説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 深孔の壁面におけるボーイングが抑制されたスタック型キャパシタを備える半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置100は、シリコン基板101の主面上部に形成された第三の層間絶縁膜123と、第三の層間絶縁膜123内に形成され上部に開口を有する筒状の下部電極125と、下部電極125の表面を覆って形成された筒状の誘電体膜126と、誘電体膜126上に形成され誘電体膜126を介して下部電極125と対向する上部電極127とを備えるキャパシタと、下部電極125の底部に金属シリサイド124を介して接続されるコンタクトプラグ122とを備える。下部電極125は、開口に隣接する上部電極部分が2層の多結晶シリコン膜153,154で構成され、金属シリサイド124に隣接する底部電極部分が2層の多結晶シリコン膜153,154の内で最上層の多結晶シリコン膜154で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、半導体装置にスタック型キャパシタを形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の大容量化が進められている。特に、DRAM(Dynamic Random Access Memory)においては、最小加工寸法が110nmのギガビット級メモリが製品化されつつあり、次世代では更に90nm以下の最小加工寸法に対応するDRAMの開発が進められている。このような素子の微細化に伴い、DRAMの主要構成要素であるキャパシタに許容される面積も必然的に縮小され、必要な容量を確保することが困難になっている。
【0003】
小さな面積で大きな容量を得るキャパシタの一例として、厚い絶縁膜に深い貫通孔(深孔)を形成し、この深孔の側壁表面にキャパシタの下部電極を形成した、深孔スタック型キャパシタがある。従来、深孔スタック型キャパシタで、一般的に用いられている構造は、絶縁膜に深さが2000nm程度の深孔を形成し、深孔の壁面に凹凸(HSG:Hemispherical Silicon Grain)を有するシリコンを下部電極として形成し、下部電極上に誘電体膜及び上部電極を順次に形成するものである。HSGは、電極の表面積を拡大して、キャパシタの容量を確保する目的で形成される。HSGの厚みは、深孔の壁面又は底面からHSGの頂上部までの寸法で表され、80nm程度である。
【0004】
深孔の水平断面は円形に近い楕円形であり、その短径が例えば250nmである場合にHSGを形成すると、短径方向に深孔の両壁面から80nmの厚みのHSGが、合計で160nmの寸法を下部電極として占有するため、下部電極の形成後に深孔の中央部で利用できる空間の幅は90nmになる。ここで、下部電極の形成後に成膜される誘電体膜のカバレージ確保は、DRAMの電荷保持機能を維持する上で必須の要件である。誘電体膜のカバレージが不良であり、例えば誘電体膜の膜厚が薄い部分があると、その部分でリーク電流が増大し、電荷の蓄積が不十分になる問題が生じる。従って、深孔の中央部に誘電体膜のカバレージを確保するための十分な空間が必要となる。
【0005】
下部電極の形成後に深孔の中央部で上記90nmの幅が確保されれば、カバレージを確保しつつ下部電極上に誘電体膜及び上部電極を形成することが可能である。しかし、DRAMの微細化が更に進んで深孔の短径が200nm程度になると、下部電極の形成後に深孔の中央部で利用できる幅は40nmになり、深孔の内部に、深孔の底部までのカバレージを確保しつつ誘電体膜や上部電極を形成するのが困難になる。このため、空間を大きく狭めるHSGの適用が困難となる。
【0006】
上記のように微細化された次世代の半導体装置ではHSGの適用が困難となるため、従来はHSGで確保していた電極表面の大きな面積を他の方法で実現する必要が生じる。例えば、深孔の深さを従来の2000nmから3000nmに深くすることが考えられるが、その場合、異方性ドライエッチングで形成される深孔の壁面が外側に膨らむ現象、即ち深孔のボーイング(bowing)の問題が新たに生じる。このボーイングの問題について、以下説明する。
【0007】
図10(a)〜(d)、図11(e)〜(h)、及び、図12(i)、(j)に、深孔スタック型キャパシタを形成する、従来の半導体装置の製造方法の製造段階を順次に示す。先ず、シリコン基板にソース、ドレイン等を形成し、シリコン基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する。次いで、ゲート電極を覆ってシリコン基板上に第一の層間絶縁膜を形成する。
【0008】
引き続き、第一の層間絶縁膜上に第二の層間絶縁膜301を形成する。更に、第一の層間絶縁膜及び第二の層間絶縁膜301を貫通して、ドレインに達するコンタクト孔202aを形成し、コンタクト孔202aの内部にプラグ202を充填する。次いで、窒化シリコン膜203、及び二酸化シリコンから成る厚さが3000nmの層間絶縁膜204を順次に成膜する。更に、CVD法により厚さが500nmのシリコン膜を成膜した後、リソグラフイ及びドライエッチングによりシリコン膜のパターニングを行い、短径が200nmの開口205aを有するハードマスク205を形成する(図10(a))。
【0009】
次いで、例えばC58及びO2を主たる成分とする混合ガスを用い、圧力が100mTorrで、プラズマパワーが1200Wの条件で、層間絶縁膜204をエッチングする。層間絶縁膜204のエッチングに際しては、ArやCHF3などのガスを添加する場合もある。図10(b)は、層間絶縁膜204を1000nm程度の深さまでエッチングした状態を示している。この状態で、ハードマスク205の肩211が削れて傾斜が生じ始める。この段階ではエッチングによって形成された孔206の壁面は層間絶縁膜204の表面に対してほぼ垂直であり、ボーイングは発生していない。図10(c)は、更にエッチングを進めて、2000nm程度の深さまでエッチングした状態を示している。ハードマスク205の肩211は更に削れ、傾斜面が拡大し、孔206の壁面にボーイング212が発生し始める。
【0010】
ここで、層間絶縁膜204を構成する二酸化シリコンのドライエッチングは、プラズマ中のイオンで二酸化シリコンのSiとOとの結合を切断し、FとSiとを反応させることにより、揮発性を有するSiF4を生成することにより進行する。エッチングに寄与する主なエッチャントはFイオンである。Fイオンは、プラズマのセルフバイアス又は意図的に印加されたバイアスによりプラズマと基板の間に生じる電位差によって加速され、基本的には基板に垂直に入射する。しかし、ハードマスクの肩211に傾斜が生じると、この傾斜の影響により斜めに入射するFイオンが増加する。ボーイングは、この傾斜の影響を受けたFイオンが深孔206の開口部、即ち層間絶縁膜204の表面近傍の深孔206の壁面をエッチングしてしまうために生じるものと考えられる。
【0011】
ボーイングの問題は、従来の深さの深孔では無視できる程度であったが、近年、深孔の径が小さく、また深くなるに従って顕著に現れて来ている。図10(d)は、深孔206のエッチングが完了し、窒化シリコン膜203が露出した状態を示している。ボーイング212が生じたため、隣接する各々の深孔206の最小の隔壁幅L2は、マスク寸法(設計寸法)における隔壁幅L1よりも短くなっている。
【0012】
次いで、図11(e)に示すように、CVD法により、厚さ40nmの多結晶のシリコン膜207aを成膜する。シリコン膜207aの成膜に際して、ボーイングが生じた深孔206の壁面の形状が反映される。引き続き、例えばホトレジスト等の充填材208で深孔206の内部を充填する。
【0013】
次いで、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法又はドライエッチング法を用い、深孔206の外側の層間絶縁膜204上のハードマスク205及びシリコン膜207aを除去し、深孔206の内部に成膜されたシリコン膜207aを残すことにより、筒状の側壁部分と底部とから成る下部電極207を形成する(図11(f))。ドライエッチング法を用いる場合には、例えばCl2(塩素)及びO2を主たる成分とする混合ガスを用い、圧力が10mTorrで、プラズマパワーが100Wの条件などで行うことが出来る。この場合、HBrなどのガスを添加する場合もある。
【0014】
次いで、図11(g)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、深孔206の内部の充填材208を除去する。引き続き、図11(h)に示すように、フッ酸を含む溶液を用い、深孔206の外側の層間絶縁膜204の上部を除去することによって、下部電極207の上部を層間絶縁膜204より上に突出させる。下部電極207の上部を層間絶縁膜204より上に突出させることによって、下部電極207の電極面積を拡大することができ、このような電極構造は擬似クラウン構造とも呼ばれる。なお、図11(g)に示した工程に後続して、層間絶縁膜204の上部を除去することなく、下部電極207の表面にHSGを形成し、誘電体膜及び上部電極を形成してキャパシタとする場合もある。HSGを形成する場合には、多結晶状態ではなく、非晶質状態でシリコン膜を成膜する必要がある。
【0015】
次いで、図12(i)に示すように、CVD法により、露出した下部電極207の表面に酸化タンタルから成る厚さが9nmの誘電体膜209を成膜する。酸化タンタルを成膜する場合には、膜を成膜した後、酸化性雰囲気での熱処理を行うことによって、リーク電流を低減している。引き続き、図12(j)に示すように、CVD法により、誘電体膜209の表面を覆って全面に窒化チタンを堆積し、上部電極210を形成することによって、下部電極207、誘電体膜209、及び上部電極210から成るキャパシタを形成する。キャパシタの形成に際して、下部電極207が基板の表面に対して垂直に形成されていないため、下部電極207の内部及び外部の至る所に多数の空隙213が形成される。
【0016】
上述のように従来の半導体装置の製造方法では、異方性ドライエッチングで形成される深孔が深くなることによって、その壁面にボーイングが必然的に発生する。この場合、隣接する深孔間の最小の隔壁幅L2が設計寸法における隔壁幅L1より小さくなるため、設計寸法における隔壁幅L1をその分だけ大きくしなければならず、半導体装置の微細化が困難となる。
【0017】
また、上部電極210を構成する窒化チタンの堆積に際して、深孔の内部及び外部の至る所に多数の空隙213が発生することにより、機械的応力に対して極めて脆弱になる。具体的には、キャパシタの上部電極自身の応力、キャパシタ形成後の配線形成工程における絶縁膜による応力、半導体装置をパッケージに組み込む場合のモールド樹脂による応力などによって機械的な損傷が生じ易くなる。このため、仮に、キャパシタ形成後の品質テストで満足できるキャパシタ特性が得られても、パッケージに組み込んだ後の製品出荷前段階のテストで、リーク電流が発生し、歩留まりが著しく低下する等の問題が生じる。
【0018】
深孔の壁面におけるボーイングを抑制するために、特許文献1は、深孔を形成する際のドライエッチングの条件を細かく調整することにより、プラズマの状態を変化させる方法を提案している。
【特許文献1】特開2002−110647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特許文献1の方法は、プラズマが有するエッチング性と有機物の堆積性とを利用し、プラズマによるエッチングと堆積とを、プラズマの条件を制御して交互に繰り返すことによって、ボーイングを抑えるものである。しかし、深孔の内部でプラズマの状態を制御するのは、実際には極めて困難である。従って、同文献の方法では、本来の目的である深孔の形成自体が達成されない恐れがある。
【0020】
本発明は、上記に鑑み、深孔の壁面におけるボーイングが抑制されたスタック型キャパシタを備える半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、これによって、下部電極の寸法を設計寸法に近づけ、半導体装置の微細化及びキャパシタの大容量化を可能とし、更に、下部電極の近傍における空隙の発生を防止して、高い機械的強度を有する半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の第1の視点に係る半導体装置は、半導体基板の主面上部に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成され上部に開口を有する筒状の第1の電極と、該第1の電極の表面を覆って形成された筒状の誘電体膜と、該誘電体膜上に形成され該誘電体膜を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備える容量素子と、
前記第1の電極の底部に接続される接続プラグとを備える半導体装置において、
前記第1の電極は、前記開口に隣接する上部電極部分が複数の導電体膜で構成され、前記接続プラグに隣接する底部電極部分が前記複数の導電体膜の内で最上層の導電体膜で構成されることを特徴としている。
【0022】
本発明の第1の視点に係る半導体装置の製造方法は、容量素子を備える半導体装置を形成する方法であって、
半導体基板の主面上部に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜を貫通する接続プラグを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜及び接続プラグ上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記接続プラグに位置合わせして前記第2の絶縁膜をエッチングし、前記第2の絶縁膜の厚みよりも短い第1の孔を形成する工程と、
前記第1の孔の側壁表面にサイドウオール導電体膜を形成する工程と、
前記第1の孔の底部を更にエッチングし、前記第1の孔に続く第2の孔を形成して、前記接続プラグの頂部を露出させる工程と、
前記サイドウオール導電体膜の表面と、前記第2の孔の側壁及び底部の表面とを覆い、前記第1の孔の上部に開口を有する筒状導電体膜を形成する工程と、
前記筒状導電体膜を覆う筒状部分を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、該導電体膜を介して前記筒状導電体膜と対向する上部導電体膜を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0023】
本発明の第2の視点に係る半導体装置は、半導体基板の主面上部に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜内に形成されたコンタクトホールと、該コンタクトホール内を充填するコンタクトプラグとを備える半導体装置において、
前記コンタクトプラグの上部部分が複数の導電体膜で構成され、前記コンタクトプラグの下部部分が前記複数の導電体膜の内で最上層の導電体層で構成されることを特徴としている。
【0024】
本発明の第2の視点に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の主面上部に第1の配線パターンを形成する工程と、
前記第1の配線パターンを覆って第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をエッチングし、前記第1の絶縁膜の厚みよりも短い第1の孔を形成する工程と、
前記第1の孔の側壁表面にサイドウオール導電体膜を形成する工程と、
前記第1の孔の底部を更にエッチングし、前記第1の孔に続く第2の孔を形成して、前記第1の配線パターンの配線の表面を露出させる工程と、
前記配線の表面上に、前記サイドウオール導電体膜の内部及び前記第2の孔の内部を充填するコンタクトプラグを形成する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の視点に係る半導体装置の製造方法によれば、ボーイングが発生しない深さで第1の孔を形成し、且つサイドウオール導電体膜をマスクとして第1の孔の壁面のボーイングを抑制しつつ第2の孔を形成することが出来る。これによって、第1の孔と第2の孔とで構成される深孔の壁面のボーイングを抑制し、サイドウオール導電体膜及び筒状導電体膜を含む第1の電極の形状を設計寸法に近づけることが出来る。
【0026】
本発明の第1の視点に係る半導体装置及びその製造方法によれば、第1の電極の形状を設計寸法に近づけて垂直に近い形状で形成することが出来るので、隣接するキャパシタの間のマージンを小さくして、半導体装置を微細化することが出来る。また、深孔を壁面のボーイングを抑制しつつ深く形成することが出来るので、第1の電極の垂直方向の長さを長くして、キャパシタの大容量化を実現することが出来る。更に、第1の電極が設計通りに垂直に形成されることによって、筒状の第1の電極の内部又は外部における空隙の発生を抑制できるので、半導体装置の機械的強度を高めることが出来る。
【0027】
本発明の第1の視点に係る半導体装置では、前記複数の導電体膜が相互に同じ導電体材料で形成されるものとすることが出来る。この場合、前記導電体材料が、多結晶シリコン、タングステン及びその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される1種の材料で構成されるものとすることが出来る。
【0028】
本発明の第1の視点に係る半導体装置では、前記複数の導電体膜の少なくとも2つが、相互に異なる導電体材料によって形成されるものとすることが出来る。この場合、前記複数の導電体膜が、多結晶シリコン、タングステン及びその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される2種類以上の材料の組み合わせで構成されるものとすることが出来る。例えば、筒状導電体膜を、膜厚を薄く形成できる金属及びその化合物で構成し、サイドウオール導電体膜を、高い機械的強度を有する多結晶シリコン等の材料で構成すれば、キャパシタの容量を高めつつ、且つサイドウオール導電体膜で十分な機械的強度を得ることが出来る。複数の導電体膜の1つを金属のシリサイドで構成することも好ましい態様である。
【0029】
本発明の第1の視点に係る半導体装置及びその製造方法では、前記第1の電極又は筒状導電体膜の断面形状の外周が略楕円形で、該楕円形の短径が100nm以上で250nm以下であり、該第1の電極又は筒状導電体膜の厚みが前記楕円形の短径の10%以下の半導体装置を実現することが出来る。
【0030】
本発明の第1の視点に係る半導体装置及びその製造方法では、前記第1の電極又は筒状導電体膜の断面形状の外周が略楕円形であり、該楕円形の短径に対する前記第1の電極又は筒状導電体膜の垂直方向の長さの比が10以上である半導体装置に適用することによって、深孔の壁面のボーイングを特に効果的に抑制し、第1の電極又は筒状導電体膜の形状を設計寸法に効果的に近づけることが出来る。
【0031】
本発明の第1の視点に係る半導体装置の製造方法では、好適には、前記筒状導電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜を形成する工程との間に、前記第1及び第2の孔を充填材で充填する工程と、前記第2の絶縁膜の表面を保護する保護膜を形成する工程とを更に備える。第1及び第2の孔を充填材で充填することによって、深孔の下部近傍の絶縁膜がエッチャントによってエッチングされることを防止することが出来る。また、第2の絶縁膜の表面を保護する保護膜を形成することによって、第2の絶縁膜の表面に大きな段差が形成されることを抑制することが出来る。これによって、第2の絶縁膜の上部に配設される配線等の形成に必要な平らな表面を確保することが出来る。
【0032】
本発明の第2の視点に係る半導体装置の製造方法及びその製造方法では、壁面のボーイングが抑制されたスルーホールを形成することができ、スルーホールの形状を設計寸法に近づけることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、実施形態を挙げ、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的且つ詳細に説明する。図1に本発明の第1実施形態に係る半導体装置の断面を示す。半導体装置100は、DRAMとして構成され、複数のメモリセルが配置されるメモリアレイ領域100Aの表面近傍にnウエル102が形成されたp型シリコン基板101を備える。nウエル102の表面近傍には、更に第一のpウエル103が形成されている。p型シリコン基板101の周辺回路領域100Bの表面近傍には第二のpウエル104が形成され、第一のpウエル103と第二のpウエル104とは素子分離領域105で分離されている。
【0034】
第一のpウエル103の表面近傍には個々のメモリセルの一部を構成するスイッチングトランジスタ106,107が形成されている。トランジスタ106は、ドレイン108と、ソース109と、ゲート絶縁膜110を介して形成されたゲート電極111とから構成されている。トランジスタ107は、トランジスタ106と共通のソース109と、ドレイン112と、ゲート絶縁膜110を介して形成されたゲート電極111とから構成されている。トランジスタ106,107を覆って、シリコン基板101上には第一の層間絶縁膜113が成膜されている。ゲート電極111は、多結晶シリコン上にタングステンシリサイドを積層したポリサイド構造、又は、多結晶シリコン上にタングステンを積層したポリメタル構造として構成され、図示しないワード線に接続されている。
【0035】
第一の層間絶縁膜113には、膜を貫通してソース109に達するコンタクト孔114が形成され、コンタクト孔114の内部に多結晶シリコン115が充填されている。コンタクト孔114に接して第一の層間絶縁膜113上には、窒化タングステン119及びタングステン120から成るビット線が形成されている。ビット線と多結晶シリコン115との間には、ビット線コンタクト143が形成されている。ビット線コンタクト143は、多結晶シリコン115上に形成されたチタンシリサイド116と、チタンシリサイド116上及びチタンシリサイド116より上のコンタクト孔114の壁面に成膜された窒化チタン117と、窒化チタン117を介してコンタクト孔114の内部に充填されたタングステン118とから構成されている。ビット線を覆って第一の層間絶縁膜113上には第二の層間絶縁膜121が成膜されている。
【0036】
第一の層間絶縁膜113及び第二の層間絶縁膜121にはこれらの膜を貫通して、トランジスタのドレイン108,112に達するコンタクト孔122aが形成されている。コンタクト孔122aの内部には、シリコンから成るシリコンプラグ122と、シリコンプラグ122上であって、コンタクト孔122aの開口付近に形成された金属シリサイド124とが充填されている。
【0037】
第二の層間絶縁膜121上には第三の層間絶縁膜123が成膜されている。第三の層間絶縁膜123は、メモリアレイ領域100Aでは、その上面が周辺回路領域100Bにおける上面よりも低く形成されている。第三の層間絶縁膜123には、第三の層間絶縁膜123の上部に形成された第一の孔(第1の孔)151と、第一の孔151の下に形成され、コンタクト孔122aを露出させる第二の孔(第2の孔)152とから成る深孔150が形成されている。
【0038】
第一の孔151及び第二の孔152は、水平断面が何れも円形に近い楕円形であり、相互に略同軸に形成されている。第二の孔152は、第一の孔151よりもその楕円形の短径が小さく形成され、第一の孔151及び第二の孔152はそれぞれ180nm程度及び120nm程度の短径を有する。第一の孔151及び第二の孔152は、壁面がボーイングを有することなく基板の表面に対して略垂直に形成されている。
【0039】
第三の層間絶縁膜123には、また、メモリアレイ領域100Aの周囲にメモリアレイ領域100Aを囲むように膜を貫通して形成された、ダミーの第一の孔155及びダミーの第二の孔156から成るダミーの深孔157が形成されている。ダミーの深孔157は、コンタクト孔122aに接していない。
【0040】
第一の孔151の壁面及び第一の孔151より上に突出して、多結晶シリコンから成る略円筒状のサイドウオール導電体膜153が形成されている。サイドウオール導電体膜153の壁面及び第二の孔152の壁面及び底面に、多結晶のシリコンから成る筒状導電体膜154が形成されている。サイドウオール導電体膜153及び筒状導電体膜154はキャパシタの下部電極(第1の電極)125を構成し、筒状導電体膜154は金属シリサイド124に接続されている。下部電極125の頂上部から底部までの長さは、3000nm程度である。ダミーの深孔157の内部でも、サイドウオール導電体膜153及び多結晶の筒状導電体膜154がそれぞれ同様に形成されている。
【0041】
下部電極125の表面及びメモリアレイ領域100Aで露出した第三の層間絶縁膜123の表面に、誘電体膜126が成膜されている。誘電体膜126を介して、第一の孔151及び第二の孔152の内部及び第三の層間絶縁膜123上に、上部電極(第2の電極,上部導電体膜)127が堆積されている。上部電極127は、その上面が、周辺回路領域100Bにおける第三の層間絶縁膜123の上面よりも高くなるように堆積されている。下部電極125、誘電体膜126、及び上部電極127は、擬似クラウン型のキャパシタを構成する。なお、プラグ122の材料は、下部電極125の材料に対応して選択することができ、下部電極125とは異なる材料で構成することもできる。本実施形態では、例えば、シリコン以外にも、金属材料等で構成することも出来る。
【0042】
誘電体膜126及び上部電極127は、周辺回路領域100Bにおける第三の層間絶縁膜123上に、メモリアレイ領域100Aから連続して延在し、延在部分の上部電極127は引出し配線136を構成している。
【0043】
上部電極127上及び露出した第三の層間絶縁膜123上には第四の層間絶縁膜128が成膜されている。第四の層間絶縁膜128に、膜を貫通して引出し配線136に達するコンタクト孔142aが形成され、コンタクト孔142aの内部にはプラグ142が形成されている。プラグ142は、コンタクト孔142aの壁面及び底面に成膜された窒化チタン137と、窒化チタン137を介してコンタクト孔142aの内部に充填されたタングステン138とから構成されている。
【0044】
周辺回路領域100Bにおいて、第二のpウエル104の表面近傍には、ソース109と、ドレイン112と、ゲート絶縁膜110を介して形成されたゲート電極111とから成り、周辺回路の一部を構成するトランジスタが形成されている。第一の層間絶縁膜113には、膜を貫通してソース109及びドレイン112に達するコンタクト孔129aが形成され、コンタクト孔129aの内部にはコンタクトプラグ129が形成されている。コンタクトプラグ129は、コンタクト孔129aの壁面及び底面に成膜された窒化チタン117と、窒化チタン117を介してコンタクト孔129aの内部に充填されたタングステン118とから構成されている。コンタクトプラグ129に接するソース109及びドレイン112の表面部分にはチタンシリサイド116が形成されている。
【0045】
コンタクトプラグ129に接して、第一の層間絶縁膜113上には第一の配線が形成されている。第一の配線は、窒化タングステン119と、窒化タングステン119上に成膜されたタングステン120とから構成されている。第一の配線は第二の層間絶縁膜121に覆われている。
【0046】
第二の層間絶縁膜121、第三の層間絶縁膜123、及び第四の層間絶縁膜128を貫通して、一方の第一の配線に達するコンタクト孔130aが形成され、コンタクト孔130aの内部には、プラグ130が形成されている。プラグ130は、コンタクト孔130aの壁面及び底面に成膜された窒化チタン131と、窒化チタン131を介してコンタクト孔130aの内部に充填されたタングステン132とから構成されている。
【0047】
プラグ130に接して第四の層間絶縁膜128上には、窒化チタン133、アルミニウム134、及び窒化チタン135から成る第二の配線が形成されている。プラグ142に接して第四の層間絶縁膜128上には、窒化チタン139、アルミニウム140、及び窒化チタン141から成る第三の配線が形成されている。半導体装置100には、その他、DRAMを構成するのに必要な層間絶縁膜、コンタクトプラグ、及び配線等が形成されている。
【0048】
本実施形態の半導体装置によれば、下部電極が垂直方向に3000nmの長さを有することによって、キャパシタの大容量化を実現している。また、下部電極が設計寸法に近い垂直な形状を有することによって、隣接するキャパシタの間のマージンを小さくして、微細化された半導体装置を実現することが出来る。更に、筒状の下部電極の内部又は外部において空隙が形成されていないので、高い機械的強度を有する半導体装置を実現している。
【0049】
図2(a)〜(d)、図3(e)〜(h)、及び、図4(i)、(j)に、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す。これらの図は、図1の符号Aに相当する部分を示している。先ず、シリコン基板にソース、ドレイン等を形成し、シリコン基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する。次いで、ゲート電極を覆ってシリコン基板上に第一の層間絶縁膜を形成する。
【0050】
引き続き、第一の層間絶縁膜上に第二の層間絶縁膜301を形成し、第一の層間絶縁膜及び第二の層間絶縁膜301を貫通して、ドレインに達するコンタクト孔302aを形成する。次いで、CVD法によりコンタクト孔302aが埋まる程度に多結晶のシリコンを堆積する。シリコンの堆積に際しては、導電性を確保するためにリンなどの不純物を導入する。更に、コンタクト孔302aの外部に堆積されたシリコンをドライエッチング法又はCMP法により除去することによって、プラグ302を形成する。シリコンは、多結晶状態で堆積したが、非晶質状態で堆積した後、熱処理によって多結晶化しても良い。
【0051】
次いで、CVD法により厚さが50nm程度の窒化シリコン膜303を成膜する。なお、プラグ302は、窒化シリコン膜303を形成した後に形成しても構わない。引き続き、CVD法により厚さが3000nmの二酸化シリコンから成る第三の層間絶縁膜304を成膜する。更に、CVD法により厚さが500nmの非晶質のシリコンを成膜した後、熱処理によってシリコンを多結晶化する。シリコンは、多結晶状態で成膜しても良いが、ハードマスクとして用いる場合には、非晶質状態で成膜した方が表面に形成される凹凸が少ないので、パターンエッジの精度向上に有利である。
【0052】
引き続き、リソグラフイ法及びドライエッチング法によりシリコンをパターニングすることによって、開口305aを有するハードマスク305を形成する。本実施形態では、開口305aの水平断面が円形に近い楕円形であって、その短径が180nmになるようにパターニングする。上記シリコンのドライエッチングには、基本的には塩素系のガスを用い、例えばCl2、HBr(臭化水素)、及びO2を混合した混合ガスを用いて行う。また、圧力が10mTorrで、プラズマパワーが100W等の条件で行う。
【0053】
次いで、図2(b)に示すように、ハードマスク305をマスクとして、異方性ドライエッチングにより第三の層間絶縁膜304をエッチングし、深さが1000nm程度の第一の孔306を形成する。深さが1000nm程度であるので、第一の孔306の形成に際して第一の孔306の壁面にはボーイングは生じない。二酸化シリコンから成る第三の層間絶縁膜304のエッチングには、基本的にはフッ素(F)系のガスを用い、イオンの効果を引き出すためにプラズマパワーを高く設定する。例えば、C58、Ar、及びO2を混合した混合ガスを用い、圧力が100mTorr、プラズマパワーが1500Wなどの条件で行うことが出来る。
【0054】
ドライエッチング後の表面清浄化処理を必要に応じて行った後、図2(c)に示すように、CVD法により厚さ20nmの第一のシリコン膜308aを成膜する。第一のシリコン膜308aは、SiH4(モノシラン)又はSi26(ジシラン)等の主原料ガスに、不純物原料ガスとしてPH3(ホスフィン)を導入しつつ、これらを熱分解させることにより非晶質状態で成膜する。多結晶状態で成膜することもできるが、多結晶状態で成膜する場合には非晶質状態に比べて表面の凹凸が大きくなるので、非晶質状態で成膜することが好ましい。一般的に用いられているCVD装置では、通常、周知のように、530℃程度以下では非晶質状態で、600℃程度以上では多結晶状態で形成される。
【0055】
引き続き、図2(d)に示すように、異方性ドライエッチングにより第一の孔306の底部の第一のシリコン膜308aを除去し、且つ第一の孔306の壁面の第一のシリコン膜308aを残して、筒状のサイドウオール導電体膜308を形成する。第一の孔306の底部の第一のシリコン膜308aのエッチングには、ハードマスク305の形成の際と同様の、塩素系のガスを用いる条件で行うことが出来る。
【0056】
次いで、ハードマスク305及びサイドウオール導電体膜308をマスクとして、異方性ドライエッチングにより、第一の孔306の底部に露出した第三の層間絶縁膜304を、プラグ302が露出するまでエッチングする。この異方性ドライエッチングは、第一の孔306の形成の際と同様の条件で行い、これにより、図3(e)に示す第二の孔309を形成する。第一の孔306及び第二の孔309は深孔314を構成する。引き続き、表面清浄化処理を行い、フッ酸を含む溶液を用いて、プラグ302の表面に形成されている1nm程度の自然酸化膜を除去した後、図3(f)に示すように、CVD法により厚さ30nmの第二のシリコン膜310aを非晶質状態で形成する。
【0057】
次いで、図3(g)に示すように、ホトレジストから成る充填材311で深孔314の内部を充填する。充填剤311の充填は、ホトレジストを全面に塗布した後、露光条件を選択して全面露光し、現像することにより行うことが出来る。引き続き、図3(h)に示すように、深孔314の外側の第三の層間絶縁膜304上に形成されているハードマスク305及び第二のシリコン膜310aを異方性ドライエッチングにより除去する。これによって、第二のシリコン膜310aは筒状の側壁部分と底部とから成る筒状導電体膜310に形成され、サイドウオール導電体膜308と筒状導電体膜310とから構成される下部電極307が形成される。なお、第三の層間絶縁膜304上のハードマスク305及び第二のシリコン膜310aの除去にはCMP法を用いてもよい。
【0058】
更に、図3(h)に示すように、酸素プラズマ等を用いて充填材311を除去する。引き続き、温度が750℃で1分間の熱処理を行うことによって、下部電極307を構成するシリコンを結晶化させる。なお、熱処理の前には、表面清浄化処理を必要に応じて行ってもよく、また、この熱処理は成膜直後等の別の製造段階で行うことも出来る。
【0059】
次いで、フッ酸を含む溶液で、下部電極307の表面に形成された1nm程度の自然酸化膜を除去する。引き続き、図4(i)に示すように、厚さが4nmの酸化アルミニウムから成る誘電体膜312をメモリアレイ領域の全面に成膜する。誘電体膜312の成膜に際しては、TMA(Al(CH3)3:トリメチルアルミニウム)及びO3(オゾン)を原料ガスとし、TMAの供給、排気と、O3の供給、排気とを、誘電体膜312が所望の膜厚になるまで連続的に繰り返す周知のステップ成膜法を用い、成膜時の温度は400℃で、圧力は1.5Torrとする。
【0060】
引き続き、図4(j)に示すように、窒化チタンから成る上部電極313をメモリアレイ領域の全面に堆積する。窒化チタンは、TiCl4(四塩化チタン)及びNH3(アンモニア)を原料ガスとし、温度が500℃の条件で堆積する。なお、窒化チタンを成膜した後、タングステン等の金属を堆積して上部電極とする場合もある。この工程によって、下部電極307、誘電体膜312、及び上部電極313から成る、クラウン型のキャパシタを形成することが出来る。更に、絶縁膜の形成及びパターニング、配線の形成及びパターニングを必要に応じて繰り返すことによって、DRAMとして半導体装置を完成させることが出来る。
【0061】
本実施形態では、ボーイングが生じない程度の深さの第一の孔306を形成した後、第一の孔306の壁面に形成され、且つフッ素系のプラズマに対してエッチングされ難いサイドウオール導電体膜308をマスクとして第二の孔309を形成する。このため、深孔314の深さを例えば3000nm程度に深くしても、第三の層間絶縁膜304のエッチングで深孔314の壁面がエッチングされてボーイングが発生することを防止することができる。この場合、隣接する深孔314の間の最小の隔壁幅L2をマスク寸法における隔壁幅L1に近づけることによって、設計寸法に近い垂直な形状のキャパシタを形成できる。従って、下部電極307の垂直方向の長さを長くしてキャパシタの大容量化を実現しつつ、素子の微細化、即ち半導体装置の高集積化を実現することが出来る。
【0062】
なお、本実施形態では誘電体膜312に比誘電率が9の酸化アルミニウムを用いたが、酸化アルミニウムより高い誘電率を有する酸化ハフニウムや酸化タンタルを酸化アルミニウムの上に積層した2層膜や、酸化ハフニウムや酸化タンタルの上下を酸化アルミニウムでサンドイッチした3層膜として構成すれば、誘電率を向上させることによって、更にキャパシタの容量を更に大きくすることができる。酸化ハフニウムや酸化タンタルの比誘電率は、何れも20である。なお、本実施形態では、下部電極を非晶質状態のシリコンの成膜によって形成するので、深孔の中央部に十分な空間を確保できる場合には、HSGを形成することもできる。
【0063】
第一の孔306の深さは、第一の孔306を形成するドライエッチングの際に、ボーイングが発生し始める深さで決定することが出来る。経験的には、エッチング深さと孔の短径との比によるアスペクト比が10程度からボーイングが発生し始める。従って、余裕を見て、アスペクト比を8程度とすれば十分にボーイングを抑制することが出来る。例えば、第2実施形態における第一の孔306の短径が180nmの場合には、1400nm程度の深さまでは十分に壁面のボーイングが抑制された孔を形成することが可能である。
【0064】
図5(a)〜(d)に、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す。本変形例の製造方法では、図1に示した擬似クラウン構造を有するキャパシタを製造する例について示す。図5(a)は、深孔314の壁面に下部電極307が形成された、図3(h)に相当する製造段階を示している。
【0065】
図5(a)に示した工程に後続して、周辺回路領域に露出する第三の層間絶縁膜304をホトレジストで被覆する。次いで、図5(b)に示すように、フッ酸含有溶液を用いたエッチングにより、深孔314の外側の第三の層間絶縁膜304の上部を除去する。このエッチングは、サイドウオール導電体膜308の下端が露出しない深さまで行い、これによって、下部電極307の上部を第三の層間絶縁膜304より上に突出させる。なお、上記ホトレジストの被覆を行うのは、第三の層間絶縁膜304の上部を除去する際に、周辺回路領域の第三の層間絶縁膜304がエッチングされると、メモリアレイ領域と周辺回路領域との境界に大きな段差が生じ、キャパシタ形成後の配線の形成が困難になるからである。
【0066】
次いで、図5(c)に示すように、第2実施形態の製造方法と同様に、誘電体膜312をメモリアレイ領域の全面に成膜する。更に、図5(d)に示すように、第2実施形態の場合と同様に、窒化チタンから成る上部電極313を堆積する。この場合、深孔314の内部及び外部が上部電極313で完全に埋まるように膜厚を設定する。例えば、深孔314の短径が180nmの場合には、窒化チタンを50nm程度で堆積すれば深孔314の内部及び外部を完全に埋めることが出来る。
【0067】
本変形例によれば、深孔314の壁面にボーイングが生じないため、下部電極307の第三の層間絶縁膜304より上に突出した部分が垂直に形成される。このため、第2実施形態の効果に加えて、上部電極313を堆積する際に、深孔314の内部又は外部に空隙が生じることなく、半導体装置の機械的強度を高めることが出来る。従って、後の工程で発生する応力への耐性を強化することができるので、キャパシタのリーク電流の増大によって半導体装置の特性が劣化することを抑えることができる。また、下部電極307の上部が2層の膜で構成されることによっても機械的強度を高くすることができ、例えば、下部電極307の上部を露出させる際、又はその後の乾燥の際に、露出した下部電極307の倒壊、又はひび割れが発生することを抑制することが出来る。
【0068】
ところで、上記変形例では、電極を構成するシリコン膜の膜厚が薄い場合には、深孔314の底部でフッ酸溶液が下部電極307中を拡散し、深孔314の下部近傍の第三の層間絶縁膜304やプラグ302の周辺の絶縁膜に不要なエッチングが生じる場合がある。この現象を回避するためには、深孔314の内部を充填材で充填した後にエッチングを行うことが望ましい。下記に、深孔314の外側の第三の層間絶縁膜304のエッチングに際して、深孔314の内部を充填材で充填する、第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法について、図6(a)、(b)を参照して説明する。
【0069】
図5(a)に示した工程に後続し、図6(a)に示すように、周辺回路領域の第三の層間絶縁膜304上をホトレジストで被覆すると共に、深孔314の内部をホトレジストから成る充填材401で充填する。次いで、図6(b)に示すように、フッ酸溶液を用いたエッチングにより、深孔314の外側の第三の層間絶縁膜304の上部を除去する。引き続き、酸素プラズマ等を用いて充填材401を除去することによって、図5(b)に示した構造を得ることが出来る。本変形例に係る半導体装置の製造方法は、上記を除いては、第1変形例に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0070】
図7(a)〜(d)、図8(e)〜(h)、及び、図9(i)、(j)に本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す。第2実施形態では、下部電極をシリコンで形成することによって、MIS型のキャパシタを形成したが、本実施形態では、下部電極を窒化チタンで形成することによって、MIM型のキャパシタを形成する。窒化チタンもシリコンと同様に、フッ素系ガスを用いたドライエッチングに対するエッチング耐性を有するため、サイドウオール導電体膜として好適に用いることが出来る。本実施形態の製造方法は、基本的には第2実施形態の製造方法とほぼ同様である。
【0071】
先ず、第2実施形態の製造方法と同様に、シリコン基板にソース、ドレイン等を形成し、シリコン基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する。次いで、ゲート電極を覆ってシリコン基板上に第一の層間絶縁膜を形成する。引き続き、第一の層間絶縁膜上に第二の層間絶縁膜501を形成し、第一の層間絶縁膜及び第二の層間絶縁膜501を貫通して、ドレインに達するコンタクト孔502aを形成する。
【0072】
次いで、第2実施形態の製造方法と同様に、コンタクト孔502aの内部を充填するシリコンから成るプラグ502を形成した後、窒化シリコン膜503、及び、二酸化シリコンから成る、厚さが3000nmの第三の層間絶縁膜504を順次に成膜する。次いで、第三の層間絶縁膜504上に開口を有するハードマスク505を形成した後、C58、Ar、及びO2を混合した混合ガスを用い、圧力が100mTorrで、プラズマパワーが1500Wの条件で、第三の層間絶縁膜504に深さが1000nm程度の第一の孔506を形成する。引き続き、表面清浄化処理を行った後、CVD法により厚さ20nmの第一の窒化チタン508aを成膜する(図7(a))。窒化チタン508aは、四塩化チタン(TiCl4)及びアンモニア(NH3)を原料ガスとし、温度が500℃で成膜する。
【0073】
次いで、図7(b)に示すように、Cl2及びBCl3(三塩化ホウ素)を混合した混合ガスプラズマを用いたドライエッチングにより、第一の孔506の底部に形成されている窒化チタン508aを除去し、第一の孔506の壁面に成膜されている窒化チタンを残すことにより、筒状のサイドウオール導電体膜508を形成する。窒化チタンは、塩素系ガスにより効率的にドライエッチングされる。ドライエッチングの条件は、圧力が10mTorrで、プラズマパワーが100Wとする。必要に応じて表面清浄化処理を行った後、第一の孔506の底部に露出した第三の層間絶縁膜504及び窒化シリコン膜503をドライエッチングにより除去し、図7(c)に示す第二の孔509を形成する。エッチングは、第一の孔506を形成する場合と同様のCF系ガスによるプラズマを用いて行う。第一の孔506及び第二の孔509は深孔516を構成する。
【0074】
次いで、窒化チタン508aが溶融しないように表面清浄化処理を行った後、プラグ502の表面に形成されている1nm程度の自然酸化膜をフッ酸含有溶液を用いて除去する。引き続き、プラグ502の表面近傍にチタンシリサイド510を形成する。チタンシリサイド510は、TiCl4ガスのみを用いて形成することができ、プラグ502を構成するシリコンと下部電極として成膜される窒化チタンとの接触抵抗を低減するために形成される。更に、チタンシリサイド510上に、CVD法により、同一の反応室で連続的に、厚さ20nmの第二の窒化チタン511aを成膜する(図7(d))。なお、下部電極を金属又は金属の化合物で成膜する場合には、プラグをシリコンではなく、窒化チタンやタングステンなどの材料で構成することもできる。また、窒化チタンの成膜に前述のステップ成膜法を用いることもできる。
【0075】
次いで、図8(e)に示すように、深孔516内にホトレジストから成る充填材512を充填する。引き続き、深孔516の外側の第三の層間絶縁膜504上に形成されている第二の窒化チタン511a及びハードマスク505をドライエッチングにより同一の工程で除去する。前述のように、何れも塩素系プラズマでエッチング可能であり、エッチング速度がほぼ等しくなる条件を選択して除去することができる。第三の層間絶縁膜504上に形成されている第二の窒化チタン511aを除去することにより、筒状の側壁部分と底部とから成る筒状導電体膜511を形成し、サイドウオール導電体膜508及び筒状導電体膜511から成る下部電極507を形成する。
【0076】
次いで、図8(f)に示すように、酸素プラズマを用いて充填材512を除去する。ホトレジストから成る充填材512の除去には、酸素プラズマ以外にも、フエノールアルキルベンゼンスルフオン酸などの有機酸を用いることもできる。有機酸を用いる場合には、キャパシタの下部電極を構成する窒化チタンの表面の酸化を防止することができ、キャパシタにおけるリーク電流の発生を抑制することが出来る。
【0077】
引き続き、図8(g)に示すように、第2実施形態と同様に、周辺回路領域の表面をホトレジストで被覆すると共に、深孔516の内部をホトレジストから成る充填材513で充填する。引き続き、図8(h)に示すように、フッ酸含有溶液を用いたウエットエッチングにより、深孔516の外側の第三の層間絶縁膜504の上部を除去する。
【0078】
次いで、充填材512を前述の方法により除去し、必要に応じて表面清浄化処理を行う。引き続き、第2実施形態と同様に、ステップ成膜法により酸化アルミニウムから成る膜厚が6nmの誘電体膜514をメモリアレイ領域の全面に成膜する。誘電体膜514には、酸化アルミニウムの他に、ステップ成膜法により成膜される酸化ハフニウム等と酸化アルミニウムとを組み合わせて構成することも出来る。誘電体膜を、2層の膜で構成する場合には、例えば膜厚が3〜4nmの酸化アルミニウムと膜厚が3〜4nmの酸化ハフニウムとで構成することが出来る。この場合、どの膜を下層として成膜しても良い。誘電体膜を3層の膜で構成する場合には、例えば膜厚が2〜3nmの酸化アルミニウム上に膜厚が3〜4nmの酸化ハフニウムを成膜し、更に膜厚が1〜2nmの酸化アルミニウムを成膜して構成することが出来る。また、酸化ハフニウムや酸化アルミニウム以外にも、酸化タンタルを成膜することもできる。第2実施形態で記載したように、酸化ハフニウムや酸化タンタルの誘電率は、酸化アルミニウムの誘電率よりも大きいので、キャパシタの容量を更に大きくすることができる。
【0079】
次いで、第2実施形態と同様に、窒化チタンから成る上部電極515を堆積し、下部電極507、誘電体膜514、及び上部電極515から成る、擬似クラウン型のキャパシタを形成する。更に、第2実施形態と同様に、絶縁膜の形成及びパターニング、配線の形成及びパターニングを必要に応じて繰り返すことによって、DRAMとして半導体装置を完成させることが出来る。なお、第2実施形態と同様に、図8(f)に示した工程に後続して誘電体膜及び上部電極を形成することによって、クラウン型のキャパシタを形成することもできる。
【0080】
本実施形態によれば、サイドウオール導電体膜を構成する窒化チタンが、第二の孔509を形成する際に、ドライエッチングに用いるフッ素系プラズマでエッチングされにくいので、深孔516の壁面のボーイングの発生を抑えることができる。
【0081】
ところで、下部電極をシリコンで形成する場合には、形成されたシリコン膜と誘電体膜との間に、厚さが1nm以上の二酸化シリコンが必然的に形成される。この二酸化シリコンの誘電率は低く、低誘電率の二酸化シリコンによって誘電体膜全体の誘電率が低下するので、キャパシタの容量を効果的に増大させることが難しい。これに対し、本実施形態では、窒化チタンの表面に、酸化膜等の低誘電率膜が形成されないので、キャパシタの容量を効果的に増大させることができる。例えば、同様の誘電体膜を形成したとすれば、下部電極を窒化チタンで形成した場合には、下部電極を同じ膜厚のシリコンで形成した場合に比して、キャパシタの容量を30%以上増加させることが出来る。
【0082】
また、下部電極をシリコンで形成する場合には、厚みを小さくすると抵抗が容易に増大する。これに対して、本実施形態のように、下部電極を窒化チタンなどの金属の化合物で形成する場合には、抵抗の増大を招くことなく下部電極の厚みを小さくすることが出来る。従って、深孔の内部を下部電極が占める割合を減少させることができ、同じ径の深孔であっても、キャパシタの面積を相対的に大きくして、キャパシタの容量を増大させることが出来る。
【0083】
また、背景技術に記載したような下部電極にHSGを形成する場合では、HSGを形成することにより、下部電極の実質的な厚みが80nm程度に厚くなる。微細化された半導体装置では、特に深孔の上部の短径よりも深孔の底部の短径が小さな深孔で、深孔の底部近傍で両壁面から成長したHSGが接触し、誘電体膜及び上部電極が形成されるべき空間を消滅させ、適正なキャパシタを構成できない恐れがある。しかし、本実施形態では下部電極を金属の化合物で形成するので、半導体装置の微細化によって、深孔又は第二の孔の短径が例えば250nm以下に小さくなっても、下部電極の厚みを深孔の短径の10%以下に維持することが可能である。従って、半導体装置を微細化しつつも、誘電体膜及び下部電極を形成するための十分な空間を確保することが出来る。なお、加工可能な最も小さな深孔の短径は100nmである。
【0084】
疑似クラウン構造のキャパシタを形成する際に、第三の層間絶縁膜より上に突出した下部電極の部分が倒壊する問題を回避するためには、下部電極の膜厚を厚くすることが考えられる。一方、キャパシタの容量を確保するためには、下部電極の厚みを極力薄くする必要がある。この場合、筒状導電体膜を極力薄く形成し、サイドウオール導電体膜を厚く形成することにより、大きなキャパシタの容量を確保しつつ、且つ第三の層間絶縁膜より上に突出した下部電極の部分の高い機械的強度を得ることが出来る。
【0085】
なお、本実施形態では、サイドウオール導電体膜及び筒状導電体膜を共に窒化チタンで形成したが、他の金属又は他の金属の化合物で形成することも出来る。更に、サイドウオール導電体膜と筒状導電体膜とを異種の材料で組み合わせて形成することもできる。例えば、サイドウオール導電体膜を高い機械的強度を有するシリコンで、筒状導電体膜を小さな厚みで成膜できる金属や金属の化合物で形成すれば、キャパシタの容量を更に大きくしつつ、且つサイドウオール導電体膜の機械的強度を更に高めることが出来る。このような構成は、下部電極の上部が第三の層間絶縁膜より上に突出する擬似クラウン型のキャパシタを形成する場合に、下部電極の上部の機械的強度が低下するので特に好ましい。
【0086】
本発明の効果を確認するために、第2実施形態、第2実施形態の第1変形例、及び従来の製造方法に従って256Mbitの半導体装置を製造し、それぞれ実施例1、実施例2、及び比較例の半導体装置とした。これらの半導体装置では、図4(j)、図5(d)、及び図12(j)にそれぞれ示したキャパシタ構造の上に、正規の製品製造工程に基づいて配線を形成し、それぞれDRAMを形成した。実施例1、2及び比較例の半導体装置において、DRAMの基本性能を示すリフレッシュ特性を調べた。256Mの記憶素子の全bitを、“0”に相当する電荷蓄積状態に保持し、500msecが経過した後、その情報が失われたbitの数を調べた。
【0087】
比較例の半導体装置では、情報が消失したbit数が数万から数十万に及んだ。これに対し、実施例1、2の半導体装置では、数百bit程度で、比較例の半導体装置に比して非常に少なかった。実施例1、2の半導体装置における情報消失bit数のレベルは、通常のDRAMで行われる不良bit救済技術を適用することが十分に可能である。このように、半導体装置に本発明を適用することによって、製品の製造歩留まりを大幅に向上させることが出来ることが判った。
【0088】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した半導体装置及びその製造方法も、本発明の範囲に含まれる。例えば、キャパシタの深孔に限らず、スルーホールを形成する場合に本発明の製造方法を適用することによって、ボーイングが抑制されたスルーホールを形成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は、第2実施形態の半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す断面図である。
【図3】図3(e)〜(h)は、第2実施形態の半導体装置の製造方法について、図2に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【図4】図4(i)、(j)は、第2実施形態の半導体装置の製造方法について、図3に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【図5】図5(a)〜(d)は、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す断面図である。
【図6】図6(a)、(b)は、第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す断面図である。
【図7】図7(a)〜(d)は、第3実施形態の半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す断面図である。
【図8】図8(e)〜(h)は、第3実施形態の半導体装置の製造方法について、図7に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【図9】図9(i)、(j)は、第3実施形態の半導体装置の製造方法について、図8に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(d)は、従来の半導体装置の製造方法について、製造段階を順次に示す断面図である。
【図11】図11(e)〜(h)は、従来の半導体装置の製造方法について、図10に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【図12】図12(i)、(j)は、従来の半導体装置の製造方法について、図11に後続する製造段階を順次に示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
100:半導体装置
100A:メモリアレイ領域
100B:周辺回路領域
101:p型シリコン基板
102:nウエル
103:第一のpウエル
104:第二のpウエル
105:素子分離領域
106,107:スイッチングトランジスタ
108,112:ドレイン
109:ソース
110:ゲート絶縁膜
111:ゲート電極
113:第一の層間絶縁膜
114:コンタクト孔
115:多結晶シリコン
116:チタンシリサイド
117:窒化チタン
118:タングステン
119:窒化タングステン
120:タングステン
121:第二の層間絶縁膜
122:シリコンプラグ
122a:コンタクト孔
123:第三の層間絶縁膜
124:金属シリサイド
125:下部電極
126:誘電体膜
127:上部電極
128:第四の層間絶縁膜
129:コンタクトプラグ
129a:コンタクト孔
130:プラグ
130a:コンタクト孔
131:窒化チタン
132:タングステン
133:窒化チタン
134:アルミニウム
135:窒化チタン
136:引出し配線
137:窒化チタン
138:タングステン
139:窒化チタン
140:アルミニウム
141:窒化チタン
142:プラグ
142a:コンタクト孔
143:ビット線コンタクト
150:深孔
151:第一の孔
152:第二の孔
153:サイドウオール導電体膜
154:筒状導電体膜
155:ダミーの第一の孔
156:ダミーの第二の孔
157:ダミーの深孔
201:第二の層間絶縁膜
202:プラグ
202a:コンタクト孔
203:窒化シリコン膜
204:第三の層間絶縁膜
205:ハードマスク
205a:(ハードマスクの)開口
206:深孔(孔)
207:下部電極
207a:シリコン膜
208:充填材
209:誘電体膜
210:上部電極
211:(ハードマスクの)肩
212:ボーイング
213:空隙
301:第二の層間絶縁膜
302:プラグ
302a:コンタクト孔
303:窒化シリコン膜
304:第三の層間絶縁膜
305:ハードマスク
305a:(ハードマスクの)開口
306:第一の孔
307:下部電極
308:サイドウオール導電体膜
308a:第一のシリコン膜
309:第二の孔
310:筒状導電体膜
310a:第二のシリコン膜
311:充填材
312:誘電体膜
313:上部電極
314:深孔
401:充填材
501:第二の層間絶縁膜
502:プラグ
502a:コンタクト孔
503:窒化シリコン膜
504:第三の層間絶縁膜
505:ハードマスク
506:第一の孔
507:下部電極
508:サイドウオール導電体膜
508a:第一の窒化チタン
509:第二の孔
510:チタンシリサイド
511:筒状導電体膜
511a:第二の窒化チタン
512,513:充填材
514:誘電体膜
515:上部電極
516:深孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面上部に形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜内に形成され上部に開口を有する筒状の第1の電極と、該第1の電極の表面を覆って形成された筒状の誘電体膜と、該誘電体膜上に形成され該誘電体膜を介して前記第1の電極と対向する第2の電極とを備える容量素子と、
前記第1の電極の底部に接続される接続プラグとを備える半導体装置において、
前記第1の電極は、前記開口に隣接する上部電極部分が複数の導電体膜で構成され、前記接続プラグに隣接する底部電極部分が前記複数の導電体膜の内で最上層の導電体膜で構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数の導電体膜が相互に同じ導電体材料で形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電体材料が、多結晶シリコン、タングステン及びその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される1種の材料で構成される、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の導電体膜の少なくとも2つが、相互に異なる導電体材料によって形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の導電体膜が、多結晶シリコン、タングステン及びその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される2種類以上の材料の組み合わせで構成される、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の電極の断面形状の外周が略楕円形で、且つ該楕円形の短径が100nm以上で250nm以下であり、該第1の電極の厚みが前記楕円形の短径の10%以下である、請求項1〜5の何れか一に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の電極の断面形状の外周が略楕円形であり、該楕円形の短径に対する前記第1の電極の垂直方向の長さの比が10以上である、請求項1〜6の何れか一に記載の半導体装置。
【請求項8】
容量素子を備える半導体装置を形成する方法であって、
半導体基板の主面上部に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜を貫通する接続プラグを形成する工程と、
前記第1の絶縁膜及び接続プラグ上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記接続プラグに位置合わせして前記第2の絶縁膜をエッチングし、前記第2の絶縁膜の厚みよりも短い第1の孔を形成する工程と、
前記第1の孔の側壁表面にサイドウオール導電体膜を形成する工程と、
前記第1の孔の底部を更にエッチングし、前記第1の孔に続く第2の孔を形成して、前記接続プラグの頂部を露出させる工程と、
前記サイドウオール導電体膜の表面と、前記第2の孔の壁面及び底面とを覆い、前記第1の孔の上部に開口を有する筒状導電体膜を形成する工程と、
前記筒状導電体膜を覆う筒状部分を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、該導電体膜を介して前記筒状導電体膜と対向する上部導電体膜を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記筒状導電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜を形成する工程との間に、前記第1及び第2の孔を充填材で充填する工程と、前記第2の絶縁膜の表面を保護する保護膜を形成する工程とを更に備える、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記筒状導電体膜と前記サイドウオール導電体膜とを、相互に同じ導電体材料で形成する、請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記導電体材料が、多結晶シリコン、タングステンおよびその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される1種の材料で構成される、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記筒状導電体膜と前記サイドウオール導電体膜とを、相互に異なる導電体材料で形成する、請求項8又は9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記筒状導電体膜と前記サイドウオール導電体膜とを、多結晶シリコン、タングステン及びその化合物、チタン及びその化合物、並びに、ルテニウム及びその化合物の中から選択される2種類以上の材料の組み合わせで構成する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記筒状導電体膜の断面形状の外周が略楕円形で、該楕円形の短径が100nm以上で250nm以下であり、且つ前記筒状導電体膜の厚みが前記楕円形の短径の10%以下である、請求項8〜13の何れか一に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記筒状導電体膜の断面形状の外周が略楕円形であり、該楕円形の短径に対する前記筒状導電体膜の垂直方向の長さの比が10以上である、請求項8〜14の何れか一に記載の半導体装置。
【請求項16】
半導体基板の主面上部に形成された第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜内に形成されたコンタクトホールと、該コンタクトホール内を充填するコンタクトプラグとを備える半導体装置において、
前記コンタクトプラグの上部部分が複数の導電体膜で構成され、前記コンタクトプラグの下部部分が前記複数の導電体膜の内で最上層の導電体層で構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
半導体基板の主面上部に第1の配線パターンを形成する工程と、
前記第1の配線パターンを覆って第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜をエッチングし、前記第1の絶縁膜の厚みよりも短い第1の孔を形成する工程と、
前記第1の孔の側壁表面にサイドウオール導電体膜を形成する工程と、
前記第1の孔の底部を更にエッチングし、前記第1の孔に続く第2の孔を形成して、前記第1の配線パターンの配線の表面を露出させる工程と、
前記配線の表面上に、前記サイドウオール導電体膜の内部及び前記第2の孔の内部を充填するコンタクトプラグを形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−120832(P2006−120832A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306717(P2004−306717)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】