説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】大きな面積のウェハを貼り合わせた場合に該ウェハ間に形成される間隙にも十分に注入することができ、かつ注入途中で硬化しない接着部材を提供する。
【解決手段】接続領域を有する接着基板および被接着基板と、接着基板および被接着基板の各接続領域の間に配置された接続部材と、接続部材を囲み、接着基板と被接着基板とを接着する接着部材とを備えた半導体装置であって、接着部材は、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により官能基の活性化機能を発現する硬化剤と、を含み、硬化剤により活性化された官能基が他の官能基と結合することによって硬化する樹脂である半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。本発明は、特に、複数枚のウェハをバンプのような接続部材を介して接合することにより製造される半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体チップを貼り合わせて、マルチチップ半導体モジュールを形成する技術が知られている。貼り合わせたチップ間には、各チップを電気的に接続するバンプ等の接続部材が配置され、アンダーフィルと称される接着部材でチップ間の機械的接続を補強する。
【0003】
たとえば特許文献1は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー等のエラストマーおよびポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンを含むフリップチップボンディングと組合せて用いる液状封止剤樹脂組成物を開示する。たとえば特許文献2は、酸無水物と混合した場合に常温で液状となるエポキシ樹脂、常温で液状の酸無水物およびキシレン樹脂を含むアンダーフィル材料に用いられる一液型エポキシ樹脂組成物を開示する。たとえば特許文献3は、芳香族性アセタール基とエポキシ基とを1分子中に有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を開示する。さらにたとえば特許文献4は、熱可塑性樹脂、分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物、150〜750nmの光照射または80〜200℃の加熱または光照射と加熱を併用することでラジカルを発生する硬化剤および特定のシラン化合物を有する接着剤組成物を開示する。
【特許文献1】特許3716237号公報
【特許文献2】特許3897303号公報
【特許文献3】特開2006−008883号公報
【特許文献4】特開2005−054140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サイズが十分に小さいチップ同士を接着する場合のように接着基板および被接着基板のそれぞれの接着面積が小さい場合、前記した特許文献に記載の接着剤等をアンダーフィルに適用することができる。しかし、チップサイズが大きくなり、特に、ウェハとウェハとを貼り合わせる場合のように接着基板および被接着基板のそれぞれの接着面積が大きい場合には、以下のような問題が発生する可能性がある。すなわち、接着基板および被接着基板の間隙へのアンダーフィルの注入時に、接着基板および被接着基板間の間隙がアンダーフィルで埋め尽くされる前に当該アンダーフィルの硬化が開始され、間隙をアンダーフィルで十分に充填できない問題が発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、接続領域を有する接着基板および被接着基板と、接着基板および被接着基板の各接続領域の間に配置された接続部材と、接続部材を囲み、接着基板と被接着基板とを接着する接着部材とを備えた半導体装置であって、接着部材は、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により官能基の活性化機能を発現する硬化剤と、を含み、硬化剤により活性化された官能基が他の官能基と結合することによって硬化する樹脂である半導体装置を提供する。
【0006】
また本発明の第2の形態においては、接続領域を有する接着基板および被接着基板と、接着基板および被接着基板の各接続領域の間に配置された接続部材と、接続部材を囲み、接着基板と被接着基板とを接着する接着部材とを備えた半導体装置であって、接着部材は、官能基を有する主剤と、官能基を活性化する硬化剤と、硬化剤による官能基の活性化を抑制する硬化抑制機能を発現し、エネルギーの印加により硬化抑制機能を喪失する硬化抑制物質または硬化抑制基とを含み、硬化剤により活性化された官能基が他の官能基と結合することによって硬化する樹脂である半導体装置を提供する。
【0007】
また本発明の第3の形態においては、接着基板および被接着基板の少なくとも一方の接続領域に接続部材を形成する接続部材形成段階と、接着基板の接続領域に形成された接続部材と被接着基板の接続領域に形成された接続部材とが当接するように、または、接着基板または被接着基板の接続領域に形成された接続部材と接続部材が形成されていない接着基板または被接着基板の接続領域とが当接するように、接着基板および被接着基板を圧着する基板圧着段階と、接着基板および被接着基板の間に形成された間隙に、毛細管現象を利用して接着部材を注入する接着部材注入段階と、接着基板および被接着基板の間の間隙に注入された接着部材を硬化させる接着部材硬化段階と、を備える半導体装置の製造方法であって、接着部材は、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により官能基の活性化機能を発現する硬化剤と、を含む樹脂であり、接着部材注入段階では、硬化剤が活性化機能を発現しないレベルの低エネルギーを接着部材に付与して、接着部材の粘度を低下させ、接着部材硬化段階では、硬化剤が活性化機能を発現するレベルの高エネルギーを接着部材に付与して、接着部材を硬化する、半導体装置の製造方法を提供する。
【0008】
さらに本発明の第4の形態においては、接着基板および被接着基板の少なくとも一方の接続領域に接続部材を形成する接続部材形成段階と、接着基板の接続領域に形成された接続部材と被接着基板の接続領域に形成された接続部材とが当接するように、または、接着基板または被接着基板の接続領域に形成された接続部材と接続部材が形成されていない接着基板または被接着基板の接続領域とが当接するように、接着基板および被接着基板を圧着する基板圧着段階と、接着基板および被接着基板の間に形成された間隙に、毛細管現象を利用して接着部材を注入する接着部材注入段階と、接着基板および被接着基板の間の間隙に注入された接着部材を硬化させる接着部材硬化段階と、を備える半導体装置の製造方法であって、接着部材は、官能基を有する主剤と、官能基を活性化する硬化剤と、硬化剤による官能基の活性化を抑制する硬化抑制機能を発現し、エネルギーの付与により硬化抑制機能を喪失する硬化抑制物質または硬化抑制基と、を含む樹脂であり、接着部材注入段階では、硬化抑制物質または硬化抑制基が硬化抑制機能を発現するレベルの低エネルギーを接着部材に付与して、接着部材の粘度を低下させ、接着部材硬化段階では、硬化抑制物質または硬化抑制基が硬化抑制機能を喪失するレベルの高エネルギーを接着部材に付与して、接着部材を硬化する、半導体装置の製造方法を提供する。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態の半導体装置5の断面例を示す。半導体装置5は、接着基板10、被接着基板20、接続部材30、接続部材35および接着部材40を備える。なお、接着基板10と被接着基板20とは入れ替えてもよい。
【0012】
接着基板10は、接続領域12を有しており、接続領域12には、接続部材30が形成される。接着基板10には、たとえば半導体集積回路が形成されており、接続領域12は、接着基板10に形成された半導体集積回路の出力端子、入力端子または電源端子として機能できる。接着基板10の表面にはパッシベーション膜14が形成され、接続領域12を除く接着基板10の表面を保護できる。パッシベーション膜14として、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜が例示できる。
【0013】
被接着基板20は、接続領域22を有しており、接続領域22には、接続部材35が形成される。被接着基板20には、たとえば半導体集積回路が形成されており、接続領域22は、被接着基板20に形成された半導体集積回路の出力端子、入力端子または電源端子として機能できる。被接着基板20の表面にはパッシベーション膜24が形成され、接続領域22を除く被接着基板20の表面を保護できる。パッシベーション膜24として、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜が例示できる。
【0014】
接着基板10および被接着基板20は、たとえばシリコンウェハが例示できる。特に、8インチ以上の大きなサイズを有するシリコンウェハが例示できる。本実施形態では、大きなサイズを有する基板を貼り合わせた場合であっても、接着基板10および被接着基板20の間に形成された後述する間隙(スタンドオフと称される場合がある)に十分に充填できるアンダーフィル材料を提供する。よって本実施形態で提供するアンダーフィル材料は、大面積の基板に適用してより効果的といえる。
【0015】
接続部材30および接続部材35は、接着基板10および被接着基板20のそれぞれの接続領域12および接続領域22の間に配置される。接続部材30および接続部材35として、スズおよび銅あるいはスズおよび銀の合金等を主成分とする金属材料が適用されたバンプが例示できる。接着基板10の接続領域12と被接着基板20の接続領域22との間への接続部材30の配置により、接着基板10および被接着基板20間には、前記した間隙が形成されている。なお、接続部材30と接続部材35の材料は同じであっても、あるいは異なっていてもよい。
【0016】
接着部材40は、接続部材30および接続部材35を囲み、接着基板10と被接着基板20とを接着する。接着部材40は、樹脂であり、硬化前において、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により官能基の活性化機能を発現する硬化剤とを含み、硬化剤により活性化された官能基が他の官能基と結合することによって硬化する。
【0017】
なお、図示する接着部材40は、硬化後の接着部材を示している。本実施形態の説明において、硬化前の接着部材にも接着部材40の符号を用いる場合がある。硬化前と硬化後では接着部材40の分子構造は変化しているが、硬化前の接着部材40は、所定の熱処理等により一義的に硬化後の接着部材40に変化するから、同一の符号により接着部材を指標する場合がある。
【0018】
接着部材40は、たとえばエポキシ樹脂が例示できる。特に、脂肪族系エポキシ樹脂またはエーテル系エポキシ樹脂が例示できる。脂肪族系エポキシ樹脂またはエーテル系エポキシ樹脂の場合、フェノール系エポキシ樹脂と比較して硬化前の粘度が低く、接着基板10および被接着基板20の間隙への充填が行いやすいから接着部材40に好適といえる。粘度を低下させる手法として、他に主剤における水酸基濃度を低下させる方法を例示することもできる。
【0019】
接着部材40の主剤であってよいプレポリマーとして、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの共重合体が例示できる。主剤にはエポキシドで例示できる官能基を有する。官能基は、たとえばアミンで例示できる硬化剤によって活性化され、他の官能基と結合することによって硬化反応を生じる。
【0020】
硬化剤は、たとえば加熱による分子構造の変化により活性化機能を発現できる。硬化剤がアミン系材料の場合の分子構造を化1に示す。
【化1】

【0021】
窒素原子は非共有電子対を有しており、この電子対から主剤の官能基、たとえばエポキシドに電子が供給されて三員環の開環反応が生じる。その結果官能基が活性化される。
【0022】
ただし、化1に示す硬化剤の場合、窒素原子とトリメチル基との間に中間基Xを有する。トリメチル基の立体障害効果によって、非供給電子対の官能基への電子転移が容易には行われず、官能基の活性化がそのままでは生じない。ここで、たとえば熱等のエネルギーを硬化剤に付与することにより、中間基Xが解離され、あるいはメチル基等の反応によって、化1に示す分子構造がアミンに変化する。アミンへの構造変化によって、立体障害が解消して、官能基の活性化が生じるようになる。
【0023】
このような硬化剤により、硬化剤のたとえば立体障害が解消される温度を適切に設計して、接着部材40の硬化反応が急激に促進される温度を適切に設計できる。これにより、硬化反応が発生する温度より低い温度に接着部材40を加熱しつつ粘度を下げて接着基板10および被接着基板20の間隙への充填を促進でき、当該間隙に充填された後には硬化反応を生じる温度以上に接着部材40を加熱して、硬化することができる。
【0024】
なお、接着部材40は、硬化剤による官能基の活性化を抑制する硬化抑制機能を発現して、エネルギーの印加により硬化抑制機能を喪失する硬化抑制物質または硬化抑制基を含むことができる。硬化抑制物質または硬化抑制基は、加熱による分子構造の変化、基の離脱または基の置換により硬化抑制機能を喪失することができる。このような硬化抑制物質あるいは硬化抑制基として、化1に示すような中間基Xおよびトリメチル基を備え、立体障害を発現するものを例示できる。あるいは、官能基の濃度を低下させ、官能基への不純物の添加によっても硬化抑制機能を発現させることができる。
【0025】
また、化1ではトリメチル基を例示したが、メチル基等のアルキル基、あるいは環式炭化水素の基であっても良い。また、中間基Xとして酸素、ケトン等が例示できる。
【0026】
接着部材40は、接着基板10と被接着基板20との間の間隙サイズより小さい粒径のフィラーを含むことができる。フィラーを含む接着部材40の熱膨張係数は、1〜20ppm/℃の範囲内にすることができる。これにより、接着部材40と接着基板10または被接着基板20との熱膨張係数を整合させることができ、たとえば半田リフロー等の熱工程が後にあったとしても、接着性を高く維持することができる。なお、接着基板10と被接着基板20との間の間隙サイズとして2μm〜30μm、好ましくは4μm〜20μmが例示できる。フィラーの粒径として1μmあるいはそれ以下の粒径が例示できる。
【0027】
図2から図4は、半導体装置5の製造方法例における断面を示す。図2に示すように、接着基板10および被接着基板20に半導体集積回路を形成して、各基板に接続領域12,22およびパッシベーション膜14,24を形成する。さらに、接着基板10の接続領域12に接続部材30を形成して、被接着基板20の接続領域22に接続部材35を形成する。
【0028】
図3に示すように、接着基板10および被接着基板20を適切に位置あわせして、接続部材30および接続部材35が当接するよう接着基板10および被接着基板20を圧着する。この圧着により貼り合わせ基板50が形成される。ここで適切な温度に加熱してもよい。
【0029】
図4に示すように、接着基板10および被接着基板20の間隙に硬化前の接着部材40を注入する。硬化前の接着部材40の注入には毛細管現象を利用できる。なお、この段階での接着基板10および被接着基板20の温度を、硬化前の接着部材40が硬化せず、かつ粘度が十分低くなる温度に設定して、接着部材40の注入を容易にすることができる。
【0030】
硬化前の接着部材40を注入した後、たとえばハロゲンランプ110により接着基板10および被接着基板20を加熱することにより、接着基板10および被接着基板20を介して接着部材40に熱を与える。加熱の設定温度は、接着部材40が硬化する温度以上とすることができる。このようにして、図1に示す半導体装置5が製造できる。なお、図1に示した半導体装置5は、適切に切断して、個別の半導体装置とすることができる。
【0031】
図5は、半導体装置5の製造方法に利用できる装置100の概要を示す。装置100は、真空容器102、真空ポンプ104、バルブ106、パージバルブ108、ハロゲンランプ110、ハロゲンランプ調節器112、接着剤容器114、ヒータ116、ヒータ調節器118および基板保持機構120を備える。
【0032】
真空容器102の内部は、バルブ106を介して真空ポンプ104により減圧にすることができる。また、真空容器102の内部は、パージバルブ108を介して、たとえば窒素ガス等でパージすることができる。ハロゲンランプ110は、ハロゲンランプ調節器112によりコントロールされ、貼り合わせ基板50を加熱する。貼り合わせ基板50の温度は、ハロゲンランプ調節器112により調節できる。
【0033】
接着剤容器114には、接着部材40が導入され、その内部にヒータ116を有する。ヒータ116は、ヒータ調節器118によりコントロールされて、接着部材40の温度を調節する。貼り合わせ基板50は、基板保持機構120に保持される。基板保持機構120は上下に移動して、貼り合わせ基板50を接着部材40に接液させることができる。
【0034】
貼り合わせ基板50を真空容器102に導入した後、真空ポンプ104により真空容器102の内部を減圧状態にする。その後ハロゲンランプ110により貼り合わせ基板50を加熱して、同時にヒータ116により接着部材40を加熱する。このときの加熱温度は接着部材40が硬化せず、かつ粘度が低下する温度とすることができる。その後、基板保持機構120を下方に移動させて、貼り合わせ基板50を接着部材40に接液する。接着部材40は硬化しておらず、かつ粘度が十分に低下した状態であるから、大面積の貼り合わせ基板50の間隙内に十分に注入できる。
【0035】
その後基板保持機構120を上方に移動させ、ハロゲンランプ110により貼り合わせ基板50の温度をさらに高める。このときの設定温度は、貼り合わせ基板50の間隙内に注入した接着部材40が硬化する温度以上に設定することができる。なお、接着部材40を硬化させる温度での熱処理においては、パージバルブ108を介した窒素等のパージガスを導入して熱伝効率を高めることができる。
【0036】
図6は、接着部材40の温度と粘度の関係を示すグラフ例を示す。温度が高くなるに従い、接着部材40は硬化せず、かつ粘度が低下する。さらに温度を高めて接着部材40の温度が、接着部材40が硬化を開始する硬化開始温度Tgに達すると、接着部材40は硬化反応を開始して、粘度が急激に増加する。このような硬化反応は、前記した硬化剤のたとえば分子構造の変化に起因する。
【0037】
前記した接着部材40の注入時における設定温度は、粘度が十分に低下した温度Tmと硬化開始温度Tgとの間とすることができる。一方、貼り合わせ基板50の間隙に注入した接着部材40を硬化する温度は、硬化開始温度Tg以上の温度とすることができる。
【0038】
本実施形態の半導体装置5によれば、硬化開始温度Tgを境に急激に硬化するとともに、硬化開始温度Tgに至る温度までは粘度が十分に小さくなる接着部材40を用いるから、8インチ以上の大面積ウェハを貼り合わせた場合に当該ウェハの間に形成される間隙にも十分に接着部材40を注入することができる。また、注入した接着部材40は、硬化開始温度Tg以上に加熱することにより硬化させ、半導体装置5の貼り合わせ強度を確保することができる。これにより、個別の半導体装置に分離したときの歩留まりを高めることができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0040】
たとえば、上記実施形態では、加熱により硬化剤の分子構造が変化する例を説明したが、音波、電磁波、X線等の他のエネルギー付与によって硬化剤が活性化されても良い。硬化抑制剤あるいは硬化抑制基の機能が喪失する場合も同様であってよい。
【0041】
また、前記した実施形態では接着基板10および被接着基板20の両方に接続部材30,35を備える例を説明した。しかし図7に示すように、接着基板10に接続部材30を備え、被接着基板20に接続部材を備えないものであってもよい。その逆に、被接着基板20に接続部材を備え、接着基板10に接続部材を備えない場合であってもよい。すなわち接続部材は、接着基板10または被接着基板20の何れか一方に備えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態の半導体装置5の断面例を示す。
【図2】半導体装置5の製造方法例における断面を示す。
【図3】半導体装置5の製造方法例における断面を示す。
【図4】半導体装置5の製造方法例における断面を示す。
【図5】半導体装置5の製造方法に利用できる装置100の概要を示す。
【図6】接着部材40の硬化前における温度と粘度の関係を示すグラフ例を示す。
【図7】半導体装置5の変更例における製造過程での断面例を示す。
【符号の説明】
【0043】
5 半導体装置
10 接着基板
12 接続領域
14 パッシベーション膜
20 被接着基板
22 接続領域
24 パッシベーション膜
30 接続部材
35 接続部材
40 接着部材
50 貼り合わせ基板
100 装置
102 真空容器
104 真空ポンプ
106 バルブ
108 パージバルブ
110 ハロゲンランプ
112 ハロゲンランプ調節器
114 接着剤容器
116 ヒータ
118 ヒータ調節器
120 基板保持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続領域を有する接着基板および被接着基板と、
前記接着基板および前記被接着基板の各接続領域の間に配置された接続部材と、
前記接続部材を囲み、前記接着基板と前記被接着基板とを接着する接着部材と、
を備えた半導体装置であって、
前記接着部材は、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により前記官能基の活性化機能を発現する硬化剤と、を含み、前記硬化剤により活性化された前記官能基が他の官能基と結合することによって硬化する樹脂である、半導体装置。
【請求項2】
前記硬化剤は、加熱による分子構造の変化により前記活性化機能を発現する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
接続領域を有する接着基板および被接着基板と、
前記接着基板および前記被接着基板の各接続領域の間に配置された接続部材と、
前記接続部材を囲み、前記接着基板と前記被接着基板とを接着する接着部材と、
を備えた半導体装置であって、
前記接着部材は、官能基を有する主剤と、前記官能基を活性化する硬化剤と、前記硬化剤による前記官能基の活性化を抑制する硬化抑制機能を発現し、エネルギーの印加により前記硬化抑制機能を喪失する硬化抑制物質または硬化抑制基と、を含み、前記硬化剤により活性化された前記官能基が他の官能基と結合することによって硬化する樹脂である、半導体装置。
【請求項4】
前記硬化抑制物質または前記硬化抑制基は、加熱による分子構造の変化、基の離脱または基の置換により前記硬化抑制機能を喪失する、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記接着部材は、前記接着基板と前記被接着基板との間に形成された間隙の大きさより小さい粒径のフィラーをさらに含む、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接着部材は、エポキシ樹脂である、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接着部材は、脂肪族系エポキシ樹脂またはエーテル系エポキシ樹脂である請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
接着基板および被接着基板の少なくとも一方の接続領域に接続部材を形成する接続部材形成段階と、
前記接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材と前記被接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材とが当接するように、または、前記接着基板または前記被接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材と前記接続部材が形成されていない前記接着基板または前記被接着基板の前記接続領域とが当接するように、前記接着基板および前記被接着基板を圧着する基板圧着段階と、
前記接着基板および前記被接着基板の間に形成された間隙に、毛細管現象を利用して接着部材を注入する接着部材注入段階と、
前記接着基板および前記被接着基板の間の前記間隙に注入された前記接着部材を硬化させる接着部材硬化段階と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記接着部材は、官能基を有する主剤と、エネルギーの付与により前記官能基の活性化機能を発現する硬化剤と、を含む樹脂であり、
前記接着部材注入段階では、前記硬化剤が前記活性化機能を発現しないレベルの低エネルギーを前記接着部材に付与して、前記接着部材の粘度を低下させ、
前記接着部材硬化段階では、前記硬化剤が前記活性化機能を発現するレベルの高エネルギーを前記接着部材に付与して、前記接着部材を硬化する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
接着基板および被接着基板の少なくとも一方の接続領域に接続部材を形成する接続部材形成段階と、
前記接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材と前記被接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材とが当接するように、または、前記接着基板または前記被接着基板の前記接続領域に形成された前記接続部材と前記接続部材が形成されていない前記接着基板または前記被接着基板の前記接続領域とが当接するように、前記接着基板および前記被接着基板を圧着する基板圧着段階と、
前記接着基板および前記被接着基板の間に形成された間隙に、毛細管現象を利用して接着部材を注入する接着部材注入段階と、
前記接着基板および前記被接着基板の間の前記間隙に注入された前記接着部材を硬化させる接着部材硬化段階と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記接着部材は、官能基を有する主剤と、前記官能基を活性化する硬化剤と、前記硬化剤による前記官能基の活性化を抑制する硬化抑制機能を発現し、エネルギーの付与により前記硬化抑制機能を喪失する硬化抑制物質または硬化抑制基と、を含む樹脂であり、
前記接着部材注入段階では、前記硬化抑制物質または前記硬化抑制基が前記硬化抑制機能を発現するレベルの低エネルギーを前記接着部材に付与して、前記接着部材の粘度を低下させ、
前記接着部材硬化段階では、前記硬化抑制物質または前記硬化抑制基が前記硬化抑制機能を喪失するレベルの高エネルギーを前記接着部材に付与して、前記接着部材を硬化する、半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−8977(P2013−8977A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169940(P2012−169940)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2008−99825(P2008−99825)の分割
【原出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】