説明

半導体装置試験用コンタクト基板

【課題】 微細な電極構造を有する被試験電子部品の試験を良好な電気接触を保持して行うことが可能な半導体装置試験用コンタクト基板を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン、アラミドを含む液晶性ポリマーもしくはポリイミドのいずれかからなる通気性のある絶縁性材料で形成され、70%から80%の開口率で空孔が設けられており、上面及び下面を有し、上面及び下面との間を貫通する複数の導電性ビアを内部に有し、被試験電子部品1を空気圧により吸着するコンタクト基板5と、複数の導電性ビアの周囲を取り囲むように被試験電子部品と接触する面から突出して配置され、被試験電子部品1の熱膨張係数とコンタクト基板5全体の熱膨張係数との差に起因するコンタクト基板5の熱膨張を抑制する変形抑制部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の試験技術に係り、特にバーンインなどの半導体装置の信頼性試験等に使用される半導体装置試験用コンタクト基板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、その開発過程や量産工程において、試作、製造された状態で、その製品寿命を試験する必要があり、通常種々の環境下に半導体装置を置いて、その信頼性試験を行っている。一般的な半導体テスト工程は、電気回路を構成する半導体素子が形成された半導体ウエハの電気特性試験をまず行い、半導体チップの良/不良を選別する。次に、ダイシングを行い、ウエハをチップごとに分離する。次に、パッケージ状態に組み立てを行う。次に、電気特性試験を行い、パッケージの良/不良を選別する。次に、バーンイン試験(高温バイアス試験)を行い、信頼性スクリーニングを行う。このバーンイン試験は、トランジスタのゲート酸化膜破壊や半導体素子の配線の断線やショートといった初期不良をふるいおとすために100数十℃で、数十から100数十時間程度の期間実施される。
【0003】
次に、最終検査として電気特性試験を行う。従来の半導体装置の信頼性試験では、長時間を要するものは、半導体チップをパッケージにアッセンブリを行って試験を実行していた。一般的な半導体テスト工程では、信頼性のないチップの組み立てコストが問題となる。特に、MCM(Multi Chip Module)のようにひとつのパッケージの中に多数のチップが搭載される場合や、COB(Chip On Board)のベアダイを供給するためには、KGD(Known Good Die)技術が必要となり、組み立て工程の前にバーンイン試験を実施することが好ましい。
【0004】
これに対し、チップレベルのバーンイン試験としては、ダイシングされたチップごとに仮のパッケージに収めて、バーンイン試験を行うこともできる。しかし、この方法では、KGDのためにコストや工程数、工程時間が増加する問題がある。
【0005】
そこで、ウエハレベルのバーンイン試験が提案されている。特開平10−284556号公報などに記載されているように、ウエハレベルのバーンイン試験では、土台の上に電極が形成された素子面を上にしてウエハが保持されて、このウエハに設けられた電極と相対する位置に突起電極を持つ多層のシートと、この電極と相対する位置に導電性を持つ柔軟な部材と、テスト回路への配線が形成された高い平坦性を持つバーンイン基材ユニットと、圧力を加える機構とを有したバーンイン装置が用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような従来の半導体試験装置においては、以下の課題が生じる。ウエハレベルバーンイン試験では、ウエハに設けられた電極バンプの高さバラツキを包有するためには大きな圧力をかける必要があり、特に薄いウエハの場合に部分的に負荷がかかりウエハが欠ける、割れるなどの危険性がある。また多層のシートでは電極に対して、100μmの細かいピッチ、50μmの長さの電極で導電体部を設けているが、電極間の狭ピッチ化、電極サイズの縮小化が進んだ場合に十分な接触面積が得られないことが考えられる。
【0007】
特に、被試験電子部品であるウエハの電極に凹凸があったり、ウエハ自体がその自重で、ゆがんでいたりすると、たとえ強い圧力でウエハをコンタクト基板に圧縮したとしてもウエハの電極ごとにそのコンタクト基板の電極への接触面積が大きく異なり、安定した試験結果を得ることができなくなってしまう。このときウエハ上のすべての電極を一括して接触させるためには従来のバーンイン装置の構造では、ウエハに局所的な荷重をかけるのを避けるために基材ユニットに厳しい平坦性が要求される。さらに、基材とウエハとの熱膨張率の差による電極間位置ずれや機械的応力を緩和するために多層のシートと部材の2つの構成要素を必要とし、基本的にこれらの構成要素は消耗品であるために部材のコストが大きくなる。
【0008】
本発明は、微細な電極構造を有する被試験電子部品の試験を良好な電気接触を保持して行うことが可能な半導体装置試験用コンタクト基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様によれば、ポリテトラフルオロエチレン、アラミドを含む液晶性ポリマーもしくはポリイミドのいずれかからなる通気性のある絶縁性材料で形成され、絶縁性材料に70%から80%の開口率で空孔が設けられており、上面及び下面を有し、上面及び下面との間を接続する複数の導電性ビアを有し、被試験電子部品を空孔を介して吸着するコンタクト基板と、被試験電子部品を吸着する面において導電性ビアが露出する領域以外の領域に導電性ビアを取り囲むように突出して配置され、被試験電子部品の熱膨張係数とコンタクト基板全体の熱膨張係数との差に起因するコンタクト基板の熱膨張を抑制する変形抑制部とを備える半導体装置試験用コンタクト基板が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微細な電極構造を有する被試験電子部品の試験を良好な電気接触を保持して行うことが可能な半導体装置試験用コンタクト基板を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体試験装置、半導体装置試験用コンタクト基板を図1乃至図3を用いて説明する。図1に第1の実施の形態の半導体試験装置の断面図を示す。テストの対象となる被試験電子部品である半導体ウエハ1には多数の電極2がウエハ素子面3の表面上に設けられている。この半導体ウエハ1のウエハ素子面3の反対面がウエハ裏面4となっている。この半導体ウエハ1下には、コンタクト基板(コンタクトシート)5が設けられている。このコンタクト基板5は上面と下面を有し、コンタクト基板5の上面と下面とにわたって設けられたビア6は半導体ウエハ1の電極2にそれぞれ電気的かつ、機械的に接続されている。
【0012】
コンタクト基板5には被試験電子部品の半導体ウエハ1の電極2と同一位置にビア6が設けられている。すなわち、半導体ウエハの電極2と相対する位置にビア6が設けられている。
【0013】
コンタクト基板5の下方には多層配線基板7が設けられている。この多層配線基板7にはその表面及び内部に配線10が設けられて、コンタクト基板5のビア6に電気的に接続されている。コンタクト基板5のビア6と相対する位置に電極端子8が多層配線基板7の上表面上に設けられている。この電極端子8が設けられていない部分に多層配線基板7の上面から下面へ通じる貫通孔9が設けられている。電極端子8は配線10を介して、テスト信号配線12によってテスタ13へ接続されている。この多層配線基板7内には、複数の層構造となった配線10が設けられ、配線10は、多層配線基板7内を上下に貫いて設けられた上下配線35と1対1で接続されている。この上下配線35は、接続される配線10の位置に併せて、その長さが設定されている。
【0014】
そして、半導体ウエハ1、コンタクト基板5、及び多層配線基板7は吸着機構11によって、固定されている。すなわち、これらの構成要素はコンタクト基板5を通過する吸着力と、多層配線基板7の上下面を貫通する貫通孔9を介した吸着保持力によって固定されている。すなわち、この吸着力は図1中で下向きの矢印として示されている。そして、外囲器14によって、半導体ウエハ1、コンタクト基板5、多層配線基板7、吸着機構11が囲まれている。この半導体試験装置がバーンイン装置である場合には、外囲器14には、被試験電子部品を所望のバーンイン温度に上げるために被試験電子部品に熱を供給する雰囲気の加熱用エレメント(図示せず)が収められている。もしくは、半導体ウエハの発熱などの吸熱機構(図示せず)や半導体ウエハの発熱などの放熱機構(図示せず)が設けられている。
【0015】
また、吸着機構11には、多層配線基板7を搭載するステージを金属の箱として構成し、多層配線基板7の受け部分に穴や溝を設けて多層配線基板7を吸着する。別の例として、多孔質セラミックの板を多層配線基板7の受け部分に設置して、多層配線基板7を吸着する。
【0016】
この半導体試験装置の外囲器内部の構造を示す上面図が図2に示される。ここでは、半導体ウエハ1の電極2を透視して示している。すなわち、図1の断面図に示されるように半導体ウエハ1の電極2は、コンタクト基板5の上面に対向して設けられていて、実際には上面からは見ることはできない。半導体ウエハの電極2は複数設けられた半導体チップ20ごとに同一個数、同一配置で設けられている。コンタクト基板5の下には、多層配線基板7が設けられている。ここで、コンタクト基板5は図示された円盤状の形状以外に四角形であってもよく、被試験電子部品の電極と一致して、ビアが配置されていれば、その外形は取り扱い易い形状としてよい。
【0017】
次に、コンタクト基板5の構造を図3を用いて説明する。コンタクト基板5の断面を示す図3(A)では、複数のビア6の間に上下面を貫く貫通孔25が設けられている様子が示される。図3(A)の一部分Xの拡大図である図3(B)に断面図として示されるように網目状の不規則構造の多孔質体のシート基材26で、コンタクト基板5は形成されている。このシート基材26には、多数の空孔27が設けられている。この空孔27は、この断面だけでなく、シート基材26全体にわたって設けられている。
【0018】
ここで、ビア部28には、空孔27内に導電性金属、例えば銅が充填されているビア6が形成されている。この空孔27は互いに接するように形成されている部分が有り、そこでは、コンタクト基板5の上面から下面に至るビア6が形成されている。コンタクト基板5のシート基材にはPTFE(Polytetrafluoroethylene:ポリテトラフルオロエチレン)やポリイミドもしくはアラミドを含む液晶性ポリマーなどの絶縁性の多孔質(網目状)シートを使用することで、非常に良好な吸着力を得られる。これは多孔質シートの通気性がよいことに加え、その弾性によりコンタクト基板5及び半導体ウエハ1の表面の凹凸を吸収することができるからである。
【0019】
このコンタクト基板5には例えば、70%から80%の開口率で空孔が設けられているので、コンタクト基板5の上面と下面間で、十分な気圧の伝達が可能である。またバーンイン加熱時にもビア6以外のシート部がたわむことで、半導体ウエハ1との熱膨張率の差を吸収し、電極2間の位置ずれを起こさないといった効果が期待される。
【0020】
ここで、銅を配線やビア材料として用いるのはその抵抗率がきわめて小さいからであり、他の抵抗率が小さい導電材料を銅に代えて使用することも可能である。この多孔質のシート基材26をコンタクト基板5として用いることで、ビア6を形成するためにビア部28に開口を設ける工程は不要となる。ここで、ビア形状としては、円形、長方形、円錐形、台形など任意の形状とすることができる。なお、コンタクト基板としては、多孔質シートの代わりに貫通孔を多数設けて、開口率の高いシートを用いることも可能である。また、図3(B)に示されるような空孔が多数設けられて、吸着できる状態となっているコンタクト基板の場合、貫通孔を設けなくてもよい。なお、コンタクト基板の汎用性を持たせるために被試験電子部品の電極数以上にビアを設けて、複数種類の被試験電子部品に使用できるようにしてもよい。
【0021】
また、多層配線基板7に設けられた貫通孔9はコンタクト基板5の貫通孔25と同一位置に設けられることが気体の流動にとって好適である。このような多層配線基板7は配線として使用される配線部分以外に多数設けられた開口部から気体が通過することで、気圧をその上下間で伝達することができる構造であればよい。被試験電子部品に高温をかけて、電気特性を試験するバーンイン試験を行うための吸着機構の吸着力は、被試験電子部品をコンタクト基板に密着させるとともにコンタクト基板を多層配線基板に密着させ、かつ、電流をテスト回路から被試験電子部品のテスト信号入出力端子に小抵抗で流すことができる程度の接触面積を得るに十分であればよい。
【0022】
第1の実施の形態によれば、被試験電子部品の電極数が多い場合でも、コンタクト基板の下に配線基板を設けて、必要なビア及び配線を実現し、吸着力により全面を均一な圧力で被試験電子部品の電極をコンタクト基板の電極に接触させて、被試験電子部品が大きい場合でも安定した試験結果を得ることができる。
【0023】
このように、半導体試験装置において、半導体ウエハとテスト回路の間の電気的接続に使用されるコンタクト基板を多孔質体とし、コンタクト基板を受けるステージに吸着機構を設けることで、半導体ウエハやコンタクト基板への加圧制御がなくても半導体ウエハの電極とコンタクト基板のバンプ間に均一な荷重をかけることができ、安定した電気的接触を得ることが容易となる。
【0024】
特に、第1の実施の形態では、半導体ウエハの電極とコンタクト基板のバンプを接触させるときに吸着力を利用しているので、半導体ウエハ全面の電極に均一な力をかけることが可能となる。こうして、半導体ウエハ上の電極に均等な荷重をかけることができ、より薄く、サイズの大きい半導体ウエハの場合にも、半導体ウエハに過剰な負荷を与えずに電極、バンプ間を接触させることができる。またコンタクト基板が多孔質体であるため、コンタクト基板全面から吸着することが可能となり、特に電極数が大きい場合にも十分な接触を得ることができる。
【0025】
第1の実施の形態において、テストされる被試験電子部品は半導体ウエハに限らず、半導体チップ、パッケージに搭載された半導体装置などの電子部品であっても構わない。
【0026】
このように、第1の実施の形態によれば、被試験電子部品である半導体ウエハの電極に凹凸があったり、半導体ウエハ自体がその自重で、ゆがんでいたりしても、半導体ウエハの電極が形成された面の全体にわたって均一な吸着力で半導体ウエハをコンタクト基板に圧縮しているので、半導体ウエハの電極ごとにコンタクト基板のバンプへの接触面積が異なることを防止でき、安定した試験結果を得ることができる。
【0027】
また、従来のウエハレベルでのバーンイン試験装置と比べて、テストにおける製造工程数、試験装置の部品材料数を削減できる。
【0028】
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態の変形例では、図4に示されるような構造の半導体試験装置を提供する。ここでは、コンタクト基板の構造が第1の実施の形態と異なっていて、かつ、多層配線基板を用いていないが、それ以外では第1の実施の形態と同様の構造を有している。このコンタクト基板29は上面と下面を有し、コンタクト基板29の上面と下面には、配線30が設けられている。この配線30に1対1で接続されるビア31がコンタクト基板29の上面と下面とにわたって設けられている。なお、ビア31のうち、コンタクト基板29の上面だけに配置され、下面にまで貫通して設けられていない電極ビア33が存在しても良い。このコンタクト基板29の上面だけに設けられた電極ビア33は、コンタクト基板29の上面に設けられた配線30に接続されている。各ビア31及び電極ビア33は半導体ウエハ1の電極2にそれぞれ電気的かつ、機械的に接続されている。すなわち、コンタクト基板29には被試験電子部品の半導体ウエハ1の電極2と同一位置に、相対してビア31が設けられている。
【0029】
この配線30は、テスト信号配線12によってテスタ13へ接続されている。半導体ウエハ1とコンタクト基板29は吸着機構11によって、コンタクト基板29の上下面を貫通する貫通孔又は多孔質体で構成された場合には、多孔質体内の空孔を介した吸着保持力によって固定されている。なお、本変形例においてもコンタクト基板29を多孔質体で構成した場合、コンタクト基板29内の空孔に銅が埋め込まれてビア31が形成される。
【0030】
このように、被試験電子部品の電極数が比較的少ない場合や、被試験電子部品の電極間の間隔が大きい場合、第1の実施の形態の変形例のようにコンタクト基板29の上下に配線を引き回して、テスト信号配線12へ接続させることが可能となる。この場合、第1の実施の形態のように多層配線基板が不要となり、半導体試験装置の部品数を減らすことが可能となる。
【0031】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る半導体試験装置及び半導体装置試験用コンタクト基板を図5乃至図7を用いて説明する。図5において、被試験電子部品である半導体ウエハ50の一部の断面を示す。半導体ウエハ50の下面には、複数の電極51と高荷重電極52とが設けられている。高荷重電極52は他の電極51に比べてその表面に大きい荷重が与えられている。この高荷重電極52はその高さが他の電極51よりも高い場合や、被試験電子部品がゆがみなどで、高荷重電極52周辺が突出した場合などに生じる。このような高荷重電極が存在する半導体ウエハに第1の実施の形態のコンタクト基板を適用して試験を行った場合、高荷重電極への衝撃や、他の電極とコンタクト基板のビアとの接続不良が生じる恐れがある。
【0032】
このような高荷重電極を有する被試験電子部品を試験する場合に、第2の実施の形態では、図6に断面が示されるようなコンタクト基板を使用する。テストの対象となる被試験電子部品である半導体ウエハ50下には、コンタクト基板53が設けられている。このコンタクト基板53は上面と下面を有していて、上面と下面とにわたって設けられたビア55は半導体ウエハ50の電極51にそれぞれ電気的かつ、機械的に接続されている。このビア55は円筒形状の中空形状となっている。また、高荷重電極52下にはその形状が他のビア55よりも圧縮された圧縮ビア56が電気的かつ機械的に接続されている。
【0033】
このビア55及び圧縮ビア56はコンタクト基板53の下面若しくは上面に形成された配線30に電気的に接続されている。コンタクト基板53は被試験電子部品の半導体ウエハ50の電極51と同一位置にビア55が設けられている。半導体ウエハ50及びコンタクト基板53は吸着機構58によって、コンタクト基板53の上下面を貫通する貫通孔59及び配線30周囲の貫通孔49を介した吸着保持力によって固定されている。この吸着力は図6中で下向きの矢印として示されている。これらの半導体ウエハ50、電極51、及び吸着機構58は図示しない外囲器内に収納されている。
【0034】
次に、第2の実施の形態で用いられるビアの形状を断面図である図6及び図7を用いて説明する。図6に示されるようにコンタクト基板53に形成されたビア55はコンタクト基板53の多孔質部分にめっきで銅を充填した状態になっている。このビア55が中空になっていることで、ビア55自体が圧縮可能なスプリングのような役割を果たし、応力がかかるとビアはへこみやすくなる。こうして、半導体ウエハ50の電極51及びコンタクト基板53のビア55への応力や衝撃を緩和することができる。
【0035】
ビアが中空の場合、ビアの形状としては円筒形状以外に、図7(A)に示されるように、円筒の側面を一部切り欠いた形状であってもよい。すなわち、上下に接触面60を設け、接触面60同士は連結面61で接続され、連結面61の一部には、空洞62が設けられている。
【0036】
また、図7(B)に示されるように四角柱の側面を一部切り欠いた形状であってもよい。すなわち、上下に接触面63を設け、接触面63同士は連結面64で接続され、連結面64の一部には、空洞65が設けられている。
【0037】
また、図7(C)に示されるように図7(B)に示される四角柱の側面を一部切り欠いた形状であって、連結面64の一部にさらにスリット66が設けられていてもよい。
【0038】
さらには、図7(D)に示されるようにめっきの網目状構造であってもよい。すなわち、上下に接触面67を設け、接触面67同士は糸状の連結体68で接続され、連結体68内部には、空洞が設けられている。
【0039】
また、図7(E)に示されるように連結体69がスプリング状になって、上面と下面の接触面67同士を接続する形状であってもよい。
【0040】
さらに、図7(F)に示されるように上面の接触面67と下面の接触面67とが上下方向にずれていて、その間を連結面64がS字状に部分的に接続する形状であってもよい。
【0041】
さらに、図7(G)に示されるように上面の接触面67と下面の接触面67とを柱状の連結面64で部分的に接続する形状であってもよい。
【0042】
このように構成されたコンタクト基板を、第2の実施の形態の半導体装置試験装置に用いることで、第1の実施の形態同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、第2の実施の形態に係るコンタクト基板は、図1に示されたような吸着機構を備えた半導体試験装置に適用できるが、コンタクト基板をステージの上に置いて、吸着機構を備えない型の半導体試験装置に対しても適用できる。
【0044】
さらに、第2の実施の形態の半導体装置試験用コンタクト基板によれば、コンタクト基板の弾性やビア形状を工夫してウエハ電極への応力緩和効果を得ることができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の半導体装置試験用コンタクト基板を図8を用いて説明する。第1の実施の形態において用いられるコンタクト基板の材料として考えられるPTFEやポリイミドは半導体ウエハと比べて熱膨張率が非常に大きい。バーンインテスト時には、半導体ウエハからの発熱などで半導体試験装置内雰囲気が125℃にも達するため、コンタクト基板が変形し、電極間の位置ずれが憂慮される。このような課題を解決するために第3の実施の形態では、図8に示されるようにコンタクト基板40の半導体ウエハとの接触面側に部分的にNiなどの熱膨張率の低い材料をめっきして変形抑制部41を形成している。この変形抑制部41は、ビア42が形成されている領域以外に設けられることで、半導体ウエハとコンタクト基板との接続には支障がない。
【0046】
この変形抑制部41を設けることでコンタクト基板40の熱膨張を抑え、電気的接続を維持することができる。ここで、図8においては、コンタクト基板40は方形としているが、他の形状でも構わない。なお、コンタクト基板は被試験電子部品の全体形状に合わせて構成されていることが好ましい。
【0047】
このコンタクト基板の断面構造を図9を用いて説明する。図9(A)に示される例では、コンタクト基板40の上下面を貫いて、変形抑制部41が設けられ、その変形抑制部41間には、複数のビア42がコンタクト基板40の上下面を貫いて、設けられている。また、図9(B)に示されるように、変形抑制部41はコンタクト基板40の上面及び下面の表面上だけに形成されていてもよい。
【0048】
次に、コンタクト基板40の変形抑制部41はその形状は図8に示される碁盤割形状に限られるものではなく、一体で相互に接続された形状であれば図9(C)に示されるような変形抑制部41が方眼状にビア42を取り囲むように形成されていたり、図9(D)に示されるように波状に構成されていてもよく、さらには、図9(E)に示されるように鎖状構造となっていても構わない。すなわち、数個のビアごとにその周囲を取り囲むようにして、複数の変形抑制部を設けて互いに接続するようにしてもよい。このように変形抑制部の密度を大きくすることで、コンタクト基板の変形を抑制する効果が強化される。
【0049】
ここで、コンタクト基板上に形成される変形抑制部は、試験の対象となる電子部品の熱膨張係数に対して、コンタクト基板全体の熱膨張係数が±6ppm/K以下となるように熱膨張を抑制する材料で形成することが、コンタクト基板の変形を抑制する上で好ましい。変形抑制部は、ウエハの熱膨張率に合わせてコンタクト基板に熱膨張率の低い金属めっき、又は樹脂含浸を行うことで形成できる。
【0050】
また、変形抑制部を構成する材料は、Ni以外のCu、Au、Snなどの金属であってもよい。
【0051】
さらに、変形抑制部を構成する材料は、Niに代えて樹脂類、例えば、エポキシ樹脂や、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、PEEK樹脂、ブタジエン樹脂等プリント配線基板の絶縁体として従来からよく用いられる樹脂や、その他ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルエチレン等のポリジエン類、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル等のポリアクリロニトリル誘導体、ポリオキシメチレン等のポリアセタール類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等や芳香族ポリエステル類を含むポリエステル類、ポリアリレート類、アラミド樹脂等の芳香族ポリアミドやナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、エポキシ樹脂類、ポリp−フェニレンエーテル等の芳香族ポリエーテル類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリスルフィド類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマー、ポリベンゾオキサゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリパラフェニレン等のポリフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック樹脂類、メラミン樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリカルボジイミド樹脂類等であってもよい。
【0052】
さらに、変形抑制部を構成する材料は、セラミックス類、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸カリウム等の金属酸化物、炭化ケイ素、窒化ケイ素や窒化アルミニウム等の金属であってもよい。
【0053】
第3の実施の形態のコンタクト基板を第1の実施の形態の半導体試験装置において使用することで、第1の実施の形態同様の効果を得ることができ、さらに、上記のようにウエハの熱膨張率に合わせてコンタクト基板に熱膨張率の低い金属めっき、又は樹脂含浸を行うことにより、試験時の温度上昇によるコンタクト基板と被試験電子部品である半導体ウエハの電極間位置ずれを防止できる。
【0054】
(第4の実施の形態)
上述の各実施の形態において、バーンインなどの試験時の被試験電子部品である半導体ウエハの電極には高さの高いバンプやBGAボールなどが形成されていることがある。この場合、コンタクト基板の弾性のみで段差を吸収することができず、十分な吸着力が得られない。すなわち、膜厚が数10μmから100μm程度の膜厚の薄いコンタクト基板では、コンタクト基板の膜厚程度以上の高さを持つ高い電極の凸部を吸収できるほど窪むことはできない。その場合、コンタクト基板と半導体ウエハとの間にできる隙間から圧力が漏れ出してしまい、十分な吸着力で半導体ウエハをコンタクト基板の電極に接続できなくなってしまう。第4の実施の形態に係るる半導体装置試験用コンタクト基板は、このような現象を抑制する。
【0055】
図10に第4の実施の形態のコンタクト基板の斜視図を示す。このコンタクト基板70は上面と下面とにわたってビア72が設けられている。このビア72の最も外側のビアのさらに外側の上面上に突起部73が設けられている。この突起部73は、樹脂やセラミックや金属などの材料により形成されている。コンタクト基板70上に搭載する被試験電子部品である半導体ウエハの形状に合わせて、突起部73は、コンタクト基板70上に空気漏れ抑制のために設けられている。なお、この突起部73は、下面に設けられていてもよい。
【0056】
コンタクト基板70に被試験電子部品を搭載した状態の断面を示す図11においては、突起部73が、半導体ウエハ1の周辺部の下面に接触して、半導体ウエハ1とコンタクト基板70との間の空気漏れを防止している。さらに、コンタクト基板70が搭載された多層配線基板7上で、コンタクト基板70と多層配線基板7との間の空気漏れを防止している。なお、図10では、コンタクト基板70の外周にのみ突起部73を設けているが、図11に示す断面では、一定間隔でコンタクト基板の内部にも突起部73が設けられた構造が示されている。
【0057】
なお、コンタクト基板70は、突起部73が設けられている点以外は、第1の実施の形態のコンタクト基板と同様の構造を有している。
【0058】
ここで、突起部73は半導体ウエハ1の外周を完全に覆う形状で設けることが空気漏れを防ぐために必要である。この突起部73は、ビア72が形成されている領域以外に設けられることで、半導体ウエハ1とコンタクト基板70との接続には支障がない。ここで、図10においては、コンタクト基板70は方形としているが、他の形状でも構わない。なお、コンタクト基板は被試験電子部品の全体形状に合わせて構成されていることが好ましい。
【0059】
次に、このコンタクト基板70の断面構造を図12を用いて説明する。図12(A)に示される例では、コンタクト基板70の上面及び下面の両面に同位置に突起部73が設けられている。また、図12(B)に示される構造では、コンタクト基板70の上面にのみ突起部73が設けられた例が示されている。また、図12(C)に示される構造では、コンタクト基板70の下面にのみ突起部73が設けられた例が示されている。このように、被試験電子部品や多層配線基板の電極の凹凸に合わせて、コンタクト基板の上面側のみ、下面側のみ、上下面の両面のいずれかに突起部を設けることができる。
【0060】
またこの空気漏れ防止機能を有する突起部73は第3の実施の形態にて説明した変形抑制部41との兼用も可能である。すなわち、図8に示されるようにコンタクト基板40の外周に変形抑制部41が形成されていることで、空気漏れ防止突起部としても機能する。第4の実施の形態においても第1の実施の形態同様の効果を得た上で、半導体ウエハの電極の凸部高さが大きい場合に、空気漏れを防いで、半導体ウエハの十分な吸着力が得られる。
【0061】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態の半導体装置試験用コンタクト基板の構造を図13を用いて説明する。図13(A)に断面構造が示されるコンタクト基板110は、複数のビア111が一定間隔で上下面を貫いて設けられている。このビア111は、被試験電子部品の電極端子及び多層配線基板の電極端子と相対する位置に形成されている。
【0062】
このコンタクト基板110では、吸着機構にコンタクト基板110を固定するための空気の貫通孔を設けずに、コンタクト基板110を多孔質体として、その多孔質部分の空孔が貫通孔と同様に機能を果たす。図13(B)に図13(A)のY部分の拡大図を示す。コンタクト基板110はシート基材115で形成され、多数の空孔113が設けられている。ビア部112では、空孔部に導電体が充填されている。こうして、ビア111とシート基材115は一体となっている。この充填される導電体は、銅などが利用できる。ここで、隣接する空孔113は、互いにつながっているので、充填された銅は一続きになる。この空孔113内に銅を充填する方法としてめっきが利用できる。
【0063】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態における半導体装置の試験方法を説明する。まず、第1の実施の形態において説明した図1に示される構造の半導体試験装置を用意する。上述の構成を有するコンタクト基板5を準備する。
【0064】
次に、被試験電子部品の半導体ウエハ1の電極2が形成された面の表面上に相対する位置にビア6が位置するようにしてコンタクト基板5を装着し、接続を行う。
【0065】
次に、コンタクト基板5を多層配線基板7上に搭載する。この際、コンタクト基板5のビア6の位置と相対するような位置に多層配線基板7の電極端子8が位置するように位置合わせを行う。
【0066】
次に、外囲器14内に半導体ウエハ1、コンタクト基板5、多層配線基板7、吸着機構11が閉じ込められるように密閉する。この外囲器14で囲われた半導体試験装置内は、例えば窒素でパージされる。
【0067】
次に、吸着機構11を作動させて、真空引きを行い、半導体ウエハ1の電極2とコンタクト基板5のビア6との接触を強化して接着させる。こうして、半導体ウエハ1とコンタクト基板5とは相互に位置ずれが生じない状態で強固に密着される。
【0068】
次に、温度制御装置(図示せず)を必要に応じて作動させて、試験に必要な温度になるまで、半導体ウエハ1の加熱を行う。又は、場合により、必要な温度まで冷却を行う。半導体試験装置は、外部環境とは温度が遮断されていて、試験に必要な温度が得られる。
【0069】
その後、テスタ13を動作させて半導体ウエハ1の試験を行う。こうして、すべての試験をウエハ状態にて行うことができる。
【0070】
このように、半導体試験装置において、半導体ウエハとテスト回路の間の電気的接続に使用されるコンタクト基板を多孔質体とし、コンタクト基板を受けるステージに吸着機構を設けることで、半導体ウエハやコンタクト基板への加圧制御がなくても半導体ウエハの電極とコンタクト基板間に均一な荷重をかけることができ、安定した電気的接触を得ることが容易となる。
【0071】
特に、第6の実施の形態では、半導体ウエハの電極とコンタクト基板を接触させるときに吸着力を利用しているので、半導体ウエハ全面の電極に均一な力をかけることが可能となる。こうして、半導体ウエハ上の電極に均等な荷重をかけることができ、より薄く、サイズの大きい半導体ウエハの場合にも、半導体ウエハに過剰な負荷を与えずに電極間を接触させることができる。またコンタクト基板が多孔質体であるため、コンタクト基板全面から吸着することが可能となり、特に電極数が大きい場合にも十分な接触を得ることができる。
【0072】
第6の実施の形態において、テストされる被試験電子部品は半導体ウエハに限らず、半導体チップ、パッケージに搭載された半導体装置などの電子部品であっても構わない。
【0073】
このように、第6の実施の形態によれば、被試験電子部品である半導体ウエハの電極に凹凸があったり、半導体ウエハ自体がその自重で、ゆがんでいたりしても、半導体ウエハの電極が形成された面の全体にわたって均一な吸着力で半導体ウエハをコンタクト基板に圧縮しているので、半導体ウエハの電極ごとにコンタクト基板のバンプへの接触面積が異なることを防止でき、安定した試験結果を得ることができる。また、従来のウエハレベルでのバーンイン試験装置と比べて、テストにおける製造工程数、試験装置の部品材料数を削減できる。
【0074】
(第6の実施の形態の変形例)
第6の実施の形態の変形例では、図14に示される構造の半導体試験装置を用いて試験を行う。この図14に示される構造の半導体試験装置では、吸着機構に替えて、ステージ122にて多層配線基板120を保持していて、この多層配線基板120には、貫通孔は設けられていない。そして、加圧機構123が半導体ウエハ1を圧縮するように設けられている。他の構造は、図1の半導体試験装置と同様である。ここでは、半導体ウエハ1の電極2に相対する位置にコンタクト基板5のビア6が位置するように、半導体ウエハ1とコンタクト基板5とが接続される。さらに、多層配線基板120の電極端子121とコンタクト基板5のビア6とが互いに相対する位置で、位置合わせされて加圧機構123によって圧縮されて固定される。
【0075】
このように構成された半導体試験装置を第6の実施の形態における吸着機構を動作させるステップ以外を実行することで半導体ウエハの試験が実施できる。
【0076】
第6の実施の形態の変形例に係る半導体装置の試験方法によれば、被試験電子部品である半導体ウエハの電極に凹凸があったり、半導体ウエハ自体がその自重で、ゆがんでいたりしても、半導体ウエハの電極が形成された面の全体にわたって均一な圧縮力で半導体ウエハを応力に応じて伸縮するコンタクト基板に圧縮しているので、半導体ウエハの電極ごとにコンタクト基板のバンプへの接触面積が異なることを防止でき、安定した試験結果を得ることができる。なお、応力緩和に最適な形状のビアを選択して、第2の実施の形態において説明した構造のビア形状を持つコンタクト基板を利用することで、被試験電子部品の電極に対する応力緩和をさらに図ることができる。
【0077】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態の半導体装置の試験方法を図15を用いて説明する。まず、図15(A)に示されるように、被試験電子部品として、下面に複数の半田バンプ85が形成された半導体チップ83を用意する。さらに、第1の実施の形態におけるコンタクト基板と同様の構造を持つコンタクト基板80を用意する。このコンタクト基板80には、複数のビア82が形成されている。なお、半田バンプ85は、金バンプであってもよい。
【0078】
次に、図15(B)に示されるように、半導体チップ83をコンタクト基板80に接続する。この際、半導体チップ83の半田バンプ85とコンタクト基板80のビア82とが相対する位置になるように位置合わせを行ってから溶融接着がなされる。
【0079】
次に、第6の実施の形態と同様に半導体チップの試験を行う。すなわち、第6の実施の形態における半導体ウエハに替えて半導体チップを被試験電子部品として試験を行う。
【0080】
次に、図15(C)に示されるように、半導体チップ83をコンタクト基板80から引き剥がす。ここで、引き剥がされた半導体チップ83は、良品であることが確認されていた場合、別の基板に搭載して利用することができる。
【0081】
ここで、コンタクト基板80が通気性のある多孔質のシート形状で、ビア82は銅めっきによって多孔質体の空孔の中に充填され、コンタクト基板80と一体になっているため、試験後に半田バンプ85の損傷を最小限として、半導体チップ83を引き剥がすことが可能である。すなわち、ビア82はコンタクト基板80内の空孔に銅めっきが入り込んで形成されていて、その上に半田にて被試験電子部品を接合した場合、被試験電子部品を引き離す際には、ビア内の銅はそのまま残り、半田は容易に分離する。このように被試験電子部品を容易にコンタクト基板から引き離すことが可能であるので、被試験電子部品の電極の損傷が小さく、通常通り使用することができる。
【0082】
なお、被試験電子部品とコンタクト基板とは半田にて接着されるため、十分な接着強度が得られれば、吸着させなくても試験を行う際に位置ずれが生じないので、吸着装置を使用せずに第7の実施の形態における半導体チップとコンタクト基板を用いて第6の実施の形態の変形例同様の試験を実施することで、第6の実施の形態同様の効果を得ることができる。さらに、第7の実施の形態における半導体チップとコンタクト基板を用いて第6の実施の形態同様の試験を実施することで、第6の実施の形態同様の効果を得ることができる。
【0083】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態の半導体装置及びその製造方法を図16を用いて説明する。図16(A)に示されるように、下面に複数の半田バンプ95が設けられた半導体チップ98がコンタクト基板91と接続されている。ここで、コンタクト基板91は、第1の実施の形態で示されたコンタクト基板と同様の構造を有している。コンタクト基板91のビア92と半導体チップ98の半田バンプ95とは、相対する位置に位置合わせされて接続されている。次に、半導体ウエハに替えて、半導体チップを第6の実施の形態同様に試験を行う。すなわち、半導体チップを製造後に、CSP基板と兼用されるビアを有するコンタクト基板に搭載して、試験を行う。
【0084】
試験の結果、良品であることが確認された後、このように半導体チップ98とコンタクト基板91とが接続された後で、最適な物性値を持つ樹脂99によって、半導体チップ98周囲とコンタクト基板91の上面とが被覆される。ここで、コンタクト基板91は、多孔質シートで形成されているため、多孔質体の空孔に樹脂99が含浸される。こうして、樹脂99が、コンタクト基板91内に入り込み、樹脂99とコンタクト基板91とが一体となり、コンタクト基板91と半導体チップ98との接続強度が増す。ここで、樹脂99の最適な物性値は、熱膨張率や弾性率であり、半導体装置のパッケージの信頼性を向上させる指標となる。シミュレーションによって、半導体チップのサイズや厚さによってコンタクト基板の熱膨張率、弾性率の最適解が求められ、樹脂封止の際に最適な樹脂を用いることが可能となる。
【0085】
次に、図16(B)に示されるように、コンタクト基板91の下面のビア92にそれぞれ半田バンプ100を接続して、半導体装置を得る。なお、半導体チップ98の半田バンプ95やコンタクト基板91の半田バンプ100は、金バンプであってもよい。このようにして、1つのCSP(Chip Scale Package)型半導体装置を得る。なお、被試験電子部品とコンタクト基板とは半田及び樹脂にて接着されるため、十分な接着強度が得られれば、吸着させなくても試験を行う際に位置ずれが生じないので、吸着装置を使用しなくても第8の実施の形態は実施できる。
【0086】
こうして、第8の実施の形態によれば、半導体チップの特性に応じて、最適な物性を持つ樹脂を選択して、この樹脂をコンタクト基板に充填することで、信頼性の高いパッケージを持つ半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【0087】
さらに、第8の実施の形態によれば、試験用に接続されたコンタクト基板を半導体チップから分離する工程及び、半導体チップをCSP基板に搭載する工程を不要として、製造工程数を削減することができる。
【0088】
各実施の形態は組み合わせて実施することができる。各実施の形態において、被試験電子部品は予め半導体ウエハから切り出された半導体チップであってもよい。この場合、試験完了後そのまま半導体装置を得ることができる。なお、各実施の形態において、半導体装置の試験装置、試験方法及び半導体装置試験用コンタクト基板について説明したが、電子部品の試験装置、試験方法及び電子部品試験用コンタクト基板にも各実施の形態は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体試験装置を表す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体試験装置を表す上面図である。
【図3】図3(A)は、本発明の第1の実施の形態に係るコンタクト基板の断面図である。
【0090】
図3(B)は、本発明の第1の実施の形態に係るコンタクト基板の一部分を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体試験装置を表す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る被試験電子部品を表す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る半導体試験装置を表す断面図である。
【図7】図7(A)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの一例構造を表す斜視図である。
【0091】
図7(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの他の一例構造を表す斜視図である。
【0092】
図7(C)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの他の一例構造を表す斜視図である。
【0093】
図7(D)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの一例構造を表す斜視図である。
【0094】
図7(E)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの他の一例構造を表す斜視図である。
【0095】
図7(F)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの他の一例構造を表す斜視図である。
【0096】
図7(G)は、本発明の第2の実施の形態に係るビアの一例構造を表す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板を表す斜視図である。
【図9】図9(A)は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す断面図である。
【0097】
図9(B)は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す断面図である。
【0098】
図9(C)は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す上面図である。
【0099】
図9(D)は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す上面図である。
【0100】
図9(E)は、本発明の第3の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す上面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るコンタクト基板を表す斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る半導体試験装置を表す断面図である。
【図12】図12(A)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す断面図である。
【0101】
図12(B)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す断面図である。
【0102】
図12(C)は、本発明の第4の実施の形態に係るコンタクト基板の一例を表す断面図である。
【図13】図13(A)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンタクト基板の構造を表す断面図である。
【0103】
図13(B)は、本発明の第5の実施の形態に係るコンタクト基板の一部分を拡大して示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第6の実施の形態の変形例に係る半導体試験装置を表す断面図である。
【図15】図15(A)は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の試験方法の一ステップを表す断面図である。
【0104】
図15(B)は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の試験方法の一ステップを表す断面図である。
【0105】
図15(C)は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の試験方法の一ステップを表す断面図である。
【図16】図16(A)は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を表す断面図である。
【0106】
図16(B)は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を表す断面図である。
【符号の説明】
【0107】
1,50…半導体ウエハ
2,51…電極
5,29,40,53,70,80,91,110…コンタクト基板
6,31,42,55,72,82,92,111…ビア
7,120…多層配線基板
9,25,49,59…貫通孔
10,30…配線
11,58…吸着機構
12…テスト信号配線
13…テスタ
20,83,98…半導体チップ
26,115…シート基材
27,113…空孔
28,112…ビア部
35…上下配線
41…変形抑制部
52…高荷重電極
95,100…半田バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン、アラミドを含む液晶性ポリマーもしくはポリイミドのいずれかからなる通気性のある絶縁性材料で形成され、前記絶縁性材料に70%から80%の開口率で空孔が設けられており、上面及び下面を有し、前記上面及び前記下面との間を接続する複数の導電性ビアを有し、被試験電子部品を前記空孔を介して吸着するコンタクト基板と、
前記被試験電子部品を吸着する面において前記導電性ビアが露出する領域以外の領域に前記導電性ビアを取り囲むように突出して配置され、前記被試験電子部品の熱膨張係数と前記コンタクト基板全体の熱膨張係数との差に起因する前記コンタクト基板の熱膨張を抑制する変形抑制部
とを備えることを特徴とする半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項2】
前記変形抑制部は、金属、樹脂類、セラミックス類のいずれかから選ばれる材料であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項3】
前記変形抑制部は、銅、ニッケル、金、錫のいずれかから選ばれる金属であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項4】
前記変形抑制部は、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、PEEK樹脂、ブタジエン樹脂の樹脂類、ポリエチレン又はポリプロピレンのポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルエチレンのポリジエン類、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートのアクリル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルのポリアクリロニトリル誘導体、ポリオキシメチレンのポリアセタール類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポリエステル類を含むポリエステル類、ポリアリレート類、アラミド樹脂の芳香族ポリアミド又はナイロンのポリアミド類、ポリイミド類、エポキシ樹脂類、ポリp−フェニレンエーテルの芳香族ポリエーテル類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリスルフィド類、PTFEのフッ素系ポリマー、ポリベンゾオキサゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリパラフェニレンのポリフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック樹脂類、メラミン樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリカルボジイミド樹脂類のいずれかから選ばれる材料であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項5】
前記変形抑制部は、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸カリウムのいずれかの金属酸化物であるセラミックス類、又は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムから選ばれる材料であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項6】
前記導電性ビアは、前記空孔に金属がめっきされるか、もしくは充填されて形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項7】
前記導電性ビアには、空洞が設けられているか、又は、連結体によって上下面が接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。
【請求項8】
前記変形抑制部は、前記被試験電子部品と接触する面に関し、波状に形成されるか、前記複数の導電性ビアの一部を取り囲むように方眼状若しくは鎖状に形成されるか、又は前記複数の導電性ビアの全体を取り囲むように前記コンタクト基板の周辺部に形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置試験用コンタクト基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−304110(P2007−304110A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180289(P2007−180289)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2004−209023(P2004−209023)の分割
【原出願日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】