説明

反応容器およびそれを利用する反応装置および検出装置および反応容器の作製方法

反応容器101は、生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材102と、検査装置と結合される結合部103と、溶液を吸入できる溶液吸入部104とを有している。検査装置は、反応容器101の結合部103に嵌合し得る嵌合部111と、嵌合部111を通して反応容器101の圧力を制御する圧力制御部112と、嵌合部111を移動可能に支持している二軸ロボット113と、サンプル溶液を収容するサンプル容器114と、洗浄液を収容する洗浄液容器115と、反応容器101を収容し得るヒーター116と、ヒーター116の温度を測定するための測温抵抗体117と、ヒーター116の温度を制御する温度制御部118とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体関連物質の検出に供する反応容器とこの反応容器を用いた反応装置と検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒトを含む多くの生物やイネをはじめとする多くの植物の遺伝子の解析が進められている。最近では、半導体などにDNAを規則正しく配列したDNAチップあるいはDNAマイクロアレイを用いた新規な検査方法が開発されている。この新規な検査方法では、同時に複数の遺伝子を検査することができる。
【0003】
本出願人は、国際公開第03/027673号において、三次元DNAマイクロアレイを用いた、簡便に短時間で遺伝子を検査し得る遺伝子検査装置を提案している。ここでは、反応液は、多孔質のフィルターを坦体とする三次元DNAマイクロアレイの反応容器に入れられ、例えば、シリンジポンプによる加圧・減圧によって繰り返し反応部を通過させられる。これにより短時間の内に再現性良く遺伝子検査を行なうことができる。また、国際公開第03/005013号に多孔質基板を用い、反応液をシリンジまたはピストンで繰り返し反応部を通過させる構造のマイクロアレイが提案されている。
【発明の開示】
【0004】
しかし、国際公開第03/027673号や国際公開第03/005013号に開示されている装置においては、反応液をマイクロアレイの基板の上方からサンプル溶液を反応容器に分注し、上部から反応状態を観察し、下部からシリンジポンプによる加圧・減圧する構成となっている。このため、人手による分注が必要であり、多数の検体を取り扱う場合には多くの時間を要する。
【0005】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、多数の検体を容易に高速に取り扱うことが可能な、生体関連物質に関する技術を提供することである。
【0006】
そのため、本発明の副次的な目的は、そのような生体関連物質に関する技術を提供するための新規な反応容器を提供することである。本発明の副次的な別の目的は、そのような反応容器を利用する反応装置を提供することである。また、本発明の副次的な別の目的は、そのような反応容器を利用する新規な検出装置を提供することである。
【0007】
本発明は、ひとつには、生体関連物質を検出するための反応容器に向けられている。本発明の反応容器は、生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材と、液駆動手段と気密に結合できるとともに検出手段と光が漏れないように結合できる結合部と、溶液を吸入できる溶液吸入部とを有しており、結合部と溶液吸入部は三次元基材を間に挟んで結合されている。
【0008】
本発明は、ひとつには、上記の反応容器を利用する生体関連物質の反応装置に向けられている。本発明の反応装置は、反応容器の結合部に嵌合し得る嵌合部と、サンプル溶液を吸入・排出するための圧力を嵌合部を通して反応容器に伝達する圧力制御手段と、反応容器内のサンプル溶液の温度を調節する温度調節手段とを有している。
【0009】
本発明は、ひとつには、上記の反応容器を利用する生体関連物質の検出装置に向けられている。本発明の検出装置は、反応容器の結合部に嵌合し得る嵌合部と、反応容器内の三次元基材での生体関連物質の反応を検出する検出手段を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態の反応容器と検査装置を概略的に示している。
【図2】図2は、本発明の第二実施形態における検査装置と反応容器の断面図である。
【図3】図3は、本発明の第二実施形態における観察光学系と反応容器の構成を概略的に示している。
【図4】図4は、本発明の第四実施形態における検査装置の構成を概略的に示している斜視図である。
【図5】図5は、図4に示された温調ユニットとそれに接続された温調器とを示している。
【図6】図6は、本発明の第五実施形態の反応容器と検査装置を概略的に示している。
【図7】図7は、本発明の第六実施形態における検査装置と反応容器の断面図である。
【図8】図8は、図7に示された検査装置における圧力変化を示している。
【図9】図9は、本発明の第七実施形態における反応容器の断面図である。
【図10】図10は、本発明の第八実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【図11】図11は、本発明の第十実施形態における検査装置の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示された反応容器搬送ガイドを示しており、反応容器が反応容器搬送ガイドの内部に収容されている状態を示している。
【図13】図13は、図11に示された反応容器搬送ガイドを示しており、反応容器が下降され反応容器搬送ガイドから突出している状態を示している。
【図14】図14は、本発明の第十一実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【図15】図15は、図14に示された嵌合部を下方から見た平面図である。
【図16】図16は、本発明の第十二実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【図17】図17は、本発明の第十三実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【図18】図18は、本発明の第十四実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【図19】図19は、本発明の第十五実施形態における検査装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図20】図20は、図19に示されたターンテーブルの断面を概略的に示している。
【図21】図21は、図19に示されたサンプル採取装置を概略的に示している。
【図22】図22は、図19に示された反応容器供給装置の周辺部断面を概略的に示している。
【図23】図23は、本発明の第十六実施形態による反応容器の作製方法における最初の工程を示している。
【図24】図24は、図23に示された工程に続く次の工程を示している。
【図25】図25は、図24に示された工程に続く次の工程を示している。
【図26】図26は、図25に示された工程に続く次の工程を示している。
【図27】図27は、図26に示された工程に続く次の工程を示している。
【図28】図28は、図27に示された工程に続く次の工程を示している。
【図29】図29は、本発明の第十七実施形態による反応容器の作製方法における最初の工程を示している。
【図30】図30は、図29に示された工程に続く次の工程を示している。
【図31】図31は、図30に示された工程に続く次の工程を示している。
【図32】図32は、本発明の第十八実施形態による反応容器の作製方法における最初の工程を示している。
【図33】図33は、図32に示された工程に続く次の工程を示している。
【図34】図34は、図33に示された工程に続く次の工程を示している。
【図35】図35は、本発明の第十八実施形態による反応容器の作製方法における最初の工程を示している。
【図36】図36は、図35に示された工程によって形成される三次元基材の断面構造を示している。
【図37】図37は、図35に示された工程に続く次の工程を示している。
【図38】図38は、図37に示された工程に続く次の工程を示している。
【図39】図39は、図38に示された工程に続く次の工程を示している。
【図40】図40は、図39に示された工程に続く次の工程を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
第一実施形態
本実施形態は、生体関連物質を検出するための新規な反応容器とそれを利用する生体関連物質の検査装置(反応装置と検出装置)に向けられている。
【0013】
本明細書において、「生体関連物質」とは、動物、植物、微生物などの細胞のみならず、これらに寄生しなければ自ら増殖できないウイルスなどに由来する物質をも含む。生体関連物質は、これらの細胞などより直接抽出・単離された天然形態のもののみならず、遺伝子工学的手法を利用して生産されたもの、化学的に修飾されたものも含む。より具体的には、ホルモン類、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸などが含まれる。
【0014】
また、「プローブ」とは、上記の生体関連物質に対して特異的に結合する物質を意味し、例えば、ホルモンなどのリガンドとその受容体、酵素とその基質、抗原とその抗体、特定配列を有する核酸とこれに相補的な配列を有する核酸などの関係にある、いずれかが含まれる。
【0015】
図1は、本発明の第一実施形態の反応容器と検査装置を概略的に示している。
【0016】
図1に示されるように、反応容器101は、生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材102と、検査装置と結合される結合部103と、溶液を吸入できる溶液吸入部104とを有している。
【0017】
本明細書において、「三次元基材」とは、プローブを固相化する基材のことで、三次元方向に広がりをもち、実質的に液体を通過させることができる構造を有していればどのような材質、構造のものでも使用することができる。例えば、種々のフィルター、多孔質体を使用することが可能である。特に、Siウエハーをエッチングした多孔質体、中空糸、金属酸化膜、ビーズ、キャピラリーが好ましい。
【0018】
三次元基材102は、標的物質を補足するプローブ分子を直径120μmの円状に複数固相化した反応領域を含んでいる。結合部103と溶液吸入部104は三次元基材102を間に挟んで結合されている。結合部103と溶液吸入部104は、非光透過性の材料から構成されている。
【0019】
検査装置は、反応容器101の結合部103に嵌合し得る嵌合部111と、嵌合部111を通して反応容器101の圧力を制御する圧力制御部112と、嵌合部111を移動可能に支持している二軸ロボット113とを有している。圧力制御部112は、圧力を発生する手段と圧力を検知する手段とを有していることが好ましい。
【0020】
検査装置は、また、サンプル溶液を収容するサンプル容器114と、洗浄液を収容する洗浄液容器115とを有している。サンプル容器114は例えばマイクロタイタープレートで構成される。洗浄液容器115は例えばマイクロタイタープレートやボトルで構成される。
【0021】
反応容器101の結合部103は開口端を有しており、この結合部103の開口端に嵌合部111が嵌合されることにより、反応容器101が嵌合部111に取り外し可能に装着される。嵌合部111に装着された反応容器101は、圧力制御部112と気密に結合される。二軸ロボット113は、嵌合部111に装着された反応容器101を移動し得る。
【0022】
圧力制御部112は、嵌合部111に装着された反応容器101に圧力を伝達することにより、溶液吸入部104を通して、サンプル容器114や洗浄液容器115からサンプル溶液や洗浄液を反応容器101の中に吸入したり、反応容器101の中のサンプル溶液や洗浄液を排出したりする。
【0023】
検査装置は、さらに、ハイブリダイズ反応の際のサンプル温度や洗浄時の洗浄液温度を制御するためのヒーター116と、ヒーター116の温度を測定するための測温抵抗体117と、測温抵抗体117で得られる情報に基づいてヒーター116の温度を制御する温度制御部118とを有している。
【0024】
ヒーター116は、反応容器101を収容するための空間を有している。嵌合部111に装着された反応容器101は、必要に応じて、二軸ロボット113により、ヒーター116のこの空間の中に移動される。
【0025】
ヒーター116と測温抵抗体117と温度制御部118は、反応容器101内の溶液の温度を調節する温度調節手段を構成している。また、この温度調節手段は、嵌合部111と圧力制御部112と共働して、ハイブリダイズ反応を促進する反応装置を構成している。
【0026】
検査装置は、さらに、反応容器101内の三次元基材102を光学的に観察するための観察光学系120を有している。観察光学系120は、例えば、蛍光観察光学系である。観察光学系120は、可視波長の光を発する光源122と、光源122から発生した光からサンプル分子に結合させた蛍光物質を励起するための波長を選択的に透過する励起フィルター123と、励起フィルター123を透過した光を反射するとともに蛍光物質から発生した蛍光を選択的に透過するダイクロイックミラー124と、蛍光物質から発生してダイクロイックミラー124を透過した蛍光を選択的に透過する蛍光フィルター125とを有している。
【0027】
観察光学系120は、さらに、三次元基材102上のプローブ分子へのサンプル分子の捕捉を光学的に検出するための対物レンズ126と、光源122からの光を励起フィルター123とダイクロイックミラー124を通して三次元基材102に導く照明光学系127と、対物レンズ126で取り込んだ三次元基材102からの光を結像するための結像光学系128と、結像光学系128で結像される光学像を電気信号に変換するCCDカメラ129とを有している。
【0028】
結合部103は、三次元基材102から離れるにつれて径が広がるテーパー状の内面を有している。結合部103は、嵌合部111が挿入される開口端を有し、その開口端と三次元基材102との間のテーパー角度は、対物レンズ126のNAよりも大きい。これにより、三次元基材102上の反応領域からの光は、けられることなく集光され得る。
【0029】
以下、本実施形態の検査装置の動作について通常の検査工程に従って説明する。
【0030】
(1)準備
生物試料から核酸を抽出し、FITCなどの蛍光物質で標識した後、バッファ溶液に溶解する。
【0031】
溶解したサンプル溶液をサンプル容器114に分注した上、サンプル容器セット位置に設置する。
【0032】
合わせて洗浄液を洗浄液容器115に分注して、洗浄液容器セット位置に設置する。
【0033】
反応容器101を所定位置にセットする。
【0034】
(2)サンプル溶液の吸引
反応容器101を嵌合部111に装着する。
【0035】
圧力制御部112により嵌合部111を介して反応容器101の内部を減圧してサンプル容器114からサンプル溶液を吸引する。反応容器の溶液吸入部104は、図に示したように、固相化担体より下の部分がテーパー状になっていると、マイクロタイタープレートなどから特にサンプル溶液を吸引する時に、溶液の残留量が少なくなるので好ましい。また、サンプル溶液を吸引後、エア層を吸引すると、温度制御部への移動時にサンプル溶液が反応容器から垂れることがなく、さらに、サンプル溶液を三次元基材の上下に移動させるときにもサンプル溶液が反応容器から垂れることがないので好ましい。
【0036】
(3)温度制御部(ヒーター)への反応容器の移送
ヒーター116の凹部に反応容器101を密着するように取り付ける。
【0037】
(4)ハイブリダイズ
ヒーター116を所望の温度に制御する。
【0038】
圧力制御部112による反応容器101の内部の加圧と減圧を繰り返し行なって、三次元基材102の上下にサンプル溶液を動かしてプローブとサンプル溶液に含まれている核酸をハイブリダイズさせる。
【0039】
(5)洗浄
ハイブリダイゼーション反応が終了した後、圧力制御部112により嵌合部111を介して反応容器101の内部を加圧してサンプル溶液をサンプル容器114に廃棄する。
【0040】
圧力制御部112により嵌合部111を介して反応容器101の内部を減圧して洗浄液を洗浄液容器115から吸引する。
【0041】
圧力制御部112による反応容器101の内部の加圧と減圧を繰り返し行なって、洗浄液で三次元基材102を洗浄し、プローブ分子に結合しなかったサンプル溶液に含まれている核酸を洗い流す。
【0042】
(6)結合解除
反応容器101を嵌合部111から外して三次元基材102を露出させる。
【0043】
(7)反応結果読取
反応容器101の上方に観察光学系120を配置する。励起光を照射して、三次元基材102上のプローブスポットからの光をCCDカメラ129によって電子画像データとして撮影し、画像やプローブスポットの光量のデータを保存する。
【0044】
(8)検査結果
この保存されたデータを解析し、サンプル溶液に含まれている核酸の発現状態や変異、多型などを検査する。
【0045】
本実施形態によれば、ひとつの圧力制御部112によって、サンプル溶液および洗浄液などの生体関連物質の検査に必要な溶液を各容器から吸引することができるとともに、サンプル溶液と多孔質体を効率良く接触させるためにサンプル溶液を移動させることができる。つまり、サンプル溶液や洗浄液の分注機構とサンプル溶液の駆動機構とが共通化されている。このため、装置構成が簡素化されている。
【0046】
本実施形態において、サンプル溶液や洗浄液などの生体関連物質の検査に必要な溶液をマイクロタイタープレートに入れる構成であるとよい。つまり、サンプル容器114と洗浄液容器115とがマイクロタイタープレートで構成されているとよい。その場合、高速に多数のサンプルの検査を行なうことが可能となる。
【0047】
反応容器101は、実質的に光が透過しないので、蛍光や化学発光などの光による検査を行なう場合は、遮光手段を特別に準備する必要がなくなり好ましい。特に、蛍光を被検物質に標識して検出する場合は、プローブとの反応中も遮光する必要があるので、反応容器101に遮光機能があることは特に好ましい。材質は、実質的に遮光できれば特に制限がないが、取り扱う溶液に対する化学的な耐性と耐熱性とから、結晶性の樹脂が好ましい。結晶性樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド系合成樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンなどがあげられる。これらは、安価で、容易にカーボン粒子を含有させることが可能であり、容易に成型可能であるので好ましい。特に、カーボン粒子を含有したポリプロピレンとポリアセタールは十分な遮光機能を付与することが可能でありさらに好ましい。さらに、ポリアセタールは成型する型からの転写性が高く、寸法精度が高い反応容器を作製することができるので特に好ましい。
【0048】
さらに、反応容器101の結合部103の内面はテーパーを有しており、結合部103の開口端と三次元基材102の間のテーパー角度が、対物レンズ126のNAよりも大きくなっていると、プローブの担体である三次元基材102に形成されているスポットからのシグナルをすべて受光できるので好ましい。光学系が大きくなる過ぎることなく、効率よくスポットからのシグナルをすべて受光できるには、観察光学系120のNAと反応容器101の結合部103の内面のテーパー角が実質的に等しいことが特に好ましい。
【0049】
このようなテーパーを有する反応容器101は、樹脂を用いると成型により大量に生産することが可能であり、樹脂の厚さは0.1〜0.2mm程度以下でも十分な強度を有する容器を作製できるので、熱容量が小さくなり、温度の応答性が高くなるので精度良く生体関連物質の検査を行なうことができる。
【0050】
反応容器101の三次元基材102を配置する部分の直径は1〜6mmであることが好ましい。臨床検査においては、検査項目数よりスポット数が10〜250程度であると考えられる。例えば、一塩基多型を30個所程度検査を行なう場合、一個所の一塩基多型に対して8種類のプローブが必要になる場合があるので、240種類のプローブが必要となる。従って、このプローブを三次元基材に固相化するとき、三次元基材を配置する部分の検査容器の直径が1〜6mmであれば、10〜250程度のスポットを効率よく配置することが可能となるので好ましい。
【0051】
また、被検物質である生体関連物質は、血液や組織からサンプリングして抽出を行なう。従って、サンプリングできる量が限られている。できるだけ少量で検査できることが望まれるが、サンプル溶液の体積が少ないと、反応段階で反応に適切な30℃〜60℃程度の所定の温度にすることが多いため、サンプル溶液の蒸発が検査結果に影響を与える可能性がある。さらに、再現性良く生体関連物質の反応および検出を行なうためには、溶液の移動や温度の保持、溶液の蒸発を考慮すると、ある程度の容量が必要であり、10〜100μLであると、再現性良く生体関連物質の反応および検出を行なうことができる。そのため、最終的に調整が終了したサンプル溶液の体積は10〜100μLであることが好ましい。このサンプル溶液を収容し、十分に三次元基材102とサンプル溶液とを接触させ、プローブとの反応を効率よく行なうには、反応容器101の実質的な容量が10〜100μLであると好ましい。
【0052】
サンプル溶液がマイクロタイタープレートに収容されていると、非常に短時間で反応や検出を行なうことが可能となる。ハイスループットでの検査を行なうことができる。
【0053】
第二実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図2は、本発明の第二実施形態における検査装置と反応容器の断面図である。図2において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0054】
本実施形態における嵌合部130は、三次元基材102を光学的に観察するための観察光学系を含んでいる。つまり、嵌合部130は、三次元基材102の光学像を形成するための結像光学系131と、結像光学系131によって形成された三次元基材102の光学像を電気信号に変換するCCD132と、サンプル分子に結合させた蛍光分子を励起することができる波長の光を発するLED133とを備えている。
【0055】
嵌合部130は、特に図示されていないが、第一実施形態の嵌合部111と同様に、圧力制御部112(図1参照)と連結されている。従って、圧力制御部112によって反応容器101の内部を反応容器101加圧したり減圧したりすることも可能である。
【0056】
本実施形態の検査装置では、嵌合部130の中に観察光学系が設けられているため、反応容器101を嵌合部130から取り外すことなく、反応容器101内の三次元基材102を光学的に観察することができる。
【0057】
さらに、嵌合部130は、第一実施形態の嵌合部111と同様に、圧力制御部112からの圧力を反応容器101に伝達し得るため、サンプル溶液を駆動させながら、反応状態の変化を観察することも可能である。プローブごとに最適な条件で測定を行なうために、ある条件で測定を行なった後に、別の条件で測定を行なう。例えば、あるプローブは40℃で測定を行ない、別のプローブでは60℃で測定を行なう場合など、温度を変更したり、反応条件を変更したりしながら測定を行なう場合に特に好ましい。また、経時的な変化を測定して、適切な反応時間を求めることも可能である。
【0058】
第三実施形態
本実施形態は、第一実施形態の観察光学系に代えて適用可能な別の観察光学系に向けられている。図3は、本発明の第二実施形態における観察光学系と反応容器の構成を概略的に示している。図2において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0059】
本実施形態の観察光学系120Aは、第一実施形態の観察光学系120の光学要素と機能的に同様の光学要素を含んでいる。さらに、観察光学系120Aは、反応容器101の結合部103に嵌合し得るスリーブ160を有している。スリーブ160は、非光透過性の材料から構成されている。スリーブ160の中には対物レンズ126が収容され保持されている。
【0060】
このため、観察光学系120Aの光学要素はいずれも、機能的には第一実施形態の観察光学系120の光学要素と同様であるが、その大きさは第一実施形態の観察光学系120の光学要素に比べて非常に小さい。
【0061】
本実施形態では、反応容器101内の三次元基材102の観察は、対物レンズ126を収容しているスリーブ160が反応容器101の結合部103に嵌合された状態で行なわれる。
【0062】
本実施形態では、対物レンズ126を収容しているスリーブ160が反応容器101の結合部103に嵌合されるため、三次元基材102と対物レンズ126の間の空間が良好に光学的に遮断される。このため、観察光学系120Aへの外乱光の入射が良好に防止される。従って、測定精度が向上する。
【0063】
第四実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図4は、本発明の第四実施形態における検査装置の構成を概略的に示している斜視図である。図5は、図4に示された温調ユニットとそれに接続された温調器とを示している。図4と図5において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0064】
本実施形態の検査装置は、図4に示されるように、反応容器101を収容するためのラック141と、サンプル溶液や洗浄液を収容するためのマイクロプレート142と、ラック141を位置決めして載置できるラック収容部143とマイクロプレート142を載置するマイクロプレート収容部144を有するベース145と、反応容器101に嵌合し得る第一実施形態と同様の嵌合部111と、嵌合部111を移動可能に支持しているXYZロボット146と、反応容器101内の溶液の温度を調節するための温調ユニット147とを有している。
【0065】
ラック141は、少なくとも反応容器101を収容し得ればよいが、より好ましくは、複数の反応容器101を収容し得るとよい。
【0066】
嵌合部111は、特に図示されていないが、第一実施形態の嵌合部111と同様に、圧力制御部112(図1参照)と連結されている。また、図4には、検査装置がただ一つの嵌合部111を有しているように描かれているが、より好ましくは、複数の反応容器101を同時に操作し得るように、検査装置は複数の嵌合部111を有していてもよい。
【0067】
温調ユニット147は、図5に示されるように、反応容器101を実質的に接触して収容し得る凹部150を有している。凹部150は、反応容器101内の溶液の移動を妨げないように下部端部の穴を介して外部とつながっている。また、温調ユニット147は、温度調節のためのペルチェ素子148と、温度検出のための熱電対149とを有している。ペルチェ素子148と熱電対149は共に、温調ユニット147の温度を制御する温調器151と電気的に接続されている。温調器151は、熱電対149で得られる情報に基づいて、ペルチェ素子148の駆動を制御する。
【0068】
さらに、本実施形態の検査装置は、図4に示されるように、第三実施形態と同様の観察光学系120Aと、これを移動可能に支持しているXYZロボット156とを有している。図4には、検査装置がただ一つの観察光学系120Aを有しているように描かれているが、複数の反応容器101を同時に観察し得るように、検査装置は複数の観察光学系120Aを有していてもよい。
【0069】
以下、本実施形態の検査装置の動作について通常の検査工程に従って説明する。
【0070】
(1)ラック141に検査対象の反応容器101を配置する。
【0071】
(2)準備したサンプル溶液と洗浄液とをマイクロプレート142に分注する。
【0072】
(3)反応容器101を載置したラック141をラック収容部143に設置する。
【0073】
(4)溶液を分注したマイクロプレート142をマイクロプレート収容部144に設置する。
【0074】
(5)XYZロボット146によりラック141に載置された目的の反応容器101に嵌合部111を嵌合させる。
【0075】
(6)XYZロボット146により反応容器101が装着された嵌合部111を移動させて、マイクロプレート142の決められたウェルから溶液を吸入できる位置に反応容器101を位置決めする。
【0076】
(7)圧力制御部112(図1参照)により反応容器101内を減圧してマイクロプレート142のウェルからサンプル溶液を吸入する。
【0077】
(8)XYZロボット146により反応容器101が装着された嵌合部111を移動させて、反応容器101を温調ユニット147の凹部150の中に配置する。温調器151により温調ユニット147の温度をハイブリダイズ反応に適した温度に調節する。
【0078】
(9)圧力制御部112により反応容器101内の加圧・減圧を繰り返し行なって、溶液を三次元基材102を介して上下に駆動し、サンプルと反応領域のプローブとハイブリダイズ反応させる。
【0079】
(10)反応が終了した後、XYZロボット146により反応容器101が装着された嵌合部111を移動させて、マイクロプレート142の元のウェルに反応容器101を位置決めし、圧力制御部112により反応容器101内を加圧して、元のウェルにサンプル溶液を排出する。
【0080】
(11)XYZロボット146により、マイクロプレート142の洗浄液の分注されたウェルに反応容器101を位置決めする。
【0081】
(12)反応容器101内を減圧して、洗浄液を反応容器101に吸引する。
【0082】
(13)反応容器101内の加圧・減圧を繰り返し行なって、適当な回数だけ洗浄液を駆動する。
【0083】
(14)反応容器101内を加圧して、元のウェルに洗浄液を排出する。
【0084】
(15)XYZロボット146により、反応の終了した反応容器101をラック141に戻す。
【0085】
(16)(5)から(15)までの作業をラック141に収容された検査対象の反応容器101のすべてに対して繰り返し実行する。
【0086】
(17)XYZロボット156により観察光学系120Aを移動させて、処理済みの反応容器101に観察光学系120Aを上方から嵌合させ、三次元基材102上の反応領域の蛍光強度を検出する。
【0087】
(18)(17)の作業を検査対象の処理済みの反応容器101のすべてに対して繰り返し実行する。(17)の作業は、好ましくは、一つの反応容器101に対して(5)から(15)までの作業が終了するたびに行なうとよい。
【0088】
本実施形態によれば、ハイブリダイズ反応と検出を別々に行ない、シーケンシャルに処理を行なうことができるので、多量のサンプルに関する実験や検出を高速に行なうことができる。
【0089】
第五実施形態
本実施形態は、生体関連物質を検出するための新規な反応容器とそれを利用する生体関連物質の検査装置に向けられている。
【0090】
図6は、本発明の第五実施形態の反応容器と検査装置を概略的に示している。
【0091】
図6に示されるように、反応容器171は、生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材172と、検査装置と結合される結合部173と、溶液を吸入できる溶液吸入部174とを有している。三次元基材172は、第一実施形態の三次元基材102と同様の部材である。結合部173と溶液吸入部174は共にカーボン粒子を含有した樹脂材料、例えば、カーボン含有ポリプロピレンで作られている。このため、反応容器171の筐体(すなわち結合部173と溶液吸入部174)は導電性を有している。
【0092】
検査装置は、反応容器171が装着される嵌合部181と、嵌合部181を移動させるためのXYZロボットとを有している。嵌合部181は導電性であり、電圧測定用電極を有している。XYZロボットは、嵌合部181を支持しているアーム182と、アーム182をZ方向に移動可能に支持している直動ガイド183と、アーム182に係合しているボールネジ186と、ボールネジ186を駆動するための制御用モーター185とを含んでいる。ボールネジ186は、制御用モーター185の回転運動をアーム182のZ方向の直線運動に変換する。
【0093】
検査装置はさらに、サンプル溶液や洗浄液などの検査に必要な溶液を収容する容器191と、容器191を収容するラック193とを有している。容器191とラック193は共に導電性であり、ラック193は電圧測定用電極を有している。
【0094】
検査装置はさらに、嵌合部181とラック193の間に交流電圧を印加するための交流電源201と、交流電源201の両端の電圧を測定するための電圧計201と、嵌合部181とラック193の間に流れる電流を測定するための電流計205と、制御用モーター185を駆動するモータードライバー204と、モータードライバー204を制御するための制御装置203とを有している。制御装置203は、電圧計201で測定される電圧値と電流計205で測定される電流値とからインピーダンスを求め、これに基づいてモータードライバー204をフィードバック制御する。
【0095】
以下、本実施形態の検査装置の動作について説明する。続く説明では容器191にサンプル溶液が収容されているものとする。
【0096】
嵌合部181とラック193の間のインピーダンスを測定しながら、反応容器171を容器191に収容されているサンプル溶液の液面に向かって下降させていく。
【0097】
インピーダンスは、反応容器171がサンプル溶液の液面に近づくにつれて低下する。インピーダンスがしきい値より小さくなったら反応容器171の下降速度を小さくする。
【0098】
さらに下降を続けて、反応容器171がサンプル溶液に接触するとインピーダンスが急激に変化するので、ここを液面位置とする。反応容器171は、所定量のサンプル溶液を吸引できるだけの距離を、この液面位置からさらに降下、停止させられる。この位置に達した後、図示しない圧力制御部によって、サンプル溶液の吸引を開始する。インピーダンスをモニターしておけば、吸引が確実に行なわれていることが分かる。インピーダンスが急激に変化するような場合は、吸引に不良があることになるので、例えば、さらに、反応容器を降下させて吸引を継続することができる。
【0099】
別の方法として、反応容器171がサンプル溶液に接触するとインピーダンスが急激に変化するので、ここを液面位置とする。反応容器171は、所定量の距離を、この液面からさらに降下、停止させられる。この位置に達した後、図示しない圧力制御部によって、サンプル溶液の吸引を開始する。さらにサンプル溶液を吸引しながら、吸引体積と反応容器の容量から計算することができる液面移動量に従って、反応容器171を降下させていく。このとき、インピーダンスを測定し、液面に反応容器が接触していることを確認する。
【0100】
本実施形態では、液面を検知することにより反応容器171が液面に進入する速度を適切に制御することができる。これにより、吸引対象の溶液の飛散を防止することができる。さらに、液面を確認しながら吸引することができるので、確実に溶液を吸引することができる。
【0101】
結合部173と溶液吸入部174が黒色のカーボンを含有しているので、遮光することができる。
【0102】
第六実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図7は、本発明の第六実施形態における検査装置と反応容器の断面図である。図7において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0103】
検査装置は、図7の左側に示されるように、反応容器101が装着される嵌合部211と、負の圧力を発生する圧力制御部213と、嵌合部211と圧力制御部213とを流体的に接続している管路212と、管路212に設けられた圧力制御弁214と、圧力制御弁214と嵌合部211の間の管路212の圧力を測定する圧力測定手段215と、圧力測定手段215で得られる情報に基づいて圧力制御弁214を制御する圧力制御装置216とを有している。
【0104】
圧力制御部213により管路212に負の圧力を与え、サンプル容器114からサンプル溶液を吸引しながら圧力計で管路212の圧力変化を測定する。図7の中央に示されるようにサンプル溶液が三次元基材102に接触すると、図8に示されるように圧力がさらに低下を始めるので、サンプル溶液が三次元基材102に接触するまで吸引を続ける。三次元基材102にサンプル溶液が接触したら、圧力制御弁214により管路212を大気圧に開放するとともに、図7の右側に示されるように反応容器101の吸引口をプラグ217で密閉する。さらに負の圧力をかけるとサンプル溶液は三次元基材102を通過して三次元基材102の上部に移動する。このとき三次元基材102の下部の圧力は負圧になっているので、次いで、圧力制御弁214により管路212を大気開放することにより、三次元基材102の下にサンプル液が移動する。
【0105】
本実施形態によれば、負圧源だけからなる圧力制御部213によってサンプル溶液を駆動(吸引と移動)できるので、装置構成が簡略化できる。また、定常状態においては、三次元基材102の両側の圧力差がないので、三次元基材102が割れにくい。
【0106】
第七実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器に代えて適用可能な別の反応容器に向けられている。図9は、本発明の第七実施形態における反応容器の断面図である。
【0107】
図9に示されるように、反応容器221は、生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材222と、検査装置の嵌合部111に結合される結合部224と、溶液を吸入できる溶液吸入部223と、溶液吸入部223の内部に設けられたごみ除去のためのフィルター225とを有している。
【0108】
三次元基材222は第一実施形態の三次元基材102と同等物であり、また結合部224と223もそれぞれ第一実施形態の結合部103と溶液吸入部104と同等物であり、それらの詳しい説明は省略する。フィルター225は通過する溶液をろ過する働きを有している。
【0109】
反応容器221に溶液が吸引されると、溶液はフィルター225を通過することによりろ過される。
【0110】
本実施形態では、反応容器221がフィルター225を備えているので、使用前にごみ除去のために溶液をろ過する必要がない。
【0111】
フィルター225は、好ましくは三次元基材222と同程度の径の孔を有しているとよく、より好ましくは同じ材料で構成されているとよい。その場合、三次元基材222へのごみの付着がより好適に防止される。
【0112】
第八実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図10は、本発明の第八実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。図10において、既出の参照符号で示された部材は、その参照符号で示された既に説明した部材と実質的に同じであり、その詳しい説明は省略する。
【0113】
図10に示されるように、検査装置は、反応容器101が装着される嵌合部231と、正の圧力と負の圧力を発生するための圧力制御部234と、嵌合部231と圧力制御部234を流体的に接続している圧力伝達用管路232と、圧力伝達用管路232に設けられたバルブ233と、洗浄液を収容するための洗浄液タンク236と、洗浄液タンク236を加圧するためのポンプ239と、洗浄液タンク236とポンプ239を流体的に接続しているチューブ238と、嵌合部231と洗浄液タンク236を流体的に接続している洗浄液供給用管路235と、洗浄液供給用管路235に設けられたバルブ237とを有している。
【0114】
サンプル溶液を収容したサンプル容器114を所定の位置にセットする。バルブ237を閉じた状態で反応容器101を嵌合部231に装着する。図示しない直動機構により反応容器101をサンプル容器114に向けて降下させて、反応容器101の先端をサンプル容器114に収容した溶液を吸引できる位置に停止させる。圧力制御部234から圧力伝達用管路232を介して負の圧力を伝達し、所要量の溶液を反応容器101に吸引する。図示しない直動機構により反応容器101をサンプル容器114から引き上げ、溶液面から離す。圧力制御部234により正の圧力と負の圧力を交互に作用させて所定の回数だけサンプル溶液を三次元基材102の上下に移動させる。
【0115】
圧力制御部234により正の圧力をかけてサンプル溶液を三次元基材102の下に移動させる。バルブ233を開いて大気圧開放した後、バルブ237を開き、ポンプ239により洗浄液タンク236を加圧して、三次元基材102の上方から洗浄液タンク236の洗浄液を供給する。バルブ237を閉じ、圧力制御部234により反応容器101に正の圧力をかけて、洗浄液ごとサンプル溶液を三次元基材102の下方に移動させる。洗浄を繰り返す場合は、溶液排出と洗浄液供給を交互に実行する。
【0116】
第一実施形態で示したように、ハイブリダイズ反応に使用されなかった核酸を洗い流すためには、サンプル溶液を反応容器から排出する必要があるが、使用する各種溶液(サンプル溶液や洗浄液)の三次元基材に対する表面張力が大きい場合には、嵌合部から正の圧力を与えて溶液を排出しようとした場合、三次元基材の端面に溶液の液面が一致したところで、表面張力によって溶液が移動しなくなってしまう。このため、表面張力が大きい場合には、上方からの圧力によってサンプル溶液を反応容器から排出できないので、核酸を洗い流すことができなくなる。しかし、本実施形態によれば、洗浄液を上方から供給するようにしているため、順次サンプル溶液を希釈しながら洗浄することができるようになる。
【0117】
第九実施形態
本実施形態は、第一実施形態における反応装置の駆動に向けられている。従って、装置構成は第一実施形態と同じである。
【0118】
第一実施形態では、検査装置を構成する反応装置と検出装置は別体で構成されている。このため、反応終了後に反応容器101を反応装置の嵌合部111から取り外す必要がある。
【0119】
本実施形態では、反応容器101を反応装置の嵌合部111から取り外す際、圧力制御部112により三次元基材102の上部の圧力を正の圧力にする。すなわち、大気圧に開放されるまでの体積変化をV1とすると、P1=(V0+V1)/V1*P0なる圧力以上にする。その後、反応容器101を取り外し、検出装置により撮像を行なう。
【0120】
本実施形態によれば、反応容器101を取り外す際に、溶液が三次元基材102の上部に上がってこない。このため、検出装置による撮像の際に反応容器101の下部に溶液が保持されたまま撮影されるので、液面による結像状態の擾乱がなくなる。その結果、信号を少ないノイズで取得できる。
【0121】
第十実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図11は、本発明の第十実施形態における検査装置の斜視図である。図12と図13は、図11に示された反応容器搬送ガイドを示しており、図12は反応容器が反応容器搬送ガイドの内部に収容されている状態を示し、図13は反応容器が下降され反応容器搬送ガイドから突出している状態を示している。図12と図13において、既出の参照符号で示された部材は、その参照符号で示された既に説明した部材と実質的に同じであり、その詳しい説明は省略する。
【0122】
図11に示されるように、検査装置は、複数の反応容器101を収容し得る反応容器ラック242と、反応容器101を保持し得る反応容器搬送ガイド247と、反応容器ラック242と反応容器搬送ガイド247を移動させるためのXYZロボット241と、サンプル容器114と洗浄液容器115を収容した容器ラック244と、反応容器101内の三次元基材102の反応を検出する検出装置246とを備えている。
【0123】
図12と図13に示されるように、反応容器搬送ガイド247は、反応容器101が装着される嵌合部251と、嵌合部251を支持しているアーム182と、アーム182をZ方向に移動可能に支持している直動ガイド183と、アーム182に係合しているボールネジ186と、ボールネジ186を駆動するための制御用モーター185とを有している。
【0124】
さらに反応容器搬送ガイド247は、アーム182に取り付けられたラック261と、ラック261に係合しているピニオン262と、ピニオン262に係合しているラック263と、ラック263の下端部にヒンジ264を介して連結されている溶液受け265と、溶液受け265を案内するためのピン266とを有している。
【0125】
嵌合部251に装着された反応容器101は、第五実施形態と同様に、制御用モーター185によって上下に移動される。嵌合部251の上下動に連動して、嵌合部251を支持しているアーム182に取り付けられたラック261も上下に移動する。ラック261の上下動に連動して、ラック263はラック261と逆方向に上下動する。さらにラック263の上下動に連動して、溶液受け265は、ピン266に案内されながら、ヒンジ264との連結部が上下に移動する。
【0126】
このため、図12に示されるように、反応容器101が反応容器搬送ガイド247の内部に収容されている状態では、溶液受け265は反応容器101の下方に位置している。この状態では、反応容器101から垂れた溶液は、溶液受け265に収容される。
【0127】
反応容器101が下降されるにつれて、ラック261は下降し、反対にラック263は上昇し、溶液受け265は傾きながら上方に移動する。そして、図13に示されるように、反応容器101が下降され反応容器搬送ガイド247から下方に突出している状態では、溶液受け265は反応容器101の側方に完全に退避される。
【0128】
溶液受け265は、図13に示される状態において、収容した溶液がこぼれ落ちない形状をしているとよい。溶液受け265は、好ましくは、収容した溶液を吸収して保持しておく吸収部材を有しているとよい。また溶液受け265は容易に交換可能である。
【0129】
本実施形態によれば、反応容器101から垂れた溶液が溶液受け265に収容されるので、検査装置が溶液で汚されない。
【0130】
第十一実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図14は、本発明の第十一実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。図15は、図14に示された嵌合部を下方から見た平面図である。
【0131】
本実施形態は基本的に第二実施形態に似ており、反応容器101が装着される嵌合部271が、三次元基材102を光学的に観察するための観察光学系を含んでいる。つまり嵌合部271は、図14と図15に示されるように、三次元基材102の光学像を形成するための結像レンズ272と、結像レンズ272によって形成された三次元基材102の光学像を電気信号に変換するCCD273とを有している。また検査装置は、図14に示されるように、CCD273からの信号を取り込みデジタルデータに変換する画像取り込み装置274を有している。さらに嵌合部271、図15に示されるように、三次元基材102に残る蛍光分子を励起する光を発する照明光学系276を備えている。
【0132】
さらに検査装置は、図14に示されるように、正の圧力と負の圧力を発生するための圧力制御部279と、嵌合部271と圧力制御部279を流体的に接続している圧力伝達用管路278と、圧力伝達用管路278に設けられたバルブ280と、洗浄液を収容するための洗浄液タンク282と、洗浄液タンク282を加圧するためのポンプ285と、洗浄液タンク282とポンプ285を流体的に接続しているチューブ284と、嵌合部271と洗浄液タンク282を流体的に接続している洗浄液供給用管路281と、洗浄液供給用管路281に設けられたバルブ283と、洗浄液供給用管路281の端部に設けられた洗浄ノズル286とを有している。
【0133】
嵌合部271に反応容器101を装着する。圧力制御部279により負の圧力を発生させ、バルブ280を開いて、反応容器101にサンプル溶液を図示しないサンプル容器から吸引する。圧力制御部279により正の圧力と負の圧力を交互に作用させてサンプル溶液を三次元基材102の上下に駆動する。溶液駆動終了後、バルブ280を開いて反応容器101を大気圧に開放する。
【0134】
続いて、嵌合部271の下端部を洗浄するため、バルブ283を開き、洗浄液ポンプ285により洗浄液タンク282を加圧して、洗浄液タンク282から洗浄液を嵌合部271に送る。嵌合部271に送られた洗浄液は、洗浄ノズル286によって嵌合部271の下端部に噴射され、嵌合部271の下端部を洗浄する。
【0135】
洗浄後、バルブ283を閉じる。さらに、バルブ280を開き、圧力制御部279により正の圧力を発生させて、洗浄液を三次元基材102の下に移動させる。その後、CCD273によって画像を取得する。
【0136】
本実施形態によれば、結像レンズ272が曇ったり汚れたりしても、結像レンズ272を洗浄することにより安定して撮影することができる。
【0137】
第十二実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図16は、本発明の第十二実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。
【0138】
図16に示されるように、検査装置は、反応容器101が装着される嵌合部111と、反応容器101の温度を制御するためのヒーター291と、ヒーター291の温度を測定するための温度センサー292と、温度センサー292で得られる情報に基づいてヒーター291の温度を制御する温度制御装置293とを有している。
【0139】
本実施形態では、反応容器101の筐体すなわち結合部103と溶液吸入部104はPPで構成され、その線膨張係数は約6×10−5である。また嵌合部111は高密度PEで構成され、その線膨張係数は約1×10−4である。つまり、嵌合部111の線膨張係数が反応容器101の結合部103のそれよりも大きい。
【0140】
ヒーター291によって反応容器101を加温した際、嵌合部111もまた加温される。加温により反応容器101の結合部103が膨張し、その開口端の径が広がる。しかし、嵌合部111の線膨張係数は結合部103のそれよりも大きいので、嵌合部111は開口端の拡張よりも大きく膨張する。
【0141】
従って、本実施形態によれば、反応容器101を温調する間、反応容器101と嵌合部111の間は気密に保持される。
【0142】
第十三実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図17は、本発明の第十三実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。図17において、既出の参照符号で示された部材は、その参照符号で示された既に説明した部材と実質的に同じであり、その詳しい説明は省略する。
【0143】
図17に示されるように、検査装置は、ヒーター291と温度センサー292に加えて、反応容器101が装着される嵌合部301と、嵌合部301の温度を制御するためのヒーター302と、嵌合部301の温度を測定するための温度センサー303と、温度センサー292で得られる情報に基づいてヒーター291の温度を制御するとともに温度センサー303で得られる情報に基づいてヒーター303の温度を制御する温度制御装置304とを有している。
【0144】
本実施形態では、反応容器101の筐体すなわち結合部103と溶液吸入部104は第十二実施形態と同様にPPで構成され、その線膨張係数は約6×10−5である。嵌合部301はステンレスで構成され、その線膨張係数は約7×10−6である。従って、嵌合部301の線膨張係数は反応容器101の結合部103のそれよりも小さい。
【0145】
本実施形態では、温度制御装置304により嵌合部301の温度を反応容器101の温度より常に高く制御する。好ましくは、嵌合部301と反応容器101の結合部103との熱膨張量が同程度になるように両者の温度をする。例えば、遺伝子のハイブリダイズ反応に最適な温度Tに制御するため、温度制御装置304により反応容器101の温度をT℃に制御する。また温度制御装置304により嵌合部301の温度を反応容器101の温度より10℃高い温度に制御する。
【0146】
本実施形態によれば、温度制御装置304によって嵌合部301と結合部103の熱膨張量が同程度になるように両者の温度が制御されるため、反応容器101の結合部103と嵌合部301との間が良好に気密に保持される。
【0147】
第十四実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図18は、本発明の第十四実施形態における検査装置の構成を概略的に示している。図18において、既出の参照符号で示された部材は、その参照符号で示された既に説明した部材と実質的に同じであり、その詳しい説明は省略する。
【0148】
図18に示されるように、検査装置は、反応容器101が装着される嵌合部301と、反応容器101の温度を制御するためのヒーター291と、ヒーター291の温度を測定するための温度センサー292と、温度センサー292で得られる情報に基づいてヒーター291の温度を制御する温度制御装置293とを有している。
【0149】
本実施形態では、反応容器101の筐体すなわち結合部103と溶液吸入部104はPPで構成され、嵌合部311はステンレスで構成されている。また嵌合部311は、反応容器101の結合部103の内側面に面する内側嵌合面と、反応容器101の結合部103の外側面に面する外側嵌合面とを有している。
【0150】
以下、サンプル溶液の温度を基準温度よりも高い温度に制御する場合について説明する。
【0151】
図示しない圧力制御部によってサンプル溶液を吸引した反応容器101をヒーター291にセットする。温度制御装置293に目標温度を設定する。温度制御装置293は、温度センサー292からの温度情報に基づき、設定温度になるまでヒーター291に通電する。反応容器101の筐体すなわち結合部103と溶液吸入部104からの熱電導により、反応容器101とサンプル溶液と嵌合部311とが同時に温調される。
【0152】
温調により反応容器101の結合部103は膨張する。膨張のため、結合部103は壁の厚さが増す。また、結合部103と嵌合部311の線膨張係数の差異のため、結合部103の内側面は嵌合部311の内側嵌合面から離れようとする。しかし、結合部103の内側面が嵌合部311の内側嵌合面から離れる前に、結合部103の開口端の径の増大と壁の厚さの増大によって結合部103の外側面が嵌合部311の外側嵌合面に接触する
言い換えれば、結合部103と嵌合部311は、結合部103の内側面が嵌合部311の内側嵌合面から離れる前に結合部103の外側面が嵌合部311の外側嵌合面に接触するように設計されている。
【0153】
このため、本実施形態によれば、反応容器101の結合部103と嵌合部311との間が常に気密に保持される。
【0154】
第十五実施形態
本実施形態は、第一実施形態の反応容器を利用する別の検査装置に向けられている。図19は、本発明の第十五実施形態における検査装置の構成を概略的に示す平面図である。図20は、図19に示されたターンテーブルの断面を概略的に示している。図21は、図19に示されたサンプル採取装置を概略的に示している。図22は、図19に示された反応容器供給装置の周辺部断面を概略的に示している。
【0155】
図19に示されるように、検査装置320は、サンプル供給部322と、反応容器供給装置323と、サンプル採取装置325と、ターンテーブル324と、第一溶液ラック326と、第一分注装置327と、第二溶液ラック328と、第二分注装置329と、検出装置330とを備えている。
【0156】
サンプル供給部322は、サンプル溶液がそれぞれ分注された複数のサンプル容器を収容したラック321を検査のために順次供給する。反応容器供給装置323は、図22に示されるように、複数の反応容器101を格納しており、反応容器101を一つずつアーム361により供給する。
【0157】
ターンテーブル324は、図19に示されるように、円周上に配置された複数の反応容器収容部337を有している。ターンテーブル324は、より詳しくは、図20に示されるように、複数の反応容器収容部337を保持している回転体334と、回転体334をベース331に対して回転させるための駆動部332とを有している。
【0158】
各反応容器収容部337は反応容器101を収容するための収容空間を有し、収容空間は配管を介してベース331の下部に配置された図示しない圧力源に流体的に結合されている。また反応容器収容部337は開閉可能な蓋338を有し、蓋338は検出装置330による上方からの光学観察を可能にする光学窓339を有している。
【0159】
ターンテーブル324はさらに、反応容器収容部337の蓋338を開閉させるための蓋開閉機構341と、蓋開閉機構341を支持している固定円板335とを備えている。固定円板335はベース331に固定されていて回転しない。蓋開閉機構341は、図19に示されるように、サンプル採取装置325と第一分注装置327と第二分注装置329による作業位置に設けられている。
【0160】
サンプル採取装置325は、図21に示されるように、反応容器101が装着される嵌合部351と、嵌合部351を支持しているアーム352と、アーム352を支持している支持支柱353とを有し、支持支柱353は図示しない駆動機構によりベース354に対して上下動と回転が可能である。このためサンプル採取装置325は、嵌合部351を支持しているアーム352の上下動と回転により、反応容器供給装置323から供給される反応容器101を嵌合部351に装着することが可能である。またサンプル採取装置325は、特に図示されていないが、嵌合部351に装着された反応容器101を取り外す機構も備えている。
【0161】
また、嵌合部351は、ここでは図示されていないが、これまでの実施形態と同様に、管路を介して圧力制御部に流体的に結合されており、サンプル採取装置325は、嵌合部351に装着された反応容器101に正の圧力と負の圧力を供給し得る。
【0162】
この構成により、サンプル採取装置325は、図19において、反応容器供給装置323から供給される反応容器101を受け取り、反応容器101をサンプル供給部322に移動させ、サンプル溶液を反応容器101内に吸引し、サンプル溶液を収容した反応容器101をターンテーブル324に移動させ、反応容器収容部337に反応容器101を供給することができる。
【0163】
第一溶液ラック326と第二溶液ラック328は実質的に同じ構造体であり、検査に必要な溶液を保管している。例えば、検査に必要な試薬が分注された容器を適切な温度と湿度で保管しており、必要な試薬の容器を吸引位置に配置する。
【0164】
第一分注装置327と第二分注装置329は実質的に同じ構造体であり、それぞれ、第一溶液ラック326と第二溶液ラック328から溶液を反応容器101に分注し得る。
【0165】
検出装置330は、例えば蛍光顕微鏡を含んでおり、反応容器101内の三次元基材の蛍光画像を撮影し得る。
【0166】
本実施形態の検査装置320は例えば次のように動作する。
【0167】
まず、反応容器供給装置323から供給される反応容器101がサンプル採取装置325の嵌合部351に装着される。次に、サンプル採取装置325は、サンプル供給部322のサンプルラック321からサンプル溶液を反応容器101内に吸引し、サンプル溶液を吸引した反応容器101をターンテーブル324の反応容器収容部337に配置する。その後、蓋開閉機構341により反応容器収容部337の蓋338を閉じる。
【0168】
容器収容部337に収容された反応容器101は、ターンテーブル324の回転によって第一分注装置327と第二分注装置329と検出装置330を順番に経由し、最後に再びサンプル採取装置325のところに戻る。
【0169】
反応容器101がサンプル採取装置325から第一分注装置327に送られる間に、反応容器収容部337に正の圧力と負の圧力を繰り返しかけて反応容器101内のサンプル溶液を駆動して相補結合反応を実行させる。
【0170】
第一分注装置327のところに反応容器101が到達したら蓋開閉機構341により反応容器収容部337の蓋338を開ける。第一分注装置327により洗浄液を反応容器101に分注し、応容器収容部337に正の圧力と負の圧力を繰り返しかけてサンプル溶液を洗い流す。その後、蓋開閉機構341により反応容器収容部337の蓋338を閉じる。
【0171】
続いて第二分注装置329のところに反応容器101が到達したら蓋開閉機構341により反応容器収容部337の蓋338を開ける。第二分注装置329により発光基質を反応容器101に分注し、応容器収容部337に正の圧力と負の圧力を繰り返しかけて促進させる。その後、洗浄液で発光基質を洗い流し、蓋開閉機構341により反応容器収容部337の蓋338を閉じる。
【0172】
その後、反応容器101が検出装置330に到達したら、検出装置330により反応容器101内の三次元基材の画像を撮影し、画像解析ソフトウェアにより三次元基材上の各スポットの輝度を測定する。
【0173】
測定の終了した反応容器101がサンプル採取装置325のところに到達したら、サンプル採取装置325により反応容器101をターンテーブル324の反応容器収容部337から取り出し、図22に示される廃棄穴363に廃棄する。
【0174】
本実施形態によれば、反応容器101の取り扱いのための装置が不必要になるため、検査装置を小型に構成することができる。
【0175】
第十六実施形態
本実施形態は、これまでの実施形態に現われた生体関連物質を検出するための新規な反応容器の作製方法に向けられている。以下の実施形態においては、三次元基材にナイロンフィルターを適用するものとして説明する。
【0176】
まず、図23に示されるように、正方形のナイロンフィルター441を用意し、外周の一部にマーク442を形成する。
【0177】
次に、図24に示されるように、インクジェットプリンターのステージ461上にナイロンフィルター441を配置する。その際、ステージ461上の当て付け部462にナイロンフィルター441を当て付けて位置決めする。ナイロンフィルター441を当て付け部462に当て付ける際、マーク442によりナイロンフィルター441の向きを定める。
【0178】
続いて、図25に示されるように、例えば100種類の核酸プローブ443をナイロンフィルター441の所定位置にインクジェットプリンターによりスポットしてスポット領域444を形成する。これにより、プローブを固相化した三次元基材440が作製される。例えばスポット径は100μmにスポット間隔は200μmに調整される。
【0179】
次に、図26に示されるように、当て付け冶具463に溶液吸入部本体410を当て付けて位置決めする。溶液吸入部本体410は、一角に切り欠き部414を有する板状部411と、板状部411から突出している円錐台部412とからなり、板状部411と円錐台部412を貫通している貫通穴413を有している。溶液吸入部本体410を当て付け冶具463に当て付ける際、切り欠き部414により溶液吸入部本体410の向きを定める。
【0180】
さらに、このように当て付け冶具463に当て付けられた溶液吸入部本体410の板状部411の上面にアクリル系の接着剤451(図28参照)を塗布し、先に作製した三次元基材440を当て付け冶具463に当て付けて位置決めし、溶液吸入部本体410の板状部411の上面にはり付ける。三次元基材440を当て付け冶具463に当て付ける際、板状部411の切り欠き部414に対するマーク442の相対位置により三次元基材440の向きを定める。これにより三次元基材440は溶液吸入部本体410に常に同じ向きではり付けられる。またスポット領域444は貫通穴413の内側に位置する。溶液吸入部本体410の板状部411と三次元基材440は接着により結合されるため両者間の気密は保持される。
【0181】
その後、図27に示されるように、溶液吸入部本体410に結合部430を取り付ける。結合部430は板状部材からなり、一角に切り欠き部434を有し、また中央に貫通穴433を有している。結合部430は溶液吸入部本体410の板状部411とほぼ同じ大きさであり、結合部430と板状部411を適切に合わせたとき、それぞれの切り欠き部434と切り欠き部414がそろうようになっている。
【0182】
溶液吸入部本体410の板状部411と三次元基材440の適所にアクリル系の接着剤452(図28参照)を塗布し、結合部430の切り欠き部434を溶液吸入部本体410の切り欠き部414にそろえて、結合部430を当て付け冶具463に当て付けて位置決めし、溶液吸入部本体410にはり付ける。三次元基材440と結合部430は接着により結合されるため両者の間の気密は保持される。
【0183】
最後に、図28に示されるように、溶液吸入部本体410の円錐台部412にテーパー状の筒体420を例えば接着をしたり、筒体420を取り外し可能にしたい場合には、嵌合により固定して、反応容器が完成する。
【0184】
図28において、R1は結合部430の貫通穴433の内径を示し、R2は三次元基材440のスポット領域444の最大距離、R3は溶液吸入部本体410の貫通穴413の内径R3を示しており、それらはR3>R1>R2の関係を満足している。これにより、三次元基材440のスポットを観察する際に、すべてのプローブスポットが観察可能であり、また溶液吸入部本体410の固定用の接着剤451が観察されることはない。
【0185】
また結合部430と三次元基材440と溶液吸入部本体410は、当て付け冶具463に適切に当て付けられた際に、図28から分かるように、貫通穴433の中心とスポット領域444の中心と貫通穴413の中心とがそろうように作製されている。これにより、プローブスポットが安定して同じ位置に配置されるので、プローブスポットの配置を容易に確認できる。
【0186】
第十七実施形態
本実施形態は、反応容器の別の作製方法に向けられている。以下、本実施形態の作製方法について図29〜図31を参照して説明する。これらの図において、第十六実施形態と同じ参照符号で示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0187】
まず、図29に示されるように、結合部430を用意し、結合部430の適所にアクリル系の接着剤を塗布し、貫通穴433を覆うように正方形のナイロンフィルター441を結合部430にはり付ける。ナイロンフィルター441はアクリル系の接着剤により結合部430に結合されるため両者間の気密は保持される。
【0188】
次に、図30に示されるように、ナイロンフィルター441がはり付けられた結合部430をインクジェットプリンターのステージ465上に配置する。その際、ステージ465上の当て付け部466に結合部430を当て付けて位置決めする。結合部430を当て付け部462に当て付ける際、切り欠き部434により結合部430の向きを定める。
【0189】
続いて、例えば100種類の核酸プローブをナイロンフィルター441の所定位置にインクジェットプリンターによりスポットしてスポット領域を形成する。これにより、プローブを固相化した三次元基材440が作製される。例えばスポット径は100μmにスポット間隔は200μmに調整される。
【0190】
一方、図31に示されるように、当て付け冶具463に溶液吸入部本体410を当て付けて位置決めする。溶液吸入部本体410を当て付け冶具463に当て付ける際、切り欠き部414により溶液吸入部本体410の向きを定める。さらに、溶液吸入部本体410の板状部411の適所にアクリル系の接着剤452を塗布し、結合部430の切り欠き部434を溶液吸入部本体410の切り欠き部414にそろえて、結合部430を当て付け冶具463に当て付けて位置決めし、溶液吸入部本体410にはり付ける。三次元基材440と溶液吸入部本体410は接着により結合されるため両者の間の気密は保持される。
【0191】
最後に、第十六実施形態と同様に、溶液吸入部本体410の円錐台部412にテーパー状の筒体420を例えば接着をしたり、筒体420を取り外し可能にしたい場合には、嵌合により固定して、図28に示された反応容器と同様の反応容器が完成する。
【0192】
本実施形態において作製される反応容器は、ナイロンフィルター441にマークが形成されない以外は、第十六実施形態において作製される反応容器と同じである。
【0193】
第十八実施形態
本実施形態は、反応容器の別の作製方法に向けられている。以下、本実施形態の作製方法について図32〜図34を参照して説明する。これらの図において、第十六実施形態と同じ参照符号で示された部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0194】
まず、図32に示されるように、溶液吸入部本体410を用意し、溶液吸入部本体410の板状部411の適所にアクリル系の接着剤を塗布し、貫通穴413を覆うように正方形のナイロンフィルター441を溶液吸入部本体410にはり付ける。ナイロンフィルター441はアクリル系の接着剤により溶液吸入部本体410に結合されるため両者間の気密は保持される。
【0195】
次に、図33に示されるように、ナイロンフィルター441がはり付けられた溶液吸入部本体410をインクジェットプリンターのステージ467上に配置する。その際、ステージ467上の当て付け部468に溶液吸入部本体410を当て付けて位置決めする。溶液吸入部本体410を当て付け部468に当て付ける際、切り欠き部413により溶液吸入部本体410の向きを定める。
【0196】
続いて、例えば100種類の核酸プローブをナイロンフィルター441の所定位置にインクジェットプリンターによりスポットしてスポット領域を形成する。これにより、プローブを固相化した三次元基材440が作製される。例えばスポット径は100μmにスポット間隔は200μmに調整される。
【0197】
一方、図34に示されるように、当て付け冶具463に溶液吸入部本体410を当て付けて位置決めする。溶液吸入部本体410を当て付け冶具463に当て付ける際、切り欠き部414により溶液吸入部本体410の向きを定める。さらに、溶液吸入部本体410の板状部411と三次元基材440の適所にアクリル系の接着剤452を塗布し、結合部430の切り欠き部434を溶液吸入部本体410の切り欠き部414にそろえて、結合部430を当て付け冶具463に当て付けて位置決めし、溶液吸入部本体410にはり付ける。三次元基材440と結合部430は接着により結合されるため両者の間の気密は保持される。
【0198】
最後に、第十六実施形態と同様に、溶液吸入部本体410の円錐台部412にテーパー状の筒体420を例えば接着をしたり、筒体420を取り外し可能にしたい場合には、嵌合により固定して、図28に示された反応容器と同様の反応容器が完成する。
【0199】
本実施形態において作製される反応容器は、ナイロンフィルター441にマークが形成されない以外は、第十六実施形態において作製される反応容器と同じである。
【0200】
第十六実施形態と第十七実施形態と第十八実施形態では、ナイロンフィルター441と溶液吸収部本体410の接合およびナイロンフィルター441と結合部430の接合にアクリル系接着剤が適用されているが、アクリル系接着剤以外の手段、例えば超音波溶着、熱溶着、レーザー溶着などが適用されてもよい。
【0201】
第十九実施形態
本実施形態は、反応容器の別の作製方法に向けられている。以下、本実施形態の作製方法について図32〜図34を参照して説明する。
【0202】
まず、図35に示されるように、正方形のナイロンフィルター541と保護部材542と保護部材545とを用意する。保護部材542は矩形の薄板部材で、一角に切り欠き部543を有し、中央に円形の開口544を有している。また保護部材545は矩形の薄板部材で、一角に切り欠き部546を有し、中央に円形の開口547を有している。図36から分かるように、保護部材542は保護部材545よりも一回り大きく、また保護部材542の開口544は保護部材545の開口547よりも一回り小さい。
【0203】
図35において、保護部材542の下面の適所にアクリル系の接着剤548(図36参照)を塗布し、また保護部材545の上面の適所にアクリル系の接着剤549(図36参照)を塗布し、ナイロンフィルター541を間に挟んで保護部材542と保護部材545をはり合わせる。これにより、プローブスポット形成前の三次元基材チップ540が作製される。ナイロンフィルター541と保護部材542は接着により結合されるため両者間の気密は保持される。同様にナイロンフィルター541と保護部材545の間の気密も保持される。
【0204】
次に、図37に示されるように、先に作製された三次元基材チップ540を保護部材542を上にしてインクジェットプリンターのステージ561上に配置する。その際、ステージ561上の当て付け部562に三次元基材チップ540を当て付けて位置決めする。三次元基材チップ540を当て付け部562に当て付ける際、保護部材542の切り欠き部543により三次元基材チップ540の向きを定める。
【0205】
続いて、例えば100種類の核酸プローブをナイロンフィルター541の所定位置にインクジェットプリンターによりスポットしてスポット領域544(図40参照)を形成する。これにより三次元基材チップ540のナイロンフィルター541にプローブが固相化される。例えばスポット径は100μmにスポット間隔は200μmに調整される。
【0206】
次に、三次元基材チップ540を図38に示される溶液吸入部本体510に取り付ける。溶液吸入部本体510は、図38に示されるように、一角に切り欠き部515を有する板状部511と、板状部511から突出している円錐台部512とからなり、板状部511と円錐台部512を貫通している貫通穴513を有している。板状部511は、三次元基材チップ540を収容し得る凹部514を有している。凹部514は、三次元基材チップ540の二辺が当て付けられる当て付け面514aと514bを有している。また凹部514は、三次元基材チップ540の外形に対応しており、一角に斜辺部分514cを有している。傾斜部分514cは、切り欠き部515の近くに位置している。また板状部511は、後述する結合部530をネジ止めするためのネジ穴516が四隅に形成されている。
【0207】
三次元基材チップ540の溶液吸入部本体510への取り付けは、溶液吸入部本体510の凹部514の底面にOリング551を配置し、その上に三次元基材チップ540を配置することにより行なわれる。
【0208】
続いて、溶液吸入部本体510に図39に示される結合部530を取り付ける。結合部530は、図39に示されるように、板状部531と、板状部531から突出している円筒部532とからなり、板状部531と円筒部532を貫通している貫通穴533を有している。板状部531は、結合部530を溶液吸入部本体510に固定するためのネジ555が通る貫通穴536を有している。
【0209】
結合部530の溶液吸入部本体510への取り付けは、溶液吸入部本体510の凹部514に収容された三次元基材チップ540の上にOリング552(図40参照)を配置し、ネジ555を、結合部530の板状部531の四隅の貫通穴536に通し、溶液吸入部本体510の板状部511の四隅のネジ穴516に締め付けることにより行なわれる。
【0210】
ネジ555が適切に締め付けられた状態では、図40に示されるように、結合部530は溶液吸入部本体510に接し、三次元基材チップ540はOリング551またはガスケットを介して溶液吸入部本体510に接していて三次元基材チップ540と溶液吸入部本体510の間が気密に保持され、また三次元基材チップ540はOリング552を介して結合部530に接していて三次元基材チップ540と結合部530の間が気密に保持されている。
【0211】
最後に、図40に示されるように、溶液吸入部本体510の円錐台部512にテーパー状の筒体520を例えば接着をしたり、筒体420を取り外し可能にしたい場合には、嵌合により固定して、反応容器が完成する。
【0212】
図40において、R1は結合部530の貫通穴533の内径を示し、R2は三次元基材チップ540の保護部材542の開口544の内径、R3はスポット領域544の最大距離、R4は保護部材545の開口547の内径、R5は溶液吸入部本体510の貫通穴513の内径を示しており、それらは、R1>R2、R4>R2、R5>R4の満足している。
【0213】
また結合部530と三次元基材チップ540と溶液吸入部本体510は、適切な位置関係で組み立てられた際に、貫通穴533の中心とスポット領域544の中心と貫通穴513の中心とがそろうように作製されている。
【0214】
R1>R2、R5>R4の関係により、三次元基材チップ540と溶液吸入部本体510の間がOリング551により、また三次元基材チップ540と結合部530の間がOリング552により気密に保持できる。
【0215】
また、R4>R2、R5>R4の関係により、三次元基材チップ540のスポットを観察する際に、保護部材545や保護部材545に塗布された接着剤549、溶液吸入部本体510は観察されない。
【0216】
本実施形態において作製される反応容器は、第十六実施形態において作製される反応容器と実質的に同じである。
【0217】
これまでの実施形態では、反応容器を形成する部材は接着や嵌合やネジにより固定されているが、固定方法は、溶液が反応容器に吸引・排出できるような気密状態に保たれればこれらに制限されることはない。例えば、他の方法として、熱や超音波による融着を用いて反応容器を形成する部材を固定することが可能である。
【0218】
また、溶液吸入部本体の円錐台部にテーパー状の筒体を嵌合したり、ネジ止めして取り外し可能にした場合には、反応や洗浄の工程の終了後にテーパー状の筒体を取り外して検出を行なうことができる。これは、反応装置と検出装置が別体の場合に特に有効で、検出装置の小型化が可能となる。また、板状部から結合部を取り外すと、三次元基材に干渉する部品がなくなるので、板状部を複数並べてスキャンを行なうと、反応結果をより高速に検出することも可能となる。
【0219】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0220】
第一実施形態では、生体関連物質の標識に蛍光色素を用いた場合について説明したが、種々の検出方法や標識を本発明に適用することが可能である。化学発光法により検出を行なう場合は、酵素と基質の反応により発光するので、試料を照明する光源は不要である。また、蛍光で検出する場合も種々の蛍光物質を標識として用いることが可能であり、種々の蛍光色素のほかに、蛍光ガラス粒子なども用いることができる。さらに、散乱光や反射光で検出を行なう場合は、金属粒子や誘電体粒子を標識として用いる。例えば金微粒子、銀、白金、シリコンなどの微粒子やラテックス粒子を用いることができる。特に、金、銀、白金などの金属の微粒子は、粒径が10〜100nmのものが、運動状態にある粒子の速さが最適となるため特に好ましい。また、ラテックス粒子は、粒径が0.1〜1μmのものが、同様に、運動状態にある粒子の速さが最適となるため特に好ましい。適切な粒径は、粒子の比重とブラウン運動の速さにより決定される。ここで、粒子の運動状態は、例えばブラウン運動や振動などがあげられる。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明によれば、多数の検体を容易に高速に取り扱うことが可能な、生体関連物質に関する技術が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体関連物質を検出するための反応容器であって、
生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材と、
液駆動手段と気密に結合できる結合部と、
溶液を吸入できる溶液吸入部とを有しており、
結合部と溶液吸入部は三次元基材を間に挟んで配置されている、反応容器。
【請求項2】
溶液吸入部は少なくとも二つの部品から構成され、それらの部品の少なくとも一つが三次元基材に気密に保持して取り付けられている、請求項1に記載の反応容器。
【請求項3】
三次元基材に気密を保持して取り付けられる部品のうち、少なくとも一つが三次元基材から取り外し可能である、請求項2に記載の反応容器。
【請求項4】
生体関連物質を検出するための反応容器であって、
生体関連物質を検出するためのプローブを固相化した三次元基材と、
液駆動手段と気密に結合できる結合部と、
溶液を吸入できる溶液吸入部とを有しており、
結合部と溶液吸入部は三次元基材を間に挟んで配置されているとともに検出手段と光が漏れないように結合されている、反応容器。
【請求項5】
結合部と溶液吸入部が非光透過性の材料から構成されている、請求項1に記載の反応容器。
【請求項6】
結合部は、三次元基材から離れるにつれて径が広がるテーパー状の内面を有している、請求項5に記載の反応容器。
【請求項7】
結合部は検出手段と結合される開口端を有し、検出手段はレンズを含み、三次元基材と開口端の間のテーパー角度はレンズのNAよりも大きい、請求項6に記載の反応容器。
【請求項8】
結合部と溶液吸入部が導電性の材料から構成されている、請求項1に記載の反応容器。
【請求項9】
溶液をろ過するためのフィルターをさらに有し、フィルターは溶液吸入部の内部に配置されている、請求項1に記載の反応容器。
【請求項10】
三次元基材が位置する部分の直径が1〜6mmである、請求項1ないし請求項9のいずれかひとつに記載の反応容器。
【請求項11】
反応容器の実質的な容量が10〜100μLである、請求項1ないし請求項9のいずれかひとつに記載の反応容器。
【請求項12】
請求項1に記載の反応容器を利用する生体関連物質の反応装置であって、反応容器の結合部に嵌合し得る嵌合部と、サンプル溶液を吸入・排出するための圧力を嵌合部を通して反応容器に伝達する圧力制御手段と、反応容器内のサンプル溶液の温度を調節する温度調節手段とを有している、生体関連物質の反応装置。
【請求項13】
サンプル溶液がマイクロタイタープレートに収容されている、請求項12に記載の反応装置。
【請求項14】
請求項1に記載の反応容器を利用する生体関連物質の検出装置であって、反応容器の結合部に嵌合し得る嵌合部と、反応容器内の三次元基材での生体関連物質の反応を検出する検出手段を有している、生体関連物質の検出装置。
【請求項15】
さらに、サンプル溶液を吸入・排出するための圧力を嵌合部を通して反応容器に伝達する圧力制御手段と、反応容器内のサンプル溶液の温度を調節する温度調節手段とを有している、請求項14に記載の生体関連物質の検出装置。
【請求項16】
検出手段は、嵌合部の中に位置しており、嵌合部は、さらに、反応容器内の三次元基材を照明する照明手段を含んでいる、請求項14に記載の生体関連物質の検出装置。
【請求項17】
サンプル溶液がマイクロタイタープレートに収容されている、請求項15に記載の生体関連物質の検出装置。
【請求項18】
請求項1に記載の反応容器の作製方法であって、
三次元基材に生体関連物質を検出するためのプローブを固相化し、
三次元基材の一方の面に結合部を気密を保持して取り付け、
三次元基材のもう一方の面に溶液吸入部を気密を保持して取り付ける、反応容器の作製方法。
【請求項19】
請求項1に記載の反応容器の作製方法であって、
三次元基材の一方の面に結合部を気密を保持して取り付け、
三次元基材に生体関連物質を検出するためのプローブを固相化し、
三次元基材のもう一方の面に溶液吸入部を気密を保持して取り付ける、反応容器の作製方法。
【請求項20】
請求項1に記載の反応容器の作製方法であって、
三次元基材の一方の面に溶液吸入部を気密を保持して取り付け、
三次元基材に生体関連物質を検出するためのプローブを固相化し、
三次元基材のもう一方の面に結合部を気密を保持して取り付ける、反応容器の作製方法。
【請求項21】
請求項1に記載の反応容器の作製方法であって、
三次元基材の両面に保護部材を三次元基材の一部を露出させるように取り付け、
三次元基材に生体関連物質を検出するためのプローブを固相化し、
一方の保護部材に結合部を気密を保持して取り付け、
もう一方の保護部材に溶液吸入部を気密を保持して取り付ける、反応容器の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【国際公開番号】WO2005/054844
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516000(P2005−516000)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018063
【国際出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】