説明

半田供給装置、表面実装機

【課題】表面実装機に対する半田片の完全自動供給が可能で、かつコンパクトな半田供給装置、及び同半田供給装置を搭載した表面実装機を提供することを目的とする。
【解決手段】基台11上の供給位置Oに半田片Uを供給する半田供給装置100であって、前記基台11に対する取り付け部115を有するケーシング110内に、一方向に長いシート状をなす半田テープを巻回したリール130と、前記リール130を脱着可能に保持するリールホルダ120と、前記リール130を通じて供給される半田テープTpを引き取りきつつ、前記ケーシング110の上面前部に設定される前記供給位置Oに向けて水平に送り出す送出装置170と、前記供給位置Oに送られた半田テープTpを水平姿勢に保ちつつ、前記供給位置Oにて下方から押し上げて切断し前記半田片Uとする切断装置200と、を収容してなることを特徴とする半田供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田供給装置、及び表面実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路基板を製造する過程において、半田片(板状の半田小片)を用いて部品の電気的な接続を図る手法が広く採用されている。
【0003】
係る半田片は一般に、母材としての半田テープを専用の装置で所定幅にカットした後、パレットに手詰めされ、表面実装機に供給されていた。しかし、このような手詰め作業は作業効率が悪いので、近年ではこれを自動化する試みがなされている(下記特許文献1)。
【特許文献1】特許第2552606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献のものは半田片をパレット(治具)に自動供給させており、作業性が有る程度改善されている。しかしながら上記文献のものは装置が大掛かりであり、更なる改善の余地がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コンパクトな半田供給装置、及び同半田供給装置を搭載した表面実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためのものであって、本発明に係る半田供給装置は、半田片を所定の供給位置に供給する半田供給装置であって、ケーシング内に、一方向に長いシート状をなす半田テープを巻回したリールと、前記リールを脱着可能に保持するリールホルダと、前記リールを通じて供給される半田テープを引き取りつつ、前記ケーシングの上面前部に設定される前記供給位置に向けて水平に送り出す送出装置と、前記供給位置に送られた半田テープを水平姿勢に保ちつつ、前記供給位置にて下方から押し上げて切断し前記半田片とする切断装置と、を収容してなるところに特徴を有する。
【0006】
本発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記切断装置を、前記半田テープが前記供給位置に向かうテープ搬送路の終端において、前記半田テープの上面を押さえるダイと、前記ダイを通過してダイ先端より前記供給位置上に突出した半田テープを、前記供給位置にて下から押し上げて切断するポンチと、から構成する。このようにしておけば、切断装置をシンプルに構成できる。
【0007】
・前記ポンチ及び前記ダイの少なくともいずれか一方に、ダイヤモンドライクカーボンコーティングを施しておく。このようにしておけば、切断時に、ポンチあるいはダイに半田が付着し難くなり、半田テープを正確に切断できる。
【0008】
・ポンチ上面に開口し、かつ負圧源に連なる吸引孔をポンチ内に設け、前記ポンチ上面に吸引力を作用させる構成とする。このようにしておけば、切断対象の半田テープをポンチ上面に密着(吸引保持)させた状態で切断できる。従って、半田テープがポンチから逃げて切断不良等を起こすことがない。
【0009】
・前記ポンチにより前記半田テープを押し上げて切断する切断動作中は、前記負圧源より負圧を供給させて切断対象の半田テープをポンチ上面に吸引保持させる一方、前記切断動作を完了した後、所定条件の下、前記吸引孔を通じて、前記負圧に替えて正圧を供給することで、切断されたポンチ上面の半田片を廃棄させる構成とする。このようにしておけば、仮に切断不良等の不具合があったとしても、不良の半田片をポンチ上面、すなわち供給位置から強制的に廃棄できる。
【0010】
・前記ダイを通過して供給位置に突出した半田テープの上方を塞ぐ閉止部材と、前記閉止部材を、前記ポンチの押し上げ動作に同期させて上昇変位させるリフト装置と、前記ポンチの押し上げ動作により半田テープが切断された後に、前記閉止部材を平面方向に水平移動させることにより前記供給位置から前記閉止部材を退避させるスライド装置と、を備える構成とする。このように、上面を閉止部材により塞いだ状態で半田テープを切断する構成としておけば、切断時、半田テープがポンチから逃げることをほぼ完全に回避でき、半田テープの切断作業をより安定的に行える。加えて、切断後、閉止部材を供給位置から退避させるようにしてあるから、その後に行われる半田片の取り出し作業を、閉止部材に干渉等起こすことなく円滑に行うことができる。
【0011】
・モータから伝達される回転方向の動力を上下方向の往復運動に変換して、前記ポンチに前記押し上げ動作を行わせる第一の板カムと、前記リフト装置を構成する第二の板カムと、前記第一の板カムの回転軸と前記第二の板カムの回転軸とを掛け渡し、両板カムを同期回転させる同期回転ベルトを備える構成とする。このようにしておけば、比較的簡単な構成で、ポンチの押し上げ動作(切断動作)と閉止部材の上昇動作を確実に同期させることが可能となる。
【0012】
・前記閉止部材に、半田テープの上方を塞ぐ閉止面を上下に貫通する貫通孔を設ける構成とする。このようにしておけば、閉止部材の閉止面に半田片が付着し難くなる。従って、閉止部材を平面方向に移動させて供給位置より退避させたとき、閉止部材に引かれて、半田片が変形するなどの不具合を生じない。
【0013】
・前記リールを送り方向に強制回転させて前記半田テープを前記リールから送り出す回転装置と、前記リールから送出された半田テープを掛け渡す複数のローラ群よりなる掛渡装置と、を備え、前記掛渡装置のローラ群に湾曲状に掛け渡された半田テープを前記送出装置により引き取って、前記供給位置に送出させる構成とするとともに、前記ローラ群を構成するローラのうち少なくともいずれか一のローラを、他のローラに対し接近或いは離間動作可能であり、かつ前記ローラ群に掛け渡した半田テープに張力を作用させる可動テンションローラとする。
【0014】
リールに巻かれた半田テープを送出装置で直接引き取る構成とすると、引き取り動作を停止させたとしても、慣性によりリールは回転し続け、更に半田テープを送ろうとする。このように、引き取り動作を停止したにも拘わらず、半田テープが意に反して送られてしまうと、半田テープを供給位置に安定的に送出するのに障害となる。
【0015】
この点、送出装置が引き取る半田テープを掛渡装置内で賄なう(具体的には、可動テンションローラが他のローラに接近移動することにより賄われる)構成としておけば、リールの慣性が働く余地がなく、半田テープを供給位置に安定的に送出できる。
【0016】
・前記可動テンションローラの移動を上下方向に規制する構成とする。このようにしておけば、可動テンションローラの移動方向(上下)と、テープの送り方向(水平)とが直交する関係となるから、より一層、リールの慣性が作用し難くなる。
【0017】
・前記送出装置によるテープ引き取り伴う、前記可動テンションローラの上下方向に関する位置変化を検出する検出装置と、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記リールから送出される半田テープの送出量を前記回転装置を介して制御する制御装置とを備え、前記可動テンションローラの上下方向に関する位置がほぼ一定となるように制御する制御系を構築する。このような構成としておけば、送出装置の作動に拘わらず、掛渡装置内に一定長の半田テープを保留でき、それに作用する張力もほぼ一定にコントロールできる。
【0018】
・前記半田テープが前記供給位置に向かうテープ搬送路上に、前記半田テープの先端位置を検出する先端位置検出センサを設けておく。このような構成であれば、装置が緊急停止するなどして、半田テープが予定しない位置で停止等した場合であっても、復旧後、半田テープの先端位置を特定することが可能となる。
【0019】
本発明は上記課題を解決するためのものであって、本発明に係る表面実装機は、水平移動可能とされ、かつ昇降動作により部品、半田片を取り出す実装ヘッドを基台上に設けてなる表面実装機であって、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の半田供給装置を前記基台上に、前記供給位置が前記実装ヘッドの移動領域内に収まるように配置したところに特徴を有する。
【0020】
本発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
前記吸引孔を通じて負圧を供給することによりポンチ上面に吸引力を生じさせ、前記半田テープを前記ポンチの上面に密着させた状態で同半田テープを前記ポンチにより切断する構成であると共に、切断された半田片を前記実装ヘッドが取り出すタイミングに合わせて、前記負圧の供給を停止させる構成とする。このような構成としておけば、供給位置から半田片をスムーズに取り出せる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半田テープを供給位置にて切断し半田片としている。このような構成であれば、供給位置にて実装ヘッドを昇降させてやれば、切断した半田片を実装ヘッドにより直接取り出せる(完全自動供給)。また、半田供給装置はケーシング内に各装置を収容させており、コンパクトにまとめられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
1.表面実装機の全体構成
図1は表面実装機の平面図、図2はヘッドユニットの支持構造を示す部分拡大図である。図1、図2に示すように、表面実装機10は上面が平らな基台11上に各種装置を配置している。尚、以下の説明において、基台11の長手方向(図1、図2の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、Y方向、Z方向をそれぞれ図1〜図3の向きに定めるものとする。
【0023】
基台11の中央には、プリント配線基板搬送用の搬送コンベア(以下、単にコンベアとも呼ぶ)20が配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、両ベルト21を架設するように基板Pをセットすると、ベルト上面の基板Pはベルトとの摩擦によりベルトの駆動方向に送られるようになっている。
【0024】
本実施形態のものは、図1に示す右側が入り口となっており、基板Pは図1に示す右側よりコンベア20を通じて機内へと搬入される。搬入された基板Pは、コンベア20により基台中央の搭載位置Gまで運ばれ、そこで停止される。
【0025】
同搭載位置Gでは、基板Pに対する部品Wの実装が部品搭載装置30により行われるとともに、その後、実装処理を終えた基板Pはコンベア20を通じて図1における左方向に運ばれ、機外に搬出される構成になっている。
【0026】
部品搭載装置30は大まかにはX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構、Z軸サーボ機構及びこれらサーボ機構によりX軸、Y軸、Z軸方向に駆動される吸着ヘッド63などから構成される。
【0027】
具体的に説明してゆくと、図2に示すように基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は搭載位置Gの両側に位置しており、共にY方向(図1では上下方向)にまっすぐに延びている。
【0028】
両支持脚41にはY方向に延びるガイドレール42が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘット支持体51が取り付けられている。
【0029】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、更にY軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0030】
同モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に水平移動する(Y軸サーボ機構)。
【0031】
図2に示すように、ヘッド支持体51にはX方向に延びるガイド部材53が設置され、更に、ガイド部材53に対してヘッドユニット60が、ガイド部材53の軸に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されており、更にX軸ボールねじ55にはボールナットが螺合されている。
【0032】
そして、X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されており、同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がガイド部材53に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0033】
従って、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を水平方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0034】
係るヘッドユニット60には、実装動作を行う吸着ヘッド63が列状をなして複数個搭載されている。吸着ヘッド63はヘッドユニット60の下面から下向きに突出しており、先端には吸着ノズル64が設けられている。
【0035】
各吸着ヘッド63はR軸モータの駆動により軸周りの回転動作が可能とされ、又Z軸モータの駆動により、ヘッドユニット60のフレーム61に対して昇降可能な構成となっている(Z軸サーボ機構)。また、各吸着ノズル64には図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0036】
このような構成とすることで、次に説明する部品供給15上にヘッドユニット60を移動させつつ、その状態から吸着ヘッド63を昇降させることで供給部15から部品、半田片を取り出すことができる。
【0037】
そして、部品、半田片を取り出した後、吸着ヘッド63を基板Pの上方に移動させつつ、所定の部品搭載位置に達したところで同吸着ヘッド63を昇降させることで基板Pに部品、半田片をを実装できる。
【0038】
図1に示すように、基台11上であって搭載位置Gの周囲には、供給部15が4箇所設けられており、そのうちの2箇所(図1の上側2箇所15A、15B)に供給トレイ100が設置され、残る2箇所(図1の下側2箇所15C、15D)に半田供給装置が横並び状に4機設置されている。
【0039】
2.供給トレイの構成
供給部15A、15BのY方向奥側にはトレイ供給装置80が設けられている。トレイ供給装置80には、部品Wを載置する部品載置部を行列状に形成した供給トレイ90が詰まれて収容されている。
【0040】
トレイ供給装置80は、トレイ先端を基台中央に向けつつ供給トレイ90を、供給位置15A、15Bに自動供給する機能を担っている。
【0041】
3.半田供給装置100の構成
半田供給装置100は、基台11に対する取り付け部115を有するケーシング110内に、次に説明する各装置を配置してなるものである。当ケーシング110は一方向に長い箱型をなすと共に、上面の一部(より具体的には、後述する供給位置Oが設定されるケーシング前部)が開口している。
【0042】
図3は半田供給装置100の中央断面図である。同図に示すように、ケーシング110内の後部には、リールホルダ120が設けられている。リールホルダ120は円形をなす回転盤121と、同回転盤121を軸支する揺動アーム125とから構成されている。回転盤121は、図4に示すリール130を脱着可能に保持する保持部材として機能するものであり、中心に支持軸123を設けている。
【0043】
リール130は軸孔133を有する筒型の胴部131に一方向に長いシート状の半田テープTpを巻きつけて保持させたものであり、回転盤121の支持軸123に胴部131の軸孔133を嵌め込むと、回転盤121に固定される構成となっている。
【0044】
そして、回転盤121の下方には回転装置140が設けられている。回転装置140は、駆動源としてのモータ141と、モータ141の動力により回転する駆動ローラ145と、から構成されている。駆動ローラ145は外周を回転盤121の外周に当接させるように配置されており、摩擦により回転盤121を送り方向(図3のF矢印方向)に強制回転させる。
【0045】
これにより、リール130が回転盤121と一体的に回動する結果、半田テープTpがリール130から供給される構成となっている。
【0046】
尚、本実施形態のものは、ケーシング後部が開放操作可能なカバー117となっており、カバー117を開放させた後、図3に示す揺動アーム125をヒンジC1を中心に反時計方向に回動させると、回転盤121をケーシング外に退避させることができ、リール130の付け替えを実施可能な構成となっている。
【0047】
さて、当半田供給装置100ではケーシング110の上部近辺に、掛渡装置150、送出装置170、ガイド部190、切断装置200が図3に示す左手から右手に向かって順に配置されている。以下、まず掛渡装置150と送出装置170について説明し、その後、ガイド部190と切断装置200の説明を行う。
【0048】
(a)掛渡装置150及び、送出装置170
掛渡装置150は一対の保持ローラ151、153と、両保持ローラ151、153間に位置する可動ローラ155とから構成されており、リール130を通じて供給された半田テープTpがこれら各ローラ151〜155間に張り渡される構成となっている(より具体的には、湾曲状をなして張り渡されている)。
【0049】
そして、一対の保持ローラ151、153は、ケーシング110の上部寄りの位置において、ほぼ同じ高さに定置固定される一方、可動ローラ155は上下方向に移動自在とされ、保持ローラ151、153に対して接近/離間動作可能とされている。
【0050】
具体的に説明すると、可動ローラ155はケーシング110の壁面に設けられたガイド溝119に沿って上下動可能とされたブロック161に取り付けられており、同ブロック161と共に上下動する構成となっている。
【0051】
このような構成とすることで、可動ローラ155が両保持ローラ151、153に接近移動(例えば、図5の位置から上昇)することで、次に説明する送出装置170に対して半田テープTpを繰り出すことができ、また、可動ローラ155が両保持ローラ151、153に対して離間移動(例えば、図5の位置から下方に移動)することでリール130から供給される半田テープTpを保留することが可能となる。
【0052】
尚、可動ローラ155はローラ間に張られた半田テープTpに、ブロック161の自重を作用させており、半田テープTpに張力を作用させるテンションローラとしての機能も合わせ担っている。
【0053】
送出装置170は水平ベース171、送出ローラ175、従動ローラ176などから構成されている。水平ベース171は半田テープTpを水平に送出する送出面を構成するものである。係る水平ベース171には、長手方向のほぼ中央に開口が形成されている。そして、水平ベース171の下方には、水平ベース171の開口に天頂を臨ませるようにして送出ローラ175が設置されている。
【0054】
送出ローラ175は、回転盤121の右方に設置されるモータ181の動力を得て回動するものであり、同送出ローラ175にローラ外面を接するように、従動ローラ176が対向配置されている。
【0055】
これにより、送出ローラ175を回転操作すると、両ローラ175、176間の摩擦により、掛渡装置150側の半田テープTpが引き取られつつ、水平ベース171に沿って装置前方に水平に送られることとなる。
【0056】
尚、当実施形態のものは、先にも述べたように、掛渡装置150に可動ローラ155を設けてあり、半田テープTpの送出分を、各ローラ151、153、155間に渡された半田テープTpの全長を短くすることで賄っている。
【0057】
そのため、送出装置170が半田テープTpを引き込んでも、掛渡装置150より上流に位置するリール130にそれが作用しない構成となっている。このような構成としてあるのは、以下の点を考慮したためである。
【0058】
ここで仮に、リール130に巻かれた半田テープTpを送出装置170で直接引き取る構成とすると、引き取り動作を停止させたとしても、リール130は慣性により回転し続け、更に半田テープTpを送ろうとする。
【0059】
このように、引き取り動作を停止したにも拘わらず、半田テープTpが意に反して送られてしまうと、半田テープTpを後述するポンチ上面211の供給位置Oに安定的に送出するのに障害となる。この点、リール130から既に引き出された掛渡装置150内の半田テープTpを送出装置170により引き取る構成としておけば、リール130の慣性が働く余地がなく、半田テープTpを安定的に送出できる。
【0060】
また、本実施形態のものは、図6に示すように光センサ185、回転装置140を構成するモータ141の駆動を制御する制御装置188などを備えて制御系を構築し、リール130から送出される半田テープTpの送出量を自動コントロールしている。
【0061】
具体的に説明すると、可動ローラ155を保持するブロック161には検知片162が設けられている。その一方、ケーシング110には光センサ185が設けられている。光センサ185は投光素子と、これと対をなし検出光軸を形成する受光素子とからなる。当実施形態では、係る光センサ185を、検知片162の移動範囲に対応して、上下方向に列をなして複数個配置している。
【0062】
そして、可動ローラ155が上下に位置変位すると、検知片162が特定の光センサ185の検出光軸を遮光する結果、各光センサ185A〜185Dから出力される検出信号(本発明の「検出結果」に相当)より、可動ローラ155の上下方向に関する位置を検出できる構成となっている。
【0063】
そして、可動ローラ155が図6の(a)に示す上昇位置付近に至ると、制御装置188がモータ141の回転を加速させリール130を高速回転させる結果、半田テープTpの送出量が増して掛渡装置150内における半田テープTpの不足分が補われる。
【0064】
一方、可動ローラ155が図6の(b)に示す下降位置付近に至ると、制御装置188がモータ141を減速させる結果、リール130が低速回転し半田テープTpの送出量を減少させる。
【0065】
このような構成とすることで送出装置170の作動に拘わらず、引き取り可能な半田テープTpが掛渡装置150内に一定長、絶えず保留される構成となっている。
【0066】
また、多少の上下動はするものの可動ローラ155の上下方向に関する位置が、ほぼ一定に保たれる結果、半田テープTpに作用する張力がほぼ一定に保たれる。このような構成としておけば、送出装置170が半田テープTpを、一定の力で安定的に引き取れるから、必然的に、供給位置Oに半田テープTpを安定供給できる。
【0067】
(b)ガイド部190及び、切断装置200
ガイド部190はカッターベース191と、ガイドプレート193より構成される。カッターベース191は、送出装置170を構成する水平ベース171と上面同士を面一にしており、送出された半田テープTpを装置前側に向けて水平に送るテープ搬送路Lを構成している。
【0068】
ガイドプレート193はカッターベース191の上方に設置され、カッターベース上面との間に半田テープTpを挿通させる通路スペースを保有している。係るガイドプレート193は、カッターベース上面を送られる半田テープTpをガイドし、テープを水平姿勢に維持する機能を担っている。
【0069】
また、ガイドプレート193の前部(図3における右側)にはダイ195が設けられている。ダイ195はガイドプレート193と同様に、カッターベース上面との間に半田テープTpを挿通させる通路スペースを保有している。
【0070】
また、ダイ195の装置前側にあたる前壁は、図7に示すように壁面を斜めに切り落としており、切断刃197を形成している。そして、図7に示すように、カッターベース191には、切断刃197の前方に位置して、以下に説明するポンチ210を出入りさせるポンチ連通孔192を形成している。係るポンチ210はダイ195とともに、切断装置200を構成するものであり、ダイ195を通過してポンチ上面211に突出した半田テープTpを下方から押し上げて切断する機能を担っている。
【0071】
では、図3に戻って、ポンチ210に切断動作を行わせる各部の構成を順に説明してゆく。図3に示すように、ポンチ210は上下に長い角柱状をなす。そして、ポンチ210の下部には、間に平板状のばね受け部材220を介在させつつ、ガイドシャフト230が取り付けられている。
【0072】
一方、カッターベース191の下方には、第一の支持板240と、第二の支持板250が板面を水平に向けて固定されている。第一の支持板240はカッターベース191の下面に重ねて固定されており、ポンチ210を上下に貫通させている。そして、同支持板240にはポンチの両側(図3において左右両側)にばね支持孔を設けている。係るばね支持孔には復動用のコイルばね245が、ポンチ下部に固定されたばね受け部材220に端部を当接するように取り付けられている。
【0073】
第二の支持板250は、ケーシング110における高さ方向の中央やや上部寄りの位置に設置されている。係る第二の支持板250にはポンチ210の中心軸に対応する位置にガイド筒255が設けられている。係るガイド筒255は軸を上下に向けており、内部にポンチ下部のガイドシャフト230を貫通させている。
【0074】
そして、ガイド筒255を貫通したガイドシャフト230の下端部に、断面円形のカムフォロア265がブラケット260を介して取り付けられている。
【0075】
上記の如く構成された、ガイドシャフト230を含むポンチ全体は復動用のコイルばね245によって、図示下方に付勢される結果、ガイドシャフト下端のカムフォロア265が、以下に説明する第一の板カム270のヘリ271(すなわち、外周部)に常接する。
【0076】
第一の板カム270は第二の支持板250の下方において、駆動用のモータ280と左右に並んで配置されている。そして、係るモータ280に設けられる不図示のモータギヤと第一の板カム270に設けられる不図示のカムギヤが無端状のタイミングベルトにより連結されている。
【0077】
そのため、モータ280を駆動させると、第一の板カム270が回転する。そして、第一の板カム270が回転すると、板カムのヘリ271とカムフォロア265との接点が、上下方向に位置を変える結果、板カム270の回転運動が直線往復運動に変換され、ガイドシャフト230、ひいてはポンチ210を昇降させる。これにより、ダイ195を通過してポンチ上面211に突出した半田テープTpをポンチ210が下方から押し上げて、ダイ195の切断刃197により切断させる構成となっている。
【0078】
尚、当実施形態では、ダイ195とポンチ210の双方にDLCコーティング(ダイヤモンドライクカーボンコーティング)を施している。このような構成とすることでダイ195、ポンチ210の表面がすべり易くなり、半田テープTpを鉄などの金属片と同様に切断できる。すなわち、半田は、鉄などに比べて柔らかく、せん断に不向きであるが、ダイ195、ポンチ210の表面をすべり易くすることで、ダイ195、ポンチ210の表面に半田が粘着し難くなり、通常の金属片と同様に切断できるのである。
【0079】
また、図3に示すように、ポンチ210並びにガイドシャフト230には、軸芯部にエア通路217、237が形成されている。係るエア通路217、237は第二の支持板250の下方部に設けられる継ぎ手291を通じて負圧源に連なっている。
【0080】
また、ポンチ210の上端寄りの位置には、ポンチ上面211に開口する吸引孔213が形成されている。係る吸引孔213は、ポンチ中央において、前後方向に一列に並んで複数個形成されており、ダイ195を通過してポンチ上面211に送られた半田テープTpのテープ中央が、当該吸引孔213に丁度重なる設定とされている。
【0081】
そして、ポンチ210の内部であって上部寄りの位置には空洞部215が形成され、同空洞部215にエア通路217、吸引孔213の双方が連通している。
【0082】
以上の構成とすることで、負圧源を作動させるとエア通路237、217を通じて空洞部215内のエアが抜かれる結果、吸引孔213を介してポンチ上面211に吸引力が作用する。
【0083】
これにより半田テープTpをポンチ上面211に吸引保持させることが可能となり、切断時における半田テープTpの位置ずれを規制すると共に、切断された半田片をポンチ上面211に保持しておくことが可能となる。
【0084】
尚、本実施形態のものは、負圧源と並列的に正圧源が接続され制御弁S1、S2を切り替え制御することで、吸引孔213より高圧エアをポンチ上面211から吐出できる構成とされている。このような構成とすることで切断不良、あるいは吸着ヘッド63による吸着ミスがあったとしても、半田片Uを高圧エアによりポンチ上面211から自動廃棄できる。
【0085】
また、本発明で言うところの「前記切断動作を完了した後、所定条件の下、ポンチ上面の半田片を廃棄させる」が、上述の切断不良、吸着ヘッド63による吸着ミスがあったときなどに、半田片Uを高圧エアによりポンチ上面211から自動廃棄させるにより具現化されている。
【0086】
次に、ポンチ210による半田テープTpの切断作業を補助するストリッパー300について説明する。図7に示すように、ストリッパー300はカッターベース191の上面に設置され、形状はポンチ上面211を覆うことが可能な程度の幅を有する長方形状をなしている。係るストリッパー300は、長手方向の両端部をリフトアーム310により保持されている。
【0087】
尚、係るストリッパー300が本発明の「閉止部材」に相当するものであり、また、ストリッパー300の下面が、本発明の「閉止面」に相当している。
【0088】
リフトアーム310は、装置の前後方向に水平に延びる基部315の前部にストリッパー300の端部を保持する保持部316を形成したものであり、全体としてはL字状をなしている。そして、基部315の内壁面には前側に大コロ321を設け、後側に小コロ325を設けている。
【0089】
一方、第一の支持板240の下方には板状をなす可動ベース340が、ガイド軸350を介して上下動可能に吊られている(図10参照)。そして、可動ベース340の両端面には、図7に示すように前後方向に延びるガイドレール345が設けられ、係るガイドレール345に、上記リフトアーム310の内壁面に設けられるレール受け318が摺動自在に凹凸嵌合している。
【0090】
このように、リフトアーム310は可動ベース340のガイドレール345に凹凸嵌合し上下方向については一体化されているから、可動ベース340を吊っているガイド軸350に案内されつつ、可動ベース340と共に上下動する。
【0091】
次に、リフトアーム310の大コロ321を下から持ち上げて、ストリッパー300を上昇させるリフト装置400について説明する。図10に示すように、リフト装置400は第二の板カム410、ベルリンク420、コロ受け部材430などから構成されている。
【0092】
コロ受け部材430は、中央にローラ431を支持した支持ブロック433の前後両部に支柱435を立設して、受け板437を支えたものである。係るコロ受け部材430は第二の支持板250の前部寄りの位置において、支柱435を支持板250を貫通させつつ上下動可能に取り付けられ、第二の支持板250を間に挟んで上側に受け板437が位置させ、下側に支持ブロック433を位置させている。
【0093】
そして、第二の支持板250の上側に位置する受け板437の上面にリフトアーム310の大コロ321が当接する設定となっている。
【0094】
第二の板カム410は第二の支持板250の下側後方寄りの位置に軸止されている。係る第二の板カム410は第一の板カム270に対して同期回転ベルト415を介して連結されている。より具体的に言えば、第一の板カム270の回転軸273と第二の板カム410の回転軸413とが同期回転ベルト415により連結されており、第一の板カム270が回転すると、それに追随して同期回転する。
【0095】
ベルリンク420は、第二の板カム410とコロ受け部材430との間において、ヒンジC2を介して揺動自在に取り付けられ、一方のアーム421がコロ受け部材430のローラ431の下面に接している。そして、他方のアーム425にはローラ427が設けられており、係るローラ427が第二の板カム410のヘリ(すなわち、外周)411に接している。
【0096】
本実施形態では、両板カム270、410の基準位置(すなわち、回転方向の原点にあたる位置)が図10の様に設定されており、係る基準位置においてストリッパー300は、ポンチ210上方にあって、ポンチ上面211との間に幾らかのクリアランスを保有している(以下、閉位置)。
【0097】
これにより、ダイ195を通過した半田テープTpが、ポンチ210とストリッパー300との間に収まるように構成されている。
【0098】
そして、半田テープTpを切断するべくモータ280を駆動させると、第一の板カム270が回転してポンチ211を押し上げてゆく。そして、第一の板カム270の回転に同期して、第二の板カム410も回転する。
【0099】
すると、回転した第二の板カム410のヘリ411がローラ427を押し込む結果、ベルリンク420が図10に示すG矢印方向に回転し、コロ受け部材430を介してリフトアーム310を持ち上げる。
【0100】
以上のことから、ポンチ210の押し上げ動作に同期してストリッパー300が持ち上がり、半田テープTpは、ポンチ210とストリッパー300の両部材により上下に挟み込まれた状態で、切断されることとなる。
【0101】
また、上記したポンチ上方の閉位置にあるストリッパー300は半田切断後、次に説明するスライド装置500の作動を受けて装置前側にスライド(水平移動)し、ポンチ上面を開放させつつ切断された半田片Uを露出させるように構成されている。
【0102】
スライド装置500は、第二の支持板250の上面であって、中央から後部寄りの位置に設けられる案内レール510と、スライダー520とをから構成されている。案内レール510は、前後方向(図10の左右方向)に延びており、同案内レール510上をスライダー520が前後動する構成となっている。
【0103】
そして、スライダー520上には、U字状をなす嵌合孔を有するホルダプレート530が縦向きに固定され、同嵌合孔にリフトアーム310の小コロ325が嵌合されている。
【0104】
これにより、不図示のエアシリンダを作動させると、エアシリンダの備えるシリンダ軸が水平方向に伸長変位してスライダー520を装置前側に押す。その結果、スライダー520が案内レール510に沿って、図10の位置から同図の右方向に前進動作する。
【0105】
すると、スライダー520を介してリフトアーム310が押される結果、ストリッパー300はポンチ210上方の閉位置から装置前側に移動する。これにより、ポンチ210上方が開放され、切断された半田片Uが露出する。
【0106】
尚、本実施形態では、上記ストリッパー300に上下に貫通する貫通孔301を前後方向(半田テープの送り方向)に沿って一列状に形成している(図7参照)。
【0107】
このようにしておけば、ストリッパー300の下面に半田片Uが付着し難くなるから、ストリッパー300を装置前側に移動させてポンチ上面211より退避させるときに、ストリッパー300に引かれて、半田片Uが変形するなどの不具合を生じない。
【0108】
以上のように構成された半田供給装置100は、図1に示すように、半田テープTpを切断するポンチ210が設けられた装置前側をコンベア20が設けられた基台中央に向けて取り付けられている。より具体的には、ケーシング下部の取り付け部115を介してボルトで固定されており、同取り付け状態にあっては、半田片Uを供給する供給位置Oにあたるポンチ上面211が、吸着ヘッド63の移動領域K内に位置する設定となっている。
【0109】
以下、図9〜図16を参照して、半田供給装置100による半田テープTpのカットサイクルを簡単に説明する。尚、動作開始前の初期状態においては、第一の板カム270、第二の板カム410はいずれも図10に示す基準位置にある。すなわち、ポンチ210はカッターベース191と面一をなす下降状態にあり、また、ストリッパー300はポンチ210上方の閉位置にある。
【0110】
半田供給装置100に電源が投入され、動作が開始されると、まず送出装置170が作動する。これにより、テープ搬送路Lに沿って半田テープTpが装置前側にあたる図9の右側に一定長送られる(ピッチ送り)。
【0111】
これにより、半田テープTpは、図9の(a)に示すようにダイ195を通過してポンチ上面211に至る。そして、このときには、テープ上方にストリッパー300が位置し、半田テープTpの上方を塞いだ状態となる。
【0112】
半田テープTpが送られると、次にポンチ210の吸引孔213に負圧源を通じて負圧が供給され、ポンチ上面211に吸引力が生ずる。これにより、半田テープTpはポンチ上面211に吸引され、密着状態となる。
【0113】
そして、上記負圧の供給と前後して、モータ280が通電操作され、モータ280の動力が第一の板カム270、及び第二の板カム410に伝達される。これにより、両板カム270、410が図10に示す基準位置から同期して回転を始める。
【0114】
すると、第一の板カム270の回転により、ポンチ210が図10に示す下降位置から上昇を始める。また、第二の板カム410の回転により、リフト装置400が作動して、閉位置にあるストリッパー300を上昇させる(図11参照)。
【0115】
これにより、図9の(b)に示すように、ポンチ上面211の半田テープTpは、ポンチ210により下方から押し上げられてダイ195の切断刃197により切断される。
【0116】
尚、この切断動作中、ポンチ上面211に負圧が生じており、切断対象の半田テープTpを吸着保持している。しかも、半田テープTpの上方にはストリッパー300が位置して半田テープTpの上方を塞いでいる。そのため、図14に示すように、半田テープTpがポンチ210の上面より逃げて切断不良等を起こすことがない。
【0117】
そして、同期回転する両板カム270、410の作用により、その後、ポンチ210は半田テープTpを切断した図9に示す(b)の位置に留まるのに対して、ストリッパー300は図9に示す(b)の位置から更に上昇し、図9の(c)に示すように切断されたポンチ上面211の半田片Uより完全に離間する。
【0118】
かくして、ストリッパー300が半田片Uより完全に離間すると、次に、シリンダ駆動によりスライド装置500が作動する。すなわち、スライダー520が図11に示す位置から装置前側にあたる右方向に移動を始める。これにより、閉位置にあるストリッパー300はポンチ210の上方から装置前側へ移動する。
【0119】
そして、ストリッパー300が、図12に示すケーシング前部の位置に至ると、シリンダの駆動が停止される。
【0120】
その後、両板カム270、410の作用により、ストリッパー300は図12に示す位置に留まるのに対して、ポンチ210は切断した半田片Uを吸引保持した状態を保ちつつ、図12に示す位置から上昇してゆく。
【0121】
ポンチ210は図13に示すように、ポンチ上面211がダイ195の上面とほぼ面一な高さとなったところで、上昇を停止する。これにて半田片Uを、表面実装機10側のヘッドユニット60に受け渡し可能な状態となる。
【0122】
受け渡し動作について説明すると、まず、表面実装機10の各サーボ機構が駆動され、ヘッドユニット60が半田供給装置100の上方に水平移動される。そして、吸着ヘッド63が、図15に示すように供給位置Oにあたるポンチ210の上方に位置したところで、ヘッドユニット60は一時停止される。
【0123】
あとは、供給位置Oの上方に位置する吸着ヘッド63を下降させつつ、下降タイミングを見計らって、ポンチ210側の負圧を切ってやれば、半田片Uの保持が解かれ、半田片Uを取り出し可能となる。
【0124】
従って、後は、保持の解かれた半田片Uを吸着ヘッド63によって吸着し、その状態から吸着ヘッド63を上昇させてやれば、供給位置Oから半田片Uを取り出せる。そして、取り出した半田片Uは、吸着ヘッド63により基板P上に運ばれ、所定位置に実装される。
【0125】
一方、供給位置Oから半田片Uが取り出されると、半田供給装置100側ではカム270、及び復動用のコイルばね245の作用により、上昇位置にあるポンチ210は下降を始め、やがて、図10に示す下降位置に戻る。
【0126】
その後、シリンダ装置が作動して、装置前側にあるストリッパー300を、後方にスライドさせつつ、ポンチ上方の閉位置に復帰させる。そして、ストリッパー300の復帰に続いて、同期回転をしていた両板カム270、410は元の位置、すなわち図10の基準位置に復帰する。かくして、動作前の状態に全て戻る。
【0127】
従って、あとは、送出装置170により半田テープTpを送りつつ、上記した一連のカットサイクル(図9に示す(a)〜(d)のサイクル)を行えば、次の半田片Uが供給位置Oに自動的に供給される。
【0128】
このように、本実施形態の装置であれば、人手を介さず、半田片Uを表面実装機10に完全自動供給することが可能となる。また、半田供給装置100それ自体は、ケーシング110内に全装置を収容してコンパクトな形態となっている。しかも、基台11から簡単に取り外せる(ボルト締めを解いてやるだけでよい)ようになっており、使い勝手がよく商品性に優れる。
【0129】
また、本実施形態の半田供給装置100は、以下に説明する先端位置検出センサ600を搭載しており、半田テープTpの先端位置を検出できるように配慮されている。先端位置検出センサ600は、投光側の光ファイバ610と、受光側の光ファイバ620とからなるファイバセンサであり、半田テープTpが搬送されるテープ搬送路Lの終端寄りの位置に設けられている。
【0130】
具体的には、投光側の光ファイバ610と、受光側の光ファイバ620をテープ搬送路Lを間に挟んで向かい合うように配置して検出光軸Rを形成しており、半田テープPが検出光軸Rを横切ると、検出光軸Rが透過状態から遮光状態に切り替わる。従って、半田テープTpの先端を検出することができる。
【0131】
このような構成であれば、装置が緊急停止するなどして、半田テープTpが予定しない位置で停止等した場合であっても、復旧後、半田テープTpを図16の(a)、(b)に示すように、一旦、検出光軸Rを通過するまで引き戻してやり、その後、改めて半田テープTpを送り直してやれば、半田テープTpの先端位置を正確に特定することが可能となる。
【0132】
従って、半田テープTpを既定量、正確に送出することが可能となり、半田テープTpを一定の幅で正確に切断できる。
【0133】
尚、図15に示す符号700は、バックアップ装置である。かかるバックアップ装置は、吸着ヘッドにより基板Pに部品、半田片Uを実装する実装作業中、基板Pの下面を支えてバックアップするものである。
【0134】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0135】
(1)上記実施形態では、リール130と送出装置170との間に掛渡装置150を設けたが、掛渡装置150を廃止してリール130に巻かれた半田テープTpを送出装置170で直接引き取る構成としてもよい。
【0136】
(2)上記実施形態では、半田供給装置100を表面実装機10の基台11上に設置し、供給される半田片Uを表面実装機10の吸着ヘッド63で直接取り出す例を示した。係る例は、半田供給装置100の使用例の一例であり、例えば、半田片Uを表面実装機10の実装ヘッドに替えて、別種のロボット(例えば、多関節ロボット)で取り出し、何らかの作業をさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の一実施形態に適用された表面実装機の平面図
【図2】ヘッドユニットの支持構造を示す部分拡大図
【図3】半田供給装置の中央断面図
【図4】リールの構成を示す斜視図
【図5】掛渡装置に構成を模試的に表した図
【図6】制御系の構成を示す図
【図7】ポンチの周辺構造を示す斜視図
【図8】図7をC矢印方向から見た図
【図9】半田供給装置によるカットサイクルを模式的に表した図
【図10】初期状態における各装置の関係を示す図
【図11】切断時における各装置の関係を示す図
【図12】ストリッパーのスライド時における各装置の関係を示す図
【図13】半田片の受け渡し時における各装置の関係を示す図
【図14】切断の際、ポンチ上面から半田テープが逃げる様子を示した図
【図15】図1中のD−D線断面図
【図16】先端位置検出センサの検出動作を示す図
【符号の説明】
【0138】
10…表面実装機
11…基台
20…搬送コンベア
60…ヘッドユニット
63…吸着ヘッド(本発明の「実装ヘッド」に相当)
100…半田供給装置
120…リールホルダ
130…リール
150…掛渡装置
151…保持ローラ(本発明の「ローラ群」を構成)
153…保持ローラ(本発明の「ローラ群」を構成)
155…可動ローラ(本発明の「可動テンションローラ」に相当し、「ローラ群」を構成)
170…送出装置
185…光センサ(本発明の「検出装置」に相当)
188…制御装置
195…ダイ
200…切断装置
210…ポンチ
270…第一の板カム
300…ストリッパー(本発明の「閉止部材」に相当)
400…リフト装置
410…第二の板カム
415…同期回転ベルト
500…スライド装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田片を所定の供給位置に供給する半田供給装置であって、
ケーシング内に、
一方向に長いシート状をなす半田テープを巻回したリールと、
前記リールを脱着可能に保持するリールホルダと、
前記リールを通じて供給される半田テープを引き取りつつ、前記ケーシングの上面前部に設定される前記供給位置に向けて水平に送り出す送出装置と、
前記供給位置に送られた半田テープを水平姿勢に保ちつつ、前記供給位置にて下方から押し上げて切断し前記半田片とする切断装置と、を収容してなることを特徴とする半田供給装置。
【請求項2】
前記切断装置を、
前記半田テープが前記供給位置に向かうテープ搬送路の終端において、前記半田テープの上面を押さえるダイと、
前記ダイを通過してダイ先端より前記供給位置に突出した半田テープを、前記供給位置にて下から押し上げて切断するポンチと、から構成したことを特徴とする請求項1に記載の半田供給装置。
【請求項3】
前記ポンチ及び前記ダイの少なくともいずれか一方に、ダイヤモンドライクカーボンコーティングを施したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半田供給装置。
【請求項4】
ポンチ上面に開口し、かつ負圧源に連なる吸引孔をポンチ内に設け、前記ポンチ上面に吸引力を作用させる構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半田供給装置。
【請求項5】
前記ポンチにより前記半田テープを押し上げて切断する切断動作中は、前記負圧源より負圧を供給させて切断対象の半田テープをポンチ上面に吸引保持させる一方、
前記切断動作を完了した後、所定条件の下、前記吸引孔を通じて、前記負圧に替えて正圧を供給することで、切断されたポンチ上面の半田片を廃棄させる構成としたことを特徴とする請求項4に記載の半田供給装置。
【請求項6】
前記ダイを通過して供給位置に突出した半田テープの上方を塞ぐ閉止部材と、
前記閉止部材を、前記ポンチの押し上げ動作に同期させて上昇変位させるリフト装置と、
前記ポンチの押し上げ動作により半田テープが切断された後に、前記閉止部材を平面方向に水平移動させることにより前記供給位置から前記閉止部材を退避させるスライド装置と、を備えることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の半田供給装置。
【請求項7】
モータから伝達される回転方向の動力を上下方向の往復運動に変換して、前記ポンチに前記押し上げ動作を行わせる第一の板カムと、
前記リフト装置を構成する第二の板カムと、
前記第一の板カムの回転軸と前記第二の板カムの回転軸とを掛け渡し、両板カムを同期回転させる同期回転ベルトを備えることを特徴とする請求項6に記載の半田供給装置。
【請求項8】
前記閉止部材に、前記半田テープの上方を塞ぐ閉止面を上下に貫通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半田供給装置。
【請求項9】
前記リールを送り方向に強制回転させて前記半田テープを前記リールから送り出す回転装置と、
前記リールから送出された半田テープを掛け渡す複数のローラ群よりなる掛渡装置と、を備え、前記掛渡装置のローラ群に湾曲状に掛け渡された半田テープを前記送出装置により引き取って、前記供給位置に送出させる構成とすると共に、
前記ローラ群を構成するローラのうち少なくともいずれか一のローラを、他のローラに対し接近或いは離間動作可能であり、かつ前記ローラ群に掛け渡した半田テープに張力を作用させる可動テンションローラとしたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の半田供給装置。
【請求項10】
前記可動テンションローラの移動を上下方向に規制してあることを特徴とする請求項9に記載の半田供給装置。
【請求項11】
前記送出装置によるテープ引き取りに伴う、前記可動テンションローラの上下方向に関する位置変化を検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記リールから送出される半田テープの送出量を前記回転装置を介して制御する制御装置とを備え、前記可動テンションローラの上下方向に関する位置がほぼ一定となるように制御する制御系を構築してあることを特徴とする請求項10に記載の半田供給装置。
【請求項12】
前記半田テープが前記供給位置に向かうテープ搬送路上に、前記半田テープの先端位置を検出する先端位置検出センサを設けたことを特徴とする請求項2ないし請求項11のいずれか一項に記載の半田供給装置。
【請求項13】
水平移動可能とされ、かつ昇降動作により部品、半田片を取り出す実装ヘッドを基台上に設けてなる表面実装機であって、
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の半田供給装置を前記基台上に、前記供給位置が前記実装ヘッドの移動領域内に収まるように配置したことを特徴とする表面実装機。
【請求項14】
前記吸引孔を通じて負圧を供給することによりポンチ上面に吸引力を生じさせ、前記半田テープを前記ポンチの上面に密着させた状態で同半田テープを前記ポンチにより切断する構成であると共に、切断された半田片を前記実装ヘッドが取り出すタイミングに合わせて、前記負圧の供給を停止させる構成としたことを特徴とする請求項13に記載の表面実装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−288334(P2008−288334A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130908(P2007−130908)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】