説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置

【課題】微細なパターンを高精度で形成することのできる半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置を提供する。
【解決手段】基板に第1パターンを形成する工程と、第1パターンの状態を計測する計測工程と、第1パターンを化学的に処理してリソグラフィーに対する耐性を付与するフリージング工程であって、計測工程の計測結果に基づいて処理条件を変更するフリージング工程と、基板に第2パターンを形成する工程とを具備し、フリージング工程は、処理液を塗布する工程と、第1加熱工程と、不要な処理液を除去するストリッピング工程と、第2加熱工程と、を具備し、変更する処理条件は、第1加熱工程の加熱温度、ストリッピング工程の処理時間、第2加熱工程の加熱温度のうちの少なくともいずれか1つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板にプラズマエッチング等のエッチング処理を施す際に使用するマスクを形成するステップを有する半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置等の製造工程においては、半導体ウエハ等の基板にプラズマエッチング等のエッチング処理を施して、微細な回路パターン等を形成することが行われている。このようなエッチング処理工程では、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー工程によって、マスクを形成することが行われている。
【0003】
このようなフォトリソグラフィー工程では、形成するパターンの微細化に対応するため、種々の技術が開発されている。その一つとして、所謂ダブルパターニング技術がある。このダブルパターニング技術では、フォトレジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1リソグラフィー工程と、この第1リソグラフィー工程の後に再度フォトレジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2リソグラフィー工程の2段階のパターニングを行うことによって、1回のパターニングでマスクを形成する場合より微細な間隔のマスクを形成できるようにしたものである。このようなダブルパターニング技術では、第1パターンに第2リソグラフィー工程における耐性を付与するために、第1リソグラフィー工程と第2リソグラフィー工程との間に、第1パターンを化学的に処理するフリージング工程を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、一般的なリソグラフィー技術では、露光した際の潜像パターンの線幅を測定して、フィードフォワード制御により、現像工程を変更して、現像後のパターンの線幅を適正化する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
さらに、リソグラフィー工程でパターニングされたレジストパターンのCDのばらつきを測定し、この測定結果をフィードバックして後に処理される基板のリソグラフィー工程におけるホットプレートの温度プロファイルを調節してCDのばらつきを抑制する技術が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−268742号公報
【特許文献2】特開平10−275755号公報
【特許文献3】特開2008−91918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した第1リソグラフィー工程と、フリージング工程と、第2リソグラフィー工程とを行うダブルパターニング技術では、従来フリージング工程は、第1パターンに第2リソグラフィー工程における耐性を付与するためだけの工程と考えられており、フリージング工程の処理条件は固定化されていて、この処理条件を処理毎に積極的に変更することは行われていない。
【0008】
また、露光された潜像を測定してフィードフォワード制御により現像工程を調節する技術では、実際にパターニングされた現像後のパターンではなく潜像を測定するため高精度なCD制御を行うことが困難である。
【0009】
また、パターニングされたレジストパターンのCDのばらつきを測定し、この測定結果を後に処理される基板のリソグラフィー工程フィードバックする技術では、最初にCDのばらつきを測定する基板に対しては、CDのばらつきを抑制する制御を行うことはできない。また、後に処理される基板についても、CDのばらつきを測定した基板との個体差に基づく寸法誤差の発生は回避することができずその精度に限界がある。
【0010】
本発明は、上記の従来の事情に対処してなされたもので、微細なパターンを高精度で形成することのできる半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、基板上に、被エッチング層をエッチングするための所定形状のパターンを有するマスクを形成するステップを有する半導体装置の製造方法であって、前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1リソグラフィー工程と、前記第1パターンの状態を計測する計測工程と、前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング工程であって、前記計測工程における計測結果に基づいて処理条件を変更するフリージング工程と、前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2リソグラフィー工程と、を具備したパターン形成方法によって前記マスクを形成し、かつ、前記フリージング工程は、前記第1パターンを化学的に処理するための処理液を塗布する工程と、前記第1パターンと前記処理液を反応させるために加熱する第1加熱工程と、不要な前記処理液を除去するためのストリッピング工程と、前記ストリッピング工程の後、乾燥させるための第2加熱工程と、を具備し、変更する前記処理条件は、前記第1加熱工程の加熱温度、前記ストリッピング工程の処理時間、前記第2加熱工程の加熱温度のうちの少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、前記処理条件を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2記載の半導体装置の製造方法であって、前記第1加熱工程及び/又は前記第2加熱工程の加熱温度を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3いずれか1項記載の半導体装置の製造方法であって、前記計測工程では、前記第1パターンの線幅を測定することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第1加熱工程の加熱温度を低くし、細い場合は前記第1加熱工程の加熱温度を高くすることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第2加熱工程の加熱温度を低くし、細い場合は前記第2加熱工程の加熱温度を高くすることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記ストリッピング工程の処理時間を長くし、細い場合は前記ストリッピング工程の処理時間を短くすることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜7いずれか1項記載の半導体装置の製造方法であって、前記フリージング工程の処理条件の変更に応じて、前記第2パターン形成工程の露光条件を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、基板上に、被エッチング層をエッチングするための所定形状のパターンを有するマスクを形成するステップを有する半導体装置の製造方法であって、前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1リソグラフィー工程と、前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング工程と、前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2リソグラフィー工程と、を具備したパターン形成方法によって前記マスクを形成する半導体装置の製造方法において、前記第1リソグラフィー工程と前記フリージング工程との間に、前記第1パターンの状態を計測する計測工程と、前記計測工程によって計測された前記第1パターンの状態に基づいて前記第2リソグラフィー工程後の前記第1パターンの状態を予測する予測工程とをさらに具備し、前記予測工程における予測結果に基づいて前記フリージング工程の処理条件を変更することを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、基板上の被エッチング層をエッチングするためのマスクを形成する半導体装置の製造装置であって、前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1パターン形成手段と、前記第1パターンの状態を計測する計測手段と、前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング手段であって、前記計測手段における計測結果に基づいて処理条件を変更するフリージング手段と、前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2パターン形成手段と、を具備したことを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項10記載の半導体装置の製造装置であって、前記フリージング手段は、前記第1パターンを化学的に処理するための処理液を塗布する塗布機構と、前記第1パターンと前記処理液を反応させるために加熱する第1加熱機構と、不要な前記処理液を除去するためのストリッピング機構と、前記ストリッピング工程の後、乾燥させるための第2加熱機構と、を具備し、変更する前記処理条件は、前記第1加熱機構の加熱温度、前記ストリッピング機構の処理時間、前記第2加熱機構の加熱温度のうちの少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項11記載の半導体装置の製造装置であって、前記処理条件を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項12記載の半導体装置の製造装置であって、前記第1加熱機構及び/又は前記第2加熱機構の加熱温度を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項10〜13いずれか1項記載の半導体装置の製造装置であって、前記計測手段は、前記第1パターンの線幅を測定することを特徴とする。
【0025】
請求項15の発明は、請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第1加熱機構の加熱温度を低くし、細い場合は前記第1加熱機構の加熱温度を高くすることを特徴とする。
【0026】
請求項16の発明は、請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第2加熱機構の加熱温度を低くし、細い場合は前記第2加熱機構の加熱温度を高くすることを特徴とする。
【0027】
請求項17の発明は、請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記ストリッピング機構の処理時間を長くし、細い場合は前記ストリッピング機構の処理時間を短くすることを特徴とする。
【0028】
請求項18の発明は、請求項10〜17いずれか1項記載の半導体装置の製造装置であって、前記フリージング手段の処理条件の変更に応じて、前記第2パターン形成工程の露光条件を変更することを特徴とする。
【0029】
請求項19の発明は、基板上の被エッチング層をエッチングするためのマスクを形成する半導体装置の製造装置であって、前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1パターン形成手段と、前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング手段と、前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2パターン形成手段と、を具備した半導体装置の製造装置において、前記フリージング手段による処理前に前記第1パターンの状態を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された前記第1パターンの状態に基づいて前記第2パターン形成後の前記第1パターンの状態を予測する予測手段とをさらに具備し、前記予測手段における予測結果に基づいて前記フリージング手段の処理条件を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、微細なパターンを高精度で形成することのできる半導体装置の製造方法及び半導体装置の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図。
【図2】図1の方法の工程を示すフローチャート。
【図3】フリージング工程の処理条件と第1パターンの状態の関係とを調べた結果を示すグラフ。
【図4】フリージング工程の処理条件と第2パターンの状態の関係とを調べた結果を示すグラフ。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置の構成を示すブロック図。
【図6】他の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係る基板の一部を拡大して模式的に示し、本実施形態の工程を示すもので、図2,6は、本実施形態の工程を示すフローチャートである。図1に示すように、基板(本実施形態では半導体ウエハ)101には、異なる材料によって形成された第1層102、第2層103、第3層104等の複数の層が下側からこの順で積層されるように形成されている。これらの層のうちの少なくとも1つ(例えば、第3層104)が被エッチング層となる。
【0034】
まず、図1(a)に示すように、第3層104の上に、塗布、露光、現像工程によって、所定のパターンにパターニングされたフォトレジストからなる第1パターン105を形成する第1リソグラフィー工程を行う(図2,6のステップ201)。この第1パターン105を形成するためのフォトレジストとしては、より微細なパターンを形成するためには、ArFレジストを用いることが好ましい。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、上記の第1リソグラフィー工程で形成された第1パターン105の状態を計測する計測工程を実行する(図2,6のステップ202)。この計測工程では、SEM等を用いて拡大像から第1パターン105のCD(本実施形態では線幅)を測定する。この計測工程では、予め定められた数の複数の第1パターン105について計測を行う。これによって、第1パターン105のCDの平均値の設計値からのずれの状態及び第1パターン105のCDの基板101の面内分布の状態(例えば、基板の中央部で線幅が太く、周縁部で線幅が細くなる等の傾向)を求める。
【0036】
ここで、図6のフローチャートに示すように、上記の計測工程における第1パターン105についての計測結果から、後述する第2リソグラフィー工程後の第1パターン105の状態を予測する予測工程(図6のステップ202−2)を設け、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値の設計値からのずれの状態及び第1パターン105のCDの基板101の面内分布の状態を予測してもよい。この予測工程を行うにあたっては、第1リソグラフィー工程で形成された第1パターンの状態と、この後フリージング工程及び第2リソグラフィー工程を行った後の第1パターンの状態との関係を、予めフリージング工程の処理条件及び第2リソグラフィー工程の条件を変更して調査し、調査データとしてデータベース化しておく。そして、計測工程で計測された第1パターンの状態から、このデータベースを用いてその後にフリージング工程及び第2リソグラフィー工程を行った後の第1パターンの状態を予測する。そして、その予測結果が所望の設計値とずれている場合は、次に実施するフリージング工程における処理条件を変更して、第2リソグラフィー工程後の第1パターンの状態が所望の状態となるようにする。
【0037】
次に、上記の計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)に応じて処理条件を変更しつつ図1(c)〜図1(f)に示すフリージング工程を実施する(図2,6のステップ203〜ステップ206)。このフリージング工程では、まず図1(c)に示すように、第1パターン105を化学的に処理するための処理液110を塗布する塗布工程を行う(図2,6のステップ203)。
【0038】
次に、フリージング工程では、図1(d)に示すように、第1パターン105と処理液110を反応させるために加熱する第1加熱工程を行う(図2,6のステップ204)。この第1加熱工程における第1加熱温度は、例えば、127℃〜133℃程度の範囲の温度から計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)に応じて選択される。
【0039】
ここで、図3は、フリージング工程における処理条件が、後述する第2リソグラフィー工程後の第1パターン105の状態に与える影響を調べた結果を示すグラフであり、縦軸はウエハ面内におけるCD(本実施形態では線幅)の平均値を示している。また、図3において、左側は横軸を第1加熱工程における第1加熱温度とし、中央は横軸を後述するストリッピング工程における処理時間(ストリッピング時間)とし、右側は横軸を後述する第2加熱工程における第2加熱温度として、これらがCDの平均値に与える影響を調べた結果を示している。
【0040】
上記図3に示すように、フリージング工程における第1加熱工程の第1加熱温度を低くすると、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向があり、一方、第1加熱工程の第1加熱温度を高くすると第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向がある。
【0041】
したがって、例えば上記計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)のCDの平均値が設計値より太い場合は、第1加熱工程の加熱温度を低くし、細い場合は第1加熱工程の加熱温度を高くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値を設計値に近付けることができる。
【0042】
また、計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)が、例えば、第1パターン105のCDの基板101の面内分布の状態が基板の中央部で線幅が太く、周縁部で線幅が細くなる傾向を示していた場合、第1加熱工程における中央部の加熱温度を低くし、周縁部の温度を高くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDのばらつきを減少させることができる。なお、この第1加熱工程及び後述する第2加熱工程では、複数に分割された加熱領域毎に加熱温度を設定可能な周知のウエハベーク装置等を用いることができる。
【0043】
次に、フリージング工程では、図1(e)に示すように、不要な処理液110を除去するためのストリッピング工程を行う(図2,6のステップ205)。このストリッピング工程では、リソグラフィー工程における現像工程と同様にして行うことができる。つまり、処理液110を除去するための薬液(例えば現像液)120を基板101の表面に供給し、基板101を薬液120と所定の処理時間接触させた後、基板101の回転による薬液120の振り切り、リンス液の供給及び基板101の回転によるリンス液の振り切り等を行うことによって、実施することができる。このストリッピング工程における処理時間(ストリッピング時間)、つまり、薬液(例えば現像液)120を基板101と接触させる時間は、例えば、2分〜6分程度の範囲で計測工程による計測結果に応じて選択される。
【0044】
上記のストリッピング工程では、例えば、基板101と薬液120とを接触させる処理時間を、計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)に応じて変更する。図3の中央部に示すように、フリージング工程の処理時間(ストリッピング時間)を長くすると、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向があり、一方、ストリッピング工程の処理時間(ストリッピング時間)を短くすると第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向がある。
【0045】
したがって、例えば上記計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)のCDの平均値が設計値より太い場合は、ストリッピング工程の処理時間を長くし、細い場合はストリッピング工程の処理時間を短くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値を設計値に近付けることができる。
【0046】
また、計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)が、例えば、第1パターン105のCDの基板101の面内分布の状態が、基板の中央部で線幅が細く、周縁部で線幅が太くなる傾向を示していた場合、中央部のストリッピング工程における処理時間を短くし、周縁部のストリッピング工程における処理時間を長くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDのばらつきを減少させることができる。このような処理時間の制御は、例えば基板101を回転させながら、最初に薬液の供給ノズルを基板105の中央部上方に配置して薬液120を基板105の中央部に供給し、一定時間後に、薬液の供給ノズルを基板105の周縁部上方に移動させて薬液120を基板105の周縁部に供給する方法等によって実施することができる。なお、このストリッピング工程では、上記処理時間に代えて、又は処理時間と共に、処理液110の温度や薬液120の温度を変更するようにしてもよい。
【0047】
次に、フリージング工程では、図1(f)に示すように、乾燥のために加熱する第2加熱工程を行う(図2,6のステップ206)。この第2加熱工程における第2加熱温度は、例えば、159℃〜165℃程度の範囲の温度から計測工程による計測結果に応じて選択される。
【0048】
図3の右側に示すように、フリージング工程における第2加熱工程の第2加熱温度を低くすると、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向があり、一方、第2加熱工程の第2加熱温度を高くすると第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向がある。
【0049】
したがって、例えば、上記計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)のCDの平均値が設計値より太い場合は、第2加熱工程の第2加熱温度を低くし、細い場合は第2加熱工程の第2加熱温度を高くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDの平均値を設計値に近付けることができる。
【0050】
また、計測工程による計測結果(又は予測工程における予測結果)が、例えば、第1パターン105のCDの基板101の面内分布の状態が基板の中央部で線幅が太く、周縁部で線幅が細くなる傾向を示していた場合、第2加熱工程における中央部の加熱温度を低くし、周縁部の温度を高くすることによって、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105のCDのばらつきを減少させることができる。
【0051】
次に、図1(g)に示すように、第3層104の上に、塗布、露光、現像工程によって、所定のパターンにパターニングされたフォトレジストからなる第2パターン106を形成する第2リソグラフィー工程を行う(図2,6のステップ207)。この第2パターン106を形成するためのフォトレジストとしては、より微細なパターンを形成するためには、ArFレジストを用いることが好ましい。
【0052】
上記のダブルパターニングによる工程によって、エッチングのマスクとなるパターンが完成する。そして、このパターンをマスクとして、第3層104等のエッチングを行う。
【0053】
上記のように、本実施形態では、第1リソグラフィー工程において実際に形成した第1パターンのCDを計測工程で計測し、その計測結果(又は計測結果に基づく予測結果)に応じてフリージング工程における処理条件を変更するので、実パターンに基づくフィードフォワード制御により、精度良くCD値が所望の設計値になるよう第1パターンを形成することができる。なお、フリージング工程では、上記した第1加熱温度、第2加熱温度、ストリッピング処理時間の少なくともいずれか1つを変更すればよく、これらのうちの2つ、又は全部を変更してもよい。
【0054】
図4は、フリージング工程における処理条件が、第2リソグラフィー工程後の第2パターン106の状態に与える影響を調べた結果を示すグラフであり、縦軸はウエハ面内におけるCD(本実施形態では線幅)の平均値を示している。また、図4において、左側は横軸を第1加熱工程における第1加熱温度とし、中央は横軸をストリッピング工程における処理時間(ストリッピング時間)とし、右側は横軸を第2加熱工程における第2加熱温度とし、これらが第2パターン106のCDの平均値に与える影響を調べた結果を示している。
【0055】
上記図4に示すように、フリージング工程における処理条件を変更すると、第2リソグラフィー工程後の第2パターン106のCDの状態にも影響を与える。すなわち、例えば図4の左側に示すように、フリージング工程における第1加熱工程の第1加熱温度を低くすると、第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向があり、一方、第1加熱工程の第1加熱温度を高くすると第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向がある。
【0056】
また、図4の中央部に示すように、ストリッピング工程の処理時間(ストリッピング時間)を長くすると、第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向があり、一方、ストリッピング工程の処理時間(ストリッピング時間)を短くすると第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向がある。
【0057】
また、図4の右側に示すように、フリージング工程における第2加熱工程の第2加熱温度を低くすると、第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が増加、つまり線幅が太くなる傾向があり、一方、第2加熱工程の第2加熱温度を低くすると第2リソグラフィー工程の第2パターン106のCDの平均値が減少、つまり線幅が細くなる傾向がある。
【0058】
したがって、前述したフリージング工程における処理条件を変更した場合、第2パターン106を形成する第2リソグラフィー工程において、処理条件、例えば、露光量を変更するようにして、フリージング工程の処理条件の変更に基づく第2パターン106に対する影響を軽減することができる。また、例えば前述したようにフリージング工程の処理条件を基板101の面内の部位によって変更した場合、このような露光量の変更を、基板101の面内の部位(例えば、中央部と周縁部等)毎に露光量が異なるようにして行うこともできる。
【0059】
図5は、上記のパターン形成方法を行うための半導体装置の製造装置の構成を示すものである。同図に示すように、半導体装置の製造装置300は、第1パターン形成部301と、計測部302と、フリージング部303と、第2パターン形成部304とを具備している。また、これらの各部は、半導体ウエハ等の基板を搬送するための基板搬送路310によって接続されており、制御装置320によって統括的に制御されるようになっている。
【0060】
第1パターン形成部301は、前述した第1パターン105を形成するためのものであり、塗布装置、露光装置及び現像装置等を備えている。計測部302は、第1パターン105のCDを測定するためのものであり、SEM等を備えている。
【0061】
また、フリージング部303は、第1パターン105を化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するためのものであり、第1パターン105を化学的に処理するための処理液を塗布する塗布機構と、第1パターンと処理液を反応させるために加熱する第1加熱機構と、不要な処理液を除去するためのストリッピング機構と、乾燥を行うための第2加熱機構等を具備している。
【0062】
第2パターン形成部304は、前述した第2パターン106を形成するためのものであり、塗布装置、露光装置及び現像装置等を備えている。この第2パターン形成部304における塗布装置、露光装置及び現像装置等は、第1パターン形成部301と同様な構成となっており、第1パターン形成部301と第2パターン形成部304において、これらの塗布装置、露光装置及び現像装置等の一部又は全部を共用することができる。
【0063】
そして、制御装置320は、前述したように、計測部302における計測結果に基づいて、フリージング部303における処理条件、及び第2パターン形成手段における露光量を変更するよう構成されている。
【0064】
なお、計測部302における計測結果に基づいて、第2リソグラフィー工程後の第1パターン105の状態を予測する場合は、この予測工程で使用する前述したデータベースを制御装置320に格納しておき、計測工程で計測された第1パターンの状態から、このデータベースを用いて第2リソグラフィー工程後の第1パターンの状態を予測する。そして、この予測結果に基づいて、制御装置320の制御により、フリージング部303における処理条件等を変更する。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
101……基板、102……第1層、103……第2層、104……第3層、105……第1パターン、106……第2パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、被エッチング層をエッチングするための所定形状のパターンを有するマスクを形成するステップを有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1リソグラフィー工程と、
前記第1パターンの状態を計測する計測工程と、
前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング工程であって、前記計測工程における計測結果に基づいて処理条件を変更するフリージング工程と、
前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2リソグラフィー工程と、
を具備したパターン形成方法によって前記マスクを形成し、かつ、
前記フリージング工程は、
前記第1パターンを化学的に処理するための処理液を塗布する工程と、
前記第1パターンと前記処理液を反応させるために加熱する第1加熱工程と、
不要な前記処理液を除去するためのストリッピング工程と、
前記ストリッピング工程の後、乾燥させるための第2加熱工程と、
を具備し、変更する前記処理条件は、前記第1加熱工程の加熱温度、前記ストリッピング工程の処理時間、前記第2加熱工程の加熱温度のうちの少なくともいずれか1つである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記処理条件を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1加熱工程及び/又は前記第2加熱工程の加熱温度を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載の半導体装置の製造方法であって、
前記計測工程では、前記第1パターンの線幅を測定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、
前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第1加熱工程の加熱温度を低くし、細い場合は前記第1加熱工程の加熱温度を高くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、
前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第2加熱工程の加熱温度を低くし、細い場合は前記第2加熱工程の加熱温度を高くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、
前記計測工程で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記ストリッピング工程の処理時間を長くし、細い場合は前記ストリッピング工程の処理時間を短くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載の半導体装置の製造方法であって、
前記フリージング工程の処理条件の変更に応じて、前記第2パターン形成工程の露光条件を変更することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板上に、被エッチング層をエッチングするための所定形状のパターンを有するマスクを形成するステップを有する半導体装置の製造方法であって、
前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1リソグラフィー工程と、
前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング工程と、
前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2リソグラフィー工程と、
を具備したパターン形成方法によって前記マスクを形成する半導体装置の製造方法において、
前記第1リソグラフィー工程と前記フリージング工程との間に、前記第1パターンの状態を計測する計測工程と、前記計測工程によって計測された前記第1パターンの状態に基づいて前記第2リソグラフィー工程後の前記第1パターンの状態を予測する予測工程とをさらに具備し、
前記予測工程における予測結果に基づいて前記フリージング工程の処理条件を変更することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
基板上の被エッチング層をエッチングするためのマスクを形成する半導体装置の製造装置であって、
前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1パターン形成手段と、
前記第1パターンの状態を計測する計測手段と、
前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング手段であって、前記計測手段における計測結果に基づいて処理条件を変更するフリージング手段と、
前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2パターン形成手段と、
を具備したことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造装置であって、
前記フリージング手段は、
前記第1パターンを化学的に処理するための処理液を塗布する塗布機構と、
前記第1パターンと前記処理液を反応させるために加熱する第1加熱機構と、
不要な前記処理液を除去するためのストリッピング機構と、
前記ストリッピング工程の後、乾燥させるための第2加熱機構と、
を具備し、変更する前記処理条件は、前記第1加熱機構の加熱温度、前記ストリッピング機構の処理時間、前記第2加熱機構の加熱温度のうちの少なくともいずれか1つである
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造装置であって、
前記処理条件を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造装置であって、
前記第1加熱機構及び/又は前記第2加熱機構の加熱温度を、前記基板の面内の部位によって変更することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項14】
請求項10〜13いずれか1項記載の半導体装置の製造装置であって、
前記計測手段は、前記第1パターンの線幅を測定することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、
前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第1加熱機構の加熱温度を低くし、細い場合は前記第1加熱機構の加熱温度を高くすることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項16】
請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、
前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記第2加熱機構の加熱温度を低くし、細い場合は前記第2加熱機構の加熱温度を高くすることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項17】
請求項14記載の半導体装置の製造装置であって、
前記計測手段で計測された前記第1パターンの線幅が設計値より太い場合は前記ストリッピング機構の処理時間を長くし、細い場合は前記ストリッピング機構の処理時間を短くすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項10〜17いずれか1項記載の半導体装置の製造装置であって、
前記フリージング手段の処理条件の変更に応じて、前記第2パターン形成工程の露光条件を変更することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項19】
基板上の被エッチング層をエッチングするためのマスクを形成する半導体装置の製造装置であって、
前記基板に第1レジストを塗布し、露光、現像して第1パターンを形成する第1パターン形成手段と、
前記第1パターンを化学的に処理してリソグラフィー工程に対する耐性を付与するフリージング手段と、
前記基板に第2レジストを塗布し、露光、現像して第2パターンを形成する第2パターン形成手段と、
を具備した半導体装置の製造装置において、
前記フリージング手段による処理前に前記第1パターンの状態を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された前記第1パターンの状態に基づいて前記第2パターン形成後の前記第1パターンの状態を予測する予測手段とをさらに具備し、
前記予測手段における予測結果に基づいて前記フリージング手段の処理条件を変更することを特徴とする半導体装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−287856(P2010−287856A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142583(P2009−142583)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】