1130と電気的に結合する。第2電極1172は、第2導電体1140の上方に設けられ、第2導電体1140と電気的に結合する。第1電極1171及び第2電極1172は、それぞれ導電性材料を介して第1導電体1130及び第2導電体1140と電気的に結合してもよい。
【0173】
一例として、第1半導体層1111及び活性層1112の積層方向に垂直な水平方向における第1電極1171の面積は、第1導電体1130の水平方向の面積よりも大きい。さらに、第1電極1171の少なくとも一部の領域が、第2導電体1140の上方に設けられていてもよい。この場合、第1電極1171及び第2導電体1140は、絶縁層1120により絶縁される。このように第1電極1171の面積が第1導電体1130の面積に比べて十分に大きい場合には、外部回路と第1電極1171とを接続することが容易になる。
【0174】
第2電極1172の面積は、第2導電体1140の面積より小さくてもよい。第2電極1172は、第2導電体1140の上方における領域の一部の領域に形成されてよい。
【0175】
絶縁隔壁1180は、第1電極1171と第2電極1172との間を絶縁する。絶縁隔壁1180の面積は、絶縁層1120が第2導電体1140に接する面積よりも小さい。絶縁隔壁1180は、第1電極1171と第2電極1172との間において、絶縁層1120上に設けられている。絶縁隔壁1180は、第2導電体1140の一部の領域を覆う絶縁層1120に接してもよい。つまり、絶縁隔壁1180は、第2導電体1140の上方に形成されてよい。
【0176】
メッキ電極層1170は、例えば、銅、ニッケル、クロムなどの金属である。メッキ電極層1170は、例えば数十μmの厚みのメッキによって形成される。
【0177】
本実施形態に係る半導体発光素子2000は、メッキ電極層1170が半導体構造物1110に接続する電気的配線として機能するとともに、物理的な支持機能を有する。例えば、第1電極1171は、第2半導体層1113及び活性層1112を貫通して形成されている第1導電体1130と電気的に結合されている。その結果、半導体発光素子2000は、活性層1112の面積を十分に確保することにより発光効率を向上することができるとともに、十分な強度及び大きさを有する電極を備えることができる。
【0178】
図10Aから図10Pは半導体発光素子2000の製造方法を示す図である。図10Aから図10Pにおいては、説明の便宜上、一つの発光素子を製造する工程を図示したが、複数個の発光素子をウェハー上に一体で形成した後に、それぞれの発光素子に切断することにより、単体の発光素子を製造してもよい。
【0179】
まず、図10Aに示すように、成長基板1100の表面に第1半導体層1111、活性層1112及び第2半導体層1113を順次結晶成長させて半導体構造物1110を形成する。
【0180】
第1半導体層1111、活性層1112及び第2半導体層1113は、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)を利用したエピタキシャル成長法等により形成することができる。具体的には、第1半導体層1111上に、Si、Ge、Snなどのn型の第1伝導型不純物がドープされたGaNまたはGaN/AlGaN層を有する活性層1112を形成する。
【0181】
活性層1112は、例えば、多重量子井戸(Multi-Quantum Well)構造のInGaN/GaN層として形成される。活性層1112は、一つの量子井戸層であってもよい。活性層1112は、ダブルヘテロ構造を有してもよい。第2半導体層1113は、例えば、Mg、Zn、Beと同じp型の第2伝導型不純物がドープされたGaN層またはGaN/AlGaN層により形成することができる。
【0182】
続いて、図10Bに示すように、第1導電体1130が形成される半導体構造物1110の領域を、第2半導体層1113及び活性層1112を貫通して第1半導体層1111に達する深さまでエッチングしてビアホール1110aを形成し、第1半導体層1111の一部を露出させる。ビアホール1110aは、例えば、内壁面が傾斜しているメサ形状を有する。ビアホール1110aは、内壁面が垂直な形状であってもよい。
【0183】
次に、ビアホール1110aを含む半導体構造物1110の上面全域に、公知の蒸着方法を利用して保護層1121を塗布する。例えば、保護層1121は、プラズマ化学蒸着法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PECVD)により、約106000Åの厚さにSiOを蒸着して形成することができる。半導体発光素子2000の製造工程においては、半導体構造物1110上に複数の第1導電体1130を形成してもよい。
【0184】
図10Cは、製造工程における半導体発光素子2000の電極パターンの一例を示す平面図である。半導体発光素子2000は、一例として、等間隔に配置された複数の第1導電体1130を有する。それぞれの第1導電体1130は、図10Bに示したビアホール1110aの底面をエッチングした領域に形成される。半導体発光素子2000は、それぞれの第1導電体1130に対応する複数のビアホール1110aを有する。
【0185】
複数の第1導電体1130のうちの少なくとも一部の第1導電体1130は、格子状に配置されていてもよい。また、少なくとも一部の第1導電体1130は、半導体発光素子2000の側面から第1導電体1130の直径以上の距離だけ離れた位置に配置されていてもよい。半導体発光素子2000は、複数の第1導電体1130を有することにより、効果的に電流を拡散することができる。
【0186】
図10Dは、図10Bの次の工程を示す。図10Dに示すように、保護層1121のうち、ビアホール1110aの底部に形成された部分をエッチングすることにより第1半導体層1111を露出させる。例えば、RIE法(Reactive Ion Etching)及びBOE法(Buffered Oxide Etching)により、保護層1121をエッチングすることができる。第1導電体1130は、ビアホール1110a内を満たすように形成されてもよい。
【0187】
続いて、第1半導体層1111が露出した領域に第1導電体1130を形成する。例えば、第1導電体1130は、Al/Ti/Pt層を200nm/11200nm/20nmの厚さで蒸着することにより形成することができる。
【0188】
次に、図10Eに示すように、第1導電体1130を囲む領域以外の保護層1121をエッチングすることにより、第2半導体層1113を露出させる。当該エッチングにおいては、RIE法及びBOE法を利用することができる。当該エッチングにおいては、少なくとも第2半導体層1113の表面の半分以上を露出させる。
【0189】
続いて、露出した第2半導体層1113上に第2導電体1140を形成する。第2導電体1140は、一例として、オーミック特性及び光反射特性を有する金属で形成されることにより、反射膜として機能する。第2導電体1140は、オーミック特性及び光反射特性をそれぞれ有する金属が順次積層した複数の層により形成することもできる。例えば、第2導電体1140は、Ni/Ag/Pt/Ti/Pt層をそれぞれ0.5nm/250nm/50nm/300nm/50nmの厚さで蒸着することにより形成される。
【0190】
図10Fは、第2導電体1140を形成した後の半導体発光素子2000の平面図である。第2導電体1140は、第1導電体1130の周囲を取り囲むように形成されている。第1導電体1130と第2導電体1140との間には、保護層1121が形成されている。当該平面において、保護層1121の面積は、第1導電対1130の面積より小さい。
【0191】
次に、図10Gに示すように、半導体構造物1110の上方に、予め定められた厚さの絶縁物質層1122を塗布する。例えば、絶縁物質層1122の厚さは、第1導電体1130と第2導電体1140との間で必要とされる絶縁耐圧の大きさに応じて定められる。絶縁物質層1122は、第1導電体1130、第2導電体1140及び保護層1121を含む全領域上に塗布される。絶縁物質層1122は、例えば、PECVD法を利用して約8000Åの厚さでSiOを蒸着して形成することができる。
【0192】
次に、図10Hに示すように、絶縁物質層1122の一部の領域をエッチングすることにより、第1導電体1130及び第2導電体1140を露出させる。複数の第1導電体1130を形成する場合には、すべての第1導電体1130を露出させる。これに対して、第2導電体1140は、予め定められた一部の領域を露出させる。第2導電体1140を露出させる面積は、第2導電体1140全体の半分以下である。その結果、第2導電体1140のうちの一部の領域上には絶縁物質層1122が形成された状態になる。露出した第1導電体1130及び露出した第2導電体1140の上方における、絶縁物質層1122を除去した領域には銅、ニッケル、クロム等の金属層1135及び金属層1145を充填してよい。
【0193】
図10Iは、絶縁物質層1122の一部の領域をエッチングした後の半導体発光素子2000の平面図である。図10Iが示すように、絶縁物質層1122の面積は、第1導電体1130及び第2導電体1140が露出する面積よりも大きい。また、第1導電体1130と第2導電体1140との間の距離は、第1導電体1130の直径又は第2導電体1140が露出している領域の辺の長さよりも大きい。このように、絶縁物質層1122の面積が十分に大きいことにより、第1導電体1130及び第2導電体1140の上方に、それぞれ第1電極1171及び第2電極1172を形成した場合に、第1電極1171と第2電極1172とを絶縁する絶縁隔壁1180を容易に形成することができる。
【0194】
次に、図10Jに示すように、第1導電体1130及び第2導電体1140上に、メッキ工程で用いるシード層1150を、第1電極領域1151及び第2電極領域1152に形成する。第1電極領域1151は、第1導電体1130の表面を含む領域である。半導体発光素子2000が複数の第1導電体1130を有する場合には、第1電極領域1151は、複数の第1導電体1130を含む領域である。第1電極領域1151には、第1電極1171が形成される。
【0195】
第2電極領域1152は、第2導電体1140の一部が露出した領域を含む領域である。第2電極領域1152には、第2電極1172が形成される。第1電極1171と第2電極1172が短絡することを防ぐべく、第1電極領域1151と第2電極領域1152との間には、第1電極1171及び第2電極1172間で必要とされる絶縁耐圧に応じて定められた距離が確保されている。
【0196】
図10Kは、第1電極領域1151と第2電極領域1152との関係を示す半導体発光素子2000の平面図である。図10Kが示すように、第1電極領域1151と第2電極領域1152との間には、境界領域が設けられ、絶縁層1120が露出している。境界領域に絶縁隔壁1180を形成することにより、第1電極1171と第2電極1172との間の絶縁耐圧を確保することができる。図10Kに示すように、第2電極領域1152は、発光素子のいずれかの辺に接して、且つ、当該辺より短い長さで形成される。絶縁隔壁1180は、発光素子の当該辺以外において、第2電極領域1152を囲んで形成される。
【0197】
図10Lは、境界領域にフォトレジスト1160を形成した状態を示す。図10Lに図示されるように、シード層1150の境界領域1150aにフォトレジスト1160を形成する。フォトレジスト1160は、シード層1150の表面に形成したレジストをパターニングして形成してよい。続いて、図10Mに示すように、第1電極領域1151及び第2電極領域1152のそれぞれにおいて、公知のメッキ法により、フォトレジスト1160の両側に第1電極1171及び第2電極1172を形成する。第1電極1171及び第2電極1172は、銀、ニッケル、クロムなどの金属により数十μmの厚さで形成することができる。
【0198】
次に、図10Nに示すようにフォトレジスト1160を除去して、第1電極1171及び第2電極1172の間の開口1170aを形成する。続いて、図10Oに示すように、フォトレジスト1160が設けられていた開口1170aに絶縁物質を満たして絶縁隔壁1180を形成する。絶縁隔壁1180を形成した後、CMP法(Chemical Mechanical Polishing)のような研磨法により、メッキ電極層1170の表面を平坦化させることができる。最後に、図10Pに示すように、結晶成長の基礎になった成長基板1100をレーザーリフトオフ等の方法により除去する。
【0199】
本実施形態に係る半導体発光素子2000は、メッキ法によりメッキ電極層1170を形成するので、発光素子のほかに電極を形成する電極基板を準備する必要がなく、半導体構造物1110を電極基板に接合する必要もない。したがって、本実施形態に係る発光素子の製造方法は、コストが低く、大量生産及び大面積化に適している。
【0200】
また、第1電極1171及び第2電極1172を半導体構造物1110の片方の面に形成するので、フリップチップ工程においてチップレベルでパッケージングすることができる。さらに、第1電極1171及び第2電極1172は熱伝導度が良好な金属で形成されるので、半導体発光素子2000は、放熱効率が高く、長時間動作をさせることができるとともに、高い信頼性を有する。
【0201】
図11Aから図11Eは、図8Aに示した半導体発光素子1000の製造方法を示す。半導体発光素子1000の製造方法においては、半導体発光素子2000の製造方法における図10Aから図10Eまでの工程の後に、図11Aに示すように、導電性基板1270に、第1ビアホール1270a及び第2ビアホール1270bを形成する。第1ビアホール1270a及び第2ビアホール1270bは、導電性基板1270を貫通する。続いて、第1ビアホール1270aと第2ビアホール1270bのそれぞれに銅、ニッケル、クロム等の金属を充填することにより、第1電極1271及び第2電極1272を形成する。
【0202】
第1ビアホール1270a及び第2ビアホール1270bの位置は、それぞれ第1導電体1130及び第2導電体1140の位置に対応する。導電性基板1270が第1導電体1130及び第2導電体1140の上方に重ね合わされた場合に、第1ビアホール1270aは第1導電体1130の少なくとも一部の領域の上方に位置し、第2ビアホール1270bは第2導電体1140の少なくとも一部の領域の上方に位置する。
【0203】
次に、図11Bに示すように、絶縁層1120をエッチングすることにより、第1導電体1130及び第2導電体1140を露出させる。続いて、導電性基板1270の上側に導電性接合層1260を塗布した後、第1導電体1130、第2導電体1140及び絶縁層1120に予め定められた温度と圧力を加えて導電性基板1270を接合させる。例えば、導電性接合層1260に300℃以上の温度及び予め定められた圧力を加えて、導電性接合層1260に導電性基板1270を接合する。
【0204】
導電性基板1270は、半導体発光素子1000の支持層として機能する。導電性基板1270は、接合するときに300℃以上の温度が加えられるので、熱膨張係数が成長基板1100の熱膨張係数と類似する基板を用いることが望ましい。導電性基板1270は、例えば、Si基板、GaAs基板又はGe基板である。
【0205】
次に、図11Cに示すように、導電性基板1270及び導電性接合層1260をエッチングすることにより、開口1280を形成する。開口1280は、機械的加工、超音波加工、レーザー加工、サンドブラスティング、又は、乾式エッチングなどの多様な方法、又は、これらの方法を組み合わせることにより形成することができる。開口1280は、第1導電体1130と第2導電体1140との間に形成された絶縁層1120が露出するまで、導電性基板1270及び導電性接合層1260を貫通することにより形成される。開口1280は、導電性基板1270を第1電極1271側の領域と第2電極1272側の領域とに分離するように形成される。
【0206】
次に、図11Dに示すように、開口1280に、スパッタリング又は化学気相蒸着法(CVD法)などの方法を用いて絶縁物質を満たして絶縁隔壁1281を形成する。絶縁物質としては、広く知られたポリマー系材料を使用することができる。
【0207】
次に、図11Eに示すように、半導体構造物1110から成長基板1100を除去する。半導体構造物1110の表面1110cから光が放出されるので、成長基板1100を除去することにより、光取り出し効率が向上する。また、半導体構造物1110の表面1110cに表面凹凸構造を形成することにより、光取り出し効率を上げることもできる。
【0208】
図12は、他の実施形態による半導体発光素子2500の概略的な断面図である。図12を参照すれば、本実施形態の半導体発光素子2500は、半導体構造物1110と、半導体構造物1110の一面1110bに設けられた電極構造物とを備える。半導体発光素子2500は、図9から図10Pに関連して説明した半導体発光素子2000の構成に対して、第3金属層1193および第4金属層1194を更に備える。他の構成は、半導体発光素子2000と同一であってよい。
【0209】
半導体構造物1110は、所定の成長基板1100(図13A)上に結晶成長して形成された第1半導体層1111、活性層1112及び第2半導体層1113を備える。結晶成長の基礎となった成長基板1100は、後述するように除去される。
【0210】
電極構造物は、第2半導体層1113側に設けられた第1導電体1130、第2導電体1140、第1金属層1191、第2金属層1192、第3金属層1193、第4金属層1194、第1電極1171及び第2導電体1140を備える。第1金属層1191および第2金属層1192は、図10Jに関連して説明した第1電極領域1151および第2電極領域1152に対応する。
【0211】
第1導電体1130は、第2半導体層1113及び活性層1112を貫通して、第1半導体層1111に達するコンタクトホール1110aを介して、第1半導体層1111に電気的に結合される。コンタクトホール1110aは、側壁が積層方向に対して傾斜したメサ形状又は側壁が積層方向に対して垂直な形状にエッチングされて形成される。コンタクトホール1110aは、複数個設けられる。複数の第1導電体1130が形成されて、電流拡散を効果的に具現できる。
【0212】
第2導電体1140は、第2半導体層1113上に設けられて、第2半導体層1113に電気的に結合される。第2導電体1140は、第2半導体層1113におけるコンタクトホール1110aが形成されていない領域に設けられる。
【0213】
絶縁層1120は、半導体構造物1110から、第1導電体1130及び第2導電体1140を絶縁する。絶縁層1120は、活性層1112、第2半導体層1113及び第2導電体1140から第1導電体1130を絶縁する。絶縁層1120は、半導体構造物1110の上面で、第1導電体1130が位置した領域及び第2導電体1140が位置した領域の一部を除いた残りの領域に塗布されている。
【0214】
絶縁層1120上には、第1導電体1130及び第2導電体1140とそれぞれ結合される第1金属層1191及び第2金属層1192が形成される。第1金属層1191は、複数の第1導電体1130と結合されるように形成され、第2導電体1140の一部の領域にのみ形成される第2金属層1192よりも面積が大きい。半導体発光素子2500の大きさによって異なるが、第1金属層1191の面積は、第2金属層1192の面積より3倍以上であることが望ましい。
【0215】
第3金属層1193は、第1金属層1191と電気的に結合している。例えば、第3金属層1193は、第1金属層1191の一部の領域に設けられている。第4金属層1194は、第2金属層1192と電気的に結合している。例えば、第4金属層1194は、第2金属層1192の全面を覆うように設けられている。第3金属層1193の面積は、第1金属層1191の面積よりも小さい。第4金属層1194の面積は、第2金属層1192の面積と略等しくてよく、大きくてもよい。
【0216】
絶縁層1196は、第1金属層1191と第2金属層1192との間の空間、及び第3金属層1193と第4金属層1194との間の空間を満たして、第1金属層1191と第2金属層1192との間を絶縁する。絶縁層1196は、第3金属層1193と第4金属層1194との間も絶縁する。
【0217】
絶縁層1196上には、絶縁隔壁1180が形成されている。絶縁隔壁1180の両側には、それぞれ第3金属層1193及び第4金属層1194と結合された第1シード層1150−1と第2シード層1150−2とが形成されている。第1シード層1150−1及び第2シード層1150−2上には、それぞれ第1電極1171と第2電極1172とが形成されている。第1電極1171及び第2電極1172は、例えば、メッキ工程で形成される。
【0218】
第1電極1171及び第2電極1172のメッキ厚さは、15μm以上500μm以下が好ましい。第1電極1171及び第2電極1172は、Al、Ti、Pt、Ag、Ni、TiN、Au、Sn及びそれらの混合物のうち少なくとも一つを含む。第1電極1171及び第2電極1172の厚みが15μmより小さいと、半導体構造物1110を支持する強度が不足する。第1電極1171及び第2電極1172の厚みが500μmより大きいと、メッキ工程時間が長くなり、製造コストが上昇するという問題がある。
【0219】
絶縁隔壁1180の幅(第1電極1171と第2電極1172との間隔)は、約1μm以上500μm以下が好ましい。絶縁隔壁1180の幅が1μm以下の場合には、第1電極1171及び第2電極1172間に絶縁隔壁1180を形成することが困難である。絶縁隔壁1180の幅が500μm以上の場合には、第1電極1171及び第2電極1172の大きさが相対的に小さくなるので、半導体発光素子2500で発生する熱を効果的に放出することができない。その結果、半導体発光素子2500の温度が上昇して、半導体発光素子2500の輝度が低下する。
【0220】
本実施形態の半導体発光素子2500は、第1導電体1130と第1シード層1150−1との間、及び、第2導電体1140と第2シード層1150−2との間に、第1金属層1191、第2金属層1192、第3金属層1193、第4金属層1194及び絶縁層1196を形成することによって、第2電極1172の面積を大きくすることができる。したがって、半導体発光素子2500は、コンタクトが形成された基板におけるコンタクトの位置に応じた面積の第1電極1171及び第2電極1172を有することができる。
【0221】
次に、他の実施形態による半導体発光素子2500の製造方法を説明する。図13Aないし図13Gは、本発明のさらに他の実施形態による半導体発光素子の製造方法を説明するために順次に示す工程断面図であり、図10Hに続く工程である。図14Aないし図14Cは、本発明の一実施形態による半導体発光素子の製造工程の段階で、電極パターンの一例を示す平面図である。
【0222】
図13Aを参照すれば、第1導電体1130及び第2導電体1140上に金属層(図示せず)を形成した後、金属層をパターニングして、第1導電体1130及び第2導電体1140とそれぞれ結合された第1金属層1191及び第2金属層1192を形成する。
【0223】
図14Aを参照すれば、第1金属層1191は、複数の第1導電体1130と結合されるので、面積が広く、第2金属層1192は、第2導電体1140の一部の領域にのみ形成される。第1金属層1191及び第2金属層1192の形成は、先工程である図10Hの工程における金属層1135及び金属層1145の形成と共に行ってもよい。続いて、絶縁層1120上に、第1金属層1191及び第2金属層1192を覆う絶縁層1196を形成する。次いで、絶縁層1196をパターニングして、第1金属層1191及び第2金属層1192をそれぞれ露出する。
【0224】
次に、図13Bに示すように、第1金属層1191及び第2金属層1192における露出された領域に、それぞれ第1金属層1191及び第2金属層1192と結合されるように、第3金属層1193及び第4金属層1194を形成する。図14A及び図14Bを共に参照すれば、第3金属層1193は、第1金属層1191の領域より狭く形成され、第4金属層1194は、第2金属層1192の領域の0.5倍以上3倍以下の面積を占めるように形成する。第3金属層1193および第4金属層1194は、半導体発光素子2500の上面を2分した領域の一方ずつに設けられる。つまり、第3金属層1193の面積は、半導体発光素子2500の上面面積の半分より小さい。また、第4金属層1194は、第3金属層1193より小さい。絶縁層1196は、第3金属層1193および第4金属層1194が設けられる領域以外の、半導体発光素子2500の上面全体を覆う。
【0225】
図13Cを参照すれば、絶縁層1196上に、第3金属層1193及び第4金属層1194を覆うメッキのためのシード層1150を形成する。次いで、シード層1150上に、シード層1150を二つに分けるフォトレジスト1160を形成する。図14Cを参照すれば、フォトレジスト1160により分けられる第1領域A1と第2領域A2とは、それぞれ第3金属層1193及び第4金属層1194が設けられる領域である。第2領域A2は、第4金属層1194の1倍以上5倍以下の面積で形成される。第1領域A1および第2領域A2は、同一の面積であってよい。
【0226】
図13Dを参照すれば、フォトレジスト1160を挟んで、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれに、第1電極1171と第2電極1172とをメッキ工程で形成する。第1電極1171と第2電極1172とは、銅、ニッケル、クロムなどの金属で15μm以上500μm以下の厚さに形成できる。
【0227】
図13Eを参照すれば、フォトレジスト1160を除去して、第1電極1171と第2電極1172との間の空間1170aを確保する。空間1170aの幅(第1電極1171と第2電極1172との間隔)は、約1μm以上500μm以下が好ましい。空間1170aの幅が1μm以下であれば、両側の第1電極1171と第2電極1172との間の絶縁不良が発生しうる。空間1170aの幅が500μm以上であれば、第1電極1171及び第2電極1172が占める面積が相対的に小さくなって、半導体発光素子2500で発生する熱が効果的に放出されず、半導体発光素子2500の温度が上昇するので、半導体発光素子2500の輝度が低下する。
【0228】
図13Fを参照すれば、フォトレジスト1160があった空間1170aに露出されたシード層1150をエッチングして、第1シード層1150−1と第2シード層1150−2とに分離する。次いで、空間1170aと、第1シード層1150−1及び第2シード層1150−2のエッチングされた領域とを満たして、絶縁隔壁1180を形成する。絶縁隔壁1180を形成した後、CMPのような工程を通じて、第1電極1171と第2電極1172との表面を平坦化させることができる。
【0229】
図13Gを参照すれば、結晶成長の基礎となった成長基板1100を、レーザーリフトオフ工程などを通じて除去する。上記の実施形態によれば、前述したようにメッキ工程で電極パッドを形成でき、電極パッドの形成領域を容易に設計できるので、製造された半導体発光素子2500を他のコンタクトが形成された基板に容易に設置できる。
【0230】
図15は、本発明の他の実施形態に係る照明装置800の概略断面図である。照明装置800は、半導体発光素子100、バルブ810、端子820、配線830及び基板840を備える。基板840は、複数の半導体発光素子100と複数の端子820とを接続する複数のスルーホール850を有する。なお、半導体発光素子100に代えて、図8Aから図14Cに関連して説明したいずれかの半導体発光素子を有してもよい。
【0231】
照明装置800は、配線830、端子820及びスルーホール850を介して、商用電源から取得した電力を半導体発光素子100に供給する。半導体発光素子100は、電力の供給を受けてバルブ810に向けて発光する。
【0232】
基板840は、半導体発光素子100が設けられた面と同一の面上に、半導体発光素子100に流れる電流を調整する抵抗などの半導体発光素子100を駆動する回路を有してもよい。半導体発光素子100は、複数の電極が下面に露出しているので、半導体発光素子100を駆動する回路及び半導体発光素子100を容易にプリント基板の同一面に実装することができる。
【0233】
図16は、本発明の他の実施形態に係るバックライト900の構成例を示す。バックライト900は、複数の半導体発光素子100が1次元または2次元に配列されたデバイスアレイ920と、導光板910とを備える。なお、半導体発光素子100に代えて、図8Aから図14Cに関連して説明したいずれかの半導体発光素子を有してもよい。また、バックライト900は、導光板910の光射出面に対向する位置に設けられた、拡散シートおよびレンズシート等の光学シートを更に備えてよい。
【0234】
デバイスアレイ920は、導光板910の各長辺に対向して設けられてよい。それぞれの半導体発光素子100は、導光板910の側面から、導光板910の内部に光を射出する。導光板910は、入射された光を、所定の光射出面から射出する。また、デバイスアレイ920は、導光板910の光射出面とは逆側の面に対向して設けられてよい。つまり、バックライト900は、直下型であってもよい。当該バックライトは、テレビ等の液晶モニタ、携帯電話の液晶画面等に用いることができる。
【0235】
なお、図1Aに関連して説明した半導体発光素子100は、更に多様な用途に用いることができる。例えば半導体発光素子100は、自動二輪車、自動四輪車のヘッドライトの光源として使用することもできる。この場合、ヘッドライトは、1または複数の半導体発光素子100と、半導体発光素子100の射出光を車外に照射するレンズとを有する。
【0236】
また、半導体発光素子100は、蛍光灯の光源として使用することもできる。この場合、蛍光灯は、一次元に配列された複数の半導体発光素子100と、複数の半導体発光素子100を格納し、半導体発光素子100の射出光を外部に照射するチューブとを有する。
【0237】
また、半導体発光素子100は、情報表示装置の画素として使用することもできる。この場合、情報表示装置は、二次元に配列された複数の半導体発光素子100と、それぞれの半導体発光素子100を駆動する駆動回路とを有する。複数の半導体発光素子100には、緑色光、青色光または赤色光をそれぞれ射出する複数種類のデバイスが含まれてよい。
【0238】
また、半導体発光素子100は、信号機の光源として使用することもできる。信号機は、それぞれ異なる色を射出する少なくとも2種類の半導体発光素子100と、それぞれの半導体発光素子100を駆動する駆動回路とを有する。信号機は、色ごとに半導体発光素子100を複数有してよい。
【0239】
また、半導体発光素子100は、電気機器の動作状態を示す表示灯の光源として使用することもできる。表示灯は、例えばテレビまたはノートパソコンの電源の状態等を示す表示灯であって、半導体発光素子100と、半導体発光素子100を駆動する駆動回路とを有する。
【0240】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0241】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0242】
100 半導体発光素子、102 サファイア基板、110 半導体構造物、111 第1半導体層、112 活性層、113 第2半導体層、120 第2電極層、130 絶縁層、140 第1電極層、150 非導電性基板、151 第1貫通ホール、152 第2貫通ホール、153 第1コンタクト、154 第2コンタクト、156 絶縁層、180 コンタクトホール、202 基板、210 半導体構造物、210a コンタクトホール、211 第1半導体層、212 活性層、213 第2半導体層、220 絶縁層、221 絶縁層、222 絶縁層、223 絶縁層、230 第1電極層、230a 上面、231 コンタクト層、240 第2電極層、250 非導電性基板、250a 底面、251 第1貫通ホール、252 第2貫通ホール、253 第1コンタクト、254 第2コンタクト、256 絶縁層、441 貫通ホール、442 絶縁層、443 コンタクト、450 導電性基板、451 第1貫通ホール、452 第2貫通ホール、453 第1コンタクト、454 第2コンタクト、460 絶縁層、500 半導体発光素子、510 半導体構造物、511 第1半導体層、512 活性層、513 第2半導体層、520 第2電極層、530 絶縁層、534 絶縁層、540 第1電極層、551 第1電極パッド、552 第2電極パッド、554 空間、560 基板、561 第1貫通ホール、562 第2貫通ホール、563 第1コンタクト、564 第2コンタクト、570 絶縁層、580 コンタクトホール、630 第1電極層、632 フォトレジスト、634 絶縁層、651 第1電極パッド、652 第2電極パッド、654 空間、660 基板、661 第1貫通ホール、662 第2貫通ホール、663 第1コンタクト、664 第2コンタクト、670 絶縁層、702 基板、710 半導体構造物、710a コンタクトホール、711 第1半導体層、712 活性層、713 第2半導体層、721 絶縁層、730 第1電極層、740 第2電極層、800 照明装置、810 バルブ、820 端子、830 配線、840 基板、850 スルーホール、900 バックライト、910 導光板、920 デバイスアレイ、1000 半導体発光素子、1010 プリント基板、1030 導電性接合部、1040 導電性接合部、1050 金属配線、1060 金属配線、1100 成長基板、1110 半導体構造物、1110a ビアホール、1110c 発光面、1111 第1半導体層、1112 活性層、1113 第2半導体層、1120 絶縁層、1121 保護層、1122 絶縁物質層、1130 第1導電体、1135 金属層、1140 第2導電体、1145 金属層、1150 シード層、1151 第1電極領域、1152 第2電極領域、1160 フォトレジスト、1170 メッキ電極層、1170a 開口、1171 第1電極、1172 第2電極、1180 絶縁隔壁、1191 第1金属層、1192 第2金属層、1193 第3金属層、1194 第4金属層、1196 絶縁層、1270 導電性基板、1270a ビアホール、1270b ビアホール、1271 第1電極、1272 第2電極、1260 導電性接合層、1280 開口、1281 絶縁隔壁、2000 半導体発光素子、2500 半導体発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に順次に積層された第1電極層、第1絶縁層、第2電極層、第2半導体層、活性層及び第1半導体層と、
前記基板を貫通して、前記第1電極層と電気的に接続する第1コンタクトと、
前記基板、前記第1電極層及び前記第1絶縁層を貫通して、前記第2電極層と電気的に接続する第2コンタクトと、
を備え、
前記第2電極層、前記第2半導体層及び前記活性層を貫通するコンタクトホールが形成され、
前記第1電極層は、前記コンタクトホールを介して、前記第1半導体層と電気的に連結される半導体発光素子。
【請求項2】
前記第2コンタクトと前記第1電極層とを絶縁する絶縁層を更に備え、
前記第1絶縁層は、前記コンタクトホールの内部と、前記第2電極層、前記第2半導体層及び前記活性層とを更に絶縁する
請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記コンタクトホールを複数備え、
前記第1電極層は、前記基板の上面全体に渡って形成され、
前記第2電極層は、前記第1絶縁層の上面全体に渡って形成される
請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記コンタクトホールの内部において、前記第1半導体層及び前記第1電極層を電気的に接続する、前記コンタクトホールの底面よりも直径の小さい柱状のコンタクト層を更に備え、
前記コンタクト層および前記コンタクトホールの側壁の間に絶縁材料が充填される
請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記コンタクトホールは、前記第1半導体層側の開口の直径が、前記第1電極層側の直径よりも小さいテーパー形状を有する
請求項4に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第1電極層は、前記コンタクト層と接続する接続部分を有し、
前記コンタクト層および前記接続部分の境界において、前記コンタクト層の直径は、前記接続部分の直径よりも小さい
請求項5に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記第2コンタクトは、前記第1電極層および前記基板の間に延伸する
請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記第2電極層は、前記活性層から発生した光を反射させる反射層であることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記第2電極層は、Ag、Al、Pt、Ni、Pd、Ti、Au、Ir、W、Sn、それらの酸化物またはそれらの混合物で構成されたグループから選択された少なくともいずれか一つの物質で形成されていることを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記基板は、アルミナ、窒化アルミニウム、サファイア及びポリマーのうちのいずれか一つの物質で形成された非導電性基板であることを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記基板は導電性基板であり、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトが形成された貫通ホールの内周面に第3絶縁層が形成されたことを特徴とする請求項3から10のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記基板は、Si、Ge及びAl含有Siから選択されたいずれか一つを含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
【請求項13】
前記コンタクトホールは、前記第1電極層の上面全体に渡って、一定間隔で形成される
請求項3から12のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項14】
第1半導体層、活性層、第2半導体層を順次に形成するステップと、
前記第2半導体層および前記活性層を貫通し、前記第1半導体層を露出させるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに、前記第1半導体層と連結されるように、コンタクト層を形成するステップと、
前記第2半導体層上に、前記コンタクトホールを取り囲み、且つ、前記コンタクト層と絶縁された第2電極層を形成するステップと、
前記第2電極層上に、第1絶縁層を形成するステップと、
前記第1絶縁層を貫通する部分を有し、前記コンタクト層と連結された第1電極層を形成するステップと、
基板を前記第1電極層上に接合するステップと
を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項15】
前記コンタクト層を形成するステップにおいて、複数の前記コンタクトホールおよび前記コンタクト層を形成し、
前記第2電極層を形成するステップにおいて、前記第2半導体層の上面全体に渡って前記第2電極層を形成し、
前記第1電極層を形成するステップにおいて、前記第1絶縁層の上面全体に渡って前記第1電極層を形成する
請求項14に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記コンタクトホールの形成ステップは、
前記コンタクトホールの内面に第2絶縁層を形成するステップと、
前記コンタクトホールの底部の前記第2絶縁層をエッチングして、前記第1半導体層を露出させるステップと、をさらに含み、
前記コンタクト層の形成ステップは、前記露出された第1半導体層上に、前記コンタクト層を形成するステップであることを特徴とする請求項15に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記第2電極層を形成するステップは、
前記第2半導体層上に第3絶縁層を形成するステップと、
前記コンタクトホール以外の領域における前記第3絶縁層を除去して、前記第2半導体層を露出させるステップと、
前記露出された第2半導体層上に、前記第2電極層を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項16に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1電極層の形成ステップは、
前記コンタクト層を露出させるように、前記第1絶縁層をエッチングするステップと、
露出された前記コンタクト層を覆うように、前記第1電極層を形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項19】
前記基板の露出面から前記第1電極層と連結される第1貫通ホール、及び前記第2電極層と連結される第2貫通ホールを形成するステップと、
前記第1貫通ホールと前記第2貫通ホールに、前記第1電極層と前記第2電極層とにそれぞれ連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項15から18のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記基板を前記第1電極層上に接合するステップの前に、
前記基板に、前記第1電極層と連結される第1貫通ホール、及び前記第2電極層と連結される第2貫通ホールを形成するステップと、
前記第1貫通ホールと前記第2貫通ホールとをそれぞれメタルで満たして、前記第1電極層と前記第2電極層とにそれぞれ連結される第1コンタクト及び第2コンタクトを形成するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項15から18のいずれか一項に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記第2貫通ホールを形成するステップは、
前記第2貫通ホールの内周に第4絶縁層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19または20に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項22】
請求項1から13のいずれか一項に記載の複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が実装された回路基板と、
前記回路基板を介して前記半導体発光素子に電力を供給する配線部と
を備える照明装置。
【請求項23】
請求項1から13のいずれか一項に記載の複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子が照射する光が内部に入射され、当該光を光射出面から出射する導光板と
を備えるバックライト。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図10K】
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【図10L】
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【図10M】
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【図10N】
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【図10O】
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【図10P】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−19217(P2012−19217A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151784(P2011−151784)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(509156538)サムソン エルイーディー カンパニーリミテッド. (114)
【Fターム(参考)】