説明

可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機

【課題】圧入ピンをノズルマウントの軸線方向に沿って圧入することによりノズルマウントのガイド部外周に生起される膨出部を抑制することにより、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止して、可変ノズル機構を備えたターボ過給機の耐久信頼性の向上を図る。
【解決手段】ノズルマウント5に回動可能に支持される複数のノズルベーンと、アクチュエータに連動されノズルマウント5のガイド部5aに嵌合するドライブリング3と、一端をドライブリング3に、他端をノズルベーンに連結したレバープレートと、ドライブリング3の回動によりノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構とを備え、ガイド部5aの僅かに回転軸線寄りにノズルマウント5の軸線方向に沿って穿設された圧入孔5bにネイルピン20を圧入することによりガイド部5aの外周面に生起される膨出部を吸収する膨出抑制部5eを設けたとを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ターボ過給機に用いられ、複数のノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機におけるドライブリングをノズルマウントに対し回動可能に保持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等に用いられる排気ターボ過給機に用いられ、複数のノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機の一つとして、特開2011−43119号公報の技術が提供されている。
【0003】
かかる技術においては、本願添付の図9は、第1リンク部材074との連結前におけるノズルベーン08の構成を示す該略図で、(A)は平面図,(B)は(A)のZ矢視図、(C)は(A)における第2軸部先端部の拡大図を示している。
嵌入部081の翼部064と逆側には、突出部085が設けられている。突出部085は第1リンク部材074の孔部074aを貫通したあとに、中心軸線S方向に押圧されてカシメ部となる。
【0004】
そして、第2軸受部066における切欠き部082の切欠き範囲には、圧入部086と、非圧入部087とが設けられている。切欠き部082と直交する方向での圧入部086の長さは孔部074aの上記直交方向での長さより僅かに大きく設定されている。
一方、切欠き部082と平行し且つ中心軸線Sと直交する方向での圧入部086の長さは、孔部074aの上記直交方向での長さと同一か僅かに小さく設定されている。
従って、切欠き部082は先端に向かうに従い圧入部086から非圧入部087及び突出部085へと縮小する形状となっている。
【0005】
切欠き部082は先端に向かうに従い縮小する形状となっているので、第1リンク部材074の孔部074aに嵌入し易く、孔部074aに圧入部086を圧入する際も、圧入部086と孔部074aとの間の圧入代が大きく設定された場合でも、圧入に要する圧入力が過度に上昇せず、圧入不良の発生を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−43119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1(特開2011−43119号公報)の技術は、第2軸受部066の切欠き部082の非圧入部と第1リンク部材074の孔部074aとの間に隙間部を作り、切欠き部082を孔部074aに挿入し易くして、挿入後、突出部085を第2軸受部066の軸線方向にカシメルことにより、切欠き部082を孔部074aの壁面に圧接させて、第2軸受部066と第1リンク部材074との相対動きを無くす様にするものである。
従って、第1リンク部材074の孔部074aに圧入する圧入部086による、第1リンク部材074の膨出を抑制する技術開示が何等されていない。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、圧入ピンをノズルマウントの軸線方向に沿って穿設された圧入孔に圧入することによりノズルマウントのガイド部外周に生起される膨出部を抑制する膨出抑制部を設けることにより、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止して、可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機の耐久信頼性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる課題を解決するため、エンジンの排気ガスにより駆動される可変容量型排気ターボ過給機のタービンケーシングを含むケースに固定されたノズルマウントに回動可能に支持される複数のノズルベーンと、
アクチュエータに連動され前記ノズルマウントの中央部に軸線方向に突出した環状のガイド部に嵌合するドライブリングと、
一端側を前記ドライブリングに設けた溝部に連結ピン部を介して嵌合し、他端側を前記ノズルベーンに連結したレバープレートと、
前記ドライブリングの回動により前記各レバープレートを揺動させ、該レバープレートの揺動により前記複数のノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構と、を備え、
前記環状のガイド部より僅かに回転軸線寄りのノズルマウント側面に圧入される圧入ピンが設けられ、該圧入ピンを前記ノズルマウントの軸線方向に沿って穿設された圧入孔に圧入することにより生起される前記環状のガイド部の外周面の膨出部を吸収して生じないようにする膨出抑制部を、前記圧入ピンもしくは前記圧入孔の少なくとも何れか一方に設けられることを特徴とする。
【0010】
このような構成により、ノズルマウントガイド部のピン圧入孔がピン圧入により、ガイド部の外周面からラジアル方向に膨出するのを防止する膨出抑制部を設けることにより、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、前記圧入孔は前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さより深く形成されると共に、前記膨出抑制部は、前記圧入孔の孔径を前記圧入ピン外径より拡径する拡径部を、圧入側から少なくとも前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さに相当する範囲に形成されるとよい。
【0012】
このような構成により、膨出抑制部は、ピン圧入側から略ドライブリング板厚相当分までの圧入孔の孔径をピン外径より拡径に形成されることにより、ピン圧入によるガイド部外周面の膨出が防げ、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
【0013】
また、本発明において好ましくは、前記圧入孔は前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さより深く形成されると共に、前記膨出抑制部は、前記圧入ピンの外周部を前記圧入孔の径より小径にする小径部を、前記ピン基部から先端方向へ少なくとも前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さに相当する範囲に形成されるとよい。
【0014】
このような構成により、膨出抑制部は、ピン圧入側から略ドライブリング板厚相当分までのピンの外径を圧入孔の径より小径することにより、ピン圧入によるガイド部外周面の膨出が防げ、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
また、ピンの形成が旋盤で精密に加工できるので、コスト低減が可能となる。
【0015】
また、本発明において好ましくは、前記膨出抑制部は、前記ピンの軸線方向に沿った切欠き部を有し、該切欠き部を前記環状のガイド部の外周面側に位置させて形成されるとよい。
【0016】
このような構成により、膨出抑制部は圧入範囲を長くできるのでピンのノズルマウントに対する直角度が安定する。
【0017】
また、本発明において好ましくは、前記膨出抑制部は、前記圧入孔に圧入される断面形状がC形の筒状スプリングピンと、該筒状スプリングピンの内筒部に圧入されるピンとで形成されるとよい。
【0018】
このような構成により、ピン圧入の際、前記膨出抑制部は、筒状スプリングピンをC形状の切欠き部分がピン圧入による膨出を吸収するので、ガイド部外周面の膨出が防げ、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
従って、筒状スプリングピン及び、ピン圧入する際の方向性を規制する必要がないので、圧入作業の容易化が図れる。
【0019】
また、本発明において好ましくは、前記膨出抑制部は、前記ガイド部外周面の前記圧入孔部分を予め膨出量相当分を削除して形成されるとよい。
【0020】
このような構成により、前記膨出抑制部は、ピンの圧入による膨出部の膨出量を予め予測して、当該部分を削除後に、ピン挿入により膨出した部分が該削除部分を修復して、当該部が滑らかな周面に再生され、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
また、ピンの方向性を規制する必要がないので、圧入作業の容易化が図れると伴に、
ピン全周において圧入されるので、ピンのノズルマウントに対する直角度が安定すると共に、ノズルマウントに対するピンの固定力が向上する。
【0021】
また、本発明において好ましくは、前記圧入ピンが、フランジ状の頭部により前記ドライブリングの内周部分が前記ガイド部より脱落しないように保持する頭付ピンであるとよい。
【0022】
このような構成により、前記圧入ピンのフランジ状の頭部により前記ドライブリングが前記ガイド部より脱落しないように保持する構造なので、構造が簡素化され、コスト低減が可能となると共に、ドライブリングの保持機能が確実になる。
【0023】
また、本発明において好ましくは、前記圧入ピンが、前記レバープレートの側面と当接して前記ノズルベーンの開度規制を行うストッパピンであるとよい。
【0024】
このような構成により、前記圧入ピンが、前記レバープレートの側面と当接して前記ノズルベーンの開度規制を行うストッパピンとすることで、前記ガイド部の外周部端縁を滑らかな外周面とすることで、構造が簡素化されると共に、前記レバープレート揺動範囲を的確に規制して、可変ノズル機構機能を向上させる。
【0025】
また、本発明において好ましくは、前記圧入ピンが、前記軸受ハウジングと前記ノズルマウントの間の位置決めを行うロックピンであるとよい。
【0026】
このような構成により、前記圧入ピンが前記軸受ハウジングと前記ノズルマウントの間の位置決めを行うロックピンとすることで、前記ガイド部の外周部端縁を滑らかな外周面とすることで、構造が簡素化され可変ノズル機構機能を向上させる。
【発明の効果】
【0027】
ノズルマウントガイド部のピン圧入孔がピン圧入により、ガイド部の外周面からラジアル方向に膨出するのを防止する膨出抑制部を設けることにより、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止することができる。
また、膨出抑制部をネイルピンの外周部を前記圧入孔の径より小径にすることにより、ピンの形成が旋盤で精密に加工できるので、コスト低減が可能となる。
更に、ノズルベーンの開度操作を行うレバープレートの揺動規制をするストッパピンに採用することにより、構造の簡素化とコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機の要部縦断面図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる可変ノズル機構を示し、(A)はレバープレート側から視た正面図,(B)は(A)におけるA−A断面図である。
【図3】(A)は図2のB−B断面で本発明の第1実施形態にかかるノズルマウントにネイルピンを圧入した部分の拡大断面図、(B)はノズルマウント側の圧入孔拡大図、(C)はネイルピンの概略図を示す。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるノズルマウントにロックピンを圧入した図2(A)のC−C断面の部分拡大図を示す。
【図5】(A)は本発明の第3実施形態にかかるノズルマウントにネイルピンを圧入した部分の拡大断面図、(B)はノズルマウント側の圧入孔拡大図、(C)はネイルピンの概略図を示す。
【図6】(A)は本発明の第4実施形態にかかるノズルマウントに対しネイルピンの切欠き部の方向を示した概略図、(B)は切欠き部を有したネイルピン概略図、(C)は(B)のY矢視図,(D)は圧入孔にネイルピンが圧入された状態の概略図を示す。
【図7】(A)は本発明の第5実施形態にかかる筒状スプリングピン斜視図,(B)は(A)に圧入されるネイルピンの概略斜視図,(C)は圧入孔に筒状スプリングピンを介してネイルピンが圧入された状態の概略図、(D)は(C)のF−F矢視図を示す。
【図8】(A)は本発明の第6実施形態にかかるネイルピンをノズルマウントに圧入した状態の部分拡大図、(B)はノズルマウントにネイルピン圧入前のレバープレート側から視た部分拡大図、(C)はノズルマウントにネイルピン圧入後のレバープレート側から視た部分拡大図を示す。
【図9】従来技術の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0030】
図1は本発明にかかる可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機の要部縦断面図である。
図1において、30はタービンケーシング、38は該タービンケーシング30の外周部に渦巻き状に形成されたスクロール部である。34はラジアル流型のタービンロータ、35はコンプレッサ、32は該タービンロータ34とコンプレッサ35とを連結するタービンシャフト、31はコンプレッサハウジング、36は軸受ハウジングである。
該タービンロータ34とコンプレッサ35とを連結するタービンシャフト32は、2個の軸受37,37を介して軸受ハウジング36に回転自在に支持されている。8は排ガス出口、CLは該排気ターボ過給機の回転軸線である。
【0031】
2はノズルベーンで、前記スクロール38の内周側にタービンの円周方向等間隔に複数枚配設されると共に、これらの翼端部に形成されたノズル軸2aが前記タービンケーシング30に固定されたノズルマウント5に回動可能に支持されている。
ノズル軸2aの前記翼端部の反対側にはノズル軸2aを回転させてノズルベーン2の翼角を変化させるドライブリング3にレバープレート1を介して連結されている。
33はアクチュエータ(図示省略)からの往復運動を伝えるアクチュエータロッドで、該アクチュエータロッド33の往復運動を回転軸15aに固着されたリンク15を介して回転運動に変換し、該回転運動を回転軸15aに固着されたレバー15bの他端部に配置の駆動ピン15cをドライブリング3の外周部に形成されて係合溝3z(図2参照)に係合させて、ドライブリング3を回転駆動する駆動機構39である。
一点差線で囲んだ部分は前記ノズルベーン2の翼角を変化せしめる可変ノズル機構100である。
【0032】
図1のように構成された可変ノズル機構付き可変容量型排気ターボ過給機の運転時において、内燃機関(図示省略)からの排ガスは前記スクロール38に入り、該スクロール38の渦巻きに沿って、周回しながらノズルベーン2に流入する。そして、排ガスは前記ノズルベーン2の翼間(開口)を流過して前記タービンロータ34にその外周側から流入し、中心側に向かい半径方向に流れて該タービンロータ34に膨張仕事をした後、軸方向に流出して排ガス出口8に案内されて機外に送出される。
【0033】
かかる可変容量タービンの容量を制御するにあたっては、前記アクチュエータに対し、前記ノズルベーン2を流れる排ガスの流量が所要の流量になるような該ノズルベーン2の翼角を、翼角制御手段(図示省略)により設定する。かかる翼角に対するアクチュエータの往復変位は駆動機構39を介してドライブリング3に伝達され、該ドライブリング3が回転駆動される。
該該ドライブリング3の回転により、後述する連結ピン10を介してレバープレート1が前記ノズル軸2a廻りに回動せしめられ、該ノズル軸2aの回動によりノズルベーン2が回動してアクチュエータによって設定された翼角に変化せしめられ、翼間(開口)の大きさが変化する。
【0034】
図2は可変ノズル機構を示し、(A)はレバープレート1側から視た正面図、(B)は(A)におけるA−A断面図である。
100は前記ノズルベーン2の翼角を変化せしめる可変ノズル機構で、次のように構成されている。
3は円盤状に形成されたドライブリングで、前記ノズルマウント5の軸線CL(排気ターボ過給機の回転軸線に同じ)方向に突出した円筒状(環状)のガイド部5aに外嵌して回転可能に支持されると共に、外周側に後述する連結ピン10が係合される溝3yが円周方向等間隔に形成されている。3zは前記駆動機構39のアクチュエータロッド33が係合する駆動溝である。
【0035】
1はレバープレートでドライブリング3の溝3yと同数円周方向等間隔に設置されている。
そして、各レバープレート1は、外周側(一端側)がドライブリング3に設けられた溝部3yに連結ピン10を介して嵌合し、内周側(他端側)をノズルベーン2と固着したノズル軸2aが連結されている。
尚、ノズル軸2aはノズルマウント5に対し回転可能に軸支されている。
6は環状に形成されたノズルプレート、61は該ノズルプレート6と前記ノズルマウント5とを連結する複数のノズルサポートである。
【0036】
7はストッパピンである。該ストッパピン7はノズルマウント5の中央部に軸線CL方向に突出した円筒状(環状)のガイド部5aの端面外周縁部に周方向に複数等間隔で且つ、軸線CL方向に沿って(本実施形態では4箇所)穿設された圧入孔(図示省略)に圧入されている。
そして、ストッパピン7はドライブリング3の回動に伴い、ノズル軸2aを中心に揺動するレバープレート1をノズルベーン2の翼間(開口)の閉塞位置で揺動を規制する所謂開度規制部材である。
【0037】
9はロックピンである。該ロックピン9は、軸受ハウジング36とノズルマウント5との組付け精度を向上させるための位置決めピンである。軸受ハウジング36とノズルマウント5との組立角度を規制する(組立精度)ことにより、アクチュエータの駆動量に対しドライブリング3の駆動量が正確に伝わり、ノズルベーン2の開度が精度よく制御されてターボチャージャの性能を十分に発揮させるものである。
【0038】
前記可変ノズル機構においては、図2(B)のように、前記レバープレート1を軸方向外側(図1における排ガス出口8側)に配置し、該レバープレート1の側面と前記ノズルマウント5の側面との間に、前記ドライブリング3を前記レバープレート1及びノズルマウント5と軸方向に併設した形態で配設している。
前記連結ピン10は、前記各レバープレート1の一側面をプレスによって加圧して、該一側面側に矩形状の凹部10aを形成すると共に、反対側の側面を矩形状に突出させる押出し成形によって母材と一体で形成される。
【0039】
前記のように構成された可変ノズル機構100のドライブリング3は、ノズルマウント5とレバープレート1の間及び、ドライブリング3の内周面とガイド部51の外周面の間夫々が適正な隙間を有して保持される必要がある。
該隙間が規定値より大きい場合、ドライブリング3はノズルマウント5の軸線方向に振れるため、ガイド部51とドライブリング3の摺動面のスラスト方向端部が片あたり(片側接触)となり固着の原因になる。
一方、隙間が規定値より小さい場合、ノズルマウント5との摺動抵抗が大きくなり、摺動部の固着の原因になる。
その固着を防止するために、ノズルマウント5とドライブリング3のスラスト方向の隙間を適性量に確保するために、ガイド部51の端面の外周縁部にラジアル方向へ延在した鍔を有した圧入ピンであるネイルピンをスラスト方向圧入して、該隙間を該鍔によって適正に維持するようになっている。
【0040】
(第1実施形態)
図3(A)は図2のB−B断面で本発明の第1実施形態にかかるノズルマウント5に圧入ピンであるネイルピンを圧入した部分の拡大断面図、(B)はノズルマウント側の圧入孔拡大図、(C)は(B)の圧入孔に圧入されるネイルピンの概略図を示す。
図3(A)において、ノズルマウント5の軸線方向に突出した円筒状(環状)のガイド部5aに円板状のドライブリング3が若干の隙間を有して外嵌している。
ドライブリング3が回動するときにノズルマウント5の軸線CL方向に振れるのを防止する鍔部20aを有したネイルピン20が圧入孔5bに圧入されている。
従って、ネイルピン20の圧入位置は、円筒状ガイド部5aの端面の外周縁より僅かにノズルマウント5の軸線CL寄り部分に周方向へ等間隔に配設されている。
【0041】
図3(B)は圧入孔5bの詳細図、(C)は圧入されるピンであるネイルピン20を示
している。
圧入孔5bはガイド部51aの端面の外周縁部に周方向へ等間隔で且つ、ノズルマウント5の軸線CLに沿った方向に複数穿設されている。
圧入孔5bは孔の軸線に沿って孔径が2段階に変化しており、ネイルピン20の挿入口
側がΦ1、続いてその奥がΦ2の径になっている。孔径Φ1の長さL1はドライブリング3の摺動面幅T(軸線方向板厚)より若干長くL3、即ち、ドライブリング3の摺動面幅(T)がL1の範囲内に維持されるようになっている。
【0042】
孔径Φ2はネイルピン20の先端部の径φ3より小さく、該孔径Φ2と径φ3とが圧入嵌合の寸法関係に形成され、ピン先端部が孔径Φ2に圧入される長さL2(圧入代)は該ネイルピン20がドライブリング3の作動によって容易に圧入孔5bから抜けないような長さL2になっている。
但し、ネイルピン20は図3(C)に示すように、ピン径は先端から鍔部20aまでφ
3の同形状になっている。
【0043】
尚、突出部20cはネイルピン20を圧入孔5bに圧入する際に、圧入工具を当接させる部分である。該突出部20cを削除すると、圧入の際、ピン部20bに作用する圧入力によりピン部20bが変形し、該変形に伴い鍔部20aが変形するので、変形を防止して組付け容易化を可能にするものである。
また、圧入孔5bにネイルピン20を圧入した時に、該ネイルピン20の鍔部20aとドライブリング3との適正隙間L4が確保されるようにガイド部5aの高さL7は設定されている。
更に、ドライブリング3の摺動面幅(T)が位置する部分は、ネイルピン20とピン圧入孔5bのL1部分には膨出抑制部である空間部5eが形成される。
従って、ノズルマウント5の圧入孔5bのドライブリング3側部分は肉厚が薄く剛性が低いにも係わらず、ネイルピン20の圧入による当該部の外方への膨出を防止できる。
【0044】
ノズルマウント5の側面の突出部52(ドライブリング3との接触面)とガイド部5aの連結部にはドライブリング3の摺動面幅(T)の端縁がガイド部5aに確実に接触するように逃げRを設けてある。
これはドライブリング3の摺動面全域にわたってガイド部5aに接するようにすることにより、ドライブリング3の回動時にスラスト方向の触れを少なくすることで、ドライブリング3の摺動面幅の端縁とガイド部5aとの固着を防止するものである。
また、突出部52は、該側面の逃げRの外周側に円板状に形成されており、ドライブリング3のラジアル方向側面が接触する面が形成されており、ノズルマウント5の側面とドライブリング3のラジアル方向側面との摩擦抵抗を軽減させ、ドライブリング3の回動を円滑にするものである。
【0045】
このような構造にすることにより、ドライブリング3の摺動面幅(T)が位置する部分には、ネイルピン20とピン圧入孔5bのL1部分には膨出抑制部である空間部5eが形成されるので、ガイド部5aの表面にネイルピン20の圧入による膨出部が発生しないので、ガイド部5a表面の滑らかな面が維持され、ドライブリング3とガイド部5aとの固着を防止することができる。
また、圧入孔5bのL1部分の径を大きくする構造なので、圧入作業が容易になる。
【0046】
(第2実施形態)
図4に基づいて本実施形態について説明する。
尚、本実施形態はノズルマウント5の外周部に軸受ハウジングとノズルマウントの間の位置決めを行う圧入ピンであるロックピンを圧入する構造以外は、第1実施形態に同じなので、可変ノズル機構等の説明は省略する。
更に、同一形状で、同じ作用をする部品については、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0047】
図4は本発明の第2実施形態にかかるノズルマウント5にロックピン9を圧入した図2(A)のC−C断面の部分拡大図を示す。
尚、図2は軸受ハウジング36を省略してあるが、図4ではロックピン9の配設状態を明確にするため付加した図にしてある。
5はノズルマウント、該ノズルマウント5のガイド部5aにドライブリング3が外嵌している。ドライブリング3の外周部に形成された凹部10aに、レバープレート1に形成された連結ピン10が係合し、レバープレート1を回動させてノズルベーン2の開度を調整する。
【0048】
ノズルマウント5のガイド部5aの外周部近傍には、ノズルマウント5と、軸受ハウジング36との位置決めを行うための圧入ピンであるロックピン9を圧入する圧入孔5hがノズルマウント5の軸線CLに沿って複数穿設されている。
圧入孔5hは、ガイド部5aの先端部分〔図3(B)のL1相当部分〕にロックピン9の圧入によってガイド部5aの外周部が膨出するのを防止する膨出抑制部である空間部5eが生起される孔径になっている。
そして、空間部5eより更に深い部分〔図3(B)のL2相当部分〕にロックピン9が圧入嵌合される部分となっている。
圧入されたロックピン9の圧入部と反対側部分は軸受ハウジング36と嵌合して、ノズルマウント5の位置を精度よく組付けることができる。
【0049】
このような構造にすることにより、ドライブリング3の摺動面幅(T)が位置する部分には、ロックピン9とピン圧入孔5hのL1相当部分には膨出抑制部である空間部5eが形成されるので、ガイド部5aの表面にロックピン9の圧入による膨出部が発生しないので、ガイド部5a表面の滑らかな面が維持され、ドライブリング3とガイド部5aとの固着を防止することができる。
また、圧入孔5bのL1部分の径を大きくする構造なので、圧入作業が容易になる。
更に、軸受ハウジング36とノズルマウント5との組付け精度が向上することにより、アクチュエータの駆動量に対しドライブリング3の駆動量が正確に伝わり、ノズルベーン2の開度が精度よく制御されてターボチャージャの性能を十分に発揮させることができる。
尚、ノズルベーン2の開度を規制するストッパピン7についても前述のロックピン9と同様に形成されるので説明は省略する。
【0050】
(第3実施形態)
図5に基づいて本実施形態について説明する。
尚、本実施形態はノズルマウント51にネイルピン21を圧入する構造以外は、第1実施形態に同じなので、可変ノズル機構等の説明は省略する。
更に、同一形状で、同じ作用をする部品については、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0051】
図5(A)は本発明の第3実施形態にかかるノズルマウントにネイルピンを圧入した部分の拡大断面図、(B)はノズルマウント側の圧入孔拡大図、(C)は(B)の圧入孔に圧入されるネイルピンの概略図を示す。
図5(A)において、51はガイド部51aにドライブリング3を外嵌するノズルマウントで、1はレバープレートである。
図5(B)はネイルピン21が圧入される圧入孔51b、図5(C)は該圧入孔51bに圧入されるネイルピン21である。
圧入孔51bの径φ2はガイド部51aの端面の外周縁部に周方向へ等間隔で且つ、ノズルマウント51の軸線CLに沿った方向に複数穿設されている。
【0052】
圧入孔51bに圧入される圧入ピンであるネイルピン21はピンの先端部21bが径φ3に形成されており、径φ3から鍔部21aまでの縮径部21cが径φ4に形成されており、径φ3>径φ4の状態になっている。
そして、縮径部21cの径φ4部分の長さL1は、ドライブリング3の側面と鍔部21aとの隙間L4(適正隙間L1=t+L4)を確保するように決められている。
先端部21bの径φ3の長さL5(圧入代)は、圧入孔51bにネイルピン21を圧入した時に、該ネイルピン21がドライブリング3の操作時に圧入孔51bから容易に抜けないような長さL5になっている。
また、ネイルピン21を圧入孔51bに圧入する際、該圧入孔51bのドライブリング3と対向する部分(L1)が塑性変形しないようにするため、ネイルピン21の先端部21b及び、圧入孔51b夫々が弾性変形領域内のシマリバメ寸法に形成されている。
【0053】
このような構造にすることにより、ドライブリング3の摺動面幅(T)が位置する部分には、ネイルピン21と圧入孔51bのL1部分には膨出抑制部21eが形成されるので、ガイド部51aの表面にネイルピン21の圧入による膨出部の発生を防止して、ガイド部51a表面の滑らかな面が維持され、ドライブリング3とガイド部51aとの固着を防止することができる。
更に、ネイルピン21は旋盤加工で段差部等が形成でき、コスト低減が可能となる。
この実施形態はネイルピンのみならず、ロックピンやノズルベーンの開度規制を行うストッパピンなど他のピン状の部品をノズルマウントに圧入する形態に対しても適用できる。
【0054】
(第4実施形態)
図6に基づいて本実施形態について説明する。
尚、本実施形態は第2実施形態に対し、ネイルピンの形状が異なる以外は同じなので、ネイルピン以外の説明は省略する。
更に、同一形状で、同じ作用をする部品については同一符号を付して、その説明は省略する。
図6(A)は本発明の第3実施形態にかかるノズルマウントに対しネイルピンの切欠き部の方向を示した概略図、(B)は切欠き部を有したネイルピン概略図、(C)は(B)のY矢視図,(D)は圧入孔に圧入ピンであるネイルピンが圧入した状態の概略図を示す。
本実施形態のネイルピン22は、図6(B)及び(C)に示すように、ピン部22bに該ピン部22bの軸線に沿って帯状の切欠き部22cが形成されている。
ノズルマウント51の圧入孔51bはガイド部51aの端面の外周縁部に周方向へ等間隔で且つ、ノズルマウント51の軸線CLに沿った方向に複数穿設されている。
【0055】
圧入孔51bにネイルピン22を圧入する際は、図6(A)に示すように、切欠き部22cをドライブリング3側に向けて圧入するようになっている。
図6(D)は圧入孔51bにネイルピン22が圧入された状態を示し、ドライブリング3側に膨出抑制部22eが形成されている。
【0056】
このような構造にすることにより、ドライブリング3の摺動面幅(T)が位置する部分には、切欠き部22cによる膨出抑制部22eが形成されるので、ガイド部51aの表面にネイルピン22の圧入による膨出部が発生しないので、ガイド部51aの表面が滑らかな面となり、ドライブリング3とガイド部51aとの固着を防止することができる。
更に、圧入範囲がピン部22bの全域で長くなるので、ネイルピンのノズルマウントに対する直角度が安定する。
この実施形態はネイルピンのみならず、ロックピンやノズルベーンの開度規制を行うストッパピンなど他のピン状の部品をノズルマウントに圧入する形態に対しても適用できる。
【0057】
(第5実施形態)
図7に基づいて本実施形態について説明する。
尚、本実施形態はノズルマウントの圧入孔に筒状スプリングピンを介してネイルピン21を圧入する構造以外は、第2実施形態に同じなので、可変ノズル機構等の説明は省略する。
更に、同一形状で、同じ作用をする部品については、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0058】
図7(A)は本発明の第4実施形態にかかる筒状スプリングピン斜視図,(B)は(A)に圧入されるネイルピンの概略斜視図,(C)は圧入孔に筒状スプリングピンを介してネイルピンが圧入された状態の概略図、(D)は(C)のF−F矢視図を示す。
図7(A)において、24は円筒形状を該円筒形状の軸線に沿って切欠いた切欠き部24aを備え、該軸線に直角方向の断面が略C字形状に形成された筒状スプリングピンである。
図7(B)において、23は圧入孔51bに圧入されるピン部23bと、ドライブリング3の振れを規制する鍔部23aと、圧入時に圧入工具の受部となる突起23cを備えたネイルピンである。
図7(C)は圧入孔51bに筒状スプリングピン24を介してネイルピン23を圧入した状態を示す。
【0059】
ノズルマウント51の圧入孔51bはガイド部51aの端面の外周縁部に周方向へ等間隔で且つ、ノズルマウント51の軸線CLに沿った方向に複数穿設されている。
筒状スプリングピン24は圧入孔51bの径φ2に対し外径がシバリバメの状態で、圧入孔51bに圧入される。
圧入ピンであるネイルピン23は筒状スプリングピン24の内筒部24bにシバリバメの状態で圧入される。
尚、ネイルピン23のピン部23bの長さL7及び、筒状スプリングピン24の長さL8夫々は、伴にドライブリング3の摺動面幅T(厚さ)より長くなっていることが好ましい。
これは、筒状スプリングピン24及び、ネイルピン23の圧入によりガイド部51aの外周部に作用する圧力をスラスト方向において均一化することで、ガイド部51a外周面とドライブリング3の内周面の隙間がスラスト方向で変化しないようにする。
【0060】
図7(D)は(C)のF−F矢視断面を示し、本実施形態では筒状スプリングピン24の切欠き部24aをガイド部51aの周方向に位置させた状態で圧入孔51bに圧入されている。
これは、筒状スプリングピン24の内筒部24bにネイルピン23を圧入しても筒状スプリングピン24が変形し、その変形を切欠き部24aが吸収するようになっている。
従って、切欠き部24aが膨出抑制部24eの作用をしている。
【0061】
このような構造にすることにより、ネイルピン23の圧入を筒状スプリングピン24の切欠き部24aが吸収するので、ネイルピン23圧入によるガイド部51a外周面の膨出が防げ、ドライブリング3の内周面とガイド部51aの外周面との固着を防止することができる。
従って、筒状スプリングピン及び、ネイルピン圧入する際の方向性を規制する必要がなくなり、圧入作業の容易化が図れ、コスト軽減が可能となる。
この実施形態はネイルピンのみならず、ロックピンやノズルベーンの開度規制を行うストッパピンなど他のピン状の部品をノズルマウントに圧入する形態に対しても適用できる。
【0062】
(第6実施形態)
図8に基づいて本実施形態について説明する。
尚、本実施形態は第1実施形態に対し、ノズルマウントの形状が異なる以外は同じなので、ノズルマウント以外の説明は省略する。
更に、同一形状で、同じ作用をする部品については同一符号を付して、その説明は省略する。
図8(A)は本発明の第5実施形態にかかるネイルピンをノズルマウントに圧入した状態の部分拡大図、(B)はノズルマウントにネイルピン圧入前のレバープレート側から視た部分拡大図、(C)はノズルマウントにネイルピン圧入後のレバープレート側から視た部分拡大図を示す。
【0063】
図8(A)において、ノズルマウント53には、ドライブリング3が外嵌するガイド部53aの端面の外周縁部に周方向へ等間隔で且つ、ノズルマウント53の軸線CLに沿った方向に圧入孔53bが複数穿設されている。
図8(B)に示すように、ノズルマウント53のガイド部53aの外周面は、圧入孔53bとドライブリング3の摺動面側とが対向する部位を、圧入ピンであるネイルピン20が圧入されることによりガイド部53aの外方へ膨出する膨出部を見込んで、当該膨出部に相当する形状を予め切削して膨出抑制部である切欠き部53cを形成したものである。
【0064】
そして、図8(C)に示すように示すように、ネイルピン20を圧入孔53bに圧入したときに、ガイド部53aの外周面は滑らかな円弧面になるようにしたものである。
従って、図8(A)に示すように示すように、圧入孔53bにネイルピン20を圧入することにより、ガイド部53aの外周面は切欠き部53cがラジアル方向に膨出して、滑らかな円弧面〔図8(C)参照)になると伴に、ガイド部53aの外周面とドライブリング3の内周面との隙間を適正隙間になるようにしてある。
【0065】
このような構造にすることにより、ネイルピン20の圧入による膨出部の膨出量を予め予測して、当該部分を削除するので、ネイルピン20の圧入によるガイド部53a外周面の突出が防げ、ガイド部53a外周面が滑らかな円弧となることで、ドライブリング3の内周面とガイド部53aの外周面との固着を防止することができる。
また、ネイルピン20を圧入する際の方向性を規制する必要がなくなり、圧入作業の容易化が図れ、コスト軽減が可能となる。
更に、また、ネイルピン20のピン全長(20b)において圧入されるので、ネイルピン20のノズルマウント53に対する直角度が安定すると共に、ネイルピン20の固定性が向上する。
【0066】
尚、本実施形態ではドライブリング3をスラスト方向に規制するネイルピン20について説明したが、図2に記載のノズルベーン2の翼角を変位させるレバープレート1を該ノズルベーン2が規定された閉位置にきたときに、ノズルベーン2の翼角を該規定された閉位置以上に揺動するのを規制するストッパピン7にも同様に適用できる。
即ち、外周部端縁にピンを圧入する構造を採用し、且つ滑らかな外周面を必要とする場合に広く適用することが可能である。
この実施形態はネイルピンのみならず、ロックピンやノズルベーンの開度規制を行うストッパピンなど他のピン状の部品をノズルマウントに圧入する形態に対しても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、ドライブリングをガイド部に保持するための、ネイルピンをノズルマウントの軸線方向に沿って穿設された圧入孔に圧入することにより生起される膨出部を吸収する膨出抑制部を設けることにより、ドライブリングの内周面とガイド部の外周面との固着を防止して、耐久信頼性の向上を図ることのできる可変ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機を提供できる。
【符号の説明】
【0068】
1 レバープレート
2 ノズルベーン
3 ドライブリング
5 ノズルマウント
5a、51a、53a ガイド部
5b、51b、53b 圧入孔
5e、21e、22c、24e、53e 膨出抑制部
7 ストッパピン
10 連結ピン
20、21,22,23 ネイルピン
20a 鍔部
20b ピン部
24 筒状スプリングピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気ガスにより駆動される可変容量型排気ターボ過給機のタービンケーシングを含むケースに固定されたノズルマウントに回動可能に支持される複数のノズルベーンと、
アクチュエータに連動され前記ノズルマウントの中央部に軸線方向に突出した環状のガイド部に嵌合するドライブリングと、
一端側を前記ドライブリングに設けた溝部に連結ピン部を介して嵌合し、他端側を前記ノズルベーンに連結したレバープレートと、
前記ドライブリングの回動により前記各レバープレートを揺動させ、該レバープレートの揺動により前記複数のノズルベーンの翼角を変化せしめる可変ノズル機構と、を備え、
前記環状のガイド部より僅かに回転軸線寄りのノズルマウント側面に圧入される圧入ピンが設けられ、該圧入ピンを前記ノズルマウントの軸線方向に沿って穿設された圧入孔に圧入することにより生起される前記環状のガイド部の外周面の膨出部を吸収して生じないようにする膨出抑制部を、前記圧入ピンもしくは前記圧入孔の少なくとも何れか一方に設けられることを特徴とする可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項2】
前記圧入孔は前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さより深く形成されると共に、前記膨出抑制部は、前記圧入孔の孔径を前記圧入ピン外径より拡径する拡径部を、圧入側から少なくとも前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さに相当する範囲に形成されることを特徴とする請求項1記載の可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項3】
前記圧入孔は前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さより深く形成されると共に、前記膨出抑制部は、前記圧入ピンの外周部を前記圧入孔の径より小径にする小径部を、前記ピン基部から先端方向へ少なくとも前記環状のガイド部の前記軸線方向の厚さに相当する範囲に形成されることを特徴とする請求項1記載の可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項4】
前記膨出抑制部は、前記ピンの軸線方向に沿った切欠き部を有し、該切欠き部を前記環状のガイド部の外周面側に位置させて形成されることを特徴とする請求項1記載の可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項5】
前記膨出抑制部は、前記圧入孔に圧入される断面形状がC形の筒状スプリングピンと、該筒状スプリングピンの内筒部に圧入されるピンとで形成されることを特徴とする請求項1記載の可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項6】
前記膨出抑制部は、前記ガイド部外周面の前記圧入孔部分を予め膨出量相当分を削除して形成されることを特徴とする請求項1記載の可燃ノズル機構を備えた可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項7】
前記圧入ピンが、フランジ状の頭部により前記ドライブリングの内周部分が前記ガイド部より脱落しないように保持する頭付ピンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項8】
前記圧入ピンが、前記レバープレートの側面と当接して前記ノズルベーンの開度規制を行うストッパピンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可変容量型排気ターボ過給機。
【請求項9】
前記圧入ピンが、前記軸受ハウジングと前記ノズルマウントの間の位置決めを行うロックピンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可変容量型排気ターボ過給機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−72401(P2013−72401A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213556(P2011−213556)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】