説明

原材料の取出し装置および方法

【課題】ケーブルの製造に用いる原材料を、清浄性を確保しつつ効率的にケーブル製造装置へと送り込む、原材料の取出し装置および方法を提供。
【解決手段】ケーブル製造装置に原材料を供給する供給口11と、供給口11を原材料の取出口2に取り付けられる部分17とケーブル製造装置に取り付けられる部分18とに分割して取出口2が供給口11に取り付けられているときに供給口11を開閉させる開閉弁13を有する、ケーブル製造装置と連結して原材料を取り出す装置1はさらに、気体を部分17に供給して部分17を浄化する気体供給部14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る、原材料の取出し装置に関するものであり、とくに、ケーブル製造装置に関連して原材料を取り出す装置に関し、本装置は、ケーブル製造装置に接続して原材料をケーブル製造装置に供給する供給口を含み、供給口は原材料の取出口と接続されるようにされている。本発明はさらに、請求項7の前段に係る原材料の取出し方法に関するものであり、とくに、ケーブル製造装置に関連して原材料を取り出す方法に関し、本方法は、取出口を供給口に取り付け、取出口を開封して原材料を供給口からケーブル製造装置に供給することを含む。
【背景技術】
【0002】
高圧線の製造工程においては、初期製造段階からケーブル押出成形段階まで、材料を清浄に保たなければならない。そのため、材料を、全工程を通じて閉鎖系に保っておくことが重要である。真新しい球粒すなわち原材料の詰まった袋または箱を、中身を取り出すために押出成形機のホッパに取り付けなければならないときが、重要な瞬間である。袋または箱を何らかの方法で開封して、袋の口を押し出し成形機のホッパに取り付けなければならない。この時に、供給口の開口部に落ちた埃やその他輸送用の箱を形成するボール箱のかす、または他の汚染物質によって原材料が汚染されるのを防ぐために、特に注意を払わなければならない。原材料は、例えば、電線に絶縁体を被覆するために用いられるポリエチレン粒でよい。
【0003】
原材料を押出成形機のホッパに取り込む従来の方法および装置では、箱または袋の取出口を押出成形機のホッパに取り付けるために、かなりの手作業介入が必要となる。こういった手作業をクリーンルーム環境で行うことで、原材料に異物が混入するのを防ぐ。従来技術による方法には、通常、以下の手作業工程が含まれる。すなわち、原材料の袋を押出成形機のホッパの供給口上に配置して、袋の放出口、すなわち取出口の封を切り開き、供給口の蓋を外し、袋をホッパの供給口に取り付け、袋の放出口に設けられた口紐を開いて調節することで原材料の取出しを開始する。取出しが完了すると、次の工程を実行する。すなわち、口紐を調節して放出口を閉め、袋の放出口をホッパの供給口から外して、供給口の蓋を閉める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来技術による方法および装置は、相当な量の手作業を必要とするという問題点を有している。またその一方で、手作業では、汚染物質がホッパの供給口に入り込む危険が生じる。このように、従来の装置では、汚染物質が供給口に入り込むのを防ぐ有効な手段を設けていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、このような従来技術における課題を克服する装置および方法を提供することを目的とする。本発明の目的は、請求項1の特徴部に係る装置によって達成され、本装置は、気体を供給口の第1の部分に供給して第1の部分を浄化する第1の気体供給部を有する。また、本発明の目的は、請求項7の特徴部に係る方法によって達成され、本方法では、取出口を開封する前、または密閉手段を開く前に、密閉手段と供給口に取り付けられた取出口との間において供給口に気体を供給する。
【0006】
本発明のより好適な実施形態を、従属請求項に記載する。
【0007】
本発明は、原材料の入った袋をケーブル製造装置の供給口に取り付けた際に供給口を開閉する密閉手段を設けるという発想に基づくものである。原材料の袋を供給口に取り付けた際に密閉手段を操作することで、原材料の袋の口を供給口に取り付けたり取り外したりするときに、供給口を閉じたままにしておける。そのうえ、原材料の袋を供給口から外さずに、供給口を開閉することもできる。また密閉手段は、原材料の袋を供給口に取り付けた際に袋の口を切開する切断具を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、原材料の箱または袋の中身をケーブル製造装置の押出成形機に取り込むための、安全、単純かつ手軽な自動化手段を供すると共に、あらゆる状況において、原材料の清浄性および取出し工程における清浄性が確実に保たれる。本発明によればさらに、原材料の袋を取出し装置に取り付けた際に供給口を開閉するため、取出し装置および原材料の袋の周辺に専用のクリーンルーム領域を必要としなくなる。本発明の装置は、原材料をケーブル製造装置に取り込む自動的な方法を実現可能とし、本方法は、原材料の袋とケーブル製造装置との間において原材料を継続的に清浄に保つ一連の工程を含む。このように、本発明は、原材料をケーブル製造装置に取り込むための手作業をより削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下に、本発明を、好適な実施形態を用いて添付の図面を参照しながら詳細に述べる。
【図1】ないし
【図5】本発明に係る一実施例による、ケーブル製造装置に関連して原材料を取り出す装置、およびこの装置を使用して原材料を取り出す一連の工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に係る装置1の一実施例を概略的に示すものである。装置1は原材料を袋または箱から取り出す装填機構であり、原材料をケーブル製造装置そのもののまたはケーブル製造装置にある押出成形機のホッパ(図示せず)または同種のものに案内する供給口11を含む。原材料は、例えば、押出成形機で電線上に絶縁層を形成するために用いられるポリエチレン粒でよい。供給口11はパイプまたは他の種類の導管でよく、パイプや導管を介して原材料をケーブル製造装置に送入する。供給口11は、供給口11に配設され供給口11を第1の部分17および第2の部分18に分割する開閉弁13を含む。供給口11の部分17はケーブル製造装置とは離れた位置にあって周囲に対して開放されていてもよく、また、原材料を受け取れるよう構成される。また第1の部分17は供給口11の第1の端部を含み、この端部に原材料の袋を取り付けることができる。これに対し、第2の部分18はケーブル製造装置に接続されている。第2の部分18は供給口11の第2の端部を含み、第2の端部にケーブル製造装置が連結されている。これにより、原材料は袋から取り出されると、最初に第1の部分17を通り、次いで第2の部分18を通ってケーブル製造装置に送入される。開閉弁13は供給口11を開閉する手動もしくは自動の開閉弁、または何らかの種類の開閉弁もしくはこれに相当する密閉手段でよく、第1の部分17から第2の部分18への原材料の流れ、または原材料と、気体、エアロゾル、または液体などのあらゆる種類の物質の流れを抑制する。開閉弁13は、原材料の入った袋の供給口11への着脱とは独立して操作可能である。
【0011】
さらに装置1は、原材料の袋が供給口11に取り付けられていない場合に供給口11を閉じる供給口カバー12を有する。供給口カバー12は、供給口11の第1の端部に配設されて第1の部分17および第2の部分18の両方を閉じられるものであれば、いかなる蓋型カバーまたはキャップであってもよい。供給口カバー12を外すと、図2に示すように、原材料の袋または箱の口2を供給口11の第1の端部に取り付けられる。原材料の袋の口2を供給口11から取り外したら、供給口カバー12を第1の端部に戻してよい。
【0012】
また装置1は、空気などの気体を供給口11の部分17に供給して供給口11の第1の部分17を浄化するよう構成された第1の気体供給部14を有する。第1の気体供給部14は気体を開閉弁13の上にある供給口11の第1の部分17に供給し、それによって発生した気体流が第1の部分17から汚染物質を除去して、開閉弁13が開いた際に汚染物質が第2の部分18に入り込むのを防止する。装置1はまた、供給口11の第2の部分18に気体を供給して第2の部分18に周囲の気圧を超える超過気圧をかけるよう構成された第2の気体供給部15をも有する。第2の気体供給部15は、気体を第2の部分18に供給して供給口11からあらゆる塵や残留粒子をも除去し、第2の部分18内に超過圧力を発生させて、何らかの異物や汚染物質が原材料流に入り込まないように除去する。第1の気体供給部14および第2の気体供給部15のどちらも、気体を供給する1または複数の気体供給手段または導管を備えていてもよい。また、第1の気体供給部14および第2の気体供給部15は、供給されるガスまたは空気を浄化する1または複数のフィルタを備えていてもよい。
【0013】
図1に示すように、装置1はさらに、原材料の袋または箱の取出口2が供給口11に取り付けられた際に、取出口2を切開する切断具16を有する。切断具16は1または複数の切刃を含み、好ましくは供給口11の内部に配設される。図2に示すように、取出口2が供給口11に取り付けられて開閉弁13が閉鎖位置にある場合、切断具16は供給口11内に位置する。切断具16を移動可能にすることで、供給口11内から切断具16の少なくとも一部が取出口2内へと動いて、図4に示すように取出口2を切開する。切断具16は、取出口2が供給口11に取り付けられ、開閉弁13が開放位置にあるときに動く。原材料の取出しが終わると、切断具16は取出口2から供給口11内に戻る。切断具16は手動または自動で操作できる。切断具16の操作は、例えば開閉弁13の操作と一体化させてよく、かかる操作によれば、開閉弁13が開くと切断具16は自動的に取出口2内に進入し、開閉弁13が閉じると切断具16は自動的に供給口11内に戻る。
【0014】
上述の装置1は、原材料を、好ましくは原材料用のホッパ付きの押出成形機を有するケーブル製造装置内へと取り出すために使用できる。また、本発明の装置1を利用する取出し方法については以下の通りに述べる。
【0015】
最初に、原材料の入った袋または箱を供給口11の上方または近辺に配置する。図1に示すように、供給口11に取り付けるために袋の取出口2を引き出すか、または所定の位置に配する。次に、供給口カバー12を供給口11の第1の端部から取り外して、図2に示すように、取出口2を供給口11の第1の端部に取り付ける。開閉弁13はまだ閉鎖位置にあって、原材料が供給口11の第2の部分18に流入するのを防いでいる。供給口11の第1の部分17を、取出口2を開封する前または密閉手段13を開く前に、密閉手段13および供給口11に取り付けられた取出口2の間の供給口11に第1の気体供給部14から浄化用気体を送ることによって浄化する。また、供給口カバー12をすでに使用した後であって、取出口2が供給口11に取り付けられる前、および取出口2が供給口11に取り付けられている間中、第1の気体供給部14を使用してもよい。
【0016】
取出口2を開封する前または密閉手段13を開く前に、第2の気体供給部15から密閉手段13とケーブル製造装置の間の供給口11に浄化用気体を送って、供給口11の第2の部分18を浄化するとともに、第2の部分18に超過気圧をかける。また、供給口カバー12を取り外して取出口2を供給口11に取り付ける前、および供給口カバー12を取り外して取出口2を取り付けている間中にも、第2の気体供給部15を使用して構わない。
【0017】
取出口2を供給口11に取り付けた後、ならびに第1の部分17および第2の部分18に第1および第2の気体供給部14、15によって浄化用気体を供給した後、図3に示すように開閉弁13を開く。第1および第2の気体供給部14、15からの浄化用気体の供給を、好ましくは開閉弁13が完全に開放位置にくるまで継続させる。開閉弁13が完全に開いたら、取出口2を切断具16で開封して、第1および第2の気体供給部14、15による気体の供給を止める。取出口2は、切断具16で取出口2を切開するまで供給口11内から少なくとも切断具16の一部を取出口2内に移動させることによって開封する。切断具16が取出口2に穴を開けると、原材料が袋から供給口11を通ってケーブル製造装置へと流入し始め、特に、押出成形機のホッパに流れ込む。取出し工程を、図4に示す。
【0018】
原材料の袋が空になるか、または取出し作業が他の何らかの理由により中断されるとすぐに、切断具16はその初期位置である供給口11の内部に引っ込む。次いで開閉弁13が閉じて、浄化用ガスまたは空気が第1および第2の気体供給部14および15から吹きつけられる。浄化用気体は開閉弁13と供給口11に取り付けられた取出口2の間の供給口11に供給され、また、原材料が取り出されて密閉手段が閉じると、取出口2が供給口11から外される前に、開閉弁13とケーブル製造装置の間の供給口11に供給される。気体供給部14および15からの気体の供給は、開閉弁13が閉じる前、開閉弁13の閉鎖動作中、または開閉弁13が閉じた後に開始してもよい。次に、取出口2を供給口11から取り外して、供給口カバー12を供給口11の第1の端部に戻す。原材料をケーブル製造装置に供給した後、取出口2が供給口11から外される前に、開閉弁13を閉じる。これにより、本装置1は図5に示す初期状態に戻る。供給口カバー12を供給口11の第1の端部に取り付ける際に、第1および第2の気体供給部14、15による気体の供給を停止してもよい。
【0019】
上述の装置1および方法により、原材料の袋の取出口2が供給口11に取り付けられる際の供給口11の開閉が可能になる。これにより、原材料をケーブル製造装置に取り込む効率的な方法を供することが可能となり、同時に汚染物質がケーブル製造装置に入るのを防ぐというような清浄な取出し作業を確保する。
【0020】
当業者には明白なことであるが、技術の進歩に合わせて、本発明の概念を様々な方法で実現することができる。本発明およびその実施形態は上述の例に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲内において変更可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 原材料の取出し装置
11 供給口
13 開閉弁
14、15 気体供給部
16 切断具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル製造装置に取り付けられ該ケーブル製造装置に原材料を供給する、原材料の取出口に取り付けられるように構成された供給口と、
前記取出口が前記供給口に取り付けられたときに該供給口を開閉させる密閉手段と、
前記供給口に気体を供給する少なくとも1つの気体供給部とを有し、
前記密閉手段は、前記供給口を前記取出口に取り付けられるよう構成された第1の部分と、前記ケーブル製造装置に取り付けられるよう構成された第2の部分とに分割するよう配設されるとともに、前記取出口が前記供給口に取り付けられているときに該供給口を開閉させる開閉弁を含む、ケーブル製造装置と連結して原材料を取り出す装置であって、
該装置は気体を前記供給口の第1の部分に供給して第1の部分を浄化するよう配設された第1の気体供給部を有することを特徴とする原材料の取出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、該装置は、前記供給口の第2の部分に気体を供給して第2の部分に超過気圧をかけるよう配設された第2の気体供給部を有することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、該装置は、前記取出口を切開する切断具を含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記切断具は、前記取出口を切開する切刃を含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の装置において、前記切断具は前記供給口の内部に配設されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記切断具は、前記取出口を切開するときに、前記供給口から少なくとも一部が前記取出口内に進入可能であることを特徴とする装置。
【請求項7】
原材料の取出口を供給口に取り付け、
前記取出口を開封して、前記供給口を介して原材料をケーブル製造装置に供給し、
さらに、前記取出口が前記供給口に取り付けられているとき、該供給口を開閉操作可能な密閉手段によって密閉し、前記取出口が前記供給口に取り付けられると前記密閉手段を開き、原材料が前記ケーブル製造装置に供給されたら、該ケーブル製造装置へ原材料を供給した後であり前記取出口を前記供給口から取り外す前に前記密閉手段を閉じる、ケーブル製造装置と連結して原材料を取り出す方法であって、
前記取出口を開封する前、または前記密閉手段を開く前に、該密閉手段および前記供給口に取り付けられた前記取出口の間において気体を前記供給口に供給することを特徴とする原材料の取出し方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記取出口を開封する前、または前記密閉手段を開く前に、該密閉手段と前記ケーブル製造装置との間において気体を前記供給口に供給することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法において、切断具で前記取出口を切開することによって該取出口を開封することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の方法において、原材料を取り出した後に前記密閉手段を閉じることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載の方法において、原材料を取り出して前記密閉手段を閉じた後に、前記取出口を前記供給口から取り外すことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7ないし11のいずれかに記載の方法において、原材料を取り出して前記密閉手段を閉じた後、前記取出口を前記供給口から外す前に、前記密閉手段と前記供給口に取り付けられた前記取出口の間において前記供給口に気体を供給することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7ないし12のいずれかに記載の方法において、原材料を取り出して前記密閉手段を閉じた後、前記取出口を前記供給口から外す前に、前記密閉手段と前記ケーブル製造装置の間において前記供給口に気体を供給することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法において、前記切断具の少なくとも一部を前記供給口から前記取出口に進入させて該取出口を切開することで、該取出口を開封することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、原材料を取り出した後、前記密閉手段を閉じる前に、前記切断具を前記取出口から前記供給口内に引き戻すことを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161920(P2011−161920A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24860(P2011−24860)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(503257734)
【氏名又は名称原語表記】MAILLEFER S.A.
【Fターム(参考)】