説明

原版データの生成方法、原版作成方法、原版データを作成するためのプログラム及び処理装置

【課題】 微細なパターンを精度よく形成する原版のデータを生成する生成方法を提供する。
【解決手段】 光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置に用いられる原版のデータをコンピュータによって生成する生成方法であって、近似空中像に基づいて主パターンを決定し、補助パターンを挿入することで原版のデータを生成する生成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原版データの生成方法、原版作成方法、原版データを作成するためのプログラム及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体デバイスを製造する際に、露光装置が使用されている。露光装置は、原版であるマスク(レチクル)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等の基板に投影して回路パターンを転写する。近年では、半導体デバイスの微細化が進み、露光装置においては、露光波長(露光光の波長)よりも小さい寸法を有するパターンの形成が必要となってきている。但し、このような微細なパターンに対しては、光の回折の影響が顕著に現れてしまうため、パターンの輪郭(パターン形状)がそのままウエハに形成されず、パターンの角部が丸くなったり、パターンの長さが短くなったりするなど形状精度が大幅に劣化してしまう。
【0003】
そこで、近年では、ウエハに形成されるパターンの形状精度の劣化を低減するために、パターン形状を補正する処理(所謂、光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction))を施してマスクパターンが設計されている。OPCは、マスクパターンの一要素ごとに、その形状や周囲の要素の影響を考慮して、ルールベースや光シミュレーションを用いたモデルベースでパターン形状を補正する。
【0004】
光シミュレーションを用いたモデルベースでは、所望の転写パターンが得られるまでマスクパターンを変形させていくが、その追い込み方として様々な方法が提案されている。例えば、光学像が部分的に膨らんでいればその分だけマスクパターンを細くし、光学像が部分的に細くなっていればその分だけマスクパターンを膨らませて光学像を再計算し、マスクパターンを次第に追い込んでいく方法、所謂、逐次改善法が提案されている。また、遺伝的アルゴリズムを用いてマスクパターンを追い込んでいく方法も提案されている。更には、解像しない大きさの補助パターンを挿入する方法も提案されている。
【0005】
特許文献1及び非特許文献1は、補助パターンをどのように挿入するべきかを数値計算で導出する技術を開示している。かかる技術では、インターフェレンスマップ(Interference map、以下、「干渉マップ」と称する)を数値計算で求め、マスク上で互いに干渉する位置(領域)と干渉を打ち消しあう位置(領域)とを導出する。そして、干渉マップにおいて干渉する位置には、所望パターンを通過した光の位相と補助パターンを通過した光の位相が等しくなるような補助パターンを挿入する。また、干渉マップにおいて干渉を打ち消し合う位置には、所望パターンを通過した光の位相と補助パターンを通過した光の位相の差が180度になるような補助パターンを挿入する。その結果、所望パターンを通過した光と補助パターンを通過した光は強く干渉し、所望パターンを精度よく露光することができる。なお、マスク面とウエハ面とは結像関係にあるため、干渉マップは像面での振幅を求めているとみなすこともできる。また、所望パターンとは、マスク上に存在する要素であって、ウエハに転写される要素(主パターン)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−221594号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Robert Socha,Douglas Van Den Broeke,Stephen Hsu,J.Fung Chen,Tom Laidig,Noel Corcoran,Uwe Hollerbach,Kurt E.Wampler,Xuelong Shi,Will Conley著,「Contact Hole Reticle Optimization by Using Interference Mapping Lithography(IML(TM))」,Proceedings of SPIE,アメリカ合衆国,SPIE press,2005,Vol.5853,p.180−193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回路パターンは、ラインパターン(配線パターン)とコンタクトホールパターンに大別することができる。
【0009】
特許文献1に開示された技術は、ラインパターンを大きさのない線で、コンタクトホールパターンを大きさのない点で近似して補助パターンのみを求める技術であるため、主パターンの形状を求めることができない。そこで、補助パターンの位置、形状及び大きさなどを求めてから、主パターンを新たに求めなければならない。主パターンの光近接効果補正においては、近似した空中像ではなく、近似していない空中像からモデルベースで求める方法が一般的である。従って、特許文献1では、主パターンや補助パターンを含むマスクパターンを得るために近似していない空中像計算を何回も計算しなければならず、多大な計算時間を要してしまうという問題がある。
【0010】
また、特許文献1では、補助パターンを求める際に、主パターンを線や点で近似しているために、主パターンと補助パターンとの光近接効果の相互作用が考慮されていない。従って、後から求められた光近接効果補正が施された主パターンが、先に求められた補助パターンに対して光近接効果をおよぼしてしまう。その結果、予期していた補助パターンの効果が得られなかったり、補助パターンが悪影響を与えてしまったりする場合がある。特に、ラインパターンにおいては、主パターンのライン先端部分や曲がった部分で光近接効果補正による形状変化が大きく、補助パターンの挿入が非常に難しい。
【0011】
そこで、本発明は、微細なパターンを精度よく形成する原版のデータを生成する生成方法を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての生成方法は、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンの像を基板に投影する投影光学系とを備える露光装置に用いられる前記原版のデータをコンピュータによって生成する生成方法であって、前記投影光学系の瞳面における光強度分布を表す関数と前記投影光学系の瞳関数とに基づいて2次元相互透過係数を求めるステップと、前記2次元相互透過係数と前記投影光学系の物体面におけるパターンとに基づいて、前記投影光学系の像面に形成される近似空中像を算出する第1算出ステップと、前記第1算出ステップで算出された近似空中像から2次元像を抽出する2次元像抽出ステップと、前記2次元像抽出ステップで抽出された2次元像に基づいて前記原版の主パターンの形状を変更して前記主パターンを決定する主パターン決定ステップと、該決定された主パターンについて、前記像面に形成される近似空中像を算出する第2算出ステップと、前記第2算出ステップで算出された近似空中像から前記主パターンが前記像面に投影される領域を除いた領域において、光強度がピークとなるピーク部分を抽出するピーク部分抽出ステップと、該抽出されたピーク部分の光強度に基づいて補助パターンを決定する補助パターン決定ステップと、該決定された補助パターンを該抽出されたピーク部分に対応する前記原版の部分に挿入して、該決定された主パターンと補助パターンとを含むパターンのデータを前記原版のデータとして生成する生成ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の別の側面としてのプログラムは、上述の生成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の更に別の側面としての原版作成方法は、上述の生成方法で生成されたデータに基づいて原版を作成することを特徴とする。
【0015】
本発明の別の側面としての処理装置は上述の生成方法を実行することを特徴とする。
【0016】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば、微細なパターンを精度よく形成する原版のデータを生成する生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一側面としての生成方法を実行する処理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す処理装置の制御部がマスクデータ生成プログラムを実行してマスクデータを生成する処理について説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す処理装置の制御部がマスクデータ生成プログラムを実行してマスクデータを生成する処理について説明するためのフローチャートである。
【図4】実施例1における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。
【図5】実施例1における有効光源を示す図である。
【図6】実施例1において算出される近似空中像を示す図である。
【図7】図6に示す近似空中像から抽出される2次元像を示す図である。
【図8】パターンデータ(主パターン)の変形を説明するための図である。
【図9】実施例1において補助パターンが挿入されたパターンデータを示す図である。
【図10】図9に示すパターンデータから得られる厳密な空中像の2次元像を示す図である。
【図11】図11(a)は実施例1における目標パターンを示す図であり、図11(b)は図11(a)から算出される空中像の2次元像を示す。
【図12】図12(a)は実施例1における目標パターンにスキャッタリングバーを挿入したパターンを示す図であり、図12(b)は図12(a)に示すパターンから算出される空中像の2次元像を示す図である。
【図13】図8(b)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図14】図9に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図15】図11(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図16】図12(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図17】補助パターンの大きさを変える方法を説明するための図である。
【図18】図9に示すパターンデータにおける補助パターンの大きさを変化させた場合のパターンデータを示す図である。
【図19】実施例2における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。
【図20】実施例2における有効光源を示す図である。
【図21】実施例2において算出される近似空中像を示す図である。
【図22】実施例2において補助パターンが挿入されたパターンデータを示す図である。
【図23】図22に示すパターンデータから得られる厳密な空中像の2次元像を示す図である。
【図24】図24(a)は実施例2における目標パターンを示す図であり、図24(b)は図24(a)から算出される空中像の2次元像を示す。
【図25】図22に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図26】図24(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図27】図22に示すパターンデータにおける補助パターンの大きさを変化させた場合のパターンデータを示す図である。
【図28】図22及び図27に示すパターンデータの空中像の2次元像のうち中央に存在す孤立コンタクトホールパターンから算出される線幅を示す図である。
【図29】図29(a)は実施例1において変形した主パターンに補助パターンを挿入する前に算出した近似空中像を示す図であり、図29(b)は実施例1において変形した主パターンに一定の大きさの補助パターンを挿入した後で算出した近似空中像を示す図である。
【図30】実施例3において補助パターンが挿入されたパターンデータを示す図である。
【図31】図30に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を示す図である。
【図32】ラインパターンの長さをベストフォーカス時の長さで割ってフォーカスによる変化を調べた結果を示す図である。
【図33】ラインパターンの先端のNILSを算出してフォーカスによる変化を調べた結果を示す図である。
【図34】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図35】デバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
【図36】図35に示すステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
【図37】実施例4における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。
【図38】実施例4において補助パターンが挿入されたパターンデータを示す図である。
【図39】図39(a)は、図38に示すマスクのパターンから得られる厳密な空中像を示す図である。図39(b)は、デフォーカス時の厳密な空中像を示す図である。
【図40】図6(b)に示す近似空中像を2階微分したものを示す図である。
【図41】図21(b)に示す近似空中像を2階微分したものを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材には同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
本発明は、IC、LSIなどの半導体チップ、液晶パネルなどの表示素子、磁気ヘッドなどの検出素子、CCDなどの撮像素子といった各種デバイスの製造やマイクロメカニクスで用いられる原版のデータ(マスクパターン)を生成する際に適用することができる。ここで、マイクロメカニクスとは、半導体集積回路製造技術を微細構造体の製作に応用して高度な機能を有するミクロン単位の機械システムを作成する技術やかかる機械システム自体をいう。本発明は、例えば、開口数(NA)の大きな投影光学系を備える露光装置や投影光学系とウエハとの間を液体で満たす液浸露光装置に用いられる原版のデータ(マスクパターン)の生成に好適である。
【0021】
本発明で開示される概念は、数学的にモデル化することができる。従って、本発明は、コンピュータ・システムのソフトウエア機能として実装可能である。
【0022】
コンピュータ・システムのソフトウエア機能は、実行可能なソフトウエア・コードを有するプログラミングを含み、本実施形態では、微細なパターンを精度よく形成する原版のデータ(マスクデータ)を生成することができる。ソフトウエア・コードは、コンピュータ・システムのプロセッサによって実行される。ソフトウエア・コード動作中において、コード又は関連データ記録は、コンピュータ・プラットフォーム内に格納される。但し、ソフトウエア・コードは、他の場所に格納される、或いは、適切なコンピュータ・システムにロードされることもある。従って、ソフトウエア・コードは、1つ又は複数のモジュールとして、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な記録媒体で保持することができる。本発明は、上述したコードという形式で記述され、1つ又は複数のソフトウエア製品として機能させることができる。
【0023】
図1は、本発明の一側面としての生成方法を実行する処理装置1の構成を示す概略ブロック図である。かかる生成方法は、原版(マスク)のデータを生成する。
【0024】
処理装置1は、例えば、汎用のコンピュータで構成され、図1に示すように、バス配線10と、制御部20と、表示部30と、記憶部40と、入力部50と、媒体インターフェース60とを有する。
【0025】
バス配線10は、制御部20、表示部30、記憶部40、入力部50及び媒体インターフェース60を相互に接続する。
【0026】
制御部20は、CPU、GPU、DSP又はマイコンで構成され、一時記憶のためのキャッシュメモリなどを含む。制御部20は、入力部50を介してユーザから入力されるマスクデータ生成プログラム401の起動命令に基づいて、記憶部40に記憶されたマスクデータ生成プログラム401を起動して実行する。制御部20は、記憶部40に記憶されたデータを用いて、後述するマスクデータの作成方法に伴う演算を実行する。
【0027】
表示部30は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。表示部30は、例えば、マスクデータ生成プログラム401の実行に関連する情報(例えば、後述する近似空中像の2次元像410やマスクデータ408など)を表示する。
【0028】
記憶部40は、例えば、メモリやハードディスクで構成される。記憶部40は、媒体インターフェース60に接続された記憶媒体70から提供されるマスクデータ生成プログラム401を記憶する。
【0029】
記憶部40は、マスクデータ生成プログラム401を実行する際の入力情報として、パターンデータ402と、有効光源情報403と、NA情報404と、λ情報405と、収差情報406と、レジスト情報407を記憶する。また、記憶部40は、マスクデータ生成プログラム401を実行した後の出力情報として、マスクデータ(原版のデータ)408を記憶する。更に、記憶部40は、マスクデータ生成プログラム401の実行中の一時記憶情報として、近似空中像409、近似空中像の2次元像410、変形パターンデータ(主パターンと補助パターン)411を記憶する。
【0030】
マスクデータ生成プログラム401は、露光装置に用いられるマスクのパターンや空間光変調器(SLM)のパターン形成部で形成されるパターンなどのデータを示すマスクデータ408を生成するプログラムである。ここで、パターンは閉じた図形で形成され、それらの集合体でマスク全体のパターンが構成される。
【0031】
パターンデータ402は、集積回路などの設計において、レイアウト設計されたパターン(ウエハに形成する所望パターンであり、レイアウトパターン又は目標パターンと呼ばれる)のデータである。
【0032】
有効光源情報403は、露光装置の投影光学系の瞳面に形成される光強度分布(有効光源)及び偏光に関する情報である。
【0033】
NA情報404は、露光装置の投影光学系の像面側の開口数(NA)に関する情報である。
【0034】
λ情報405は、露光装置の光源から射出される光(露光光)の波長に関する情報である。
【0035】
収差情報406は、露光装置の投影光学系の収差に関する情報である。
【0036】
レジスト情報407は、ウエハに塗布されるレジストに関する情報である。
【0037】
マスクデータ408は、マスクデータ生成プログラム401を実行することによって生成される実際の原版であるマスクのパターンを示すデータである。
【0038】
近似空中像409は、マスクデータ生成プログラム401の実行中に生成され、ウエハ面において、主要な回折光との干渉で形成される近似的な空中像の分布を示したものである。
【0039】
2次元像410は、マスクデータ生成プログラム401の実行中に生成され、近似空中像409を基準スライス値で切断した際の2次元像である。
【0040】
変形パターンデータ411は、マスクデータ生成プログラム401を実行することで変形される主パターンと、マスクデータ生成プログラム401を実行することで挿入される補助パターンとを含むデータである。
【0041】
なお、パターンデータ402、マスクデータ408及び変形パターンデータ411は、主パターン及び補助パターンの位置、大きさ、形状、透過率、位相情報などを含む。また、パターンデータ402、マスクデータ408及び変形パターンデータ411は、主パターン及び補助パターンの存在しない領域(背景)の透過率や位相情報なども含む。
【0042】
入力部50は、例えば、キーボードやマウスなどを含む。ユーザは、入力部50を介して、マスクデータ生成プログラム401の入力情報などを入力することが可能である。
【0043】
媒体インターフェース60は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD−ROMドライブやUSBインターフェースなどを含み、記憶媒体70と接続可能に構成される。なお、記憶媒体70は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROMやUSBメモリなどであり、マスクデータ生成プログラム401や処理装置1が実行するその他のプログラムを提供する。
【0044】
以下、図2を参照して、処理装置1の制御部20がマスクデータ生成プログラムを実行してマスクデータを生成する処理について説明する。
【0045】
ステップS102において、制御部20は、入力情報(パターンデータ、有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報)に基づいて近似空中像(即ち、目標パターンの近似空中像)を算出する。なお、入力情報(パターンデータ、有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報)は、入力部50を介してユーザから入力され、記憶部40に記憶されているものとする。
【0046】
ステップS102において、空中像を厳密に算出しないで近似空中像を算出する理由は2つある。1つ目の理由は、近似空中像を算出する時間が厳密な空中像を算出する時間よりも圧倒的に少なくてすむからである。2つ目の理由は、近似空中像ではパターンの干渉性が強調され、光近接効果の様子がわかりやすいからである。
【0047】
近似空中像を算出する方法は従来から種々開示されているが、例えば、特許文献1における干渉マップを変形することで、近似空中像を算出することができる。相互透過係数(TCC:Transmission Cross Coefficient)を特異値分解し、第i番目の固有値をλ、第i番目の固有関数をΦ(f、g)とする。但し、(f、g)は、投影光学系の瞳面の座標である。なお、TCCは、有効光源の可干渉性(マスク面上の距離に応じた干渉の度合い)を示す。特許文献1によれば、干渉マップe(x、y)は、複数の固有関数の足し合わせであるとされており、以下の数式1で表すことができる。
【0048】
【数1】

【0049】
式1において、FTはフーリエ変換を表す。また、通常、N’は1である。
【0050】
特許文献1では、パターンを点や線に置換し、干渉マップとコンボリューションをとることでマスク全体の干渉マップを導出している。従って、干渉マップe(x、y)は単純な干渉性を示している。
【0051】
但し、干渉マップe(x、y)はマスクのパターン(外形形状等)を考慮していないため、近似空中像の算出に用いる場合には、マスクのパターンを考慮した干渉マップe’(x、y)を導出しなければならない。
【0052】
そこで、TCCを特異値分解し、第i番目の固有値をλ、第i番目の固有関数をΦ(f、g)、マスクのパターンの回折光分布をa(f、g)とする。この場合、以下の数式2から、マスクのパターンを考慮した干渉マップe’(x、y)を導出することができる。
【0053】
【数2】

【0054】
数式2に示す干渉マップe’(x、y)を用いることで、近似空中像を算出することができる。
【0055】
また、TCCを特異値(固有値)分解することなく近似空中像を計算する方法について説明する。半導体露光装置におけるマスクパターンとウエハパターンの関係は、部分コヒーレント結像の関係にある。部分コヒーレント結像では、マスク面での可干渉性を知るために有効光源の情報が必要となる。ここで、可干渉性はマスク面上の距離に応じた干渉の度合いを表す。
【0056】
有効光源の可干渉性は、上述のTCCに組み込まれる。一般的にTCCは投影光学系の瞳面で定義され、有効光源、投影光学系の瞳関数、そして、投影光学系の瞳関数の複素共役の重なり部分である。瞳面の座標を(f、g)とする。有効光源を表現する関数をS(f、g)、瞳関数をP(f、g)とすれば、TCCは、
【0057】
【数3】

【0058】
と4次元の関数として表すことができる。但し、*は複素共役を表し、積分範囲は−∞から∞までである。投影光学系の収差、照明光の偏光、そして、レジスト情報などは瞳関数P(f、g)に組み込むことができるので、本明細書では、単に瞳関数と記述した場合に偏光、収差、そして、レジスト情報を含むことがある。
【0059】
TCCを用いて空中像を表現する関数I(x、y)を求めるには、マスクを表現する関数をフーリエ変換した関数、即ちマスクのスペクトル分布(回折光分布)を表現する関数をa(f、g)として、
【0060】
【数4】

【0061】
のように4重積分すればよい。但し、*は複素共役を表し、積分範囲は−∞から∞である。M.Born and E.Wolf著,「Principles of Optics」,イギリス,Cambridge University Press,1999年,7th(extended)edition,p.554−632には、数式4の更に詳しい説明がある。
【0062】
数式4をコンピュータを用いて直接計算をする場合は、離散化された変数を用い、次のように変形できる。
【0063】
【数5】

【0064】
但し、F−1は逆フーリエ変換を表す。Wf’,g’(f’’、g’’)は、ある固定の(f’、g’)に対して、
【0065】
【数6】

【0066】
で定義される。ここでは(f’、g’)が固定なのでWf’,g’(f’’、g’’)は2次元関数で、本明細書では2次元相互透過係数と呼ぶ。2次元相互透過係数Wf’,g’(f’’、g’’)はコンピュータ計算における足し合わせループ時に、(f’、g’)の値が変わるたびに計算しなおされる。数式5では4次元関数であったTCCは必要なく、2重ループだけの計算でよい。したがって、2次元相互透過係数を用いることで計算時間の短縮化、計算量の縮小化(コンピュータメモリの増大防止)が可能となる。
【0067】
数式5を書き換えれば、
【0068】
【数7】

【0069】
但し、
【0070】
【数8】

【0071】
である。数式7を用いた空中像計算方法を、本明細書では空中像分解法と呼び、座標(f’、g’)ごとに定義されるYf’,g’(x、y)を空中像の成分を表現する関数(空中像成分)と呼ぶ。
【0072】
以下、数式3と数式6との違いを詳しく説明する。有効光源の中心は、瞳座標系の原点にあるとする。投影光学系の瞳関数P(f、g)を座標(f’、g’)だけずらした関数と、P(f、g)の複素共役関数P(f、g)を座標(f’’、g’’)だけずらした関数と、有効光源を表現する関数とが重なっている部分の和がTCCと定義される。なお、P(f、g)を投影光学系の瞳関数の複素共役関数と呼ぶこともある。
【0073】
一方、数式6のWf’,g’(f’’、g’’)は、P(f、g)のずれが一定量(f’、g’)のときに定義される。有効光源と瞳関数が重なっている部分と、P(f、g)を(f’’、g’’)だけずらした関数と重なっている部分の和がWf’,g’(f’’、g’’)として定義される。
【0074】
f’,g’(x、y)も、P(f、g)のずれが一定量(f’、g’)のときに定義される。Wf’,g’(f’’、g’’)とマスクのスペクトル振幅(回折光振幅)を表現する関数を複素共役にした関数a(f’’、g’’)とを掛け合わせて逆フーリエ変換する。そして、その逆フーリエ変換した関数に、瞳関数のずれに対応した斜入射効果を表す関数exp[−i2π(f’x+g’y)]と(f’、g’)における回折光の振幅a(f’、g’)を掛け合わせれば、Yf’,g’(x、y)が得られる。マスクの回折光振幅を表現する関数を複素共役にした関数を、マスクの回折光分布の複素共役関数と呼ぶ。
【0075】
以下、斜入射効果を表す関数exp[−i2π(f’x+g’y)]について説明する。exp[−i2π(f’x+g’y)]で表される平面波の進行方向と光軸の成す角度をθとする。sinθ=(NA/λ)(f’+g’)の関係があるので、平面波の進行方向は光軸に対して傾いている。それゆえ、斜入射効果を表す。exp[−i2π(f’x+g’y)]は、瞳面上の(f’、g’)と、光軸が像面と交わる点を結ぶ方向に進行する平面波を表す関数とみなすこともできる。瞳面座標(f’、g’)における回折光振幅a(f’、g’)は定数であるので、(f’、g’)における回折光の振幅を掛け合わせるとは、定数倍していると言い換えることもできる。
【0076】
次に空中像の近似について説明する。数式9のように、近似した空中像(以下、近似空中像)を表現する関数Iapp(x、y)を定義する。
【0077】
【数9】

【0078】
このとき(f’、g’)の組み合わせは、全部でM通りあり、M’はM以下の整数であるとする。M’=1の場合、数式10のように、近似空中像はY0,0(x、y)を表す。M’=Mのときは数式7に対応し、完全な空中像を得ることができる。
【0079】
【数10】

【0080】
なお、a(0、0)は定数であり、W0,0(f’’、g’’)は有効光源を表現する関数と、瞳関数の複素共役関数との畳み込み積分である。なお、フーリエ変換と逆フーリエ変換は交換可能に使用されることがある。よって、Y0,0(x、y)は、有効光源を表現する関数と瞳関数または瞳関数の複素共役関数との畳み込み積分に、回折光分布または回折光分布の複素共役関数を掛けてフーリエ変換または逆フーリエ変換したものである。
【0081】
このように近似空中像は数式9または10を用いて、空中像成分Yf‘,g’(x、y)のうち、M’がM以下の1つまたはふたつ以上を足し合わせた関数であるとする。以下の実施例では、数式9においてM’=1として空中像成分Yf‘,g’(x、y)のうちの1つ(数式10)を用いることで、近似空中像を算出する。但し、数式2を用いて近似空中像を算出することもできる。
【0082】
次に、近似空中像の物理的意味について詳しく説明する。コヒーレント結像では、点像分布関数(点像の強度分布を表す関数)を決定することができる。点像分布関数が正の位置を開口部、負の位置を遮光部(もしくは、位相が180度の開口部)にすればフレネルレンズを作成することができる。こうして作成したフレネルレンズをマスクにしてコヒーレント照明すれば、孤立コンタクトホールを露光することができる。
【0083】
フレネルレンズは、点像分布関数に基づいてコヒーレント照明時に定義できる。しかし、部分コヒーレント時は、点像分布関数を求めることはできない。部分コヒーレント結像では像面振幅を求めることができないからである。そのため、固有値分解法では、像面の振幅を近似していた。
【0084】
しかし、上述の2次元相互透過係数を用いた算出方法の物理的意味は、固有値分解法とは異なる。まず、点像分布関数は、周波数応答特性(Modulation Transfer Function)のフーリエ変換で与えられる。コヒーレント照明時の周波数応答特性は、瞳関数と有効光源の畳み込み積分で与えられ、瞳関数そのものになる。また、インコヒーレント照明時の周波数応答特性は瞳関数の自己相関で与えられることはよく知られた事実である。インコヒーレント照明は露光装置においてσ=1の照明とみなすと、インコヒーレント照明時も、周波数応答特性は瞳関数の有効光源で与えられる。
【0085】
そこで、部分コヒーレント照明時の周波数応答特性は、瞳関数と有効光源の畳み込み積分で与えられると近似する。すなわち、W0,0(f’’、g’’)が周波数応答特性であると近似する。よって、部分コヒーレント照明時の点像分布関数を得るには、W0,0(f’’、g’’)をフーリエ変換すればよい。こうして求めた点像分布関数に応じてマスクの開口部と遮光部を決定すれば、フレネルレンズと同じ効果で孤立コンタクトホールを露光することができる。
【0086】
任意のマスクパターンについて結像特性を向上させるには、点像分布関数とマスク関数を畳み込み積分し、得られた結果に基づいてマスパターンを決定すればよい。ここで、数式10によると、回折光とW0,0(f’’、g’’)の積をフーリエ変換したものがY0,0(x、y)になっていることがわかる。回折光はマスク関数のフーリエ変換で、W0,0(f’’、g’’)は点像分布関数のフーリエ変換である。その結果、公式より、Y0,0(x、y)はマスク関数と点像分布関数の畳み込み積分となっている。
【0087】
以上より、Y0,0(x、y)を導出するということは、部分コヒーレント結像時における点像分布関数とマスク関数の畳み込み積分を求めることと同意である。
【0088】
0,0(f’’、g’’)は部分コヒーレント照明時の周波数応答特性を近似していることは述べた。W0,0(f’’、g’’)以外のWf’,g’(f’’、g’’)は、部分コヒーレント照明時の周波数応答特性を近似する際に省略した周波数応答特性であるといえる。そのため、Y0,0(x、y)以外のYf’,g’(x、y)は、部分コヒーレント照明時の点像分布関数とマスクパターンの畳み込み積分をする際に省略された成分であるといえる。それゆえ、数式9でM’を1以上にすると近似の精度が向上する。
【0089】
従来の干渉マップは4次元TCCを固有値分解した結果得られるもので、空中像を得るには固有関数の絶対値を2乗して足し合わせる必要があった。しかし、数式7のように空中像分解法で空中像を求めるには、空中像成分の絶対値の2乗をとる必要がなく、単に空中像成分を足し合わせればよい。そのため、空中像分解法と特異値(固有値)分解法とでは、単位が異なる物理量を取り扱っており、その性質が全く異なる。
【0090】
ステップS104において、ステップS102で算出された近似空中像から2次元像を抽出する。具体的には、基準スライス値(Io)を設定して、近似空中像の断面での2次元像を抽出する。例えば、パターンデータが透過パターンである場合には、近似空中像の強度値が所定値(任意に設定されうる閾値)以上の部分を2次元像として抽出する。また、パターンデータが遮光パターンである場合には、近似空中像の強度値が所定値(任意に設定されうる閾値)以下の部分を2次元像として抽出する。
【0091】
ステップS106において、制御部20は、ステップS104で抽出した2次元像と目標パターンとを比較して、2次元像と目標パターンとの差が予め設定された許容範囲内であるかどうかを判定する。2次元像と目標パターンとを比較する際のパラメータ(評価値)は、線幅やパターンの長さなどであってもよいし、NILS(Normalized Image Log Slope)や強度ピーク値であってもよい。
【0092】
ステップS106で2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内ではないと判定された場合には、ステップS108において、制御部20は、2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内となるように、主パターンを決定する。具体的には、ステップS106では、2次元像に基づいて主パターンの形状を変形させて主パターンを決定する。なお、ステップS106の主パターンの決定における詳細な処理については、後述する実施例1乃至4で説明する。
【0093】
ステップS110において、制御部20は、ステップS108で変形された主パターンをパターンデータとし、ユーザから入力された有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報から近似空中像を算出し、ステップS104に戻る。ステップS104乃至S110は、2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内になるまで繰り返す。
【0094】
ステップS106で2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内であると判定された場合には、ステップS112において、制御部20は、補助パターンを決定する。まず、ステップS110で算出された近似空中像(即ち、変形された主パターンの近似空中像)から補助パターンを挿入する位置(補助パターン挿入位置)を抽出する。補助パターン挿入位置は、基準スライス値(Io)を超えず、且つ、主パターンと重ならない領域(即ち、目標パターンが投影される領域を除く領域)において光強度がピーク(極大値または極小値)となるピーク部分である。なお、実際には、補助パターン挿入位置は、ピーク部分に対応するマスク上の部分であることに注意されたい。そして、かかるピーク部分の光強度に基づいて補助パターンの大きさを決定し、かかる大きさの補助パターンを補助パターン挿入位置に挿入する。なお、ステップS112の補助パターンの決定における詳細な処理については、後述する実施例1乃至4で説明する。
【0095】
ステップS114において、制御部20は、ステップS108で決定した主パターンとステップS112で決定(挿入)した補助パターンとを含むデータをマスクデータとして生成する。
【0096】
このように、マスクデータ生成プログラム(マスクデータの生成方法)は、空中像算出ステップと、2次元像抽出ステップと、主パターン決定ステップと、ピーク部分抽出ステップと、補助パターン決定ステップと、生成ステップとを実行する。
【0097】
但し、補助パターンを挿入することで、主パターンとの光近接効果に変化が生じる場合がある。このような場合には、図3に示すように、主パターンと補助パターンとの光近接効果を考慮してマスクデータを生成すればよい。
【0098】
図3を参照するに、ステップS116において、制御部20は、ステップS108で決定した主パターンとステップS112で決定した補助パターンとを加えたパターンをパターンデータとして近似空中像を算出する。但し、パターンデータ以外の入力情報は、ユーザから入力された有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報を用いる。
【0099】
ステップS118において、制御部20は、ステップS116で算出された近似空中像から2次元像を抽出する。
【0100】
ステップS120において、制御部20は、ステップS118で抽出した2次元像と目標パターンとを比較して、2次元像と目標パターンとの差が予め設定された許容範囲内であるかどうかを判定する。
【0101】
ステップS120で2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内ではないと判定された場合には、ステップS108に戻り、制御部20は、2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内となるように、主パターンを決定する。
【0102】
ステップS120で2次元像と目標パターンとの差が許容範囲内であると判定された場合には、ステップS114に進む。ステップS114において、制御部20は、ステップS108で決定した主パターンとステップS112で決定した補助パターンとを加えたパターンをマスクデータとして生成する。
【0103】
図3に示す処理では、まず、ステップS102に対応する第1の空中像算出ステップと、ステップS104に対応する第1の2次元像抽出ステップと、ステップS108に対応する第1の主パターン決定ステップとが実行される。次いで、ステップS112に対応する第1のピーク部分抽出ステップ、及び、第1の補助パターン決定ステップと、ステップS116に対応する第2の空中像算出ステップと、ステップS118に対応する第2の2次元像抽出ステップとが実行される。そして、ステップS108に対応する第2の主パターン決定ステップと、ステップS112に対応する第2のピーク部分抽出ステップ、及び、第2の補助パターン決定ステップと、ステップS114に対応する生成ステップとが実行される。
【0104】
このような図2及び図3に示す処理によって原版のデータを作成し、EB描画装置にそのデータを入力することによって作成された原版を用いて、露光処理を行うことにより、基板上に微細なパターンを精度良く形成することができる。つまり、微細なパターンを精度よく形成することができる、原版のデータを生成することが可能となる。なお、作成される原版のパターンには、上述のマスクデータ作成プログラムによって作成されたパターン以外のパターンを含んでいても良い。
【0105】
以下、実施例1乃至4において、マスクデータ生成プログラムを実行してマスクデータを生成する処理を具体的に説明すると共に、かかる処理で生成されたマスクデータについて説明する。なお、露光光の波長をλとし、投影光学系の像側の開口数をNAとする。また、照明光学系からマスク面に入射する照明光の開口数と投影光学系の物体側の開口数との比をσとする。
【0106】
また、露光装置では、露光光の波長λ及び投影光学系の開口数NAに様々な値を設定することができるため、マスクのパターンサイズを(λ/NA)で規格化することが好ましい。例えば、λが248nm、NAが0.73の場合、100nmのパターンは、上述した規格化によって、0.29となる。このような規格化をk1換算と称する。
【0107】
マスク面上のパターンの大きさとウエハ面上のパターンの大きさとは、投影光学系の倍率だけ異なる。但し、以下では、説明を簡単にするために、マスク面上のパターンの大きさに投影光学系の倍率をかけて、マスク面上のパターンの大きさとウエハ面上のパターンの大きさを1:1で対応させる。これにより、マスク面の座標系とウエハ面の座標系も1:1で対応する。
【実施例1】
【0108】
実施例1では、露光装置として、投影光学系のNAが0.73であり(NA情報に相当)、露光光の波長が248nmである(λ情報に相当)場合を考える。また、投影光学系は無収差(収差情報に相当)、ウエハに塗布されるレジストは考慮しない(レジスト情報に相当)ものとする。なお、照明光は無偏光であるものとする。
【0109】
目標パターン(パターンデータ)は、図4に示すような孤立ラインパターンで、線幅が120nm、長さが2400nmであるとする。図4において、孤立ラインパターンは遮光パターン(即ち、透過率はゼロ)であるとし、かかる孤立ラインパターンの存在しない領域(背景)の透過率は1とする。なお、位相は全てゼロとした。図4は、実施例1における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。
【0110】
有効光源は、図5に示すような四重極照明(有効光源情報に相当)を用いる。図5において、白円はσ=1を表しており、4つの白色領域は光照射部を表している。ここで、図5は、実施例1における有効光源を示す図である。なお、有効光源は例示的に示したものでこれに限定されるものではない。
【0111】
まず、数式10を用いて、目標パターン及び上述した入力情報(有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報)から近似空中像を算出すると、図6(a)に示す近似空中像が得られる。なお、図6(a)においては、目標パターンを黒線で重ねて示している。
【0112】
図6(a)に示す近似空中像は、目標パターンと比較して、孤立ラインパターンの先端がうねっており、更に、目標パターンの長手方向の遮光部が短くなっていることがわかる。
【0113】
上述したマスクデータ生成プログラム401を実行して主パターンを変形した後の近似空中像を算出すると、図6(b)に示す近似空中像が得られる。図6(b)に示す近似空中像では、重ねて示した目標パターンの内部の強度分布がほぼ一様になっている。
【0114】
図6(a)に示す近似空中像を基準スライス値(Io)、0.95Io及び1.05Ioで切断した2次元像(断面像)を図7(a)に示す。同様に、図6(b)に示す近似空中像を基準スライス値(Io)、0.95Io及び1.05Ioで切断した2次元像(断面像)を図7(b)に示す。なお、図7(a)及び図7(b)においては、目標パターンを黒線で重ねて示している。また、基準スライス値(Io)は、以下では、閾値とも称する。
【0115】
図7(a)及び図7(b)に示す近似空中像の2次元像から目標パターンとの差(例えば、形状変化、傾斜の度合い、強度値あるいは強度ピーク、Log−slope)を求めることができ、これに基づいて主パターンを決定(変形)する。
【0116】
主パターンの決定(変形)について具体的に説明する。まず、図8(a)に示すように、目標パターンとパターンデータ(初期のパターンデータは目標パターンと同じ)を分割し、2次元像を同じ分割数で分割する。そして、目標パターンと2次元像の分割された要素とを比較し、かかる差分に基づいてパターンデータを変形(補正)する。但し、目標パターンは変形させない。パターンデータの分割は不要な要素を除去、或いは、新しい要素を加えて行なってもよい。
【0117】
目標パターンと2次元像との差分に基づいてパターンデータの分割された要素をそれぞれ変形すると、図8(b)に示すパターンデータが得られる。そして、変形されたパターンデータを新しいパターンデータとして近似空中像を算出し、同様な処理を、目標パターンと2次元像との差分が許容範囲内になるまで繰り返す。上述したように、図8(b)に示すパターンデータからは、図6(b)に示す近似空中像が算出される。
【0118】
次に補助パターンを挿入する。図6(b)に示す近似空中像から、目標パターンと重ならない領域(即ち、主パターンが投影される領域を除く領域)において、光強度がピークとなるピーク部分を抽出する。目標パターンが遮光パターンである場合には、閾値以上であり、背景より暗い領域のピークを求め、そのピーク部分に四角形の補助パターンを挿入する。ラインパターンにおいては、1次元的にピーク部分を検出してピーク部分を抽出すればよく、少なくともラインパターンの長手方向に直行する方向とラインパターンの長手方向と平行な方向に沿ってピーク部分を検出すればよい。なお、補助パターンを挿入する位置は、背景より暗い領域におけるピーク部分の重心位置としてもよい。また、近似空中像の光強度分布の2階微分(例えば、直交2軸方向のそれぞれに関して2階微分して、和をとったもの(Laplacian))の値(正負)を求めてピーク位置(部分)を算出することもできる。強度分布の二階微分(Laplacian)のマップを図40に示す。大きさをもったラインパターンは、近似空中像において主パターンの強度が主パターンより離れた位置まで影響を及ぼす。そのため、主パターンと重ならない領域においても干渉による強度ピークに重なってしまい、ピーク部分の検出を難しくする。各々の方向で1階微分したもの(gradient)はノイズがのりやすく、扱いが難しい。そのため、大きさをもち複雑な形状をしたラインパターンにおいて、強度分布の2階微分の値を求め、ピーク位置を算出する方法は有効である。
【0119】
補助パターンの1辺の大きさは、解像しない線幅にする必要がある。具体的には、遮光パターンにおいては、背景の光強度と主パターンの光強度の最小値との差と、背景の光強度と目標パターンと重ならない領域の光強度の最小値との差との比によって求められる。露光プロセスによっても異なるが、ラインパターンの場合には、補助パターンの1辺の大きさは、ラインパターンの短手方向の1/3乃至1/2程度である。実施例1では、四角形の補助パターンの1辺の大きさは、40nmとなった。
【0120】
変形した主パターンに上述した補助パターンを挿入すると、図9に示すようなパターンデータが得られる。このように、図9に示すパターンデータがマスクデータとして生成される。かかるマスクデータから製作されるマスクがウエハ面上で所望の空中像を形成するかを確認(評価)する。
【0121】
マスクデータを評価する場合、近似空中像ではなく、空中像を厳密に計算して評価する。図9に示すパターンデータ(マスクデータ)から厳密に計算された空中像の2次元像を図10に示す。図10を参照するに、均一で長さが短縮していない像となっており、目標パターンにより近い像となっていることがわかる。
【0122】
ここで、比較のために、目標パターンそのものと、目標パターンそのものに典型的な補助パターン(スキャッタリングバー)を挿入したパターンについて空中像を計算する。図11(a)に示すような目標パターンそのものと、図12(a)に示すような目標パターンにハーフピッチ(120nm)の間隔で幅40nmの補助パターン(スキャッタリングバー)を挿入したパターンについて計算する。図11(a)に示すような目標パターンそのものから算出される空中像の2次元像を図11(b)に示し、図12(a)に示すような目標パターンにスキャッタリングバーを挿入したパターンから算出される空中像の2次元像を図12(b)に示す。
【0123】
図8(b)、図9、図11(a)及び図12(a)に示すパターンデータから算出される空中像の2次元像を定量的に評価する。具体的には、パターンデータからデフォーカスを変化させて空中像を算出し、線幅を算出した。ここでは、各図の横軸をx、縦軸をyとしたとき、2次元像の中心(x=0、y=0)、中心からy=1200に対して7割の位置(x=0、y=840)及び中心からy=1200に対して9割の位置(x=0、y=1080)の線幅を算出した。
【0124】
図8(b)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図13に示す。図9に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図14に示す。図11(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図15に示す。図12(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図16に示す。図13乃至図16において、横軸はデフォーカス(μm)、縦軸は線幅CD(nm)である。ここで、長さの単位はnmとした。
【0125】
図15を参照するに、図11(a)に示すような目標パターンそのものの空中像の2次元像においては、中心から9割の位置の線幅が細くなっており、フォーカスに対する線幅変化が大きい。
【0126】
図16を参照するに、図12(a)に示すような目標パターンにスキャッタリングバーを挿入したパターンの空中像の2次元像においては、フォーカスに対する線幅変化は緩やかになったものの、中心から7割及び9割の位置での線幅のばらつきが大きい。
【0127】
図13を参照するに、図8(b)に示すような変形した主パターンの空中像の2次元像においては、7割及び9割の位置での線幅のばらつきが小さくなっている。
【0128】
図14を参照するに、図9に示すような変形した主パターンに補助パターンを挿入したパターンの空中像の2次元像においては、中心から7割及び9割の位置での線幅のばらつきが最も小さくなり、フォーカスに対する線幅変化も緩やかになっている。
【0129】
このように、上述したマスクデータ生成プログラム401から生成されるマスクデータ(パターンデータ)は、従来技術で生成されるスキャッタリングバーを加えたマスクデータよりも像性能が向上しており、孤立ラインパターンを精度よく形成することができる。
【0130】
なお、補助パターンの大きさを一定にするのではなく、ピーク部分の光強度(ピーク値の大きさ)に応じて補助パターンの大きさを変えてもよい。具体的には、図17に示すように、i番目の補助パターンの1辺の長さをaiとし、基準となる大きさをaoとすると、i番目の補助パターンの1辺の長さaiを変える方法として2つの方法が考えられる。ここで、図17は、補助パターンの大きさを変える方法を説明するための図である。
【0131】
第1の方法は、以下の数式11で表されるように、i番目の補助パターンの1辺の長さaiをピーク部分の光強度に比例させて変える方法である。
【0132】
【数11】

【0133】
数式11において、Iiはi番目の補助パターンの位置の光強度値であり、Ibackは背景の透過率である。
【0134】
図9に示すパターンデータ(マスクデータ)における補助パターンの大きさを第1の方法によって変化させた場合のパターンデータを図18(a)に示す。
【0135】
第2の方法は、以下の数式12で表されるように、i番目の補助パターンの1辺の長さaiをピーク部分の光強度に反比例させて変える方法である。
【0136】
【数12】

【0137】
なお、第2の方法の場合には、上限となる長さa_limitを予め決めておき、ai>a_limitであれば、ai=a_limitとする。
【0138】
図9に示すパターンデータ(マスクデータ)における補助パターンの大きさを第2の方法によって変化させた場合のパターンデータを図18(b)に示す。
【0139】
第1の方法の場合、補助パターンを挿入して近似空中像を算出すると、近似空中像の分布は補助パターンを挿入する前と大きく変わらない。従って、パターン形状再現性は、補助パターンを挿入しない場合と大きく変わらないが、フォーカス深度拡大のような像性能の変化も少ない。
【0140】
一方、第2の方法の場合、補助パターンを挿入して近似空中像を算出すると、近似空中像の分布が補助パターンを挿入する前と大きく変わる。従って、第2の方法は、近似空中像の分布を変化させる方法であり、恣意的に近似空中像を操作するなど積極的な活用に好適である。
【0141】
例えば、第2の方法は、干渉性の小さな位置に相対的に大きな補助パターンを挿入することによって、主パターンに与える影響を大きくさせることができる。換言すれば、干渉性の小さな位置に相対的に大きな補助パターンを挿入することで干渉性を強調させることができる。また、フォーカス深度拡大のような像性能の変化も最大にすることができる。
【0142】
また、干渉性の小さな位置に相対的に大きな補助パターンを挿入しても、閾値を越えて解像しないような上限の大きさを決めておけば、補助パターンが不要に解像されることもない。補助パターンが解像されない上限の大きさは、実際には補助パターンが配置される位置の近似空中像の強度に依存するので、補助パターンが配置される位置の強度に基づいて、補助パターンのそれぞれの大きさを求めてもよい。但し、パターン形状再現性は、補助パターンを挿入しない場合と大きく変わるので注意が必要である。なお、パターン形状などが過補正となる場合には、実施例3で後述するように、かかる過補正を補正することは可能である。
【実施例2】
【0143】
実施例2では、露光装置として、投影光学系のNAが0.75であり(NA情報に相当)、露光光の波長が193nmである(λ情報に相当)場合を考える。また、投影光学系は無収差(収差情報に相当)、ウエハに塗布されるレジストは考慮しない(レジスト情報に相当)ものとする。なお、照明光は無偏光であるもとする。
【0144】
目標パターン(パターンデータ)は、図19に示すようなコンタクトホールパターンで、幅が120nm、ハーフピッチが100nm(k1換算=0.39)であるとする。図19において、コンタクトホールパターンは透過パターン(即ち、透過率は1)であるとし、かかるコンタクトホールパターンの存在しない領域(背景)の透過率はゼロとする。なお、位相は全てゼロとした。図19は、実施例2における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。
【0145】
有効光源は、図20に示すような四重極照明(有効光源情報に相当)を用いる。図20において、白円はσ=1を表しており、4つの白色領域は光照射部を表している。ここで、図20は、実施例2における有効光源を示す図である。
【0146】
まず、数式10を用いて、目標パターン及び上述した入力情報(有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報)から近似空中像を算出すると、図21(a)に示す近似空中像が得られる。なお、図21(a)においては、目標パターンを黒線で重ねて示している。
【0147】
図21(a)に示す近似空中像は、光強度ピーク値が各コンタクトホールパターンによってばらついていることがわかる。
【0148】
上述したマスクデータ生成プログラム401を実行して主パターンを変形した後の近似空中像を算出すると、図21(b)に示す近似空中像が得られる。図21(b)に示す近似空中像では、強度ピーク値が各コンタクトホールパターンでほぼ一様になっている。
【0149】
主パターンの決定(変形)について具体的に説明する。コンタクトホールパターンは複雑な形状ではないため、目標パターンを分割せずに大きさと位置のみを変えたが、実施例1と同様に、目標パターンを分割して主パターンを決定(変形)させることも可能である。
【0150】
目標パターンと近似空中像の2次元像とを比較して得られる差分に基づいてパターンデータに変形(補正)する。但し、目標パターンは変形させない。そして、変形されたパターンデータを新しいパターンデータとして近似空中像を算出し、同様な処理を、目標パターンと2次元像との差分が許容範囲内になるまで繰り返す。このようにして得られるパターンデータからは、図21(b)に示す近似空中像が算出される。
【0151】
また、図21(b)に示す近似空中像から、目標パターンと重ならない領域(即ち、主パターンが投影される領域を除いた領域)において、光強度がピークとなるピーク部分を抽出する。目標パターンが透過パターンである場合には、閾値以下であり、背景より明るい領域のピークを求め、そのピーク部分に四角形の補助パターンを挿入する。コンタクトホールパターンにおいては、2次元的にピーク部分を検出してピーク部分を抽出すればよい。なお、補助パターンを挿入する位置は、背景より明るい領域におけるピーク部分の重心位置としてもよい。また、コンタクトホールパターンについても、近似空中像の光強度分布の2階微分(例えば、Laplacian)の値を求めるとピーク位置(部分)を算出しやすい。強度分布の二階微分(Laplacian)のマップを図41に示す。コンタクトホールパターンにおいてもある程度の大きさをもつと、近似空中像において主パターンの強度が主パターンより離れた位置まで影響を及ぼす。そのため、主パターンと重ならない領域においても干渉による強度ピークに重なってしまい、検出を難しくするためである。
【0152】
補助パターンの1辺の大きさは、解像しない線幅にする必要がある。具体的には、透過パターンにおいては、主パターンの光強度の最大値と目標パターンと重ならない領域の光強度の最大値との比によって求められる。露光プロセスによっても異なるが、コンタクトホールパターンの場合、補助パターンの1辺の大きさは、コンタクトホールパターンの線幅の60%乃至80%程度とする。実施例2では、補助パターンの1辺の大きさは、75nmとなった。
【0153】
変形した主パターンに上述した補助パターンを挿入すると、図22に示すようなパターンデータが得られる。このように、図22に示すパターンデータがマスクデータとして生成される。かかるマスクデータから製作されるマスクがウエハ面上で所望の空中像を形成するかを確認(評価)する。
【0154】
図22に示すパターンデータ(マスクデータ)から厳密に計算された空中像の2次元像を図23に示す。また、図24(a)に示すような目標パターンそのものから厳密に計算された空中像の2次元像を図24(b)に示す。図23と図24(b)とを比較するに、図23に示す2次元像は、図24(b)に示す2次元像よりも各コンタクトホールの均一性に優れ、楕円状のひずみが軽減されていることがわかる。
【0155】
図22及び図24(a)に示すパターンデータから算出される空中像の2次元像を定量的に評価する。具体的には、パターンデータからデフォーカスを変化させて空中像を算出し、線幅(ホール径)を算出した。ここでは、2次元像の中心に存在する孤立コンタクトホールパターンCH、密集しているホール列の端に存在するコンタクトホールパターンCH及びホール列の中央に存在するコンタクトホールパターンCHの線幅CDを算出した(図24(a)参照)。
【0156】
図22に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図25に示す。図24(a)に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図26に示す。図25及び図26において、横軸はデフォーカス(μm)、縦軸は線幅CD(nm)である。
【0157】
図26を参照するに、図24(a)に示すような目標パターンそのものの空中像の2次元像においては、孤立コンタクトホールパターン及び密集しているホール列のコンタクトホールパターンにおける線幅のばらつきが大きく、フォーカスに対する線幅変化も大きい。
【0158】
図25を参照するに、図22に示すような変形した主パターンに補助パターンを挿入したパターンの空中像の2次元像においては、線幅のばらつきが小さくなり、フォーカスに対する線幅変化も緩やかになっている。
【0159】
このように、上述したマスクデータ生成プログラム401から生成されるマスクデータ(パターンデータ)は、従来技術で生成されるマスクデータよりも像性能が向上しており、コンタクトホールパターンを精度よく形成することができる。
【0160】
また、実施例1と同様に、補助パターンの大きさを一定にするのではなく、ピーク部分の光強度(ピーク値の大きさ)に応じて補助パターンの大きさを変えてもよい。図22に示すパターンデータ(マスクデータ)における補助パターンの大きさを第2の方法によって変化させた場合のパターンデータを図27に示す。
【0161】
補助パターンの大きさを変えることで、孤立コンタクトホールパターン、或いは、密集しているホール列の端に存在するようなコンタクトホールパターンに対する補助パターンの効果を向上させることが可能となる。
【0162】
図22及び図27に示すパターンデータの空中像の2次元像のうち中央に存在す孤立コンタクトホールパターンから算出される線幅を図28に示す。上述したように、図22に示すパターンデータは補助パターンの大きさを一定にした場合であり、図27に示すパターンデータは補助パターンの大きさを変えた場合である。図28において、横軸はデフォーカス(μm)、縦軸は線幅CD(nm)である。
【0163】
図28を参照するに、補助パターンの大きさを変えた場合(図27)は、補助パターンの大きさを一定とした場合(図22)に比べて、フォーカスに対する線幅変化が少ない(即ち、フォーカス特性に優れている)ことがわかる。
【実施例3】
【0164】
上述したように、補助パターンを挿入したことで、補助パターンと主パターンとの間に新たな光近接効果が生じる。特に、補助パターンの大きさをピーク部分の光強度に反比例させて変えた場合には干渉性が大きく変わるため、パターン形状再現性や個々のパターン形状にばらつきが生じてしまう可能性がある。このような場合には、図3に示したフローチャートのように、変形した主パターンに補助パターンを挿入した後で近似空中像を再度算出し、これらのパターンデータを更に変形(補正)することが効果的である。
【0165】
実施例3では、実施例1の例を用いて説明する。実施例1において変形した主パターンに補助パターンを挿入する前に算出した近似空中像を図29(a)に示し、実施例1において変形した主パターンに一定の大きさの補助パターンを挿入した後で算出した近似空中像を図29(b)に示す。図29(a)に示す近似空中像と図29(b)に示す近似空中像とを比較するに、分布が大きく変化している。
【0166】
図29(b)に示す近似空中像から2次元像を抽出し、実施例1と同様に、かかる2次元像に基づいて主パターンを変形する。更に、補助パターンを挿入する。補助パターンはそのままで新たに抽出してもしなくてもいい。この場合、補助パターンを挿入することで変化する光近接効果を、主パターンの形状の変化として補正できる。そして、変形されたパターンデータを新しいパターンデータとして近似空中像を算出し、同様な処理を、目標パターンと2次元像との差分が許容範囲内になるまで繰り返す。このようにして得られるパターンデータ(マスクデータ)を図30に示す。
【0167】
図30に示すパターンデータから算出される空中像の2次元像を定量的に評価する。具体的には、パターンデータからデフォーカスを変化させて空中像を算出し、線幅を算出した。ここでは、各図の横軸をx、縦軸をyとしたとき、2次元像の中心(x=0、y=0)、中心からy=1200に対して7割の位置(x=0、y=840)及び中心からy=1200に対して9割の位置(x=0、y=1080)の線幅を算出した。
【0168】
図30に示すパターンデータの空中像の2次元像から算出される線幅を図31に示す。図15と図31とを比較するに、図30に示すパターンデータの空中像の2次元像は、線幅のばらつきが小さくなり、フォーカスに対する線幅変化も緩やかになっている。また、図31に示す線幅の算出結果は、図14に示す線幅の算出結果とほぼ同等になっている。
【0169】
ラインパターンにおいては、ラインパターンの長さの短縮が大きな問題となる。そこで、ラインパターンの先端について評価する。ベストフォーカスにおいては、ラインパターンの短縮分を見込んでラインパターンの長さを長くすればよい。但し、デフォーカスしていくとラインパターンの短縮が生じるため、ラインパターンの長さがフォーカスにより変化しないことが好ましい。また、ラインパターンの先端のコントラストがよいことが好ましい。ラインパターンの先端のコントラストはNILSで評価する。
【0170】
ラインパターンの長さをベストフォーカス時の長さで割ってフォーカスによる変化を調べた結果を図32に示す。また、ラインパターンの先端のNILSを算出してフォーカスによる変化を調べた結果を図33に示す。図32及び図33において、pattern_beforeは、パターンデータが目標パターンそのもの(即ち、初期のパターンデータ)の場合(図11(a))を示している。SBは、目標パターンにスキャッタリングバーを挿入したパターンの場合(図12(a))を示している。OPCは、近似空中像に基づいて主パターンが変形されたパターンの場合(図8(b))を示している。OPC1+assist1は、近似空中像に基づいて実施例1の主パターンを変形して大きさが一定の補助パターンを挿入したパターンの場合(図9)を示している。OPC2+assist2は、近似空中像に基づいて実施例3の主パターンを変形して大きさが一定の補助パターンを挿入したパターンの場合(図30)を示している。
【0171】
図32を参照するに、OPC1+assist1(図9)及びOPC2+assist2(図30)は、フォーカスの変動に対してラインパターンの長さの変化が最も小さいことがわかる。
【0172】
また、図33を参照するに、OPC2+assist2(図30)は、ベストフォーカスにおいて、ラインパターンの先端のNILSが最も大きい。また、OPC1+assist1(図9)は、ベストフォーカスにおいては、ラインパターンの先端のNILSがOPC2+assist2よりもやや劣るが、フォーカスに対して変化しにくいことがわかる。
【実施例4】
【0173】
次に、目標パターンがラインパターンとは異なるパターンである場合の実施例について説明する。露光装置として、投影光学系のNAが0.73であり(NA情報に相当)、露光光の波長が193nmである(λ情報に相当)場合を考える。投影光学系の収差として焦点位置のずれ(デフォーカス)を加える。ウエハに塗布されるレジストは考慮しない(レジスト情報に相当)ものとする。なお、照明光は無偏光であるものとする。
【0174】
目標パターン(パターンデータ)は、図37に示すようなL字(Elbow)パターンで、縦と横の長さが1200nmであるとする。図37において、孤立ラインパターンは遮光パターン(即ち、透過率はゼロ)であるとし、かかる孤立ラインパターンの存在しない領域(背景)の透過率は1とする。なお、位相は全てゼロとした。図37は、実施例4における目標パターン(パターンデータ)を示す図である。有効光源は、図5に示すような四重極照明(有効光源情報に相当)である。
【0175】
まず、数式10を用いて、目標パターン及び上述した入力情報(有効光源情報、NA情報、λ情報、収差情報、レジスト情報)から近似空中像を算出する。次に、算出された近似空中像から2次元像を抽出する。そして、目標パターンと近似空中像の2次元像とを比較して得られる差分に基づいてパターンデータを算出する。さらにパターンデータから求めた近似空中像から、目標パターンと重ならない領域において、光強度がピークとなるピーク部分を抽出し、補助パターンを挿入する。
【0176】
このようにして、図38に示すパターンデータがマスクデータとして生成される。かかるマスクデータから空中像を厳密に計算したものが図39である。図44においてベストフォーカスで結像したものを図44(a)に示し、0.2μmデフォーカスして結像したものを図44(b)に示している。図44を参照するに、均一で角の部分のひずみが少ない像となっており、デフォーカスした時にウエハ上に投影される像性能の悪化が抑えられている。つまり、焦点深度が大きくなり、結像性能が向上している。
【0177】
次に、図34を参照して、露光装置100について説明する。図34は、露光装置100の構成を示す概略ブロック図である。ここで、マスクとして、上述のマスクデータ生成プログラムを実行して生成されたマスクデータに基づいて、製作されたマスク130を使用する。
【0178】
露光装置100は、投影光学系140とウエハ150との間に供給される液体LWを介して、マスク130のパターンをウエハ150に露光する液浸露光装置である。露光装置100は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式を適用するが、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式も適用することができる。
【0179】
露光装置100は、図34に示すように、光源110と、照明光学系120と、マスク130を載置するマスクステージ135と、投影光学系140と、ウエハ150を載置するウエハステージ155と、液体供給回収部160と、主制御システム170とを備える。なお、光源110及び照明光学系120は、転写用の回路パターンが形成されたマスク130を照明する照明装置を構成する。
【0180】
光源110は、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約193nmのArFエキシマレーザーなどのエキシマレーザーを使用する。但し、光源110の種類及び個数は限定されず、例えば、波長約157nmのFレーザーを光源110として使用することもできる。
【0181】
照明光学系120は、光源110からの光を用いてマスク130を照明する光学系である。照明光学系120は、従来の照明や変形照明(例えば、四重極照明)など様々な照明モードを実現することができる。照明光学系120は、本実施形態では、ビーム整形光学系121と、集光光学系122と、偏光制御部123と、オプティカルインテグレーター124と、開口絞り125とを含む。更に、照明光学系120は、集光レンズ126と、折り曲げミラー127と、マスキングブレード128と、結像レンズ129とを含む。
【0182】
ビーム整形光学系121は、例えば、複数のシリンドリカルレンズを含むビームエクスパンダ等を使用する。ビーム整形光学系121は、光源110からの平行光の断面形状の縦横比率を所定の値に変換する(例えば、断面形状を長方形から正方形にする)。ビーム整形光学系121は、本実施形態では、光源110からの光を、オプティカルインテグレーター124を照明するために必要な大きさ及び発散角を有する光に整形する。
【0183】
集光光学系122は、複数の光学素子を含み、ビーム整形光学系121で整形された光をオプティカルインテグレーター124に効率よく導光する。集光光学系122は、例えば、ズームレンズシステムを含み、オプティカルインテグレーター124に入射する光の形状及び角度の分配を調整する。
【0184】
偏光制御部123は、例えば、偏光素子を含み、投影光学系140の瞳面142と略共役な位置に配置される。偏光制御部123は、投影光学系140の瞳面142に形成される有効光源の所定領域の偏光状態を制御する。
【0185】
オプティカルインテグレーター124は、マスク130を照明する照明光を均一化し、入射光の角度分布を位置分布に変換して射出する機能を有する。オプティカルインテグレーター124は、例えば、入射面と射出面とがフーリエ変換の関係に維持されたハエの目レンズを使用する。なお、ハエの目レンズは、複数のロッドレンズ(即ち、微小レンズ素子)を組み合わせることによって構成される。但し、オプティカルインテグレーター124は、ハエの目レンズに限定されず、光学ロッド、回折格子、各組が直交するように配置されたシリンドリカルレンズアレイ板などを使用してもよい。
【0186】
開口絞り125は、オプティカルインテグレーター124の射出面の直後の位置であって、投影光学系140の瞳面142に形成される有効光源と略共役な位置に配置される。開口絞り125の開口形状は、投影光学系140の瞳面142に形成される有効光源の光強度分布(即ち、有効光源形状)に相当する。換言すれば、開口絞り125は、有効光源の光強度分布を制御する。開口絞り125は、照明モードに応じて切り替え可能に構成される。なお、開口絞りを使用せずに、あるいは、併用して、オプティカルインテグレーター124よりも光源側に回折光学素子(CGH)やプリズムを配置して有効光源の形状を調整してもよい。
【0187】
集光レンズ126は、オプティカルインテグレーター124の射出面近傍に形成される2次光源から射出して開口絞り125を通過した光を集光し、折り曲げミラー127を介して、マスキングブレード128を均一に照明する。
【0188】
マスキングブレード128は、マスク130と略共役な位置に配置され、複数の可動遮光板で構成される。マスキングブレード128は、投影光学系140の有効面積に対応する略矩形形状の開口を形成する。マスキングブレード128を通過した光は、マスク130を照明する照明光として使用される。
【0189】
結像レンズ129は、マスキングブレード128の開口を通過した光をマスク130に結像させる。
【0190】
マスク130は、上述した処理装置1によって生成されたマスクデータに基づいて製作され、転写すべき回路パターン(主パターン)と補助パターンとを有する。マスク130は、マスクステージ135に支持及び駆動される。マスク130から発せられた回折光は、投影光学系140を介して、ウエハ150に投影される。マスク130とウエハ150とは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置100はステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、マスク130とウエハ150とを同期走査することによって、マスク130の転写すべき回路パターンをウエハ150に転写する。なお、露光装置100がステップ・アンド・リピート方式の露光装置であれば、マスク130とウエハ150とを静止させた状態で露光する。
【0191】
マスクステージ135は、マスクチャックを介してマスク130を支持し、図示しない駆動機構に接続されている。図示しない駆動機構は、例えば、リニアモーターなどで構成され、X軸方向、Y軸方向、X軸方向及び各軸の回転方向にマスクステージ135を駆動する。なお、マスク130又はウエハ150の面内で走査方向をY軸、それに垂直な方向をX軸、マスク130又はウエハ150の面に垂直な方向をZ軸とする。
【0192】
投影光学系140は、マスク130の回路パターンをウエハ150に投影する光学系である。投影光学系140は、屈折系、反射屈折系、或いは、反射系を使用することができる。投影光学系140の最終レンズ(最終面)には、液体供給回収部160から供給される液体LWによる影響を低減(保護)するためのコーティングが施されている。
【0193】
ウエハ150は、マスク130の回路パターンが投影(転写)される基板である。但し、ウエハ150は、ガラスプレートやその他の基板に置換することもできる。ウエハ150には、レジストが塗布されている。
【0194】
ウエハステージ155は、ウエハ150を支持し、マスクステージ135と同様に、リニアモーターを利用して、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及び各軸の回転方向にウエハ150を移動させる。
【0195】
液体供給回収部160は、投影光学系140の最終レンズ(最終面)とウエハ150との間の空間に液体LWを供給する機能を有する。また、液体供給回収部160は、投影光学系140の最終レンズとウエハ150との間の空間に供給された液体LWを回収する機能を有する。液体LWには、露光光に対して高い透過率を有し、投影光学系140(の最終レンズ)に汚れを付着させず、レジストプロセスとのマッチングがよい物質を選択する。
【0196】
主制御システム170は、CPUやメモリを有し、露光装置100の動作を制御する。例えば、主制御システム170は、マスクステージ135、ウエハステージ155及び液体供給回収部160と電気的に接続し、マスクステージ135とウエハステージ155との同期走査を制御する。また、主制御システム170は、露光時のウエハステージ155の走査方向及び速度などに基づいて、液体LWの供給と回収、或いは、停止の切り替えを制御する。主制御システム170は、特に、モニタ及び入力装置から入力される情報、照明装置からの情報に基づいて照明制御を行う。例えば、主制御システム170は、駆動機構を介して開口絞り125を駆動制御する。主制御システム170による制御情報やその他の情報はモニタ及び入力装置のモニタに表示される。主制御システム170には、上述の実施例における有効光源の情報が入力され、開口絞りや回折光学素子、プリズム等を制御して、有効光源を形成する。
【0197】
露光において、光源110から発せられた光束は、照明光学系120によりマスク130を照明する。マスク130を通過して回路パターンを反映する光束は、投影光学系140により、液体LWを介してウエハ150に結像される。露光装置100は、優れた結像性能を有し、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
【0198】
図35及び図36を参照して、露光装置100を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図35は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。具体的には、上述の原版(マスク)データの作成方法を処理装置1によって実行することにより、マスクデータを作成し、EB描画装置にマスクのデータを入力として与え、マスクのデータに応じたCr等のパターンをマスク130に描画する。これにより、マスク130を作成する。ステップ3(ウエハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は、前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィー技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0199】
図36は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置100によってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、高品位のデバイスを高いスループットで製造することができる。このように、露光装置100を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0200】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0201】
1 処理装置
20 制御部
40 記憶部
401 マスクデータ生成プログラム
402 パターンデータ
403 有効光源情報
404 NA情報
405 λ情報
406 収差情報
407 レジスト情報
408 マスクデータ
409 近似空中像
410 2次元像
411 変形パターンデータ
50 入力部
60 媒体インターフェース
70 記憶媒体
100 露光装置
110 光源
120 照明光学系
121 ビーム整形光学系
122 集光光学系
123 偏光制御部
124 オプティカルインテグレーター
125 開口絞り
130 マスク
140 投影光学系
150 ウエハ
170 主制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンの像を基板に投影する投影光学系とを備える露光装置に用いられる前記原版のデータをコンピュータによって生成する生成方法であって、
前記投影光学系の瞳面における光強度分布を表す関数と前記投影光学系の瞳関数とに基づいて2次元相互透過係数を求めるステップと、
前記2次元相互透過係数と前記投影光学系の物体面におけるパターンとに基づいて、前記投影光学系の像面に形成される近似空中像を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップで算出された近似空中像から2次元像を抽出する2次元像抽出ステップと、
前記2次元像抽出ステップで抽出された2次元像に基づいて前記原版の主パターンの形状を変更して前記主パターンを決定する主パターン決定ステップと、
該決定された主パターンについて、前記像面に形成される近似空中像を算出する第2算出ステップと、
前記第2算出ステップで算出された近似空中像から前記主パターンが前記像面に投影される領域を除いた領域において、光強度がピークとなるピーク部分を抽出するピーク部分抽出ステップと、
該抽出されたピーク部分の光強度に基づいて補助パターンを決定する補助パターン決定ステップと、
該決定された補助パターンを該抽出されたピーク部分に対応する前記原版の部分に挿入して、該決定された主パターンと補助パターンとを含むパターンのデータを前記原版のデータとして生成する生成ステップとを有することを特徴とする生成方法。
【請求項2】
前記補助パターン決定ステップでは、
前記目標パターンが透過パターンである場合には前記主パターンの光強度の最大値と前記主パターンが前記基板に投影される領域を除いた領域の光強度の最大値との比に基づいて前記補助パターンの大きさを決定し、
前記目標パターンが遮光パターンである場合には背景の光強度と前記主パターンの光強度の最小値との差と、前記背景の光強度と前記主パターンが前記基板に投影される領域を除いた領域の光強度の最小値との差との比に基づいて前記補助パターンの大きさを決定することを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項3】
前記ピーク部分抽出ステップにおいて、前記第2算出ステップで算出された空中像を2階微分し、該2階微分によって得られた値に基づいて前記ピーク部分を抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の生成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の生成方法で生成されたデータに基づいて原版を作成することを特徴とする原版作成方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の生成方法を実行する処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図6】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate


【公開番号】特開2013−11898(P2013−11898A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186358(P2012−186358)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2008−41489(P2008−41489)の分割
【原出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】