印刷装置
【課題】印刷ヘッド部の移動によって、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することが可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】この印刷装置100は、スクリーンマスク6を保持した状態で、スクリーンマスク6を上下方向(Z方向)に昇降させてプリント基板5に対する位置決めを行うマスク昇降機構部50と、スクリーンマスク6の昇降動作とは独立するように設置されたフレーム構造体40と、フレーム構造体40に移動可能に設けられ、半田2が供給されたスクリーンマスク6のスキージングを行う印圧負荷ユニット61を含む印刷機構部60とを備える。
【解決手段】この印刷装置100は、スクリーンマスク6を保持した状態で、スクリーンマスク6を上下方向(Z方向)に昇降させてプリント基板5に対する位置決めを行うマスク昇降機構部50と、スクリーンマスク6の昇降動作とは独立するように設置されたフレーム構造体40と、フレーム構造体40に移動可能に設けられ、半田2が供給されたスクリーンマスク6のスキージングを行う印圧負荷ユニット61を含む印刷機構部60とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンマスクを昇降させるマスク昇降機構部と、スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンマスクを昇降させるマスク昇降機構部と、スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えた印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、テーブル上に固定されたワーク(印刷対象)に、マスクを介して半田ペーストを印刷するスクリーン印刷機が開示されている。このスクリーン印刷機には、所定の高さ位置に配置されたテーブルに対して、保持されたマスクを昇降させてワークとの高さ方向の位置決めを行うマスク昇降機構部が設けられている。また、マスク昇降機構部には、マスクの上面に供給されたペースト材を塗布するスキージユニット(印刷ヘッド部)が、マスクの上面に沿って移動可能に取り付けられている。ここで、一般的に、スキージユニットは、ペースト材を掻き取るスキージ、スキージをマスクの上面に押し付ける印圧負荷機構部、および、スキージと印圧負荷機構部とを前後に移動させてスキージングを行う移動機構部などを含んでいるため、重量物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−280068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスクリーン印刷機では、重量物であるスキージユニット(印刷ヘッド部)がマスク昇降機構部に直接取り付けられているため、スキージの前後方向の移動とともにスキージユニット全体もマスク昇降機構部内を前後方向に移動する。この場合、スキージユニットの移動に起因して、マスク昇降機構部が前後方向(上下方向)に傾斜する虞があると考えられる。このため、スキージユニットの移動が、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度に影響を与えるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印刷ヘッド部の移動によって、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することが可能な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における印刷装置は、スクリーンマスクを保持した状態で、スクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うマスク昇降機構部と、スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給されたスクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による印刷装置では、上記のように、スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給されたスクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えることによって、印刷時に印刷ヘッド部をスクリーンマスク上で移動させても、印刷ヘッド部がマスク昇降機構部とは構造的に独立した枠体部に設けられているので、印刷ヘッド部の移動がマスク昇降機構部に直接的に伝わることが抑制される。これにより、印刷ヘッド部が移動したとしても、マスク昇降機構部が印刷ヘッド部の移動に起因して上下方向に傾斜するような事態が抑制される。この結果、印刷ヘッド部の移動によって、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、枠体部は、マスク昇降機構部から上方に間隔を隔てて水平方向に延びる支持部を含み、印刷ヘッド部は、支持部に水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、スキージングを行う際に、マスク昇降機構部の上方に独立して設けられた支持部により、印刷ヘッド部を容易に水平方向(印刷方向)に移動させることができる。
【0010】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部は、枠体部の支持部に対して独立した状態でスクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うように構成されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部がスキージングに伴って支持部を水平方向に移動しても、支持部とマスク昇降機構部とが互いに構造的に独立しているので、印刷ヘッド部の移動に伴う荷重の移動が、マスク昇降機構部に直接的に伝わることを容易に抑制することができる。
【0011】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、枠体部は、支持部に接続され、下方から支持部を支持するとともに上下方向に延びる脚部をさらに含み、枠体部は、脚部と支持部とによって門型構造が形成されており、マスク昇降機構部は、門型構造を有する枠体部の内側に配置されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部を門型構造を有する枠体部の内側に容易に配置することができる。そして、所定の剛性を有する門型構造の梁部となる支持部を介して印刷ヘッド部を水平方向(印刷方向)に移動させることができる。これにより、印刷ヘッド部の移動によってマスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることが抑制された印刷装置を容易に得ることができる。
【0012】
上記枠体部が支持部に接続された脚部をさらに含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部を水平方向に移動可能とする水平位置決め機構部をさらに備え、枠体部の脚部は、水平位置決め機構部に固定されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部の高さ位置精度を安定的に維持したまま、マスク昇降機構部を水平方向に移動させることができるので、基板に対するスクリーンマスクの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、印刷ヘッド部は、水平位置決め機構部によるマスク昇降機構部の水平方向への移動に伴って移動されるように構成されている。このように構成すれば、水平方向においては、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とを一体的に移動させることができるので、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部との水平面内における相対的な位置関係にずれが生じることを極力抑制することができる。これにより、スキージングの際にスクリーンマスクにおける適正なスキージング方向に対して印刷ヘッド部が斜め方向に移動されることが抑制されるので、基板に対する印刷品質を良好に保つことができる。
【0014】
上記枠体部が支持部に接続された脚部をさらに含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部が固定的に設置される台座部をさらに備え、枠体部の脚部は、台座部に固定されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部が有する高さ位置精度を安定的に維持することが可能な印刷装置を、簡素な構成によって得ることができる。
【0015】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、印刷ヘッド部は、枠体部における支持部の上面側において水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部が支持部の上面側に配置されるので、支持部よりも下方のマスク昇降機構部との空間を容易に確保することができる。これにより、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とを互いに独立させた状態で、各々を容易に駆動させることができる。
【0016】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、印刷ヘッド部は、枠体部における支持部の下面側において水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、支持部を介在させることなく印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とをより近づけて配置することができるので、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部との構造的な独立を図りつつ、マスク昇降機構部の昇降動作に伴う印刷ヘッド部の動作制御を精度良く行うことができる。
【0017】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、印刷ヘッド部は、スキージングを行うためのヘラ部材を含み、マスク昇降機構部によるスクリーンマスクの上下方向の移動とともに、ヘラ部材の高さ位置を制御する制御部をさらに備え、制御部は、スクリーンマスクを基板から上下方向に離間させる動作に同期して、ヘラ部材を基板から離間させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部がマスク昇降機構部とは構造的に独立した枠体部に設けられている場合であっても、マスク昇降機構部によるスクリーンマスクの上下方向の移動に同期するように印刷ヘッド部のヘラ部材の移動を適切に制御することができるので、印刷後の基板からスクリーンマスクを容易に版離れさせることができる。
【0018】
この場合、好ましくは、印刷ヘッド部は、スキージングが行われる際、ヘラ部材によりスクリーンマスクを所定の押圧力で押圧するように構成されており、制御部は、マスク昇降機構部によりスクリーンマスクが基板から離間される際に、ヘラ部材をスクリーンマスクに接触させた状態で基板から離間させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、スクリーンマスクを基板から版離れさせる際に、スクリーンマスクにヘラ部材が接触した状態で版離れさせることができるので、スクリーンマスクが上下方向に波打ちながら印刷後の基板から剥がされることが抑制される。これにより、スクリーンマスクの不適切な版離れに起因して、印刷品質が悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による印刷装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による印刷装置の概略的なレイアウトを示した平面図である。
【図3】図1に示した印刷装置を構成する印刷ユニットの構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージングを開始する直前の状態を示した側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージングを終了した直後の状態を示した側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、版離れ動作の際の側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージを収納する際の側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による印刷装置の全体構成を示した斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態による印刷装置の概略的なレイアウトを示した平面図である。
【図12】本発明の第2変形例による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による印刷装置100の構造について説明する。
【0022】
本発明の第1実施形態による印刷装置100は、図1に示すように、装置本体内に搬送されるプリント基板(配線基板)5の上面5aに半田ペーストをマスク印刷する印刷機である。なお、プリント基板5は、本発明の「基板」の一例である。
【0023】
印刷装置100は、X−Y面となる床面1(図1参照)に据え付けられている。また、印刷装置100は、平面的に見て、図2に示すように、基台10上に1基の印刷ユニット90(外形を2点鎖線で示す)を備えている。また、印刷ユニット90は、プリント基板5の搬入/搬出方向となる長手方向を、基台10のX方向に略一致させて配置されている。ここで、印刷ユニット90におけるプリント基板5の搬送方向がX方向であり、半田2(図5参照)のプリント基板5への印刷方向がY方向である。また、X方向およびY方向は、基台10上において互いに直交する方向である。
【0024】
また、印刷ユニット90において、図2の右側(X2側)がプリント基板5の搬入側であり、図2の左側(X1側)がプリント基板5の搬出側である。また、図2の右側に配置された後述するフレーム構造体40(天板部42)よりも右側の基台10上の領域が、印刷前のプリント基板5の待機領域である。また、図2の左側に配置されたフレーム構造体40(天板部42)よりも左側の領域が、印刷終了後のプリント基板5の搬出領域である。また、左右の天板部42に挟まれた領域が、プリント基板5の印刷領域に対応している。
【0025】
印刷装置100を覆う複数の外装カバー101(図1参照)を取り除いた状態で、印刷ユニット90をX方向に沿って側方から見た場合、印刷ユニット90は、図4に示すように、基台10上に設置され、プリント基板5を搬送する基板搬送部20と、基台10上に移動可能に設置され、後述するマスク昇降機構部50が設置された水平位置決め機構部30と、水平位置決め機構部30に取り付けられたフレーム構造体40と、マスク昇降機構部50の上方(Z1方向)に設けられた印刷機構部60とを備えている。また、図3に示すように、印刷装置100には、以下に説明する各部の動作制御を行うための後述する制御装置80が内蔵されている。なお、フレーム構造体40は、本発明の「枠体部」の一例である。
【0026】
基板搬送部20は、図2に示すように、X1方向に移動するコンベアベルト21によって、印刷ユニット90の基板搬入側に配置された印刷前のプリント基板5を印刷領域まで搬送する機能と、印刷が終了されたプリント基板5を印刷領域から搬出領域まで搬送する機能とを有している。ここで、印刷領域とは、印刷時にスクリーンマスク6(図4参照)がプリント基板5の上面5a上に載置される領域を示す。
【0027】
水平位置決め機構部30は、図4に示すように、スライド機構部31と、スライド機構部31の上部側に固定されたテーブル32とを含んでいる。スライド機構部31は、基台10上において、基板搬送部20が設置された領域を挟んで互いにY方向に所定の間隔を隔てて配置されている。テーブル32は、Y方向に対向する一対のスライド機構部31によって支持されている。また、水平位置決め機構部30には、スライド機構部31を駆動する図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構によって、テーブル32がX−Y面内で移動することが可能に構成されている。なお、各々のスライド機構部31を個別に駆動することにより、テーブル32をY方向に平行移動させるのみならず、テーブル32をX−Y面内でZ軸まわりに若干回動させることも可能であるように構成されている。
【0028】
テーブル32の上面32aには、フレーム構造体40が設置されている。フレーム構造体40は、図2に示すように、テーブル32の隅部(4箇所)近傍から上方(紙面手前方向)に延びる脚部41と、脚部41同士をX−Y面内で水平方向に繋ぐ天板部42とを含んでいる。ここで、脚部41は、図示しない締結部材により、テーブル32(図4参照)の上面32aに固定されている。これにより、天板部42が、脚部41を介して基板搬送部20の上方を覆っている。また、図4に示すように、印刷ユニット90をX方向に沿って側方から見た場合、フレーム構造体40は、脚部41と天板部42とによって門型構造を形成している。なお、天板部42は、本発明の「支持部」の一例である。なお、図2では、天板部42の上面42aに設けられた後述する印刷機構部60(図4参照)の図示を省略している。
【0029】
また、図4に示すように、上記した門型構造を有するフレーム構造体40の内側に、マスク昇降機構部50が配置されている。具体的には、マスク昇降機構部50は、スクリーンマスク6を保持するマスク保持テーブル51と、マスク保持テーブル51から下方(Z2方向)に延びる4本のボールネジ軸52と、4本のボールネジ軸52の各々に螺合するとともに、テーブル32の上面32a上において高さ方向の位置を変化させることなく回転可能に取り付けられたプーリ53と、4つのプーリ53を同時に同一方向に回転させるために設けられたベルト54と、脚部41に固定されるとともにベルト54を駆動するサーボモータ55とを含んでいる。したがって、サーボモータ55の回転制御とともに4つのプーリ53が同一方向に回転されて、プーリ53に螺合する4本のボールネジ軸52が同時に軸方向(Z方向)に移動されるように構成されている。これにより、マスク保持テーブル51が水平状態を保ったまま、上下方向(Z方向)に沿って昇降されるように構成されている。
【0030】
第1実施形態では、このマスク昇降機構部50により、印刷時には、マスク保持テーブル51をZ2方向に下降させてマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6を印刷領域に搬入されたプリント基板5の上面5aに当接させるとともに、印刷後には、マスク保持テーブル51をZ1方向に上昇させてプリント基板5の上面5aからスクリーンマスク6の版離れを行うように構成されている。
【0031】
また、第1実施形態では、水平位置決め機構部30にマスク昇降機構部50を有するフレーム構造体40が設置されているので、印刷領域に搬入されたプリント基板5に対して、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6の水平面内(X−Y面内)における詳細な位置合わせが行われるように構成されている。
【0032】
また、図4に示すように、フレーム構造体40における天板部42の上面42a上に、印刷機構部60が設けられている。ここで、天板部42の上面42aは、基台10の上面10aと同様に水平面を構成している。印刷機構部60は、プリント基板5の上面5aに半田2(図5参照)の印刷(スキージング)を行う機能を有している。
【0033】
印刷機構部60は、図5に示すように、スクリーンマスク6の上面6a(Z1側)に対してペースト状の半田2を押圧しながらY方向に摺動する印圧負荷ユニット61と、印圧負荷ユニット61に取り付けられるとともにスクリーンマスク6の上面6aに半田2を供給する半田供給部62と、上面42a上をY方向に延びるボールネジ軸63と、ボールネジ軸63に螺合され、半田供給部62の側方に固定されたナット部材64と、ボールネジ軸63を駆動するサーボモータ65とを含んでいる。ここで、ボールネジ軸63は、固定部材66および固定部材67によって、軸方向(Y方向)の両端部近傍が上面42a上で回転可能に固定されている。また、サーボモータ65は、固定部材66により上面42a上に固定されている。
【0034】
また、天板部42の上面42aには、Y方向に延びるレール15が設けられている。レール15は、マスク保持テーブル51に保持されるスクリーンマスク6のY方向の長さ以上の長さを有している。そして、印圧負荷ユニット61が取り付けられた半田供給部62が、レール15上を移動可能に設置されている。これにより、サーボモータ65の回転制御とともにスクリーンマスク6に対して印圧負荷ユニット61が印刷方向(Y方向)に沿って相対的に往復移動するように構成されている。
【0035】
また、印圧負荷ユニット61には、スクリーンマスク6の上面6aを摺動するスキージ70が伸縮可能なロッド71を介して取り付けられている。印刷機構部60では、印刷が行われる際、印圧負荷ユニット61から延びるロッド71が下方(Z2方向)に延ばされることにより、スキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6に所定の押圧力を有して当接するように構成されている。なお、スキージ70は、Y方向に対向するように一組設けられており、印刷方向(Y1方向、Y2方向)に応じて、スクリーンマスク6を摺動するスキージ70が切り換わるように構成されている。そして、この状態で、印圧負荷ユニット61がマスク保持テーブル51に対して印刷方向(Y方向)に往復移動することにより、半田2がプリント基板5に印刷されるように構成されている。なお、印圧負荷ユニット61は、本発明の「印刷ヘッド部」の一例であり、スキージ70は、本発明の「ヘラ部材」の一例である。
【0036】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、フレーム構造体40内に配置されたマスク昇降機構部50と、フレーム構造体40の天板部42上に配置された印刷機構部60とは、構造的に絶縁されて切り離されている。すなわち、フレーム構造体40(天板部42)は、スクリーンマスク6が保持されたマスク保持テーブル51の昇降動作とは独立するように設置されており、このフレーム構造体40(天板部42)にスキージングを行う印刷機構部60が設けられている。したがって、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61が天板部42上を印刷方向(Y方向)に移動したとしても、印圧負荷ユニット61の重量が、スクリーンマスク6を介して直接的にマスク保持テーブル51に加わらないように構成されている。
【0037】
また、第1実施形態では、天板部42は、マスク保持テーブル51の上面51aから上方に間隔L1を隔てて配置されている。したがって、マスク昇降機構部50の昇降動作によってマスク保持テーブル51が最も上昇されたとしても、上面51aが天板部42の下面42bに対してZ2方向に間隔L1で離間した状態が維持されるように構成されている。さらには、マスク昇降機構部50は、天板部42に対して独立した状態でマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6を上下方向に昇降させて、プリント基板5に対する位置決めを行うように構成されている。
【0038】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40の天板部42に印刷機構部60が設けられているので、水平位置決め機構部30によってマスク昇降機構部50が水平方向(X−Y面内)へ移動された場合には、印圧負荷ユニット61もマスク昇降機構部50の移動方向と同じ方向に移動されるように構成されている。すなわち、スクリーンマスク6のX−Y面内におけるプリント基板5との位置合わせに同期して、印圧負荷ユニット61もX−Y面内を一体的に移動されるので、スクリーンマスク6に対するスキージ70の位置関係が常に変化しないように構成されている。この場合、スクリーンマスク6とスキージ70とは、スキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6におけるY方向(印刷方向)に沿った一辺に対して略直交するX方向に延びるように配置されている。したがって、水平位置決め機構部30によってフレーム構造体40およびマスク昇降機構部50がX−Y面内を平行移動されるか、またはZ軸まわりに回動されたとしても、スクリーンマスク6に対してスキージ70が斜行しながら摺動する状態が回避されている。
【0039】
また、マスク昇降機構部50には、図示しない基板用カメラがレンズを下方(Z2方向)に向けて設置されている。印刷ユニット90では、基板搬送部20によりプリント基板5がX1方向へ搬送される際に、基板用カメラによってプリント基板5の上面5aに付された図示しないフィデューシャルマーク(位置合わせマーク)が検出されるように構成されている。これにより、印刷開始前に、印刷領域に搬送されたプリント基板5とスクリーンマスク6との水平面内(X−Y面内)における位置合わせが精度良く行われるように構成されている。
【0040】
また、スクリーンマスク6(図4参照)は、約20μm以上約150μm以下の厚みを有する板状(シート状)の部材からなり、複数の開口部(図示せず)がパターニングされた開口領域を有している。このようにシート状のスクリーンマスク6は屈曲性を有するため、スクリーンマスク6は、周囲が剛性の高い部材からなるマスク保持テーブル51に固定されている。
【0041】
また、図3に示すように、制御装置80は、CPU(演算処理部)と基板回路部とにより構成されている。具体的には、制御装置80は、演算処理部81、記憶部82、外部入出力部83、画像処理部84および駆動制御部85によって主に構成されている。なお、駆動制御部85は、本発明の「制御部」の一例である。
【0042】
演算処理部81はCPUからなり、印刷ユニット90の動作を全般的に統括している。また、演算処理部81からの指令に基づいて、駆動制御部85による制御動作が行われるように構成されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、駆動制御部85により、スクリーンマスク6をプリント基板5から上方(Z1方向)に離間させる動作に同期して、スキージ70をプリント基板5から上方に離間させる制御を行うように構成されている。すなわち、マスク保持テーブル51が天板部42の下面42bと間隔L2を隔てて下降されていた状態(図5参照)から、プリント基板5への印刷終了後にスクリーンマスク6をプリント基板5から上方に離間させる際、マスク保持テーブル51の上昇とともにロッド71を同時に引き上げる動作を行うように構成されている。また、この際、印圧負荷ユニット61による印圧をきめ細かく制御することにより、スキージ70の下端部70aをスクリーンマスク6の上面6aに接触させた状態で、ロッド71を上方に引き上げるように構成されている。これにより、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる際に、スクリーンマスク6に所定の押圧力でスキージ70が接触した状態が維持されるので、スクリーンマスク6が上下方向に波打ちながらプリント基板5から剥がされるような状態が生じることが抑制されている。
【0044】
また、記憶部82は、演算処理部81が実行可能な制御プログラムなどが格納されている動作プログラム記憶部82aと、印刷動作を行う際に必要となるデータ類が格納されている制御データ記憶部82bとを含んでいる。ここで、動作プログラム記憶部82aは、フラッシュROM(Read Only Memory)からなり、制御データ記憶部82bは、RAM(Random Access Memory)からなる。
【0045】
また、外部入出力部83は、運転開始ボタン95を含む運転操作上の各種ボタン類や、基板位置センサ、マスク位置センサ、スキージ位置センサなどの各種センサ類からの入出力を制御する機能を有している。画像処理部84は、基板用カメラが撮像した画像データの処理を行って、印刷ユニット90の動作に必要とされるデータを内部的に生成する役割を有している。
【0046】
また、駆動制御部85は、演算処理部81から出力される制御信号に基づいて、印刷ユニット90の各サーボモータ(水平位置決め機構部30のスライド機構部31を個別に駆動するサーボモータ、マスク保持テーブル51をZ方向に昇降させるサーボモータ65(図4参照)、印圧負荷ユニット61をY方向に移動させるサーボモータ65(図4参照)、印圧負荷ユニット61におけるロッド71を昇降させるサーボモータなど)を制御するように構成されている。また、駆動制御部85は、基板搬送部20に設けられた搬送軸(図示せず)のサーボモータを制御するように構成されている。また、駆動制御部85は、各サーボモータが有するエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいてフレーム構造体40(マスク保持テーブル51)のX−Y面内の位置、マスク保持テーブル51の高さ位置(Z方向)および回転位置(Z軸まわり)などが認識可能に構成されている。
【0047】
また、図3に示すように、制御装置80は、装置本体に設けられた非常停止回路部92に接続されている。非常停止回路部92には、装置本体内の所定の位置に設けられたカバーオープンスイッチ93と、押しボタン式の非常停止ボタン94とが電気的に接続されている。カバーオープンスイッチ93は、アクセスカバー101a(図1参照)の開閉状態に応じてスイッチの開閉が切り換わるように構成されている。これにより、アクセスカバー101aが開いた状態では、非常停止回路部92が機能して印刷ユニット90の運転が開始(再開)されないように構成されている。また、運転中にユーザが非常停止ボタン94を押下した場合、非常停止回路部92が機能して即時に運転が中断されるように構成されている。
【0048】
また、図1に示すように、印刷装置100の外部には表示パネル102が設けられている。ユーザは、各々の表示パネル102を介して印刷動作の進行状況を把握したり、表示パネル102の表示内容に応じた機器操作を行うように構成されている。また、印刷装置100には表示灯103が設けられている。表示灯103は、印刷装置100の天面部よりも高い位置に配置されており、印刷装置100から離れた位置からでもユーザが印刷装置100の運転状況を視認することが可能に構成されている。このようにして、印刷装置100は構成されている。
【0049】
次に、図2〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による印刷装置100の印刷動作について説明する。
【0050】
図2に示すように、基板搬送部20上の待機位置に印刷前のプリント基板5が移送されてきたとする。印刷ユニット90における印刷動作が継続される場合、基板搬送部20のコンベアベルト21が駆動されて、プリント基板5が、印刷領域までX1方向に搬送される。
【0051】
その後、図4に示すように、マスク昇降機構部50に設置された基板用カメラ(図示せず)によってプリント基板5の上面5aに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)が検出される。そして、基板用カメラによって検出されたプリント基板5のフィデューシャルマークに基づいて、水平位置決め機構部30のスライド機構部31が駆動されて、プリント基板5とマスク保持テーブル51とのX−Y面内での位置合わせが行われる。これにより、プリント基板5上の所定の位置に、スクリーンマスク6が正確に重ね合わせられる。
【0052】
そして、この状態で、マスク昇降機構部50のサーボモータ55が駆動されることにより、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6がZ2方向に下降する。これにより、プリント基板5の上面5aにスクリーンマスク6が所定の押圧力で押し付けられる。
【0053】
また、図5に示すように、印刷機構部60のサーボモータ65が駆動されることにより、印圧負荷ユニット61が印刷領域のY1側の端部近傍の位置まで移動される。そして、半田供給部62により、スクリーンマスク6の上面6a上に所定量の半田2が供給される。そして、印圧負荷ユニット61のY1側のロッド71が下方に延ばされることにより、Y1側のスキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6の上面6aに所定の押圧力で当接する。この状態で、サーボモータ65が駆動されることにより、印圧負荷ユニット61とともにスキージ70がY2方向に移動されてスキージング(ペースト状の半田2の掻き取り動作)が行われる。スキージ70が図6に示した位置まで移動されることにより、プリント基板5の上面5aに、スクリーンマスク6を介して半田2が印刷される。そして、半田2が印刷された後、サーボモータ55が駆動されることにより、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6がZ1方向に上昇されて版離れが行われる。
【0054】
この際、第1実施形態では、図7に示すように、駆動制御部85(図3参照)により、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる動作に同期して、スキージ70を上方に引き上げる動作が行われる。すなわち、スクリーンマスク6の版離れの速度(マスク保持テーブル51の上昇速度)と、ロッド71の上昇速度(スキージ70の上昇速度)とを略同じ状態にしてスクリーンマスク6およびスキージ70を共に上昇させる。また、この際、印圧負荷ユニット61による印圧荷重を制御することにより、スキージ70の下端部70aをスクリーンマスク6の上面6aに適切な押圧力で接触させながらロッド71を上方に引き上げる。なお、スキージ70を上昇させる際の荷重(スクリーンマスク6に対するスキージ70の押圧力)は、スキージングの際の印圧荷重よりも小さくなるように制御される。そして、図8に示すように、天板部42の下面42bに対して間隔L1を有してマスク保持テーブル51の上昇が停止された位置から、さらに、スキージ70が引き上げられる。
【0055】
その後、図2に示すように、基板搬送部20のコンベアベルト21が駆動されて、印刷終了後のプリント基板5が、印刷領域からX1方向に搬出領域まで搬送される。印刷ユニット90では、上記した印刷動作を繰り返すことにより、プリント基板5への印刷が継続的に行われる。
【0056】
なお、上記説明したプリント基板5の次に印刷されるプリント基板5については、図8において、印圧負荷ユニット61のY2側のロッド71が下方に延ばされることにより、Y2側のスキージ70がスクリーンマスク6の上面6aに所定の押圧力で当接する。半田2が上面6a上に供給された後、Y2側のスキージ70がY1方向に移動されてスキージングが行われる。以降、印刷方向に応じて、Y1側のスキージ70とY2側のスキージ70とを交互に切り換えながら、印圧負荷ユニット61が往復移動されてプリント基板5への印刷が行われる。
【0057】
第1実施形態では、上記のように、スクリーンマスク6の昇降動作(Z方向)とは独立するように設置されたフレーム構造体40と、フレーム構造体40にY方向に移動可能に設けられ、半田2が供給されたスクリーンマスク6のスキージングを行う印圧負荷ユニット61などを含む印刷機構部60とを備えることによって、印刷時に印刷機構部60の印圧負荷ユニット61をスクリーンマスク6上でY方向(印刷方向)に移動させても、印刷機構部60がマスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)とは構造的に独立したフレーム構造体40に設けられているので、印圧負荷ユニット61の移動がマスク昇降機構部50に直接的に伝わることが抑制される。これにより、印圧負荷ユニット61が移動したとしても、マスク保持テーブル51が印圧負荷ユニット61の移動に起因して上下方向に傾斜するような事態が抑制される。この結果、印圧負荷ユニット61の移動によって、マスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40は、マスク昇降機構部50から上方(Z1方向)に間隔を隔てて水平方向に延びる天板部42を含んでおり、印圧負荷ユニット61を含む印刷機構部60は、天板部42に水平方向に移動可能に支持されている。これにより、スキージングを行う際に、マスク保持テーブル51の上方に独立して設けられた天板部42により、印圧負荷ユニット61を容易に印刷方向(Y方向)に移動させることができる。
【0059】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50は、フレーム構造体40の天板部42に対して独立した状態でスクリーンマスク6を上下方向に昇降させてプリント基板5に対する位置決めを行うように構成されている。これにより、印圧負荷ユニット61がスキージングに伴って天板部42を水平方向に移動しても、天板部42とマスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)とが互いに構造的に独立しているので、印圧負荷ユニット61の移動に伴う荷重の移動が、マスク保持テーブル51に直接的に伝わることを容易に抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40は、下方から天板部42を支持するとともに上下方向に延びる脚部41を含んでおり、フレーム構造体40は、脚部41と天板部42とによって門型構造が形成されている。そして、マスク昇降機構部50は、門型構造を有するフレーム構造体40の内側に配置されている。これにより、マスク昇降機構部50を門型構造を有するフレーム構造体40の内側に容易に配置することができる。そして、所定の剛性を有する門型構造の梁部となる天板部42を介して印圧負荷ユニット61を水平方向(印刷方向)に移動させることができる。これにより、印圧負荷ユニット61の移動によってマスク昇降機構部50の有する高さ位置精度が影響を受けることが抑制された印刷装置100を容易に得ることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、印圧負荷ユニット61は、フレーム構造体40における天板部42の上面42a側において水平方向に移動可能に支持されている。これにより、天板部42よりも下方のマスク保持テーブル51との空間(間隔L1〜L2)を容易に確保することができる。これにより、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50とを互いに独立させた状態で、各々を容易に駆動させることができる。
【0062】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50をX−Y面内で移動可能とする水平位置決め機構部30をさらに備えており、フレーム構造体40の脚部41は、水平位置決め機構部30に固定されている。これにより、マスク昇降機構部50の高さ位置精度を安定的に維持したまま、マスク昇降機構部50を水平方向に移動させることができるので、プリント基板5に対するスクリーンマスク6の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0063】
また、第1実施形態では、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61は、水平位置決め機構部30によるマスク昇降機構部50の水平方向(Y方向)への移動に伴って移動されるように構成されている。これにより、水平方向においては、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50とを一体的に移動させることができるので、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50との水平面内(X−Y面内)における相対的な位置関係(Z軸まわりの位置関係)にずれが生じることを極力抑制することができる。これにより、スキージングの際にスクリーンマスク6における適正なスキージング方向(Y方向)に対して印圧負荷ユニット61(スキージ70)が斜め方向に斜行されることが抑制されるので、プリント基板5に対する半田2の印刷品質を良好に保つことができる。
【0064】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50によるスクリーンマスク6の上下方向の移動とともに、スキージ70の高さ位置を制御する駆動制御部85を備えている。そして、駆動制御部85は、スクリーンマスク6をプリント基板5から上下方向に離間させる動作に同期して、スキージ70をプリント基板5から離間させる制御を行うように構成されている。これにより、印刷機構部60がマスク昇降機構部50とは構造的に独立したフレーム構造体40に設けられている場合であっても、マスク昇降機構部50によるスクリーンマスク6の上下方向の移動に同期するように印圧負荷ユニット61から延びるスキージ70の移動を適切に制御することができるので、印刷後のプリント基板5からスクリーンマスク6を容易に版離れさせることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、印刷機構部60は、スキージングが行われる際、スキージ70によりスクリーンマスク6を所定の押圧力で押圧するように構成されている。そして、駆動制御部85は、マスク昇降機構部50によりスクリーンマスク6がプリント基板5から離間される際に、スキージ70をスクリーンマスク6に接触させた状態でプリント基板5から離間させる制御を行うように構成されている。これにより、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる際に、スクリーンマスク6にスキージ70が接触した状態で版離れさせることができるので、スクリーンマスク6が上下方向に波打ちながら印刷後のプリント基板5から剥がされることが抑制される。これにより、スクリーンマスク6の不適切な版離れに起因して、印刷品質が悪化することを抑制することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による印刷装置200は、第1実施形態のような水平位置決め機構部30が設けられることなく、基台210上に直接フレーム構造体40が固定されている。なお、図中において、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。なお、基台210は、本発明の「台座部」の一例である。
【0067】
本発明の第2実施形態による印刷装置200は、図9に示すように、基台210の上面210aに直接マスク昇降機構部50が固定された印刷ユニット290を備えている。つまり、マスク昇降機構部50が設けられたフレーム構造体40は、水平面内(X−Y面内)において移動されないように構成されている。したがって、印刷装置200では、基板搬送部220側が、水平面内(X−Y面内)において移動可能に構成されており、プリント基板5とスクリーンマスク6との詳細な位置合わせが行われるように構成されている。
【0068】
具体的には、基板搬送部220は、スライド機構部221と、スライド機構部221の上部側に固定された基板テーブル222とを含んでいる。基板テーブル222には、上面(Z1側)から上方に延びる複数のピン(図示せず)が取り付けられている。そして、プリント基板5は、基板テーブル222上において、下面がピンにより支持された状態で載置されている。また、基板搬送部220には、スライド機構部221を駆動する図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構によって、基板テーブル222がX−Y面内で移動することが可能に構成されている。
【0069】
ここで、第2実施形態においても、フレーム構造体40内に配置されたマスク昇降機構部50と、フレーム構造体40の天板部42上に配置された印刷機構部60とは、構造的に絶縁されている。したがって、印刷機構部60が天板部42上を印刷方向(Y方向)に移動したとしても、印刷機構部60の重量が、直接的にマスク保持テーブル51に加わらないように構成されている。
【0070】
なお、第2実施形態における印刷装置200のその他の構成については、上記第1実施形態における印刷装置100の構成と同様である。また、印刷装置200の印刷動作については、印刷開始前に基板搬送部220側においてマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6とプリント基板5との位置合わせが行われる点を除いて、上記第1実施形態における印刷装置100の印刷動作と略同様である。
【0071】
第2実施形態では、上記のように、マスク昇降機構部50が固定的に設置される基台210を備えており、フレーム構造体40の脚部41は、基台210に固定されているので、マスク昇降機構部50が有する高さ位置精度を安定的に維持することが可能な印刷装置200を、簡素な構成によって得ることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
(第3実施形態)
次に、図3、図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態による印刷装置300は、第2実施形態で例示した印刷ユニット290を2基備えている。なお、図中において、第2実施形態と同様の構成には、第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0073】
本発明の第3実施形態による印刷装置300は、図10に示すように、2つの印刷ユニット390および391を備えており、各々の印刷ユニットが個別に駆動することにより、各印刷ユニットにおいてプリント基板5にマスク印刷を行うことが可能に構成されている。この際、互いに異なるサイズのプリント基板5が各々の印刷ユニットにおいて印刷可能であるように構成されている。
【0074】
印刷装置300は、平面的に見て、図11に示すように、床面301(図10参照)に載置された基台310上に、2つの印刷ユニット390および391がY方向に沿って並べられている。また、印刷ユニット390および391は、プリント基板5の搬入/搬出方向となる長手方向を、基台310のX方向に略一致させて設置されている。
【0075】
また、印刷ユニット390が有する基板搬送部320、および、印刷ユニット391が有する基板搬送部321は、互いに、相手側のマスク昇降機構部50の真下までY方向に移動することが可能に構成されている。たとえば、基板搬送部320の基板テーブル222がプリント基板5を保持したままY1方向に移動して、印刷ユニット391のマスク昇降機構部50とのX−Y面内での位置合わせが行えるように構成されている。これにより、印刷ユニット390の印刷機構部60が何らかの都合で印刷が行えない場合であっても、印刷ユニット391のマスク昇降機構部50および印刷機構部60を使用して印刷が行えるように構成されている。このように、印刷装置300では、一方側の印刷ユニットに搬入されたプリント基板5を、他方側の印刷ユニットに乗り入れて印刷させることが可能に構成されている。
【0076】
また、印刷ユニット390および391の各々には、第2実施形態で例示した印刷ユニット290と略同様の制御装置80(図3参照)が備えられている。そして、各々の制御装置80は、図示しない統括制御部(メインCPU)に接続されている。これにより、この統括制御部の指令に基づいて、各印刷ユニットが個別に駆動されるように構成されている。さらには、統括制御部の指令に基づいて、各印刷ユニットの動作を互いに関連付けながら駆動させることも可能に構成されている。すなわち、上記したように、印刷ユニット390(391)が何らかの理由で運転が停止されたとしても、プリント基板5を、印刷ユニット391(390)側に乗り入れて印刷を継続させることが可能とされている。なお、印刷ユニット390および391のその他の構成については、第2実施形態で例示した印刷ユニット290と略同様である。
【0077】
第3実施形態では、上記のように、第2実施形態と略同様の構成を有する2つの印刷ユニット390および391を備えているので、このような印刷装置300においても、各々の印刷ユニットにおいて、印圧負荷ユニット61の移動によってマスク昇降機構部50の有する高さ位置精度が影響を受けることを効果的に抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、マスク昇降機構部50を水平位置決め機構部30のテーブル32、または、基台210の上面210aに設置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マスク昇降機構部50をフレーム構造体40の脚部41に取り付けてもよい。この場合、脚部41の側面にマスク保持テーブル51を昇降可能に支持する支持部材などを設けてマスク昇降機構部50を取り付けることが可能である。この第1変形例のように構成しても、マスク保持テーブル51をフレーム構造体40の天板部42に対して独立した状態でスクリーンマスク6を上下方向に昇降させることができるので、本発明の効果を得ることができる。
【0080】
また、上記第1〜第3実施形態では、印刷機構部60を天板部42上に配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、印刷機構部60を天板部42の下面42b側に移動可能に設けてもよい。
【0081】
具体的には、図12に示す第2変形例のように印刷装置400を構成することが可能である。印刷ユニット490においては、第1実施形態のフレーム構造体40と比較して脚部441がより上方(Z1方向)まで延びている。そして、マスク保持テーブル51と天板部42との間により広く確保された間隔L3(L3>L2)を有する空間を利用して、天板部42の下面42bに印刷機構部60を移動可能に懸架している。この第2変形例のように構成しても、下面42b側をY方向に移動する印圧負荷ユニット61の重量がスクリーンマスク6を介して直接的にマスク保持テーブル51に加わらなく構成することができる。加えて、天板部42を介在させることなく印圧負荷ユニット61とマスク保持テーブル51とを上下方向により近づけて配置することができるので、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50との構造的な独立を図りつつ、スクリーンマスク6の昇降動作に伴う印圧負荷ユニット61の動作制御(スキージ70の昇降動作)を精度良く行うことができる。
【0082】
また、上記第1〜第3実施形態では、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61および半田供給部62をサーボモータ65により駆動されるボールネジ軸63とナット部材64とを用いて駆動するように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。ボールネジ軸およびナット部材以外のたとえば、ベルト駆動や、ラックギアおよびピニオンギアなどの駆動機構を用いて印刷機構部60(印圧負荷ユニット61および半田供給部62)を駆動するように構成してもよい。
【0083】
また、上記第1〜第3実施形態では、プリント基板5とスクリーンマスク6とを密着させて印刷を行うコンタクト印刷方式によりプリント基板5への半田2の印刷を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。プリント基板5とスクリーンマスク6との間にギャップ(空隙)を設けて、印刷(スキージング)と版離れとの工程を同時に行うキャップ印刷(オフコンタクト印刷)方式を適用して、プリント基板5への半田2の印刷を行ってもよい。
【0084】
また、上記第1〜第3実施形態では、スキージ70を用いたオープンスキージ方式による半田2の押し込みによってプリント基板5への印刷を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。半田2の充填性能が向上された密閉式加圧印刷方式を採用したカートリッジヘッドなどを、本発明の「印刷ヘッド部」に適用してもよい。ここに例示したカートリッジヘッドを用いてスクリーンマスクに対するスキージングを行う場合においても、印刷ヘッド部の重量移動が直接的にマスク保持テーブル51に加わらないので、マスク保持テーブル51の高さ位置精度を適切に維持することができる。
【符号の説明】
【0085】
5 プリント基板(基板)
6 スクリーンマスク
30 水平位置決め機構部
40 フレーム構造体(枠体部)
41、441 脚部
42 天板部(支持部)
50 マスク昇降機構部
61 印圧負荷ユニット(印刷ヘッド部)
65 スキージ(ヘラ部材)
85 駆動制御部(制御部)
100、200、300、400 印刷装置
210 基台(台座部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンマスクを昇降させるマスク昇降機構部と、スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーンマスクを昇降させるマスク昇降機構部と、スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えた印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、テーブル上に固定されたワーク(印刷対象)に、マスクを介して半田ペーストを印刷するスクリーン印刷機が開示されている。このスクリーン印刷機には、所定の高さ位置に配置されたテーブルに対して、保持されたマスクを昇降させてワークとの高さ方向の位置決めを行うマスク昇降機構部が設けられている。また、マスク昇降機構部には、マスクの上面に供給されたペースト材を塗布するスキージユニット(印刷ヘッド部)が、マスクの上面に沿って移動可能に取り付けられている。ここで、一般的に、スキージユニットは、ペースト材を掻き取るスキージ、スキージをマスクの上面に押し付ける印圧負荷機構部、および、スキージと印圧負荷機構部とを前後に移動させてスキージングを行う移動機構部などを含んでいるため、重量物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−280068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスクリーン印刷機では、重量物であるスキージユニット(印刷ヘッド部)がマスク昇降機構部に直接取り付けられているため、スキージの前後方向の移動とともにスキージユニット全体もマスク昇降機構部内を前後方向に移動する。この場合、スキージユニットの移動に起因して、マスク昇降機構部が前後方向(上下方向)に傾斜する虞があると考えられる。このため、スキージユニットの移動が、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度に影響を与えるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印刷ヘッド部の移動によって、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することが可能な印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における印刷装置は、スクリーンマスクを保持した状態で、スクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うマスク昇降機構部と、スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給されたスクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備える。
【0008】
この発明の一の局面による印刷装置では、上記のように、スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給されたスクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備えることによって、印刷時に印刷ヘッド部をスクリーンマスク上で移動させても、印刷ヘッド部がマスク昇降機構部とは構造的に独立した枠体部に設けられているので、印刷ヘッド部の移動がマスク昇降機構部に直接的に伝わることが抑制される。これにより、印刷ヘッド部が移動したとしても、マスク昇降機構部が印刷ヘッド部の移動に起因して上下方向に傾斜するような事態が抑制される。この結果、印刷ヘッド部の移動によって、マスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、枠体部は、マスク昇降機構部から上方に間隔を隔てて水平方向に延びる支持部を含み、印刷ヘッド部は、支持部に水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、スキージングを行う際に、マスク昇降機構部の上方に独立して設けられた支持部により、印刷ヘッド部を容易に水平方向(印刷方向)に移動させることができる。
【0010】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部は、枠体部の支持部に対して独立した状態でスクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うように構成されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部がスキージングに伴って支持部を水平方向に移動しても、支持部とマスク昇降機構部とが互いに構造的に独立しているので、印刷ヘッド部の移動に伴う荷重の移動が、マスク昇降機構部に直接的に伝わることを容易に抑制することができる。
【0011】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、枠体部は、支持部に接続され、下方から支持部を支持するとともに上下方向に延びる脚部をさらに含み、枠体部は、脚部と支持部とによって門型構造が形成されており、マスク昇降機構部は、門型構造を有する枠体部の内側に配置されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部を門型構造を有する枠体部の内側に容易に配置することができる。そして、所定の剛性を有する門型構造の梁部となる支持部を介して印刷ヘッド部を水平方向(印刷方向)に移動させることができる。これにより、印刷ヘッド部の移動によってマスク昇降機構部の有する高さ位置精度が影響を受けることが抑制された印刷装置を容易に得ることができる。
【0012】
上記枠体部が支持部に接続された脚部をさらに含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部を水平方向に移動可能とする水平位置決め機構部をさらに備え、枠体部の脚部は、水平位置決め機構部に固定されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部の高さ位置精度を安定的に維持したまま、マスク昇降機構部を水平方向に移動させることができるので、基板に対するスクリーンマスクの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、印刷ヘッド部は、水平位置決め機構部によるマスク昇降機構部の水平方向への移動に伴って移動されるように構成されている。このように構成すれば、水平方向においては、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とを一体的に移動させることができるので、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部との水平面内における相対的な位置関係にずれが生じることを極力抑制することができる。これにより、スキージングの際にスクリーンマスクにおける適正なスキージング方向に対して印刷ヘッド部が斜め方向に移動されることが抑制されるので、基板に対する印刷品質を良好に保つことができる。
【0014】
上記枠体部が支持部に接続された脚部をさらに含む構成において、好ましくは、マスク昇降機構部が固定的に設置される台座部をさらに備え、枠体部の脚部は、台座部に固定されている。このように構成すれば、マスク昇降機構部が有する高さ位置精度を安定的に維持することが可能な印刷装置を、簡素な構成によって得ることができる。
【0015】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、印刷ヘッド部は、枠体部における支持部の上面側において水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部が支持部の上面側に配置されるので、支持部よりも下方のマスク昇降機構部との空間を容易に確保することができる。これにより、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とを互いに独立させた状態で、各々を容易に駆動させることができる。
【0016】
上記枠体部が支持部を含む構成において、好ましくは、印刷ヘッド部は、枠体部における支持部の下面側において水平方向に移動可能に支持されている。このように構成すれば、支持部を介在させることなく印刷ヘッド部とマスク昇降機構部とをより近づけて配置することができるので、印刷ヘッド部とマスク昇降機構部との構造的な独立を図りつつ、マスク昇降機構部の昇降動作に伴う印刷ヘッド部の動作制御を精度良く行うことができる。
【0017】
上記一の局面による印刷装置において、好ましくは、印刷ヘッド部は、スキージングを行うためのヘラ部材を含み、マスク昇降機構部によるスクリーンマスクの上下方向の移動とともに、ヘラ部材の高さ位置を制御する制御部をさらに備え、制御部は、スクリーンマスクを基板から上下方向に離間させる動作に同期して、ヘラ部材を基板から離間させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、印刷ヘッド部がマスク昇降機構部とは構造的に独立した枠体部に設けられている場合であっても、マスク昇降機構部によるスクリーンマスクの上下方向の移動に同期するように印刷ヘッド部のヘラ部材の移動を適切に制御することができるので、印刷後の基板からスクリーンマスクを容易に版離れさせることができる。
【0018】
この場合、好ましくは、印刷ヘッド部は、スキージングが行われる際、ヘラ部材によりスクリーンマスクを所定の押圧力で押圧するように構成されており、制御部は、マスク昇降機構部によりスクリーンマスクが基板から離間される際に、ヘラ部材をスクリーンマスクに接触させた状態で基板から離間させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、スクリーンマスクを基板から版離れさせる際に、スクリーンマスクにヘラ部材が接触した状態で版離れさせることができるので、スクリーンマスクが上下方向に波打ちながら印刷後の基板から剥がされることが抑制される。これにより、スクリーンマスクの不適切な版離れに起因して、印刷品質が悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による印刷装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による印刷装置の概略的なレイアウトを示した平面図である。
【図3】図1に示した印刷装置を構成する印刷ユニットの構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージングを開始する直前の状態を示した側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージングを終了した直後の状態を示した側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、版離れ動作の際の側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の、スキージを収納する際の側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【図10】本発明の第3実施形態による印刷装置の全体構成を示した斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態による印刷装置の概略的なレイアウトを示した平面図である。
【図12】本発明の第2変形例による印刷装置における印刷ユニットをX1方向に沿って見た場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態による印刷装置100の構造について説明する。
【0022】
本発明の第1実施形態による印刷装置100は、図1に示すように、装置本体内に搬送されるプリント基板(配線基板)5の上面5aに半田ペーストをマスク印刷する印刷機である。なお、プリント基板5は、本発明の「基板」の一例である。
【0023】
印刷装置100は、X−Y面となる床面1(図1参照)に据え付けられている。また、印刷装置100は、平面的に見て、図2に示すように、基台10上に1基の印刷ユニット90(外形を2点鎖線で示す)を備えている。また、印刷ユニット90は、プリント基板5の搬入/搬出方向となる長手方向を、基台10のX方向に略一致させて配置されている。ここで、印刷ユニット90におけるプリント基板5の搬送方向がX方向であり、半田2(図5参照)のプリント基板5への印刷方向がY方向である。また、X方向およびY方向は、基台10上において互いに直交する方向である。
【0024】
また、印刷ユニット90において、図2の右側(X2側)がプリント基板5の搬入側であり、図2の左側(X1側)がプリント基板5の搬出側である。また、図2の右側に配置された後述するフレーム構造体40(天板部42)よりも右側の基台10上の領域が、印刷前のプリント基板5の待機領域である。また、図2の左側に配置されたフレーム構造体40(天板部42)よりも左側の領域が、印刷終了後のプリント基板5の搬出領域である。また、左右の天板部42に挟まれた領域が、プリント基板5の印刷領域に対応している。
【0025】
印刷装置100を覆う複数の外装カバー101(図1参照)を取り除いた状態で、印刷ユニット90をX方向に沿って側方から見た場合、印刷ユニット90は、図4に示すように、基台10上に設置され、プリント基板5を搬送する基板搬送部20と、基台10上に移動可能に設置され、後述するマスク昇降機構部50が設置された水平位置決め機構部30と、水平位置決め機構部30に取り付けられたフレーム構造体40と、マスク昇降機構部50の上方(Z1方向)に設けられた印刷機構部60とを備えている。また、図3に示すように、印刷装置100には、以下に説明する各部の動作制御を行うための後述する制御装置80が内蔵されている。なお、フレーム構造体40は、本発明の「枠体部」の一例である。
【0026】
基板搬送部20は、図2に示すように、X1方向に移動するコンベアベルト21によって、印刷ユニット90の基板搬入側に配置された印刷前のプリント基板5を印刷領域まで搬送する機能と、印刷が終了されたプリント基板5を印刷領域から搬出領域まで搬送する機能とを有している。ここで、印刷領域とは、印刷時にスクリーンマスク6(図4参照)がプリント基板5の上面5a上に載置される領域を示す。
【0027】
水平位置決め機構部30は、図4に示すように、スライド機構部31と、スライド機構部31の上部側に固定されたテーブル32とを含んでいる。スライド機構部31は、基台10上において、基板搬送部20が設置された領域を挟んで互いにY方向に所定の間隔を隔てて配置されている。テーブル32は、Y方向に対向する一対のスライド機構部31によって支持されている。また、水平位置決め機構部30には、スライド機構部31を駆動する図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構によって、テーブル32がX−Y面内で移動することが可能に構成されている。なお、各々のスライド機構部31を個別に駆動することにより、テーブル32をY方向に平行移動させるのみならず、テーブル32をX−Y面内でZ軸まわりに若干回動させることも可能であるように構成されている。
【0028】
テーブル32の上面32aには、フレーム構造体40が設置されている。フレーム構造体40は、図2に示すように、テーブル32の隅部(4箇所)近傍から上方(紙面手前方向)に延びる脚部41と、脚部41同士をX−Y面内で水平方向に繋ぐ天板部42とを含んでいる。ここで、脚部41は、図示しない締結部材により、テーブル32(図4参照)の上面32aに固定されている。これにより、天板部42が、脚部41を介して基板搬送部20の上方を覆っている。また、図4に示すように、印刷ユニット90をX方向に沿って側方から見た場合、フレーム構造体40は、脚部41と天板部42とによって門型構造を形成している。なお、天板部42は、本発明の「支持部」の一例である。なお、図2では、天板部42の上面42aに設けられた後述する印刷機構部60(図4参照)の図示を省略している。
【0029】
また、図4に示すように、上記した門型構造を有するフレーム構造体40の内側に、マスク昇降機構部50が配置されている。具体的には、マスク昇降機構部50は、スクリーンマスク6を保持するマスク保持テーブル51と、マスク保持テーブル51から下方(Z2方向)に延びる4本のボールネジ軸52と、4本のボールネジ軸52の各々に螺合するとともに、テーブル32の上面32a上において高さ方向の位置を変化させることなく回転可能に取り付けられたプーリ53と、4つのプーリ53を同時に同一方向に回転させるために設けられたベルト54と、脚部41に固定されるとともにベルト54を駆動するサーボモータ55とを含んでいる。したがって、サーボモータ55の回転制御とともに4つのプーリ53が同一方向に回転されて、プーリ53に螺合する4本のボールネジ軸52が同時に軸方向(Z方向)に移動されるように構成されている。これにより、マスク保持テーブル51が水平状態を保ったまま、上下方向(Z方向)に沿って昇降されるように構成されている。
【0030】
第1実施形態では、このマスク昇降機構部50により、印刷時には、マスク保持テーブル51をZ2方向に下降させてマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6を印刷領域に搬入されたプリント基板5の上面5aに当接させるとともに、印刷後には、マスク保持テーブル51をZ1方向に上昇させてプリント基板5の上面5aからスクリーンマスク6の版離れを行うように構成されている。
【0031】
また、第1実施形態では、水平位置決め機構部30にマスク昇降機構部50を有するフレーム構造体40が設置されているので、印刷領域に搬入されたプリント基板5に対して、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6の水平面内(X−Y面内)における詳細な位置合わせが行われるように構成されている。
【0032】
また、図4に示すように、フレーム構造体40における天板部42の上面42a上に、印刷機構部60が設けられている。ここで、天板部42の上面42aは、基台10の上面10aと同様に水平面を構成している。印刷機構部60は、プリント基板5の上面5aに半田2(図5参照)の印刷(スキージング)を行う機能を有している。
【0033】
印刷機構部60は、図5に示すように、スクリーンマスク6の上面6a(Z1側)に対してペースト状の半田2を押圧しながらY方向に摺動する印圧負荷ユニット61と、印圧負荷ユニット61に取り付けられるとともにスクリーンマスク6の上面6aに半田2を供給する半田供給部62と、上面42a上をY方向に延びるボールネジ軸63と、ボールネジ軸63に螺合され、半田供給部62の側方に固定されたナット部材64と、ボールネジ軸63を駆動するサーボモータ65とを含んでいる。ここで、ボールネジ軸63は、固定部材66および固定部材67によって、軸方向(Y方向)の両端部近傍が上面42a上で回転可能に固定されている。また、サーボモータ65は、固定部材66により上面42a上に固定されている。
【0034】
また、天板部42の上面42aには、Y方向に延びるレール15が設けられている。レール15は、マスク保持テーブル51に保持されるスクリーンマスク6のY方向の長さ以上の長さを有している。そして、印圧負荷ユニット61が取り付けられた半田供給部62が、レール15上を移動可能に設置されている。これにより、サーボモータ65の回転制御とともにスクリーンマスク6に対して印圧負荷ユニット61が印刷方向(Y方向)に沿って相対的に往復移動するように構成されている。
【0035】
また、印圧負荷ユニット61には、スクリーンマスク6の上面6aを摺動するスキージ70が伸縮可能なロッド71を介して取り付けられている。印刷機構部60では、印刷が行われる際、印圧負荷ユニット61から延びるロッド71が下方(Z2方向)に延ばされることにより、スキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6に所定の押圧力を有して当接するように構成されている。なお、スキージ70は、Y方向に対向するように一組設けられており、印刷方向(Y1方向、Y2方向)に応じて、スクリーンマスク6を摺動するスキージ70が切り換わるように構成されている。そして、この状態で、印圧負荷ユニット61がマスク保持テーブル51に対して印刷方向(Y方向)に往復移動することにより、半田2がプリント基板5に印刷されるように構成されている。なお、印圧負荷ユニット61は、本発明の「印刷ヘッド部」の一例であり、スキージ70は、本発明の「ヘラ部材」の一例である。
【0036】
ここで、第1実施形態では、図4および図5に示すように、フレーム構造体40内に配置されたマスク昇降機構部50と、フレーム構造体40の天板部42上に配置された印刷機構部60とは、構造的に絶縁されて切り離されている。すなわち、フレーム構造体40(天板部42)は、スクリーンマスク6が保持されたマスク保持テーブル51の昇降動作とは独立するように設置されており、このフレーム構造体40(天板部42)にスキージングを行う印刷機構部60が設けられている。したがって、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61が天板部42上を印刷方向(Y方向)に移動したとしても、印圧負荷ユニット61の重量が、スクリーンマスク6を介して直接的にマスク保持テーブル51に加わらないように構成されている。
【0037】
また、第1実施形態では、天板部42は、マスク保持テーブル51の上面51aから上方に間隔L1を隔てて配置されている。したがって、マスク昇降機構部50の昇降動作によってマスク保持テーブル51が最も上昇されたとしても、上面51aが天板部42の下面42bに対してZ2方向に間隔L1で離間した状態が維持されるように構成されている。さらには、マスク昇降機構部50は、天板部42に対して独立した状態でマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6を上下方向に昇降させて、プリント基板5に対する位置決めを行うように構成されている。
【0038】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40の天板部42に印刷機構部60が設けられているので、水平位置決め機構部30によってマスク昇降機構部50が水平方向(X−Y面内)へ移動された場合には、印圧負荷ユニット61もマスク昇降機構部50の移動方向と同じ方向に移動されるように構成されている。すなわち、スクリーンマスク6のX−Y面内におけるプリント基板5との位置合わせに同期して、印圧負荷ユニット61もX−Y面内を一体的に移動されるので、スクリーンマスク6に対するスキージ70の位置関係が常に変化しないように構成されている。この場合、スクリーンマスク6とスキージ70とは、スキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6におけるY方向(印刷方向)に沿った一辺に対して略直交するX方向に延びるように配置されている。したがって、水平位置決め機構部30によってフレーム構造体40およびマスク昇降機構部50がX−Y面内を平行移動されるか、またはZ軸まわりに回動されたとしても、スクリーンマスク6に対してスキージ70が斜行しながら摺動する状態が回避されている。
【0039】
また、マスク昇降機構部50には、図示しない基板用カメラがレンズを下方(Z2方向)に向けて設置されている。印刷ユニット90では、基板搬送部20によりプリント基板5がX1方向へ搬送される際に、基板用カメラによってプリント基板5の上面5aに付された図示しないフィデューシャルマーク(位置合わせマーク)が検出されるように構成されている。これにより、印刷開始前に、印刷領域に搬送されたプリント基板5とスクリーンマスク6との水平面内(X−Y面内)における位置合わせが精度良く行われるように構成されている。
【0040】
また、スクリーンマスク6(図4参照)は、約20μm以上約150μm以下の厚みを有する板状(シート状)の部材からなり、複数の開口部(図示せず)がパターニングされた開口領域を有している。このようにシート状のスクリーンマスク6は屈曲性を有するため、スクリーンマスク6は、周囲が剛性の高い部材からなるマスク保持テーブル51に固定されている。
【0041】
また、図3に示すように、制御装置80は、CPU(演算処理部)と基板回路部とにより構成されている。具体的には、制御装置80は、演算処理部81、記憶部82、外部入出力部83、画像処理部84および駆動制御部85によって主に構成されている。なお、駆動制御部85は、本発明の「制御部」の一例である。
【0042】
演算処理部81はCPUからなり、印刷ユニット90の動作を全般的に統括している。また、演算処理部81からの指令に基づいて、駆動制御部85による制御動作が行われるように構成されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、駆動制御部85により、スクリーンマスク6をプリント基板5から上方(Z1方向)に離間させる動作に同期して、スキージ70をプリント基板5から上方に離間させる制御を行うように構成されている。すなわち、マスク保持テーブル51が天板部42の下面42bと間隔L2を隔てて下降されていた状態(図5参照)から、プリント基板5への印刷終了後にスクリーンマスク6をプリント基板5から上方に離間させる際、マスク保持テーブル51の上昇とともにロッド71を同時に引き上げる動作を行うように構成されている。また、この際、印圧負荷ユニット61による印圧をきめ細かく制御することにより、スキージ70の下端部70aをスクリーンマスク6の上面6aに接触させた状態で、ロッド71を上方に引き上げるように構成されている。これにより、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる際に、スクリーンマスク6に所定の押圧力でスキージ70が接触した状態が維持されるので、スクリーンマスク6が上下方向に波打ちながらプリント基板5から剥がされるような状態が生じることが抑制されている。
【0044】
また、記憶部82は、演算処理部81が実行可能な制御プログラムなどが格納されている動作プログラム記憶部82aと、印刷動作を行う際に必要となるデータ類が格納されている制御データ記憶部82bとを含んでいる。ここで、動作プログラム記憶部82aは、フラッシュROM(Read Only Memory)からなり、制御データ記憶部82bは、RAM(Random Access Memory)からなる。
【0045】
また、外部入出力部83は、運転開始ボタン95を含む運転操作上の各種ボタン類や、基板位置センサ、マスク位置センサ、スキージ位置センサなどの各種センサ類からの入出力を制御する機能を有している。画像処理部84は、基板用カメラが撮像した画像データの処理を行って、印刷ユニット90の動作に必要とされるデータを内部的に生成する役割を有している。
【0046】
また、駆動制御部85は、演算処理部81から出力される制御信号に基づいて、印刷ユニット90の各サーボモータ(水平位置決め機構部30のスライド機構部31を個別に駆動するサーボモータ、マスク保持テーブル51をZ方向に昇降させるサーボモータ65(図4参照)、印圧負荷ユニット61をY方向に移動させるサーボモータ65(図4参照)、印圧負荷ユニット61におけるロッド71を昇降させるサーボモータなど)を制御するように構成されている。また、駆動制御部85は、基板搬送部20に設けられた搬送軸(図示せず)のサーボモータを制御するように構成されている。また、駆動制御部85は、各サーボモータが有するエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいてフレーム構造体40(マスク保持テーブル51)のX−Y面内の位置、マスク保持テーブル51の高さ位置(Z方向)および回転位置(Z軸まわり)などが認識可能に構成されている。
【0047】
また、図3に示すように、制御装置80は、装置本体に設けられた非常停止回路部92に接続されている。非常停止回路部92には、装置本体内の所定の位置に設けられたカバーオープンスイッチ93と、押しボタン式の非常停止ボタン94とが電気的に接続されている。カバーオープンスイッチ93は、アクセスカバー101a(図1参照)の開閉状態に応じてスイッチの開閉が切り換わるように構成されている。これにより、アクセスカバー101aが開いた状態では、非常停止回路部92が機能して印刷ユニット90の運転が開始(再開)されないように構成されている。また、運転中にユーザが非常停止ボタン94を押下した場合、非常停止回路部92が機能して即時に運転が中断されるように構成されている。
【0048】
また、図1に示すように、印刷装置100の外部には表示パネル102が設けられている。ユーザは、各々の表示パネル102を介して印刷動作の進行状況を把握したり、表示パネル102の表示内容に応じた機器操作を行うように構成されている。また、印刷装置100には表示灯103が設けられている。表示灯103は、印刷装置100の天面部よりも高い位置に配置されており、印刷装置100から離れた位置からでもユーザが印刷装置100の運転状況を視認することが可能に構成されている。このようにして、印刷装置100は構成されている。
【0049】
次に、図2〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による印刷装置100の印刷動作について説明する。
【0050】
図2に示すように、基板搬送部20上の待機位置に印刷前のプリント基板5が移送されてきたとする。印刷ユニット90における印刷動作が継続される場合、基板搬送部20のコンベアベルト21が駆動されて、プリント基板5が、印刷領域までX1方向に搬送される。
【0051】
その後、図4に示すように、マスク昇降機構部50に設置された基板用カメラ(図示せず)によってプリント基板5の上面5aに付されたフィデューシャルマーク(図示せず)が検出される。そして、基板用カメラによって検出されたプリント基板5のフィデューシャルマークに基づいて、水平位置決め機構部30のスライド機構部31が駆動されて、プリント基板5とマスク保持テーブル51とのX−Y面内での位置合わせが行われる。これにより、プリント基板5上の所定の位置に、スクリーンマスク6が正確に重ね合わせられる。
【0052】
そして、この状態で、マスク昇降機構部50のサーボモータ55が駆動されることにより、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6がZ2方向に下降する。これにより、プリント基板5の上面5aにスクリーンマスク6が所定の押圧力で押し付けられる。
【0053】
また、図5に示すように、印刷機構部60のサーボモータ65が駆動されることにより、印圧負荷ユニット61が印刷領域のY1側の端部近傍の位置まで移動される。そして、半田供給部62により、スクリーンマスク6の上面6a上に所定量の半田2が供給される。そして、印圧負荷ユニット61のY1側のロッド71が下方に延ばされることにより、Y1側のスキージ70の下端部70aがスクリーンマスク6の上面6aに所定の押圧力で当接する。この状態で、サーボモータ65が駆動されることにより、印圧負荷ユニット61とともにスキージ70がY2方向に移動されてスキージング(ペースト状の半田2の掻き取り動作)が行われる。スキージ70が図6に示した位置まで移動されることにより、プリント基板5の上面5aに、スクリーンマスク6を介して半田2が印刷される。そして、半田2が印刷された後、サーボモータ55が駆動されることにより、マスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6がZ1方向に上昇されて版離れが行われる。
【0054】
この際、第1実施形態では、図7に示すように、駆動制御部85(図3参照)により、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる動作に同期して、スキージ70を上方に引き上げる動作が行われる。すなわち、スクリーンマスク6の版離れの速度(マスク保持テーブル51の上昇速度)と、ロッド71の上昇速度(スキージ70の上昇速度)とを略同じ状態にしてスクリーンマスク6およびスキージ70を共に上昇させる。また、この際、印圧負荷ユニット61による印圧荷重を制御することにより、スキージ70の下端部70aをスクリーンマスク6の上面6aに適切な押圧力で接触させながらロッド71を上方に引き上げる。なお、スキージ70を上昇させる際の荷重(スクリーンマスク6に対するスキージ70の押圧力)は、スキージングの際の印圧荷重よりも小さくなるように制御される。そして、図8に示すように、天板部42の下面42bに対して間隔L1を有してマスク保持テーブル51の上昇が停止された位置から、さらに、スキージ70が引き上げられる。
【0055】
その後、図2に示すように、基板搬送部20のコンベアベルト21が駆動されて、印刷終了後のプリント基板5が、印刷領域からX1方向に搬出領域まで搬送される。印刷ユニット90では、上記した印刷動作を繰り返すことにより、プリント基板5への印刷が継続的に行われる。
【0056】
なお、上記説明したプリント基板5の次に印刷されるプリント基板5については、図8において、印圧負荷ユニット61のY2側のロッド71が下方に延ばされることにより、Y2側のスキージ70がスクリーンマスク6の上面6aに所定の押圧力で当接する。半田2が上面6a上に供給された後、Y2側のスキージ70がY1方向に移動されてスキージングが行われる。以降、印刷方向に応じて、Y1側のスキージ70とY2側のスキージ70とを交互に切り換えながら、印圧負荷ユニット61が往復移動されてプリント基板5への印刷が行われる。
【0057】
第1実施形態では、上記のように、スクリーンマスク6の昇降動作(Z方向)とは独立するように設置されたフレーム構造体40と、フレーム構造体40にY方向に移動可能に設けられ、半田2が供給されたスクリーンマスク6のスキージングを行う印圧負荷ユニット61などを含む印刷機構部60とを備えることによって、印刷時に印刷機構部60の印圧負荷ユニット61をスクリーンマスク6上でY方向(印刷方向)に移動させても、印刷機構部60がマスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)とは構造的に独立したフレーム構造体40に設けられているので、印圧負荷ユニット61の移動がマスク昇降機構部50に直接的に伝わることが抑制される。これにより、印圧負荷ユニット61が移動したとしても、マスク保持テーブル51が印圧負荷ユニット61の移動に起因して上下方向に傾斜するような事態が抑制される。この結果、印圧負荷ユニット61の移動によって、マスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)の有する高さ位置精度が影響を受けることを抑制することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40は、マスク昇降機構部50から上方(Z1方向)に間隔を隔てて水平方向に延びる天板部42を含んでおり、印圧負荷ユニット61を含む印刷機構部60は、天板部42に水平方向に移動可能に支持されている。これにより、スキージングを行う際に、マスク保持テーブル51の上方に独立して設けられた天板部42により、印圧負荷ユニット61を容易に印刷方向(Y方向)に移動させることができる。
【0059】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50は、フレーム構造体40の天板部42に対して独立した状態でスクリーンマスク6を上下方向に昇降させてプリント基板5に対する位置決めを行うように構成されている。これにより、印圧負荷ユニット61がスキージングに伴って天板部42を水平方向に移動しても、天板部42とマスク昇降機構部50(マスク保持テーブル51)とが互いに構造的に独立しているので、印圧負荷ユニット61の移動に伴う荷重の移動が、マスク保持テーブル51に直接的に伝わることを容易に抑制することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、フレーム構造体40は、下方から天板部42を支持するとともに上下方向に延びる脚部41を含んでおり、フレーム構造体40は、脚部41と天板部42とによって門型構造が形成されている。そして、マスク昇降機構部50は、門型構造を有するフレーム構造体40の内側に配置されている。これにより、マスク昇降機構部50を門型構造を有するフレーム構造体40の内側に容易に配置することができる。そして、所定の剛性を有する門型構造の梁部となる天板部42を介して印圧負荷ユニット61を水平方向(印刷方向)に移動させることができる。これにより、印圧負荷ユニット61の移動によってマスク昇降機構部50の有する高さ位置精度が影響を受けることが抑制された印刷装置100を容易に得ることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、印圧負荷ユニット61は、フレーム構造体40における天板部42の上面42a側において水平方向に移動可能に支持されている。これにより、天板部42よりも下方のマスク保持テーブル51との空間(間隔L1〜L2)を容易に確保することができる。これにより、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50とを互いに独立させた状態で、各々を容易に駆動させることができる。
【0062】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50をX−Y面内で移動可能とする水平位置決め機構部30をさらに備えており、フレーム構造体40の脚部41は、水平位置決め機構部30に固定されている。これにより、マスク昇降機構部50の高さ位置精度を安定的に維持したまま、マスク昇降機構部50を水平方向に移動させることができるので、プリント基板5に対するスクリーンマスク6の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0063】
また、第1実施形態では、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61は、水平位置決め機構部30によるマスク昇降機構部50の水平方向(Y方向)への移動に伴って移動されるように構成されている。これにより、水平方向においては、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50とを一体的に移動させることができるので、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50との水平面内(X−Y面内)における相対的な位置関係(Z軸まわりの位置関係)にずれが生じることを極力抑制することができる。これにより、スキージングの際にスクリーンマスク6における適正なスキージング方向(Y方向)に対して印圧負荷ユニット61(スキージ70)が斜め方向に斜行されることが抑制されるので、プリント基板5に対する半田2の印刷品質を良好に保つことができる。
【0064】
また、第1実施形態では、マスク昇降機構部50によるスクリーンマスク6の上下方向の移動とともに、スキージ70の高さ位置を制御する駆動制御部85を備えている。そして、駆動制御部85は、スクリーンマスク6をプリント基板5から上下方向に離間させる動作に同期して、スキージ70をプリント基板5から離間させる制御を行うように構成されている。これにより、印刷機構部60がマスク昇降機構部50とは構造的に独立したフレーム構造体40に設けられている場合であっても、マスク昇降機構部50によるスクリーンマスク6の上下方向の移動に同期するように印圧負荷ユニット61から延びるスキージ70の移動を適切に制御することができるので、印刷後のプリント基板5からスクリーンマスク6を容易に版離れさせることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、印刷機構部60は、スキージングが行われる際、スキージ70によりスクリーンマスク6を所定の押圧力で押圧するように構成されている。そして、駆動制御部85は、マスク昇降機構部50によりスクリーンマスク6がプリント基板5から離間される際に、スキージ70をスクリーンマスク6に接触させた状態でプリント基板5から離間させる制御を行うように構成されている。これにより、スクリーンマスク6をプリント基板5から版離れさせる際に、スクリーンマスク6にスキージ70が接触した状態で版離れさせることができるので、スクリーンマスク6が上下方向に波打ちながら印刷後のプリント基板5から剥がされることが抑制される。これにより、スクリーンマスク6の不適切な版離れに起因して、印刷品質が悪化することを抑制することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態による印刷装置200は、第1実施形態のような水平位置決め機構部30が設けられることなく、基台210上に直接フレーム構造体40が固定されている。なお、図中において、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。なお、基台210は、本発明の「台座部」の一例である。
【0067】
本発明の第2実施形態による印刷装置200は、図9に示すように、基台210の上面210aに直接マスク昇降機構部50が固定された印刷ユニット290を備えている。つまり、マスク昇降機構部50が設けられたフレーム構造体40は、水平面内(X−Y面内)において移動されないように構成されている。したがって、印刷装置200では、基板搬送部220側が、水平面内(X−Y面内)において移動可能に構成されており、プリント基板5とスクリーンマスク6との詳細な位置合わせが行われるように構成されている。
【0068】
具体的には、基板搬送部220は、スライド機構部221と、スライド機構部221の上部側に固定された基板テーブル222とを含んでいる。基板テーブル222には、上面(Z1側)から上方に延びる複数のピン(図示せず)が取り付けられている。そして、プリント基板5は、基板テーブル222上において、下面がピンにより支持された状態で載置されている。また、基板搬送部220には、スライド機構部221を駆動する図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構によって、基板テーブル222がX−Y面内で移動することが可能に構成されている。
【0069】
ここで、第2実施形態においても、フレーム構造体40内に配置されたマスク昇降機構部50と、フレーム構造体40の天板部42上に配置された印刷機構部60とは、構造的に絶縁されている。したがって、印刷機構部60が天板部42上を印刷方向(Y方向)に移動したとしても、印刷機構部60の重量が、直接的にマスク保持テーブル51に加わらないように構成されている。
【0070】
なお、第2実施形態における印刷装置200のその他の構成については、上記第1実施形態における印刷装置100の構成と同様である。また、印刷装置200の印刷動作については、印刷開始前に基板搬送部220側においてマスク保持テーブル51に保持されたスクリーンマスク6とプリント基板5との位置合わせが行われる点を除いて、上記第1実施形態における印刷装置100の印刷動作と略同様である。
【0071】
第2実施形態では、上記のように、マスク昇降機構部50が固定的に設置される基台210を備えており、フレーム構造体40の脚部41は、基台210に固定されているので、マスク昇降機構部50が有する高さ位置精度を安定的に維持することが可能な印刷装置200を、簡素な構成によって得ることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
(第3実施形態)
次に、図3、図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態による印刷装置300は、第2実施形態で例示した印刷ユニット290を2基備えている。なお、図中において、第2実施形態と同様の構成には、第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0073】
本発明の第3実施形態による印刷装置300は、図10に示すように、2つの印刷ユニット390および391を備えており、各々の印刷ユニットが個別に駆動することにより、各印刷ユニットにおいてプリント基板5にマスク印刷を行うことが可能に構成されている。この際、互いに異なるサイズのプリント基板5が各々の印刷ユニットにおいて印刷可能であるように構成されている。
【0074】
印刷装置300は、平面的に見て、図11に示すように、床面301(図10参照)に載置された基台310上に、2つの印刷ユニット390および391がY方向に沿って並べられている。また、印刷ユニット390および391は、プリント基板5の搬入/搬出方向となる長手方向を、基台310のX方向に略一致させて設置されている。
【0075】
また、印刷ユニット390が有する基板搬送部320、および、印刷ユニット391が有する基板搬送部321は、互いに、相手側のマスク昇降機構部50の真下までY方向に移動することが可能に構成されている。たとえば、基板搬送部320の基板テーブル222がプリント基板5を保持したままY1方向に移動して、印刷ユニット391のマスク昇降機構部50とのX−Y面内での位置合わせが行えるように構成されている。これにより、印刷ユニット390の印刷機構部60が何らかの都合で印刷が行えない場合であっても、印刷ユニット391のマスク昇降機構部50および印刷機構部60を使用して印刷が行えるように構成されている。このように、印刷装置300では、一方側の印刷ユニットに搬入されたプリント基板5を、他方側の印刷ユニットに乗り入れて印刷させることが可能に構成されている。
【0076】
また、印刷ユニット390および391の各々には、第2実施形態で例示した印刷ユニット290と略同様の制御装置80(図3参照)が備えられている。そして、各々の制御装置80は、図示しない統括制御部(メインCPU)に接続されている。これにより、この統括制御部の指令に基づいて、各印刷ユニットが個別に駆動されるように構成されている。さらには、統括制御部の指令に基づいて、各印刷ユニットの動作を互いに関連付けながら駆動させることも可能に構成されている。すなわち、上記したように、印刷ユニット390(391)が何らかの理由で運転が停止されたとしても、プリント基板5を、印刷ユニット391(390)側に乗り入れて印刷を継続させることが可能とされている。なお、印刷ユニット390および391のその他の構成については、第2実施形態で例示した印刷ユニット290と略同様である。
【0077】
第3実施形態では、上記のように、第2実施形態と略同様の構成を有する2つの印刷ユニット390および391を備えているので、このような印刷装置300においても、各々の印刷ユニットにおいて、印圧負荷ユニット61の移動によってマスク昇降機構部50の有する高さ位置精度が影響を受けることを効果的に抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、マスク昇降機構部50を水平位置決め機構部30のテーブル32、または、基台210の上面210aに設置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、マスク昇降機構部50をフレーム構造体40の脚部41に取り付けてもよい。この場合、脚部41の側面にマスク保持テーブル51を昇降可能に支持する支持部材などを設けてマスク昇降機構部50を取り付けることが可能である。この第1変形例のように構成しても、マスク保持テーブル51をフレーム構造体40の天板部42に対して独立した状態でスクリーンマスク6を上下方向に昇降させることができるので、本発明の効果を得ることができる。
【0080】
また、上記第1〜第3実施形態では、印刷機構部60を天板部42上に配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、印刷機構部60を天板部42の下面42b側に移動可能に設けてもよい。
【0081】
具体的には、図12に示す第2変形例のように印刷装置400を構成することが可能である。印刷ユニット490においては、第1実施形態のフレーム構造体40と比較して脚部441がより上方(Z1方向)まで延びている。そして、マスク保持テーブル51と天板部42との間により広く確保された間隔L3(L3>L2)を有する空間を利用して、天板部42の下面42bに印刷機構部60を移動可能に懸架している。この第2変形例のように構成しても、下面42b側をY方向に移動する印圧負荷ユニット61の重量がスクリーンマスク6を介して直接的にマスク保持テーブル51に加わらなく構成することができる。加えて、天板部42を介在させることなく印圧負荷ユニット61とマスク保持テーブル51とを上下方向により近づけて配置することができるので、印圧負荷ユニット61とマスク昇降機構部50との構造的な独立を図りつつ、スクリーンマスク6の昇降動作に伴う印圧負荷ユニット61の動作制御(スキージ70の昇降動作)を精度良く行うことができる。
【0082】
また、上記第1〜第3実施形態では、印刷機構部60の印圧負荷ユニット61および半田供給部62をサーボモータ65により駆動されるボールネジ軸63とナット部材64とを用いて駆動するように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。ボールネジ軸およびナット部材以外のたとえば、ベルト駆動や、ラックギアおよびピニオンギアなどの駆動機構を用いて印刷機構部60(印圧負荷ユニット61および半田供給部62)を駆動するように構成してもよい。
【0083】
また、上記第1〜第3実施形態では、プリント基板5とスクリーンマスク6とを密着させて印刷を行うコンタクト印刷方式によりプリント基板5への半田2の印刷を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。プリント基板5とスクリーンマスク6との間にギャップ(空隙)を設けて、印刷(スキージング)と版離れとの工程を同時に行うキャップ印刷(オフコンタクト印刷)方式を適用して、プリント基板5への半田2の印刷を行ってもよい。
【0084】
また、上記第1〜第3実施形態では、スキージ70を用いたオープンスキージ方式による半田2の押し込みによってプリント基板5への印刷を行う例について示したが、本発明はこれに限られない。半田2の充填性能が向上された密閉式加圧印刷方式を採用したカートリッジヘッドなどを、本発明の「印刷ヘッド部」に適用してもよい。ここに例示したカートリッジヘッドを用いてスクリーンマスクに対するスキージングを行う場合においても、印刷ヘッド部の重量移動が直接的にマスク保持テーブル51に加わらないので、マスク保持テーブル51の高さ位置精度を適切に維持することができる。
【符号の説明】
【0085】
5 プリント基板(基板)
6 スクリーンマスク
30 水平位置決め機構部
40 フレーム構造体(枠体部)
41、441 脚部
42 天板部(支持部)
50 マスク昇降機構部
61 印圧負荷ユニット(印刷ヘッド部)
65 スキージ(ヘラ部材)
85 駆動制御部(制御部)
100、200、300、400 印刷装置
210 基台(台座部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクを保持した状態で、前記スクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うマスク昇降機構部と、
前記スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、
前記枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給された前記スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備える、印刷装置。
【請求項2】
前記枠体部は、前記マスク昇降機構部から上方に間隔を隔てて水平方向に延びる支持部を含み、
前記印刷ヘッド部は、前記支持部に水平方向に移動可能に支持されている、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記マスク昇降機構部は、前記枠体部の前記支持部に対して独立した状態で前記スクリーンマスクを前記上下方向に昇降させて、前記基板に対する位置決めを行うように構成されている、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記枠体部は、前記支持部に接続され、下方から前記支持部を支持するとともに上下方向に延びる脚部をさらに含み、
前記枠体部は、前記脚部と前記支持部とによって門型構造が形成されており、
前記マスク昇降機構部は、前記門型構造を有する前記枠体部の内側に配置されている、請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記マスク昇降機構部を水平方向に移動可能とする水平位置決め機構部をさらに備え、
前記枠体部の前記脚部は、前記水平位置決め機構部に固定されている、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷ヘッド部は、前記水平位置決め機構部による前記マスク昇降機構部の水平方向への移動に伴って移動されるように構成されている、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記マスク昇降機構部が固定的に設置される台座部をさらに備え、
前記枠体部の前記脚部は、前記台座部に固定されている、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷ヘッド部は、前記枠体部における前記支持部の上面側において水平方向に移動可能に支持されている、請求項2〜7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷ヘッド部は、前記枠体部における前記支持部の下面側において水平方向に移動可能に支持されている、請求項2〜7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷ヘッド部は、前記スキージングを行うためのヘラ部材を含み、
前記マスク昇降機構部による前記スクリーンマスクの上下方向の移動とともに、前記ヘラ部材の高さ位置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記スクリーンマスクを前記基板から上下方向に離間させる動作に同期して、前記ヘラ部材を前記基板から離間させる制御を行うように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記印刷ヘッド部は、前記スキージングが行われる際、前記ヘラ部材により前記スクリーンマスクを所定の押圧力で押圧するように構成されており、
前記制御部は、前記マスク昇降機構部により前記スクリーンマスクが前記基板から離間される際に、前記ヘラ部材を前記スクリーンマスクに接触させた状態で前記基板から離間させる制御を行うように構成されている、請求項10に記載の印刷装置。
【請求項1】
スクリーンマスクを保持した状態で、前記スクリーンマスクを上下方向に昇降させて基板に対する位置決めを行うマスク昇降機構部と、
前記スクリーンマスクの昇降動作とは独立するように設置された枠体部と、
前記枠体部に移動可能に設けられ、半田が供給された前記スクリーンマスクのスキージングを行う印刷ヘッド部とを備える、印刷装置。
【請求項2】
前記枠体部は、前記マスク昇降機構部から上方に間隔を隔てて水平方向に延びる支持部を含み、
前記印刷ヘッド部は、前記支持部に水平方向に移動可能に支持されている、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記マスク昇降機構部は、前記枠体部の前記支持部に対して独立した状態で前記スクリーンマスクを前記上下方向に昇降させて、前記基板に対する位置決めを行うように構成されている、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記枠体部は、前記支持部に接続され、下方から前記支持部を支持するとともに上下方向に延びる脚部をさらに含み、
前記枠体部は、前記脚部と前記支持部とによって門型構造が形成されており、
前記マスク昇降機構部は、前記門型構造を有する前記枠体部の内側に配置されている、請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記マスク昇降機構部を水平方向に移動可能とする水平位置決め機構部をさらに備え、
前記枠体部の前記脚部は、前記水平位置決め機構部に固定されている、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷ヘッド部は、前記水平位置決め機構部による前記マスク昇降機構部の水平方向への移動に伴って移動されるように構成されている、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記マスク昇降機構部が固定的に設置される台座部をさらに備え、
前記枠体部の前記脚部は、前記台座部に固定されている、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷ヘッド部は、前記枠体部における前記支持部の上面側において水平方向に移動可能に支持されている、請求項2〜7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷ヘッド部は、前記枠体部における前記支持部の下面側において水平方向に移動可能に支持されている、請求項2〜7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷ヘッド部は、前記スキージングを行うためのヘラ部材を含み、
前記マスク昇降機構部による前記スクリーンマスクの上下方向の移動とともに、前記ヘラ部材の高さ位置を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記スクリーンマスクを前記基板から上下方向に離間させる動作に同期して、前記ヘラ部材を前記基板から離間させる制御を行うように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記印刷ヘッド部は、前記スキージングが行われる際、前記ヘラ部材により前記スクリーンマスクを所定の押圧力で押圧するように構成されており、
前記制御部は、前記マスク昇降機構部により前記スクリーンマスクが前記基板から離間される際に、前記ヘラ部材を前記スクリーンマスクに接触させた状態で前記基板から離間させる制御を行うように構成されている、請求項10に記載の印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−240225(P2012−240225A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109333(P2011−109333)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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