説明

半導体装置の製造方法

【課題】ボンディングパッドの特性の劣化を抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、LSI基板1上に形成された第1の金属を含む再配線層8a、bおよび前記LSI基板上に形成されたボンディングパッドとなる第2の金属を含むパッド電極22を被覆するように、層間膜10を形成する。前記層間膜のうち、前記再配線層に接続されるマイクロバンプを形成する領域およびボンディングワイヤが接続される領域に対応する部分を感光させ、アルカリ水溶液を含む第1のアルカリ現像液で現像することにより、前記再配線層が露出するように前記層間膜に第1の開口部10aを形成するとともに、前記パッド電極が露出するように前記層間膜に第2の開口部10bを形成する。さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液で、前記層間膜の残りの露光された部分を現像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のボンディングパッドの製造プロセスにおいては、一般的に、ポリイミド等の最上層の保護膜を形成した後、ドライエッチング法により、Alからなるボンディングパッドを露出させて形成する。このような製造プロセスにおいては、ボンディングパッドがアルカリ現像に曝されるケースを回避するプロセスが主流となっていた。
【0003】
ここで、マイクロバンププロセスにおいては、ボンディングパッドが形成され、その特性を測定した後に、層間膜/Cu再配線/バンプが形成される。
【0004】
このとき、ボンディングパッドのAlがアルカリ現像液により浸食され得る。すなわち、Cu再配線とAlで構成されたボンディングパッドとの間で、電池効果が発生し、ボンディングパッドがエッチングされ得る。したがって、ボンディングパッドの特性が劣化し、製品の歩留まりが低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3417432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、ボンディングパッドの特性の劣化を抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施例に従った半導体装置の製造方法は、LSI基板上に形成された第1の金属を含む再配線層および前記LSI基板上に形成されたボンディングパッドとなる第2の金属を含むパッド電極を被覆するように、層間膜を形成する。さらに、前記層間膜のうち、前記再配線層に接続されるマイクロバンプを形成する領域およびボンディングワイヤが接続される領域に対応する部分を、露光して感光させる。さらに、アルカリ水溶液を含む第1のアルカリ現像液で前記層間膜の露光された領域を現像することにより、前記再配線層が露出するように前記層間膜に第1の開口部を形成するとともに、前記パッド電極が露出するように前記層間膜に第2の開口部を形成する。さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液で、前記層間膜の残りの露光された部分を現像する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る現像装置100の構成の一例を示す図である。
【図2】実施例1に係る半導体装置の製造方法の工程の一例を示す図である。
【図3】図2に続く、実施例1に係る半導体装置の製造方法の工程の一例を示す図である。
【図4】図3に続く、実施例1に係る半導体装置の製造方法の工程の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1に係る現像装置100の構成の一例を示す図である。なお、図1に示す現像装置100の構成は、一例であり、同様の機能を有するものであれば、同様に適用可能である。
【0011】
図1に示すように、現像装置100は、ウェハ102を支持する支持部101と、第1のアルカリ現像液103bをウェハ102に塗布する吐出部103aを有する第1のアーム103と、第2のアルカリ現像液104bをウェハ102に塗布する吐出部104aを有する第2のアーム104と、を備える。
【0012】
この塗布装置100は、第1のアルカリ現像液103bをウェハ102に、予め設定された第1の期間、塗布した後、第2のアルカリ現像液104bをウェハ102に、予め設定された第2の期間、塗布する。すなわち、塗布装置100は、異なるアルカリ現像液で段階的にウェハ102のレジスト膜(層間膜)を現像することができるようになっている。
【0013】
なお、後述のように、第1のアルカリ現像液には、アルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH))が含まれ、第2のアルカリ現像液には、例えば、アルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH))および多価アルコール(例えば、グリセリン)が含まれる。
【0014】
ここで、本実施例1に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0015】
図2ないし図4は、実施例1に係る半導体装置の製造方法の各工程の一例を示す図である。
【0016】
先ず、図2(a)に示すように、例えば、DRAMメモリなどのメモリを含むLSI回路が形成されたLSI基板1上に、例えばAlを含むパッド電極21、22を形成した後、例えば、SiN、SiO等の絶縁膜3および層間膜4を成膜する。そして、パッド電極21、22上の絶縁膜3、層間膜4を選択的にエッチングして、開口部21a、22aを形成する。
【0017】
なお、この層間膜4は、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、PBO(ポリベンゾオキサゾール)樹脂などを用いることができる。ただ、フェノール樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂を用いれば、樹脂の硬化温度が200℃から350℃と低く、すでにLSI基板に形成されているDRAMメモリが、樹脂硬化による熱によって、不良・劣化を引き起こすのを防ぐことができる。また、220cpから1500cpの粘度の低いフェノール樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂を用いることにより、5um以下の薄い層間膜を形成することができ、LSI基板のウェハの反りを抑制することができる。
【0018】
次に、図2(b)に示すように、例えば、UBM(Unbalanced Magnetron)スパッタリング法等により、層間膜4上およびパッド電極21、22上に、バリアメタルとなる金属(Ti)膜5と金属(Cu)膜6を順に成膜する。
【0019】
次に、図2(c)に示すように、レジスト膜7を成膜した後、Cu再配線を形成する領域に開口部7a、7bを形成する。
【0020】
次に、図2(d)5に示すように、めっき法により、金属(Cu)膜6が露出した部分に、Cuを含むめっき層である再配線層8a、8bを形成する。
【0021】
次に、図2(e)に示すように、レジスト膜7をレジスト剥離液により、剥離する。
【0022】
次に、図3(a)に示すように、UBMエッチング法等により、再配線層8a、8bにより被覆されていない部分(Cu再配線を形成しない領域)の金属(Cu)膜6および金属(Ti)膜5をエッチングして除去するとともに、アッシング処理により残っているレジスト膜を除去する。
【0023】
次に、図3(b)に示すように、回転塗布方法等により、LSI基板1上に形成された第1の金属(Cu)を含む再配線層8a、8abおよびLSI基板1上に形成されたボンディングパッドとなる第2の金属(AL)を含むパッド電極22を被覆するように、感光性のポジ型のレジストとして機能する層間膜10を形成する。
【0024】
なお、この層間膜10は、層間膜4と同じ特性を有する、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂などを用いることができる。
【0025】
次に、層間膜10を選択的に露光する。すなわち、層間膜10のうち、再配線層8a、8bに接続されるマイクロバンプを形成する領域(再配線層8a、8b上)およびボンディングワイヤが接続される領域(パッド電極22上)に対応する部分を、露光して感光させる。これにより、層間膜10の露光された部分が感光し、アルカリ現像液により現像(溶解)され易い状態になる。なお、このアルカリ現像液には、例えば、TMAHが含まれる。
【0026】
そして、図3(c)に示すように、図1に示す現像装置100により、第1の期間だけ、TMAHを含む第1のアルカリ現像液で層間膜10の露光された部分を現像する。これにより、再配線層8a、8bの上面が露出するように層間膜10に第1の開口部10aを形成するとともに、ボンディングワイヤが接続されるボンディングパッドとなるパッド電極22の上面が露出するように層間膜10に第2の開口部10bを形成する。
【0027】
その後、図1に示す現像装置100により、該第1のアルカリ現像液からTMAHおよび多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液に現像液を切り替えて、この第2のアルカリ現像液で、第2の期間だけ、層間膜10の残りの露光された部分を現像する。これにより、層間膜10の現像が完了する。なお、該多価アルコールには、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の高い防食効果を有するものが選択される。
【0028】
このように、比較的安価な第1のアルカリ現像液で再配線層8a、8bの上面およびパッド電極22の上面が露出するまで、層間膜10を現像する。そして、再配線層8a、8bの上面およびパッド電極22の上面が露出して電池効果が発生し得る状態では、防食効果が高く多価アルコールを含む高価な第2のアルカリ現像液で層間膜10の残りの露光された部分を現像する。
【0029】
これにより、パッド電極22の露出後の電池効果によるパッド電極22の腐食を抑制することができる。すなわちボンディングパッドの特性の劣化を抑制することができる。さらに、高価なグリセリン等の多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液の使用を少なくすることにより、製造コストを削減することができる。
【0030】
なお、第1のアルカリ現像液で、必ずしも、再配線層8a、8bの上面およびパッド電極22の上面が露出まで現像しなくてもよい。この場合、第2のアルカリ現像液で層間膜10の残りの露光された部分が現像される。したがって、この場合も、パッド電極22の露出後の電池効果によるパッド電極22の腐食を抑制することができる。
【0031】
次に、図3(d)に示すように、例えば、UBMスパッタリング法等により、層間膜10上、再配線層8a、8b上、およびパッド電極22上に、バリアメタルとなる金属(Ti)膜13と金属(Cu)膜14を順に成膜する。
【0032】
次に、図4(a)に示すように、再配線層8a、8bに接続されるマイクロバンプを形成する領域に開口部15aを有するレジスト膜15を形成し、例えば、めっき法により、開口部15a内に、金属(Ni)膜16、金属(Cu)膜17、はんだ(Sn)層18を順に成膜する。
【0033】
次に、図4(b)に示すように、レジスト膜15を、レジスト剥離液により剥離する。さらに、UBMエッチング法等により、はんだ層18により被覆されていない部分(マイクロバンプを形成しない領域)の金属膜13および金属膜14をエッチングして除去するとともに、アッシング処理により残っているレジスト膜を除去する。
【0034】
次に、図4(c)に示すように、ウエットバックにより、はんだ層18のエッジが除去されて、はんだボール18aが形成される。
【0035】
次に、図4(d)に示すように、別工程で形成されたロジック回路を含むLSI基板201に形成されたはんだボール202と、DRAMメモリを含むLSI回路が形成されたLSI基板1に形成されたはんだボール18aとを接続する。さらに、得られた構造体を実装基板に実装し、所定のワイヤボンデイング、樹脂モールド等を実施することにより、SCS(Stacked Chip SoC)技術によるLSIチップが完成する。
【0036】
既述のように、層間膜10を現像する工程では、比較的安価な第1のアルカリ現像液で再配線層8a、8bの上面およびパッド電極22の上面が露出するまで、層間膜10を現像する。そして、再配線層8a、8bの上面およびパッド電極22の上面が露出して電池効果が発生し得る状態では、防食効果が高く多価アルコールを含む高価な第2のアルカリ現像液で層間膜10の残りの露光された部分を現像する。
【0037】
上記半導体装置の製造方法では、パッド電極22の露出後の電池効果によるパッド電極22の腐食を抑制することができる。すなわちボンディングパッドの特性の劣化を抑制することができる。さらに、高価なグリセリン等の多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液の使用を少なくすることにより、製造コストを削減することができる。
【0038】
以上のように、本実施例1に係る半導体装置の製造方法によれば、ボンディングパッドの特性の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 現像装置
101 支持部
102 ウェハ
103 第1のアーム
104 第2のアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LSI基板上に形成された第1の金属を含む再配線層および前記LSI基板上に形成されたボンディングパッドとなる第2の金属を含むパッド電極を被覆するように、層間膜を形成し、
前記層間膜のうち、前記再配線層に接続されるマイクロバンプを形成する領域およびボンディングワイヤが接続される領域に対応する部分を、露光して感光させ、
アルカリ水溶液を含む第1のアルカリ現像液で前記層間膜の露光された領域を現像することにより、前記再配線層が露出するように前記層間膜に第1の開口部を形成するとともに、前記パッド電極が露出するように前記層間膜に第2の開口部を形成し、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液で、前記層間膜の残りの露光された部分を現像する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
LSI基板上に形成された第1の金属を含む再配線層および前記LSI基板上に形成されたボンディングパッドとなる第2の金属を含むパッド電極を被覆するように、層間膜を形成し、
前記層間膜のうち、前記再配線層に接続されるマイクロバンプを形成する領域およびボンディングワイヤが接続される領域に対応する部分を、露光して感光させ、
アルカリ水溶液を含む第1のアルカリ現像液で、第1の期間だけ、前記層間膜の露光された領域を、現像することにより、前記層間膜に第1の開口部を形成するとともに、前記層間膜に第2の開口部を形成し、
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび多価アルコールを含む第2のアルカリ現像液で、第2の期間だけ、前記層間膜の残りの露光された部分を現像する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の金属は、Cuであり、
前記第2の金属は、Alである
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記LSI基板は、DRAMメモリを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ水溶液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【公開番号】特開2012−49454(P2012−49454A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192415(P2010−192415)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】