半導体集積回路、映像信号出力回路
【課題】同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することが可能な半導体集積回路、映像信号出力回路を提供することを目的とする。
【解決手段】非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路であって、演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、演算増幅器の出力端子が接続された第一の外部端子と、演算増幅器の反転入力端子と接続された第二の外部端子と、演算増幅器の出力端子に一端が接続され、演算増幅器の反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、を有し、第二の抵抗の抵抗値は、第一の外部端子と第二の外部端子との間に第二の抵抗と並列に接続される第一のコンデンサの容量値に基づき決められた値である構成により実現される。
【解決手段】非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路であって、演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、演算増幅器の出力端子が接続された第一の外部端子と、演算増幅器の反転入力端子と接続された第二の外部端子と、演算増幅器の出力端子に一端が接続され、演算増幅器の反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、を有し、第二の抵抗の抵抗値は、第一の外部端子と第二の外部端子との間に第二の抵抗と並列に接続される第一のコンデンサの容量値に基づき決められた値である構成により実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を増幅して出力する半導体集積回路、映像信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、NTSC(National Television Standards Committee)方式等の映像信号を増幅して出力する映像信号出力回路がある。映像信号は、低周波(例えば60Hz)の垂直同期信号や、直流から数MHzの帯域を有する輝度信号等の複合からなっている。従来の映像信号出力回路では、複数の信号を含む映像信号を波形歪みなく伝送する工夫がなされている。
【0003】
図10は、従来の映像信号出力回路の一例を示す図である。従来の映像信号出力回路10において、演算増幅器1の非反転入力端子T1には映像信号が入力される演算増幅回路1の反転入力端子T2は、演算増幅器1の出力端子Toと接続されている。出力端子Toからは、演算増幅器1により増幅された映像信号が出力される。また出力端子Toには、出力される映像信号に含まれる直流成分を除去するためのコンデンサC1が接続されている。
【0004】
映像信号出力回路10では、映像信号の歪みを無くすために、コンデンサC1に容量の大きいコンデンサを使用している。しかしながらコンデンサC1の容量を大きくすると、コンデンサC1の体積が大きくなるために実装面積が広くなり、製品の小型化の観点から見て好ましくない。
【0005】
図11は、従来の映像信号出力回路の他の例を示す図である。図11に示す映像信号出力回路20では、映像信号の波形歪み(サグ)を補正する回路を設けることでコンデンサC1の容量を小さくしている。
【0006】
映像信号出力回路20では、出力端子Toの他にサグ補正端子Tsが設けられている。サグ補正端子Tsは、演算増幅器1の反転入力端子T2及び抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は演算増幅器1の出力端子Toと接続されている。また映像信号出力回路20では、コンデンサC1の一端と演算増幅器1のサグ補正端子Tsとの間にコンデンサC1と並列に接続されたコンデンサC2を有する。演算増幅器1から出力された映像信号は、コンデンサC1を通過した後にサグ補正端子Tsへ帰還される。映像信号出力回路20では、この構成によりコンデンサC1の容量が小さくし、且つ映像信号の歪みを補正(サグ補正)することができる。例えば特許文献1には、サグ補正を行う回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−274434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら近年の映像信号出力回路では、電源電圧の低電圧化によりサグ補正が困難になりつつある。例えば図11に示す演算増幅器1において電源電圧を低電圧とした場合、映像信号の振幅と比べて演算増幅器1のダイナミックレンジが不足し、十分なサグ補正ができなくなる。その結果、映像信号では、同期信号が欠落し、同期信号を検出できなくなる。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することが可能な半導体集積回路、映像信号出力回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0011】
本発明は、非反転入力端子(T11)に映像信号が入力される演算増幅器(111)を有し、前記演算増幅器(111)から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路(110)であって、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗(R30)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子が接続された第一の外部端子(T10)と、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)と接続された第二の外部端子(Ts)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に他端が接続された第二の抵抗(Rsag)と、を有し、
前記第二の抵抗(Rsag)の抵抗値は、
前記第一の外部端子(T10)と前記第二の外部端子(Ts)との間に前記第二の抵抗(Rsag)と並列に接続される第一のコンデンサ(C20)の容量値に基づき決められた値である構成とした。
【0012】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の外部端子(T10)と前記第一のコンデンサ(C20)との接続点に、第二のコンデンサ(C10)と第三の抵抗(R10)と第四の抵抗(R20)とが直列に接続されたフィルタ回路(F)が接続される構成としても良い。
【0013】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の抵抗(R30)と接地との間に基準電圧を発生する電圧源(120)が接続された構成であっても良い。
【0014】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の抵抗(R30)と前記第二の抵抗(Rsag)との間に第五の抵抗(R40)が直列に接続された構成であっても良い。
【0015】
本発明は、非反転入力端子(T11)に映像信号が入力される演算増幅器(111)を有し、前記演算増幅器(111)から出力される映像信号のサグ補正を行う映像信号出力回路(100)であって、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗(R30)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器(111)の前記反転入力端子(T12)に他端が接続された第二の抵抗(Rsag)と、
前記第二の抵抗(Rsag)と並列に接続された第一のコンデンサ(C20)と、
第二のコンデンサ(C10)と第三の抵抗(R10)と第四の抵抗(R20)とが直列に接続されており、前記第四の抵抗(R20)の一端が接地され、前記第二のコンデンサ(C10)の一端が前記演算増幅器の出力端子に接続されたフィルタ回路(F)と、を有する構成とした。
【0016】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の映像信号出力回路100を示す図である。
【図2】映像信号のサグ率を説明するための図である。
【図3】コンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第一の図である。
【図4】コンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第二の図てれる。
【図5】映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号と従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号とを比較する図である。
【図6】第一の変形例を説明する図である。
【図7】第二の変形例を説明する図である。
【図8】第三の変形例を説明する図である。
【図9】第四の変形例を説明する図である。
【図10】従来の映像信号出力回路の一例を示す図である。
【図11】従来の映像信号出力回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の映像信号出力回路100を示す図である。
【0020】
本実施形態の映像信号出力回路100は、半導体集積回路110、コンデンサC10、コンデンサC20、抵抗R10、抵抗R20を有する。
【0021】
半導体集積回路110は、演算増幅器111を有し、半導体集積回路110に入力される映像信号を増幅する。本実施形態の半導体集積回路110は、外部端子T10、外部端子Ts、演算増幅器111、抵抗R30、抵抗Rsagを有する。
【0022】
半導体集積回路110において、演算増幅器111の非反転入力端子T11には、映像信号が入力される。演算増幅器111の反転入力端子T12は、抵抗R30を介して接地されている。また演算増幅器111の反転入力端子T12は、抵抗Rsagを介して演算増幅器111の出力端子である外部端子T10と接続されている。抵抗Rsagは、映像信号をサグ補正するための抵抗であり、一端が外部端子T10と接続されており、他端が外部端子Tsと接続されている。
【0023】
映像信号出力回路100において、コンデンサC10は、映像信号に含まれる直流成分を除去するためのコンデンサであり、抵抗R10と抵抗R20とは、インピーダンスマッチング抵抗(75Ω)である。コンデンサC10と抵抗R10と抵抗R20とは直列に接続されており、ハイパスフィルタFを構成している。コンデンサC10の一端が半導体集積回路110の外部端子T10と接続されている。また抵抗R20の一端が接地されている。コンデンサC10と抵抗R10との接続点Hから出力される信号は、映像信号出力回路100の出力信号である。
【0024】
コンデンサC20は、演算増幅器111から出力される映像信号のサグ補正を行うためのコンデンサである。コンデンサC20の一端は半導体集積回路110の外部端子Tsと接続されており、他端が半導体集積回路110の外部端子T10と接続されている。よって本実施形態の映像信号出力回路100では、抵抗RsagとコンデンサC20とが、演算増幅器111の出力端子と反転入力端子T12との間で並列に接続されることになる。
【0025】
すなわち本実施形態では、コンデンサC10を通過する前の映像信号が演算増幅器111の非反転入力端子T12へ帰還される。
【0026】
本実施形態では、上記構成の映像信号出力回路100において、抵抗Rsagの抵抗値と、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値とを適切な値に設定することで、コンデンサC10とコンデンサC20の容量を従来よりも小さくし、且つ同期信号の欠落を抑制することができる。
【0027】
本実施形態において、抵抗Rsagの抵抗値、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値の適切な値とは、後述する映像信号のサグ率が、映像信号出力回路100から出力される映像信号の歪みが映像の画質に影響しない程度の値となるように設定された値である。本実施形態では、映像信号の歪みが画質に影響しない程度のサグ率として、サグ率が0.5%以下になるように、抵抗Rsagの抵抗値、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を設定した。
【0028】
ここで図2を参照してサグ率について説明する。図2は、映像信号のサグ率を説明するための図である。
【0029】
図2に示す映像信号Pは映像信号出力回路100の出力信号である。本実施形態の映像信号Pにおいて、サグ率は、振幅を振幅A、映像信号Pの歪みを歪みA′としたとき、A′/A×100[%]で定義される。本実施形態では、抵抗Rsagの抵抗値とコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値とを変化させることで、サグ率を0.5%とする。
【0030】
以下に図3、図4を参照してコンデンサC10、コンデンサC20の容量値の設定について説明する。
【0031】
図3はコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第一の図である。図4はコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第二の図である。図3は、コンデンサC10の容量値に対してコンデンサC20の容量値を変化させたときのサグ率を示している。
【0032】
図3では、コンデンサC20の値を0μFとしたときの結果を曲線S1とし、コンデンサC20の値を1μFとしたときの結果を曲線S2とし、コンデンサC20の値を2μFとしたときの結果を曲線S3とし、コンデンサC20の値を4μFとしたときの結果を曲線S4として示している。
【0033】
本実施形態では、図3において、コンデンサC10が特定の値において最もサグ率が低いコンデンサC20の値が選択され、選択された値に基づきコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値の最適化を行う。
【0034】
図3において、例えばコンデンサC10の容量が47μFのとき、最もサグ率の低いコンデンサC20の値は1μF(図3の曲線S2)である。よってコンデンサC20の値には、1μFが選択される。次にコンデンサC10の容量が約100μFのとき、同様に最もサグ率の低いコンデンサC20の値を選択する。このとき最もサグ率の低いコンデンサC20の値は1μFである。
【0035】
次にコンデンサC10の容量が約200μFのとき、同様に最もサグ率の低いコンデンサC20の値を選択する。このとき最もサグ率の低いコンデンサC20の値は2μF(図3の曲線S3)である。以上のようにしてコンデンサC10の値に対してサグ率が低くなるコンデンサC20の値を選択する。尚図3は、本実施形態の映像信号出力回路100においてコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を変化させた場合に、半導体集積回路110の出力信号から求めたサグ率の実測データである。
【0036】
図4は、図3でピックアップした点を示す曲線である。図4においてサグ率が0.5%以下となるのは、コンデンサC10が約220μFでありコンデンサC20が2μFの点、コンデンサC10が約300μFでありコンデンサC20が4μFの点、コンデンサC10が約500μFでありコンデンサC20が4μFの点である。
【0037】
本実施形態では、サグ率を0.5%以下とするコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値として、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μFを選択した。この理由は、コンデンサC10を電界コンデンサとし、コンデンサC20をチップコンデンサとすることができ、コンデンサC10及びコンデンサC20のサイズを小型化できるからである。
【0038】
例えばサグ率を0.5%にするコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値をコンデンサC10=300μF、コンデンサC20=4μFとした場合、コンデンサC10及びコンデンサC20の両方を電界コンデンサとすることとなり、コンデンサ10及びコンデンサC20のサイズを小さくすることができない。よって製品の小型化に貢献することができない。
【0039】
次に、本実施形態の映像信号出力回路100における抵抗Rsagの抵抗値の設定について説明する。
【0040】
映像信号出力回路100において、コンデンサC10、抵抗R10、抵抗R20により構成されるハイパスフィルタFのカットオフ周波数fcを求める。カットオフ周波数fcは、以下の数1で求められる。
【0041】
【数1】
尚Rloadは、抵抗R10と抵抗R20との合成抵抗であり、本実施形態の抵抗Rloadは、Rload=R10+R20で表される。
【0042】
次に、カットオフ周波数fcにおいてサグ補正用の抵抗RsagとコンデンサC20とにより補正された後の映像信号出力回路100の電圧利得Av(fc)を求める。電圧利得Av(fc)は、以下の数2で求められる。
【0043】
【数2】
尚数2中のβは、以下の数3により求められる値である。
【0044】
【数3】
本実施形態では、数1、数2及び数3により、抵抗Rsagの抵抗値を求めることができる。本実施形態では、サグ率が0.5%以下となるように、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μFとしているため、数1、数2にコンデンサC10とコンデンサC20の値を代入すれば、サグ率を0.5%以下とするための抵抗Rsagを求めることができる。
【0045】
抵抗Rsagが求まった後は、以下の数4に示される式により、抵抗Rsagを数1ないし数3から求められた値とした場合に電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまるか否かを確認する。
【0046】
【数4】
尚数4で求められた電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまらない場合には、演算増幅器111から映像信号が正しく出力されない。よって抵抗Rsagを小さくするように、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を調整する。電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまる場合には、抵抗Rsagを数4で求められた値に設定する。
【0047】
以下に、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μF、抵抗Rload=150Ωの場合に抵抗Rsagを求めた例を示す。
【0048】
数1にコンデンサC10の値と抵抗Rloadの値を代入した式が数5である。
【0049】
【数5】
数5により、ハイパスフィルタFのカットオフ周波数fc=4.8Hzが求まる。上記各値と、数5で求められたカットオフ周波数fc=4.8Hzとを数2へ代入した式が数6である。
【0050】
【数6】
数6から、抵抗Rsag=5kΩが求まる。抵抗Rsag=5kΩを数4に代入し、電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲内であるか否かを確認し、ダイナミックレンジの範囲内であった場合には、抵抗Rsagの抵抗値を5kΩとする。本実施形態では、抵抗Rsagの抵抗値を以上のようにして求められた値とすることで、サグ率を0.5%以下とすることができる。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態の映像信号出力回路100において抵抗Rsag、コンデンサC10、コンデンサC20の値を設定すれば、演算増幅器111の電源電圧を低電圧とした場合にも十分なサグ補正を行うことができ、同期信号の欠落を防止できる。
【0052】
図5は、映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号と従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号とを比較する図である。図5(A)は、従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号を示し、図5(B)は、本実施形態の映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号を示す。
【0053】
図5(A)では、映像信号が白画像から黒画像へ切り替わる際の同期信号の欠落を防止するために、演算増幅器のダイナミックレンジは3.5Vp−pが必要であった。図5(B)に示すように、本実施形態の映像信号出力回路100では、演算増幅器111のダイナミックレンジは3.1Vp−pで良い。よって本実施形態では、従来の演算増幅器のダイナミックレンジよりも狭いダイナミックレンジの演算増幅器111により、同期信号を欠落させずにサグ補正を行うことができる。
【0054】
また本実施形態では、コンデンサC10の容量及びコンデンサC20の容量を従来よりも小さくすることができる。さらに本実施形態では、サグ補正用のコンデンサC20をチップコンデンサとすることができるため、コンデンサの実装面積を小さくすることができ、さらにコストを削減することができる。
【0055】
よって本実施形態によれば、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することができる。
【0056】
尚本実施形態では、映像信号は半導体集積回路110の外部から入力されるものとして示しているが、これに限定されない。本実施形態の半導体集積回路110は、図1に示す回路以外にも、例えば映像信号を処理する回路を有してしても良い。
【0057】
また本実施形態では、先にコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を設定した後に、設定した容量値に基づき抵抗Rsagの抵抗値を決定したが、抵抗Rsagの抵抗値を決定する順序はこれに限定されない。抵抗Rsagの抵抗値は、例えばコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値が設定される前に決められていても良い。この場合コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値は、抵抗Rsagの抵抗値に合わせて設定される。
【0058】
以下に、図6ないし9を参照して本実施形態の変形例を説明する。
【0059】
図6は、第一の変形例を説明する図である。図6に示す映像信号出力回路100Aでは、半導体集積回路110Aにおいて抵抗R30とグランドとの間に基準電圧Vrefを発生する電圧源120を設け、映像信号出力回路100Aの出力信号の動作点を変化させた。映像信号出力回路100Aでは、基準電圧Vrefの値を調整することにより、出力信号の動作点を調整することができる。
【0060】
図7は、第二の変形例を説明する図である。図7に示す映像信号出力回路100Bでは、半導体集積回路110Bにおいて、電圧源120に加え、抵抗Rsagと抵抗R30との間に接続された抵抗R40を設けた。映像信号出力回路100Bでは、抵抗R40を設けることで高域のゲイン設定を行うことが可能となる。
【0061】
尚図7に示す映像信号出力回路100Bにおいて、数3で示したβを求める場合には、以下の数7で表される。
【0062】
【数7】
図8は、第三の変形例を説明する図である。図8に示す映像信号出力回路100Cでは、半導体集積回路110Bの外部において出力端子T10とサグ補正端子Tsとの間に接続された抵抗R50を設けた。
【0063】
抵抗R50は、出力端子T10とサグ補正端子Tsとの間にコンデンサC20と並列に接続されている。図8に示す映像信号出力回路100Cでは、半導体集積回路110Bの外部に抵抗R50を接続することで抵抗Rsagの抵抗値を調整することができる。
【0064】
図9は、第四の変形例を説明する図である。図9に示す映像信号出力回路100Dでは、半導体集積回路110Bの外部において、サグ補正端子TsとコンデンサC20との間にコンデンサC20と直列に接続された抵抗R60を設けた。図9に示す映像信号出力回路100Dでは、半導体集積回路110Bの外部に抵抗R60を接続することで抵抗Rsagの抵抗値を調整することができる。
【0065】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、映像信号を増幅して出力する半導体集積回路、映像信号出力回路に関する。
【符号の説明】
【0067】
100、100A〜100D 映像信号出力回路
110、110A、110B 半導体集積回路
120 電圧源
T10 外部端子
Ts サグ補正端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を増幅して出力する半導体集積回路、映像信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、NTSC(National Television Standards Committee)方式等の映像信号を増幅して出力する映像信号出力回路がある。映像信号は、低周波(例えば60Hz)の垂直同期信号や、直流から数MHzの帯域を有する輝度信号等の複合からなっている。従来の映像信号出力回路では、複数の信号を含む映像信号を波形歪みなく伝送する工夫がなされている。
【0003】
図10は、従来の映像信号出力回路の一例を示す図である。従来の映像信号出力回路10において、演算増幅器1の非反転入力端子T1には映像信号が入力される演算増幅回路1の反転入力端子T2は、演算増幅器1の出力端子Toと接続されている。出力端子Toからは、演算増幅器1により増幅された映像信号が出力される。また出力端子Toには、出力される映像信号に含まれる直流成分を除去するためのコンデンサC1が接続されている。
【0004】
映像信号出力回路10では、映像信号の歪みを無くすために、コンデンサC1に容量の大きいコンデンサを使用している。しかしながらコンデンサC1の容量を大きくすると、コンデンサC1の体積が大きくなるために実装面積が広くなり、製品の小型化の観点から見て好ましくない。
【0005】
図11は、従来の映像信号出力回路の他の例を示す図である。図11に示す映像信号出力回路20では、映像信号の波形歪み(サグ)を補正する回路を設けることでコンデンサC1の容量を小さくしている。
【0006】
映像信号出力回路20では、出力端子Toの他にサグ補正端子Tsが設けられている。サグ補正端子Tsは、演算増幅器1の反転入力端子T2及び抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は演算増幅器1の出力端子Toと接続されている。また映像信号出力回路20では、コンデンサC1の一端と演算増幅器1のサグ補正端子Tsとの間にコンデンサC1と並列に接続されたコンデンサC2を有する。演算増幅器1から出力された映像信号は、コンデンサC1を通過した後にサグ補正端子Tsへ帰還される。映像信号出力回路20では、この構成によりコンデンサC1の容量が小さくし、且つ映像信号の歪みを補正(サグ補正)することができる。例えば特許文献1には、サグ補正を行う回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−274434
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら近年の映像信号出力回路では、電源電圧の低電圧化によりサグ補正が困難になりつつある。例えば図11に示す演算増幅器1において電源電圧を低電圧とした場合、映像信号の振幅と比べて演算増幅器1のダイナミックレンジが不足し、十分なサグ補正ができなくなる。その結果、映像信号では、同期信号が欠落し、同期信号を検出できなくなる。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することが可能な半導体集積回路、映像信号出力回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0011】
本発明は、非反転入力端子(T11)に映像信号が入力される演算増幅器(111)を有し、前記演算増幅器(111)から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路(110)であって、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗(R30)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子が接続された第一の外部端子(T10)と、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)と接続された第二の外部端子(Ts)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に他端が接続された第二の抵抗(Rsag)と、を有し、
前記第二の抵抗(Rsag)の抵抗値は、
前記第一の外部端子(T10)と前記第二の外部端子(Ts)との間に前記第二の抵抗(Rsag)と並列に接続される第一のコンデンサ(C20)の容量値に基づき決められた値である構成とした。
【0012】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の外部端子(T10)と前記第一のコンデンサ(C20)との接続点に、第二のコンデンサ(C10)と第三の抵抗(R10)と第四の抵抗(R20)とが直列に接続されたフィルタ回路(F)が接続される構成としても良い。
【0013】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の抵抗(R30)と接地との間に基準電圧を発生する電圧源(120)が接続された構成であっても良い。
【0014】
また本発明の半導体集積回路は、前記第一の抵抗(R30)と前記第二の抵抗(Rsag)との間に第五の抵抗(R40)が直列に接続された構成であっても良い。
【0015】
本発明は、非反転入力端子(T11)に映像信号が入力される演算増幅器(111)を有し、前記演算増幅器(111)から出力される映像信号のサグ補正を行う映像信号出力回路(100)であって、
前記演算増幅器(111)の反転入力端子(T12)に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗(R30)と、
前記演算増幅器(111)の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器(111)の前記反転入力端子(T12)に他端が接続された第二の抵抗(Rsag)と、
前記第二の抵抗(Rsag)と並列に接続された第一のコンデンサ(C20)と、
第二のコンデンサ(C10)と第三の抵抗(R10)と第四の抵抗(R20)とが直列に接続されており、前記第四の抵抗(R20)の一端が接地され、前記第二のコンデンサ(C10)の一端が前記演算増幅器の出力端子に接続されたフィルタ回路(F)と、を有する構成とした。
【0016】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の映像信号出力回路100を示す図である。
【図2】映像信号のサグ率を説明するための図である。
【図3】コンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第一の図である。
【図4】コンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第二の図てれる。
【図5】映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号と従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号とを比較する図である。
【図6】第一の変形例を説明する図である。
【図7】第二の変形例を説明する図である。
【図8】第三の変形例を説明する図である。
【図9】第四の変形例を説明する図である。
【図10】従来の映像信号出力回路の一例を示す図である。
【図11】従来の映像信号出力回路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の映像信号出力回路100を示す図である。
【0020】
本実施形態の映像信号出力回路100は、半導体集積回路110、コンデンサC10、コンデンサC20、抵抗R10、抵抗R20を有する。
【0021】
半導体集積回路110は、演算増幅器111を有し、半導体集積回路110に入力される映像信号を増幅する。本実施形態の半導体集積回路110は、外部端子T10、外部端子Ts、演算増幅器111、抵抗R30、抵抗Rsagを有する。
【0022】
半導体集積回路110において、演算増幅器111の非反転入力端子T11には、映像信号が入力される。演算増幅器111の反転入力端子T12は、抵抗R30を介して接地されている。また演算増幅器111の反転入力端子T12は、抵抗Rsagを介して演算増幅器111の出力端子である外部端子T10と接続されている。抵抗Rsagは、映像信号をサグ補正するための抵抗であり、一端が外部端子T10と接続されており、他端が外部端子Tsと接続されている。
【0023】
映像信号出力回路100において、コンデンサC10は、映像信号に含まれる直流成分を除去するためのコンデンサであり、抵抗R10と抵抗R20とは、インピーダンスマッチング抵抗(75Ω)である。コンデンサC10と抵抗R10と抵抗R20とは直列に接続されており、ハイパスフィルタFを構成している。コンデンサC10の一端が半導体集積回路110の外部端子T10と接続されている。また抵抗R20の一端が接地されている。コンデンサC10と抵抗R10との接続点Hから出力される信号は、映像信号出力回路100の出力信号である。
【0024】
コンデンサC20は、演算増幅器111から出力される映像信号のサグ補正を行うためのコンデンサである。コンデンサC20の一端は半導体集積回路110の外部端子Tsと接続されており、他端が半導体集積回路110の外部端子T10と接続されている。よって本実施形態の映像信号出力回路100では、抵抗RsagとコンデンサC20とが、演算増幅器111の出力端子と反転入力端子T12との間で並列に接続されることになる。
【0025】
すなわち本実施形態では、コンデンサC10を通過する前の映像信号が演算増幅器111の非反転入力端子T12へ帰還される。
【0026】
本実施形態では、上記構成の映像信号出力回路100において、抵抗Rsagの抵抗値と、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値とを適切な値に設定することで、コンデンサC10とコンデンサC20の容量を従来よりも小さくし、且つ同期信号の欠落を抑制することができる。
【0027】
本実施形態において、抵抗Rsagの抵抗値、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値の適切な値とは、後述する映像信号のサグ率が、映像信号出力回路100から出力される映像信号の歪みが映像の画質に影響しない程度の値となるように設定された値である。本実施形態では、映像信号の歪みが画質に影響しない程度のサグ率として、サグ率が0.5%以下になるように、抵抗Rsagの抵抗値、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を設定した。
【0028】
ここで図2を参照してサグ率について説明する。図2は、映像信号のサグ率を説明するための図である。
【0029】
図2に示す映像信号Pは映像信号出力回路100の出力信号である。本実施形態の映像信号Pにおいて、サグ率は、振幅を振幅A、映像信号Pの歪みを歪みA′としたとき、A′/A×100[%]で定義される。本実施形態では、抵抗Rsagの抵抗値とコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値とを変化させることで、サグ率を0.5%とする。
【0030】
以下に図3、図4を参照してコンデンサC10、コンデンサC20の容量値の設定について説明する。
【0031】
図3はコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第一の図である。図4はコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値の設定を説明する第二の図である。図3は、コンデンサC10の容量値に対してコンデンサC20の容量値を変化させたときのサグ率を示している。
【0032】
図3では、コンデンサC20の値を0μFとしたときの結果を曲線S1とし、コンデンサC20の値を1μFとしたときの結果を曲線S2とし、コンデンサC20の値を2μFとしたときの結果を曲線S3とし、コンデンサC20の値を4μFとしたときの結果を曲線S4として示している。
【0033】
本実施形態では、図3において、コンデンサC10が特定の値において最もサグ率が低いコンデンサC20の値が選択され、選択された値に基づきコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値の最適化を行う。
【0034】
図3において、例えばコンデンサC10の容量が47μFのとき、最もサグ率の低いコンデンサC20の値は1μF(図3の曲線S2)である。よってコンデンサC20の値には、1μFが選択される。次にコンデンサC10の容量が約100μFのとき、同様に最もサグ率の低いコンデンサC20の値を選択する。このとき最もサグ率の低いコンデンサC20の値は1μFである。
【0035】
次にコンデンサC10の容量が約200μFのとき、同様に最もサグ率の低いコンデンサC20の値を選択する。このとき最もサグ率の低いコンデンサC20の値は2μF(図3の曲線S3)である。以上のようにしてコンデンサC10の値に対してサグ率が低くなるコンデンサC20の値を選択する。尚図3は、本実施形態の映像信号出力回路100においてコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を変化させた場合に、半導体集積回路110の出力信号から求めたサグ率の実測データである。
【0036】
図4は、図3でピックアップした点を示す曲線である。図4においてサグ率が0.5%以下となるのは、コンデンサC10が約220μFでありコンデンサC20が2μFの点、コンデンサC10が約300μFでありコンデンサC20が4μFの点、コンデンサC10が約500μFでありコンデンサC20が4μFの点である。
【0037】
本実施形態では、サグ率を0.5%以下とするコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値として、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μFを選択した。この理由は、コンデンサC10を電界コンデンサとし、コンデンサC20をチップコンデンサとすることができ、コンデンサC10及びコンデンサC20のサイズを小型化できるからである。
【0038】
例えばサグ率を0.5%にするコンデンサC10及びコンデンサC20の容量値をコンデンサC10=300μF、コンデンサC20=4μFとした場合、コンデンサC10及びコンデンサC20の両方を電界コンデンサとすることとなり、コンデンサ10及びコンデンサC20のサイズを小さくすることができない。よって製品の小型化に貢献することができない。
【0039】
次に、本実施形態の映像信号出力回路100における抵抗Rsagの抵抗値の設定について説明する。
【0040】
映像信号出力回路100において、コンデンサC10、抵抗R10、抵抗R20により構成されるハイパスフィルタFのカットオフ周波数fcを求める。カットオフ周波数fcは、以下の数1で求められる。
【0041】
【数1】
尚Rloadは、抵抗R10と抵抗R20との合成抵抗であり、本実施形態の抵抗Rloadは、Rload=R10+R20で表される。
【0042】
次に、カットオフ周波数fcにおいてサグ補正用の抵抗RsagとコンデンサC20とにより補正された後の映像信号出力回路100の電圧利得Av(fc)を求める。電圧利得Av(fc)は、以下の数2で求められる。
【0043】
【数2】
尚数2中のβは、以下の数3により求められる値である。
【0044】
【数3】
本実施形態では、数1、数2及び数3により、抵抗Rsagの抵抗値を求めることができる。本実施形態では、サグ率が0.5%以下となるように、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μFとしているため、数1、数2にコンデンサC10とコンデンサC20の値を代入すれば、サグ率を0.5%以下とするための抵抗Rsagを求めることができる。
【0045】
抵抗Rsagが求まった後は、以下の数4に示される式により、抵抗Rsagを数1ないし数3から求められた値とした場合に電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまるか否かを確認する。
【0046】
【数4】
尚数4で求められた電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまらない場合には、演算増幅器111から映像信号が正しく出力されない。よって抵抗Rsagを小さくするように、コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を調整する。電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲におさまる場合には、抵抗Rsagを数4で求められた値に設定する。
【0047】
以下に、コンデンサC10=220μF、コンデンサC20=2μF、抵抗Rload=150Ωの場合に抵抗Rsagを求めた例を示す。
【0048】
数1にコンデンサC10の値と抵抗Rloadの値を代入した式が数5である。
【0049】
【数5】
数5により、ハイパスフィルタFのカットオフ周波数fc=4.8Hzが求まる。上記各値と、数5で求められたカットオフ周波数fc=4.8Hzとを数2へ代入した式が数6である。
【0050】
【数6】
数6から、抵抗Rsag=5kΩが求まる。抵抗Rsag=5kΩを数4に代入し、電圧利得Av(DC)が演算増幅器111のダイナミックレンジの範囲内であるか否かを確認し、ダイナミックレンジの範囲内であった場合には、抵抗Rsagの抵抗値を5kΩとする。本実施形態では、抵抗Rsagの抵抗値を以上のようにして求められた値とすることで、サグ率を0.5%以下とすることができる。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態の映像信号出力回路100において抵抗Rsag、コンデンサC10、コンデンサC20の値を設定すれば、演算増幅器111の電源電圧を低電圧とした場合にも十分なサグ補正を行うことができ、同期信号の欠落を防止できる。
【0052】
図5は、映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号と従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号とを比較する図である。図5(A)は、従来の映像信号出力回路においてサグ補正された映像信号を示し、図5(B)は、本実施形態の映像信号出力回路100においてサグ補正された映像信号を示す。
【0053】
図5(A)では、映像信号が白画像から黒画像へ切り替わる際の同期信号の欠落を防止するために、演算増幅器のダイナミックレンジは3.5Vp−pが必要であった。図5(B)に示すように、本実施形態の映像信号出力回路100では、演算増幅器111のダイナミックレンジは3.1Vp−pで良い。よって本実施形態では、従来の演算増幅器のダイナミックレンジよりも狭いダイナミックレンジの演算増幅器111により、同期信号を欠落させずにサグ補正を行うことができる。
【0054】
また本実施形態では、コンデンサC10の容量及びコンデンサC20の容量を従来よりも小さくすることができる。さらに本実施形態では、サグ補正用のコンデンサC20をチップコンデンサとすることができるため、コンデンサの実装面積を小さくすることができ、さらにコストを削減することができる。
【0055】
よって本実施形態によれば、同期信号の欠落を抑制することができ、且つ低コストで製品の小型化に貢献することができる。
【0056】
尚本実施形態では、映像信号は半導体集積回路110の外部から入力されるものとして示しているが、これに限定されない。本実施形態の半導体集積回路110は、図1に示す回路以外にも、例えば映像信号を処理する回路を有してしても良い。
【0057】
また本実施形態では、先にコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値を設定した後に、設定した容量値に基づき抵抗Rsagの抵抗値を決定したが、抵抗Rsagの抵抗値を決定する順序はこれに限定されない。抵抗Rsagの抵抗値は、例えばコンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値が設定される前に決められていても良い。この場合コンデンサC10の容量値及びコンデンサC20の容量値は、抵抗Rsagの抵抗値に合わせて設定される。
【0058】
以下に、図6ないし9を参照して本実施形態の変形例を説明する。
【0059】
図6は、第一の変形例を説明する図である。図6に示す映像信号出力回路100Aでは、半導体集積回路110Aにおいて抵抗R30とグランドとの間に基準電圧Vrefを発生する電圧源120を設け、映像信号出力回路100Aの出力信号の動作点を変化させた。映像信号出力回路100Aでは、基準電圧Vrefの値を調整することにより、出力信号の動作点を調整することができる。
【0060】
図7は、第二の変形例を説明する図である。図7に示す映像信号出力回路100Bでは、半導体集積回路110Bにおいて、電圧源120に加え、抵抗Rsagと抵抗R30との間に接続された抵抗R40を設けた。映像信号出力回路100Bでは、抵抗R40を設けることで高域のゲイン設定を行うことが可能となる。
【0061】
尚図7に示す映像信号出力回路100Bにおいて、数3で示したβを求める場合には、以下の数7で表される。
【0062】
【数7】
図8は、第三の変形例を説明する図である。図8に示す映像信号出力回路100Cでは、半導体集積回路110Bの外部において出力端子T10とサグ補正端子Tsとの間に接続された抵抗R50を設けた。
【0063】
抵抗R50は、出力端子T10とサグ補正端子Tsとの間にコンデンサC20と並列に接続されている。図8に示す映像信号出力回路100Cでは、半導体集積回路110Bの外部に抵抗R50を接続することで抵抗Rsagの抵抗値を調整することができる。
【0064】
図9は、第四の変形例を説明する図である。図9に示す映像信号出力回路100Dでは、半導体集積回路110Bの外部において、サグ補正端子TsとコンデンサC20との間にコンデンサC20と直列に接続された抵抗R60を設けた。図9に示す映像信号出力回路100Dでは、半導体集積回路110Bの外部に抵抗R60を接続することで抵抗Rsagの抵抗値を調整することができる。
【0065】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、映像信号を増幅して出力する半導体集積回路、映像信号出力回路に関する。
【符号の説明】
【0067】
100、100A〜100D 映像信号出力回路
110、110A、110B 半導体集積回路
120 電圧源
T10 外部端子
Ts サグ補正端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、前記演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路であって、
前記演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、
前記演算増幅器の出力端子が接続された第一の外部端子と、
前記演算増幅器の反転入力端子と接続された第二の外部端子と、
前記演算増幅器の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器の反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、を有し、
前記第二の抵抗の抵抗値は、
前記第一の外部端子と前記第二の外部端子との間に前記第二の抵抗と並列に接続される第一のコンデンサの容量値に基づき決められた値である半導体集積回路。
【請求項2】
前記第一の外部端子と前記第一のコンデンサとの接続点に、第二のコンデンサと第三の抵抗と第四の抵抗とが直列に接続されたフィルタ回路が接続される請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第一の抵抗と接地との間に基準電圧を発生する電圧源が接続された請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第一の抵抗と前記第二の抵抗との間に第五の抵抗が直列に接続された請求項1ないし3の何れか一項に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、前記演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う映像信号出力回路であって、
前記演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、
前記演算増幅器の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器の前記反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、
前記第二の抵抗と並列に接続された第一のコンデンサと、
第二のコンデンサと第三の抵抗と第四の抵抗とが直列に接続されており、前記第四の抵抗の一端が接地され、前記第二のコンデンサの一端が前記演算増幅器の出力端子に接続されたフィルタ回路と、を有する映像信号出力回路。
【請求項1】
非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、前記演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う半導体集積回路であって、
前記演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、
前記演算増幅器の出力端子が接続された第一の外部端子と、
前記演算増幅器の反転入力端子と接続された第二の外部端子と、
前記演算増幅器の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器の反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、を有し、
前記第二の抵抗の抵抗値は、
前記第一の外部端子と前記第二の外部端子との間に前記第二の抵抗と並列に接続される第一のコンデンサの容量値に基づき決められた値である半導体集積回路。
【請求項2】
前記第一の外部端子と前記第一のコンデンサとの接続点に、第二のコンデンサと第三の抵抗と第四の抵抗とが直列に接続されたフィルタ回路が接続される請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第一の抵抗と接地との間に基準電圧を発生する電圧源が接続された請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第一の抵抗と前記第二の抵抗との間に第五の抵抗が直列に接続された請求項1ないし3の何れか一項に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
非反転入力端子に映像信号が入力される演算増幅器を有し、前記演算増幅器から出力される映像信号のサグ補正を行う映像信号出力回路であって、
前記演算増幅器の反転入力端子に一端が接続されており他端が接地された第一の抵抗と、
前記演算増幅器の出力端子に一端が接続され、前記演算増幅器の前記反転入力端子に他端が接続された第二の抵抗と、
前記第二の抵抗と並列に接続された第一のコンデンサと、
第二のコンデンサと第三の抵抗と第四の抵抗とが直列に接続されており、前記第四の抵抗の一端が接地され、前記第二のコンデンサの一端が前記演算増幅器の出力端子に接続されたフィルタ回路と、を有する映像信号出力回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−166493(P2010−166493A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8912(P2009−8912)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
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