説明

単層及び多層マイクロカプセルの製造方法

本発明は、局所適用のための活性成分をマイクロカプセル化する方法を提供し、それによって単層及び多層、好ましくは二層のマイクロカプセルが得られる。本マイクロカプセルは、活性成分を保護し、方法の実施、製剤及び貯蔵を通じてその元の活性を維持し、皮膚に適用されたときにのみ活性成分の制御された放出を可能にする。本マイクロカプセルは、カプセル化された活性成分で作られた核及び1つ又は複数の同じ若しくは異なる壁形成ポリマーの殻からなる。本発明のマイクロカプセル化方法は、溶媒除去法に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所適用のための生物活性を有する作用物質、臭気剤及び着色剤などの活性成分のマイクロカプセル化の方法に関する。提供される方法によって得られるマイクロカプセルは、カプセル化された作用物質の元の活性を維持し、局所的に適用されたときに活性成分の制御された放出を可能にする、単層又は多層、好ましくは二層マイクロカプセルである。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化の技術は、反応性物質を、与えられた機能を発揮することが必要になるまで不活性な状態に維持することの必要性が増しているという観点で、近年かなりの注目の対象となってきた。マイクロカプセル化はいくつかの利点を提供するが、最もきわだつのは、敏感な物質を化学的及び物理的分解から保護する、互いに接触すると有害な物質の分離を可能にする、物質本来の臭気、色又は味をマスキングする、物質の分散性を抑制する、及びカプセル化された物質のそれが包含されている製剤への望ましくない放出を防ぐというマイクロカプセルの能力である。
【0003】
マイクロカプセルは、普通は、カプセル化された(封入された)物質を収容している球状粒子からなる粉末形態で入手可能である。球状粒子は普通、ポリマー殻及び殻の内部に入れられたカプセル化された物質からなる。ポリマー殻はしばしば壁形成材料として使用されカプセル化された物質のための皮膜として働く。この皮膜は半透性又は分解性であることができて、それ故にマイクロカプセルが制御された放出用途のための効果的な手段となることを可能にする。
【0004】
マイクロカプセル化自体はさまざまな利点を有する。マイクロカプセルは、敏感な物質を分解過程から保護し、また所望の活性物質の制御された放出のための手段を提供する。これはまた、液体の粉末への転換を可能にし、カプセル化しなければ互いに接触したときには有害な物質を隔離する。
【0005】
カプセル化される物質の性質及び使用するポリマーの種類に応じて、多くのマイクロカプセル化技法が利用できる。ある種のビタミン、薬物及び油などの水に不溶性の物質を、水に不溶性のポリマー中にカプセル化するための広く使用されている方法は、溶媒除去法である。一般的にこうした方法においては、所望のポリマーを適当な有機溶媒中に溶解させる。この作業に続いてカプセル化を所望する物質を加える。この物質は、有機溶媒中に溶解させるか又は分散させる。得られた有機溶液又は分散液を、水相中に分散させて、油性微粒子が水相中に分散した水中油滴型エマルジョンを得る。溶媒が微粒子から完全に除去されるとマイクロカプセルが形成される。
【0006】
いくつかの特許が溶媒を除去する方法を記載している。米国特許第4,384,975号は、真空蒸留による溶媒の除去を記載している。英国特許第1,394,780号では、溶媒の除去は蒸発によって行われる。米国特許第3,891,570号では、ポリマー溶媒の除去は、水性分散液の加熱又はその圧力を下げることによって行われる。米国特許第3,737,337号では、有機溶媒の除去は、水による抽出で行われるが、これはある種の溶媒系に限定される。
【0007】
マイクロカプセル化は、この方法が溶媒及び/又はポリマーを変えることによって容易に適合可能であるので、薬物、ビタミン及び食品補助剤を含む幅広くさまざまな材料に対して適当である。一部のマイクロカプセル化技術は、所望の寸法、球の形状及び滑らかな表面−制御された放出、中核材料の化学的安定性、安定な活性物質の標的領域への均一な送達のために重要な性質−を有するマイクロカプセルをもたらすことができる。
【0008】
この方法に関する基本的な必要条件は、カプセル化される生物活性物質及び壁形成材料を同様に効率的に溶解する能力を有する溶媒の使用である。この溶媒は部分的にだけ水溶性でなければならず、有機相の連続水相中への乳化を起こさせる。ジクロロメタン及びクロロホルムなどの塩素化溶媒並びにグリコール又はこれらの混合物が、マイクロカプセル化工程を促進させるので、幅広く使用されてきた。
【0009】
しかし、塩素化溶媒などの溶媒系に基づくすべてのマイクロカプセル化技術は、これらの溶媒がマイクロカプセル中の塩素化溶媒の残留量の存在のためにFDAの規制及び他の規制に合わないので、食品、化粧品、医薬品、歯科及び口腔用製品に対しては適用できず、且つまったく不適切である。単純な真空乾燥又は加熱乾燥はFDA規制を満たすような十分に低い塩素化溶媒含有量をもたらさず、それ故に溶媒除去技法によってビタミン、食品補助剤、油又は医薬品をカプセル化する方法の根本的な必要性を創り出している。
【0010】
米国特許第6,599,627号は、医薬品の単一壁マイクロカプセルを得るための溶媒交換法を開示している。記載されている方法は、水性薬物核の周囲に生物分解性のポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)殻を形成するための、水及び非塩素化有機溶媒、例えば酢酸、酢酸エチル、酢酸メチル、又はギ酸エチルなどの交換に基づいている。これらの溶媒はすべてFDA規制を満たす。
【0011】
同じ出願人の国際公開01/35933は、非塩素化溶媒を使用する溶媒除去法による、諸物質のマイクロカプセル化の方法を開示している。
【0012】
揮発性有機溶媒の場合に、溶媒除去法又は噴霧乾燥技法を適用しないさまざまな被覆方法によって、複壁のマイクロスフェア及びマイクロカプセルを得る技法を開示している特許はほとんどない。米国特許第3,429,827号は、噴霧乾燥又は界面凝縮法によって内部のマイクロカプセルを第2のポリマー殻で被覆することを記載している。米国特許第4,861,627号は、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(乳酸)、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリウレタン、及びコポリマー類から選択される2つ又は3つの互いに相手の中には溶解しないが揮発性有機溶媒中には溶解するポリマーの混合物から、複壁マイクロスフェアを調製する単一段階の方法を記載している。この混合物は水溶液中に懸濁させ、揮発性溶媒のゆっくりした噴霧乾燥がこれに続いて、1つのポリマーによって形成された内核及び第2のポリマーによって形成された外層を有するマイクロスフェアを創る。米国特許第5,985,354号、第6,511,749号及び第6,528,035号は、特定の濃度及び温度において互いの中には不溶性であるが、溶液では正の拡張係数を有する親水性、水溶性ポリマーからの、同様の技法による複数壁ポリマーマイクロスフェアの調製を開示している。米国特許第5,795,570号は、アルギン酸アルカリ金属塩などの多糖類ガムから作られ、核マイクロカプセルを含む第2の半透性膜の形成を記載している。より詳しくは、米国公開第2003/022378号は、界面重合法を用いて比較的低い殻透過性を有する二重殻マイクロカプセルを形成させる、一連のパラフィン化合物のマイクロカプセル化を開示している。この内側の殻はポリ(プロピレングリコール)と二官能性ポリイソシアネートの間の反応によって形成され、外側の殻は二官能性ポリイソシアネートと連続水相に加えられたポリアミドの間の反応によって形成される。
【0013】
要約すると、当技術分野で知られている方法のどれも、増え続けているカプセル化された物質の酸化及び/又は分解に対する考慮に値する防護因子を求める市場の要求並びにカプセル化された物質の放出を制御する能力を求める市場の要求を満たさない。それ故に、活性物質の安定なカプセル化の進歩した方法であって、同時にマイクロカプセルからの放出の制御を提供する方法に対する必要性が依然としてある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の1つの目的は、局所適用のためのマイクロカプセルの製造方法であって、このマイクロカプセルがカプセル化された物質の核及び1つ又は複数の外側ポリマー殻からなる方法を提供することである。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、局所適用のためのマイクロカプセルであって、その中で内核中のカプセル化された活性成分がマイクロカプセルの調製、マイクロカプセルの製剤中への組込み及び貯蔵を通じて安定である、マイクロカプセルを提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、寸法及び形状が相似であり、すべての種類の製剤中に均一に分散される、局所適用のためのマイクロカプセルを提供することである。
【0017】
本発明の他の1つの目的は、皮膚/頭皮に適用されたときにのみ活性成分の高含有量を送達する最適の制御放出系を有する、局所適用のためのマイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態において、本発明は、マイクロカプセルがカプセル化された活性成分で作られた核及びポリマー−可塑剤外殻から成り、前記ポリマーが壁形成ポリマーである、局所適用のための単層マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0019】
他の一実施形態において、本発明は、マイクロカプセルが壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を含有する内核マイクロカプセル及び内核マイクロカプセルを被覆している同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つ又は複数の外殻からなる、局所適用のためのマイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明は、二層マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の方法の1つの利点は、その普遍的な用途にあり、すなわち、この技術は化粧品工業及び医薬品工業において有用な分解性の油溶性化合物及び油分散性化合物のカプセル化並びに安定化のために適用することができる。
【0022】
本発明に係るカプセル化のための活性成分は、有機又は無機で、天然又は合成の物質、ビタミン、天然抽出物、精油、合成的に調製された又は天然源から単離された個々の化合物、顔料、芳香剤、臭気剤、着色剤及び天然及び合成の揮発性化合物などでよいが、これらだけには限定されない。
【0023】
本発明の方法は、分解に対して高度に敏感な物質の安定性を増大し、物質の本来の色又は望ましくない臭気を隠すことができ、カプセル化された物質のそれを包含している製剤中への望ましくない放出を防ぐ。
【0024】
本発明はまた、本発明の方法によって得られる単層、二層及び多層マイクロカプセル、並びに前記マイクロカプセルを含むスキンケア、皮膚用補助剤、ヘアケア、日光ケア、ベビーケア、口腔衛生及び口腔ケア用の局所適用のための組成物に加えて前記マイクロカプセルを含む局所適用のための薬剤組成物をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書で使用する「マイクロカプセル」という用語は、壁形成材料として働くポリマーの殻及びこの殻の内部に入れられたカプセル化された活性物質からなる球状微粒子のことを言うものである。この用語はポリマー中に分散された活性物質の均質な球状粒子からなるマイクロスフェアとは異なり、厳密な意味では、球状で中空の粒子である。
【0026】
「単層マイクロカプセル」という用語は、単一のポリマー殻及びマイクロカプセルの中心で殻の内部に入れられてカプセル化された活性物質からなるマイクロカプセルのことを言うものである。
【0027】
「内核マイクロカプセル」という用語は、二層又は多層マイクロカプセルの内部にある場合の上記で定義された単層マイクロカプセルのことを言うものである。
【0028】
「多層マイクロカプセル」という用語は、内核マイクロカプセル及び1つ又は複数のポリマー外殻からなるマイクロカプセルのことを言うものである。「二層マイクロカプセル」という用語は、第2のポリマー殻で被覆された内核マイクロカプセルからなるマイクロカプセルのことを言うものである。マイクロカプセル化の方法においては、核マイクロカプセルをポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物(mineral)分散液に導入して、「胚」殻の形成を促進し、それを構造化された二層マイクロカプセルの固形殻に転化させる。
【0029】
「壁形成ポリマー」という用語は、通常は本明細書で規定される1つのポリマー又は2つ以上の異なるポリマーの組み合わせであって、マイクロカプセルの外壁すなわち外層すなわち外殻の構成材料を形成するものを指す。
【0030】
「ポリマー殻」という用語は、壁形成ポリマー及び場合によりさらに可塑剤及び/又は鉱物などの成分を含むポリマー層のことを言うものである。「ポリマー−可塑剤殻」という用語は、可塑剤を含有するポリマー殻のことを言うものである。「ポリマー−鉱物殻」という用語は、鉱物を含有するポリマー殻のことを言うものである。
【0031】
「複合二層又は複合多層マイクロカプセル」という用語は、その内殻又は外殻がポリマー−鉱物殻であるマイクロカプセルのことを言うものである。
【0032】
「粉末処理(され)修飾(された)核マイクロカプセル」という用語は、マイクロカプセルの表面の形態を修飾して、マイクロカプセルの外殻の比表面積(SSA)を、次のポリマー−可塑剤殻又はポリマー−鉱物殻の前記修飾された外殻上への堆積が、2つの殻の間の接着の増加によって可能になる程度まで増加させることができる材料で処理された内核マイクロカプセル又は二層マイクロカプセル又は多層マイクロカプセルのことを言うものである。
【0033】
「部分的に水に混和可能な」という用語は、有機溶媒に言及する場合は、ある特定の極限値を下回る濃度では水中に溶解することができるが、その濃度がある特定の極限値を上回って増加すると相分離を生じて水及び有機溶媒は2つの異なる相を形成する性質に関するものと解釈しなければならない。そのような有機溶媒の例は酢酸エチル又はギ酸エチルである。
【0034】
「飽和させた」という用語は、有機溶媒をほぼ前記極限値又はわずかにそれを下回る濃度で有機溶媒を含有する溶液に関するものと解釈しなければならない。すなわち、飽和溶液は、相分離が起こる前の最大濃度に近い濃度の有機溶媒を含有する。しかし、「飽和させた」という用語は、時には極限濃度の90%未満、時には約80%を含有する溶液でさえ本発明の目的のためには飽和させたと考えることができるという点で、限定的な解釈の仕方をするべきではない。段階(b)で使用する乳化剤は、初めから水性溶液中に溶解していてもよく、又は水性溶液中に、有機溶液をこれと混合するのと同時に若しくはその後で、加えることができる。
【0035】
「撹拌」という用語は、あおること、しんとうすること、振動させること、及び一般的にはそれによって力学的エネルギーを液体に移動させて液体中に何らかのかく乱を生じさせる任意の方法のことを言うものである。
【0036】
「活性成分」又は「活性物質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、内核マイクロカプセルの内部に入れられる材料のことを言うものであり、この材料は、生物活性を有する1つ又は複数の作用物質、臭気剤又は着色剤を含み、酸化防止剤、可塑剤、キャリアなどの不活性成分を含むこともある。
【0037】
本明細書で使用する「局所適用」という用語は、皮膚、粘膜、歯、頭皮の外部への適用のことを言うものである。「局所適用のための組成物」という用語には、軟膏、ペースト、クリーム又はローションなどの任意の形態でスキンケア、皮膚用補助剤、日光ケア、ベビーケア、ヘアケア、口腔衛生(例えば、歯磨きペースト、口腔洗浄)用を意図された組成物、局所適用のための薬剤組成物及び同様の組成物が含まれる。
【0038】
本発明のマイクロカプセル化方法は、溶媒除去法に基づいている。
【0039】
一態様において、本発明はマイクロカプセルがカプセル化された活性成分で作られた核及び同じ若しくは異なる壁形成ポリマーの1つ又は複数の殻からなる局所適用のためのマイクロカプセルの製造方法に関し、前記方法は
(a)活性成分を、場合により酸化防止剤、可塑剤又は両方と一緒に、部分的に水と混和性であり、且つ前記物質を、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、ポリ(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−co−(メチルメタクリレート)(1:2:1)、ポリ(スチレン)−co−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミドのコポリマー、セルロースエーテル、セルロースエステル及びポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される壁形成ポリマーと一緒に溶解又は分散させる能力を有する種類の有機溶媒中に溶解又は分散させて有機の溶液又は分散液を形成させる段階と、
(b)前記有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(c)撹拌しながら段階(a)で得た有機の溶液又は分散液を段階(b)で得た水性連続相中に注ぎ入れてエマルジョンを形成させる段階と、
(d)段階(c)で得たエマルジョンに過剰量の水を加えてエマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始し、溶媒のさらなる抽出及び固形のマイクロカプセル(本明細書では以後「核マイクロカプセル」)の形成のために場合によりインキュベートする段階と、
(e)(i)核マイクロカプセルを分離し、水で洗浄して乾燥する段階、又は(ii)核マイクロカプセルをアルコールの水溶液中に浸漬し、核マイクロカプセルを分離して乾燥する段階のいずれか一方を行って単層マイクロカプセルを得る段階と、
(f)所望により、段階(e)で得た核単層マイクロカプセルの表面を、核表面の形態を修飾し、比表面積を増加させ、且つさらに1層のポリマー殻の接着を促進させる材料で処理する段階と
段階(a)から(e)を繰り返して二層マイクロカプセルを形成させるか、又は段階(a)から(f)を繰り返してさらに2つ以上の層を核マイクロカプセルの周囲に付け加えてそれによって多層マイクロカプセルを得る段階
を含む。
【0040】
この方法を段階(e)で止める場合には、国際公開01/35933に記載されている通り単層マイクロカプセルが得られる。これらの単層マイクロカプセルは、本発明の部分ではない。段階(a)で可塑剤を加える場合には、得られる単層マイクロカプセルは、ポリマー−可塑剤外殻を有し、これらの単層マイクロカプセルは本発明によって包含される。
【0041】
本発明の単層マイクロカプセルは、ビタミン、油、天然抽出物、精油、顔料及び着色料などの着色剤、香味料などの臭気剤、及び抗生物質などの局所適用のための医薬物質などの活性成分を効果的に保護することができる。
【0042】
一実施形態において、単層マイクロカプセルの活性成分は、月見草油、ルリヂサ油、(ヒッポファエ油としても知られている)シーバックソーン油及びティーツリー油などの植物油又はハーブ油である。
【0043】
他の一実施形態において、単層マイクロカプセルの活性成分は、これらだけには限定されないがエリスロマイシン、クラリスロマイシン及びアジスロマイシンから選択されるマクロライド系抗生物質などの抗生物質である。
【0044】
本発明は、壁形成ポリマーがエチルセルロースであり、活性成分がパルミチン酸レチノール若しくはトコフェロールなどのビタミン又はヒッポファエ油若しくはティーツリー油などの植物油であり、本発明の方法によって得られるポリマー−可塑剤外殻を有する口腔衛生用単層マイクロカプセルをも提供する。
【0045】
本発明のマイクロカプセルは、不安定及び/又は揮発性物質の保護並びに色及び悪臭のマスキングに有効である。単層マイクロカプセルによる保護/マスキングの有効性は、マイクロカプセル化された活性成分の化学的構造、分子量及び物理的性質に依存する。局所的組成物に用いられる一部の活性物質に対しては、単層マイクロカプセル化の知られている方法は、適切な分解からの保護及び/又はマスキング効果を提供しない。そうした活性成分については、カプセル化の目的物質の有効な保護及び/又は元の臭気/色のマスキングを得るためには二層又は多層マイクロカプセル化が必要になることがある。
【0046】
それ故に、他の一態様において、本発明は、活性物質を壁形成ポリマー殻の内部に含む内核マイクロカプセル及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つ又は複数の外殻からなる、局所適用のための多層マイクロカプセルの製造方法に関する。
【0047】
一般に、本発明によって多層マイクロカプセルを調製する方法は、
(i)1つ又は複数の適切な壁形成ポリマーを使用して、単層マイクロカプセルに関する上記の溶媒除去方法によって内核マイクロカプセルを調製する段階と、
(ii)前記核マイクロカプセルの表面を、核マイクロカプセル表面の形態を修飾してその比表面積を増大させる材料で処理して、次のポリマー層の接着を促進させる粉末処理され修飾された内核マイクロカプセルを得る段階と、
(iii)段階(ii)で得た粉末処理され修飾された内核マイクロカプセルを、ポリマー−可塑剤殻で被覆して二層マイクロカプセルを得るか、又はポリマー−鉱物殻で被覆して複合二層マイクロカプセルを得るかして、二層マイクロカプセルを調製する段階と、
(iv)段階(ii)及び(iii)を繰り返して、核マイクロカプセルの周囲に所望の層の数に従ってさらなる層を形成する段階と
の4つの主要な段階からなる。
【0048】
それ故に、一実施形態において、本発明は、マイクロカプセルが壁形成ポリマー殻の内部に入れられた活性成分を含有する内核マイクロカプセル及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーでできた1つ又は複数の外殻からなる、局所適用のための多層マイクロカプセルの製造方法に関し、その方法は、
(a)活性成分を、場合により酸化防止剤、可塑剤又は両方と一緒に、水と部分的に混和性であり、且つ前記物質をポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、ポリ(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−co−(メチルメタクリレート)(1:2:1)、ポリ(スチレン)−co−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミドのコポリマー、セルロースエーテル、セルロースエステル及びポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される壁形成ポリマーと一緒に溶解又は分散させる能力を有する種類の有機溶媒中に溶解又は分散させて有機の溶液又は分散液を形成させる段階と、
(b)前記有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(c)撹拌しながら段階(a)で得た有機の溶液又は分散液を段階(b)で得た水性連続相中に注ぎ入れてエマルジョンを形成させる段階と、
(d)段階(c)で得たエマルジョンに過剰量の水を加えてエマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始し、溶媒のさらなる抽出及び固形のマイクロカプセル(本明細書では以後「内核マイクロカプセル」)の形成のために場合によりインキュベートする段階と、
(e)(i)内核マイクロカプセルを分離し、水で洗浄して乾燥する段階、又は(ii)内核マイクロカプセルをアルコールの水溶液中に浸漬し、核マイクロカプセルを分離して乾燥する段階のいずれか一方と、
(f)段階(e)で得た乾燥された内核マイクロカプセルの表面を、表面の形態を修飾し、比表面積を増加させ、且つさらなるポリマー殻の接着を促進させる材料で処理して、前記材料で粉末処理されたマイクロカプセル(本明細書において以後「粉末処理修飾内核」)を得る段階と、
(g)壁形成ポリマーを可塑剤又は鉱物と一緒に部分的に水と混和性である種類の有機溶媒中に溶解又は分散させてポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物分散液を形成させる段階と、
(h)前記有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(i)撹拌しながら段階(g)で得たポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物分散液を段階(h)で得た水性連続相中へ注ぎ入れてポリマー−可塑剤エマルジョン又はポリマー−鉱物サスポエマルジョン(suspo−emulsion)を形成させる段階と、
(j)撹拌しながら段階(f)で得た粉末処理修飾内核を段階(i)で得たポリマー−可塑剤のエマルジョン又はポリマー−鉱物のサスポエマルジョン中に浸漬して、多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを形成させ、前記核マイクロカプセルの周囲で「胚」殻の形成が開始される段階と、
(k)撹拌しながら(i)段階(j)で得た多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンに過剰量の水を加えること、又は(ii)段階(j)で得た多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを水中に注ぎ入れることのいずれかを行い、さらに前記多成分エマルジョン又はサスポエマルジョンからの有機溶媒の抽出、及び「胚」殻の固形ポリマー壁への転化並びに二層マイクロカプセルの形成のために系をインキュベートする段階と、
(l)得られた二層マイクロカプセルを水から分離し、濡れたカプセルを乾燥し、それによって二層マイクロカプセルを流動性のよい(free flowing)粉末として分離する段階と、
(m)所望により、段階(f)〜(l)を繰り返して二層マイクロカプセルの周囲にさらに1層又は複数の層を形成させ、それによって多層マイクロカプセルを得る段階と
を含む。
【0049】
本発明の方法の段階(a)では、活性成分及び壁形成材料を溶解又は分散させる能力を有する有機溶媒を選択する。この溶媒は、溶解された材料とは不活性であり、酢酸エチル、エタノール、ギ酸エチル若しくは他のFDAによって承認されている適切な溶媒又はこれらの混合物などのさまざまな溶媒から選択することができる。好ましい実施形態では、溶媒は酢酸エチル又はそのエタノールとの混合物である。
【0050】
本方法によってカプセル化される活性物質は、固体でも液体でも、有機溶媒中に溶解又は分散させて有機溶液又は分散液を形成させる。必要とあれば(すなわち、活性物質が酸化に敏感であれば)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、又はこれらの混合物などの酸化防止剤をこの段階で加えて活性物質と共にカプセル化することができる。
【0051】
最終マイクロカプセルの物理的性質及び弾力性のレベルを制御するためには、この段階でトリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン油、又はこれらの混合物などの可塑剤をも加えることが好ましい実施形態である。
【0052】
段階(a)で規定した前記ポリマーの1つ又は複数から成ればよい壁形成材料は、溶解及び/又は分散させて有機溶液/分散液とする。好ましい実施形態においては、壁形成ポリマーはエチルセルロース、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、又はこれらの混合物である。
【0053】
段階(b)では、水性連続相は第1段階で使用した同じ有機溶媒又は異なる有機溶媒(又は溶媒の混合物)によって飽和されている。適切な乳化剤が水性相に加えられる。かかる乳化剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル燐酸塩、トゥイーン80などのエトキシ化ソルベート、ポリグリセリン及びポリ(エチレングリコール)、並びにこれらのエステル及びエーテル、又はこれらの混合物から選択することができる。前記加えられた乳化剤は、それが次の段階で有機溶媒を加えられた後で水から分離しないような方法で選択され系に適合されなければならない。水性層のpHを活性物質及び溶媒の性質によって厳密に調節することが望ましい。
【0054】
段階(c)では、第1段階で得た活性物質及び壁形成材料を含む有機溶液/分散液を、第1段階で使用した有機溶媒で飽和している水性連続相中に注ぎ入れてエマルジョンを形成させる。注入は撹拌しながら行い、撹拌は以後の時間中続ける。撹拌の速度、撹拌機の種類、及びその継続時間は、他の因子の中でもとりわけ形成される液滴の寸法に影響する。形成される液滴の寸法はマイクロカプセルの最終寸法の基礎を構成する。それは1〜300ミクロンであればよく、マイクロカプセルの意図される使用によって制御し且つ調整することができ、例えば、好ましくは局所適用のためには約20〜40ミクロン、歯科用途のためには10〜20ミクロンである。形成される液滴の寸法に関与する他の因子は、水相と有機相の比率、温度、乳化剤の量及び種類である。
【0055】
段階(d)では、有機溶媒を抽出するために水を前の段階で形成されたエマルジョンに加える。好ましくは、加える水の量は混合物中の有機溶媒の全量よりも10〜30倍多い。有機溶媒の最適な除去のために最も好ましい比は、20:1(水:溶媒、容積/容積)である。水の添加に続いて、混合物をインキュベートし、混合物を有機溶媒の大部分の量が水中に抽出されて平衡に達するまで数分間撹拌する。通常、平衡に達するには3〜10分間乃至15分間かかる。有機溶媒が徐々に除去されると、エマルジョンの液滴の周囲に固形のポリマー殻が形成され、そのようにして、得られた溶媒系(痕跡(trace)の有機溶媒を有する水)に不溶なすべての成分(活性物質、酸化防止剤、可塑剤)を、形成された固形の核マイクロカプセルの内部に包み込む。形成されたマイクロカプセルは沈降、ろ過又は遠心分離によって分離し、続いて水で洗浄して乾燥する(段階e)。
【0056】
局所用/歯科用製品のための原料中の酢酸エチル及び類似の溶媒の残留物は、関連規制(FDA、Colipa、CTFAなど)を満たすはずである。得られたマイクロカプセルから有機溶媒の痕跡量を限定されたレベルまで除去することは必要である。痕跡量の溶媒を除去するために、本発明は有効な抽出技法を提供する。二者択一の段階(e)で規定した通り、ろ過後に得られるマイクロカプセルは、エタノールの5%水溶液に2〜12時間浸漬し、それによって有機溶媒の痕跡がマイクロカプセルから抽出されるようにすることができる。
【0057】
段階(f)では、乾燥内核マイクロカプセルを、核マイクロカプセルの表面を修飾し、その形態を変化させ、比表面積(SSA)を増大する(少なくとも1.5倍だけ)材料、例えば、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、ケイ酸マグネシウムで処理して粉末処理修飾内核マイクロカプセルを得る。内核マイクロカプセルの修飾された表面はその接着性を高め、それはこの段階での次の層の形成のために適している。
【0058】
段階(g)では、次のポリマー層(本明細書では「ポリマー−可塑剤殻」と表示する)のための壁形成ポリマー−可塑剤材料を、同じ段階(a)の壁形成ポリマー又は異なる壁形成ポリマーを(上記段階(a)で規定されたものと同じ又は異なる)可塑剤と共に水と部分的に混和性の酢酸エチル及びそのエタノールとの混合物などの有機溶媒中に溶解又は分散させることによって調製する。この段階で、ポリマー−可塑剤溶液に酸化防止剤を添加してもよい。
【0059】
別の1つの方法では、段階(g)において、次のポリマー層のための壁形成ポリマー−鉱物材料(本明細書では「ポリマー−鉱物殻」と表示する)を、同じ段階(a)の壁形成ポリマー又は異なる壁形成ポリマーを、窒化ホウ素のα改変などの方法に適合する少なくとも1つの鉱物、ケイ酸マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ヒドロアルモケイ酸マグネシウム、マイカ(及び)ミリスチン酸マグネシウム、又は好ましくは鉱物形態がアナターゼ、ルチル、ブルーカイトのいずれか、若しくはこれらの混合物である二酸化チタン、又は二酸化チタン(及び)ミリスチン酸マグネシウムと共に、上記で規定した有機溶媒中に溶解又は分散させることによって調製する。鉱物を加える前に、可塑剤及び/又はTween−80などの乳化剤をポリマー溶液に加えることができる。
【0060】
段階(h)は、段階(b)の繰り返しであり、ここでは水性連続相が段階(g)で使用した同じ有機溶媒(又は溶媒の混合物)によって飽和され、且つ適切な乳化剤、例えば、PVA、を水性相に加える。
【0061】
段階(i)は、段階(c)の繰り返しであり、ここでは段階(g)で得たポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物分散液を、撹拌しながら乳化剤(及び、活性成分が酸化に対して敏感な場合は、酸化防止剤)の存在下で、段階(h)の水性連続相中に注ぎ入れて、それぞれポリマー−可塑剤エマルジョン又はポリマー−鉱物サスポエマルジョンを形成させる。
【0062】
段階(j)では、段階(f)の粉末処理された核マイクロカプセルを、段階(i)のポリマー−可塑剤エマルジョン又はポリマー−鉱物サスポエマルジョン中に浸漬して、それぞれ多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを形成させ、それによって核マイクロカプセルの周囲で「胚」殻の形成が開始される。
【0063】
段階(k)では、撹拌しながら、過剰量の水を前の段階で得た多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンに加えるか、或いは多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを、乳化剤、好ましくはPVA、を場合により含有している水の中に注ぎ入れて、前記多成分エマルジョン又はサスポエマルジョンから有機溶媒を抽出する。好ましくは、水の量は有機溶媒の全量と比較して10〜30倍である。この段階は、溶媒の抽出及び「胚」殻の核マイクロカプセル周囲の固形ポリマー壁への転化によるマイクロカプセルの形成のために、撹拌及びインキュベーションの下で行い、こうして二層マイクロカプセルを得る。インキュベーションの時間は、得られるマイクロカプセルの望ましい寸法に依存する。
【0064】
次いで二層マイクロカプセルは、有機溶媒の残留量を除去するためにエタノールの水溶液中に浸漬し(上記段階(e)の通り)、例えば沈降、ろ過又は遠心分離によって水から分離して乾燥する。乾燥の前に、所望により、やはり溶媒の痕跡を除去するために、マイクロカプセルを水及び/又は水−エタノール溶液で洗浄してもよい。この目的のためには、ろ過後の最終マイクロカプセルをエタノールの5%水溶液中に2〜12時間浸漬する。
【0065】
こうして二層マイクロカプセルが得られる。さらに多くの層が所望であれば、段階(f)〜(l)に記載した通り、これらのマイクロカプセルにポリマーの接着を高めることを目的とする特定の表面処理を施し、次いでさらに1つ又は複数の外殻で被覆する。外殻は通常核単層マイクロカプセルと比較して多孔性が少なくより滑らかな球状の表面を有し、それ故にカプセル化された活性物質に対してより良好な保護を提供する。この系は、マイクロカプセルを皮膚、頭皮、歯又は歯肉に押し付けてこすったときにのみ、カプセル化された作用物質の制御された放出を可能にする。
【0066】
本発明によれば、カプセル化される活性成分は、生物活性を有する作用物質、臭気剤又は着色料でよい。
【0067】
生物活性を有する作用物質は、ビタミン、天然抽出物、天然源から分離された個々の化合物、精油、及び局所適用のための医薬物質でよい。
【0068】
本発明によってカプセル化することができるビタミンには、ビタミンA、B、C、D、E、F、K、P、又はこれらの混合物が含まれる。
【0069】
一実施形態において、ビタミンは、ビタミンAであり、レチノールとして遊離の形態又はパルミチン酸レチノールとしてエステル形態のどちらかである。このビタミンの最も使いやすい形態は、体内における活性形態であるレチノールである。レチノールは栄養因子として及び局所用/歯科用製品の活性成分としても使用される酸化防止ビタミンである。ビタミンAの1IU(国際単位)(米国局方単位と等価)は、全トランスレチノール0.3μgである。尋常性魚鱗癬(皮膚の角化によって特徴付けられる先天性皮膚障害)及び尋常性挫創の局所的治療のため並びに老化防止製剤及び若返り製剤中で使用することができる。しかし、レチノール(不飽和アルコール)は小さく不安定な分子であり、他の分子と化学反応する高い潜在能力のために化学的分解/酸化を受けるので、組成物中で活性成分として使用する前に安定化させなければならない。レチノールの有益な効果を享受し、且つ局所用/歯科用組成物に必要とされる保存期間を達成するためには、この活性成分を酸化から保護しなければならない。適切な殻を用いる本発明の単層又は二層カプセル化方法によるレチノールのカプセル化は、その安定化と保護のための有効な解決策を提供する。本発明のレチノールマイクロカプセルは、あらゆる種類の局所用/歯科用製剤に適合し、且つ、これらだけに限定はされないが、歯科用製品、老化防止製品(クリーム、ローション、セラム及びマスク)、皮膚再生製剤、栄養クリーム及び保湿クリーム並びににきび防止製品を含むさまざまな用途で使用することができる。
【0070】
他の一実施形態において、ビタミンは、近年化粧品の活性成分として使用されているビタミンC(アスコルビン酸)である。これは、その抗酸化性の故に、皮膚にフリーラジカルの攻撃及び紫外線損傷に対する酸化防止剤及び光防護を与えると考えられている。しかし、ビタミンCは容易に酸化され、貯蔵や、光、酸素、水分及び/又は高温への露出によって急速に分解される。これは水溶液中では、中性のpH及び室温においてさえ不安定である。本発明によるビタミンCのマイクロカプセル化は、保湿クリーム、老化防止クリーム、しわ防止クリーム、日焼け止めクリームとして使用される化粧品及びコラーゲン生成の促進のための化粧品中の活性成分としてのこれの使用を可能にする。
【0071】
他の一実施形態において、ビタミンは、好ましくはα−トコフェロールとしての、ビタミンEである。トコフェロール(ビタミンE)は、ビタミンEを最も幅広く消費されるビタミンの1つとしているそれらの抗酸化性で周知である。しかし、エステル形態のビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)は、製剤に対する抗酸化剤としてのみ有効であり、皮膚に対しては有効ではない。皮膚に対する抗酸化剤として有効であるためには、α−トコフェロールを使用しなければならないが、これは本質的に不安定である。本発明のマイクロカプセルは、好ましくは安定なα−トコフェロール25±1%を含み、日焼け止め製品、シャンプー、コンディショナー、ヘアジェル、液体メイクアップ及びメイクアップ組織リムーバーなどのさまざまな種類の化粧品製剤中で使用することができ、適用されるとビタミンEの約95〜97%を直接皮膚/頭皮に放出する。
【0072】
他の一実施形態において、ビタミンは、皮膚の健康及び機能性のために必須の不飽和脂肪酸の混合物であり、必須脂肪酸(EFA;リノール酸及びα−リノレン酸)としても知られているビタミンFである。ビタミンFは、化粧品製剤中に組み込まれると急速に酸化する。本発明によるマイクロカプセル化は、保湿クリーム、老化防止剤、乾燥防止セラムへの組込みに適当なビタミンFの安定、活性及び無臭の系を提供する。本発明のマイクロカプセルは、好ましくは安定した14±0.2%のリノレン及びリノール遊離脂肪酸α−トコフェロールを含有する。
【0073】
他の一実施形態において、ビタミンは、抗酸化剤及びフリーラジカルスカベンジャーとして並びにコラーゲン合成の架橋を制御する能力の故にセルライトの治療において高度に有効な、最も活性な天然フラボノイドの1つ、ルチン(ケルセチン−3−ルチノシドすなわちビタミンP1)である。ルチンは、その健康な皮膚の外見に対する有益な効果の故に皮膚用製品及び化粧品中で幅広く応用されており、且つその強力な抗酸化性及び抗炎症性並びに毛細血管を含む血管壁を強化したり透過性を調節したりする能力で周知である。しかし、カプセル化されていない形態で化粧品製剤に組み込まれた場合に、ルチンは他の成分と反応し、且つ急速に酸化して製剤の元の色の変化及び自身の元の生物活性の喪失に至る傾向がある。化粧品製剤中のルチンの強力な生物活性を維持し、且つその酸化を防止するためには、ルチンを安定化しなければならない。ルチンを安定化するために局所適用のために特定的に開発された本発明のルチンのマイクロカプセルは、好ましくは高濃度(約7%)の植物源からの純粋なルチン水和物を含有する。
【0074】
本発明の他の一実施形態において、生物活性を有する活性成分は天然抽出物である。化粧品においては、天然抽出物は植物起源の成分を意味するものと想定されている。真に天然であるためには、それは植物の適切な部分から、顕著な化学変化を受けずに抽出されなければならない。この定義は植物油を包含する。例えば化粧品業界において、局所適用のために使用される任意のハーブ抽出物又は植物油を本発明によって使用することができるが、本発明によるカプセル化のために好ましいハーブ抽出物には、リコリス根抽出物、グレープ種抽出物、ボラージ油、月見草油及びヒッポファエ油が含まれる。
【0075】
好ましい実施形態において、天然抽出物は、グレープ種油(GSE)である。GSEは、フラボノイド族に属する一種の栄養素であって、強力な抗酸化剤であり、UV照射の有害影響を軽減するフリーラジカルスカベンジャーであるプロアントシアニジン(オリゴメリックプロアントシアニジン錯体又はOPCとしても知られている)を高含有量で含んでいる。局所的な使用において、OPCの大きな利点は、サブエピトピカルレベル(sub−epitopical level)での血液循環の大幅な増大及び微量栄養素の細胞内膜交換の向上である。しかし、プロアントシアニジン(OPC)は安定ではなく、温度及び光の影響又は局所用製剤の他の成分との交差反応によって急速に酸化する。最終製品が茶色に着色するのはOPCが酸化した結果である。本発明によるGSEのカプセル化は、ポリマーのマイクロカプセル壁がグレープ種抽出物と製剤の他の成分との相互作用を防ぐので、酸化分解及び茶色の着色を防ぎ、さらに適用されたときに皮膚上のカプセルからの最大限のOPCの放出を最大限の生物学的作用とともに保障する。本発明のマイクロカプセルは、プロアントシアニジンに富む天然のGSE(少なくとも95%のOPC)、好ましくは約6%のGSEを含み、平均寸法約40ミクロンの均一な球の形状を有し、OPCの安定性及び貯蔵期間を増大し、その元の活性を維持し、化粧品製剤中での酸化及び着色を防ぐ。したがってこれらは、老化防止クリーム中、皮膚の紅斑を軽減するための日光浴後用クリーム中、保湿製品及び活力回復製品中、及び紫外線によって誘発される皮膚における脂質酸化防止のための顔用日焼け止め中に組み込むための活性成分として指摘されている。
【0076】
他の好ましい実施形態において、天然抽出物は、その抗炎症性及び抗酸化性による皮膚に対する有益な効果で知られているグラブリジン、フラボノイドに富むリコリス根抽出物である。加えて、グラブリジンは、おそらくチロシナーゼ及びメラニン合成の阻害による、白化性/明化性及びシミ防止性を有する。しかし、この抽出物は酸化しやすい傾向があり、その結果グラブリジン本来の白化活性を喪失する。さらに、グラブリジンは、フラボノイドであるので、pH変化に敏感であり、この因子が局所用製剤中のグラブリジンの極端な不安定性の理由であり、その結果本来の活性を喪失し、製剤中で濃い茶色に着色する。本発明のマイクロカプセルは、グラブリジンに富むリコリス根抽出物を含有する。この製品はグラブリジン含有量4%に標準化されており、マイクロカプセルによって保護されている。これらのマイクロカプセルは、安定な明化/白化剤を提供し、グラブリジンの酸化を防止し、それによってグラブリジンの元の活性を保証し、且つ最終製品のより長い貯蔵期間を提供し、製剤中で茶色に着色することを防止し、広いpH範囲で高度に安定であり、あらゆる種類の化粧品製剤中に分散しやすく、皮膚に適用されたときにのみ抽出物の独特な制御された放出を提供する。したがって、本発明のリコリス抽出物マイクロカプセルは、白化クリーム及びローション、抗老化クリーム及びセラム、シミ防止治療製剤並びに白化ハンドクリーム中の活性成分として指摘されている。
【0077】
他の一実施形態において、天然抽出物は、トリグリセリド形態のリノール酸、γ−リノレン酸(GLA)、オレイン酸などの必須脂肪酸に富み、GLAの最も濃縮された天然形態である、ボラージ油である。ボラージ油は安定ではなく、その活性成分が分解される。本発明のマイクロカプセルは、無臭のカプセル化され高められた安定性及び延長された貯蔵期間を有するボラージ油約25%を含有し、GLAを分解されていない活性な形態に維持し、製品貯蔵中のはっきりした悪臭の発生を防止し、皮膚刺激を防止し、高い比率のボラージ油の直接に皮膚への制御された放出をもたらす。これらのマイクロカプセルは、保湿クリーム(特に乾燥皮膚用)、老化防止クリーム、修復用製剤、ハンドクリーム、リップグロス及びリップ保護製品中に組み込むための活性成分として指摘されている。
【0078】
他の一実施形態において、天然抽出物は、トリグリセリド形態のリノール酸、γ−リノレン酸(GLA)、オレイン酸などの必須脂肪酸に富む、月見草油(EPO)である。EPOは安定ではなく、その活性成分が分解される。本発明のマイクロカプセルは、無臭のカプセル化され高められた安定性及び延長された貯蔵期間を有するEPO約25%を含有し、GLAを分解されていない活性な形態に維持し、製品貯蔵中のはっきりした悪臭の発生を防止し、皮膚刺激を防止し、高い比率のEPOの直接に皮膚への制御された放出をもたらす。これらのマイクロカプセルは、保湿クリーム(特に乾燥皮膚用)、老化防止クリーム、修復用製剤、ハンドクリーム、白化製品、リップグロス及びリップ保護製品中に組み込むための活性成分として指摘されている。
【0079】
他の一実施形態において、天然抽出物は、シーバックソーン(Hippophae rhamnoides)油である。この油は、高濃度のカロテノイド、パルミトオレイン酸及びサイトステロール並びにビタミンA及びEの誘導体を含む機能性成分の独特の混合物を含有し、安定ではない。本発明のマイクロカプセルは、カプセル化され高められた安定性を有する天然ヒッポファエ油約25%を含有し、老化防止用製品、例えば、ピーリング、シェービング、火傷などの後の皮膚治療用製剤、日焼け止め製品、アイゾーン製剤、及び日光浴後用製品中に組み込むための活性成分として指摘されている。
【0080】
本発明の他の一実施形態において、カプセル化される活性物質は、これらだけには限定されないがクマリン、カルコン又はフラバン、フラバノール、フラボノール、フラボン、フラバノン、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンからなる群から選択されるフラボノイドなどの天然源から分離された個々の化合物である。
【0081】
本発明において使用される活性成分は、本明細書で規定された2つ以上の分類に属することがあることは理解されるはずである。したがって、上記でビタミンPと規定されたルチンは、一種のフラボノイドであり、またリコリス根抽出物のグラブリジン及びグレープ種抽出物のプロアントシアニジンもそうである。
【0082】
他の一実施形態において、カプセル化される活性物質は、精油である。精油は、植物、果物又は花から水蒸気、蒸留又は溶媒抽出によって抽出される揮発性の油の一種類である。本発明によってカプセル化することができる精油の例には、バジル精油、ユーカリ精油、ゼラニウム精油、グレープフルーツ精油、レモン精油、ペパーミント精油、ティーツリー油、又はこれらの混合物が含まれる。
【0083】
好ましい実施形態において、精油は、樹木メラレウカ・アルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)の葉から抽出される新鮮なカンファー様の香りを有する精油、ティーツリー油である。この油は抗炎症性、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性及び抗寄生虫性を有する。ティーツリー油は皮膚及び頭皮の柔軟化、再生及び浄化、火傷の治癒、傷の殺菌並びにシミ、虫による刺傷及び咬傷の治療において有益である。それはカンジダ症、膣感染症、真菌性爪感染症などの真菌感染症に対して及び痔のために有効である。浴用添加物として、それは温泉及びプールの細菌を抑制する。それは、肥厚性瘢痕及びフケ毛髪を軽減することも知られている。ティーツリー油成分には、大部分の抗微生物作用に関与する1−テルピネン−オール、1,8−シネオーレ、γ−テルピネン、p−シメンなどのテルペンが含まれる。ティーツリー油は安定ではなく、そのままの形態で化粧品製剤中に組み込むと酸化してその元の活性を喪失し、皮膚刺激の原因となり、またその揮発性の故に非常に強い本来の臭気を有する。本発明のマイクロカプセルは、高められた安定性及び延長された貯蔵期間を有する無臭のカプセル化されたティーツリー油約5%を含有し、製剤中での不安定な化合物の酸化及びティーツリー油の強い悪臭の発生を防止し、高い比率のティーツリー油の直接に皮膚/頭皮への制御された放出を提供する。これらのマイクロカプセルは、敏感且つ繊細な皮膚のためのフェイスケア製剤、身体衛生用製品及び損傷した毛髪及び繊細な毛髪用のシャンプー及びフケ毛髪防止シャンプーに組み込むための活性成分として指摘されている。
【0084】
本発明のさらなる一実施形態において、カプセル化される活性成分は、局所適用のための医薬物質、例えば、これらだけには限定されないが、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンから選択されるマクロライド系抗生物質などである。クラリスロマイシンは、肺炎、気管支炎、及び耳、肺、洞、皮膚、及び咽喉の感染症などの細菌に起因するある種の感染症を治療するために使用される半合成マクロライド抗生物質である。それはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における播種性トリ結核菌複合(MAC)感染症を予防するためにも使用される。クラリスロマイシンは、経口的に使用されるが、その使用を局所適用に拡大することは、この強力な抗生物質をトレチノインなどのより耐用性の低い薬物と共に投与する新たな可能性を開く。クラリスロマイシンは、多くの他の抗生物質と同様に、水を含有する製剤中での加水分解による分解に対して極めて敏感である。本発明のクラリスロマイシンマイクロカプセルは、局所的使用のために特定的に開発され、この抗生物質を水含有製剤中で使用されたときの分解から保護する。
【0085】
本発明の他の一実施形態において、カプセル化する活性成分は、芳香剤、香水、精油及びこれらから抽出された化合物、並びに揮発性の天然及び合成化合物から選択される臭気(普通は快い匂い)剤である。これらの活性物質は、化粧品製剤に快い匂いを与えるため及び/又は製剤の他の成分の望ましくない臭気を隠すために使用することができる。
【0086】
臭気性を有する作用物質は局所用製品中で幅広く使用される。通常、これらの芳香剤、香料及び他の揮発性材料などの活性物質は、製剤のpHなどの特定の条件下での不安定性で困るか、又はこれらが製剤の他の成分と交差反応する。これらの理由により、このタイプの成分はカプセル化する必要がある。芳香剤を含有する本発明のマイクロカプセルは、上述の問題を解決するために特定的に開発されてきた。
【0087】
好ましい実施形態において、揮発性化合物は、ペパーミント油若しくは他のミント油から得られるか又はチモールの水素化によって合成的に調製される単環式テルペンアルコールの、メントールである。メントールは、特徴的な清涼感のあるミント臭を有する白色結晶であり、化粧品製剤に新鮮な感覚、冷却効果、鎮静化させる特質及び短時間の気晴らしを提供する。しかし、メントールは、揮発性成分であるので、蒸発しやすく且つ製剤の当初の含有量/臭気を変える傾向を有する。加えて、メントールを化粧品組成物中で均一に分散させることは困難であり、普通はエタノールであらかじめ分散させる必要がある。製剤からのメントールの沈殿、その本来の強い特徴的な臭気及び他の成分と架橋する可能性が、局所用/歯科用製品中でのその使用が困難な理由である。本発明の無臭のメントールマイクロカプセルは、約10%のメントールを含有する。これらは、メントールを酸化から保護し、且つ化粧品の製剤中に組み込んだ後でその当初の活性を維持する。これらはメントールの特徴的な臭気を隠し、その間は当初の匂いを保持し、製剤中の他の成分との反応を防止し、皮膚に適用したときには長時間持続する感覚/冷却効果を提供する。これらのマイクロカプセルは、アルコールの使用を必要とせずに、化粧品製剤中に均一に分散され、それ故に、経口の衛生管理製品、例えば歯磨きペースト、口内洗浄剤、日焼け止め製品、日光浴後用冷却ローション、鎮静クリーム及び爽快感のある髭剃り前及び髭剃り後用製品のための成分として指摘されている。
【0088】
本発明のさらなる一実施形態において、カプセル化される活性成分は、有機及び無機顔料、着色料及び天然源からの着色剤からなる群から選択される着色剤である。
【0089】
本発明によって使用することができる着色剤には、顔料カルミン、鉄酸化物、二酸化チタン、及び酸化クロム/水酸化クロム、着色剤D&C赤色21号アルミニウムレーキ、D&C赤色7号カルシウムレーキ、D&C緑色6号脂溶性、及び青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)が含まれる。好ましい実施形態において、顔料は鉱物形態アナターゼ、ブルーカイト若しくはルチル、又はこれらの混合物の任意の1つの二酸化チタン(他の顔料を明るくするため及び製剤に不透明性を与えるために使用される)である。他の好ましい実施形態において、着色料は酸化鉄、すなわち3つの基本的な色のいずれにおいても無機顔料の中で最も幅広く使用されているもの−赤、黒及び黄色の酸化鉄、又はこれらの混合物である。これらの3つの酸化物及び二酸化チタンの添加から、いかなる濃さの茶色(肌の明暗)でも得ることができる。
【0090】
本発明の方法において、多層マイクロカプセルのポリマー殻は、ポリマー−可塑剤又はポリマー−鉱物の殻であればよい。
【0091】
一実施形態において、ポリマー内殻及びポリマー外殻は両方がポリマー−可塑剤殻であり、内核マイクロカプセルのポリマーと外殻のポリマーは同一であっても異なっていてもよい。
【0092】
他の一実施形態において、ポリマー内殻とポリマー外殻は両方がポリマー−鉱物殻であり、内核マイクロカプセルのポリマーと外殻のポリマーは同一であっても異なっていてもよい。
【0093】
他の一実施形態において、ポリマー内殻はポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻はポリマー−鉱物殻であるか又はポリマー内殻はポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻はポリマー−可塑剤殻であり、両方の殻のポリマーは同一であっても異なっていてもよい。
【0094】
好ましい実施形態において、壁形成ポリマーはエチルセルロース、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、又はこれらの混合物である。
【0095】
好ましい実施形態において、本発明の方法は二層及び三層マイクロカプセルの調製のために使用される。
【0096】
本発明はさらに、壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を収容する内核マイクロカプセル、及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーでできた1つ又は複数の外殻からなる、局所適用のための多層マイクロカプセルを提供し、前記多層マイクロカプセルは本発明の方法によって得られる。
【0097】
本発明による、二層及び三層を含む、多層マイクロカプセルは、1〜100μmの内核マイクロカプセルの外径及び10〜200μm、好ましくは30〜50μmの多層マイクロカプセルの外径を有する。
【0098】
本発明はさらに、壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を収容する内核マイクロカプセル、及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーでできた1つ又は複数の外殻からなる、局所適用のための二層マイクロカプセルを提供し、その際前記二層マイクロカプセルは本発明の方法によって得られる。二層マイクロカプセルの活性成分は上記で本発明の方法に関して規定したものと同じであることは理解されるはずである。
【0099】
好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルのポリマー殻は、ポリマー−可塑剤殻及び/又はポリマー−鉱物殻である。
【0100】
一実施形態において、二層マイクロカプセルのポリマー内殻及びポリマー外殻は、両方がポリマー−可塑剤殻であり、内核マイクロカプセルと外殻のポリマーは同一であっても異なってもよい。
【0101】
他の一実施形態において、二層マイクロカプセルのポリマー内殻及びポリマー外殻は、両方がポリマー−鉱物殻であり、内核マイクロカプセルと外殻のポリマーは同一であっても異なってもよい。
【0102】
他の一実施形態において、二層マイクロカプセルのポリマー内殻はポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻はポリマー−鉱物殻であるか又はポリマー内殻はポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻はポリマー−可塑剤殻であり、両方の殻のポリマーは同一であっても異なってもよい。
【0103】
好ましい複数の実施形態において、二層マイクロカプセル中で使用される壁形成ポリマーは、エチルセルロース、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、又はこれらの混合物であり、ポリマー−可塑剤殻を形成する可塑剤はトリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン油、及びこれらの混合物からなる群から選択され、且つポリマー−鉱物殻を形成する鉱物は二酸化チタン、窒化ホウ素、ケイ酸マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ヒドロアルモケイ酸マグネシウム、マイカ(及び)ミリスチン酸マグネシウム、二酸化チタン(及び)ミリスチン酸マグネシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0104】
二層マイクロカプセル内部にカプセル化される活性成分は、1つ又は複数の活性成分から成ればよく、或いは前記活性成分は添加物、例えば酸化防止剤との混合物であってもよい。
【0105】
好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルは、レチノール、パルミチン酸レチノール、リコリス抽出物、又はティーツリー油から選択される活性成分を含有し、且つポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−可塑剤外殻の壁形成ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)である。
【0106】
他の好ましい実施形態において、活性成分はルチンであり、且つポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−可塑剤外殻の壁形成ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)及びポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)の混合物である。
【0107】
他の好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルはグレープ種抽出物又は酸化鉄顔料から選択される活性成分を含有し、且つポリマー−鉱物内殻の壁形成ポリマー及びポリマー−可塑剤外殻の壁形成ポリマーは、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である。
【0108】
他の好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルは、活性成分としてメントールを含有し、且つポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマー及びポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)である。
【0109】
他の好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルは、酸化クロム/水酸化クロム顔料又はD&C赤色カルシウムレーキから選択される活性成分を含有し、且つポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマー及びポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーは、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である。
【0110】
他の好ましい実施形態において、二層マイクロカプセルは、レチノール、カルミン顔料、D&C赤色21号アルミニウムレーキ又はD&C緑色6号脂溶性から選択される活性成分を含有し、且つポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマーはポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)であり、ポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーはポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である。
【0111】
他の好ましい実施形態においては、三層マイクロカプセルが提供され、その活性成分は青色1号アルミニウムであり、ポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)及びポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)の混合物であり、2層のポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーはポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である。
【0112】
本発明は、大装填量の活性成分を含有する形状の揃ったマイクロカプセルの製造を可能にする。このマイクロカプセルは形状が球であり、他の多くの用途の中でもとりわけ化粧品、皮膚科、ベビーケア及び口腔衛生の用途に適当である。このマイクロカプセルは、局所的に使用する場合に、例えば皮膚又は頭皮に対して、こすったり押し付けたりすると軟化し、それによって活性成分の95〜97%を標的領域に放出するという、このカプセル壁の独特の能力の故に局所適用で効果的に使用することができる。活性成分は、全調製方法の間及び組成物中に組み込む工程中及び貯蔵の間も安定なままである。本発明の多層マイクロカプセルは、外部の材料への浸透性がなく、押し付けたりこすったりすると破れ、且つカプセル化されている活性主剤と反応したりそれを改変したりしない材料で構成されている。
【0113】
本発明はさらに、本発明の方法によって得られる単層マイクロカプセルを含み、活性成分がエリスロマイシン、クラリスロマイシン及びアジスロマイシンからなる群から選択されるマクロライド系抗生物質である、局所適用のための組成物又は口腔衛生のためのかかる組成物にも関する。
【0114】
本発明はまた、本発明の方法によって得られる多層、特に二層、マイクロカプセルを含む、局所適用のための組成物にも関する。
【0115】
一実施形態において、本発明は、前記二層マイクロカプセルを含む、スキンケア、皮膚の補充(skin supplement)、ヘアケア、日光ケア、及びベビーケア、口腔衛生、及び口腔ケアのための組成物を提供する。
【0116】
他の一実施形態において、本発明は、二層マイクロカプセルを含む、口腔衛生及び口腔ケアのための組成物を提供する。
【0117】
他の一実施形態において、本発明は、二層マイクロカプセルを含み、活性成分が医薬物質である、局所適用のための組成物を提供する。
【0118】
以後、本発明を以下の非限定的実施例によって例示する。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
パルミチン酸レチノール(ビタミンA)のポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
口腔衛生用途のためのパルミチン酸レチノールの単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
第1段階では、パルミチン酸レチノール(BASF)3g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤6gを、エチルセルロースN7(Hercules Inc.)10gの酢酸エチル140ml中溶液に加えることによってパルミチン酸レチノールを含有するマイクロカプセルを調製した。溶液を、PVA2gを含有している水360mlを酢酸エチル40mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA2gを含有している水4.5L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルの形成のために20℃で3〜10分間インキュベートした。有機溶媒が徐々に取り除かれると固形のポリマー殻がエマルジョンの小滴の周囲に形成され、得られた溶媒系(有機溶媒の痕跡を有する水)に不溶のすべての成分(活性成分、酸化防止剤、可塑剤)を形成された固形の核マイクロカプセル中に包み込んだ。形成されたマイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は20〜50μmであった。
【0120】
(実施例2)
トコフェロール(ビタミンE)のポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
口腔衛生用途のためのトコフェロールの単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
第1段階では、DL−α−トコフェロール(BASF)6g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤4gを、エチルセルロースN7(Hercules Inc.)9gの酢酸エチル120ml中溶液に加えることによってトコフェロールを含有するマイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA1.5gを含有している水300mlを酢酸エチル40mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA2gを含有している水4L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルの形成のために20℃で3〜10分間インキュベートした。得られたマイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は20〜50μmであった。
【0121】
(実施例3)
天然シーバックソーン油(Hippophae Ramnoides)のポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
口腔衛生用途のためのシーバックソーン油(Hippophae Ramnoides)の単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
第1段階では、シーバックソーン油5g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤3gをエチルセルロースN7(Hercules Inc.)10gの酢酸エチル120ml中溶液に加えることによってシーバックソーン油を含有するマイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA1.5gを含有している水300mlを酢酸エチル35mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA2gを含有している水4L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルの形成のために20℃で3〜10分間インキュベートした。得られたマイクロカプセルを実施例8で記載する通りに沈降分離した。得られたマイクロカプセルの外径は20〜50μmであった。
【0122】
(実施例4)
天然ティーツリー油(Melaleuca Alternifolia)のポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
口腔衛生用途のティーツリー油(Melaleuca Alternifolia)の単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
第1段階では、ティーツリー油(Bronson and Jacobs)5g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤4gを、エチルセルロースN7(Hercules Inc.)10gの酢酸エチル140ml中溶液に加えることによってティーツリー油を含有するマイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA2gを含有している水360mlを酢酸エチル40mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA2gを含有している水4.5L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルの形成のために20℃で3〜10分間インキュベートした。得られたマイクロカプセルを実施例8で記載する通りに沈降分離した。得られたマイクロカプセルの外径は20〜50μmであった。
【0123】
(実施例5)
芳香剤のポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
芳香剤の単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
芳香剤(Topnote UN、Firmenich)8g、(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルチミン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤2gを、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)10gの酢酸エチル60ml中溶液に撹拌しながら加えることによって芳香剤を含有するマイクロカプセルを調製した。溶液を、PVA0.5gを含有している蒸留水200mlを酢酸エチル25mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA0.1gを含有している水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で10〜15分間インキュベートした。形成されたマイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、15℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は10〜60μmであった。
【0124】
(実施例6)
抗生物質クラリスロマイシンのポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセル中へのカプセル化
クラリスロマイシンの単層マイクロカプセル中へのカプセル化を、以下の手順によって行った。
第1段階では、クラリスロマイシン(Zhejing Huangyan Biochemical Industry Co.Ltd)4gを、エチルセルロースN7(Hercules Inc.)12g及びEudragit E 100(ジメチルアミノエチルメタクリレート及び中性メタクリル系エステルに基づくカチオン性コポリマー; Degussa)4gの酢酸エチル92g中溶液に加えることによってクラリスロマイシンを含有するマイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA1.5gを含有している水300mlを酢酸エチル35mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA1.5gを含有している水3.2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で10〜15分間インキュベートした。得られたマイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は30〜60μmであった。
【0125】
(実施例7)
レチノール(ビタミンA)のポリマー−可塑剤の内殻及び外殻を有する二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、レチノール50C(BASF)3g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g及び(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤8gを、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)8gの酢酸エチル57g中溶液に撹拌しながら加えることによってレチノールを含有し、ポリマー−可塑剤殻で被覆された内核マイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA0.5gを含有している蒸留水220mlを酢酸エチル30mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、蒸留水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は10〜40μmであった。
【0126】
第2段階では、外殻で被覆する前に核表面を処理するために内核マイクロカプセル20gをジオキソシリコン(アエロジル200、Dequssa AG)2gで粉末処理した。内核マイクロカプセルの比表面積(SSA)を修飾の前後に窒素吸収法によって決定した(窒素吸収法の詳細な記載はSantamarina,J.C.,Klein,K.A.,Wang,Y.H.,Prencke E.「比表面:決定法及び妥当性(Specific surface:determination and relevance)」Can.Geotech.J.39巻、233〜241頁(2002年)参照)。粉末処理される前後の核のSSAはそれぞれ0.93及び2.78m/gであった。
【0127】
第3段階では、レチノール50Cを含有する粉末処理修飾内核を、ポリマー−可塑剤外殻で被覆した。この目的のために、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)3gを、酢酸エチル64ml中に40℃で30分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−可塑剤溶液を調製した。この溶液を室温まで冷却し、(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤2g及び(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1gをその中に溶解させた。得られたポリマー−可塑剤溶液を、PVA2gを含有し、あらかじめ酢酸エチル47mlで飽和させた蒸留水350ml中で乳化させ、続いて粉末処理修飾内核20gを加え、約15分間分散させてサスポエマルジョンを形成させた。得られた多成分エマルジョンを、蒸留水3L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つ二層マイクロカプセルを形成させるために10〜15分間インキュベートした。この二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。得られたマイクロカプセルの外径は40〜90μmであった。
【0128】
(実施例8)
レチノール(ビタミンA)のポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、レチノール50C(BASF)3g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g及び(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤7gを、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)7gの酢酸エチル57g中溶液に撹拌しながら加えることによってレチノールを含有し、ポリマー−可塑剤殻で被覆された内核マイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA0.5gを含有している水220mlを酢酸エチル30mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、蒸留水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は10〜40μmであった。
【0129】
第2段階では、外殻で被覆する前に核表面を処理するために、内核マイクロカプセル20gをジオキソシリコン(アエロジル200、Degussa AG)2gで粉末処理した。
【0130】
第3段階では、粉末処理修飾されたレチノール50Cを含有する内核を、ポリマー−鉱物外殻で被覆した。この目的のために、Eudragit RS PO(ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド、1:2:0.1、Degussa)1g、(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)トリグリセリド3g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1gを、酢酸エチル52ml中に40℃で撹拌しながら溶解させ、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物から選択される)二酸化チタン4gを加えて超音波によって3分間分散させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、粉末処理修飾された内核20gを、この懸濁液に加えて撹拌した。得られたポリマー−鉱物分散液を、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル22mlで飽和させた蒸留水180ml中で乳化させた。この多成分サスポエマルジョンを、蒸留水1L中に撹拌しながら注ぎ入れて酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために10分間インキュベートした。この複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。得られた複合マイクロカプセルの外径は40〜80μmであり、核単独の直径と比較して2倍より大きい。
【0131】
単層及び二層マイクロカプセルによるレチノールの酸化からの保護の有効性は、組み込まれたレチノールの単層及び二層マイクロカプセルを有するさまざまな模範的皮膚用製剤中で分析によって決定し、さまざまな温度条件での安定性試験の間にカプセル化されていないレチノールと比較したHPLC分析によってモニターした。酸化速度の測定は、25℃(図1A)及び40℃(図1B)で行った。その結果は、模範的ゲル製剤中のカプセル化されたレチノールについては、複合二層マイクロカプセルによって保護されたレチノールの酸化50%は(温度条件に応じて)90〜500日後に起こり、単層マイクロカプセルによって保護されたレチノールと比較すると、そちらは(温度条件に応じて)38〜220日後に同じレベルの酸化に至る。製剤中のレチノールの濃度は4000IU/gであった。
【0132】
(実施例9)
パルミチン酸レチノール(ビタミンA)のポリマー−可塑剤の内殻及び外殻を有する二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、パルミチン酸レチノール(BASF)3g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリラウリン、トリカプリリン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤6gを、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)10gの酢酸エチル60g中溶液に加えることによってポリマー−可塑剤殻で被覆されたパルミチン酸レチノールを含有する内核マイクロカプセルを調製した。この溶液を、PVA1gを含有している水200mlを酢酸エチル90mlで飽和させることによって調製した水溶液中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA3gを含有する蒸留水3L中に注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及び核の形成のために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られた核マイクロカプセルの外径は10〜40μmであった。
【0133】
第2段階では、外殻で被覆するための核表面を用意するために、内核マイクロカプセル20gをジオキソシリコン(アエロジル200、Degussa AG)2gで粉末処理した。
【0134】
第3段階では、パルミチン酸レチノールを含有する粉末処理修飾内核を、第2のポリマー−可塑剤殻で被覆した。この目的のためには、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)12gを酢酸エチル60ml中に30分間撹拌しながら溶解し、続いて(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤7g及び(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1gの混合物を溶解させることによってポリマー−可塑剤溶液を調製した。得られたポリマー−可塑剤溶液を、PVA1.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル30mlで飽和させた蒸留水300ml中で乳化させ、粉末処理された核20gを15分間かけて分散させてサスポエマルジョンを形成させた。得られた多成分エマルジョンを、蒸留水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及び二層マイクロカプセルの形成をさせるために系を10分間インキュベートした。二層マイクロカプセルを流動性のよい粉末として分離する手順は第1段階で記載した通りに行った。最終の二層マイクロカプセルの外径は50〜100μmであった。
【0135】
(実施例10)
天然グレープ種油のポリマー−鉱物内殻及びポリマー−可塑剤外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、ポリマー−鉱物殻で被覆されたグレープ種抽出物(GSE)を含有する内核マイクロカプセルを、以下の通りに調製した。別途に、(アナターゼ、ブルーカイト、ルチル又はこれらの混合物から選択される)二酸化チタン10gを酢酸エチル33ml中に30分間かけて分散させ、続いてEudragit RS PO(Degussa)2g、GSE(AHD International,LLC)2g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、水4g及び(クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤5gを撹拌しながら加えることによって有機分散液を調製した。その後、この分散液のすべての成分を10分間撹拌し、次いで、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル26mlで飽和させた水200ml中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られた分散液を水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で3〜5分間インキュベートした。形成されたマイクロカプセルを沈降分離し、水で洗浄し、室温で乾燥して流動性のよい粉末を得た。得られたマイクロカプセルの外径は20〜60μmであった。
【0136】
第2段階では、外殻で被覆するための核表面を用意するために、内核マイクロカプセル20gをジオキソシリコン(アエロジル200、Degussa AG)0.16gで粉末処理した。
【0137】
第3段階では、ポリマー−鉱物殻で被覆されたGSEを含有する粉末処理修飾核を、以下の手順によってポリマー−可塑剤殻で被覆した。Eudragit RS PO、1gを酢酸エチル20ml中に5分間撹拌しながら溶解させ、続いて(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1gを加えた。このポリマー−可塑剤溶液を、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル20mlで飽和させた水170ml中で乳化させた。次いで、粉末処理修飾内核20gをこのエマルジョンに加え、分散させてサスポエマルジョンを形成させた。得られた多成分エマルジョンを、水2L中に注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために20℃で15分間インキュベートした。得られた複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は第1段階で記載した通りに行った。この複合マイクロカプセルの外径は60〜90μmであった。
【0138】
(実施例11)
リコリス根抽出物(Glycyrrhiza Glabra)のポリマー−可塑剤の内殻及び外殻を有する二層マイクロカプセル中へのカプセル化
提案されている手順によってカプセル化されたリコリス根抽出物は、活性主剤グラブリジン(フラボノイド)の含有量によって標準化されている天然抽出物であり、リコリス根(Glycyrrhiza Glabra)から有機溶媒抽出によって得た。
【0139】
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)7gを酢酸エチル50ml中に40℃で10分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−可塑剤殻で被覆されたリコリス抽出物を含有する核を調製した。この溶液を室温まで冷却し、続いてあらかじめ酢酸エチル10ml中に5分間撹拌しながら溶解させた(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、リコリス抽出物(Maruzen Pharmaceuticals Co.Ltd.)3g及び(トリカプリリン、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤9gを5分間撹拌しながら加えた。調製された有機溶液を30分間撹拌してから、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル40mlで飽和させた水340ml中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA1gを含有する水2L中に注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及びマイクロカプセルの形成のために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、水で洗浄し、20℃で乾燥して流動性のよい粉末を生成させた。これらの核マイクロカプセルの外部半径は20〜60μmであった。
【0140】
第2段階では、外殻で被覆する前に核表面を処理するために、得られた核20gを0.16gのアエロジル200で粉末処理した。
【0141】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆されカプセル化されたリコリス抽出物を含有する粉末処理修飾内核を、以下の手順によって第2のポリマー−可塑剤殻で被覆した。
ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)5gを、酢酸エチル57ml中に40℃で10分間撹拌しながら溶解させ、次いで溶液を冷却し、続いて(トリカプリリン、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤4g及び(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1gを加えることによってポリマー−可塑剤溶液を調製した。その後、溶液を10分間撹拌した。このポリマー−可塑剤溶液を、PVA1gを含有し、酢酸エチル20mlで飽和させた水170ml中で乳化させた。次いで、粉末処理修飾核20gを得られたエマルジョンに加え、10分間分散させた。得られた多成分エマルジョンを、水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルの抽出及び二層マイクロカプセルの形成のために15分間インキュベートした。二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は第1段階で記載した通りに行った。この二層マイクロカプセルの外径は60〜90μmであった。
【0142】
(実施例12)
ティーツリー油(Melaleuca Alternifolia)のポリマー−可塑剤の内殻及び外殻を有する二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、天然ティーツリー油(Bronson and Jacobs)8g及び(ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、トリカプリリン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤6gを、酢酸エチル74ml中に溶解させたポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)6gの溶液に加えることによってポリマー−可塑剤殻で被覆されカプセル化されたティーツリー油を有する内核を調製した。この溶液を、PVA2gを含有し、あらかじめ44mlの酢酸エチルで飽和させた水400ml中に注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA15gを含有する水3L中に注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルの形成のために10〜15分間インキュベートした。形成された核マイクロカプセルを沈降によって分離し、洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。このマイクロカプセルの外径は10〜50μmであった。
【0143】
第2段階では、外殻で被覆するための核表面を用意するために、内核マイクロカプセル20gを0.3gのアエロジル200で粉末処理した。
【0144】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆されたティーツリー油を含有する粉末処理修飾内核を、以下の通り第2のポリマー−可塑剤殻で被覆した。(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1g及びポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1gを、酢酸エチル55ml中に10分間撹拌しながら溶解させた。このポリマー−可塑剤溶液を、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル18mlで飽和させた水160ml中で乳化させた。得られたエマルジョンに粉末処理修飾内核20gを加えて10分間分散させた。得られた多成分エマルジョンを、PVA1gを含有する2L中へ撹拌しながら注ぎ入れ、この系を、酢酸エチルを抽出し、且つ二層マイクロカプセルを形成させるために15分間インキュベートした。二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。これらのマイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。
【0145】
(実施例13)
ルチンのポリマー−可塑剤の内殻及び外殻を有する二層マイクロカプセル中へのカプセル化
ルチン(ビタミンP)は、植物源抽出物から単離されるフラボノイド構造を有する生物活性成分である。
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)10gを酢酸エチル47ml中に40℃で10分間撹拌しながら溶解させ、次いで溶液を室温まで冷却し、続いてEudragit RS PO(Degussa)2g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(トリラウリン、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤5g及びあらかじめ酢酸エチル20ml中に撹拌しながら分散させたルチン水和物(RES PHARMA)2gを加えることによってポリマー−可塑剤殻で被覆されたルチンを含有する核を調製した。その後、調製した有機溶液を30分間撹拌してから、PVA2gを含有し、あらかじめ酢酸エチル44mlで飽和させた蒸留水400ml中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを蒸留水3L中に注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つ核マイクロカプセルを形成させるために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、蒸留水で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。この核マイクロカプセルの外径は20〜60μmであった。
【0146】
第2段階では、外殻で被覆するための核表面を用意するために、得られた内核マイクロカプセル20gを0.16gのアエロジル200で粉末処理した。
【0147】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆されカプセル化されたルチンを含有する粉末処理修飾内核を、以下の通りに第2のポリマー−可塑剤殻で被覆した。ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1gを酢酸エチル57ml中に40℃で10分間撹拌しながら溶解させ、次いで溶液を冷却し、続いてEudragit RS PO、1g、(BHA、BHT又はこれらの混合物から選択される)酸化防止剤1g、(ミリスチン酸イソプロピル、トリカプリリン、クエン酸アセチルトリエチル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤0.5gを加えることによってポリマー−可塑剤溶液を調製した。その後、溶液を10分間撹拌した。ポリマー−可塑剤溶液を、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル19mlで飽和された蒸留水170ml中で乳化した。次いで、粉末処理修飾内核20gを得られたエマルジョンに加えて10分間分散させた。得られた多要素エマルジョンを蒸留水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つ二層マイクロカプセルを形成させるために15分間インキュベートした。二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。この二層ルチンマイクロカプセルの外径は60〜100μmであった。
【0148】
(実施例14)
メントールのポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、メントール(AMC Chemicals (英国)Ltd.)4g及び(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤7gをポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)9gの酢酸エチル60ml中溶液に撹拌しながら加えることによってポリマー−可塑剤殻で被覆されたメントールを含有する内核を調製した。この溶液を、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル19mlで飽和させた水167ml中に撹拌しながら注ぎ入れた。得られたエマルジョンを、PVA5gを含有する水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために20℃で10〜15分間インキュベートした。形成されたマイクロカプセルを沈降によって分離し、エタノールの10%水溶液で洗浄し、20℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。このマイクロカプセルの外径は10〜40μmであった。
【0149】
第2段階では、外殻で被覆するための核表面を用意するために、得られた内核マイクロカプセル20gを0.1gのアエロジル200で粉末処理した。
【0150】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆されたメントールを含有する粉末処理修飾内核を、以下の通りにポリマー−鉱物殻で被覆した。ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1g及び(トリラウリン、トリカプリリン、トリパルミチン又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを酢酸エチル50ml中に40℃で20分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、この溶液を室温まで冷却し、(鉱物形態アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物から選択される)二酸化チタン1gを加えた。二酸化チタンは超音波によって2分間分散させた。次いで、粉末処理修飾内核20gをこのエマルジョンに加え、10分間分散させた。得られたポリマー−鉱物分散液を、PVA0.4gを含有し、あらかじめ酢酸エチル20mlで飽和させた水170ml中に入れた。得られた多成分サスポエマルジョンを、PVA1gを含有する水2L中に注ぎ入れ、この系を、酢酸エチルを抽出し、且つ複合二層マイクロカプセルを形成させるために10分間インキュベートした。この複合マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。これらのマイクロカプセルの外径は60〜80μmであった。
【0151】
(実施例15)
酸化鉄顔料のポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、Eudragit RS PO(Degussa)2gを酢酸エチル15ml中に10分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−可塑剤殻で被覆された酸化鉄顔料を含有する内核を調製した。次いで(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤2gを5分間撹拌しながら加え、続いて(黄色酸化鉄/水酸化鉄、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄又はこれらの混合物から選択される)酸化鉄顔料4gを15分間撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル15mlで飽和させた水90ml中で乳化させた。この懸濁液を水900ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降によって分離し、水で洗浄し、30℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0152】
第2段階では、得られた内核マイクロカプセル6gを、さらなる殻で被覆する前に、0.01gのアエロジル200で粉末処理した。
【0153】
第3段階では、Eudragit RS PO、1gを酢酸エチル15ml中に5〜10分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤2gを5分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物11gを加えた。得られた分散液を3分間超音波で処理した。次いで、このポリマー−可塑剤殻で被覆された酸化鉄顔料を含有する粉末処理修飾内核6gを、この分散液に5分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル11mlで飽和させた水84ml中で乳化させた。得られた懸濁液を、水840ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出するため及びマイクロカプセルを形成させるために3〜5分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。この二層マイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。顕微鏡による検査は、この複合二層マイクロカプセルの外見が滑らかな表面を有する白色球状粒子であることを示した(示さず)。この結果は、外殻が組み込まれた顔料の色をかなり効率よく隠すことを示している。
【0154】
(実施例16)
顔料カルミンのポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
顔料カルミンの複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化を以下の手順によって行った。
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1gを酢酸エチル20ml中に50℃で20分間撹拌しながら溶解させ、次いでこの溶液を室温まで冷却することによってポリマー−可塑剤殻で被覆された顔料カルミンを含有する内核を調製した。その後、Eudragit RS PO、2gを酢酸エチル20ml中に室温で5分間撹拌しながら溶解させ、得られた溶液を最初の溶液中に7分間撹拌しながら注ぎ入れた。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤0.5gを3分間撹拌しながら加え、続いて顔料カルミン2gを3分間撹拌しながら加えた。次いで、この懸濁液を超音波で3分間処理した。得られた懸濁液を、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル15mlで飽和させた水150ml中で乳化させ、水1L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、水で洗浄し、40℃の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0155】
第2段階では、得られた内核マイクロカプセル5gを、さらなる殻で被覆する前に、0.01gのアエロジル200で粉末処理した。
【0156】
第3段階では、ポリマー−可塑剤内殻で被覆された顔料カルミンを含有する粉末処理修飾内核マイクロカプセルを、以下の通りにポリマー−鉱物殻で被覆した。
Eudragit RS PO、15gを酢酸エチル200ml中に7分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤5gを3分間撹拌しながら加え、Tween−80、5gを3分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物16gを3分間撹拌しながら加えた。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、顔料カルミンを含有し、ポリマー−可塑剤殻を有する粉末処理修飾内核4gを、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、パラフィン油又はこれらの混合物から選択される)可塑剤80g中に3分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル150mlで飽和させた水2L中で乳化した。得られたサスポエマルジョンを水9L中に注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10℃の温度で15分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行い、続いて10℃の温度でさらに水で洗浄し、20℃の温度で乾燥した。得られたマイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。顕微鏡による検査は、これらの複合二層マイクロカプセルの外見が滑らかな表面を有する白色〜ピンクの球状微粒子であることを示した(示さず)。この結果は、外殻が、組み込まれた顔料の色をかなり効率よく隠すことを示している。
【0157】
(実施例17)
顔料酸化クロム/水酸化クロムのポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、Eudragit RS PO、2.5gを酢酸エチル15ml中に10分間撹拌しながら溶解させることによって顔料酸化クロム(グリーン)/水酸化クロム(ブルー)を含有する内核を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1.5gを5分間撹拌しながら加え、続いて酸化クロム(グリーン)/水酸化クロム(ブルー)5gを15分間撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を、PVA0.3gを含有し、あらかじめ酢酸エチル16mlで飽和させた水85ml中で乳化させた。この懸濁液を、水850ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために3〜5分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降によって分離し、淡水で洗浄し、40℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0158】
第2段階では、顔料を含有する内核マイクロカプセル6gを、外殻で被覆する前に、0.05gのアエロジル200で粉末処理した。
【0159】
第3段階では、ポリマー−可塑剤内殻で被覆された酸化クロム(グリーン)/水酸化クロム(ブルー)を含有する粉末処理修飾内核を、以下の通りポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO、2gを酢酸エチル15ml中に5〜10分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを5分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物11gを加えた。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、顔料酸化クロム(グリーン)/水酸化クロム(ブルー)を内部に含有する粉末処理修飾内核6gを分散液に5分間撹拌しながらゆっくり加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA0.3gを含有し、あらかじめ酢酸エチル12mlで飽和させた水85ml中で乳化させた。得られた懸濁液を水850ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために3〜5分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。二層マイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。顕微鏡検査は、この複合二層マイクロカプセルの外見は滑らかな表面を有する白色球状微粒子であることを示した。この結果は、外殻が、組み込まれた顔料の色をかなり効率よく隠すことを示している。
【0160】
(実施例18)
D&C赤色21号アルミニウムレーキのポリマー可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1gを酢酸エチル30ml中に、50℃の温度で20分間撹拌しながら溶解させ、次いでこの溶液を室温まで冷却することによってD&C赤色31号アルミニウムレーキ(Fluoran)を内部に含有する内核を調製した。Eudragit RS PO、2gを酢酸エチル30ml中に室温で5分間撹拌しながら溶解させ、この溶液を最初の溶液中に7分間撹拌しながら注ぎ入れた。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、トリラウリン、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤3gを3分間撹拌しながら加え、続いてD&C赤色21号アルミニウムレーキ4gをさらに3分間撹拌しながら加え、この懸濁液を超音波で3分間処理した。得られた懸濁液を、PVA0.8gを含有し、あらかじめ酢酸エチル37mlで飽和させた水300g中で乳化させた。得られた懸濁液を水2L中に撹拌しながら加え、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10〜15分間インキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降によって分離し、水で洗浄し、40℃の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0161】
第2段階では、核表面を外殻で被覆する前に処理するために、得られた核マイクロカプセル5gを0.01gのアエロジル200で粉末処理した。
【0162】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆されたD&C赤色21号アルミニウムレーキを含有する粉末処理修飾内核を、以下の通りポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO、5gを酢酸エチル120ml中に7分間撹拌しながら溶解させ、次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤4gを3分間撹拌しながら加え、Tween−80、4gを3分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物7gを3分間撹拌しながら加えることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、D&C赤色21号アルミニウムレーキを内部に含有する粉末処理修飾内核4gを(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、パラフィン油又はこれらの混合物から選択される)可塑剤70g中に3分間撹拌しながら徐々に加えた。この混合物を、分散液に3分間撹拌しながら加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA4gを含有し、あらかじめ酢酸エチル100mlで飽和させた水800ml中で乳化させた。得られたサスポエマルジョンを、水5L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10℃で15分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離の手順は、第1段階で記載した通りに行い、続いて10℃の温度でさらに水で洗浄し、20℃の温度で乾燥した。この二層マイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。
【0163】
(実施例19)
着色料D&C緑色6号脂溶性のポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)1gを酢酸エチル20ml中に50℃の温度で20分間撹拌しながら溶解させ、この溶液を室温まで冷却することによって着色料D&C緑色6号脂溶性を内部に含有する内核を調製した。Eudragit RS PO、3gを酢酸エチル20ml中に室温で5分間撹拌しながら溶解させ、この溶液を最初の溶液中に7分間撹拌しながら注ぎ入れた。次いで(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、トリラウリン、ミリスチン酸イソプロピル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ケイ酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)可塑剤10gを3分間撹拌しながら加え、続いて着色料D&C緑色6号脂溶性をさらに3分間撹拌しながら加え、次いでこの懸濁液を超音波で3分間処理した。得られた懸濁液を、PVA1.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル32mlで飽和させた水250ml中で乳化させた。得られた懸濁液を水2L中に撹拌しながら加え、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるためにインキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、水で洗浄し、20℃の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0164】
第2段階では、外殻で被覆する前に核表面を処理するために、得られた核マイクロカプセル10gをケイ酸マグネシウム0.1gで粉末処理した。
【0165】
第3段階では、ポリマー−可塑剤殻で被覆された着色料D&C緑色6号脂溶性を含有する粉末処理修飾内核を、以下の通りにポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO、1gを酢酸エチル30ml中に撹拌しながら7分間で溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製し、次いで(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを3分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物7gを加えて3分間撹拌した。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、着色料D&C緑色6号脂溶性を内部に含有する粉末処理修飾内核7gを分散液に3分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル20mlで飽和させた水200ml中で乳化させた。得られたサスポエマルジョンを水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10℃で15分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルを流動性のよい粉末として分離する手順は、第1段階で記載した通りに行い、続いてさらに10℃の温度での水洗浄及び20℃の温度での乾燥を行った。この二層マイクロカプセルの外径は40〜60μmであった。
【0166】
(実施例20)
D&C赤色7号カルシウムレーキのポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合二層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、Eudragit RS PO、3gを酢酸エチル15ml中に撹拌しながら10分間で溶解させることによってD&C赤色7号カルシウムレーキを含有する内殻を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを5分間撹拌しながら加え、続いてD&C赤色7号カルシウムレーキ6gを15分間撹拌しながら加えた。得られた懸濁液を、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル15mlで飽和させた水84ml中で乳化させ、水840ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるためにインキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降によって分離し、水で洗浄し、40℃以下の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0167】
第2段階では、外殻で被覆する前に核表面を処理するために、得られた核マイクロカプセル3gをケイ酸マグネシウム0.1gで粉末処理した。
【0168】
第3段階では、得られたポリマー−可塑剤殻で被覆されたD&C赤色7号カルシウムレーキを含有する、修飾された内核マイクロカプセルを、以下の通りにポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO,1gを酢酸エチル15ml中に5〜10分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製し、次いで(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを5分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の)二酸化チタン7gを加えた。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、D&C赤色7号カルシウムレーキを内部に含有する核マイクロカプセル1gを分散液に5分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA0.5gを含有し、あらかじめ酢酸エチル11mlで飽和させた水84ml中で乳化させた。得られた懸濁液を水840ml中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために3〜5分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行った。このマイクロカプセルの外径は50〜70μmであった。
【0169】
(実施例21)
顔料青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)の第1ポリマー−可塑剤内殻、第2ポリマー−鉱物内殻及びポリマー−鉱物外殻を有する複合三層マイクロカプセル中へのカプセル化
第1段階では、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)2gを酢酸エチル40ml中に50℃の温度で20分間撹拌しながら溶解させることによって顔料青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)を内部に含有する内核マイクロカプセルを調製し、次いでこの溶液を室温まで冷却した。その後、Eudragit RS PO、4gを酢酸エチル40ml中に室温で5分間撹拌しながら溶解させ、得られた溶液を最初の溶液中に7分間撹拌しながら注ぎ入れた。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される)可塑剤1gを3分間撹拌しながら加え、続いて顔料青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)6gを3分間撹拌しながら加えた。次いで、この懸濁液を超音波で3分間処理した。得られた懸濁液を、PVA1gを含有し、あらかじめ酢酸エチル30mlで飽和させた水300ml中で乳化させ、水2L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるためにインキュベートした。得られた核マイクロカプセルを沈降分離し、水で洗浄し、20℃の温度で乾燥して流動性のよい粉末を得た。
【0170】
第2段階では、得られた核マイクロカプセル10gを外殻で被覆する前に0.05gのアエロジル200で粉末処理した。
【0171】
第3段階では、顔料青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)を含有する粉末処理修飾核マイクロカプセルを、以下の通りにポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO、15gを酢酸エチル200ml中に7分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製し、次いで(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される)可塑剤5gを3分間撹拌しながら加え、Tween−80、5gを3分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物16gを3分間撹拌しながら加えた。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、顔料青色1号アルミニウム(インジゴカルミンレーキ)を内部に含有する粉末処理修飾内核6gを(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、パラフィン油又はこれらの混合物から選択される)可塑剤80g中に3分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA10gを含有し、あらかじめ酢酸エチル150mlで飽和させた水2L中で乳化させた。得られたサスポエマルジョンを水9L中に撹拌しながら注ぎ入れ、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10℃の温度で15分間インキュベートした。複合二層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行い、続いて10℃の温度でさらに水で洗浄し、20℃の温度で乾燥した。
【0172】
第4段階では、第3段階からの複合二層マイクロカプセル20gを、さらに1層の外殻で被覆する前に、ケイ酸マグネシウム0.2gで粉末処理した。
【0173】
第5段階では、第4段階からの粉末処理で修飾されたマイクロカプセルを、以下の通りにさらに1層のポリマー−鉱物殻で被覆した。Eudragit RS PO、2gを酢酸エチル100ml中に7分間撹拌しながら溶解させることによってポリマー−鉱物分散液を調製した。次いで、(トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、又はこれらの混合物から選択される)可塑剤4gを3分間撹拌しながら加え、続いて(アナターゼ、ルチル、ブルーカイト又はこれらの混合物の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα改変、ケイ酸マグンネシウム、若しくはカリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルモシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される)鉱物5gを3分間撹拌しながら加えた。得られた分散液を超音波で3分間処理した。次いで、第4段階からの粉末処理修飾マイクロカプセル20gを、この分散液に3分間撹拌しながら徐々に加えた。均一な懸濁液が得られた後、それを、PVA3gを含有し、あらかじめ酢酸エチル60mlで飽和させた水600ml中で乳化させた。得られたサスポエマルジョンを水5L中に撹拌しながら加え、酢酸エチルを抽出し、且つマイクロカプセルを形成させるために10℃の温度で15分間インキュベートした。複合三層マイクロカプセルの流動性のよい粉末としての分離は、第1段階で記載した通りに行い、10℃の温度でさらに水で洗浄し、20℃の温度で乾燥した。得られたマイクロカプセルの外径は70〜90μmであった。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1A】本発明の単層又は二層マイクロカプセル中にカプセル化された場合のレチノールの酸化からの保護の有効性を、カプセル化されていないレチノールと比較して例示するグラフである。酸化反応速度の測定結果は25℃で試験したものである。
【図1B】本発明の単層又は二層マイクロカプセル中にカプセル化された場合のレチノールの酸化からの保護の有効性を、カプセル化されていないレチノールと比較して例示するグラフである。酸化反応速度の測定結果は40℃で試験したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化された活性成分で作られた核及び同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つ若しくは複数の殻からなる局所適用のためのマイクロカプセルの製造方法であって、
(a)活性成分を、場合により酸化防止剤、可塑剤又は両方と一緒に、部分的に水と混和性であり、且つ該物質を、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、ポリ(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−co−(メチルメタクリレート)(1:2:1)、ポリ(スチレン)−co−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミドのコポリマー、セルロースエーテル、セルロースエステル及びポリ(エチレングリコール)−ブロック(block)−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック(block)−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される壁形成ポリマーと一緒に溶解又は分散させる能力を有する種類の有機溶媒中に溶解又は分散させて、有機の溶液又は分散液を形成させる段階と、
(b)該有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(c)撹拌しながら段階(a)で得た有機の溶液又は分散液を段階(b)で得た水性連続相中に注ぎ込んでエマルジョンを形成させる段階と、
(d)段階(c)で得たエマルジョンに過剰量の水を加えてエマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始し、溶媒のさらなる抽出及び固形のマイクロカプセル(以下「核マイクロカプセル」)の形成のために場合によりインキュベートする段階と、
(e)(i)核マイクロカプセルを分離し、水で洗浄して乾燥する段階、又は(ii)核マイクロカプセルをアルコールの水溶液中に浸漬し、核マイクロカプセルを分離して乾燥する段階の、いずれか一方を行って単層マイクロカプセルを得る段階と、
(f)所望により、段階(e)で得た核単層マイクロカプセルの表面を、核表面の形態を修飾し、比表面積を増加させ、且つさらに1層のポリマー殻の接着を促進させる材料で処理する段階と、
段階(a)から(e)を繰り返して二層マイクロカプセルを形成させるか、又は段階(a)から(f)を繰り返してさらに2つ以上の層を核マイクロカプセルの周囲に付け加えてそれによって多層マイクロカプセルを得る段階と
を含む方法。
【請求項2】
可塑剤が段階(a)で活性成分と共に加えられ、且つ単層マイクロカプセルがポリマー−可塑剤外殻を有する単層マイクロカプセルを製造するための、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性成分がビタミン、植物油又は芳香剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
植物油が月見草油、ボラージ油、ヒッポファエ(Hippophae)油又はティーツリー油である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
活性成分がマクロライド系抗生物質である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
壁形成ポリマーがエチルセルロースであり、活性成分がビタミン又は植物油である、請求項1に記載の方法によって得られる、ポリマー−可塑剤外殻を有する口腔衛生用単層マイクロカプセル。
【請求項7】
活性成分がパルミチン酸レチノール、トコフェロール、ヒッポファエ油又はティーツリー油である、請求項6に記載の口腔衛生用単層マイクロカプセル。
【請求項8】
マイクロカプセルが壁形成ポリマー殻の内部に入れられた活性成分を含有する内殻マイクロカプセル及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーでできた1つ又は複数の外殻からなる局所適用のための多層マイクロカプセルを製造するための請求項1に記載の方法であって、
(a)活性成分を、場合により酸化防止剤、可塑剤又は両方と一緒に、部分的に水と混和性であり、且つ該物質を、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、ポリ(ブチルメタクリレート)−co−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−co−(メチルメタクリレート)(1:2:1)、ポリ(スチレン)−co−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミドのコポリマー、セルロースエーテル、セルロースエステル及びポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される壁形成ポリマーと一緒に溶解又は分散させる能力を有する種類の有機溶媒中に溶解又は分散させて、有機の溶液又は分散液を形成させる段階と、
(b)該有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(c)撹拌しながら段階(a)で得た有機の溶液又は分散液を段階(b)で得た水性連続相中に注ぎ入れてエマルジョンを形成させる段階と、
(d)段階(c)で得たエマルジョンに過剰量の水を加えてエマルジョンからの有機溶媒の抽出を開始し、溶媒のさらなる抽出及び固形のマイクロカプセル(以下「内核マイクロカプセル」)の形成のために場合によりインキュベートする段階と、
(e)(i)内核マイクロカプセルを分離し、水で洗浄して乾燥する段階、又は(ii)核マイクロカプセルをアルコールの水溶液中に浸漬し、核マイクロカプセルを分離して乾燥する段階のいずれか一方と、
(f)段階(e)で得た乾燥した内核マイクロカプセルの表面を、核表面の形態を修飾し、比表面積を増加させ、且つさらに1層のポリマー殻の接着を促進させる材料で処理し、そうすることによって前記材料で粉末処理されたマイクロカプセル(以下「粉末処理修飾内核」)を得る段階と、
(g)壁形成ポリマーを可塑剤又は鉱物と一緒に、部分的に水と混和性である種類の有機溶媒中に溶解又は分散させてポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物分散液を形成させる段階と、
(h)該有機溶媒で飽和させた、乳化剤を含む水性連続相を調製する段階と、
(i)撹拌しながら段階(g)で得たポリマー−可塑剤溶液又はポリマー−鉱物分散液を段階(h)で得た水性連続相中へ注ぎ入れてポリマー−可塑剤エマルジョン又はポリマー−鉱物懸濁エマルジョンを形成させる段階と、
(j)撹拌しながら段階(f)で得た粉末処理修飾内核を段階(i)で得たポリマー−可塑剤のエマルジョン又はポリマー−鉱物の懸濁エマルジョン中に浸漬して、多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを形成させ、前記核マイクロカプセルの周囲で「胚」殻の形成が開始される段階と、
(k)撹拌しながら、(i)段階(j)で得た多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンに過剰量の水を加えること、又は(ii)段階(j)で得た多成分エマルジョン又は新たなサスポエマルジョンを水中に注ぎ入れることのいずれかを行い、さらに該多成分エマルジョン又はサスポエマルジョンからの有機溶媒の抽出、及び「胚」殻の固形ポリマー壁への転化並びに二層マイクロカプセルの形成のために系をインキュベートする段階と、
(l)得られた二層マイクロカプセルを水から分離し、濡れたカプセルを乾燥し、それによって二層マイクロカプセルを流動性のよい粉末として分離する段階と、
(m)所望により、段階(f)〜(l)を繰り返して二層マイクロカプセルの周囲にさらに1層又は複数の層を形成させ、それによって多層マイクロカプセルを得る段階と
を含む方法。
【請求項9】
前記活性成分が少なくとも1つの生物活性を有する作用物質、臭気剤、又は着色剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生物活性を有する作用物質がビタミン、天然抽出物、天然源から単離された個々の化合物、精油、及び局所適用のための医薬物質からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビタミンがビタミンA、B、C、D、E、F、K、P、又はこれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ビタミンAがレチノール又はパルミチン酸レチノールであり、前記ビタミンEがα−トコフェロールであり、前記ビタミンFがリノール酸及びリノレン酸の混合物であり、前記ビタミンPがルチンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記天然抽出物がリコリス抽出物、グレープ種抽出物、月見草油、ボラージ油、又はヒッポファエ油である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記天然源から単離された個々の化合物がクマリン、カルコン、フラバン、フラバノール、フラボノール、フラボン、フラバノン、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンからなる群から選択されるフラボノイドである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記フラボノイドがルチンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記精油がバジル精油、ユーカリ精油、ゼラニウム精油、グレープフルーツ精油、レモン精油、ペパーミント精油、ティーツリー油、又はこれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記局所適用のための医薬物質が抗生物質である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記抗生物質がエリスロマイシン、アジスロマイシン又はクラリスロマイシンからなる群から選択されるマクロライド系抗生物質である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記臭気剤が芳香剤、香料、精油、及び揮発性の天然及び合成化合物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記揮発性化合物がメントールである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記着色剤が有機及び無機顔料、着色料及び天然源からの着色剤からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記着色剤がカルミン、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム/水酸化クロム、D&C赤色21号アルミニウムレーキ、D&C赤色7号カルシウムレーキ、D&C緑色6号脂溶性、及び青色1号アルミニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの作用物質である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
壁形成ポリマー殻がポリマー−可塑剤殻又はポリマー−鉱物殻である、請求項8に記載の方法。
【請求項24】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−可塑剤殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−可塑剤殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが異なる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−鉱物殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−鉱物殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
ポリマー内殻がポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻がポリマー−鉱物殻であるか、又はポリマー内殻がポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻がポリマー−可塑剤殻であって、且つ内殻のポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
ポリマー内殻がポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻がポリマー−鉱物殻であるか、又はポリマー内殻がポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻がポリマー−可塑剤殻であって、且つ内殻のポリマー及び外殻のポリマーが異なる、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記壁形成ポリマーがエチルセルロース、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、又はこれらの混合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項31】
前記部分的に水と混和性の有機溶媒が局所適用を承認された有機溶媒である、請求項8に記載の方法。
【請求項32】
前記有機溶媒が酢酸エチル、エタノール、ギ酸エチル、又はこれらの混合物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記段階(g)中のポリマー−可塑剤溶液を形成する可塑剤がトリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項34】
前記段階(g)中のポリマー−鉱物分散液を形成する鉱物が二酸化チタン、窒化ホウ素、ケイ酸マグネシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムハイドロアルモシリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項35】
前記段階(f)中の核表面の形態を変化させて比表面積を増加させる材料がジオキソシリコン又はケイ酸マグネシウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項36】
核マイクロカプセルが2つ以上の活性成分を含有するか、又は前記活性成分が酸化防止剤との混合物になっている、請求項8に記載の方法。
【請求項37】
多層マイクロカプセルが二層又は三層マイクロカプセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を含有する内核マイクロカプセル、及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つ又は複数の外殻からなる局所適用のための多層マイクロカプセルであって、請求項1に記載の方法によって得られる多層マイクロカプセル。
【請求項39】
壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を含有する内核マイクロカプセル、及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つ又は複数の外殻からなる局所適用のための多層マイクロカプセルであって、請求項8に記載の方法によって得られる多層マイクロカプセル。
【請求項40】
内核マイクロカプセルの外径が1〜100μmであり、多層マイクロカプセルの外径が10〜200μmである、請求項39に記載の多層マイクロカプセル。
【請求項41】
前記多層マイクロカプセルの外径が30〜50μmである、請求項40に記載の多層マイクロカプセル。
【請求項42】
壁形成ポリマーの内部に入れられた活性成分を含有する内核マイクロカプセル、及び内核マイクロカプセルを被覆する同じ又は異なる壁形成ポリマーの1つの外殻からなる局所適用のための二層マイクロカプセルであって、請求項8に記載の方法によって得られる二層マイクロカプセル。
【請求項43】
前記活性成分が生物活性を有する少なくとも1つの作用物質、臭気剤又は着色剤である、請求項42に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項44】
前記生物活性を有する作用物質がビタミン、天然抽出物、天然源から単離された個々の化合物、精油、及び局所適用のための医薬物質からなる群から選択される、請求項43に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項45】
前記ビタミンがビタミンA、B、C、D、E、F、K、P、又はこれらの混合物である、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項46】
前記ビタミンAがレチノール又はパルミチン酸レチノールであり、前記ビタミンEがα−トコフェロールであり、前記ビタミンFがリノール酸及びリノレン酸の混合物であり、前記ビタミンPがルチンである、請求項45に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項47】
前記天然抽出物がリコリス抽出物、グレープ種抽出物、月見草油、ボラージ油、又はヒッポファエ油である、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項48】
前記天然源から単離された個々の化合物がクマリン、カルコン、又はフラバン、フラバノール、フラボノール、フラボン、フラバノン、イソフラボン、アントシアニジン、及びプロアントシアニジンからなる群から選択されるフラボノイドである、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項49】
前記フラボノイドがルチンである、請求項48に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項50】
前記精油がバジル精油、ユーカリ精油、ゼラニウム精油、グレープフルーツ精油、レモン精油、ペパーミント精油、ティーツリー油、又はこれらの混合物である、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項51】
前記局所適用のための医薬物質が抗生物質である、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項52】
前記抗生物質がエリスロマイシン、アジスロマイシン又はクラリスロマイシンからなる群から選択されるマクロライド系抗生物質である、請求項51に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項53】
前記臭気剤が芳香剤、香料、精油、及び揮発性の天然及び合成化合物である、請求項44に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項54】
前記揮発性化合物がメントールである、請求項53に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項55】
前記着色剤が有機及び無機顔料、着色料及び天然源からの着色剤からなる群から選択される、請求項43に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項56】
前記着色剤がカルミン、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム/水酸化クロム、D&C赤色21号アルミニウムレーキ、D&C赤色7号カルシウムレーキ、D&C緑色6号脂溶性、及び青色1号アルミニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの作用物質である、請求項55に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項57】
壁形成ポリマー殻がポリマー−可塑剤殻又はポリマー−鉱物殻である、請求項42に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項58】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−可塑剤殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項59】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−可塑剤殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが異なる、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項60】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−鉱物殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項61】
ポリマー内殻及びポリマー外殻が両方ともにポリマー−鉱物殻であり、且つ内核マイクロカプセルのポリマー及び外殻のポリマーが異なる、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項62】
ポリマー内殻がポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻がポリマー−鉱物殻であるか、又はポリマー内殻がポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻がポリマー−可塑剤殻であって、且つ内殻のポリマー及び外殻のポリマーが同一である、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項63】
ポリマー内殻がポリマー−可塑剤殻であり、ポリマー外殻がポリマー−鉱物殻であるか、又はポリマー内殻がポリマー−鉱物殻であり、ポリマー外殻がポリマー−可塑剤殻であって、且つ内殻のポリマー及び外殻のポリマーが異なる、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項64】
前記壁形成ポリマーがエチルセルロース、ポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、又はこれらの混合物である、請求項42に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項65】
前記ポリマー−可塑剤殻を形成する可塑剤がトリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項66】
前記ポリマー−鉱物殻を形成する鉱物が二酸化チタン、窒化ホウ素、ケイ酸マグネシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムハイドロアルモシリケート、マイカ(及び)ミリスチン酸マグネシウム、二酸化チタン(及び)ミリスチン酸マグネシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項57に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項67】
核マイクロカプセルが2つ以上の活性成分を含有するか、又は前記活性成分が酸化防止剤との混合物になっている、請求項42に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項68】
活性成分がレチノール、パルミチン酸レチノール、リコリス抽出物、又はティーツリー油であり、ポリマー−可塑剤内殻及び外殻の壁形成ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)であるか、又は活性成分がルチンであり、ポリマー−可塑剤内殻及び外殻の壁形成ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)及びポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)の混合物である、請求項58に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項69】
活性成分がグレープ種抽出物又は酸化鉄顔料であり、ポリマー−鉱物内殻及びポリマー−可塑剤外殻の壁形成ポリマーがポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である、請求項62に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項70】
活性成分がメントールであり、ポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)である、請求項62に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項71】
活性成分が酸化クロム/水酸化クロム顔料又はD&C赤色カルシウムレーキであり、ポリマー−可塑剤内殻及びポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーがポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である、請求項62に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項72】
活性成分がレチノール、カルミン顔料、D&C赤色21号アルミニウムレーキ又はD&C緑色6号脂溶性であり、ポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)であり、ポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーがポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である、請求項63に記載の二層マイクロカプセル。
【請求項73】
活性成分が青色1号アルミニウムであり、ポリマー−可塑剤内殻の壁形成ポリマーがポリ(メチルメタクリレート)−co−(メタクリル酸)(1:0.16)及びポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)の混合物であり、2層のポリマー−鉱物外殻の壁形成ポリマーがポリ(エチルアクリレート)−co−(メチルメタクリレート)−co−(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)である、請求項39に記載の三層マイクロカプセル。
【請求項74】
活性成分がエリスロマイシン、クラリスロマイシン及びアジスロマイシンからなる群から選択されるマクロライド系抗生物質であり、請求項1に記載の方法によって得られる単層マイクロカプセルを含む、局所適用のための組成物。
【請求項75】
請求項6に記載の単層マイクロカプセルを含む口腔衛生用組成物。
【請求項76】
請求項39に記載の多層マイクロカプセルを含む局所適用のための組成物。
【請求項77】
請求項42に記載の二層マイクロカプセルを含む局所適用のための組成物。
【請求項78】
スキンケア、皮膚用栄養補助、ヘアケア、日光ケア、ベビーケア、口腔衛生及び口腔ケア用の、請求項77に記載の二層マイクロカプセルを含む組成物。
【請求項79】
口腔衛生及び口腔ケア用の、請求項77に記載の二層マイクロカプセルを含む組成物。
【請求項80】
活性成分が医薬品である、局所適用のための請求項77に記載の二層マイクロカプセルを含む組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2009−504402(P2009−504402A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527593(P2008−527593)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000977
【国際公開番号】WO2007/023495
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505391584)タグラ バイオテクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】