説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができ、かつ、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1aは、半導体チップ2において、第1の二次配線未形成領域の絶縁層が、第1の二次配線形成領域の絶縁層よりも薄く形成される。また、半導体チップ2における、電極パッド10が形成された回路形成面が伸びている方向に関し、半導体チップの縁31が、上層絶縁層12の縁である側壁部12sよりも突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極パッドと外部接続端子と二次配線(いわゆる、再配線)とを有する半導体チップを備える半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、自身の外部に設けられる回路との接続のため、半導体チップに下記の構造を有するものが存在する。
【0003】
即ち、上記半導体チップは、自身の回路形成面に、電極パッドと二次配線と上記回路が接続される外部接続端子とを有する。そして、当該電極パッドと外部接続端子との間に二次配線を設け、当該二次配線によって外部の回路と半導体チップとを接続する構造を有するものが存在する。
【0004】
この種の半導体装置においては従来、半導体チップにおいて、回路形成面と二次配線との間に形成される寄生容量が電気信号と結合することにより発生する、静電誘導雑音或いは電磁誘導雑音が、自身に設けられる電子回路(以下、「電子回路」と称する)に重畳する現象、即ち、二次配線と電子回路との間の電磁界的干渉(以下、「電磁界的干渉」と称する)を低減するための種々の工夫が為されている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示の技術では、回路形成面に形成された電子回路(アナログ回路部)の全部或いは一部と、二次配線とを、重なり合わないように配置している。
【0006】
以下、図10(a)、(b)を基に、特許文献1に開示の技術について説明する。
【0007】
図10(a)は、特許文献1に開示の半導体装置100の平面図である。
【0008】
図10(a)に示す半導体装置100は、半導体チップ101に、電極パッド102、開口部111ahを有する絶縁層111a(図10(b)参照)、開口部112hを有する絶縁膜112(図10(b)参照)、及び二次配線121を備える。なお、二次配線121は、パッド部121a(図10(b)参照)、配線部121b、ランド部121cからなる。また、半導体チップ101は、回路形成面(図示しない)に、電子回路部151が設けられる。さらに、図10(a)中、A1は、電子回路部151と重なり合うランド部121cであり、A2は、電子回路部151とは重なり合わないランド部121cであり、A3は、電子回路部151とは重なり合わない配線部121bである。
【0009】
図10(a)からも分かるとおり、図10(a)に示す半導体チップ101において、配線部A3は、電子回路部151と重なり合わないように、電子回路部151を迂回して配置されている。また、配線部A3は、ランド部A2と電極パッド102とを接続している。
【0010】
また、図10(b)は、同図(a)の10A−10B線における断面図である。
【0011】
半導体装置100は、図10(b)に示すとおり、具体的には下記の構成を有する。
【0012】
即ち、半導体チップ101の上記回路形成面には、電極パッド102と絶縁層111aとが形成される。なお、絶縁層111aは、電極パッド102を部分的に露出させる開口部111ahを有している。
【0013】
また、二次配線121は、電極パッド102及び絶縁層111aの上部に形成される。具体的に、二次配線121のうち、パッド部121aは、電極パッド102の上部に、電極パッド102と接触し、かつ開口部111ahを埋めるように形成される。また、配線部121b及びランド部121cは、絶縁層111aの上部に、絶縁層111aと接触するように形成される。
【0014】
さらに、二次配線121上には絶縁膜112が形成され、当該絶縁膜112は、ランド部121c上に開口部112hを有する構成である。
【0015】
こうして、特許文献1に開示の技術では、半導体チップにおける上記電磁界的干渉を低減させている。
【特許文献1】特開2002−83894号公報(2002年3月22日公開)
【特許文献2】特開2003−347471号公報(2003年12月5日公開)
【特許文献3】特開2006−303036号公報(2006年11月2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、二次配線を電子回路部と重なり合わない構成とするために、互いに異なる信号を伝導する二次配線それぞれを、交差させることなく引き廻す必要がある。そのため、二次配線が設けられる場所によって、当該二次配線の長さが非常に長くなり、これにより、電極パッドにおいて入出力される電気信号の遅延が発生する虞があるという問題が発生する。
【0017】
また、特許文献1に開示の技術では、二次配線を、電子回路部を迂回して形成する場合、外部接続端子の間に多数の二次配線を引き廻す必要がある。特に、電極パッドがペリフェラル配置である場合においては、電極パッドの外周に多数の二次配線を形成する必要がある。そのため、二次配線が設けられる場所によって、複数の二次配線同士が極端に近接したり、外部接続端子が極端に狭ピッチとなったりする場合がある。そして、これにより、電子回路部が所望する電流に見合った配線幅を確保できなくなったり、二次配線の形成工程における歩留まりが悪化したりする虞があるという問題が発生する。
【0018】
また、特許文献1に開示の技術では、上記二次配線同士の近接により、電流のリーク及びクロストークノイズが発生する虞がある。さらに、特許文献1に開示の技術では、二次配線の間隔の狭小化に起因して、当該二次配線間に存在する絶縁層の寄生容量が増大し、これにより、配線遅延が発生する虞がある。
【0019】
上記の問題について、図10(a)・(b)を基に詳細に説明する。
【0020】
図10(a)・(b)に示す半導体装置100の半導体チップ101には、ペリフェラル状に配置された電極パッド102が設けられる。そして、半導体チップ101における電極パッド102の内側の領域には、外部接続端子(ランド部121c)が、計36端子設けられている。
【0021】
なお、半導体チップ101において最大となるランド部121cの個数(以下、「最大端子数」と称する)は、下記のとおり決定される。
【0022】
即ち、それぞれのランド部121cは、互いの端子ピッチが狭小になると、半導体チップ101を実装する基板等の部材(以下、「実装基板」と称する)のコストアップに繋がったり、半導体チップ101の実装が技術的に困難となったりするという問題が発生する。そのため、実装性を考慮すると、上記最大端子数は、半導体チップ101のサイズに応じて決定される。即ち、当該最大端子数は、ランド部121cが、半導体チップ101の回路形成面上にマトリックス状に配置され、かつ隣り合うランド部121cの端子ピッチが、実装可能な範囲(即ち、実装基板のコストアップ、もしくは実装基板作製の技術的な限界、及び、半導体チップ101の実装に関する問題が発生しない範囲、もしくは半導体装置側の端子ピッチの製造上の限界)において最小となる距離(以下、「最小端子ピッチ」と称する)となる場合において、最大限配置することが可能な、ランド部121cの個数となる。なお、現状、例えばリフロー炉による実装では上記最小端子ピッチは0.4mm程度である。つまり、例えば、半導体チップ101の回路形成面の形状が、1辺の長さが2.5mmの正方形である場合、本来であれば、上記最大端子数は、6×6=36個となる。
【0023】
しかしながら、図10(a)に示す半導体チップ101において、電子回路部151と重なり合うランド部A1へと配線部A3を引き廻すことは不可能であるため、上記最大端子数は、上述の36端子から、ランド部A1で示される3端子を減じた、計33端子となる。
【0024】
ここで、図10(a)に示す半導体チップ101において、外部接続端子を、電子回路部151と重なり合うことなく計36端子配置する場合、ランド部A1は、ランド部A2に置換される。
【0025】
ところがこの場合、図10(a)からも明らかであるとおり、ランド部A2が配置された付近には、端子ピッチが極端に狭くなってしまう箇所が存在することとなる。
【0026】
また、上記の場合であっても、ランド部A2を導通させる二次配線、即ち二次配線121の配線部A3は、電極パッド102の外周部に配置しなければならない。例えば、図10(a)に示す半導体チップ101では、電極パッド102の外周に、配線部A3を2本形成する必要がある。
【0027】
一般的に二次配線をメッキ法で形成する場合は、配線部A3の幅として15μm程度の距離を、配線部A3それぞれの配線間のスペースとして15μmの距離を最低限確保する必要があるため、電極パッドの外周部の幅は少なくとも75μm程度必要となる。
【0028】
さらに、二次配線がスクライブライン(各半導体チップを分割する線)に近接すると、半導体装置をウエハから個片化する工程(ダイシング工程)において、チッピングの影響を受けることにより、電気的なオープン不良等が発生しやすいという問題が発生する。
【0029】
また、電子回路部151の領域がさらに広い場合においては、電子回路部151を迂回して形成すべき二次配線の本数が増加するため、電極パッド102の外周にさらに広いスペースを確保する必要とする。これにより、当然ながら配線部A3の幅は非常に細くなってしまう。
【0030】
また、上記電磁界的干渉の影響を低減する構成としては他にも、電子回路部を備える半導体チップの回路形成面上において、二次配線の下層に設けられた絶縁層が厚く形成される構成が存在する。これにより、二次配線を、電子回路部を迂回して形成することなく、上記電磁界的干渉を低減することができる。
【0031】
なお、上記の構成の場合、絶縁層は、下記の2つの理由により、有機物からなる材料を用いて形成するのが好ましい。
【0032】
即ち、1つ目の理由は、ケイ素等の酸化膜及び窒化膜は、比誘電率が4もしくは7程度であるが、有機膜は、ポリイミドで3.5程度、PBO(ポリベンゾオキサゾール)やBCB(ベンゾシクロブテン)で3程度と、比誘電率が小さいからである。そして、2つ目の理由は、有機物からなる絶縁層は、スピンコート法、印刷方式、有機フィルムの貼り付け等の製法により、その厚さが数μmのものから数百μm程度のものまでが容易に形成可能であるためである。
【0033】
また二次配線上においても、外部からの化学的ダメージ及び物理的ダメージから保護する目的で絶縁層が必要である。特に、二次配線の一部にハンダバンプ等の外部接続端子を設ける場合は、絶縁層として、当該二次配線上におけるハンダの流出を防ぐためのハンダ制限層が必要である。二次配線の保護膜(ハンダ制限層)は、メッキ配線の厚さに応じて、当該メッキ配線との段差を補償する必要があるため、厚膜形成が容易な有機物からなる絶縁層で形成するのが一般的である。
【0034】
ところが、半導体チップを形成するウエハ全面に渡って、有機物からなる絶縁層を二次配線の上部及び下部に形成した場合は、当該ウエハの彎曲が大きくなるという問題が発生する。
【0035】
上記問題について詳細に説明する。
【0036】
一般的に、半導体装置を形成する各材料は、それぞれが固有の物性を有しているため、異なる材料間で、線膨張係数、弾性率等がそれぞれ異なる。
【0037】
ここで、上記異なる材料同士を常温ではない温度(例えば、300℃以上の高温)で接合したとする、或いは、一方の材料を他方の材料に塗膜し一方の材料を硬化させて他方の材料に固着させたとする。
【0038】
この場合、上記接合(固着)後において上記異なる複数の材料が常温に戻ると、線膨張係数の大きい方の材料は、接合面の中心方向に、線膨張係数の小さい方の材料を引っ張る、という現象が発生する。なお、当該現象を引き起こす引力は、接合面の面積が広大である程、接合面の外周部において強くなる。また、当該引力による彎曲は、線膨張係数の小さい方の材料が厚く形成される場合よりも薄く形成される場合の方が、当該引力に対する耐久力が低くなるため、大きくなる。
【0039】
そして、ウエハにおいて、ウエハとウエハに接合される材料間、或いはウエハ上で接合される異なる複数の材料間で、上記引力が発生することにより、ウエハの彎曲が発生する。
【0040】
なお、上記ウエハは一般的に、無機物(例えば、ケイ素)により形成される。一方、二次配線下部の下層絶縁層及び二次配線上部の上層絶縁層は、有機物により形成される。そして、無機物の線膨張係数は、有機物の線膨張係数よりも小さい。例えば、有機物であるPBO、ポリイミド等の線膨張係数は、一般的に30〜60ppm/K程度である。一方、無機物の線膨張係数は例えば、ケイ素で2.4ppm/K、銅で16ppm/K、ニッケルで13ppm/K、金で14ppm/K、クロムで8.4ppm/Kと小さい。なおここで、銅、ニッケル、金、クロム等の金属材料は、二次配線の材料として用いることができる材料である。
【0041】
このことから、上記ウエハの彎曲の度合は、ウエハが薄く形成される程に大きくなり、下層絶縁層及び/または上層絶縁層が厚く形成される程に大きくなる。
【0042】
例えば、回路形成面が直径8インチのケイ素からなるウエハにおいて、下層絶縁層及び上層絶縁層としてそれぞれ、スクライブライン周辺の領域にのみ開口部を有するPBO層を設け、二次配線を銅(Cu)により形成した場合を考える。この場合、ウエハの厚さが300〜725μmであれば、上記ウエハの彎曲は数mm以下となる。しかしながら、ウエハの厚さが300μm以下となるのを境に彎曲量は急激に増加し、ウエハの厚さが150μmである場合、上記ウエハの彎曲は10mm程度となる。
【0043】
通常、ダイシング工程等において、上記ウエハの彎曲が数mm以上となると、搬送エラーやウエハの破損等といった不具合の発生頻度が上昇する。
【0044】
また、電子回路部にアナログ回路を有する半導体チップに関しては、表面の膜応力が大きくなることにより、電気特性が変化してしまうという問題が発生する。なおこれは、当該膜応力が半導体の格子間隔を広げることにより、正孔及び電子の移動を容易にすることが主な理由であると考えられる。
【0045】
また、特許文献3には、封止樹脂層が、再配線層の非形成領域に、応力を吸収する穴部を有するパターンで形成されている半導体装置が開示されている。
【0046】
しかしながら、特許文献3に開示されている半導体装置では、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性が高いという問題が発生する。
【0047】
即ち、特許文献3に開示されている半導体装置は、封止樹脂層に穴部が形成されている構成に過ぎないため、スクライブラインに近接する領域においては、再配線層の形成領域と略同一の厚さを有する絶縁層が設けられる構成となる。しかしながら、当該スクライブラインに近接する領域に、絶縁層、特に有機物からなる絶縁層が厚く形成されている場合は、それだけでも、ダイシング工程においてチッピングが発生する要因となり得る。なぜなら、当該チッピングは、ダイシングブレードの目詰まりに起因して発生するためである。当該絶縁層は、延性を有している。かつ、当該絶縁層は、その切削屑が当該ダイシングブレードに付着し易い等の特性を有している。上記スクライブラインに近接する領域に当該絶縁層を形成すると、半導体装置では、当該ダイシングブレードの目詰まりを起こし易い。
【0048】
また、上述したとおり、ウエハの彎曲に影響を及ぼす応力は、接合面の外周部、即ち、半導体チップのスクライブラインに近接する領域において非常に強くなる。そのため、封止樹脂層に穴部が形成されている構成に過ぎない特許文献3に開示されている技術では、充分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得ることが困難である。なお、特許文献3に開示されている技術を用いて充分大きなウエハ彎曲の抑制効果を得るためには、上記穴部を多数形成する構成が考えられるが、これは、半導体装置自身の構造の複雑化を招くため、好ましくない。
【0049】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができ、かつ、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明に係る半導体装置は、上記の課題を解決するため、電極パッドが形成される半導体チップと、上記半導体チップに被覆され、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を有する下層絶縁層と、上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと導通するパッド部と、当該電極パッドと半導体装置自身の外部の回路とを導通させる外部接続端子を備えるランド部と、当該パッド部とランド部とを導通させる配線部と、を備える二次配線と、上記二次配線に被覆され、当該二次配線の少なくとも上記ランド部の外部接続端子を露出させる開口部を有する上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が上記下層絶縁層上に形成され、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出していることを特徴としている。
【0051】
換言すれば、本発明に係る半導体装置は、上記の課題を解決するため、電極パッドが形成される半導体チップと、上記半導体チップに被覆され、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を有する下層絶縁層と、上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと導通するパッド部と、当該電極パッドと半導体装置自身の外部の回路とを導通させる外部接続端子を備えるランド部と、当該パッド部とランド部とを導通させる配線部と、を備える二次配線と、上記二次配線に被覆され、当該二次配線の少なくとも上記ランド部の外部接続端子を露出させる開口部を有する上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が上記下層絶縁層上に形成され、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁との間隔が所定値以下となる領域において、上記上層絶縁層が除去されていることを特徴としていると解釈することもできる。
【0052】
なお、本明細書において「半導体チップの縁」とは、ウエハから個片化された半導体チップの縁(へり)を意味すると共に、ウエハから個片化される前の半導体チップにおける、後にウエハから個片化されたときに該半導体チップの縁(へり)となる部分を意味する。
【0053】
上記の構成によれば、上層絶縁層を含む絶縁層が、線膨張係数が無機物よりも大きな有機物により形成される場合において、二次配線未形成領域については、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層が、二次配線形成領域よりも薄く形成される。なお、二次配線未形成領域とは、二次配線を保護し、かつ上記電磁界的干渉を抑制する必要がある領域であって、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域を意味する。線膨張係数の大きな有機物により形成される絶縁層を、二次配線未形成領域において、二次配線形成領域よりも薄く形成することにより、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることが可能である。また、これにより、下層絶縁層は、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚く形成することが可能である。
【0054】
従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0055】
ここで、特許文献2には、ウエハと当該ウエハの一部を覆う樹脂層とを含む半導体装置において、適当な部分に反り抑制溝を形成する構成が開示されている。
【0056】
しかしながら、特許文献2に開示されている技術は、例えば絶縁樹脂層(下層絶縁層)の厚さ方向の一部を切欠することで、上記反り抑制溝を局地的に形成する構成に過ぎない。そのため、絶縁層が有機物により形成される場合において、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得るためには、当該反り抑制溝を多数形成する必要がある。そして、それに伴い、特許文献2に開示された技術の場合、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得るためには、半導体装置の構造の複雑化が避けられないという問題が発生する。例えば、再配線(二次配線)は、封止樹脂層(上層絶縁層)により確実に保護される必要があるため、再配線が形成されている領域の封止樹脂層に切り欠きまたは溝を形成することは好ましくない。こうした切り欠きまたは溝を形成することは、再配線上において、封止樹脂層にクラックを発生させるきっかけとなり、再配線の腐食の原因となり得る。なお、特許文献2に開示されている技術を用いてウエハ彎曲の抑制効果を得るためには、同文献の図4に示すように、半導体装置表面のほぼ全域に渡り、切り欠きまたは溝を、格子状、同心円状等に形成する構成が考えられる。しかしながら、この構成においては、切り欠きまたは溝が、再配線の形成領域を横断することが避けられず、再配線の腐食の原因となりやすい。
【0057】
また、当該反り抑制溝は、レーザ感光またはリソグラフィ工程により形成される。しかしながら、レーザ感光により形成される場合は、当該反り抑制溝の形成工程が非常に煩雑なものとなる。また、リソグラフィ工程により形成される場合は、当該反り抑制溝のパターンとして非常に複雑なパターンを必要とするため、やはり当該反り抑制溝の形成工程は非常に煩雑なものとなる。つまり、特許文献2に開示された技術の場合は、上記半導体装置の構造の複雑化により、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得るために、非常に煩雑な製造工程を必要とするという問題が発生する。特許文献2の図4に示すように、上記封止樹脂層に切り欠きまたは溝を形成する場合は、上記再配線の形成領域と未形成領域とのそれぞれにおける、レーザ条件及びリソグラフィ条件の許容範囲を、非常に厳密に設定する必要がある。これは、封止樹脂層から再配線が露出せず、かつウエハの彎曲の抑制効果を最大限得るためには、切り欠きまたは溝を深く形成する必要があるためである。また、封止樹脂層の下地が領域により異なる場合、即ち、特許文献2において、下地が再配線である領域と下地としての再配線が存在しない領域とが存在する場合は、一般的に、下地の表面粗さ、光沢等が領域毎に異なることで、表面に形成した樹脂膜の感光し易さが領域毎に異なる。そのため、リソグラフィ条件の許容範囲は、いっそう厳密となる。また、電解めっき、無電解めっき等で再配線を形成する場合は、切り欠きまたは溝の深さを一定にするのが困難である。これは、ウエハ表面全体における再配線の表面状態(粒度、光沢等)、ウエハの処理枚数、めっき液の経時変化、感光性樹脂の経時変化等を考慮する必要があり、これらは、一定とすることが非常に困難であることによる。
【0058】
一方、本発明に係る半導体装置においては、上記二次配線未形成領域の全域に渡って、絶縁層が、上記二次配線形成領域と比較して薄く形成される。そのため、半導体装置では、下層絶縁層及び上層絶縁層が有機物により形成される場合に、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を、非常に単純な構造により得ることができる。また、これにより、当該半導体装置の製造工程としては、後述するとおりの非常に簡単な製造工程により、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得ることができる。
【0059】
さらに、本発明に係る半導体装置では、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向、即ち、電極パッドが形成された面に対する平行方向に関し、半導体チップの縁が、上層絶縁層の縁(上層絶縁層の縁の少なくとも一部)よりも突出している。これにより、ダイシング工程においてチッピングが発生する要因となり得る、スクライブラインに近接する領域に設けられていた絶縁層は、十分に除去可能であるため、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。
【0060】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域は、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域を除く領域であることを特徴としてもよい。
【0061】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層は、上記二次配線形成領域における下層絶縁層未満の厚さで形成されることを特徴としてもよい。
【0062】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域において、上記上層絶縁層が形成され、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚は、上記二次配線形成領域における下層絶縁層以下の厚さで形成されることを特徴としてもよく、上記二次配線未形成領域において、上記上層絶縁層が形成されないことを特徴としてもよい。
【0063】
上記の構成によれば、二次配線未形成領域において、上層絶縁層が、二次配線形成領域における下層絶縁層以下の厚さで形成される、或いは、二次配線未形成領域において、上層絶縁層が形成されない。これにより、複数の二次配線の間には、絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。即ち、本発明に係る半導体装置は、本来であれば比誘電率が3程度である有機物(例えば、PBO)により形成される絶縁層が形成されない上記複数の二次配線の間に、比誘電率が1強である空気が存在する構成となる。そのため、複数の二次配線間に発生する寄生容量を低減することができ、これにより、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0064】
また、本発明に係る半導体装置は、上記電極パッドは、上記二次配線のランド部の下部に設けられ、上記二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成される領域をさらに除く領域であることを特徴としている。
【0065】
上記の構成によれば、半導体チップに設けられる電極パッドは、二次配線のランド部の下部に設けられる。またこの場合、二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成される領域をさらに除く領域である。ランド部の下部に電極パッドを設けたい場合においても同様に、二次配線未形成領域における絶縁層は、二次配線形成領域における下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚よりも薄く形成される。これにより、ランド部の下部に電極パッドを設ける場合においても、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることができる。また、下層絶縁層は、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚く形成することが可能である。
【0066】
従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合い、かつランド部の下部に電極パッドを設ける場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。
【0067】
また、本発明に係る半導体装置は、上記半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備えることを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備える。この電子回路は、二次配線との間に上記電磁界的干渉を起こしやすい。そのため、アナログ信号を取り扱う電子回路を有する半導体装置において、上記の構成を有するのが好適である。
【0069】
また、本発明に係る半導体装置は、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下層絶縁層の厚さが設定されることを特徴としている。
【0070】
電子回路を有する半導体装置においては、当該電子回路と二次配線との位置関係に応じて、上記電磁界的干渉の度合が変化する。従って、半導体チップの特定の領域毎に、二次配線と電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、下層絶縁層の厚さが設定されるのが望ましい。例えば、上記電磁界的干渉による影響が大きい箇所は、当該電磁界的干渉による影響が小さい箇所よりも、上記下層絶縁層が厚い状態で形成されるのが望ましい。
【0071】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0072】
上記の方法によれば、上層絶縁層を含む絶縁層が、線膨張係数が無機物よりも大きな有機物により形成される場合において、二次配線未形成領域については、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層が、二次配線形成領域よりも薄く形成される。なお、二次配線未形成領域とは、二次配線を保護し、かつ上記電磁界的干渉を抑制する必要がある領域であって、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域を意味する。線膨張係数の大きな有機物により形成される絶縁層を、二次配線未形成領域において、二次配線形成領域よりも薄く形成することにより、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることが可能である。また、これにより、下層絶縁層は、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚くすることが可能である。
【0073】
従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、製造過程における搬送エラーやウエハ割れが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。さらに、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0074】
また、本発明に係る半導体装置は、上述したとおり、上記二次配線未形成領域の全域に渡って、絶縁層が、上記二次配線形成領域と比較して薄く形成されることで、下層絶縁層及び上層絶縁層が有機物により形成される場合においても、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を非常に単純な構造により得ることができる。そのため、当該半導体装置の製造工程としては、本発明に係る半導体装置の製造方法のような非常に簡単な製造工程により、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得ることができる。
【0075】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記上層絶縁層を設ける工程において、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上記上層絶縁層を形成することを特徴としている。
【0076】
上記の方法によれば、上層絶縁層を設ける工程において、二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上層絶縁層を形成する。つまり、二次配線未形成領域には上層絶縁層が形成しない。そのため、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を大幅に抑えることが可能である。また、下層絶縁層は、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚くすることが可能である。
【0077】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部と、上記二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層を、上記二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部と、を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0078】
上記の方法によれば、二次配線未形成領域における絶縁層を、二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部を上層絶縁層に形成する。これにより、複数の二次配線の間には、下層絶縁層及び上層絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。即ち、本製造方法により製造される半導体装置は、本来であれば比誘電率が3程度である有機物(例えば、PBO)により形成される絶縁層が形成されない上記複数の二次配線の間に、比誘電率が1強である空気が存在する構成となる。そのため、複数の二次配線間に発生する寄生容量を小さくすることができ、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0079】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層を、上記二次配線形成領域における下層絶縁層未満の厚さとする側壁部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0080】
上記の方法によれば、側壁部により、二次配線未形成領域における下層絶縁層を、二次配線形成領域における下層絶縁層未満の厚さとすることができるため、ウエハの彎曲を十分に低減させることができる。
【0081】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部と、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域を除く二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚を、当該二次配線形成領域における下層絶縁層の厚さ以下の厚さとする陥没部と、を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0082】
上記の方法によれば、二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚を、二次配線形成領域における下層絶縁層の厚さ以下の厚さとする陥没部を上層絶縁層に形成する。これにより、複数の二次配線の間には、下層絶縁層及び上層絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。そのため、複数の二次配線間に発生する寄生容量を小さくすることができ、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0083】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップの上記二次配線未形成領域に側壁部を有する上記下層絶縁層を、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下層絶縁層の厚さを変化させて設ける工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記上層絶縁層を上記二次配線に被覆すると共に、当該上層絶縁層に上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0084】
半導体チップに設けられる電子回路と二次配線との位置関係に応じて、上記電磁界的干渉の度合は変化する。従って、半導体チップの特定の領域毎に、二次配線と電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、下層絶縁層の厚さ変化させるのが望ましく、例えば、上記電磁界的干渉による影響が大きい箇所は、当該電磁界的干渉による影響が小さい箇所よりも、上記下層絶縁層を厚く形成するのが望ましい。
【0085】
ここで、二次配線を複数層形成する場合、即ち、下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線を形成する場合には、最下層の二次配線の下方に存在する下層絶縁層と、複数層の各二次配線との間に、各々絶縁層(いわゆる、中層絶縁層)をさらに1層または複数層設ける必要がある。そのため、二次配線を複数層形成する場合は、該二次配線が多層設けられる程に、絶縁層を厚く形成する必要がある。例えば、二次配線を2層形成する場合は、下層絶縁層と上層絶縁層に加えて、上記中層絶縁層を1層または複数層形成する必要があり、二次配線を3層形成する場合は、当該1層または複数層の中層絶縁層を2組形成する必要がある。結果、こうした下方絶縁層の存在に起因して、ウエハの彎曲は、より大きくなるという問題が発生する。
【0086】
そこで、本発明に係る半導体装置は、上記の課題を解決するため、電極パッドが形成されている半導体チップと、上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、当該電極パッドから少なくとも上記下層絶縁層を含む下方絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線であって、当該下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線と、少なくとも上記複数層の二次配線における最上位層の二次配線の配線部に被覆されている上方絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成されている領域を除く二次配線未形成領域における、少なくとも上記下層絶縁層を含む絶縁層は、少なくとも上記最上位層の二次配線の配線部が形成されている二次配線形成領域における、上記下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さで形成されていることを特徴としている。
【0087】
上記の構成によれば、上方絶縁層を含む絶縁層が、線膨張係数が無機物よりも大きな有機物により形成される場合において、二次配線未形成領域については、絶縁層が二次配線形成領域よりも薄く形成される。なお、二次配線未形成領域とは、下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線を保護し、かつ上記電磁界的干渉を抑制する必要がある領域であって、当該複数層の二次配線のいずれかの配線部が形成される領域を少なくとも除く領域を意味する。また、二次配線形成領域とは、少なくとも上記最上位層の二次配線の配線部が形成される領域を意味する。線膨張係数の大きな有機物により形成される絶縁層を、二次配線未形成領域において、二次配線形成領域よりも薄く形成することにより、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることが可能である。また、これにより、下方絶縁層、ひいては下層絶縁層を、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚く形成することが可能である。
【0088】
従って、特定の二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該特定の二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明に係る半導体装置は、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上方絶縁層の縁よりも突出していることを特徴としている。
【0090】
上記の構成によれば、本発明に係る半導体装置では、半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向、即ち、電極パッドが形成された面に対する平行方向に関し、半導体チップの縁が、上方絶縁層の縁(上方絶縁層の縁の少なくとも一部)よりも突出している。これにより、ダイシング工程においてチッピングが発生する要因となり得る、スクライブラインに近接する領域に設けられていた絶縁層は、十分に除去可能であるため、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。
【0091】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域は、上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成されている領域の近傍領域をさらに除く領域であることを特徴としてもよい。
【0092】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層は、上記二次配線形成領域における下方絶縁層未満の厚さで形成されていることを特徴としてもよい。
【0093】
また、本発明に係る半導体装置は、上記二次配線未形成領域において、上記上方絶縁層が形成されており、上記二次配線未形成領域における少なくとも下層絶縁層及び上方絶縁層を含む絶縁層の総厚は、上記二次配線形成領域における下方絶縁層以下の厚さで形成されていることを特徴としてもよいし、上記二次配線未形成領域において、上記上方絶縁層が形成されていないことを特徴としてもよい。
【0094】
上記の構成によれば、二次配線未形成領域において、上方絶縁層が二次配線未形成領域における少なくとも下層絶縁層及び上方絶縁層を含む絶縁層の総厚が二次配線形成領域における下方絶縁層以下の厚さとなるように形成される、或いは、二次配線未形成領域において上方絶縁層が形成されない。これにより、隣り合う複数層の二次配線の間には、絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。即ち、本発明に係る半導体装置は、本来であれば比誘電率が3程度である有機物により形成されている絶縁層が形成されない、隣り合う複数層の二次配線の間に、比誘電率が1強である空気が存在する構成となる。そのため、隣り合う複数層の二次配線間に発生する寄生容量を低減することができ、これにより、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0095】
また、本発明に係る半導体装置は、上記半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備えることを特徴としている。
【0096】
上記の構成によれば、半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備える。この電子回路は、二次配線との間に上記電磁界的干渉を起こしやすい。そのため、アナログ信号を取り扱う電子回路を有する半導体装置において、上記の構成を有するのが好適である。
【0097】
また、本発明に係る半導体装置は、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さが設定されていることを特徴としている。
【0098】
電子回路を有する半導体装置においては、当該電子回路と二次配線との位置関係に応じて、上記電磁界的干渉の度合が変化する。従って、半導体チップの特定の領域毎に、二次配線と電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、下方絶縁層の厚さが設定されているのが好ましい。例えば、上記電磁界的干渉による影響が大きい箇所は、当該電磁界的干渉による影響が小さい箇所よりも、上記下方絶縁層の厚さが厚い状態で形成されるのが好適である。
【0099】
また、本発明に係る半導体装置は、上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に、上記上方絶縁層が被覆されており、上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線は、自身の所定の領域が露出することで、半導体装置自身の外部と電気的に接続するためのランド部をさらに備えることを特徴としている。
【0100】
上記の構成によれば、複数層の二次配線のうち、少なくとも1本の二次配線を用いて、本発明に係る半導体装置における外部接続端子を形成することができる。
【0101】
また、本発明に係る半導体装置は、上記電極パッドは、上記ランド部の下部に設けられており、かつ、当該ランド部と電気的に接続されており、上記二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成されている領域をさらに除く領域であることを特徴としている。
【0102】
上記の構成によれば、半導体チップに設けられる電極パッドは、ランド部の下部に、当該ランド部と電気的に接続して設けられる。またこの場合、二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成される領域をさらに除く領域である。ランド部の下部に電極パッドを設けたい場合においても同様に、二次配線未形成領域における絶縁層は、二次配線形成領域における絶縁層の総厚よりも薄く形成される。これにより、ランド部の下部に電極パッドを設ける場合においても、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることができる。また、下方絶縁層、ひいては下層絶縁層を、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚くすることが可能である。
【0103】
従って、複数層の二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合い、かつ二次配線のランド部の下部に電極パッドを設ける場合においても、当該複数層の二次配線及び電極パッドを有する二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。
【0104】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記のいずれかの半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記上方絶縁層を、少なくとも上記最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0105】
上記の方法によれば、上方絶縁層を含む絶縁層が、線膨張係数が無機物よりも大きな有機物により形成される場合において、二次配線未形成領域については、絶縁層を、二次配線形成領域よりも薄く形成する。線膨張係数の大きな有機物により形成される絶縁層を、二次配線未形成領域において、二次配線形成領域よりも薄く形成することにより、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることが可能である。また、これにより、下方絶縁層、ひいては下層絶縁層を、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚くすることが可能である。
【0106】
従って、特定の二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該特定の二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。また、製造過程における搬送エラーやウエハ割れが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。さらに、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0107】
また、本発明に係る半導体装置は、上述したとおり、上記二次配線未形成領域の全域に渡って、絶縁層が、上記二次配線形成領域と比較して薄く形成されることで、下方絶縁層及び上方絶縁層が有機物により形成される場合においても、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を非常に単純な構造により得ることができる。そのため、当該半導体装置の製造工程としては、上記半導体装置の製造方法のような非常に簡単な製造工程により、十分大きなウエハの彎曲の抑制効果を得ることができる。
【0108】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記上方絶縁層を被覆する工程では、少なくとも上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成される領域及び当該領域の近傍領域に上記上方絶縁層を形成することを特徴としてもよい。
【0109】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記上方絶縁層を被覆する工程では、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上記上方絶縁層を形成することを特徴としている。
【0110】
上記の方法によれば、上方絶縁層を設ける工程において、二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上方絶縁層を形成する。つまり、二次配線未形成領域には上方絶縁層を形成しない。そのため、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を大幅に抑えることが可能である。また、下方絶縁層、ひいては下層絶縁層を、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚くすることが可能である。
【0111】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層を、上記二次配線形成領域における、下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部を形成した上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0112】
上記の方法によれば、上記二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層を、上記二次配線形成領域における、下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部を、上方絶縁層に形成する。これにより、隣り合う複数層の二次配線の間には、絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。即ち、本発明に係る製造方法により製造される半導体装置は、本来であれば比誘電率が3程度である有機物により形成されている絶縁層が形成されない、上記隣り合う複数層の二次配線の間に、比誘電率が1強である空気が存在する構成となる。そのため、隣り合う複数層の二次配線間に発生する寄生容量を低減することができ、これにより、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0113】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部と、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層を、上記二次配線形成領域における下方絶縁層未満の厚さとする側壁部と、を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0114】
上記の方法によれば、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層を、上記二次配線形成領域における下方絶縁層未満の厚さとする側壁部を、下層絶縁層に形成する。これにより、隣り合う複数層の二次配線の間には、絶縁層が設けられない空間が形成されることとなる。即ち、本発明に係る製造方法により製造される半導体装置は、本来であれば比誘電率が3程度である有機物により形成されている絶縁層が形成されない、上記隣り合う複数層の二次配線の間に、比誘電率が1強である空気が存在する構成となる。そのため、隣り合う複数層の二次配線間に発生する寄生容量を低減することができ、これにより、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0115】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上方絶縁層を含む絶縁層の総厚を、最上位層の二次配線形成領域における、下方絶縁層以下の厚さとする陥没部と、を形成した上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0116】
上記の方法によれば、上記二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上方絶縁層の総厚を、最上位層の二次配線形成領域における、少なくとも下方絶縁層以下の厚さとする陥没部を、上方絶縁層に形成する。これにより、隣り合う特定層の二次配線の間には、下層絶縁層及び上方絶縁層のいずれもが設けられない空間が形成されることとなる。そのため、隣り合う特定層の二次配線の間に発生する寄生容量を小さくすることができ、配線遅延を抑制することが可能となる。
【0117】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップの上記二次配線未形成領域に側壁部を有する上記下方絶縁層を、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さを変化させて設ける工程と、上記複数層の二次配線の配線部を除く当該複数層の二次配線の一部を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0118】
電子回路を有する半導体装置においては、当該電子回路と二次配線との位置関係に応じて、上記電磁界的干渉の度合が変化する。従って、半導体チップの特定の領域毎に、二次配線と電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、下方絶縁層の厚さが設定するのが好ましい。例えば、上記電磁界的干渉による影響が大きい箇所は、当該電磁界的干渉による影響が小さい箇所よりも、上記下方絶縁層を厚く形成するのが好適である。
【0119】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記のいずれかの半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、上記複数層の二次配線の配線部を除く当該複数層の二次配線の一部を、上記半導体チップの各電極パッドの露出部とそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記上方絶縁層を、少なくとも上記最上位層の二次配線及び上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に被覆し、かつ、当該複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に、上記ランド部を形成する工程と、含むことを特徴としている。
【0120】
上記の方法によれば、複数層の二次配線のうち、少なくとも1本の二次配線を用いて、本発明に係る半導体装置における外部接続端子を形成することができる。
【0121】
本発明に係る半導体装置は、上記の課題を解決するため、電極パッドが形成されている半導体チップと、上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、上記下層絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線と、少なくとも上記二次配線の配線部に被覆されている上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出していることを特徴としている。
【0122】
換言すれば、本発明に係る半導体装置は、上記の課題を解決するため、電極パッドが形成されている半導体チップと、上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、上記下層絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線と、少なくとも上記二次配線の配線部に被覆されている上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁との間隔が所定値以下となる領域において、上記上層絶縁層が除去されていることを特徴としていると解釈することもできる。
【0123】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部分と、上記配線部を除く当該二次配線の一部と、を接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴としている。
【0124】
上記の構成によれば、上層絶縁層を含む絶縁層が、線膨張係数が無機物よりも大きな有機物により形成される場合において、二次配線未形成領域については、絶縁層が二次配線形成領域よりも薄く形成される。なお、二次配線未形成領域とは、二次配線を保護し、かつ上記電磁界的干渉を抑制する必要がある領域であって、当該二次配線の配線部が形成される領域を少なくとも除く領域を意味する。また、二次配線形成領域とは、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域を意味する。線膨張係数の大きな有機物により形成される絶縁層を、二次配線未形成領域において、二次配線形成領域よりも薄く形成することにより、従来の半導体装置に比べてウエハの彎曲を抑えることが可能である。また、これにより、下層絶縁層を、上記電磁界的干渉を抑制するために最低限必要な厚さにまで厚く形成することが可能である。
【0125】
従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0126】
さらに、本発明に係る半導体装置では、半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向、即ち、電極パッドが形成された面に対する平行方向に関し、半導体チップの縁が、上層絶縁層の縁(上層絶縁層の縁の少なくとも一部)よりも突出している。これにより、ダイシング工程においてチッピングが発生する要因となり得る、スクライブラインに近接する領域に設けられていた絶縁層は、十分に除去可能であるため、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0127】
以上のとおり、本発明に係る半導体装置は、電極パッドが形成される半導体チップと、上記半導体チップに被覆され、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を有する下層絶縁層と、上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと導通するパッド部と、当該電極パッドと半導体装置自身の外部の回路とを導通させる外部接続端子を備えるランド部と、当該パッド部とランド部とを導通させる配線部と、を備える二次配線と、上記二次配線に被覆され、当該二次配線の少なくとも上記ランド部の外部接続端子を露出させる開口部を有する上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が上記下層絶縁層上に形成され、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出している構成である。従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。さらに、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。
【0128】
また、本発明に係る半導体装置は、電極パッドが形成されている半導体チップと、上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、当該電極パッドから少なくとも上記下層絶縁層を含む下方絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線であって、当該下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線と、少なくとも上記複数層の二次配線における最上位層の二次配線の配線部に被覆されている上方絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成されている領域を除く二次配線未形成領域における、少なくとも上記下層絶縁層を含む絶縁層は、少なくとも上記最上位層の二次配線の配線部が形成されている二次配線形成領域における、上記下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さで形成されている構成である。従って、特定の二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該特定の二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0129】
また、本発明に係る半導体装置は、電極パッドが形成されている半導体チップと、上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、上記下層絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線と、少なくとも上記二次配線の配線部に被覆されている上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出している構成である。従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、当該ウエハの彎曲の低減により、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。さらに、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。
【0130】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記のいずれかの半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含む方法である。従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑え、かつ、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。また、製造過程における搬送エラーやウエハ割れが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。さらに、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0131】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記のいずれかの半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、上記上方絶縁層を、少なくとも上記最上位層の二次配線に被覆する工程とを含む方法である。従って、特定の二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該特定の二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができるという効果を奏する。また、製造過程における搬送エラーやウエハ割れが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。さらに、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【0132】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記のいずれかの半導体装置の製造方法であって、上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部分と、上記配線部を除く当該二次配線の一部と、を接触させて設ける工程と、上記二次配線に、上記上層絶縁層を被覆する工程とを含む方法である。従って、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑え、かつ、ダイシング工程において、チッピングが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。また、製造過程における搬送エラーやウエハ割れが発生する危険性を低減することができるという効果を奏する。さらに、半導体装置の電気特性の変化を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0133】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態に係る半導体装置について、図1(a)・(b)を用いて説明する。
【0134】
図1(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1aの構成を示す平面図である。
【0135】
図1(a)に示す半導体装置1aは、電子回路部(電子回路)51が形成された回路形成面に、ペリフェラル状に配置された電極パッド10が設けられる半導体チップ2を有する。電極パッド10は、半導体チップ2内に設けられる回路と外部から接続される回路との電気的接続を行うものであり、半導体チップ2の内部で一次配線(図示しない)により接続される。
【0136】
半導体チップ2の外部においてペリフェラル状に配置された電極パッド10は、半導体チップ2の回路形成面において、半導体チップ2の外部にて電極パッド10と電気的に接続されている二次配線21により、外部接続端子と電気的に接続される。また、二次配線21は、電極パッド10と接続されたパッド部21a、外部接続端子として用いられるランド部21c、及びパッド部21aとランド部21cとを電気的に接続する配線部21bを有する。即ち、電極パッド10は、半導体チップ2の回路形成面上において、二次配線21のパッド部21aに接続されており、かつパッド部21aは、二次配線21の配線部21bを介して、外部接続端子である二次配線21のランド部21cと接続される。そして、これにより、電極パッド10とランド部21cに接続される回路とを電気的に接続することができる。
【0137】
また、二次配線21が形成される領域(第1の二次配線形成領域)及び当該領域の近傍領域には、上層絶縁層12が設けられる。上層絶縁層12の詳細な説明については後述する。
【0138】
また、図1(b)は、図1(a)の1A−1B線における断面図である。
【0139】
二次配線21と半導体チップ2の回路形成面との間には、2層の下層絶縁層11a、11bとして、厚さ1μmの酸化膜(下層絶縁層11a)と厚さ5μmの有機物であるポリイミド(下層絶縁層11b)とが設けられる。
【0140】
なお、ここで下層絶縁層11aとして酸化膜を用いた理由は、酸化膜は、窒化膜に比べて誘電率が低いためである。但し、下層絶縁層11a(本実施の形態では厚さ1μm)に比べ、有機物からなる下層絶縁層11bが十分に厚い場合(例えば、厚さ4μm、或いはそれ以上の厚さである場合)は、半導体装置1a全体に対する下層絶縁層11aの影響力は小さい。従ってこの場合、下層絶縁層11aは、誘電率の高い窒化膜を用いてもよいし、省略してもよい。
【0141】
下層絶縁層11aである酸化膜は、電極パッド10の面であって、電極パッド10と回路形成面とが接触する面の背面となる面上に、当該面を部分的に露出させる開口部11ahを有する。
【0142】
また、下層絶縁層11aは、スクライブライン周辺の領域に側壁部11asを有するのが好ましい。図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部11asにより、半導体チップ2における、電極パッド10が形成された面である、半導体チップ2の回路形成面が伸びている方向(図1(b)における、左右方向および紙面表裏方向)に関し、半導体チップの縁31が下層絶縁層11aの縁である側壁部11asよりも突出している構成である。つまり、図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部11asよりも、半導体チップの縁31に近接している半導体チップ2部分において、下層絶縁層11aが省略される構成である。なお、側壁部11asは、半導体チップの縁31から5〜60μm程度隔てられた部分に設けられる。
【0143】
ここで、下層絶縁層11aとしては、ケイ素の酸化膜、窒化膜を形成するが、ウエハ(半導体チップ)がケイ素からなる場合、下層絶縁層11aの物性(下層絶縁層11aの硬さ、延性等)は、有機物からなる絶縁層と比較して、ウエハの材料と比較的近くなる。このとき、下層絶縁層11aがウエハに及ぼすチッピングへの影響は比較的小さくなる。そのため、ダイシング方法、ダイシング用ブレード材料、ダイシング条件等を適正化することによって、下層絶縁層11aの側壁部11asは省略することも可能である。
【0144】
ウエハを複数の半導体チップ2に個片化する場合の切りしろとなるダイシングライン周辺の領域に、側壁部11asが設けられることで、ダイシング工程におけるチッピングを低減することができる。
【0145】
下層絶縁層11bとして下層絶縁層11aの上部に設けられる、有機物であるポリイミドは、下層絶縁層11aの開口部11ah上部に、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの大きな開口部11bhを有する。
【0146】
また、下層絶縁層11bは、下層絶縁層11aと同様に、スクライブライン周辺の領域に側壁部11bsを有するのが好ましい。この側壁部11bsは、半導体チップ2の回路形成面に関して、側壁部11asよりも内周側(即ち、半導体チップ2の中心側)、或いは側壁部11asと略同位置に形成される。即ち、側壁部11bsは、半導体チップ2上部において、側壁部11asを以って半導体チップ2の内周側となる位置に形成される。但し、二次配線21との位置関係を考慮する必要があるため、側壁部11bsは、半導体チップの縁31から5〜80μm程度隔てられた部分に設けられる。但し、この数値は、半導体チップの縁31との間隔が最短となるような側壁部11bsの位置を示す数値である。即ち、二次配線21が存在しない領域では、半導体チップ2のさらに内周側、即ち、半導体チップの縁31から遠い位置に、側壁部11bsが形成される箇所、もしくは、側壁部11bs自体が形成されていない箇所も存在し得る。これは、後述する実施の形態に係る半導体チップ2〜9の側壁部11bsにおいても同様である。そして、図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部11bsにより、半導体チップ2の回路形成面が伸びている方向に関し、半導体チップの縁31が下層絶縁層11bの縁である側壁部11bsよりも突出している構成である。つまり、図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部11bsよりも、半導体チップの縁31に近接している半導体チップ2部分において、下層絶縁層11bが省略される構成である。
【0147】
ダイシングライン周辺の領域に、側壁部11bsがさらに設けられれば、ダイシング工程におけるチッピングを低減することができると共に、ウエハの彎曲を低減することが可能である。
【0148】
なお、本実施の形態は、下層絶縁層11a及び11bが半導体チップ2を保護する構成である。
【0149】
下地材料(図示しない)、パッド部21a、配線部21b、及びランド部21cを有する二次配線21は、10μmの厚さで設けられる。
【0150】
二次配線21の下地材料は、二次配線21がCuで形成され、電極パッド10が、アルミニウム−ケイ素(Al−Si)系合金或いはアルミニウム−銅(Al−Cu)系合金等で形成される場合においては、チタン(Ti)、チタン−タングステン(Ti−W)系合金、クロム等が用いられる。この二次配線21の下地材料は、電極パッド10に対するバリアメタル層として機能すると共に、下層絶縁層11bとの密着層として機能する。
【0151】
また、二次配線21上には、上層絶縁層12が、約8μmの厚さで設けられる。なお、上層絶縁層12は、二次配線21に段差(この例では10μm)が存在する場合であっても、二次配線の上面及び側面に十分に被覆されることにより二次配線を保護する必要があるため、厚膜形成が容易な材料により形成されるのが望ましい。また、二次配線がCuで形成される場合、上層絶縁層12は、Cuと化学反応を起こさない有機物であれば、どのような材料により形成されてもよい。但し、上層絶縁層12は、誘電率及び吸水率が有機物の中では比較的低く、かつ引張り伸び率及び耐熱温度が高いPBOで形成されるのが望ましい。
【0152】
なお、本実施の形態は、上層絶縁層12として、下層絶縁層11bとしても用いたポリイミドが設けられる構成ではない。なぜなら、ポリイミドは一般的に、硬化時にCuと化学反応して膜質が脆くなる問題を有するためである。但し、近年では、Cuと化学反応を起こさないポリイミド材料(例えば、ポリアミド酸ワニスをイミド化したポリイミド材料)も多数開発されており、これらのポリイミド材料は、上層絶縁層12として用いることができる。もちろん二次配線21の少なくとも表面(例えば、表面及び側面)をCu以外の導電材料で形成する場合は、一般的なポリイミドを使用しても構わない。
【0153】
上層絶縁層12は、下層絶縁層11a、11bと同様に、スクライブライン周辺の領域に側壁部(上層絶縁層の縁)12sを有する。この側壁部12sは、半導体チップ2上部において、側壁部11as、11bsよりも、半導体チップ2の内周側、或いは、側壁部11as或いは11bsと略同位置に形成される。但し、二次配線21との位置関係を考慮する必要があるため、側壁部12sは、半導体チップの縁31から5〜100μm程度隔てられた部分に設けられる。但し、上層絶縁層12を第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍領域のみに形成する場合、側壁部12sは、半導体チップの縁31から100μmを超える程度に隔てられた部分に形成される場合もある。この場合、側壁部12sは、半導体チップの縁31から5〜500μm程度隔てられた部分に設けられる。但し、この数値は、半導体チップの縁31との間隔が最短となるような側壁部12sの位置を示す数値である。即ち、二次配線21が存在しない領域では、半導体チップ2のさらに内周側、即ち、半導体チップの縁31から遠い位置に側壁部12sが形成される箇所が存在し得る。もしくは、二次配線21が存在しない領域では、位置によっては側壁部12s自体が形成されていない箇所も存在し得る。これは、後述する実施の形態に係る半導体チップ2〜9の側壁部12sにおいても同様である。
【0154】
また、少なくとも下層絶縁層11aは、半導体チップに設けられている素子(図示しない)の保護の観点から、少なくとも素子が設けられている領域を覆うように形成されている。さらには、下層絶縁層11b、上層絶縁層12、及び後述する下層絶縁層11c(図7(b)等参照)及び中層絶縁層13(図11(b)等参照)のうちの、少なくとも一層についても、半導体チップにおいて素子が設けられている領域を覆うように形成するのがより好ましい。即ち、無機物からなる下層絶縁層11aは、主に化学的ダメージからの保護に適しており、有機物からなる絶縁層(下層絶縁層11b、11c、上層絶縁層12、中層絶縁層13、等)は、主に物理的ダメージからの保護に適している。
【0155】
そして、図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部12sにより、半導体チップ2の回路形成面が伸びている方向に関し、半導体チップの縁31が側壁部12sよりも突出している構成である。つまり、図1(b)に示す半導体装置1aは、側壁部12sよりも、半導体チップの縁31に近接している半導体チップ2部分において、上層絶縁層12が省略される構成である。
【0156】
また、上層絶縁層12は、ランド部21c上に開口部12hが設けられる。
【0157】
さらに、第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍領域を除く領域(第1の二次配線未形成領域)には、陥没部12hoが設けられている。本実施の形態においては、陥没部12hoが形成されることで、第1の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、二次配線21を化学的ダメージ及び物理的ダメージから保護し、かつウエハの彎曲を低減することができる。
【0158】
ここで、第1の二次配線未形成領域に該当する領域について説明する。
【0159】
二次配線21を保護するためには、第1の二次配線形成領域から数μm〜200μm程度隔てて陥没部12hoが設けられる。即ち、第1の二次配線未形成領域に該当する領域は、「第1の二次配線形成領域及び当該領域から数μm〜200μm以内の領域を除く領域」となる。
【0160】
なお、第1の二次配線形成領域が十分に被覆され、かつ外部環境下における温度変化及び湿度変化等に耐え得る程度に、陥没部12hoを形成する上層絶縁層12と下地(図1(b)においては、下層絶縁層11b)との密着領域が確保できるのであれば、当該密着領域は、なるべく狭く形成されるのが望ましい。換言すれば、二次配線21から陥没部12hoまでの距離は、なるべく短く形成されるのが望ましい。この距離は短ければ短い程、ウエハの彎曲を大きく抑制することができる。
【0161】
また、下層絶縁層11bと上層絶縁層12との密着を確実にし、下層絶縁層11bと上層絶縁層12とが剥離しないようにするためには、上記密着領域は、5μm以上であるのが望ましい。
【0162】
また、隣り合う二次配線21(特に配線部21b)の間隔が最も狭小である部分においては、当該間隔の1/3程度の領域を、陥没部12hoの領域とすることにより、隣り合う二次配線21間に上層絶縁層12の空隙部分(即ち、陥没部12ho)を確実に形成することができる。例えば、二次配線21それぞれの間隔が15μmである場合は、上記密着領域としてそれぞれ5μmを確保し、残余の5μmを陥没部12hoの領域とするのが望ましい。但し、隣り合う複数の二次配線21が、相互に及ぼす影響が小さい組み合わせ(例えば微小電流を処理する端子が含まれない、もしくは高周波信号を処理しない組み合わせ)である場合は、当該二次配線21間における上記空隙(即ち、陥没部12ho)を省略しても、問題は少ない。
【0163】
本実施の形態において、上層絶縁層12は、自身が感光性を有し、かつポジ型である材料を用いるのが望ましい。ポジ型の材料は、位置精度が良好であるため、高精度に陥没部12hoを形成することができる。
【0164】
上層絶縁層12に陥没部12hoが形成されることにより、第1の二次配線未形成領域には上層絶縁層12が形成されない。また、当該第1の二次配線未形成領域における、有機物である上層絶縁層12(厚さ0μm)と有機膜である下層絶縁層11b(厚さ5μm)との総厚(即ち、下層絶縁層11bであり、5μm)は、第1の二次配線形成領域の有機物である下層絶縁層(厚さ5μm)及び上層絶縁層12(厚さ8μm)の総厚(即ち、13μm)未満となっている。また、下層絶縁層11aの厚さは、第1の二次配線形成領域と第1の二次配線未形成領域とで同一である。
【0165】
従って、第1の二次配線形成領域を除く領域である第1の二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、第1の二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成される。
【0166】
また、特定の二次配線21とそれと隣接する二次配線21との間において、回路形成面に対して水平となる方向では、二次配線21の下面から上面までの厚さ範囲に渡って、本来であれば比誘電率が3程度である有機物(ここではPBO)により形成される上層絶縁層12が形成されない。これにより、上層絶縁層12が除去された領域には、比誘電率が1強である空気が存在することとなる。
【0167】
従って、隣り合う二次配線21間に存在する領域の誘電率を低下させることにより、上記寄生容量の増大を抑制できるため、配線遅延を抑制することができる。特に、隣り合う配線部21b間に、上記空隙を設けることにより、上記寄生容量に起因する配線遅延を抑制することができる。これは、互いに電流経路が略平行である領域が長い程、上記寄生容量による影響が大きくなることに起因する。
【0168】
なお、図1(a)に示す半導体装置1aは、全ての二次配線21間に上記空隙が設けられる構成ではない。但し、高速性が求められる半導体チップ2を用いる場合には、二次配線21の特に配線部21bの間に、上記空隙が設けられる必要がある。また、二次配線21を狭ピッチで形成する必要がある場所、及び相互に及ぼす影響が大きい2つの二次配線21が隣接する場所についても、上記空隙が設けられる必要がある。
【0169】
以上のとおり、本発明に係る半導体装置は、第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍を除く第1の二次配線未形成領域に設けられる上層絶縁層12が除去される。そして、それにより、第1の二次配線形成領域の絶縁層を厚くし、第1の二次配線未形成領域の絶縁層を薄くする構成である。これにより、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0170】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0171】
さらに、第1の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ2にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0172】
なお、図1に示す半導体装置1aは、陥没部12hoに上層絶縁層12が形成されない構成である。
【0173】
しかしながら、図1に示す半導体装置1aがとり得る構成は上記に限らない。
【0174】
即ち、図1に示す半導体装置1aは、第1の二次配線未形成領域における絶縁層(少なくとも下層絶縁層11a及び11bを含む)が、第1の二次配線形成領域における、下層絶縁層11a、11b及び上層絶縁層12の総厚未満の厚さで形成される構成であればよい。そして、当該構成を満足するのであれば、陥没部12hoにおける上層絶縁層12の有無は問わない。なお、これは後述する実施の形態における陥没部12hoについても同様である。
【0175】
〔実施の形態2〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図2(a)・(b)を用いて説明する。
【0176】
図2(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1bの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の2A−2B線における断面図である。
【0177】
図1(a)・(b)に示す半導体装置1aの半導体チップ2は、上層絶縁層12における、第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍を除く第1の二次配線未形成領域に陥没部12hoが形成される構成であった。
【0178】
一方、図2(a)・(b)に示す半導体装置1bの半導体チップ3は、陥没部12hoの代わりに、側壁部11bs´が下層絶縁層11bに形成される。
【0179】
下層絶縁層11bは、10μmのPBOで形成される。また、下層絶縁層11aの開口部11ah上に設けられる開口部11bhは、下層絶縁層11a上の開口部11ahよりも小さなサイズで形成される。
【0180】
そして側壁部11bs´は、第1の二次配線形成領域から0μm〜200μm程度隔てた位置に形成される。また、所定の二次配線21を基準位置にすると、側壁部11bs´よりも、所定の二次配線の隣の二次配線21までの距離が長くなる箇所(即ち、「二次配線21と側壁部11bs´との間の距離」<「二次配線21と特定箇所との間の距離」となる特定箇所)では、下層絶縁層11bが完全に除去される。即ち、所定の二次配線21に対して、側壁部11bs´より外側の領域は二次配線未形成領域となり、この二次配線未形成領域では下層絶縁層11bが完全に除去される。
【0181】
即ち、本実施の形態においては、側壁部11bs´が形成されることにより、少なくとも第1の二次配線形成領域を除く二次配線未形成領域(第2の二次配線未形成領域)の略全域に設けられる下層絶縁層11bが除去される。
【0182】
なお、側壁部11bs´を極力二次配線21に近接させるためには、下層絶縁層11bは、感光性の材料を用いて形成するのが望ましい。
【0183】
また、ウエハの彎曲に対する影響を第1に考慮する場合、下層絶縁層11bは、位置精度が良好であるポジ型の材料を用いるのが望ましい。この場合、下層絶縁層11bの厚さは40μm以内であるのが望ましい。一方、上記電磁界的干渉に対する影響を第1に考慮する場合、下層絶縁層11bは、厚膜形成が可能なネガ型の材料を用いるか、或いは感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成するとよい。ネガ型の材料を用いれば、100μm程度の厚さを有する下層絶縁層11bを形成することができる。また、感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成する場合は、100μm以上の厚さを有する下層絶縁層11bを形成することができるため、さらに好適である。
【0184】
なお、感光性を有する材料を用いた場合であっても、フォト工程を複数回繰り返すことにより、下層絶縁層11bを厚く形成することができるが、工数が増加するため決して好ましい方法ではない。
【0185】
また、上層絶縁層12は、第1の二次配線形成領域においては厚さ8μm、第2の二次配線未形成領域においては、厚さ10μmとなっており、第2の二次配線未形成領域における上層絶縁層12は、側壁部11bs´及び第2の二次配線未形成領域の全域に被覆される。
【0186】
なお、第1の二次配線形成領域における上層絶縁層12の厚さと、第2の二次配線未形成領域における上層絶縁層12の厚さとが異なる理由は、下記にある。
【0187】
即ち、上層絶縁層12を、上記ワニスを用いてスピンコート法により形成する場合、第1の二次配線形成領域よりも低く形成される第2の二次配線未形成領域に樹脂量が偏る。従って、第1の二次配線形成領域の上層絶縁層12の厚さを、下層絶縁層11bよりも薄い8μmとしている。
【0188】
本実施の形態において、第2の二次配線未形成領域には、厚さ10μmの下層絶縁層11b及び厚さ10μmの二次配線21が形成されない。また、上述のとおり、上層絶縁層12は、第2の二次配線未形成領域において厚さ10μmであり、第1の二次配線形成領域において厚さ8μmである。従って、上層絶縁層12を、側壁部11bs´及び第2の二次配線未形成領域の全域に渡り被覆すると、第2の二次配線未形成領域の上部には、上層絶縁層12の陥没部12ho´が形成される。なお、陥没部12ho´の深さは、下層絶縁層11b、上層絶縁層12、及び二次配線21の厚さ等に鑑み、適宜設定することが可能である。
【0189】
なお、スピンコート法において、第1の二次配線形成領域の上層絶縁層12と、第2の二次配線未形成領域の上層絶縁層12とを形成する場合においては、第2の二次配線未形成領域における上層絶縁層12の厚さが、第1の二次配線形成領域の下層絶縁層11bの厚さ以下となるように、上層絶縁層12のワニス状態での粘度、スピン回転数等の条件を決定するとよい。
【0190】
なお、その他の構成は、図1(a)・(b)に示す形態と同一の構成である。
【0191】
上記の構成により、第1の二次配線形成領域の絶縁層を厚くし、二次配線21が形成されない領域の絶縁層を薄くすることにより、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0192】
さらに、第2の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ3にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0193】
また、第1の二次配線形成領域において下層絶縁層11bの厚さが10μmであり、第2の二次配線未形成領域において、下層絶縁層11bの厚さが0μm、上層絶縁層12の厚さが10μmであるため、有機物からなる絶縁層の総厚は10μmとなっている。即ち、第2の二次配線未形成領域における上層絶縁層12は、第1の二次配線形成領域における下層絶縁層11bの厚さ以下の厚さである。
【0194】
そのため、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0195】
なお、図2に示す半導体装置1bは、第2の二次配線未形成領域では、下層絶縁層11bが形成されない構成である。
【0196】
しかしながら、図2に示す半導体装置1bがとり得る構成は上記に限らない。
【0197】
即ち、図2に示す半導体装置1bは、第2の二次配線未形成領域における絶縁層(少なくとも下層絶縁層11a、11bを含む)が、第1の二次配線形成領域における、下層絶縁層11a、11b及び上層絶縁層12の総厚未満の厚さで形成される構成であればよい。そして、当該構成を満足するのであれば、第2の二次配線未形成領域における下層絶縁層11bの有無は問わない。なお、これは後述する実施の形態における、第2の二次配線未形成領域についても同様である。
【0198】
〔実施の形態3〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図3(a)・(b)を用いて説明する。
【0199】
図3(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1cの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の3A−3B線における断面図である。
【0200】
図3(a)・(b)に示す半導体装置1cは、下層絶縁層11a、11b及び二次配線21については、図2(a)・(b)に示す半導体装置1bと同一の材料、かつ同一の厚さで形成され、半導体チップ4の下層絶縁層11bには側壁部11bs´が形成される。また、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cは、半導体チップ4の上層絶縁層12については、図1(a)・(b)に示す半導体装置1aと同一の材料、かつ二次配線21上において同一の厚さで形成され、上層絶縁層12には陥没部12hoが形成される。
【0201】
即ち、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cの半導体チップ4は、第2の二次配線未形成領域において、下層絶縁層11bの側壁部11bs´と、上層絶縁層12の陥没部12hoとの両方が設けられる構成である。
【0202】
また、図3(b)に示すとおり、本実施の形態では、第1の二次配線未形成領域において、有機物からなる下層絶縁層11b及び上層絶縁層12が完全に除去されている。このため、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cでは、陥没部12ho´は形成されない。
【0203】
また、本実施の形態では、側壁部12sが、下層絶縁層11bの側壁部11bsよりも半導体チップ4の外周側、具体的には、下層絶縁層11aの側壁部11asと下層絶縁層11bの側壁部11bsとの間、もしくは側壁部11asと略同位置に設けられている。この場合、側壁部12sは、半導体チップの縁31から5〜100μm程度隔てられた部分に設けられる。
【0204】
但し、本実施の形態に限らず、本発明に係る半導体装置において、側壁部12sが側壁部11bsよりも、半導体チップ4の内周側に設けられているか、或いは、半導体チップ4の外周側に設けられているか、については特に限定されない。
【0205】
上記の構成により、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0206】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0207】
さらに、第2の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ4にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0208】
〔実施の形態4〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図4(a)・(b)を用いて説明する。
【0209】
図4(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1dの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の4A−4B線における断面図である。
【0210】
図4(a)・(b)に示す半導体装置1dは、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cの構成において、所定の外部接続端子(図4(a)における、左から3番目、下から3番目の外部接続端子)部分に、ペリフェラル状に配置されない電極パッド10が設けられる構成である。
【0211】
また、上記ペリフェラル状に配置されない電極パッド10においても、ペリフェラル状に配置される電極パッド10と同様の構成を有する。例えば、下層絶縁層11aは、電極パッド10の面であって、電極パッド10と回路形成面とが接触する面の背面となる面を部分的に露出させる開口部11ahを有し、かつ下層絶縁層11aの開口部11ah上に設けられる開口部11bhは、下層絶縁層11a上の開口部11ahよりも小さなサイズで設けられる。
【0212】
二次配線21は、ランド部21dをさらに有する。ランド部21dは、開口部11bhにて電極パッド10と電気的に接続されており、ランド部21dと電極パッド10との間には、下層絶縁層11a、11bが設けられる。
【0213】
また、上層絶縁層12は、ランド部21d上に開口部12hが設けられ、開口部12hによって、半導体チップ5と外部に設けられる回路とを電気的に接続する。
【0214】
さらに、図4(a)・(b)に示す半導体装置1dの半導体チップ5は、第2の二次配線未形成領域において、下層絶縁層11bの側壁部11bs´と、上層絶縁層12の陥没部12hoとの両方が設けられる構成である。また、図4(b)に示すとおり、本実施の形態では、第1の二次配線未形成領域において、有機物からなる下層絶縁層11b及び上層絶縁層12が完全に除去されている。
【0215】
なお、ランド部21d上に設けられる上層絶縁層12は、ランド部21dを化学的ダメージ及び物理的ダメージから保護し、接続領域に供給される接続材料の外部への流出等を防止する、いわゆる制限層としての機能を有する。
【0216】
上記の構成により、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0217】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0218】
さらに、第2の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ5にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0219】
なお、本実施の形態においては、陥没部12ho及び側壁部11bs´のいずれか一方のみが設けられる場合であっても、上記電磁界的干渉及び上記ウエハの彎曲を低減することが可能である。
【0220】
また、本実施の形態では、半導体チップ5の上記特定の外部接続端子(ランド部21dが設けられる端子)部分の1箇所にのみ、ペリフェラル状に配置されない電極パッド10を有する構成であるが、これに限らない。即ち、ペリフェラル状に配置されない電極パッド10は、2箇所以上の上記外部接続端子に設けられる構成であっても構わない。さらには、半導体チップ5に設けられる全ての外部接続端子に、ペリフェラル状に配置されない電極パッド10が設けられる構成であっても構わない。
【0221】
〔実施の形態5〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図5(a)・(b)を用いて説明する。
【0222】
図5(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1eの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の5A−5B線における断面図である。
【0223】
図5(a)・(b)に示す半導体装置1eは、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cの構成において、下層絶縁層11bの開口部11bh及び側壁部11bsの代わりに、下層絶縁層11bの側壁部11bs´´が、電極パッド10上に形成される構成である。
【0224】
下層絶縁層11bの側壁部11bs´´は、電極パッド10上において、下層絶縁層11aの開口部11ahよりも、半導体チップ6の内周側に形成される。つまり、下層絶縁層11bは、図5(a)において、点線L1で囲まれる二次配線21部分にのみ設けられる。このとき、側壁部11bs´´は、半導体チップの縁31から50〜500μm程度隔てられた部分に設けられる。
【0225】
即ち、図5(a)・(b)に示す半導体装置1eは、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cの構成において、電極パッド10上に設けられる側壁部11bs´´よりも、半導体チップの縁31に近接している半導体チップ6部分において、下層絶縁層11bが省略される構成である。その他の構成については、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cの下層絶縁層11bと同一の構成である。
【0226】
上記の構成により、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0227】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0228】
また、第2の二次配線未形成領域では、絶縁層が第1の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ6にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0229】
さらに、図5(a)・(b)に示す半導体装置1eは、下層絶縁層11bの領域が、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cに比べて狭い範囲に形成されている。そのため、図5(a)・(b)に示す半導体装置1eは、電極パッド10の周辺に電磁界の影響を受けやすい回路が存在しない場合において、図3(a)・(b)に示す半導体装置1cに比べて、さらにウエハの彎曲を抑制する効果が大きいため好適である。
【0230】
〔実施の形態6〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図6(a)・(b)を用いて説明する。
【0231】
図6(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1fの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の6A−6B線における断面図である。
【0232】
図6(a)・(b)に示す半導体装置1fは、図5(a)・(b)に示す半導体装置1eの構成において、下層絶縁層11bの側壁部11bs´は、半導体チップ7における、ランド部21cの外周側に形成され、下層絶縁層11bの側壁部11bs´´は、半導体チップ7における、パッド部21aの内周側に形成される構成である。
【0233】
即ち、図6(a)・(b)に示す半導体装置1fは、下層絶縁層11bが二次配線21の配線部21bが形成される領域(図6(a)において、点線L2で囲まれる二次配線21部分)にのみ形成される構成である。
【0234】
これにより、図6(a)・(b)に示す半導体装置1fは、少なくとも二次配線21のうち配線部21bが形成される二次配線形成領域(第2の二次配線形成領域)を除く二次配線未形成領域(第3の二次配線未形成領域)については、当該第2の二次配線形成領域よりも下層絶縁層11a、11b及び上層絶縁層12が薄く形成される。
【0235】
一般的に、二次配線と電子回路部との間の電磁界的干渉は、互いに略平行となる電流経路間で起こりやすい。とりわけ、本発明に係る半導体装置に設けられる二次配線21においては、配線部21bと電子回路部51とが、互いに略平行となる電流経路を形成する場合が多い。
【0236】
一方、パッド部21a及びランド部21cは、概ね電子回路部51に対して垂直な方向に電流を供給する。そのため、パッド部21a及びランド部21cについては、電子回路部51との電磁界的干渉による影響は小さいと考えられる。
【0237】
そのため、本実施の形態では、下層絶縁層11bが、上記電磁界的干渉の抑制に最低限必要である配線部21bにのみ設けられる構成となっている。
【0238】
上記の構成により、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0239】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0240】
また、第3の二次配線未形成領域では、絶縁層が第2の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ7にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0241】
さらに、図6(a)・(b)に示す半導体装置1fは、下層絶縁層11bが、図3(a)・(b)に示す半導体装置1c及び図5(a)・(b)に示す半導体装置1eに比べて狭い領域に形成されている。そのため、図6(a)・(b)に示す半導体装置1fは、図3(a)・(b)に示す半導体装置1c及び図5(a)・(b)に示す半導体装置1eに比べて、さらにウエハの彎曲を抑制する効果が大きいため好適である。
【0242】
なお、本実施の形態は、下層絶縁層11bが二次配線21の配線部21bの下部にのみ形成される構成である。即ち、二次配線21のパッド部21a及びランド部21cについては、下層絶縁層11a、11bの総厚が、二次配線21の配線部21bよりも薄く形成されている。
【0243】
しかしながら、本実施の形態において、二次配線21のパッド部21a周辺における上記電磁界的干渉を抑制したい場合は、二次配線21のうちパッド部21a及び配線部21bが形成される二次配線形成領域を第2の二次配線形成領域としてもよい。即ち、二次配線21のパッド部21a及び配線部21bが形成される第2の二次配線形成領域を除く、第3の二次配線未形成領域については、当該第2の二次配線形成領域よりも下層絶縁層11a、11b及び上層絶縁層12が薄く形成される構成であってもよい。
【0244】
さらに、本実施の形態において、二次配線21のランド部21c周辺における上記電磁界的干渉を抑制したい場合は、二次配線21のうち配線部21b及びランド部21cが形成される二次配線形成領域を第2の二次配線形成領域としてもよい。即ち、二次配線21の配線部21b及びランド部21cが形成される第2の二次配線形成領域を除く、第3の二次配線未形成領域については、当該第2の二次配線形成領域よりも下層絶縁層11a、11b及び上層絶縁層12が薄く形成される構成であってもよい。
【0245】
なお、図2(a)・(b)、図5(a)・(b)、及び図6(a)・(b)に示す形態では、有機物からなる下層絶縁層の側壁部(例えば、下層絶縁層11bの側壁部11bs、側壁部11bs´、側壁部11bs´´)が上層絶縁層12に完全に被覆される。
【0246】
この構成によれば、下層絶縁層の側壁部が上層絶縁層12に完全に被覆されることにより、外部に露出する絶縁層の界面数を減少させることができるため、水分及び/または化学成分等の半導体装置への侵入を抑制することが可能となる。そして、これにより、界面の剥離及び半導体チップの電子回路部(一次配線を含む)の腐食を抑制することが可能となる。
【0247】
〔実施の形態7〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図7(a)・(b)を用いて説明する。
【0248】
図7(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1gの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の7A−7B線における断面図である。
【0249】
図7(a)・(b)に示す半導体装置1gは、図6(a)・(b)に示す半導体装置1fの構成において、図7(b)に示すとおり、下層絶縁層11aと下層絶縁層11bとの間に、有機物であるポリイミド膜で形成される第3の下層絶縁層、即ち、下層絶縁層11cがさらに設けられる構成である。
【0250】
下層絶縁層11cは、図7(b)において、半導体チップ8の電極パッド10及びスクライブライン領域を除く略全域に被覆されており、電極パッド10及び下層絶縁層11a上には、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの大きな開口部11chが形成される。
【0251】
また、下層絶縁層11cは、下層絶縁層11aと同様に、スクライブライン領域に側壁部11csを有するのが好ましい。この側壁部11csは、半導体チップ8上部において、側壁部11asよりも内周側であって側壁部12sよりも外周側、或いは、側壁部11as或いは側壁部12sと略同位置に形成される。但し、二次配線21との位置関係を考慮する必要があるため、側壁部11csは、半導体チップの縁31から5〜80μm程度隔てられた部分に設けられる。但し、下層絶縁層11cを第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍領域のみに形成する場合は、側壁部11csのかわりに、半導体チップの縁31からさらに隔てられた部分、例えば、半導体チップの縁31から5〜500μm程度隔てられた部分に、側壁部(図示しない)が設けられてもよい。但し、この数値は、半導体チップの縁31との間隔が最短となるような側壁部11csの位置を示す数値である。即ち、二次配線21が存在しない領域では、半導体チップのさらに内周側に(即ち、半導体チップの縁31から遠い位置に)側壁部11csが形成される箇所、もしくは、側壁部11cs自体が形成されていない箇所も存在し得る。これは、後述する実施の形態に係る側壁部11csにおいても同様である。
【0252】
そして、図7(b)に示す半導体装置1gは、側壁部11csにより、半導体チップ8の回路形成面が伸びている方向に関し、半導体チップの縁31が下層絶縁層11cの縁である側壁部11csよりも突出している構成である。つまり、図7(b)に示す半導体装置1gは、側壁部11csよりも、半導体チップの縁31に近接している半導体チップ8部分において、下層絶縁層11cが省略される構成である。
【0253】
また、図7(a)・(b)に示す半導体装置1gは、上述した実施の形態と同様に、下層絶縁層11bが二次配線21の配線部21bが形成される領域(図7(a)において、点線L3で囲まれる配線部21b部分)にのみ形成される構成である。
【0254】
この構成によれば、上層絶縁層12の陥没部12hoでの半導体チップ8への物理的、化学的ダメージからの保護を確実なものとすることができる。また、ウエハの彎曲を低減することが可能である。
【0255】
さらに、二次配線21と電子回路部51との間の電磁界的干渉が及ぼす影響が大きい場合には、ペリフェラル状に配置される電極パッド10の外周領域に下層絶縁層11cが設けられることにより、当該電磁界的干渉を抑制することができる。
【0256】
なお、有機物からなる絶縁層(下層絶縁層11b・11c及び上層絶縁層12)が少なくとも、半導体チップ8の一次配線を含む電子回路部(図示しない)に被覆される場合は、電子回路部51を化学的ダメージ及び物理的ダメージから十分に保護することが可能である。そのため、半導体チップ8は、下層絶縁層11aである窒化膜或いは酸化膜が省略される構成であっても構わない。
【0257】
また、下層絶縁層11cの開口部11chは、下層絶縁層11bの側壁部11bs´´と略同位置に形成されてもよい。
【0258】
このとおり、有機物からなる下層絶縁層を2層以上設け、下層絶縁層の総数を増加させてもよい。
【0259】
上記の構成によれば、半導体装置1gは二次配線形成領域において、図6(a)、(b)に示す半導体装置1fの構成に比べて、有機物からなる絶縁層が厚く形成される。そのため、図6(a)、(b)に示す半導体装置1fに比べて、半導体チップと電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制する効果が向上する。
【0260】
以上のとおり、本発明に係る半導体装置は、二次配線21の配線部21bの外周側の領域に下層絶縁層11bの側壁部11bs´´を形成することで、配線部21bの絶縁層を厚く形成し、配線部21b以外の領域の絶縁層を薄く形成する構成である。これにより、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0261】
また、隣り合う二次配線21間、特に隣り合う配線部21bの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0262】
また、第3の二次配線未形成領域では、絶縁層が第2の二次配線形成領域に比べて薄く形成される。これにより、半導体チップ8にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0263】
〔実施の形態8〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図8(a)・(b)を用いて説明する。
【0264】
図8(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1hの構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)の8A−8B線における断面図である。
【0265】
図8(a)・(b)に示す半導体装置1hは、図7(a)・(b)に示す半導体装置1gの構成において、図8(b)に示すとおり、半導体チップ9には、下層絶縁層11bの上部に下層絶縁層11cが設けられる構成である。下層絶縁層11cは、図8(b)において、半導体チップ8は電極パッド10及びスクライブライン領域を除く略全域に被覆されており、電極パッド10には、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの小さな開口部11chが形成される。
【0266】
また、図8(a)・(b)に示す半導体装置1hは、上述した実施の形態と同様に、下層絶縁層11bが二次配線21の配線部21bが形成される領域(図8(a)において、点線L4で囲まれる配線部21b部分)にのみ形成される構成である。
【0267】
上記の構成によれば、下層絶縁層11bの段差部分(下層絶縁層11bが下地と接触する箇所及び下層絶縁層11bの上面と側面との境界部分の角張り)を除去することができる。この理由は、下層絶縁層11bは、材料の種類及び加工方法の関係上、側壁部に角ばった部分を有する場合が多いが、下層絶縁層11cは、角ばった部分を有する下層絶縁層11bの上部にワニス状態の材料でスピンコートされて、下層絶縁層11bの上部に膜形成して被覆することにより、上記段差部に該当する角ばりを滑らかにすることが可能であるためである。これにより、図7(a)・(b)に示す半導体装置1gにより得られる作用効果に加え、二次配線21の被覆状態を良好にする。即ち、二次配線21と下層絶縁層(下層絶縁層11a〜11c)との密着面積をより大きくする。そしてこれにより、二次配線21のオープン不良及び剥離が発生する危険性を低減することができるため、半導体装置の信頼性が向上するという効果を奏する。
【0268】
なお、上述した実施の形態は、二次配線21、或いは二次配線21のうちの少なくとも配線部21bについて、半導体チップ(半導体チップ2〜9)の電子回路部51との電磁界的干渉を低減するための下層絶縁層(下層絶縁層11a〜11c)が設けられる構成である。
【0269】
しかしながら、本発明に係る半導体装置において、下層絶縁層が設けられる箇所は上記に限らず、例えば下層絶縁層は、電子回路部51或いはその一部を横切る二次配線21(例えば、半導体チップにおいて、電子回路部51の真上に位置する二次配線21)にのみ設けられる構成であってもよい。なおここで、「電子回路部51或いはその一部を横切る二次配線21」とは、電子回路部51全体、或いは電子回路部51の中でも上記電磁界的干渉による影響が多大となる領域を横断する二次配線21を意味する。このような二次配線21部分としては例えば、図1(a)に示す半導体装置1aにおいて、電子回路部51の真上に位置する二次配線21部分(図1の一番左から1〜2番目、上から1〜3番目の外部接続端子周辺の二次配線21)が挙げられる。
【0270】
さらに下層絶縁層は、電子回路部51と重なり合う二次配線21についてのみ、或いは電子回路部51と重なり合う二次配線21の一部のみについて、当該領域以外の領域に比べて厚く形成される構成であってもよい。
【0271】
なお、「電子回路部51と重なり合う二次配線21」とは、上記電子回路部51を横断する特定の二次配線21に着目した場合において、電子回路部51と二次配線21とが重なり合う部分を意味する。このような二次配線21部分としては例えば、図1(a)に示す半導体装置1aにおいて、上記電子回路部51の真上に位置する二次配線21部分であって、電子回路部51を示す点線内に位置する全ての二次配線21が挙げられる。
【0272】
また、「電子回路部51と重なり合う二次配線21の一部」とは、電子回路部51を横断する特定の二次配線21に着目した場合において、電子回路部51の中でも上記電磁界的干渉が及ぼす影響が大きい箇所と、二次配線21とが重なり合う部分を意味する。このような二次配線21部分としては例えば、図1(a)に示す半導体装置1aにおいて、上記電子回路部51の真上に位置する二次配線21部分であって、電子回路部51を示す点線内に位置する二次配線21のうち、電磁界的干渉の影響の特に大きな二次配線21が挙げられる。
【0273】
即ち、「電子回路部51と重なり合う二次配線21」においては、その二次配線全体の下層絶縁層を厚く形成してもよいし、電子回路部51と重なる領域或いはその一部のみの下層絶縁層を厚く形成してもよい。
【0274】
上記の構成により、さらに下層絶縁層が設けられる領域を狭小化することが可能となるため、ウエハの彎曲をさらに抑制することができる。
【0275】
なおここで、電子回路部51として設けられる回路は主にアナログ回路である。また、アナログ回路としては例えば、定電圧回路、電源回路が挙げられ、電源回路に設けられる回路の中でも特に、トランスコンダクタンスアンプ(gmアンプ)、オペアンプ、コンパレータ、RF(radio frequency)信号受信装置、RFシンセサイザ或いはA/D変換器、D/A変換器等の、アナログ信号を取り扱う種々の回路が挙げられる。これらの回路は、上記電磁界的干渉或いは雑音等の外的要因に影響されやすい(特にデジタル信号の伝導に起因する、当該外的要因による影響を受けやすい)という特徴があるため、上記の構成を有することが好適である。但し、本発明に係る半導体装置が上記の構成を有することが好適であることは、電子回路部51として設けられる回路がデジタル回路である場合においても同様である。
【0276】
本発明においては、アナログ信号の処理回路に接続され、アナログ信号を伝達する一次配線をさらに含めた電子回路部51に対して、下層絶縁層の厚さを決定することにより、上記電磁界的干渉を抑制する効果が増大する。
【0277】
即ち、アナログ信号を伝達する一次配線についても、上記アナログ回路と同様に外的要因に影響されやすいため、二次配線21、特にデジタル信号を導く二次配線21の下層絶縁層を厚く形成すればよい。
【0278】
また、アナログ回路は、本発明に係る半導体チップが取り扱う電気信号の強弱及び周波数等により、上記電磁界的干渉が及ぼす影響の度合が異なるため、当該電磁界的干渉が及ぼす影響の度合に応じて、二次配線21の下層に存在する下層絶縁層の厚さを変化させることにより、上記電磁界的干渉が及ぼす影響及びウエハの彎曲の影響を最小限に抑制することができる。
【0279】
例えば上記電磁界的干渉が及ぼす影響の度合の小さい(或いはアナログ回路が存在しない)領域に設けられる二次配線21に対しては、下層絶縁層を下層絶縁層11aのみが設けられ、当該電磁界的干渉が及ぼす影響の度合の大きい領域に設けられる二次配線21に対しては、下層絶縁層11a、11bが設けられる構成とする、という具合に、二次配線21毎に下層絶縁層の厚さ或いは層数を適宜変更するとよい。
【0280】
また、特定の二次配線21の1本の中でも、上記電磁界的干渉が及ぼす影響の度合に応じて、下層絶縁層の厚さを適宜変更してもよい。例えば配線部21bの一部のみ、配線部21bの全域及びランド部21cのみ、或いは配線部21bの全域とパッド部21aの一部のみ、下層絶縁層を厚くする構成とすることにより、上記電磁界的干渉の低減及びウエハの彎曲の抑制が可能となる。
【0281】
さらに、隣り合う二次配線21或いは二次配線21の一部(配線部21b等)の下層絶縁層の厚さを互いに変化させ、隣り合う二次配線21或いは二次配線21の一部が同一平面上に設けられない構成とすることにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。
【0282】
こうして、本発明に係る半導体装置は、上記電磁界的干渉の低減及びウエハの彎曲の抑制が可能となる。
【0283】
なお、本実施の形態及び上述した実施の形態においては、上記各二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層11a〜11c(下層絶縁層11a〜11cの総厚、或いは下層絶縁層11a〜11c及び上層絶縁層12の総厚)の総厚が、上記各二次配線形成領域における下層絶縁層11a〜11c及び上層絶縁層12の総厚未満の厚さで形成される、という条件さえ満足すればよい。従って、上記条件さえ満足するのであれば、上記各二次配線形成領域及び上記各二次配線未形成領域における下層絶縁層11a〜11c及び上層絶縁層12の有無、及び下層絶縁層11a〜11c及び上層絶縁層12の厚さは問わない。
【0284】
〔実施の形態9〕
本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、図9(a)〜(f)を用いて説明する。
【0285】
図9(a)〜(f)は、本発明に係る半導体装置の製造方法を示す図面であり、一例として、図7(a)・(b)に示す半導体装置1gの製造工程を、同図(b)と同一の面から見た図である。なお、図1〜6(a)・(b)及び図8(a)・(b)に示す半導体装置1a〜1f、及び半導体装置1hの製造工程については、詳細な説明を省略し、上記半導体装置1gの製造工程とは異なる工程についてのみ説明する。また、以後、図1(a)・(b)、図2(a)・(b)、…、図8(a)・(b)についてはそれぞれ、単に「図1」、「図2」、…、「図8」と称する。
【0286】
まず、図9(a)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0287】
半導体装置1gの半導体チップ8は、アナログ信号を取り扱う電子回路(図示しない)が形成されており、一次配線(図示しない)によって、各電子回路間及び半導体チップ8の外部との電気的接続を行う電極パッド10が形成されている。
【0288】
電極パッド10は、ウエハ上において縦、横に規則的に配置された半導体チップ8の表面に、ペリフェラル状に配置されている。なお、図4に示す半導体チップ5については、所定の外部接続端子部分にも電極パッド10が配置されている。
【0289】
半導体チップ8の表面には、上記電子回路及び一次配線等を保護する下層絶縁層11aを形成し、下層絶縁層11aには、電極パッド10を部分的に露出させる開口部11ahと、スクライブライン領域周辺に形成される側壁部11asとを形成する。
【0290】
なお、上述のとおり、下層絶縁層11aは例えば、無機物である酸化膜により形成するのが望ましいがこれに限らず、窒化膜により形成しても構わないし、省略しても構わない。
【0291】
また、下層絶縁層11aは、後のダイシング工程において半導体装置1gに分割する際にチッピングを防ぐため、ダイシングライン領域にさらに開口部を形成するのが望ましい。なお、この場合は、電極パッド10に開口部11ahを形成する工程と、ダイシングライン領域に開口部を形成する工程とを同時に行うとよい。
【0292】
さらに、図7、及び図8に示す半導体装置1g、1hについては、下層絶縁層11aの上部に下層絶縁層11cを形成するが、下層絶縁層11cを形成する段階は、半導体装置1gでは図9(b)に示す工程の前の段階、半導体装置1hでは図9(c)に示す工程の後の段階となる。
【0293】
下層絶縁層11cには、電極パッド10及び下層絶縁層11a上部に、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの大きな開口部11chを形成する。なおこれは、大きな電流を処理する場合における電流経路を充分に確保することを目的としている。
【0294】
なお、図8に示す半導体装置1gについては、下層絶縁層11cには、電極パッド10上部に、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの小さな開口部11chを形成する。これは、図8に示す実施の形態において下層絶縁層11bの段差部の角張りを滑らかにする目的と同様に、下層絶縁層11cを、下層絶縁層11aの段差部である開口部11ahに被覆することにより、二次配線21の被覆状態を向上させること、即ち、二次配線21と下層絶縁層(下層絶縁層11a〜11c)との密着面積をより大きくすることを目的としている。但し、無機物からなる下層絶縁層11aの段差部(開口部11ahにおける側壁部分)の段差は、有機物からなる下層絶縁層11bの段差部(側壁部11bs´或いは側壁部11bs´´における側壁部分)の段差に比べて非常に低い場合が多い。そして、例えば下層絶縁層11aの段差部の段差の高さが1μm以下であれば、開口部11chは、開口部11ahよりも大きなサイズで形成する方が、大きな電流を処理する場合において好適である。
【0295】
また、下層絶縁層11cには、スクライブライン領域に側壁部11cs(但し、半導体チップ8上部において、側壁部11csは、側壁部11asよりも内周側或いは側壁部11asと略同位置に形成される)を形成する。これは、ダイシング領域を十分に確保するという目的からである。
【0296】
なお、電極パッド10上に下層絶縁層11bを形成する図1に示す半導体装置1aについては、電極パッド10及び下層絶縁層11a上に、下層絶縁層11aの開口部11ahよりもサイズの大きな開口部11bhを形成する。これは、大きな電流を処理する場合における電流経路を充分に確保することを目的としている。
【0297】
また、下層絶縁層11bには、スクライブライン領域に側壁部11bs(但し、半導体チップ2上部において、側壁部11bsは、側壁部11asよりも内周側或いは側壁部11asと略同位置に形成される)を形成する。なおこれは、ダイシング領域を十分に確保するという目的からである。
【0298】
但し、半導体チップに設ける電子回路の保護という観点から、下層絶縁層11cは図7(b)、図8(b)に示すとおり、半導体チップ8(半導体チップ9)の電極パッド10を除く略全域に形成するのが望ましい。
【0299】
また、ウエハの彎曲の低減を第一に考慮する場合、半導体チップ8におけるペリフェラル状に配置される電極パッド10の外周側の領域等については、下層絶縁層11cが設けられなくても、電磁界的干渉が及ぼす影響が小さい場合もある。なお、この場合も下層絶縁層11aを形成する場合には、電子回路を化学的ダメージ及び物理的ダメージから十分に保護することが可能である。
【0300】
さらに、図7、及び図8に示す半導体装置1g、1hは、半導体チップに設ける電子回路を物理的ダメージ及び化学的ダメージから保護するための下層絶縁層11aが存在するため、下層絶縁層11cは、半導体チップ8(半導体チップ9)において電子回路が形成される領域のみに被覆される構成としてもよく、さらには二次配線形成領域のみに被覆される構成としてもよい。なお、ウエハの彎曲を抑制するためには、当該構成を有するのが望ましい。
【0301】
次に、図9(b)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0302】
後に半導体チップ8に形成する二次配線21(図9(d)参照)及び二次配線21の外周には、二次配線21よりも僅かに大きなサイズとなる(即ち、横幅が二次配線21の太さより僅かに太い)下層絶縁層11bを形成すると共に、側壁部11bs´、11bs´´を形成する。なお、下層絶縁層11bを二次配線21よりも僅かに大きなサイズとする理由は、下記のとおりである。
【0303】
即ち、第1の理由は、半導体チップ8の電子回路と二次配線21とを確実に隔離するためである。また、第2の理由は、下層絶縁層11bと二次配線21とを同一のサイズにする場合、下層絶縁層11b及び二次配線21の位置精度や、フォト工程等を用いる場合には、側壁部11bs´、側壁部11bs´´のサイズの精度を厳密に考慮する必要が生じるためである。
【0304】
なお、下層絶縁層11bを、感光性を有する材料で形成する場合は、二次配線形成領域の外周の領域を小さくすることができる。
【0305】
また、下層絶縁層11bは、ポジ型である材料(露光部が除去される材料)を使用する方が望ましい。なぜなら、上記精度をさらに向上するため、さらに第2の二次配線形成領域の外周の領域を小さくすることができ、結果的に、ウエハの彎曲を大幅に抑制することができるためである。
【0306】
但し、高周波の信号を取り扱う半導体チップにおいては、下層絶縁層11bを非常に厚く形成する必要がある。従って、この場合は、ネガ型の感光性樹脂を用いるか、或いは非感光性樹脂を用い、印刷方式或いはシートの搭載にて下層絶縁層11bを形成することも可能である。
【0307】
さらに、図6〜8に示す半導体装置1f〜1hでは、ウエハの彎曲を抑制するため、下層絶縁層11bを形成する領域を、二次配線21のパッド部21aとランド部21cを除く配線部21bが形成される領域のみとしている。これは、半導体チップ7(半導体チップ8、半導体チップ9)の電子回路と信号の経路とが略平行となる配線部21bに、上記電磁界的干渉による影響がより大きく発生することに起因する。
【0308】
さらに、ウエハの彎曲の抑制及び上記電磁界的干渉の低減を行うためには、後に形成する二次配線21を形成する箇所に応じて、下層絶縁層11bを予め形成しておくのが望ましい。なお、二次配線21と下層絶縁層11bを設ける領域との関係は、上述した実施の形態に記載しているため、詳細な説明については省略する。
【0309】
次に、図9(c)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0310】
電気メッキにより二次配線21を形成するための準備として、例えば、Ti、Ti−W、クロム(Cr)といった、電極パッド10とのバリア効果を有する薄膜をウエハ全面に形成し、さらに二次配線21と同一の材料からなる薄膜を形成する。
【0311】
例えば、二次配線21としてCuを用いる場合、或いは二次配線21が複数層の材料からなる場合であって、当該複数層の最下層の材料がCuである場合は、二次配線21の下地として、Cuの薄膜をウエハ全面に形成するとよい。このCuの薄膜は、電気メッキを行う際に用いる通電層及び二次配線21とバリア層との密着層として機能する。
【0312】
次に、電極パッド10とのバリア効果及び密着効果を有する上記薄膜の上に、フォトレジスト41をウエハ全面に設け、第1の二次配線形成領域に側壁部41sを形成する。
【0313】
次に、図9(d)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0314】
Cuからなり、パッド部21a、配線部21b、及びランド部21cを備える二次配線21を電気メッキにより1から20μm程度の厚さで形成する。
【0315】
なお、複数層に対して電気メッキを行う場合は、フォトレジスト41の側壁部41sで囲まれた領域に連続して他の材料を電気メッキにて形成すればよい。この場合も後の工程で上層絶縁層を形成する際の被覆状態を良好にするためには、厚さを20μm以下としておくのが望ましい。なお、本実施の形態では、Cu単層の二次配線21を10μmの厚さで形成する。
【0316】
次に、図9(e)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0317】
上記工程にて形成したフォトレジスト41を、剥離液、アッシング等により除去し、不要なCu薄膜及びTi、Ti−W、Cr薄膜をエッチング等により除去する。
【0318】
最後に、図9(f)に示す半導体装置1gの製造工程について説明する。
【0319】
二次配線21の表面及び側面に被覆する上層絶縁層12を設けると共に、上層絶縁層12におけるランド部21c上に開口部12hを形成する。なお、本実施の形態では、二次配線21の保護を確実に行い、かつウエハの彎曲を抑制するため、自身が感光性を有し、かつポジ型の有機物であるPBOを使用する。
【0320】
上層絶縁層12の厚さは、二次配線21を確実に保護できる程度の厚さとなる。即ち、例えば上層絶縁層12は、二次配線21上で二次配線21の厚さの半分〜二次配線21の1.5倍程度の厚さで形成するのが望ましい。なお、これは上層絶縁層12が硬化した後の厚さであるため、硬化収縮前(即ち、スピンコート後)或いは乾燥後における上層絶縁層12の厚さは、二次配線と同程度の厚さ〜二次配線21の厚さの3倍程度となる。上層絶縁層12がこれ以上厚くすることは、二次配線21の保護効果を向上させる反面、ウエハの彎曲度合を上昇させることから、あまり好ましいとは言えない。
【0321】
また、スピンコート法により上層絶縁層12を形成する場合において上層絶縁層12の厚さを極端に薄くすると、ワニスの粘度、或いはスピン速度如何では、上層絶縁層12を二次配線21に十分に被覆することが困難となる。
【0322】
従って、本実施の形態では、ワニス状態のPBOを用いて、スピンコート法により、二次配線21上で8μm程度となる上層絶縁層12を形成する。なおこの場合、ワニス状態のPBOの粘度及びスピン回転数を適切に調節する必要がある。
【0323】
また、上層絶縁層12の形成領域は、少なくとも二次配線21の表面及び側面を被覆すればよいが、下層絶縁層との密着性を考慮すると、5μm〜200μmの領域を確保するのが望ましい。
【0324】
また、隣り合う二次配線21(配線部21b)同士が互いに影響する度合が大きな組み合わせでは、二次配線21(特に配線部21b)間に絶縁層の空隙領域を設ける必要がある。本実施の形態においては、上層絶縁層12に、陥没部12hoを形成する。
【0325】
上層絶縁層12においても、スクライブライン領域には、ウエハの彎曲及びダイシング時におけるチッピング不良の危険性を低減するために、側壁部12sを設けるのが望ましい。図2に示す半導体装置1bにおいては、ランド部21c部のみに開口部12hを形成すればよい。また、半導体装置1bにおいても、半導体チップ3のスクライブライン領域に側壁部12sをさらに形成することにより、ウエハの彎曲及びチッピングの低減が可能となるので好適である。
【0326】
なお、以上の工程の後、必要であれば液相で接続する材料、例えばハンダ等を用いてバンプを形成することにより、基板実装が容易となる。このとき上層絶縁層12により二次配線21のランド部21cに開口部12hを形成しているため、上記液相で接続する材料が配線部21b等に流出する危険性は大幅に低減される。
【0327】
また、ランド部21cにバンプを形成しない場合においても、実装基板への搭載時に用いる接続材料として、液相で接続するような材料、例えばハンダ材料を用いて接続する際にも、配線部21bへの流れ出しを防ぐことができる。
【0328】
こうして完成したウエハ状態の半導体装置1gは、スクライブラインで切断され、個別の半導体装置1gとなる。
【0329】
なお、図9(a)〜(f)では、1体の半導体装置について着目しているが、上述のとおり、複数の半導体装置をウエハ状態で製造し、最終段階で当該ウエハを分割することで、1体の半導体装置を完成させると効率が良い。また、本発明に係る半導体装置は、製造段階では、外部接続端子が上向きとなる(即ち、図9(a)〜(f)等で図示の状態)が、半導体装置の完成品は、外部接続端子が下向きとなる。
【0330】
以上の方法により完成した半導体装置は、上記電磁界的干渉及び配線遅延を抑制することが可能である。
【0331】
また、上記半導体装置を個片化する前の段階において、例えば、回路形成面の直径が8インチのケイ素からなるウエハにて作製した場合、当該ウエハの彎曲は、厚さ300μm〜150μmの場合であっても数mm以下に抑制することが可能となる。
【0332】
さらに、ダイシング工程等における、上記電気信号の搬送エラーやウエハの破損等といった不具合を低減することが可能となる。
【0333】
なお、他のサイズのウエハ、或いはケイ素以外のウエハを用いる場合においても同様に、彎曲の低減度合には差異が発生するが、彎曲の低減効果としては同様に効果を有する。また、上記回路形成面の直径が8インチのケイ素からなるウエハであっても、半導体製造プロセスの違いに応じて、彎曲の低減度合には差異が発生するが、彎曲の低減効果としては同様に効果を有する。そして、個片化された半導体装置では、電気特性が変化についても最小限に抑制することが可能である。
〔実施の形態10〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図11〜15を用いて説明する。
【0334】
図11(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1iの構成を示す平面図である。また、図11(b)は、図11(a)の11A−11B線における断面図である。
【0335】
図1(a)・(b)に示す半導体装置1aは、第1の二次配線形成領域及び当該領域の近傍領域を除く第1の二次配線未形成領域において、上層絶縁層12の陥没部12hoが形成されている構成であった。つまり、図1(a)・(b)に示す半導体装置1aでは、二次配線21が形成されている領域における半導体チップ2の回路形成面(図示しない)を基準とする高さが当該二次配線21よりも高い上層絶縁層12には、当該第1の二次配線未形成領域に陥没部12hoが形成されている。同様に、このとき下層絶縁層11a、11bは、二次配線21が形成されている領域における半導体チップ2の上記回路形成面を基準とする高さが当該二次配線21よりも低いものであると換言できる。以下では、特定の二次配線が形成されている領域における半導体チップの回路形成面を基準とする高さが、当該特定の二次配線よりも高い位置に存在する上層絶縁層、中層絶縁層(詳細については後述する)を「上方絶縁層」と総称する。また、以下では、特定の二次配線が形成されている領域における半導体チップの回路形成面を基準とする高さが、当該特定の二次配線よりも低い位置に存在する中層絶縁層、及び下層絶縁層を「下方絶縁層」と総称する。
【0336】
ここで、図11(a)・(b)に示す半導体装置1iには、二次配線21として、二次配線21X、21Yという、複数層の二次配線が形成されている。つまり、図11(a)・(b)に示す半導体装置1iには、半導体チップ2の回路形成面を基準とする高さが互いに異なる、即ち、下方絶縁層の厚さが互いに異なる、二次配線21Xと二次配線(最上位層の二次配線)21Yとが形成されている。
【0337】
なお、図11(a)・(b)に示す半導体装置1i等の、二次配線を複数層形成する構成は、二次配線を1層だけ形成する構成と比較して、以下の利点がある。
【0338】
即ち、外部接続端子としての二次配線のランド部により形成されているマトリックスの数が、56(7×7)個、64(8×8)個といった具合に増加すると、電極パッドから半導体装置の中心付近への二次配線の引き回しは、困難となる。また、当該引き回しは、当該マトリックスがフルマトリックスの方が困難であることは、言うまでもない。外部接続端子の間隔が広い場合、または、二次配線のピッチが狭く形成できる場合(なお、二次配線の形成方法等により、二次配線のピッチを狭く形成できる度合は異なる)は、当該マトリックスの増加は、それほど大きな問題でないが、いずれの場合においても、当該引き回しを容易なものとすることができる度合には限界がある。そのため、図11(a)・(b)に示す半導体装置1i等のように、複数層の二次配線を用いる方が、当該引き回しに関する制約は小さくなる。
【0339】
本実施の形態では、こうした下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線を有する半導体装置において、電磁界的干渉を抑制し、かつウエハの彎曲を抑えることができる構成について説明する。
【0340】
図11(a)・(b)に示す半導体装置1iにおいて、二次配線21Xは、下方絶縁層として下層絶縁層11a、11bを有し、上方絶縁層として中層絶縁層13を有する。なお、図11(a)・(b)には図示していないが、二次配線21Xの上方絶縁層としては、上層絶縁層12をさらに有していてもよい。
【0341】
二次配線21Yは、下方絶縁層として下層絶縁層11a、11b及び中層絶縁層13を有し、上方絶縁層として上層絶縁層12を有する。
【0342】
中層絶縁層13は、スクライブライン領域に側壁部13sを有する。この側壁部13sは、半導体チップ2上部において、側壁部11bsよりも内周側であって側壁部12sよりも外周側、或いは、側壁部11bs及び/または側壁部12sと略同位置に形成されている。但し、二次配線21X、21Yとの位置関係を考慮する必要があるため、側壁部13sは、半導体チップの縁31から5〜100μm程度隔てられた部分に設けられる。但し、中層絶縁層13は、最低限、中層絶縁層13自身の上部及び下部に設けられている複数層の二次配線であって、互いに絶縁すべき二次配線間が絶縁可能な構成であればよい。従って、例えば、中層絶縁層13を二次配線21Xの形成領域とその近傍のみであり、かつ、二次配線21Yの形成領域のみに形成する場合、側壁部13sは、半導体チップの縁31から100μmを超える程度、例えば、半導体チップの縁31から5〜500μm程度隔てられた部分に設けられる構成であってもよい。但し、この数値は、半導体チップの縁31との間隔が最短となるような側壁部13sの位置を示す数値である。即ち、二次配線21X、21Yが存在しない領域では、半導体チップ2のさらに内側に(即ち、半導体チップの縁31から遠い位置に)側壁部13sが形成される箇所、もしくは、位置によっては側壁部13s自体が存在しない箇所も存在し得る。また、中層絶縁層13は、二次配線21Yのパッド部21Ya上に、下層絶縁層11bの開口部11bhよりもサイズの大きな開口部13hが形成されている。
【0343】
上層絶縁層12は、二次配線21Yが形成されている二次配線形成領域61A、及び当該領域の近傍領域を除く領域である二次配線未形成領域61Bに、陥没部12hoを有する。また、図11(b)に示すとおり、上層絶縁層12は、二次配線21Yのパッド部21Ya上に開口部12h´が形成されてもよい。
【0344】
二次配線21Xは、ランド部21Xcを除く略全域が中層絶縁層13に被覆されており、二次配線21Yとの交差部分においてはさらに、上層絶縁層12に被覆されている。
【0345】
図11(a)・(b)に示す半導体装置1iでは、二次配線未形成領域61Bに、上層絶縁層12の陥没部12hoが形成されている。これにより、二次配線未形成領域61Bにおける少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層の総厚は、下層絶縁層11a、11b及び中層絶縁層13の総厚となる。一方、二次配線形成領域61Aにおける下方絶縁層と上方絶縁層との総厚は、下層絶縁層11a、11b、中層絶縁層13、及び上層絶縁層12の総厚となる。そして、二次配線未形成領域61Bにおける少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層の総厚は、二次配線形成領域61Aにおける下方絶縁層と上方絶縁層との総厚未満の厚さとなる。また、陥没部12hoは、特定の二次配線21Yと、それと隣り合う二次配線21Y間に形成されている。従って、隣り合う二次配線21Y間に存在する領域の誘電率を低下させることにより、寄生容量の増大を抑制できるため、配線遅延を抑制することができる。
【0346】
一方、二次配線21Xは、二次配線21Xが形成される二次配線形成領域61Cと当該領域の近傍領域とを除く二次配線未形成領域61Dにおいて、以下の関係を有する。即ち、二次配線形成領域61C及び二次配線未形成領域61Dにおける絶縁層は、二次配線未形成領域61Bにおける絶縁層と概ね同一の総厚を有する。これは、隣り合う複数の二次配線21Xが近接していない場合、もしくは相互に及ぼす影響が小さい組み合わせである場合は、当該二次配線21X間における空隙(即ち、陥没部)を省略しても、発生する不具合は少ないためである。なお、「相互に及ぼす影響が小さい組み合わせ」とは例えば、微小電流を処理する端子が含まれない、もしくは高周波信号を処理しない、隣り合う複数の二次配線21Xの組み合わせが挙げられる。
【0347】
下層絶縁層11bは、5μmのポリイミドで形成されている。本実施の形態において、下層絶縁層11bは、スクライブライン領域に側壁部11bsを有し、電極パッド10上に開口部11bhを有する構成でさえあればよいため、パターン精度を高精度とする必要はない。従って、下層絶縁層11bを形成する材料としては、非感光性の材料が用いられてもよい。但し、下層絶縁層11bを形成する材料としては、当然ながら感光性の材料が用いられてもよく、PBO等の他の樹脂であってもよい。
【0348】
その他の構成は、図1(a)・(b)に示す半導体装置1aと同様である。
【0349】
上記の構成によれば、下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線を有する半導体装置においても、上述した実施に形態と同様の効果が得られる。
【0350】
図12(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1jの構成を示す平面図である。また、図12(b)は、図12(a)の12A−12B線における断面図である。
【0351】
図11(a)・(b)に示す半導体装置1iは、二次配線未形成領域61Dにおける絶縁層と、二次配線形成領域61Cにおける絶縁層とが、概ね同一の総厚を有する構成であった。
【0352】
図12(a)・(b)に示す半導体装置1jは、二次配線未形成領域61Dに、上層絶縁層12の陥没部14を有する構成である。隣り合う複数の二次配線21Xが近接しており、かつ相互に及ぼす影響が大きい組み合わせである場合は、こうした構成により、発生する不具合を低減することができる。なお、「相互に及ぼす影響が大きい組み合わせ」とは例えば、微小電流を処理する端子が含まれる、もしくは高周波信号を処理する、隣り合う複数の二次配線21Xの組み合わせが挙げられる。
【0353】
なお、図12(a)・(b)に示す半導体装置1jでは、上層絶縁層12の陥没部14のかわりに、中層絶縁層13により形成されると共に、陥没部14と同一の形状を有する陥没部(図示しない)が形成されている構成であってもよい。
【0354】
その他の構成は図11(a)・(b)に示す半導体装置1iと同様である。
【0355】
この場合は、図11(a)・(b)に示す半導体装置1iと比較して、ウエハの彎曲の低減効果はさらに向上する。
【0356】
図13(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1kの構成を示す平面図である。また、図13(b)は、図13(a)の13A−13B線における断面図である。
【0357】
図13(a)・(b)に示す半導体装置1kは、図12(a)・(b)に示す半導体装置1jの構成において、陥没部12hoに加えて、側壁部13s´が中層絶縁層13に形成されている。
【0358】
即ち、図13(a)・(b)に示す半導体装置1kは、図12(a)、(b)に示す半導体装置1jの構成において、図3(a)、(b)に示す半導体装置1cにおける側壁部11bs´に対応する形状を有する中層絶縁層13の側壁部13s´が形成されている構成を適用したものであると解釈することができる。
【0359】
なお、図13(b)に示す断面図では、側壁部12sが、側壁部13sよりも、半導体チップ2の縁31に近接しているが、これに限定されず、側壁部12sは、側壁部13sよりも、半導体チップ2の中央部分に近接していてもよい。ただし、スクライブライン付近の側壁部12s、13sの位置関係のみに限って述べると、ウエハの彎曲を低減する効果は、図12(b)のごとく、側壁部12sが、側壁部13sよりも、半導体チップ2の中央部分に近接する方がよい。
【0360】
これにより、図12(a)・(b)に示す半導体装置1jに比べてさらにウエハの彎曲の低減効果が向上する。
【0361】
図14(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1lの構成を示す平面図である。また、図14(b)は、図14(a)の14A−14B線における断面図である。
【0362】
図11に示す半導体装置1iでは、二次配線未形成領域61Bにおいて、上層絶縁層12の陥没部12hoが形成されている構成であった。
【0363】
一方、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lは、陥没部12hoの代わりに、側壁部13s´が二次配線21Yの下方絶縁層である中層絶縁層13に形成されている。なお、本実施の形態において、中層絶縁層13は、10μmのPBOで形成されている。
【0364】
そして側壁部13s´は、二次配線形成領域61Aから0μm〜200μm程度隔てた位置に形成されている。
【0365】
また、所定の二次配線21Yを基準位置にすると、当該所定の二次配線21Yの隣の二次配線21Yまでの距離が、側壁部13s´よりも長くなる領域(即ち、「二次配線21Yと側壁部13s´との間の距離」<「二次配線21Yと特定箇所との間の距離」となる領域)では、中層絶縁層13が完全に除去されている。
【0366】
即ち、所定の二次配線21Yに対して、側壁部13s´より外側の領域は二次配線未形成領域62Bとなり、この二次配線未形成領域62Bでは中層絶縁層13が完全に除去されている。
【0367】
即ち、本実施の形態においては、側壁部13s´が形成されていることにより、少なくとも二次配線形成領域61Aを除く二次配線未形成領域62Bの略全域において中層絶縁層13が除去されている。
【0368】
なお、側壁部13s´を極力二次配線21Yに近接させるためには、中層絶縁層13が、感光性の材料を用いて形成されているのが好ましい。
【0369】
また、ウエハの彎曲に対する影響を第1に考慮する場合、中層絶縁層13は、位置精度が良好であるポジ型の材料を用いるのが好ましい。この場合、中層絶縁層13の厚さは40μm以内であるのが好ましい。一方、上記電磁界的干渉に対する影響を第1に考慮する場合、中層絶縁層13は、厚膜形成が可能なネガ型の材料を用いるか、或いは感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成するとよい。ネガ型の材料を用いれば、100μm程度の厚さを有する中層絶縁層13を形成することができる。また、感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成する場合は、100μm以上の厚さを有する中層絶縁層13を形成することができるため、さらに好適である。なお、感光性を有する材料を用いた場合であっても、フォト工程を複数回繰り返すことにより、中層絶縁層13を厚く形成することができるが、工数が増加するため決して好ましい方法ではない。
【0370】
また、上層絶縁層12は、例えば二次配線形成領域61Aにおいては厚さ8μm、二次配線未形成領域62Bにおいては、厚さ10μmであり、二次配線未形成領域62Bにおける上層絶縁層12は、側壁部13s´及び二次配線未形成領域62Bの全域に渡り被覆されている。
【0371】
なお、二次配線形成領域61Aにおける上層絶縁層12の厚さと、二次配線未形成領域62Bにおける上層絶縁層12の厚さとが異なる理由は、下記にある。
【0372】
即ち、上層絶縁層12を、上記ワニスを用いてスピンコート法により形成する場合、二次配線形成領域61Aよりも低く形成される二次配線未形成領域62Bに樹脂量が偏る。このため、二次配線形成領域61Aの上層絶縁層12の厚さは、中層絶縁層13よりも薄い8μmとしている。
【0373】
また、二次配線未形成領域62Bには、厚さ10μmの中層絶縁層13及び厚さ10μmの二次配線21Yが形成されていない。
【0374】
また、上述のとおり、上層絶縁層12は、二次配線未形成領域62Bにおいて厚さ10μmであり、二次配線形成領域61Aにおいて厚さ8μmである。従って、上層絶縁層12が、側壁部13s´及び二次配線未形成領域62Bの全域に渡り被覆されると、二次配線未形成領域62Bの上部には、上層絶縁層12の陥没部12ho´が形成されることとなる。
【0375】
なお、陥没部12ho´の深さは、上層絶縁層12、中層絶縁層13、及び二次配線21Yの厚さ等に鑑み、適宜設定することが可能である。
【0376】
なお、スピンコート法において、二次配線形成領域61A上の上層絶縁層12と、二次配線未形成領域62B上の上層絶縁層12とを形成する場合においては、二次配線未形成領域62Bにおける上層絶縁層12の厚さが、二次配線形成領域61Aにおける中層絶縁層13の厚さ以下となるように、上層絶縁層12のワニス状態での粘度、スピン回転数等の条件を決定するとよい。
【0377】
なお、その他の構成は、図11(a)・(b)に示す半導体装置1iと同一の構成である。
【0378】
上記の構成により、二次配線形成領域61Aの絶縁層を厚くし、二次配線21Yが形成されない領域の絶縁層を薄くすることにより、二次配線21Yと半導体チップ2の電子回路部51とが重なり合う場合においても、当該二次配線21Yと当該電子回路部51との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0379】
さらに、二次配線未形成領域62Bでは、絶縁層が二次配線形成領域61Aに比べて薄く形成されている。これにより、半導体チップ2にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0380】
また、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lでは、二次配線形成領域61Aにおいて中層絶縁層13の厚さが10μmであり、二次配線未形成領域62Bにおいて、中層絶縁層13の厚さが0μm、上層絶縁層12の厚さが10μmであるため、有機物からなる絶縁層の総厚は10μmとなっている。即ち、二次配線未形成領域62Bにおける絶縁層の総厚は、二次配線形成領域61Aにおける下方絶縁層のトータルの厚さ以下となる。
【0381】
そのため、隣り合う二次配線21Y間、特に隣り合う配線部21Ybの間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0382】
なお、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lは、二次配線未形成領域62Bに中層絶縁層13が形成されていない構成であるがこれに限らない。
【0383】
即ち、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lは、少なくとも二次配線が形成されている二次配線形成領域(即ち、二次配線形成領域61A)を除く二次配線未形成領域(即ち、二次配線未形成領域62B)における絶縁層の総厚が、当該二次配線形成領域における、下方絶縁層の厚さ以下の厚さで形成されている構成であればよい。そして、当該構成を満足するのであれば、二次配線未形成領域62Bにおける下層絶縁層11bの有無は問わない。
【0384】
但し、少なくとも半導体チップ2の素子が存在する領域においては、下層絶縁層11aが形成されていることで、ある程度、外部からの物理的、化学的ダメージから保護できる。また、下層絶縁層11aのかわりに下層絶縁層11bのみが形成されている構成であってもよい。但し、酸化膜または窒化膜からなる下層絶縁層11aのみが形成されている構成では、物理的ダメージの保護は完全ではない。従って、下層絶縁層11bのような有機物からなる材料がさらに形成されている方がより安全である。また、下層絶縁層11bのかわりに、有機物からなる中層絶縁層13または有機物からなる上層絶縁層12が形成されていてもよい。二次配線未形成領域62Bについても同様に、下層絶縁層11bの有無は問わないが、半導体チップ2の素子が存在する領域においては少なくとも、下方絶縁層または上方絶縁層が形成されている必要があり、下層絶縁層11b、中層絶縁層13、上層絶縁層12等、有機物からなるいずれかの絶縁層がさらに形成されている方がより安全である。このことは、本発明に係る半導体装置のいずれにおいても同様である。
【0385】
図15(a)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1mの構成を示す平面図である。また、図15(b)は、図15(a)の15A−15B線における断面図である。
【0386】
図15(a)・(b)に示す半導体装置1mは、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lの構成に加え、下層絶縁層11bの側壁部11bs´がさらに形成されている構成である。図15(a)・(b)に示す半導体装置1mでは、下層絶縁層11bに側壁部11bs´が形成されていることにより、少なくとも二次配線21Xが形成されている二次配線形成領域61Cを除く二次配線未形成領域62Dの略全域において下層絶縁層11bが除去されている。
【0387】
図15(a)に示す半導体装置1mでは、二次配線21Xは1本であるが、二次配線21Xが2本以上形成されている場合には、隣り合う二次配線21X間、特に隣り合う配線部21Xbの間に、側壁部11bs´が形成されていることにより、寄生容量を低下させることが可能となる。本実施の形態では、二次配線21Yの間に下層絶縁層11bが存在する領域(図15(b)において一番左側に存在する二次配線21Y)を有しているが、当該領域においても下層絶縁層11bの側壁部11bs´が形成されていてもよい。これにより、陥没部12ho´における絶縁層の総厚を、より薄くすることが可能となるため、ウエハの彎曲をより抑えることができる。
【0388】
なお、その他の構成は、図14(a)・(b)に示す半導体装置1lと同一の構成である。
【0389】
上記の構成によれば、二次配線形成領域61Aの絶縁層を厚くし、二次配線21X、21Yが形成されていない領域の絶縁層を薄くすることができる。そのため、二次配線21X、21Yと半導体チップ2の電子回路部51とが重なり合う場合においても、当該二次配線21X、21Yと当該電子回路部51との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0390】
なお、複数層の二次配線を有する場合における本発明に係る半導体装置の構成は、図11〜15に示すものには限定されず、例えば、上記図1〜8に示す形態のいずれかと組み合わせてもよい。
【0391】
即ち、複数層の二次配線を有する場合における本発明に係る半導体装置の構成としては例えば、ペリフェラル状に配置されていない電極パッド10が、二次配線21Yのランド部21Yd(及び/または二次配線21Xに形成されているランド部21Ydに対応するランド部)の下部に設けられており、当該ペリフェラル状に配置されていない電極パッド10と、当該ランド部21Yd(及び/または二次配線21Xに形成されているランド部21Ydに対応するランド部)とが電気的に接続した状態で設けられている構成であってもよい(図18(a)・(b)に示す半導体装置1p参照)。即ち、本実施の形態及び後述する実施の形態に示す半導体装置は、図4に示す半導体装置1dの構成と組み合わされてもよい。
【0392】
また、本実施の形態に係る半導体装置では、半導体チップ2の特定の領域毎に、二次配線21X、21Yと電子回路部51との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さが設定されていてもよい。
【0393】
電子回路部51を有する半導体装置1i〜1mにおいては、当該電子回路部51と二次配線21X、21Yとの位置関係に応じて、上記電磁界的干渉の度合が変化する。従って、半導体チップ2の特定の領域毎に、二次配線21X、21Yと電子回路部51との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さが設定するのが好ましい。例えば、上記電磁界的干渉による影響が大きい箇所は、当該電磁界的干渉による影響が小さい箇所よりも、上記下方絶縁層を厚く形成するのが好適である。これは、後述する図16・18に係る形態における二次配線21X、21Y、及び、後述する図17に係る形態における二次配線21、21´についても同様である。
〔実施の形態11〕
本発明の別の実施の形態に係る半導体装置について、図16〜18を用いて説明する。
【0394】
図16は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1nの構成を示す断面図である。
【0395】
図16に示す半導体装置1nは、二次配線21Xの配線部21Xbが、ペリフェラル配置されている電極パッド10に電気的に接続されていると共に、配線部21Xbが半導体チップ2の中央に引き廻されている。なお、配線部21Xbは、下層絶縁層11a、11b上に形成されている。さらに、図16に示す半導体装置1nは、中層絶縁層13が配線部21Xb上に形成されており、配線部21Xb上の中層絶縁層13における所望の領域に開口部13h−2が形成されている。配線部21Xbは、開口部13h−2を通して、二次配線21Yと電気的に接続されている。
【0396】
二次配線21Yは、中層絶縁層13上に形成されており、例えば半導体チップ2の表面に対して略平行である方向において渦巻状のインダクターを形成するものである。配線部21Xb上の開口部13h−2は、渦巻状のインダクターとしての二次配線21Yにおける中心部分(当該インダクターの一端)であり、開口部13h−2では、配線部21Xbと二次配線21Yとが電気的に接続されている。当該インダクターの他端は、開口部11ah、11bh、13hを通して、電極パッド10と電気的に接続されている。
【0397】
半導体装置に実装されるインダクターは通常、アンテナ、フィルター、電力変換装置等の用途で用いられるものであり、半導体チップ外部から、当該半導体チップに外付けする形で実装基板上に接続されている、もしくは、当該半導体チップの内部に形成されている。ここで、二次配線でインダクターを形成する場合は、当該半導体チップに外付けする形で実装基板上に接続される場合と比較して実装面積を縮小できると共に、当該半導体チップの内部に形成される場合と比較してインダクターの形成領域をより大きく確保できるという利点がある。また、本発明に係る半導体装置では、インダクターとしての二次配線に空隙領域(例えば図16における陥没部12ho)を設けることで、二次配線のインダクターとしての特性を向上させることができる。
【0398】
なお、図16に係る形態では、二次配線21Yによって上記インダクターを形成する場合に、上記渦巻の中心において、二次配線21Yとペリフェラル配置の電極パッド10とを電気的に接続するため、2層の二次配線21X、21Yを用いており、二次配線21Yの一端が電極パッド10に、他端が配線部21Xbに接続されている。ただし、図示していないが、上記渦巻状のインダクターの中央部付近に、当該インダクターの他端で接続されている電極パッド10が存在する場合、二次配線21Xは省略されてもよい。
【0399】
また、後述する図17に係る形態のように、上記インダクターとしての二次配線は、一端が電極パッドに接続されるのみの構成となる場合もあり、この場合二次配線は、1層の二次配線であっても充分である。なお、この場合は、インダクターを二次配線で形成した半導体チップにおいて、電極パッドと電気的に接続する外部接続端子がインダクターを形成した二次配線とは電気的に接続されない別の二次配線に形成してもよい。この場合においても、外部接続端子を形成する二次配線とインダクターを形成する二次配線とが重なるように、2層以上の二次配線を形成してもよい。また、2個以上のインダクターを形成してもよい。
【0400】
こうして、インダクターを形成する二次配線21X、21Yは、その一端または両端で電極パッド10と電気的に接続されている。
【0401】
なお、二次配線21Yと二次配線21Xとは、二次配線21Yと配線部21Xbとの接続部分に導電性ポストを設けて電気的接続を行ってもよい。但し、ここでは、製造工程数を増大させないために、導電性ポストを設けず、中層絶縁層13の開口部13h−2を介して配線部21Xbと二次配線21Yとを接続することで、二次配線21Xと二次配線21Yとが電気的に接続する構成としている。
【0402】
なお、図16に示す半導体装置1nにおける中層絶縁層13は、二次配線21Xと二次配線21Yとの接続部分に形成された開口部13h−2、及び、スクライブライン領域に形成された側壁部13sを有しているが、その構成に限定されるわけではない。即ち、中層絶縁層13は、二次配線21Xが形成されている領域とその近傍領域のみを覆っている構成とすることで、さらにウエハの彎曲を抑えることができる。ここで、下層絶縁層11aは、無機物であるシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜であり、下層絶縁層11bは有機物からなる膜であるPBOまたはポリイミドである。配線部21Ybが単数(もしくは複数)存在する場合、配線部21Ybは、半導体チップ2の回路形成面を基準とする高さが、場所により互いに異なる構成であってもよい。また、この場合、図16に示すとおり、配線部21Ybが、絶縁層(ここでは、中層絶縁層13)を介して二次配線21Xと重なり合う(図16では、これらが交差している)構成であってもよい。
【0403】
また、図16には示していないが、本実施の形態に係る半導体装置では、半導体チップにおいてペリフェラル状に配置された電極パッド上に、二次配線のランド部が形成されている構成であってもよい。つまり、二次配線は、電極パッド上に外部出力端子としてのランド部が形成されている構成であってもよい。但し、二次配線をインダクターとして用いる場合、当該インダクターを直接外部と接続する必要がないときは、当該二次配線の外部接続端子を電極パッド上に形成する必要はない。むしろ、湿度に対する耐性を考慮すると、金属からなる二次配線は、露出させない構成とするほうがよい。このことは、対象となる二次配線が、最上位層の二次配線であるか否かに関わらず、同様のことが言える。
【0404】
上記の構成によれば、半導体チップ2の中央部において、二次配線21Xまたは二次配線21Yを用いて、インダクター等の部品を形成することが可能となる。これは、二次配線を複数層(二次配線21X、21Y)有することで、二次配線21Xまたは二次配線21Yを用いた上記インダクターの両端を共にペリフェラル状に配置された電極パッド10に電気的に接続する場合に、当該渦巻の中心に位置する二次配線の終端を電極パッド10に接続することが可能となるためである。
【0405】
例えばインダクターを設ける場合、例えば図16に示すとおり、二次配線21Y間に陥没部12hoを形成し、隣り合う二次配線21Y間の誘電率を低下させることにより、電気特性は向上する。なお、図16に示す半導体装置1nでは、陥没部12hoにより、二次配線21Y間に空隙領域を形成しているがこれに限らず、当該空隙領域としては、当然ながら中層絶縁層13の側壁部13s´(図14(b)参照)が形成されている構成を採用してもよいし、これらを組み合わせた構成を採用してもよい。さらには、陥没部12ho、側壁部13s´に加え、下層絶縁層11bの側壁部11bs´(図15(b)参照)が形成されている構成を採用してもよい。
【0406】
この場合においても、二次配線未形成領域61Bにおける、下層絶縁層を含む絶縁層は、二次配線形成領域61Aにおける、下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さで形成されている。そのため、上記電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができる。
【0407】
図17は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置1oの構成を示す断面図である。
【0408】
図17に示す半導体装置1oは、二次配線が二次配線21の1層により形成されている点が、図16に示す半導体装置1nの構成と異なる点である。
【0409】
上記の構成によっても、図16に示す半導体装置1nと同様に、半導体チップ2の中央部において、二次配線21を用いて、インダクター等の部品を形成することが可能となり、かつ、上記電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることができる。なお、図17に示す半導体装置1oの断面図では、2個の電極パッド10a、10bが図示されている。ここで、電極パッド10aと電気的に接続されている二次配線21は、上記渦巻状のインダクターとしての機能を有するが、電極パッド10bと電気的に接続されている二次配線21(図17の参照符号21´)は、上記渦巻状のインダクターとしての機能を有するものではない。電極パッド10bは、二次配線21´のパッド部21a´、配線部21b´により、外部接続端子としてのランド部21c´と電気的に接続されている。
【0410】
このように、渦巻状のインダクターとしての二次配線は、片側のみが電極パッドに接続される構成である場合もあり、この場合当該インダクターは、アンテナとして用いることができる。
【0411】
なお、図1〜図9、図11〜図15、図18に示す半導体装置1a〜1m、1pでは、二次配線のランド部(ランド部21c、21Xc、21Yc)を格子状かつ等間隔で配置することで、各種部品の基板への実装を容易なものとしている。但し、当該半導体装置ではもちろん、二次配線のランド部がフルマトリックスで配置されている構成には限定されず、端子が一部省略されていてもよいし、当該二次配線のランド部のかわりにダミーの端子が配置されていても良い。一方、図11に示す半導体装置1i及び図17に示す半導体装置1oにおいて、電極パッド10(電極パッド10a、10b)上にランド部を形成する構成では、電極パッド10を半導体チップ2の周辺領域にあらかじめ等間隔に形成しておくことで、外部接続端子が狭ピッチとなる場合であっても対応可能となり、各種部品の基板への実装を容易なものとすることができる。
【0412】
以上のとおり、図16、図17に示す実施の形態においても、二次配線形成領域61Aの絶縁層が厚く、二次配線未形成領域61Bの絶縁層が薄い構成である。そのため、二次配線と半導体チップの電子回路部とが重なり合う場合においても、当該二次配線と当該電子回路部との間の電磁界的干渉を抑制することができると共に、ウエハの彎曲を抑えることが可能となる。
【0413】
また、隣り合う二次配線(二次配線21、または二次配線21X、21Y)間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。そのため、隣り合う二次配線間、特に隣り合う当該各二次配線の配線部の間に、上記空隙領域を形成することにより、上記寄生容量を低下させることが可能となる。これにより、配線遅延を抑制することが可能である。
【0414】
さらに、二次配線未形成領域61Bでは、絶縁層が二次配線形成領域61Aに比べて薄く形成されている。これにより、半導体チップ2にアナログ回路を有する場合であっても、電子回路部51へ与える応力を抑制することができるため、電気特性の変化を抑制することが可能である。
【0415】
なお、図11〜図13に示す半導体装置1i〜1k、及び図16〜図18に示す半導体装置1n〜1pは、陥没部12hoに上層絶縁層12が形成されていない構成であるが、当然ながらこれに限定されない。即ち、図11〜図13に示す半導体装置1i〜1k、及び図16〜図18に示す半導体装置1n〜1pは、二次配線未形成領域61Bにおける絶縁層が、二次配線形成領域61Aにおける、下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さで形成されている構成であればよい。そして、当該構成を満足するのであれば、陥没部12hoにおける上層絶縁層12の有無は問わない。
【0416】
なお本実施の形態においても、上述したいずれかの実施の形態と同様に、下層絶縁層11aは窒化膜または酸化膜により形成されているのが好ましい。同様に、下層絶縁層11b、中層絶縁層13、及び上層絶縁層12は、有機物により、特にポリイミド、PBOにより形成されているのが好ましい。また、有機物により形成される絶縁層は、二次配線が形成されている二次配線形成領域、または、二次配線形成領域とその近傍とに形成されている必要があるが、このうち、当該領域を除く二次配線未形成領域に形成されていない絶縁層は、ポジ型の感光性樹脂により、40μm以内の厚さで形成されているのが好ましい。一方、当該二次配線未形成領域にも形成されている絶縁層は、必ずしもポジ型の感光性樹脂により形成する必要はなく、ネガ型の感光性樹脂により形成してもよいし、さらには非感光性の樹脂により形成されていてもよい。
【0417】
一方、電磁界的干渉(半導体チップの電子回路と二次配線との電磁界的干渉、及び、複数層の二次配線において上下に重なりあう二次配線同士間の電磁界的干渉)に対する影響を第1に考慮する場合は、厚膜形成が可能なネガ型の材料を用いるか、或いは感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成するとよい。ネガ型の材料を用いれば、100μm程度の厚さを有する絶縁層を形成することができる。また、感光性を有さない材料等を用いて印刷方式等により形成する場合は、100μm以上の厚さを有する絶縁層を形成することができるため、さらに好適である。なお、感光性を有する材料を用いた場合であっても、フォト工程を複数回繰り返すことにより、中層絶縁層13を厚く形成することができるが、工数が増加するため決して好ましい方法ではない。
【0418】
下層絶縁層11aの開口部11ah上に形成されている開口部11bh、12h、13hは、下層絶縁層11a上の開口部11ahよりも大きなサイズで形成されている。本実施の形態及び上述した実施の形態ではいずれも、絶縁層が複数層形成されている。そこで、電流の流れる領域を確保するため、開口部11bh、12h、13hは、形成される位置が高くなるにつれて順にサイズが大きくなるように形成した。但し、最下層の絶縁層となる下層絶縁層11aの開口部11ahが、必要電流を十分に確保できるサイズである場合は、図8に示す下層絶縁層11cの開口部11ch、図2〜図4に示す下層絶縁層11bの開口部11bhと同様に、最下層の絶縁層でない絶縁層の開口部が下層絶縁層11aの内側に形成されていることで、二次配線のカバレッジは良好となるのでさらに良い。また、図5のように、電極パッド10において半導体チップ2の中央側に絶縁層の段差部を滑らかにするための下層絶縁層11bが、開口部11ahの内側に形成されていてもよい。この場合は、図2〜図4に示す半導体装置1b〜1dと比較して、半導体ウエハの彎曲を低減できる。
【0419】
上記有機物により形成されている絶縁層である下層絶縁層11b、上層絶縁層12、中層絶縁層13は、下層絶縁層11aと同様に、スクライブライン領域に側壁部11bs、12s、13sを有している。側壁部12sは、半導体チップ2上部において、側壁部11asよりも内周側であって側壁部11bsよりも外周側、或いは、側壁部11as及び/または側壁部11bsと略同位置、或いは側壁部11bsの内周側に形成されている。この領域には、ダイシング工程におけるチッピング防止のため、少なくとも有機物からなる絶縁層が形成されていない。また、ウエハ彎曲の観点からも、線膨張係数の大きな有機物は、スクライブライン領域に存在しないほうがよい。側壁部11bs´、13s´等の、下方絶縁層の側壁部は、二次配線形成領域から0μm〜200μm程度隔てた位置に形成されている。これは、下方絶縁層を複数層有する場合においても同様である。但し、隣り合う複数の二次配線が、相互に及ぼす影響が小さい組み合わせ(例えば微小電流を処理する端子が含まれない、もしくは高周波信号を処理しない組み合わせ)である場合は、当該二次配線における側壁部を省略しても、問題は少ない。一方、二次配線の上方に存在する上方絶縁層では、二次配線の保護のため、二次配線形成領域から数μm〜200μm程度隔てて、陥没部12ho等の陥没部が形成されている。即ち、この場合、二次配線未形成領域に該当する領域は、二次配線形成領域及び当該領域から数μm〜200μm以内の領域を除く領域となる。
【0420】
なお、二次配線形成領域が十分に被覆され、かつ外部環境下における温度変化及び湿度変化等に耐え得る程度に、上記陥没部を形成する上方絶縁層と下地との密着領域が確保できるのであれば、当該密着領域は、なるべく狭く形成されているのが好ましい。言いかえれば、二次配線から上記陥没部までの距離は、なるべく短く形成されているのが好ましい。この距離は短ければ短い程、ウエハの彎曲を大きく抑制することができる。
【0421】
また、下方絶縁層と上方絶縁層との密着を確実にし、下方絶縁層と上方絶縁層とを剥離しないようにするためには、上記密着領域は、5μm以上であるのが好ましい。
【0422】
また、隣り合う二次配線(特に、二次配線の配線部)の間隔が最も狭小である部分においては、当該間隔の1/3程度の領域を、上記陥没部の領域とすることにより、隣り合う当該二次配線間に上方絶縁層の空隙部分を確実に形成することができる。例えば、当該二次配線それぞれの間隔が15μmである場合は、上記密着領域としてそれぞれ5μmを確保し、残余の5μmを上記陥没部の領域とするのが好ましい。但し、隣り合う複数の二次配線が、相互に及ぼす影響が小さい組み合わせである場合は、当該二次配線間における上記空隙を省略しても、問題は少ない。
【0423】
なお、本実施の形態、及び上述したいずれか実施の形態に係る半導体装置では、半導体チップ2の特定の領域毎に、二次配線21(または、二次配線21X、21Y)と電子回路部51との間の電磁界的干渉の度合を基に、下層絶縁層11a、11b、中層絶縁層13の厚さが設定されていてもよい。即ち、二次配線21(または、二次配線21X、21Y)と電子回路部51との間の電磁界的干渉の度合を基に、下方絶縁層(下層絶縁層11a、下層絶縁層11b,中層絶縁層13)の厚さが設定されていてもよい。
【0424】
なお、図11〜18に示す半導体装置1i〜1pの製造方法は、図9(a)〜(f)に示す半導体装置の製造方法と同様である。つまり、図11〜18に示す半導体装置1i〜1pの製造方法は、図9(a)〜(f)に示す半導体装置の製造方法において、形成する二次配線の層数分だけ、図9(c)〜(e)に示す二次配線の形成工程と、重なり合う二次配線同士を絶縁する中層絶縁層の形成工程(例えば、n層の二次配線を有する半導体装置の場合、少なくともn−1層の中層絶縁層を形成する工程)が追加される。例えば、図11に示す半導体装置1iの製造方法としては、半導体チップ2に、電極パッド10を部分的に露出させる開口部(開口部11ah、11bh、13h)を形成した下層絶縁層11a、11b、中層絶縁層13を被覆し、二次配線21X、21Yを、半導体チップ2の電極パッド10の露出部と、配線部21Xb、21Ybを除く当該二次配線21X、21Y部分(パッド部21Xa、21Ya)と、を接触させて設け、上層絶縁層12を、少なくとも二次配線21Yに被覆する。また、図11〜18に示す半導体装置1i〜1pの製造方法は、図9(a)〜(f)に示す半導体装置の製造方法において、図9(b)に示す、下層絶縁層11bを形成する工程のかわりに、中層絶縁層13を形成する工程が追加される。
【0425】
ここまで説明してきた実施の形態において、ウエハ等の基材および二次配線材料よりも線膨張係数の大きな一般的な有機物からなる絶縁層を形成する半導体装置に対し有効である。
【0426】
半導体チップのチップサイズ(ウエハ内のスクライブラインセンターの内側全域)に対し、二次配線の面積率(二次配線を複数層有する場合は、半導体チップ表面から眺めた、当該二次配線の投影面積における面積率)が、15〜70パーセントである場合においては、当該半導体チップ内の二次配線間の領域において、空隙部(上述した、開口部、側壁部、及び陥没部の少なくとも1つ)を形成する少なくとも1層の有機絶縁層の面積率は、15〜75パーセントに設定するのが好適である。これには、半導体チップとして個片化された場合における、スクライブラインセンターからダイシング時の切りしろ(図1(b)等に示している半導体チップの縁31)領域が含まれる。こうして、ウエハの彎曲の抑制効果を確実なものとすることができる。また、この手法は、スクライブラインに囲まれた領域(チップサイズ)が2mm角(4mm)以上の場合において有効である。これは、有機物からなる絶縁層はチップサイズが大きいほど、ウエハに剪断応力を与え易くウエハが彎曲するためである。また、この手法は、ウエハサイズが8インチ以上の場合にさらに有効である。これは、ウエハが大きいほど彎曲し易いためである。また、ウエハ(半導体チップ)の厚さ(ケイ素等の基材部)が300μm以下の場合に有効である。また、二次配線が形成されない二次配線間の領域には、上記空隙部を有するため、当該二次配線間には上述した各種空隙を半導体チップ上に形成することが可能となり、これにより、隣り合う二次配線間に存在する領域の誘電率を低下させることができる。
【0427】
さらに、半導体チップ内の二次配線間の領域に上記空隙部を有し、かつ有機物からなる絶縁層は、二次配線のパターン形状に沿ったパターン形状とするのが好ましい。この場合は、ウエハの彎曲を最大限に抑えることができる。また、この場合は、二次配線間に上述した各種空隙を、半導体チップ上に最大限に形成することが可能となるため、隣り合う二次配線間に存在する領域の誘電率を最大限に低下させることができる。
【0428】
なお、上述した実施の形態では、外部接続端子を等ピッチに配置することができるため、端子数の減少がなく、実装性を損なうこともない。
【0429】
本発明に係る半導体装置はいずれも、側壁部12sにより「半導体チップの縁31の全部が、上層絶縁層12の縁よりも突出している」構成となっているが、これに限定されず、「半導体チップの縁31の一部が、上層絶縁層12の縁よりも突出している」構成となっていてもよい。
【0430】
なお、「半導体チップの縁31の一部が、上層絶縁層12の縁よりも突出している」半導体装置の構成としては例えば、以下の構成が考えられる。即ち、該構成としては、ウエハから個片化される前の、隣り合う複数の半導体チップに形成された上層絶縁層同士が、半導体チップの縁の一部を跨ぐように一体形成されている構成、即ち、隣り合う複数の半導体チップにおいて、上層絶縁層が該半導体チップ間に橋渡しされるように一体形成されている構成が挙げられる。
〔実施の形態12〕
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、図19(a)〜図19(e)を用いて説明する。
【0431】
図19(a)〜図19(e)は、本発明に係る半導体装置の製造方法を示す図面であり、製造方法の例として、図2(a)、図2(b)に示す半導体装置1bの製造工程を、図2(b)と同じ面から図示した図である。
【0432】
半導体装置は、半導体チップ3において、アナログ信号を取り扱う電子回路部51(図2(a)参照)、および、電子回路部51と外部から接続される回路(図示しない)とを電気的に接続するための電極パッド10を備えている。また、半導体チップ3は、電子回路部51自体の構成要素である、もしくは、電子回路部51と他の電子回路(図示しない)との接続、または電子回路部51と電極パッド10との接続、等を行う一次配線(図示しない)を備えている。
【0433】
電極パッド10は、図示しないウエハ上において縦方向及び横方向に、規則的に配置された半導体チップ3の表面に、ペリフェラル状に配置される。
【0434】
まず、電極パッド10が形成された半導体チップ3の表面に、下層絶縁層11aを被覆する。下層絶縁層11aには、電極パッド10を部分的に露出させる開口部11ahと、スクライブライン領域周辺の側壁部11asとを形成する。下層絶縁層11a上には、下層絶縁層11bを被覆する。下層絶縁層11bには、電極パッド10を部分的に露出させる開口部11bhと、スクライブライン領域周辺の側壁部11bsとを形成する。さらに、下層絶縁層11bには、側壁部11bs´を形成する(図19(a)参照)。
【0435】
本実施の形態及び後述する実施の形態において、電子回路部51の保護の観点から、二次配線未形成領域となる領域には、少なくとも1層の下層絶縁層が必要となる。また、二次配線未形成領域となる領域では、無機物からなる下層絶縁層11a上に、下層絶縁層11b、上層絶縁層12等、有機物からなる絶縁層を形成するのが好ましい。一方、電磁界的干渉の抑制の観点から、二次配線形成領域となる領域には、下層絶縁層11b等、少なくとも1層の有機物からなる下層絶縁層が必要であり、かつ、該有機物からなる下層絶縁層は、無機物からなる下層絶縁層11a上に形成するのが好ましい。
【0436】
下層絶縁層11bは、半導体チップ3が複数配置されたウエハ状態で、スピンコート法により形成し、その乾燥後には、二次配線21が形成可能であるように、露光及び現像を行い硬化させて形成する。下層絶縁層11bにポジ型である材料を使用すると、側壁部11bs´の間隔のサイズの精度は向上するため、二次配線21の外周の領域を充分小さくすることができ、結果的に、ウエハの彎曲は大幅に抑制することができる。また、下層絶縁層11bにポジ型である材料を使用すると、開口部11bhのサイズの精度を確保するにあたっては都合がよい。
【0437】
次に、電極パッド10とのバリア効果を有する薄膜をウエハ全面に形成し、さらに二次配線21と同一の材料からなる薄膜を形成し、該薄膜の上から、フォトレジスト41をウエハ全面に形成する。フォトレジスト41には、二次配線21を形成すべき領域に側壁部41sを形成する(図19(b)参照)。
【0438】
次に、例えばCuからなり、パッド部21a、配線部21b、及びランド部21cを備える二次配線21を、電気メッキにより、1μm〜20μm程度の厚さで形成する(図19(c)参照)。次に、フォトレジスト41を、剥離液、またはアッシング等により除去し、不要なCu薄膜及びTi、Ti−W、Cr薄膜をエッチング等により除去する(図19(d)参照)。
【0439】
最後に、二次配線21の表面及び側面に被覆する上層絶縁層12を形成し、上層絶縁層12におけるランド部21c上に開口部12hを形成する。また、上層絶縁層12には、スクライブライン領域周辺の側壁部12sを形成する。さらに、上層絶縁層12は、第2の二次配線未形成領域にも被覆する。上層絶縁層12が被覆された第2の二次配線未形成領域部分には、陥没部12ho´による空隙部分が形成されることとなる(図19(e)参照)。
【0440】
上層絶縁層12の材料としては、自身が感光性を有し、かつポジ型の有機物であるPBOを使用するとよい。これにより、二次配線21の保護を確実に行い、かつウエハの彎曲を抑制することができる。
【0441】
なお、以上の工程の後、必要であれば液相で接続する材料、例えばハンダ等を用いてバンプを形成することにより、基板実装が容易となる。ランド部21cにバンプを形成せず、実装基板への搭載時に用いる接続材料として、液相で接続するような材料、例えばハンダ材料を用いて接続する場合、半導体装置1bでは、開口部12hを形成しているため、該液相で接続する材料の配線部21b等への流出を防ぐことができる。
【0442】
こうして完成したウエハ状態の半導体装置1bは、スクライブラインで切断され、個別の半導体装置1bとなる。なお、半導体装置1bの完成品は、外部出力端子が下向きとなる状態で使用される。
【0443】
以上の方法により完成した半導体装置1bでは、上記電磁界的干渉及び配線遅延を抑制することが可能である。
【0444】
また、半導体装置1bを個片化する前の段階において、例えば、回路形成面の直径が8インチのケイ素からなるウエハにて作製した場合、当該ウエハの彎曲は、厚さ300μm〜150μmの場合であっても数mm以下に抑制することが可能となる。
【0445】
さらに、ダイシング工程等における、電気信号の搬送エラー及びウエハの破損等の不具合を低減することが可能となる。
【0446】
また、ウエハの彎曲に対する影響を優先して抑制する場合、半導体チップ3におけるペリフェラル状に配置されている電極パッド10のさらに外周側の領域等については、下層絶縁層11bが形成されなくても、電磁界的干渉が及ぼす影響が小さい場合もある。なお、この場合も少なくとも1層の絶縁層を形成する場合には、電子回路部51を化学的ダメージ及び物理的ダメージから充分に保護することが可能である。
【0447】
半導体装置1bの完成品では、半導体チップの縁31(及び下層絶縁層11aの縁)が上層絶縁層12よりも突出している。また、下層絶縁層11bと二次配線21とは、上層絶縁層12により被覆される。上層絶縁層12は、下層絶縁層11aとの間において、密着領域を5μm〜200μm確保している。
〔実施の形態13〕
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、図20(a)〜図20(i)、図21(a)〜図21(i)、図22(a)〜図22(i)、及び図23(a)〜図23(i)を用いて説明する。
【0448】
図20(a)〜図20(i)は、本発明に係る半導体装置の製造方法を示す図面であり、製造方法の例として、図13(a)、図13(b)に示す半導体装置1kの製造工程を、図13(b)と同じ面から図示した図である。
【0449】
半導体装置は、半導体チップ2において、アナログ信号を取り扱う電子回路部51(図13(a)参照)、および、電子回路部51と外部から接続される回路(図示しない)とを電気的に接続するための電極パッド10を備えている。また、半導体チップ2は、電子回路部51自体の構成要素である、もしくは、電子回路部51と他の電子回路(図示しない)との接続、または電子回路部51と電極パッド10との接続、等を行う一次配線(図示しない)を備えている。
【0450】
電極パッド10は、図示しないウエハ上において縦方向及び横方向に、規則的に配置された半導体チップ2の表面に、ペリフェラル状に複数個配置する。
【0451】
複数個の電極パッド10が形成された半導体チップ2の表面に、下層絶縁層11aを被覆する。下層絶縁層11aには、電極パッド10のそれぞれを部分的に露出させる開口部11ahと、スクライブライン領域周辺の側壁部11asとを形成する。下層絶縁層11a上には、下層絶縁層11bを被覆する。下層絶縁層11bには、電極パッド10のそれぞれを部分的に露出させる開口部11bhと、スクライブライン領域周辺の側壁部11bsとを形成する(図20(a)参照)。
【0452】
なお、開口部11bhは、開口部11ah以上のサイズとする。これは、大きな電流を処理する場合に有利であるためである。半導体装置1kでは、側壁部11bs´を形成しない。これにより、後に上層絶縁層12に陥没部12hoを形成する場合においても、電子回路部51を化学的ダメージ及び物理的ダメージから充分に保護することが可能となる。
【0453】
下層絶縁層11bは、半導体チップ2が複数配置されたウエハ状態で、スピンコート法により形成し、その乾燥後には、開口部11bhと側壁部11bs外周の領域とにおいて下層絶縁層11bを除去するように、露光及び現像を行い硬化させて形成する。
【0454】
次に、電極パッド10とのバリア効果を有する薄膜をウエハ全面に形成し、さらに二次配線21Xと同一の材料からなる薄膜を形成し、該薄膜の上から、フォトレジスト41をウエハ全面に形成する。フォトレジスト41には、二次配線21Xを形成すべき領域に側壁部41sを形成する(図20(b)参照)。
【0455】
次に、例えばCuからなり、パッド部21Xa、配線部21Xb、及びランド部21Xcを備える二次配線21Xを、電気メッキにより、1μm〜20μm程度の厚さで形成する(図13(a)及び図20(c)参照)。次に、フォトレジスト41を、剥離液、またはアッシング等により除去し、不要なCu薄膜及びTi、Ti−W、Cr薄膜をエッチング等により除去する(図20(d)参照)。
【0456】
次に、二次配線21Xと後で形成する二次配線21Yとを絶縁するための、中層絶縁層13を形成する。中層絶縁層13は、二次配線21Yが形成される領域に形成し、さらに、その近傍領域に形成してもよい。中層絶縁層13には、電極パッド10のそれぞれを部分的に露出させ、かつ、下層絶縁層11bの開口部11bh以上のサイズである開口部13hと、スクライブライン領域周辺の側壁部13sとを形成する。さらに、中層絶縁層13には、側壁部13s´を形成する(図20(e)参照)。
【0457】
中層絶縁層13及び/または後に形成する上層絶縁層12は、ランド部21Xcを除く二次配線21Xに被覆される必要があるが、図示しない下地との密着性を確保すべく、ランド部21Xcを除く二次配線21Xの近傍領域に5μm〜200μmの幅でさらに被覆される必要がある。二次配線21Xと二次配線21Yとを電気的に接続する場合には、これらが重なり合う領域に中層絶縁層13の図示しない開口部をさらに形成すればよい(図13(a)参照)。なお、開口部13hは、開口部11bh以上のサイズとする。これは、大きな電流を処理する場合に有利であるためである。側壁部13sは、半導体チップ2における側壁部11asの内側または略同位置に形成する。ウエハの彎曲を抑制するためには、できる限り半導体チップ2表面における内周側に側壁部13sを形成すればよい。
【0458】
次に、図20(b)の工程と同じ要領で、二次配線21Yを形成すべき領域に側壁部41sを形成した、フォトレジスト41を、ウエハ全面に形成する(図20(f)参照)。
【0459】
次に、例えばCuからなり、パッド部21Ya、配線部21Yb、及びランド部21Ycを備える二次配線21Yを、電気メッキにより、1μm〜20μm程度の厚さで形成する(図20(g)参照)。次に、フォトレジスト41を、剥離液、またはアッシング等により除去し、不要なCu薄膜及びTi、Ti−W、Cr薄膜をエッチング等により除去する(図20(h)参照)。
【0460】
最後に、二次配線21Yの表面及び側面に被覆する上層絶縁層12を形成し、上層絶縁層12におけるランド部21Yc上に開口部12hを形成する。また、上層絶縁層12には、スクライブライン領域周辺の側壁部12sを形成する。さらに、上層絶縁層12は、二次配線21Xの表面及び側面に被覆して、ランド部21Xc上に開口部12hを形成する。さらに、上層絶縁層12には、二次配線未形成領域61B(図11(b)参照)に該当する領域に、陥没部12hoを形成する(図20(i)参照)。
【0461】
図示しない下地との密着領域を確保すべく、上層絶縁層12は、二次配線21X及びその近傍と、二次配線21Y及びその近傍とに存在するように、フォトリソグラフィにより形成する。ここでは、ウエハの彎曲の抑制とチッピング対策として、パターン精度を優先している。
【0462】
上層絶縁層12は、二次配線21Xと二次配線21Yとに被覆し、これらの外周領域において、中層絶縁層13と5μm〜200μmの幅で密着領域を確保している。上層絶縁層12を、下層絶縁層11aまたは下層絶縁層11bと密着させる場合は、下層絶縁層11aまたは下層絶縁層11bと5μm〜200μmの幅で密着領域を確保すればよい。
【0463】
ここで、図20(a)〜図20(i)で示す工程により製造された半導体装置1kは、二次配線21Xに上層絶縁層12が被覆された構成であるが、これに限らず、二次配線21Xに中層絶縁層13が被覆された構成であってもよい。
【0464】
半導体装置1kにおいて、上層絶縁層12のかわりに中層絶縁層13が、二次配線21Xに被覆された、半導体装置1k´の製造方法について、図21(a)〜図21(i)を用いて説明する。
【0465】
図21(a)〜図21(i)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図13(a)、図13(b)に示す半導体装置1kの変形例である、半導体装置1k´の製造方法を示す図である。
【0466】
図21(a)〜図21(d)、図21(f)〜図21(h)に示す工程はそれぞれ、図20(a)〜図20(d)、図20(f)〜図20(h)に示す工程と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0467】
図21(e)に示す工程では、図20(e)に示す工程において、さらに二次配線21Xに中層絶縁層13を被覆する。中層絶縁層13は、二次配線21Xの表面及び側面に被覆して、ランド部21Xc上に開口部13hoを形成する。
【0468】
一方、図21(i)に示す工程では、図20(i)に示す工程において、二次配線21Xに上層絶縁層12を被覆する工程を省略する。
【0469】
図22(a)〜図22(i)は、本発明に係る半導体装置の製造方法を示す図面であり、製造方法の例として、図15(a)、図15(b)に示す半導体装置1mの製造工程を、図15(b)と同じ面から図示した図である。
【0470】
図22(a)に示す工程では、図20(a)に示す工程において、さらに下層絶縁層11bの側壁部11bs´を形成する。
【0471】
下層絶縁層11bは、半導体チップ2が複数配置されたウエハ状態で、スピンコート法により形成し、その乾燥後には、開口部11bhと側壁部11bs外周の領域と側壁部11bs´により下層絶縁層11bを除去すべき領域とにおいて下層絶縁層11bを除去するように、露光及び現像を行い硬化させて形成する。
【0472】
図22(b)〜図22(h)に示す工程は、図20(b)〜図20(h)に示す工程と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0473】
図22(i)に示す工程では、二次配線21Yの表面及び側面に被覆する上層絶縁層12を形成し、上層絶縁層12におけるランド部21Yc上に開口部12hを形成する。上層絶縁層12はさらに、二次配線21Xの表面及び側面に被覆して、ランド部21Xc上に開口部12hを形成する。また、上層絶縁層12には、スクライブライン領域周辺の側壁部12sを形成する。さらに、上層絶縁層12が被覆された二次配線未形成領域62D部分には、陥没部12ho´による空隙部分が形成されることとなる。
【0474】
図23(a)〜図23(i)は、本発明に係る半導体装置の製造方法を示す図面であり、製造方法の例として、図18(a)、図18(b)に示す半導体装置1pの製造工程を、図18(b)と同じ面から図示した図である。
【0475】
図23(a)に示す工程では、図20(a)に示す工程において、さらに半導体チップ2上における中央付近に電極パッド10を形成する。このとき、下層絶縁層11a、11bには、該中央付近に形成された電極パッド10を部分的に露出させる開口部11ah、11bhを形成する。
【0476】
図23(b)〜図23(d)に示す工程は、図20(b)〜図20(d)に示す工程と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0477】
図23(e)に示す工程では、図20(e)に示す工程において、さらに上記中央付近に形成された電極パッド10を部分的に露出させる開口部13hを、中層絶縁層13に形成する。
【0478】
図23(f)に示す工程は、図20(f)に示す工程と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0479】
図23(g)に示す工程では、図20(g)に示す工程において、さらに上記中央付近に形成された電極パッド10上に、二次配線21Yのランド部21Ydを形成する。
【0480】
図23(h)に示す工程は、図20(h)に示す工程と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0481】
図23(i)に示す工程では、図20(i)に示す工程において、さらに上層絶縁層12には、二次配線21Yのランド部21Yd上に開口部12hを形成する。
【0482】
以上の工程の後、必要であれば液相で接続する材料を用いてバンプを形成し、スクライブラインで切断され、個別の各半導体装置となる。なお、各半導体装置の完成品は、外部出力端子が下向きとなる状態で使用される。
【0483】
以上の方法により完成した各半導体装置では、上記電磁界的干渉及び配線遅延を抑制することが可能である。
【0484】
また、各半導体装置を個片化する前の段階において、例えば、回路形成面の直径が8インチのケイ素からなるウエハにて作製した場合、当該ウエハの彎曲は、厚さ300μm〜150μmの場合であっても数mm以下に抑制することが可能となる。
【0485】
さらに、ダイシング工程等における、電気信号の搬送エラー及びウエハの破損等の不具合を低減することが可能となる。
【0486】
本実施の形態に係る下層絶縁層11bは、特にパターン精度を繊細にする必要性がないため、非感光性樹脂により形成してもよい。下層絶縁層11bに対しては、非感光性樹脂である非感光性ポリイミド樹脂を用いて、フォトレジストにてパターン形成を行ってもよい。この場合は、感光性のポリイミド、PBO等を用いる場合よりも、低コスト化が実現可能である。また、電極パッド10を確実に露出させるだけの精度が必要なこと等からも、下層絶縁層11bにおけるパターン形成は、印刷よりもフォトリソグラフィを用いた方が有利であると言える。
【0487】
本実施の形態において、ダイシング時のチッピングを防止するためには、半導体チップ2の表面において、側壁部11asの内側、または側壁部11asと略同位置に、中層絶縁層13の側壁部13sを形成すればよい。
【0488】
本実施の形態において、中層絶縁層13は、二次配線21Yの下方絶縁層であると同時に、二次配線21Xの上方絶縁層である。上層絶縁層12は、二次配線21Yの上方絶縁層である。
【0489】
また、本実施の形態において、中間絶縁層13は、二次配線21Xと二次配線21Yとが重なる領域及びその近傍のみにおける、二次配線21Xと二次配線21Yとの間に形成してもよい。このように、中層絶縁層13を二次配線21Xと二次配線21Yとの間の重なる領域およびその近傍のみに設けることで、よりいっそうのウエハの彎曲を低減することができる。
【0490】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0491】
本発明の半導体装置は、例えば、二次配線と電子回路部との間の電磁界的干渉及びウエハの彎曲が小さい小型半導体装置として好適に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0492】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、図1(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図1(b)は、同図(a)の1A−1B線における断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであり、図2(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図2(b)は、同図(a)の2A−2B線における断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであり、図3(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図3(b)は、同図(a)の3A−3B線における断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであり、図4(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図4(b)は、同図(a)の4A−4B線における断面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであり、図5(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図5(b)は、同図(a)の5A−5B線における断面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであり、図6(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図6(b)は、同図(a)の6A−6B線における断面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すものであり、図7(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図7(b)は、同図(a)の7A−7B線における断面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであり、図8(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図8(b)は、同図(a)の8A−8B線における断面図である。
【図9】図9(a)〜(f)は、本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置の製造方法を示す図であり、上記図7(a)・(b)に示す半導体装置の製造工程を、図7(b)と同一の面から見た図である。
【図10】従来の半導体装置の構成を示すものであり、図10(a)は、当該半導体装置の平面図であり、図1(b)は、同図(a)の10A−10B線における断面図である。
【図11】本発明の一実施形態を示すものであり、図11(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図11(b)は、同図(a)の11A−11B線における断面図である。
【図12】本発明の一実施形態を示すものであり、図12(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図12(b)は、同図(a)の12A−12B線における断面図である。
【図13】本発明の一実施形態を示すものであり、図13(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図13(b)は、同図(a)の13A−13B線における断面図である。
【図14】本発明の一実施形態を示すものであり、図14(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図14(b)は、同図(a)の14A−14B線における断面図である。
【図15】本発明の一実施形態を示すものであり、図15(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図15(b)は、同図(a)の15A−15B線における断面図である。
【図16】本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置の構成を示す断面図である。
【図17】本発明の一実施形態を示すものであり、半導体装置の構成を示す断面図である。
【図18】本発明の一実施形態を示すものであり、図18(a)は、半導体装置の構成を示す平面図であり、図18(b)は、同図(a)の18A−18B線における断面図である。
【図19】図19(a)〜(e)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図2(a)・(b)に示す半導体装置の製造方法を示す図である。
【図20】図20(a)〜(i)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図13(a)・(b)に示す半導体装置の製造方法を示す図である。
【図21】図21(a)〜(i)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図13(a)・(b)に示す半導体装置の変形例の製造方法を示す図である。
【図22】図22(a)〜(i)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図15(a)・(b)に示す半導体装置の製造方法を示す図である。
【図23】図23(a)〜(i)は、本発明の一実施形態を示すものであり、図18(a)・(b)に示す半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0493】
1a〜1p 半導体装置
2〜9 半導体チップ
10、10a、10b 電極パッド
11a〜11c 下層絶縁層
12 上層絶縁層
13 中層絶縁層
11ah、11bh、11ch、12h、13h、13h−2
開口部
11as、11bs、11bs´、11bs´´、11cs、13s、13s´
側壁部
12s 側壁部(上層絶縁層の縁)
12ho、12ho´、14
陥没部
21、21´、21X、21Y 二次配線
21a、21Xa、21Ya パッド部
21b、21Xb、21Yb 配線部
21c、21d、21Xc、21Yc、21Yd ランド部
31 半導体チップの縁
51 電子回路部(電子回路)
61A、61C 二次配線形成領域
61B、61D、62B、62D 二次配線未形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パッドが形成される半導体チップと、
上記半導体チップに被覆され、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を有する下層絶縁層と、
上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと導通するパッド部と、当該電極パッドと半導体装置自身の外部の回路とを導通させる外部接続端子を備えるランド部と、当該パッド部とランド部とを導通させる配線部と、を備える二次配線と、
上記二次配線に被覆され、当該二次配線の少なくとも上記ランド部の外部接続端子を露出させる開口部を有する上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、
少なくとも上記二次配線の配線部が上記下層絶縁層上に形成され、
少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、
上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記二次配線未形成領域は、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域を除く領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記二次配線未形成領域における下層絶縁層は、上記二次配線形成領域における下層絶縁層未満の厚さで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記二次配線未形成領域において、上記上層絶縁層が形成され、
上記二次配線未形成領域における下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚は、上記二次配線形成領域における下層絶縁層以下の厚さで形成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記二次配線未形成領域において、上記上層絶縁層が形成されないことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
上記電極パッドは、上記二次配線のランド部の下部に設けられ、
上記二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成される領域をさらに除く領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
上記半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下層絶縁層の厚さが設定されることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、
上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
上記上層絶縁層を設ける工程において、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上記上層絶縁層を形成することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、
上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部と、上記二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層を、上記二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部と、を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項3に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層を、上記二次配線形成領域における下層絶縁層未満の厚さとする側壁部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、
上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した下層絶縁層を被覆する工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、
上記二次配線に、上記二次配線のランド部を露出させる開口部と、上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域を除く二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚を、当該二次配線形成領域における下層絶縁層の厚さ以下の厚さとする陥没部と、を形成した上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップの上記二次配線未形成領域に側壁部を有する上記下層絶縁層を、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下層絶縁層の厚さを変化させて設ける工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と当該二次配線のパッド部とを接触させて設ける工程と、
上記上層絶縁層を上記二次配線に被覆すると共に、当該上層絶縁層に上記二次配線のランド部を露出させる開口部を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
電極パッドが形成されている半導体チップと、
上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、
自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、当該電極パッドから少なくとも上記下層絶縁層を含む下方絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線であって、当該下方絶縁層の厚さが互いに異なる複数層の二次配線と、
少なくとも上記複数層の二次配線における最上位層の二次配線の配線部に被覆されている上方絶縁層と、を備える半導体装置であって、
少なくとも上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成されている領域を除く二次配線未形成領域における、少なくとも上記下層絶縁層を含む絶縁層は、少なくとも上記最上位層の二次配線の配線部が形成されている二次配線形成領域における、上記下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さで形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上方絶縁層の縁よりも突出していることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
上記二次配線未形成領域は、上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成されている領域の近傍領域をさらに除く領域であることを特徴とする請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項18】
上記二次配線未形成領域における下層絶縁層は、上記二次配線形成領域における下方絶縁層未満の厚さで形成されていることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項19】
上記二次配線未形成領域において、上記上方絶縁層が形成されており、
上記二次配線未形成領域における少なくとも下層絶縁層及び上方絶縁層を含む絶縁層の総厚は、上記二次配線形成領域における下方絶縁層以下の厚さで形成されていることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項20】
上記二次配線未形成領域において、上記上方絶縁層が形成されていないことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項21】
上記半導体チップは、アナログ信号を取り扱う電子回路をさらに備えることを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項22】
上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さが設定されていることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置。
【請求項23】
上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に、上記上方絶縁層が被覆されており、
上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線は、自身の所定の領域が露出することで、半導体装置自身の外部と電気的に接続するためのランド部をさらに備えることを特徴とする請求項15〜22のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項24】
上記電極パッドは、上記ランド部の下部に設けられており、かつ、当該ランド部と電気的に接続されており、
上記二次配線未形成領域は、上記下部に電極パッドが設けられるランド部が形成されている領域をさらに除く領域であることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【請求項25】
請求項15〜22のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、
上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記上方絶縁層を、少なくとも上記最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
上記上方絶縁層を被覆する工程では、
少なくとも上記複数層の二次配線におけるいずれかの二次配線の配線部が形成される領域及び当該領域の近傍領域に上記上方絶縁層を形成することを特徴とする請求項25に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
上記上方絶縁層を被覆する工程では、
上記二次配線形成領域及び当該二次配線形成領域の近傍領域にのみ上記上方絶縁層を形成することを特徴とする請求項25に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、
上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層を、上記二次配線形成領域における、下方絶縁層及び上方絶縁層の総厚未満の厚さとする陥没部を形成した上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項29】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、
上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部と、上記二次配線未形成領域における下層絶縁層を、上記二次配線形成領域における下方絶縁層未満の厚さとする側壁部と、を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項30】
請求項19に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、
上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
少なくとも上記配線部を除く上記複数層の二次配線の一部と、上記各電極パッドの露出部分と、をそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記二次配線未形成領域における、下層絶縁層及び上方絶縁層を含む絶縁層の総厚を、最上位層の二次配線形成領域における、下方絶縁層以下の厚さとする陥没部と、を形成した上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項22に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップの上記二次配線未形成領域に側壁部を有する上記下方絶縁層を、上記半導体チップの特定の領域毎に、上記二次配線と上記電子回路との間の電磁界的干渉の度合を基に、上記下方絶縁層の厚さを変化させて設ける工程と、
上記複数層の二次配線の配線部を除く当該複数層の二次配線の一部を、上記半導体チップの電極パッドの露出部と接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記上方絶縁層を、少なくとも当該最上位層の二次配線に被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項23または24に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを複数個設ける工程と、
上記半導体チップに、上記各電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
上記複数層の二次配線の配線部を除く当該複数層の二次配線の一部を、上記半導体チップの各電極パッドの露出部とそれぞれ接触させると共に、当該複数層の二次配線の配線部を上記下方絶縁層上に設ける工程と、
上記上方絶縁層を、少なくとも上記最上位層の二次配線及び上記複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に被覆し、かつ、当該複数層の二次配線における少なくとも1本の二次配線に、上記ランド部を形成する工程と、含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項33】
電極パッドが形成されている半導体チップと、
上記半導体チップに被覆されており、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部が形成されている下層絶縁層と、
自身の一部が上記電極パッドの露出部と接触することで当該電極パッドと電気的に接続されており、かつ、上記下層絶縁層上に引き廻されて形成されている配線部をさらに備える二次配線と、
少なくとも上記二次配線の配線部に被覆されている上層絶縁層と、を備える半導体装置であって、
少なくとも上記二次配線の配線部が形成される領域である二次配線形成領域を除く領域である二次配線未形成領域における、少なくとも下層絶縁層を含む絶縁層は、当該二次配線形成領域における、下層絶縁層及び上層絶縁層の総厚未満の厚さで形成されており、
上記半導体チップにおける、電極パッドが形成された面が伸びている方向に関し、当該半導体チップの縁が、上記上層絶縁層の縁よりも突出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項34】
請求項33に記載の半導体装置の製造方法であって、
上記半導体チップに、上記電極パッドを部分的に露出させる開口部を形成した上記下層絶縁層を被覆する工程と、
上記二次配線を、上記半導体チップの電極パッドの露出部分と、上記配線部を除く当該二次配線の一部と、を接触させて設ける工程と、
上記二次配線に、上記上層絶縁層を被覆する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−212481(P2009−212481A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111047(P2008−111047)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】