説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】半導体素子を有する構造体を複数積層して形成される半導体装置において、上層の構造体を形成する工程で用いられるレーザーによって、下層の構造体に熱負荷が生じることを防ぐ技術を提供する。
【解決手段】積層された複数のメモリマトリクスにより構成される相変化メモリにおいて、下層のメモリマトリクスと、下層のメモリマトリクス上に形成された上層のメモリマトリクスとの間に金属膜19を配置する。これにより、上層のメモリマトリクスを形成する際に用いられるレーザーを金属膜19により反射させることで、レーザーが金属膜19を透過することを防ぎ、下層のメモリマトリクス内の相変化材料層16などが直接レーザーによって加熱されることを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、半導体素子を含む層を積層した構造を有する半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ロジック回路または不揮発性メモリなどを有する半導体装置の製造工程において、製造工程中の半導体装置を加熱する際、従来用いられてきたランプ式などの加熱方式に替えて、レーザーを用いた加熱方式が盛んに用いられている。レーザーアニールは短時間で高温の熱処理を施すことが可能であり、加熱対象の領域以外の領域を長時間高温に曝すことを防ぐことができるため、半導体装置が熱により受けるダメージを低減し、素子の信頼性を高めることができるなどの利点がある。
【0003】
レーザーアニールは、例えば、カルコゲナイド(chalcogenide)のような相変化材料を用いた相変化メモリ(Phase-change Random Access Memory:PRAM)の製造工程において、非結晶状態のアモルファスシリコン膜を熱処理によって結晶化し、前記アモルファスシリコン膜からなるポリシリコン膜を形成する工程で用いられる。また、レーザーアニールは不純物拡散層内の不純物を活性化させる工程においても用いられる。ここで、ランプ式の熱処理ではなくレーザーアニールを用いているのは、相変化メモリ内の熱処理を必要とする領域以外の領域が熱により負荷を受ける事を防ぐためである。
【0004】
相変化メモリは、相変化材料がアモルファス状態と結晶状態とで電気抵抗が数桁違う特性を利用し、金属電極に挟まれた相変化材料層に電流を流すことで電気的に書き換えを行うメモリ素子である。相変化メモリの基本的なメモリセルの構造は、記憶素子(相変化材料層)と選択素子とを組み合わせた構造である。
【0005】
また、相変化メモリは、不揮発性でありながら、書込み・読出しの動作がDRAM(Dynamic Random Access Memory)と同程度に高速であると予想され、かつセル面積をフラッシュメモリと同程度に縮小可能であることから、次世代不揮発性メモリとして有力視されている。
【0006】
特許文献1(特開2003−100085号公報)には、選択素子としてダイオードを有する相変化メモリが開示されている。
【0007】
また、抵抗変化型素子を利用した不揮発性メモリを高集積化する方法として、所定のメモリセルを選択する選択素子であるトランジスタと抵抗変化型素子とを並列に接続したメモリセルを直列に複数個接続するメモリアレイが特許文献2(特開2004−272975号公報)に開示されている。また、抵抗変化型メモリセルは特許文献3(特開2005−260014号公報)に開示されているように多層積層することで、大容量化を推進することも可能である。
【0008】
また、特許文献4(特開2005−136213号公報)には、レーザーアニールで形成したTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子の異常動作を抑制し、また、短時間で基板と素子とを剥離できる技術が開示されている。この技術は、複数の空隙を有する多孔質の酸化シリコン膜からなる断熱膜を、ガラス基板とガラス基板上のTFT素子との間に設け、TFT素子を構成する非結晶半導体層をエキシマレーザにより長時間高温でアニールして結晶化することで、キャリア移動度が大きい素子を形成するものである。特許文献4では、前述した結晶化アニールの工程の後に前記断熱膜を除去することで、TFT素子が動作時の熱によって異常動作を起こすことを防ぐことができるとしている。ただし、ここでの断熱膜は高温を保持する目的で配置された酸化シリコン膜であり、断熱膜の下層がレーザーよって加熱されることを防ぐためのものではない。また、特許文献4に示された技術はガラス基板などの上の薄膜トランジスタに適用されるものであり、不揮発性メモリまたはロジック回路などに適用する旨の記載はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−100085号公報
【特許文献2】特開2004−272975号公報
【特許文献3】特開2005−260014号公報
【特許文献4】特開2005−136213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
加工ルール32nm世代以降、フラッシュメモリに代わるデータストレージ用メモリが必要となる。データストレージ用メモリの最重要課題である低コスト化は、特許文献3に記載されているように、メモリの3次元化により実現できる。すなわち、メモリを積層することにより、メモリの低コスト化および大容量化を実現できる。
【0011】
また、相変化メモリの選択素子にはトランジスタを用いることもできるが、ダイオードを選択素子として用い、ダイオードと相変化材料層の直列構造をクロスポイント型に配列したメモリアレイがセルの微細化の観点から最も有望である。
【0012】
例えば、選択素子であるダイオードはポリシリコン膜からなることが好ましく、このポリシリコン膜を形成する工程では、アモルファスシリコン膜を熱処理することにより結晶化してポリシリコン膜を形成する方法が考えられる。この際、相変化メモリの熱負荷を低減する目的で、レーザーアニールを用いて熱処理を行う方法が考えられる。
【0013】
レーザーアニールは短時間で高温の熱処理を行うことが可能であるが、熱処理を行う層を透過したレーザーが、すでに形成された、熱に弱い下層の素子を加熱してダメージを与えてしまう問題がある。
【0014】
特に、メモリセルアレイが積層された相変化メモリの場合、抵抗可変素子である相変化材料層はアモルファスシリコンの結晶化温度のような高温下では融解または昇華してしまうため、相変化メモリが正常に動作しなくなる虞がある。
【0015】
また、相変化メモリに限らず、例えばCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの素子が積層された積層構造を有する半導体装置の場合、CMISFETを構成するhigh−k絶縁膜またはシリサイド層などは、アモルファスシリコンの結晶化温度またはソース・ドレイン領域である不純物拡散層の活性化温度のような高温に曝された場合に特性が劣化する可能性がある。従って、積層構造を有する半導体装置の上層のCMISFETを形成する工程においてレーザーアニールを行う際、下層のCMISFETを構成するhigh−k絶縁膜またはシリサイド層に直接レーザーが当たると、高温によりhigh−k絶縁膜またはシリサイド層の特性が変化し、半導体装置が正常に作動しなくなる虞がある。
【0016】
本発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上することにある。特に、半導体素子を有する構造体を複数層積層して構成される半導体装置の製造工程において、レーザーによる半導体素子への熱負荷を低減する。
【0017】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0019】
本願の一発明による半導体装置は、
半導体基板の第1領域に形成された第1半導体素子を有する第1構造体と、
前記第1構造体上に、前記第1半導体素子と絶縁されて形成された金属膜と、
前記金属膜上に、前記金属膜と絶縁されて形成された第2半導体素子を有する第2構造体と、
前記半導体基板の第2領域に形成され、前記金属膜と絶縁された第3半導体素子を有する第3構造体と、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子と前記第3構造体とをそれぞれ電気的に接続する第1接続部材および第2接続部材と、
を有し、
前記金属膜は前記第1接続部材および前記第2接続部材よりも低い熱伝導度を有しているものである。
【0020】
また、本願の一発明による半導体装置の製造方法は、
(a)半導体基板上に、第1半導体素子を有する第1構造体を形成する工程と、
(b)前記第1構造体上に、前記第1半導体素子と平面的に重なるように前記第1半導体素子と絶縁された第1金属膜を形成する工程と、
(c)前記第1金属膜上に、前記第1金属膜と絶縁された第2半導体素子を有する第2構造体を形成する工程と、
を有し、
前記(c)工程では、前記第2半導体素子を形成する際にレーザーにより熱処理を行うものである。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0022】
本発明によれば、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1である相変化メモリの平面図である。
【図2】図1のA−A線における要部断面図である。
【図3】図1のB−B線における要部断面図である。
【図4】図1のC−C線における要部断面図である。
【図5】図1のD−D線における要部断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1である相変化メモリの俯瞰図である。
【図7】本発明の実施の形態1である相変化メモリの動作を説明する等価回路図である。
【図8】本発明の実施の形態1である相変化メモリの製造方法を示す要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造方法を説明する俯瞰図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造方法を説明する俯瞰図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造方法を説明する俯瞰図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図20】例として示す半導体装置の要部断面図である。
【図21】TiN膜形成時のプラズマ励起のためのRFパワーとTiN膜の抵抗値との関係を表わすグラフである。
【図22】レーザーアニール工程における上層メモリセルおよび下層メモリセルの温度の関係を表わすグラフである。
【図23】本発明の実施の形態2である相変化メモリの平面図である。
【図24】図23のE−E線における要部断面図である。
【図25】図23のF−F線における要部断面図である。
【図26】本発明の実施の形態2である相変化メモリの一部を示す要部断面図である。
【図27】本発明の実施の形態2であるメモリセルブロックの等価回路図である。
【図28】本発明の実施の形態2である相変化メモリの製造方法を示す要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図32】図31のF−F線における要部断面図である。
【図33】図31に続く半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図34】図33のF−F線における要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図38】図37のE−E線における要部断面図である。
【図39】図37のF−F線における要部断面図である。
【図40】図37に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図41】本発明の実施の形態3である半導体装置の要部断面図である。
【図42】本発明の実施の形態3であるCMISの製造方法を示す要部断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図47】図46に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図48】図47に続く半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0025】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするために部分的にハッチングを省略する場合がある。
【0026】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするために部分的にハッチングを付す場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、自己整列した複数のメモリセルをビットラインとワードラインとの交点に垂直に配置形成するクロスポイント型のメモリマトリクスを有し、選択素子としてダイオードを有し、記憶素子として相変化メモリを有する半導体装置について説明する。
【0028】
まず、本実施の形態における相変化メモリの断面図の一部を図1〜図6に示す。図1は本実施の形態の相変化メモリの平面図であり、第1方向にストライプ状に複数延在するワード線11の上層に、第1方向に直交する第2方向にストライプ状に複数延在するビット線18が形成されている構造を示している。なお、図1では図を分かりやすくするために、ワード線11およびビット線18のみを示している。図2、図3、図4および図5はそれぞれ、図1のA−A線、B−B線、C−C線およびD−D線における要部断面図である。図6は、図1〜図5に示す相変化メモリのメモリアレイを示す俯瞰図である。
【0029】
図2〜図5に示すように、半導体基板1上にはゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極GATEが形成され、半導体基板1の上面にはゲート電極GATEの下部の半導体基板1を挟むように一対の拡散層DIFが形成されており、拡散層DIFおよびゲート電極GATEは、ワード線11、21、31および41またはビット線18、28、38および48を選択する電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)STを構成している。半導体基板1の上面には拡散層DIFに接して素子分離層2が形成されており、半導体基板1上にはゲート電極GATEおよび素子分離層2を覆うように層間絶縁膜IF1が形成され、図2に示すように、層間絶縁膜IF1上には層間絶縁膜ILD1、IF1a、IF1b、ILD2、IF2a、IF2b、ILD3、IF3a、IF3b、ILD4およびIF4aが半導体基板1側から順に形成されている。
【0030】
層間絶縁膜IF1上には、ワード線11、p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17が順に積層された積層構造が層間絶縁膜ILD1と同層に形成されている。ワード線11は半導体基板1の主面に沿う第1方向に沿って延在しており、半導体基板1の主面に沿い第1方向に直交する第2方向に複数並んで形成されている。また、層間絶縁膜ILD1上には、第2方向にストライプ状に延在するビット線18が形成されており、上部電極17と電気的に接続されている。ビット線18の同層には配線層M1aが形成されており、配線層M1aは、層間絶縁膜ILD1および層間絶縁膜IF1を貫くコンタクトプラグCP1aを介して拡散層DIFと電気的に接続されている。p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17は柱状の積層構造を有し、この積層構造は、第1方向に複数並んでワード線11上に形成されている。つまり、ワード線11およびビット線18はストライプ状に複数形成されているため、p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17からなる複数のメモリセルは、ワード線11およびビット線18が平面的に交わる複数の交点に形成され、マトリクス状に配置されている。ここでは、p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17を含むメモリマトリクスを第1層目のメモリマトリクスと呼ぶ。
【0031】
図2に示すように、層間絶縁膜ILD1上には、ビット線18と同層に形成された配線層M1aと、ビット線18および配線層M1aを覆う層間絶縁膜IF1aとが形成されている。層間絶縁膜IF1a上には、金属膜19と、金属膜19を覆う層間絶縁膜IF1bとが形成されている。金属膜19はp型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17からなる複数のメモリセルの上部に形成され、平面的に各メモリセルと重なるように配置されている。
【0032】
層間絶縁膜IF1b上の層間絶縁膜ILD2の同層には、層間絶縁膜ILD1の同層に形成されたワード線11、p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17と同様に、ワード線21、p型層22、n型層23、シリサイド層24、下部電極25、相変化材料層26および上部電極27が形成されている。p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17と同様に、p型層22、n型層23、シリサイド層24、下部電極25、相変化材料層26および上部電極27からなる複数のメモリセルはマトリクス状に配置され、上部がビット線28と電気的に接続されている。
【0033】
層間絶縁膜IF2aは、層間絶縁膜IF1aと同様にビット線28および配線層M2aを覆うように形成され、層間絶縁膜IF2a上には、金属膜29と、金属膜29を覆う層間絶縁膜IF2bが形成されている。金属膜19と同様に、金属膜29はp型層22、n型層23、シリサイド層24、下部電極25、相変化材料層26および上部電極27からなる複数のメモリセルと平面的に重なるように形成されている。
【0034】
このように、本実施の形態の半導体装置では、積層されたメモリセル同士の間には金属膜が形成されており、同様に、層間絶縁膜IF2b上および層間絶縁膜IF3b上にはそれぞれ第3層目のメモリマトリクスおよび第4層目のメモリマトリクスが形成され、第3層目のメモリマトリクスおよび第4層目のメモリマトリクスの間には金属膜39が形成されている。
【0035】
図2に示すように、第4層目のメモリマトリクスの上部にはビット線48が形成されており、ビット線48はコンタクトプラグCP1a〜CP4a、配線層M1a、M2aおよびM3aを介して電界効果トランジスタSTの拡散層DIFと電気的に接続されている。また、ビット線28はコンタクトプラグCP1a、CP2aおよびビット線18を介して電界効果トランジスタSTの拡散層DIFと電気的に接続されている。また、ビット線18、28、38および48と接続されていない拡散層DIFは、コンタクトプラグCP1a〜CP4a、GWCおよび配線層M1a〜M4aを介してグローバルビット線(図示しない)と電気的に接続されている。
【0036】
図4に示すように、第4層目のメモリマトリクスの下部にはワード線41が形成されており、ワード線41はコンタクトプラグCP1b〜CP3b、ワード線11、配線層M2b、M3bおよびコンタクトプラグCPを介して電界効果トランジスタSTの拡散層DIFと電気的に接続されている。また、ワード線31はコンタクトプラグCP2b、CP1b、CP、ワード線11および21を介して電界効果トランジスタSTの拡散層DIFと電気的に接続されている。また、ワード線11、21、31および41と接続されていない拡散層DIFは、コンタクトプラグCP、CP1b〜CP4bおよび配線層M1b〜M4bを介してグローバルワード線(図示しない)と電気的に接続されている。
【0037】
ここで、ワード線11、21、31および41ならびにビット線18、28、38および48は、タングステンを主体とする金属膜からなり、電界効果トランジスタSTによって選択され、情報の書込み、消去または読出しを行うメモリセルに電位を供給する配線である。p型層12、22、32および42はp型の不純物(例えばB(ホウ素))が導入されたポリシリコンからなる半導体層であり、n型層13、23、33および43はn型の不純物(例えばP(リン))が導入されたポリシリコンからなる半導体層である。p型層12、22、32および42ならびにn型層13、23、33および43は、上部に形成されたメモリセルを選択するポリシリコンダイオードを構成している。
【0038】
シリサイド層14、24、34および44は、n型層13、23、33および43のそれぞれの上部の、W(タングステン)またはTiN(窒化チタン)などからなる下部電極15、25、35および45とをオーミック接触させるための層であり、例えばW(タングステン)またはTi(チタン)などの金属とSi(シリコン)との化合物からなる。
【0039】
上部電極17、27、37および47は下部電極15、25、35および45と同様の部材からなり、相変化材料層16、26、36および46は、GeSbTe(GST)などの相変化材料からなる。相変化メモリは、相変化材料層16、26、36および46がアモルファス状態と結晶状態とで異なる抵抗値を有することを利用して情報を記憶する抵抗変化型の不揮発性メモリである。
【0040】
金属膜19、29および39は例えばTiN(窒化チタン)からなる導電膜であり、本実施の形態の半導体装置の製造工程において、レーザーアニールによりそれぞれの金属膜の下部の素子が加熱されることを防ぐ目的で配置される層であり、ワード線11、21、31、41、ビット線18、28、38、48、コンタクトプラグCP1a〜CP4aまたはCP1b〜CP4bなどの他の配線または他の素子とは電気的に接続されておらず、絶縁膜に覆われている。
【0041】
つまり、図6に示すように、本実施の形態の相変化メモリは、複数の相変化材料層と、各メモリセルの選択素子である複数のダイオードとを含むメモリマトリクスを複数積層し、各層のメモリマトリクス同士の間に金属膜が形成されているものである。ここでは、図6に示す複数層のメモリマトリクスを総称してメモリアレイと呼ぶ。なお、図6では図を分かりやすくするために、積層されたメモリマトリクスと、各メモリマトリクス同士の間に介在する層間絶縁膜および金属膜の一部のみを示している。
【0042】
次に、図7を用いて本実施の形態の半導体装置の動作について説明する。相変化メモリは、選択素子から電流を加えることで記憶素子に発生するジュール熱により記憶素子を結晶状態、若しくは非晶質(アモルファス)状態にすることで情報を記憶・保持する。相変化メモリのスイッチング、すなわち相変化材料のアモルファス状態から結晶状態への相変化およびその逆の変化は、相変化材料層にパルス電圧を印加した際に発生するジュール熱を利用している。つまり、アモルファス状態から低抵抗な結晶状態への相変化(セット動作、書込み動作)では、相変化材料の結晶化温度以上、融点以下となる電圧を相対的に長時間印加する。一方、結晶状態から高抵抗なアモルファス状態への相変化(リセット動作、消去動作)では、相変化材料の融点以上となる短パルスの電圧を加えた後、電流を急減させて相変化材料を急冷する。一般に相変化メモリの記憶素子の抵抗値は相変化により2桁から3桁も変化し、相変化メモリは、結晶か非晶質かによって読出し信号が大きく異なるので、センス動作が容易である特徴がある。
【0043】
図7は、本実施の形態の相変化メモリの等価回路図である。図7では、リセット(消去)動作、セット(書込み)動作および読出し動作を行う際の、ビット線BL1、BL2、BL3およびBLnと、ワード線WL1、WL2、WL3およびWLmとの電位の関係を示している。WL1の電位、4/3/2Vはそれぞれ、リセット動作時、セット動作時、読出し動作時の電位である。なお、ここでのビット線BL1、BL2、BL3およびBLnは、例えば図4に示す複数のビット線18のそれぞれを示し、ワード線WL1、WL2、WL3およびWLmは、例えば図2に示す複数のワード線11のそれぞれを示している。
【0044】
図7に示すように、ビット線BL2、BL3またはBLnと接続され、ワード線WL1と接続されたメモリセルでは、ビット線とワード線の電位は、リセット動作時には共に4V、セット動作時には共に3V、読出し動作時には共に2Vであり、互いに電位差がないので電流が流れない。また、ビット線BL1、およびワード線WL2、WL3またはWLmと接続されたメモリセルでは、リセット動作時、セット動作時、読出し動作時のビット線とワード線の電位がいずれも0Vであり、互いに電位差がないので電流が流れない。
【0045】
ここで、ビット線BL2、BL3、またはBLn、およびワード線WL2、WL3またはWLmと接続されたメモリセルでは、リセット動作時にはワード線とビット線とにそれぞれ0Vと4V、セット動作時にはワード線とビット線とにそれぞれ0Vと3V、読出し動作時にはワード線とビット線とにそれぞれ0Vと2Vが印加される。すなわち、メモリセルを選択するポリシリコンダイオードの逆バイアス方向に電圧が印加される。ビット線BL2、BL3、またはBLn、および、ワード線WL2、WL3またはWLmと接続されたメモリセルは非選択セルであり、選択素子であるポリシリコンダイオードに逆バイアス方向に電圧が印加されているため、電流が流れない。
【0046】
これにより、ビット線BL1およびワード線WL1に接続されたメモリセル(選択セルSMC)だけ、ポリシリコンダイオードに順バイアスが印加され、電流が流れる。その結果、メモリセルアレイ内の選択セルSMCのみを選択して動作させることができる。
【0047】
次に、図8〜図19を用いて本実施の形態の半導体装置の製造工程を説明する。なお、図8〜図12および図17〜図19は図1のC−C線における断面と同じ位置の断面図を示しており、図13は図1のA−A線における断面と同じ位置の断面図を示している。また、図14〜図16では製造工程中のメモリマトリクスの俯瞰図を示す。
【0048】
まず、図8に示すように、周知の製法により、半導体基板1の主面に素子分離層2を形成した後、ゲート絶縁膜GOX、ゲート電極GATEおよび拡散層DIFを有する電界効果トランジスタSTを形成する。電界効果トランジスタSTはメモリアレイの駆動に必要な周辺回路を構成する素子であり、相変化メモリのメモリセルを選択する選択トランジスタである。その後、電界効果トランジスタSTを覆うように半導体基板1上に酸化シリコンからなる層間絶縁膜IF1を形成し、後の工程において各ビット線と電気的に接続される拡散層DIF上に、層間絶縁膜IF1を貫通し、拡散層DIFと電気的に接続されたコンタクトプラグCPを形成する。層間絶縁膜IF1は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成(堆積)される。続いて、コンタクトプラグCPの上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて研磨し、層間絶縁膜IF1の上面を露出する。
【0049】
次に、図9に示すように、層間絶縁膜IF1上およびコンタクトプラグCP上にタングステン膜11a、p型アモルファスシリコン膜12aおよびノンドープアモルファスシリコン膜13aを順次形成する。タングステン膜11aはスパッタ法により形成し、成膜温度は200℃以下とする。p型アモルファスシリコン膜12aおよびノンドープアモルファスシリコン膜13aはCVD法により堆積し、p型アモルファスシリコン膜12aの成膜温度は400℃程度、ノンドープアモルファスシリコン膜13aの成膜温度530℃程度とする。p型アモルファスシリコン膜12aはp型の不純物(例えばB(ホウ素))が導入された非結晶状態のシリコン膜であり、ノンドープアモルファスシリコン膜13aは不純物が導入されていない非結晶状態のシリコン膜である。
【0050】
次に、図10に示すように、ノンドープアモルファスシリコン膜13aにn型の不純物(例えばP(リン))をイオン注入し、n型アモルファスシリコン膜13bを形成する。
【0051】
次に、図11に示すように、例えばCOレーザーを用いたアニールにより、p型アモルファスシリコン膜12aおよびn型アモルファスシリコン膜13bを結晶化し、不純物の活性化も行う。これにより、p型ポリシリコン膜12cおよびn型ポリシリコン膜13cを形成する。この時点では製造工程中の半導体装置には相変化材料は含まれていないので、熱負荷低減の目的でレーザーアニールを行う必要はなく、ランプなどを用いた加熱炉によるポリシリコンの結晶化、不純物の活性化を行うことも可能である。ただし、後述するように第2層目以降のメモリマトリクスを製造する際には、レーザーアニールが必須となる。本実施の形態では、第1層目と第2層目以降の選択素子の特性を同等に揃えるために、図10に示すp型アモルファスシリコン膜12aおよびn型アモルファスシリコン膜13bを、図11に示すp型ポリシリコン膜12cおよびn型ポリシリコン膜13cに結晶化するアニール工程では、第2層目以降に用いるのと同じレーザーアニールを用いている。
【0052】
次に、図12に示すように、例えばWSi(タングステンシリサイド)またはTiSiなどからなるシリサイド層14を周知のサリサイド技術によりn型ポリシリコン膜13c上に形成した後、シリサイド層14上に金属膜15a、相変化材料層16および金属膜17aを順次形成する。金属膜15aおよび金属膜17aはTi(チタン)またはW(タングステン)からなり、例えばスパッタ法により形成される。相変化材料層16はGeSbTe(GST)からなり、例えばCVD法により形成される。
【0053】
次に、図13に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、金属膜17a、相変化材料層16、金属膜15a、シリサイド層14、n型ポリシリコン膜13c、p型ポリシリコン膜12cおよびタングステン膜11aを、第1方向に延在するストライプ状に加工する。これにより、金属膜17a、金属膜15a、n型ポリシリコン膜13c、p型ポリシリコン膜12cおよびタングステン膜11aからなる上部電極17、下部電極15、n型層13、p型層12およびワード線11をそれぞれ形成する。また、このとき、ワード線11の同層であってコンタクトプラグCP(図示しない)上に、タングステン膜11aからなる配線層M1b(図示しない)を形成する。続いて、半導体基板1上の全面に層間絶縁膜ILD1をCVD法により堆積し、ストライプ状の加工パターン同士の間を層間絶縁膜ILD1により埋めた後、層間絶縁膜ILD1の上面をCMP法により研磨し、上部電極17の上面を露出する。
【0054】
なお、図13に示すように、後の工程で各ビット線と電気的に接続される拡散層DIF上には、まだコンタクトプラグは形成されていない。
【0055】
ここで、図14に、図13の工程で形成された第1層目のメモリマトリクスの俯瞰図を示す。図14〜図15は製造工程中の半導体装置を示す俯瞰図である。図14では、第1層目のメモリマトリクスと同層の層間絶縁膜およびその下部の半導体基板などの図示を省略している。図14に示すように、ワード線11、p型層12、n型層13、シリサイド層14、下部電極15、相変化材料層16および上部電極17からなる複数のパターンはストライプ状に形成されている。
【0056】
次に、図15に示すように、拡散層DIF(図示しない)上にコンタクトプラグCP1a(図示しない)を形成し、続いてCMP法により上部電極17の上面を露出した後、上部電極17上、層間絶縁膜ILD1(図示しない)上およびコンタクトプラグCP1a(図示しない)上にタングステン膜18aをスパッタ法により形成する。
【0057】
次に、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてタングステン膜18a、上部電極17、相変化材料層16、下部電極15、シリサイド層14、n型層13およびp型層12を第2方向にストライプ状に加工し、タングステン膜18aからなるビット線18および配線層M1a(図示しない)を形成する。ビット線18および配線層M1a(図示しない)は、コンタクトプラグCP1a(図示しない)を介して拡散層DIF(図示しない)と電気的に接続されている。
【0058】
その後、半導体基板1上の全面に層間絶縁膜IF1a(図示しない)をCVD法により堆積し、ビット線18を含むストライプ状の加工パターン同士の間を層間絶縁膜IF1aにより埋める。
【0059】
次に、図17に示すように、層間絶縁膜IF1a上に、例えばTiNからなる金属膜19をスパッタ法により堆積した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてパターニングする。このとき、金属膜19は金属膜19の下部の相変化材料層16を含むメモリマトリクスと平面的に重なる領域に形成する。
【0060】
次に、図18に示すように、層間絶縁膜IF1a上にCVD法により層間絶縁膜IF1bを堆積し、層間絶縁膜IF1bにより金属膜19の表面を覆う。続いて、層間絶縁膜IF1b、IF1aを貫き、ワード線11および配線層M1bと電気的に接続されたコンタクトプラグCP1bを形成した後、CMP法により層間絶縁膜IF1bの上面を研磨し、平坦化する。なお、前記研磨工程では金属膜19の上面は露出させない。
【0061】
なお、ここでは金属膜19をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法によってパターニングしたが、周知のダマシン法を用いて下層のメモリマトリクスと平面的に重なる領域に金属膜19を形成しても構わない。
【0062】
この後の工程は、図9〜図18の工程を繰り返すことで、図1〜図6に示す複数層のメモリマトリクスの積層構造を形成することができる。
【0063】
ただし、図19に示すように、図11を用いて説明した工程と同様に、非結晶状態のp型アモルファスシリコン膜およびn型アモルファスシリコン膜を結晶化して、第2層目のメモリマトリクスを構成するp型ポリシリコン膜22cおよびn型ポリシリコン膜23cを形成する際には、ランプなどを用いた加熱炉ではなくレーザーアニールを用いて熱処理する必要がある。また、この熱処理では、後述するように3μm以上の波長を有するレーザーを用いることが好ましいため、YAGレーザーまたはエキシマレーザーなどの波長が短いレーザーではなく、例えばCOレーザーを用いる。ここでのレーザーアニールは、アモルファスシリコンの結晶化と不純物の活性化を行うことで選択素子となるダイオードの電流駆動能力を充分なものにし、かつ第1層目のメモリマトリクスを構成する相変化材料層16への熱負荷を低減し、歩留りを低下させないようにする必要がある。同様に、第3層目およびその上層のメモリマトリクスを構成するそれぞれのポリシリコンダイオードを結晶化させる際にはレーザーアニールを用いる。
【0064】
なお、複数層のメモリマトリクスを形成した後、最上層のメモリマトリクスの上部には、図18に示す金属膜19に相当する金属膜を形成する必要はない。よって、最上層のビット線(図2に示すビット線48)上の層間絶縁膜上に、拡散層DIFと電気的に接続されるグローバルビット線(図示しない)およびグローバルワード線(図示しない)を形成することにより、図2に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0065】
次に、図2および図20〜図22を用いて本実施の形態の効果について説明する。
【0066】
本実施の形態の半導体装置は、記憶素子として相変化材料を用いた相変化メモリを使用するものである。相変化メモリは、書換え回数、リテンション特性、動作速度などの観点から記憶素子として優れている。しかしながら、相変化材料は融点が低く、また融点以上の高温に長時間曝すと一部元素の昇華などにより特性が劣化するという問題がある。一方、ポリシリコンなどの半導体材料を用いたトランジスタまたはダイオードなどは、高温アニールによる材料の結晶化、不純物活性化を行なわないと充分な性能が得られない。つまり、相変化材料とダイオードを用いた積層構造を有するクロスポイント型メモリアレイの製造工程では、上層のダイオード材料の結晶化および不純物活性化アニールによる性能向上と、その工程の熱負荷による下層の相変化材料層の特性劣化防止とを両立させる必要がある。
【0067】
上層のメモリマトリクスと下層のメモリマトリクスとの間にワード線およびビット線以外の金属膜が形成されず、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜のみが形成されている半導体装置を製造する場合、上層のメモリマトリクス内のダイオードを構成するアモルファスシリコン膜を結晶化する際、レーザーによって前記アモルファスシリコン膜の下層のメモリマトリクス内の相変化材料層もレーザーにより加熱される。この場合、上述したように下層の相変化材料層は融解または昇華してしまうため、相変化メモリとして機能しなくなる虞がある。
【0068】
この問題を解決するため、本実施の形態では、図2に示すように、相変化材料層16を含む第1層目のメモリマトリクスと、レーザーアニールによって結晶化されたポリシリコンダイオードを含む第2層目のメモリマトリクスとの間の層間絶縁膜内に、各メモリマトリクス、各ワード線、各ビット線および各コンタクトプラグと絶縁された金属膜19を配置している。また、同様に、第2層目のメモリマトリクスと第3層目のメモリマトリクスとの間には金属膜29が形成され、第3層目のメモリマトリクスと第4層目のメモリマトリクスとの間には金属膜39が形成されている。
【0069】
なお、半導体装置の製造工程においてアモルファスシリコン膜を結晶化する際にランプアニールではなくレーザーアニールを用いるのは、すでに形成された素子が熱により負荷を受けることを防ぐためである。特に上層のメモリセルの結晶化、活性化に関してはタングステンハロゲンランプを用いたランプアニール技術による秒単位の熱処理ではなく、3μm以上の長波長(例えば波長10.64μmのCOレーザー)をもつレーザーアニールによる極短時間高温熱処理(例えば1200℃で800μs)で熱負荷低減を行なう。なお、アモルファスシリコン膜の結晶化およびアモルファスシリコン膜内の不純物の活性化には1000℃以上のアニールが必要となる。
【0070】
次に、図20を用いて本発明の原理を説明する。図20は、例として示す半導体装置の要部断面図であり、下層メモリセルMC1と、下層メモリセルMC1上に順に堆積された層間絶縁膜IFc、金属膜MF、層間絶縁膜IFdおよび上層メモリセルMC2が示されている。上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜(図2に示すp型層12およびn型層13などに相当する膜)は、上層メモリセルMC2の下層に形成された下層メモリセルMC1内の相変化材料層の特性劣化防止のために、ポリシリコン膜よりも低温で形成できるアモルファスシリコン膜を、図20に矢印で示すレーザーによる熱処理によって結晶化することで形成する。
【0071】
すなわち、上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜を最初から多結晶状態(ポリシリコンの状態)で形成する場合、半導体基板全体が640℃程度の熱を有することとなるが、下層メモリセルMC1内の相変化材料(GST)は600℃より高い温度で融解または昇華し、相変化メモリとしての機能を失う虞がある。つまり、相変化材料の耐熱温度は600℃であり、半導体装置の製造工程中は相変化材料層の温度が600℃以下である必要がある。このため、上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜を形成する場合は、まず520℃程度で形成できるアモルファスシリコン膜を形成した後に、レーザーアニールによって前記アモルファスシリコン膜からなるポリシリコン膜を形成する。
【0072】
図20に示すほぼ同様の半導体装置であって、下層メモリセルと上層メモリセルとの間に金属膜が形成されていない場合、上層メモリセルをレーザーにより加熱すれば、前記レーザーが上層メモリセルの下部の層間絶縁膜を透過して下層メモリセルを直接加熱する。このようにして下層メモリセル内の相変化材料層にレーザーが照射された場合、レーザーによる加熱と、加熱された上層メモリセルおよび前記層間絶縁膜から伝わる熱とにより下層メモリセルは加熱される。下層メモリセル上に前記層間絶縁膜が形成されていても、レーザーは前記層間絶縁膜を透過して直接下層メモリセルを加熱する。
【0073】
そのため、第1に、図20に示す下層メモリセルMC1までレーザーが到達しないようにする必要がある。3μm以上の長波長レーザーは金属膜MFに対しては反射率がほぼ100%であり、レーザーが金属膜MFを透過して下層メモリセルMC1に照射され、下層メモリセルMC1がレーザーで直接加熱されることを防ぐことができる。なお、波長が3μmよりも短いエキシマレーザーまたはYAGレーザーなどを用いた場合、金属膜MFのレーザー反射率が低下するため、レーザーによって金属膜MFが直接加熱されて高温(例えば900℃)になり、下層メモリセルMC1にその熱が伝わってしまう。
【0074】
また、第2に、上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜は、アモルファスシリコン膜を熱処理して結晶化することで形成する際に、熱を吸収し過ぎない金属からなる必要がある。このことは、下層メモリセルMC1内の相変化材料層の特性劣化防止と共に、上層メモリセルMC2内のポリシリコン膜の結晶化促進の面でも重要である。これは、レーザーアニールは極短時間の熱処理であるため、シリコンの結晶化には周知のファーネス炉体またはランプアニールによる結晶化よりも高温の熱処理が必要であり、金属膜MFの吸熱性が高すぎると、上層メモリセルMC2内のアモルファスシリコン膜を結晶化してポリシリコン膜を形成するために必要な熱が得られない虞があるからである。また、金属膜MFが熱を吸収し過ぎると、その分金属膜MFが高温になるため、金属膜MFから下層メモリセルMC1に伝わる熱量も大きくなり、下層メモリセルMC1が過度に加熱されてしまう。このため、金属膜MFは下層メモリセルMC1内の相変化材料層の温度が融点に達しない程度に熱を吸収し、レーザーをほぼ100%反射する材料により構成することが好ましい。
【0075】
一般に、導電性が高い(抵抗値が低い)部材は吸熱性が高く、導電性が低い(抵抗値が高い)部材は吸熱性が低いことが知られている。本実施の形態では、図2に示す金属膜19、29および39の材料をTiN(窒化チタン)とし、他のコンタクトプラグおよび配線などに比べて高抵抗な金属膜とすることで吸熱性を高め、それぞれの金属膜の下層の相変化材料層が熱によりダメージを受けることを防いでいる。例えば、金属膜19、29および39は、コンタクトプラグCP1aまたはビット線18よりも抵抗値が高く、また、コンタクトプラグCP1aまたはビット線18よりも熱伝導度が低い。すなわち、金属膜19、29および39は、コンタクトプラグCP1aまたはビット線18よりも吸熱性が低い金属膜である。
【0076】
通常のLSI技術では、配線の形成工程および配線とトランジスタとを接続するコンタクトプラグの形成工程に用いられるW(タングステン)、Al(アルミニウム)またはTiN(窒化チタン)といった材料は、スパッタ法またはCVD法などによる製造工程において、製造条件を調整することにより、低抵抗、すなわち電気伝導度が低くデバイスの特性および動作速度が向上するように形成される。一方、本発明の特徴は、図20に示す金属膜MFの抵抗値を逆に高抵抗化させることにある。金属膜MFを高抵抗化することで金属膜MFの熱伝導度が下がるため、上層メモリセルMC2内のポリシリコン膜形成工程の熱処理の際に、金属膜MFが上層メモリセルMC2の熱を過度に吸収してしまい、高温の金属膜MFから下層メモリセルMC1内の相変化材料層に熱が伝わることを防いでいる。
【0077】
なお、上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜の結晶化にはエキシマレーザーまたはYAGレーザーなどのレーザーを適用する方法も考えられるが、これらのレーザーによる加熱では、上層メモリセルMC2を構成するシリコンの全てを溶解して再結晶化させることになる。このため、金属膜MFの吸熱量が大きくなりすぎ、本発明の効果の一つである下層メモリセルMC1内の相変化材料層の特性劣化防止の効果が小さくなってしまう。また、上層メモリセルMC2内のポリシリコン膜が図2に示すp型層22およびn型層23のようにp型およびn型の積層構造を有する場合、シリコンを溶解した後に再結晶化するエキシマレーザーまたはYAGレーザーによるアニール方法では、p型およびn型の不純物が混ざってしまい、ダイオードの動作が実現できない問題がある。従って、上層メモリセルMC2内のシリコン膜をレーザーアニールにより結晶化する際は、前記シリコン膜が高温になり過ぎないCOレーザーを用いることが好ましい。
【0078】
ここで、図21および図22を用いて、本実施の形態でレーザー反射層および吸熱層として用いる金属膜の部材について説明する。図21は、本実施の形態における金属膜19、29および39(図2参照)の部材の一例である窒化チタン(TiN)膜の製造パラメーター(製造条件)の調整による抵抗値変調効果を示すグラフである。製造パラメーターである窒素ガス流量、プラズマ励起のためのRFパワーを調整することで、TiN膜の抵抗値を周知のコンタクトプラグに使用されるTiNからなる金属膜の抵抗値よりも高抵抗化させることが可能であることを示している。
【0079】
図22は、図20に示す上層メモリセルMC2を構成するポリシリコン膜を、COレーザーを用いてアニール時間800μsの条件で結晶化して形成した場合の下層メモリセルMC1の実温度の評価結果を示すグラフである。図22のグラフの縦軸は下層メモリセルMC1の温度、すなわち下層メモリセルMC1内の相変化材料層(GST)の温度を示し、図22の横軸は上層メモリセルMC2内のシリコン膜の温度を示している。
【0080】
上記のアニール条件では、アモルファスシリコンをポリシリコンに結晶化させるためには1175℃以上の温度が必要となる。図20に示す上層メモリセルMC2と下層メモリセルMC1との間に金属膜MFがない場合は、上層メモリセルMC2と下層メモリセルMC1との間の絶縁膜をCOレーザーが透過する。このため、下層メモリセルMC1はCOレーザーにより直接加熱され、上層メモリセルMC2および下層メモリセルMC1はほぼ同一の温度になる。このことは、図22の「NO METAL」のグラフから分かる。
【0081】
また、図22の「W」のグラフに示すように、W(タングステン)を金属膜の部材として用いた場合、熱伝導度が高すぎるため、図20に示す下層メモリセルMC1は950℃程度まで上昇している。このことは、タングステンからなる金属膜が上層メモリセルMC2の熱を過度に吸熱していることを示している。
【0082】
一方、TiN(窒化チタン)を金属膜に用いた場合、図22に示す「TiN1」、「TiN2」、「TiN3」のグラフのようにそれぞれTiN膜の抵抗値を変調することで、上層のメモリセルを1000℃以上の温度(ここでは約1200℃とする)でアニールした場合に、「TiN3」のグラフに示すように下層メモリセルMC1内の相変化材料層の温度を600℃まで低下させることが可能である。すなわち、ここでは金属膜にTiN膜を用いることで、上層メモリセルを1200℃でアニールした際に相変化材料層の温度が相変化材料の耐熱温度より高くなることを防ぐことができることが分かる。
【0083】
また、下層メモリセルの温度をさらに低減させるには、金属膜の上下の酸化シリコン膜などからなる絶縁膜の膜厚を変えることで自由に調整可能である。
【0084】
本実施の形態では、図2に示すように、複数のメモリマトリクスを積層したメモリアレイにおいて、上層のメモリマトリクスと下層のメモリマトリクスとの間に金属膜を形成している。これにより、図19に示す工程のように上層のメモリマトリクスを構成するアモルファスシリコン膜をレーザーにより結晶化する際、金属膜19によってレーザーを反射し、また、上層のメモリマトリクスの熱を金属膜19が適度に吸収することにより、下層のメモリマトリクス内の相変化材料層16が過度に熱せられることを防いでいる。つまり、各層のメモリマトリクス内の相変化材料層が融解または昇華することを防ぐことで、半導体装置の製造工程における歩留まりを向上している。また、各層のメモリマトリクス内の相変化材料層が融解または昇華することを防ぐことで、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0085】
また、図11および図18に示すアニール工程ではCOレーザーにより熱処理を行うことで、アモルファスシリコン膜が融解することを防ぎ、ダイオードが機能しなくなることを防いでいる。
【0086】
また、図2に示す金属膜19、29および39を高抵抗で熱伝導度の低い金属膜とすることで、他のビット線またはコンタクトプラグなどの金属部材よりも吸熱性を低く抑え、金属膜19、29および39のそれぞれの上部の金属膜の上層から、前記金属膜の下層に熱が伝わることを防ぐことを可能としている。すなわち、金属膜19、29、39は、例えばコンタクトプラグCP1aまたはビット線18などの金属部材よりも熱伝導度の低い部材で形成されている。
【0087】
なお、本実施の形態ではメモリマトリクスの積層数を4層としたが、これに限らず、複数層であればメモリアレイは何層の積層構造を有していても構わない。
【0088】
また、図2に示す金属膜19、29および39の材料はTiNとしたが、Al(アルミニウム)またはW(タングステン)などを含む材料であっても構わない。このとき、例えば純粋なAl(アルミニウム)からなる金属膜を使用するのではなく、Al(アルミニウム)と他の元素との化合物または合金からなる金属膜を用いた方が、容易に金属膜の抵抗値を調整することで可能となり、適正な吸熱性を有する金属膜を形成し易くなる。
【0089】
また、本実施の形態ではダイオードの下部の配線をワード線とし、相変化メモリの上部の配線をビット線として説明したが、ダイオードの下部の配線をビット線とし、相変化メモリの上部の配線をワード線としても良い。
【0090】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、クロスポイント型の相変化メモリを有する半導体装置について説明した。本実施の形態では、縦型チェインメモリ型の相変化メモリを有する半導体装置の構造について、図23〜図40を用いて説明する。
【0091】
まず、本実施の形態の相変化メモリの構造を図23〜図25を用いて説明する。図23は相変化メモリの平面図を示し、図24は図23のE−E線における要部断面図を示し、図25は図23のF−F線における要部断面図を示している。ただし、図25では、図24に示す金属配線M1よりも上層の構造の図示を省略している。図23は絶縁膜56の上面を示す平面図であり、絶縁膜56上の構造は、金属配線M1および配線ML1〜ML4の輪郭のみを破線で示している。
【0092】
図24に示すように、本実施の形態の相変化メモリは半導体基板1上に形成されており、半導体基板1上には不純物拡散層50が形成されている。不純物拡散層50上には絶縁膜52、第1ポリシリコン膜61、絶縁膜53、第2ポリシリコン膜62、絶縁膜54、第3ポリシリコン膜63、絶縁膜55、第4ポリシリコン膜64および絶縁膜56が順に形成されている。第4ポリシリコン膜64は半導体基板1の主面に沿う第1方向に延在するストライプ状の形状を有し、半導体基板1の主面に沿い第1方向に直交する第2方向に複数本並んで形成されている。
【0093】
絶縁膜52〜56および第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64には、絶縁膜52〜56および第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64を貫く孔部HLが複数形成されている。図23に示すように、孔部HLは第1方向および第2方向に複数並んでマトリクス状に配置されており、第1方向に並ぶ複数の孔部HLは、図24および図25に示すように、それぞれ同一の第4ポリシリコン膜64を貫通しており、第2方向に並ぶ複数の孔部HLのそれぞれは、異なる第4ポリシリコン膜64を貫通している。
【0094】
図24に示すように、金属膜19の下部の各孔部HLの内壁には、孔部HLの内壁側から順に絶縁膜57、チャネルポリシリコン膜58および相変化材料層16が形成され、絶縁膜57、チャネルポリシリコン膜58、相変化材料層16および相変化材料層16上に形成された絶縁膜59により各孔部HL内は埋め込まれている。
【0095】
絶縁膜57上、チャネルポリシリコン膜58上、絶縁膜59上および絶縁膜56上には、第2方向にストライプ状に延在する金属配線M1が形成されている。チャネルポリシリコン膜58は上部において金属配線M1と電気的に接続されており、下部において不純物拡散層50と電気的に接続されている。金属配線M1は、絶縁膜56上に形成された層間絶縁膜IF1aにより覆われており、層間絶縁膜IF1a上には、金属膜19および層間絶縁膜IF1bが順に形成されている。
【0096】
図25に示すように、第1ポリシリコン膜61〜第3ポリシリコン膜63はそれぞれ第1方向に延在している。第1ポリシリコン膜61は、第2ポリシリコン膜62および第3ポリシリコン膜63と平面的に重ならない領域を有しており、第2ポリシリコン膜62は、第3ポリシリコン膜63と平面的に重ならない領域を有している。第1ポリシリコン膜61は絶縁膜53〜56を貫通するコンタクトプラグC1により、コンタクトプラグC1上および絶縁膜56上に形成された配線ML1と電気的に接続されている。同様に、第2ポリシリコン膜62は絶縁膜54〜56を貫通するコンタクトプラグC2により、コンタクトプラグC2上および絶縁膜56上に形成された配線ML2と電気的に接続されている。同様に、第3ポリシリコン膜63は絶縁膜55、56を貫通するコンタクトプラグC3により、コンタクトプラグC3上および絶縁膜56上に形成された配線ML3と電気的に接続されている。また、第1方向に延在するそれぞれの第4ポリシリコン膜64は、絶縁膜56を貫通する複数のコンタクトプラグC4のそれぞれにより、コンタクトプラグC4上および絶縁膜56上に形成された複数の配線ML4と電気的に接続されている。なお、それぞれの配線ML4同士は一体となっておらず、互いに絶縁されている。
【0097】
ここで、半導体基板1は例えばシリコンからなる基板であり、不純物拡散層50はメモリセルの基板側のコンタクト層となる層であって、例えばn型の不純物(例えばP(リン)またはAS(ヒ素))が比較的高濃度で導入された半導体層からなる。絶縁膜52〜56および59は例えば酸化シリコン膜からなる層であり、第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64はn型の不純物(例えばP(リン)またはAS(ヒ素))が導入された多結晶半導体層であり、それぞれの膜厚は30nm以上100nm以下とする。第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64は、選択トランジスタのゲート電極およびワード線の役割を果たすものである。また、金属配線M1は相変化メモリのビット線の機能を有する配線である。
【0098】
チャネルポリシリコン膜58は各選択トランジスタのチャネルおよびソース・ドレイン領域として機能する層であり、n型の不純物(例えばP(リン)またはAS(ヒ素))が導入されている。チャネルポリシリコン膜58はその上部および下部がソース・ドレイン領域として機能するため、絶縁膜52および絶縁膜56と同層のチャネルポリシリコン膜58は、絶縁膜53〜55および第1ポリシリコン膜61〜第3ポリシリコン膜63と同層のチャネルポリシリコン膜58よりも高い不純物濃度を有している。
【0099】
図24に示す破線で囲まれた領域のそれぞれはメモリセルを示している。すなわち、第1ポリシリコン膜61〜第3ポリシリコン膜63に囲まれたそれぞれの相変化材料層16がメモリセルを構成しており、不純物拡散層50と金属膜19との間にはマトリクス状に並ぶ複数のメモリセルが3層配置されている。ここでは、不純物拡散層50と金属膜19との間の複数のメモリセルを第1層目のメモリマトリクスと呼ぶ。
【0100】
層間絶縁膜IF1b上には、半導体基板1上の不純物拡散層50から層間絶縁膜IF1aと同様の構造が形成されており、層間絶縁膜IF1b上に形成された不純物拡散層70上には、第1層目のメモリマトリクスと同様の構造を有する第2層目のメモリマトリクスが形成されている。
【0101】
なお、図23〜図25において、各層の選択ゲートおよびビット線は相変化メモリの書込み、読出しおよび消去が行えるよう、配線およびコンタクトプラグを介して周辺回路などと電気的に接続されているが、それらの配線、コンタクトプラグおよび周辺回路の図示は省略している。
【0102】
次に、図26および図27を用いて本実施の形態の相変化メモリの動作を説明する。図26には、本実施の形態の相変化メモリ内における一つの孔部HL(図25参照)内の一組のメモリセル(縦型チェインメモリセル)および前記一組のメモリセルに隣接するポリシリコン膜のみの要部断面図を抜き出して示している。本実施の形態では、一つの孔部HL内の一組のメモリセルをメモリセルブロックと呼ぶ。
【0103】
図27には、メモリセルブロックの等価回路図を示す。ここで言うメモリセルブロックは、図24に示す不純物拡散層50上に形成された、孔部HL内の相変化材料層16、チャネルポリシリコン膜58および絶縁膜57と、当該孔部HLに隣接する第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64とにより構成されるものである。ここでは第1ポリシリコン膜61〜第3ポリシリコン膜63のそれぞれの近傍の相変化材料層16からなる3個のメモリセル(図24および図26に破線で示すセルであって、図26および図27の選択セルSMCおよび非選択セルUSMC)が図示されている。
【0104】
以下に、図26および図27に示メモリセルブロック内の第1ポリシリコン膜61(図24参照)の近傍の領域の相変化材料層を含む選択セルSMCのみを作動させ、選択セルSMC内の相変化材料層のみを相変化させることで情報の書込み(記憶)、消去または読出しを行う方法を説明する。
【0105】
なお、図26ではゲート配線GL1〜GL3およびSTGL1は示さず、第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64の接続先を分かりやすくするために符号のみ示している。また、ゲート配線GL1〜GL3およびSTGL1のそれぞれの符号の下部には、リセット(消去)動作/セット(書込み)動作/読出し動作の順に、それぞれの動作においてゲート配線GL1〜GL3およびSTGL1に印加する電圧を示している。なお、図26に示すように、第1ポリシリコン膜61、第2ポリシリコン膜62、第3ポリシリコン膜63および第4ポリシリコン膜64はそれぞれ、ゲート配線GL1、GL2、GL3およびSTGL1と電気的に接続されている。また、不純物拡散層50は配線FL1(符号のみ図示する)と電気的に接続されており、金属配線M1はビット線BL1としての機能を有する配線である。
【0106】
それぞれのメモリセルの動作は以下のように行う。まず、図26に示す選択セルSMCが接続されているゲート配線GL1(第1ポリシリコン膜61)には0Vを印加し、ゲート配線GL1の近傍のチャネルポリシリコン膜58をチャネルとするトランジスタをOFF状態にする。選択セルSMCが接続されていないゲート配線GL2およびGL3(第2ポリシリコン膜62および第3ポリシリコン膜63)には5Vを印加し、ゲート配線GL2〜GL3のそれぞれをゲートとするトランジスタをON状態にする。ビット線BL1には0V、配線FL1にはリセット動作時、セット動作時、読出し動作時にそれぞれ5、4、2Vを印加する。ゲート配線STGL1(第4ポリシリコン膜64)に5Vを印加させトランジスタをON状態にする。
【0107】
第2ポリシリコン膜62および第3ポリシリコン膜63の近傍の非選択セルUSMCでは、トランジスタがON状態でチャネル(チャネルポリシリコン膜58)の抵抗が低くなり、またON状態になっているゲート配線STGL1の近傍のチャネルポリシリコン膜58の抵抗が低くなっている。この場合、非選択セルUSMCの近傍では、相変化材料層16ではなくチャネルポリシリコン膜58に、非選択セルUSMCでの相変化材料層16の状態によらずほぼ同じ大きさの電流が流れるようにすることができる。選択セルSMCではトランジスタがOFF状態であるため、図26の矢印に示すように、電流は相変化材料層16を流れる。
【0108】
リセット動作、セット動作時には、選択セルSMCで相変化材料層16を流れる電流によって相変化材料層16の状態を変化させ、抵抗値を変化させて動作を行う。読出し動作時には、選択セルSMCの相変化材料層16を流れる電流値を判定し動作を行う。
【0109】
ここで、図示していない他の複数の孔部HL内のメモリセルブロックであって、図26のビット線BL1と同じ電位が金属配線M1に印加されたメモリセルブロックのメモリセルであっても、当該メモリセルブロックを有する孔部HLに隣接する第4ポリシリコン膜64をゲートとする選択トランジスタがOFF状態である場合、当該メモリセルブロック内の複数のメモリセルに電流は流れない。また、図示していない他の複数の孔部HL内のメモリセルブロックであって、そのメモリセルブロックを有する孔部HLに隣接する第4ポリシリコン膜64をゲートとする選択トランジスタがOFF状態であっても、当該メモリセルブロックの上部のビット線BL1と当該メモリセルブロックの下部の配線FL1との間に電位差がなければ、当該メモリセルブロック内のメモリセルに電流は流れない。したがって相変化材料層16に電流が流れるのは選択セルSMCの近傍の相変化材料層16だけとなるので、選択的な動作が可能である。
【0110】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、図28〜図40を用いて説明する。図28〜図30は図23のE−E線における断面と同じ位置における要部断面図である。図31、図33および図37は製造工程中の半導体装置の平面図であり、図32、図34はそれぞれ図31、図33のF−F線における要部断面図である。図35、図36、および図39は図34と同じ断面における要部断面図である。図38、図40は図30と同じ断面における要部断面図である。
【0111】
まず、図28に示すように、周辺回路を含む半導体基板1上に、メモリセルブロックの基板側のコンタクト層となる不純物拡散層50、絶縁膜52、第1ポリシリコン膜61を順に形成する。図28は図23のE−E線における断面と同じ位置の断面図である。不純物拡散層50は、例えばCVD法で堆積したシリコン膜からなる半導体層、または、半導体基板1の上面にn型の不純物(例えばP(リン))をイオン注入して形成された半導体層である。絶縁膜52は例えば酸化シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成する。第1ポリシリコン膜61はn型の不純物(例えばP(リン))を不純物として含むポリシリコン膜であり、CVD法などを用いてアモルファスシリコン膜として成膜後、レーザーアニールにより結晶化して形成する。第1ポリシリコン膜61は選択トランジスタの選択ゲート、すなわちワード線の役割を果たすものであり、膜厚は30nm以上100nm以下が好ましい。
【0112】
不純物拡散層50上には、接触抵抗を下げるために周知のサリサイド技術を用いてタングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイドまたはニッケルシリサイドなどを形成しても良い。この時点では半導体基板1上に相変化材料層は形成されていないので、熱負荷を低減するためにレーザーアニールを用いる必要はなく、ランプなどを用いた加熱炉によるポリシリコンの結晶化および不純物の活性化を行っても良く、また、より高温を必要とするポリシリコン状態での成膜により第1ポリシリコン膜61を形成することも可能である。しかし、後述するように2層目以降のメモリマトリクスを構成するポリシリコン膜を形成する際には、レーザーアニールが必須となる。ここでは、1層目および1層目より上層のメモリマトリクスの選択トランジスタの特性を同等にそろえるために、図40の工程で2層目以降に用いるのと同じレーザーアニールを用いて第1ポリシリコン膜61を結晶化している。
【0113】
次に、図29に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、第1ポリシリコン膜61を加工し、第1ポリシリコン膜61からなるゲート構造を形成する。その後、第1ポリシリコン膜61上に絶縁膜53を絶縁膜52と同様の方法で形成し、続いてCMP法を用いて絶縁膜53の上面を研磨し、平坦化する。ここで、第1ポリシリコン膜61は、後の工程で第1ポリシリコン膜61と同層に形成されるメモリマトリクスと隣接するように形成されるものである。すなわち、第1ポリシリコン膜61は、マトリクス状に形成される複数のメモリセルのそれぞれと隣接するグローバル構造のパターンを有する。
【0114】
次に、図30に示すように、図28および図29で説明した工程を繰り返し、絶縁膜53上に第2ポリシリコン膜62、絶縁膜54、第3ポリシリコン膜63、絶縁膜55、第4ポリシリコン膜64および絶縁膜56を順次形成する。すなわち、絶縁膜53上にパターニングされたポリシリコン膜を形成した後、前記ポリシリコン膜上に前記ポリシリコン膜を覆うように絶縁膜を形成した後に前記絶縁膜の上面を平坦化する工程を繰り返す。
【0115】
このとき、最上層の第4ポリシリコン膜64は第4ポリシリコン膜64の下層の第1ポリシリコン膜61〜第3ポリシリコン膜63とは異なり、第1方向に延在するストライプ状に形成する。最上層の第4ポリシリコン膜64は3次元メモリセルアレイのうちのメモリセルブロック選択のための選択トランジスタとして動作させるため、第4ポリシリコン膜64の選択ゲートは第4ポリシリコン膜64の下部のグローバル構造を有する3層のポリシリコン膜とは異なり、微細選択ゲート構造とする必要がある。すなわち、ストライプ状に形成された複数の第4ポリシリコン膜64のそれぞれが、後に形成する複数のメモリセルブロックの一部を選択するために独立した複数の配線となるようにパターニングする。第4ポリシリコン膜64は、図24に示すビット線である金属配線M1と併せてメモリセルブロックの選択動作を行なうものである。
【0116】
なお、選択トランジスタの選択ゲート、すなわちワード線である第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64の部材は金属でも良い。前記金属からなる金属配線は、例えばW(タングステン)またはTiN(窒化チタン)からなり、CVD法またはスパッタ等などの周知の技術を用いて形成する。前記金属配線の膜厚は、30nm以上100nmが良い。前記金属配線の膜厚が薄すぎると配線抵抗が高くなり、厚すぎると後の加工後の形状制御が困難となる。駆動電圧の観点からも、相変化材料を書き換える(状態変化させる)体積が小さいほど駆動電圧が小さくて済むため、前記金属配線の膜厚は厚すぎないほうが好ましい。また、絶縁膜52〜56、第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64または前記金属膜の材料は、熱伝導度の低い材料であれば相変化メモリの駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0117】
次に、図31および図32に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いたドライエッチング法により、絶縁膜56の上面から第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64のそれぞれの上面に達する複数のコンタクトホールを形成した後、前記複数のコンタクトホールのそれぞれの内部を埋め込む複数のコンタクトプラグC1〜C4を形成する。コンタクトプラグC1〜C4は、前記複数のコンタクトホール内および絶縁膜56上にCVD法で形成されたタングステン膜からなり、絶縁膜56上に形成された前記タングステン膜をCMP法により除去し、絶縁膜56の上面を露出させることにより形成する。コンタクトプラグC1は第1ポリシリコン膜61と電気的に接続され、コンタクトプラグC2は第2ポリシリコン膜62と電気的に接続され、コンタクトプラグC3は第3ポリシリコン膜63と電気的に接続され、複数のコンタクトプラグC4は複数の第4ポリシリコン膜64とそれぞれ電気的に接続されている。図31に示すように、複数のコンタクトプラグC4は第2方向に並んで形成されており、コンタクトプラグC1〜C3は第1方向に並んで形成されている。
【0118】
次に、図33および図34に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、メモリセルブロック形成用の複数の孔部HLを形成する。孔部HLは、絶縁膜56の上面から不純物拡散層50の上面に達する孔であり、図33に示すようにマトリクス状に複数形成されている。孔部HLの平面の形状は正円形が好ましいが、正方形、四角形または三角形など任意の形状でも良い。孔部HLの平面形状に応じて同一選択トランジスタ内に複数の閾値電圧および複数のトランジスタオン電流を持たせることが可能となる。すなわち、一つのメモリユニットセル内に多数の抵抗素子への電流を持たせることが可能となり、多値のメモリ動作をさせることが可能である。
【0119】
その後、絶縁膜56上、孔部HLの内壁および底部に、絶縁膜57およびチャネルポリシリコン膜58を順次形成する。このとき、孔部HLの内部を完全に埋め込まないようにする。なお、図33では絶縁膜56上に形成された絶縁膜57およびチャネルポリシリコン膜58の図示を省略しており、絶縁膜57およびチャネルポリシリコン膜58は孔部HL内に形成されたもののみを示している。
【0120】
絶縁膜56は選択トランジスタのゲート絶縁膜として機能する膜であり、CVD法またはISSG法によって形成される酸化シリコン膜またはALCVD(Atomic Layer CVD)法により形成されるhigh−k絶縁膜からなるものである。孔部HLの内部に相変化材料層を形成するため、絶縁膜57およびチャネルポリシリコン膜58は孔部HLの内壁のみに異方性を持たせて堆積することが重要であり、ALCVD法を用いることが好ましい。
【0121】
チャネルポリシリコン膜58は、選択トランジスタのチャネルとして機能する半導体層であり、n型の不純物(例えばP(リン))を含むポリシリコンからなり、CVD法などによりアモルファスシリコン膜として成膜後、レーザーアニールにより結晶化して形成する。チャネルポリシリコン膜58は絶縁膜52、56と同層においては不純物濃度を他の領域のチャネルポリシリコン膜58よりも濃くし、選択トランジスタのソース・ドレイン領域として動作させる。このソース・ドレイン領域の不純物濃度は1×1018cm―3以上が望ましい。また、選択トランジスタのチャネルとして機能する領域(第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64と同層の領域)ではチャネルポリシリコン膜58の不純物濃度を薄くする。選択トランジスタのチャネルとして機能する領域のチャネルポリシリコン膜58の不純物濃度は1×1018cm−3以下が望ましい。なお、領域によって異なる不純物濃度を有するチャネルポリシリコン膜58を形成する方法としては、CVD法によりチャネルポリシリコン膜58を形成する際に、アモルファスシリコン膜を堆積するシーケンスの中で、導入する不純物(例えばP(リン))の濃度を変えながら堆積する方法が簡便であり好ましい。
【0122】
この時点では相変化材料層は形成されていないので、熱負荷低減の目的でレーザーアニールを行ってチャネルポリシリコン膜58を結晶化させる必要はなく、ランプなどを用いた加熱炉によるアモルファスシリコン膜の結晶化および不純物の活性化を行っても良く、またはより高温を必要とするポリシリコン状態での成膜によりチャネルポリシリコン膜58を形成することも可能である。ただし、後述するように2層目以降のメモリアレイのチャネルポリシリコン膜を製造する際には、レーザーアニールが必須となる。本実施の形態では、1層目および1層目より上層の選択トランジスタの特性を同等にそろえるために、図40の工程で2層目以降に用いるのと同じレーザーアニールを用いてチャネルポリシリコン膜58を結晶化している。
【0123】
次に、図35に示すように、チャネルポリシリコン膜58上および孔部HLの内部に相変化材料層16を形成する。相変化材料層16は、例えばGeSbTeからなり、ALCVD法またはスパッタ法を用いて形成する。他の相変化材料としては、カルコゲン元素(S(硫黄),Se(セレン),Te(テルル))のうちの少なくとも1元素を含む材料で組成を選択することにより同程度の性能を有する相変化材料が得られる。相変化材料層16の膜厚は、5nm以上300nm以下とする。
【0124】
相変化材料層16の形成前にあらかじめスパッタエッチングを行ない、孔部HLの底部に形成された絶縁膜57、チャネルポリシリコン膜58を除去して不純物拡散層50の上面を露出させ、不純物拡散層50と相変化材料層16との接触を良くすることが望ましい。続いて、CMP法により絶縁膜57、チャネルポリシリコン膜58および相変化材料層を研磨し、絶縁膜56の上面を露出させる。
【0125】
次に、図36に示すように、第1ノードである選択トランジスタ部のみにおいて、メモリセルブロックの選択性を持たせるため、ドライエッチング法により孔部HL内の相変化材料層16を取り除く。すなわち、孔部HL内の相変化材料層16の上面をエッチバックし、相変化材料層16の上面の高さを絶縁膜55と同層の高さにする。言い換えれば、相変化材料層16の上面の高さが第4ポリシリコン膜64の下面より低く、第3ポリシリコン膜63の上面の高さより高い高さになるように相変化材料層16の上面をエッチバックする。これにより、メモリマトリクス内の最上層の選択トランジスタには相変化材料層16が含まれていないため、最上層の選択トランジスタのワード線の電圧制御により最上層の選択トランジスタに流れる電流のみを制御でき、メモリセルブロックを選択して動作させることができる。
【0126】
次に、図37〜図39に示すように、相変化材料層16上および絶縁膜56上に絶縁膜59をCVD法により形成した後、CMP法により絶縁膜59を研磨し、絶縁膜56の上面を露出させることで、孔部HL内を絶縁膜59で埋める。続いて、CVD法またはスパッタ法を用いて絶縁膜56上、絶縁膜59上、絶縁膜57上、チャネルポリシリコン膜58上およびコンタクトプラグC1〜C4上にタングステン膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて前記タングステン膜をパターニングし、前記タングステン膜からなる金属配線M1および配線ML1〜ML4を形成する。
【0127】
金属配線M1はメモリのビット線のパターンであり、絶縁膜56上、絶縁膜59上、絶縁膜57上およびチャネルポリシリコン膜58上に形成され、第2方向に延在するストライプ状のパターンを有する。すなわち、各金属配線M1は第2方向に並ぶ複数のメモリセルブロックのチャネルポリシリコン膜58と電気的に接続されており、第2方向に並ぶ複数のメモリセルブロックの上面を覆うように第2方向に延在して形成されている。配線ML1〜ML4はコンタクトプラグC1〜C4のそれぞれの上部に形成された金属膜であり、配線ML1〜ML4は互いに絶縁されている。なお、各選択ゲート(第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64)およびビット線(金属配線M1)は相変化メモリの書込み、消去および読出しを行うために、周辺回路を含む半導体基板1と電気的に接続されるが、図示は省略する。
【0128】
以上により、第1層目のメモリマトリクスが形成される。本実施の形態では、それぞれのメモリセルブロック内において半導体基板1の主面に垂直な方向に3層積層した積層メモリについて説明したが、メモリセルブロック内のメモリセルの積層数は3層以外の積層数であっても構わない。
【0129】
次に、図40に示すように、メモリセルのビット密度を高くするため、前述した工程により形成した第1層目のメモリマトリクス上に、同様の構造を有する第2層目のメモリマトリクスを積層することにより、本実施の形態の半導体装置を完成する。このとき、前記実施の形態1と同様に、第1層目のメモリマトリクスと、第1層目上に形成された第2層目のメモリマトリクスとの間には、平面的に第1層目のメモリマトリクスと重なり、層間絶縁膜IF1aおよび層間絶縁膜IF1bによって覆われた金属膜19を形成する。金属膜19、層間絶縁膜IF1aおよび層間絶縁膜IF1bは、前記実施の形態1において図16〜図18を用いて説明した工程と同様にして形成する。
【0130】
すなわち、半導体基板1上の全面に層間絶縁膜IF1aをCVD法により堆積し、金属配線M1および配線ML1〜ML4の表面を層間絶縁膜IF1aにより覆う。その後、層間絶縁膜IF1aの上面をCMP法により研磨して平坦化し、続いて層間絶縁膜IF1a上に例えばTiN(窒化チタン)からなる金属膜19をスパッタ法により堆積した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてパターニングする。このとき、金属膜19は金属膜19の下部の相変化材料層16を含むメモリマトリクスと平面的に重なる領域に形成する。続いて、層間絶縁膜IF1a上および金属膜19上にCVD法により層間絶縁膜IF1bを堆積し、層間絶縁膜IF1bにより金属膜19の表面を覆った後、CMP法により層間絶縁膜IF1bの上面を研磨して平坦化する。
【0131】
その後の第2層目のメモリマトリクスは、第1層目のメモリマトリクスと同様の工程により形成することができる。すなわち、層間絶縁膜IF1b上に、第1層目のメモリマトリクスの不純物拡散層50に相当する不純物拡散層70を形成した後、不純物拡散層70上にメモリマトリクスを形成する。第1層目のメモリマトリクス内の第1ポリシリコン膜61〜第4ポリシリコン膜64に相当する第2層目のメモリマトリクス内の第1ポリシリコン膜81〜第4ポリシリコン膜84を形成する際は、それぞれアモルファスシリコン膜を形成してから、COレーザーによるアニールによって結晶化を行い、ポリシリコン状態にすることで第1ポリシリコン膜81〜第4ポリシリコン膜84を形成する。また、第2層目のメモリマトリクス内のチャネルポリシリコン膜78を形成する際は、アモルファスシリコン膜を形成してから、COレーザーによるアニールによって結晶化を行い、前記アモルファスシリコン膜をポリシリコン状態にすることでチャネルポリシリコン膜78を形成する。
【0132】
なお、アモルファスシリコン膜を結晶化するアニール処理では、エキシマレーザー、YAGレーザーのような短波長レーザーを用いることも考えられる。しかし短波長レーザーの場合、波長が短いために光の吸収長が短く、製造工程中の半導体装置の上面から下面に向けて300nm程度の深さまでしか結晶化することができず、それぞれの層のメモリマトリクス内でのメモリセルの積層数が制限されてしまう。また、第2層目以降のメモリマトリクスを形成する際に短波長レーザーによるアニールを用いた場合、シリコンを全て溶解して再結晶化させることになるため、金属膜19への吸熱量が大きくなりすぎ、本発明の効果の一つである下層メモリセルの相変化材料の特性劣化を防ぐ効果が小さくなる。そのため、本実施の形態では、例えばCOレーザー(波長10.6μm)を用いてアモルファスシリコン膜の結晶化を行う。長波長レーザーであるCOレーザー光の吸収長は20μmと長く、各層のメモリマトリクス内のメモリセルの積層数は実用範囲において制限を受けない。
【0133】
また、本実施形態では選択トランジスタをn型のMOSトランジスタとしたが、p型のMOSトランジスタを用いても良い。この場合、半導体基板1にはn型半導体基板を用い、不純物拡散層50、70、チャネルポリシリコン膜58および78はp型の半導体層とする。
【0134】
また、本実施の形態ではメモリマトリクスの積層数を2層のみとしたが、この積層数に限らず、メモリマトリクスの積層数は2層よりも多い積層数であっても構わない。なお、複数層のメモリマトリクスを積層する際、図40と同様に上層のメモリマトリクスとその下層のメモリマトリクスとの間には金属膜19を形成する。
【0135】
本実施の形態では、縦型チェインメモリ構造を有する相変化メモリを有する複数層のメモリマトリクスを積層して構成する半導体装置について説明した。本実施の形態では、前記実施の形態1と同様に、積層されたメモリマトリクス同士の間に金属膜19を形成している。これにより、図40を用いて説明したように、金属膜19の上層のメモリマトリクス内のポリシリコン膜(例えば第1ポリシリコン膜81〜第2ポリシリコン膜82またはチャネルポリシリコン膜58)を形成するためのレーザーアニール工程において、レーザーによって金属膜の下層のメモリマトリクス内の相変化材料層が過度に加熱されることを防ぐことができる。また、各メモリセルのゲート絶縁膜である絶縁膜57がhigh−k絶縁膜からなる場合、レーザーが絶縁膜57に直接当たることによって絶縁膜57の温度が過度に上昇し、絶縁膜57を構成するhigh−k膜の特性が劣化することを防ぐことができる。従って、各層のメモリマトリクスの相変化材料層が融解または昇華することを防ぐことができる。また、各メモリセルのゲート絶縁膜の信頼性が低下することを防ぐことができる。このため、半導体装置の製造工程における歩留まりを向上することができる。また、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0136】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態1と同様に、図40に示す金属膜19の部材に、例えばコンタクトプラグC1〜C4または金属配線M1よりも熱伝導度の低い材料を用いることで、金属膜19がレーザーによって過度に加熱されることを防ぎ、金属膜19が帯びる熱によって第1層目のメモリマトリクスの温度が過度に高くなることを防いでいる。
【0137】
(実施の形態3)
本実施の形態では、CMISFETにより構成される論理回路を含む半導体装置について説明する。図41に、本実施の形態の半導体装置を示す。図41に示すように、本実施の形態のCMISFET(以下単にCMISと言う)は半導体基板1上に複数のCMISを積層した構造を有している。半導体基板1の上面には素子分離領域3が複数形成されており、素子分離領域3同士の間の半導体基板1の上面にはpウエル4aまたはnウエル4bが形成されている。pウエル4a上およびnウエル4b上にはそれぞれゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極GATEが形成されており、ゲート電極GATEの側壁にはサイドウォールSWが形成されている。サイドウォールSWは例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれらの積層膜からなる絶縁膜であり、サイドウォールSWの下部のpウエル4aまたはnウエル4bのそれぞれの上面にはエクステンション領域5a、5bがそれぞれ形成されている。
【0138】
ゲート電極GATEの下部およびサイドウォールSWの下部を除く半導体基板1の上面であって、エクステンション領域5a、5bと素子分離領域3との間には、それぞれ不純物拡散層6a、6bが形成されている。エクステンション領域5a、5bはそれぞれn型半導体領域およびp型半導体領域からなり、不純物拡散層6a、6bはそれぞれn型半導体領域およびp型半導体領域からなる。すなわち、エクステンション領域5aと不純物拡散層6aおよびエクステンション領域5bと不純物拡散層6bはそれぞれLDD(Lightly Doped Drain)構造を有し、不純物拡散層6a、6bはMISFETのソース・ドレイン領域として機能する層である。
【0139】
ゲート電極GATEの上面および不純物拡散層6a、6bの上面にはそれぞれシリサイド層7が形成され、半導体基板1上にはゲート電極GATEを覆うように層間絶縁膜ILD1が形成されている。層間絶縁膜ILD1には、層間絶縁膜ILD1の上面からシリサイド層7に達する複数のコンタクトホールが形成され、前記複数のコンタクトホールのそれぞれの内部には、タングステンを主に含むコンタクトプラグCPが埋め込まれている。層間絶縁膜ILD1上およびコンタクトプラグCP上には絶縁膜IFgと、絶縁膜IFg間にダマシン法により形成された複数の金属配線8とが配置されており、それぞれの金属配線8は、コンタクトプラグCPおよびシリサイド層7を介して不純物拡散層6aまたは6bと電気的に接続されている。
【0140】
このように、pウエル4a上にはゲート電極GATE、ゲート絶縁膜GOX、エクステンション領域5aおよび不純物拡散層6aを有するn型MISFET(nMIS)Qnが形成され、nウエル4b上にはゲート電極GATE、ゲート絶縁膜GOX、エクステンション領域5bおよび不純物拡散層6bを有するp型MISFET(pMIS)Qpが形成されている。ここで、n型MISFET(nMIS)Qnおよびp型MISFET(nMIS)Qpは、第1層目のCMISを構成している。
【0141】
また、金属配線8上および絶縁膜IFg上には層間絶縁膜IF1a、金属膜19および層間絶縁膜IF1bが順に形成されている。層間絶縁膜IF1b上には、第1層目のCMISの半導体基板1に相当するポリシリコン状態のシリコン膜Sbが形成されており、シリコン膜Sbを基板として第1層目のCMISと同様の構造を有する第2層目のCMISがシリコン膜Sb上に形成されている。すなわち、シリコン膜Sbの上面には素子分離領域103、pウエル105aおよびnウエル105bが形成され、pウエル105a上およびnウエル105b上にはそれぞれn型MISFETおよびp型MISFETが形成されている。
【0142】
次に、図42〜図48を用いて本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する。図42〜図48は本実施の形態の製造工程中のCMISの要部断面図を示すものである。
【0143】
まず、図42に示すように、1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなる半導体基板1の主面に素子分離領域3を形成する。素子分離領域3は酸化シリコンなどからなり、STI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidation)法などにより形成される。
【0144】
その後、フォトリソグラフィ技術を用いたイオン注入法により、半導体基板1上にnチャネル型MISFET(以下単にnMISと言う)を形成する領域であるnMIS形成領域Anにpウエル4aを形成する。pウエル4aは、p型の不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入することによって形成する。その後、必要に応じてpウエル4aの表層部にイオン注入を行い、前記イオン注入により導入された不純物の活性化用熱処理を行うことで、後に形成されるnMISのしきい値電圧調整のためのしきい値電圧調整層(図示しない)を形成する。なお、pウエル4aおよびnウエル4bはどちらを先に形成しても構わない。
【0145】
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いたイオン注入法により、半導体基板1上にpチャネル型MISFET(以下単にpMISと言う)を形成する領域であるpMIS形成領域Apにnウエル4bを形成する。nウエル4bは、n型の不純物(例えばP(リン))をイオン注入することによって形成する。その後、必要に応じてnウエル4bの表層部にイオン注入を行い、前記イオン注入により導入された不純物の活性化用熱処理を行うことで、後に形成されるpMISのしきい値電圧調整のためのしきい値電圧調整層(図示しない)を形成する。
【0146】
続いて、半導体基板1の主面上に絶縁膜GFを形成する。絶縁膜GFは、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。また、熱酸化膜の表面をNO(一酸化窒素)ガスなどを用いて窒化し、酸化シリコン膜およびその上の窒化シリコン膜の積層膜により絶縁膜GFを形成することもできる。また、酸窒化シリコン膜により絶縁膜GFを形成することもできる。また、ALCVD法などを用いてハフニウム(HfO、HfSiO、HfSiON)、ジルコニウム(ZrO、ZrSiO、ZrSiON)、アルミナ(Al)など、high−k(高誘電体)絶縁膜により絶縁膜GFを形成することもできる。
【0147】
次に、図43に示すように、絶縁膜GF上にポリシリコン膜およびゲート保護膜GRを順次形成した後、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて前記ポリシリコン膜に不純物を導入する。続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてゲート保護膜GR、前記ポリシリコン膜および絶縁膜GFを加工することで、前記ポリシリコン膜からなるゲート電極GATEおよび絶縁膜GFからなるゲート絶縁膜GOXを形成する。前記ポリシリコン膜およびゲート保護膜GRは、例えばCVD法などで形成する。ゲート保護膜GRの部材は、例えば酸化シリコン膜とする。なお、W(タングステン)、WN(窒化タングステン)、TiN(窒化チタン)、AlN(窒化アルミニウム)などの金属膜を用いてゲート電極GATEを形成してもよい。
【0148】
次に、図44に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域Anにおいてpウエル4aの上面にn型半導体領域であるエクステンション領域5aを形成し、pMIS形成領域Apにおいてnウエル4bの上面にp型半導体領域であるエクステンション領域5bを形成する。
【0149】
エクステンション領域5aは、ゲート電極GATEの下部を除くpウエル4aの上面にn型の不純物(例えばAs(ヒ素))をイオン注入することにより形成する。イオン注入の条件は、加速エネルギーは例えば3keV程度とし、注入量(ドーズ量)は例えば1×1015/cm程度とする。また、エクステンション領域5aを形成するイオン注入工程では、ゲート電極GATEおよびゲート保護膜GRを注入阻止マスクとして機能させるため、エクステンション領域5aはゲート電極GATEに対して自己整合的に形成される。
【0150】
また、同様にp型の不純物(例えばB(ホウ素))をnウエル4bの上面にイオン注入することにより、nウエル4bの上面にエクステンション領域5bを形成する。ここで、エクステンション領域5aを形成するイオン注入工程ではpMIS形成領域Apをフォトレジスト膜で覆い、エクステンション領域5bを形成するイオン注入工程ではnMIS形成領域Anをフォトレジスト膜で覆うため、nMIS形成領域AnとpMIS形成領域Apとでエクステンション領域5aおよび5bを作り分けることができる。
【0151】
次に、図45に示すように、ゲート保護膜GRを除去した後、ゲート電極GATEの表面および半導体基板1の上面を覆うように絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜を異方性エッチングすることにより半導体基板1およびゲート電極GATEの上面を露出させ、ゲート電極GATEの側壁に前記絶縁膜からなるサイドウォールSWを形成する。前記絶縁膜は、例えば酸化シリコンまたは窒化シリコンあるいはそれらの積層膜からなる膜であり、CVD法により堆積する。
【0152】
次に、図46に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域のpウエル4aの上面にn型半導体領域である不純物拡散層6aを形成し、pMIS形成領域のnウエル4bの上面にp型半導体領域である不純物拡散層6bを形成する。
【0153】
不純物拡散層6aは、ゲート電極GATE、サイドウォールSWおよびpMIS形成領域Ap上に形成されたフォトレジスト膜をマスクとしてpウエル4aの上面にn型の不純物(例えばP(リン))をイオン注入することにより形成する。このイオン注入は、半導体基板1の主面に対して垂直な方向から行う。このイオン注入では、加速エネルギーは例えば10keV程度とし、注入量(ドーズ量)は例えば5×1015/cm程度とする。このため、不純物拡散層6aはエクステンション領域5aよりも不純物濃度が高い。
【0154】
また、不純物拡散層6aの接合深さ(半導体基板1の主面に垂直な方向の深さ)は、エクステンション領域5aの接合深さ(半導体基板1の主面に垂直な方向の深さ)よりも深い。すなわち、エクステンション領域5aは、不純物拡散層6aに比べて不純物濃度が低く、かつ浅く形成されている。
【0155】
また、不純物拡散層6aを形成するイオン注入工程では、ゲート電極GATEおよびサイドウォールSWが注入阻止マスクとして機能するので、不純物拡散層6aはゲート電極GATEおよびサイドウォールSWに対して自己整合的に形成される。
【0156】
続いて、p型不純物(例えばB(ホウ素))をイオン注入することにより、不純物拡散層6bを不純物拡散層6aと同様に形成する。なお、不純物拡散層6aおよび不純物拡散層6bはどちらを先に形成しても構わない。
【0157】
その後、エクステンション領域5a、5bおよび不純物拡散層6a、6bに導入された不純物を活性化させるため、nMIS形成領域AnおよびpMIS形成領域Apに対して長波長レーザーアニール処理を1350℃、800μsの条件で行う。前記レーザーアニールでは、例えばCOレーザー(波長10.6μm)を用いる。このアニール処理は、例えばN(窒素)または他のガス種(例えば不活性ガス)の雰囲気中で行う。
【0158】
前記アニール処理により、エクステンション領域5a、5bおよび不純物拡散層6a、6bに導入された不純物を活性化する。これにより、pウエル4a上およびnウエル4b上のそれぞれにnMISQnおよびpMISQpが形成される。なお、第1層目のCMISを構成するエクステンション領域および不純物拡散層のアニール処理の工程では、熱負荷低減の目的でレーザーアニールで行う必要はなく、ランプなどを用いた加熱炉による不純物の活性化を行っても良いが、後述するように第2層目以降のCMISを構成するエクステンション領域および不純物拡散層を活性化させる際にはレーザーアニールが必須となる。本実施の形態では、第1層目および第2層目以降のMISFETの特性を同等に揃えるために、第1層目の活性化工程においても2層目以降で行うアニール処理と同じレーザーアニールを用いている。
【0159】
次に、図47に示すように、周知のサリサイド技術により、ゲート電極GATE上、不純物拡散層6a上および不純物拡散層6b上にニッケルシリサイド(NiSi)からなるシリサイド層7を形成する。続いて、ゲート電極GATEを覆うように半導体基板1上の全面に層間絶縁膜ILD1をCVD法により堆積した後、CMP法によって層間絶縁膜ILD1の上面を平坦化する。続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法により、層間絶縁膜ILD1の上面からシリサイド層7に達するコンタクトホールを形成した後、前記コンタクトホール内および層間絶縁膜ILD1上に主にタングステンからなる金属膜を形成し、CMP法により前記金属膜を研磨して層間絶縁膜ILD1の上面を露出させることにより、層間絶縁膜ILD1の上面からシリサイド層7の上面に達するコンタクトプラグCPを形成する。なお、ここではゲート電極GATE上に形成されるコンタクトプラグは図示していない。
【0160】
続いて、層間絶縁膜ILD1上およびコンタクトプラグCP上に絶縁膜IFgを形成し、周知のダマシンプロセスによって、絶縁膜IFgの同層であって、それぞれのコンタクトプラグCP上に金属配線8を形成する。以上により、第1層目のCMISが形成される。
【0161】
次に、第1層目のCMIS上に金属膜を形成した後、前記金属膜上に第2層目のCMISを形成する。CMIS論理回路を積層させた場合、前記CMIS回路を有するSRAM等の論理設計のレイアウト自由度を向上させることができる。
【0162】
すなわち、図48に示すように、絶縁膜IFg上および金属配線8上に、前記実施の形態1および2と同様にCVD法およびCMP法を用いて、層間絶縁膜IF1a、金属膜19、層間絶縁膜IF1bを形成する。その後、第2層目のCMISの基板となるシリコン膜Sbを形成する。シリコン膜SbはCVD法を用いてアモルファスシリコン状態で成膜した後、レーザーアニールにより結晶化してポリシリコン状態にすることで形成する。その後、図41〜図47を用いて説明した方法と同様にして第2層目のCMISを形成することにより、本実施の形態の半導体装置を完成する。なお、本実施の形態ではCMISの積層数は2層のみとしたが、2層より多い複数層を積層しても構わない。
【0163】
本実施の形態では、シリコン膜Sbの結晶化アニールに加えて、CMIS論理回路の不純物拡散層の活性化におけるレーザーアニールにおいて、アニールを行う層のCMISの下層のCMISが過度に加熱されることを防いでいる。すなわち、前記実施の形態1および2とは異なり、本実施の形態では、相変化材料の耐熱性による特性劣化を防止する目的ではなく、ゲート電極上および不純物拡散層上に形成されたNiSiからなるシリサイド層7の高温化による特性劣化を防止するために、第1層目のCMISと第2層目のCMISとの間に金属膜を配置している。NiSiは過度な高温処理により凝集し、抵抗値が高くなるため、デバイス特性の劣化を防止ためにシリサイド層7が過度に熱せられることを防ぐ必要がある。また、ゲート絶縁膜にhigh−k膜を用いた場合、high−k膜も高温により特性が劣化するため、本実施の形態ではゲート絶縁膜の特性劣化を防止することができる。
【0164】
本実施の形態で説明したように、本発明は不揮発性半導体記憶装置に限らず、その他の周辺回路または論理回路に用いられるMISFETのように、高温によって特性が劣化する構造、または高温によって機能を失い、正常に動作しなくなるような構造を有する層(構造体)を積層する半導体装置に適用することができる。
【0165】
なお、本実施の形態では、前記実施の形態1と同様に、図41に示す金属膜19の部材に、例えばコンタクトプラグCPまたは金属配線8よりも熱伝導度の低い材料を用いることで、金属膜19がレーザーによって過度に加熱されることを防ぎ、金属膜19が帯びる熱によって第1層目のCMISの温度が過度に高くなることを防いでいる。
【0166】
また、本実施の形態で説明した不純物拡散層のアニール工程およびシリコン膜Sb(図48参照)の結晶化の際のアニール工程において、エキシマレーザーまたはYAGレーザーのような短波長レーザーを用いることも考えられる。しかし、これらのレーザーのような短波長の光は酸化膜に対して透過性を有するため、素子分離領域の下のシリコン膜(例えば図48に示すシリコン膜Sbおよび半導体基板1)を溶解する虞がある。また、酸化膜を短波長レーザーが透過することにより、ポリシリコンなどの半導体材料で構成されるゲート電極が溶解する虞がある。また、パターン(例えば、ゲート電極のパターン)の粗密差の発生や、下地材料(例えば、Si基板、酸化シリコン膜)に対する依存性が生じるなどの問題がある。このため、ソース・ドレイン領域を形成するために、半導体基板に導入した不純物をエキシマレーザーのような短波長レーザーで活性化することは容易ではない。
【0167】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の半導体装置の製造方法は、複数層の積層構造を有し、それぞれの層を形成する際にレーザーアニールを行う半導体装置に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0169】
1 半導体基板
2 素子分離層
3 素子分離領域
4a pウエル
4b nウエル
5a、5b エクステンション領域
6a、6b 不純物拡散層
7 シリサイド層
8 金属配線
11 ワード線
11a タングステン膜
12 p型層
12a p型アモルファスシリコン膜
12c p型ポリシリコン膜
13 n型層
13a ノンドープアモルファスシリコン膜
13b n型アモルファスシリコン膜
13c n型ポリシリコン膜
14 シリサイド層
15 下部電極
15a 金属膜
16 相変化材料層
17 上部電極
17a 金属膜
18 ビット線
18a タングステン膜
19 金属膜
21 ワード線
22 p型層
22c p型ポリシリコン膜
23 n型層
23c n型ポリシリコン膜
24 シリサイド層
25 下部電極
26 相変化材料層
27 上部電極
28、38、48 ビット線
29 金属膜
31、41 ワード線
39 金属膜
46 相変化材料
50、70 不純物拡散層
52〜57、72〜77 絶縁膜
58、78 チャネルポリシリコン膜
59 絶縁膜
61、81 第1ポリシリコン膜
62、82 第2ポリシリコン膜
63、83 第3ポリシリコン膜
64、84 第4ポリシリコン膜
103 素子分離領域
105a pウエル
105b nウエル
An nMIS形成領域
Ap pMIS形成領域
BL1、BL2 ビット線
C1〜C4、CP、CP1a〜CP4a コンタクトプラグ
CP1b〜CP3b、CP2、CP2b コンタクトプラグ
DIF 拡散層
FL1 配線
GATE ゲート電極
GF 絶縁膜
GL1〜GL3、GL2〜GL3 ゲート配線
GOX ゲート絶縁膜
GR ゲート保護膜
GWC コンタクトプラグ
HL 孔部
IF、IF1、IF1a、IF1b、IF2a、IF2b、IF3b 層間絶縁膜
IFc、IFd、ILD1、ILD2 層間絶縁膜
IFg 絶縁膜
M1 金属配線
M1a〜M4a、M1b〜M4b、M2a、M2b 配線層
MC1 下層メモリセル
MC2 上層メモリセル
MF 金属膜
ML1〜ML4 配線
Qn n型MISFET
Qp p型MISFET
SMC 選択セル
ST 電界効果トランジスタ
STGL1 ゲート配線
SW サイドウォール
Sb シリコン膜
USMC 非選択セル
WL1、WL2 ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1領域に形成された第1半導体素子を有する第1構造体と、
前記第1構造体上に、前記第1半導体素子と絶縁されて形成された金属膜と、
前記金属膜上に、前記金属膜と絶縁されて形成された第2半導体素子を有する第2構造体と、
前記半導体基板の第2領域に形成され、前記金属膜と絶縁された第3半導体素子を有する第3構造体と、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子と前記第3構造体とをそれぞれ電気的に接続する第1接続部材および第2接続部材と、
を有し、
前記金属膜は前記第1接続部材および前記第2接続部材よりも低い熱伝導度を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記金属膜は前記第1半導体素子と平面的に重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属膜は、複数の元素からなる化合物または合金からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2半導体素子はポリシリコン膜を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ポリシリコン膜はレーザーによる熱処理を行うことで形成されていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体素子は、
前記半導体基板の主面の第1方向に延在するストライプ状の複数の第1配線と、
前記複数の第1配線のそれぞれの上部に所定の間隔をおいて形成され、前記複数の第1配線のそれぞれと電気的に接続された複数のダイオードと、
前記複数のダイオードのそれぞれの上に形成され、前記複数のダイオードと電気的に接続された複数の不揮発性メモリと、
前記複数の不揮発性メモリ上に形成され、前記複数の不揮発性メモリと電気的に接続された、前記第1方向と直交する第2方向に延在するストライプ状の複数の第2配線と、
を有し、
前記複数のダイオードのそれぞれは第1導電型の多結晶半導体層および第2導電型の多結晶半導体層が積層された柱状の積層構造を有し、
前記複数の不揮発性メモリのそれぞれは前記複数のダイオードのそれぞれの上に順に積層された第1金属電極膜、相変化材料層および第2金属電極膜からなる柱状の積層構造を有し、
前記複数の第1配線および前記複数の第2配線は、前記複数の不揮発性メモリを選択するワード線およびビット線を構成していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体素子は、
前記半導体基板の主面上に形成された第1導電膜と、
前記第1導電膜上に交互に積層された複数の第2絶縁膜および複数の第2導電膜と、
前記複数の第2絶縁膜および前記複数の第2導電膜は前記第1導電膜の上面に達する複数の孔を有し、
前記複数の孔のそれぞれの内壁に、前記内壁に沿って前記内壁側から順に形成された、第3絶縁膜、チャネル半導体層および前記複数の孔の底部において前記第1導電膜と電気的に接続された相変化材料層と、
前記チャネル半導体層上および前記第2絶縁膜上に形成され、前記半導体基板の主面に沿う方向にストライプ状に延在する複数の第2配線と、
を有し、
前記複数の第2導電膜、前記第3絶縁膜、前記チャネル半導体層、および前記相変化材料層により構成された複数の不揮発性メモリを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体素子は相変化材料層を有する不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2半導体素子は、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の下部の前記半導体基板を挟むように前記半導体基板の主面に形成された複数の不純物拡散層と、
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
(a)半導体基板上に、第1半導体素子を有する第1構造体を形成する工程と、
(b)前記第1構造体上に、前記第1半導体素子と平面的に重なるように前記第1半導体素子と絶縁された第1金属膜を形成する工程と、
(c)前記第1金属膜上に、前記第1金属膜と絶縁された第2半導体素子を有する第2構造体を形成する工程と、
を有し、
前記(c)工程では、前記第2半導体素子を形成する際にレーザーにより熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
(d)前記半導体基板上に、前記第1金属膜と絶縁された第3半導体素子を有する第3構造体を形成する工程と、
(e)前記第3半導体素子と前記第1半導体素子とを電気的に接続する第1接続部材を形成する工程と、
(f)前記第3半導体素子と前記第2半導体素子とを電気的に接続する第2接続部材を形成する工程と、
を有し、
前記第1金属膜は前記第1接続部材および前記第2接続部材よりも熱伝導度が低いことを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の少なくとも一方はメモリであり、
前記第3半導体素子は前記メモリの周辺回路であることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記(c)工程では、アモルファスシリコン膜を前記レーザーにより熱処理することで多結晶化し、ポリシリコン膜を形成することを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記レーザーの波長は3μm以上であることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記レーザーによる熱処理の時間は10ms以下であることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記レーザーによる熱処理の温度は1000℃以上であることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第2半導体素子は、
(g1)前記第1構造体上に第1半導体膜、第2金属膜、前記第2金属膜と電気的に接続された第1導電型の半導体層および第2導電型の半導体層を順次形成する工程と、
(g2)前記第1導電型の半導体層および前記第2導電型の半導体層を前記レーザーを用いて熱処理する工程と、
(g3)前記(g2)工程の後、前記第2導電型の半導体層上に第1金属電極膜、相変化材料層および第2金属電極膜を順次形成する工程と、
(g4)前記半導体基板の主面に沿う第1方向に沿って前記第2金属電極膜、前記相変化材料層、前記第1金属電極膜、前記第2導電型の半導体層、前記第1導電型の半導体層および前記第2金属膜をストライプ状に加工して、前記第2金属膜からなる複数の第1配線と、前記第2金属電極膜、前記相変化材料層、前記第1金属電極膜、前記第2導電型の半導体層および前記第1導電型の半導体層を含む複数の第1パターンとを形成し、
(g5)前記複数の第1配線同士の間および前記複数の第1パターン同士の間を第1絶縁膜で埋め込んだ後、前記複数の第1パターンのそれぞれの上面を露出させる工程と、
(g6)前記第1絶縁膜上および前記第2金属電極膜上に、前記第2金属電極膜と電気的に接続された第3金属膜を形成する工程と、
(g7)前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記第3金属膜、前記第1絶縁膜および前記複数の第1パターンをストライプ状に加工して、前記第3金属膜からなる複数の第2配線、前記第1絶縁膜および前記複数の第1パターンを含む複数の第2パターンを形成し、前記第1金属電極膜、前記相変化材料層および前記第2金属電極膜からなる複数の不揮発性メモリを形成する工程と、
(g8)前記複数の第2パターン同士の間を層間絶縁膜で埋め込んだ後、前記層間絶縁膜の上面を平坦化する工程と、
により形成されることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第2半導体素子は、
(h1)前記第1構造体上に第1半導体膜および第1導電膜を順次形成する工程と、
(h2)前記第1導電膜上に複数の第2絶縁膜と複数の第2導電膜とを交互に積層する工程と、
(h3)前記複数の第2絶縁膜および前記複数の第2導電膜を貫き前記第1導電膜の上面を露出する複数の孔を形成する工程と、
(h4)前記複数の孔の内壁に第3絶縁膜およびチャネル半導体層を順次形成した後、前記チャネル半導体層をレーザーにより熱処理した後、前記複数の孔の底部の前記第3絶縁膜および前記チャネル半導体層をエッチバックし、前記第1導電膜の上面を露出する工程と、
(h5)前記複数の孔内に相変化材料層を形成して前記複数の孔内を埋める工程と、
(h6)前記相変化材料層をエッチバックして前記チャネル半導体層の上面を露出させ、前記第2導電膜、前記第3絶縁膜、前記チャネル半導体層および前記相変化材料層からなる複数の不揮発性メモリを形成する工程と、
(h7)前記(h6)工程の後、前記チャネル半導体層上に、前記チャネル半導体層と電気的に接続された第3金属膜を形成する工程と、
(h8)前記第1方向に直交する第2方向に沿って前記第3金属膜をストライプ状に加工し、前記第3金属膜からなる第2配線を形成する工程と、
により形成されることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記(h2)工程では、前記第1導電膜上に前記複数の第2絶縁膜と第2半導体膜からなる前記複数の第2導電膜とを交互に積層し、前記複数の第2導電膜のそれぞれをレーザーによって熱処理することを特徴とする請求項18記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2半導体素子は、
(i1)前記第1構造体上に第1半導体膜、絶縁膜および第2半導体膜を順次形成する工程と、
(i2)前記絶縁膜および前記第2半導体膜をパターニングし、前記絶縁膜からなるゲート絶縁膜と、前記第2半導体膜からなるゲート電極とを形成する工程と、
(i3)前記ゲート電極をマスクとして前記第1半導体膜の上面に不純物を打ち込み、複数の不純物拡散層を形成した後、前記不純物拡散層をレーザーによって熱処理する工程と、
(i4)前記ゲート電極上および前記不純物拡散層上に複数のシリサイド層を形成する工程と、
により形成された、前記ゲート電極、前記ゲート絶縁膜、前記不純物拡散層を含む電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2011−253943(P2011−253943A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126983(P2010−126983)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】