説明

半導体装置の製造方法

【課題】リソグラフィの解像限界以上で、かつ、寸法制御性に優れた超微細パターンを容易に形成する。
【解決手段】パターニングすべき第1の膜として、例えばアモルファスシリコン膜13を形成し、このアモルファスシリコン膜13上にラインとスペースの比率が略3:1のパターン14、17を形成し、次いで、パターン14、17をマスクとしてアモルファスシリコン膜13を加工し、次いで、パターン14、17を両側から幅が略1/3となるまでスリミングした後、このスリミングされたパターンの反転パターン層として、例えばBSG膜18を形成し、次いで、このBSG膜18をマスクとしてアモルファスシリコン膜13を再加工して、ラインとスペースの比率が略1:1で、かつ、ピッチが元の略半分のパターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体デバイスの高集積化、高性能化に伴い、パターン形成に要求される寸法は年々微細になってきている。特に高集積化の進むメモリデバイスにおいては微細なラインアンドスペースパターンが必要とされており、それを実現させるためにリソグラフィ技術は技術的革新を続けている。しかし、最近は微細化の要求がリソグラフィの解像限界を超え始めており、それに伴い解像限界以上の超微細パターンを形成する方法が提案されてきている。
【0003】
その一つが、レジストなどで形成されたパターンの側壁に形成した膜を残存させ、これをパターンとして使用する、いわゆる側壁残し法と称する方法である。しかし、この方法では、側壁に残存した膜の形状が左右非対称となり、寸法制御が困難になるという難点がある。
【0004】
そこで、この問題を解決するものとして、ラインアンドスペースが3:1のパターン形成を2度繰り返すことにより、初期ピッチの半分のピッチのパターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法は、製造工程が煩雑であるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−19496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、リソグラフィの解像限界以上で、かつ、寸法制御性に優れた超微細パターンを容易に形成することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、パターニングすべき第1の膜上に、ラインとスペースの比率が略3:1のパターンを形成する工程と、前記パターンをマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、前記第1の膜の加工後に、前記パターンを両側から幅が略1/3となるまでスリミングした後、このスリミングされたパターンの反転パターンを形成する工程と、前記反転パターンをマスクとして前記加工された第1の膜を再加工する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、パターニングすべき第1の膜上に、ラインとスペースの比率が略3:1のパターンを形成する工程と、前記パターンをマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、前記加工された第1の膜両側の幅それぞれ略1/3分を改質する工程と、前記第1の膜の非改質部分を選択的に除去する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、パターニングすべき第1の膜上にラインとスペースの比率が略1:3のパターンを有する膜を形成し、この膜の両側に該膜と幅が略等しい側壁を形成する工程と、前記膜とその両側の側壁をマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、前記加工された第1の膜のスペースを充填材で埋め込むとともに、前記ラインとスペースの比率が略1:3のパターンを有する膜を選択的に除去する工程と、前記側壁をマスクとして前記第1の膜を再加工する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様による半導体装置の製造方法によれば、リソグラフィの解像限界以上で、かつ、寸法制御性に優れた超微細パターンを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に何ら限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について説明する。図1(a)〜(j)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。なお、本実施形態および以下に示す実施形態においては、素子分離領域やゲート電極を加工する際のハードマスク、ダマシン構造の配線の溝形成などに使用することが可能なオルトケイ酸テトラエチル(以下、TEOSと略す)膜やシリコン窒化膜のラインアンドスペースパターン形成を行う際のハードマスクとなるアモルファスシリコン膜などのパターン形成を行う場合を説明するが、工程や材料を適宜使い分けることによって微細なパターン形成が必要な種々の膜に広く適用できることはいうまでもない。
【0012】
本実施形態においては、まず、シリコンなどの半導体基板11上にCVD(Chemical Vapour Deposition)技術を用いてTEOS膜12、アモルファスシリコン膜13およびシリコン窒化膜14を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いて反射防止膜15およびレジスト16を順次積層し、このレジスト16にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト16が残ったライン部とレジスト16が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は1:1程度とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図1(a))。
【0013】
次に、このパターニングされたレジスト16をマスクとして、ドライエッチング技術を用いて反射防止膜15およびシリコン窒化膜14をそれぞれ順に加工する(図1(b))。さらに、アッシング技術およびウェット洗浄技術を用いて反射防止膜15およびレジスト16を除去した後、CVD技術を用いてシリコン窒化膜17をラインアンドスペースの比率が略3:1になるように堆積する(図1(c))。
【0014】
次に、再びドライエッチング技術を用いて下地のアモルファスシリコン膜13が露出するようにシリコン窒化膜17を加工し(図1(d))、さらに、ドライエッチング技術を用いてシリコン窒化膜14、17をマスクとしてアモルファスシリコン膜13を下地のTEOS膜12が露出するまで加工する。加工後のラインアンドスペースの比率は略3:1のままである(図1(e))。
【0015】
次に、ウエットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜14とシリコン窒化膜17を同時に等方的にエッチングし、ラインアンドスペースの比率が1:3のシリコン窒化膜14のパターンを形成する(図1(f))。さらに、このパターニングされたシリコン窒化膜14上にホウ素を添加したシリコン酸化膜(以下、BSG膜と称する)18をCVD技術を用いて厚く堆積した後、このBSG膜18の表面をCMP(Chemical Mechanial Polishing)技術によってシリコン窒化膜14の表面が露出するまで削り取る(図1(g))。
【0016】
次に、再びウエットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜14を除去し、ラインアンドスペースの比率が図1(f)のそれとは逆転した略3:1のBSG膜18のパターンを形成する(図1(h))。続いて、このパターニングされたBSG膜18をマスクとしてドライエッチング技術を用いてアモルファスシリコン膜13を加工し(図1(i))、さらに、フッ酸ベーパー処理によりBSG膜18を選択的に除去する。この結果、ラインアンドスペースの比率が1:1で、かつ、ピッチが、元のレジスト16のラインアンドスペースのピッチEの略半分、つまりE/2のアモルファスシリコン膜13のパターンが形成される(図1(j))。
【0017】
本実施形態においては、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程はなく、図1(a)に示すリソグラフィ技術の解像度の限界内のパターンのレジスト16をマスクとした加工が最も細いラインパターンをマスクとした加工であって、その後は、逆により太いラインパターンをマスクとして狭いスペースを形成している。このような方法によれば、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するアモルファスシリコン膜13のパターンを容易に形成することができる。
【0018】
ここで、本実施形態との比較のために、いわゆる側壁残し法によって、本実施形態と同様、ラインアンドスペースの比率が1:1で、かつ、そのピッチが、元のレジストパターンのラインアンドスペースのピッチの半分であるアモルファスシリコン膜のパターンを形成した例について、図2を用いて説明する。
【0019】
この例では、まず、シリコンなどの半導体基板101上にCVD技術を用いてTEOS膜102およびシリコン窒化膜103を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いて反射防止膜104およびレジスト105を順次積層し、このレジスト105にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースの比率が1:1で、ピッチEのパターンを形成する(図2(a))。続いて、ドライエッチング技術を用いて反射防止膜104を加工しながら、レジスト105のライン部を等方的に後退させて、ラインアンドスペースの比率を1:3とする。ライン部の寸法はE/4となる(図2(b))。次に、ライン部寸法をE/4までスリミングしたレジスト105をマスクとしてフルオロカーボン系のガスを用いるドライエッチング技術によりシリコン窒化膜103を加工し(図2(c))、さらに、アッシング技術およびウェット洗浄技術を用いて反射防止膜104とレジスト105を除去し、ラインアンドスペースの比率が1:3のシリコン窒化膜103のパターンを形成する(図2(d))。次に、CVD技術を用いてアモルファスシリコン膜106をラインアンドスペースの比率が3:1になるように堆積する(図2(e))。続いて、ドライエッチング技術を用いてシリコン窒化膜103とシリコン酸化膜102の各表面が露出するまでエッチバックし、シリコン窒化膜103の側壁にアモルファスシリコン膜106からなる側壁層を形成する(図2(f))。この後、ウエットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜103を除去する。この結果、ラインアンドスペースの比率が1:1で、かつ、そのピッチが、元のレジスト105のラインアンドスペースのピッチの半分であるアモルファスシリコン膜106のパターンが形成される(図2(g))。
【0020】
このような方法においては、図2(d)に示すように、シリコン窒化膜103のパターンにいわゆる肩落ちFが生じる。これは、シリコン窒化膜103を加工する際、マスクとして使用するレジスト105が、ライン幅E/4までスリミングされたものであるため、ファセットが形成されてしまい、レジストが極端に消費されることによる。なお、シリコン窒化膜103の加工後を示す図2(c)には、反射防止膜104とレジスト105が示されているが、実際には、加工工程でレジスト105が消失してしまい、図2(d)に示すようなパターンが既に形成されている。このように肩落ちFが形成されたシリコン窒化膜103上に、アモルファスシリコン膜106を堆積し、加工し、シリコン窒化膜103を除去しても、図2(e)〜(g)に示すように、最終的にライン部形状が左右非対称のアモルファスシリコン膜106のパターンが形成され、これをマスクとしてパターン転写を行った場合には、この非対称性がそのまま転写され、デバイス特性に影響を及ぼすことになる。
【0021】
ここで、上記のように細いラインパターンをマスクとした場合に、パターンの肩落ちが発生しやすい原因を図3(a)および(b)を用いてさらに検証する。図3(a)においては、半導体基板201上にTEOS膜202が形成され、その上には寸法AのラインL1と寸法BのラインL2(但し、A>>>B)を有するレジストパターン203が形成されている。ここでフルオロカーボン系のガスを用いるドライエッチング技術によってレジストパターン203をマスクとしてTEOS膜202を加工するとき、イオンによるスパッタリングによってラインL1、L2の両側に図2(b)に示すような肩落ちFが発生する。寸法が十分に大きいラインL1ではこれらの肩落ち部Fが離れているが、寸法の小さいラインL2では肩落ち部Fが重なり、レジストの消費が加速され、レジストパターン203の残膜に差Rが生じる。この肩落ちFはレジストをマスクとする場合に特に顕著である。こうしてライン寸法が細くなるとパターン転写を行う際にマスク材料の残膜が急激に減少し、肩落ちが発生してデバイス寸法にズレを生じさせ、デバイス特性に重大な影響を与える。
【0022】
このように、細いラインパターンをマスクとして加工する工程、特に微細なレジストパターンをマスクとして加工する工程を含む場合、左右非対称のラインアンドスペースパターンが形成され、ひいてはデバイス特性に重大な影響を与えることになる。しかしながら、本実施形態では、細いラインパターンをマスクとして加工する工程を含まないため、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細であって、かつ、左右対称性に優れるラインアンドスペースパターンを形成することができる。
【0023】
また、本実施形態では、図1(c)および図1(d)に示したようなスペーサ(側壁材料)の堆積と加工というプロセスを、例えば図1(h)に示すシリコン窒化膜14除去後に、BSG膜をスペーサとして適用することにより、容易にアモルファスシリコン膜13のラインアンドスペースの比率を調整することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。図4(a)〜(j)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。
【0025】
まず、シリコンなどの半導体基板21上にCVD技術を用いてTEOS膜22、アモルファスシリコン膜23およびシリコン窒化膜24を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いてノボラック樹脂などの有機材料膜25、SOG(spin on glass)膜26およびレジスト27を順次積層し、このレジスト27にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト27が残ったライン部とレジスト27が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は1:1程度とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図4(a))。続いて、このパターニングされたレジスト27をマスクとして、フルオロカーボンガスを用いたドライエッチング技術によりSOG膜26をテーパ加工する。この際、SOG膜26の下部におけるラインアンドスペースの比率を3:1程度とする(図4(b))。このようなラインアンドスペースの比率の調整は、例えばドライエッチング用ガスとしてCガス、COガス、ArガスおよびOガスの混合ガスを用い、そのガス分圧を制御することにより可能であり、例えばCガスの分圧を上げることによりテーパ面を水平に近付けることができ、Oガスの分圧を上げることにより垂直に近付けることができる。
【0026】
次に、ドライエッチング技術により、レジスト27を除去しながら、SOG膜26をマスクとして有機材料膜25を加工する(図4(c))。続いて、ドライエッチング技術を用いて、シリコン窒化膜24を加工し、さらにアモルファスシリコン膜23を加工する(図4(d))。テーパ状で残っていたSOG膜26はシリコン窒化膜24を加工する初期の段階で除去されてしまい、ラインの形状にほとんど影響することはない。
【0027】
続いて、アッシング技術およびウェット洗浄技術を用いて有機材料膜25を除去することにより、ラインアンドスペースの比率が3:1のアモルファスシリコン膜23とシリコン窒化膜24の積層パターンを形成する(図4(e))。次に、ウエットエッチング技術によりシリコン窒化膜24を等方的にエッチングし、ラインアンドスペースの比率が1:3のシリコン窒化膜24のパターンを形成する(図4(f))。さらに、このパターニングされたシリコン窒化膜24上にBSG膜28をCVD技術を用いて厚く堆積した後、このBSG膜28の表面をCMP技術によってシリコン窒化膜24の表面が露出するまで削り取る(図4(g))。
【0028】
次に、再びウエットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜24を除去し、ラインアンドスペースの比率が図4(f)のそれとは逆転した3:1のBSG膜28のパターンを形成する(図4(h))。続いて、このパターニングされたBSG膜28をマスクとしてドライエッチング技術を用いてアモルファスシリコン膜23を加工し(図4(i))、さらに、フッ酸ベーパー処理によりBSG膜28を除去する。この結果、ラインアンドスペースの比率が略1:1で、ピッチが元のレジスト27のラインアンドスペースのピッチEの略半分、つまりE/2のアモルファスシリコン膜23のパターンが形成される(図4(j))。
【0029】
本実施形態においても、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程がないため、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するアモルファスシリコン膜23のパターンを容易に形成することができる。
【0030】
また、本実施形態では、第1の実施形態と相違して、レジストのパターンを厚い有機材料膜に転写する工程を含む。これは、近年、リソグラフィ技術においては微細パターンを形成するためにレジスト膜厚が急激に薄くなってきていることに対応するためであり、レジストをマスクとしてシリコン窒化膜を加工するのが困難な場合にそれを解決することができる。また、シリコン窒化膜24およびアモルファスシリコン膜23を一度のエッチング工程で加工することができ、スペース寸法調整のためのシリコン窒化膜の再堆積も省略することが可能となることにより、工程がより簡便となる効果も有する。
【0031】
さらに、本実施形態では、従来の側壁残し法で用いられているような側壁の成膜工程や、側壁でラインアンドスペースパターンを形成する際に必要なエッチング工程およびその後処理工程を省略することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。図5(a)〜(f)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。
【0033】
まず、シリコンなどの半導体基板31上にCVD技術などを用いてTEOS膜32およびアモルファスシリコン膜33を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いてレジスト34を積層し、このレジスト34にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト34が残ったライン部とレジスト34が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は1:1程度とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図5(a))。
【0034】
次に、このパターニングされたレジスト34にレジストシュリンク法を適用して反応層35を形成し、スペース部の寸法を元の略半分、つまりE/4とする(図5(b))。なお、レジストシュリンク法に代えて、多層レジスト技術を用いてもよい。続いて、この反応層35を形成したレジスト34をマスクとしてドライエッチング技術によりアモルファスシリコン膜33を加工し、ラインアンドスペースの比率が略3:1のアモルファスシリコン膜33と反応層35を形成したレジスト34の積層パターンを形成する(図5(c))。
【0035】
次に、ドライエッチング技術もしくはウエットエッチング技術を用いて反応層35を形成したレジスト34をスリミング化し、ラインアンドスペースの比率を略1:3とする。ライン部の寸法は略E/4となる(図5(d))。続いて、イオンインプラント法などを用いてボロン、酸素、窒素などの元素を照射することにより、アモルファスシリコン膜33のレジスト34でマスクされていない部分を改質する(図5(e))。図5(e)中、33Aはイオンの注入によって改質されたアモルファスシリコン膜33の改質部を示す。続いて、アッシング技術およびウェット洗浄技術を用いてレジスト34を除去し、さらに、コリンなどの薬液処理によりアモルファスシリコン膜33の非改質部を選択的に除去し、改質部33Aを残す。この結果、ラインアンドスペースの比率が略1:1で、ピッチが元のレジスト34のラインアンドスペースのピッチEの略半分、つまりE/2のアモルファスシリコン膜33の改質部33Aのパターンが形成される(図5(f))。
【0036】
本実施形態においても、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程がないため、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するアモルファスシリコン膜33の改質部33Aのパターンを容易に形成することができる。
【0037】
なお、アモルファスシリコンに代わるパターン形成材料としては、Al、Ti、Co、Niなどの金属材料、有機絶縁材料、MSQ(methylsilsesquioxane)、HSQ(hydrogensilsesquioxane)などの絶縁材料が例示される。有機絶縁材料や、MSQ(methylsilsesquioxane)、HSQ(hydrogensilsesquioxane)などの絶縁材料からなる膜にパターン形成する場合、膜改質方法として、上記したイオンインプラント法の他、電子線や紫外光の照射、プラズマ処理などの方法を用いることができる。
【0038】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。図6(a)〜(h)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。
【0039】
まず、シリコンなどの半導体基板41上にCVD技術を用いて、シリコン酸化膜42、アモルファスシリコン膜43、シリコン窒化膜44およびBSG膜45を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いてレジスト46を積層し、このレジスト46にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト46が残ったライン部とレジスト46が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は1:1とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図6(a))。
【0040】
次に、このパターニングされたレジスト46をマスクとして、ドライエッチング技術によりBSG膜45をテーパ加工し、さらに、アッシング技術を用いてレジスト46を除去する。この際、BSG膜45の下部におけるラインアンドスペースの比率を3:1とする(図6(b))。
【0041】
続いて、このテーパ加工されたBSG膜45をマスクとして、ドライエッチング技術を用いてシリコン窒化膜44およびアモルファスシリコン膜43をそれぞれ順に加工し(図6(c))、さらに、ウエットエッチング技術を用いてBSG膜45を除去する(図6(d))。次に、ウエットエッチング技術もしくはドライエッチング技術を用いて、シリコン窒化膜44のライン部を等方的にエッチングし、ラインアンドスペースの比率が1:3のシリコン窒化膜44のパターンを形成する(図6(e))。その後、例えば800℃以上のO雰囲気やプラズマO雰囲気下でアモルファスシリコン膜43の表面を酸化し、酸化膜43Aを形成する(図6(f))。
【0042】
続いて、ドライエッチング技術またはウエットエッチング技術を用いてシリコン窒化膜44を除去し、さらに、アモルファスシリコン膜43の表面に酸化膜43Aが形成されていない領域を異方的にエッチング除去する(図6(g))。その後、再び、例えば800℃以上のO雰囲気やプラズマO雰囲気下でアモルファスシリコン膜43のエッチング加工表面にも酸化膜43Aを形成する。この酸化膜43Aの形成により、パターンの左右対称性を向上させることができる。この結果、ラインアンドスペースの比率が略1:1で、かつ、ピッチが、元のレジスト46のラインアンドスペースのピッチEの略半分、つまりE/2のアモルファスシリコン膜43のパターンが形成される(図6(h))。
【0043】
本実施形態においても、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程がないため、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するアモルファスシリコン膜43のパターンを容易に形成することができる。また、本実施形態では、従来の側壁残し法で用いられているような側壁の成膜工程や、側壁でラインアンドスペースパターンを形成する際に必要なエッチング工程およびその後処理工程、さらには、CMP工程を省略することができる。
【0044】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。図7(a)〜(e)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。
【0045】
まず、シリコンなどの半導体基板51上にCVD技術などを用いてTEOS膜52およびアモルファスシリコン膜53を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いて、熱処理やプラズマ処理などによる下層への影響を防止するためのSiNなどからなる保護膜54およびレジスト55を順次積層し、このレジスト55にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト55が残ったライン部とレジスト55が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は略1:1とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図7(a))。
【0046】
次に、このパターニングされたレジスト55の側面にレジストシュリンク法を適用して反応層56を形成し、スペース部の寸法を元の半分、つまりE/4とする(図7(b))。なお、レジストシュリンク法に代えて、多層レジスト技術を用いてもよい。続いて、この反応層56を形成したレジスト55をマスクとしてドライエッチング技術により保護膜54およびアモルファスシリコン膜53を加工し、ラインアンドスペースの比率が3:1のアモルファスシリコン膜53、保護層54および反応層56を形成したレジスト55からなる積層パターンを形成する(図7(c))。
【0047】
次に、アッシング技術およびウェット洗浄技術を用いてレジスト55を反応層56とともに除去した後、O、N、NHなどのガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、パターニングされたアモルファスシリコン膜53を側面から等方的に改質する(図7(d))。図7(d)中、53Aは熱処理によって改質されたアモルファスシリコン膜53の改質部、また、53Bは非改質部を示す。なお、改質は、熱処理に代えてプラズマ処理により行ってもよい。この際、ライン部中央の非改質部53Bとその両側の改質部53Aの寸法を略同一とする。例えば、Oガス雰囲気中で熱処理した場合には、シリコン酸化物からなる改質部53Aが形成される。続いて、コリンなどの薬液処理により保護膜54とアモルファスシリコン53の非改質部53Bを選択的に除去する。この結果、ラインアンドスペースの比率が略1:1で、かつ、ピッチが、元のレジスト55のラインアンドスペースのピッチEの半分、つまりE/2のアモルファスシリコン膜53の改質部53Aのパターンが形成される(図7(e))。
【0048】
本実施形態においても、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程がないため、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するアモルファスシリコン膜53の改質部53Aのパターンを容易に形成することができる。
【0049】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について説明する。図8(a)〜(j)は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を示す断面図である。
【0050】
まず、シリコンなどの半導体基板61上にCVD技術を用いてシリコン窒化膜62およびアモルファスシリコン膜63を順次堆積する。次に、その上にスピンコート技術を用いて反射防止膜64およびレジスト65を順次積層し、このレジスト65にリソグラフィ技術を用いてラインアンドスペースパターンを形成する。この際、レジスト65が残ったライン部とレジスト65が除去されたスペース部の寸法比率、つまりラインアンドスペース比率は1:1程度とする。ライン部とスペース部の合計で表されるピッチは、Eである(図8(a))。
【0051】
続いて、ドライエッチング技術により反射防止膜64を加工しながら、レジスト65のライン部を等方的に後退させ(図8(b))、さらに、この後退させたレジスト65をマスクとしてドライエッチング技術によりアモルファスシリコン膜63を加工し、ラインアンドスペースの比率を1:3程度とする。ライン部の寸法は略E/4となる(図8(c))。次に、アッシング技術およびウェットエッチング技術を用いて反射防止膜64とレジスト65を除去し、ラインアンドスペースの比率が略1:3のアモルファスシリコン膜63のパターンを形成した後、CVD技術を用いてTEOS膜66を堆積させる。この際、堆積させるTEOS膜66の膜厚は、パターニングされたアモルファスシリコン膜63のライン部の寸法と略同一とする。(図8(d))。続いて、ドライエッチング技術を用いてアモルファスシリコン膜63とシリコン窒化膜62の各表面が露出するまでエッチバックし、アモルファスシリコン膜63にTEOS膜66からなる側壁を形成する。この側壁の幅は、アモルファスシリコン膜63のライン部の寸法と略同一であるため、ラインアンドスペースの比率は略3:1となる(図8(e))。次に、TEOS膜66からなる側壁が形成されたアモルファスシリコン膜63をマスクとして、ドライエッチング技術を用いて半導体基板61が露出するようにシリコン窒化膜62を加工する(図8(f))。
【0052】
続いて、その全面に再びTEOS膜66と同一組成の膜、TEOS膜67を、CVD技術を用いて厚く堆積してスペース部を埋め込んだ後、このTEOS膜67の表面をCMP技術を用いてアモルファスシリコン膜63の表面が露出するまで削り取る(図8(g))。CMP技術に代えて、ドライエッチング技術を用いてTEOS膜67をエッチバックしてもよい。次に、ウエットエッチング技術を用いてTEOS膜66と選択比を持たせてアモルファスシリコン膜63を除去して、ラインアンドスペースの比率が3:1のTEOS膜66、67のパターンを形成する(図8(h))。続いて、このパターニングされたTEOS膜66、67をマスクとしてドライエッチング技術を用いてシリコン窒化膜62を加工し(図8(i))、さらに、ウエットエッチング技術を用いてTEOS膜66、67を除去する。この結果、ラインアンドスペースの比率が略1:1で、ピッチが元のレジスト65のラインアンドスペースのピッチEの略半分、つまりE/2のシリコン窒化膜62のパターンが形成される(図8(j))。
【0053】
本実施形態においては、図8(b)に示すように、リソグラフィ技術の解像度の限界より微細なラインパターンをマスクとして加工する工程を含んでおり、アモルファスシリコン膜63にTEOS膜66からなる側壁を形成する工程(図8(e))において、図2で説明したようなパターンの肩落ちが発生しているものと推測される。しかしながら、その後の工程において肩落ち部がTEOS膜67によって埋められるため、その影響が実質的に解消され、左右対称の寸法制御性に優れたライン形状を有するシリコン窒化膜62が形成される。つまり、後に行われるシリコン窒化膜62の2回目の加工を含めて、シリコン窒化膜62を加工する際のマスク材のラインアンドスペースの比率は3:1とライン部寸法が太くなっており、マスク材の肩落ちのない安定した加工が実現できる。
【0054】
以上説明した実施形態においては、いずれも、最初にパターニングするレジストのラインアンドスペースの比率を1:1程度とし、その後、ラインアンドスペースの比率が略3:1(実施形態1〜5)または略1:3(実施形態6)のパターンを形成しているが、最初のパターニングの際の比率は1:1に限定されない。さらに、通常のリソグラフィ技術にてラインアンドスペースの比率が略3:1または略1:3のレジストパターンを形成し、これをアモルファスシリコン膜に対するマスクパターンとして用いることも可能である。この場合、製造工程をより簡略化することができる。
【0055】
本発明の実施の形態は本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図2】側壁残し法による半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】パターンの肩落ちの発生原因を説明するための断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
11,21,31,41,51,61…半導体基板、12,22,32,52,66,67…TEOS膜、13,23,33,43,53,63…アモルファスシリコン膜、14,17,24,44,62…シリコン窒化膜、15,64…反射防止膜、16,27,34,46,55,65…レジスト、18,28,45…BSG膜、25…有機材料膜、26…SOG膜、33A,53A…改質部、35,56…反応層、42…シリコン酸化膜、43A…酸化膜、53B…非改質部、54…保護膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングすべき第1の膜上に、ラインとスペースの比率が略3:1のパターンを形成する工程と、
前記パターンをマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、
前記第1の膜の加工後に、前記パターンを両側から幅が略1/3となるまでスリミングした後、このスリミングされたパターンの反転パターンを形成する工程と、
前記反転パターンをマスクとして前記加工された第1の膜を再加工する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
パターニングすべき第1の膜上に、ラインとスペースの比率が略3:1のパターンを形成する工程と、
前記パターンをマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、
前記加工された第1の膜両側の幅それぞれ略1/3分を改質する工程と、
前記第1の膜の非改質部分を選択的に除去する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記パターンを形成する工程は、ラインとスペースの比率が略1:1のパターンを有する膜を形成した後、ラインとスペースの比率が略3:1となるように前記膜の両側に側壁を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記パターンを形成する工程は、前記パターンが形成されるべき膜上に少なくとも第2の膜を形成し、その上にラインとスペースの比率が略1:1のパターンを有する第3の膜を形成した後、前記第3の膜をマスクとして前記第2の膜をテーパ加工してラインとスペースの比率が略3:1のパターンを形成し、さらに、この第2の膜に形成されたパターンを前記パターンが形成されるべき膜まで転写する工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
パターニングすべき第1の膜上にラインとスペースの比率が略1:3のパターンを有する膜を形成し、この膜の両側に該膜と幅が略等しい側壁を形成する工程と、
前記膜とその両側の側壁をマスクとして前記第1の膜を加工する工程と、
前記加工された第1の膜のスペースを充填材で埋め込むとともに、前記ラインとスペースの比率が略1:3のパターンを有する膜を選択的に除去する工程と、
前記側壁をマスクとして前記第1の膜を再加工する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−65093(P2009−65093A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233908(P2007−233908)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】