説明

可変光減衰器

第1の光導波路(24;52;80;94;120;140)と、第2の光導波路(26;42;54;82;96;122;142)とを含む可変光減衰器(VOA)デバイス(20;40;50;90)が述べられる。前述の第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して制御可能な配向を有するマイクロ電気機械式システム(MEMS)ベースの部品のような可動反射素子(28;84;106;124;144)が与えられる。第1及び第2の導波路は、中空コア光導波路として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変光減衰器(VOA)デバイスに関し、より具体的には、半導体基板に形成された中空コア光導波路を組み込んだVOAに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信及びデータ・ネットワークは、光学部品を用いて実施されることが多くなってきている。光学ビーム出力を制御された方法により減少させることを可能にするために、様々な種類の可変光減衰器(VOA)が開発された。具体的には、光ファイバ・ネットワークなどにおいて出力の均等化を与える際の利便性ある方法として用いられている。
【0003】
WO01/75503は、光ビームが自由空間を通って伝播する領域を含む光路により、光ビームが入力導波路から出力導波路に結合される公知のVOAデバイスについて述べている。ビームを塞ぐMEMSシャッタが自由空間の間隙に隣接して配置され、該シャッタによるビーム経路の中及びこれの外への線形移動が、制御可能なビームの減衰を与える。さらに、表面マイクロマシン加工シャッタが中実コア導波路間の自由空間領域に与えられたVOAデバイスが公知である。こうしたデバイスの不利点は、必要とされる減衰を与えるために、相対的に大きいシャッタの移動レベルを与える必要性があることである。したがって、この種のデバイスは、相対的に、出力に飢えており、自由空間の伝播領域に関連付けられる分散効果は、光損失を増加させることになる。
【0004】
反射表面からの反射により、光が入力光ファイバから出力光ファイバに結合されるVOAデバイスを提供することがさらに公知であり、例えば、米国特許第4516827号明細書、米国特許第5915063明細書、及び米国特許第6137941号明細書を参照されたい。こうしたデバイスにおいては、反射表面の移動(例えば、傾斜)が、入力光ファイバから出力光ファイバに結合される光の量に対する制御を与える。中実コア又は「リブ」入力導波路及び出力導波路を用いて形成された同様なデバイスもまた公知である。
【0005】
米国特許第4516827号明細書、米国特許第5915063明細書、及び米国特許第6137941号明細書に述べられるような反射VOAデバイスは、典型的には、WO01/75503のシャッタ・ベースのデバイスより出力に飢えているものではないが、光ファイバを高度の精度で反射表面に対して位置合わせしなければならない。ビーム減衰についての正確な制御を確実にするためには、さらに、反射素子の移動を正確に制御することが必要である。さらに、こうしたデバイスの堅牢性は低いことがあり、どのような機械的衝撃も、光ファイバに対する反射素子のずれを生じさせ、したがってデバイス性能を減少させることになる。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、前述の不利点の少なくとも幾つかを緩和して、改善されたVOAデバイスを提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、可変光減衰器デバイスは、第1の光導波路と、第2の光導波路と、前述の第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して可変の配向を有する少なくとも1つの可動反射素子とを含み、該デバイスは、使用中、該第1の光導波路により出力される光ビームが該少なくとも1つの可動反射素子から反射され、該少なくとも1つの可動反射素子の配向が、該光ビームが該第2の光導波路に結合される効率を定めるように配置され、該第1及び第2の光導波路は中空コア光導波路であることを特徴とする。
【0008】
したがって、本発明のデバイスは、可動反射素子の配向(すなわち、位置又は角度方向位置合わせ)を用いて、光が第1の光導波路から第2の光導波路に結合される効率を制御する。以下でより詳細に述べられるように、デバイスは、このように、第1の光導波路から第2の光導波路の基本モードに結合される光の量に対して制御を与えることができ、したがって、光の減衰を変化させることを可能にする。
【0009】
本発明のVOAデバイスは、独立型部品であってもよいし、PCT特許出願GB2003/000331に述べられる種類の中空コア平坦光回路(PLC)の一部を形成するものであってもよい。PLC構成においては、光を結合手段に及びここから誘導するために中空コア光導波路を用いることは、典型的には、従来技術の光ファイバ又はリブ導波路デバイスに関連付けられたファイバ端部の反射をなくす。したがって、屈折率整合ゲル又はエポキシ、或いは、反射防止コーティングは、第1及び第2の導波路の表面に必要なく、したがって、デバイスは製造するのに安価になる。さらに、中空コア光導波路を用いることは、デバイスがより高い光出力を取り扱うことを可能にする。
【0010】
中空コアの光導波路構造が生成された場合には、該中空コアは空気で満たされる傾向があることに注目すべきである。しかしながら、このことは、決して本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。中空コアは、任意の流体(例えば、液体又は窒素等の不活性ガス)を含有することもできるし、或いは真空とすることもできる。中空コアという用語は、単に、如何なる固体物質も存在しないコアを意味する。さらに、「光」及び「光学の」という用語は、ここでは、深紫外線から遠赤外線までの波長を有するあらゆる電磁放射線のことを指すように用いられる。実際、当業者であれば、さらに、本発明は、例えば、マイクロ波又はX線放射のような、ほぼあらゆる波長の放射線と併せて用いるように実施することができる。
【0011】
少なくとも1つの可動反射素子が前述の第1及び第2の光導波路の一方に対して制御可能な角度方向位置合わせを有するという利点がある。換言すれば、第1の光導波路と、第2の光導波路と、光を該第1の光導波路から該第2の光導波路に制御可能に結合するための結合手段とを含むVOAが与えられ、該結合手段は、前述の第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して制御可能な角度方向配向を有する可動反射素子を含み、該第1及び第2のヒ導波路は中空コア光導波路である。したがって、本発明のデバイスは、可動反射素子の回転を用いて、第1の光導波路から第2の光導波路への光の結合を制御する。
【0012】
デバイスは、使用中、可動反射素子の角度方向配向の変化が、第2の中空コア光導波路に対する反射された光ビームの実質的な横方向変位を生成しないように配置される。換言すれば、反射された光ビームは、動作中、実質的に、第2の中空コア光導波路の孔に中心を置いた状態のままでいる。このような装置においては、実質的に、光のすべてが第2の中空光導波路に結合され、反射素子の角度方向配向を用いて、該第2の中空コア光導波路に対する光の入射角度を制御し、これにより、ビームが結合される該第2の中空コア光導波路の光学モードを制御する。或いは、デバイスは、さらに、第2の中空コア光導波路の入力孔の中心に対してビームの横方向変位が与えられるように配置することができるという利点がある。どのようなこうした横方向変位も、すなわち、孔形式効果により、第2の中空コア光導波路に結合される光の合計量を制御する。
【0013】
少なくとも1つの可動反射素子は、さらに、又は、或いは、前述の第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して制御可能な位置を有することができる。換言すれば、可動反射素子の位置における変化(例えば、素子の線形並進)を用いて、光学ビームを、異なる角度から第2の光ファイバの入口の方向に及び/又は異なる横方向位置に調節することができる。
【0014】
第1及び第2の光導波路は、共通の基板に形成されるという利点がある。第1及び第2の光導波路を共通の基板に形成することは、光導波路の互いに対する正確な位置合わせを可能にする。
【0015】
可動反射素子もまた、共通の基板から形成することができ、又は、これに位置合わせすることができるという利点がある。例えば、可動反射素子は、共通の基板にモノリシック的に形成されたマイクロ電気機械式システム(MEMS)部品を含むという利点がある。このように、可動反射素子のMEMS部品を、中空コア導波路と同じプロセスで形成することができ、したがって、付加的な処理又はデバイスの組み立てを必要とすることなく、VOAを生成するための単純な方法を与えることができる。或いは、可動反射素子は、共通の基板にハイブリッド的に取り付けられたMEMS部品を含むという利便性がある。具体的には、可動反射部品を共通の基板に形成された位置合わせスロット内に位置合わせ状態で保持することができるという利点がある。
【0016】
このように、本発明は、光ファイバを精密に可動反射素子に位置合わせしなければならないという、米国特許第4516827号明細書、米国特許第5915063明細書、及び米国特許第6137941号明細書に述べられる種類の従来技術のVOAデバイスに見出される問題を緩和する。したがって、本発明は、第1及び第2の光導波路を、これらが可動反射素子と位置合わせされた状態で残ることを確実にする方法で形成することを可能にする。
【0017】
可動反射素子は、反射コーティングを含むという利便性がある。反射コーティングを与える材料は、金、銀、又は銅といった金属層とすることができる。金属は、金属の物理特性により決定される波長帯にわたる、好適に低い屈折率を示すものであり、E.D.Palikによる「the handbook of optical constants」、アカデミック・プレス社、ロンドン、1998年の標準的な教科書では、種々の材料の波長に依存する屈折率についての正確なデータを与える。具体的には、金は、約500nmから2.2μmまでの範囲内の波長において空気の屈折率より小さい屈折率を有し、これは、1400nmから1600nmまでの重要な電気通信バンド内の波長を含むものである。銅は、560nmから2200nmまでの波長範囲にわたり1より小さい屈折率を示し、銀は、320nmから2480nmまでの波長範囲にわたり同様の屈折率特性を有する。
【0018】
金属層を、当業者に知られる様々な技術を用いて堆積することができる。これらの技術には、スパッタリング、蒸着、化学蒸着(CVD)、及び(電気又は無電解)めっきが含まれる。CVD及びめっき技術により、大幅な方向依存性の厚さ変動なしで、金属層を堆積させることが可能になる。回転試料及び/又は源を用いたスパッタリングもまた、さらに均一なカバー範囲を与えることになる。めっき技術は、バッチ(すなわち、多基板並行)処理を行うことを可能にするので、特に有利である。具体的には、正角性にとっては、無電解めっきが好ましい。
【0019】
当業者であれば、金属層を堆積させる前に、接着層及び/又は拡散バリア層を堆積させることができることを認識するであろう。例えば、金を堆積させる前に、クロム又はチタン層を接着層として与えることができる。金を堆積させる前に、白金等のような拡散バリア層を接着層上に堆積させることもできる。或いは、複合接着及び拡散層(窒化チタン、チタン・タングステン合金、又は絶縁層等)を用いることができる。
【0020】
さらに、反射コーティングを、金属、誘電体、又は半導体のいずれか1つ又はそれ以上の層のスタックにより形成することができ、例えば、誘電体スタック又は金属誘電体スタックを形成することができる。如何なる多層スタックについての反射特性も、ある程度は、それらが堆積させられる材料の特性に依存することになる。したがって、基板材料もまた、ベース層を形成することができ、あらゆるこうした多層スタックの一部とすることができる。
【0021】
誘電体スタックの場合には、当業者であれば、誘電体層の光学的厚さがコーティングの反射特性を決定することになる干渉効果を与えることを認識するであろう。誘電体材料は、CVD、又はスパッタリングすなわち反応性スパッタリングにより堆積できる。或いは、誘電体層は、堆積された金属層との化学反応により形成することができる。例えば、銀の層を化学反応させて、ハロゲン化銀の薄い表層を生成することができる。
【0022】
反射コーティングが与えられた場合には、基板を形成するのに用いることができる材料数は、大幅に増加する。例えば、プラスチックの導波路デバイスは、ホット・エンボス又は射出成形を含む技術により製造することができる。この技術は、マスタを形成することに関係する。マスタは、ディープ・ドライ・エッチングを用いて、シリコンのような半導体材料に形成することができる。或いは、マスタは、LIGA又はUV LIGA技術を用いた層の電着により形成することができる。マスタが形成されると、中空コア導波路は、型打ち(すなわち、プレッシング)、又は熱間型打ちによりプラスチック基板に形成することができる。さらに、中空コア導波路をプラスチック基板に形成するのに用いることができるサブマスタを形成するのに適したマスタを製造することもできる。このようにして中空のプラスチック導波路を形成し、反射コーティングで被覆することができる。反射コーティングを保持するプラスチックの中空コア導波路は、プラスチック又はポリマーから形成することもできる。例えば、中空コア導波路は、リソグラフィ処理を用いて「スピン・オン」ポリマー・コーティング(例えば、Microchem.Corporation社から入手可能なSU8)上に形成することができる。
【0023】
反射素子は、少なくとも1つの変形可能ミラーを含むという利点がある。ミラーの変形を用いて、第1及び第2の中空コア光導波路の少なくとも一方に対するミラー表面の角度方向配向を改変させることができる。ミラーの変形を用いて、その焦点距離を変更することができ、及び/又は、反射したビームを第2の中空コア光導波路に対して横方向に変位させることができる。
固定角度方向配向を有する少なくとも1つの付加的な反射素子が与えられ、光学ビームは、次いで、少なくとも1つの可動反射素子と、付加的な反射素子との両方から反射されるという利点がある。付加的な反射素子を備えることは、種々の光回路を実施することを可能にする。例えば、平行な第1及び第2の光導波路が共通の基板に形成される、以下の図2において述べられる種類の回路を実施することができる。結合手段は、さらに、例えば、レンズ、光学フィルタなどのような付加的な光学部品を含むことができる。
【0024】
光(すなわち、光学ビーム)が、実質的に、第1の光導波路から第2の光導波路に誘導されるように、さらに別の中空コア光導波路が与えられるという利便性がある。換言すれば、デバイスは、光学ビームが、実質的に、VOAデバイス全体を通して誘導されるように配置される。このことは、光を、中空コア導波路内で第1及び第2の光導波路間で誘導することは、自由空間の分散からの望ましくないビーム減衰を減少させるため、自由空間間隙を有する従来技術のデバイスに対して有利である。デバイスは、分散効果が比例して大きくなる、小さい直径のビームと併せて用いられる場合に特に利点がある。
【0025】
第1の光導波路は、基本モードで伝播する放射線を結合手段に誘導するように配置されることが好ましい。例えば、第1の光導波路は、基本モードの放射線を優先的に伝播する寸法にすることができる(すなわち、高次モードは、導波路により高度に減衰される)。或いは、第1の光導波路は多モードに対応することができるが、光は、基本モードだけを励起させる方法で、これに結合される。
第2の光導波路は、好ましくは基本モードの伝播に対応する寸法にされるという利点があり、換言すれば、該導波路は、より高次のモードに対して高い減衰係数を有するように配置される。こうしたデバイスにおいては、第2の光導波路に向けられた光は、(i)導波路の基本モードに結合されるか、(ii)導波路の高次モードに結合され、これによって減衰されるか、又は、(iii)導波路から離れるように反射される。第2の光導波路の入口孔に対する光の入射角度を変化させることは(すなわち、可動反射素子の角度配向を変化させることによって)、したがって、導波路の基本モードに結合される光の量を制御する。
【0026】
或いは、第2の光導波路を、多数の光学モードの伝播に対応する寸法にすることができるという利点がある(すなわち、2つ又はそれ以上の光学モードに対して低い減衰係数を有するように配置される)。この場合においては、反射素子の角度方向配向は、ここでも、第2の光導波路の基本モードに結合された光の量を制御する。第2の光導波路の基本モードに結合されない光は、導波路の高次モードに結合されるか、又は、該導波路から反射される。減衰は、第2の(多モード)光導波路を単一モードの光ファイバのような単一モードの導波路に結合することにより達成することができる。基本モードで伝播する放射線だけが、次いで、単一モードのファイバの大幅な減衰なしで伝播する。いずれの高次モードの出力も第2の光導波路内で放散されるか(すなわち、単一モードの光ファイバに入らない)、又は、単一モードの光ファイバ内で減衰される。
【0027】
本発明のVOAデバイスは、さらに、多モードの光ファイバ・システムで動作するように配置することができる。1つのこうした配置においては、第2の光導波路は、これに結合された出力多モード光ファイバより高次のモードで伝播することができるように配置される。例えば、第2の中空コア光導波路は、Nモードの光を伝播するように配置することができ、関連付けられた出力多モード光ファイバは、Mモードの光を伝播するように配置される。MがNより少ない場合には、Mより高次のモードの第2の中空コア導波路を伝播するいずれの光出力も、出力多モード光ファイバに結合されることはなく(及び/又は、出力多モード光ファイバにより高度に減衰される)、したがって、この中に含まれる出力が放散される。
【0028】
このようにして、可動反射素子の角度方向配向の変化が、Mより高次のモードに含まれる光出力が制御されることを可能にし、これによって、デバイスにより付与される減衰が制御される。MがNより少ないか、又は、これに等しい場合には、減衰は、さらに、第2の光導波路に結合される光の合計量を制御するのに十分なだけ反射素子の角度方向配向を改変することにより達成することができる。このいわゆる孔効果は、第2の中空コア光導波路に入らない光の量を制御することを可能にする。
【0029】
第1の光導波路及び/又は第2の光導波路は、テーパされた導波路部分を含むという利点がある。換言すれば、中空コア光導波路の断面寸法は、導波路の長さに沿って変化させることができる。このことは、例えば、第2の光導波路の入口孔が、放射線が出力光ファイバに結合される第2の光導波路の一部とは異なる断面寸法を有することを可能にする。上述のように、導波路の寸法は、所定の横方向又は角度方向位置ずれを有するビームの結合効率を改変する。したがって、テーパされた導波路は、所定の角度方向位置ずれにおけるデバイス減衰に対して制御を与えることができる。
【0030】
デバイスの中空コア光導波路(例えば、第1の光導波路及び/又は第2の光導波路)は、実質的に長方形の(ここでは正方形を含むものとする)断面を有するという利点がある。正方形又はほぼ正方形の断面の中空コア導波路は、損失が実質的に偏光に依存しない導波路を与え、光の偏光状態が不明であるか又は変化する場合に好ましい。導波路をその幅より大きい深さを有するような寸法にすると、偏光に依存する損失が増加するが、導波路を通って伝搬する光の偏光状態が分っている場合には利点になる。長方形断面の導波路は利便性があるが、多くの代替的な導波路形状を採用することができる。例えば、円形、楕円形、ダイアモンド形状、又はV字形状の導波路を形成することができる。
【0031】
中空コア導波路の内面(例えば、第1の光導波路及び/又は第2の光導波路)は、反射コーティングを含むという利便性がある。中空コア導波路の内面に適用される反射コーティングは、金属又は誘電体及び/又は金属のスタック、及び/又は、上述の種類の半導体とすることができる。中空導波路の内面に適用されるいずれのコーティングも、反射素子に適用されるいずれのコーティングと同じであってもよいし、又は、これと異なっていてもよい。
【0032】
第1の光ファイバ取り付け手段は、入力光ファイバを位置合わせ状態で保持するように与えられるという利点があり、該入力光ファイバは、光を第1の光導波路に結合するように配置される。第2の光ファイバ取り付け手段は、さらに、出力光ファイバを位置合わせ状態で保持するように与えられるという利便性があり、該出力光ファイバは、光を第2の光導波路から受け取るように配置される。
【0033】
光ファイバ取り付け手段は、光ファイバを所定の場所にクランプするように配置されたデバイスに形成された位置合わせスロットを含んで、該デバイスの第1及び/又は第2の光導波路の光接続を可能にすることができる。中実コアのファイバの場合においては、バッファ層及びクラッドの両方を保持するために、段付き光ファイバの位置合わせスロットを設けることができる。さらに、中空コア光ファイバのコアとVOAの中空コア導波路との位置合わせは、例えば、ばねクリップ又はマイクロ・グリッパを用いて光ファイバ・クラッドを位置合わせスロット内にクランプすることにより達成することができる。
【0034】
光ファイバのコアと第1及び第2の光導波路との間に効率的な結合を与えるためには、該中空コア導波路の断面は、光ファイバのコアの断面に適したものであるべきである。中実コアのファイバの場合には、クラッドの中への漏洩は、該ファイバにより搬送されるモード幅が実際にはコアの直径より大きいことを意味し、例えば、典型的には、単一モードのガラス・ファイバの10μmの中実コアは、約14μmの直径の合計フィールド幅を有する。ファイバのモード幅が中空コア導波路のものと異なる場合は、レンズ付きファイバを用いて、必要に応じて、光が該中空コア導波路のものとは異なるサイズのコアを有するファイバに/から結合されることを可能にするように光学的フィールドを拡大又は縮小することができる。或いは、個別レンズ(例えば、ボール又はGRINロッド等)を基板に配置し、必要に応じて、ファイバ端部から光学的フィールドを縮小/拡大するのに用いることもできる。中実コアのファイバのファイバ端部は、光損失を減少させるために反射防止コーティングされてもよい。
【0035】
第2の光ファイバ取り付け手段は、単一モードの光ファイバを受け取るように配置されるという利点がある。このように、及び、上述のように、第2の光導波路が多モードの伝播に対応する寸法にされている場合には、可動反射素子の角度方向移動は、光が結合されるモードを変更する。基本モードの光は、単一モードの光ファイバの基本モードに効率的に結合され、高次モードは、第2の光導波路及び/又は単一モードの光ファイバにおいて放散される。
【0036】
デバイスは、ビーム・ダンプ手段を含むことができるという利点を有する。例えば、円形又は螺旋状の中空コア導波路構造を用いて、第2の光導波路に結合されない無駄な光を廃棄することができる。このことは、無駄な光の多数の反射のために導入される雑音の可能性を減少させる。
【0037】
デバイスは、半導体材料からなる基板に形成できるという利点がある。シリコンのような半導体基板をエッチングして、微細加工技術を用いて高精度の中空コア導波路を与えることができる。基板は、例えば、SiGe又は絶縁体上シリコン(SOI)、ガラス上シリコンといった多層ウェーハを含むことができるという利点がある。当業者であれば、微細加工技術が、典型的には、パターンを定めるリソグラフィ・ステップと、これに続いて、該パターンを基板材料上又はこれにおける1つ又はそれ以上の層に変換するエッチング・ステップとを含むことを認識するであろう。リソグラフィ・ステップは、フォトリソグラフィ、X線、又はeビーム・リソグラフィを含むことができる。エッチング・ステップは、イオン・ビーム・ミリング、化学エッチング、又はドライ・プラズマ・エッチング又はディープ・ドライ・エッチング(ディープ・シリコン・エッチングとも呼ばれる)を用いて実行することができる。この種類の微細加工技術は、さらに、スパッタリング、CVD、及び電気めっきのような種々の層堆積技術と適合性がある。
【0038】
半導体材料からなる基板を用いることができるという利点があるが、デバイスは、さらに、様々な代替的な基板上に形成することもできる。例えば、石英、シリカ、又はガラス基板を用いることができる。本発明に用いられる基板は、容易に半導体加工技術をそれに適用させることができるという利便性がある。半導体加工技術は、本来、半導体基板と共に用いるために開発されているが、さらに、基板の半導体特性が必要とされない特定の非半導体基板に適用することもできることに注目すべきである。
【0039】
デバイスは、絶縁体上シリコン(SOI)ウェーハに形成されることが好ましい。(シリコンを含む)特定の半導体材料の場合においては、光は、ウェーハ表面を定める平面に対して平行な又は垂直な方向において、VOAの光導波路から入力及び/又は出力することができることに注目すべきである。
【0040】
デバイスの中空コア導波路構造を形成するために、ベース部分及びリッド部分が与えられるという利便性がある。このような装置は、中空コア導波路を製造するのに利便性ある手段を与え、PCT特許出願GB2003/000331号においてさらに詳細に記載されている。デバイスは、深反応性イオン・エッチングのような微細加工技術により形成されるという利点がある。中空コア導波路は、基板の平面に形成され、すなわち、これらは、光を、基板の平面に対して実質的に平行な平面に誘導するように配置されることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
ここで、本発明を単なる一例に過ぎないものとして、図面を参照して述べる。
図1を参照すると、従来技術のVOA2が示されている。VOA2は、入力光ファイバ4と、出力光ファイバ6と、機械的作動手段10上に取り付けられた反射表面8とを含む。使用中、入力光ファイバ4からの放射線が反射表面8に入射し、反射後、出力光ファイバ6により受け取られる。適切な制御信号を作動手段10に適用することにより反射表面8を傾斜させることで、出力光ファイバ6に結合される反射光の量が改変される。このようにして、可変光減衰が達成される。
【0042】
上述のように、この種の装置は、光ファイバと反射表面との精密な位置合わせを必要とする。こうした位置合わせを取得し、これがVOAの動作寿命中維持されるのを確実にすることは、複雑で費用がかかることがわかる。
【0043】
図2を参照すると、本発明によるVOA20が示される。VOA20は、第1中空光導波路24及び第2中空光導波路26が形成された絶縁体上シリコン(SOI)基板22を含む。さらにリッド部分(図示せず)が与えられ、第1及び第2の中空コア光導波路のチャネルが形成された後でSOI基板22に取り付けられる。
【0044】
第1及び第2の中空コア光導波路24及び26は、多モードの伝播に対応する寸法にされ、基板に沿って互いに平行に延びるように配置される。第1の中実基本モードファイバ(図示せず)を、場合によってはボール又はGRINレンズと併せて用いて、光を第1中空光導波路24の基本モードに結合する。この光は、次いで、第1中空光導波路24から出て、回転可能ミラー28及び固定ミラー30からの反射後、第2の中空光導波路26に結合される。
【0045】
ミラー28の回転(すなわち、いわゆるオフセット角度の変化)は、第2の(多モード)中空コア光導波路において励起することができる種々のモードの各々に結合される相対的な出力を改変させる。ミラー28の適切な角度方向位置合わせは、すべての光出力が基本モードに結合されることを可能にするが、どのような角度方向ずれも、光出力を種々の高次モードに結合させることをもたらす。
【0046】
第2の中実基本モードの光ファイバ(図示せず)が与えられて、第2の光導波路において伝播する光を受け取る。しかし、光は、第2の光導波路の基本モードからの基本モードのファイバにのみ効率的に結合され、高次モードのものは、該基本モードのファイバに結合されることはないし、又は、該ファイバにおいて高度に減衰されて、その中に含まれる光出力はデバイス内で放散される。これにより、第2の中空光導波路の基本モードに結合された光の量を制御することは、第2の基本モードの光ファイバにおいて伝播する光出力に対して制御を与えることがわかる。換言すれば、ミラー28の角度方向配向の変化は、デバイスにより付与されるビーム減衰を制御する。
【0047】
ピボット点31の周りのミラー28の回転は、交互に配置された電極素子29を含む湾曲クシ型静電装置により与えられる。中央ピボット点が示されるが、ピボット点は、ミラーに沿ったいずれの点に配置されてもよい。同様に、作動機構を配置して、ミラーに沿ったいずれの位置で作動させてもよい。当業者であれば、幾多の代替的な種類のマイクロ電気機械式システム(MEMS)部品を用いて、必要とされる移動を与えることができることを認識するであろう。例えば、MEMS作動部品は、電磁気、バイモルフ、圧電、又は電熱のMEMS作動機構(例えば、湾曲ビーム装置)とすることができる。MEMSデバイスの作動技術についてのさらなる詳細及びこれに関連する製造技術は、1997年、CRC Press(Boca Ration)により発行されたMar Madouによる「Fundamental of Microfabrication」ISBN0−8493−9451−1に見出すことができる。
【0048】
図3においては、多モード中空コア導波路の種々のモードへの出力結合効率が、角度方向ずれ

の関数として示される。曲線32は、基本モードに結合された出力を示し、曲線34は、高次モードに結合された光出力を示す。したがって、(例えば、ミラー28を回転させることにより)角度方向ずれを変化させることは、導波路の基本モードに結合される光の割合を精密に制御することを可能にする。さらに角度方向ずれを増加させること、又は、ビームの横方向変位を導入することもまた、ファイバのすべてのモードに結合される合計光出力を減少させる(すなわち、光は第2の中空光導波路から離れるように反射される)。
【0049】
図4を参照すると、本発明の代替的なVOAデバイス40が示されている。図2を参照して述べられたものと同様な特徴は、共通の参照番号により示される。VOA40は、第1の中空コア光導波路24を含み、回転可能ミラー28及び固定ミラー30からの反射後、該第1の中空コア光導波路24から光が第2の中空光導波路42に結合される。第2の中空コア光導波路42は、直線の中空コア導波路部分44と、中空コアのビーム・ダンプ導波路部分46とを含む。
【0050】
使用中、回転可能ミラー28を用いて、第2の中空コア光導波路の直線部分44に対するビームの角度方向ずれを改変させる。デバイス40においては、第2の中空コア光導波路の直線部分44の基本モードに結合されない光出力のほとんどは、ビーム・ダンプ導波路部分46に結合される。
【0051】
図5を参照すると、本発明のさらに別の代替的なVOAデバイス50が示されている。図2及び図4を参照して述べられたものと同様な特徴は、共通の参照番号により示される。VOA50は、第1のテーパされた中空コア光導波路52を含み、回転可能ミラー28及び固定ミラー30からの反射後、該第1のテーパされた中空コア光導波路52から光が第2のテーパされた中空コア光導波路54に結合される。
【0052】
第2のテーパされた光導波路54入口の小さい断面寸法は、角度方向ずれの感度を減少させるが、横方向位置合わせの感度を増加させる。換言すれば、小さい導波路入口を用いることは、ミラー28の回転による角度方向ずれにおける所定の変化について減少したビーム減衰量を有するVOAを与える。したがって、中空コア導波路寸法の選択を用いて、所定のミラー回転について生成される減衰量を選択することができることがわかる。
【0053】
上の図2及び図5を参照して述べられた光学装置は、2つのミラー(一方が固定されている)を用いて、光が180°にわたり送られる装置を示すが、単一の回転可能ミラー又は付加的なミラーを用いて同じ効果を取得できることに注目されたい。換言すれば、当業者であれば、本発明を実施するための幾多の光学的配置を与えることができることを理解するであろう。
【0054】
図6は、どのように、回転可能ミラー84のみからの反射により、光を第1の中空コア光導波路80から第2の中空コア光導波路82に結合できるかを示す。この場合においては、第1及び第2の中空コア光導波路が互いに直交するように配置される。さらに、約90°にわたる反射は必須なものではなく、しかも、光はどのような必要とされる入射角度にも向けることができることに注意されたい。
【0055】
図7を参照すると、シリコン基板92に形成されたさらに別のVOAデバイス90が示されている。VOA90は、第1及び第2の中空コア光導波路94及び96を含む。入力光ファイバ98からの光は、ボール・レンズ100により、第1の光導波路94の基本モードに結合される。この光は、次いで、固定モノリシック・ミラー102から反射され、中空コア光導波路104のさらに別の部分に沿って回転可能ミラー106に向けられる。上述の方法により、ミラー106の回転を用いて、第2の中空コア導波路96の基本モードに結合される光の量を制御する。第2の中空コア導波路96の基本モードからの光は、次いで、第2のボール・レンズ110により、単一モード出力光ファイバ108に結合される。ボール・レンズの代わりに、レンズ付き光ファイバを用いることができる。
【0056】
中空コア光導波路104のさらに別の部分を含むことは、光の自由空間の伝播に関連付けることができるいずれの光損失も減少させることを確実にする。さらに、導波路及びミラーを単一基板上に形成することは、取得することができる位置合わせ精度を増加させる。VOA90を、さらに、他の光学部品(例えば、レーザ、波長フィルタなど)と共に単一基板上に組み込んで、より高度な複雑さをもった平坦な光回路を形成することができる。
【0057】
ビーム減衰を変化させるのに必要とされる実際のミラーの移動は、実際はかなり小さいことに注意されたい。移動量は、図8を参照して示される。
【0058】
図8は、可動反射ミラー124により、直交するように配向された第2の導波路122にリンクされた第1の光導波路120を示す。図3に示すように、スイッチ・オフ角度(すなわち、光が第2の導波路の基本モードに結合されていない角度)が2λ/Wにより与えられる。したがって、W=100μmの導波路幅、及び1μmの光の波長において、ミラーは、十分な減衰を与えるために20ミリ・ラジアンだけ角度を変化させることを必要とするのみである。
【0059】
単純な幾何学的形状は、見積もられるべき必要とされるミラー長さ(L)を、導波路幅(W)の少なくとも√2倍にすることを可能にする。したがって、ビームを十分に減衰させるのに必要なミラー端部に必要とされる変位量は、単純に、√2×λにより与えられる。このことは、ミラーが導波路幅(W)の√2倍であるとし、その中心の周りをピボット移動するように配置される。したがって、1μmの波長を有する光については、ミラー端部は約1.4μmだけ移動させればよい。
【0060】
VOAは、さらに、入力光ファイバから中空コア導波路に入射された入力ビームの「再イメージング」が出力光ファイバ入口付近で生じるように配置することができる。再イメージング現象は、いずれかの場所においてより詳細に説明されており、例えば、PCT特許出願GB2003/000331を参照されたい。すなわち、光ファイバが結合される中空コア光導波路構造を、多モード導波路として作動するように形成することができる。多モード導波路を適切な寸法にすることは、種々のビーム・スプリッティング及び組み合わせ機能を生成し、これによって入力ビームのイメージであるビームを生成することができる。
【0061】
具体的には、長方形又は正方形断面の中空多モード導波路を、該導波路の長さがその幅及び深さに対して適切な関係を有するように設計することにより、対称フィールド、反対称すなわち非対称光学的フィールドの再イメージングを与えるように設計することができる。換言すれば、入力ビームのガウス入力形状は、所定の導波路に沿って特定の距離だけ伝播した後に再イメージ形成される(すなわち再生される)。この効果は、さらに、ビームの複製を生じさせ、すなわち、ビームの多数のイメージが再イメージング長さより短い距離で形成される。この効果は、以前に、米国特許第5410625明細書において述べられており、多モード干渉(MMI)ビーム・スプリッティング・デバイスの基礎を与える。
【0062】
一例として、正方形断面の導波路における対称フィールドは、伝播する放射線の波長にわたり、導波路幅の二乗により与えられる再イメージング長さを有する。対称フィールドの再イメージングは、再イメージング長さ、及び、再イメージング長さの倍数で生じる。再イメージング点の間には、ビーム複製点及び最大フィールド拡張点が見出される。
【0063】
したがって、50.0μm幅の中空導波路及び1.55μmの放射線の場合においては、再イメージング長さは1.63mmである。対称フィールドは、この長さと、さらにこの長さの整数の倍数、すなわち、3.23mm、4.84mmなどで再イメージ形成される。例えば、単一モードの光ファイバからのTEM00ガウス入力ビームは、1.613mmの距離で再イメージ形成される。
【0064】
或いは、非対称光学的フィールドの場合においては、再イメージングは、対称フィールドの再イメージングに必要とされる長さの8倍において生じ、すなわち、50.0μmの中空導波路においては12.09mmで生じる。非対称フィールドの鏡像もまた、この長さの半分、すなわち6.05mmで形成される。具体的には、多モード領域の中心線から入力をオフセットさせることは、該中心線のいずれの側における等価オフセットでガイドに沿った所定の距離で再イメージ形成される非対称入力を与える。
【0065】
導波路の深さ及び幅が実質的に異なる長方形の導波路の場合においては、2つの導波路の断面寸法に関連付けられた再イメージング長さ(例えば、深さ及び幅)自体が異なる。しかし、長方形の中空導波路の寸法間の関係を定めることにより、再イメージングが特定の幅及び深さにおいて同一の長さで生成されるようになり、どのようなフィールドも再イメージ形成できることになる。したがって、対称フィールドは、幅w1及びw2の軸に関連する再イメージング長さを同一に定めることにより、中空長方形導波路において再イメージ形成できる。
【0066】
図8においては、特定の光路長さだけ第2の点128から離された第1の点126が示される。この光路長さが再イメージング距離の倍数であるように選択された場合には(例えば、Nが整数であるものとして再イメージング距離のN倍)、第1の点126における対称フィールドは第2の点128で複製される。このことは、ファイバ端部を第1の点126に有する単一モードの光ファイバからTEM00ガウス入力ビームを第2の点128で複製することを可能にする。出力単一モードの光ファイバの端部が第2の点に配置された場合には、複製されるガウス・ビームは、出力光ファイバに効率的に結合される。したがって、この配置は、ファイバと中空導波路のモードを適合させるために、レンズ・ファイバ又は別個のレンズを用いる必要性をなくす。
【0067】
図9を参照すると、ビームが自由空間領域を通って伝播する本発明のVOAにおいて、どのように再イメージング効果を用いることができるかが示される。図9のVOAは、第1の中空コア光導波路140と、第2の中空コア光導波路142とを含む。可動ミラー144及び定位置ミラー146が与えられて、第1中空コア導波路からの光を第2の中空コア導波路に結合する。
【0068】
再イメージング効果は多数の誘導モードの干渉に基づくものであるが、デバイスは、該デバイスを通る光路内の小さい自由空間領域を含むにもかかわらず、再イメージング効果から利益を得るように配置することができることが見出された。図9は、第1の点d1をもつ光路を有するデバイスを示し、ここでは、TEM00ガウス・ビームが第1の中空コア導波路140内に形成される。光ファイバ端部の端部は、d1に配置するか、又は、d1から再イメージング距離の倍数だけ離れるように配置して、再イメージ形成されたビームがd1に形成されるようにすることができる。第3の点d3と第1の点d1との間の光路長さは、再イメージング距離と等しくなるように定められる。
【0069】
ビームが、再イメージング点に収束する又はこれから発散するとき、導波路の壁と相互作用がない(すなわち、導波路の壁からの反射がない)短い距離がある。換言すれば、再イメージング点のいずれの側の特定の距離にも誘導は必要ない。再イメージング点のいずれの側のこの「誘導なし」長さ(zc)は、およそ、

により与えられ、ここで、λは光の波長であり、wは、多モードのガイド幅(すなわち、第1及び第2の中空コア光導波路の幅)である。
【0070】
第2の点d2は第3の(再イメージング)点d3から誘導なし長さ(zc)だけ離れるように配置される。したがって、この配置は、第1の中空コア導波路から第2の中空コア導波路への自由空間の伝播が再イメージング現象に対してどのような有害な影響もない。したがって、さらに、複数の再イメージング点が、点d3から再イメージング長さの倍数において、第2の導波路に沿って形成される。光は、これらの再イメージング点のいずれにおいても最小の光損失で、光ファイバに容易に結合することができる。
【0071】
図10を参照すると、さらに別のVOAが示されている。VOAは、並進可能ミラー204により、第1の光導波路200が第2の光導波路202に結合された基板198を含む。ミラー204は矢印206により示される方向に、図示される非偏向位置から十分に偏向した位置204’に移動するように配置される。
【0072】
第1の再イメージング点は位置208に配置され、ミラー表面(ミラーが非偏向位置にある場合)は、位置208から再イメージング距離の倍数だけ離れた場所に配置される。このように、光は、上述された方法により、第1の光導波路200から第2の光導波路202に効率的に結合される。
【0073】
非偏向位置から位置204’の方向に離れるミラー204の移動は、第2の光導波路202に入射するビームの横方向変位を生じさせる。さらに、再イメージング効果に関連付けられる増加した結合効率が、さらに減少し、すなわち、ビームは、入口孔付近でさらに拡げられる。したがって、光結合効率は、ミラー204が方向206に移動されるときに減少する。したがって、反射素子の横方向変位は、反射素子の角度方向ずれについて上述されたものと同様なVOA機能を与えることができる。要約すれば、反射素子の角度方向及び/又は横方向の移動は、このように上述の種々の利点を有するVOAを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来技術の光ファイバ・ベースのVOAを示す。
【図2】本発明によるVOAを示す。
【図3】多モード導波路へのビームの結合効率をオフセット角度の関数として示す。
【図4】ビーム・ダンプを含む本発明によるさらに別のVOAである。
【図5】テーパされた入力導波路及び出力導波路を有する本発明によるさらに別のVOAである。
【図6】単一ミラーだけを含む本発明によるさらに別のVOAである。
【図7】中空コア導波路がデバイス全体にわたり光を誘導する本発明によるさらに別のVOAである。
【図8】VOAのすべての中空コア導波路の実施における反射素子の拡大図を示す。
【図9】本発明がどのように、いわゆる再イメージング効果を採用することができるかを示す。
【図10】本発明のさらに別の光学的な配置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光導波路と、第2の光導波路と、前記第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して可変の配向を有する少なくとも1つの可動反射素子とを含む可変光減衰器デバイスであって、前記デバイスが、使用中、該第1の光導波路により出力された光ビームが前記少なくとも1つの可動反射素子から反射され、該少なくとも1つの可動反射素子の配向が、前記光ビームが該第2の光導波路に結合される効率を定めるように配置されており、該第1及び第2の光導波路が中空コア光導波路であることを特徴とする可変光減衰器デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの可動反射素子が、前記第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して、制御可能な角度方向位置合わせを有するようになった請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
使用中、前記可動反射素子の角度方向配向の変化が、前記第2の中空コア光導波路に対する前記光ビームの実質的な横方向変位を生成しないように配置された請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの可動反射素子が、前記第1及び第2の光導波路の少なくとも一方に対して、制御可能な位置を有するようになった請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の中空コア光導波路が共通の基板に形成された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記可動反射素子が、前記共通の基板に形成されたマイクロ電気機械式システム(MEMS)部品を含む請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記可動反射素子が、前記共通の基板に取り付けられたハイブリッドMEMS部品を含む請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記可動反射素子が、前記共通の基板に形成された位置合わせスロット内に位置合わせされた状態で保持された請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記可動反射素子が、反射コーティングを含む前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記可動反射素子が、湾曲反射表面を有する前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記可動反射素子が、少なくとも1つの変形可能ミラーを含む前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
固定配向を有する少なくとも1つの付加的な反射素子をさらに含み、使用中、前記光ビームが前記少なくとも1つの付加的な反射素子と、前記少なくとも1つの可動反射素子との両方から反射されるようになった前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
さらに別の中空コア光導波路が与えられて、光ビームを前記第1の光導波路から前記第2の光導波路に実質的に誘導するようになった前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の光導波路が基本モードで伝播する放射線を優先的に誘導するように配置された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の光導波路が、基本モードにおける放射線の伝播に優先的に対応する寸法にされた前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2の光導波路が、多数の光モードの伝播に対応する寸法にされた請求項1又は請求項14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の光導波路及び/又は第2の光導波路がテーパされた部分を含む前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の光導波路及び/又は第2の光導波路が実質的に長方形断面である前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の光導波路及び/又は第2の光導波路の内面が反射コーティングを支持する前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
第1の光ファイバ取り付け手段が、入力光ファイバを位置合わせされた状態で保持するように与えられて、前記入力光ファイバが、光を前記第1の光導波路に結合するように配置された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
第2の光ファイバ取り付け手段が、出力光ファイバを位置合わせされた状態で保持するように与えられて、前記出力光ファイバが、光を前記第2の光導波路から受け取るように配置された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第2の光ファイバ取り付け手段が単一モードの光ファイバを受け取るように配置された請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
ビーム・ダンプをさらに含む前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項24】
半導体材料からなる基板に形成された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記基板が絶縁体上シリコン(SOI)ウェーハを含む請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第1及び第2の光導波路の前記中空コアがベース部分とリッド部分とで形成された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
微細加工技術により形成された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記微細加工技術が深反応性イオン・エッチングを含む請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記中空コア光導波路が、光を、前記基板の平面に対して実質的に平行な平面に誘導するように配置された前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−500369(P2007−500369A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521649(P2006−521649)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003187
【国際公開番号】WO2005/012968
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(501297550)キネティック リミテッド (57)
【Fターム(参考)】