説明

危険箇所推定装置及び危険箇所推定方法

【課題】実際に発生した交通事故に関する情報の蓄積がない場合であっても、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所に関する情報を得ることを可能とする。
【解決手段】危険箇所推定装置1では、複数の移動端末の位置情報が位置情報取得部11により取得され、交通モードに示される移動手段が自動車及び徒歩である位置情報の各々が位置情報集計部14によりメッシュ毎に計数され、メッシュ毎に計数された交通モードが自動車である位置情報数及び交通モードが徒歩である位置情報数に基づいてメッシュ毎の危険度を示す危険度指標値が指標値集計部15により生成される。この危険度指標値は、ユーザの所在位置が逐次反映された位置情報に基づいて生成されることとなるので、交通事故に関する情報の蓄積を必要とせず、タイムリーに危険箇所の推定を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険箇所推定装置及び危険箇所推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、交通事故の発生しやすい場所を予測して、予測された場所を利用者に通知するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、発生した交通事故に関する種々の情報をデータベースに登録し、登録された交通事故の情報に基づいて危険度を予測するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−277165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、実際に発生した交通事故の情報に基づいて、危険度を予測しているので、一定量以上の交通事故の情報の蓄積がない場合には、危険度を予測することができない。また、例えば、新たに道路が作られた場合には、当該道路上における交通事故の情報は存在しないため、その道路の危険度の予測は不可能である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、実際に発生した交通事故に関する情報の蓄積がない場合であっても、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所に関する情報を得ることが可能な危険箇所推定装置及び危険箇所推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の危険箇所推定装置は、移動端末のユーザの所在位置を示す情報、及び当該ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含む位置情報に基づいて、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所を推定する危険箇所推定装置であって、複数の位置情報を取得する位置情報取得手段と、危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報であり予め記憶されたメッシュ情報を取得する地域情報取得手段と、地域情報取得手段により取得されたメッシュ情報に基づいて、位置情報取得手段により取得された位置情報に示される所在位置が属するメッシュである所属メッシュを位置情報毎に判定する所属メッシュ判定手段と、所属メッシュ判定手段により所属メッシュが判定された位置情報の数を、一の移動手段である第1移動手段を交通モード情報として含んでいる位置情報である第1位置情報、及び第1移動手段とは異なる移動手段である第2移動手段を交通モード情報として含んでいる位置情報である第2位置情報のそれぞれについて、メッシュ毎に計数する位置情報集計手段と、位置情報集計手段により計数された第1位置情報の数及び第2位置情報の数に基づいて、メッシュ毎の危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する指標値集計手段と、指標値集計手段により生成された危険度指標値を出力する処理結果出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の危険箇所推定方法は、移動端末のユーザの所在位置を示す情報、及び当該ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含む位置情報に基づいて、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所を推定する危険箇所推定装置における危険箇所推定方法であって、複数の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報であり予め記憶されたメッシュ情報を取得する地域情報取得ステップと、地域情報取得ステップにおいて取得されたメッシュ情報に基づいて、位置情報取得ステップにおいて取得された位置情報に示される所在位置が属するメッシュである所属メッシュを位置情報毎に判定する所属メッシュ判定ステップと、所属メッシュ判定ステップにおいて所属メッシュが判定された位置情報の数を、一の移動手段である第1移動手段を交通モード情報として含んでいる位置情報である第1位置情報、及び第1移動手段とは異なる移動手段である第2移動手段を交通モード情報として含んでいる位置情報である第2位置情報のそれぞれについて、メッシュ毎に計数する位置情報集計ステップと、位置情報集計ステップにおいて計数された第1位置情報の数及び第2位置情報の数に基づいて、メッシュ毎の危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する指標値集計ステップと、指標値集計ステップにおいて生成された危険度指標値を出力する処理結果出力ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
移動端末において、例えば経路案内サービス等といった位置情報を利用するアプリケーションサービスを使用した場合に、移動端末が有するGPS装置により測定された位置情報等が、当該移動端末の所在位置を示す情報として用いられる。移動端末が上記のような位置情報を利用するアプリケーションサービスを利用した場合に、当該アプリケーションサービスを提供するサーバ装置等は、当該移動端末の位置情報を収集することができる。従って、位置情報は、ユーザの所在位置を反映しながら逐次収集されることとなる。本発明の危険箇所推定装置及び危険箇所推定方法によれば、複数の移動端末の位置情報が取得され、移動手段が相違するユーザに関する第1位置情報及び第2位置情報がメッシュ毎に計数され、計数された第1位置情報及び第2位置情報の数に基づいてメッシュ毎の危険度を示す指標値が生成される。この指標値は、ユーザの所在位置が逐次反映された位置情報に基づいて生成されることとなるので、交通事故に関する情報の蓄積を必要とせず、タイムリーに危険箇所の推定を行うことが可能となる。
【0009】
また、本発明の危険箇所推定装置では、指標値集計手段は、メッシュ毎に計数された第1位置情報の数に基づいて、当該第1位置情報の数の多さを示す第1の指標値をメッシュ毎に生成し、メッシュ毎に計数された第2位置情報の数に基づいて、当該第2位置情報の数の多さを示す第2の指標値をメッシュ毎に生成し、第1の指標値と第2の指標値とを乗じて危険度指標値を生成することが好ましい。
【0010】
この場合には、第1位置情報の数に基づいて生成された第1の指標値と、第2位置情報の数に基づいて生成された第2の指標値とを乗算することにより危険度指標値が生成される。これにより、第1位置情報の多さ及び第2位置情報多さが反映された危険度指標値が生成されることとなるので、精度よく危険箇所の推定を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明の危険箇所推定装置では、位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、位置情報集計手段は、位置情報に含まれる測位時刻に関する情報に基づき、計数される位置情報の数に重み付けを行うことが好ましい。
【0012】
この場合には、例えば、交通事故が発生しやすい時間帯に測位された位置情報の数に重み付けをした上で、位置情報の計数を行うことができる。従って、より精度の高い危険度指標値を得ることが可能となる。
【0013】
また、本発明の危険箇所推定装置では、位置情報集計手段は、予め記憶された移動端末のユーザの属性情報を取得し、位置情報により所在位置が示される移動端末のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される位置情報の数に重み付けを行うことが好ましい。
【0014】
この場合には、例えば、若年層や高齢層といったユーザや、交通状況の認識力が低いと思われるユーザの位置情報の数に重み付けをした上で、位置情報の計数を行うことができる。従って、より精度の高い危険度指標値を得ることが可能となる。
【0015】
また、本発明の危険箇所推定装置では、位置情報抽出手段を備え、位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、位置情報抽出手段は、位置情報取得手段により取得された位置情報から、測位時刻が所定の時間帯に該当する位置情報を抽出し、所属メッシュ判定手段は、位置情報抽出手段により抽出された位置情報について、所在位置が属するメッシュの判定を行うことが好ましい。
【0016】
この場合には、例えば、交通事故が発生しやすい時間帯に測位された位置情報のみが計数され、計数された位置情報数に基づいて危険度指標値が生成される。これにより、より有用な危険度指標値を得ることが可能となる。
【0017】
また、本発明の危険箇所推定装置では、予め記憶された移動端末のユーザの属性情報を取得し、取得された位置情報から、位置情報により所在位置が示される移動端末のユーザに関する属性情報が所定条件に該当する位置情報を抽出する位置情報抽出手段を備え、所属メッシュ判定手段は、位置情報抽出手段により抽出された位置情報について、所在位置が属するメッシュの判定を行うことが好ましい。
【0018】
この場合には、例えば、若年層や高齢層といったユーザや、交通状況の認識力が低いと思われるユーザの位置情報のみが計数され、計数された位置情報数に基づいて危険度指標値が生成される。これにより、より有用な危険度指標値を得ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の危険箇所推定装置では、位置情報取得手段は、交通モード生成手段を含み、位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、交通モード生成手段は、一の位置情報に含まれる所在位置及び測位時刻の情報と、一の位置情報の測位時刻と時系列上で隣接する測位時刻を含み且つ同一ユーザに関する他の位置情報に含まれる所在位置及び測位時刻の情報とに基づいて、当該ユーザの移動速度を求め、求められた移動速度に基づいて一の位置情報の交通モード情報を生成することが好ましい。
【0020】
この場合には、ユーザの移動手段を示す交通モード情報が位置情報に含まれていない場合であっても、位置情報に含まれるユーザの所在位置及び測位時刻に基づいて、交通モード情報を得ることができる。
【0021】
また、本発明の危険箇所推定装置では、位置情報に含まれる交通モード情報における第1移動手段は自動車であり、第2移動手段は徒歩であることを特徴とする。
【0022】
この場合には、交通事故に関わる可能性が高い自動車を移動手段とするユーザの位置情報と、自動車にとって交通環境において注意対象である歩行者の位置情報とに基づいて危険度指標値が生成される。これにより、より有用な危険度指標値を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の危険箇所推定装置及び危険箇所推定方法によれば、実際に発生した交通事故に関する情報の蓄積がない場合であっても、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所に関する情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】危険箇所推定装置を含むシステムの全体構成図である。
【図2】危険箇所推定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】危険箇所推定装置のハードブロック図である。
【図4】位置情報記憶部の構成及び内容の一例を示す図である。
【図5】メッシュ情報により示されるメッシュの構成を模式的に示す図である。
【図6】地域情報記憶部に記憶されたメッシュ情報のデータ構成及び内容を具体的に示す図である。
【図7】所属メッシュが判定され、所属メッシュのメッシュIDが対応付けられた位置情報の例を示す図である。
【図8】(a)は位置情報集計部が位置情報を計数した結果を一時記憶するテーブルの例を示す図であり、(b)は計数された位置情報数から算出された指標値を一時記憶するテーブルの例を示す図である。
【図9】ユーザ情報記憶部の構成、及び記憶されているデータの例を示す図である。
【図10】処理結果出力部がディスプレイ等に視覚的に危険度指標値を出力した例を示す図である。
【図11】危険箇所推定装置において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートにおけるステップS5の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る危険箇所推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図14】第2実施形態における危険箇所推定装置で実施される処理内容を示すフローチャートである。
【図15】交通モード生成部の機能的構成を示すブロック図である。
【図16】交通モード生成部により抽出された、時系列上で隣接する2つの位置情報の例を示す図である。
【図17】時系列上で隣接する2つの位置情報を用いた交通モードの生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る危険箇所推定装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る危険箇所推定装置を含むシステムの全体構成図である。図1に示すように、危険箇所推定装置1は、ネットワークNを介して位置情報記憶装置2、地域情報記憶装置3とネットワークNを介して通信可能である。また、アプリケーションサービス提供装置5及び移動端末4もネットワークNを介した通信をすることができる。
【0027】
ここで、危険箇所推定装置1の説明に先立って、位置情報記憶装置2、地域情報記憶装置3及びアプリケーションサービス提供装置5について説明する。
【0028】
位置情報記憶装置2は、アプリケーションサービス提供装置5から移動端末4の位置情報を取得し、取得した位置情報を保存する装置である。位置情報記憶装置2は、位置情報を記憶するための記憶手段である位置情報記憶部20を備える。
【0029】
地域情報記憶装置3は、地域情報を予め取得して保存する装置であり、地域情報を記憶するための記憶手段である地域情報記憶部30を備える。地域情報は、後に説明する図5に模式的に示し、図6に具体的に示すような、危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報であるメッシュ情報を含む。
【0030】
なお、本実施形態では、位置情報記憶部20及び地域情報記憶部30は、それぞれ危険箇所推定装置1とネットワークNを介して通信可能な位置情報記憶装置2及び地域情報記憶装置3に備えられることとしたが、危険箇所推定装置1の一機能部として備えられることとしてもよい。
【0031】
アプリケーションサービス提供装置5は、例えば経路案内サービスといったアプリケーションサービスを移動端末4に提供する装置であり、例えば、サーバ装置により構成される。経路案内サービスのようなアプリケーションサービスを移動端末4が使用する場合には、移動端末4が有するGPS装置により測定された位置情報が当該移動端末4の所在位置を示す情報として用いられる。アプリケーションサービス提供装置5は、移動端末4が上記のような位置情報を利用するアプリケーションサービスを利用した場合に、移動端末4の位置情報を収集することができる。
【0032】
続いて、危険箇所推定装置1の機能について詳細に説明する。図2は、危険箇所推定装置の機能的構成を示すブロック図である。危険箇所推定装置1は、移動端末4のユーザの所在位置を示す情報、及び当該ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含む位置情報に基づいて、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所を推定する装置である。
【0033】
危険箇所推定装置1は、機能的には、処理要求受付部10、位置情報取得部11(位置情報取得手段)、地域情報取得部12(地域情報取得手段)、所属メッシュ判定部13(所属メッシュ判定手段)、位置情報集計部14(位置情報集計手段)、指標値集計部15(指標値集計手段)、処理結果出力部16(処理結果出力手段)を備える。
【0034】
図3は、危険箇所推定装置1のハードウエア構成図である。危険箇所推定装置1は、物理的には、図3に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2に示した各機能は、図3に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。再び、図2を参照し、危険箇所推定装置1の各機能部について詳細に説明する。
【0035】
処理要求受付部10は、危険箇所推定装置1に対する危険箇所を推定する処理要求を受け付ける部分である。処理要求は、例えば、ネットワークNを介して通信可能な端末装置(図示せず)から危険箇所推定装置1に対して送信されたり、危険箇所推定装置1が備える入力装置106を介して入力されたりするものであり、危険箇所の推定を所望する地域に関する情報、推定に用いる位置情報の測位期間に関する情報、及びその他の処理条件等を含んでいる。
【0036】
位置情報取得部11は、処理要求受付部10により受け付けられた、危険箇所の推定を所望する地域に関する情報と、推定に用いる位置情報の測位期間に関する情報とに該当する複数の位置情報を、位置情報記憶装置2の位置情報記憶部20から取得する部分である。ここで、位置情報記憶部20について説明する。
【0037】
位置情報記憶部20は、移動端末のユーザの所在位置を示す位置情報を記憶している記憶手段である。図4は、位置情報記憶部20に記憶されている位置情報の構成及び内容の一例を示す図である。図4に示すように、位置情報記憶部20は、各位置情報を識別するポイントIDに対応付けて、ユーザID、緯度、経度、日時及び交通モードの情報を記憶している。ユーザIDは、移動端末4を識別すると共にユーザに固有の識別子である。緯度及び経度は、当該移動端末の所在位置を示す情報である。日時は、当該位置情報に示される所在位置が測位された日及び測位時刻を示す情報である。交通モードは、ユーザの移動手段の種別を示す情報であり、当該位置情報がアプリケーションサービス提供装置5により収集された時に、移動端末4が使用していたアプリケーションの種別、及び当該アプリケーション使用時にユーザによる入力された情報等に基づき取得される。また、後に説明する第3実施形態のように、交通モード情報が位置情報に含まれていない場合もある。
【0038】
地域情報取得部12は、処理要求受付部10により受け付けられた処理要求に含まれる、危険箇所の推定を所望する地域に関する情報に基づいて、当該地域のメッシュ情報を地域情報記憶部30から取得する部分である。メッシュ情報は、危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報である。図5は、メッシュ情報により示されるメッシュの構成を模式的に示す図である。図5に示す例では、道路R1〜R5が設けられた一定範囲の地域が9個のメッシュM1〜M9に分割されている。図6は、図5に示すメッシュM1〜M9のデータ構成及び内容を具体的に示す図である。図6に示すように、メッシュを表すデータは、メッシュを識別する情報である「メッシュID」に対応付けられた「緯度」、「経度」、「緯度間隔」及び「経度間隔」の情報を含んでいる。「緯度」及び「経度」はそれぞれ、メッシュの西南端の緯度(北緯)及び経度(東経)を示す。「緯度間隔」及び「経度感覚」はそれぞれ、メッシュの緯度方向(北方向)及び経度方向(東方向)の幅を示す。
【0039】
所属メッシュ判定部13は、地域情報取得部12により取得されたメッシュ情報に基づいて、位置情報取得部11により取得された位置情報に示される所在位置が属するメッシュである所属メッシュを位置情報毎に判定する部分である。図7は、所属メッシュが判定され、所属メッシュのメッシュIDが対応付けられた位置情報の例を示す図である。例えば、ポイントID「1」の位置情報に示される所在位置は、緯度「35.6」及び経度「139.6」であるので、所属メッシュ判定部13は、図6に示すメッシュ情報を参照し、当該位置情報の所属メッシュをメッシュID「M1」のメッシュと判定し、図7に示す位置情報20Aにおいて、当該位置情報のメッシュIDとして「M1」を対応付けて記憶させる。所属メッシュ判定部13は、ポイントID「2」〜「5」の位置情報についても同様に所属メッシュを判定し、位置情報毎にメッシュIDを対応付けて記憶させる。
【0040】
位置情報集計部14は、所属メッシュ判定部13により所属メッシュが判定された位置情報の数を、交通モードが「自動車」である位置情報(第1位置情報)、及び交通モードが「徒歩」である位置情報(第2位置情報)のそれぞれについて、メッシュ毎に計数する部分である。図8(a)は、位置情報集計部14が位置情報を計数した結果を一時記憶するテーブルの例である。位置情報集計部14は、例えば、図7に示す位置情報20Aを参照し、メッシュIDが「M1」であり、交通モードが「徒歩」の位置情報として、ポイントIDが「1」及び「3」である位置情報の2つを抽出・計数する。そして、位置情報集計部14は、図8(a)に示すテーブルおいて、メッシュID「M1」の「徒歩の位置情報数」として、「2」を記憶する。
【0041】
なお、本実施形態では、交通モードが「自動車」及び「徒歩」である位置情報をそれぞれ計数することとしているが、交通事故の関わる可能性が高い移動手段のユーザの位置情報と、当該移動手段にとって交通環境において注意対象である移動手段のユーザの位置情報とをそれぞれ計数することとすれば、交通モードが「自動車」及び「徒歩」である位置情報には限定されない。例えば、交通モードが「自転車」及び「徒歩」である位置情報をそれぞれ計数することとしてもよいし、交通モードが「自動車」及び「自転車」である位置情報をそれぞれ計数することとしてもよい。
【0042】
また、位置情報集計部14は、位置情報に含まれる測位時刻に関する情報に基づき、計数される位置情報の数に重み付けを行うことができる。位置情報集計部14は、メッシュ毎の位置情報数を計数するに際して、通常の場合には1つの位置情報に関する位置情報数を「1」として計数するところ、当該位置情報の測位時刻が所定の時間帯に該当する場合には、その位置情報に関する位置情報数に重み付けをし、例えば、位置情報数を「2」として計数する。これにより、例えば、交通事故が発生しやすい時間帯に測位された位置情報の数に重み付けをした上で、位置情報の計数を行うことができる。重み付けをする時間帯には、例えば、薄暗い時間帯である18時〜19時が設定される。また、この時間帯は、季節により変更されることとしてもよい。このように重み付けを行うことにより、より精度の高い危険度指標値を得ることが可能となる。
【0043】
また、位置情報集計部14は、位置情報により所在位置が示される移動端末4のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される位置情報の数に重み付けを行うことができる。ユーザの属性情報は、ユーザ情報記憶部40に予め記憶されている。
【0044】
ユーザ情報記憶部40は、移動端末4のユーザの属性情報を予め記憶している記憶手段であり、ネットワークNを介して危険箇所推定装置1と通信可能なサーバ装置に備えられることとしてもよいし、危険箇所推定装置1の一機能部として備えられることとしてもよい。図9は、ユーザ情報記憶部40の構成、及び記憶されているデータの例を示す図である。図9に示す例では、ユーザ情報記憶部40は、移動端末4のユーザの識別子である「ユーザID」に対応付けて、「名前」、「性別」、「生年月日」、「移動端末機種」及び「本人確認書類」等を記憶している。ユーザの属性情報のうち、「名前」、「性別」及び「生年月日」はそれぞれ、ユーザの名前、性別、生年月日を示す情報であり、「移動端末機種」は、移動端末4の機種を示す情報であり、「本人確認書類」は、ユーザが移動端末4の契約時において本人確認書類として提示した書類を示す。
【0045】
位置情報集計部14は、メッシュ毎の位置情報数を計数するに際して、通常の場合には1つの位置情報に関する位置情報数を「1」として計数するところ、当該位置情報に係るユーザの生年月日が一定の年月日以前であり、そのユーザが高齢者であった場合や、当該位置情報に係るユーザの移動端末機種が高齢者向けの機種であった場合には、そのユーザの位置情報に関する位置情報数を「1」より大きい数として計数するように重み付けすることができる。
【0046】
また、位置情報集計部14は、メッシュ毎の位置情報数を計数するに際して、当該位置情報に係るユーザの生年月日が一定の年月日以後であり、そのユーザが若年層であった場合、当該位置情報に係るユーザの移動端末機種が若年層向けの機種であった場合、及び当該位置情報に係るユーザの本人確認書類が「自動車運転免許証」ではない場合等に、そのユーザの位置情報に関する位置情報数に重み付けをすることができる。以上説明したように重み付けを行うことにより、より精度の高い危険度指標値を得ることが可能となる。
【0047】
指標値集計部15は、位置情報集計部14により計数された、交通モードが「自動車」である位置情報数、及び交通モードが「徒歩」である位置情報数に基づいて、メッシュ毎の危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する部分である。具体的には、指標値集計部15は、交通モードが「自動車」である位置情報数に基づいて、当該位置情報の数の多さを示す指標値(第1の指標値)をメッシュ毎に生成し、交通モードが「徒歩」である位置情報数に基づいて、当該位置情報の数の多さを示す指標値(第2の指標値)をメッシュ毎に生成し、交通モードが「自動車」である位置情報の指標値と交通モードが「徒歩」である位置情報の指標値とを乗じて危険度指標値を生成する。続いて、図8を用いて、指標値集計部15による指標値の生成を説明する。
【0048】
指標値集計部15は、図8(a)に示す自動車の位置情報数CN1のうちの最大値(図8(a)の例では「5」)で各々の自動車の位置情報数CN1を除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。こうして算出された指標値は、図8(b)の自動車の指標値CN2に示される。同様に、指標値集計部15は、図8(a)に示す徒歩の位置情報数WN1のうちの最大値(図8(a)の例では「5」)で各々の徒歩の位置情報数WN1を除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出する。こうして算出された指標値は、図8(b)の徒歩の指標値WN2に示される。そして、指標値集計部15は、自動車の指標値CN2と徒歩の指標値WN2とをメッシュID毎に各々乗じて、危険度指標値DNを生成する。このように、指標値集計部15により危険度指標値が生成されるので、精度よく危険箇所の推定を行うことが可能となる。
【0049】
処理結果出力部16は、指標値集計部15により生成された危険度指標値を出力する部分である。処理結果出力部16は、例えば、危険箇所推定装置1に処理要求を送信した端末装置(図示せず)に対して、危険度指標値を危険箇所に関する情報として返信したり、危険箇所推定装置1が備える、例えばディスプレイといった出力装置107に危険度指標値を危険箇所に関する情報として表示させたりする。図10は、処理結果出力部16がディスプレイ等に視覚的に危険度指標値を出力した例を示す図である。図10は、危険度指標値が、0.8以上であるメッシュをドットパターンにより表示させ、0.4以上0.8未満であるメッシュを右下がり斜線パターンにより表示させ、0,2以上0.4未満であるメッシュを左下がり斜線パターンにより表示させ、0以上0.2未満であるメッシュを白パターンにより表示させた表示例である。例えば、メッシュID「M5」の危険度指標値DNは「1.00」であるので(図8(b)参照)、図10に示す表示例では、メッシュM5は、ドットパターンにより表示されている。
【0050】
続いて、図11及び図12を参照して、本実施形態の危険箇所推定方法における危険箇所推定装置1の動作について説明する。図11は、危険箇所推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。また、図12は、図11のフローチャートにおけるステップS5の処理内容を示すフローチャートである。
【0051】
まず、処理要求受付部10は、危険箇所推定装置1に対する危険箇所を推定する処理要求を受け付ける(S1)。この処理要求は、危険箇所の推定を所望する地域に関する情報を含んでいる。続いて、位置情報取得部11は、ステップ1において受け付けられた処理要求に含まれる地域に関する情報に基づいて、当該地域に該当する位置情報を位置情報記憶部20から取得する(S2、位置情報取得ステップ)。また、地域情報取得部12は、ステップ1において受け付けられた処理要求に含まれる、危険箇所の推定を所望する地域に関する情報に基づいて、当該地域のメッシュ情報を地域情報記憶部30から取得する(S2、地域情報取得ステップ)。
【0052】
次に、所属メッシュ判定部13は、地域情報取得部12により取得されたメッシュ情報に基づいて、位置情報取得部11により取得された位置情報の所属メッシュを位置情報毎に判定し、判定した所属メッシュを各々の位置情報に付加する(S3、所属メッシュ判定ステップ)。
【0053】
続いて、位置情報集計部14は、所属メッシュ判定部13により所属メッシュが判定された位置情報の数を、交通モードが「自動車」である位置情報、及び交通モードが「徒歩」である位置情報のそれぞれについて、メッシュ毎に計数する(S4、位置情報集計ステップ)。なお、位置情報集計部14は、ステップS4の位置情報の計数において、位置情報に含まれる測位時刻に関する情報、及び位置情報により所在位置が示される移動端末4のユーザに関する属性情報に基づいて、計数される位置情報の数に重み付けを行うことができる。
【0054】
次に、指標値集計部15は、位置情報集計部14により計数された、交通モードが「自動車」である位置情報数、及び交通モードが「徒歩」である位置情報数に基づいて、メッシュ毎の危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する(S5、指標値集計ステップ)。
【0055】
図12を参照して具体的に説明すると、指標値集計部15は、メッシュ毎に計数された、徒歩の位置情報数WN1のうちの最大の位置情報数を抽出する(S50)。続いて、指標値集計部15は、各々の徒歩の位置情報数WN1をステップS50において抽出した位置情報数で除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出することにより指標化する(S51)。
【0056】
また、指標値集計部15は、メッシュ毎に計数された、自動車の位置情報数CN1のうちの最大の位置情報数を抽出する(S52)。続いて、指標値集計部15は、各々の自動車の位置情報数CN1をステップS52において抽出した位置情報数で除して、各位置情報数が0〜1の範囲の値となるような指標値を算出することにより指標化する(S53)。
【0057】
そして、指標値集計部15は、徒歩の位置情報の指標値WN2と自動車の位置情報の指標値CN2とをメッシュID毎に各々乗じて、危険度指標値DNを生成する(S54)。
【0058】
再び図11を参照して、処理結果出力部16は、指標値集計部15により生成された危険度指標値を出力する(S6、処理結果出力ステップ)。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0059】
以上説明した第1実施形態の危険箇所推定装置1では、複数の移動端末の位置情報が位置情報取得部11により取得され、交通モードに示される移動手段が自動車及び徒歩である位置情報の各々が位置情報集計部14によりメッシュ毎に計数され、メッシュ毎に計数された交通モードが自動車である位置情報数及び交通モードが徒歩である位置情報数に基づいてメッシュ毎の危険度を示す危険度指標値が指標値集計部15により生成される。この危険度指標値は、ユーザの所在位置が逐次反映された位置情報に基づいて生成されることとなるので、交通事故に関する情報の蓄積を必要とせず、タイムリーに危険箇所の推定を行うことが可能となる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る危険箇所推定装置1について説明する。図13は、第2実施形態に係る危険箇所推定装置1の機能的構成を示すブロック図である。第2実施形態に係る危険箇所推定装置1は、位置情報抽出部17(位置情報抽出手段)をさらに備えている点で第1実施形態と異なる。
【0061】
位置情報抽出部17は、位置情報取得部11により取得された複数の位置情報から、所定の条件に該当する位置情報を抽出し、抽出した位置情報を所属メッシュ判定部13に供する部分である。所属メッシュ判定部13は、位置情報抽出部17により抽出された位置情報について、所在位置が属するメッシュの判定を行う。
【0062】
位置情報抽出部17は、例えば、位置情報取得部11により取得された位置情報から、測位時刻が所定の時間帯に該当する位置情報を抽出することができる。位置情報抽出部17は、所定の時間帯として、例えば、薄暗い時間帯であり交通事故が発生しやすい18時〜19時を設定することができる。また、この時間帯は、季節により変更されることとしてもよい。これにより、交通事故が発生しやすい時間帯に測位された位置情報のみが位置情報集計部14により計数され、計数された位置情報数に基づいて危険度の指標値が生成される。これにより、より有用な危険度の指標値を得ることが可能となる。
【0063】
また、位置情報抽出部17は、予め記憶された移動端末4のユーザの属性情報をユーザ情報記憶部40から取得し、取得された位置情報から、位置情報により所在位置が示される移動端末のユーザに関する属性情報が所定条件に該当する位置情報を抽出することができる。ユーザ情報記憶部40の構成は、第1実施形態において図9を用いて説明したものと同様である。
【0064】
位置情報抽出部17は、例えば、位置情報に係るユーザの生年月日が一定の年月日以前である場合に、当該位置情報を位置情報取得部11により取得された位置情報から抽出することができる。これにより、高齢者層のユーザの位置情報を抽出することが可能となる。また、位置情報抽出部17は、例えば、位置情報に係るユーザの移動端末機種が高齢者向けの機種であった場合に、当該位置情報を位置情報取得部11により取得された位置情報から抽出することができる。この場合にも、高齢者層のユーザの位置情報を抽出することが可能となる。
【0065】
位置情報抽出部17は、例えば、位置情報に係るユーザの生年月日が一定の年月日以後である場合に、当該位置情報を位置情報取得部11により取得された位置情報から抽出することができる。これにより、若年層のユーザの位置情報を抽出することが可能となる。また、位置情報抽出部17は、例えば、位置情報に係るユーザの移動端末機種が若年層向けの機種であった場合に、当該位置情報を位置情報取得部11により取得された位置情報から抽出することができる。この場合にも、若年層のユーザの位置情報を抽出することが可能となる。
【0066】
また、位置情報抽出部17は、位置情報に係るユーザの本人確認書類が「自動車運転免許証」ではない場合等に、当該位置情報を位置情報取得部11により取得された位置情報から抽出することができる。これにより、自動車運転免許証を所持しておらず交通状況の認識力が低いと思われるユーザの位置情報を抽出することが可能となる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、若年層や高齢層といったユーザや、交通状況の認識力が低いと思われるユーザの位置情報のみが位置情報集計部14により計数され、計数された位置情報数に基づいて危険度指標値が生成される。これにより、より有用な危険度の指標値を得ることが可能となる。
【0068】
続いて、図14を参照して、第2実施形態の危険箇所推定方法における危険箇所推定装置1の動作について説明する。図14は、危険箇所推定装置1において実施される処理内容を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS11〜S12において実施される処理内容は、図11のフローチャートにおけるステップS1〜S2に示す処理内容と同様である。続いて、位置情報抽出部17は、位置情報取得部11により取得された複数の位置情報から、所定の条件に該当する位置情報を抽出する(S13)。ステップS13において抽出された位置情報は、所属メッシュ判定部13による所属メッシュの判定処理に供される。ステップS14〜S17において実施される処理内容は、図11のフローチャートにおけるステップS3〜S6に示す処理内容と同様である。こうして、本実施形態の処理を終了する。
【0070】
以上説明した第2実施形態の危険箇所推定装置1では、交通事故が発生しやすい時間帯に測位された位置情報、又は若年層や高齢層といったユーザ、若しくは交通状況の認識力が低いと思われるユーザの位置情報のみが計数され、計数された位置情報数に基づいて危険度指標値が生成される。これにより、所定の条件に合致した位置情報に基づき危険度指標値が生成されることとなるので、より有用な危険度の指標値を得ることが可能となる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る危険箇所推定装置1について説明する。第3実施形態の危険箇所推定装置1は、図2(第1実施形態)及び図13(第2実施形態)の機能ブロック図における位置情報取得部11が交通モード生成部11Aを含むことを特徴としている。図15は、交通モード生成部11Aの機能ブロック図である。
【0072】
交通モード生成部11Aは、一の位置情報に含まれる所在位置及び測位時刻の情報と、一の位置情報の測位時刻と時系列上で隣接する測位時刻を含み且つ同一ユーザに関する他の位置情報に含まれる所在位置及び測位時刻の情報とに基づいて、当該ユーザの移動速度を求め、求められた移動速度に基づいて一の位置情報の交通モード情報を生成する部分であり、移動速度算出部11B及び移動手段判定部11Cを備える。交通モード生成部11Aによる交通モードの生成処理を以下に具体的に説明する。
【0073】
まず、交通モード生成部11Aは、交通モード情報が含まれていない一の位置情報と、当該一の位置情報と時系列上で隣接する測位時刻を含み且つ同一ユーザに関する他の位置情報を抽出する。こうして抽出された2つの位置情報20Bの例を図16に示す。また、図17は、抽出された位置情報を用いた交通モードの生成処理を示すフローチャートである。
【0074】
続いて、移動速度算出部11Bは、抽出された2つの位置情報に含まれる緯度及び経度の情報より両位置情報間の距離を求めるとともに、両位置情報の測位時刻より時間差を求め、得られた位置情報間の距離を時間差で除することで、位置情報間の移動速度Vを算出する(S201)。なお、抽出した位置情報間を1つの「区間」として想定し、当該2つの位置情報のうち測位時刻が早い方(時系列上で上流側)の位置情報を「始点」と称し、遅い方(時系列上で下流側)の位置情報を「終点」と称する。
【0075】
そして、移動方法判定部11Cは、上記算出された移動速度Vが、予め定められた徒歩判定のための基準速度V1未満か否かを判定し(S202)、移動速度Vが基準速度V1未満ならば、位置情報間の移動方法を「徒歩」と判定する(ステップS203)。
【0076】
移動速度Vが基準速度V1未満でない場合、移動方法判定部11Cは、移動速度Vが基準速度V1以上且つ予め定められた自転車判定のための基準速度V2未満か否かを判定し(S204)、移動速度Vが基準速度V1以上且つ基準速度V2未満ならば、位置情報間の移動方法を「自転車」と判定する(S205)。
【0077】
移動速度Vが基準速度V2以上の場合、移動方法判定部11Cは、予め記憶された電車路線地図データに照らし、始点と終点の少なくとも1つ以上が電車路線上に位置するか否かを判定し(S206)、始点と終点の少なくとも1つ以上が電車路線上に位置するならば、位置情報間の移動方法を「電車」と判定する(S207)。なお、移動方法判定部11Cは、予め公共交通機関の路線地図データ記憶しているものとする。
【0078】
ステップS206で否定判定された場合、移動方法判定部11Cは、予め記憶されたバス路線地図データに照らし、始点と終点の少なくとも1つ以上がバス路線上に位置するか否かを判定し(S208)、始点と終点の少なくとも1つ以上がバス路線上に位置するならば、位置情報間の移動方法を「バス」と判定する(S209)。一方、ステップS208で否定判定された場合は、対象ポイントデータ間の移動方法を「自動車」と判定する(ステップS210)。
【0079】
そして、移動方法判定部11Cは、判定で得られた位置情報間の移動方法情報を「始点」または「終点」の位置情報の交通モード情報として位置情報20Bに保存する(ステップS211)。ここで、「始点」及び「終点」間の移動方法情報を、「始点」または「終点」のいずれの位置情報の交通モードとするかは、適宜設定される設計事項である。以上説明した交通モードの生成処理により、交通モード情報が位置情報に含まれていない場合であっても、位置情報に含まれるユーザの所在位置及び測位時刻に基づいて、交通モード情報を得ることが可能となる。
【0080】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0081】
例えば、第1実施形態において、位置情報集計部14により位置情報を計数する際に行われる重み付けは、省略することができる。一方、測位時刻に基づいて行われる重み付け、及びユーザの属性情報等に基づいて行われる重み付けを重複して実施しても良い。
【0082】
また、第2実施形態において、位置情報抽出部17による位置情報の抽出処理では、測位時刻に基づく抽出処理、及びユーザの属性情報等に基づく抽出処理を重複して行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…危険箇所推定装置、2…位置情報記憶装置、3…地域情報記憶装置、4…移動端末、5…アプリケーションサービス提供装置、10…処理要求受付部、11…位置情報取得部、11A…交通モード生成部、11B…移動速度算出部、11C…移動手段判定部、12…地域情報取得部、13…所属メッシュ判定部、14…位置情報集計部、15…指標値集計部、16…処理結果出力部、17…位置情報抽出部、20…位置情報記憶部、20A…位置情報、20B…位置情報、30…地域情報記憶部、40…ユーザ情報記憶部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末のユーザの所在位置を示す情報、及び当該ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含む位置情報に基づいて、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所を推定する危険箇所推定装置であって、
複数の前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報であり予め記憶されたメッシュ情報を取得する地域情報取得手段と、
前記地域情報取得手段により取得された前記メッシュ情報に基づいて、前記位置情報取得手段により取得された前記位置情報に示される所在位置が属する前記メッシュである所属メッシュを前記位置情報毎に判定する所属メッシュ判定手段と、
前記所属メッシュ判定手段により前記所属メッシュが判定された位置情報の数を、一の前記移動手段である第1移動手段を前記交通モード情報として含んでいる位置情報である第1位置情報、及び前記第1移動手段とは異なる前記移動手段である第2移動手段を前記交通モード情報として含んでいる位置情報である第2位置情報のそれぞれについて、前記メッシュ毎に計数する位置情報集計手段と、
前記位置情報集計手段により計数された第1位置情報の数及び第2位置情報の数に基づいて、前記メッシュ毎の前記危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する指標値集計手段と、
前記指標値集計手段により生成された前記危険度指標値を出力する処理結果出力手段と
を備えることを特徴とする危険箇所推定装置。
【請求項2】
前記指標値集計手段は、
前記メッシュ毎に計数された前記第1位置情報の数に基づいて、当該第1位置情報の数の多さを示す第1の指標値を前記メッシュ毎に生成し、前記メッシュ毎に計数された前記第2位置情報の数に基づいて、当該第2位置情報の数の多さを示す第2の指標値を前記メッシュ毎に生成し、前記第1の指標値と前記第2の指標値とを乗じて前記危険度指標値を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の危険箇所推定装置。
【請求項3】
前記位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、
前記位置情報集計手段は、前記位置情報に含まれる測位時刻に関する情報に基づき、計数される前記位置情報の数に重み付けを行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の危険箇所推定装置。
【請求項4】
前記位置情報集計手段は、予め記憶された前記移動端末のユーザの属性情報を取得し、前記位置情報により所在位置が示される前記移動端末のユーザに関する前記属性情報に基づいて、計数される前記位置情報の数に重み付けを行う
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の危険箇所推定装置。
【請求項5】
位置情報抽出手段を備え、
前記位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、
前記位置情報抽出手段は、前記位置情報取得手段により取得された前記位置情報から、前記測位時刻が所定の時間帯に該当する前記位置情報を抽出し、
前記所属メッシュ判定手段は、前記位置情報抽出手段により抽出された前記位置情報について、前記所在位置が属する前記メッシュの判定を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の危険箇所推定装置。
【請求項6】
予め記憶された前記移動端末のユーザの属性情報を取得し、取得された前記位置情報から、前記位置情報により所在位置が示される前記移動端末のユーザに関する前記属性情報が所定条件に該当する前記位置情報を抽出する位置情報抽出手段を備え、
前記所属メッシュ判定手段は、前記位置情報抽出手段により抽出された前記位置情報について、前記所在位置が属する前記メッシュの判定を行う、
ことを特徴とする請求項1、2または5に記載の危険箇所推定装置。
【請求項7】
前記位置情報取得手段は、交通モード生成手段を含み、
前記位置情報は、当該位置情報に示される所在位置が測位された時刻である測位時刻に関する情報を含み、
前記交通モード生成手段は、一の位置情報に含まれる前記所在位置及び前記測位時刻の情報と、前記一の位置情報の前記測位時刻と時系列上で隣接する前記測位時刻を含み且つ同一ユーザに関する他の位置情報に含まれる前記所在位置及び前記測位時刻の情報とに基づいて、当該ユーザの移動速度を求め、求められた移動速度に基づいて前記一の位置情報の交通モード情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の危険箇所推定装置。
【請求項8】
前記位置情報に含まれる前記交通モード情報における前記第1移動手段は自動車であり、前記第2移動手段は徒歩であることを特徴とする請求項1〜7に記載の危険箇所推定装置。
【請求項9】
移動端末のユーザの所在位置を示す情報、及び当該ユーザの移動手段の種別を示す情報である交通モード情報を含む位置情報に基づいて、交通事故の発生する危険度が高い危険箇所を推定する危険箇所推定装置における危険箇所推定方法であって、
複数の前記位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記危険箇所を推定するための地理的な単位領域を規定するメッシュに関する情報であり予め記憶されたメッシュ情報を取得する地域情報取得ステップと、
前記地域情報取得ステップにおいて取得された前記メッシュ情報に基づいて、前記位置情報取得ステップにおいて取得された前記位置情報に示される前記所在位置が属する前記メッシュである所属メッシュを前記位置情報毎に判定する所属メッシュ判定ステップと、
前記所属メッシュ判定ステップにおいて前記所属メッシュが判定された位置情報の数を、一の前記移動手段である第1移動手段を前記交通モード情報として含んでいる位置情報である第1位置情報、及び前記第1移動手段とは異なる前記移動手段である第2移動手段を前記交通モード情報として含んでいる位置情報である第2位置情報のそれぞれについて、前記メッシュ毎に計数する位置情報集計ステップと、
前記位置情報集計ステップにおいて計数された第1位置情報の数及び第2位置情報の数に基づいて、前記メッシュ毎の前記危険度を示す指標値である危険度指標値を生成する指標値集計ステップと、
前記指標値集計ステップにおいて生成された前記危険度指標値を出力する処理結果出力ステップと
を有することを特徴とする危険箇所推定方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−81608(P2011−81608A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233453(P2009−233453)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】