説明

同期機

【課題】火災の危険を減らすように、同期機および同期機を作動させる方法を開発する。
【解決手段】本発明は、電気的に接続された極巻き線をもつ突極を備える同期機に関する。さらに本発明は、風力発電設備、および風力発電設備の同期機をモニタする方法に関する。同期機は、少なくとも1つの極巻き線を備える複数の極をそれぞれ有するローターを備え、複数の極の極巻き線は、励磁電流が流れる第1の導体により相互に電気的に接続される。所定の信号によって作用されるモニタ導体が、第1の導体に対して実質的に平行に配置され、モニタ導体は、上記信号を検出する信号検出装置と接続され、第1の導体の遮断が生じるとき、モニタ導体の信号変化により遮断が検出され、信号検出装置は制御装置に接続され、制御装置は第1の導体を流れる励磁電流を少なくとも減少させるか、好ましくは切る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に接続された極巻き線を伴う突極を備えた同期機に関連する。本発明は、さらに、風力発電設備および風力発電設備の同期機をモニタする方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
同期機は一般的に知られている。1つの構造の型は、(突)極を備えた回転子または固定子を形成する。ここで、各極は、励磁電流の流れる少なくとも1つの極巻き線を持つ。
【0003】
その点では、すべてのまたは複数の突極の極巻き線は、電気的に接続されている。しかし、極巻き線は個々に製造されて取り付けられているので、接続は、例えば留め金、はんだなどによる適切な接続手段により実施される。例えば機械の作動における振動の結果として、特に上記の接続位置だけでなく、例えば巻き線が損傷した他の場所も、電気的接続を遮断するリスクがある。
【0004】
上記遮断において、大容量電流の結果として、アークが発生する可能性がある。物質の除去のためアークは遮断を強固にして、アーク自体も大きくなって数センチメートルの長さになり得る。この点で、周囲の物質が着火して機械を破壊する炎が発生するリスクがある。
【特許文献1】特開平2−80979号公報。
【特許文献2】実開平5−97098号。
【特許文献3】特開昭53−19578号公報。
【特許文献4】特開平2−95273号公報。
【特許文献5】特開平4−185233号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、火災のリスクを減らすように、同期機と同期機を作動させる方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気的に接続された極巻き線を伴う突極を備えた同期機に関連する、本発明は、さらに、風力発電設備および風力発電設備の同期機をモニタする方法に関連する。上記同期機および方法において、極巻き線の(少なくとも1つの)電気的接続がモニタされて、上記電気的接続の遮断により励磁電流が少なくとも減少して上記目的が達成される。電気的接続のモニタリングにより、遮断が適切なときに認識できる。まわりの物質が着火するリスクが効果的に減るように、励磁電流の減少がアークの発生を防ぐ。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態では、発生する可能性のあるアークを確実に防ぐために、励磁電流は確実に切られる。この方法により、正しい時に遮断と認識されると、アークによる発火を確実に排除可能である。
【0008】
本発明の特に好ましい発展形では、例えば、並列に接続された極巻き線のグループの場合では、遮断が起きたグループのみが切られる。上記作動手順では、上記グループの極巻き線のみがもう電流を供給されないようにするが、同期機が継続して作動可能であるように、励磁電流がまだ他のグループを流れる。
【0009】
遮断が単純な方法で認識可能であるために、および特にアークが単純な方法で認識可能であるために、電気的接続に隣接した導体が、所定の信号により作用し、上記信号の出現がモニタされる。アークが発生すると、上記隣接した導体も上記アークにより遮断される。そのような方法で信号は遮断されて、本発明の方法に従って同期機は適切に制御可能である。
【0010】
機械的構造が可能な限り最も単純な設計構造であるために、上記電気的接続に対して平行にまたは上記電気的接続のまわりをらせん構造で、すなわち電気的接続のまわりを巻かれまたは電気的接続に取り付けられまたは電気的接続に接着された導体(モニタ導体)を提供可能である。
【0011】
本発明の特に好ましい実施の形態では、モニタ導体は導電体であって、例えば通常の被覆銅線である。これは安価に利用可能であって、本発明にしたがって、単純な方法で取り付け可能である。加えて、導電体を使用するとき、複雑さと出費との度合いを低くして、あらかじめ決められる信号が導入可能である。代わりの実施の形態の1つでは、モニタ導体は、光伝導体である。その場合、導体に信号を提供することは、確かに、高い度合いの複雑さを必要とするが、他方では、信号は、導電体に比べて、電磁気的影響に関して鈍感であって、それ故、より高い度合いで干渉から解放される。
【0012】
本発明による方法の作動信頼性および同期機の作動信頼性を増すために、モニタ導体に信号を供給する第1の装置、および、その信号をモニタする第2の装置は、冗長に設置可能である。こうして、構成部品が故障した場合には、その機能は、冗長に存在する構成部品により取って代わられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図を参照して発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は同期機(発電機)の極環(wheel)の1区分を示す簡略図である。参照番号10は突極の個々の極片を示し、参照番号12は突極に配置された極巻き線を示す。
【0015】
極巻き線12は、電気的接続14で直列に接続されて、全ての極巻き線12に同じ電流が流れる。極巻き線は個々に製造されるので、スリーブ16により接続される。
【0016】
図2は、図1から拡大された詳細図であって、2つの極片10をその後方に配置された極巻き線12とともに示している。各極巻き線12の間に、電気的接続14がある。上記接続は、例えば接続スリーブ16またははんだ接続または他の適切な接続により、隣接した極巻き線12の導体に接続位置16で接続されて、極巻き線12が巻かれた、導体14によりなされる。この種の接続位置16は、この図で示された極巻き線12とそれに各々隣接した(図には示されていない)極巻き線12との2つの極巻き線の間で順番にも現れる。しかし、接続位置16は電気的接続14における構造的弱点であるので、特に、例えば、同期機の作動中に起こる振動の結果として、構造的弱点で遮断が起こりうる。
【0017】
電気的接続14のまわりおよび接続位置16のまわりに、らせん構造で巻かれた導体18が示されて、モニタ装置またはモニタ導体として作用する。
【0018】
もし、例えば接続位置16における振動のために遮断が起こるとすると、遮断が最初は非常に小さく励磁電流が相対的に大きいので、アークが発生する。アークにより物質が除去されて遮断を大きくさせる。しかし、アークによる物質の上記除去は導体18も遮断して、適切なモニタの効力により導体18の遮断がモニタされ、それ故、電気的接続14が現在遮断されてアークが生成されたと結論できる。その結果、例えば、アークを消すためにまたそれにより火災の発生を防ぐために、励磁電流を切るなどの適切な手段をとることが可能である。
【0019】
図3は、単純化された方法で、導体18を用いて状態をモニタする1つの可能な方法を示す。導体18は、片方の端が接地電位である。もし導体のもう一方の端がスイッチング装置20(ここではリレー)であるとすると、スイッチが切れるように十分な電圧が供給される。上記リレーは開閉装置22を備えていて、上記開閉装置はリレー20が作動したとき開く。いま導体18の遮断が起こったとすると、リレー20は開放されて開閉装置22が閉じる。この閉じる動作は、例えば接続端子24において下流に接続された装置によりモニタ可能であって、適切に評価される。
【0020】
当然のことながら、リレーは導体18のもう一方の端にも配置可能である。そして、導体は、リレー20が作動する適切な電圧を供給されて、この場合リレー20は、また、当然、導体18が遮断されるとすぐに開放されて、励磁電流が直接に切れる。
【0021】
図4は、図3に示されたモニタシステムの代わりの実施の形態を示す。図4における導体18は光波伝導体すなわち光ファイバーである。ここでは発光ダイオードの形で示される光源30により、光信号が、光波伝導体18に結合される。もう一方の端では光信号が、受光素子32、この例ではフォトレジスタにより受信される。このフォトレジスタはブリッジ回路の構成部品としてもよい。
【0022】
それ故、光源30により放射される光が導体18を伝導する限りでは、受光素子32は与えられた抵抗を有する。もし導体18に遮断があると、光源30から導かれる光はもはや受光素子32に届かなくなって、受光素子はその抵抗に変化が起こる。この方法で導体18の遮断が認識可能である。
【0023】
当然のことながら、受光素子は、例えばフォトトランジスタや他の感光素子であってもよい。
【0024】
直列導体をモニタするシステムの代わりの形は図5に示されている。この場合、入力地点36で励磁電流が流れるのに加えて、小さい振幅の交流電圧および所定の周波数が重ねあわされる。上記交流電流は出力地点38でモニタされる。この点で出力は、例えばキャパシタンスやインダクタンスを生じる。これに関して、図は、キャパシタのプレート40を示す。もう一方のプレートは、例えば、電気的接続14自体で形成できる。
【0025】
キャパシタ40により出力された交流電圧は、もう一度、適切な、下流に接続された回路によりモニタ可能である。もし電気的接続14の遮断が起きると、励磁電流は明らかにアークによりまだ伝送されるが、重ねあわされた交流電圧はもはや伝送されないので、出力地点でもはや出力できない。これは、電気的接続14の遮断を検出可能にする。
【0026】
もし複数の極巻き線が集められて、1つのグループを構成し、そのような極巻き線の複数のグループがあるとすると、各グループにとって、各々自体のヒューズワイヤを含むのは適切である。ヒューズワイヤの遮断が起こると、影響のあるグループの励磁電流のみ減少するか切られ、他のグループはいつもどおり継続して作動可能であり、発電機を継続して作動させるのを可能にする。
【0027】
それ故、もし各極巻き線のグループが各々独自のヒューズワイヤ(当然のことながら適切な入力装置およびモニタ装置と共に)を備えているとすると、それは、極巻き線グループおよび個々のヒューズワイヤを明らかに関連できて、ヒューズワイヤが切断されたとき、極巻き線グループの作動は適切に遮断可能である。もう1つの可能な選択肢は、極環全体の極巻き線の個々のヒューズワイヤを使用することと、ヒューズワイヤの遮断の場合は励磁電流を切ることとを含む。アークを消すことを確実にするために、遮断は、所定の時間、維持されなければならない。上記遮断が終了したとき、適切な励磁電流が再び流れることが可能になる。そして遮断が起きた極巻き線グループのみがそこから除外される。しかしこの処理は、ヒューズワイヤが遮断されたある状況下では作動はヒューズワイヤなしで続けなければならないか、作動の安全性の理由で継続不可能になるかのどちらかであるという短所がある。
【0028】
本発明は、例えば風力発電設備の発電機をモニタするためだけに限定されず、風力発電設備の他の部品にも適用可能である。例えばアーク形成の問題は、極巻き線の遮断に際して起こるだけではなく、発電機により生成される電気エネルギーが、機械のポッドから、通常、パイロンのベースまたはパイロンの外部に配置された電力配電盤へ流れる直流電流バスの遮断に際しても起こりうる。上記直流電流バスは、通常、金属(例えばアルミ)から成っていて、パイロンの内側の壁に固定されていて、パイロンの中を下まで伸びている。風力発電設備の全体の風の負荷の効力によりパイロンも撓む(ポッドのあたりでは、上記撓みは容易に0.5mから2mの範囲の大きさになる)ので、電流バスも同様に撓み、負荷を受ける。最悪のシナリオでは、もし撓みが大きすぎる場合またはもし電流バスがきれいにつながらない場合は電流バスの遮断となりえて、アークが分離した部品間で形成されうる。また、風力発電設備にとても深刻な被害を与える可能性のあるとても強い電力の流れが、上記場所では見られるので、特に接地されたパイロンへ飛ぶように生成されたアークも確かにありうるので、火災の発生も排除不可能である。
【0029】
図6は、ヒューズワイヤをまわりに巻かれた3本のワイヤの電流バスの一部の構造を示していて、ヒューズワイヤをモニタするため図3から5で示されたモニタ装置を使用可能である。もし電流バスで遮断が発生すると、結果としてヒューズワイヤの遮断ともなり、その場合、自己防衛の目的で設備全体が停止してさらに作動しなくなる。特にどのような場合でも、その後の信頼できる作動の継続のために、バス(電流バス)修理されなければならないだけでなく、ある状況下では交換されなければならない。電流バスは、図示された例では、通常、風力発電設備のポッドの中の発電機から、パイロンのベース、または例えばインバータおよび/または変圧器などのパイロンのベースに配置された電気デバイスへ電力を伝えるように作動する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】極環の扇形部分を示す図
【図2】図1から縮尺を拡大された詳細図
【図3】導電体をともなう本発明の第1の実施の形態の導体の簡略図
【図4】光伝導体をともなうモニタシステムの代わりの実施の形態を示す図
【図5】追加の導体をともなわないモニタするシステムを示す図
【図6】ヒューズワイヤがまわりに巻かれた電流バスをともなう風力発電設備の図
【符号の説明】
【0031】
10 突極の個々の極片
12 突極に配置された極巻き線
14 電気的接続
16 接続スリーブ
18 導体
20 スイッチング装置(リレーなど)
22 開閉装置
24 接続端子
30 光源
32 受光素子
34 交流発信機
36 入力地点
38 出力地点
40 キャパシタのプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとそのロータに接続された発電機とを備える風力発電設備であって、前記発電機が前記風力発電設備の運転中に電力を生成し、前記発電機は、少なくとも1つの極巻き線をそれぞれ備える複数の極を有するロータを備える同期機であり、
前記複数の極の前記極巻き線は、励磁電流が流れる第1の導体が前記極巻き線を直列に接続する各電気的接続による接続位置で電気的に接続され、
所定の信号に対するモニタ導体が、前記複数の極巻き線の電気的接続の領域において前記第1の導体に対して実質的に平行かつ隣接して配置され、
前記モニタ導体は前記信号を検出する信号検出装置に結合されるかまたは接続され、
前記第1の導体において前記電気的接続のうちの1つの遮断が生じるとき、前記遮断における励磁電流の結果として電気的アークが形成され、前記電気的アークにより、前記モニタ導体は、前記モニタ導体の信号変化により前記第1の導体における遮断が検出可能になるように、遮断され、
前記信号検出装置が、前記第1の導体を流れる励磁電流を少なくとも減少させるか、または切る制御装置に接続されることを特徴とする風力発電設備。
【請求項2】
前記モニタ導体が、前記第1の導体における電気的接続の周りをらせん構造で巻かれることを特徴とする請求項1に記載の風力発電設備。
【請求項3】
前記モニタ導体が、導電体および/または光伝導体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風力発電設備。
【請求項4】
所定の信号により前記モニタ導体に作用する装置が、冗長の設計であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の風力発電設備。
【請求項5】
前記所定の信号により前記モニタ導体に作用する装置が、所定の信号により前記導体に作用する第1および第2の装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の風力発電設備。
【請求項6】
前記所定の信号により前記モニタ導体に作用する前記第1および第2の装置が、1つの構造ユニットを形成することを特徴とする請求項5に記載の風力発電設備。
【請求項7】
同期機の作動をモニタする方法において、前記同期機は、極巻き線を含む複数の極を備えるロータを有する風力発電設備の発電機であり、前記複数の極の前記極巻き線は、前記極巻き線を介して励磁電流が流れる第1の導体が前記極巻き線を直列に接続する各電気的接続による接続位置で電気的に相互に接続され、
前記方法は、
前記電気的接続に対して実質的に平行かつ隣接したモニタ導体を用いて、前記電気的接続位置をモニタするステップ;
所定の信号により前記モニタ導体に作用するステップ;
前記モニタ導体に所定の信号が存在するか否かをモニタするステップ;
前記励磁電流の結果として前記第1の導体における前記電気的接続のうちの1つの遮断が生じて電気的アークが形成されるとき、前記所定の信号に障害または大きな変化が現れると、前記電気的接続における電気的遮断を認識するステップ;および
制御装置に前記励磁電流を減少させるかまたは完全に切らせるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
並列接続された前記極巻き線にてなる複数のグループが存在するとき、前記方法は、
前記電気的遮断を含む極巻き線にてなるグループでは励磁電流を切るステップと、
前記極巻き線の他のグループでは対照的に前記励磁電流を維持するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記風力発電設備のポッドの位置に配置された発電機から、前記風力発電設備のパイロンのベースの位置まで、発電された電力を流すようになっている電流バスをさらに備え、
前記発電された電力が、電力供給網に供給できるように処理され、
所定の信号により作用されるモニタ導体が、前記電流バスに対して実質的に平行に配置され、
前記モニタ導体(ヒューズワイヤ)は前記信号を検出する信号検出装置に結合されるかまたは接続され、
前記電流バスに遮断が生じると前記モニタ導体においても遮断が生じ、前記遮断は前記モニタ導体の信号変化により検出され、
前記信号を検出する前記信号検出装置が前記電流バスを流れる電流を少なくとも減少させるか、または切るように構成された制御装置に接続されたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の風力発電設備。
【請求項10】
前記モニタ導体が、個々の前記電流バスまたは前記電流バスのグループの周りに巻かれて、実質的に前記電流バスの始点から終点まで平行に延在することを特徴とする請求項9に記載の風力発電設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−54498(P2008−54498A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227803(P2007−227803)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【分割の表示】特願2003−507932(P2003−507932)の分割
【原出願日】平成14年6月6日(2002.6.6)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】