説明

原稿搬送装置及び画像形成装置

【課題】原稿の第2面の画像情報を個別に読み取る読取部を備えた原稿搬送装置であって、その読取部のシェーディング補正に係わるローラ部材のメンテナンス性が高くて、機能上の不具合が発生しない原稿搬送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿の画像情報を読み取る読取部が設置された本体部75と、読取部のシェーディング補正をおこなうためのローラ部材26が設置されるとともに本体部75に対して開閉自在に構成された開閉部Gと、ローラ部材26に駆動力を伝達する駆動伝達部126とを備える。そして、駆動伝達部126は、開閉部Gの内部に収納される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置と、そこに設置される原稿搬送装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複写機等の画像形成装置では、原稿台にセットされた原稿を自動搬送して原稿の画像情報を読み取る原稿搬送装置(原稿読取装置)が多く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、原稿搬送装置には、搬送される原稿面に投光する発光素子と、原稿面から反射した反射光を受光して原稿の画像情報を光学的に読み取る受光素子とからなる読取部が設置されている。また、原稿搬送装置における発光素子から受光素子に至る読取部の光路中には、レンズ等の光学素子が配設されている。
【0004】
このような原稿搬送装置では、読取部における読取誤差を軽減するために、原稿読取前にシェーディング補正がおこなわれている。
すなわち、原稿搬送装置の読取部に対向するように設置された基準面(通常は白色面である。)に対して発光・受光をおこなって、原稿読取前に読取部の調整をおこなう。
【0005】
一方、原稿搬送装置では、原稿の両面の画像情報を読み取る場合の読取時間を短縮するとともに原稿の搬送経路を短くすることを目的として、原稿第1面(表面)用の第1読取部とは別に、原稿第2面(裏面)用の第2読取部を設けたものが用いられている。
すなわち、原稿台から排紙トレイまでの原稿搬送経路は、スイッチバック搬送経路をともなわない一続きの搬送経路となっている。そして、その搬送経路中に、原稿第2面の画像情報を読み取る第2読取部が、原稿第2面に対向するように設置されている。なお、この第2読取部に対しても、シェーディング補正をおこなうための基準面(通常は白色面を有するとともに原稿搬送機能を備えたローラ部材である。)が設置されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−260260号公報(第2頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の原稿搬送装置は、第2読取部のシェーディング補正をおこなうための基準面のメンテナンス性と、原稿搬送装置の本体部を構成する筐体の強度の確保とを両立させることが難しかった。
【0008】
上述の第2読取部を備えた原稿搬送装置は、第2読取部のシェーディング補正をおこなうために、第2読取部に対向する位置に基準面となるローラ部材を具備している。このローラ部材は、駆動伝達部から駆動力を受けて、原稿を搬送するように回転駆動される。
【0009】
このローラ部材は、原稿のインク、紙粉等の異物が付着して汚れると適正なシェーディング補正ができなくなるために、定期的に清掃をおこなう必要がある。そのため、基準面を有するローラ部材は、原稿搬送装置の本体部に対して開閉自在に構成された開閉部に収納されていて、清掃時には開閉部を開けてメンテナンスがおこなわれていた。
【0010】
しかし、ローラ部材を収納する開閉部は、駆動伝達部が開閉部を構成する側板の外側に設けられていた。そのために、ローラ部材の清掃メンテナンス性を向上するために開閉部の開閉角度を大きく設定した場合に、本体部を構成する筐体に切欠き部を設ける必要があり、筐体に対する充分な強度が保てなかった。
【0011】
詳しくは、図6(B)を参照して、ローラ部材26を収納する開閉部Gは、軸部36を中心にして筐体75に対して開閉自在に構成されている。ローラ部材26に駆動力を伝達する駆動伝達部126、130、B1は、筐体75の外側に配設されている。そして、図6(A)に示すように、筐体75には、開閉部Gを図中矢印方向に開閉するために切欠き部210が形成されている。
【0012】
このように、筐体75に切欠き部210を設けた場合には、開閉部Gを大きく開閉できるためにローラ部材26のメンテナンス性が向上するが、筐体75の強度が低くなる。筐体75に歪みが生じた場合、ローラ部材26の第2読取部に対する位置精度が悪くなり、適正なシェーディング補正ができなくなったり、原稿搬送性が低下する等の不具合が発生する。
【0013】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、原稿の第2面の画像情報を個別に読み取る読取部を備えた原稿搬送装置であって、その読取部のシェーディング補正に係わるローラ部材のメンテナンス性が高くて、機能上の不具合が発生しない原稿搬送装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1記載の発明にかかる原稿搬送装置は、原稿の画像情報を読み取る読取部が設置された本体部と、前記読取部のシェーディング補正をおこなうためのローラ部材が設置されるとともに、前記本体部に対して開閉自在に構成された開閉部と、前記ローラ部材に駆動力を伝達する駆動伝達部とを備え、前記駆動伝達部は、前記開閉部の内部に収納されたものである。
【0015】
また、請求項2記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項1記載の発明において、前記開閉部は、前記本体部に対する開閉動作に係わる回動中心を備え、前記開閉部を開いた状態で前記ローラ部材の一部又は全部が露呈するように構成されたものである。
【0016】
また、請求項3記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項2に記載の発明において、前記開閉部は、負荷を与えない状態で該開閉部の開放角度が鋭角になるように当該開放角度を規制する規制手段と、負荷を与えた状態で前記開放角度が鈍角になるように該開閉部を開放する手動開放手段とを備えたものである。
【0017】
また、請求項4記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記回動中心と前記読取部との距離が前記ローラ部材の外径よりも大きくなるように形成されたものである。
【0018】
また、請求項5記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、コンタクトガラス上に載置される原稿を押圧するとともに、前記開閉部の開閉動作に連動して屈曲可能に形成された圧板を備えたものである。
【0019】
また、請求項6記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記開閉部は、原稿を搬送する従動ローラを備えたものである。
【0020】
また、請求項7記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、コンタクトガラスの周囲に設けられた起立部と当接して該コンタクトガラスへのダメージを制限する当接部を備えたものである。
【0021】
また、請求項8記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項7に記載の発明において、前記起立部を、原稿セット基準板としたものである。
【0022】
また、請求項9記載の発明にかかる原稿搬送装置は、上記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記開閉部の開閉状態を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて警告を発する警告手段とを備えたものである。
【0023】
また、この発明の請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施の形態.
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1にて、本実施の形態における画像形成装置全体の構成・動作について説明する。図1は、画像形成装置としての複写機を示す構成図である。
【0025】
図1において、200は原稿が載置されるとともに原稿の画像情報を光学的に読み取る原稿搬送装置、212は原稿搬送装置200で読み取った原稿の画像情報を光電変換した後にそれに対応したレーザ光を作像部213の感光体ドラムに照射する光学部、213は感光体ドラムに形成された画像情報に係わる潜像を現像部で顕像化した後に転写紙に転写する作像部、215は転写紙を収納するとともに給送する給紙部、217は作像部213で転写された転写紙上の画像を定着する定着部、218は定着工程後の転写紙の搬送経路を切り替える排紙分離部、220は転写紙を通常の排紙口に導く上排紙部、221は転写紙の裏面側にも画像を形成する際の搬送経路となる両面反転部、222はフィニッシャ部223への搬送経路となる排紙中継部、223は転写紙に後処理を施すフィニッシャ部、224は給紙部215を補完して給紙をおこなうための手差給紙部を示す。
【0026】
以下、画像形成装置における、画像形成プロセスに係わる動作について説明する。
まず、原稿搬送装置200に載置された原稿の画像情報が、原稿読取部にて光学的に読み取られる。そして、その光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、光学部212に転送される。そして、光学部212から、画像情報に基づいたレーザ光が、作像部213の感光体ドラムに照射される。そして、所望の作像プロセスが、感光体ドラム上でおこなわれる。
【0027】
一方、給紙部215からは、転写紙が搬送経路に向けて給送される。そして、レジストローラに達した転写紙は、上述した感光体ドラム上に形成された画像とタイミングを合わせて転写部に搬送されて、そこで画像が転写される。そして、画像が転写された転写紙は定着部217に搬送されて、ここで画像が定着される。
【0028】
そして、定着工程後の転写紙は、排紙分離部218に達して、ここで所望の搬送経路に向けて経路が切り替えられる。詳しくは、両面画像形成時には、転写紙が両面反転部221に搬送されて、その後に転写紙裏面に画像が形成される。また、コピー画像に後処理を施すときには、転写紙がフィニッシャ部223に向けて搬送される。さらに、通常のコピー時には、転写紙が上排紙部220を通過して、フィニッシャ部223上部の排紙口に排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0029】
次に、図2を用いて、原稿搬送装置200(ADF)の構成・動作について詳述する。
原稿搬送装置の本体部Aは、画像形成装置本体の上面に設置されたコンタクトガラス60に対向するように設置される。また、原稿搬送装置の本体部Aの底面には、コンタクトガラス60上に載置される手置き原稿を押圧するための圧板50が設置されている。
【0030】
原稿搬送装置の本体部Aは、主として、複数の原稿1を載置することができる原稿台2、3、載置された複数の原稿1から1枚の原稿を分離して給送する分離給送部、給送された原稿のレジスト調整と搬送タイミング調整とをおこなうレジスト部、原稿1の第1面(表面)の画像情報を読み取るための第1読取搬送部、第1読取搬送部を通過した後の原稿の第2面(裏面)の画像情報を読み取るための第2読取搬送部、読取を終えた原稿を排出する排紙部28、38、排出された原稿を積載するスタック部29等で構成されている。
【0031】
まず、原稿台2、3上に、原稿1の第1面が上向きになるように、原稿1がセットされる。ここで、原稿1の幅方向(紙面垂直方向である。)の位置決めは、原稿台2、3上に移動可能に設置された不図示のサイドガイド板によっておこなわれる。
原稿台2、3上に原稿1がセットされると、その情報がセットフィラ4、セットセンサ5によって検知されて、不図示の制御部に送信される。そして、原稿台の可動部3が不図示のモータによって図中矢印a、b方向に移動して、上昇検知センサ8を有し矢印c、d方向に移動可能に構成されたピックアップローラ7に対して、原稿1が適正に接触するように調整される。
他方、原稿台2、3上に原稿1がセットされると、原稿台2、3に設けられた反射型センサ30、31によって原稿1の搬送方向長さに係わる情報が検出されて、その情報も制御部に送信される。
【0032】
次に、ユーザによって操作部のプリントキーが押下されると、ピックアップローラ7が回転駆動されて、原稿台2、3上の原稿1(1枚とは限らない。)が、給送ベルト9に向けて給送される。
給送ベルト9の位置に給送された原稿1は、重送を防止するために原稿1の搬送方向に対して逆方向に回転自在に構成されたリバースローラ10によって、1枚の原稿1のみが原稿搬送路に向けて分離搬送される。
【0033】
給送ベルト9によって原稿搬送路に搬送された1枚の原稿1は、センサ11の位置を通過した後に、停止状態にあるプルアウトローラ12に突き当たって、所定量だけ撓んだ状態で原稿搬送が停止される。これにより、原稿1のスキュー補正がされることになる。
その後、スキュー補正された原稿1は、回転駆動が開始されたプルアウトローラ12及び中間ローラ14によって、原稿幅センサ13、入口センサ15の位置を順次通過して、入口ローラ16の位置に達する。
【0034】
そして、入口ローラ16の位置に達した原稿1は、搬送速度を制御されて、レジストセンサ17の位置に向けて搬送される。
レジストセンサ17が原稿1の先端を検知すると、原稿1の搬送速度がさらに減速されて、原稿1は第1読取部20の手前に設置された読取ローラ19の位置で停止される。その後、読取ローラ19位置に達した原稿1は、第1読取部20に向けて搬送されて、ここで原稿1の第1面の画像情報が光学的に読み取られる。
なお、図示は省略するが、第1読取部20に対向する位置には、シェーディング補正をおこなうための基準面が設置されていて、これにより適宜に第1読取部20のシェーディング補正がされる。
【0035】
そして、第2面の原稿読取をおこなわない場合(片面のみの原稿読取である。)、第1読取部20の位置を通過した原稿1は、搬送速度を制御されて、第1駆動ローラ23及び従動ローラ33、排紙センサ24、第2読取部25及び基準ローラ26、第2駆動ローラ27及び従動ローラ37、排紙駆動ローラ28及び従動ローラ38の位置を順次通過した後に、排紙トレイ29上に排出される。
【0036】
他方、第2面の原稿読取をおこなう場合、第1読取部20の位置を通過した原稿1は、搬送速度を制御されて、第1駆動ローラ23及び従動ローラ33、排紙センサ24を通過した後に、第2読取部25及び基準ローラ26の位置に達する。そして、原稿1は、基準ローラ26によって第2読取部25に密着した状態で、第2読取部25によって原稿1の第2面の画像情報が光学的に読み取られる。
なお、読取部としての第2読取部20に対向するローラ部材としての基準ローラ26の周面は、シェーディング補正をおこなうための基準面として機能して、これにより適宜に第2読取部25のシェーディング補正がされる。
その後、第2読取部25を通過した原稿1は、第2駆動ローラ27及び従動ローラ37、排紙駆動ローラ28及び従動ローラ38の位置を順次通過した後に、排紙トレイ29上に排出される。
こうして、原稿搬送装置における一連の搬送工程及び読取工程が完了する。
【0037】
次に、図3を参照して、基準ローラ26の清掃メンテナンスについて説明する。
図3に示すように、基準ローラ26及び3つの従動ローラ33、37、38は、本体部Aに対して開閉自在に構成された開閉部Gに収納されている。
【0038】
詳しくは、開閉部Gは、軸部36を回動中心として図3中の矢印方向に回動するように構成されている。そして、開口部Gが開いた状態で外部に露呈する基準ローラ26の表面を清掃することになる。基準ローラ26表面は、常に原稿1の第1面に接触するために白色の表面が経時で汚れることになるが、定期的に清掃をおこなうことによってその白色度が確保されて第2読取部25に対する高精度のシェーディング補正が可能になる。
【0039】
ここで、開閉部Gの開閉作業は、次の手順でおこなわれる。
まず、図1の状態にある原稿搬送装置200の本体部Aを、紙面垂直方向奥側に設置されたヒンジ(不図示である。)を中心に回動させる。このときの本体部Aの回動角度は、60〜90°程度である(図3では、回動角度が90°となっている。)。
【0040】
次に、開閉部Gを、軸部36を中心に回動させる(図3の状態である。)。このとき、開閉部Gは、開閉部Gに負荷を与えない状態で、開放角度θが鋭角となるように設定されている。具体的には、開閉部Gには、開閉部Gを開く方向に付勢する板ばね(不図示である。)が設置されている。また、軸部36には、その板ばねの付勢力に対抗する方向への付勢力を開閉部Gに与えて開放角度θを鋭角に規制する規制手段としてのねじりコイルスプリング(不図示である。)が設置されている。
【0041】
ここで、軸部36に設置されたねじりコイルスプリングは、開閉部Gに負荷を与えた状態で開放角度θが鈍角になるように手動開放手段としても機能する。
すなわち、基準ローラ36の清掃をおこなうときに、不図示のフック部を開放することで、開閉部Gはまず鋭角に開放される。そして、さらに開閉部Gを開放したいときには、手動で開閉部Gを鈍角に開放する(図3の破線部で示す状態である。)。
【0042】
これによって、基準ローラ36の清掃作業性は向上することになる。なお、このような構成によって、基準ローラ36の清掃以外にも、開閉部G周辺のメンテナンス性が向上する。例えば、開閉部36に設置された従動ローラ33、37、38のメンテナンスや、第2読取部25のメンテナンスや、開閉部Gでの原稿ジャムに対するメンテナンスも容易におこなうことができる。
【0043】
なお、圧板50は、一部が本体部Aの底部に固設されていて、その他の部分が開閉部Gの底部に固設されている。そして、図3に示すように、圧板50が、上述の開閉部Gの開閉を妨げないように、開閉動作に連動して屈曲するように構成されている。
また、回動中心となる軸部36から第2読取部25までの距離は、基準ローラ26の外径に比べて充分大きくなるように設定されている。これによって、開閉部Gを開放したときに、基準ローラ26を清掃するのに充分な作業空間を確保することができる。
【0044】
また、開閉部Gは、無負荷の状態で、開放角度θが鋭角になるように構成されているので、清掃作業を終えて本体部Aを元の状態(図1及び図2の状態である。)に戻すときに、開閉部Gを手動で閉じる作業を忘れてしまっても開閉部Gは本体部Aの閉鎖動作に追従して閉じることになる。このように、本実施の形態の構成によれば、清掃作業後に作業者のミスによって開閉部G等の部材が破損することを未然に防止することができる。
【0045】
さらに、図3を参照して、本体部A側には、開閉部Gの開閉状態を検出する検出部としてのセンサ45が設置されている。具体的には、センサ45は、原稿1の搬送領域外に設置されていて、可動部と開閉部Gとの当接・不当接によって開閉部Gの開閉状態を検出する。
そして、センサ45に制御部100を介して接続された警告手段としての表示部110では、センサ45が開閉部Gの開いた状態を検出してそのまま本体部Aが閉ざされた状態のときに、警告メッセージが表示される。これにより、清掃作業時の作業者のミスを軽減することができる。なお、警告手段は、表示部110に限定されず、例えば、警告ブザー等の音声による警告手段を用いることもできる。
【0046】
次に、図4及び図5を参照して、原稿搬送装置の駆動部の構成・動作について説明する。
図4に示すように、原稿搬送装置の本体部Aには、駆動部の駆動源となる駆動モータ140が設置されている。駆動モータ140の駆動プーリ141とプーリ153とに係合するように、タイミングベルトB4が巻装されている。さらに、そのプーリ153と各ローラ16、23、27に連結されたプーリ116、123、127とには、タイミングベルトB3が巻装されていて、各ローラ16、23、27に駆動モータ140の駆動力が伝達される。
また、第1駆動ローラ23に連結されたプーリ119と読取ローラ19に連結されたプーリ119とには、タイミングベルトB2が巻装されていて、これにより読取ローラ19は回転駆動される。
【0047】
また、第2駆動ローラ27に連結されたプーリ131と本体部Aに固設されたアイドルギア130のプーリ部とには、タイミングベルトB1が巻装されている。さらに、本体部Aに固設されたアイドルギア130のギア部には、基準ローラ26に連結されたギア126(駆動伝達部)が噛合している。これにより基準ローラ26は、駆動モータ140の駆動力を受けて回転駆動される。
【0048】
ここで、アイドルギア130のギア部と基準ローラ26のギア126との噛合は、開閉部Gの開閉動作に連動して接離可能に構成されている。
すなわち、開閉部Gが閉じた状態では、アイドルギア130とギア126とは噛合して、基準ローラ26に駆動力が伝達される。これに対して、開閉部Gが開いた状態では、ギア126はアイドルギア130と噛合しない位置まで退避することになる。
【0049】
また、図5(図4の開閉部GをC視方向からみた断面図である。)を参照して、駆動伝達部としてのギア126は、開閉部Gの内部に収納されている。
詳しくは、開閉部Gは、長手方向両端に側板70を備えている。そして、開閉部Gの2つの側板70に基準ローラ6が回転可能に支持されるとともに、2つの側板70の間にギア126が配設される。
【0050】
このような構成により、先に説明した図6と比較して、開閉部Gの開放角度を大きく確保するために、本体部Aの筐体75に切欠き部を設ける必要がなくなる。したがって、本体部Aの構造的強度を確保しつつ、開閉部Gの大きな開放角度にともなうメンテナンス性の向上を達成することができる。
【0051】
なお、図5を参照して、開閉部Gは、画像形成装置本体の上面に設置されたコンタクトガラス60上に位置する。コンタクトガラス60の周囲には、コンタクトガラス60面から起立するように原稿セット基準板78が設けられている。
そして、原稿搬送装置200を用いないで原稿の読取をおこなう場合には、原稿セット基準板78に原稿を手動で突き当てて原稿位置を定めた後に、その原稿を圧板50で固定する。
【0052】
ここで、開閉部Gの側板70には、原稿セット基準板78に当接する当接部70aが設けられている。これにより、清掃作業を終えて本体部Aを元の状態(図1及び図2の状態である。)に戻すときに、開閉部Gを手動で閉じる作業を忘れてしまっても、開閉部Gは直接的にコンタクトガラスに当接しないで、原稿セット基準板78に当接することになる。したがって、本実施の形態の構成によれば、清掃作業後に作業者のミスによってコンタクトガラスがダメージを受けることを未然に防止することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態においては、原稿1の第2面の画像情報を個別に読み取る第2読取部25のシェーディング補正に係わる基準ローラ26のメンテナンス性が向上するように、さらには原稿搬送装置200の構造的強度が充分に確保できるように、開閉部Gの開閉機構が構成されている。また、清掃作業後に作業者が開閉部Gを閉め忘れても、部材の破損等の不具合が生じないように構成されている。
【0054】
なお、本発明が上記実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、原稿の第2面の画像情報を個別に読み取る読取部を備えた原稿搬送装置であって、その読取部のシェーディング補正に係わるローラ部材のメンテナンス性が高くて、機能上の不具合が発生しない原稿搬送装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置に設置される原稿搬送装置を示す構成図である。
【図3】図2の原稿搬送装置において開閉部を開いた状態を示す断面図である。
【図4】図2の原稿搬送装置における駆動部を示す斜視図である。
【図5】図2の原稿搬送装置における開閉部を示す断面図である。
【図6】従来の原稿搬送装置における開閉部を示す断面図である。
【符号の説明】
A 本体部、 G 開閉部、 20 第1読取部、
25 第2読取部(読取部)、 26 基準ローラ(ローラ部材)、
33、37、38 従動ローラ、 36 軸部(回動中心)、
45 センサ(検出部)、 50 圧板、 60 コンタクトガラス、
70 側板、 70a 当接部、 75 筐体、
78 原稿セット基準板(起立部)、 126 ギア、
130 アイドルギア、 140 駆動モータ、
200 原稿搬送装置、 B1〜B4 タイミングベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報を読み取る読取部が設置された本体部と、
前記読取部のシェーディング補正をおこなうためのローラ部材が設置されるとともに、前記本体部に対して開閉自在に構成された開閉部と、
前記ローラ部材に駆動力を伝達する駆動伝達部とを備え、
前記駆動伝達部は、前記開閉部の内部に収納されたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記開閉部は、前記本体部に対する開閉動作に係わる回動中心を備え、
前記開閉部を開いた状態で前記ローラ部材の一部又は全部が露呈するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記開閉部は、負荷を与えない状態で該開閉部の開放角度が鋭角になるように当該開放角度を規制する規制手段と、負荷を与えた状態で前記開放角度が鈍角になるように該開閉部を開放する手動開放手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記回動中心と前記読取部との距離が前記ローラ部材の外径よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
コンタクトガラス上に載置される原稿を押圧するとともに、前記開閉部の開閉動作に連動して屈曲可能に形成された圧板を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記開閉部は、原稿を搬送する従動ローラを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
コンタクトガラスの周囲に設けられた起立部と当接して該コンタクトガラスへのダメージを制限する当接部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記起立部は、原稿セット基準板であることを特徴とする請求項7に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
前記開閉部の開閉状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて警告を発する警告手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の原稿搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−277144(P2004−277144A)
【公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−73688(P2003−73688)
【出願日】平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】