説明

半導体装置の製造方法

【課題】モールド金型を用いた半導体装置のレジン封止工程においては、上下モールド金型の内面のキャビティ部やポット部に樹脂カスが発生する。これらのレジンバリを除去するために、通常、専用のバキューム・クリーナにより、クリーニングしている。しかし、フィラの微細化等に起因して、封止レジンの流動性が増加する傾向にあるため、プランジャ部周辺間隙へのレジン流入が増加して、通常のクリーニングでは、完全除去が不可能となる場合があることが本願発明者等によって明らかにされた。
【解決手段】本願発明は、トランスファ・モールドによるレジン封止工程を有する半導体装置の製造方法において、先行する基体にレジン封止体を形成した後、後続の基体をセットする前に、モールド金型内面をクリーニングする際に、キャビティ部とポット部が別個の吸引排気ファンまたは集塵ファンに連結して排気されるクリーニング・ヘッドを用いて実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置(または半導体集積回路装置)の製造方法におけるレジン封止技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2000−12580号公報(特許文献1)には、レジン・モールド装置内において、モールド体を金型から取り出した後、プランジャを上下動させて、付着した樹脂カスを金型上面に飛散させ、その後、クリーナがプランジャ上を移動(往復又は繰り返し)して、飛散した樹脂カスを吸引除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−12580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モールド金型を用いた半導体装置のレジン封止工程においては、上下モールド金型の内面のキャビティ部やポット部(プランジャ部、カル部)に樹脂カス(レジンバリ)が発生する。これらのレジンバリを除去するために、通常、専用のバキューム・クリーナにより、クリーニングしている。しかし、金ワイヤの細線化に伴うワイヤ流れ防止の必要性や難燃剤のハロゲン・フリー化等に対応するためフィラ(Filler)の微細化等に起因して、封止レジン(樹脂)の流動性が増加する傾向にある。その結果、プランジャ部周辺間隙へのレジン流入が増加して、通常のクリーニングでは、完全除去が不可能となる場合があることが本願発明者等によって明らかにされた。
【0005】
レジンバリが完全に除去できないと、次の製品のモールド工程において、このバリが巻き込まれて異物となり種々の不良の原因となる。本願発明者等の検討によれば、このように完全に除去できない原因は以下のごとくである。すなわち、
(1)キャビティ部とプランジャ部を一括でクリーニングするため、プランジャを突き出さない状態でクリーナを走らせなければならず、プランジャの隙間に形成されたバリがうまくとれない。
(2)また、一つの集塵機(吸引口)に対して、広い領域を吸引するため、特にバリがこびりついたプランジャの隙間に対する吸引力が相対的に低くなる。
【0006】
なお、対応策の一例として、前記特許文献1があるが、キャビティ部のクリーニングもしなければならず、このキャビティ部のクリーニングとの整合性が問題となる。
【0007】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0008】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、本願の一つの発明は、トランスファ・モールドによるレジン封止工程を有する半導体装置の製造方法において、先行する基体にレジン封止体を形成した後、後続の基体をセットする前に、モールド金型内面をクリーニングする際に、キャビティ部とポット部が別個の吸引排気ファンまたは集塵ファンに連結して排気されるクリーニング・ヘッドを用いて実行される。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、トランスファ・モールドによるレジン封止工程を有する半導体装置の製造方法において、先行する基体にレジン封止体を形成した後、後続の基体をセットする前に、モールド金型内面をクリーニングする際に、キャビティ部とポット部が別個の吸引排気ファンまたは集塵ファンに連結して排気されるクリーニング・ヘッドを用いて実行されるので、ポット部に残留するレジンくずを大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(トランスファ・モールド工程)である。
【図2】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(レジン封止完成時点)である。
【図3】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(製品完成時点)である。
【図4】図3に対応する半導体装置(パッケージ)の斜視図である。
【図5】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程に使用するレジン・モールド装置の上面レイアウト図である。
【図6】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程全体の流れを示すプロセス・ブロック・フロー図である。
【図7】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(先行する基体に対する封止工程後の金型オープン・ステップ)である。
【図8】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(上下金型間領域へのクリーナおよび搬出用搬送機構の侵入ステップ)である。
【図9】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(搬出用搬送機構による基体保持ステップ)である。
【図10】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(搬出用搬送機構による基体リフト・ステップ)である。
【図11】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(プランジャが突出した状態でのクリーナによる後退クリーニング・ステップ)である。
【図12】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(プランジャが突出していない状態でのクリーナによる前進&後退クリーニング・ステップ)である。
【図13】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置の吸引排気系の基本的構成を示す吸引排気系構成図である。
【図14】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドにおける風速とワイヤ流れ不良率との関係を示すデータ・プロット図である。
【図15】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドの斜視図(見やすいように、上金型は取り除いている)である。
【図16】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドの斜視図(内部が見えるように図15の外壁を一部剥ぎ取っている)である。
【図17】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。
【図18】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ突出時)である。
【図19】本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)の正面図である。
【図20】図17に対応するポット部の拡大断面図である。
【図21】図19に対応する一変形例(シャッタ方式)のクリーニング・ヘッドの正面図(シャッタが閉じているとき)である。
【図22】図19に対応する一変形例(シャッタ方式)のクリーニング・ヘッドの正面図(シャッタが開いているとき)である。
【図23】図13に対応する一変形例(共通吸引排気ファンまたは集塵ファン方式)のクリーニング装置の吸引排気系構成図である。
【図24】図13に対応する他の変形例(共通吸引排気ファンまたは集塵ファン切り替え方式)のクリーニング装置の吸引排気系構成図である。
【図25】図15に対応する一変形例のクリーニング・ヘッドの斜視図(見やすいように、上金型は取り除いている)である。
【図26】図16に対応する一変形例のクリーニング・ヘッドの斜視図(内部が見えるように図15の外壁を一部剥ぎ取っている)である。
【図27】図15および図16に対応するクリーニング・ヘッド(一変形例)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。
【図28】クリーニング・ヘッド(基本的形態;図17に対応)をMAP(Mold Array Package)その他のBGA(Ball Grid Array)の封止に適用した場合のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。
【図29】クリーニング・ヘッド(一変形例;図27に対応)をMAP(Mold Array Package)その他のBGA(Ball Grid Array)型パッケージの封止に適用した場合のクリーニング・ヘッド(一変形例)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。
【図30】図28または図29の金型によって封止したBGA型パッケージの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0016】
1.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた第1の基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口を吸引する第1の集塵ファン;
(x4)前記第2の吸引口を吸引する第2の集塵ファン。
【0017】
2.前記1項の半導体装置の製造方法において、前記第2の吸引口は、前記クリーナヘッド内の隔壁により前記第1の吸引口から分離されている。
【0018】
3.前記1または2項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x5)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部および前記ポット部に対応する位置に開口した第3の吸引口。
【0019】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、レジン封止体が形成された第2の基体を、前記クリーナヘッドと一体的に移動する基体搬送機構により保持した状態で実行される。
【0020】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−1)前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0021】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、更に以下の最下位工程を含む:
(b1−2)前記最下位工程(b1−1)の後、前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させない状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0022】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、リードフレームである。
【0023】
8.前記1から6項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、有機配線基板である。
【0024】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x6)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第3の吸引口;
(x7)前記第2の先端面において、前記第2の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記ポット部に対応する位置に開口した第4の吸引口。
【0025】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の外周部には、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の周囲を囲むようにリップ状の弾性体が設けられている。
【0026】
11.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口に連結された第1の吸引ダクト;
(x4)前記第2の吸引口に連結された第2の吸引ダクト;
(x5)前記第1の吸引ダクトおよび前記第2の吸引ダクトを吸引する第1の集塵ファン、真空ソースまたは減圧ソース。
【0027】
12.前記11項の半導体装置の製造方法において、前記第2の吸引口は、前記クリーナヘッド内の隔壁により前記第1の吸引口から分離されている。
【0028】
13.前記11または12項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x5)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部および前記ポット部に対応する位置に開口した第3の吸引口。
【0029】
14.前記11から13項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、レジン封止体が形成された第2の基体を、前記クリーナヘッドと一体的に移動する基体搬送機構により保持した状態で実行される。
【0030】
15.前記11から14項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−1)前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0031】
16.前記11から15項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−2)前記最下位工程(b1−1)の後、前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させない状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0032】
17.前記11から16項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、リードフレームである。
【0033】
18.前記11から17項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、有機配線基板である。
【0034】
19.前記11から18項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x6)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第3の吸引口;
(x7)前記第2の先端面において、前記第2の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記ポット部に対応する位置に開口した第4の吸引口。
【0035】
20.前記11から19項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の外周部には、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の周囲を囲むようにリップ状の弾性体が設けられている。
【0036】
21.以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口に連結された第1の吸引ダクト;
(x4)前記第2の吸引口に連結された第2の吸引ダクト;
(x5)前記第1の吸引ダクトまたは前記第2の吸引ダクトを吸引する第1の集塵ファン、真空ソースまたは減圧ソース;
(x6)前記第1の集塵ファンまたは前記、真空ソースまたは減圧ソースが吸引するダクトを切り替える吸引ダクト切替機構。
【0037】
22.前記21項の半導体装置の製造方法において、前記第2の吸引口は、前記クリーナヘッド内の隔壁により前記第1の吸引口から分離されている。
【0038】
23.前記21または22項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x5)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部および前記ポット部に対応する位置に開口した第3の吸引口。
【0039】
24.前記21から23項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、レジン封止体が形成された第2の基体を、前記クリーナヘッドと一体的に移動する基体搬送機構により保持した状態で実行される。
【0040】
25.前記21から24項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−1)前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0041】
26.前記21から25項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−2)前記最下位工程(b1−1)の後、前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させない状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【0042】
27.前記21から26項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、リードフレームである。
【0043】
28.前記21から27項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記基体は、有機配線基板である。
【0044】
29.前記21から28項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x6)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第3の吸引口;
(x7)前記第2の先端面において、前記第2の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記ポット部に対応する位置に開口した第4の吸引口。
【0045】
30.前記11から19項のいずれか一つの半導体装置の製造方法において、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の外周部には、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の周囲を囲むようにリップ状の弾性体が設けられている。
【0046】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0047】
更に、本願において、「半導体装置」または「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)単体、および、それらを中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0048】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。
【0049】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0050】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0051】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体装置(半導体集積回路装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0052】
6.本願においては、金型の内面(上金型の下面と下金型の上面)を大きく二つの領域に分けている。一つは、単数又は複数のキャビティ(基板を収容するためのリセスも含む)が設けられたキャビティ部(キャビティ・ブロック領域)であり、二つ目は単数又は複数のポットやカル等が設けられたポット部(ポット・ブロック領域)である。
【0053】
7.本願において、吸引排気機構について「吸引ダクト」とは、集塵チューブその他の吸引配管系を指す。また、「集塵ファン」とは、集塵ブロア、コンプレッサ、真空ポンプ、その他のファン等を指す。集塵といっても、それ自体に、フィルタを有するという意味ではなく、単に「集塵系用に使用できる」ものであることを意味する。なお、集塵ファンは、工場内共通減圧供給配管等の真空ソース又は減圧ソース等でもよい。
【0054】
また、集塵フィルタの位置は、集塵ファン(真空ソース又は減圧ソース)の前が好適であるが、集塵ファンと一体または、その後に付けてもよい。なお、工場内共通減圧供給配管(真空ソース又は減圧ソース)自体に集塵フィルタを設けてもよい。
【0055】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0056】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0057】
1.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー等の説明(主に図1から図4)
この実施の形態では基体としてリードフレームを用いたQFP(Quad Flat Package)型のデバイスを例にとり説明する。
【0058】
図1は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(トランスファ・モールド工程)である。図2は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(レジン封止完成時点)である。図3は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程(基体がリードフレームである例)の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フロー図(製品完成時点)である。図4は図3に対応する半導体装置(パッケージ)の斜視図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の組立工程の要部の流れを示すデバイス断面プロセス・フローを説明する。
【0059】
図1に示すように、たとえば、銅を主要な成分とするリードフレーム2(この基体材料は、銅系のみでなく、42アロイ等の鉄系材料でもよい)を準備し、そのダイ・パッド3上に接着剤層5を介して、半導体チップ1をダイボンディングする。その後、半導体チップ1の表面1a(裏面1bの反対の面)上のボンディング・パッド6とリード4のインナリード部の先端との間をボンディング・ワイヤ7(たとえば、金を主要な成分とする金系ワイヤを用いるが、銀系、アルミニウム系、銅系等の各種ワイヤが使用可能である)により、ボンディング・キャピラリ等を用いたボール・ボンディング等により接続する。その後、半導体チップ1、ボンディング・ワイヤ7等を含むリードフレーム2(チップ&リードフレーム複合体)は、金型31のキャビティ部32(キャビティ・ブロック領域)に設けられたキャビティ34等に収容される。その後、上金型31aおよび下金型31bが閉じられる。クランプ圧力は、たとえば、18メガ・パスカル程度である。その状態で、金型31(たとえば、摂氏175度程度に保持されている)のポット部33(ポット・ブロック領域)に設けられたポット35に収容されたレジン・タブレット37が、熱とプランジャ36の上昇による圧力により、流動性を有する封止レジン(レジン、樹脂)に変化し、カル38、ランナ39、ゲート41を通して、キャビティ34内に充填される。その後、たとえば6メガ・パスカル程度の充填圧力が印加され、硬化反応が進行する。
【0060】
その後、金型31が開かれると、図2に示すような主に封止レジン(樹脂)等から成るレジン封止体(封止体)8を有するリードフレーム2が取り出される。なお、レジンモールド工程のサイクル・タイムは、通常、15秒から3分程度である。
【0061】
その後、ポスト・キュア(完全硬化処理)が、たとえば、バッチ処理(たおえば摂氏175度程度で数時間程度)で行われる。続いて、リードメッキ(半田メッキ等)が行われ、リードフレーム2の切断およびリード成形により、図3および図4に示すようになる。更に、マーキング処理、パッケージ検査、梱包の後、出荷される。
【0062】
2.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程に使用するレジン・モールド装置およびモールド工程全体の流れ等の説明(主に図5および図6)
このセクションでは、図1及びその前後のレジン・モールと工程について、その全体の流れ及びモールド装置の基本的構成を説明する。
【0063】
図5は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程に使用するレジン・モールド装置の上面レイアウト図である。図6は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程全体の流れを示すプロセス・ブロック・フロー図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程に使用するレジン・モールド装置およびモールド工程全体の流れを説明する。
【0064】
図5および図6に示すように、まず、チップ&リードフレーム複合体の状態のリードフレーム2が、レジン・モールド装置21内のリードフレーム・ローダ22(リードフレーム・ストッカ)に収容される(図6のロード工程101)。次に、リードフレーム整列部23において、リードフレーム2が、たとえば、二個単位で整列される(図6のフレーム整列工程102)。一方、ほぼ同時進行的に、タブレット整列部24では、レジン・タブレット37が整列されている(図6のタブレット・チャージ工程103)。次に、搬入用搬送機構25が整列されたリードフレーム2およびレジン・タブレット37を保持して(図6のフレーム搬送工程104)、プレス部51に複数個設けられたプレス・ユニット52に設置された下金型31bの内の一つの上にセットする(図6のフレーム搬入工程105)。そこで、トランスファ・モールドが実行される(図6のモールド工程106)。次に、金型31(図1)が開くと、クリーナおよび搬出用搬送機構26が下金型31b上に侵入してきて、レジン封止体8が形成されたリードフレーム2を保持した状態で(図6のフレーム搬出工程107)、金型31の内面のクリーニング処理を実行する(図6のクリーニング工程108)。次に、クリーナおよび搬出用搬送機構26がリードフレーム2をゲート・ブレーク部27へ移送して、そこでゲートブレークが実行される(図6のゲートブレーク工程109)。次に、外観検査部28(未充填等検査部)において、外観検査(レジン未充填等検査)が実行される(図6のパッケージ未充填検査工程110)。次に、リードフレーム・アンローダ29(リードフレーム・ストッカ)に収容される(図6のアンローダへ収容工程111)。そして、ここからレジン・モールド装置21外に搬出される。その後、先に説明したように、バッチのアフタ・キュア(ポスト・キュア処理)が施される。
【0065】
3.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置の説明(主に図13から図20)
このセクションでは、図6の金型クリーニング工程108に使用するクリーニング装置について説明する。
【0066】
図13は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置の吸引排気系の基本的構成を示す吸引排気系構成図である。図14は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドにおける風速とワイヤ流れ不良率との関係を示すデータ・プロット図である。図15は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドの斜視図(見やすいように、上金型は取り除いている)である。図16は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッドの斜視図(内部が見えるように図15の外壁を一部剥ぎ取っている)である。図17は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。図18は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ突出時)である。図19は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーニング・ヘッド(基本的形態)の正面図である。図20は図17に対応するポット部の拡大断面図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置を説明する。
【0067】
先ず、クリーニング装置の吸引排気系の基本的構成を説明する。図13に示すように、クリーナ・ヘッド26bには、吸引排気用の3個の集塵配管54が設けられている。すなわち、主にキャビティ部32をクリーニングするためのキャビティ部集塵配管54a,54bと、主にポット部33をクリーニングするためのポット部集塵配管54cである。キャビティ部集塵配管54a,54bには、それぞれキャビティ部集塵チューブ(ダクト)58aが接続され、その他端はキャビティ部集塵コンプレッサ59a(吸引排気ファンまたは集塵ファン)に連結されている。なお、この吸引排気ファンまたは集塵ファン等は、工場吸引排気配管または、十分容量の大きな吸引排気用減圧又は真空ソースでもよい(以下の吸引排気ファンまたは集塵ファン等についても同じ)。キャビティ部吸引排気ファンまたは集塵ファン59aとキャビティ部集塵配管54a,54bとの間には、レジンくずを収容するためのキャビティ部集塵フィルタ57aが挿入されている。
【0068】
一方、ポット部集塵配管54cに接続されたポット部集塵チューブ(ダクト)58cの他端には、ポット部集塵コンプレッサ59b(吸引排気ファンまたは集塵ファン)が連結されており、それらの間には、レジンくずを収容するためのポット部集塵フィルタ57cが挿入されている。なお、図14からわかるように、各吸引排気ファンまたは集塵ファン(またはブロア)のパワーは、クリーナ・ヘッド26bにおける風速が30メートル/秒程度または、それよりも高速になるように設定することが好適である。
【0069】
次にクリーナ・ヘッド26b自体の構造を説明する。図15(プランジャ非突出状態)に示すように、クリーナ・ヘッド26bは、ほぼ直方体形状で、上下が開放されており、下端と上端は、通常では下金型31bの上面および上金型31aの下面と1から2ミリメートル程度の微細な間隔を置いて、これらの面に平行に移動しながら吸引動作を実行するようになっている。この例では上部吸引口62(第3の吸引口)が上部先端面63(第2の先端面)を形成しており、下部先端面64(第1の先端面)は、下部の開口に対応している。上部先端面63および下部先端面64の周辺の外壁30には、弾性体から成るリップ状のキャビティ部リップ・ゴム61aが、取り巻くように設置されている。下部先端面64の周辺の外壁30の一部については、キャビティ部リップ・ゴム61aの代わりに、より幅が広く、分割され、弾性体から成るリップ状のポット部リップ・ゴム61cが設置されている。このリップ・ゴム材としては、弗素ゴム(Fluoroelastomer)、シリコン・ゴム(Silicone Rubber)等が好適である。
【0070】
次に、この内部構造等を説明する。図16(プランジャ突出状態)に示すように、クリーナ・ヘッド26bの上部には、全体が一体の上部吸引口62がある。一方、クリーナ・ヘッド26bの下部は、二つの下部キャビティ部吸引口65a(第1の吸引口)と下部ポット部吸引口65c(第2の吸引口)に分かれており、クリーナ・ヘッド26bの内部も、それに対応して内部隔壁66によって二つの部分に分けられている。すなわち、上部吸引口62および二つの下部キャビティ部吸引口65aを有するキャビティ部吸引室と、下部ポット部吸引口65cを有するポット部吸引室である。ここで、本実施の形態におけるキャビティ部吸引室の形状(大きさ)は、図16に示すように、一つキャビティ部吸引室が複数のキャビティ34(本実施の形態では、二つ)を覆うような形状(大きさ)であり、他方のキャビティ部吸引室の形状もこれと同様である。一方、ポット部吸引室の形状(大きさ)は、一つのポット35を覆うような形状(大きさ)である。すなわち、クリーナ・ヘッド26が金型における吸引領域に差し掛かったときには、ポット部吸引室が一つのポット35を覆っているのに対し、キャビティ部吸引室は複数のキャビティ34を覆った状態で、金型のクリーニング工程が行われる。また、キャビティ部集塵配管54a,54bはキャビティ部吸引室に連結されており、ポット部集塵配管54cはポット部吸引室に連結されている。
【0071】
なお、リップ・ゴム61aは、内部隔壁66の下端部にも設けられている。
【0072】
ここで、図16に関してクリーナ・ヘッド26bの各部の寸法を一例を示すとすれば以下のごとくである。すなわち、幅180ミリメートル程度、奥行き28ミリメートル程度、高さ115ミリメートル程度、ポット部吸引室の幅40ミリメートル程度、キャビティ部集塵配管54a,54bの径36ミリメートル程度、ポット部集塵配管の径26ミリメートル程度である。
【0073】
次に、クリーナ・ヘッド26bの各部と金型31(上金型31a、下金型31b)の各部の関係を説明する。図17は、プランジャ36が非突出状態の金型内面をクリーニングしている際の金型31(上金型31a、下金型31b)およびクリーナ・ヘッド26bの正断面図である。一方、図18は、プランジャ36が突出状態の金型内面をクリーニングしている際の金型31(上金型31a、下金型31b)およびクリーナ・ヘッド26bの正断面図である。図17および図18に示すように、金型31(上金型31a、下金型31b)は、プレスユニット52(図5)に取り付けられた上下一対のクランプ・プレート74(金型駆動板)によって、サポート・ピラー77を介して駆動されるようになっている。また、エジェクタ保持板81に保持されたエジェクタ・ピン53はエジェクタ・ロッド75等の動き、エジェクタ駆動バネ78、エジェクタピン・ストッパ84等の働きにより駆動又は制御されている。リターン・ピン76は、金型31が閉じたときに、エジェクタ・ピン53を非突出状態にするためのものである。また、上金型31aと下金型31bの位置合わせは、位置決めピン82と位置決め穴83によって行われる。
【0074】
図18に示すように、プランジャ36が突出状態の金型内面をクリーニングしている際には、プランジャ36のリング状レジン溜め溝42は、下金型31bの上面より上に突出している。これは、そこに溜まったレジンかすを効率よく吸引除去するためである。
【0075】
図19は、クリーナ・ヘッド26bの正面図である(なお、裏面も同一構造である。以下図21、図22において同じ)。プランジャ通過用ゲート67(外壁切欠き部)は、プランジャ36が突出状態の金型内面をクリーニングしている際に、プランジャ36がスムーズにその部分を通過できるようにしたものである。
【0076】
図20は、図18において突出したプランジャ36の周辺部を拡大したものである。ここで、クリアランスTCの好適な寸法は、たとえば、1から2ミリメートル程度である。
【0077】
4.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理の説明(主に図7から図12)
このセクションでは、図6の金型クリーニング工程108の詳細について説明する。
【0078】
図7は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(先行する基体に対する封止工程後の金型オープン・ステップ)である。図8は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(上下金型間領域へのクリーナおよび搬出用搬送機構の侵入ステップ)である。図9は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(搬出用搬送機構による基体保持ステップ)である。図10は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(搬出用搬送機構による基体リフト・ステップ)である。図11は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(プランジャが突出した状態でのクリーナによる後退クリーニング・ステップ)である。図12は本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理における装置断面プロセス・フロー図(プランジャが突出していない状態でのクリーナによる前進&後退クリーニング・ステップ)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程におけるクリーニング処理(図6の金型クリーニング工程108)の各ステップについて、順に説明する。
【0079】
図6のモールド工程106が終了すると、この例では、リードフレーム2の取り出し工程107と金型クリーニング工程108が同時平行して進行する(別々に進行するようにしてもよい。たとえば、リードフレーム2を搬出した後、金型クリーニングを実行するようにしてもよい)。
【0080】
図7に示すように、先行するリードフレーム2に対する封止が完了して、金型31(上金型31aと下金型31b)が開くと(それとほぼ同時にエジェクタ・ピン53が突出する)、まず、一体のクリーナおよび搬出用搬送機構26が上金型31aと下金型31bの間の領域に侵入し、図8に示すように、一度、クリーナ・ヘッド26bが上金型31aと下金型31bの間の領域外に出る。クリーナおよび搬出用搬送機構26は、クリーナ・ヘッド26bとリードフレーム2の搬出搬送のための搬出用搬送機構26aから構成されている。搬出用搬送機構26aには、リードフレーム2を搬送するための搬送アーム55が設けられている。
【0081】
次に、クリーナ・ヘッド26bが上金型31aと下金型31bの間の領域外に出た時点で、図9に示すように、下金型31bが上昇して、リードフレーム・チャック爪56がリードフレーム2のレジン封止体8以外の部分を保持する。
【0082】
次に、図10に示すように、下金型31bが降下するとともに、リードフレーム2がリードフレーム・チャック爪56によって保持されてリフトされた状態になる。また、これとほぼ同時に、ポット部33(図1)において、プランジャ36が突出状態となる。
【0083】
次に、図11に示すように、クリーナおよび搬出用搬送機構26がリードフレーム2をリフトした状態で、後退しながら上下に対して(キャビティ部32およびポット部33の両方に対して)吸引クリーニング(第1クリーニング・スキャン)を実行し、破線でしめすクリーナ・ヘッド26bの位置まで後退する。この後、プランジャ36が非突出状態となる。
【0084】
次に、図12に示すように、クリーナおよび搬出用搬送機構26がリードフレーム2をリフトした状態で、再び、上金型31aと下金型31bの間の領域に侵入し、プランジャ36が非突出状態で、前進しながら上下に対して(キャビティ部32およびポット部33の両方に対して)吸引クリーニング(第2クリーニング・スキャン)を実行し、一点破線でしめすクリーナ・ヘッド26bの位置まで前進する。その後、同じ状態で、クリーナおよび搬出用搬送機構26がリードフレーム2をリフトした状態で、後退しながら上下に対して(キャビティ部32およびポット部33の両方に対して)吸引クリーニング(第3クリーニング・スキャン)を実行し、破線でしめすクリーナ・ヘッド26bの位置まで後退する。第1クリーニング・スキャンを先行するのは、リング状レジン溜め溝42のレジンかす(異物)を除去しやすくするためである。また、その後に、非突出状態でクリーニングするのは、リング状レジン溜め溝42のレジンかすがプランジャ36の移動(降下)により飛散するため、それらを除去する必要があるためである。
【0085】
これでクリーニング処理108(図6)が完了したことになる。金型クリーニング108(図6)が完了すると、クリーニングが完了した下金型31b上に、新たなリードフレーム2がセットされる。そして、トランスファー・モールドが実行され、モールドが完了して、金型31が開き、再び、図8のステップに戻り、先と同様に、図8から図12のクリーニング・サイクルを繰り返す。
【0086】
ここにおいて、第2クリーニング・スキャンまたは第3クリーニング・スキャンは、必ずしも必須ではない。一方または両方ともスキップしてもよいが、実行した方が、レジンかすの残存確率は減少する。また、第1クリーニング・スキャンも、必ずしも必須ではない。少なくとも、第1クリーニング・スキャンから第3クリーニング・スキャンのいずれか一つを実行すればよい。
【0087】
また、第1クリーニング・スキャンは、通常、プランジャ36が突出した状態で行うが、非突出状態で実施してもよい。ただし、突出状態で実施した方が、レジンかすの除去効率は高い。また、突出状態での第1クリーニング・スキャンは、毎回実施するのが有効であるが、必ずしも、毎回実施する必要はなく、一回ごと、2回ごと、または、数回に一回等、間歇的でもよい。
【0088】
なお、処理順については、前記の例が最も好適であるが、順序を入れ替えてもよい。
【0089】
以上のことから、キャビティ部よりも異物(レジンくず、バリ)の除去が困難であるポット部においても、本実施の形態におけるクリーナ・ヘッド26を使用することで、このポット部に残留する異物を除去することができる。
【0090】
また、上記したように、本実施の形態では、クリーナ・ヘッド26に設けられた二つの吸引室(キャビティ部吸引室、ポット部吸引室)が内部隔壁66によって分けられ、さらにこれら二つの吸引室に対して、それぞれ独立した配管(または集塵機)が設けられているため、ポットよりも多い数のキャビティが設けられた金型をクリーニングする場合においても、ポット部に残留する異物を除去することができる。
【0091】
5.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のポット・クリーニング部の変形例の説明(主に図21および図22)
このセクションでは、図19に示すプランジャ通過用ゲート67の周辺の構造に関する変形例を説明する。
【0092】
図21は図19に対応する一変形例(シャッタ方式)のクリーニング・ヘッドの正面図(シャッタが閉じているとき)である。図22は図19に対応する一変形例(シャッタ方式)のクリーニング・ヘッドの正面図(シャッタが開いているとき)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のポット・クリーニング部の変形例を説明する。
【0093】
図19におけるような幅広のリップ・ゴム61cの変わりに、この例では図21に示すように、幅の狭いリップ・ゴム61cとアクチュエータ69によって駆動されるシャッタ板68を図22に示すように、上下させることで、プランジャ36の通過をスムーズにしている。シャッタ板68は、クリーニング・スキャン中は開状態としてもよいが(この場合は駆動制御が簡単になる)、プランジャ36の通過時のみ開とすると吸引効率が向上する。
【0094】
6.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置の吸引排気系の変形例の説明(主に図23および図24)
このセクションでは、図13に示すレジンかす等の吸引排気系の構成に対する種々の変形例を説明する。
【0095】
図23は図13に対応する一変形例(共通吸引排気ファンまたは集塵ファン方式)のクリーニング装置の吸引排気系構成図である。図24は図13に対応する他の変形例(共通吸引排気ファンまたは集塵ファン切り替え方式)のクリーニング装置の吸引排気系構成図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置の吸引排気系の変形例を説明する。この方式は、ブロア(吸引排気ファンまたは集塵ファン)等が少なくて済むメリットがある。
【0096】
図23に示すように、共通吸引排気ファン方式または集塵ファン方式では、図13と異なり、ポット部集塵コンプレッサ59c(吸引排気ファンまたは集塵ファン)がなく、ポット部集塵チューブ(ダクト)58cは合流点73でキャビティ部集塵チューブ(ダクト)58aと合流している。合流点73とポット部集塵配管54cの間(合流点73とポット部集塵フィルタ57cの間が好適である)には、たとえばバタフライ・バルブ72等のコンダクタンス調整装置が挿入されている。なお、コンダクタンス調整装置は、キャビティ部集塵チューブ(ダクト)58a側に挿入してもよい。
【0097】
一方、共通吸引排気ファン切り替え方式または集塵ファン切り替え方式では、図24に示すように、図23と異なり、コンダクタンス調整装置72がなく、合流点73の代わりに、3方切り替えバルブ71(吸引ダクト切替機構)が設けられており、キャビティ部32をクリーニングするときと、ポット部33をクリーニングするときとで、切り替えて使用するようにしたものである。この方式は、クリーニング時間の点では不利であるが、ブロア(吸引排気ファンまたは集塵ファン)等が少なくて済むメリットがある。
【0098】
7.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーナ・ヘッド部の変形例の説明(主に図25から図27)
このセクションでは、図15に示すクリーニング・ヘッド構造に対する変形例を説明する。
【0099】
図25は図15に対応する一変形例のクリーニング・ヘッドの斜視図(見やすいように、上金型は取り除いている)である。図26は図16に対応する一変形例のクリーニング・ヘッドの斜視図(内部が見えるように図15の外壁を一部剥ぎ取っている)である。図27は図15および図16に対応するクリーニング・ヘッド(一変形例)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の要部プロセスであるモールド工程において使用するクリーニング装置のクリーナ・ヘッド部の変形例(上下貫通型)を説明する。
【0100】
図25から図27に示すように、内部隔壁66がクリーナ・ヘッド26bの中央部を貫通しており、下金型31bのポット部33と上金型31aのカル38及びその周辺(ポット部33)を共通の流路で吸引排気できるようになっている。すなわち、クリーナ・ヘッド26b内において、内部隔壁66の内部は上下に上部カル吸引口62c(第4の吸引口)および下部ポット部吸引口65c(第2の吸引口)を有する単一の部屋を形成している。これにより、下金型31bのポット部33に対する吸引力は若干低下するものの、上金型31aのカル38及びその周辺を強力に吸引できるメリットがある。
【0101】
なお、リップ・ゴム61aは、内部隔壁66の上下にも設けられている。
【0102】
8.本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の対象製品が基体として配線基板を用いた例等の説明(主に図28から図30)
このセクションでは、セクション1から4に示した半導体装置の製造方法に対する変形例として、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置(以下、BGAと呼ぶ)に適用した例を説明する。なお、BGAは、配線基板に形成されたデバイス領域ごとに封止体を形成する個片モールドタイプのBGAと、複数のデバイス領域を一括して封止する(一つの封止体で複数のデバイス領域を封止する)MAP(Mold Array Package)タイプのBGAがあり、ここではMAP型のBGAについて説明する。
【0103】
図28はクリーニング・ヘッド(基本的形態;図17に対応)をBGAの封止に適用した場合のクリーニング・ヘッド(基本的形態)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。図29はクリーニング・ヘッド(一変形例;図27に対応)をBGA型パッケージの封止に適用した場合のクリーニング・ヘッド(一変形例)とモールド金型の関係を説明するモールド金型の模式断面図(プランジャ非突出時)である。図30は図28または図29の金型によって封止したBGA型パッケージの模式断面図である。これらに基づいて、本願の一実施の形態の半導体装置の製造方法の対象製品が基体として配線基板を用いた例を説明する。
【0104】
MAP方式のBGA型素子は、完成時において図30のような断面を呈している。上半分は図3に示すQFP型素子と同じであるが、基体2は、単層又は多層有機配線基板等の配線基板9であり、外部リードの代わりに、配線基板9下に半田ボール11(半田バンプ)が設けられている点が異なる。この種のパッケージは、一般に、以下のようにして組み立てる。まず、大きな有機配線基板9の上面に、マトリクス状に半導体チップ1をダイ・ボンディングし、各チップ1のデバイス面1a上のボンディング・パッド6と有機配線基板9の上面の銅ランドを、先に説明したように、金ワイヤ7等でワイヤ・ボンディングした基体チップ複合体(チップ及びワイヤ・ボンディングした基体2)を形成する。次に、この基体2を基板収納部85(下部キャビティ部)に収容した状態で、金型31(上金型31a、下金型31b)を閉じて、トランスファ・モールドして、巨大な封止体を有する基体2を形成し、それをXY方向にパッケージ・ダイシング処理して、ここの素子に分離する。
【0105】
図28のクリーナ・ヘッド26bは、図15から図20で説明したクリーナ・ヘッド26bと同一形状であり、図29のクリーナ・ヘッド26bは、図25から図27で説明したクリーナ・ヘッド26bと同一形状である。
【0106】
9.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0107】
例えば、前記実施の形態においては、トランスファ・モールド装置について、主にマルチ・ポット方式の装置を用いたプロセスについて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、シングル・ポット方式の装置を用いたプロセスへも同様に適用できることは言うまでもない。なお、一方又は両方に離型フィルムを使用したトランスファ・モールド技術にも同様に適用できることは言うまでもない。
【0108】
また、前記実施の形態においては、リードフレームを用いた方式について、QFP型の素子を例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その他の各種のパッケージに適用できることは言うまでもない。たとえば、QFN(Quad Flat Non−leaded Package),HLQFP(Low Profile Quad Flat Package with Heat−sink)等にも適用できることは言うまでもない。
【0109】
更に、前記実施の形態においては、有機配線基板等を用いた方式について、MAP方式のBGA型素子を例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その以外の方式のBGA型素子等にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
1 半導体チップ
1a チップの表面(デバイス面)
1b チップの裏面
2 リードフレーム(基体)
3 ダイ・パッド
4 リード
5 接着剤層
6 ボンディング・パッド
7 ボンディング・ワイヤ
8 レジン封止体
9 配線基板(単層又は多層有機配線基板)
11 半田ボール(半田バンプ)
21 レジン・モールド装置
22 リードフレーム・ローダ
23 リードフレーム整列部
24 タブレット整列部
25 搬入用搬送機構
26 クリーナおよび搬出用搬送機構
26a 搬出用搬送機構
26b クリーナ・ヘッド
27 ゲート・ブレーク部
28 外観検査部(未充填等検査部)
29 リードフレーム・アンローダ
30 外壁
31 モールド金型
31a 上金型(第2の金型)
31b 下金型(第1の金型)
32 キャビティ部(キャビティ・ブロック領域)
33 ポット部(ポット・ブロック領域)
34 モールド・キャビティ
35 ポット
36 プランジャ
37 レジン・タブレット
38 カル
39 ランナ
41 ゲート
42 リング状レジン溜め溝
51 プレス部
52 プレス・ユニット
53 エジェクタ・ピン
54 集塵配管
54a,54b キャビティ部集塵配管
54c ポット部集塵配管
55 搬送アーム
56 リードフレーム・チャック爪
57a キャビティ部集塵フィルタ
57c ポット部集塵フィルタ
58a キャビティ部集塵チューブ(ダクト)
58c ポット部集塵チューブ(ダクト)
59a キャビティ部集塵コンプレッサ(吸引排気ファンまたは第1の集塵ファン)
59c ポット部集塵コンプレッサ(吸引排気ファンまたは第2の集塵ファン)
61a キャビティ部リップ・ゴム
61c ポット部リップ・ゴム
62、62a 上部吸引口(第3の吸引口)
62c 上部カル吸引口(第4の吸引口)
63 上部先端面(第2の先端面)
64 下部先端面(第1の先端面)
65a 下部キャビティ部吸引口(第1の吸引口)
65c 下部ポット部吸引口(第2の吸引口)
66 内部隔壁
67 プランジャ通過用ゲート(外壁切欠き部)
68 シャッタ板
69 アクチュエータ
71 3方切り替えバルブ(吸引ダクト切替機構)
72 バタフライ・バルブ(コンダクタンス調整装置)
73 合流点
74 クランプ・プレート(金型駆動板)
75 エジェクタ・ロッド
76 リターン・ピン
77 サポート・ピラー
78 エジェクタ駆動バネ
79 エジェクタ駆動板
81 エジェクタ保持板
82 位置決めピン
83 位置決め穴
84 エジェクタピン・ストッパ
85 基板収納部(下部キャビティ部)
101 リードフレーム導入
102 フレーム整列
103 タブレット・チャージ
104 リードフレームおよびタブレット搬送準備
105 リードフレームおよびタブレット搬送
106 レジン・モールド
107 リードフレーム取り出し
108 金型クリーニング
109 ゲート・ブレーク
110 外観検査
111 アンローダへ収納
TC クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた第1の基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口を吸引する第1の集塵ファン;
(x4)前記第2の吸引口を吸引する第2の集塵ファン。
【請求項2】
前記1項の半導体装置の製造方法において、前記第2の吸引口は、前記クリーナヘッド内の隔壁により前記第1の吸引口から分離されている。
【請求項3】
前記2項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x5)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部および前記ポット部に対応する位置に開口した第3の吸引口。
【請求項4】
前記3項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、レジン封止体が形成された第2の基体を、前記クリーナヘッドと一体的に移動する基体搬送機構により保持した状態で実行される。
【請求項5】
前記4項の半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−1)前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【請求項6】
前記5項の半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、更に以下の最下位工程を含む:
(b1−2)前記最下位工程(b1−1)の後、前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させない状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【請求項7】
前記6項の半導体装置の製造方法において、前記基体は、リードフレームである。
【請求項8】
前記6項の半導体装置の製造方法において、前記基体は、有機配線基板である。
【請求項9】
前記2項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x6)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第3の吸引口;
(x7)前記第2の先端面において、前記第2の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記ポット部に対応する位置に開口した第4の吸引口。
【請求項10】
前記5項の半導体装置の製造方法において、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の外周部には、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口の周囲を囲むようにリップ状の弾性体が設けられている。
【請求項11】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口に連結された第1の吸引ダクト;
(x4)前記第2の吸引口に連結された第2の吸引ダクト;
(x5)前記第1の吸引ダクトおよび前記第2の吸引ダクトを吸引する第1の集塵ファンまたは、真空ソースまたは減圧ソース。
【請求項12】
前記11項の半導体装置の製造方法において、前記第2の吸引口は、前記クリーナヘッド内の隔壁により前記第1の吸引口から分離されている。
【請求項13】
前記12項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x5)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部および前記ポット部に対応する位置に開口した第3の吸引口。
【請求項14】
前記13項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、レジン封止体が形成された第2の基体を、前記クリーナヘッドと一体的に移動する基体搬送機構により保持した状態で実行される。
【請求項15】
前記14項の半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、以下の最下位工程を含む:
(b1−1)前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【請求項16】
前記15項の半導体装置の製造方法において、前記下位工程(b1)は、更に以下の最下位工程を含む:
(b1−2)前記最下位工程(b1−1)の後、前記第1の金型内面に前記クリーナヘッドの前記第1の先端面を近接させ、プランジャの上端部を前記第1の金型内面から突出させない状態で、吸引しながら平行移動させる工程。
【請求項17】
前記16項の半導体装置の製造方法において、前記基体は、リードフレームである。
【請求項18】
前記17項の半導体装置の製造方法において、前記基体は、有機配線基板である。
【請求項19】
前記12項の半導体装置の製造方法において、前記工程(b)は、更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記第2の金型内面にクリーナヘッドの第2の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
ここで、前記クリーナヘッドは更に以下を含む:
(x6)前記第2の先端面において、前記第1の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第3の吸引口;
(x7)前記第2の先端面において、前記第2の吸引口と前記クリーナヘッド内において連結し、前記ポット部に対応する位置に開口した第4の吸引口。
【請求項20】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)モールド金型を開くことによって、第1の金型内面および第2の金型内面を分離させる工程;
(b)前記工程(a)の後、前記第1の金型内面のキャビティ部およびポット部に対して、クリーニング処理を実行する工程;
(c)前記工程(b)の後、半導体チップが取り付けられた基体を前記第1の金型内面および第2の金型内面間にセットする工程;
(d)前記工程(c)の後、モールド金型を閉じて、前記基体上の前記半導体チップを封止レジンにより封止することによって、前記基体上にレジン封止体を形成する工程、
ここで、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)第1の金型内面にクリーナヘッドの第1の先端面を近接させた状態で、吸引しながら平行移動させる工程、
更に、ここで前記クリーナヘッドは以下を含む:
(x1)前記第1の先端面において、前記キャビティ部に対応する位置に開口した第1の吸引口;
(x2)前記第1の先端面において、前記ポット部に対応する位置に開口した第2の吸引口;
(x3)前記第1の吸引口に連結された第1の吸引ダクト;
(x4)前記第2の吸引口に連結された第2の吸引ダクト;
(x5)前記第1の吸引ダクトまたは前記第2の吸引ダクトを吸引する第1の集塵ファン、真空ソースまたは減圧ソース;
(x6)前記第1の集塵ファンまたは前記真空ソースまたは減圧ソースが吸引するダクトを切り替える吸引ダクト切替機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−82381(P2011−82381A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234132(P2009−234132)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】