説明

含フッ素重合性単量体およびそれを用いた高分子化合物、反射防止膜材料、レジスト材料

【課題】 高いフッ素含量を有しながら、同一分子内に極性基を持たせることで、幅広い波長領域すなわち真空紫外線から光通信波長域にいたるまで高い透明性と低屈折率性を有し、かつ基板への密着性、高い成膜性、エッチング耐性を併せ持つ新規な重合性単量体およびそれを用いた高分子化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


(式中、R1、R2はCH3またはCF3を表し、R3、R4は水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基、芳香環を有する環状体、または酸脱離基)で表される重合性単量体とその製造方法、それを用いて単独重合した高分子化合物、さらにそれを用いた反射防止材料またはレジスト材料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造すなわちヒドロキシ基またはそれを保護または修飾した置換基含有の新規な含フッ素スチレン系単量体、またはそれを用いて重合または共重合した高分子化合物、さらにその高分子化合物を用いた反射防止用コーティング材料またはレジスト材料に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系化合物は、フッ素の持つ撥水性、撥油性、低吸水性、耐熱性、耐候性、耐腐食性、透明性、感光性、低屈折率性、低誘電性などの特徴から先端材料分野を中心として幅広い応用分野で使用または開発が続けられている。特に、コーティング用途に関して言えば、低屈折率性と可視光の透明性を応用した反射防止膜、紫外線領域(特に真空紫外波長域)での透明性を応用したレジスト材料などの分野で活発な研究開発が行われている。これらの応用分野において共通の高分子設計としては、できるだけ多くのフッ素を導入することで各使用波長での透明性を実現しつつ、基板への密着性、高いガラス転移点(硬度)を実現させようとするものである。
【0003】
しかしながら、材料設計としてフッ素含量を高める工夫により各波長での透明性を高めることは種々提案されているが、フッ素含有単量体そのものに同時に親水性、密着性を高める工夫や高Tgを得る工夫をしている例は少ない。最近になって、特に真空紫外線領域の次世代F2レジスト分野においてヒドロキシ基含有のフッ素系スチレンやヒドロキシ基含有のフッ素系ノルボルネン化合物が発表されたことで、フッ素を含有し、かつヒドロキシ基の極性を共存させる考え方が見られるようになってきた。しかしながら、まだまだ反射防止膜に必要とされる十分な低屈折率が得られてなく、改善するべき要因は多く存在している。したがってこれら既存の化合物が発揮しうる機能は必ずしも充分ではなく、更に優れた高分子化合物を与え得る新規な単量体あるいはその原料の創出が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、高いフッ素含量を有しながら、同一分子内に極性基を持たせることで、幅広い波長領域すなわち真空紫外線から光通信波長域にいたるまで高い透明性と低屈折率性を有し、かつ基板への密着性、高い成膜性、エッチング耐性を併せ持つ新規な重合性単量体およびそれを用いた高分子化合物、さらにはその高分子化合物を用いた反射防止用コーティング材料、レジスト材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、工業的にも使いやすいとされるスチレン系の単量体であって、高いフッ素含量とヒドロキシ基を含有させた特定の化合物として新規な単量体を用いた高分子化合物を合成し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1)の構造を有する含フッ素重合性単量体を提供する。
(式中、R1、R2はメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3、R4は水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基、又は酸不安定基(アルコキシカルボニル基、又はアセタール基)を表す。)。
【0007】
【化8】

【0008】
また本発明は、次の3工程よりなる、一般式(1)で示される含フッ素重合性単量体の製造方法である。
第一工程: 一般式(4)で示されるベンゼン誘導体
【0009】
【化9】

【0010】
をルイス酸またはプロトン酸触媒下、臭化エチルと反応させてエチル化し、一般式(5)で示されるエチルベンゼン誘導体
【0011】
【化10】

【0012】
を製造する工程。
第二工程: 第一工程で得られた一般式(5)のエチルベンゼン誘導体をラジカル開始剤存在下、臭素と反応させて臭素化し、一般式(6)に示す化合物を製造する工程。
【0013】
【化16】

【0014】
第三工程: 第二工程で得られた一般式(6)に示す化合物を熱分解し、一般式(1)に示した化合物を製造する工程。
(式(1)、(4)〜(6)中、R1、R2、R3、R4は、上記式(1)と同じ)。
【0015】
さらに、本発明は、上述の重合性単量体を用いて単独重合された高分子化合物であり、さらには、該高分子化合物を用いた反射防止材料、レジスト材料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る一般式(1)で表される特定のスチレン系単量体は、分子内に2つの含フッ素カルビノール基またはそのヒドロキシル基を種々の官能基で保護された化合物であって、特にレジスト材料として使用する場合は含フッ素官能基あるいは酸不安定性官能基で保護することが可能である。
【0018】
本発明の一般式(1)で示される単量体において、R1、R2はメチル基あるいはトリフルオロメチル基である。構造としてはスチレンのベンゼン環にヘキサフルオロアセトン、トリフルオロアセトンを結合させた構造を有する化合物である。その結合組成比は特に限定されないが、低屈折率や高透明性、特に紫外線波長領域の透明性を高めるためにR1、R2の両方がトリフルオロメチル基であるヘキサフルオロアセトンが結合した構造を有する単量体であることが好ましい。
【0019】
ここで、R3、R4は水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基、芳香環を有する環状体、または酸脱離基であって、酸素原子、カルボニル結合を含んでも良い)。その構造には特に制限されないが、最も簡単で高い透明性を有するヒドロキシ基が基本となる。その上で、使用目的により置換基により修飾できる。かかる目的としては、有機溶媒やアルカリ水溶液への溶解性、高いガラス転移点、ハンダ耐熱性を目的とした架橋反応性、光酸発生剤によるポジ型感光性やエッチング耐性などの特徴を付与させることであり、本発明の応用分野ごとに使い分けることが可能である。
【0020】
炭素数1〜25のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基などが例示できる。フッ素化されたアルキル基は、上記アルキル基の一部または全部がフッ素原子で置換されたものである。また、酸素原子を含むものとして、メトキシメチル(MOM)、メトキシエトキシメチル等の鎖状エーテル基、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル等の環状エーテル基、芳香環を有する環状体としてフェニル基、4−メトキシベンジル基、またカルボニル基を含むものとして、アセチル基、プロピルカルボニル基、ピバロイル基、ヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基(tert−BOC)、ベンゾイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、パーフルオロプロピルカルボニル基、パーフルオロピバロイル基、パーフルオロヘキシルカルボニル基、パーフルオロシクロヘキシルカルボニル基等が例示できる。
【0021】
酸不安定基としては、アルキコキシカルボニル基、アセタール基、シリル基、アシル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としてはtert−ブトキシカルボニル基(t−BOC)、tert−アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基等を例示できる。アセタール基としては、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基などが挙げられ、シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。更に、これらの酸不安定基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものを使用することもできる。
【0022】
本発明の一般式(1)の構造を有する含フッ素重合性単量体は、以下の3工程よりなる製造方法により製造できる。
第一工程: 一般式(4)で示されるベンゼン誘導体
【0023】
【化17】

【0024】
をルイス酸またはプロトン酸触媒下、臭化エチルと反応させてエチル化し、一般式(5)で示されるエチルベンゼン誘導体
【0025】
【化18】

【0026】
を製造する工程。
第二工程: 第一工程で得られた一般式(3)のエチルベンゼン誘導体をラジカル開始剤存在下、臭素と反応させて臭素化し、一般式(6)に示す化合物を製造する工程。
【0027】
【化19】

【0028】
第三工程: 第二工程で得られた一般式(6)に示す化合物を熱分解し、一般式(1)に示した化合物を製造する工程。
(式(1)、(4)〜(6)中、R1、R2、R3、R4は前記と同じ)。
【0029】
これらの3つの工程をスキームに表すと以下のようになる(スキーム中の各一般式において、式中のR1〜R4は前記一般式(1)と同じである)。
【0030】
【化20】

【0031】
以下、各工程について詳細に説明する。
第1工程は、一般式(4)で示されるベンゼン誘導体のエチル化工程であるが、ルイス酸あるいはプロトン酸触媒の存在下、エチル化剤と反応させることにより、一般式(5)で示されるエチルベンゼン誘導体を製造する工程である。
【0032】
エチル化剤としてはエチルブロミド、エチルクロリド、ヨウ化エチル、フッ化エチルなどが使用できるが、エチルブロミドを使用した場合には適度な反応速度が得られることから好適に採用される。エチル化剤の使用量は、原料となるベンゼン誘導体(一般式(4))1モルに対して1倍モル以上使用すればよく、反応速度と目的とするエチル化体(一般式(5))の収率の観点から1.1倍モルから20倍モルの量が好ましく、さらに好ましくは1.5倍モル〜10倍モルの量が使用される。
【0033】
また、使用する酸触媒としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化亜鉛、塩化アンチモン、四塩化チタン、四塩化錫、三フッ化ホウ素、Ti(OCH3)4、Ti(OC254、Ti(OC494、Ti(OCH(CH324、Zn(CH3COO)2・2H2Oなどのルイス酸触媒、フッ化水素、硫酸、燐酸、塩化水素などのプロトン酸触媒などを用いることができる。この中で、ルイス酸触媒を用いた場合に収率よく目的物が得られることから、好ましく採用される。より好ましくは、反応が速やかに進行し、入手も容易な塩化アルミニウムが採用される。
【0034】
酸触媒の量としては、原料となるベンゼン誘導体(一般式(4))1モルに対して0.1mol%から10倍モルの量が使用できるが、0.1mol%より少ない場合には反応速度が遅すぎることと目的のエチル化体(一般式(5))の収率が非常に小さいことから現実的ではなく、また10倍モル以上の酸触媒を加えても収率向上の効果は期待できない。より好ましくは基質に対して1倍モル〜5倍モルの酸触媒が使用され、適当な反応速度と良好な収率が達成される。
【0035】
反応温度は特に限定されないが、通常、室温から100℃の範囲で反応が可能である。反応時間は前述の触媒種、触媒量、反応温度などによって反応速度が変わることから、これに合わせて適宜変更される。実際には、反応中に反応溶液を逐次分析しながら反応を行い、原料が消費されるまで反応することが可能である。反応用の溶媒は特に必要としないが、反応温度の制御や、反応溶液の粘度低下による取り扱い上の利点を利用しようとする目的で、溶媒を加えることは可能である。反応後の処理は特に限定されないが、反応溶液を水または氷水に加えた後、有機溶媒による抽出操作で目的物を取り出す方法やフラッシュ蒸留によって目的物を取り出す方法が可能である。
【0036】
第二工程は、第一工程で製造したエチルベンゼン誘導体(一般式(5))の臭素化であるが、ラジカル開始剤の存在下、臭素を反応させることによって、一般式(6)で示される臭素化体を製造する工程である。また、光によるラジカル臭素化反応も可能である。
【0037】
エチルベンゼン誘導体にラジカル開始剤と臭素を加えて攪拌し、これを加熱することによってラジカル開始剤が分解してラジカルを発生し、ラジカル連鎖反応によってエチル化体のα位が選択的に臭素化される。ラジカル開始剤としては特に限定されないが、アゾ系の開始剤、過酸化物などが使用できる。その中でも、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)が反応を制御させる上で好ましい。ラジカル発生剤の量は特に限定されないが、基質に対して0.001モル%から50モル%の範囲で行われ、反応速度の点から0.1モル%〜10モル%の範囲が適当であり、好ましく採用される。
【0038】
反応温度は用いる開始剤の分解温度に合わせて適宜選択されれば良いが、通常は0℃から50℃の範囲で行われる。また、反応時間は用いる開始剤の種類、反応温度によって異なるが、原料が消費されたところで反応を終了すれば良く、通常は1〜24時間の反応時間で行われる。
【0039】
本工程の反応において、溶媒を用いて反応させることもでき、溶媒を用いる場合には臭素ラジカルと反応しなければ特に制限されないが塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルムなどを用いることができる。
【0040】
光によるラジカル臭素化反応もラジカル開始剤を用いる方法と基本的に類似した方法が可能である。光源としては高圧水銀灯などの紫外線ランプが好ましく用いられ、反応溶液に直接、またはパイレックス(登録商標)ガラス反応器の外側から紫外線を照射することによって発生した臭素ラジカルによる臭素化が可能である。この場合の反応温度は特に限定されないが、反応の制御性の観点から0℃から50℃の範囲が好ましく採用される。
【0041】
第三工程は、第二工程で得られた臭素化体の化合物(一般式(6))を熱分解により脱臭素化し、一般式(1)で示されるスチレン誘導体を製造する工程である。
【0042】
反応装置としては、バッチ式、流通式の何れもが可能であり、得られる生成物の収率、生産性の観点から流通式の加熱装置が好ましく採用される。熱分解による脱臭素化反応は100℃以上で起こることから、臭素化体を100℃に加熱できて生成した化合物をここから取り出せる装置によって反応が成され得る。バッチ式の場合には減圧蒸留装置と同様の装置が使用でき、臭素化体(一般式(6))を系内を100mmHg以下にした蒸留装置に入れて100℃以上に加熱することによって目的のスチレン誘導体(一般式(1))を留去させて取り出すことが可能である。
【0043】
また、流通式の加熱装置の場合は、約500℃に加熱された管状の反応管の一方から臭素化体(一般式(6))を少しずつ導入し、反応管のもう一方から生成したスチレン誘導体(一般式(1))を冷却トラップに導き、捕集することによって得ることも可能である。この場合に、系内を100mmHg以下の減圧に保つことによって、臭素化体の導入が容易になり、反応率も高めることができる。流通式の反応温度は300℃から800℃が好ましく採用され、より好ましくは400℃から600℃の温度で収率よくスチレン誘導体(一般式(1))が得られる。臭素化体の流通式反応装置への導入法は特に限定されないが、縦型の管状炉であれば滴下する方法あるいは一旦気化室で気化させてから導入する方法が可能であり、横型の管状炉の場合には後者の方法が採用できる。
【0044】
次に、本発明による高分子化合物について説明する。本発明の高分子化合物は、一般式(1)、(2)、(3)に示す重合性単量体の単独重合体または共重合可能な他種の単量体との共重合体である。
【0045】
次に、本発明の一般式(7)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0046】
【化21】

【0047】
(式中、R1、R2は一般式(1)と同じ。R5、R6の少なくともどちらか一方に酸不安定性基を含む。酸不安定性基は酸脱離基であって、酸素、カルボニル結合、フッ素を含んでも良い。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。)R5、R6の少なくともどちらか一方は酸不安定性基であり、その酸不安定性基とは酸脱離基であって、酸素、カルボニル結合、フッ素を含んでも良い。酸不安定性基としては、アルキコキシカルボニル基、アセタール基、シリル基、アシル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としてはtert−ブトキシカルボニル基(t−BOC)、tert−アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基等を例示できる。アセタール基としては、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基などが挙げられ、シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。更に、これら酸不安定性基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された官能基を使用することもできる。
【0048】
酸不安性基を使用する目的としては、その酸不安性基によるポジ型感光性および遠赤外線、300nm以下のエキシマレーザー、X線等の高エネルギー線もしくは電子線の露光後のアルカリ水溶液への溶解性を発現させることであり、その官能基にフッ素を持つものは透明性を、環状構造を含むものはエッチング耐性や高ガラス転移点などの特徴をさらに付与させるためで、本発明の応用分野ごとに使い分けることが可能である。
【0049】
次に、本発明の一般式(8)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0050】
【化22】

【0051】
(式中、R1、R2は一般式(1)と同じ。R7,R8の少なくともどちらか一方に酸不安定性基以外の官能基を含む。その官能基は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良い。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。)
7、R8には少なくともどちらか一方に上記の酸不安定性基以外の官能基を含み、その官能基は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良く、その構造に特に制限はないが、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基などが例示できる。フッ素化されたアルキル基は、上記アルキル基の一部または全部がフッ素原子で置換されたものであり、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロメチルエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基などが挙げられる。
【0052】
酸不安性基以外の官能基を使用する目的としては親水性の低減や有機溶媒への溶解性を向上させるためである。その官能基にフッ素を持つものは透明性を、環状構造を含むものはエッチング耐性や高ガラス転移点などの特徴をさらに付与させるためで、本発明の応用分野ごとに使い分けることが可能である。
【0053】
次に、本発明の一般式(1)〜(3)に示す重合性単量体と共重合可能な単量体を具体的に例示するならば、少なくとも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、含フッ素オレフィンから選ばれた一種類以上の単量体との共重合が好適である。
【0054】
本発明で使用できるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしてはエステル側鎖について特に制限なく使用できるが、公知の化合物を例示するならば、メチルアクリレート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はメタクリレート、n‐プロピルアクリレート又はメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はメタクリレート、n‐ブチルアクリレート又はメタクリレート、イソブチルアクリレート又はメタクリレート、n‐ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、n‐オクチルアクリレート又はメタクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、ラウリルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、さらにアクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルコキシシラン含有のビニルシランやアクリル酸またはメタクリル酸エステル、t−ブチルアクリレート又はメタクリレート、3‐オキソシクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、アダマンチルアクリレート又はメタクリレート、アルキルアダマンチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート又はメタクリレート、ラクトン環やノルボルネン環などの環構造を有したアクリレートまたはメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが使用できる。さらにαシアノ基含有の上記アクリレート類化合物や類似化合物としてマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などを共重合することも可能である。
【0055】
また、本発明で使用できる含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステルとしては、フッ素原子を有する基がアクリルのα位またはエステル部位に有したアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであって、α位にシアノ基が導入されていても良い。例えば、α位に含フッ素アルキル基が導入された単量体としては、上述した非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのα位にトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基などが付与された単量体が好適に採用され、その場合のエステル部位には必ずしもフッ素を含有する必要はない。α−トリフルオロメチルアクリル酸アルキルエステルを共重合成分として使用した場合には、重合体の収率が比較的高く、また得られるポリマーの有機溶媒に対する溶解性が良好で好ましく採用される。さらに、α−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチルエステル(以下、TFMA−Bという)を使用した場合には、得られるポリマーが酸分解性能を有してレジスト材料への応用が可能になる。
【0056】
一方、そのエステル部位にフッ素を含有する単量体としては、エステル部位としてパーフルオロアルキル基、フルオロアルキル基であるフッ素アルキル基や、またエステル部位に環状構造とフッ素を共存する単位であって、その環状構造が例えばフッ素やトリフルオロメチル基で置換された含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環、含フッ素シクロヘプタン環等を有する単位などを有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。またエステル部位が含フッ素のt−ブチルエステル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルなども使用可能である。これらの含フッ素の官能基は、α位の含フッ素アルキル基と併用した単量体を用いることも可能である。そのような単位のうち特に代表的なものを単量体の形で例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0057】
さらに、本発明に使用できるスチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物としてはスチレン、フッ素化スチレン、ヒドロキシスチレンなどの他、ヘキサフルオロカルビノール基が一つ又は複数個結合した化合物も使用できる。またトリフルオロメチル基で水素を置換したスチレンまたはヒドロキシスチレン、α位にハロゲン、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレンまたは含フッ素スチレン系化合物なども使用可能である。
【0058】
また、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルエステルなどは、一般的に本発明による一般式(1)、(2)または(3)の単量体との重合反応性が乏しいとされているが、その共重合比により導入することが可能であり、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基を含有しても良いアルキルビニルエーテルであって、その水素の一部または全部がフッ素で置換されていても良い。またシクロヘキシルビニルエーテルやその環状構造内に水素やカルボニル結合を有した環状型ビニルエーテル、またそれらの環状型ビニルエーテルの水素の一部または全部がフッ素で置換された単量体も使用できる。なお、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランについても公知の化合物であれば特に制限なく使用することが可能である。
【0059】
一方、共重合体の相手成分は一般式(1)、(2)または(3)で表される重合性単量体と共重合反応性を有していれば特に制限なく他の重合性単量体を使用することもできる。すなわち、オレフィン、含フッ素オレフィン、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物なども使用できる。
【0060】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなど、フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテンなどが例示できる。
【0061】
ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物は、一核または複数の核構造を有するノルボルネン単量体であって、これらは特に制限なく一般式(1)、(2)または(3)の単量体と共重合することが可能である。この際、アリルアルコール、含フッ素アリルアルコール、ホモアリルアルコール、含フッ素ホモアリルアルコールがアクリル酸、αフルオロアクリル酸、メタクリル酸、本明細書で記載したすべてのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどの不飽和化合物と、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンとのDiels Alder付加反応で生成するノルボルネン化合物で、3−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール等が例示できる。
【0062】
ここで説明した以上の共重合性化合物は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0063】
本発明によれば、一般式(1)、(2)または(3)の単量体の共重合組成比としては特に制限はなく採用されるが、10〜100%の間で選択することが好ましい。さらに好ましくは30〜100%であり、30%未満では応用分野の波長域によっては十分な透明性や成膜性が発現しない。
【0064】
次に、本発明の一般式(9)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0065】
【化23】

【0066】
(式中、R1〜R4は一般式(1)と同じ。R9は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良い。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。)
9は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ
素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良く、その構造には特に制限されないが、好ましいR9を例示するならば、メチル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロエチル基やCn2n+1を有するフルオロアルキル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルネル基、アダマンチル基、ブチルラクトン基、さらにはこれらにヒドロキシ基、ヘキサフルオロカルビノール基を結合させたものが好ましく採用される。つまり、共重合成分のビニルエーテルとして具体的に例示すると、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどをあげることができる。また、パーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロイソプロピルビニルエーテル、パーフルオロブチルビニルエーテル、パーフルオロイソブチルビニルエーテル、パーフルオロ−sec−ブチルビニルエーテル、パーフルオロ−t−ブチルビニルエーテル、パーフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロヘキシルビニルエーテル、パーフルオロオクチルビニルエーテル、パーフルオロドデシルビニルエーテルなどをあげることができる。また、ヒドロキシル基を有するビニルエーテル類でも良く、その例として、ヒドロキシメチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロビルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテルなどがあげられる。
【0067】
ビニルエーテルを共重合成分に使用する目的は、芳香環やカルボニル結合を低減させ、真空紫外線から可視域にいたるまで高い透明性を得るためで、さらに、含フッ素ビニルエーテルや水酸基をもつビニルエーテルを用いることで、更なる透明性の向上や、基板への密着性、高い成膜性等を併せ持つ新規な含フッ素共重合体を提供することにある。
【0068】
次に、本発明の一般式(10)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0069】
【化24】

【0070】
(式中、R1〜R4は一般式(1)と同じ。R10は水素原子、メチル基あるいはトリフルオロメチル基を表し、R11は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、または芳香環を有する環状体であってフッ素、酸素、カルボニル結合などを含んでも良い。R12は水素原子あるいは炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良く、または酸不安定性基でも良い。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。nは1から3の整数を表す。)
10は水素原子、メチル基あるいはトリフルオロメチル基を表し、低屈折率や高透明性、特に紫外線波長領域の透明性を高めるために、R10はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0071】
11は、直鎖または分岐を有しても良いアルキル基、環状構造を有するアルキレン基を表す。例えば、メチレン、エチレン、イソプロピレン、t−ブチレンなどの直鎖または分岐を有するアルキレン基、シクロブテン、シクロヘキサン、ノルボルネン、アダマンタン基などを含有する環状構造など、その構造は制限なく使用することができる。
【0072】
12は、水素原子、および分岐を含んでも良い炭化水素基、含フッ素アルキル基、芳香族や脂肪環を有する環状体であって、酸素、カルボニル等の結合を含んでも良く、または酸不安定基でも良い。その構造には特に制限はないが、最も簡単で高い透明性を有するヒドロキシ基が基本となる。その上で、使用目的により、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基、ベンジル基などの環状を有しても良い炭素数1〜25のアルキル基、また、一部または全部がフッ素原子で置換された含フッ素アルキル基、また、酸素原子を含むものとして、メトキシメチル(MOM)、メトキシエトキシメチル等の鎖状エーテル基、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル等の環状エーテル基、芳香環を有する環状体としてフェニル基、4−メトキシベンジル基、またカルボニル基を含むものとして、アセチル基、プロピルカルボニル基、ピバロイル基、ヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基(tert−BOC)、ベンゾイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、パーフルオロプロピルカルボニル基、パーフルオロピバロイル基、パーフルオロヘキシルカルボニル基、パーフルオロシクロヘキシルカルボニル基等が例示できる。
【0073】
酸不安定基としては、アルキコキシカルボニル基、アセタール基、シリル基、アシル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としてはtert−ブトキシカルボニル基(t−BOC)、tert−アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基等を例示できる。アセタール基としては、メトキシメチル基(MOM)、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基などが挙げられ、シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。更に、これら酸不安定基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものを使用することもできる。
【0074】
ヘキサフルオロアセトンが結合したエステルを共重合成分として導入する目的は透明性を向上させるためで、酸不安定性基の導入はポジ型感光性、遠赤外線および波長300nm以下のエキシマレーザー、X線等の高エネルギー線もしくは電子線の露光後のアルカリ水溶液への溶解性、および光酸発生剤によるポジ型感光性などの特徴を付与させることであり、本発明の応用分野ごとに使い分けることが可能である。
【0075】
次に、本発明の一般式(11)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0076】
【化25】

【0077】
(式中、R1〜R4は一般式(1)、R12は一般式(10)と同じ。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。)
ノルボルネン骨格を有するエステルを導入する目的としては、高いガラス転移点、ハンダ耐熱性を目的とした架橋反応性、エッチング耐性などの特徴を付与させることである。
【0078】
本発明の一般式(12)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0079】
【化26】

【0080】
(式中、R1,R2は一般式(1)、R5,R6は一般式(7)、R9は一般式(9)と同じ。R13は水素原子あるいは、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良い。a、b、cは任意の整数であって、a:b:cは共重合比を表す。)
13は水素原子あるいは、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良く、その構造には特に制限されないが、酸不安定性基以外の官能基である必要がある。
【0081】
含フッ素メタクリル酸エステルを導入する目的は、真空紫外線から可視域にいたるまでの波長で高い透明性を得るためである。
【0082】
本発明の一般式(13)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0083】
【化27】

【0084】
(式中、R1,R2は一般式(1)、R5,R6は一般式(7)、R13は一般式(12)と同じ。R14は水素原子、あるいはメチル基を表す。a、cは任意の整数であって、a:cは共重合比を表す。)
アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを導入する目的は、それらの共重合組成が調製しやすいので、目的の共重合体を容易に得るためである。
【0085】
本発明の一般式(14)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする共重合体について説明する。
【0086】
【化28】

【0087】
(式中、R1,R2は一般式(1)、R5,R6は一般式(7)、R9は一般式(9)と同じ。a、bは任意の整数であって、a:bは共重合比を表す。) R9は炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基であって、芳香環、酸素、カルボニル結合などを含んでも良く、その構造には特に制限されないが、好ましいR9を例示するならば、メチル基、エチル基などのアルキル基、トリフルオロエチル基やCn2n+1を有するフルオロアルキル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルネル基、アダマンチル基、ブチルラクトン基、さらにはこれらにヒドロキシ基、ヘキサフルオロカルビノール基を結合させたものが好ましく採用される。つまり、共重合成分のアリルエーテルとして例示すると、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ベンジルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどがあげられる。ヒドロキシル基を有するアリルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル類、またはアリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテルなどの多価アルコールのアリルエーテルがあげられる。また、エポキシ基を有するアリルエーテルやβ−ケトエステル基を含有するアリルエーテルとしてアセト酢酸アリルなどがあげられる。また、含フッ素アリルエーテルとしては、トリフルオロメチルアリルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルアリルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアリルエーテルなどをあげることができる。さらに、ホモアリルエーテルおよび含フッ素ホモアリルエーテルも共重合成分として可能であり、例示すると3−ブテニルメチルエーテル、3−ブテニルメチルエーテル、3−ブテニルプロピルエーテルや1,1−トリフルオロメチル−3−ブテニルメチルエーテルなどが挙げられる。
【0088】
アリルエーテルを共重合成分に使用する目的は、芳香環やカルボニル結合を低減させ、真空紫外線から可視域にいたるまでの波長で高い透明性を得るためで、さらに、含フッ素アリルエーテルや水酸基をもつアリルエーテルを用いることで、更なる透明性の向上や、基板への密着性、高い成膜性等を併せ持つ新規な含フッ素共重合体を提供することにある。
【0089】
そして、本発明にかかる高分子化合物の重合方法としては、一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、ラジカル重合、イオン重合などが好ましく、場合により、配位アニオン重合やリビングアニオン重合などを使用することも可能である。ここではより一般的なラジカル重合法を説明する。
すなわち、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合または乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式または連続式のいずれかの操作で行えばよい。
【0090】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、とくにアゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化ベンゾイル等が好ましい。
【0091】
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、ラジカル重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素系、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などがある。また水、エーテル系、環状エーテル系、フロン系、芳香族系などの種々の溶媒を使用することも可能である。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。また、メルカプタンのような分子量調整剤を併用してもよい。共重反応の反応温度はラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始源により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に30〜140℃が好ましい。
【0092】
このようにして得られる本発明にかかる高分子化合物の溶液または分散液から、媒質である有機溶媒または水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈殿ろ過または減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0093】
そして、得られる本発明にかかる高分子化合物の数平均分子量としては、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000の範囲が適切である。
【0094】
次に本発明による応用分野について記述する。本発明はコーティング用途を基本としており、通常は本発明の高分子化合物を有機溶媒に溶解させて成膜させることで応用に供する。したがって、使用する有機溶媒としては高分子化合物が可溶であれば特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレンリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤、塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0095】
本発明による反射防止膜としては、本発明による高分子化合物をガラス、プラスチック、液晶パネル、プラズマディスプレーパネル、エレクトロルミネッセンスパネルなどの表面に極薄膜でコーティングしたものであり、単層または他の屈折率を有する薄膜と組み合わせて使用することもできる。反射防止性能を高めるためには高分子化合物の可視光線における屈折率を1.42以下にする必要があり、好ましくは1.4以下である。通常、フッ素含量が高いほど屈折率が低下するが、一方でフッ素含量が高まった場合、基材との密着性が低下する欠点がある。その場合、本発明による一般式(1)または(2)の単量体でR3が水素のアルコール側鎖の単量体を重合することで基材への密着性を高めることが可能である。本発明による反射防止膜の膜厚としては被コート物の屈折率によって異なるが、一般的に500から2000オングストロームの範囲である。
【0096】
本発明によるレジストとしては、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化する高分子化合物および酸発生剤を基本組成に含有するポジ型レジスト組成物が最も好ましい。特に最近の半導体の微細化に対応した248nmKrFまたは193nmArFエキシマレーザーまたは157nmに代表される真空紫外領域のF2レーザー用ポジ型レジストとして好適である。すなわち、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化する高分子化合物は、一般式(1)、(2)のR3、R4が酸不安定基になるようにしたものであるが、その構造は特に制限なく使用可能である。一般的な酸不安定基としては、本発明の一般式(1)、(2)のR3、R4の少なくとも一部にtert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基、メトキシメチルエーテルやエトキシメチルエーテル基などの鎖状エーテル基、環状構造を有するラクトン基構造などを有し酸によってそのエステル部位が切断される官能基である。こういった単量体を用いた高分子化合物は活性エネルギー線が照射される前にはアルカリ性水溶液に不溶もしくは難溶であって、活性エネルギー線を照射したことにより酸発生剤から発生した酸により加水分解されアルカリ性水溶液に対して溶解性を示すようになる。
【0097】
本発明組成物に用いられる光酸発生剤については特に制限はなく、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、ビススルホニルジアゾメタン類、ニトロベンジル誘導体類、オニウム塩類、ハロゲン含有トリアジン化合物類、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物類、その他のオキシムスルホネート化合物などが挙げられる。これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は、高分子化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では像形成性が不十分であるし、20重量部を超えると均一な溶液が形成されにくく、保存安定性が低下する傾向がみられる。
【0098】
本発明のレジストの使用方法としては、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに露光装置などにより、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。
【0099】
本発明の応用分野は、さらに所望により混和性のある添加物、例えば付加的樹脂、クエンチャー、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々添加剤を含有させることができる。
【実施例】
【0100】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0101】
「実施例1」
式(3)に示すスチレン誘導体(3,5−D−HFA−ST)の製造
式(3)に示すスチレン誘導体(以下、3,5−D−HFA−STという)を以下に示す3つの工程に従って合成した。
【0102】
【化29】

【0103】
第一工程:ベンゼン誘導体のエチル化
環流冷却管、滴下ロート、攪拌子を備えた3口フラスコに、式(15)に示すベンゼン誘導体(以下、1,3−Bis−HFABという)100gと無水塩化アルミニウム83gを入れ、50℃のオイルバスで加熱した。滴下ロートにはエチルブロミド133gを入れ、5時間かけて滴下した。反応終了後、反応溶液を500mlの氷水に投入した。下層に沈殿した黒色油状物質を取り出して水で洗浄した。これを減圧下で蒸留して30gの式(16)に示すエチルベンゼン誘導体を得た。
沸点: 80〜84℃/2mmHg、
NMR:1H−NMR(TMS、CDCl3): 1.28(t、7.2Hz、3H)、2.75(q、7.2Hz、2H)、7.66(s、2H)、7.92(S、1H)
第二工程:エチルベンゼン誘導体の臭素化
次に、環流冷却管、滴下ロート、攪拌子を備えた三口フラスコに、第一工程で得られたエチルベンゼン誘導体(式(16))を25g、臭素10g、AIBN0.1gを入れ、60℃のオイルバスで7時間加熱した。反応後、反応溶液を分液ロートに移し、5%のチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。これを減圧下で蒸留して22gの臭素化体(式(17))を得た。
沸点: 110〜115℃/2mmHg
1H−NMR(TMS、CDCl3): 2.07(d、6.8Hz、3H)、5.23(q、6.8Hz、1H)、7.92(s、2H)、8.00(S、1H)
第三工程:臭素化物の熱分解
セラミック製のラシヒリングを充填した内径20mmの石英管を、縦型の電気管状炉内に設置した。石英管の上方には滴下ロートを接続し、下方にはドライアイスとメタノールを混合した冷媒によって冷却したトラップを接続した。さらにトラップの出口は真空ポンプと接続した。滴下ロートには第二工程で得られた臭素化体(式(17))を10g入れ、装置内を約5mmHgまで減圧し、石英管部分を約500℃に加熱した。滴下ロートから臭素化体(式(17))を約0.5g/minの速度で滴下し、熱分解反応で生成した目的のスチレン誘導体(3,5−D−HFA−ST:式(3))を7gトラップに捕集した。1H−NMR(TMS、CDCl3): 3.56(s、2H)、5.40(d、11.2Hz、1H)、5.85(d、17.6Hz、1H)、6.76Hz(dd、17.6Hz、11.2Hz、1H)、7.84(s、2H)、7.96(S、1H)GC−MS(EI法):m/e 436(M+)、367(M+−CF3)。
【0104】
「実施例2〜12」 実施例1で製造した3,5−D−HFA−STあるいはその誘導体を用いて、単独重合または共重合を行い、高分子化合物を製造した。結果を表1に示した。
【0105】
「実施例2」
(3,5−D−HFA−STの単独重合)
環流冷却管、攪拌子を備えた三口フラスコに、3,5−D−HFA−STを10g入れ、重合開始剤としてAIBNを0.2gを入れ、重合溶媒として酢酸n−ブチルを40g入れた。このフラスコを60℃のオイルバスで加熱して20時間反応させた。反応後、反応溶液をn−ヘキサン1Lに投入して攪拌した。生成した沈殿を濾過してとり、50℃で18時間真空乾燥した。得られたポリマーの組成は1H−NMRおよび19F−NMRから、分子量に関して(Mw、Mn、Mw/Mn)はGPC分析(標準ポリスチレン)から求めた。結果を表1に示した。
【0106】
【化30】

【0107】
「実施例3」
(3,5−D−HFA−STと3,5−D−HFA−ST−BOCの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、3,5−D−HFA−ST−BOC(下図参照)を8.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0108】
【化31】

【0109】
「実施例4」
(3,5−D−HFA−STと3,5−D−HFA−ST−TFET、MA−MADの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、3,5−D−HFA−TFET−ST(下記参照)を7.5g、MA−MAD(下記参照)を6.5g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0110】
【化32】

【0111】
「実施例5」
(3,5−D−HFA−STと4−HFA−STの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、4−HFA−ST(下図参照)を6.2g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0112】
【化33】

【0113】
「実施例6」
(3,5−D−HFA−STとMA−HFIPの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、MA−HFIP(下図参照)を5.4g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0114】
【化34】

【0115】
「実施例7」
(3,5−D−HFA−STとTFMA−Bの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、TFMA−B(下図参照)を5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0116】
【化35】

【0117】
「実施例8」
(3,5−D−HFA−STとTFMA−MADの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、TFMA−MAD(下図参照)6.6g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0118】
【化36】

【0119】
「実施例9」
(3,5−D−HFA−ST−TFETとTFMA−Bの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−TFETを10g、TFMA−Bを9.0gを用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0120】
【化37】

【0121】
「実施例10」
(3,5−D−HFA−STとTFMA−BTHB−NB−BOCの共重合) モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、TFMA−BTHB−NB−BOC(下図参照)を5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0122】
【化38】

【0123】
「実施例11」
(3,5−D−HFA−ST−BOCとTFMA−BTHB−NBの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−BOCを10g、TFMA−BTHB−NB(下図参照)を5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0124】
【化39】

【0125】
「実施例12」
(3,5−D−HFA−ST−BOC、TFMA−H−3,5−D−HFA−PH、H−HQ−VEの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−BOCを10g、TFMA−H−3,5−D−HFA−PH(下図参照)を8.5g、H−HQ−VE(下図参照)3.0gを用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0126】
【化40】

【0127】
「実施例13」
(3,5−D−HFA−ST−BOC、TFMA−BとTFE−VEの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−BOCを10g、TFMA−BとTFE−VE(下図参照)を5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0128】
【化41】

【0129】
「実施例14」
(3,5−D−HFA−ST、A−BとHFIBの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、A−B(下図参照)を6.0g、HFIB(下図参照)を5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0130】
【化42】

【0131】
「実施例15」
(3,5−D−HFA−ST−BOC、A−TFE、HFIBの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−BOCを10g、A−TFE(下図参照)を9.0g、HFIBを5.0g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0132】
【化43】

【0133】
「実施例16」
(3,5−D−HFA−ST、A−CN、HFIBの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−STを10g、A−CN(下図参照)を7.2g、HFIBを4.8g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0134】
【化44】

【0135】
「実施例17」
(3,5−D−HFA−ST−MOMとA−OFCPEの共重合)
モノマーとして3,5−D−HFA−ST−MOM(下図参照)を10gとA−OFCPE(下図参照)を10g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0136】
【化45】

【0137】
「実施例18」
(3,5−HFA−ST−MOM、HB−AE、A−OFCPEの共重合)
モノマーとして3,5−HFA−ST−MOMを10g、HB−AE(下図参照)を5.0g、A−OFCPEを10g用い、実施例2と同様の方法で重合を行った。結果を表1に示した。
【0138】
【化46】

【0139】
【表1】

【0140】
「実施例19」
実施例4で得られた高分子化合物100重量部(以下、部という)をメチルイソブチルケトンに溶解させ約30%の固形分濃度になるように調整した。これらをガラス板上に展開させ、50ミクロンのフィルムを作製した。自然乾燥1時間後、100℃の熱風乾燥機で30分、強制乾燥し、架橋反応を促進させた。これらの屈折率をアッベ屈折計で測定したところ、1.376であった。次いで、上記の約30%の溶液に対し、さらに希釈を行いし約2%の濃度になるようにしてからスピンコート法にてガラス基板上に薄膜を形成し、100℃で3分間乾燥したところ膜厚が1030オングストロームであった。得られたガラス板の反射率を測定したところ、650nmの波長域に対し0.9%と高レベルな反射防止性能が見られた。
【0141】
「実施例20」
実施例5、6の高分子化合物をプロピレングリコールメチルアセテートに溶解させ、固形分14%になるように調整した。さらに高分子化合物100重量部に対して、酸発生剤としてみどり化学製トリフェニルスルフォニウムトリフレート(TPS105)を2重量部になるように溶解し、2種類のレジスト溶液を調整した。これらをスピンコートし、膜厚100ナノメータの光透過率を波長157nmにて測定したところ、実施例5、6に対しそれぞれ71%、69%であり、真空紫外域の波長で高い透明性を発現した。
【0142】
次いで、全レジスト溶液を孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、各組成物溶液をシリコンウェハー上にスピンコートし膜厚250ナノメータのレジスト膜を得た。110℃でプリベークを行った後、KrFエキシマレーザー用マイクロスキャナーを用い、248nmでの露光を行ったのち、120℃でポストエクスポーザーベークを行った。その後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間現像したところ、高解像のパターン形状が得られ、現像欠陥もほとんど見られなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の構造を有する含フッ素重合性単量体(式中、R1、R2はメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3、R4は水素原子、炭素数1〜25の直鎖状、分岐状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基、アルコキシカルボニル基又はアセタール基である)。
【化1】

【請求項2】
一般式(2)の構造を有する(式中、R3、R4は一般式(1)と同じ)請求項1記載の重合性単量体。
【化2】

【請求項3】
式(3)の構造を有する請求項1記載の重合性単量体。
【化3】

【請求項4】
次の3工程よりなる、一般式(1)で示される含フッ素重合性単量体
【化4】

の製造方法。
第一工程: 一般式(4)で示されるベンゼン誘導体
【化5】

をルイス酸またはプロトン酸触媒下、臭化エチルと反応させてエチル化し、一般式(5)で示されるエチルベンゼン誘導体
【化6】

を製造する工程。
第二工程: 第一工程で得られた一般式(5)のエチルベンゼン誘導体をラジカル開始剤存在下、臭素と反応させて臭素化し、一般式(6)に示す化合物を製造する工程。
【化7】

第三工程:第二工程で得られた一般式(6)に示す化合物を熱分解し、一般式(1)に示した化合物を製造する工程。
(式(1)、(4)〜(6)中、R1、R2、R3、R4の意味は、前記式(1)と同じ。
【請求項5】
一般式(4)で示される化合物が、1,3−ビス(ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2、または3のいずれか1項記載の重合性単量体を用いて単独重合された高分子化合物。
【請求項7】
請求項6記載の高分子化合物を用いた反射防止用コーティング材料。
【請求項8】
請求項6記載の高分子化合物を用いたレジスト材料。


【公開番号】特開2007−254751(P2007−254751A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106509(P2007−106509)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【分割の表示】特願2002−125505(P2002−125505)の分割
【原出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】