説明

半導体集積回路、半導体集積回路の評価回路

【課題】半導体集積回路の内部回路が消費する電流を測定すること。
【解決手段】半導体集積回路101は、各回路ブロックの電源配線111、112と、その間の接続を制御する電源スイッチ121、122、123を有し、電源配線111はパッド131を介して、半導体集積回路の評価回路102と接続し、半導体集積回路の評価回路102は、パッド131、132、133に対し、個別に評価回路が形成されているため、電源スイッチ121、122、123を制御することにより、回路ブロック103の消費する電流を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体集積回路、半導体集積回路の評価回路に関し、特に半導体集積回路の消費電力の評価に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体集積回路の消費電力あるいは電流を測定する方法としては、非測定回路以外の電源を切断し動作を停止させて、所望の回路のみを動作させ、外部より電源電流量を測定しているものがあった(例えば、特許文献1参照)。図3は、前記特許文献1に記載された従来の半導体集積回路を示すものである。
【0003】
図3において、複数の列選択トランジスタCS1〜CSnおよびセンスアンプSAの接続点と読み出し用電源との間にスイッチ用トランジスタQSを設け、テスト時には、テスト回路のスイッチ用トランジスタQSがオンし、テスト経路回路以外の全ての回路のスイッチ用トランジスタQSをオフすることで、テスト回路の電流を測定していた。
【特許文献1】特開平2−285596号公報(第9頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、電流被測定回路と前記電流被測定回路の動作に必要な回路ブロック以外の回路ブロックの電源を全て遮断するため、半導体集積回路の動作は限定的かつ、所望のブロック以外の回路ブロックの電流も重畳され、実使用時に半導体集積回路内のどの回路ブロックにどの程度の電流が流れているのか測定ができないという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、半導体集積回路に実使用時の動作を行わせつつ、内部回路の選択ブロックに流れる電流と動作電圧を外部から測定することで、当該被測定回路の消費電力を測定可能とする半導体集積回路、半導体集積回路の評価回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の半導体集積回路の電源回路は、回路ブロック間と電源端子間に接続状態を変更可能にする複数の電源スイッチを有し、回路ブロックと電源端子間の電源の接続先の制御を行う。
【0007】
本構成によって、半導体集積回路の全てのブロックに対し、測定のために電源を遮断することなく、所望の回路ブロックのみを所定の電源端子に引き出すことを可能とし、当該回路ブロックの消費電力を測定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体集積回路の電源回路によれば、当該半導体集積回路の動作に必要な回路ブロック全てに電源を供給しつつ、所望の被測定回路を選択し、当該測定回路に流れる電流および電圧を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体集積回路101および半導体集積回路の評価回路102の概略図である。
【0011】
図1において、半導体集積回路101は、内部に回路ブロックA103、回路ブロックB104、回路ブロックC105、回路ブロックA103の電源配線111、回路ブロックB104の電源配線112、回路ブロックC105の電源配線113、電源配線111と電源配線112を接続する電源スイッチ121、122、123、電源配線111と電源配線112を接続する電源スイッチ124、125、126、電源スイッチ121、122、123、124、125、126を制御する電源スイッチ制御ブロック106とを有し、電源配線111は半導体集積回路のパッド131、電源配線112は半導体集積回路のパッド132、電源配線113は半導体集積回路のパッド133を各々介して、半導体集積回路の評価回路102と接続し、半導体集積回路の評価回路102は、半導体集積回路101のパッド131、132、133に対し、各々個別に評価回路が形成されている。例えば、パッド131は、配線141を経由して測定用素子151に接続し、その後、配線144にて容量素子161、半導体集積回路の評価回路102の外部電源回路に接続する電源パッド134に接続している。更に配線144は半導体集積回路101のパッド131、132、133の各電源間を接続している。
【0012】
かかる構成によれば、電源スイッチ121、122、123、124、125、126を切断することにより、回路ブロックA103、回路ブロックB104、回路ブロックC105、全ての回路ブロックに電源を供給しつつ、各回路ブロックに流れる電流および電圧を各々測定素子151、152、153の両端の端子間電圧を差動プローブなどで測ることにより把握することができる。更に電源スイッチ121、122、123、124、125、126を導通させることにより、回路ブロックA103、回路ブロックB104、回路ブロックC105の電源配線111、112、113の間を複数のスイッチによって接続することができ、回路ブロック103、104、105の電源インピーダンスを下げることが可能となり、半導体集積回路101の動作を安定的に行わすことができる。
【0013】
本実施の形態では、例として電源配線111と電源配線112の間をスイッチ121、122、123は3つ設けたが、この電源スイッチの数は、全て導通させた時に電源配線間のインピーダンスが十分に小さくなる量入れればよい。ここで十分に小さくなる量Nは、動作電圧V、回路ブロックに流れる最大電流I、電源スイッチのオン抵抗R、電源スイッチの数n、電源変動を許容できる変動量をA%とすると、(数1)で表される。
【0014】
【数1】

【0015】
これを満たす数以上の電源スイッチを電源配線間に挿入すればよい。ここで電源スイッチのオン抵抗は、スイッチ単体のオン抵抗だけでなく、電源配線から電源スイッチまでの引き出し部分の抵抗成分も加味すればなおよい。
【0016】
なお、本実施の形態では、半導体集積回路101の内部回路103、104、105で消費される電流のAC成分もできるだけ測定可能とするため、容量素子161、162、163を半導体集積回路101と測定素子151、152、153の間に配置しなかったが、DC成分の測定が主目的の場合は、容量素子161は、配線141、容量素子162は、配線142、容量素子163は、配線143に各々接続するようにしてもよい。また容量素子161、162、163は、半導体集積回路101のキャリア基板上に実装してもよいし、内蔵してもよい。
【0017】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2の半導体集積回路および半導体集積回路の評価回路の概略図である。図2において、図1および図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0018】
図2において、半導体集積回路101は、容量素子171、172、173、電源スイッチ181、182、183、184、185、186、電源スイッチ181、182、183、184、185、186を制御する電源スイッチ制御ブロック106を有している。
【0019】
かかる構成によれば、半導体集積回路101の内部回路103、104に対し、必要に応じて、スイッチ素子181、182、183、184、185、186を制御することにより容量素子を追加することができ、例えば回路ブロック103の電源変動を抑制したい場合は、電源スイッチ181、182、183を導通、電源スイッチ184、185、186を絶縁にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる半導体集積回路および半導体集積回路の評価基板は、半導体集積回路内部に外部電源端子への接続先を変更可能な回路を有し、かつ、半導体集積回路の評価回路は、前記半導体回路実装し、端子ごとに独立してその電圧および電流を測定する回路等として有用である。また半導体集積回路の内部回路の電源電圧抑制回路等の用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体集積回路および半導体集積回路の評価回路の概観図
【図2】本発明の実施の形態2における半導体集積回路および半導体集積回路の評価回路の概観図
【図3】従来の半導体集積回路の概観図
【符号の説明】
【0022】
101 半導体集積回路
102 半導体集積回路の評価回路
103 回路ブロックA
104 回路ブロックB
105 回路ブロックC
106 電源SW制御回路
111 電源配線
112 電源配線
113 電源配線
121 電源スイッチ
122 電源スイッチ
123 電源スイッチ
124 電源スイッチ
125 電源スイッチ
126 電源スイッチ
131 パッド
132 パッド
133 パッド
134 パッド
135 パッド
136 パッド
141 配線
142 配線
143 配線
144 配線
151 測定素子
152 測定素子
153 測定素子
161 容量素子
162 容量素子
163 容量素子
171 半導体集積回路内蔵容量素子
172 半導体集積回路内蔵容量素子
173 半導体集積回路内蔵容量素子
181 電源スイッチ
182 電源スイッチ
183 電源スイッチ
184 電源スイッチ
185 電源スイッチ
186 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源端子と複数の回路ブロックを搭載した半導体集積回路において、
前記複数の回路ブロックに対し、1つ1つに回路ブロック専用の電源配線と、
前記回路ブロック専用の電源配線間の接続を制御する電源スイッチと、
前記電源スイッチを制御する電源スイッチ制御回路とを備えた半導体集積回路。
【請求項2】
前記回路ブロック専用の電源配線が、一つ一つに専用の電源端子を有する請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記回路ブロック専用の電源配線と外部電源端子への接続状態を変更可能な電源スイッチを有する請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
複数の電源端子と複数の回路ブロックを搭載した半導体集積回路において、
前記複数の回路ブロックに対し、1つ1つに回路ブロック専用の電源配線と、
前記回路ブロック専用の電源配線間に電源スイッチにより接続先を制御可能な容量素子と、
前記電源スイッチを制御する電源スイッチ制御回路とを備えた半導体集積回路。
【請求項5】
複数の電源端子を有した請求項1、または請求項4記載の半導体集積回路を搭載した半導体集積回路の評価回路であって、
前記複数の電源端子に対し、一つ一つの電源端子に隣接配置された専用の測定素子と、
前記測定端子の前記半導体集積回路と反対側の端子に隣接配置された容量素子とを備えた半導体集積回路の評価回路。
【請求項6】
請求項1〜4記載の半導体集積回路を搭載した情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−257765(P2009−257765A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224858(P2006−224858)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】