説明

印刷マスク、印刷方法および印刷装置

【課題】 はんだペーストなどの電気伝導性ペーストのスクリーン印刷時における抜け性を向上させるとともに基板のランド設計の自由度を向上させ、断線なども発生しない安定したスクリーン印刷が可能な印刷マスク、印刷方法および印刷装置を提供することである。
【解決手段】 印刷マスク101は、絶縁性を有する基材106に、厚み方向に貫通する貫通孔109が所定の位置に設けられており、貫通孔109の内周面に通電時に発熱する発熱体層116が形成される。この発熱体層116よりも抵抗率が低い金属で、発熱体層116と電気的に導通可能に構成され、基材106の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって表面金属層111が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーストを被転写体の表面上に転写するパターン印刷に用いる印刷マスク、印刷方法および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高機能化が進む中で、より高密度で低コストの実装形体が求められている。例えば電子回路基板の製造において、プリント基板(以下、基板という)の部品搭載位置に設けられた、チップ部品との接続端子であるランド(パッド)上にチップ部品などの電子回路部品を実装するには、はんだ付けによりランドを介して電子回路部品と基板の内層、表層の配線と電気的な導通を確保するものが主である。
【0003】
はんだ付けによる実装には、リフロー方式があり、フラックスとはんだ粉を混合してペースト状としたはんだペースト(クリームはんだ、またはソルダペーストと呼ばれることがある)をランド上にパターン印刷し、電子回路部品をはんだペースト状に載せたのち、リフロー炉ではんだペーストを溶融して接合させる。
【0004】
はんだペーストのパターン印刷にはメタルスクリーン印刷が採用されている。このようなはんだペーストのパターン印刷では、高密度実装のために、より微細なパターンで印刷することが求められている。
【0005】
ところで、従来のはんだペーストの印刷では、図5に示すような方式が採用されてきた。図5(a)に示すように、基板336上のランド341の位置に対応するように、メタルマスク301の厚み方向に貫通する貫通孔311を設け、ランド341と貫通孔311とを位置合わせして基板336上にメタルマスク301を固定する。
【0006】
図5(b)に示すように、メタルマスク301の基板336とは反対側の面にはんだペースト331を配置し、スキージ326によってはんだペースト331をメタルマスク301表面上で移動させると、貫通孔311にはんだペースト331を充填させる。
【0007】
全ての貫通孔311にはんだペースト331を充填させたのち、メタルマスク301を基板336上から取り去ると、ランド341上にはんだペースト331が残るというものである。
【0008】
このとき、図5(c)に示すように、貫通孔346の内部にペーストの一部または全部が付着して残ったままとなり、基板336のランド341上に転写されたペースト351の量、形状が不良となることが多くある。このように転写されたペーストの量が不足する、あるいは形状が不良である場合、最終的なはんだ接合部の機械的強度不足、ブリッジなどの不良が発生する可能性が高くなり、歩留まりの低下につながることになる。
【0009】
このような課題を解決する方法として、例えば特許文献1記載の方法がある。この方法では、マスクを誘導加熱することにより、貫通孔付近のはんだペーストを加熱し、はんだペーストの粘度を低下させ、最終的に貫通孔内部に残存するはんだペーストを低減させるものである。
【0010】
また特許文献2記載の印刷マスクは、複数のマスク本体を重ね、これらを貫通する貫通孔の開口内に発熱体を設け、この発熱体に電気的に接続される電気配線をマスク本体間に配設している。電気配線に電流を流すことで発熱体が発熱し、貫通孔内部に充填させたはんだペーストの粘度を低下させている。
【0011】
【特許文献1】特開平10−58650号公報
【特許文献2】特開2005−74649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1記載の印刷方法では、誘導加熱方式により貫通孔の上部より磁界を発生させるために貫通孔側面のみを選択的に加熱することは困難で、例えば両面実装基板などの場合、裏面にすでに実装されたはんだ接合部も加熱されてしまい、部品の落下や位置ズレが起こる恐れがある。しかもこの方法ではマスク全体が加熱されるために、マスク上のスキージ走査面上のはんだペーストも加熱されてしまう。はんだペーストには通常溶剤成分があり、加熱による溶剤の揮発促進で、ペーストの粘度が変わり、安定した印刷ができない、あるいはペースト成分の乾燥によるマスク上への残留で、マスク洗浄不良が起こる恐れがある。
【0013】
また特許文献2記載の印刷マスクは、全ての貫通孔に発熱体を設けることが必須となる。貫通孔が少ないパターンであればよいが、昨今の携帯電話装置のような高密度実装が求められる基板に対しては、貫通孔が著しく多くなり、かつ貫通孔間隙が小さいため、電気配線の引き回しが極めて困難となる。このため貫通孔を設ける位置に制限がかかり、基板のランド設計が著しく制限される。
【0014】
また、図2Aおよび図2Bに示されるように発熱体によってこの場合は貫通孔の内周面に段差ができることになる。このような段差はペーストの充填のバラつきが著しく大きくなると予想される。また一部に発熱体が設けられない部位ができるため、発熱体部分のペーストの粘度と、そうでない箇所で粘度のバラつきが発生しやすい。また発熱体に覆われてない箇所はペーストが詰まりやすく、発熱体の側壁にもペーストが接触し、抜けにくくなり、全体として貫通孔からのペーストの抜け性は悪くなる。
【0015】
さらに、電気配線を接着層とともに2枚のマスク基材ではさんだ構成となっている。このため印刷時にスキージ印圧によってマスクにかかるテンションでマスクが繰り返し曲げられた際に電気配線が断線しやすいという問題点もある。
【0016】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑み、はんだペーストなどの電気伝導性ペーストのスクリーン印刷時における抜け性を向上させるとともに基板のランド設計の自由度を向上させ、断線なども発生しない安定したスクリーン印刷が可能な印刷マスク、印刷方法および印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ペーストを被転写体の表面上に転写するパターン印刷に用いる印刷マスクであって、
厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、
前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、
前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とを有することを特徴とする印刷マスクである。
【0018】
また本発明は、前記発熱体層がニッケル、またはニッケル合金で形成されることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記基材が、有機樹脂材料で構成されることを特徴とする。
また本発明は、厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクを被転写体上に載せる工程と、スキージの移動により前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填する工程と、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することにより前記貫通孔内に充填されたペーストを前記被転写体上に転写する工程とを有するペーストの印刷方法であって、
前記印刷マスクは、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とで構成され、
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することを特徴とする印刷方法である。
【0020】
また本発明は、前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する工程を有し、前記洗浄工程を実施中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層に電圧を印加することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクと、前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填するためのスキージとを有し、前記印刷マスクを被転写体上に載置し、前記被転写体と前記印刷マスクとを接触させた状態で、前記スキージを移動して、前記ペーストを前記貫通孔に充填させ、さらに前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させて、前記貫通孔内に充填されたペーストを前記被転写体上に転写する印刷装置であって、
前記印刷マスクは、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とで構成され、
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することを特徴とする印刷装置である。
【0025】
また本発明は、前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱するように構成されることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始するように構成されることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止するように構成されることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する洗浄手段を有し、前記洗浄手段による洗浄中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層への電圧の印加を行うように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ペーストを被転写体の表面上に転写するパターン印刷に用いる印刷マスクであり、絶縁性を有する基材には、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられており、前記貫通孔の内周面に通電時に発熱する発熱体層が形成される。この発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、発熱体層と電気的に導通可能に構成され、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって表面金属層が形成される。
【0030】
これにより、貫通孔の内部にペーストの一部または全部が付着することがなく、貫通孔内のペースト全体を確実に被転写体上に転写することができ、従来の印刷マスクに比べて、よりファインなパターンのはんだ印刷を容易に行うことができる。
【0031】
さらに、表面金属層を印刷マスクの外表面に全面にわたって形成することにより、高密度実装が求められる基板に対して貫通孔の数やピッチに関係なく全ての貫通孔の発熱導体に対して電流供給が可能となり、被転写体の設計に制限がなくなり、また電流供給経路となる表面金属層の断線も発生しない。
【0032】
また本発明によれば、前記発熱体層はニッケル、またはニッケル合金で形成されるので、無電解めっき法により容易に形成することができる。
【0033】
また本発明によれば、前記基材が、有機樹脂材料で構成されるので、ペーストを転写する被転写体のうねりなどの凹凸を吸収可能で、かつ無電解めっき法により容易に発熱体層を形成することができる。
【0034】
また本発明によれば、厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクを被転写体上に載せ、スキージの移動により前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填させたのち、前記基板と前記印刷マスクを分離することにより前記貫通孔内に充填されたペーストを前記被転写体上に転写する。
【0035】
ここで、前記印刷マスクは、絶縁性を有する基材に、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられており、前記貫通孔の内周面に通電時に発熱する発熱体層が形成される。この発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、この発熱体層と電気的に導通可能に構成され、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって表面金属層が形成される。
【0036】
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離する。
【0037】
これにより、貫通孔の内部にペーストの一部または全部が付着することがなく、貫通孔内のペースト全体を確実に被転写体上に転写することができ、従来の印刷方法に比べて、よりファインなパターンのはんだ印刷を容易に行うことができる。
【0038】
さらに、表面金属層を印刷マスクの外表面に全面わたって形成することにより、高密度実装が求められる基板に対して貫通孔の数やピッチに関係なく全ての貫通孔の発熱導体に対して電流供給が可能となり、被転写体の設計に制限がなくなり、また電流供給経路となる表面金属層の断線も発生しない。
【0039】
また本発明によれば、前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱するので、印刷マスク全体を加熱することなく、貫通孔の内周面のみを効果的に加熱することができる。
【0040】
また本発明によれば、前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始する。
【0041】
これにより、ペースト全体や、ペーストの被転写体との接触面への加熱を少なくしながら、ペーストの発熱体層との接触面を加熱することができる。
【0042】
また本発明によれば、前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止する。
【0043】
これによりペーストを最適な時間加熱することが可能になり、加熱時間が長すぎることによる被転写体の温度上昇を防いだり、加熱時間が短すぎることによるペーストの貫通孔内への残留を防いだりすることができる。
【0044】
また本発明によれば、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する工程を有し、前記洗浄工程を実施中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層に電圧を印加する。
【0045】
これにより、分離後に前記印刷マスクの被転写体との接触面が洗浄され、またその際に、前記貫通孔側壁は加熱されているため、前記印刷マスクに残留したペーストが抜けやすくなる。
【0046】
また本発明によれば、厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクと、前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填するためのスキージとを有する印刷装置であり、前記印刷マスクは、絶縁性を有する基材に、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられており、前記貫通孔の内周面に通電時に発熱する発熱体層が形成される。この発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、発熱体層と電気的に導通可能に構成され、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって表面金属層が形成される。
【0047】
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離する。
【0048】
これにより、貫通孔の内部にペーストの一部または全部が付着することがなく、貫通孔内のペースト全体を確実に被転写体上に転写することができ、従来の印刷装置に比べて、よりファインなパターンのはんだ印刷を容易に行うことができる。
【0049】
さらに、表面金属層を印刷マスクの外表面に全面わたって形成することにより、高密度実装が求められる基板に対して貫通孔の数やピッチに関係なく全ての貫通孔の発熱導体に対して電流供給が可能となり、被転写体の設計に制限がなくなり、また電流供給経路となる表面金属層の断線も発生しない。
【0050】
また本発明によれば、前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱するように構成される。
【0051】
これにより、外部電圧による制御で印刷マスク全体を加熱することなく、容易に貫通孔の内周面のみを効果的に加熱することができる。
【0052】
また本発明によれば、前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始するように構成される。
【0053】
これにより、ペースト全体や、ペーストの被転写体との接触面への加熱を少なくしながら、ペーストの発熱体層との接触面を加熱することができる。
【0054】
また本発明によれば、前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止するように構成される。
【0055】
これによりペーストを最適な時間加熱することが可能になり、加熱時間が長すぎることによる被転写体の温度上昇を防いだり、加熱時間が短すぎることによるペーストの貫通孔内への残留を防いだりすることができる。
【0056】
また本発明によれば、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する洗浄手段を有し、前記洗浄手段による洗浄中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層に電圧を印加するように構成される。
【0057】
これにより、分離後に前記印刷マスクの被転写体との接触面が洗浄され、またその際に、前記貫通孔側壁は加熱されているため、前記印刷マスクに残留したペーストが抜けやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態を、スクリーン印刷による基板ランドへのはんだペーストのパターン印刷を例にとって説明する。なお本発明はこの例に限るものでなく、加熱により粘度が低下する性質をもつあらゆる電気的な接合ペーストのスクリーン印刷に適用可能である。
【0059】
図1は、本発明の実施の一形態である印刷マスク101の構成を示す図である。図1(a)は断面図を示し、図1(b)は平面図を示す。
【0060】
印刷マスク101は、基材106と表面金属層111、貫通孔109の内周面に設けられた発熱体層116からなる。基材106としては絶縁性を有する材料でかつ、表面にめっき形成が可能な材料であることが望ましく、たとえば有機樹脂材料であるポリイミドなどを用いることが好ましい。有機樹脂材料を基材106として用いることで、ペーストを転写する基板のうねりなどの凹凸を吸収可能で、かつ無電解めっき法により容易に発熱体層116が形成可能となる。
【0061】
基材106にはYAGレーザー、またはドリル加工などで、基板のランドパターンに対応するように貫通孔109が形成される。貫通孔109の大きさ、開口形状は、特に限定されず、ランドの大きさ、形状などに合わせて適宜設定すればよい。本実施形態では、開口形状は正方形である。
【0062】
貫通孔109の内周面の表面粗さも最終的なペーストの抜け性に影響を与えるため、その表面粗さは5μm以下に抑えるのが望ましい。通常、貫通孔109はYAGレーザーなどで加工されるが、このままでは5μm以下の表面粗さに抑えるのは困難である。そこでレーザー加工後に、ウェットエッチング法などの等方エッチングを行うことで、内周面の表面粗さが軽減され、最終的に5μm以下にすることが可能となる。
【0063】
このようにして複数の貫通孔109を設けた基材106にパラジウム触媒などを用いて、表面110を活性化し、無電解めっき処理を行い、基材106の表面110、および貫通孔109の内周面にめっき層を形成する。めっき層は、最終的には発熱体層116となるものであり、10-8以上の抵抗率を有する金属、たとえばニッケル、またはニッケル合金で形成することが好ましい。
【0064】
次にスパッタ法などで基材106の表面110上のめっき層上に、全面にわたって表面金属層111を形成する。ここでいう表面とは、基材106の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面をいう。また全面にわたって表面金属層111を形成するとは、2つの外表面のそれぞれの面において、全表面積(貫通孔の開口面積を除く)の90%以上を表面金属層111が覆っているような状態をいう。
【0065】
これにより、基材の表面には表面金属層111が全面にわたって形成され、貫通孔109の内周面にはめっき層のみが形成され、この貫通孔109の内周面に形成されためっき層が発熱体層116として機能する。通常スパッタ法は回り込みが少ないため、貫通孔109の内周面には表面金属層111はほとんど形成されない。しかし貫通孔109の開口面積が大きい場合、内周面にも付着する場合がある。このときは、ウェットエッチングなどの手法で内周面に付着した表面金属層111を除去する。
【0066】
表面金属層111は、発熱体層116よりも低抵抗となるように銅、アルミニウムなどスパッタで形成可能でかつ抵抗率の低い金属を用いることが好ましい。また、表面金属層111の厚さは、印刷マスク101表面を流れる電流の電気抵抗を低くするため、なるべく厚くするのがよいが、厚くするにはスパッタ時間が長くなってしまう。
【0067】
そこで発熱体層116がニッケルで、表面金属層111が銅であり、発熱体層116の厚さが1μmの場合、ニッケルの抵抗率は銅の抵抗率の5倍程度であることから、2μm以上であれば問題ない。また上述のウェットエッチングする場合、銅であれば、アンモニア系のアルカリエッチャントを用いることが可能である。
【0068】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施の一形態であるはんだペースト印刷装置および印刷方法を示す模式的断面図である。
【0069】
図2A(a)に示すように、はんだペーストのスクリーン印刷においては、まず被印刷体である基板136を図示しない台座上に真空吸着などの方法で保持し、マスク101に対して台座を上昇させ、基板136がマスク101に密着するように基板136を保持する。なお基板136のランド141上にマスク101に設けられた貫通孔109が対応するように基板136とマスク101とはあらかじめ位置合わせしておく。
【0070】
次に図2A(b)に示すようにマスク101の基板136に密着した面とは反対側の表面上にはんだペースト131をスキージ126でローリングさせ、マスク101の貫通孔109内に、はんだペースト131を充填させる。
【0071】
スキージ126は、その形状が平型、角型、剣型などで形成され、材質としてウレタンゴム、シリコンゴム、金属などが用いられる。本発明のような、有機樹脂材料を基材とする印刷マスクとし、はんだペーストを貫通孔に充填するような場合は、ウレタンゴムからなり平型形状のものを使用する。
【0072】
スキージ126の印刷マスク101表面に対する角度であるアタック角度は、ペーストの種類、貫通孔109の開口形状、開口寸法などによるが、たとえば30〜80度が好ましく、本実施形態では60度としている。
【0073】
全ての貫通孔109にペーストが充填されたのち、図2B(c)に示すように、両面の表面金属層111間に電源151を介して電圧を印加して、最終的に発熱体層116に通電して、ジュール熱を発生させる。このときの印加電圧は、最終的な発熱体層116の温度を100℃にすると仮定すると、マスク厚さ120μm、400μm角の貫通孔、導体層111を1μm厚さで形成した場合で、1mWの電力印加が必要となる。
【0074】
発熱体層116の発熱による最適温度は、使用するはんだペーストの物性によって異なるが、あまりにも高温になるとペースト中の溶剤成分の揮発が早くなる恐れがある。よって溶剤成分の揮発が極端に早くならない程度の温度に設定するのが望ましい。
【0075】
このようにしてマスク101の貫通孔109の内周面を加熱し、所定の温度に到達させた段階で台座とともに基板136を下降させ、マスク101と基板136とを離間させる。このときマスク101の貫通孔109の内周面の発熱により、貫通孔109内に充填されたペースト146の貫通孔109内周面に設けられた発熱体層116との接触部分、すなわちペースト146を柱状とすると外周面付近の温度が上昇しペースト146の粘度低下が発生して貫通孔109内周面に対する密着力が低下する。
【0076】
一方、基板136のランド141とペースト146とは、ペースト146を柱状とするとその底面部分で接触しており、この接触部分の温度は、発熱体層116の発熱による温度上昇の影響を受けず、発熱体層116との接触部分よりも温度が低くなるため、ペースト146の粘度が低下せず、ペースト146とランド141間の密着力は維持される。
【0077】
図2B(d)のように基板136を下降させると、マスク101の貫通孔109に充填されていたペースト146が抜け、基板136のランド141上に転写される。
【0078】
このとき、貫通孔109の内部にペースト146の一部または全部が付着することがなく、貫通孔109内のペースト146全体を確実にランド141上に転写することができ、従来の印刷方法に比べて、よりファインなパターンのはんだ印刷を容易に行うことができる。
【0079】
さらに、表面金属層111を印刷マスク101の外表面に全面にわたって形成することにより、高密度実装が求められる基板に対して貫通孔109の数やピッチに関係なく全ての貫通孔109の発熱導体116に対して電流供給が可能となり、基板のランド設計に制限がなくなり、また発熱体層116への電流供給経路となる表面金属層111の断線も発生しない。
【0080】
貫通孔109の内周面の発熱体層116の加熱は予め実施しておいてもよい。すなわち、ペースト146を貫通孔109に充填する前に発熱体層116を発熱させた状態でペースト146の充填、基板136の降下を行い、そのまま次の印刷に移っても効果に影響はない。
【0081】
印刷マスク101の基材106は、複数枚から構成されてもよく、表面金属層111を複数枚重ねた最外表面に形成すればよい。
【0082】
さらに、発熱体層116の加熱シーケンスについて、貫通孔109に充填されたペースト146の抜け率向上という観点から、より効果的な実施形態を、図3、図4を用いて説明する。
【0083】
図3は加熱シーケンスの概略図を示している。縦軸は発熱体層116の温度を、横軸は時間を表す。時刻0において、スキージ126のマスク101上での移動を開始し、貫通孔109にはんだペースト146を充填する。はんだペースト146を貫通孔109に充填した後もスキージ126は移動を続け、時刻t1においてマスク101の端部に到達して停止する。0〜t1までの期間中は、発熱体層116の温度は常温h1からほとんど変化していない。
【0084】
充填されたはんだペースト146への加熱時間は、印刷マスク101と基板136とを分離する分離動作の開始前はできるだけ短いことが望ましい。そこでスキージ126の移動が完全に停止してから、電源151を介して表面金属層111に電圧を印加する。図3では、時刻t1において、スキージ126の移動を停止すると同時に、電圧の印加を開始している。そのようにして表面導体層111を通して発熱体層116に電流を印加し、発熱体層116を発熱させることで、発熱体層116とペースト146の接触面を加熱し、該接触面でのペースト146の粘度を低下させる。
【0085】
発熱体層116は、はんだペースト146の抜け率が向上する所定温度h2に達するように発熱させる。所定温度h2については後述する。発熱体層116が所定温度h2に達しているか否かは、図示しないサーモグラフィなどの非接触の温度測定装置を用いて、発熱体層116、もしくは発熱体層116上部の表面金属層111の温度を局所的に測定して確認することができる。発熱体層116の温度が所定温度h2に達するのが時刻t2である。時刻t2から所定期間p1経過後の時刻t3において、印刷マスク101と基板136とを分離する分離動作を開始する。所定期間p1についても後述する。
【0086】
分離動作の終了時刻がt4である。すなわち、時刻t4において、はんだペースト146は印刷マスク101から抜けきる。図3では、分離動作の終了と同時に表面金属層111への電圧の印加を停止している。分離動作の終了と電圧印加の停止は同時でなくてもよいが、分離動作が終了するまでは電圧を印加し続ける。分離動作の途中で発熱体層116からの加熱が無くなると、再び粘度が上昇して、貫通孔109内にはんだペースト146の一部が残留する恐れがあるからである。以上の加熱シーケンスにより、より高い抜け率での転写が可能となる。
【0087】
次に、前述の所定温度h2、所定期間p1について説明する。はんだペースト146の粘度は一般的に温度の上昇により低下する。このため、はんだペースト146の発熱体層116との接触面の温度を上げれば、該接触面の粘度が低下して、抜け率は向上する。しかし発熱体層116の温度があまりにも大きかったり、または加熱時間が長かったりすると、はんだペースト146の全体が加熱されたり、基板136のランド141が加熱されたりして、抜け率向上効果が得られない恐れがある。そこで、前述した加熱シーケンスでは、発熱体層116の温度や加熱時間を定めて、はんだペースト146の転写を行なっている。
【0088】
一般的なはんだペーストの単位面積あたりの粘着力と温度との関係は、例えば特開平10−58650号公報の図8に示されている。すなわち、一般的なはんだペーストには粘着力が極小値となる温度が存在する。本実施形態に用いた、Sn−Ag−Cu系はんだペーストでは約80℃で粘着力が極小となることが確認された。また、一般的なパターンである、直径200μmの貫通孔109を有する厚さ100μmの一般的な印刷マスクを用いた場合、約40℃において、発熱体層116とはんだペースト146との粘着力と、ランド141とはんだペースト146との粘着力とが釣り合うことが確認された。よって、温度を40℃以上80℃以下に保てば、抜け率向上の効果が得られることになる。本実施形態では、所定温度h2を40℃〜80℃の範囲内の温度とする。
【0089】
また、所定期間p1の有効な値を調べるために、所定期間p1の値を変えて抜け率の測定を行った。測定には平均粒径20μmのSn−Ag−Cu系はんだペーストと、直径150μm、200μm、250μm、300μmの貫通孔109を有した厚さ120μmの印刷マスクとを用いた。図4は、所定温度h2を80℃としたときの、貫通孔109の直径(横軸)と、はんだペースト146の抜け率(縦軸)との関係を表す図である。図中の○は所定期間p1を0秒、△は所定期間p1を1秒、◇は所定期間p1を3秒、としたときの測定結果をそれぞれ示している。
【0090】
測定により、厚さ120μmの印刷マスクの場合は電圧印加から1秒後に分離動作を開始することで、直径200μmの、より小さな貫通孔109において抜け率の大幅な向上が可能であることが確認された。また、電圧印加から3秒後に分離動作を開始した場合において抜け率が向上していないのは、所定期間p1を3秒間とすると加熱時間が長くなりすぎ、はんだペースト146の全体、または、ペースト146のランド141との接触面が加熱されてしまい、ペースト146の発熱体層116との接触面とペースト146内部との間、またはペースト146のランド141との接触面との間に十分な温度差が得られなかったからと考える。よって本実施形態では、所定期間p1は3秒未満、好ましくは1秒以下の期間とする。
【0091】
また別の実施形態では、基板136の下降動作終了後、次の基板136が印刷マスク101下に搬送されるまでに、または搬送された後に、印刷マスク101の基板136との接触面を洗浄する洗浄工程を行う。この洗浄工程は、印刷マスク101と基板136との分離のために基板136を下降させる下降動作が完了した後に、印刷マスク101の基板136との接触面を、洗浄手段である洗浄用布などで拭き取る工程である。また、洗浄工程の実施中の少なくとも一部の期間中、表面金属層111に電圧を印加し続ける。これによって、拭き取り中も貫通孔109内は加熱され、残留したはんだペーストの抜け率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の一形態である印刷マスク101の構成を示す図である。
【図2A】本発明の実施の一形態であるはんだペースト印刷装置および印刷方法を示す模式的断面図である。
【図2B】本発明の実施の一形態であるはんだペースト印刷装置および印刷方法を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の実施の一形態であるはんだペースト印刷方法の加熱シーケンスの概略図である。
【図4】所定温度h2を80℃としたときの、貫通孔109の直径と、はんだペースト146の抜け率との関係を表す図である。
【図5】従来の印刷方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
101 印刷マスク
106 基材
109 貫通孔
111 表面金属層
116 発熱体層
131 はんだペースト
126 スキージ
136 基板
141 ランド
146 充填されたはんだペースト
151 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーストを被転写体の表面上に転写するパターン印刷に用いる印刷マスクであって、
厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、
前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、
前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とを有することを特徴とする印刷マスク。
【請求項2】
前記発熱体層はニッケル、またはニッケル合金で形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷マスク。
【請求項3】
前記基材は、有機樹脂材料で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷マスク。
【請求項4】
厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクを被転写体上に載せる工程と、スキージの移動により前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填する工程と、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することにより前記貫通孔内に充填されたペーストを前記被転写体上に転写する工程とを有するペーストの印刷方法であって、
前記印刷マスクは、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とで構成され、
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱することを特徴とする請求項4に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始することを特徴とする請求項4または5に記載の印刷方法。
【請求項7】
前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の印刷方法。
【請求項8】
前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する工程を有し、前記洗浄工程を実施中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層に電圧を印加することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載の印刷方法。
【請求項9】
厚み方向に貫通する貫通孔を所定の位置に設けた印刷マスクと、前記印刷マスク上のペーストを前記貫通孔に充填するためのスキージとを有し、前記印刷マスクを被転写体上に載置し、前記被転写体と前記印刷マスクとを接触させた状態で、前記スキージを移動して、前記ペーストを前記貫通孔に充填させ、さらに前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させて、前記貫通孔内に充填されたペーストを前記被転写体上に転写する印刷装置であって、
前記印刷マスクは、厚み方向に貫通する貫通孔が所定の位置に設けられた絶縁性を有する基材と、前記貫通孔の内周面に形成され、通電時に発熱する発熱体層と、前記基材の厚み方向に垂直な2つの外表面の両面全面にわたって形成され、前記発熱体層よりも抵抗率が低い金属で、前記発熱体層と電気的に導通可能に構成される表面金属層とで構成され、
前記表面金属層に電流を流すことで前記発熱体層を加熱し、前記貫通孔に充填されたペーストの前記貫通孔内周面との接触部分の温度を、前記貫通孔に充填されたペーストの前記被転写体との接触部分の温度よりも高くした状態で、前記被転写体と前記印刷マスクとを分離することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
前記貫通孔の内周面に設けられた前記発熱体層を抵抗加熱法により加熱するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記発熱体層の温度を40℃〜80℃の範囲内に保ちながら前記印刷マスクと前記被転写体とを分離する分離動作を、前記発熱体層の温度が40℃〜80℃の範囲内の所定温度に到達後3秒未満の期間中に開始するように構成されることを特徴とする請求項9または10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記スキージの移動停止後に前記表面金属層への電圧の印加を開始し、前記分離動作の終了後に前記表面金属層への電圧の印加を停止するように構成されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記被転写体と前記印刷マスクとを分離させた状態で、前記印刷マスクの前記被転写体との接触面を洗浄する洗浄手段を有し、前記洗浄手段による洗浄中の少なくとも一部の期間中に、前記表面金属層への電圧の印加を行うように構成されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−166470(P2009−166470A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180768(P2008−180768)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】