説明

半導体装置

【課題】回路規模またはメモリ容量を確保しつつも、外力、特に押圧に対する信頼性を高めることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】有機化合物または無機化合物の繊維体101a〜101c,102a〜102cを複数層、特に3層以上積層したものに有機樹脂104を含浸した一対の構造体101,102と、一対の構造体101,102の間に設けられた素子層103とを有する。素子層103と構造体101,102とは、加熱圧着により固着させることができる。または素子層103と構造体101,102とを固着させるための層を設けても良い。或いは、素子層103に繊維体101a〜101c,102a〜102cを複数重ねた後、繊維体101a〜101c,102a〜102cに有機樹脂104を含浸させることで、素子層103に固着した構造体101,102を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性を有する基板を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する基板は、ガラス基板と比較して振動、衝撃に対する機械的強度に優れ、厚
さを抑えやすく、形状の自由度が高いというメリットを有している。そのため、該可撓性
を有する基板を用いた半導体装置には、様々なアプリケーションが期待されている。上記
可撓性を有する基板の中には、半導体素子の作製工程における熱処理に耐え得るほど、耐
熱性に優れていないものがある。この場合、別途用意した耐熱性を有する基板において半
導体素子を形成した後、該半導体素子を基板から剥離し、可撓性を有する基板に貼り合わ
せるという作製方法が提案されている。
【0003】
本出願人は、特許文献1や特許文献2に記載の剥離および転写技術を提案している。特許
文献1には剥離層となる酸化珪素層をウェットエッチングで除去して剥離する技術が記載
されている。また、特許文献2には剥離層となるシリコン層をドライエッチングで除去し
て剥離する技術が記載されている。また、本出願人は特許文献3に記載の剥離および転写
技術を提案している。特許文献3には、基板に金属層(Ti、Al、Ta、W、Mo、C
u、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)を形成し、その上
に酸化物層を積層形成する際、該金属層の金属酸化物層を金属層と酸化物層との界面に形
成し、この金属酸化物層を利用して後の工程で剥離を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3364081号公報
【特許文献2】特許第3406727号公報
【特許文献3】特開2003−174153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体装置に様々な機能を追加するためには、半導体装置が有する集積回路の
回路規模やメモリ容量を必然的により大きくせざるを得ない。しかし、回路規模やメモリ
容量を増大させると、それに伴い半導体装置が有する集積回路の専有面積も増大する傾向
にあるので、外から加えられる力(外力)に対する半導体装置の信頼性が落ちてしまう。
そのため、上述したような、様々なアプリケーションが期待できるという可撓性を有する
基板のメリットが、十分に生かせないという問題が生じる。また半導体装置の面積は変わ
らなくとも、可撓性を有する基板を用いる場合、外部から局所的にかかる圧力(押圧)に
対する信頼性に関しては、改善の余地が残されていた。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、回路規模またはメモリ容量を確保しつつも、外力、特に押圧
に対する信頼性を高めることができる、半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸されている構造体
に着目し、上記繊維体が複数層、特に3層以上積層された一対の構造体の間に、薄膜の半
導体膜を用いて形成された半導体素子を有する素子層を設けることで、外力、特に押圧に
対する半導体装置の信頼性が飛躍的に高くなることを見出した。
【0008】
具体的に本発明の半導体装置では、有機化合物または無機化合物の繊維体を複数層、特に
3層以上積層したものに有機樹脂を含浸した一対の構造体と、該一対の構造体の間に設け
られた素子層とを有する。素子層と上記構造体とは、加熱圧着により固着させることがで
きる。または素子層と上記構造体とを固着させるための層を設けても良い。或いは、素子
層に繊維体を複数重ねた後、該繊維体に有機樹脂を含浸させることで、素子層に固着した
上記構造体を形成することができる。
【0009】
素子層の厚さは1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下であり、一対の
構造体のトータルの厚さは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。このよ
うな厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0010】
繊維体としては、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布で
ある。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率が高い繊維である。繊維体
として高強度繊維を用いることにより、局所的な押圧が半導体装置にかかったとしても、
当該圧力が繊維体全体に分散し、半導体装置の一部が延伸することを防ぐことができる。
即ち、一部の延伸に伴う配線、半導体素子等の破壊を防止することが可能である。
【0011】
また、有機樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の半導体装置の断面図。
【図2】押圧に対する動作率を表すグラフ。
【図3】サンプルA〜サンプルEの断面図。
【図4】繊維体の構造を示す図。
【図5】複数の繊維体を順に重ね合わせている様子を示す図と、応力により撓んだ半導体装置の外観図。
【図6】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図7】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図8】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図9】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図10】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図11】一対の構造体と素子層とが積層される順に並べられている様子を示す図と、半導体装置の斜視図。
【図12】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図13】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図14】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図15】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を示す図。
【図17】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図18】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図19】本発明の半導体装置が有する構造体の上面図。
【図20】本発明の半導体装置が有するトランジスタの上面図。
【図21】本発明の半導体装置が有するインバータの構成を示す図。
【図22】本発明の半導体装置が有するNAND回路の回路図と上面図。
【図23】本発明のRFタグの構成を示す図。
【図24】本発明のCPUの構成を示す図。
【図25】本発明のRFタグの利用形態を示す図。
【図26】本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1に、本発明の半導体装置の断面図を一例として示す。図1に示す半導体装置では、構
造体101と、構造体102と、一対の構造体101、102の間に設けられた素子層1
03とを有する。構造体101は、有機化合物または無機化合物の繊維体101a、繊維
体101b、繊維体101cと、繊維体101a〜101cに含浸された有機樹脂104
とを有する。繊維体101a、繊維体101b、繊維体101cは積層されている。同様
に、構造体102は、有機化合物または無機化合物の繊維体102a、繊維体102b、
繊維体102cと、繊維体102a〜102cに含浸された有機樹脂105とを有する。
繊維体102a、繊維体102b、繊維体102cは積層されている。
【0016】
なお本実施の形態では、各構造体において3層の繊維体が積層されている場合を例示して
いるが、本発明はこの構成に限定されない。各構造体において2層の繊維体が積層されて
いても良いし、4層以上の繊維体が積層されていても良い。また構造体101と、構造体
102とは、有する繊維体の数が異なっていても良い。
【0017】
また図1において、素子層103と構造体101、102とが直接固着しているが、接着
剤として機能する接着層によって固着されていても良い。
【0018】
構造体101と構造体102の厚さを同程度、具体的には、一方の構造体の厚さに対する
他方の構造体の厚さの比が、0.8以上1.2以下となるようにし、有機樹脂104と有
機樹脂105の材料を同じにすることで、半導体装置の反りを低減することができる。ま
た構造体101と構造体102の厚さを同程度、具体的には、一方の構造体の厚さに対す
る他方の構造体の厚さの比が、0.8以上1.2以下とすることで、半導体装置に応力を
加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層103に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、
よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0019】
具体的に構造体101と構造体102とを重ね合わせた厚さは、20μm以上100μm
以下であることが望ましい。上記厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可
能な半導体装置を作製することができる。
【0020】
また有機樹脂104、有機樹脂105として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹
脂を用いることができる。或いは有機樹脂104、有機樹脂105として、ポリフェニレ
ンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いる
ことができる。また有機樹脂104、有機樹脂105として、上記熱可塑性樹脂及び上記
熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体
を素子層103に固着することが可能である。なお、有機樹脂104、有機樹脂105は
ガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0021】
有機樹脂104、有機樹脂105または繊維の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させて
もよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アル
ミナ等が挙げられる。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。
高熱伝導性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより素子層103での
発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半
導体装置の破壊を低減することができる。
【0022】
繊維体101a〜101c、繊維体102a〜102cは、有機化合物または無機化合物
の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、素子層103全面と重なるように配置す
る。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強
度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミ
ド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサ
ゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス
、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、繊維体10
1a〜101c、繊維体102a〜102cは、一種類の上記高強度繊維で形成されても
よい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0023】
また、繊維体101a〜101c、繊維体102a〜102cは、繊維(単糸)の束(以
下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をラ
ンダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、
しゅす織り等を適宜用いることができる。
【0024】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした
高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸
束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を
削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束と
して低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板
形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体10
1a〜101c、102a〜102cを薄くすることが可能である。このため、構造体1
01、構造体102を薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することがで
きる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下に
おいて本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くてもよい。また、繊維の太さは、
4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くても良
く、それらは繊維の材料に依存する。
【0025】
なお、本明細書の図面においては、繊維体101a〜101c、102a〜102cは、
断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0026】
繊維糸束を経糸及び緯糸として製織した織布である繊維体101a〜101c、102a
〜102cの上面図を図4に示す。
【0027】
図4(A)に示すように、繊維体101a〜101c、102a〜102cは、一定間隔
をあけた経糸110と、一定間隔をあけた緯糸111とで織られている。このような経糸
110及び緯糸111を用いて製織された繊維体には、経糸110及び緯糸111が存在
しない領域(バスケットホール112)を有する。このような繊維体101a〜101c
、102a〜102cは、有機樹脂104、105が含浸される割合が高まり、繊維体1
01a〜101c、102a〜102cと素子層103の密着性を高めることができる。
【0028】
また繊維体101a〜101c、102a〜102cは、図4(B)に示すように、経糸
110及び緯糸111の密度が高く、バスケットホール112の割合が低いものでもよい
。代表的には、バスケットホール112の大きさが、局所的に押圧される面積より小さい
ことが好ましい。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが
好ましい。繊維体101a〜101c、102a〜102cのバスケットホール112の
面積がこのように小さいと、先端の細い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)に
より押圧されても、当該圧力を繊維体101a〜101c、102a〜102c全体で吸
収することが可能である。
【0029】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良
い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある
。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0030】
素子層103は、薄膜の半導体膜を用いて形成された半導体素子を有する。具体的に半導
体素子として、薄膜トランジスタ、ダイオード、不揮発性記憶素子等の能動素子、抵抗素
子、容量素子等の受動素子が挙げられる。また、薄膜の半導体膜として、SOI技術を用
いて形成された単結晶の半導体膜、多結晶半導体膜、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜等
が含まれる。半導体として、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等を
用いることができる。或いは半導体として、金属酸化物、有機半導体を用いることも可能
である。上記金属酸化物として、例えば酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等が
挙げられる。
【0031】
素子層103の厚さは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ま
しい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製するこ
とができる。
【0032】
また、繊維体101a〜101c、102a〜102cが経糸及び緯糸を用いた織布であ
る場合、各繊維体どうしで経糸及び緯糸の方向がずれていても良い。図5(A)に、経糸
及び緯糸の方向がずれている繊維体120〜122を順に重ね合わせている様子を示す。
矢印は、繊維体120〜122がそれぞれ有する経糸及び緯糸の方向を示している。図5
(A)では、繊維体120の経糸及び緯糸と繊維体122の経糸及び緯糸とが、ほぼ一致
する方向を向いている。そして繊維体121の経糸及び緯糸は、繊維体120の経糸及び
緯糸と繊維体122の経糸及び緯糸とに対し、45度ずれている。
【0033】
このように複数の繊維体間で経糸及び緯糸の方向をずらすことで、あらゆる方向において
図5(B)に示すように半導体装置123を撓ませても、半導体装置123の信頼性を確
保することができる。また、押圧を加えたときに繊維体の引っ張り方向が表裏で異なるた
め、局所的押圧の際の延伸が等方性的になる。よって、押圧による半導体装置の破壊をさ
らに低減することができる。繊維体間における経糸及び緯糸の方向のずれは、30度以上
60度以下、特に40度以上50度以下であることが望ましい。なお、同一の構造体内に
おいて繊維体間における経糸及び緯糸の方向をずらすようにしても良いし、一対の構造体
間において繊維体間における経糸及び緯糸の方向をずらすようにしても良い。
【0034】
本発明で用いられる構造体は、引っ張り弾性率またはヤング率の高い高強度繊維を繊維体
として用いている。よって、点圧や線圧等の局所的な押圧がかかっても、押圧された力が
繊維体全体に分散され、素子層を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じず、半導体装
置の破壊を防ぐことができる。また、薄膜の半導体膜を用いているため、素子層を薄くす
ることができる。よって、バルクの半導体素子を用いた場合と異なり、湾曲させても半導
体装置が破壊されにくい。
【0035】
なお本発明の範疇に含まれる半導体装置には、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの
集積回路、RFタグ、半導体表示装置等、ありとあらゆる半導体装置が含まれる。半導体
表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素
に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)
、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emi
ssion Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有している
その他の表示装置がその範疇に含まれる。
【0036】
(実施の形態2)
本発明者らは、ペンで局所的な押圧を加えたときの、半導体装置の動作率について試験し
た。
【0037】
上記試験には、RFタグを半導体装置として用いた。なおRFタグは、無線で信号の送受
信を行い個体の識別をする技術(RFID:Radio frequency iden
tification)に用いられる記録媒体であり、リーダ、リーダライタまたはイン
テロゲータと呼ばれる質問器との間において、非接触で信号の送受信を行うことができる
。RFタグの形状は、カード状、或いはカードよりもさらに小型のチップ状であることが
多いが、用途に合わせて様々な形状を採りうる。
【0038】
試験には、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サ
ンプルA)、2層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(
サンプルB)、3層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ
(サンプルC)を用いる。また比較対象として、1層の繊維体を有し、かつ厚さが17μ
mである一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタグ(サンプルD)と、1層の繊
維体を有し、かつ厚さが35μmである一対のプリプレグで素子層が挟まれているRFタ
グ(サンプルE)も用意し、併せて上記試験を行った。
【0039】
各サンプルの構造を明確にするために、図3(A)にサンプルAの断面構造を、図3(B
)にサンプルBの断面構造を、図3(C)にサンプルCの断面構造を、図3(D)にサン
プルDの断面構造を、図3(E)にサンプルEの断面構造を、それぞれ示す。
【0040】
図3(A)に示すサンプルAでは、加熱圧着する前の各プリプレグ301の厚さが15μ
mである。そして、素子層302を間に挟んで一対のプリプレグ301を加熱圧着するこ
とで形成されるサンプルAのトータルの厚さは、27μm〜28μmである。図3(B)
に示すサンプルBでは、各プリプレグ311が、サンプルAに用いられる厚さ15μmの
プリプレグ301を2層積層して加熱圧着することにより、形成されている。そして、素
子層312を間に挟んで一対のプリプレグ311を加熱圧着することで形成されるサンプ
ルBのトータルの厚さは、56μm〜65μmである。図3(C)に示すサンプルCでは
、各プリプレグ321が、サンプルAに用いられる厚さ15μmのプリプレグ301を3
層積層して加熱圧着することにより、形成されている。そして、素子層322を間に挟ん
で一対のプリプレグ321を加熱圧着することで形成されるサンプルCのトータルの厚さ
は、76μm〜78μmである。図3(D)に示すサンプルDでは、加熱圧着する前の各
プリプレグ331の厚さが17μmである。そして、素子層332を間に挟んで一対のプ
リプレグ331を加熱圧着することで形成されるサンプルDのトータルの厚さは、40μ
m〜44μmである。図3(E)に示すサンプルEでは、加熱圧着する前の各プリプレグ
341の厚さが35μmである。そして、素子層342を間に挟んで一対のプリプレグ3
41を加熱圧着することで形成されるサンプルEのトータルの厚さは、69μm〜78μ
mである。
【0041】
なお、サンプルA〜サンプルEの全てにおいて、トータルの厚さにばらつきが生じるのは
、場所によって加熱圧着の際に加えられる圧力にばらつきが生じるためである。
【0042】
各サンプルに含まれる繊維体の体積比は、サンプルAが約28%、サンプルBが約29%
、サンプルCが約33%、サンプルDが約20%、サンプルEが約21%である。またサ
ンプルA〜サンプルEの全てにおいて、RFタグの面積は10.5mm×12.0mmで
あり、繊維体は経糸及び緯糸により平織りに製織されている。
【0043】
ペン先が直径1mmの半球形であるペンで、サンプルA〜サンプルEに、荷重(ニュート
ン)を加えていったときの動作率を、図2に示す。サンプルA〜サンプルEのRFタグは
全てアンテナが素子層に内蔵されており、アンテナが形成されている領域以外で、なおか
つデジタル回路が形成されている領域に、ペン先があたるように荷重を加えた。なお試験
したRFタグの数は、サンプルAが20、サンプルBが20、サンプルCが20、サンプ
ルDが12、サンプルEが26である。動作率は、データを非接触で読み出すことができ
るRFタグの割合で算出した。
【0044】
図2に示されているサンプルA〜サンプルCの動作率を比較すると、サンプルCの動作率
が最も高く、サンプルAの動作率が最も低いことが分かる。特にサンプルCはサンプルB
に比べて飛躍的に動作率が高くなっている。またサンプルCとサンプルEは、トータルの
厚さが同程度であるにも関わらず、サンプルCの方は動作率が高くなっている。これらの
結果から、プリプレグに含まれる繊維体の体積比がより高いほど、高い動作率を得られる
ことが分かる。また体積比を高くすることに加え、繊維体を複数、特に3層以上積層する
と、飛躍的に高い動作率が得られることが分かる。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の作製方法について説明する。なお本実施の形態
では薄膜トランジスタ(TFT)を半導体素子の一例として示すが、本発明の半導体装置
に用いられる半導体素子はこれに限定されない。例えばTFTの他に、記憶素子、ダイオ
ード、抵抗、コイル、容量、インダクタなどを用いることができる。
【0046】
まず図6(A)に示すように、耐熱性を有する基板700上に、絶縁膜701、剥離層7
02、絶縁膜703、半導体膜704を順に形成する。絶縁膜701、剥離層702、絶
縁膜703及び半導体膜704は連続して形成することが可能である。
【0047】
基板700として、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなど
のガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレス基
板を含む金属基板、またはシリコン基板等の半導体基板を用いても良い。プラスチック等
の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、上記基板と比較して耐熱温度が一般的に低い
傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である

【0048】
プラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエス
テル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリアミド系合成繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)
、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンス
チレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙
げられる。
【0049】
なお本実施の形態では、剥離層702を基板700上の全面に設けているが本発明はこの
構成に限定されない。例えばフォトリソグラフィ法などを用いて、基板700上において
剥離層702を部分的に形成する様にしても良い。
【0050】
絶縁膜701、絶縁膜703は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素、窒
化珪素(SiNx、Si等)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y>0)、窒
化酸化珪素(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。
【0051】
絶縁膜701、絶縁膜703は、基板700中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアル
カリ土類金属が半導体膜704中に拡散し、TFTなどの半導体素子の特性に悪影響を及
ぼすのを防ぐために設ける。また絶縁膜703は、剥離層702に含まれる不純物元素が
半導体膜704中に拡散するのを防ぎ、なおかつ後の半導体素子を剥離する工程において
、半導体素子を保護する役目も有している。さらに絶縁膜703により、剥離層702に
おける剥離が容易となり、または後の剥離工程において半導体素子や配線に亀裂やダメー
ジが入るのを防ぐことができる。
【0052】
絶縁膜701、絶縁膜703は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を
積層して用いたものであっても良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化窒化珪素
膜、膜厚50nmの窒化酸化珪素膜、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を順に積層して絶
縁膜703を形成するが、各膜の材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない
。例えば、下層の酸化窒化珪素膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン系樹脂をス
ピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法、印刷法などによって形成しても良い。
また、中層の窒化酸化珪素膜に代えて、窒化珪素膜を用いてもよい。また、上層の酸化窒
化珪素膜に代えて、酸化珪素膜を用いていても良い。また、それぞれの膜厚は、0.05
〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
【0053】
或いは、剥離層702に最も近い、絶縁膜703の下層を酸化窒化珪素膜または酸化珪素
膜で形成し、中層をシロキサン系樹脂で形成し、上層を酸化珪素膜で形成しても良い。
【0054】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0055】
酸化珪素膜は、SiH/O、TEOS(テトラエトキシシラン)/O等の混合ガス
を用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によっ
て形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiHとNHの混合ガ
スを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、酸化窒化珪素膜、窒化
酸化珪素膜は、代表的には、SiHとNOの混合ガスを用い、プラズマCVDによっ
て形成することができる。
【0056】
剥離層702は、金属膜、金属酸化膜、金属膜と金属酸化膜とを積層して形成される膜を
用いることができる。金属膜と金属酸化膜は、単層であっても良いし、複数の層が積層さ
れた積層構造を有していても良い。また、金属膜や金属酸化膜の他に、金属窒化物や金属
酸化窒化物を用いてもよい。剥離層702は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種C
VD法等を用いて形成することができる。
【0057】
剥離層702に用いられる金属としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チ
タン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co
)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パ
ラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)等が挙げられる。剥離
層702は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された
膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。
【0058】
また剥離層702は珪素(Si)単体で形成された膜を用いても良いし、珪素(Si)を
主成分とする化合物で形成された膜を用いても良い。或いは、珪素(Si)と上記金属と
を含む合金で形成された膜を用いても良い。珪素を含む膜は、非晶質、微結晶、多結晶の
いずれでもよい。
【0059】
剥離層702は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用い
ても良い。金属膜と金属酸化膜とが積層された剥離層702は、元となる金属膜を形成し
た後、該金属膜の表面を酸化または窒化させることで形成することができる。具体的には
、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で元となる金属膜にプラズマ処理を行ったり、酸素
雰囲気中またはNO雰囲気中で金属膜に熱処理を行ったりすればよい。また元となる金
属膜上に接するように、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成することでも、金属膜の
酸化を行うことが出来る。また元となる金属膜上に接するように、窒化酸化珪素膜、窒化
珪素膜を形成することで、窒化を行うことが出来る。
【0060】
金属膜の酸化または窒化を行うプラズマ処理として、プラズマ密度が1×1011cm
以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイク
ロ波(例えば周波数2.45GHz)などの高周波を用いた高密度プラズマ処理を行って
も良い。
【0061】
なお基となる金属膜の表面を酸化することで、金属膜と金属酸化膜とが積層した剥離層7
02を形成するようにしても良いが、金属膜を形成した後に金属酸化膜を別途形成するよ
うにしても良い。例えば金属としてタングステンを用いる場合、スパッタ法やCVD法等
により元となる金属膜としてタングステン膜を形成した後、該タングステン膜にプラズマ
処理を行う。これにより、金属膜に相当するタングステン膜と、該金属膜に接し、なおか
つタングステンの酸化物で形成された金属酸化膜とを、形成することができる。
【0062】
なおタングステンの酸化物はWOで表される。Xは2以上3以下の範囲内にあり、Xが
2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11
)、Xが3の場合(WO)となる。タングステンの酸化物を形成するにあたりXの値に
特に制約はなく、エッチングレート等をもとにXの値を定めれば良い。
【0063】
半導体膜704は、絶縁膜703を形成した後、大気に曝さずに形成することが望ましい
。半導体膜704の膜厚は20〜200nm(望ましくは40〜170nm、好ましくは
50〜150nm)とする。なお半導体膜704は、非晶質半導体であっても良いし、セ
ミアモルファス半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体は珪
素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができる。シリコンゲルマニウムを用
いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ま
しい。
【0064】
なおセミアモルファス半導体とは、非晶質半導体と結晶構造を有する半導体(単結晶、多
結晶を含む)の中間的な構造を有する半導体である。このセミアモルファス半導体は、自
由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪み
を有する結晶質なものであり、その粒径を0.5〜20nmとして非単結晶半導体中に分
散させて存在せしめることが可能である。セミアモルファス半導体は、そのラマンスペク
トルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、またX線回折ではSi結晶格子
に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。また、未結合手
(ダングリングボンド)を終端化させるために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%
またはそれ以上含ませている。ここでは便宜上、このような半導体をセミアモルファス半
導体(SAS)と呼ぶ。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス
元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なセミアモルファス
半導体が得られる。
【0065】
またSASは珪素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的
な珪素を含む気体としては、SiHであり、その他にもSi、SiHCl
SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。また水素や、水素にヘ
リウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加
えたガスで、この珪素を含む気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものと
することができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪素を含む気体を希釈することが
好ましい。またさらに、珪素を含む気体中に、CH、Cなどの炭化物気体、Ge
、GeFなどのゲルマニウム化気体、Fなどを混入させて、エネルギーバンド幅
を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
【0066】
例えば、SiHにHを添加したガスを用いる場合、或いはSiHにFを添加した
ガスを用いる場合、形成したセミアモルファス半導体を用いてTFTを作製すると、該T
FTのサブスレッショルド係数(S値)を0.35V/dec以下、代表的には0.25
〜0.09V/decとし、移動度を10cm/Vsecとすることができる。
【0067】
なお半導体膜704は、公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては
、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元
素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、基板
700として石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結
晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950
℃程度の高温アニールのうちの幾つかを組み合わせた結晶化法を用いても良い。
【0068】
例えばレーザ結晶化を用いる場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜704
の耐性を高めるために、550℃、4時間の熱処理を該半導体膜704に対して行なう。
そして連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波のレーザ光
を照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、代表的には、Nd:YV
レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355n
m)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVOレーザから射出されたレー
ザ光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザ光を得る。そして、好
ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、半導体膜
704に照射する。このときのパワー密度は0.01〜100MW/cm程度(好まし
くは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm
/sec程度とし、照射する。
【0069】
連続発振の気体レーザとして、Arレーザ、Krレーザなどを用いることが出来る。また
連続発振の固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlO
レーザ、フォルステライト(MgSiO)レーザ、GdVOレーザ、Y
ーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレー
ザなどを用いることが出来る。
【0070】
またパルス発振のレーザとして、例えばArレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ、CO
レーザ、YAGレーザ、Yレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlO
レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレ
ーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザを用いることができる。
【0071】
また、パルス発振のレーザ光の発振周波数を10MHz以上とし、通常用いられている数
十Hz〜数百Hzの周波数帯よりも著しく高い周波数帯を用いてレーザ結晶化を行なって
も良い。パルス発振でレーザ光を照射することで半導体膜704が溶融してから半導体膜
704が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われている。よっ
て上記周波数を用いることで、半導体膜704がレーザ光によって溶融してから固化する
までに、次のパルスのレーザ光を照射できる。したがって、半導体膜704中において固
液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結
晶粒を有する半導体膜704が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向にお
ける幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結
晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って連続的に成長した単結晶の結晶
粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しな
い半導体膜704の形成が可能となる。
【0072】
なおレーザ結晶化は、連続発振の基本波のレーザ光と連続発振の高調波のレーザ光とを並
行して照射するようにしても良いし、連続発振の基本波のレーザ光とパルス発振の高調波
のレーザ光とを並行して照射するようにしても良い。
【0073】
なお、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。
これにより、レーザ光照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度の
ばらつきによって生じる閾値のばらつきを抑えることができる。
【0074】
上述したレーザ光の照射により、結晶性がより高められた半導体膜704が形成される。
なお、予め半導体膜704に、スパッタ法、プラズマCVD法、熱CVD法などで形成し
た多結晶半導体を用いるようにしても良い。
【0075】
また本実施の形態では半導体膜704を結晶化しているが、結晶化せずに非晶質珪素膜ま
たは微結晶半導体膜のまま、後述のプロセスに進んでも良い。非晶質半導体、微結晶半導
体を用いたTFTは、多結晶半導体を用いたTFTよりも作製工程が少ない分、コストを
抑え、歩留まりを高くすることができるというメリットを有している。
【0076】
非晶質半導体は、珪素を含む気体をグロー放電分解することにより得ることができる。珪
素を含む気体としては、SiH、Siが挙げられる。この珪素を含む気体を、水
素、水素及びヘリウムで希釈して用いても良い。
【0077】
次に半導体膜704に対して、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素
を低濃度に添加するチャネルドープを行う。チャネルドープは半導体膜704全体に対し
て行っても良いし、半導体膜704の一部に対して選択的に行っても良い。p型を付与す
る不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用
いることができる。n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等を
用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロン(B)を用い、当該ボロンが
1×1016〜5×1017/cmの濃度で含まれるよう添加する。
【0078】
次に図6(B)に示すように、半導体膜704を所定の形状に加工(パターニング)し、
島状の半導体膜705〜708を形成する。そして図6(C)に示すように、島状の半導
体膜705〜708を用いた半導体素子と、該半導体素子に接続された配線713、71
4とを形成する。本実施の形態では、半導体素子としてTFT709〜712を形成した
例を示す。TFT709と、TFT712とはそれぞれ配線713、配線714と電気的
に接続されている。絶縁膜703上に形成された半導体素子または配線などで構成される
集積回路が、素子層715に相当する。素子層715に絶縁膜703を含めても良い。
【0079】
次に図7(A)に示すように、素子層715の基板700とは反対の側に、繊維体723
に有機樹脂724が含浸された構造体が複数積層された構造体725を重ねる。このよう
な構造体725は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリ
ックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させて
マトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体725の厚さは、10μm以上10
0μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用い
ることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0080】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させるこ
とで、上記構造体725を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積
層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有
機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても
良い。
【0081】
次に、構造体725を加熱し圧着して、構造体725の有機樹脂724を可塑化または硬
化する。なお、有機樹脂724が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することに
より可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂724は加熱及び圧着により、素子層71
5に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体725を圧着する工程は、大気
圧下または減圧下で行う。
【0082】
次に図7(B)に示すように、素子層715と、構造体725とを、基板700から剥離
する。本実施の形態では、物理的な力を用いて基板700から素子層715と、構造体7
25とを剥離する。剥離層702は、全て除去せず一部が残存した状態であっても良い。
上記剥離は、例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分
離する処理で行うことが可能である。
【0083】
本実施の形態では、剥離層に金属酸化膜を用い、物理的手段により素子層715を剥離す
る方法を用いているが、本発明で用いられる剥離方法はこれに限定されない。例えば、透
光性を有する基板700を用い、剥離層702に水素を含む非晶質珪素を用い、基板70
0から剥離層702にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる水素を気化させて
、基板700を素子層715から剥離する方法を用いても良い。
【0084】
また上記剥離は、剥離層702のエッチングを用いた方法で行っても良い。この場合、剥
離層702が一部露出するように溝を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング、U
V光を含むレーザ光を用いた加工、フォトリソグラフィ法などにより、溝を形成する。溝
は、剥離層702が露出する程度の深さを有していれば良い。そしてエッチングガスとし
てフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝から導入する。本実施の形態では、例えばClF
(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:800Pa、
時間:3hの条件で行なう。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。C
lF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層702が選択的にエッチングされ、基
板700を素子層715から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体であっ
ても液体であってもどちらでも良い。
【0085】
また、基板を機械的に研磨し除去する方法や、基板をHF等の溶液を用いて溶解し基板を
除去する方法を用いることで、素子層715を基板700から剥離することができる。こ
の場合、剥離層702を用いる必要はない。
【0086】
次に図8に示すように、素子層715の上記剥離により露出した面側に、繊維体720に
有機樹脂721が含浸された構造体が複数積層された構造体722を重ねる。このような
構造体722は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリッ
クス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマ
トリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体722の厚さは、10μm以上100
μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いる
ことで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0087】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させるこ
とで、上記構造体722を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積
層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有
機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても
良い。
【0088】
次に、構造体722を加熱し圧着して、構造体722の有機樹脂721を可塑化または硬
化する。なお、有機樹脂721が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することに
より可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂721は加熱及び圧着により、素子層71
5に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体722を圧着する工程は、大気
圧下または減圧下で行う。
【0089】
上記プロセスを経て、本発明の半導体装置が作製される。
【0090】
なお構造体722と構造体725の間に複数の半導体装置に対応する半導体素子を形成し
ている場合には、素子層715を半導体装置ごとに分断する。分断は、レーザ照射装置、
ダイシング装置、スクライブ装置、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断装置等を用い
ることができる。レーザ照射装置を用いる場合、レーザ発振器としては、KrF、ArF
、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、C
等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO、YVO、YLF、YAlOなどの
結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス、
ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半
導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本波
〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0091】
また、RFタグのようにアンテナを有する場合、構造体722または構造体725に開口
部を形成し、該開口部を介してアンテナと素子層715に含まれる集積回路とを電気的に
接続することができる。
【0092】
図9に、構造体725にレーザビーム等で開口部を形成し、該開口部に、素子層715内
の配線714と接続された接続端子731が形成された半導体装置の断面図を示す。接続
端子731は、異方導電性フィルム732でアンテナ730と接続端子731とを圧着さ
せることにより、電気的に接続することが出来る。
【0093】
また図10に、構造体722にレーザビーム等で開口部を形成し、該開口部に、素子層7
15内の配線714と接続された接続端子734が形成された半導体装置の断面図を示す
。接続端子734は、異方導電性フィルム735でアンテナ733と接続端子734とを
圧着させることにより、電気的に接続することが出来る。
【0094】
なお、アンテナと接続端子との接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotro
pic Conductive Film))の他に、異方導電性ペースト(ACP(A
nisotropic Conductive Paste))等を用いて圧着させても
良い。また、銀ペースト、銅ペーストまたはカーボンペースト等の導電性接着剤や半田接
合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0095】
また本実施の形態では、別途形成されたアンテナを素子層に電気的に接続する場合につい
て述べたが、本発明はこの構成に限定されない。アンテナを素子層と同じ基板上に形成し
、素子層と共に該基板から剥離して、アンテナと素子層を構造体に加熱圧着させても良い
。アンテナとして機能する導電膜は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム
(Pd)、クロム(Cr)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タン
タル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、コバルト(C
o)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)などの金属を用いて形成することが
出来る。アンテナとして機能する導電膜は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を
主成分とする合金で形成された膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を
用いても良い。アンテナとして機能する導電膜は、上述した膜を単層で用いても良いし、
上述した複数の膜を積層して用いても良い。
【0096】
アンテナとして機能する導電膜は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷やグラ
ビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、めっき法、フォトリソグラフィ法、
蒸着法等を用いて形成することが出来る。
【0097】
例えばスクリーン印刷法を用いる場合、粒径が数nmから数十μmの導電性を有する粒子
(導電体粒子)を有機樹脂に分散させた導電性のペーストを、絶縁膜上に選択的に印刷す
ることでアンテナとして機能する導電膜を形成することができる。導電体粒子は、銀(A
g)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)
、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ク
ロム(Cr)またはチタン(Ti)等を用いて形成することが出来る。導電体粒子は上記
金属で形成されたものの他に、上記金属を主成分とする合金で形成されていても良いし、
上記金属を含む化合物を用いて形成されていても良い。またハロゲン化銀の微粒子または
分散性ナノ粒子も用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂として
、ポリイミド、シロキサン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが出来
る。
【0098】
上記金属の合金の一例として、銀(Ag)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と白金(P
t)、金(Au)と白金(Pt)、金(Au)とパラジウム(Pd)、銀(Ag)と銅(
Cu)の組み合わせが挙げられる。また例えば、銅(Cu)を銀(Ag)でコートした導
電体粒子なども用いることが可能である。
【0099】
なおアンテナとして機能する導電膜の形成にあたり、印刷法や液滴吐出法で導電性のペー
ストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストに、銀を主成
分とする導電体粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、150〜3
00℃の温度範囲で焼成することにより、アンテナとして機能する導電膜を形成すること
ができる。焼成は、赤外ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプなどを用いたランプア
ニールで行なっても良いし、電気炉を用いたファーネスアニールで行なっても良い。また
エキシマレーザや、Nd:YAGレーザを用いたレーザーアニール法で行なっても良い。
また、半田や鉛フリーの半田を主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20
μm以下の微粒子を用いることが好ましい。半田や鉛フリーの半田は、低コストであると
いった利点を有している。
【0100】
印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずともアンテナとして機能す
る導電膜を形成することが可能になる。また、液滴吐出法、印刷法だと、フォトリソグラ
フィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価
な露光用のマスクを用いなくとも良いので、半導体装置の作製に費やされるコストを抑え
ることができる。
【0101】
また、半導体装置が、外部の機器と電気的に接続するための端子を有する場合、該端子は
構造体上に設けるようにしても良い。図11(A)に、一対の構造体750、751と、
該構造体の間に設けられた素子層752とが、積層される順に並べられている様子を示す
。また一対の構造体750、751と素子層752とが積層されることで形成される半導
体装置の斜視図を、図11(B)に示す。
【0102】
構造体750には端子753が形成されており、素子層752と構造体750とを加熱圧
着することにより、該端子753と素子層752とが電気的に接続される。また構造体7
51は、素子層752と重なるように、なおかつ端子753が露出するように、構造体7
50及び素子層752上に積層されている。
【0103】
なお本実施の形態では薄膜トランジスタを例に挙げて説明しているが、本発明はこの構成
に限定されない。薄膜トランジスタの他に、SOIを用いて形成されたトランジスタなど
も用いることができる。また、有機半導体を用いたトランジスタであっても良いし、カー
ボンナノチューブを用いたトランジスタであってもよい。
【0104】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を
提供することができる。
【0105】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0106】
(実施の形態4)
本実施の形態では、半導体基板(ボンド基板)から支持基板(ベース基板)に転置した半
導体膜を用いて半導体素子を形成し、該半導体素子を構造体上に転置する、本発明の半導
体装置の作製方法について説明する。
【0107】
まず図12(A)に示すように、ボンド基板200上に絶縁膜201を形成する。絶縁膜
201は、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する
。絶縁膜201は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用い
たものであっても良い。例えば本実施の形態では、ボンド基板200に近い側から、窒素
よりも酸素の含有量が高い酸化窒化珪素、酸素よりも窒素の含有量が高い窒化酸化珪素の
順に積層された絶縁膜201を用いる。
【0108】
例えば酸化珪素を絶縁膜201として用いる場合、絶縁膜201はシランと酸素、TEO
S(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常
圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場
合、絶縁膜201の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。また、窒化珪素を絶縁
膜201として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の
気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化珪素を絶縁膜201として用
いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと酸化窒素の混合ガスを用い、
プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
【0109】
また絶縁膜201として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化
珪素を用いていても良い。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si
(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラ
メチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(
OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(O
)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリ
コン含有化合物を用いることができる。
【0110】
次に図12(A)に示すように、ボンド基板200に、矢印で示すように水素又は希ガス
、或いは水素イオン又は希ガスイオンを添加し、ボンド基板200の表面から一定の深さ
の領域に、微小ボイドを有する欠陥層202を形成する。欠陥層202が形成される位置
は、上記添加の加速電圧によって決まる。そして欠陥層202の位置により、ボンド基板
200からベース基板204に転置する半導体膜208の厚さが決まるので、添加の加速
電圧は半導体膜208の厚さを考慮して行う。当該半導体膜208の厚さは10nm乃至
200nm、好ましくは10nm乃至50nmの厚さとする。例えば水素をボンド基板2
00に添加する場合、ドーズ量は1×1016乃至1×1017/cmとするのが望ま
しい。
【0111】
なお、欠陥層202を形成する上記工程において、ボンド基板200に高い濃度の水素又
は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを添加するので、ボンド基板200の表面
が粗くなってしまい、ベース基板204との間における接合で十分な強度が得られない場
合がある。絶縁膜201を設けることで、水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガス
イオンを添加する際にボンド基板200の表面が保護され、ベース基板204とボンド基
板200の間における接合を良好に行うことが出来る。
【0112】
次に図12(B)に示すように、絶縁膜201上に絶縁膜203を形成する。絶縁膜20
3は、絶縁膜201と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材
料を用いて形成する。絶縁膜203は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶
縁膜を積層して用いたものであっても良い。また絶縁膜203として、有機シランガスを
用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。本実施の形態では
、絶縁膜203として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪
素を用いる。
【0113】
なお絶縁膜201または絶縁膜203に窒化珪素、窒化酸化珪素などのバリア性の高い絶
縁膜を用いることで、後に形成される半導体膜209にアルカリ金属やアルカリ土類金属
などの不純物がベース基板204から入るのを防ぐことができる。
【0114】
なお本実施の形態では、欠陥層202を形成した後に絶縁膜203を形成しているが、絶
縁膜203は必ずしも設ける必要はない。ただし絶縁膜203は欠陥層202を形成した
後に形成されるので、欠陥層202を形成する前に形成される絶縁膜201よりも、その
表面の平坦性は高い。よって、絶縁膜203を形成することで、後に行われる接合の強度
をより高めることができる。
【0115】
一方、図12(C)に示すように、ベース基板204上に絶縁膜205、剥離層206、
絶縁膜207を順に形成する。
【0116】
絶縁膜205、絶縁膜207は、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素、窒
化珪素(SiNx、Si等)、酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y>0)、窒
化酸化珪素(SiNxOy)(x>y>0)等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。
【0117】
絶縁膜205、絶縁膜207は、ベース基板204中に含まれるNaなどのアルカリ金属
やアルカリ土類金属が、後に形成される半導体膜209中に拡散し、半導体素子の特性に
悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。また絶縁膜207は、剥離層206に含まれる不
純物元素が半導体素子中に拡散するのを防ぎ、なおかつ後の半導体素子を剥離する工程に
おいて、半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐことができる。
【0118】
絶縁膜205、絶縁膜207は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を
積層して用いたものであっても良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化窒化珪素
膜、膜厚50nmの窒化酸化珪素膜、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を順に積層して絶
縁膜207を形成するが、各膜の材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない
。例えば、下層の酸化窒化珪素膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン系樹脂をス
ピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法、印刷法などによって形成しても良い。
また、中層の窒化酸化珪素膜に代えて、窒化珪素膜を用いてもよい。また、上層の酸化窒
化珪素膜に代えて、酸化珪素膜を用いていても良い。また、それぞれの膜厚は、0.05
〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
【0119】
或いは、剥離層206に最も近い、絶縁膜207の下層を酸化窒化珪素膜または酸化珪素
膜で形成し、中層をシロキサン系樹脂で形成し、上層を酸化珪素膜で形成しても良い。
【0120】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−S
i結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキ
ル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
【0121】
酸化珪素膜は、SiH/O、TEOS(テトラエトキシシラン)/O等の混合ガス
を用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によっ
て形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiHとNHの混合ガ
スを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、酸化窒化珪素膜、窒化
酸化珪素膜は、代表的には、SiHとNOの混合ガスを用い、プラズマCVDによっ
て形成することができる。
【0122】
剥離層206は、金属膜、金属酸化膜、金属膜と金属酸化膜とを積層して形成される膜を
用いることができる。金属膜と金属酸化膜は、単層であっても良いし、複数の層が積層さ
れた積層構造を有していても良い。また、金属膜や金属酸化膜の他に、金属窒化物や金属
酸化窒化物を用いてもよい。剥離層206は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種C
VD法等を用いて形成することができる。
【0123】
剥離層206に用いられる金属としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チ
タン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co
)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パ
ラジウム(Pd)、オスミウム(Os)またはイリジウム(Ir)等が挙げられる。剥離
層206は、上記金属で形成された膜の他に、上記金属を主成分とする合金で形成された
膜、或いは上記金属を含む化合物を用いて形成された膜を用いても良い。
【0124】
また剥離層206は珪素(Si)単体で形成された膜を用いても良いし、珪素(Si)を
主成分とする化合物で形成された膜を用いても良い。或いは、珪素(Si)と上記金属と
を含む合金で形成された膜を用いても良い。珪素を含む膜は、非晶質、微結晶、多結晶の
いずれでもよい。
【0125】
剥離層206は、上述した膜を単層で用いても良いし、上述した複数の膜を積層して用い
ても良い。金属膜と金属酸化膜とが積層された剥離層206は、元となる金属膜を形成し
た後、該金属膜の表面を酸化または窒化させることで形成することができる。具体的には
、酸素雰囲気中またはNO雰囲気中で元となる金属膜にプラズマ処理を行ったり、酸素
雰囲気中またはNO雰囲気中で金属膜に熱処理を行ったりすればよい。また元となる金
属膜上に接するように、酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成することでも、金属膜の
酸化を行うことが出来る。また元となる金属膜上に接するように、窒化酸化珪素膜、窒化
珪素膜を形成することで、窒化を行うことが出来る。
【0126】
金属膜の酸化または窒化を行うプラズマ処理として、プラズマ密度が1×1011cm
以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイク
ロ波(例えば周波数2.45GHz)などの高周波を用いた高密度プラズマ処理を行って
も良い。
【0127】
なおもととなる金属膜の表面を酸化することで、金属膜と金属酸化膜とが積層した剥離層
206を形成するようにしても良いが、金属膜を形成した後に金属酸化膜を別途形成する
ようにしても良い。例えば金属としてタングステンを用いる場合、スパッタ法やCVD法
等によりもととなる金属膜としてタングステン膜を形成した後、該タングステン膜にプラ
ズマ処理を行う。これにより、金属膜に相当するタングステン膜と、該金属膜に接し、な
おかつタングステンの酸化物で形成された金属酸化膜とを、形成することができる。
【0128】
なおタングステンの酸化物はWOで表される。Xは2以上3以下の範囲内にあり、Xが
2の場合(WO)、Xが2.5の場合(W)、Xが2.75の場合(W11
)、Xが3の場合(WO)となる。タングステンの酸化物を形成するにあたりXの値に
特に制約はなく、エッチングレート等をもとにXの値を定めれば良い。
【0129】
次に、ボンド基板200とベース基板204とを接合により貼り合わせる前に、ボンド基
板200に水素化処理を行うようにしても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中に
おいて350℃、2時間程度行う。
【0130】
そして図12(D)に示すように、ボンド基板200と、ベース基板204とを、絶縁膜
203、絶縁膜207を間に挟むように貼り合わせる。絶縁膜203と絶縁膜207とが
接合することで、ボンド基板200とベース基板204とを貼り合わせることができる。
【0131】
接合の形成はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固な接合
が形成される。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、ベース基板204は
様々なものを用いることが可能である。例えばベース基板204としては、アルミノシリ
ケートガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板
の他、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることが出来る。さらにベース基板2
04として、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの半導体基板などを用いるこ
とができる。或いは、ステンレス基板を含む金属基板をベース基板204として用いても
良い。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、上記基板と比較
して耐熱温度が一般的に低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであ
ればベース基板204として用いることが可能である。プラスチック基板として、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル、ポリエーテルスルホン(P
ES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテ
ルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI
)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド、
アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸
ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0132】
ボンド基板200として、シリコン、ゲルマニウムなどの単結晶半導体基板または多結晶
半導体基板を用いることができる。その他に、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合
物半導体で形成された単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を、ボンド基板200と
して用いることができる。またボンド基板200として、結晶格子に歪みを有するシリコ
ン、シリコンに対しゲルマニウムが添加されたシリコンゲルマニウムなどの半導体基板を
用いていても良い。歪みを有するシリコンは、シリコンよりも格子定数の大きいシリコン
ゲルマニウムまたは窒化珪素上における成膜により、形成することができる。
【0133】
なおベース基板204とボンド基板200とを貼り合わせた後に、熱処理又は加圧処理を
行っても良い。熱処理又は加圧処理を行うことで接合の強度を向上させることができる。
【0134】
ボンド基板200とベース基板204の間で、絶縁膜203と絶縁膜207の接合を行っ
た後、熱処理を行うことにより、欠陥層202において隣接する微小ボイドどうしが結合
して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、図13(A)に示すように、欠陥層20
2においてボンド基板200が劈開し、ボンド基板200の一部であった半導体膜208
が乖離する。熱処理の温度はベース基板204の耐熱温度以下で行うことが好ましく、例
えば400℃乃至600℃の範囲内で熱処理を行えば良い。この剥離により、半導体膜2
08が、絶縁膜201及び絶縁膜203と共にベース基板204に転置される。その後、
絶縁膜203と絶縁膜207の接合をさらに強固にするため、400℃乃至600℃の熱
処理を行うのが好ましい。
【0135】
半導体膜208の結晶面方位はボンド基板200の面方位によって制御することができる
。形成する半導体素子に適した結晶面方位を有するボンド基板200を、適宜選択して用
いればよい。またトランジスタの移動度は半導体膜208の結晶面方位によって異なる。
より移動度の高いトランジスタを得たい場合、チャネルの向きと結晶面方位とを考慮し、
ボンド基板200の貼り合わせの方向を定めるようにする。
【0136】
次に、転置された半導体膜208の表面を平坦化する。平坦化は必ずしも必須ではないが
、平坦化を行うことで、後に形成されるトランジスタにおいて半導体膜208とゲート絶
縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に平坦化は、化学的機械的研磨(C
MP:Chemical Mechanical Polishing)または液体ジェ
ット研磨などにより、行うことができる。半導体膜208の厚さは、上記平坦化により薄
膜化される。
【0137】
なお本実施の形態では、欠陥層202の形成により半導体膜208をボンド基板200か
ら剥離するスマートカット法を用いる場合について示すが、ELTRAN(Epitax
ial Layer Transfer)、誘電体分離法、PACE(Plasma A
ssisted Chemical Etching)法などの、他の貼り合わせ法を用
いて半導体膜208をベース基板204に貼り合わせるようにしても良い。
【0138】
次に、図13(B)に示すように、半導体膜208を所望の形状に加工(パターニング)
することで、島状の半導体膜209を形成する。
【0139】
上記工程を経て形成された半導体膜209を用い、本発明はトランジスタ等の各種半導体
素子を形成することが出来る。図13(C)には、半導体膜209を用いて形成されたト
ランジスタ210を例示している。
【0140】
次に図14(A)に示すように、トランジスタ210や配線等を用いて形成された集積回
路を含む素子層211に、構造体212を加熱圧着する。そして、素子層211及び構造
体212をベース基板204から剥離する。
【0141】
構造体212は、繊維体213に有機樹脂214が含浸された構造体が複数積層されたも
のを用いる。このような構造体212は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体
的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して
有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体212の厚さ
は、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。この
ような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製する
ことができる。
【0142】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させるこ
とで、上記構造体212を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積
層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有
機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても
良い。
【0143】
構造体212は、加熱圧着により有機樹脂214が可塑化または硬化する。なお、有機樹
脂214が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹
脂を硬化する。有機樹脂214は加熱及び圧着により、素子層211に密着するように均
一に広がり、硬化する。上記構造体212を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行
う。
【0144】
また剥離は剥離層206において行われる。剥離は、物理的な力による処理、例えば人間
の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理で行うことが
可能である。剥離層206は、全て除去せず一部が残存した状態であっても良い。
【0145】
なお本実施の形態では、剥離層に金属酸化膜を用い、物理的手段により素子層211を剥
離する方法を用いているが、本発明で用いられる剥離方法はこれに限定されない。例えば
、透光性を有するベース基板204を用い、剥離層206に水素を含む非晶質珪素を用い
、ベース基板204から剥離層206にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる
水素を気化させて、ベース基板204を素子層211から剥離する方法を用いても良い。
【0146】
また上記剥離は、剥離層206のエッチングを用いた方法で行っても良い。この場合、剥
離層206が一部露出するように溝を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング、U
V光を含むレーザ光を用いた加工、フォトリソグラフィ法などにより、溝を形成する。溝
は、剥離層206が露出する程度の深さを有していれば良い。そしてエッチングガスとし
てフッ化ハロゲンを用い、該ガスを溝から導入する。本実施の形態では、例えばClF
(三フッ化塩素)を用い、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:800Pa、
時間:3hの条件で行なう。また、ClFガスに窒素を混ぜたガスを用いても良い。C
lF等のフッ化ハロゲンを用いることで、剥離層206が選択的にエッチングされ、ベ
ース基板204を素子層211から剥離することができる。なおフッ化ハロゲンは、気体
であっても液体であってもどちらでも良い。
【0147】
また、ベース基板204を機械的に研磨し除去する方法や、ベース基板204をHF等の
溶液を用いて溶解し基板を除去する方法を用いることで、素子層211をベース基板20
4から剥離することができる。この場合、剥離層206を用いる必要はない。
【0148】
次に図14(B)に示すように、素子層211の上記剥離により露出した面側に、繊維体
215に有機樹脂216が含浸された構造体が複数積層された構造体217を重ねる。構
造体217の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下
が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導
体装置を作製することができる。
【0149】
なお本実施の形態では、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させるこ
とで、上記構造体217を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の積
層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有
機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても
良い。
【0150】
次に、構造体217を加熱圧着して、構造体217の有機樹脂216を可塑化または硬化
する。なお、有機樹脂216が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することによ
り可塑化した有機樹脂を硬化する。有機樹脂216は加熱及び圧着により、素子層211
に密着するように均一に広がり、硬化する。上記構造体217を圧着する工程は、大気圧
下または減圧下で行う。
【0151】
なお構造体212と構造体217の間に、複数の半導体装置に対応する半導体素子を形成
している場合には、素子層211を半導体装置ごとに分断する。分断は、レーザ照射装置
、ダイシング装置、スクライブ装置、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断装置等を用
いることができる。レーザ照射装置を用いる場合、レーザ発振器としては、KrF、Ar
F、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、
CO等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO、YVO、YLF、YAlOなど
の結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス
、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の
半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本
波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0152】
上記プロセスを経て、本発明の半導体装置が作製される。
【0153】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を
提供することができる。
【0154】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0155】
(実施の形態5)
本実施の形態では、素子層と重なるように複数の繊維体を積層し、該複数の繊維体に有機
樹脂を含浸させることで、素子層に固着した構造体を形成する例について説明する。
【0156】
まず図15(A)に示すように、基板400上に素子層401を形成する。図15(A)
では、素子層401と基板400の間に、後に素子層401を基板400から剥離し易く
するための剥離層402を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。剥離方法
によっては、剥離層402を設けなくとも良いし、適宜必要な層を追加しても良い。
【0157】
そして素子層401と重なるように、繊維体403を素子層401上に積層する。繊維体
403は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、
素子層401全面を覆う。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である
。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコ
ール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系
繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維で
ある。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス
繊維を用いることができる。なお、繊維体403は、一種類の上記高強度繊維で形成され
てもよい。また、複数の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0158】
また、繊維体403は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使っ
て製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布
で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、しゅす織り等適宜用いることができ
る。
【0159】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした
高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸
束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を
削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束と
して低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板
形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体40
3の厚さを薄くすることが可能である。このため、薄型の半導体装置を作製することがで
きる。繊維の糸束径は4μm以上400μm以下、さらには4μm以上200μm以下に
おいて本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くてもよい。また、繊維の太さは、
4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くても良
く、それらは繊維の材料に依存する。
【0160】
次に、図15(B)に示すように、繊維体403に有機樹脂404を含浸させる。そして
、有機樹脂404を加熱して可塑化または硬化することで、素子層401上に固着された
構造体405を形成する。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却
することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0161】
有機樹脂404はエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイ
ミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。ま
た、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可
塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を
用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層に固着するこ
とが可能である。なお、有機樹脂404はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対し
て破壊しにくいため好ましい。
【0162】
有機樹脂404を含浸させる方法として、印刷法、キャスト法、液滴吐出法、ディップコ
ート法等を用いることができる。
【0163】
有機樹脂404または繊維体403の糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。
高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等が
ある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィ
ラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しや
すくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の不良を低減
することができる。
【0164】
次に上記プロセスを繰り返すことで、図15Cにあるように構造体405上に新たに、繊
維体409を有する構造体406、繊維体410を有する構造体407を、順に積層する
ように形成する。構造体405〜407により、複数の繊維体403、409、410が
積層された構造体408を得ることができる。
【0165】
なお本実施の形態では、構造体408が3つの構造体405〜407を有しているが、本
発明はこの構成に限定されない。構造体408が2つの構造体を有していても良いし、4
つ以上の構造体を有していても良い。また、本実施の形態では構造体405〜407どう
しが直接固着されているが、構造体405〜407間に別の層が設けられていても良い。
【0166】
次に、図16(A)に示すように、素子層401から基板400を剥離する。剥離は剥離
層402において行うことができる。なお素子層401の剥離方法は、実施の形態3また
は実施の形態4に記載されているような、物理的な力を用いることで剥離層において素子
層401と基板400を劈開させる方法、剥離層402に水素を含む非晶質珪素を用い、
基板400から剥離層402にレーザビームを照射して、非晶質珪素に含まれる水素を気
化させて、基板400を素子層401から剥離する方法、剥離層402のエッチングを用
いた方法、基板400を機械的に研磨し除去する方法、基板400をHF等の溶液を用い
て溶解し除去する方法などを用いることができる。
【0167】
次に、図16(B)に示すように、基板400の剥離によって露出した面に重なるように
、繊維体411を重ね合わせた後、繊維体411に有機樹脂412を含浸させる。そして
、有機樹脂412を加熱して可塑化または硬化することで、素子層401に固着された構
造体413を形成する。構造体413は素子層401を間に挟んで構造体408と重なっ
ている。なお、有機樹脂が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可
塑化した有機樹脂を硬化する。
【0168】
次に上記プロセスを繰り返すことで、図16Cにあるように構造体413と重なるように
、繊維体416を有する構造体414、繊維体417を有する構造体415を、順に積層
するように形成する。構造体413〜415により、複数の繊維体411、416、41
7が積層された構造体418を得ることができる。
【0169】
なお本実施の形態では、構造体418が3つの構造体413〜415を有しているが、本
発明はこの構成に限定されない。構造体418が2つの構造体を有していても良いし、4
つ以上の構造体を有していても良い。また、本実施の形態では構造体413〜415どう
しが直接固着されているが、構造体413〜415間に別の層が設けられていても良い。
【0170】
また本実施の形態では、繊維体を重ねてから有機樹脂を含浸させるというプロセスを複数
回繰り返すことで、複数積層された繊維体を有する構造体を形成しているが、本発明はこ
の構成に限定されない。複数積層された繊維体を素子層に重ねた後、該複数の繊維体に有
機樹脂を含浸させることで、複数積層された繊維体を有する構造体を形成することもでき
る。
【0171】
なお、構造体408と、構造体418の膜厚を同程度とすることで、半導体装置に応力を
加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層401に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、
よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0172】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を
提供することができる。
【0173】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0174】
(実施の形態6)
本実施の形態では、ICカードとも呼ばれる、カード状のRFタグの構成について説明す
る。
【0175】
図17(A)に、一対の構造体501、502と、該構造体501、502の間に設けら
れた素子層503とが、積層される順に並べられている様子を示す。また一対の構造体5
01、502と素子層503とが積層されることで形成されるRFタグの斜視図を、図1
7(B)に示す。
【0176】
各構造体501、502は、複数の積層された繊維体を有している。構造体502上には
アンテナ504が形成されており、素子層503が構造体502上に積層されることで、
素子層503とアンテナ504とが電気的に接続される。そして素子層503及びアンテ
ナ504を間に挟むように、構造体501と構造体502が重ね合わされている。
【0177】
なお、構造体501と、構造体502の膜厚を同程度とすることで、半導体装置に応力を
加えて撓ませたときに、間に設けられる素子層503に局所的に圧力が加わるのを防ぎ、
よって半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0178】
また図17では、アンテナ504がコイル状である場合を図示しているが、本発明にて用
いられるアンテナの形状はこれに限定されない。アンテナ504の形状は、無線で信号を
受信できるものであれば良い。例えばダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアン
テナ、八木アンテナなどを用いることができる。アンテナの形状は、キャリアの波長、伝
送方式に合わせて適宜選択すれば良い。
【0179】
また図17では、構造体502上にアンテナ504が形成されている例を示しているが、
アンテナ504は構造体501及び構造体502とは異なる基板上に形成されていても良
い。図18に、一対の構造体501、502と、該構造体501、502の間に設けられ
た素子層503と、アンテナ504が形成されたインレットシートとして機能する基板5
05とが、積層される順に並べられている様子を示す。
【0180】
図18では、素子層503が基板505上に積層されることで、素子層503とアンテナ
504とが電気的に接続される。そして素子層503及び基板505を間に挟むように、
構造体501と構造体502が重ね合わされている。
【0181】
本発明により、外力、特に押圧が加えられても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置を
提供することができる。
【0182】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0183】
(実施の形態7)
本実施の形態では、構造体の形状の一例について説明する。
【0184】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは様々な分野において実用化が進められており
、新しい形態の通信情報端末としてさらなる市場の拡大が見込まれている。よってRFタ
グは様々な環境下における使用に耐えうることが求められており、そのためにRFタグの
有する構造体は、外力が加えられてもひび、かけなどの破損が生じにくいものであること
が望ましい。本実施の形態では、構造体の各隅が丸みを帯びたような形状にすることで、
構造体のひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。また本実施の形態では、
構造体の形状を、全ての外角が60度以下となるような多角形にすることで、構造体のひ
び、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0185】
図19(A)は、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの上面図である。図19(A
)に示すRFタグは、構造体520と、集積回路を含む素子層521と、アンテナ522
とを有する。素子層521及びアンテナ522は、構造体520上に配置されている。な
お図19(A)では、RFタグの構成を明確にするため、構造体520を1つだけ示して
いるが、本発明のRFタグは一対の構造体を有している。よって、実際には素子層521
及びアンテナ522を構造体520との間に挟むように、もう一つ構造体が設けられる。
【0186】
構造体520は、矩形の四隅が丸みを帯びたような形状を有している。図19(B)を用
いて、構造体520の形状について詳しく説明する。構造体520を矩形に見立てたとき
に、破線523で示す該矩形の向かい合う2辺の距離をLとする。ただしLは最も短い値
を採用する。また、構造体520の各隅における曲率半径をRとする。本実施の形態では
、RをL/5〜L/50とすることで、外力が加えられたときに、構造体520にひび、
かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる。
【0187】
また図19(C)に、本発明のRFタグが有する構造体の、図19(B)とは異なる形状
を示す。図19(C)に示す構造体530は、矩形の四隅が三角形に切り落とされたよう
な形状を有している。構造体530が有する各隅531を、その外角が35度以上55度
以下とすることで、外力が加えられたときに、構造体530にひび、かけなどの破損が生
じるのを防ぐことができる。
【0188】
また図19(C)に示す構造体530の各隅に、丸みを持たせるようにしても良い。この
場合、構造体530を矩形に見立てたときに、破線532で示す該矩形の向かい合う2辺
の距離をLとする。ただしLは最も短い値を採用する。また、構造体530の各隅におけ
る曲率半径をRとする。本実施の形態では、RをL/5〜L/50とすることで、外力が
加えられたときに、構造体530にひび、かけなどの破損が生じるのを防ぐことができる

【0189】
なお本実施の形態では、構造体を矩形に見立てたときの向かい合う辺の距離をLとした。
しかし、互いに平行な辺を有しておらず矩形に見立てるのが困難な構造体の場合は、任意
の辺の中点と、該任意の辺の垂直二等分線が他の辺に交わる交点との距離をLとする。な
お、Lが複数有る場合は、最も小さい値を採用する。
【0190】
上記構成により、RFタグの外力に対する信頼性を高めることができ、よってRFタグが
使用可能な環境の条件を広げ、延いてはRFタグの用途の幅を広げることが可能になる。
【0191】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0192】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有する素子層の、トランジスタの一例について
説明する。
【0193】
図20(A)に、本実施の形態のトランジスタの上面図を示す。図20(A)に示すトラ
ンジスタは、活性層として用いる半導体膜601と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を間
に挟んで半導体膜601と重なる電極602とを有している。また半導体膜601のうち
、ソースまたはドレインとして機能する不純物領域606、607に、配線603と、配
線604がそれぞれ接続されている。なお半導体膜601と電極602の構成を明確にす
るために、図20(A)ではゲート絶縁膜を示さず、半導体膜601、電極602、配線
603、配線604のみを図示している。
【0194】
半導体膜601のうち、不純物領域606、607の間にあって、なおかつゲート絶縁膜
を間に挟んで電極602と重なる部分がチャネル形成領域605に相当する。図20(A
)に示すトランジスタでは、半導体膜601が互いに分離した複数のチャネル形成領域6
05を有している。
【0195】
図20(A)のように互いに分離した複数のチャネル形成領域を有するマルチチャネル構
造のトランジスタを用いることで、外力によりチャネル形成領域の1つが破壊されても、
残りのチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、マルチチャネル
構造のトランジスタを用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めること
ができる。
【0196】
また図20(A)のようなマルチチャネル構造のトランジスタの代わりに、並列に接続さ
れた複数のトランジスタを用いても良い。図20(B)に、並列に接続された複数のトラ
ンジスタの上面図を示す。図20(B)に示すトランジスタ611〜613は、活性層と
して用いる半導体膜614〜616と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を間に挟んで半導
体膜614〜616と重なる電極617とをそれぞれ有している。また半導体膜614〜
616のうち、ソースとして機能する不純物領域618〜620には配線624が、ドレ
インとして機能する不純物領域621〜623には配線625が、それぞれ接続されてい
る。なお半導体膜614〜616の構成を明確にするために、図20(B)ではゲート絶
縁膜を示さず、半導体膜614〜616、電極617、配線624、配線625のみを図
示している。
【0197】
トランジスタ611〜613は互いにソースが接続されており、また互いにドレインも接
続されている。そしてゲートとして機能する電極617を共有している。よって、図20
(A)に示したマルチチャネル構造のトランジスタと同様に、半導体膜614〜616の
いずれかが外力によりチャネル形成領域において破壊されても、残りの半導体膜が有する
チャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、互いに並列に接続され
た複数のトランジスタを用いることで、半導体装置の外力に対する信頼性をより高めるこ
とができる。
【0198】
次に、マルチチャネル構造を有するトランジスタを用いた各種回路の具体的な構成につい
て、インバータを例に挙げて説明する。インバータの回路図を図21(A)に、また図2
1(A)に示すインバータの上面図を図21(B)に、一例として示す。
【0199】
図21(A)に示すインバータは、pチャネル型のトランジスタ2001と、nチャネル
型のトランジスタ2002とを有する。トランジスタ2001とトランジスタ2002は
直列に接続されている。具体的には、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ
2002のドレインが接続されている。そして、トランジスタ2001のドレイン及びト
ランジスタ2002のドレインの電位は、出力端子OUTに与えられる。
【0200】
またトランジスタ2001のゲートとトランジスタ2002のゲートは接続されている。
そして、入力端子INに入力された信号の電位は、トランジスタ2001のゲート及びト
ランジスタ2002のゲートに与えられる。トランジスタ2001のソースにはハイレベ
ルの電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースにはローレベルの電圧VSS
が与えられる。
【0201】
図21(B)に示すインバータでは、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ
2002のドレインは、配線2003を介して電気的に接続されている。そして配線20
03は配線2004に接続されている。よって、トランジスタ2001のドレイン及びト
ランジスタ2002のドレインの電位は、配線2003及び配線2004を介して、出力
端子OUTの電位として後段の回路に与えられる。
【0202】
また図21(B)に示すインバータでは、配線2005の一部がトランジスタ2001の
ゲート及びトランジスタ2002のゲートとして機能している。そして配線2005に与
えられた電位が、入力端子INの電位としてトランジスタ2001のゲート及びトランジ
スタ2002のゲートに与えられる。そしてトランジスタ2001のソースには、配線2
006を介して電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースには、配線200
7を介して電圧VSSが与えられている。
【0203】
トランジスタ2002が有する半導体膜2008と、トランジスタ2001が有する半導
体膜2010とは、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有している。半導体膜20
08及び半導体膜2010の形状を明確にするため、図21(B)に示すインバータのう
ち、半導体膜2008、半導体膜2010のみを図21(C)に示す。図21(C)に示
すように、半導体膜2008及び半導体膜2010は互いに分離した複数のチャネル形成
領域を有しているため、外力によりチャネル形成領域の1つが破壊されても、残りのチャ
ネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、マルチチャネル構造のトラ
ンジスタ2001、トランジスタ2002を用いることで、半導体装置の外力に対する信
頼性をより高めることができる。
【0204】
次に、マルチチャネル構造を有するトランジスタを用いた各種回路の具体的な構成につい
て、NAND回路を例に挙げて説明する。NAND回路の回路図を図22(A)に、また
図22(A)に示すNAND回路の上面図を図22(B)に、一例として示す。
【0205】
図22(A)に示すNAND回路は、pチャネル型のトランジスタ3001と、pチャネ
ル型のトランジスタ3002と、nチャネル型のトランジスタ3003と、nチャネル型
のトランジスタ3004とを有する。トランジスタ3001と、トランジスタ3003と
、トランジスタ3004とは、順に直列に接続されている。またトランジスタ3001と
、トランジスタ3002とは並列に接続されている。
【0206】
具体的にトランジスタ3001のソースとドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDD
が与えられ、他方は出力端子OUTに接続されている。トランジスタ3002のソースと
ドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDDが与えられ、他方は出力端子OUTに接続
されている。トランジスタ3004のソースとドレインは、一方にはローレベルの電圧V
SSが与えられている。トランジスタ3003のソースとドレインは、一方は出力端子O
UTに接続されている。そして、トランジスタ3003のソースとドレインの他方と、ト
ランジスタ3004のソースとドレインの他方とが接続されている。トランジスタ300
1のゲートと、トランジスタ3003のゲートには、入力端子IN1の電位が与えられる
。またトランジスタ3002のゲートと、トランジスタ3004のゲートには、入力端子
IN2の電位が与えられる。
【0207】
図22(B)に示すNAND回路では、直列に接続されているトランジスタ3001とト
ランジスタ3002とが、半導体膜3005を共有している。また直列に接続されている
トランジスタ3003とトランジスタ3004とが、半導体膜3006を共有している。
また配線3007の一部はトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲ
ートとして機能している。そして配線3007に与えられた電位が、入力端子IN1の電
位としてトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲートに与えられる
。配線3008の一部はトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲー
トとして機能している。そして配線3008に与えられた電位が、入力端子IN2の電位
としてトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲートに与えられる。
【0208】
ハイレベルの電圧VDDは、配線3009を介してトランジスタ3001のソースとドレ
インの一方、及びトランジスタ3002のソースとドレインの一方に与えられる。またロ
ーレベルの電圧VSSは、配線3010を介してトランジスタ3004のソースとドレイ
ンの一方に与えられる。トランジスタ3001のソースとドレインの他方、トランジスタ
3002のソースとドレインの他方、及びトランジスタ3003のソースとドレインの一
方は、その電位が配線3011及び配線3012を介して出力端子OUTの電位として後
段の回路に与えられる。
【0209】
半導体膜3005及び半導体膜3006は、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有
している。半導体膜3005及び半導体膜3006の形状を明確にするため、図22(B
)に示すNAND回路のうち、半導体膜3005、半導体膜3006のみを図22(C)
に示す。図22(C)に示すように、半導体膜3005及び半導体膜3006は互いに分
離した複数のチャネル形成領域を有しているため、外力によりチャネル形成領域の1つが
破壊されても、残りのチャネル形成領域においてキャリアの移動は可能である。よって、
マルチチャネル構造のトランジスタ3001〜3004を用いることで、半導体装置の外
力に対する信頼性をより高めることができる。
【0210】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0211】
(実施の形態9)
本発明者らは、カレンダーロールで局所的な線圧を加えたときの、半導体装置の動作率に
ついて試験した。
【0212】
試験には、RFタグを半導体装置として用いた。全てのサンプルにおいて、RFタグは、
集積回路とアンテナとを同一の基板に形成(一体形成)するオンチップタイプである。ま
た、全てのサンプルにおいて、集積回路及びアンテナを有する素子層は、一対のプリプレ
グで挟まれており、なおかつ集積回路及びアンテナと、一対のプリプレグとは、紙に漉き
込まれている。
【0213】
そして、試験には、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているRF
タグ(サンプルA)、2層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれているR
Fタグ(サンプルB)、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれている
RFタグ(サンプルC)、1層の繊維体を有する一対のプリプレグで素子層が挟まれてい
るRFタグ(サンプルD)を用いた。サンプルA〜サンプルCで用いられている繊維体は
、糸束径が4μmのガラス繊維を50本有している。サンプルDで用いられている繊維体
は、糸束径が4μmのガラス繊維を100本有している。全てのサンプルにおいて、繊維
体は経糸及び緯糸により平織りに製織されている。
【0214】
なお、サンプルAでは、加熱圧着する前の一対の各プリプレグの厚さが15μmである。
そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプル
Aのトータルの厚さは、約32.7μmである。サンプルBでは、一対の各プリプレグが
、サンプルAに用いられる厚さ15μmのプリプレグを2層積層して加熱圧着することに
より、形成されている。そして、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着するこ
とで形成されるサンプルBのトータルの厚さは、約63.0μmである。サンプルCでは
樹脂厚を2倍とし、加熱圧着する前の一対の各プリプレグの厚さが30μmである。そし
て、素子層を間に挟んで一対のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルCの
トータルの厚さは、約58.0μmである。サンプルDでは樹脂厚を2倍とし、加熱圧着
する前の一対の各プリプレグの厚さが30μmである。そして、素子層を間に挟んで一対
のプリプレグを加熱圧着することで形成されるサンプルDのトータルの厚さは、57.5
μmである。
【0215】
また、サンプルA〜サンプルDの全てにおいて、RFタグの面積は10.5mm×12.
0mmである。さらに、サンプルAとRFタグの面積のみが異なるサンプルA’、サンプ
ルBとRFタグの面積のみが異なるサンプルB’、サンプルCとRFタグの面積のみが異
なるサンプルC’、サンプルDとRFタグの面積のみが異なるサンプルD’についても、
併せて試験を行った。サンプルA’〜サンプルD’におけるRFタグの面積は、9.0m
m×9.5mmである。
【0216】
そして、サンプルA〜サンプルD、サンプルA’〜 サンプルD’は、坪量約150g/
cmになるように、集積回路及びアンテナと、一対のプリプレグとが、紙に漉き込まれ
ている。
【0217】
試験では、カレンダーロールを用いて各サンプルに線圧を加えた。カレンダーロールには
、金属製の丸い筒状の第1ロールと、ウレタン系ゴム製の丸い筒状の第2ロールとを用い
た。第1ロールの温度は100℃、第2ロールの温度は75℃とした。そして、第1ロー
ルと第2ロールの間にサンプルを挿入し、ロール速度7000mm/minとなるように
第1ロール及び第2ロールを回転させることで、サンプル全体に線圧を加えた。線圧は、
第1ロールと第2ロールの間にかかる圧力を、第1ロールと第2ロールとが接する幅で除
した値に相当する。本試験では、線圧100kg/cmと、線圧200kg/cmとの2
条件を用いた。
【0218】
表1に、カレンダーロールにより線圧を加える前に正常に動作した各サンプルの数(処理
前サンプル数)と、線圧が加えられた後に正常に動作した各サンプルの数(処理後サンプ
ル数)と、動作率とを、線圧ごとに示す。なお、正常に動作したか否かの判断は、正しい
識別番号を非接触で読み取れたかどうかで行った。動作率は、処理前サンプル数に対する
処理後サンプル数の割合で算出した。
【0219】
【表1】

【0220】
表1に示す動作率をサンプルA〜サンプルDで比較すると、いずれの線圧においても、サ
ンプルBの動作率が最も高くなった。また、表1に示す動作率をサンプルA’〜サンプル
D’で比較すると、いずれの線圧においても、サンプルB’の動作率が最も高くなった。
従って、本実施の形態で示した試験の結果から、同程度の厚さを有するプリプレグであっ
ても、積層された繊維体を有するプリプレグを用いた方が、線圧に対する半導体装置の信
頼性を高くできることが分かる。
【実施例1】
【0221】
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの構成について説明する。図2
3は本発明のRFタグの一形態を示すブロック図である。図23においてRFタグ900
は、アンテナ901と、集積回路902とを有している。集積回路902は、電源回路9
03、復調回路904、変調回路905、レギュレータ906、制御回路907、メモリ
909を有している。本発明の整流回路は、電源回路903、復調回路904において用
いることができる。
【0222】
質問器から電波が送られてくると、アンテナ901において該電波が交流電圧に変換され
る。電源回路903では、アンテナ901からの交流電圧を整流し、電源用の電圧を生成
する。電源回路903において生成された電源用の電圧は、制御回路907とレギュレー
タ906に与えられる。レギュレータ906は、電源回路903からの電源用の電圧を安
定化させるか、またはその高さを調整した後、集積回路902内の復調回路904、変調
回路905、制御回路907またはメモリ909などの各種回路に供給する。
【0223】
復調回路904は、アンテナ901が受信した交流信号を復調して、後段の制御回路90
7に出力する。制御回路907は復調回路904から入力された信号に従って演算処理を
行い、別途信号を生成する。上記演算処理を行う際に、メモリ909は一次キャッシュメ
モリまたは二次キャッシュメモリとして用いることが出来る。また制御回路907は、復
調回路904から入力された信号を解析し、質問器から送られてきた命令の内容に従って
、メモリ909内の情報の出力、またはメモリ909内における命令の内容の保存を行う
。制御回路907から出力される信号は符号化され、変調回路905に送られる。変調回
路905は該信号に従ってアンテナ901が受信している電波を変調する。アンテナ90
1において変調された電波は質問器で受け取られる。そしてRFタグ900から出力され
た情報を知ることができる。
【0224】
このようにRFタグ900と質問器との通信は、キャリア(搬送波)として用いる電波を
変調することで行われる。キャリアは、125kHz、13.56MHz、950MHz
など規格により様々である。また変調の方式も規格により振幅変調、周波数変調、位相変
調など様々な方式があるが、規格に即した変調方式であればどの変調方式を用いても良い

【0225】
信号の伝送方式は、キャリアの波長によって電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方
式など様々な種類に分類することが出来る。電磁結合方式や電磁誘導方式の場合、強い電
波にRFタグがさらされることで、アンテナに過度に大きい交流電圧が生じてしまう恐れ
がある。本発明の整流回路を用いることは、過度に大きい交流電圧によって集積回路内の
半導体素子が劣化または破壊されるのを防止することができるので、電磁結合方式や電磁
誘導方式の場合は特に有効である。
【0226】
メモリ909は不揮発性メモリであっても揮発性メモリであってもどちらでも良い。メモ
リ909として、例えばDRAM(Dynamic Random Access Me
mory)、SRAM(Static Random Access Memory)、
FeRAM、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Ele
ctrically Programmable Read Only Memory)
、EEPROM(Electrically Erasable and Progra
mmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、有機メモリ等
などを用いることが出来る。
【0227】
本実施例では、アンテナ901を有するRFタグ900の構成について説明しているが、
本発明のRFタグは必ずしもアンテナを有していなくとも良い。また図23に示したRF
タグに、発振回路または二次電池を設けても良い。
【0228】
また図23では、アンテナを1つだけ有するRFタグの構成について説明したが、本発明
はこの構成に限定されない。電力を受信するためのアンテナと、信号を受信するためのア
ンテナとの、2つのアンテナを有していても良い。アンテナが1つだと、例えば950M
Hzの電波で電力の供給と信号の伝送を両方行う場合、遠方まで大電力が伝送され、他の
無線機器の受信妨害を起こす可能性がある。そのため、電力の供給は電波の周波数を下げ
て近距離にて行う方が望ましいが、この場合通信距離は必然的に短くなってしまう。しか
しアンテナが2つあると、電力を供給する電波の周波数と、信号を送るための電波の周波
数とを使い分けることができる。例えば電力を送る際は電波の周波数を13.56MHz
として電磁誘導方式を用い、信号を送る際は電波の周波数を950MHzとして電波方式
を用いることができる。このように機能合わせてアンテナを使い分けることによって、電
力の供給は近距離のみの通信とし、信号の伝送は遠距離も可能なものとすることができる

【0229】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは外力に対する信頼性が高いので、RFタグが
使用可能な環境の条件を広げ、延いてはRFタグの用途の幅を広げることが可能になる。
【0230】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0231】
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるCPU(central proces
sing unit)の構成について説明する。
【0232】
図24に、本実施例のCPUの構成をブロック図で示す。図24に示すCPUは、基板8
00上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)801、
演算回路用制御部(ALU Controller)802、命令解析部(Instru
ction Decoder)803、割り込み制御部(Interrupt Cont
roller)804、タイミング制御部(Timing Controller)80
5、レジスタ(Register)806、レジスタ制御部(Register Con
troller)807、バスインターフェース(Bus I/F)808、メモリ80
9、メモリ用インターフェース820を主に有している。メモリ809及びメモリ用イン
ターフェース820は、別チップに設けても良い。勿論、図24に示すCPUは、その構
成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を
有している。
【0233】
バスインターフェース808を介してCPUに入力された命令は、命令解析部803にお
いてデコードされた後、演算回路用制御部802、割り込み制御部804、レジスタ制御
部807、タイミング制御部805に入力される。演算回路用制御部802、割り込み制
御部804、レジスタ制御部807、タイミング制御部805は、デコードされた命令に
もとづき、各種制御を行なう。具体的に演算回路用制御部802は、演算回路801の動
作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部804は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタ制御部807は、レジスタ806のアドレスを生成
し、CPUの状態に応じてレジスタ806の読み出しや書き込みを行なう。
【0234】
またタイミング制御部805は、演算回路801、演算回路用制御部802、命令解析部
803、割り込み制御部804、レジスタ制御部807の動作のタイミングを制御する信
号を生成する。例えばタイミング制御部805は、基準クロック信号をもとに、内部クロ
ック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路
に供給する。
【0235】
本発明の半導体装置の一つであるCPUは、外力に対する信頼性が高い。よって、本発明
のCPUを用いた電子機器、特に使用者が持ち運ぶことを前提とした携帯用の電子機器の
、振動、衝撃に対する機械的強度をより高めることができる。
【0236】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である

【実施例3】
【0237】
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは可撓性を有しているため、可撓性を有する対
象物、或いは曲面を有する対象物に、貼り合わせるのに好適である。また本発明のRFタ
グは振動や衝撃に強いだけではなく、局所的な押圧に対する信頼性も高いため、用途の幅
が広い。
【0238】
本発明のRFタグが有する集積回路の中に、データの書き換えができないROMなどのメ
モリを形成しておけば、RFタグが取り付けられた対象物の偽造を防止することができる
。また例えば、産地、生産者などによって商品価値が大きく左右される食料品に、本発明
のRFタグを用いることは、産地、生産者などの偽装を防止するのに有用である。
【0239】
具体的に本発明のRFタグは、例えば、荷札、値札、名札など、対象物の情報を有するタ
グに取り付けて用いることができる。或いは、本発明のRFタグ自体をタグとして用いて
も良い。また例えば、戸籍謄本、住民票、パスポート、免許証、身分証、会員証、鑑定書
、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード、診察券、定期券など、事実
を証明する文書に相当する証書に取り付けても良い。また例えば、手形、小切手、貨物引
換証、船貨証券、倉庫証券、株券、債券、商品券、抵当証券など、私法上の財産権を表示
する証券に相当する有価証券に取り付けても良い。
【0240】
また例えば、商品のラベルに本発明のRFタグを付けておき、該RFタグを用いて商品の
流通を管理するような利用の仕方も可能である。
【0241】
図25(A)に示すように、裏面が粘着性を有する商品のラベル1301などの支持体に
、本発明のRFタグ1302を取り付ける。そして、RFタグ1302が取り付けられた
ラベル1301を、商品1303に装着する。商品1303に関する識別情報は、ラベル
1301に貼り合わされたRFタグ1302から、無線で読み取ることが可能である。よ
ってRFタグ1302により、流通の過程において、商品の管理が容易になる。本発明の
RFタグは、可撓性を有するラベル1301に取り付けられても、応力により破壊されに
くいというメリットを有している。よって、本発明のRFタグを用いたラベル1301は
、曲面を有する対象物に貼り合わせるのに好適である。また、本発明のRFタグ1302
は押圧に対する信頼性が高いので、流通の過程でRFタグ1302が破壊されにくい。
【0242】
例えば、RFタグ1302内の集積回路が有するメモリとして、書き込みが可能な不揮発
性メモリを用いている場合、商品1303の流通のプロセスを記録することができる。ま
た商品の生産段階におけるプロセスを記録しておくことで、卸売業者、小売業者、消費者
が、産地、生産者、製造年月日、加工方法などを把握することが容易になる。
【0243】
また、書籍、DVD、CDなど内在している情報に価値を有する商品の場合、内在する情
報全てを開示できるようにすると商品としての価値が下がり、かといって全く開示しない
と商品としての価値が把握しにくいという問題を有している。上記商品を、本発明のRF
タグを取り付けた包装材で包装し、RFタグに商品が有する情報の一部を記憶させておく
ことで、商品の価値を下げることなく、商品の価値を客に把握してもらうことができる。
図25(B)に、書籍1311を、本発明のRFタグ1313を取り付けた包装材131
2で包装している様子を示す。
【0244】
そして、例えば携帯電話のような携帯情報端末に質問器としての機能を付加しておくこと
で、客が書籍1311の内容を一部把握することができる。
【0245】
上記構成により、商品に内在している情報を全て開示せずとも、客が商品の内容を把握す
ることが可能になる。
【0246】
図25(C)に、本発明のRFタグ1320を取り付けた、無記名債券類1321の一例
を示す。無記名債券類1321には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、
文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これ
らに限定されるものではない。なおRFタグ1320は無記名債券類1321の内部に形
成しても良いし、無記名債券類1321の表面に露出させるように形成しても良い。本発
明のRFタグは、可撓性を有する無記名債券類1321に取り付けられても、応力により
破壊されにくいというメリットを有している。
【0247】
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である

【実施例4】
【0248】
本発明の半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機ま
たは電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッド
マウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オ
ーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置
(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再
生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などが挙げられる。これら電子
機器の具体例を図26に示す。
【0249】
図26(A)は携帯電話であり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、
音声出力部2104、操作キー2105を有する。表示部2102またはその他集積回路
に本発明の半導体装置を用いることで、外力に対する信頼性が高い携帯電話が得られる。
【0250】
図26(B)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外
部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607
、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を有する。表示部2602
またはその他集積回路に本発明の半導体装置を用いることで、外力に対する信頼性が高い
ビデオカメラが得られる。
【0251】
図26(C)は映像表示装置であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部24
03等を有する。表示部2402またはその他集積回路に本発明の半導体装置を用いるこ
とで、外力に対する信頼性が高い映像表示装置が得られる。なお、映像表示装置には、パ
ーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの、映像を表示するための全
ての映像表示装置が含まれる。
【0252】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可
能である。
【0253】
本実施例は、上記実施の形態または上記実施例と適宜組み合わせて実施することができる

【符号の説明】
【0254】
101 構造体
102 構造体
103 素子層
104 有機樹脂
105 有機樹脂
110 経糸
111 緯糸
112 バスケットホール
120 繊維体
121 繊維体
122 繊維体
123 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
島状の半導体膜を用いた半導体素子を有する素子層と、積層された複数の繊維体に有機樹脂が含浸された一対の構造体とを有し、
前記素子層は前記一対の構造体の間に固着されていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−212917(P2012−212917A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139924(P2012−139924)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2008−146459(P2008−146459)の分割
【原出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】