説明

吸収スペクトルを利用して透明物体を同定する方法

【課題】 本発明の目的は、特定の光学的性質を有する透明物体、特に光度検出システムにおいて使用される測定キュベット等の透明物体を同定する、又は透明物体の真偽を試験する方法を提供することである。
【解決手段】 吸収スペクトルを利用して透明物体を同定する、又は透明物体の真偽を試験する方法において、同定される物体は、少なくとも一つのそして好ましくは少なくとも二つの光吸収物質(着色剤)を含有する材料から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明物体を同定し、そしてその結果として物品を偽造又は模倣から保護することを可能とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の真偽を確立することは、製品の海賊行為が増加している観点から、経済上非常に重要である。さらに、特に技術システム内の部品として使用される技術製品又は物品の場合、方法又は装置が誤作動無く機能することを保証するために、その製品が特別な定性的性質を持つこと確保することが必要である。多くの技術分野においては、関連物品又はシステムのメーカーが、物品、スペア部品などの真偽試験を可能ならしめる対策を推進することを要求されるように、特別な品質標準を確保することがさらに必要となる。
【0003】
透明物品が使用される方法の品質に対して、その真偽が極めて重要である透明物品の例には、例えば、光学的検出法において使用されるキュベット、キュベットローター又はミクロ滴定板などの測定セルがある。例えば、凝集パラメータを診断するための臨床的に関連するパラメータを測定するための試験方法は、光度検出システムを利用してしばしば評価される。臨床実験室では、試験方法の自動的実施のみならず、標準化された試験結果の測定も可能とする完全自動化分析装置が主として採用される。自動化された方法が信頼できる試験結果を伝達することを確実にするためには、個々の試験に関わる構成要素の全てが、メーカーによって記載された特定の要件を満たすこと、又はその使用に対して確実に必要な状態にあることが必要である。このことはまた、とりわけ使用されている反応容器又は測定セルに関連し、例えば、その光学的性質が測定されることが意図されている、分析される試料を含有するキュベット、キュベットローター又はミクロ滴定板に対してもいえる。メーカーによって推奨された反応容器は、一般的に、形状、サイズ、層厚などの特定の設計上の性質を有するのみならず、通常、使用されるスペクトル範囲において全く吸収を示さないか、ごくわずかしか吸収しない材料から成る。使用者はそのことにおそらく気づきもしない、反応容器の偽物コピーの使用によって、材料組成の違いに起因して、濁度又は散乱光の測定の際に、大きな相違又は誤差が生じ得るというリスクがもたらされる。その材料の性質故に、測定される被分析物、試料又は反応混合物と相互作用する反応容器によって、さらなるリスクがもたらされる。この問題は、凝集診断法の例を参照すれば特に明確になるであろう:もし、反応混合物と接触することになる反応容器又は測定セルの表面が、凝集の制御不能な活性化が生じるように構成されておれば、凝縮反応の信頼できる測定が実施できない。誤った測定結果と制御不能な反応条件によって、正しくない診断に導かれることがあり得て、最悪の場合、それが当の患者にとって重大な健康上の結末をもたらすこともある。
【0004】
物体又は文書にマーキングをつけ、そして偽造品を検出することを可能とする種々のキャラクタリゼイション法及び対応する光学的同定方法が、従来技術において知られており、その結果、物品が模倣から保護されている。
【0005】
特許明細書DE10155780A1には、保護される物品の生産過程において三次元の複製不可能なランダムパターン、例えば透明プラスチック中に散乱される不透明材料の粒子、を発生させる方法が記載されている。次いで、センサーを利用してこの物理的パターンを走査し、特徴機能として保存する。特許明細書US5,719,939には、特に、透明材料中でゆるく集合させた不織布繊維(フリース)の使用が記載されている。
【0006】
特許明細書EP0772843B1には、保護される物品の生産過程での粗面化によって物体表面上に三次元のマーキングを作る方法が記載されている。次いで、画像又は画像処理システムを利用して、このパターンが解析されて保存される。類似方法が特許明細書DE3216867C2に記載されている。ここでは、デジタル的に測定され解析される不規則性の、トポグラフィー表面特性、高さ及び間隔を利用して、物品が同様に同定される。
【0007】
特許出願書DE4000197A1には、検証のためのトークンと装置が記載されている。このトークンを特性化する機能は、トークン、例えばプリズム的刻面(facet)、反射性刻面又は回折格子の表面における光回折同定である。これらのトークンの妥当性が、回折された光線の位置及び強度を測定する光学センサーを利用して、試験される。
【0008】
物品を特性化し同定する上記方法の致命的な不利点は、マーキングをつけることによって、例えば不透明粒子における散乱又は表面の処理によって、物品の光学的性質が著しく変わる点である。従って、そのような方法は、光学的性質が特定の要件に従う物品の特性化、特に、光学的試験方法の構成部品である透明物品の特性化には適さない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、特定の光学的性質を有する透明物体を同定する、又は偽造品を同定することを可能にする方法を提供することであった。中でも、透明物体の特性化は、第一に、物品の実際の意図された目的を損なわない、第二に、大きな技術的費用をかけずにかつ安価に作ることができ、そして第三に、真似することが困難であるという点で識別されるべきである。
【0010】
本発明との関連において「同定」という用語は、参照物体の特長に関連して物体の同一性を測定することを意味することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、特許請求の範囲に記載されるような本発明の方法と物品を提供することによって達成される。
【0012】
本発明は吸収スペクトルを利用して透明物体を同定する、又は透明物体の真偽を試験する方法に関する。光度検出システムにおいて使用されるキュベット、キュベットローター、ミクロ滴定板又はキャピラリーなどの透明物体は、通常、使用されるスペクトル範囲において全く吸収を示さないか、ごくわずかしか吸収しない材料から成る。本発明によれば、同定される物体は、少なくとも一つのそして好ましくは少なくとも二つの光吸収物質(着色剤)を含有する材料から成る。
【0013】
同定される透明物品を構成する材料は、ガラス又はプラスチックであってよい。本発明の方法は、石英ガラス、特に天然結晶(水晶)を融合した石英ガラス、OH吸収を持たない(例えば、ドイツ、HanauのHeraeus Quaryzgla社製のSUPRASIL(登録商標)300)又は高比率の酸化カリウム又は硼珪酸塩ガラス(例えば、ドイツ、MainzのSchott社製のBorofloat(登録商標))を有するクラウンガラスから成る合成の石英ガラス、から成る透明物体の同定に特に適している。本発明の方法は、さらにプラスチック、特にポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル及びポリエチレンテレフタレートのグループからのプラスチックから成る透明物体の同定に適している。
【0014】
着色剤は、均一に着色された材料が得られるよう、加工前又は加工中にガラス又はプラスチックに添加できる可溶性染料及び/又は不溶性顔料であってよい。もし、同定される透明物品が光学的試験方法において使用されることが意図された測定セルである場合には、着色剤の使用の際に、その光学的試験方法において適切に使用できるよう、測定セルが確実に十分な透過率を有することを確かめておく必要がある。
【0015】
当業者に知られている多数の染料が、同定される透明物品の着色、又は透明材料の着色に使用される。合成染料の最も重要なクラスはアゾ染料である。アゾ染料は一般式R−N=N−R’を有し、ここでNは窒素を表し、RとR’はそれぞれ有機基、好ましくは芳香族炭化水素を表す。アゾ染料は高い耐変色性及び対候堅牢度によって特徴付けられる。それらはしばしば、高分子担体中の染料濃縮物、いわゆるマスターバッチとして入手でき、そして、プラスチック部品、例えばキュベットの製造前に、望みの濃度にてプラスチックコンパウンドに添加される。
【0016】
周知のように、複数の光吸収成分(「着色剤」)の混合物の吸収スペクトルは、個々の成分の吸収スペクトルから付加的に形成される。得られた、混合物の特徴的な吸収スペクトルは、個々の成分の吸収スペクトルとは異なる。このように、透明物体の発明性のある特性化、又は偽造又は模倣からの保護は、その透明物体を製造するために、少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つの光吸収物質を使用することによって、特徴的吸収スペクトルを有する材料を使用する点にある。着色剤の濃度は、好ましくは、光学的検出システムの動的測定範囲を過度に制約しない程度に低く、しかし吸収がまだ信頼できる状態で測定できるよう十分高くなるよう選ばれる。この特性化の特別な利点は、かなり高い努力があって初めて模倣できるという点である。同一の吸収スペクトルを有する材料を製造するために、使用される着色剤の種類と濃度を知らないで、実施することが必要であろう作業のことを考えると、模倣が実際にできなくなるであろう。
【0017】
従って、本発明は、光度検出法における使用に適した、例えばキュベット、キュベットローター、ミクロ滴定板またはキャピラリーの形態をした測定セルに関する。本発明の測定セルは、少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つの光吸収物質(着色剤)を含有する透明材料、好ましくはガラス又はプラスチックから成り、従って、特徴的な吸収スペクトルを有する。この少なくとも一つの光吸収物質は好ましくはアゾ染料である。
【0018】
透明物体を同定する本発明の方法は、さらに、透明物体の吸収が少なくとも二つの異なる波長で測定され、そしてその吸収測定値が、以前に確認された、参照値として保存されている同定される物体の特徴的な吸収測定値と比較されるということにより特徴付けられる。同定される物体の吸収測定値と参照値との比較、つまり、物体の真偽を試験することは、好ましくはいわゆるパターン認識技術を用いて実施される。
【0019】
パターン認識技術は、少なくとも2つの変数、ここでいう吸収測定値を同時に評価することを可能にする多変量評価法である。本発明の方法における使用に適するパターン認識技術の例は、主成分分析(PCA)、クラス類似性のソフト非依存性モデリング(SIMCA)、人工神経網(ANN)、判別分析及びこれらの技術の改良型(例えば、Martens,
H. & T Naes: Multivariate calibration. John Wiley & Sons Ltd, 1989, ISBN 0 471 90979 3; Otto, M.: Chemometrie [chemometry], VCH, 1997, ISBN 3 527 28849 X; Zell, A.: Simulation Neuronaler Netze [simulation of neural networks], Addison Wesley, 1994, ISBN 3 89319 554 8を参照)である。
【0020】
もし、物体で測定された吸収値が、その次元が使用された波長の数に対応する座標系に入力されたとすると、その物体は、その吸収挙動に従ってより高い次元空間の中の規定の位置にあるだろう。全く吸収を示さないかごくわずかしか吸収しない物体は、この空間における座標系の原点の近くにその位置を有することになろう(図1(1)を参照)。同定される物体が参照物体に対して同一であるか異なっているかの決定は、最も単純な場合には、参照物体と同定される物体の間のユークリッド距離又はマハラノビス距離を使用してなされる(Jugulum, R. and Monplaisir, L. [2002] Comparison between Mahalanobis-Taguchi System and Artificial Neural Networks. Quality Engineering 10, 60-73も参照のこと)。
【0021】
同定される物体の位置は、好ましくは単一参照物体の位置のみならず、レファランスクラス(reference class)とも比較される。レファランスクラスは、分散を反映させるために、複数の機器及び複数の関連透明物体のバッチを用いた単一検量の後に得られる、複数の測定の集合体から成る。この比較は、レファランスクラスの重心から同定される物体へと、ポイントを指し示すベクトルを用いて実施される。続いて、このベクトルの絶対値がレファランスクラスの分布に関連して設定され、そして統計的方法、例えば、分散を考慮しつつレファランスクラスの中点からの距離を求めることによって評価される。その結果、同定される物体がレファランスクラスから著しく異なるかどうかの評価が得られる。
【0022】
もし、差異ベクトルの絶対値及びレファランスクラスの分布に加えて、差異ベクトルの方向も考慮されると、同定される物体の不一致が存在する時に、追加情報が見出される。異なる物体は、おそらく偽の光吸収成分又は光吸収成分の偽の濃度を含有する物体であろうし、また、例えば異なる肉厚又は入射光を散乱させる擦傷のような材料欠陥を有する物体であろう。
【0023】
本発明の方法の特別な実施態様は、独自の分布を有するクラスを形成するために同定される複数の同一透明物体のグループの組合せに存在する。「同一透明物体」の用語は、同じ吸収特性を有すべき同一種類の物体のグループを意味することを意図している。もし、例えば、長期測定シリーズの最後の10個の試料が各々組合されて、いわゆるテストクラスと呼ばれるクラスが形成され、そして、その分布を考慮しつつレファランスクラスからの距離が比較されれば、その時は、ランダム変数によって比較的影響されない判定基準が得られる(図1(4)及び(5)を参照)。
【0024】
従って、本発明は、少なくとも一つの光吸収物質を含有する複数の同一透明物体の真偽を試験する方法にも関する。この目的のためには、複数の透明参照物体の吸収が、少なくとも二つの異なる波長で各々求められる。これらの吸収測定値が参照値として保存され、そしてレファランスクラスが参照値から形成される。真偽を試験される物体の各々の吸収が、少なくとも二つの異なる波長で求められる。これらの吸収測定値が保存され、そしてテストクラスが物体の吸収測定値から形成される。続いて、テストクラスの値がレファランスクラスの値と比較される。テストクラスの値とレファランスクラスの値とのこの比較は、好ましくは、多変量評価法を利用して行われる。テストクラスの値とレファランスクラスの値とのこの比較は、距離測定、例えば、ユークリッド距離又はマハラノビス距離のグループから、を用いて実施されてもよい。
【0025】
本発明の方法は、好ましくは自動的に行われる。光学的分析装置における使用が意図される透明反応容器の場合、反応容器の真偽は、好ましくは、試料液又は試験試薬が反応容器に分割注入される前に試験される。反応容器の吸収は、好ましくは、試験される反応容器を通過して光線を発する光源、及び透過光の強度を測定してそれを電気信号に変換する検出器を備えた光度計で測定される。異なる波長での要求される吸収測定が次々に迅速に連続して実施できるよう、λ=220と1000nm、好ましくは、λ=380と900nmの間の如何なる望ましい波長をも供する光度計を使用することが特に好ましい。光源は、回折格子を利用してその光をスペクトル的に分散させる必要がある多色光源であってもよく、又は、例えばレーザーまたは発光ダイオード(LEDs)などの複数の単色光源の組合せを使用してもよい。
【0026】
もし、本発明の真偽試験において、試験される物体の吸収測定値が、レファランスクラスの吸収測定値の事前に確立された受容範囲内にあることが見出されると、その物体はさらなる意図された使用が許容される。しかしながら、もし、試験される物体の吸収測定値が、レファランスクラスの吸収測定値の事前に確立された受容範囲外にあることが見出されると、その物体はさらなる意図された使用が許容されない。
【0027】
本発明は、透明物体の真偽を試験する本発明の方法を自動的に実施できる装置にも関する。そのような装置は、a)透明物体の吸収を少なくとも二つの波長で測定する手段(例えば光度計)、b)その吸収測定値又はデータを保存する手段(例えば半導体メモリー、光学的又は磁気的保存媒体、例えばハードディスク)、及びc)真偽を試験される透明物体の吸収測定値とレファランスクラスの値の比較の実施を制御する手段(例えば、ソフトウエア、コンピュータプログラム、アルゴリズム)、又は複数の同一の透明物体のテストクラスの値とレファランスクラスの値の比較の実施を制御する手段を含むという点において特徴付けられる。
【0028】
好ましい実施態様において、この手段c)は、多変量評価法(例えば、ソフトウエア、コンピュータプログラム、アルゴリズム)を実施するための手段である。
【0029】
この装置は好ましくは測定結果を出力する手段(例えば、電子的表示装置、モニター、データプロッター、プリンター及び/又は遠隔データリンク)も有する。
【0030】
以下の例示用実施態様は、本発明を説明するために供するが、制約と見なすべきではない。
【0031】
実施例1
単色ポリプロピレン(Leitzパンフレットスリーブ;150μm厚の透明PVC硬質フィルム)の着色透明薄膜を、無色透明プラスチックキュベット(Uvette(登録商標)、Eppendorf, Hamburg, ドイツ)の上に接着接合させた。
タイプ1:着色フィルム無し
タイプ2:黄色着色フィルム
タイプ3:赤色着色フィルム
タイプ4:互いの上に重ねた黄色及び赤色着色フィルム
次いで、可視領域のスペクトルを分光計(Perkin Elmer)で記録した(図2を参照)。
【0032】
使用前にキュベットを試験した方法を、タイプ3のキュベットの例を用いて述べる。このために以下のアルゴリズムを使用した:
1.566nmでの吸収測定(右側の矢印を参照)、
2.516nmでの吸収測定(左側の矢印を参照)、
3.以下の条件の場合にのみ、そのキュベットが受容された:
○ A566nm>0.80(図2における補助線を参照)かつ
○ A566nm<0.90(図2における補助線を参照)かつ
○ A516nm>0.65(図2における補助線を参照)かつ
○ A516nm<0.75(図2における補助線を参照)。
その他の場合は、そのキュベットが拒否された。
【0033】
タイプ3のキュベットにおける凝集反応を測定するために、このキュベットを最初37℃に加熱し、そして正常血漿を75μL及び等張食塩水を150μL、キュベットにピペットで加えた。次に、プロトロンビン時間試薬(Innovin(登録商標),Dade Behring Marburg社,Marburg、ドイツ)を450μL添加し、そしてこの反応を405nmで連続して測定した。凝集反応は、たとえ着色したキュベット中でも問題なく測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】二つの変数を用いたパターン認識の原理を示す。A(λx)は波長λxで同定される物体の吸収に対応する。A(λy)は波長λyで同定される物体の吸収に対応する。(1)レファランス(×)への原点ベクトルとランダム試料(丸印)。無色の標準キュベットがランダム試料として使用された。(2)レファランスクラスの重心からランダム試料へのベクトルは、原点ベクトルの長さを有し、そして原点の方向を指し示す。(3)レファランスクラスから、他の光吸収成分(「着色剤」)を使用した時のランダム試料(四角印)へのベクトル。(4)レファランスクラスとランダム試料クラスの比較。ランダム試料クラスにおける他の着色剤。(5)レファランスクラスとランダム試料クラスの比較。ランダム試料クラスのキュベットのより薄い肉厚又は着色剤の異なる濃度。
【図2】3つの異なる着色のプラスチックキュベットの吸収スペクトルを示す(実施例1を参照)。黄色のフィルム(タイプ2):点線;赤色のフィルム(タイプ3):一点鎖線;黄色及び赤色のフィルム両方(タイプ4):実線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光度検出システムにおいて使用するための透明材料から成る測定セルであって、その透明材料が少なくとも一つの光吸収物質を含有することを特徴とする測定セル。
【請求項2】
透明材料が少なくとも二つの光吸収物質を含有することを特徴とする、請求項1記載の測定セル。
【請求項3】
少なくとも一つの光吸収物質がアゾ染料であることを特徴とする、請求項1または2に記載の測定セル。
【請求項4】
透明材料がプラスチックであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の測定セル。
【請求項5】
透明物体の真偽を試験する方法であって、その透明物体が少なくとも一つの光吸収物質を含有し、以下の工程:
a)複数の透明参照物体の吸収を各々少なくとも二つの異なる波長で測定し、その吸収測定値を参照値として保存し、そしてレファランスクラスを形成する;
b)真偽が試験される透明物体の吸収を、工程a)において使用した波長で測定する;
c)真偽が試験される透明物体の吸収測定値をレファランスクラスの値と比較する;
を特徴とする試験方法。
【請求項6】
複数の同一の透明物体の真偽を試験する方法であって、その透明物体が少なくとも一つの光吸収物質を含有し、以下の工程:
a)複数の透明参照物体の吸収を各々少なくとも二つの異なる波長で測定し、その吸収測定値を参照値として保存し、そしてレファランスクラスを形成する;
b)真偽が試験される透明物体の吸収を、工程a)において使用した波長で測定する; その吸収測定値を保存し、そしてテストクラスを形成する
c)吸収テストクラスの値をレファランスクラスの値と比較する;
を特徴とする試験方法。
【請求項7】
真偽が試験される透明物体が少なくとも二つの光吸収物質を含有する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
真偽が試験される透明物体がアゾ染料グループからの少なくとも一つの光吸収物質を含有する、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
吸収測定が、220から1000nmの範囲の少なくとも二つの異なる波長で実施される、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
参照物体の数が使用される波長の数より大きい、請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
真偽が試験される透明物体の吸収測定値が、距離測定を用いてレファランスクラスの値と比較される、請求項5及び8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
真偽が試験される透明物体の吸収測定値が、距離測定を用いてレファランスクラスの値の重心と比較される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
テストクラスの値が、距離測定を用いてレファランスクラスの値と比較される、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
テストクラスの値が、距離測定を用いてレファランスクラスの値の重心と比較される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
距離測定が1)ユークリッド距離及び2)マハラノビス距離のグループから選ばれる、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
真偽が試験される透明物体の吸収測定値が、多変量評価法を利用してレファランスクラスの値と比較される、請求項5及び7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
テストクラスの値が、多変量評価法を利用してレファランスクラスの値と比較される、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
多変量評価法が、主成分分析(PCA)、クラス類似性のソフト非依存性モデリング(SIMCA)、人工神経ネットワーク(ANN)、マハラノビス―田口システム(MTS)のグループから選ばれる、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
物体又は物体類がガラス又はプラスチックから成ることを特徴とする、透明物体又は複数の同一の透明物体の真偽を試験する、請求項5〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
物体又は物体類が、天然石英ガラス、合成石英ガラス及び硼珪酸塩ガラスのグループからのガラスから成ることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項21】
物体又は物体類が、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル及びポリエチレンテレフタレートのグループからのプラスチックから成ることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項22】
一つ又はそれより多くの同一の測定セルの真偽を試験する、請求項5〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
一つ又はそれより多くの同一のキュベットの真偽を試験する、請求項5〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
一つ又はそれより多くの同一のキュベットローターの真偽を試験する、請求項5〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
一つ又はそれより多くの同一のミクロ滴定板の真偽を試験する、請求項5〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
a)透明物体の吸収を少なくとも二つの波長で測定する手段、
b)その吸収測定値を保存する手段、及び
c)真偽が試験される透明物体の吸収測定値とレファランスクラスの値の比較の実施を制御する手段、
を含む、請求項5記載の透明物体の真偽を試験する方法を自動的に実施するための装置。
【請求項27】
真偽が試験される透明物体の吸収測定値とレファランスクラスの値の比較の実施を制御する手段が、ソフトウエアに搭載されている請求項26記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−14718(P2009−14718A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−168116(P2008−168116)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(398032751)デイド・ベーリング・マルブルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】