半導体装置及び半導体装置の製造方法
【課題】 製造効率を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 半導体装置21は、半導体基板1に形成された貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜4と、貫通孔内に位置する充填部6aと貫通孔外に位置する接続部6bとを有する導体6を備える。半導体基板1の主面上に、半導体基板1の貫通孔に連通する貫通孔を各々有する電極パッド5と金属被膜8とを備える。半導体基板1の裏面に、導体6に接続された裏面配線16を備え、この裏面配線16にバンプ17が接続されている。金属被膜8は、導体の接続部6bをマスクとしてパターニングされたものであり、この金属被膜8の外周縁と接続部6bの外周縁は略同一の平面形状を有する。
【解決手段】 半導体装置21は、半導体基板1に形成された貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜4と、貫通孔内に位置する充填部6aと貫通孔外に位置する接続部6bとを有する導体6を備える。半導体基板1の主面上に、半導体基板1の貫通孔に連通する貫通孔を各々有する電極パッド5と金属被膜8とを備える。半導体基板1の裏面に、導体6に接続された裏面配線16を備え、この裏面配線16にバンプ17が接続されている。金属被膜8は、導体の接続部6bをマスクとしてパターニングされたものであり、この金属被膜8の外周縁と接続部6bの外周縁は略同一の平面形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯情報機器に代表される電子機器の小形化および軽量化の要求に伴って、電子機器に用いられる半導体装置の小形化および高密度化が図られている。この目的のために、複数の半導体装置を積層した積層型半導体モジュールが提案されている。
【0003】
図10は、従来の半導体装置を用いて形成された積層型半導体モジュールを示す断面図である。この半導体モジュール120は、複数の半導体装置121,122,123,124が積み重ねられて、バンプ117によって互いに接続されている。上記複数の半導体装置121,122,123,124は、半導体基板101,102,103,104を貫通して主面側と裏面側を電気的に接続する貫通電極111を備える。この貫通電極111は、側壁絶縁膜4によって上記半導体基板101,102,103,104と絶縁されている。
【0004】
上記半導体装置の製造方法の第1の従来技術として、図11のフローチャートに示すような方法が提案されている(特開2003−273106号公報:特許文献1参照)。まず、半導体基板の主面にマスクを形成し(ステップS101)、このマスクの開口を介したエッチングにより非貫通孔を形成し(ステップS102)する。続いて、上記非貫通孔の内側面及び底面に側壁絶縁膜を形成し(ステップS103)、この後、非貫通孔形成用のマスクを除去する(ステップS104)。次に、上記側壁絶縁膜が形成された非貫通孔の内側に、スパッタリング等でシード層を形成し(ステップS105)、その上に、めっきレジストを形成する(ステップS106)。このめっきレジストが配置されていない部分に、電解めっきによってCuを形成する(ステップS107)。この工程により、上記非貫通孔内にCuが埋め込まれる。この後、上記めっきレジストを剥離し(ステップS108)、続いて、上記シード層の不要部分をエッチングで除去する(ステップ109)。この後、上記半導体基板の裏面を研磨等により後退させ(ステップS110)、Cuを裏面側に露出させて貫通電極を得る。この半導体基板の裏面に、感光性樹脂材料を用いてフォトリソグラフィ技術によって裏面絶縁膜を形成し(ステップS111)、この裏面絶縁膜の開口を介して上記貫通電極に接続する裏面配線を形成して(ステップS112)、半導体装置が完成する。
【0005】
また、上記貫通電極を形成する第2の従来技術として、半導体基板の主面に形成した非貫通孔に導電ペーストを充填する方法がある(例えば、特開平10−223833号公報:特許文献2参照)。この従来技術は、非貫通孔に導電ペーストを充填後、半導体基板の主面上に金属被膜をスパッタリング等によって形成する。そして、上記半導体基板の主面上に形成された電極パッドと、上記導電ペーストで形成した導体とを連絡するキャップ配線となる部分以外の部分について、上記金属被膜を除去する。この後、第1の従来技術と同様に、半導体基板の裏面を後退させて導体を露出して、貫通電極を形成する。そして、上記半導体基板の裏面に裏面絶縁膜を形成し、この裏面絶縁膜の開口を介して上記貫通電極に接続する裏面配線を形成して、半導体装置が完成する。
【0006】
しかしながら、上記従来の半導体装置の製造方法には、以下に示すような問題点がある。
【0007】
すなわち、第1の従来技術では、めっきレジストを形成する場合、感光性樹脂材料を塗布、露光および現像してレジストパターンを形成する工程が必要である。
【0008】
また、第2の従来技術では、導電ペーストと電極パッドとを連絡するキャップ配線を形成する際に、半導体基板の主面上の不要な金属被膜を除去するためには、感光性樹脂材料を用いてエッチングレジストを形成することが必要である。
【0009】
また、第1および第2の従来技術のいずれも、半導体基板の主面に非貫通孔を形成する工程と、裏面絶縁膜を形成する工程において、感光性樹脂材料に対するフォトリソグラフィを行う必要がある。
【0010】
したがって、第1および第2の従来技術のいずれも、少なくとも3回のフォト工程が必要であるので、半導体装置の製造方法における工程数が比較的多くて、半導体装置の製造効率が比較的悪いという問題がある。
【特許文献1】特開2003−273106号公報
【特許文献2】特開平10−223833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、製造効率を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、
半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、
上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、
上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、
上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有することを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、上記電極パッドは、上記金属被膜を介して導体の接続部に電気的に接続され、この導体の接続部に連なる充填部によって、半導体基板の裏面側に電気的に接続可能になる。なお、上記電極パッドは、上記半導体基板の主面上に形成された例えば半導体素子の電極パッドである。また、上記金属被膜は、1層で形成されても、複数層で形成されてもよい。
【0014】
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有し、上記導体の接続部をマスクとして金属被膜がパターニングされている。したがって、上記金属被膜のパターニングのためのエッチングレジストを形成する工程を削除できるので、この半導体装置は従来よりも少ない工程で製造できる。その結果、半導体装置の製造効率を向上できる。特に、この半導体装置を複数個積層して積層型の半導体モジュールを構成した場合、この半導体モジュール全体の製造工程を大幅に削減できて、製造効率を大幅に向上できる。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、
半導体基板の主面上に電極パッドを形成する工程と、
上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆を形成する工程と、
上記金属被膜に貫通孔を形成する工程と、
上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔を形成する工程と、
上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔を形成する工程と、
上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜を形成する工程と、
上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体を形成する工程と、
上記導体の接続部をマスクとして上記金属被膜の一部を除去する工程と
を備えることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、半導体基板の主面上に電極パッドが形成される。この電極パッドは、例えば、上記半導体基板の主面上に形成された半導体素子の電極パッドである。上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆が形成される。この金属被覆は、1層で形成されても、複数層で形成されてもよい。上記金属被膜に貫通孔が形成され、上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔が形成される。上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔が形成される。上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜が形成される。上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体が形成される。上記導体の接続部をマスクとして、上記金属被膜の一部が除去される。これにより、金属被膜の一部を除去するための例えばエッチングマスクを形成する工程が削除できるから、従来よりも少ない工程数で半導体装置を製造できる。
【0017】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記金属被膜上に、エッチングレジストを塗布する工程と、
上記エッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口を形成する工程とを備え、
上記金属被膜および電極パッドの貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成し、
上記半導体基板の非貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成する。
【0018】
上記実施形態によれば、上記金属被膜上に、エッチングレジストが塗布され、このエッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口が形成される。この開口を介して、上記金属被膜および電極パッドの貫通孔が形成され、さらに、上記半導体基板の非貫通孔が形成される。このように、1つのエッチングレジストを用いて、上記金属被膜および電極パッドの貫通孔と、上記半導体基板の非貫通孔とを形成するので、効率良く半導体装置を製造できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の半導体装置は、半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有するので、上記接続部をマスクとして金属被膜をパターニングできる。したがって、上記金属被膜のパターニングのためのエッチングレジストを形成する工程を削除できるので、この半導体装置は従来よりも少ない工程で製造できて、従来よりも製造効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1Aは、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図1Bは、図1Aに示したフローチャート中のステップS2およびステップS9の詳細工程を示すフローチャートである。図1Aおよび1Bの各工程について、以下、図2A乃至8の断面図を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図2A乃至2Cは、半導体基板1の主面側の電極パッド5上に、金属被膜8a,8bとエッチングレジスト9を形成する工程を説明する断面図である。これらの工程は、図1Aのフローチャートにおいて、金属被膜形成工程(ステップS1)と穿孔用マスク形成工程(ステップS2)に相当する。
【0023】
まず、図2Aに示すように、半導体基板1上に、電極パッド5と表面絶縁膜2を形成する。上記電極パッド5は1辺が120μmの矩形であり、AlCuから成る。上記表面絶縁膜2はSiO2から成り、上記電極パッド5の一部を覆うと共に、上記電極パッド5を臨む1辺が115μmの矩形の開口部を有している。
【0024】
次に、図2Bに示すように、金属被膜8a,8bを、この順に、上記表面絶縁膜2と電極パッド5上に形成する。上記金属被膜8a,8bは、スパッタリングによって形成する。まず、スパッタリング装置を用いて、0.1μmの厚さのTiW膜からなる金属被膜8aを半導体基板1の主面上に形成し、次に、スパッタリング装置のターゲットを換えて、1μmの厚さのCu膜からなる金属被膜8bを形成する。
【0025】
次に、図2Cに示すように、エッチングレジスト9を上記金属被膜8bの上に形成する。このエッチングレジスト9は、半導体基板1の主面上の全体にスピンコートにより感光性樹脂材料を塗布し、露光、現像、硬化の工程を経て、電極パッド5の上方が開口するように形成する。上記エッチングレジスト9の厚みは8μmであり、電極パッド5の上方に形成された開口は直径80μmの略円形である。上記エッチングレジスト9を形成する工程では、図1Bのフローチャートのうち、レジスト塗布(ステップS11)、露光(ステップS13)、現像(ステップS14)、キュア(硬化)(ステップS15)の工程が行われる。
【0026】
図3Aおよび3Bは、半導体基板1に非貫通孔3を形成する工程を説明する断面図である。これらの工程は、図1Aのフローチャートにおいて、非貫通孔形成(RIE)工程(ステップS3)に相当する。
【0027】
続いて、図3Aに示すように、エッチングレジスト9を遮蔽にして、このエッチングレジスト9の開口を介して、Cuエッチング液を用いて金属被膜8bの一部をエッチングし、TiWエッチング液を用いて金属被膜8aの一部をエッチングし、Alエッチング液を用いて電極パッド5の一部をエッチングする。
【0028】
次に、図3Bに示すように、上記エッチングレジスト9の開口を介して、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法を用いて、上記半導体基板1に非貫通孔3を形成する。RIEにはエッチングガスとしてSF6ガスを用いる。また、デポジションガスとしてO2ガスを混入し、エッチングレートの遅い酸化物を非貫通孔3の内側面に形成しながら半導体基板1のエッチングを行った。O2ガスの代わりにCF4やC4F8などのフッ化炭素ガスをデポジションガスとして用いて、エッチング工程とデポジション工程とを交互に行っても良い。
【0029】
図3Bの断面図において、RIEにより半導体基板1に形成された非貫通孔3の形状は、直径が約80μmの略円形の開口と、直径が約70μmの略円形の底面とを有して深さが約100μmの概略筒状である。
【0030】
図4Aおよび4Bは、非貫通孔3に側壁絶縁膜4を形成し、その後でエッチングレジスト9を除去する工程を説明する断面図である。これら工程は、図1Aのフローチャートにおいて、側壁絶縁膜塗布・硬化工程(ステップS4)および穿孔用マスク剥離工程(ステップS5)に相当する。
【0031】
まず、図4Aに示すように、印刷法によって、側壁絶縁膜4を、非貫通孔3の内側面と、電極パッド5、金属被膜8a、8bおよびエッチングレジスト9の貫通孔の内側面とに形成する。上記側壁絶縁膜4の材料は、フィラーを含有したエポキシ材料である。また、スプレーコート法等によって半導体基板1の主面側から感光性樹脂材料を塗布し、露光、現像、硬化プロセスを行って側壁絶縁膜4を形成してもよい。
【0032】
次に、図4Bに示すように、エッチングレジスト9を剥離剤によって除去する。
【0033】
図5Aおよび5Bは、導体6を形成する工程と、金属被膜8a,8bをパターニングする工程とを説明する断面図である。これらの工程は、図1のフローチャートにおいて、導電ペースト充填・硬化工程(ステップS6)と、金属被膜エッチング工程(ステップS7)に相当する。
【0034】
まず、図5Aに示すように、銀粒子を含んだ導電ペーストを、印刷法によって非貫通孔3内に充填すると共に、上記非貫通孔3外の上記金属被膜8a,8bの表面の一部に配置する。上記導電ペーストが充填・配置された半導体基板1を、150℃に保持したオーブンに1時間入れて上記導電ペーストを硬化させて、導体6を形成する。これにより、上記非貫通孔3内に導体の充填部6aが形成され、上記金属被膜8a,8b上に導体の接続部6bが形成される。上記導体の接続部6bは、半導体基板1の主面上において、一辺が約120μmの略矩形となり、厚みは約15μmであった。このとき、金属被膜8bの表面を予め酸化膜除去剤によって処理することにより、金属被膜8bと導電ペーストとの接触抵抗を小さくしておくのが好ましい。
【0035】
次に、図5Bに示すように、上記導体の接続部6bをマスクにして、Cuに対するエッチャント液を用いて、金属被膜8aの一部をエッチングし、さらに、TiWに対するエッチャント液を用いて金属被膜8bの一部をエッチングする。ここで、上記導体6は、銀粒子と、この銀粒子を保持する樹脂材料とで形成されており、また、この導体の接続部6bは、金属被膜8a,8b上において十分な厚さを有している。したがって、上記導体の接続部6bは、Cuに対するエッチャントと、TiWに対するエッチャントとに対して、マスクとして働くことが可能になっている。これにより、上記金属被膜8a,8bの一部をエッチングするためのエッチングレジストが不要になるので、従来よりも半導体装置の製造工程を少なくできて、製造効率を向上することができる。
【0036】
図6Aおよび6Bは、半導体基板1の裏面を後退させ、導体の充填部6aを半導体基板1の裏面側に露出させて貫通電極を形成する工程を説明する断面図である。この工程は、図1のフローチャートにおいて、裏面研磨工程(ステップS8)に相当する。
【0037】
まず、図6Aに示すように、半導体基板1の主面側を保護シート31によって支持部材32に貼り付ける。その後、図6Bに示すように、半導体基板1の裏面を研磨により後退させて、上記導体の充填部6aを露出させることにより、貫通電極が得られる。この工程により、半導体基板1の厚さを約80μmにする。この後、上記保護シート31が貼り付けられた状態で、上記支持部材32から半導体基板1を取り外す。
【0038】
図7は、半導体基板1の裏面に配線を形成する工程を説明する断面図である。この工程は、図1のフローチャートにおいて、裏面絶縁膜形成工程(ステップS9)に相当する。
【0039】
まず、図7Aに示すように、半導体基板1の裏面(上記保護シート31が貼り付けられた側と逆側の面)に、感光性樹脂材料をスピンコート法により塗布し、プリベーク、露光、現像および硬化の工程を行って、裏面絶縁膜15を形成する。裏面絶縁膜15には、導体の充填部6aの一部を露出するように開口部を設ける。この開口部は、直径が30μmの円形である。
【0040】
引き続いて、半導体基板1の裏面全体にスパッタリングによってTi、Cuのシード層を形成する。そして、半導体基板1の裏面に、めっき用レジスト材料を塗布し、プリベーク、露光、現像のプロセスを経て、めっき用レジストを形成する。このめっき用レジストの開口部を介して、電解めっき法によりCu膜を形成する。この後、めっき用レジストを剥離し、ウェットエッチングによってシード層のCu、Tiを除去して、図7Bに示すような導体の充填部6aに接する裏面配線16を形成する。
【0041】
図8は、本発明の実施形態の半導体装置21の構造を説明する断面図である。この半導体装置21は、図7Bの断面図に示す構造を形成した後、裏面配線16の表面にバンプ17を形成し、半導体基板1を保護シート31から剥離し、ダイシング工程でチップに分割されて形成される。上記バンプ17は、SnAgCuはんだボールを用いて形成する。なお、上記バンプ17を導電ペーストで形成してもよい。
【0042】
ここで、本実施形態の半導体装置の製造方法と、従来の半導体装置の製造方法とを比較する。図11に示した従来の半導体装置の製造方法のフローチャートと、図1Aに示した本実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャートを比較すると、従来の半導体装置の製造方法では、図1Bに示したようなフォト工程を、図11のフローチャートにおけるステップS101と、ステップS106と、ステップS111とで3回行う必要がある。これに対して、本実施形態の半導体装置の製造方法では、図1Bに示したようなフォト工程を、図1のフローチャートにおいてステップS2と、ステップS9との2回行えばよい。したがって、半導体装置の製造に必要な工程数を、従来よりも効果的に削減して、良好な効率で半導体装置を作製することができる。
【0043】
図9は、上記実施形態の半導体装置を複数個用いて形成した半導体モジュールを示す断面図である。図9において、図2乃至8に示した半導体装置の部分と同一の部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。この半導体モジュール24は、複数個の上記半導体装置21を、互いにバンプ17で接続して形成されており、配線基板26に実装されている。
【0044】
この半導体モジュール24は、良好な効率で作製可能な半導体装置21を用いて形成するので、従来よりも大幅に少ない工程で製造が可能であり、製造効率の向上と、これに伴うコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図1B】図1Aのフローチャート中のステップS2およびステップS9の詳細工程を示すフローチャートである。
【図2A】半導体基板上に、電極パッドと表面絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図2B】金属被膜を表面絶縁膜と電極パッド上に形成した様子を示す図である。
【図2C】エッチングレジストを金属被膜の上に形成した様子を示す図である。
【図3A】エッチングレジストの開口を介して、金属被膜と電極パッドの一部を除去した様子を示す図である。
【図3B】エッチングレジストの開口を介して、半導体基板に非貫通孔を形成した様子を示す図である。
【図4A】非貫通孔の内側面と、電極パッド、金属被膜およびエッチングレジストの貫通孔の内側面とに側壁絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図4B】エッチングレジストを除去した様子を示す図である。
【図5A】非貫通孔内の充填部と、金属被膜上の接続部とを有する導体を形成した様子を示す図である。
【図5B】導体の接続部をマスクにして、金属被膜の一部をエッチングした様子を示す図である。
【図6A】半導体基板の主面側を保護シートによって支持部材に貼り付けた様子を示す図である。
【図6B】半導体基板の裏面を研磨して、導体を露出させた様子を示す図である。
【図7A】半導体基板の裏面に、裏面絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図7B】半導体基板の裏面に、貫通電極に接する裏面配線を形成した様子を示す図である。
【図8】半導体装置の構造を説明する断面図である。
【図9】半導体装置を複数個用いて形成した半導体モジュールを示す断面図である。
【図10】従来の半導体装置を用いて形成された積層型半導体モジュールを示す断面図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体基板
2 表面絶縁膜
4 側壁絶縁膜
5 電極パッド
8 金属被膜
11 貫通電極
15 裏面絶縁膜
16 裏面配線
17 バンプ
21 半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯情報機器に代表される電子機器の小形化および軽量化の要求に伴って、電子機器に用いられる半導体装置の小形化および高密度化が図られている。この目的のために、複数の半導体装置を積層した積層型半導体モジュールが提案されている。
【0003】
図10は、従来の半導体装置を用いて形成された積層型半導体モジュールを示す断面図である。この半導体モジュール120は、複数の半導体装置121,122,123,124が積み重ねられて、バンプ117によって互いに接続されている。上記複数の半導体装置121,122,123,124は、半導体基板101,102,103,104を貫通して主面側と裏面側を電気的に接続する貫通電極111を備える。この貫通電極111は、側壁絶縁膜4によって上記半導体基板101,102,103,104と絶縁されている。
【0004】
上記半導体装置の製造方法の第1の従来技術として、図11のフローチャートに示すような方法が提案されている(特開2003−273106号公報:特許文献1参照)。まず、半導体基板の主面にマスクを形成し(ステップS101)、このマスクの開口を介したエッチングにより非貫通孔を形成し(ステップS102)する。続いて、上記非貫通孔の内側面及び底面に側壁絶縁膜を形成し(ステップS103)、この後、非貫通孔形成用のマスクを除去する(ステップS104)。次に、上記側壁絶縁膜が形成された非貫通孔の内側に、スパッタリング等でシード層を形成し(ステップS105)、その上に、めっきレジストを形成する(ステップS106)。このめっきレジストが配置されていない部分に、電解めっきによってCuを形成する(ステップS107)。この工程により、上記非貫通孔内にCuが埋め込まれる。この後、上記めっきレジストを剥離し(ステップS108)、続いて、上記シード層の不要部分をエッチングで除去する(ステップ109)。この後、上記半導体基板の裏面を研磨等により後退させ(ステップS110)、Cuを裏面側に露出させて貫通電極を得る。この半導体基板の裏面に、感光性樹脂材料を用いてフォトリソグラフィ技術によって裏面絶縁膜を形成し(ステップS111)、この裏面絶縁膜の開口を介して上記貫通電極に接続する裏面配線を形成して(ステップS112)、半導体装置が完成する。
【0005】
また、上記貫通電極を形成する第2の従来技術として、半導体基板の主面に形成した非貫通孔に導電ペーストを充填する方法がある(例えば、特開平10−223833号公報:特許文献2参照)。この従来技術は、非貫通孔に導電ペーストを充填後、半導体基板の主面上に金属被膜をスパッタリング等によって形成する。そして、上記半導体基板の主面上に形成された電極パッドと、上記導電ペーストで形成した導体とを連絡するキャップ配線となる部分以外の部分について、上記金属被膜を除去する。この後、第1の従来技術と同様に、半導体基板の裏面を後退させて導体を露出して、貫通電極を形成する。そして、上記半導体基板の裏面に裏面絶縁膜を形成し、この裏面絶縁膜の開口を介して上記貫通電極に接続する裏面配線を形成して、半導体装置が完成する。
【0006】
しかしながら、上記従来の半導体装置の製造方法には、以下に示すような問題点がある。
【0007】
すなわち、第1の従来技術では、めっきレジストを形成する場合、感光性樹脂材料を塗布、露光および現像してレジストパターンを形成する工程が必要である。
【0008】
また、第2の従来技術では、導電ペーストと電極パッドとを連絡するキャップ配線を形成する際に、半導体基板の主面上の不要な金属被膜を除去するためには、感光性樹脂材料を用いてエッチングレジストを形成することが必要である。
【0009】
また、第1および第2の従来技術のいずれも、半導体基板の主面に非貫通孔を形成する工程と、裏面絶縁膜を形成する工程において、感光性樹脂材料に対するフォトリソグラフィを行う必要がある。
【0010】
したがって、第1および第2の従来技術のいずれも、少なくとも3回のフォト工程が必要であるので、半導体装置の製造方法における工程数が比較的多くて、半導体装置の製造効率が比較的悪いという問題がある。
【特許文献1】特開2003−273106号公報
【特許文献2】特開平10−223833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、製造効率を向上できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、
半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、
上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、
上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、
上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有することを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、上記電極パッドは、上記金属被膜を介して導体の接続部に電気的に接続され、この導体の接続部に連なる充填部によって、半導体基板の裏面側に電気的に接続可能になる。なお、上記電極パッドは、上記半導体基板の主面上に形成された例えば半導体素子の電極パッドである。また、上記金属被膜は、1層で形成されても、複数層で形成されてもよい。
【0014】
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有し、上記導体の接続部をマスクとして金属被膜がパターニングされている。したがって、上記金属被膜のパターニングのためのエッチングレジストを形成する工程を削除できるので、この半導体装置は従来よりも少ない工程で製造できる。その結果、半導体装置の製造効率を向上できる。特に、この半導体装置を複数個積層して積層型の半導体モジュールを構成した場合、この半導体モジュール全体の製造工程を大幅に削減できて、製造効率を大幅に向上できる。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、
半導体基板の主面上に電極パッドを形成する工程と、
上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆を形成する工程と、
上記金属被膜に貫通孔を形成する工程と、
上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔を形成する工程と、
上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔を形成する工程と、
上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜を形成する工程と、
上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体を形成する工程と、
上記導体の接続部をマスクとして上記金属被膜の一部を除去する工程と
を備えることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、半導体基板の主面上に電極パッドが形成される。この電極パッドは、例えば、上記半導体基板の主面上に形成された半導体素子の電極パッドである。上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆が形成される。この金属被覆は、1層で形成されても、複数層で形成されてもよい。上記金属被膜に貫通孔が形成され、上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔が形成される。上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔が形成される。上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜が形成される。上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体が形成される。上記導体の接続部をマスクとして、上記金属被膜の一部が除去される。これにより、金属被膜の一部を除去するための例えばエッチングマスクを形成する工程が削除できるから、従来よりも少ない工程数で半導体装置を製造できる。
【0017】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、
上記金属被膜上に、エッチングレジストを塗布する工程と、
上記エッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口を形成する工程とを備え、
上記金属被膜および電極パッドの貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成し、
上記半導体基板の非貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成する。
【0018】
上記実施形態によれば、上記金属被膜上に、エッチングレジストが塗布され、このエッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口が形成される。この開口を介して、上記金属被膜および電極パッドの貫通孔が形成され、さらに、上記半導体基板の非貫通孔が形成される。このように、1つのエッチングレジストを用いて、上記金属被膜および電極パッドの貫通孔と、上記半導体基板の非貫通孔とを形成するので、効率良く半導体装置を製造できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の半導体装置は、半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有するので、上記接続部をマスクとして金属被膜をパターニングできる。したがって、上記金属被膜のパターニングのためのエッチングレジストを形成する工程を削除できるので、この半導体装置は従来よりも少ない工程で製造できて、従来よりも製造効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1Aは、本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図1Bは、図1Aに示したフローチャート中のステップS2およびステップS9の詳細工程を示すフローチャートである。図1Aおよび1Bの各工程について、以下、図2A乃至8の断面図を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図2A乃至2Cは、半導体基板1の主面側の電極パッド5上に、金属被膜8a,8bとエッチングレジスト9を形成する工程を説明する断面図である。これらの工程は、図1Aのフローチャートにおいて、金属被膜形成工程(ステップS1)と穿孔用マスク形成工程(ステップS2)に相当する。
【0023】
まず、図2Aに示すように、半導体基板1上に、電極パッド5と表面絶縁膜2を形成する。上記電極パッド5は1辺が120μmの矩形であり、AlCuから成る。上記表面絶縁膜2はSiO2から成り、上記電極パッド5の一部を覆うと共に、上記電極パッド5を臨む1辺が115μmの矩形の開口部を有している。
【0024】
次に、図2Bに示すように、金属被膜8a,8bを、この順に、上記表面絶縁膜2と電極パッド5上に形成する。上記金属被膜8a,8bは、スパッタリングによって形成する。まず、スパッタリング装置を用いて、0.1μmの厚さのTiW膜からなる金属被膜8aを半導体基板1の主面上に形成し、次に、スパッタリング装置のターゲットを換えて、1μmの厚さのCu膜からなる金属被膜8bを形成する。
【0025】
次に、図2Cに示すように、エッチングレジスト9を上記金属被膜8bの上に形成する。このエッチングレジスト9は、半導体基板1の主面上の全体にスピンコートにより感光性樹脂材料を塗布し、露光、現像、硬化の工程を経て、電極パッド5の上方が開口するように形成する。上記エッチングレジスト9の厚みは8μmであり、電極パッド5の上方に形成された開口は直径80μmの略円形である。上記エッチングレジスト9を形成する工程では、図1Bのフローチャートのうち、レジスト塗布(ステップS11)、露光(ステップS13)、現像(ステップS14)、キュア(硬化)(ステップS15)の工程が行われる。
【0026】
図3Aおよび3Bは、半導体基板1に非貫通孔3を形成する工程を説明する断面図である。これらの工程は、図1Aのフローチャートにおいて、非貫通孔形成(RIE)工程(ステップS3)に相当する。
【0027】
続いて、図3Aに示すように、エッチングレジスト9を遮蔽にして、このエッチングレジスト9の開口を介して、Cuエッチング液を用いて金属被膜8bの一部をエッチングし、TiWエッチング液を用いて金属被膜8aの一部をエッチングし、Alエッチング液を用いて電極パッド5の一部をエッチングする。
【0028】
次に、図3Bに示すように、上記エッチングレジスト9の開口を介して、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法を用いて、上記半導体基板1に非貫通孔3を形成する。RIEにはエッチングガスとしてSF6ガスを用いる。また、デポジションガスとしてO2ガスを混入し、エッチングレートの遅い酸化物を非貫通孔3の内側面に形成しながら半導体基板1のエッチングを行った。O2ガスの代わりにCF4やC4F8などのフッ化炭素ガスをデポジションガスとして用いて、エッチング工程とデポジション工程とを交互に行っても良い。
【0029】
図3Bの断面図において、RIEにより半導体基板1に形成された非貫通孔3の形状は、直径が約80μmの略円形の開口と、直径が約70μmの略円形の底面とを有して深さが約100μmの概略筒状である。
【0030】
図4Aおよび4Bは、非貫通孔3に側壁絶縁膜4を形成し、その後でエッチングレジスト9を除去する工程を説明する断面図である。これら工程は、図1Aのフローチャートにおいて、側壁絶縁膜塗布・硬化工程(ステップS4)および穿孔用マスク剥離工程(ステップS5)に相当する。
【0031】
まず、図4Aに示すように、印刷法によって、側壁絶縁膜4を、非貫通孔3の内側面と、電極パッド5、金属被膜8a、8bおよびエッチングレジスト9の貫通孔の内側面とに形成する。上記側壁絶縁膜4の材料は、フィラーを含有したエポキシ材料である。また、スプレーコート法等によって半導体基板1の主面側から感光性樹脂材料を塗布し、露光、現像、硬化プロセスを行って側壁絶縁膜4を形成してもよい。
【0032】
次に、図4Bに示すように、エッチングレジスト9を剥離剤によって除去する。
【0033】
図5Aおよび5Bは、導体6を形成する工程と、金属被膜8a,8bをパターニングする工程とを説明する断面図である。これらの工程は、図1のフローチャートにおいて、導電ペースト充填・硬化工程(ステップS6)と、金属被膜エッチング工程(ステップS7)に相当する。
【0034】
まず、図5Aに示すように、銀粒子を含んだ導電ペーストを、印刷法によって非貫通孔3内に充填すると共に、上記非貫通孔3外の上記金属被膜8a,8bの表面の一部に配置する。上記導電ペーストが充填・配置された半導体基板1を、150℃に保持したオーブンに1時間入れて上記導電ペーストを硬化させて、導体6を形成する。これにより、上記非貫通孔3内に導体の充填部6aが形成され、上記金属被膜8a,8b上に導体の接続部6bが形成される。上記導体の接続部6bは、半導体基板1の主面上において、一辺が約120μmの略矩形となり、厚みは約15μmであった。このとき、金属被膜8bの表面を予め酸化膜除去剤によって処理することにより、金属被膜8bと導電ペーストとの接触抵抗を小さくしておくのが好ましい。
【0035】
次に、図5Bに示すように、上記導体の接続部6bをマスクにして、Cuに対するエッチャント液を用いて、金属被膜8aの一部をエッチングし、さらに、TiWに対するエッチャント液を用いて金属被膜8bの一部をエッチングする。ここで、上記導体6は、銀粒子と、この銀粒子を保持する樹脂材料とで形成されており、また、この導体の接続部6bは、金属被膜8a,8b上において十分な厚さを有している。したがって、上記導体の接続部6bは、Cuに対するエッチャントと、TiWに対するエッチャントとに対して、マスクとして働くことが可能になっている。これにより、上記金属被膜8a,8bの一部をエッチングするためのエッチングレジストが不要になるので、従来よりも半導体装置の製造工程を少なくできて、製造効率を向上することができる。
【0036】
図6Aおよび6Bは、半導体基板1の裏面を後退させ、導体の充填部6aを半導体基板1の裏面側に露出させて貫通電極を形成する工程を説明する断面図である。この工程は、図1のフローチャートにおいて、裏面研磨工程(ステップS8)に相当する。
【0037】
まず、図6Aに示すように、半導体基板1の主面側を保護シート31によって支持部材32に貼り付ける。その後、図6Bに示すように、半導体基板1の裏面を研磨により後退させて、上記導体の充填部6aを露出させることにより、貫通電極が得られる。この工程により、半導体基板1の厚さを約80μmにする。この後、上記保護シート31が貼り付けられた状態で、上記支持部材32から半導体基板1を取り外す。
【0038】
図7は、半導体基板1の裏面に配線を形成する工程を説明する断面図である。この工程は、図1のフローチャートにおいて、裏面絶縁膜形成工程(ステップS9)に相当する。
【0039】
まず、図7Aに示すように、半導体基板1の裏面(上記保護シート31が貼り付けられた側と逆側の面)に、感光性樹脂材料をスピンコート法により塗布し、プリベーク、露光、現像および硬化の工程を行って、裏面絶縁膜15を形成する。裏面絶縁膜15には、導体の充填部6aの一部を露出するように開口部を設ける。この開口部は、直径が30μmの円形である。
【0040】
引き続いて、半導体基板1の裏面全体にスパッタリングによってTi、Cuのシード層を形成する。そして、半導体基板1の裏面に、めっき用レジスト材料を塗布し、プリベーク、露光、現像のプロセスを経て、めっき用レジストを形成する。このめっき用レジストの開口部を介して、電解めっき法によりCu膜を形成する。この後、めっき用レジストを剥離し、ウェットエッチングによってシード層のCu、Tiを除去して、図7Bに示すような導体の充填部6aに接する裏面配線16を形成する。
【0041】
図8は、本発明の実施形態の半導体装置21の構造を説明する断面図である。この半導体装置21は、図7Bの断面図に示す構造を形成した後、裏面配線16の表面にバンプ17を形成し、半導体基板1を保護シート31から剥離し、ダイシング工程でチップに分割されて形成される。上記バンプ17は、SnAgCuはんだボールを用いて形成する。なお、上記バンプ17を導電ペーストで形成してもよい。
【0042】
ここで、本実施形態の半導体装置の製造方法と、従来の半導体装置の製造方法とを比較する。図11に示した従来の半導体装置の製造方法のフローチャートと、図1Aに示した本実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャートを比較すると、従来の半導体装置の製造方法では、図1Bに示したようなフォト工程を、図11のフローチャートにおけるステップS101と、ステップS106と、ステップS111とで3回行う必要がある。これに対して、本実施形態の半導体装置の製造方法では、図1Bに示したようなフォト工程を、図1のフローチャートにおいてステップS2と、ステップS9との2回行えばよい。したがって、半導体装置の製造に必要な工程数を、従来よりも効果的に削減して、良好な効率で半導体装置を作製することができる。
【0043】
図9は、上記実施形態の半導体装置を複数個用いて形成した半導体モジュールを示す断面図である。図9において、図2乃至8に示した半導体装置の部分と同一の部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。この半導体モジュール24は、複数個の上記半導体装置21を、互いにバンプ17で接続して形成されており、配線基板26に実装されている。
【0044】
この半導体モジュール24は、良好な効率で作製可能な半導体装置21を用いて形成するので、従来よりも大幅に少ない工程で製造が可能であり、製造効率の向上と、これに伴うコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1A】本発明の実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図1B】図1Aのフローチャート中のステップS2およびステップS9の詳細工程を示すフローチャートである。
【図2A】半導体基板上に、電極パッドと表面絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図2B】金属被膜を表面絶縁膜と電極パッド上に形成した様子を示す図である。
【図2C】エッチングレジストを金属被膜の上に形成した様子を示す図である。
【図3A】エッチングレジストの開口を介して、金属被膜と電極パッドの一部を除去した様子を示す図である。
【図3B】エッチングレジストの開口を介して、半導体基板に非貫通孔を形成した様子を示す図である。
【図4A】非貫通孔の内側面と、電極パッド、金属被膜およびエッチングレジストの貫通孔の内側面とに側壁絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図4B】エッチングレジストを除去した様子を示す図である。
【図5A】非貫通孔内の充填部と、金属被膜上の接続部とを有する導体を形成した様子を示す図である。
【図5B】導体の接続部をマスクにして、金属被膜の一部をエッチングした様子を示す図である。
【図6A】半導体基板の主面側を保護シートによって支持部材に貼り付けた様子を示す図である。
【図6B】半導体基板の裏面を研磨して、導体を露出させた様子を示す図である。
【図7A】半導体基板の裏面に、裏面絶縁膜を形成した様子を示す図である。
【図7B】半導体基板の裏面に、貫通電極に接する裏面配線を形成した様子を示す図である。
【図8】半導体装置の構造を説明する断面図である。
【図9】半導体装置を複数個用いて形成した半導体モジュールを示す断面図である。
【図10】従来の半導体装置を用いて形成された積層型半導体モジュールを示す断面図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 半導体基板
2 表面絶縁膜
4 側壁絶縁膜
5 電極パッド
8 金属被膜
11 貫通電極
15 裏面絶縁膜
16 裏面配線
17 バンプ
21 半導体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、
上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、
上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、
上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板の主面上に電極パッドを形成する工程と、
上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆を形成する工程と、
上記金属被膜に貫通孔を形成する工程と、
上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔を形成する工程と、
上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔を形成する工程と、
上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜を形成する工程と、
上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体を形成する工程と、
上記導体の接続部をマスクとして上記金属被膜の一部を除去する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
上記金属被膜上に、エッチングレジストを塗布する工程と、
上記エッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口を形成する工程とを備え、
上記金属被膜および電極パッドの貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成し、
上記半導体基板の非貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板の主面から裏面に連なる貫通孔と、
上記貫通孔の内側面を被覆する側壁絶縁膜と、
上記貫通孔内に位置する充填部と、この充填部に連なると共に上記貫通孔外に位置する接続部とを有する導体と、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成された電極パッドと、
上記半導体基板の主面側、かつ、上記貫通孔の開口の近傍に形成されていると共に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被膜とを備え、
上記導体の接続部の一部は上記金属被膜に接触しており、
上記導体の接続部の外周縁と上記金属被膜の外周縁は、略同一の平面形状を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板の主面上に電極パッドを形成する工程と、
上記半導体基板の主面側に、上記電極パッドの少なくとも一部を被覆する金属被覆を形成する工程と、
上記金属被膜に貫通孔を形成する工程と、
上記電極パッドに、上記金属被膜の貫通孔に連なる貫通孔を形成する工程と、
上記半導体基板に、上記電極パッドの貫通孔に連なると共に、主面から裏面側に向かう非貫通孔を形成する工程と、
上記非貫通孔の内側面に、側壁絶縁膜を形成する工程と、
上記非貫通孔内の充填部と、上記非貫通孔外の接続部とを有する導体を形成する工程と、
上記導体の接続部をマスクとして上記金属被膜の一部を除去する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
上記金属被膜上に、エッチングレジストを塗布する工程と、
上記エッチングレジストに、平面視において上記電極パッドと金属被覆とが重なる位置に開口を形成する工程とを備え、
上記金属被膜および電極パッドの貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成し、
上記半導体基板の非貫通孔は、上記エッチングレジストの開口を介して形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−108520(P2006−108520A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295623(P2004−295623)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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