説明

半導体装置

【課題】回路規模またはメモリ容量を確保しつつも、外力、特に押圧に対する信頼性を高めることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】有機化合物または無機化合物の繊維体を複数層、特に3層以上積層したものに有機樹脂を含浸した一対の構造体と、該一対の構造体の間に設けられた素子層とを有する。素子層と上記構造体とは、加熱圧着により固着させることができる。または素子層と上記構造体とを固着させるための層を設けても良い。或いは、素子層に繊維体を複数重ねた後、該繊維体に有機樹脂を含浸させることで、素子層に固着した上記構造体を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性を有する基板を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する基板は、ガラス基板と比較して振動、衝撃に対する機械的強度に優れ、厚さを抑えやすく、形状の自由度が高いというメリットを有している。そのため、該可撓性を有する基板を用いた半導体装置には、様々なアプリケーションが期待されている。上記可撓性を有する基板の中には、半導体素子の作製工程における熱処理に耐え得るほど、耐熱性に優れていないものがある。この場合、別途用意した耐熱性を有する基板において半導体素子を形成した後、該半導体素子を基板から剥離し、可撓性を有する基板に貼り合わせるという作製方法が提案されている。
【0003】
本出願人は、特許文献1や特許文献2に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献1には剥離層となる酸化珪素層をウェットエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。また、特許文献2には剥離層となるシリコン層をドライエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。また、本出願人は特許文献3に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献3には、基板に金属層(Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)を形成し、その上に酸化物層を積層形成する際、該金属層の金属酸化物層を金属層と酸化物層との界面に形成し、この金属酸化物層を利用して後の工程で剥離を行う技術が記載されている。
【特許文献1】特許第3364081号公報
【特許文献2】特許第3406727号公報
【特許文献3】特開2003−174153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置に様々な機能を追加するためには、半導体装置が有する集積回路の回路規模やメモリ容量を必然的により大きくせざるを得ない。しかし、回路規模やメモリ容量を増大させると、それに伴い半導体装置が有する集積回路の専有面積も増大する傾向にあるので、外から加えられる力(外力)に対する半導体装置の信頼性が落ちてしまう。そのため、上述したような、様々なアプリケーションが期待できるという可撓性を有する基板のメリットが、十分に生かせないという問題が生じる。また半導体装置の面積は変わらなくとも、可撓性を有する基板を用いる場合、外部から局所的にかかる圧力(押圧)に対する信頼性に関しては、改善の余地が残されていた。
【0005】
上記問題に鑑み、本発明は、回路規模またはメモリ容量を確保しつつも、外力、特に押圧に対する信頼性を高めることができる、半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸されている構造体に着目し、上記繊維体が複数層、特に3層以上積層された一対の構造体の間に、薄膜の半導体膜を用いて形成された半導体素子を有する素子層を設けることで、外力、特に押圧に対する半導体装置の信頼性が飛躍的に高くなることを見出した。
【0007】
具体的に本発明の半導体装置では、有機化合物または無機化合物の繊維体を複数層、特に3層以上積層したものに有機樹脂を含浸した一対の構造体と、該一対の構造体の間に設けられた素子層とを有する。素子層と上記構造体とは、加熱圧着により固着させることができる。または素子層と上記構造体とを固着させるための層を設けても良い。或いは、素子層に繊維体を複数重ねた後、該繊維体に有機樹脂を含浸させることで、素子層に固着した上記構造体を形成することができる。
【0008】
素子層の厚さは1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下であり、一対の構造体のトータルの厚さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0009】
繊維体としては、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布である。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率が高い繊維である。繊維体として高強度繊維を用いることにより、局所的な押圧が半導体装置にかかったとしても、当該圧力が繊維体全体に分散し、半導体装置の一部が延伸することを防ぐことができる。即ち、一部の延伸に伴う配線、半導体素子等の破壊を防止することが可能である。
【0010】
また、有機樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1に、本発明の半導体装置の断面図を一例として示す。図1に示す半導体装置では、構造体101と、構造体102と、一対の構造体101、102の間に設けられた素子層103とを有する。構造体101は、有機化合物または無機化合物の繊維体101a、繊維体101b、繊維体101cと、繊維体101a〜101cに含浸された有機樹脂104とを有する。繊維体101a、繊維体101b、繊維体101cは積層されている。同様に、構造体102は、有機化合物または無機化合物の繊維体102a、繊維体102b、繊維体102cと、繊維体102a〜102cに含浸された有機樹脂105とを有する。繊維体102a、繊維体102b、繊維体102cは積層されている。
【0014】
なお本実施の形態では、各構造体において3層の繊維体が積層されている場合を例示しているが、本発明はこの構成に限定されない。各構造体において2層の繊維体が積層されていても良いし、4層以上の繊維体が積層されていても良い。また構造体101と、構造体102とは、有する繊維体の数が異なっていても良い。
【0015】
また図1において、素子層103と構造体101、102とが直接固着しているが、接着剤として機能する接着層によって固着されていても良い。
【0016】
構造体101と構造体102の厚さを同程度、具体的には、一方の構造体の厚さに対する他方の構造体の厚さの比が、0.8以上1.2以下となるようにし、有機樹脂104と有機樹脂105の材料を同じにすることで、半導体装置の反りを低減することができる。また構造体101と構造体102の厚さを同程度、具体的には、一方の構造体の厚さに対する他方の構造体の厚さの比が、0.8以上1.2以下とすることで、半導体装置に応力を加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層103に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0017】
具体的に構造体101と構造体102とを重ね合わせた厚さは、20μm以上100μm以下であることが望ましい。上記厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0018】
また有機樹脂104、有機樹脂105として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。或いは有機樹脂104、有機樹脂105として、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また有機樹脂104、有機樹脂105として、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層103に固着することが可能である。なお、有機樹脂104、有機樹脂105はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0019】
有機樹脂104、有機樹脂105または繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより素子層103での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0020】
繊維体101a〜101c、繊維体102a〜102cは、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、素子層103全面と重なるように配置する。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体101a〜101c、繊維体102a〜102cは、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0021】
また、繊維体101a〜101c、繊維体102a〜102cは、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等を適宜用いることができる。
【0022】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体101a〜101c、102a〜102cを薄くすることが可能である。このため、構造体101、構造体102を薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くてもよい。また、繊維の太さは、4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くても良く、それらは繊維の材料に依存する。
【0023】
なお、本明細書の図面においては、繊維体101a〜101c、102a〜102cは、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0024】
繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布である繊維体101a〜101c、102a〜102cの上面図を図4に示す。
【0025】
図4(A)に示すように、繊維体101a〜101c、102a〜102cは、一定間隔をあけた経糸110と、一定間隔をあけた緯糸111とで織られている。このような経糸110及び緯糸111を用いて製織された繊維体には、経糸110及び緯糸111が存在しない領域(バスケットホール112)を有する。このような繊維体101a〜101c、102a〜102cは、有機樹脂104、105が含浸される割合が高まり、繊維体101a〜101c、102a〜102cと素子層103の密着性を高めることができる。
【0026】
また繊維体101a〜101c、102a〜102cは、図4(B)に示すように、経糸110及び緯糸111の密度が高く、バスケットホール112の割合が低いものでもよい。代表的には、バスケットホール112の大きさが、局所的に押圧される面積より小さいことが好ましい。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが好ましい。繊維体101a〜101c、102a〜102cのバスケットホール112の面積がこのように小さいと、先端の細い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)により押圧されても、当該圧力を繊維体101a〜101c、102a〜102c全体で吸収することが可能である。
【0027】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0028】
素子層103は、薄膜の半導体膜を用いて形成された半導体素子を有する。具体的に半導体素子として、薄膜トランジスタ、ダイオード、不揮発性記憶素子等の能動素子、抵抗素子、容量素子等の受動素子が挙げられる。また、薄膜の半導体膜として、SOI技術を用いて形成された単結晶の半導体膜、多結晶半導体膜、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜等が含まれる。半導体として、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等を用いることができる。或いは半導体として、金属酸化物、有機半導体を用いることも可能である。上記金属酸化物として、例えば酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等が挙げられる。
【0029】
素子層103の厚さは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0030】
また、繊維体101a〜101c、102a〜102cが経糸及び緯糸を用いた織布である場合、各繊維体どうしで経糸及び緯糸の方向がずれていても良い。図5(A)に、経糸及び緯糸の方向がずれている繊維体120〜122を順に重ね合わせている様子を示す。矢印は、繊維体120〜122がそれぞれ有する経糸及び緯糸の方向を示している。図5(A)では、繊維体120の経糸及び緯糸と繊維体122の経糸及び緯糸とが、ほぼ一致する方向を向いている。そして繊維体121の経糸及び緯糸は、繊維体120の経糸及び緯糸と繊維体122の経糸及び緯糸とに対し、45度ずれている。
【0031】
このように複数の繊維体間で経糸及び緯糸の方向をずらすことで、あらゆる方向において図5(B)に示すように半導体装置123を撓ませても、半導体装置123の信頼性を確保することができる。また、押圧を加えたときに繊維体の引っ張り方向が表裏で異なるため、局所的押圧の際の延伸が等方性的になる。よって、押圧による半導体装置の破壊をさらに低減することができる。繊維体間における経糸及び緯糸の方向のずれは、30度以上60度以下、特に40度以上50度以下であることが望ましい。なお、同一の構造体内において繊維体間における経糸及び緯糸の方向をずらすようにしても良いし、一対の構造体間において繊維体間における経糸及び緯糸の方向をずらすようにしても良い。
【0032】
本発明で用いられる構造体は、引っ張り弾性率またはヤング率の高い高強度繊維を繊維体として用いている。よって、点圧や線圧等の局所的な押圧がかかっても、押圧された力が繊維体全体に分散され、素子層を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じず、半導体装置の破壊を防ぐことができる。また、薄膜の半導体膜を用いているため、素子層を薄くすることができる。よって、バルクの半導体素子を用いた場合と異なり、湾曲させても半導体装置が破壊されにくい。
【0033】
なお本発明の範疇に含まれる半導体装置には、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路、RFタグ、半導体表示装置等、ありとあらゆる半導体装置が含まれる。半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の表示装置がその範疇に含まれる。
【0034】
(実施の形態2)
本発明者らは、ペンで局所的な押圧を加えたときの、半導体装置の動作率について試験した。
【0035】
上記試験には、RFタグを半導体装置として用いた。なおRFタグは、無線で信号の送受信を行い個体の識別をする技術(RFID:Radio frequency identification)に用いられる記録媒体であり、リーダ、リーダライタまたはインテロゲータと呼ばれる質問器との間において、非接触で信号の送受信を行うことができる。RFタグの形状は、カード状、或いはカードよりもさらに小型のチップ状であることが多いが、用途に合わせて様々な形状を採りうる。
【0036】
試験には、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルA)、2層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルB)、3層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルC)を用いる。また比較対象として、1層の繊維体を有し、かつ厚さが17μmである一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルD)と、1層の繊維体を有し、かつ厚さが35μmである一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルE)も用意し、併せて上記試験を行った。
【0037】
各サンプルの構造を明確にするために、図3(A)にサンプルAの断面構造を、図3(B)にサンプルBの断面構造を、図3(C)にサンプルCの断面構造を、図3(D)にサンプルDの断面構造を、図3(E)にサンプルEの断面構造を、それぞれ示す。
【0038】
図3(A)に示すサンプルAでは、加熱圧着する前の各プリプレグ301の厚さが15μmである。そして、素子層302を間に挟んで一対のプリプレグ301を加熱圧着することで形成されるサンプルAのトータルの厚さは、27μm〜28μmである。図3(B)に示すサンプルBでは、各プリプレグ311が、サンプルAに用いられる厚さ15μmのプリプレグ301を2層積層して加熱圧着することにより、形成されている。そして、素子層312を間に挟んで一対のプリプレグ311を加熱圧着することで形成されるサンプルBのトータルの厚さは、56μm〜65μmである。図3(C)に示すサンプルCでは、各プリプレグ321が、サンプルAに用いられる厚さ15μmのプリプレグ301を3層積層して加熱圧着することにより、形成されている。そして、素子層322を間に挟んで一対のプリプレグ321を加熱圧着することで形成されるサンプルCのトータルの厚さは、76μm〜78μmである。図3(D)に示すサンプルDでは、加熱圧着する前の各プリプレグ331の厚さが17μmである。そして、素子層332を間に挟んで一対のプリプレグ331を加熱圧着することで形成されるサンプルDのトータルの厚さは、40μm〜44μmである。図3(E)に示すサンプルEでは、加熱圧着する前の各プリプレグ341の厚さが35μmである。そして、素子層342を間に挟んで一対のプリプレグ341を加熱圧着することで形成されるサンプルEのトータルの厚さは、69μm〜78μmである。
【0039】
なお、サンプルA〜サンプルEの全てにおいて、トータルの厚さにばらつきが生じるのは、場所によって加熱圧着の際に加えられる圧力にばらつきが生じるためである。
【0040】
各サンプルに含まれる繊維体の体積比は、サンプルAが約28%、サンプルBが約29%、サンプルCが約33%、サンプルDが約20%、サンプルEが約21%である。またサンプルA〜サンプルEの全てにおいて、RFタグの面積は10.5mm×12.0mmであり、繊維体は経糸及び緯糸により平織りに製織されている。
【0041】
ペン先が直径1mmの半球形であるペンで、サンプルA〜サンプルEに、荷重(ニュートン)を加えていったときの動作率を、図2に示す。サンプルA〜サンプルEのRFタグは全てアンテナが素子層に内蔵されており、アンテナが形成されている領域以外で、なおかつデジタル回路が形成されている領域に、ペン先があたるように荷重を加えた。なお試験したRFタグの数は、サンプルAが20、サンプルBが20、サンプルCが20、サンプルDが12、サンプルEが26である。動作率は、データを非接触で読み出すことができるRFタグの割合で算出した。
【0042】
図2に示されているサンプルA〜サンプルCの動作率を比較すると、サンプルCの動作率が最も高く、サンプルAの動作率が最も低いことが分かる。特にサンプルCはサンプルBに比べて飛躍的に動作率が高くなっている。またサンプルCとサンプルEは、トータルの厚さが同程度であるにも関わらず、サンプルCの方は動作率が高くなっている。これらの結果から、プリプレグに含まれる繊維体の体積比がより高いほど、高い動作率を得られることが分かる。また体積比を高くすることに加え、繊維体を複数、特に3層以上積層すると、飛躍的に高い動作率が得られることが分かる。
【0043】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の作製方法について説明する。なお本実施の形態では薄膜トランジスタ(TFT)を半導体素子の一例として示すが、本発明の半導体装置に用いられる半導体素子はこれに限定されない。例えばTFTの他に、記憶素子、ダイオード、抵抗、コイル、容量、インダクタなどを用いることができる。
【0044】
まず図6(A)に示すように、耐熱性を有する基板700上に、絶縁膜701、剥離層702、絶縁膜703、半導体膜704を順に形成する。絶縁膜701、剥離層702、絶縁膜703及び半導体膜704は連続して形成することが可能である。
【0045】
基板700として、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレス基板を含む金属基板、またはシリコン基板等の半導体基板を用いても良い。プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、上記基板と比較して耐熱温度が一般的に低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。
【0046】
プラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド系合成繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0047】
なお本実施の形態では、剥離層702を基板700上の全面に設けているが本発明はこの構成に限定されない。例えばフォトリソグラフィ法などを用いて、基板700上において剥離層702を部分的に形成する様にしても良い。
【0048】
絶縁膜701、絶縁膜703は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素、窒化珪素(SiNx、Si等)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。
【0049】
絶縁膜701、絶縁膜703は、基板700中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が半導体膜704中に拡散し、TFTなどの半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。また絶縁膜703は、剥離層702に含まれる不純物元素が半導体膜704中に拡散するのを防ぎ、なおかつ後の半導体素子を剥離する工程において、半導体素子を保護する役目も有している。さらに絶縁膜703により、剥離層702における剥離が容易となり、または後の剥離工程において半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐことができる。
【0050】
絶縁膜701、絶縁膜703は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜、膜厚50nmの窒化酸化珪素膜、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を順に積層して絶縁膜703を形成するが、各膜の材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない。例えば、下層の酸化窒化珪素膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン系樹脂をスピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法、印刷法などによって形成しても良い。また、中層の窒化酸化珪素膜に代えて、窒化珪素膜を用いてもよい。また、上層の酸化窒化珪素膜に代えて、酸化珪素膜を用いていても良い。また、それぞれの膜厚は、0.05〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
【0051】
或いは、剥離層702に最も近い、絶縁膜703の下層を酸化窒化珪素膜または酸化珪素膜で形成し、中層をシロキサン系樹脂で形成し、上層を酸化珪素膜で形成しても良い。
【0052】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0053】
酸化珪素膜は、SiH/O、TEOS(テトラエトキシシラン)/O等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によって形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiHとNHの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜は、代表的には、SiHとNOの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。
【0054】
剥離層702は、金属膜、金属酸化膜、金属膜と金属酸化膜とを積層して形成される膜を用いることができる。金属膜と金属酸化膜は、単層であっても良いし、複数の層が積層された積層構造を有していても良い。また、金属膜や金属酸化膜の他に、金属窒化物や金属酸化窒化物を用いてもよい。剥離層702は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。
【0055】
剥離層702に用いられる金属としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)等が挙げられる。剥離層702は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。
【0056】
また剥離層702は珪素(Si)単体で形成された膜を用いても良いし、珪素(Si)を主成分とする化合物で形成された膜を用いても良い。或いは、珪素(Si)と上記金属とを含む合金で形成された膜を用いても良い。珪素を含む膜は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
【0057】
剥離層702は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。金属膜と金属酸化膜とが積層された剥離層702は、元となる金属膜を形成した後、該金属膜の表面を酸化または窒化させることで形成することができる。具体的には、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で元となる金属膜にプラズマ処理を行ったり、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で金属膜に熱処理を行ったりすればよい。また元となる金属膜上に接するように、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成することでも、金属膜の酸化を行うことが出来る。また元となる金属膜上に接するように、窒化酸化珪素膜、窒化珪素膜を形成することで、窒化を行うことが出来る。
【0058】
金属膜の酸化または窒化を行うプラズマ処理として、プラズマ密度が1×1011cm−3以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)などの高周波を用いた高密度プラズマ処理を行っても良い。
【0059】
なお基となる金属膜の表面を酸化することで、金属膜と金属酸化膜とが積層した剥離層702を形成するようにしても良いが、金属膜を形成した後に金属酸化膜を別途形成するようにしても良い。例えば金属としてタングステンを用いる場合、スパッタ法やCVD法等により元となる金属膜としてタングステン膜を形成した後、該タングステン膜にプラズマ処理を行う。これにより、金属膜に相当するタングステン膜と、該金属膜に接し、なおかつタングステンの酸化物で形成された金属酸化膜とを、形成することができる。
【0060】
なおタングステンの酸化物はWOで表される。Xは2以上3以下の範囲内にあり、Xが2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11)、Xが3の場合(WO)となる。タングステンの酸化物を形成するにあたりXの値に特に制約はなく、エッチングレート等をもとにXの値を定めれば良い。
【0061】
半導体膜704は、絶縁膜703を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい。半導体膜704の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは50〜150nm)とする。なお半導体膜704は、非晶質半導体であっても良いし、セミアモルファス半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
【0062】
なおセミアモルファス半導体とは、非晶質半導体と結晶構造を有する半導体(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有する半導体である。このセミアモルファス半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、その粒径を0.5〜20nmとして非単結晶半導体中に分散させて存在せしめることが可能である。セミアモルファス半導体は、そのラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、またX線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端化させるために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。ここでは便宜上、このような半導体をセミアモルファス半導体(SAS)と呼ぶ。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なセミアモルファス半導体が得られる。
【0063】
またSASは珪素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪素を含む気体としては、SiHであり、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪素を含む気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪素を含む気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪素を含む気体中に、CH、Cなどの炭化物気体、GeH、GeFなどのゲルマニウム化気体、Fなどを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
【0064】
例えば、SiHにHを添加したガスを用いる場合、或いはSiHにFを添加したガスを用いる場合、形成したセミアモルファス半導体を用いてTFTを作製すると、該TFTのサブスレッショルド係数(S値)を0.35V/dec以下、代表的には0.25〜0.09V/decとし、移動度を10cm/Vsecとすることができる。
【0065】
なお半導体膜704は、公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、基板700として石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950℃程度の高温アニールのうちの幾つかを組み合わせた結晶化法を用いても良い。
【0066】
例えばレーザ結晶化を用いる場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜704の耐性を高めるために、550℃、4時間の熱処理を該半導体膜704に対して行なう。そして連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波のレーザ光を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、代表的には、Nd:YVOレーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVOレーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザ光を得る。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、半導体膜704に照射する。このときのパワー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度とし、照射する。
【0067】
連続発振の気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザなどを用いることが出来る。また連続発振の固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、フォルステライト(MgSiO)レーザ、GdVOレーザ、Yレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザなどを用いることが出来る。
【0068】
またパルス発振のレーザとして、例えばArレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ、COレーザ、YAGレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザを用いることができる。
【0069】
また、パルス発振のレーザ光の発振周波数を10MHz以上とし、通常用いられている数十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いてレーザ結晶化を行なっても良い。パルス発振でレーザ光を照射することで半導体膜704が溶融してから半導体膜704が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われている。よって上記周波数を用いることで、半導体膜704がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。したがって、半導体膜704中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜704が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って連続的に成長した単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜704の形成が可能となる。
【0070】
なおレーザ結晶化は、連続発振の基本波のレーザ光と連続発振の高調波のレーザ光とを並行して照射するようにしても良いし、連続発振の基本波のレーザ光とパルス発振の高調波のレーザ光とを並行して照射するようにしても良い。
【0071】
なお、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
【0072】
上述したレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜704が形成される。なお、予め半導体膜704に、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成した多結晶半導体を用いるようにしても良い。
【0073】
また本実施の形態では半導体膜704を結晶化しているが、結晶化せずに非晶質珪素膜または微結晶半導体膜のまま、後述のプロセスに進んでも良い。非晶質半導体、微結晶半導体を用いたTFTは、多結晶半導体を用いたTFTよりも作製工程が少ない分、コストを抑え、歩留まりを高くすることができるというメリットを有している。
【0074】
非晶質半導体は、珪素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。珪素を含む気体としては、SiH、Siが挙げられる。この珪素を含む気体を、水素、水素及びヘリウムで希釈して用いても良い。
【0075】
次に半導体膜704に対して、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素を低濃度に添加するチャネルドープを行う。チャネルドープは半導体膜704全体に対して行っても良いし、半導体膜704の一部に対して選択的に行っても良い。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロン(B)を用い、当該ボロンが1×1016〜5×1017/cmの濃度で含まれるよう添加する。
【0076】
次に図6(B)に示すように、半導体膜704を所定の形状に加工(パターニング)し、島状の半導体膜705〜708を形成する。そして図6(C)に示すように、島状の半導体膜705〜708を用いた半導体素子と、該半導体素子に接続された配線713、714とを形成する。本実施の形態では、半導体素子としてTFT709〜712を形成した例を示す。TFT709と、TFT712とはそれぞれ配線713、配線714と電気的に接続されている。絶縁膜703上に形成された半導体素子または配線などで構成される集積回路が、素子層715に相当する。素子層715に絶縁膜703を含めても良い。
【0077】
次に図7(A)に示すように、素子層715の基板700とは反対の側に、繊維体723に有機樹脂724が含浸された構造体が複数積層された構造体725を重ねる。このような構造体725は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体725の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0078】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで、上記構造体725を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0079】
次に、構造体725を加熱し圧着して、構造体725の有機樹脂724を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂724が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂724は加熱及び圧着により、素子層715に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体725を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0080】
次に図7(B)に示すように、素子層715と、構造体725とを、基板700から剥離する。本実施の形態では、物理的な力を用いて基板700から素子層715と、構造体725とを剥離する。剥離層702は、全て除去せず一部が残存した状態であっても良い。上記剥離は、例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理で行うことが可能である。
【0081】
本実施の形態では、剥離層に金属酸化膜を用い、物理的手段により素子層715を剥離する方法を用いているが、本発明で用いられる剥離方法はこれに限定されない。例えば、透光性を有する基板700を用い、剥離層702に水素を含む非晶質珪素を用い、基板700から剥離層702にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる水素を気化させて、基板700を素子層715から剥離する方法を用いても良い。
【0082】
また上記剥離は、剥離層702のエッチングを用いた方法で行っても良い。この場合、剥離層702が一部露出するように溝を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング、UV光を含むレーザ光を用いた加工、フォトリソグラフィ法などにより、溝を形成する。溝は、剥離層702が露出する程度の深さを有していれば良い。そしてエッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝から導入する。本実施の形態では、例えばClF(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:800Pa、時間:3hの条件で行なう。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層702が選択的にエッチングされ、基板700を素子層715から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
【0083】
また、基板を機械的に研磨し除去する方法や、基板をHF等の溶液を用いて溶解し基板を除去する方法を用いることで、素子層715を基板700から剥離することができる。この場合、剥離層702を用いる必要はない。
【0084】
次に図8に示すように、素子層715の上記剥離により露出した面側に、繊維体720に有機樹脂721が含浸された構造体が複数積層された構造体722を重ねる。このような構造体722は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体722の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0085】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで、上記構造体722を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0086】
次に、構造体722を加熱し圧着して、構造体722の有機樹脂721を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂721が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂721は加熱及び圧着により、素子層715に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体722を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0087】
上記プロセスを経て、本発明の半導体装置が作製される。
【0088】
なお構造体722と構造体725の間に複数の半導体装置に対応する半導体素子を形成している場合には、素子層715を半導体装置ごとに分断する。分断は、レーザ照射装置、ダイシング装置、スクライブ装置、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断装置等を用いることができる。レーザ照射装置を用いる場合、レーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO、YVO、YLF、YAlOなどの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0089】
また、RFタグのようにアンテナを有する場合、構造体722または構造体725に開口部を形成し、該開口部を介してアンテナと素子層715に含まれる集積回路とを電気的に接続することができる。
【0090】
図9に、構造体725にレーザビーム等で開口部を形成し、該開口部に、素子層715内の配線714と接続された接続端子731が形成された半導体装置の断面図を示す。接続端子731は、異方導電性フィルム732でアンテナ730と接続端子731とを圧着させることにより、電気的に接続することが出来る。
【0091】
また図10に、構造体722にレーザビーム等で開口部を形成し、該開口部に、素子層715内の配線714と接続された接続端子734が形成された半導体装置の断面図を示す。接続端子734は、異方導電性フィルム735でアンテナ733と接続端子734とを圧着させることにより、電気的に接続することが出来る。
【0092】
なお、アンテナと接続端子との接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))の他に、異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等を用いて圧着させても良い。また、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0093】
また本実施の形態では、別途形成されたアンテナを素子層に電気的に接続する場合について述べたが、本発明はこの構成に限定されない。アンテナを素子層と同じ基板上に形成し、素子層と共に該基板から剥離して、アンテナと素子層を構造体に加熱圧着させても良い。アンテナとして機能する導電膜は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)などの金属を用いて形成することが出来る。アンテナとして機能する導電膜は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。アンテナとして機能する導電膜は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。
【0094】
アンテナとして機能する導電膜は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、めっき法、フォトリソグラフィ法、蒸着法等を用いて形成することが出来る。
【0095】
例えばスクリーン印刷法を用いる場合、粒径が数nmから数十μmの導電性を有する粒子(導電体粒子)を有機樹脂に分散させた導電性のペーストを、絶縁膜上に選択的に印刷することでアンテナとして機能する導電膜を形成することができる。導電体粒子は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)またはチタン(Ti)等を用いて形成することが出来る。導電体粒子は上記金属で形成されたものの他に、上記金属を主成分とする合金で形成されていても良いし、上記金属を含む化合物を用いて形成されていても良い。またハロゲン化銀の微粒子または分散性ナノ粒子も用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂として、ポリイミド、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが出来る。
【0096】
上記金属の合金の一例として、銀(Ag)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と白金(Pt)、金(Au)と白金(Pt)、金(Au)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と銅(Cu)の組み合わせが挙げられる。また例えば、銅(Cu)を銀(Ag)でコートした導電体粒子なども用いることが可能である。
【0097】
なおアンテナとして機能する導電膜の形成にあたり、印刷法や液滴吐出法で導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストに、銀を主成分とする導電体粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜300℃の温度範囲で焼成することにより、アンテナとして機能する導電膜を形成することができる。焼成は、赤外ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを用いたランプアニールで行なっても良いし、電気炉を用いたファーネスアニールで行なっても良い。またエキシマレーザや、Nd:YAGレーザを用いたレーザーアニール法で行なっても良い。また、半田や鉛フリーの半田を主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。半田や鉛フリーの半田は、低コストであるといった利点を有している。
【0098】
印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずともアンテナとして機能する導電膜を形成することが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラフィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良いので、半導体装置の作製に費やされるコストを抑えることができる。
【0099】
また、半導体装置が、外部の機器と電気的に接続するための端子を有する場合、該端子は構造体上に設けるようにしても良い。図11(A)に、一対の構造体750、751と、該構造体の間に設けられた素子層752とが、積層される順に並べられている様子を示す。また一対の構造体750、751と素子層752とが積層されることで形成される半導体装置の斜視図を、図11(B)に示す。
【0100】
構造体750には端子753が形成されており、素子層752と構造体750とを加熱圧着することにより、該端子753と素子層752とが電気的に接続される。また構造体751は、素子層752と重なるように、なおかつ端子753が露出するように、構造体750及び素子層752上に積層されている。
【0101】
なお本実施の形態では薄膜トランジスタを例に挙げて説明しているが、本発明はこの構成に限定されない。薄膜トランジスタの他に、SOIを用いて形成されたトランジスタなども用いることができる。また、有機半導体を用いたトランジスタであっても良いし、カーボンナノチューブを用いたトランジスタであってもよい。
【0102】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0103】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0104】
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体基板(ボンド基板)から支持基板(ベース基板)に転置した半導体膜を用いて半導体素子を形成し、該半導体素子を構造体上に転置する、本発明の半導体装置の作製方法について説明する。
【0105】
まず図12(A)に示すように、ボンド基板200上に絶縁膜201を形成する。絶縁膜201は、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜201は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。例えば本実施の形態では、ボンド基板200に近い側から、窒素よりも酸素の含有量が高い酸化窒化珪素、酸素よりも窒素の含有量が高い窒化酸化珪素の順に積層された絶縁膜201を用いる。
【0106】
例えば酸化珪素を絶縁膜201として用いる場合、絶縁膜201はシランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場合、絶縁膜201の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。また、窒化珪素を絶縁膜201として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化珪素を絶縁膜201として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと酸化窒素の混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
【0107】
また絶縁膜201として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0108】
次に図12(A)に示すように、ボンド基板200に、矢印で示すように水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを添加し、ボンド基板200の表面から一定の深さの領域に、微小ボイドを有する欠陥層202を形成する。欠陥層202が形成される位置は、上記添加の加速電圧によって決まる。そして欠陥層202の位置により、ボンド基板200からベース基板204に転置する半導体膜208の厚さが決まるので、添加の加速電圧は半導体膜208の厚さを考慮して行う。当該半導体膜208の厚さは10nm乃至200nm、好ましくは10nm乃至50nmの厚さとする。例えば水素をボンド基板200に添加する場合、ドーズ量は1×1016乃至1×1017/cmとするのが望ましい。
【0109】
なお、欠陥層202を形成する上記工程において、ボンド基板200に高い濃度の水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを添加するので、ボンド基板200の表面が粗くなってしまい、ベース基板204との間における接合で十分な強度が得られない場合がある。絶縁膜201を設けることで、水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを添加する際にボンド基板200の表面が保護され、ベース基板204とボンド基板200の間における接合を良好に行うことが出来る。
【0110】
次に図12(B)に示すように、絶縁膜201上に絶縁膜203を形成する。絶縁膜203は、絶縁膜201と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜203は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。また絶縁膜203として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。本実施の形態では、絶縁膜203として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いる。
【0111】
なお絶縁膜201または絶縁膜203に窒化珪素、窒化酸化珪素などのバリア性の高い絶縁膜を用いることで、後に形成される半導体膜209にアルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がベース基板204から入るのを防ぐことができる。
【0112】
なお本実施の形態では、欠陥層202を形成した後に絶縁膜203を形成しているが、絶縁膜203は必ずしも設ける必要はない。ただし絶縁膜203は欠陥層202を形成した後に形成されるので、欠陥層202を形成する前に形成される絶縁膜201よりも、その表面の平坦性は高い。よって、絶縁膜203を形成することで、後に行われる接合の強度をより高めることができる。
【0113】
一方、図12(C)に示すように、ベース基板204上に絶縁膜205、剥離層206、絶縁膜207を順に形成する。
【0114】
絶縁膜205、絶縁膜207は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素、窒化珪素(SiNx、Si等)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y>0)、窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。
【0115】
絶縁膜205、絶縁膜207は、ベース基板204中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、後に形成される半導体膜209中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。また絶縁膜207は、剥離層206に含まれる不純物元素が半導体素子中に拡散するのを防ぎ、なおかつ後の半導体素子を剥離する工程において、半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐことができる。
【0116】
絶縁膜205、絶縁膜207は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜、膜厚50nmの窒化酸化珪素膜、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を順に積層して絶縁膜207を形成するが、各膜の材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない。例えば、下層の酸化窒化珪素膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン系樹脂をスピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法、印刷法などによって形成しても良い。また、中層の窒化酸化珪素膜に代えて、窒化珪素膜を用いてもよい。また、上層の酸化窒化珪素膜に代えて、酸化珪素膜を用いていても良い。また、それぞれの膜厚は、0.05〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
【0117】
或いは、剥離層206に最も近い、絶縁膜207の下層を酸化窒化珪素膜または酸化珪素膜で形成し、中層をシロキサン系樹脂で形成し、上層を酸化珪素膜で形成しても良い。
【0118】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0119】
酸化珪素膜は、SiH/O、TEOS(テトラエトキシシラン)/O等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によって形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiHとNHの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜は、代表的には、SiHとNOの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。
【0120】
剥離層206は、金属膜、金属酸化膜、金属膜と金属酸化膜とを積層して形成される膜を用いることができる。金属膜と金属酸化膜は、単層であっても良いし、複数の層が積層された積層構造を有していても良い。また、金属膜や金属酸化膜の他に、金属窒化物や金属酸化窒化物を用いてもよい。剥離層206は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。
【0121】
剥離層206に用いられる金属としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)等が挙げられる。剥離層206は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。
【0122】
また剥離層206は珪素(Si)単体で形成された膜を用いても良いし、珪素(Si)を主成分とする化合物で形成された膜を用いても良い。或いは、珪素(Si)と上記金属とを含む合金で形成された膜を用いても良い。珪素を含む膜は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれでもよい。
【0123】
剥離層206は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用いても良い。金属膜と金属酸化膜とが積層された剥離層206は、元となる金属膜を形成した後、該金属膜の表面を酸化または窒化させることで形成することができる。具体的には、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で元となる金属膜にプラズマ処理を行ったり、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で金属膜に熱処理を行ったりすればよい。また元となる金属膜上に接するように、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成することでも、金属膜の酸化を行うことが出来る。また元となる金属膜上に接するように、窒化酸化珪素膜、窒化珪素膜を形成することで、窒化を行うことが出来る。
【0124】
金属膜の酸化または窒化を行うプラズマ処理として、プラズマ密度が1×1011cm−3以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)などの高周波を用いた高密度プラズマ処理を行っても良い。
【0125】
なおもととなる金属膜の表面を酸化することで、金属膜と金属酸化膜とが積層した剥離層206を形成するようにしても良いが、金属膜を形成した後に金属酸化膜を別途形成するようにしても良い。例えば金属としてタングステンを用いる場合、スパッタ法やCVD法等によりもととなる金属膜としてタングステン膜を形成した後、該タングステン膜にプラズマ処理を行う。これにより、金属膜に相当するタングステン膜と、該金属膜に接し、なおかつタングステンの酸化物で形成された金属酸化膜とを、形成することができる。
【0126】
なおタングステンの酸化物はWOで表される。Xは2以上3以下の範囲内にあり、Xが2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11)、Xが3の場合(WO)となる。タングステンの酸化物を形成するにあたりXの値に特に制約はなく、エッチングレート等をもとにXの値を定めれば良い。
【0127】
次に、ボンド基板200とベース基板204とを接合により貼り合わせる前に、ボンド基板200に水素化処理を行うようにしても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中において350℃、2時間程度行う。
【0128】
そして図12(D)に示すように、ボンド基板200と、ベース基板204とを、絶縁膜203、絶縁膜207を間に挟むように貼り合わせる。絶縁膜203と絶縁膜207とが接合することで、ボンド基板200とベース基板204とを貼り合わせることができる。
【0129】
接合の形成はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固な接合が形成される。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、ベース基板204は様々なものを用いることが可能である。例えばベース基板204としては、アルミノシリケートガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板の他、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることが出来る。さらにベース基板204として、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの半導体基板などを用いることができる。或いは、ステンレス基板を含む金属基板をベース基板204として用いても良い。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、上記基板と比較して耐熱温度が一般的に低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであればベース基板204として用いることが可能である。プラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0130】
ボンド基板200として、シリコン、ゲルマニウムなどの単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。その他に、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体で形成された単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を、ボンド基板200として用いることができる。またボンド基板200として、結晶格子に歪みを有するシリコン、シリコンに対しゲルマニウムが添加されたシリコンゲルマニウムなどの半導体基板を用いていても良い。歪みを有するシリコンは、シリコンよりも格子定数の大きいシリコンゲルマニウムまたは窒化珪素上における成膜により、形成することができる。
【0131】
なおベース基板204とボンド基板200とを貼り合わせた後に、熱処理又は加圧処理を行っても良い。熱処理又は加圧処理を行うことで接合の強度を向上させることができる。
【0132】
ボンド基板200とベース基板204の間で、絶縁膜203と絶縁膜207の接合を行った後、熱処理を行うことにより、欠陥層202において隣接する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、図13(A)に示すように、欠陥層202においてボンド基板200が劈開し、ボンド基板200の一部であった半導体膜208が乖離する。熱処理の温度はベース基板204の耐熱温度以下で行うことが好ましく、例えば400℃乃至600℃の範囲内で熱処理を行えば良い。この剥離により、半導体膜208が、絶縁膜201及び絶縁膜203と共にベース基板204に転置される。その後、絶縁膜203と絶縁膜207の接合をさらに強固にするため、400℃乃至600℃の熱処理を行うのが好ましい。
【0133】
半導体膜208の結晶面方位はボンド基板200の面方位によって制御することができる。形成する半導体素子に適した結晶面方位を有するボンド基板200を、適宜選択して用いればよい。またトランジスタの移動度は半導体膜208の結晶面方位によって異なる。より移動度の高いトランジスタを得たい場合、チャネルの向きと結晶面方位とを考慮し、ボンド基板200の貼り合わせの方向を定めるようにする。
【0134】
次に、転置された半導体膜208の表面を平坦化する。平坦化は必ずしも必須ではないが、平坦化を行うことで、後に形成されるトランジスタにおいて半導体膜208とゲート絶縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に平坦化は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)または液体ジェット研磨などにより、行うことができる。半導体膜208の厚さは、上記平坦化により薄膜化される。
【0135】
なお本実施の形態では、欠陥層202の形成により半導体膜208をボンド基板200から剥離するスマートカット法を用いる場合について示すが、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)、誘電体分離法、PACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法などの、他の貼り合わせ法を用いて半導体膜208をベース基板204に貼り合わせるようにしても良い。
【0136】
次に、図13(B)に示すように、半導体膜208を所望の形状に加工(パターニング)することで、島状の半導体膜209を形成する。
【0137】
上記工程を経て形成された半導体膜209を用い、本発明はトランジスタ等の各種半導体素子を形成することが出来る。図13(C)には、半導体膜209を用いて形成されたトランジスタ210を例示している。
【0138】
次に図14(A)に示すように、トランジスタ210や配線等を用いて形成された集積回路を含む素子層211に、構造体212を加熱圧着する。そして、素子層211及び構造体212をベース基板204から剥離する。
【0139】
構造体212は、繊維体213に有機樹脂214が含浸された構造体が複数積層されたものを用いる。このような構造体212は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体212の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0140】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで、上記構造体212を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0141】
構造体212は、加熱圧着により有機樹脂214が可塑化または硬化する。なお、有機樹脂214が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂214は加熱及び圧着により、素子層211に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体212を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0142】
また剥離は剥離層206において行われる。剥離は、物理的な力による処理、例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理で行うことが可能である。剥離層206は、全て除去せず一部が残存した状態であっても良い。
【0143】
なお本実施の形態では、剥離層に金属酸化膜を用い、物理的手段により素子層211を剥離する方法を用いているが、本発明で用いられる剥離方法はこれに限定されない。例えば、透光性を有するベース基板204を用い、剥離層206に水素を含む非晶質珪素を用い、ベース基板204から剥離層206にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる水素を気化させて、ベース基板204を素子層211から剥離する方法を用いても良い。
【0144】
また上記剥離は、剥離層206のエッチングを用いた方法で行っても良い。この場合、剥離層206が一部露出するように溝を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング、UV光を含むレーザ光を用いた加工、フォトリソグラフィ法などにより、溝を形成する。溝は、剥離層206が露出する程度の深さを有していれば良い。そしてエッチングガスとしてフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝から導入する。本実施の形態では、例えばClF(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:800Pa、時間:3hの条件で行なう。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。ClF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層206が選択的にエッチングされ、ベース基板204を素子層211から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっても液体であってもどちらでも良い。
【0145】
また、ベース基板204を機械的に研磨し除去する方法や、ベース基板204をHF等の溶液を用いて溶解し基板を除去する方法を用いることで、素子層211をベース基板204から剥離することができる。この場合、剥離層206を用いる必要はない。
【0146】
次に図14(B)に示すように、素子層211の上記剥離により露出した面側に、繊維体215に有機樹脂216が含浸された構造体が複数積層された構造体217を重ねる。構造体217の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0147】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させることで、上記構造体217を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0148】
次に、構造体217を加熱圧着して、構造体217の有機樹脂216を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂216が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂216は加熱及び圧着により、素子層211に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体217を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0149】
なお構造体212と構造体217の間に、複数の半導体装置に対応する半導体素子を形成している場合には、素子層211を半導体装置ごとに分断する。分断は、レーザ照射装置、ダイシング装置、スクライブ装置、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断装置等を用いることができる。レーザ照射装置を用いる場合、レーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO、YVO、YLF、YAlOなどの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0150】
上記プロセスを経て、本発明の半導体装置が作製される。
【0151】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0152】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0153】
(実施の形態5)
本実施の形態では、素子層と重なるように複数の繊維体を積層し、該複数の繊維体に有機樹脂を含浸させることで、素子層に固着した構造体を形成する例について説明する。
【0154】
まず図15(A)に示すように、基板400上に素子層401を形成する。図15(A)では、素子層401と基板400の間に、後に素子層401を基板400から剥離し易くするための剥離層402を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。剥離方法によっては、剥離層402を設けなくとも良いし、適宜必要な層を追加しても良い。
【0155】
そして素子層401と重なるように、繊維体403を素子層401上に積層する。繊維体403は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、素子層401全面を覆う。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、繊維体403は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0156】
また、繊維体403は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等適宜用いることができる。
【0157】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体403の厚さを薄くすることが可能である。このため、薄型の半導体装置を作製することができる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くてもよい。また、繊維の太さは、4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くても良く、それらは繊維の材料に依存する。
【0158】
次に、図15(B)に示すように、繊維体403に有機樹脂404を含浸させる。そして、有機樹脂404を加熱して可塑化または硬化することで、素子層401上に固着された構造体405を形成する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0159】
有機樹脂404はエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層に固着することが可能である。なお、有機樹脂404はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0160】
有機樹脂404を含浸させる方法として、印刷法、キャスト法、液滴吐出法、ディップコート法等を用いることができる。
【0161】
有機樹脂404または繊維体403の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の不良を低減することができる。
【0162】
次に上記プロセスを繰り返すことで、図15Cにあるように構造体405上に新たに、繊維体409を有する構造体406、繊維体410を有する構造体407を、順に積層するように形成する。構造体405〜407により、複数の繊維体403、409、410が積層された構造体408を得ることができる。
【0163】
なお本実施の形態では、構造体408が3つの構造体405〜407を有しているが、本発明はこの構成に限定されない。構造体408が2つの構造体を有していても良いし、4つ以上の構造体を有していても良い。また、本実施の形態では構造体405〜407どうしが直接固着されているが、構造体405〜407間に別の層が設けられていても良い。
【0164】
次に、図16(A)に示すように、素子層401から基板400を剥離する。剥離は剥離層402において行うことができる。なお素子層401の剥離方法は、実施の形態3または実施の形態4に記載されているような、物理的な力を用いることで剥離層において素子層401と基板400を劈開させる方法、剥離層402に水素を含む非晶質珪素を用い、基板400から剥離層402にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる水素を気化させて、基板400を素子層401から剥離する方法、剥離層402のエッチングを用いた方法、基板400を機械的に研磨し除去する方法、基板400をHF等の溶液を用いて溶解し除去する方法などを用いることができる。
【0165】
次に、図16(B)に示すように、基板400の剥離によって露出した面に重なるように、繊維体411を重ね合わせた後、繊維体411に有機樹脂412を含浸させる。そして、有機樹脂412を加熱して可塑化または硬化することで、素子層401に固着された構造体413を形成する。構造体413は素子層401を間に挟んで構造体408と重なっている。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0166】
次に上記プロセスを繰り返すことで、図16Cにあるように構造体413と重なるように、繊維体416を有する構造体414、繊維体417を有する構造体415を、順に積層するように形成する。構造体413〜415により、複数の繊維体411、416、417が積層された構造体418を得ることができる。
【0167】
なお本実施の形態では、構造体418が3つの構造体413〜415を有しているが、本発明はこの構成に限定されない。構造体418が2つの構造体を有していても良いし、4つ以上の構造体を有していても良い。また、本実施の形態では構造体413〜415どうしが直接固着されているが、構造体413〜415間に別の層が設けられていても良い。
【0168】
また本実施の形態では、繊維体を重ねてから有機樹脂を含浸させるというプロセスを複数回繰り返すことで、複数積層された繊維体を有する構造体を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数積層された繊維体を素子層に重ねた後、該複数の繊維体に有機樹脂を含浸させることで、複数積層された繊維体を有する構造体を形成することもできる。
【0169】
なお、構造体408と、構造体418の膜厚を同程度とすることで、半導体装置に応力を加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層401に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0170】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0171】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0172】
(実施の形態6)
本実施の形態では、ICカードとも呼ばれる、カード状のRFタグの構成について説明する。
【0173】
図17(A)に、一対の構造体501、502と、該構造体501、502の間に設けられた素子層503とが、積層される順に並べられている様子を示す。また一対の構造体501、502と素子層503とが積層されることで形成されるRFタグの斜視図を、図17(B)に示す。
【0174】
各構造体501、502は、複数の積層された繊維体を有している。構造体502上にはアンテナ504が形成されており、素子層503が構造体502上に積層されることで、素子層503とアンテナ504とが電気的に接続される。そして素子層503及びアンテナ504を間に挟むように、構造体501と構造体502が重ね合わされている。
【0175】
なお、構造体501と、構造体502の膜厚を同程度とすることで、半導体装置に応力を加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層503に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0176】
また図17では、アンテナ504がコイル状である場合を図示しているが、本発明にて用いられるアンテナの形状はこれに限定されない。アンテナ504の形状は、無線で信号を受信できるものであれば良い。例えばダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどを用いることができる。アンテナの形状は、キャリアの波長、伝送方式に合わせて適宜選択すれば良い。
【0177】
また図17では、構造体502上にアンテナ504が形成されている例を示しているが、アンテナ504は構造体501及び構造体502とは異なる基板上に形成されていても良い。図18に、一対の構造体501、502と、該構造体501、502の間に設けられた素子層503と、アンテナ504が形成されたインレットシートとして機能する基板505とが、積層される順に並べられている様子を示す。
【0178】
図18では、素子層503が基板505上に積層されることで、素子層503とアンテナ504とが電気的に接続される。そして素子層503及び基板505を間に挟むように、構造体501と構造体502が重ね合わされている。
【0179】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0180】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0181】
(実施の形態7)
本実施の形態では、構造体の形状の一例について説明する。
【0182】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは様々な分野において実用化が進められており、新しい形態の通信情報端末としてさらなる市場の拡大が見込まれている。よってRFタグは様々な環境下における使用に耐えうることが求められており、そのためにRFタグの有する構造体は、外力が加えられてもひび、かけなどの破損が生じにくいものであることが望ましい。本実施の形態では、構造体の各隅が丸みを帯びたような形状にすることで、構造体のひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。また本実施の形態では、構造体の形状を、全ての外角が60度以下となるような多角形にすることで、構造体のひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0183】
図19(A)は、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの上面図である。図19(A)に示すRFタグは、構造体520と、集積回路を含む素子層521と、アンテナ522とを有する。素子層521及びアンテナ522は、構造体520上に配置されている。なお図19(A)では、RFタグの構成を明確にするため、構造体520を1つだけ示しているが、本発明のRFタグは一対の構造体を有している。よって、実際には素子層521及びアンテナ522を構造体520との間に挟むように、もう一つ構造体が設けられる。
【0184】
構造体520は、矩形の四隅が丸みを帯びたような形状を有している。図19(B)を用いて、構造体520の形状について詳しく説明する。構造体520を矩形に見立てたときに、破線523で示す該矩形の向かい合う2辺の距離をLとする。ただしLは最も短い値を採用する。また、構造体520の各隅における曲率半径をRとする。本実施の形態では、RをL/5〜L/50とすることで、外力が加えられたときに、構造体520にひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0185】
また図19(C)に、本発明のRFタグが有する構造体の、図19(B)とは異なる形状を示す。図19(C)に示す構造体530は、矩形の四隅が三角形に切り落とされたような形状を有している。構造体530が有する各隅531を、その外角が35度以上55度以下とすることで、外力が加えられたときに、構造体530にひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0186】
また図19(C)に示す構造体530の各隅に、丸みを持たせるようにしても良い。この場合、構造体530を矩形に見立てたときに、破線532で示す該矩形の向かい合う2辺の距離をLとする。ただしLは最も短い値を採用する。また、構造体530の各隅における曲率半径をRとする。本実施の形態では、RをL/5〜L/50とすることで、外力が加えられたときに、構造体530にひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0187】
なお本実施の形態では、構造体を矩形に見立てたときの向かい合う辺の距離をLとした。しかし、互いに平行な辺を有しておらず矩形に見立てるのが困難な構造体の場合は、任意の辺の中点と、該任意の辺の垂直二等分線が他の辺に交わる交点との距離をLとする。なお、Lが複数有る場合は、最も小さい値を採用する。
【0188】
上記構成により、RFタグの外力に対する信頼性を高めることができ、よってRFタグが使用可能な環境の条件を広げ、延いてはRFタグの用途の幅を広げることが可能になる。
【0189】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0190】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有する素子層の、トランジスタの一例について説明する。
【0191】
図20(A)に、本実施の形態のトランジスタの上面図を示す。図20(A)に示すトランジスタは、活性層として用いる半導体膜601と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を間に挟んで半導体膜601と重なる電極602とを有している。また半導体膜601のうち、ソースまたはドレインとして機能する不純物領域606、607に、配線603と、配線604がそれぞれ接続されている。なお半導体膜601と電極602の構成を明確にするために、図20(A)ではゲート絶縁膜を示さず、半導体膜601、電極602、配線603、配線604のみを図示している。
【0192】
半導体膜601のうち、不純物領域606、607の間にあって、なおかつゲート絶縁膜を間に挟んで電極602と重なる部分がチャネル形成領域605に相当する。図20(A)に示すトランジスタでは、半導体膜601が互いに分離した複数のチャネル形成領域605を有している。
【0193】
図20(A)のように互いに分離した複数のチャネル形成領域を有するマルチチャネル構造のトランジスタを用いることで、外力によりチャネル形成領域の1つが破壊されても、残りのチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、マルチチャネル構造のトランジスタを用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めることができる。
【0194】
また図20(A)のようなマルチチャネル構造のトランジスタの代わりに、並列に接続された複数のトランジスタを用いても良い。図20(B)に、並列に接続された複数のトランジスタの上面図を示す。図20(B)に示すトランジスタ611〜613は、活性層として用いる半導体膜614〜616と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を間に挟んで半導体膜614〜616と重なる電極617とをそれぞれ有している。また半導体膜614〜616のうち、ソースとして機能する不純物領域618〜620には配線624が、ドレインとして機能する不純物領域621〜623には配線625が、それぞれ接続されている。なお半導体膜614〜616の構成を明確にするために、図20(B)ではゲート絶縁膜を示さず、半導体膜614〜616、電極617、配線624、配線625のみを図示している。
【0195】
トランジスタ611〜613は互いにソースが接続されており、また互いにドレインも接続されている。そしてゲートとして機能する電極617を共有している。よって、図20(A)に示したマルチチャネル構造のトランジスタと同様に、半導体膜614〜616のいずれかが外力によりチャネル形成領域において破壊されても、残りの半導体膜が有するチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、互いに並列に接続された複数のトランジスタを用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めることができる。
【0196】
次に、マルチチャネル構造を有するトランジスタを用いた各種回路の具体的な構成について、インバータを例に挙げて説明する。インバータの回路図を図21(A)に、また図21(A)に示すインバータの上面図を図21(B)に、一例として示す。
【0197】
図21(A)に示すインバータは、pチャネル型のトランジスタ2001と、nチャネル型のトランジスタ2002とを有する。トランジスタ2001とトランジスタ2002は直列に接続されている。具体的には、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ2002のドレインが接続されている。そして、トランジスタ2001のドレイン及びトランジスタ2002のドレインの電位は、出力端子OUTに与えられる。
【0198】
またトランジスタ2001のゲートとトランジスタ2002のゲートは接続されている。そして、入力端子INに入力された信号の電位は、トランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートに与えられる。トランジスタ2001のソースにはハイレベルの電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースにはローレベルの電圧VSSが与えられる。
【0199】
図21(B)に示すインバータでは、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ2002のドレインは、配線2003を介して電気的に接続されている。そして配線2003は配線2004に接続されている。よって、トランジスタ2001のドレイン及びトランジスタ2002のドレインの電位は、配線2003及び配線2004を介して、出力端子OUTの電位として後段の回路に与えられる。
【0200】
また図21(B)に示すインバータでは、配線2005の一部がトランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートとして機能している。そして配線2005に与えられた電位が、入力端子INの電位としてトランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートに与えられる。そしてトランジスタ2001のソースには、配線2006を介して電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースには、配線2007を介して電圧VSSが与えられている。
【0201】
トランジスタ2002が有する半導体膜2008と、トランジスタ2001が有する半導体膜2010とは、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有している。半導体膜2008及び半導体膜2010の形状を明確にするため、図21(B)に示すインバータのうち、半導体膜2008、半導体膜2010のみを図21(C)に示す。図21(C)に示すように、半導体膜2008及び半導体膜2010は互いに分離した複数のチャネル形成領域を有しているため、外力によりチャネル形成領域の1つが破壊されても、残りのチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、マルチチャネル構造のトランジスタ2001、トランジスタ2002を用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めることができる。
【0202】
次に、マルチチャネル構造を有するトランジスタを用いた各種回路の具体的な構成について、NAND回路を例に挙げて説明する。NAND回路の回路図を図22(A)に、また図22(A)に示すNAND回路の上面図を図22(B)に、一例として示す。
【0203】
図22(A)に示すNAND回路は、pチャネル型のトランジスタ3001と、pチャネル型のトランジスタ3002と、nチャネル型のトランジスタ3003と、nチャネル型のトランジスタ3004とを有する。トランジスタ3001と、トランジスタ3003と、トランジスタ3004とは、順に直列に接続されている。またトランジスタ3001と、トランジスタ3002とは並列に接続されている。
【0204】
具体的にトランジスタ3001のソースとドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDDが与えられ、他方は出力端子OUTに接続されている。トランジスタ3002のソースとドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDDが与えられ、他方は出力端子OUTに接続されている。トランジスタ3004のソースとドレインは、一方にはローレベルの電圧VSSが与えられている。トランジスタ3003のソースとドレインは、一方は出力端子OUTに接続されている。そして、トランジスタ3003のソースとドレインの他方と、トランジスタ3004のソースとドレインの他方とが接続されている。トランジスタ3001のゲートと、トランジスタ3003のゲートには、入力端子IN1の電位が与えられる。またトランジスタ3002のゲートと、トランジスタ3004のゲートには、入力端子IN2の電位が与えられる。
【0205】
図22(B)に示すNAND回路では、直列に接続されているトランジスタ3001とトランジスタ3002とが、半導体膜3005を共有している。また直列に接続されているトランジスタ3003とトランジスタ3004とが、半導体膜3006を共有している。また配線3007の一部はトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲートとして機能している。そして配線3007に与えられた電位が、入力端子IN1の電位としてトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲートに与えられる。配線3008の一部はトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲートとして機能している。そして配線3008に与えられた電位が、入力端子IN2の電位としてトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲートに与えられる。
【0206】
ハイレベルの電圧VDDは、配線3009を介してトランジスタ3001のソースとドレインの一方、及びトランジスタ3002のソースとドレインの一方に与えられる。またローレベルの電圧VSSは、配線3010を介してトランジスタ3004のソースとドレインの一方に与えられる。トランジスタ3001のソースとドレインの他方、トランジスタ3002のソースとドレインの他方、及びトランジスタ3003のソースとドレインの一方は、その電位が配線3011及び配線3012を介して出力端子OUTの電位として後段の回路に与えられる。
【0207】
半導体膜3005及び半導体膜3006は、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有している。半導体膜3005及び半導体膜3006の形状を明確にするため、図22(B)に示すNAND回路のうち、半導体膜3005、半導体膜3006のみを図22(C)に示す。図22(C)に示すように、半導体膜3005及び半導体膜3006は互いに分離した複数のチャネル形成領域を有しているため、外力によりチャネル形成領域の1つが破壊されても、残りのチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、マルチチャネル構造のトランジスタ3001〜3004を用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めることができる。
【0208】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0209】
(実施の形態9)
本発明者らは、カレンダーロールで局所的な線圧を加えたときの、半導体装置の動作率について試験した。
【0210】
試験には、RFタグを半導体装置として用いた。全てのサンプルにおいて、RFタグは、集積回路とアンテナとを同一の基板に形成(一体形成)するオンチップタイプである。また、全てのサンプルにおいて、集積回路及びアンテナを有する素子層は、一対のプリプレグで挟まれており、なおかつ集積回路及びアンテナと、一対のプリプレグとは、紙に漉き込まれている。
【0211】
そして、試験には、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルA)、2層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルB)、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルC)、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルD)を用いた。サンプルA〜サンプルCで用いられている繊維体は、糸束径が4μmのガラス繊維を50本有している。サンプルDで用いられている繊維体は、糸束径が4μmのガラス繊維を100本有している。全てのサンプルにおいて、繊維体は経糸及び緯糸により平織りに製織されている。
【0212】
なお、サンプルAでは、加熱圧着する前の一対の各プリプレグの厚さが15μmである。そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルAのトータルの厚さは、約32.7μmである。サンプルBでは、一対の各プリプレグが、サンプルAに用いられる厚さ15μmのプリプレグを2層積層して加熱圧着することにより、形成されている。そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルBのトータルの厚さは、約63.0μmである。サンプルCでは樹脂厚を2倍とし、加熱圧着する前の一対の各プリプレグの厚さが30μmである。そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルCのトータルの厚さは、約58.0μmである。サンプルDでは樹脂厚を2倍とし、加熱圧着する前の一対の各プリプレグの厚さが30μmである。そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルDのトータルの厚さは、57.5μmである。
【0213】
また、サンプルA〜サンプルDの全てにおいて、RFタグの面積は10.5mm×12.0mmである。さらに、サンプルAとRFタグの面積のみが異なるサンプルA’、サンプルBとRFタグの面積のみが異なるサンプルB’、サンプルCとRFタグの面積のみが異なるサンプルC’、サンプルDとRFタグの面積のみが異なるサンプルD’についても、併せて試験を行った。サンプルA’〜サンプルD’におけるRFタグの面積は、9.0mm×9.5mmである。
【0214】
そして、サンプルA〜サンプルD、サンプルA’〜 サンプルD’は、坪量約150g/cmになるように、集積回路及びアンテナと、一対のプリプレグとが、紙に漉き込まれている。
【0215】
試験では、カレンダーロールを用いて各サンプルに線圧を加えた。カレンダーロールには、金属製の丸い筒状の第1ロールと、ウレタン系ゴム製の丸い筒状の第2ロールとを用いた。第1ロールの温度は100℃、第2ロールの温度は75℃とした。そして、第1ロールと第2ロールの間にサンプルを挿入し、ロール速度7000mm/minとなるように第1ロール及び第2ロールを回転させることで、サンプル全体に線圧を加えた。線圧は、第1ロールと第2ロールの間にかかる圧力を、第1ロールと第2ロールとが接する幅で除した値に相当する。本試験では、線圧100kg/cmと、線圧200kg/cmとの2条件を用いた。
【0216】
表1に、カレンダーロールにより線圧を加える前に正常に動作した各サンプルの数(処理前サンプル数)と、線圧が加えられた後に正常に動作した各サンプルの数(処理後サンプル数)と、動作率とを、線圧ごとに示す。なお、正常に動作したか否かの判断は、正しい識別番号を非接触で読み取れたかどうかで行った。動作率は、処理前サンプル数に対する処理後サンプル数の割合で算出した。
【0217】
【表1】

【0218】
表1に示す動作率をサンプルA〜サンプルDで比較すると、いずれの線圧においても、サンプルBの動作率が最も高くなった。また、表1に示す動作率をサンプルA’〜サンプルD’で比較すると、いずれの線圧においても、サンプルB’の動作率が最も高くなった。従って、本実施の形態で示した試験の結果から、同程度の厚さを有するプリプレグであっても、積層された繊維体を有するプリプレグを用いた方が、線圧に対する半導体装置の信頼性を高くできることが分かる。
【実施例1】
【0219】
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの構成について説明する。図23は本発明のRFタグの一形態を示すブロック図である。図23においてRFタグ900は、アンテナ901と、集積回路902とを有している。集積回路902は、電源回路903、復調回路904、変調回路905、レギュレータ906、制御回路907、メモリ909を有している。本発明の整流回路は、電源回路903、復調回路904において用いることができる。
【0220】
質問器から電波が送られてくると、アンテナ901において該電波が交流電圧に変換される。電源回路903では、アンテナ901からの交流電圧を整流し、電源用の電圧を生成する。電源回路903において生成された電源用の電圧は、制御回路907とレギュレータ906に与えられる。レギュレータ906は、電源回路903からの電源用の電圧を安定化させるか、またはその高さを調整した後、集積回路902内の復調回路904、変調回路905、制御回路907またはメモリ909などの各種回路に供給する。
【0221】
復調回路904は、アンテナ901が受信した交流信号を復調して、後段の制御回路907に出力する。制御回路907は復調回路904から入力された信号に従って演算処理を行い、別途信号を生成する。上記演算処理を行う際に、メモリ909は一次キャッシュメモリまたは二次キャッシュメモリとして用いることが出来る。また制御回路907は、復調回路904から入力された信号を解析し、質問器から送られてきた命令の内容に従って、メモリ909内の情報の出力、またはメモリ909内における命令の内容の保存を行う。制御回路907から出力される信号は符号化され、変調回路905に送られる。変調回路905は該信号に従ってアンテナ901が受信している電波を変調する。アンテナ901において変調された電波は質問器で受け取られる。そしてRFタグ900から出力された情報を知ることができる。
【0222】
このようにRFタグ900と質問器との通信は、キャリア(搬送波)として用いる電波を変調することで行われる。キャリアは、125kHz、13.56MHz、950MHzなど規格により様々である。また変調の方式も規格により振幅変調、周波数変調、位相変調など様々な方式があるが、規格に即した変調方式であればどの変調方式を用いても良い。
【0223】
信号の伝送方式は、キャリアの波長によって電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式など様々な種類に分類することが出来る。電磁結合方式や電磁誘導方式の場合、強い電波にRFタグがさらされることで、アンテナに過度に大きい交流電圧が生じてしまう恐れがある。本発明の整流回路を用いることは、過度に大きい交流電圧によって集積回路内の半導体素子が劣化または破壊されるのを防止することができるので、電磁結合方式や電磁誘導方式の場合は特に有効である。
【0224】
メモリ909は不揮発性メモリであっても揮発性メモリであってもどちらでも良い。メモリ909として、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、有機メモリ等などを用いることが出来る。
【0225】
本実施例では、アンテナ901を有するRFタグ900の構成について説明しているが、本発明のRFタグは必ずしもアンテナを有していなくとも良い。また図23に示したRFタグに、発振回路または二次電池を設けても良い。
【0226】
また図23では、アンテナを1つだけ有するRFタグの構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。電力を受信するためのアンテナと、信号を受信するためのアンテナとの、2つのアンテナを有していても良い。アンテナが1つだと、例えば950MHzの電波で電力の供給と信号の伝送を両方行う場合、遠方まで大電力が伝送され、他の無線機器の受信妨害を起こす可能性がある。そのため、電力の供給は電波の周波数を下げて近距離にて行う方が望ましいが、この場合通信距離は必然的に短くなってしまう。しかしアンテナが2つあると、電力を供給する電波の周波数と、信号を送るための電波の周波数とを使い分けることができる。例えば電力を送る際は電波の周波数を13.56MHzとして電磁誘導方式を用い、信号を送る際は電波の周波数を950MHzとして電波方式を用いることができる。このように機能合わせてアンテナを使い分けることによって、電力の供給は近距離のみの通信とし、信号の伝送は遠距離も可能なものとすることができる。
【0227】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは外力に対する信頼性が高いので、RFタグが使用可能な環境の条件を広げ、延いてはRFタグの用途の幅を広げることが可能になる。
【0228】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0229】
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるCPU(central processing unit)の構成について説明する。
【0230】
図24に、本実施例のCPUの構成をブロック図で示す。図24に示すCPUは、基板800上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)801、演算回路用制御部(ALU Controller)802、命令解析部(Instruction Decoder)803、割り込み制御部(Interrupt Controller)804、タイミング制御部(Timing Controller)805、レジスタ(Register)806、レジスタ制御部(Register Controller)807、バスインターフェース(Bus I/F)808、メモリ809、メモリ用インターフェース820を主に有している。メモリ809及びメモリ用インターフェース820は、別チップに設けても良い。勿論、図24に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0231】
バスインターフェース808を介してCPUに入力された命令は、命令解析部803においてデコードされた後、演算回路用制御部802、割り込み制御部804、レジスタ制御部807、タイミング制御部805に入力される。演算回路用制御部802、割り込み制御部804、レジスタ制御部807、タイミング制御部805は、デコードされた命令にもとづき、各種制御を行なう。具体的に演算回路用制御部802は、演算回路801の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部804は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部807は、レジスタ806のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ806の読み出しや書き込みを行なう。
【0232】
またタイミング制御部805は、演算回路801、演算回路用制御部802、命令解析部803、割り込み制御部804、レジスタ制御部807の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部805は、基準クロック信号をもとに、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0233】
本発明の半導体装置の一つであるCPUは、外力に対する信頼性が高い。よって、本発明のCPUを用いた電子機器、特に使用者が持ち運ぶことを前提とした携帯用の電子機器の、振動、衝撃に対する機械的強度をより高めることができる。
【0234】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例3】
【0235】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは可撓性を有しているため、可撓性を有する対象物、或いは曲面を有する対象物に、貼り合わせるのに好適である。また本発明のRFタグは振動や衝撃に強いだけではなく、局所的な押圧に対する信頼性も高いため、用途の幅が広い。
【0236】
本発明のRFタグが有する集積回路の中に、データの書き換えができないROMなどのメモリを形成しておけば、RFタグが取り付けられた対象物の偽造を防止することができる。また例えば、産地、生産者などによって商品価値が大きく左右される食料品に、本発明のRFタグを用いることは、産地、生産者などの偽装を防止するのに有用である。
【0237】
具体的に本発明のRFタグは、例えば、荷札、値札、名札など、対象物の情報を有するタグに取り付けて用いることができる。或いは、本発明のRFタグ自体をタグとして用いても良い。また例えば、戸籍謄本、住民票、パスポート、免許証、身分証、会員証、鑑定書、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード、診察券、定期券など、事実を証明する文書に相当する証書に取り付けても良い。また例えば、手形、小切手、貨物引換証、船貨証券、倉庫証券、株券、債券、商品券、抵当証券など、私法上の財産権を表示する証券に相当する有価証券に取り付けても良い。
【0238】
また例えば、商品のラベルに本発明のRFタグを付けておき、該RFタグを用いて商品の流通を管理するような利用の仕方も可能である。
【0239】
図25(A)に示すように、裏面が粘着性を有する商品のラベル1301などの支持体に、本発明のRFタグ1302を取り付ける。そして、RFタグ1302が取り付けられたラベル1301を、商品1303に装着する。商品1303に関する識別情報は、ラベル1301に貼り合わされたRFタグ1302から、無線で読み取ることが可能である。よってRFタグ1302により、流通の過程において、商品の管理が容易になる。本発明のRFタグは、可撓性を有するラベル1301に取り付けられても、応力により破壊されにくいというメリットを有している。よって、本発明のRFタグを用いたラベル1301は、曲面を有する対象物に貼り合わせるのに好適である。また、本発明のRFタグ1302は押圧に対する信頼性が高いので、流通の過程でRFタグ1302が破壊されにくい。
【0240】
例えば、RFタグ1302内の集積回路が有するメモリとして、書き込みが可能な不揮発性メモリを用いている場合、商品1303の流通のプロセスを記録することができる。また商品の生産段階におけるプロセスを記録しておくことで、卸売業者、小売業者、消費者が、産地、生産者、製造年月日、加工方法などを把握することが容易になる。
【0241】
また、書籍、DVD、CDなど内在している情報に価値を有する商品の場合、内在する情報全てを開示できるようにすると商品としての価値が下がり、かといって全く開示しないと商品としての価値が把握しにくいという問題を有している。上記商品を、本発明のRFタグを取り付けた包装材で包装し、RFタグに商品が有する情報の一部を記憶させておくことで、商品の価値を下げることなく、商品の価値を客に把握してもらうことができる。図25(B)に、書籍1311を、本発明のRFタグ1313を取り付けた包装材1312で包装している様子を示す。
【0242】
そして、例えば携帯電話のような携帯情報端末に質問器としての機能を付加しておくことで、客が書籍1311の内容を一部把握することができる。
【0243】
上記構成により、商品に内在している情報を全て開示せずとも、客が商品の内容を把握することが可能になる。
【0244】
図25(C)に、本発明のRFタグ1320を取り付けた、無記名債券類1321の一例を示す。無記名債券類1321には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。なおRFタグ1320は無記名債券類1321の内部に形成しても良いし、無記名債券類1321の表面に露出させるように形成しても良い。本発明のRFタグは、可撓性を有する無記名債券類1321に取り付けられても、応力により破壊されにくいというメリットを有している。
【0245】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例4】
【0246】
本発明の半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図26に示す。
【0247】
図26(A)は携帯電話であり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、音声出力部2104、操作キー2105を有する。表示部2102またはその他集積回路に本発明の半導体装置を用いることで、外力に対する信頼性が高い携帯電話が得られる。
【0248】
図26(B)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を有する。表示部2602またはその他集積回路に本発明の半導体装置を用いることで、外力に対する信頼性が高いビデオカメラが得られる。
【0249】
図26(C)は映像表示装置であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403等を有する。表示部2402またはその他集積回路に本発明の半導体装置を用いることで、外力に対する信頼性が高い映像表示装置が得られる。なお、映像表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの、映像を表示するための全ての映像表示装置が含まれる。
【0250】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【0251】
本実施例は、上記実施の形態または上記実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】本発明の半導体装置の断面図。
【図2】押圧に対する動作率を表すグラフ。
【図3】サンプルA〜サンプルEの断面図。
【図4】繊維体の構造を示す図。
【図5】複数の繊維体を順に重ね合わせている様子を示す図と、応力により撓んだ半導体装置の外観図。
【図6】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図7】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図8】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図9】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図10】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図11】一対の構造体と素子層とが積層される順に並べられている様子を示す図と、半導体装置の斜視図。
【図12】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図13】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図14】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図15】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図17】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図18】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図19】本発明の半導体装置が有する構造体の上面図。
【図20】本発明の半導体装置が有するトランジスタの上面図。
【図21】本発明の半導体装置が有するインバータの構成を示す図。
【図22】本発明の半導体装置が有するNAND回路の回路図と上面図。
【図23】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図24】本発明のCPUの構成を示す図。
【図25】本発明のRFタグの利用形態を示す図。
【図26】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【符号の説明】
【0253】
101 構造体
102 構造体
103 素子層
104 有機樹脂
105 有機樹脂
110 経糸
111 緯糸
112 バスケットホール
120 繊維体
121 繊維体
122 繊維体
123 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
島状の半導体膜を用いた半導体素子を有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
島状の半導体膜を用いた半導体素子を有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記一対の構造体は、一方の厚さに対する他方の厚さの比が0.8以上1.2以下であり、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
島状の半導体膜を用いたトランジスタを有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記トランジスタは、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有しており、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
島状の半導体膜を用いたトランジスタを複数有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記複数のトランジスタは、互いにゲート、ソース、ドレインがそれぞれ接続されており、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記繊維体は織布または不織布であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
島状の半導体膜を用いた半導体素子を有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記複数の各繊維体は、有機化合物または無機化合物の単糸が複数束ねられた経糸及び緯糸を用いており、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
島状の半導体膜を用いた半導体素子を有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記複数の各繊維体は、有機化合物または無機化合物の単糸が複数束ねられた経糸及び緯糸を用いており、
前記複数の繊維体のうち少なくとも2つの繊維体は、前記経糸及び前記緯糸の方向が互いにずれており、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項において、前記繊維体は、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維を用いることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項において、前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項9において、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−16808(P2009−16808A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146459(P2008−146459)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】