半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法
【課題】半導体製造においては、加熱炉内の温度条件が極めて重要であるが、加熱炉内の温度が所望プロファイルではない場合、これに対処する手段が何ら講じられていなかった。この発明の課題は、前記課題を解決する装置の提供にある。
【解決手段】加熱部5を備えた加熱炉内にウェハ7を収納し、加熱炉内を所定の温度に加熱してウェハ7に処理を施す半導体製造装置において、加熱炉内の温度を任意の時点でその実測温度に維持することのできる手段を備えた半導体製造装置。
【解決手段】加熱部5を備えた加熱炉内にウェハ7を収納し、加熱炉内を所定の温度に加熱してウェハ7に処理を施す半導体製造装置において、加熱炉内の温度を任意の時点でその実測温度に維持することのできる手段を備えた半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱炉を備えたCVD装置等の半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法に関し、とくに加熱炉の温度制御の可能な半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、CVD装置等の半導体製造装置にあっては、加熱炉にシリコンウェハ等の基板を収容し、加熱炉内を所定の温度に加熱しつつ反応ガスを供給して、基板上に薄膜を形成する。半導体製造においては、加熱炉内の温度条件が極めて重要であり、この温度制御の精度が品質に大きく影響する。しかしながら従来は、加熱炉内の温度が所望の温度プロファイルではない場合に、これに対処する手段が何ら講じられていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の目的は、(A)オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、オペレータがその状態に気づいた時、一旦その状態に温度を保持させる機構を有する半導体製造装置の提供にある。なお、以下の記述において、半導体製造装置の加熱炉の温度を任意の時点でその実測温度に維持することを、「実測温度HOLD」という。
【0004】
また別の目的は、(B)オペレータが、温度実測値の異常に気づいた時、その状態を保持させるのに使用できる半導体製造装置の提供にある。
また別の目的は、(C)温度過渡状態において、ある時点における温度実測値を温度設定値に設定することにより、過渡温度特性の調査を可能にすることのできる半導体製造装置の提供にある。
また別の目的は、(D)レシピ設定中に、温度を保持する温度イベントを設定できる半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的(A)、(B)、(C)および(D)は、次の構成によって達成
することができる。
すなわちこの発明は、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置であって、温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と前記実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行う温度調節器を備えたことを特徴とする半導体製造装置を提供するものである。
【0006】
またこの発明は、前記の半導体製造装置であって、レシピのイベント制御によって、或いはマニュアル操作によって、或いは実測温度HOLDキー押下によって温度設定値が指定されると、前記温度調節器に温度PIDテーブルをダウンロードするコントローラを更に有し、前記温度調節器は、前記コントローラからダウンロードされた温度PIDテーブルの中の指定された温度PIDテーブル内のPID定数を使用して、前記加熱炉内の温度制御をすることを特徴とする半導体製造装置を提供するものである。
【0007】
またこの発明は、前記の半導体製造装置における表示方法であって、前記実測温度HOLDキーは、アラーム状態が表示されるシステム状態エリアに配置される半導体製造装置における表示方法を提供するものである。
またこの発明は、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置における異常処理方法であって、温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行うことを特徴とする半導体製造装置における異常処理方法を提供するものである。
【0008】
(A)の目的を達成する利点について説明する。
オペレータが誤った温度設定を行った後に、それに気付いて、例えば、元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、操作に手間取って時間を取られることが想定される。その場合、操作に手間取って時間を取られている間も、誤った温度設定値で加熱炉内は温度制御されているわけで、例えば、+50℃、−50℃の温度上昇や、温度降下を引き起こしてしまい、その後元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、例えば、30分〜60分もの無駄な時間を浪費してしまう。オペレータが誤った温度設定を行ったと気付いた時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、無駄な温度上昇や、温度降下を防止する事ができる。
【0009】
(B)の目的を達成する利点について説明する。
何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、原因の追求に役立てることができるし、また、安全上も有効に働くことになる。例えば、半導体製造装置部品に異常があって、設定温度になっていない場合には、実測温度HOLDすることはできない。このような場合には、加熱炉内の温度グラフを観察して、半導体製造装置部品の異常を確かめることができる。これとは別に、実測温度HOLDがなされている場合には、オペレータの操作ミスか、あるいはソフトバグの可能性が考えられる。
【0010】
(C)の目的を達成する利点について説明する。
例えば、ウェハのボートUP時間(冷ウェハ挿入時間)が20分要する場合、一定の時間経過後に、一旦実測温度HOLDすれば、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになる。得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。図21は、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性の一例を説明するための図である。図21によれば、加熱炉内の温度が800℃に上昇し、ボートUPすると、約100℃の温度降下が生じ、加熱炉内は700℃となる。そしてボートUP後、一定時間経過後に実測温度HOLDした場合に(HOLD1〜HOLD5)、温度のオーバーシュート量と、整定時間(ボートUP完了から温度安定するまでの時間)との関係を把握することができ、加熱炉の温度特性を観察することができる。なお、図21に示したように、ボートUP後にHOLD1〜HOLD5を行っても、ある程度の温度降下は避けられず、図21では加熱炉内がいずれも700℃まで温度降下している。
【0011】
(D)の目的を達成する利点について説明する。
レシピ設定中に、一旦実測温度HOLDできるイベント設定が行えれば、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができる。これとは別の利点として、ボートUPにおける温度リカバリー時に、例えば、ボートUP開始後、5分後に温度実測値HOLDを1分間実行し、温度ランピングを、元の温度(例えば、800℃)まで昇温速度例えば5℃/分のように設定することにより、温度設定するまでの時間を短縮することもできる。
【0012】
図22は、ボートUP時の温度過渡期における実測温度HOLDの効果を説明するための図である。図22によれば、曲線46は、この発明の装置の一例であり、加熱炉内が800℃に達してからボートUP開始すると、5分間温度降下し、その後1分間実測温度HOLDし、昇温速度5℃/分に設定し800℃まで加熱炉内の温度を回復させる。この発明の装置に一例によれば、曲線46に示したように迅速に加熱炉内の温度が800℃に回復している。
【0013】
これに対し、実測温度HOLDや昇温動作を全く行わない曲線47では、整定時間、すなわちボートUP完了から温度安定するまでの時間が長く、しかも温度の変化の度合いも大きい。また、実測温度HOLDを行わず、ボートUP開始5分後に昇温速度5℃/分に設定した場合(曲線48)は、曲線47より優れた整定時間を示しているものの、この発明の装置のそれよりも劣っている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を所定の温度に加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置において、前記加熱炉内の温度を任意の時点でその実測温度に維持(実測温度HOLD)することのできる手段を備えているので、オペレータが誤った温度設定を行った場合でも、無駄な温度上昇や、温度降下を防止する事ができる。
【0015】
さらにこの発明によれば、前記の半導体製造装置においてオペレータの指示により実測温度HOLDが可能であるので、何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その原因の追求が容易であり、また、歩留まりの向上にも役立つ。さらに加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになり、得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。
【0016】
この発明によれば、前記の半導体製造装置において、実測温度の維持が、レシピ中のイベントに設定可能とされているので、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができ、さらに、ボートUPによる温度降下を迅速に回復することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態における半導体製造装置を示す全体構成図である。
【図2】温度調節器の詳細を示すブロック図である。
【図3】上位コントローラの詳細を示すブロック図である。
【図4】オペレータが期待するランプダウン温度履歴を示す図である。
【図5】オペレータが期待しなかった温度履歴を示す図である。
【図6】オペレータが誤設定に気付いて、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。
【図7】オペレータが誤設定に気付いて、HOLD設定後、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。
【図8】オペレータが異常温度状態に気付いて、実測温度HOLDしたときの温度実測値を示す図である。
【図9】実測温度HOLDの設定による、温度特性の調査の結果を示す図である。
【図10】レシピ中のアラームイベントとしてのHOLD設定を説明するための図である。
【図11】実測温度HOLD機能使用時の関連図である。
【図12】上位コントローラのオペレータ画面を示す図である。
【図13】上位コントローラのオペレータ画面を示す別の図である。
【図14】上位コントローラのイベント切り替え監視処理フローチャートである。
【図15】上位コントローラの温度アラーム監視処理フローチャートである。
【図16】上位コントローラの温度実測値HOLD処理フローチャートである。
【図17】温度調節器の電文受信割り込みフローチャートである。
【図18】温度調節器のメインフ処理ローチャートである。
【図19】上位コントローラの電文受信割り込みフローチャートである。
【図20】上位コントローラのメイン処理フローチャートである。
【図21】加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性の一例を説明するための図である。
【図22】ボートUP時の温度過渡期における実測温度HOLDの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は実施の形態における半導体製造装置を示す全体構成図である。
図1において、加熱部(ヒータ)5内には、筒状の反応管8が立設され、この反応管8内に加熱物保持部であるボート6が複数の加熱物であるウェハ7を搭載して挿入されている。
【0019】
ヒータ5の外周側壁には、ヒータ5内を上部よりUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンの4ゾーンに分けて各ゾーンを加熱する発熱部11、12、13、14が設けられ、また、各発熱部に対向する加熱部5の外周側壁には、各ゾーンの温度を検出するUゾーンの温度検出熱電対1、CUゾーンの温度検出熱電対2、CLゾーンの温度検出熱電対3、Lゾーンの温度検出熱電対4が設けられている。ボート6は、その下部にキャップ9が設けられ、このキャップ端部がエレベータ10に支持されている。
【0020】
発熱部11、12、13、14には、それぞれ電力ケーブル15、16、17、18が図示しない電源よりブレーカ23を介して接続されている。各電力ケーブル15、16、17、18には、それぞれ電力制御用のサイリスタ19、20、21、22が設けられている。これらサイリスタ19〜22は温度調節器25の出力側に接続されている。温度調節器25の入力側には熱電対1〜4の出力部が接続されている。また、温度調節器25は上位コントローラ26に接続されている。
【0021】
以上の構成において、温度調節器25は熱電対1〜4から温度を読み取り、制御演算を行い、ヒータ出力値を決定し、サイリスタ19〜22を制御し、これにより、電力ケーブル15〜18により供給される各ゾーンのヒータ11〜14への電力供給を制御する。ウェハ7はボート6によって保持され、エレベータ10によって反応管8内に挿入される。キャップ9は熱保持の
為に使われる。上位コントローラ26は、温度調節器25及び、その他の図示しないガスコントローラ、メカコントローラ、圧力コントローラ等を通信接続し、プロセスイベント制御を行う。
【0022】
上位コントローラ26は、後で詳述するが、温度調節器25が温度制御に使用する、温度PIDテーブルの作成機能を持ち、温度PIDテーブルを温度調節器25にダウンロードする。上位コントローラ26はイベント制御によって、温度PIDテーブルの中のPIDテーブル番号を指定する。温度調節器25は、上位
コントローラ26からダウンロードされた温度PIDテーブルの中の、指定されたPIDテーブル番号のPID定数を使って、PID制御演算を行い、炉内温度を制御する。
【0023】
図2は温度調節器の詳細を示すブロック図である。
温度調節器25は、CPU250、メモリ(プログラム用)251、メモリ(ワーク用)252、ADコンバータ(熱電対用)253、MUX(マルチプレクサ熱電対用)254、上位コントローラ26との通信に使う通信制御ユニット256より構成され、サイリスタ点弧パルス、インターロック信号を必要に応じて発生させる。
【0024】
温度調節器25は、PB、I、Dを定数として、次に示すPID演算を行う。
偏差=設定温度値−実測温度値
PID出力値=P出力値+I出力値+D出力値
P出力値=100×偏差÷PB
I出力値=100÷PB÷I×偏差時間積分値
D出力値=100÷PB×D×偏差時間微分値
【0025】
図3は上位コントローラの詳細を示すブロック図である。
上位コントローラ26は、CPU260、メモリ(プログラム用)261、メモリ(ワーク用)262、外部記憶ユニット263、表示制御ユニット264、表示機器265、通信制御ユニット266より構成され、インターロック信号を必要に応じて発生させる。
【0026】
上位コントローラ26は、温度調節器25が温度制御に使用する温度PIDテーブルの作成機能を持ち、温度PIDテーブルを温度調節器25にダウンロードする。
また、上位コントローラ26はレシピのイベント制御によって、温度設定値を指定する。あるいは、マニュアル操作により、温度設定値を指定する。あるいは、実測温度HOLDキー押下のみで、温度設定値を指定する。
【0027】
上述のように、本発明の目的の一つは、(A)オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、オペレータがその状態に気づいた時、一旦その状態に温度を保持させる機構を有する半導体製造装置の提供にある。
【0028】
(A)の目的を達成する利点は、オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、それに気づいて、例えば、元の温度設定値に、実測温度を回復させようとした時に、操作に手間取って時間をとられる事が想定される。その場合、操作に手間取って時間を取られている間も、誤った温度設定値で温度制御されているわけで、例えば、+50℃、−50℃の温度上昇や、温度降下を引き起こしてしまい、その後、元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、例えば、30分〜60分もの無駄な時間を浪費してしまう。オペレータが気づいた時点で、一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、無駄な温度上昇や温度降下を防止する事ができる。
【0029】
図4は、オペレータが期待するランプダウン温度履歴を示す図である。図4によれば、温度設定値27と温度実測値28とがほぼ一致しており理想的な曲線を描いている。
【0030】
図5は、オペレータが期待しなかった温度履歴を示す図である。図5によれば温度設定値29に示すようにオペレータが誤ったランプダウン指示を行い(500℃設定のみ、5℃/分降下設定忘れ)、温度実測値30も500℃まで降下している。
【0031】
図6は、オペレータが誤設定に気付いて、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。温度設定値31に示されるように、ある時点で誤ったランプダウン指示を行い温度設定値31が800℃から500℃に変更されている。誤設定に気付いた後、温度設定値31を800℃に変更しているが、温度実測値32は設定値の800℃になるまでの回復時間が長くなっている。
【0032】
図7は、オペレータが誤設定に気付いて、HOLD設定後、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。図7の例では、誤って、温度設定値33で示すように500℃設定のみでランプレート5℃/分を設定し忘れ、途中で気づき、すぐに、後述の図12に示すオペレータ画面中の実測温度HOLDボタンを押し、その後、マニュアルボタンを押して、800℃温度設定値を含むマニュアル設定項目をすべて入力し、設定する事により、温度回復させた例である。実測温度HOLDの機能の効果で、温度実測値34に示されるように、無駄な温度降下を防いでいる。なお、HOLD設定時点までの温度実測値35は、温度実測値34と同じ線上にある。
【0033】
すなわち実測温度HOLDの動作をしなかった場合は、温度実測値35に示されるよいうに、800℃に再設定したとしても、温度安定までに長い時間がかかっているが、実測温度HOLDの動作をした場合は、同じタイミングで800℃に設定したとしても、温度下降が少なかった分、温度安定するまでの時間も大き
く短縮されている。
【0034】
また本発明の別の目的は、(B)オペレータが、温度実測値の異常に気づいた時、その状態を保持させるのに使用できる半導体製造装置の提供にある。
(B)の目的を達成する利点は、何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、原因の追求に役立てることができるし、また、安全上も有効に働くことになる。すなわち、半導体製造装置部品に異常があって、設定温度になっていない場合には、実測温度HOLDすることはできない。このような場合には、加熱炉内の温度グラフを観察して、半導体製造装置部品の異常を確かめることができる。これとは別に、実測温度HOLDがなされている場合には、オペレータの操作ミスか、あるいはソフトバグの可能性が考えられる。
【0035】
図8は、オペレータが異常温度状態に気付いて、実測温度HOLDしたときの温度実測値を示す図である。図8では、オペレータが800℃に温度設定後、意図しない温度上昇(破線36)または温度低下(破線37)が生じた場合、ある時点で実測温度HOLDすれば(HOLD設定)、実測温度HOLDされている間は、急激な温度の上昇または低下が生じることなく、その原因の追求に時間を費やすことができる。
【0036】
本発明の別の目的は、(C)温度過渡状態において、ある時点における温度実測値を温度設定値に設定することにより、過渡温度特性の調査を可能にすることのできる半導体製造装置の提供にある。
(C)の目的を達成する利点は、例えば、ウェハのボートUP時間が20分要するとすると、途中10分経過後に、一旦実測温度HOLDすれば、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになる。得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができることである。
【0037】
図9は、実測温度HOLDの設定による、温度特性の調査の結果を示す図である。図9によれば、温度設定値38に示すように設定温度を800℃にし、ボートUPしたときには、温度実測値39のように当然の如く加熱炉内温度は低下するが、ある時点でHOLD設定すると、温度実測値40に示されるように加熱炉内の温度プロファイルを把握することができ、これをもとにしてより良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。
【0038】
また本発明の別の目的は、(D)レシピ設定中に、温度を保持する温度イベントを設定できる半導体製造装置の提供にある。
(D)の目的を達成する利点は、レシピ設定中に、一旦実測温度HOLDできるイベント設定が行えれば、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができる。
【0039】
ボートUPにおける温度リカバリー時に、例えば、ボートUP開始後、5分後に温度実測値HOLDを1分間実行し、温度ランピングを、元の温度、例えば、800℃、5℃/分のように設定する事により、温度設定するまでの時間を短縮することもできる。
【0040】
図10は、レシピ中のアラームイベントとしてのHOLD設定を説明するための図である。図10によれば、プロセスレシピRUNした後、オペレータの期待しない温度実測値41、42になったときに、温度アラーム上限または温度アラーム下限時にHOLD設定され、その間は、急激な温度の上昇または低下が生じることなく、その原因の追求に時間を費やすことができる。
【0041】
図11は、実測温度HOLD機能使用時の関連図を示す。プロセスレシピ101には、102に示すように温度イベント「1」、温度イベント「2」、温度イベント「3」、温度イベント「4」が定義してあり、例えば温度イベント「1」では、各ゾーン毎の温度設定値を定義し、温度イベント「3」では実測温度HOLDを定義しており、例えばこれらはオペレータ画面のキー100の押下により操作することができる。
【0042】
また、オペレータ画面のマニュアルキー103押下により、マニュアル温度設定において104に示すように各ゾーン毎の温度設定値を定義することもできる。さらに、オペレータ画面のマニュアル実測温度HOLDキー105の押下により、マニュアル温度設定において106に示すように実測温度HOLDを定義することもできる。
【0043】
アラームテーブル107は、温度設定値+上限を超えた時、或いは、温度設定値−下限を下回った時のアラーム処理として、実測温度HOLDを定義できることを示している。実測温度HOLD機能を果たす為に、温度調節器25により測定された温度実測値257が温調アップロードされ内部メモリー108内に蓄積される。なお、109に示すようにアラームテーブル限界値を超えた時、あるいは直接の実測温度HOLD指定の時、温度実測値は温度設定値に設定される。
【0044】
次にアップロードされた温度実測値は、内部メモリーの温度設定値110に格納する。そして、この温度設定値を、通信回線を通じて温度調節器25に温調ダウンロードする。温度調節器25は、この温度設定値を使い、PID演算制御を行う。温度調節器25が熱電対より得た温度実測値は、通信回線を通して上位コントローラ26に送られ、温度実測値として内部メモリー内に更新蓄積される。
【0045】
図12は、上位コントローラのオペレータ画面を示す図である。画面エリアは、システム状態エリア43、選択状態表示エリア44、コマンド操作エリア45に分割され、システム状態エリア43には、主として、アラーム状態を表示し、選択状態表示エリア44には、コマンド操作によって選択された、温度状態などを表示する。コマンド操作エリア45には、レシピRUN451や、マニュアル452等の操作ボタンが配置される。
【0046】
図13は、上位コントローラのオペレータ画面を示す別の図である。画面エリアは、システム状態エリア43、選択状態表示エリア44、コマンド操作エリア45に分割され、システム状態エリア43には、主として、アラーム状態を表示の他に、緊急の操作ボタン431が配置される。選択状態表示エリア44には、コマンド操作によって選択された、温度状態などを表示する。コマンド操作エリア45には、レシピRUN451や、マニュアル452等の操作ボタンが配置される。緊急ボタン431を押下すると、緊急時に処理すべきコマンドボタンを並べたサブメニューが表示される。サブメニュー中には、温度実測値HOLDボタン432が配置される。通常、よく使用されるコマンド操作エリアに、緊急ボタン431がある事により、誤操作が懸念される為、別の領域、例えば、システム状態エリア43の末端部等に配置されるのが望ましい。
【0047】
図14は、上位コントローラのイベント切り替え監視処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS1において、イベント切り替え監視処理が開始されると、ステップS2に進み、ここでレシピ温度切り替え時間指示があるか否かを判定する。指示があった場合は、ステップS3に進み、ここで実測温度HOLD指定があるか否かを判定する。指定がある場合は、ステップS4に進み実測温度HOLDがセットされる。指定がなかった場合は、ステップS5に進み温度設定値が設定される。
【0048】
次にステップS6に進み、マニュアル温度イベント切り替えを行うか否かを判定し、切り替えすると判定された場合はステップS7に進み、ここでも実測温度HOLD指定があるか否かを判定する。指定がある場合は、ステップS8に進み実測温度HOLDがセットされる。指定がなかった場合は、ステップS9に進み温度設定値が設定される。次にステップS10に進み温度アラーム監視処理が行われ、ステップS11で処理を終了する。
【0049】
図15は、上位コントローラの温度アラーム監視処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS12において、温度アラーム監視処理が開始されると、ステップS13に進み、ここで温度実測値が温度設定値+上限値を超えるか否かを判定する。温度実測値が温度設定値+上限値を超える場合は、ステップS14に進み、アラーム処理が実測温度HOLDか否かを判定し、そのように設定されている場合にはステップS15において実測温度HOLD処理が行われ、ステップS16において処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS13で温度実測値が温度設定値+上限値を超えないと判定された場合は、ステップS17に進み、温度実測値が温度設定値−下限値を下回るか否かを判定する。下回ると判定された場合は、ステップS14に進み、下回らないと判定された場合はステップS16に進んで処理を終了する。
【0051】
図16は、上位コントローラの温度実測値HOLD処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS19において、実測温度HOLD処理が開始されると、ステップS20に進み、ここで各チャンネルの実測温度を、各チャンネルの設定温度にセットする。次にステップS21で設定温度を通信回線を通して温度調節器に送り、ステップS22で処理を終了する。
【0052】
図17は、温度調節器の電文受信割り込みフローチャートである。
上位コントローラから受信した設定温度電文を、内部メモリのテーブルにセットする。
ステップS23において、通信電文受信処理が開始されると、ステップS24において、受信電文が設定温度であるか否かが判定され、設定温度であった場合は、ステップS25において、設定温度を内部メモリに格納し、ステップS26で処理を終了する。なお、ステップS24において、受信電文が設定温度ではないと判定された場合は、ステップS26に進み処理を終了する。
【0053】
図18は、温度調節器のメイン処理フローチャートである。この処理は、電源OFFするまで、永久ループルーチンである。ステップS27で温度調節器の処理が開示されると、ステップS28において内部メモリ格納の温度設定値を用い、制御演算を行い、ヒータ出力値を算出する。次にステップS29において制御演算結果のヒータ出力値に対応した、サイリスタゲートパルス信号が出され、ステップS30において、温度を検知して、検知した温度を上位コントローラに通知し、以降同じ処理が繰り返される。
【0054】
図19は、上位コントローラの電文受信割り込みフローチャートである。内部メモリに、各ゾーンの受信した温度実測値をセットする。ステップS31において、上位コントローラの電文受信処理が開始されると、ステップS32において、受信電文が温度であるか否かが判定され、温度であった場合は、ステップS33において、受信した温度実測値を内部メモリにセットし、ステップS34で処理を終了する。なお、ステップS32において、受信電文が温度ではないと判定された場合は、ステップS34に進み処理を終了する。
【0055】
図20は、上位コントローラのメイン処理フローチャートである。この処理は、電源OFFするまで、永久ループルーチンである。ステップS35で上位コントローラの処理が開示されると、ステップS36においてイベント切り替え監視処理が開始され、以降同じ処理が繰り返される。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4 熱電対、5 加熱部(ヒータ)、6 ボート、7 ウェハ(基板)、8 反応管、11,12,13,14 発熱部、19,20,21,22 サイリスタ、25 温度調節器、26 上位コントローラ、43 システム状態表示エリア、44 選択状態表示エリア、45 コマンド操作エリア、101 プロセスレシピ、102 温度イベント
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱炉を備えたCVD装置等の半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法に関し、とくに加熱炉の温度制御の可能な半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、CVD装置等の半導体製造装置にあっては、加熱炉にシリコンウェハ等の基板を収容し、加熱炉内を所定の温度に加熱しつつ反応ガスを供給して、基板上に薄膜を形成する。半導体製造においては、加熱炉内の温度条件が極めて重要であり、この温度制御の精度が品質に大きく影響する。しかしながら従来は、加熱炉内の温度が所望の温度プロファイルではない場合に、これに対処する手段が何ら講じられていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の目的は、(A)オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、オペレータがその状態に気づいた時、一旦その状態に温度を保持させる機構を有する半導体製造装置の提供にある。なお、以下の記述において、半導体製造装置の加熱炉の温度を任意の時点でその実測温度に維持することを、「実測温度HOLD」という。
【0004】
また別の目的は、(B)オペレータが、温度実測値の異常に気づいた時、その状態を保持させるのに使用できる半導体製造装置の提供にある。
また別の目的は、(C)温度過渡状態において、ある時点における温度実測値を温度設定値に設定することにより、過渡温度特性の調査を可能にすることのできる半導体製造装置の提供にある。
また別の目的は、(D)レシピ設定中に、温度を保持する温度イベントを設定できる半導体製造装置、半導体製造装置における表示方法及び異常処理方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的(A)、(B)、(C)および(D)は、次の構成によって達成
することができる。
すなわちこの発明は、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置であって、温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と前記実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行う温度調節器を備えたことを特徴とする半導体製造装置を提供するものである。
【0006】
またこの発明は、前記の半導体製造装置であって、レシピのイベント制御によって、或いはマニュアル操作によって、或いは実測温度HOLDキー押下によって温度設定値が指定されると、前記温度調節器に温度PIDテーブルをダウンロードするコントローラを更に有し、前記温度調節器は、前記コントローラからダウンロードされた温度PIDテーブルの中の指定された温度PIDテーブル内のPID定数を使用して、前記加熱炉内の温度制御をすることを特徴とする半導体製造装置を提供するものである。
【0007】
またこの発明は、前記の半導体製造装置における表示方法であって、前記実測温度HOLDキーは、アラーム状態が表示されるシステム状態エリアに配置される半導体製造装置における表示方法を提供するものである。
またこの発明は、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置における異常処理方法であって、温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行うことを特徴とする半導体製造装置における異常処理方法を提供するものである。
【0008】
(A)の目的を達成する利点について説明する。
オペレータが誤った温度設定を行った後に、それに気付いて、例えば、元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、操作に手間取って時間を取られることが想定される。その場合、操作に手間取って時間を取られている間も、誤った温度設定値で加熱炉内は温度制御されているわけで、例えば、+50℃、−50℃の温度上昇や、温度降下を引き起こしてしまい、その後元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、例えば、30分〜60分もの無駄な時間を浪費してしまう。オペレータが誤った温度設定を行ったと気付いた時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、無駄な温度上昇や、温度降下を防止する事ができる。
【0009】
(B)の目的を達成する利点について説明する。
何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、原因の追求に役立てることができるし、また、安全上も有効に働くことになる。例えば、半導体製造装置部品に異常があって、設定温度になっていない場合には、実測温度HOLDすることはできない。このような場合には、加熱炉内の温度グラフを観察して、半導体製造装置部品の異常を確かめることができる。これとは別に、実測温度HOLDがなされている場合には、オペレータの操作ミスか、あるいはソフトバグの可能性が考えられる。
【0010】
(C)の目的を達成する利点について説明する。
例えば、ウェハのボートUP時間(冷ウェハ挿入時間)が20分要する場合、一定の時間経過後に、一旦実測温度HOLDすれば、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになる。得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。図21は、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性の一例を説明するための図である。図21によれば、加熱炉内の温度が800℃に上昇し、ボートUPすると、約100℃の温度降下が生じ、加熱炉内は700℃となる。そしてボートUP後、一定時間経過後に実測温度HOLDした場合に(HOLD1〜HOLD5)、温度のオーバーシュート量と、整定時間(ボートUP完了から温度安定するまでの時間)との関係を把握することができ、加熱炉の温度特性を観察することができる。なお、図21に示したように、ボートUP後にHOLD1〜HOLD5を行っても、ある程度の温度降下は避けられず、図21では加熱炉内がいずれも700℃まで温度降下している。
【0011】
(D)の目的を達成する利点について説明する。
レシピ設定中に、一旦実測温度HOLDできるイベント設定が行えれば、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができる。これとは別の利点として、ボートUPにおける温度リカバリー時に、例えば、ボートUP開始後、5分後に温度実測値HOLDを1分間実行し、温度ランピングを、元の温度(例えば、800℃)まで昇温速度例えば5℃/分のように設定することにより、温度設定するまでの時間を短縮することもできる。
【0012】
図22は、ボートUP時の温度過渡期における実測温度HOLDの効果を説明するための図である。図22によれば、曲線46は、この発明の装置の一例であり、加熱炉内が800℃に達してからボートUP開始すると、5分間温度降下し、その後1分間実測温度HOLDし、昇温速度5℃/分に設定し800℃まで加熱炉内の温度を回復させる。この発明の装置に一例によれば、曲線46に示したように迅速に加熱炉内の温度が800℃に回復している。
【0013】
これに対し、実測温度HOLDや昇温動作を全く行わない曲線47では、整定時間、すなわちボートUP完了から温度安定するまでの時間が長く、しかも温度の変化の度合いも大きい。また、実測温度HOLDを行わず、ボートUP開始5分後に昇温速度5℃/分に設定した場合(曲線48)は、曲線47より優れた整定時間を示しているものの、この発明の装置のそれよりも劣っている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を所定の温度に加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置において、前記加熱炉内の温度を任意の時点でその実測温度に維持(実測温度HOLD)することのできる手段を備えているので、オペレータが誤った温度設定を行った場合でも、無駄な温度上昇や、温度降下を防止する事ができる。
【0015】
さらにこの発明によれば、前記の半導体製造装置においてオペレータの指示により実測温度HOLDが可能であるので、何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その原因の追求が容易であり、また、歩留まりの向上にも役立つ。さらに加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになり、得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。
【0016】
この発明によれば、前記の半導体製造装置において、実測温度の維持が、レシピ中のイベントに設定可能とされているので、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができ、さらに、ボートUPによる温度降下を迅速に回復することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態における半導体製造装置を示す全体構成図である。
【図2】温度調節器の詳細を示すブロック図である。
【図3】上位コントローラの詳細を示すブロック図である。
【図4】オペレータが期待するランプダウン温度履歴を示す図である。
【図5】オペレータが期待しなかった温度履歴を示す図である。
【図6】オペレータが誤設定に気付いて、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。
【図7】オペレータが誤設定に気付いて、HOLD設定後、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。
【図8】オペレータが異常温度状態に気付いて、実測温度HOLDしたときの温度実測値を示す図である。
【図9】実測温度HOLDの設定による、温度特性の調査の結果を示す図である。
【図10】レシピ中のアラームイベントとしてのHOLD設定を説明するための図である。
【図11】実測温度HOLD機能使用時の関連図である。
【図12】上位コントローラのオペレータ画面を示す図である。
【図13】上位コントローラのオペレータ画面を示す別の図である。
【図14】上位コントローラのイベント切り替え監視処理フローチャートである。
【図15】上位コントローラの温度アラーム監視処理フローチャートである。
【図16】上位コントローラの温度実測値HOLD処理フローチャートである。
【図17】温度調節器の電文受信割り込みフローチャートである。
【図18】温度調節器のメインフ処理ローチャートである。
【図19】上位コントローラの電文受信割り込みフローチャートである。
【図20】上位コントローラのメイン処理フローチャートである。
【図21】加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性の一例を説明するための図である。
【図22】ボートUP時の温度過渡期における実測温度HOLDの効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は実施の形態における半導体製造装置を示す全体構成図である。
図1において、加熱部(ヒータ)5内には、筒状の反応管8が立設され、この反応管8内に加熱物保持部であるボート6が複数の加熱物であるウェハ7を搭載して挿入されている。
【0019】
ヒータ5の外周側壁には、ヒータ5内を上部よりUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンの4ゾーンに分けて各ゾーンを加熱する発熱部11、12、13、14が設けられ、また、各発熱部に対向する加熱部5の外周側壁には、各ゾーンの温度を検出するUゾーンの温度検出熱電対1、CUゾーンの温度検出熱電対2、CLゾーンの温度検出熱電対3、Lゾーンの温度検出熱電対4が設けられている。ボート6は、その下部にキャップ9が設けられ、このキャップ端部がエレベータ10に支持されている。
【0020】
発熱部11、12、13、14には、それぞれ電力ケーブル15、16、17、18が図示しない電源よりブレーカ23を介して接続されている。各電力ケーブル15、16、17、18には、それぞれ電力制御用のサイリスタ19、20、21、22が設けられている。これらサイリスタ19〜22は温度調節器25の出力側に接続されている。温度調節器25の入力側には熱電対1〜4の出力部が接続されている。また、温度調節器25は上位コントローラ26に接続されている。
【0021】
以上の構成において、温度調節器25は熱電対1〜4から温度を読み取り、制御演算を行い、ヒータ出力値を決定し、サイリスタ19〜22を制御し、これにより、電力ケーブル15〜18により供給される各ゾーンのヒータ11〜14への電力供給を制御する。ウェハ7はボート6によって保持され、エレベータ10によって反応管8内に挿入される。キャップ9は熱保持の
為に使われる。上位コントローラ26は、温度調節器25及び、その他の図示しないガスコントローラ、メカコントローラ、圧力コントローラ等を通信接続し、プロセスイベント制御を行う。
【0022】
上位コントローラ26は、後で詳述するが、温度調節器25が温度制御に使用する、温度PIDテーブルの作成機能を持ち、温度PIDテーブルを温度調節器25にダウンロードする。上位コントローラ26はイベント制御によって、温度PIDテーブルの中のPIDテーブル番号を指定する。温度調節器25は、上位
コントローラ26からダウンロードされた温度PIDテーブルの中の、指定されたPIDテーブル番号のPID定数を使って、PID制御演算を行い、炉内温度を制御する。
【0023】
図2は温度調節器の詳細を示すブロック図である。
温度調節器25は、CPU250、メモリ(プログラム用)251、メモリ(ワーク用)252、ADコンバータ(熱電対用)253、MUX(マルチプレクサ熱電対用)254、上位コントローラ26との通信に使う通信制御ユニット256より構成され、サイリスタ点弧パルス、インターロック信号を必要に応じて発生させる。
【0024】
温度調節器25は、PB、I、Dを定数として、次に示すPID演算を行う。
偏差=設定温度値−実測温度値
PID出力値=P出力値+I出力値+D出力値
P出力値=100×偏差÷PB
I出力値=100÷PB÷I×偏差時間積分値
D出力値=100÷PB×D×偏差時間微分値
【0025】
図3は上位コントローラの詳細を示すブロック図である。
上位コントローラ26は、CPU260、メモリ(プログラム用)261、メモリ(ワーク用)262、外部記憶ユニット263、表示制御ユニット264、表示機器265、通信制御ユニット266より構成され、インターロック信号を必要に応じて発生させる。
【0026】
上位コントローラ26は、温度調節器25が温度制御に使用する温度PIDテーブルの作成機能を持ち、温度PIDテーブルを温度調節器25にダウンロードする。
また、上位コントローラ26はレシピのイベント制御によって、温度設定値を指定する。あるいは、マニュアル操作により、温度設定値を指定する。あるいは、実測温度HOLDキー押下のみで、温度設定値を指定する。
【0027】
上述のように、本発明の目的の一つは、(A)オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、オペレータがその状態に気づいた時、一旦その状態に温度を保持させる機構を有する半導体製造装置の提供にある。
【0028】
(A)の目的を達成する利点は、オペレータが誤った温度設定をおこなった後に、それに気づいて、例えば、元の温度設定値に、実測温度を回復させようとした時に、操作に手間取って時間をとられる事が想定される。その場合、操作に手間取って時間を取られている間も、誤った温度設定値で温度制御されているわけで、例えば、+50℃、−50℃の温度上昇や、温度降下を引き起こしてしまい、その後、元の温度設定値に実測温度を回復させようとした時に、例えば、30分〜60分もの無駄な時間を浪費してしまう。オペレータが気づいた時点で、一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、無駄な温度上昇や温度降下を防止する事ができる。
【0029】
図4は、オペレータが期待するランプダウン温度履歴を示す図である。図4によれば、温度設定値27と温度実測値28とがほぼ一致しており理想的な曲線を描いている。
【0030】
図5は、オペレータが期待しなかった温度履歴を示す図である。図5によれば温度設定値29に示すようにオペレータが誤ったランプダウン指示を行い(500℃設定のみ、5℃/分降下設定忘れ)、温度実測値30も500℃まで降下している。
【0031】
図6は、オペレータが誤設定に気付いて、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。温度設定値31に示されるように、ある時点で誤ったランプダウン指示を行い温度設定値31が800℃から500℃に変更されている。誤設定に気付いた後、温度設定値31を800℃に変更しているが、温度実測値32は設定値の800℃になるまでの回復時間が長くなっている。
【0032】
図7は、オペレータが誤設定に気付いて、HOLD設定後、元の温度設定に戻したときの温度履歴を示す図である。図7の例では、誤って、温度設定値33で示すように500℃設定のみでランプレート5℃/分を設定し忘れ、途中で気づき、すぐに、後述の図12に示すオペレータ画面中の実測温度HOLDボタンを押し、その後、マニュアルボタンを押して、800℃温度設定値を含むマニュアル設定項目をすべて入力し、設定する事により、温度回復させた例である。実測温度HOLDの機能の効果で、温度実測値34に示されるように、無駄な温度降下を防いでいる。なお、HOLD設定時点までの温度実測値35は、温度実測値34と同じ線上にある。
【0033】
すなわち実測温度HOLDの動作をしなかった場合は、温度実測値35に示されるよいうに、800℃に再設定したとしても、温度安定までに長い時間がかかっているが、実測温度HOLDの動作をした場合は、同じタイミングで800℃に設定したとしても、温度下降が少なかった分、温度安定するまでの時間も大き
く短縮されている。
【0034】
また本発明の別の目的は、(B)オペレータが、温度実測値の異常に気づいた時、その状態を保持させるのに使用できる半導体製造装置の提供にある。
(B)の目的を達成する利点は、何らかの要因により、温度実測値がオペレータの意図しない状態であった時、その時点で一旦実測温度HOLDできる仕組みが在れば、その機能を利用し、原因の追求に役立てることができるし、また、安全上も有効に働くことになる。すなわち、半導体製造装置部品に異常があって、設定温度になっていない場合には、実測温度HOLDすることはできない。このような場合には、加熱炉内の温度グラフを観察して、半導体製造装置部品の異常を確かめることができる。これとは別に、実測温度HOLDがなされている場合には、オペレータの操作ミスか、あるいはソフトバグの可能性が考えられる。
【0035】
図8は、オペレータが異常温度状態に気付いて、実測温度HOLDしたときの温度実測値を示す図である。図8では、オペレータが800℃に温度設定後、意図しない温度上昇(破線36)または温度低下(破線37)が生じた場合、ある時点で実測温度HOLDすれば(HOLD設定)、実測温度HOLDされている間は、急激な温度の上昇または低下が生じることなく、その原因の追求に時間を費やすことができる。
【0036】
本発明の別の目的は、(C)温度過渡状態において、ある時点における温度実測値を温度設定値に設定することにより、過渡温度特性の調査を可能にすることのできる半導体製造装置の提供にある。
(C)の目的を達成する利点は、例えば、ウェハのボートUP時間が20分要するとすると、途中10分経過後に、一旦実測温度HOLDすれば、加熱炉における各温度制御ゾーンの温度特性を観察できるようになる。得られた温度特性をもとに、より良い温度制御アルゴリズムを開発することができることである。
【0037】
図9は、実測温度HOLDの設定による、温度特性の調査の結果を示す図である。図9によれば、温度設定値38に示すように設定温度を800℃にし、ボートUPしたときには、温度実測値39のように当然の如く加熱炉内温度は低下するが、ある時点でHOLD設定すると、温度実測値40に示されるように加熱炉内の温度プロファイルを把握することができ、これをもとにしてより良い温度制御アルゴリズムを開発することができる。
【0038】
また本発明の別の目的は、(D)レシピ設定中に、温度を保持する温度イベントを設定できる半導体製造装置の提供にある。
(D)の目的を達成する利点は、レシピ設定中に、一旦実測温度HOLDできるイベント設定が行えれば、例えば、アラーム機能と組み合わせて、オペレータが期待しない温度実測値になった時に、一旦実測温度HOLDし、アラームブザーを鳴らすことができる。
【0039】
ボートUPにおける温度リカバリー時に、例えば、ボートUP開始後、5分後に温度実測値HOLDを1分間実行し、温度ランピングを、元の温度、例えば、800℃、5℃/分のように設定する事により、温度設定するまでの時間を短縮することもできる。
【0040】
図10は、レシピ中のアラームイベントとしてのHOLD設定を説明するための図である。図10によれば、プロセスレシピRUNした後、オペレータの期待しない温度実測値41、42になったときに、温度アラーム上限または温度アラーム下限時にHOLD設定され、その間は、急激な温度の上昇または低下が生じることなく、その原因の追求に時間を費やすことができる。
【0041】
図11は、実測温度HOLD機能使用時の関連図を示す。プロセスレシピ101には、102に示すように温度イベント「1」、温度イベント「2」、温度イベント「3」、温度イベント「4」が定義してあり、例えば温度イベント「1」では、各ゾーン毎の温度設定値を定義し、温度イベント「3」では実測温度HOLDを定義しており、例えばこれらはオペレータ画面のキー100の押下により操作することができる。
【0042】
また、オペレータ画面のマニュアルキー103押下により、マニュアル温度設定において104に示すように各ゾーン毎の温度設定値を定義することもできる。さらに、オペレータ画面のマニュアル実測温度HOLDキー105の押下により、マニュアル温度設定において106に示すように実測温度HOLDを定義することもできる。
【0043】
アラームテーブル107は、温度設定値+上限を超えた時、或いは、温度設定値−下限を下回った時のアラーム処理として、実測温度HOLDを定義できることを示している。実測温度HOLD機能を果たす為に、温度調節器25により測定された温度実測値257が温調アップロードされ内部メモリー108内に蓄積される。なお、109に示すようにアラームテーブル限界値を超えた時、あるいは直接の実測温度HOLD指定の時、温度実測値は温度設定値に設定される。
【0044】
次にアップロードされた温度実測値は、内部メモリーの温度設定値110に格納する。そして、この温度設定値を、通信回線を通じて温度調節器25に温調ダウンロードする。温度調節器25は、この温度設定値を使い、PID演算制御を行う。温度調節器25が熱電対より得た温度実測値は、通信回線を通して上位コントローラ26に送られ、温度実測値として内部メモリー内に更新蓄積される。
【0045】
図12は、上位コントローラのオペレータ画面を示す図である。画面エリアは、システム状態エリア43、選択状態表示エリア44、コマンド操作エリア45に分割され、システム状態エリア43には、主として、アラーム状態を表示し、選択状態表示エリア44には、コマンド操作によって選択された、温度状態などを表示する。コマンド操作エリア45には、レシピRUN451や、マニュアル452等の操作ボタンが配置される。
【0046】
図13は、上位コントローラのオペレータ画面を示す別の図である。画面エリアは、システム状態エリア43、選択状態表示エリア44、コマンド操作エリア45に分割され、システム状態エリア43には、主として、アラーム状態を表示の他に、緊急の操作ボタン431が配置される。選択状態表示エリア44には、コマンド操作によって選択された、温度状態などを表示する。コマンド操作エリア45には、レシピRUN451や、マニュアル452等の操作ボタンが配置される。緊急ボタン431を押下すると、緊急時に処理すべきコマンドボタンを並べたサブメニューが表示される。サブメニュー中には、温度実測値HOLDボタン432が配置される。通常、よく使用されるコマンド操作エリアに、緊急ボタン431がある事により、誤操作が懸念される為、別の領域、例えば、システム状態エリア43の末端部等に配置されるのが望ましい。
【0047】
図14は、上位コントローラのイベント切り替え監視処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS1において、イベント切り替え監視処理が開始されると、ステップS2に進み、ここでレシピ温度切り替え時間指示があるか否かを判定する。指示があった場合は、ステップS3に進み、ここで実測温度HOLD指定があるか否かを判定する。指定がある場合は、ステップS4に進み実測温度HOLDがセットされる。指定がなかった場合は、ステップS5に進み温度設定値が設定される。
【0048】
次にステップS6に進み、マニュアル温度イベント切り替えを行うか否かを判定し、切り替えすると判定された場合はステップS7に進み、ここでも実測温度HOLD指定があるか否かを判定する。指定がある場合は、ステップS8に進み実測温度HOLDがセットされる。指定がなかった場合は、ステップS9に進み温度設定値が設定される。次にステップS10に進み温度アラーム監視処理が行われ、ステップS11で処理を終了する。
【0049】
図15は、上位コントローラの温度アラーム監視処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS12において、温度アラーム監視処理が開始されると、ステップS13に進み、ここで温度実測値が温度設定値+上限値を超えるか否かを判定する。温度実測値が温度設定値+上限値を超える場合は、ステップS14に進み、アラーム処理が実測温度HOLDか否かを判定し、そのように設定されている場合にはステップS15において実測温度HOLD処理が行われ、ステップS16において処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS13で温度実測値が温度設定値+上限値を超えないと判定された場合は、ステップS17に進み、温度実測値が温度設定値−下限値を下回るか否かを判定する。下回ると判定された場合は、ステップS14に進み、下回らないと判定された場合はステップS16に進んで処理を終了する。
【0051】
図16は、上位コントローラの温度実測値HOLD処理フローチャートであり、図11の説明をフローチャート化したものである。
まず、ステップS19において、実測温度HOLD処理が開始されると、ステップS20に進み、ここで各チャンネルの実測温度を、各チャンネルの設定温度にセットする。次にステップS21で設定温度を通信回線を通して温度調節器に送り、ステップS22で処理を終了する。
【0052】
図17は、温度調節器の電文受信割り込みフローチャートである。
上位コントローラから受信した設定温度電文を、内部メモリのテーブルにセットする。
ステップS23において、通信電文受信処理が開始されると、ステップS24において、受信電文が設定温度であるか否かが判定され、設定温度であった場合は、ステップS25において、設定温度を内部メモリに格納し、ステップS26で処理を終了する。なお、ステップS24において、受信電文が設定温度ではないと判定された場合は、ステップS26に進み処理を終了する。
【0053】
図18は、温度調節器のメイン処理フローチャートである。この処理は、電源OFFするまで、永久ループルーチンである。ステップS27で温度調節器の処理が開示されると、ステップS28において内部メモリ格納の温度設定値を用い、制御演算を行い、ヒータ出力値を算出する。次にステップS29において制御演算結果のヒータ出力値に対応した、サイリスタゲートパルス信号が出され、ステップS30において、温度を検知して、検知した温度を上位コントローラに通知し、以降同じ処理が繰り返される。
【0054】
図19は、上位コントローラの電文受信割り込みフローチャートである。内部メモリに、各ゾーンの受信した温度実測値をセットする。ステップS31において、上位コントローラの電文受信処理が開始されると、ステップS32において、受信電文が温度であるか否かが判定され、温度であった場合は、ステップS33において、受信した温度実測値を内部メモリにセットし、ステップS34で処理を終了する。なお、ステップS32において、受信電文が温度ではないと判定された場合は、ステップS34に進み処理を終了する。
【0055】
図20は、上位コントローラのメイン処理フローチャートである。この処理は、電源OFFするまで、永久ループルーチンである。ステップS35で上位コントローラの処理が開示されると、ステップS36においてイベント切り替え監視処理が開始され、以降同じ処理が繰り返される。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4 熱電対、5 加熱部(ヒータ)、6 ボート、7 ウェハ(基板)、8 反応管、11,12,13,14 発熱部、19,20,21,22 サイリスタ、25 温度調節器、26 上位コントローラ、43 システム状態表示エリア、44 選択状態表示エリア、45 コマンド操作エリア、101 プロセスレシピ、102 温度イベント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置であって、
温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と前記実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行う温度調節器
を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造装置であって、
レシピのイベント制御によって、或いはマニュアル操作によって、或いは実測温度HOLDキー押下によって温度設定値が指定されると、前記温度調節器に温度PIDテーブルをダウンロードするコントローラを更に有し、
前記温度調節器は、前記コントローラからダウンロードされた温度PIDテーブルの中の指定された温度PIDテーブル内のPID定数を使用して、前記加熱炉内の温度制御をすることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体製造装置における表示方法であって、
前記実測温度HOLDキーは、アラーム状態が表示されるシステム状態エリアに配置される半導体製造装置における表示方法。
【請求項4】
加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置における異常処理方法であって、
温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行うことを特徴とする半導体製造装置における異常処理方法。
【請求項1】
加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置であって、
温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と前記実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行う温度調節器
を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体製造装置であって、
レシピのイベント制御によって、或いはマニュアル操作によって、或いは実測温度HOLDキー押下によって温度設定値が指定されると、前記温度調節器に温度PIDテーブルをダウンロードするコントローラを更に有し、
前記温度調節器は、前記コントローラからダウンロードされた温度PIDテーブルの中の指定された温度PIDテーブル内のPID定数を使用して、前記加熱炉内の温度制御をすることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体製造装置における表示方法であって、
前記実測温度HOLDキーは、アラーム状態が表示されるシステム状態エリアに配置される半導体製造装置における表示方法。
【請求項4】
加熱炉内に処理対象の基板を収納し、前記加熱炉内を温度設定値まで加熱して前記基板に処理を施す半導体製造装置における異常処理方法であって、
温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点で実測温度HOLD機能が指定されると、該指定されたアラーム限界値を温度設定値に設定し、前記温度アラーム上限又は温度アラーム下限の時点における実測温度に前記加熱炉内の温度を維持するように、前記温度設定値と実測温度値との偏差に基づいてPID制御演算を行うことを特徴とする半導体製造装置における異常処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−56568(P2010−56568A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271040(P2009−271040)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願平11−43179の分割
【原出願日】平成11年2月22日(1999.2.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【分割の表示】特願平11−43179の分割
【原出願日】平成11年2月22日(1999.2.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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