哺乳動物の皮膚のケアのためのシクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の二重の阻害薬の製剤
本発明は、皮膚に伴う疾患および状態の予防および治療に使用するための、化合物の2つの特定のクラス−−フリーのB環のフラボノイドおよびフラバン−−の混合物で構成されるここで問題とする新規組成物を提供する。ここで問題とする本組成物は、正常な、加齢の、および損傷を受けた皮膚の細胞および組織におけるシクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の酵素活性を同時に阻害する。本発明はさらに、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)により仲介される疾患および状態の予防および治療のための方法を提供する。皮膚のCOX−2および5−LOを介した疾患および状態を予防および治療するための方法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または、好ましくは植物のスクテラリア 属およびアカシア属の単一の植物または複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、および医薬的におよび/または美容的に受容可能な担体を包含する組成物の療法的有効量を、局所的に投与することで構成される。最後に本発明は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ (wrinkles)、皮膚のたるみ、目の周囲のしわ(lines)およびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した疾患および状態の予防および治療のための方法を提供する。当明細書に記載する組成物の使用はまた、弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさという利点を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)により仲介される疾患および状態の予防および治療のための方法に関する。具体的には本発明は、COXおよびLOX経路により仲介される皮膚の疾患および状態の予防および治療に使用するための、化合物の2つの特定のクラス−−フリーのB環のフラボノイドおよびフラバン−−を混合したものの混合物で構成される、ここで問題とする新規組成物に関する。本発明に含まれるのは、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ (wrinkles)、皮膚のたるみ、目の周囲のしわ(lines)およびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した疾患および状態の予防および治療のための方法である。当明細書に記載する組成物の使用はまた、弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさという利点を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(発明の背景)
日光は、早発性老化、皮膚癌、およびホストのその他の皮膚の変化、例えば紅斑および皮膚の黒化の原因となる、皮膚への著明な影響を有する。日光が原因となる損傷の大半は、200nmから400nmの波長を有する紫外線(UV)放射による。紫外線の放射は波長に依存して3つの分類、UVA、UVBまたはUVCに分けられる。320−400nmの範囲の波長を有するUVAは、皮膚の黒化および軽度の日光皮膚炎の原因となり得る。290−320nmの範囲の波長を有するUVBは、日光皮膚炎の原因となり色素沈着を刺激し得る。100−290nmの範囲の波長を有するUVCは損傷の原因となり得るが皮膚の黒化の原因とはならない。UV放射への皮膚の暴露は、二段階の反応を誘導する。したがって最初の暴露で即時の紅斑の反応が起こるが、これは30分以内に消失する弱い反応である。遅れての紅斑の反応は暴露の2−5時間後に起こり、10−24時間位にピークになる。増強されたプロスタグランジンおよびロイコトリエンの産生が、UV、日光、および化学的/熱的原因の紅斑に関する作用の主な機序である(Wang (2002) Adv. Dermatol. 18: 247)。
【0003】
細胞膜からのアラキドン酸(AA)の遊離および代謝は、いくつかの異なる経路により前炎症代謝の生成をもたらす。論証できることとして炎症への最も重要な経路の2つは、酵素のリポキシゲナーゼ(LOX)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)により仲介される。これらは各々ロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成をもたらす平行する経路であり、炎症応答の開始および進行に重要な役割を担っている。これらの血管に作用する化合物は走化性因子(chemotaxin)であり、双方とも炎症細胞の組織内への浸潤を促進し、炎症応答の長期化を助長する。結果的にはこれらの炎症の仲介物質の生成の原因となる酵素を本発明の標的として、疾患および状態、例えば日光による熱傷、熱による熱傷、湯焼、ざ瘡、局所的創傷、紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、および哺乳類の他の皮膚癌の生理学的および病理学的過程に寄与する双方の経路に起因する炎症の二重の阻害を目的とする、局所的に投与する療法薬を開発した。
【0004】
COX酵素の阻害は、ほとんどの非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による作用機序である。COX酵素の2つの別個のアイソフォーム(COX−1およびCOX−2)があり、およそ60%の配列の相同性を共有するが、発現の概要および機能は異なる。COX−1は生理学的に重要なプロスタグランジンの産生にリンクしていた酵素の構成的な形であり、正常な生理学的機能、例えば血小板の凝集、胃における細胞機能の保護、および正常な腎臓機能の維持を調節する手助けをする(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36: 109-26)。第2のアイソフォームであるCOX−2は、前炎症のサイトカイン、例えばインターロイキン−1β(IL−1β)およびその他の成長因子により誘導され得る酵素の形である(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-56; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25: 249-65)。このアイソフォームは、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を触媒する。COXを阻害することが、従来のNSAIDの抗炎症活性の要因となる。
【0005】
COXおよびLOXに対して二重の特異性を示す阻害薬は、アラキドン酸代謝の複数の経路を阻害するという明確な利点を有することになるだろう。このような阻害薬はプロスタグランジン(PG)の炎症効果、ならびに複数のロイコトリエン(LT)の炎症効果を、それらの産生を制限することにより遮断することになる。この効果には、アナフィラキシー遅延反応物質としても知られるPEG2、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張、血管透過性および白血球走化性の効果を含む。これらの内、LTB4が最も強い白血球走化性および化学運動性の効果を有する。(Moore (1985) Prostanoids: pharmacological, physiological and clinical relevanceにて、 Cambridge University Press, N.Y., pp. 229-230)。
【0006】
COX阻害薬の作用機序は、ほとんどの従来のNSAIDの作用機序にオーバーラップするため、COX阻害薬は、炎症が決定的な役割を担う一過性の状態および慢性疾患における炎症に伴う疼痛および腫脹を含む多くの同様の症状を治療するために使用される。一過性の状態には、軽症の擦傷または接触性皮膚炎に伴う炎症、ならびにプロスタグランジンおよびロイコトリエン経路に直接関連付けられる皮膚の状態、例えば皮膚の色素増加症、加齢性色素斑、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、および哺乳類のその他の皮膚癌の治療を含む。COX阻害薬の使用は、疾患、例えば全身性紅斑性狼瘡(SLE)(Goebel et al. (1999) Chem. Res. Toxicol. 12: 488-500; Patrono et al. (1985) J. Clin. Invest. 76: 1011-1018)、ならびにリウマチ性の皮膚の状態、例えば強皮症を含むまでに拡大してきた。COX阻害薬はまた、リウマチ由来ではない炎症性の皮膚の状態、例えば乾癬の軽減のためにも使用され、これらの場合プロスタグランジンの過剰産生に起因する炎症を低減することで、直接的な利益を提供することができる。(Fogh et al. (1993) Acta Derm Venerologica 73: 191-193)。近年、全身性硬化症の患者の皮膚における5−リポキシゲナーゼの過剰発現が報告された。このことから、LOX経路が全身性硬化症の病因において有意であると考えられ、有効な治療標的を意味すると考えられるという示唆が導かれた。(Kowal-Bielecka (2001) Arthritis Rheum. 44(8): 1865)。最後に、アレルゲン注入部位でのCOX−2および5−LOX双方の増加した酵素活性は、皮膚のアレルギー性応答の早期および後期双方の段階の症状を治療するために、二重のCOX/LOX阻害薬を使用することの可能性を示唆する。(Church (2002) Clin. Exp. Allergy. 32(7): 1013)。
【0007】
選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬の局所塗布は、急性および長期的暴露双方の後のUVBを介した皮膚の炎症を抑制することが示された。加えて浮腫、真皮の好中球の浸潤および活性化、PGE2レベル、および日光皮膚炎の細胞の形成は、COX阻害薬の局所塗布により低減された。(Wilgus (2000) Prostaglandins Other Lipid Mediat. 62(4): 367)。COX阻害薬のセレブレックス(Celebrex)(登録商標)は、全身投与 (Wilgus et al. (2002) Adv. Exp. Med. Biol. 507: 85)、および局所的投与(Wilgus et al. (2000) Prostaglandins Other Lipid Mediat. 62: 367)した場合に、UVに誘発される炎症の効果を低減することが示された。動物モデルにおいて、公知のCOX阻害薬であるアスピリンおよび様々なリポオキシゲナーゼ阻害薬は、UV照射に起因する炎症および血管抑制に対して血管保護活性を示した(Kuhn (1988) Biomed. Biochim. Acta. 47: S320)。急性および長期的な慢性的UV暴露は、真皮表面におけるコラーゲンの変性および異常なエラスチンの蓄積を特徴とする皮膚の損傷および日光による老化の原因となる。二重のCOX/LOX阻害薬を使用して、走化性因子−プロスタグランジン(PG)の血管拡張、血管透過性、白血球走化性、ならびに複数のロイコトリエン(LT)のこれらの作用を有意に低減することにより、炎症性浸潤を原因とするコラーゲンの変性を予防および治療することができる。(Bosset (2003) Br. J. Dermatol. 149(4): 826; Hase (2000) Br. J. Dermatol. 142(2): 267)。加えて口の皮膚における化学的に誘発される酸化的ストレスを、COXおよびLOXの阻害薬を別々に投与することにより阻害し、白血球の接着、浸潤およびH2O2の生成を低減することができる。(Nakamura (2003) Free Radical Biol. Med. 35(9): 997)。
【0008】
抗炎症薬としてのそれらの使用に加えて、COX阻害薬のもう1つの可能性のある役割は癌の治療におけるものである。COXの過剰発現が様々なヒトの悪性腫瘍で示されており、COXの阻害薬が皮膚の腫瘍を有する動物の治療に効能があることが示された。作用機序は完全には理解されていないが、COXの過剰な発現がアポトーシスを阻害し、腫瘍形成の細胞のタイプの侵襲性を増加することが示された。(Dempke et al. (2001) J. Can. Res. Clin. Oncol. 127: 411-17; Moore and Simmons (2000) Current Med. Chem. 7: 1131-1144)。アップレギュレーションしたCOXの産生は、皮膚の光線性角化症および扁平上皮癌の生成に関係していた。COXの増加した量はまた、DNA損傷により産生される病変にも見出された。(Buckman et al. (1998) Carcinogenesis 19: 723)。このためCOXの発現またはタンパク質機能をコントロールすることは、炎症応答そして結果的には癌への進行の低減をもたらすものと思われる。事実COX阻害薬、例えばインドメタシンおよびセレブレックス(登録商標)は、UVに誘発される紅斑および腫瘍形成の治療に有効であることが見出された。(Fischer (1999) Mol. Carcinog.25: 231; Pentland (1999) Carcinogenesis 20: 1939)。近年、リポオキシゲナーゼの過剰な発現はまた、表皮の腫瘍の発症(Muller (2002) Cancer Res. 62(16): 4610)および黒色腫の発癌(Winer (2002) Melanoma Res. 12(5): 429)に関連することが示された。リポオキシゲナーゼ経路から生成されるアラキドン酸(AA)の代謝は、シグナル伝達に関連する腫瘍の成長に重要な役割を担っており、リポオキシゲナーゼ経路の阻害が癌の進行を予防するための有効な標的であるはずであることを示唆する。(Cuendet (2000) Drug Metabol Drug Interact 17(4): 109; Steele (2003) Mutat Res.523-524: 137)。このように二重のCOX/LOX阻害活性を有する療法薬の使用は、癌の化学的予防において有意な有利性を提供する。
【0009】
プロスタグランジンおよびロイコトリエンはまた、創傷、熱傷、湯焼、ざ瘡、細菌感染、皮膚炎、および多くの他の皮膚の疾患および状態の、生理学的および病理学的過程においても重要な役割を担っている。有意に上昇したシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの活性を伴う、熱的または化学的熱傷後の前炎症カスケードの活性化は十分に実証されており、多臓器不全をもたらすかもしれない、続いて起こる重篤な症状および免疫機能不全の発症に重要な役割を担う。(Schwacha (2003) Burns 29(1): 1; He (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(1): 58)。
【0010】
ざ瘡は、皮脂産生の異常、小胞性の上皮剥離、細菌増殖および炎症を伴う毛包脂腺単位の疾患である。ざ瘡の炎症の特性は偏光写真により検出し、ざ瘡の範囲の評価および治療の有効性の決定も含む臨床的診断に利用することができる。(Phillips (1997) J. Am. Acad. Dermatol. 37(6): 948)。ざ瘡の予防および治療のための現行の療法薬は、レチノイドのような抗炎症薬、抗生剤およびホルモン剤を含む。(Leyden (2003) J. Am. Acad. Dermatol. 49(3 Suppl): S200)。抗炎症薬、例えばレチノイド (Millikan (2003) J. Am. Acad. Dermatol. 4(2): 75)およびCOX阻害薬であるサリチル酸(Lee (2003) Dermatol Surg 29(12): 1196)の局所塗布は、ざ瘡の治療のための有効で安全な療法として臨床的に示された。加えて非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用は、ざ瘡、乾癬、日光による熱傷、結節性紅斑、クリオグロブリン血症、スイート症候群、全身性肥満細胞症、蕁麻疹様血管炎、皮斑様血管炎、および結節性脈管炎を含む一般的なおよび一般的はでない皮膚病用の療法薬として、十分に実証されている。(Friedman (2002) J. Cutan Med. Surg. 6(5): 449)。
【0011】
フラボノイドまたはバイオフラボノイドは広く分布している天然の生成物の群であり、抗菌、抗炎症、抗アレルギー、突然変異抑制、抗ウイルス、抗新形成、抗トロンビン、および血管弛緩の活性を有することが報告されている。この化合物の群に共通する構造ユニットは、以下の一般構造式:
【0012】
【化1】
【0013】
により示すような3−炭素環の両サイドに2つのベンゼン環を含む。この3環の一般構造に結合する、ヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基の多様な組み合わせが、フラバノール、フラボノン、フラバン−3−オル(カテキン)、アントシアニン、およびイソフラボンを含む、フラボノイドの多様なクラスを形成する。
【0014】
フリーのB環のフラボンおよびフラボノールは、フラボノイドの特定のクラスであリ、これらは以下の一般構造:
【0015】
【化2】
【0016】
により示すように、芳香族のB環に置換基を有していない(当明細書においてフリーのB環のフラボノイドと言う)、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0017】
フリーのB環のフラボノイドは比較的稀である。合成されたまたは天然の材料から単離された9,396のフラボノイドの内、わずか231のフリーのB環のフラボノイドが知られているに過ぎない(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーのB環のフラボノイドは、別種の生物学的活性を有することが報告された。例えばガランギン(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は、抗酸化物質およびフリーのラジカルスカベンジャーとして作用し、抗遺伝毒性および癌の化学的予防のための有望な候補物質であると考えられている。(Heo et al. (2001) Mutat. Res. 488(2): 135-150)。同物質はチロシナーゼモノフェノラーゼの阻害薬(Kubo et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. 8(7): 1749-1755)、ウサギ心臓のカルボニル還元酵素の阻害薬(Imamura et al. (2000) J. Biochem. 127(4): 653-658)であり、抗菌活性(Afolayan and Meyer (1997) Ethnopharmacol. 57(3): 177-181)、および抗ウイルス活性(Meyer et al. (1997) J. Ethnopharmacol. 56(2): 165-169)を有する。バカレインおよび2つの他のフリーのB環のフラボノイドは、ヒト乳癌細胞に対する抗増殖活性を有する(So et al. (1997) Cancer Lett. 112(2): 127-133)。
【0018】
典型的にはフラボノイドは、それらの利用可能性に基づいて無作為に生物学的活性について検討されてきた。時にはB環の置換の必要性が、特異的な生物学的活性のため、例えばp−糖タンパク質への高いアフィニティー結合 (Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1): 75-77);強心性の効果(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3): 267-272)、リノール酸のヒドロペルオキシド誘発性の毒性に対する内皮細胞における保護効果(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2): 323-328)、COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7: 15-19)およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1): 1-12)、のために必要なB環の置換が強調された。いくつかの公開公報のみが、フリーのB環のフラボノイドの置換されていないB環の有意性を述べているに過ぎない。一例は、NADPHによるキノンを受容体とする酸化還元酵素を阻害する、可能性のある抗凝固薬としての2−フェニルフラボンの使用である。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。
【0019】
様々なフリーのB環のフラボノイドの抗炎症活性に関する作用機序は、議論の的となってきた。フリーのB環のフラボノイドであるクリシン(Liang et al. (2001) FEBS Lett. 496(1): 12-18)、オウゴニン(Chi et al. (2001) Biochem, Pharmacol. 61: 1195-1203)およびハランギン(halangin)(Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8): 921-931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)の活性化を経ての誘導型シクロオキシゲナーゼおよび一酸化窒素合成酵素の抑制、および脱顆粒およびAA放出への影響に関係付けられた。(Tordera et al. (1994) Z, Naturforsch [C] 49: 235-240)。オロキシリン、バイカレインおよびオウゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響を及ぼすことなく12−リポオキシゲナーゼ活性を阻害することが報告された。(You et al. (1999) Arch. Pharm. Res. 22(1): 18-24)。より最近ではオウゴニン、バイカリン、バイカレインの抗炎症活性は、一酸化窒素阻害薬およびリポ多糖により誘導される、誘導型一酸化窒素合成酵素およびcox−2遺伝子発現の阻害を通して起こるものとして報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。オロキシリンは、NFκB活性化の抑制により作用することもまた報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。最後にオウゴニンは報告によれば、マクロファージにおける誘導型PGE2の産生を阻害する。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Pharmacol. 406(3): 477-481)。
【0020】
バイカレインによるマイトジェン活性化プロテインキナーゼのリン酸化の阻害、およびCa2+イオノフォアA23187に誘導されるPGE2放出の阻害が、オウゴン(Scutellariae radix)の抗炎症活性の機序として報告された。(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11: 215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26: 311-323)。コガネバナ(Scutellaria baicalensis)由来のバイカリンは、報告によればスーパー抗原であるブドウ球菌の外毒素に刺激されるT細胞の増殖およびIL−1β、IL−6、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、およびインターフェロン−γ(IFN−γ)の産生を阻害する(Krakauer et al. (2001) FEBS Lett. 500: 52-55)。このようにバイカリンの抗炎症活性は、スーパー抗原により活性化される前炎症サイトカインを介してのシグナル経路を阻害することに関係付けられた。しかしバイカリンの抗炎症活性は、様々なケモカインの結合によるものであり、そのことがそれらの生物学的活性を制限することもまた提案された。(Li et al. (2000) Immunopharmacology 49: 295-306)。近年、トロンビンおよびトロンビン受容体アゴニストのペプチドにより誘導される接着分子の発現におけるバイカリンの効果(Kimura et al. (2001) Planta Med. 67: 331-334)、ならびにマイトジェン活性化プロテインキナーゼカスケード(MAPK)の阻害(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11: 215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26: 311-323)が報告された。
【0021】
漢方医学の植物であるコガネバナは、バイカレイン、バイカリン、オウゴニンおよびバイカレノシド(baicalenoside)を含むフリーのB環のフラボノイドの有意な量を含有する。伝統的にこの植物は、clearing away heat、purging fire(発熱)、dampness-warm、およびsummer fever症候群;高熱に起因する煩渇多飲;カルブンケル、びらん、およびその他の化膿性皮膚感染;上気道感染、例えば扁桃炎、咽頭喉頭炎および猩紅熱;ウイルス性肝炎;腎炎;骨盤炎;赤痢;吐血および鼻出血を含む多数の状態を治療するために使用されてきた。この植物はまた伝統的に流産の予防にも使用されてきた。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的にはスクテラリア属は今日、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎、高血圧、切創および手術に起因する局所的な急性の炎症、気管支喘息および上気道感染を治療するために使用される。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息の治療のためのスクテラリア属の根の薬理学的効能は、報告によればフリーのB環のフラボノイドの存在、および好酸球の漸増にかかわるエオタキシンのそれらによる抑制に関する。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2): 132-135)。
【0022】
今日までに、天然に生成されるフリーのB環のフラボノイドの多数が、様々な用途で市販されてきた。例えばスクテラリア属の抽出物のリポソーム製剤は、スキンケアに使用された(米国特許第5,643,598号;5,443,983号)。バイカリンは、腫瘍形成遺伝子におけるその阻害効果により、癌の予防に使用された(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよびその他の化合物は、抗ウイルス、抗菌および免疫調節の薬剤として(米国特許第6,083,921号およびWO98/42363)、そして天然の抗酸化体として(WO98/49256およびポーランド公開公報第9,849,256号)使用された。コガネバナの根の抽出物は、局所製剤中の各々の個別の成分による累加的なSPFの付加効果を有する補足的なサンスクリーン剤として製剤化された(WO98/19651)。クリシンは、その不安の低減特性に関して使用された(米国特許第5,756,538号)。抗炎症フラボノイドは、肛門直腸および結腸の疾患のコントロールおよび治療(米国特許第5,858,371号)、ならびにリポキシゲナーゼの阻害(米国特許第6,217,875号)のために使用されている。これらの化合物はまた、結合組織の補修および維持のため、グルコサミンコラーゲンおよびその他の成分と共に製剤化された(米国特許第6,333,304号)。フラボノイドエステルは美容組成物用の活性成分を構成する(米国特許第6,235,294号)。“効能あるCOX−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号、および“療法薬としてのフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の製剤”という表題の、2003年7月22日に提出された米国特許出願第10/427,746号の双方は、フリーのB環のフラボノイドを包含する組成物、またはフリーのB環のフラボノイドの混合物を含有する組成物を、それを必要とするホストに投与することによる、シクロオキシゲナーゼ酵素のCOX−2を阻害するための方法を開示している。これは、フリーのB環のフラボノイドおよびCOX−2阻害活性との間のリンクに関する最初の報告である。これらの出願を特定的にそれらの全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0023】
日本特許第63027435号は、バイカレインの抽出および強化について記載しており、日本特許第61050921号は、バイカリンの精製について記載している。
フラバンは以下の一般構造:
【0024】
【化3】
【0025】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステル、ならびにそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、記載した置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0026】
カテキンは、最初に緑茶中に発見された、以下の構造:
【0027】
【化4】
【0028】
を有するフラバンである。カテキンは単独で、および茶葉中に見出される他のフラボノイドと共にのいずれでも作用し、抗ウイルス活性および抗酸化活性の双方を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の治療に有効であることが示された。カテキンはまた、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を予防すると考えられており、胃癌細胞の成長を阻害することが示された。
【0029】
カテキンおよびその異性体のエピカテキンは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼを40μMのIC50値で阻害する。(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacol. 44: 1-12)。以下の4種の植物:アツナ・ラセモサ(Atuna racemosa)、シジギューム・カリノカルプム(Syzygium carynocarpum)、マレーフトモモ(Syzygium malaccense)およびバンタネア・ペルビアナ(Vantanea peruviana)から単離された、(+)−カテキンおよびガロカテキンを含む5つのフラバン−3−オル誘導体は、3.3μMから138μMの範囲のIC50値で、COX−1との関連においてCOX−2に対して等しいからより弱い阻害活性を示す(Noreen et al. (1988) Planta Med. 64: 520-524)。バンヤノキ(Ceiba pentandra )の樹皮から単離された(+)−カテキンは、80μMのIC50値でCOX−1を阻害する(Noreen et al. (1988) J. Nat. Prod. 61: 8-12)。市販品より入手可能な純粋な(+)−カテキンは、実験条件に依存しておよそ183から279μMのIC50値でCOX−1を阻害し、COX−2への選択性はない (Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61: 1-7)。
【0030】
緑茶カテキンは、スップラーグ・ダウレイ(Sprague dawley) 雄ラットの食餌に補充した場合、血小板PLA2の活性レベルを低下させ、血小板シクロオキシゲナーゼレベルを有意に低下させた。(Yang et al. (1999) J. Nutr. Sci. Vitaminol. 45: 337-346)。カテキンおよびエピカテキンは報告によれば、ヒト結腸癌DLD−1細胞におけるcox−2遺伝子の転写を軽度に抑制する(IC50=415.3μM)。(Mutoh et al. (2000) Jpn. J. Cancer Res. 91: 686-691)。赤ワイン由来の(+)−カテキンの神経保護能力は、細胞内酵素、例えばシクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、または一酸化窒素合成酵素への阻害効果よりむしろ、カテキンの抗酸化特性に起因する(Bastianetto et al. (2000) Br. J. Pharmacol. 131: 711-720)。緑茶および紅茶から精製されたカテキン誘導体、例えばエピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン−3−ガレート(ECG)、およびテアフラビンは、ヒト結腸粘膜および結腸腫瘍組織におけるシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼに依存するAAの代謝 の阻害(Hong et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 62: 1175-1183)、ならびにcox−2発現およびPGE2産生の誘導 の阻害(Park et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 286: 721-725)を示した。ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)の地上に出ている部分から単離されたエピアフゼレチン(epiafzelechin)は、15μMのIC50値で用量依存性のCOX−1活性の阻害を示し、100mg/kgの投与量での経口投与後のカラゲニン誘発性マウス足底浮腫に対する抗炎症活性もまた示した。(Min et al. (1999) Planta Med. 65: 460-462)。
【0031】
アカシアは、マメ科の木および低木の属である。アカシア属は、マメ科のファミリーおよびネムノキ亜科のサブファミリーに属する1000種以上を含む。アカシアは中央アメリカおよび南部アメリカ、アフリカ、アジアの一部、ならびにオーストラリアの熱帯地域および亜熱帯地域において世界的に広く分布し、固有種の最大数を有する。アカシアは経済的に非常に重要であり、タンニン、ゴム、材木、燃料および家畜の飼料の原料を提供する。タンニンは主として樹皮から単離され、獣の皮および皮膚のなめしに広く使用される。一部のアカシアの樹皮はまた、地酒の風味付けにも使用される。エダウチクサネム(A. sinuate) のような一部の自生種はまたサポニンを産するが、これは水と混合し激しく撹拌すると石鹸の泡を形成する多様な植物性グルコシドのいずれかである。サポニンは、洗剤、発泡剤およびエマルジョン化剤中に使用される。一部のアカシア種の花は香りがよく、香水を製造するために使用される。多くのアカシアの芯材は、農機具を製造するために使用され、薪の原料もまた提供する。アカシアゴムは薬剤および製菓中に、そして繊維産業におけるにじみ止め剤および仕上げ剤として広範囲な使用が認められている。
【0032】
今日まで、およそ330の化合物が様々なアカシア種から単離された。フラボノイドは、アカシアから単離される化合物の主要なクラスである。およそ180の異なるフラボノイドが同定され、そのうち111がフラバンである。テルペノイドはアカシア属の種から単離される化合物の第2の大きなクラスであり、48の化合物が同定されている。アカシアから単離される化合物のその他のクラスには、アルカノイド(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン(16)、炭水化物(15)、酸素の複素環(15)、および脂肪族化合物(10)を含む。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2、2001年12月)。
【0033】
フェノール化合物、特にフラバンは、すべてのアカシア種において中程度から高い濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13: 935-940)。歴史的には、アカシア属の植物および抽出物のほとんどは、胃腸障害、下痢、消化不良を治療するため、および止血のための収斂剤として利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C: 177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41: 63-67)。アラビアゴムモドキ(Acacia arabica Willd.)の樹皮およびさやは、多量のタンニンを含有し、収斂剤および去痰剤として利用されてきた。(Nadkarni (1996) India Materia Medica, Bombay Popular Prakashan, pp. 9-17)。ソマリア産のアカシア・トルティリス(Acacia tortilis) の幹の樹皮から単離されたジアリールプロパノール誘導体は、平滑筋弛緩効果を有することが報告された。(Hagos et al. (1987) Planta Medica. 53: 27-31, 1987)。アカシア・ビクトリア(Acacia victoriae) から単離されたテルペノイドサポニンは、ジメチルベンゾアントラセンに誘発されるハツカネズミの皮膚の発癌において阻害効果を有し(Hanausek et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meetig 41: 663)、アポトーシスを誘発する(Haridas et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meetig 41: 600)ことがまた報告された。アカシア・ニロティカ(Acacia nilotica)由来の植物抽出物は、痙縮薬、血管収縮薬、および降圧薬の活性を有し (Amos et al. (1999) Phytotherapy Research 13: 683-685; Gilani et al. (1999) Phytotherapy Research. 13: 665-669)、抗血小板凝集活性を有する(Shah et al. (1997) General Pharmacology. 29: 251-255)ことが報告された。抗炎症活性がアカシア・ノルティカについて報告された。フラボノイド、多糖および有機酸は潜在的な活性成分であることが推測された。(Dafallah and Al-Mustafa (1996) American Journal of Chinese Medicine. 24: 263-269)。今日までに唯一報告された、アカシアから単離された5−リポキシゲナーゼ阻害薬はモノテルペノイドのカルボキサミドである(Seikine et al. (1997) Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 45: 148-11)。
【0034】
アカシア の樹皮由来の抽出物は、ホワイトニング剤(Abe、日本特許10025238)として、歯科での適用のためのグルコシルトランスフェラーゼ阻害薬(Abe、日本特許07242555)として、タンパク質合成阻害薬(Fukai、日本特許07165598)として、皮膚外用調製剤用の活性酸素掃徐剤(Honda、日本特許07017847、Bindra 米国特許第6,1266,950号)として、および炎症、花粉症および咳を予防するための経口消費用ヒアルロンダーゼ阻害薬(Ogura、日本特許07010768)として、外用の使用について日本で特許が取得されている。
【0035】
今日までに、哺乳動物の皮膚の状態に有意な利益をもたらすCOX/LOX酵素の二重の阻害のための、主な生物学的活性成分としてフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンのみを組み合わせている製剤に関するいかなる報告も目にしてはいない。
【課題を解決するための手段】
【0036】
(発明の概要)
本発明は、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するための、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の酵素の双方を同時に阻害する上で有効である方法を含む。COXおよびLOXの酵素を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される組成物を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。ここで問題とする組成物を、当明細書においてソリプリン (Soliprin)(登録商標)と言う。本方法の効能は、異なる細胞株にて、複数の動物モデルにて、そして最終的にはヒトの臨床試験にて、精製された酵素を用いて示した。本組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、80:20である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0037】
本発明はまた、COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、および医薬的に受容可能な担体を包含する組成物の有効量を、好ましくは局所的に投与することで構成される。該組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、80:20である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0038】
以下の発明に従って使用することのできるフリーのB環のフラボノイドは、当明細書においてフリーのB環のフラボンおよびフラボノールとも言うが、以下の一般構造:
【0039】
【化5】
【0040】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基から選択される;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0041】
本発明のフリーのB環のフラボノイドは合成法により得てもよいし、以下のバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) を含むがこれに限定されない植物のファミリーから抽出してもよい。フリーのB環のフラボノイドは、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) を含むがこれに限定されないhigh plantsの属から抽出、濃縮、および精製することができる。
【0042】
以下の発明に従って使用することのできるフラバンは、以下の一般構造:
【0043】
【化6】
【0044】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルを含むがこれに限定されない、記載した置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基から選択される;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッカ物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0045】
本発明のフラバンはアカシア属から選択される1つまたは複数の植物から得てもよい。好ましい態様において該植物は、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される。
【0046】
1つの態様において本発明は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した多数の皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法を含む。もう1つの態様において本発明は、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷を予防および治療するための方法を含む。なおもう1つの態様において本発明は、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含む。
【0047】
本発明はさらに、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。上に記載した皮膚の疾患および状態の予防および治療のためのそれらの使用に加えて、当明細書に記載する療法組成物はまた、過敏な皮膚を和らげるため、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0048】
本発明に従っての予防法および治療法は、単一の材料または複数の材料から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを製剤化したものの療法的有効量を、それを必要とするホストに、局所的に投与することを包含する。個々のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバン、ならびに/または複数のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の純度は、該化合物(単数または複数)を得るために使用する方法に依存して、0.01%から100%を含むがこれに限定されない。好ましい態様において、該化合物を含有するフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の用量は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される、効能のある非毒性の量である。ルーチーンの臨床検査を使用する当業者は、治療する特定の病気に関する至適用量を決定することができるだろう。
【0049】
本発明は、製剤を至適化し、所望の生理学的活性を得るための、酵素モデルおよびin vivoのモデルを使用しての、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの種々の組成物の評価を含む。本製剤の効能および安全性はまた、ヒトの臨床試験においても示す。本発明の組成物は、当業者に知られているあらゆる技術により投与することができる。投与の形式は、腸溶性(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与、ならびに局所塗布を含むがこれに限定されない。好ましい態様において本発明に従っての治療法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の療法有効量を、局所的に投与することを包含する。
【0050】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の双方とも、代表的および説明的なものに過ぎず、請求項のように本発明を制限する訳ではないことと、理解されなければならない。
(発明の詳細な説明)
本発明の側面に言及するため、様々な用語を当明細書において使用する。本発明の構成要素の記載を明確にする手助けとなるよう、以下の定義を提供する。
【0051】
“a”“an”という用語を冠詞とする実体は、1つまたはそれより多くのその実体を言うことに注意しなければならない;例えばa flavonoid(フラボノイド)は、1つまたはそれより多くのフラボノイドを言う。このように“a”または“an”、“1つまたはそれより多く”、および“少なくとも1つ”と言う用語は、当明細書において互変性を持って使用する。
【0052】
“フリーのB環のフラボノイド”は当明細書で使用する場合フラボノイドの1つの特定のクラスであり、以下の一般構造:
【0053】
【化7】
【0054】
により示すように、芳香族のB環に置換基を有していない、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0055】
“フラバン”は当明細書で使用する場合フラボノイドの1つの特定のクラスを言い、以下の一般構造:
【0056】
【化8】
【0057】
により一般的に表すことができる、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステル、ならびにそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0058】
“療法的”は当明細書で使用する場合、治療および/または予防を含む。同用語を使用する場合、療法的という用語は、ヒトならびにその他の動物に対して言う。
“医薬的にまたは療法的に有効な用量または量”は、所望の生物学的結果を誘導するのに十分な投与量レベルを言う。この結果は、疾患の兆候、症状または原因の軽減でもよいし、所望される生物学的な系のあらゆるその他の変化でもよい。
【0059】
“プラセボ”は、疾患の兆候、症状または原因を軽減すると思われる所望の生物学的(系)を誘導するのに十分な、医薬的または療法的に有効な用量または投与量の代替物で活性物質を含まないものを言う。
【0060】
“ホスト”または“患者”は、当明細書に記載した組成物を投与する、生きている被験者、すなわちヒトまたは動物である。したがって当明細書に記載する本発明は、獣医学的にならびにヒトへの適用として使用してよく、“患者”または“ホスト”という用語は、限定するものと解釈されるべきではない。獣医学的適用のケースでは、投与量の範囲は動物の体重を考慮して後述するように決定することができる。
【0061】
本出願を通して様々な引用文献を提供していることに注目されたい。各引用文献をその全内容において当明細書にて参照として特定して援用する。
当発明は、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを含有する植物の、有機溶媒および水性溶媒による抽出法(実施例1、表1)を提供する。粗抽出物を、シクロオキシゲナーゼの阻害活性についてアッセイした(実施例2、表2および3)。精製したフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンは、各々実施例3および4に示すように、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)に対する阻害活性を示した。抽出物を分析および定量する方法は実施例5および6に記載し、植物の材料から標準化したフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを生成する方法は、実施例7および8に提供する。
【0062】
本発明の1つの態様において、標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物は、実施例1、2、5および8に定義するようにフリーのB環のフラボノイドの総計で1−99%(重量比)の間の純度を有する活性化合物で構成される。バイカリンは抽出物中の主要な活性成分であり、これはフリーのB環のフラボノイドの総計のおよそ50−90%(重量比)を占める。好ましい態様においてこの標準化した抽出物は、フリーのB環のフラボノイドの総計で>70%を含有し、その内、フリーのB環のフラボノイドの総計の>75%はバイカリンである。
【0063】
1つの態様において標準化したフラバン抽出物は、実施例1、4,6および7に定義するように、フラバンの総計で1−99%(重量比)の間の純度を有する活性化合物で構成される。カテキンは抽出物中の主要な活性成分であり、フラバンの総計の50−95%(重量比)を占める。好ましい態様において標準化したフラバン抽出物は、フラバンの総計で>80%を含有し、その内、フラバンの>70%はカテキンである。
【0064】
1つの態様においてソリプリン(登録商標)は、上の2つの抽出物または合成化合物を99:1から1:99の比率で混合することにより製造する。フリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの好ましい比率は、実施例9および表10に定義するように80:20であり、そして実施例9に定義するように15:85である。
【0065】
ソリプリン(登録商標)中のフリーのB環のフラボノイドの濃度は約1%から99%とすることができ、ソリプリン(登録商標)中のフラバンの濃度は99%から1%とすることができる。本発明の好ましい態様において、ソリプリン(登録商標)中のフリーのB環のフラボノイドの総計の濃度は、ソリプリン(登録商標)の総重量のおよそ15%のバイカリン含有量を含むおよそ20%である;そしてソリプリン(登録商標)中のフラバンの総計の濃度は、およそ70%のカテキン含有量を含むおよそ75%である。本態様において、ソリプリン(登録商標)中の活性成分の総計(フリーのB環のフラボノイド+フラバン)は、総重量の>90%である。
【0066】
本発明は、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するための、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の酵素の双方を同時に阻害する上で有効である方法を含む。COXおよびLOXの酵素を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される組成物を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。ここで問題とする本組成物を当明細書においてソリプリン(登録商標)と言う。本方法の効能は、異なる細胞株にて、複数の動物モデルにて、そして最終的にはヒトの臨床試験にて、精製された酵素を用いて示した。組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0067】
本発明はまた、COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、および医薬的に受容可能な担体で構成される組成物の有効量を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。該組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0068】
1つの態様において本発明は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した多数の皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法を含む。もう1つの態様において本発明は、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷を予防および治療するための方法を含む。なおもう1つの態様において本発明は、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含む。
【0069】
本発明はさらに、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。上に記載した皮膚の疾患および状態の予防および治療のためのそれらの使用に加えて、当明細書に記載する療法組成物は、過敏な皮膚を和らげるために、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0070】
当発明に従って使用することのできるフリーのB環のフラボノイドは、前述の一般構造により示した化合物を含む。本発明のフリーのB環のフラボノイドは合成法により得てもよいし、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクシン科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、ラウランセアエ、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、シノプテリダセアエ、ニレ科およびジンギベラセアエを含むがこれに限定されない植物のファミリーから抽出してもよい。フリーのB環のフラボノイドは、デスモス、キク科、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、キク科ヤマハハコグサ属、ヘリクリサム属、キク科セントウレア属、キク科ヒヨドリバナ属、キク科サワギク属、トウダイグサ科、スクテラリア属、モルサ、コレブロッケア、シソ科スタキス属、シソ科オリガナム属、ジジフォラ、クスノキ科クロモジ属、クスノキ科カゴノキ属、アカシア属、マメ科デリス属、マメ科カンゾウ属、マメ科ナツフジ属、マメ科クロヨナ属、テフォロシア、クワ科アルトカルプス属、フィクス、キンシダ科、ノトラエナ、マツ科マツ属、ニレ科ニレ属およびショウガ科アルピニア属を含むがこれに限定されないhigh plantsの属から抽出、濃縮、および精製することができる。
【0071】
フラボノイドは、茎、茎の皮(bark)、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分を含むがこれに限定されない、植物の種々の部分に発見することができる。フリーのB環のフラボノイドの単離および精製のための方法は、“効能あるCox−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号に記載されており、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0072】
本発明の方法に従って使用することのできるフラバンは、前述の一般構造により示した化合物を含む。本発明のフラバンは、植物のアカシア属から選択される1つまたは複数の植物から単離する。好ましい態様において、該植物はアセンヤクノキ、アカシア・コンシナ、キンゴウカン、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、アカシア・カエシア、アカシア・ペンナタ、アカシア・シヌアテ、モリシマアカシア、アカシア・ピクナンタ、ミモザ、カマバアカシア、アカシア・ホロセレシアおよびアカシア・マンギュームから成る群から選択される。
【0073】
フラバンは、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分を含むがこれに限定されない、植物の種々の部分に発見することができる。フラバンの単離および精製のための方法は、“アカシアからのCox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号に記載されており、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0074】
本発明は、一連のin vivo の炎症および毒性の試験ならびにin vitroの生化学、細胞、および遺伝子発現のスクリーニングを結びつけて、COXおよびLOXの酵素活性を特異的に阻害し、mRNAの遺伝子発現に影響を与え、炎症を低減する活性な植物抽出物を同定する戦略を与える。COXおよびLOXを特異的に阻害する活性な植物抽出物を同定するために、当明細書にて使用する方法は、実施例1および2に、ならびに“効能のあるcox−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号;“アカシアからのCox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号、および“Cox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号に記載されており、これら各文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0075】
COXの阻害を測定するために使用する生化学的アッセイは、ヘムおよびアラキドン酸の存在下でのタンパク質のペルオキシダーゼ活性による。実施例3に記載する本試験は、精製されたフリーのB環のフラボノイド、すなわちコガネバナから単離されたバイカリンおよびバイカレイン、ならびにアセンヤクノキから単離されたフラバン抽出物、そして高濃度のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを含有する各々の個々の標準化した抽出物は、COX活性を阻害することを示した(図1−5)。加えて、実施例9に示すように調製した、個々の標準化した抽出物の各々の異なる比率を有する組成物(すなわち80:20、50:50、20:80のフリーのB環のフラボノイド:フラバン)は、in vitro でのCOX活性の阻害においてすべて非常に有効であった(図6−8)。アセンヤクノキから単離されたフラバン抽出物によるLOX活性の阻害は、実施例4に記載するようにin vitroのリポキシゲナーゼのスクリーニングアッセイを用いて評価した。結果を図9に示す。加えて、LOX経路でのアラキドン酸の分解、すなわちロイコトリエンB4における化合物による阻害を標的とする細胞アッセイは、実施例10に記載するようにソリプリン(登録商標)サンプルを用いて行った。ソリプリン(登録商標)によるLTB4の阻害の結果は、図11および12に示す。
【0076】
in vivoの効能は、実施例11に記載するようにマウスの耳介および足首関節に皮膚刺激物質、例えばAAを塗布し、ソリプリン(登録商標)で治療したマウスにおける腫脹の低減を測定することにより示した。結果を図13および14に示す。最後に、UVに誘発される皮膚の紅斑の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)の局所塗布の効能を、実施例12および図15に示す。実施例12に記載する試験において、フリーのB環のフラボノイド:フラバンの80:20の混合比のソリプリン(登録商標)を水に溶かし、各々UV暴露前および暴露後の双方に無毛マウスの皮膚に2種類の濃度で局所的に塗布した。ソリプリン(登録商標)の4群の無毛マウスの紅斑のスコアは、双方の濃度においてそしてUV暴露前または暴露後の塗布時間にかかわりなく、コントロール群およびSooth-A Cain で処置した群の双方における紅斑の重症度および範囲と比較して、すべてのマウスがより小さな皮膚領域にはるかに少ない赤みを示した。
【0077】
実施例13(表11および12)は、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な賦形剤を用いたソリプリン(登録商標)クリームの調製のための一般的な方法を記載する。説明を目的として、本実施例は0.5重量%および1.5重量% ソリプリン(登録商標)クリーム双方の調製に関する詳細な方法を提供する。最後に実施例13に記載するように調製したソリプリン(登録商標)クリームの双方を、刺激の可能性および接触感作の誘導についてヒトの皮膚で評価した。総計97および101名の被験者が、各々0.5%および1.5%のソリプリン(登録商標)クリームを用いての誘導およびチャレンジを完了した。検査結果は、0.5%および1.5%濃度のソリプリン(登録商標)クリームは最小の刺激にとどまり、誘導された接触感作のエビデンスは認められなかった。
【0078】
まとめとして、本発明は、COXおよびLOXの酵素双方を同時に阻害することにおいて有効である方法を含む。COXおよびLOXの経路を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物を包含する組成物を、それを必要とするホストに投与することで構成される。組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、およそ20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0079】
本発明はさらにCOXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物を医薬的に受容可能な担体と共に包含する組成物の有効量を、投与することで構成される。フリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物におけるフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、およそ20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0080】
“アカシアからのCOX−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号が、COXおよびLOXに対する二重の特異性を示す、植物のアカシア属から単離されたここで問題とする組成物の最初の報告であり、“効能あるCOX−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号が、フリーのB環のフラボノイド構造およびCOX阻害活性との間の相関についての最初の報告であると、筆者は思う。これらの発見が、特異的な化合物の2つのクラス−−フリーのB環のフラボノイドおよびフラバン−−の新規混合へと導き、当明細書にてソリプリン(登録商標)として言うここで問題とする組成物を形成するに至ったが、本組成物は、“Cox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号に記載されているように、COXおよびLOXを介した疾患および状態の予防および治療のために使用することができる。COXおよびLOXを介しての疾患および状態は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、UV放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含むがこれに限定されない、皮膚の疾患および状態を含むがこれに限定されない。理論により限定する訳ではないが、化合物の本クラスの作用機序は、COXおよびLOX双方の酵素活性の直接的な二重の阻害であると考えられる。
【0081】
本発明はさらに、その多様な製剤を含む、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。これら組成物の調整法を、それらの純度および具体的な組成の決定法と合わせて、実施例5−9および図10に記載する。
【0082】
好ましい態様において、本発明に従ってのCOXおよびLOXを介した皮膚に関連する疾患および状態の予防法および治療法は、それを必要とするホストに、単一の材料または複数の材料から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよび/またはフラバンの製剤化されたものの療法的有効量を、局所的に投与することを包含する。個々のおよび/または混合物のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの純度は、化合物(単数または複数)を得るために使用する方法に依存して、0.01%から100%を含むがこれに限定されない。好ましい態様において、該化合物を含有するフリーのB環のフラボノイドおよび/またはフラバンの混合物の用量は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される、効能のある非毒性の量である。ルーチーンの臨床検査を使用する当業者は、治療する特定の病気に関する至適用量を決定することができるだろう。
【0083】
本発明は、以下に記載するように製剤を至適化し、最大の効能を得るための、酵素モデルおよびin vivoの抗炎症モデルを使用してのフリーのB環のフラボノイドおよびフランの種々の組成物の評価を含む。本発明は、所望の生理学的活性を有するここで問題とする組成物を得るための、単離、精製、およびアカシアのフラバンとフリーのB環のフラボノイドとの組み合わせに関する市販レベルで実行可能な過程を提供する。上記記載の皮膚の疾患および状態の予防および治療へのそれらの使用に加えて、当明細書に記載の療法的組成物はまた、過敏な皮膚を和らげるため、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0084】
本発明の組成物は、他の成分、例えば医薬的および/または美容的に受容可能な賦形剤、アジュバント、および/または担体を含む医薬組成物として製剤化することができる。例えば本発明の組成物は、治療するホストが耐えることのできる賦形剤中に製剤化することができる。賦形剤は、薬剤用の希釈剤または媒体として使用される不活性な物質である。このような賦形剤の例は、水、バッファー、食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、マンニトール、ハンクス溶液、保存剤およびその他の水性の生理学的に平衡な塩溶液を含むがこれに限定されない。非水性媒体、例えば固定油、ゴマ油、オレイン酸エチル、またはトリグリセリドもまた使用してよい。他の有用な製剤化物質は、粘性を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有する懸濁液を含む。賦形剤はまた少量の添加剤、例えば等張性および化学的安定性を高める物質を含有することができる。バッファーの例は、リン酸バッファー、重炭酸バッファー、トリスバッファー、ヒスチジン、クエン酸塩、およびグリシン、またはそれらの混合物を含み、保存剤の例はチメロサル、m−またはo−クレゾール、ホルマリン、およびベンジルアルコールを含むがこれに限定されない。標準的な製剤は液体または固体のいずれかとすることができ、これらは投与用の懸濁液または溶液として適切な液体中に溶解させることができる。したがって非液体製剤では、賦形剤はデキストロース、ヒト血清アルブミン、保存剤等を包含することができ、投与前にこれらに滅菌した水または食塩水を加えることができる。
【0085】
本発明の1つの態様において、組成物はまたアジュバントまたは担体を含むことができる。アジュバントは典型的には、特異的な生物活性物質に対する哺乳動物の生物学的応答を一般に高める物質である。適切なアジュバントは、フロイントアジュバント;他の細菌細胞壁成分;アルミニウムベースの塩;カルシウムベースの塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清蛋白質;ウイルスのコートタンパク質;他の細菌由来の調製物質;ガンマインターフェロン;ブロックコポリマーアジュバント、例えばHunter’s Titermax アジュバント(Vaxcel.TM., Inc. Norcross, Ga.);Ribi アジュバント(Ribi Immuno Chem Research, Inc., Hmilton, Mont.より入手可能);およびサポニンおよびそれらの誘導体、例えばQuil A (Superfos Biosector A/S, Dnmark より入手可能)を含むが、これに限定されない。担体は典型的には、治療するホストの体内で療法組成物の半減期を延長させる化合物である。適切な担体は、ポリマーのコントロールされた放出の製剤、生体内で分解可能なインプラント、リポソーム、細菌、ウイルス、油、エステル、およびグリコールを含むがこれに限定されない。
【0086】
1つの態様において組成物は、ホストの体内に本発明の組成物をゆっくり放出する、コントロールされた放出の製剤として調製する。当明細書において使用する場合、コントロールされた放出の製剤は、コントロールされた放出媒体中に本発明の組成物を包含する。適切なコントロールされた放出媒体は、当業者の知るところであろう。好ましいコントロールされた放出の製剤は、生体内で分解可能(すなわち生体内で侵食可能)である。
【0087】
当発明の療法薬は、軟膏、ゲル、ローション、またはクリームベースとして、またはエマルジョンとして、パッチ、ドレッシングまたはマスク、くっつかないタイプの(nonsticking)ガーゼ、バンデージ、綿棒または拭き取り用の布(cloth wipe)として、を含むがこれに限定されない療法組成物を局所的に投与するための、当業者に知られているあらゆる適切な方法により、好ましくは局所的に投与する。このような局所塗布は、局所投与用に知られているあらゆる標準的な方法を用いて、あらゆる患部に局部的に投与することができる。療法組成物は、投与法に依存して様々なユニット投与剤形で投与することができる。送達の特定の形式用に、本発明の療法組成物を本発明の賦形剤中に製剤化することができる。本発明の療法試薬は、あらゆるホストに、好ましくは哺乳動物に、より好ましくはヒトに投与することができる。投与の特定の形式は、治療する状態に依存することになるだろう。
【0088】
1つの態様において適切な軟膏は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される効能のある非毒性の量である、所望の濃度のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、65から100%(好ましくは75から96%)の白色軟性パラフィン(soft paraffin)、0から15%の流動パラフィン、および0から7%(好ましくは3から7%)のラノリンまたはその合成均等物の誘導体で構成される。もう1つの態様において軟膏は、ポリエチレン−流動パラフィンマトリックスを包含してもよい。
【0089】
1つの態様において適切なクリームは、上に提供したようなフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の所望の濃度を共に含むエマルジョン化の系で構成される。エマルジョン化の系は好ましくは、2から10%のポリオキシエチレンアルコール(例えば登録商標セトマクロゴール(Cetomacrogol)(登録商標)1000にて入手可能な混合物)、10から25%のステアリルアルコール、20から60%の流動パラフィン、および10から65%の水;それと共に1つまたはそれより多くの保存剤、例えば0.1から1%のN,N”−メチレンビス[N’−[3−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル]ウレア](Imidurea USNF という名称にて入手可能)、0.1から1%のアルキル4−ヒドロキシベンゾエート(例えば登録商標Nipastat にてNipa Laboratories より入手可能な混合物)、0.01から0.1%のナトリウムブチル4−ヒドロキシベンゾエート(登録商標Nipabutyl sodium にてNipa Laboratories より入手可能)、および0.1から2%のフェノキシエタノール、で構成される。実施例13は、クリームとしての本発明の組成物の2つの異なる濃度の製剤について記載しており、実施例14は、皮膚の刺激および感作についてクリームを評価するために施行した試験について記載している。本試験より、ソリプリン(登録商標)は、皮膚の刺激または感作の原因となることなく、効能のある濃度で局所的に塗布することのできる安全な組成物であることが決定された。
【0090】
1つの態様において適切なゲルは、高度の架橋を伴う3次元のポリマーマトリックス内に液層を閉じ込めている半固体の系で構成される。この液相は、水、それと共に所望の量のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、0から20%の水混和性の添加物、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、またはプロピレングリコール、および0.1から10%、好ましくは0.5から2%の増粘剤、すなわち天然成分、例えばトラガカント、ペクチン、トチャカ、アガーおよびアルギン酸、または合成もしくは半合成化合物、例えばメチルセルロースおよびカルボキシポリメチレン(カルボポール)としてよい;それと共に1つまたはそれより多くの保存剤、例えば0.1から2%のメチル4−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)またはフェノキシエタノール-differentialで構成されてよい。もう1つの適切なベースは、所望の量のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、それと共に70から90%のポリエチレングリコール(例えば米国処方規定(U.S. National Formulary (USNF))に従って調製された、40%のポリエチレングリコール3350および60%のポリエチレングリコール400を含有するポリエチレングリコール軟膏)、5から20%の水、0.02から0.25%の抗酸化剤(例えばブチル化したヒドロキシトルエン)、ならびに0.005から0.1%のキレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA))で構成される。
【0091】
上で使用したような軟性パラフィンという用語は、クリームまたは軟膏ベースの白色軟性パラフィンおよび黄色軟性パラフィンを包含する。ラノリンという用語は、天然の羊毛脂肪および精製された羊毛脂肪を包含する。ラノリンの誘導体は特に、それらの物理的または化学的特性を変えるために化学的に修飾されたラノリンを含み、ラノリンの合成均等物は特に、医薬および美容の技術分野において、ラノリンの代替物質として知られ使用されている、例えばラノリンの代用品と言ってもよい、合成または半合成の化合物および混合物を含む。
【0092】
使用してよい1つの適切なラノリンの合成均等物は、ソフチサン(Softisan )649 として知られている登録商標ソフチサン(登録商標)にて入手可能な材料である。ソフチサン649は、Dynamit Nobel Aktiengesellschaft より入手できるが、天然の植物性脂肪酸、すなわちイソステアリン酸およびアジピン酸のグリセリンエステルである;その特性はH.HermsdorfによりFett, Seifen, Anstrichmittel, Issue No. 84, No.3 (1982), pp. 3-6 に考察されている。
【0093】
適切な軟膏またはクリームベースの構成成分として、当明細書にて先に述べたその他の物質およびそれらの特性は、標準的な参考文献、例えば薬局方(pharmacopoeia)に考察されている。セトマクロゴール1000は、式CH3(CH2)m(OCH2CH2)nOHを有し、式中mは15または17としてよく、nは20から24としてよい。ブチル化したヒドロキシトルエンは2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールである。ニパスタット(Nipastat)は、メチル、エチル、プロピルおよびブチル4−ヒドロキシベンゾエートの混合物である。
【0094】
本発明の組成物は従来の医薬的技術により生成してよい。したがって前述の組成物は、例えば高い温度で、好ましくは60−70℃で、軟性パラフィン、存在する場合には流動パラフィン、およびラノリンまたはその誘導体またはその合成均等物を合わせて混合することにより従来どおり調製してよい。その後混合物を室温に冷却し、ムピロシンのカルシウム含水塩の結晶を、コルチコステロイドおよびあらゆるその他の成分と共に添加後、撹拌して確実に十分に分散させる。
【0095】
投与方法にかかわりなく具体的な用量はホストのおよその体重に従って計算される。上述の各製剤を伴う治療のための適当な投与量を決定するのに必要なさらに厳密な計算は、特に当明細書に開示した投与量の情報およびアッセイを照らし合わせて、過度の実験を行うことなく当業者によりルーチーンに施行される仕事の範疇である。これらの投与量は、適当な用量−応答データと共に利用される投与量の決定に関する確立されたアッセイを使用することで、確認してもよい。
【0096】
当明細書に記載した発明は、獣医ならびにヒトへの適用として使用してよく、“ホスト”という用語は限定するものと解釈されるべきではないことは、注目すべきであろう。獣医的に適用するケースでは、投与量の範囲は、動物の体重を考慮して上に記載したように決定することができる。
【0097】
本発明の組成物は、当業者に知られているあらゆる方法により投与することができる。投与の形式は、腸溶性(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与、ならびに局所投与を含むがこれに限定されない。本発明に従っての治療法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の療法有効量を、経口的または局所的に投与することを包含する。好ましい態様において本組成物は局所的に投与する。
【0098】
以下の実施例は説明を目的として提供しているに過ぎず、発明の範疇を限定する意図はない。
【実施例】
【0099】
実施例1. アカシア 属およびスクテラリア属の植物からの有機抽出物および水性抽出物の調製
アラビアゴムモドキ(Acacia catechu (L) Willd. )の樹皮、スクテラリア・オルトカリクス(Scutellaria orthocalyx)の根、コガネバナの根、またはスカルキャップ(Scutellaria lateriflora)の植物全体由来の植物の材料を、2mmより大きくない粒度に挽いた。次に挽いた植物の材料を乾燥させたもの(60g)を 三角フラスコに移し、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。混合物を1時間振盪し、濾過して、バイオマスからメタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で再度抽出した。有機抽出液を合わせて真空下で蒸発させ、有機抽出物を提供した(下の表1参照)。有機抽出の後、バイオマスを空気乾燥し、超純水(600mL)で1回抽出した。水溶液を濾過、凍結乾燥して、水性抽出物を提供した(下の表1参照)。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2. アセンヤクノキ、様々なスクテラリア種、およびその他の植物由来の植物抽出物による、COX−2およびCOX−1のペルオキシダーゼ活性の阻害
特異的なCOX−2阻害薬の同定に関するスクリーニング法への方向付けを行うバイオアッセイをデザインし、以下に記載するように酵素のペルオキシダーゼ活性のアッセイを行った。
【0102】
ペルオキシダーゼアッセイ COX−2の阻害薬を検出するためのアッセイを、ハイスループットプラットホーム(Raz)用に修飾した。手短には、ペルオキシダーゼバッファー(100mM TBS、5mM EDTA、1μM ヘム、1mg エピネフリン、0.094% フェノール)中のリコンビナントヒツジCOX−2(Cayman)を、抽出物(1:500希釈)と共に15分間インキュベーションした。クアンタブル(Quantablu )(Pierce)基質を加え、45分間25℃で反応を進行させた。その後発光をWallac Victor 2プレートリーダーを用いて読み取った。結果を表2に示す。
【0103】
表2は、構造的に類似するフリーのB環のフラボノイドで構成される、アセンヤクノキの樹皮、2種のスクテラリアの根、および3種の他の植物種由来の抽出物を含む5種の植物種から得られた有機抽出物および水性抽出物による、酵素の阻害について示す。データは、リコンビナントヒツジCOX−2酵素および基質のみのものとの関連における、ペルオキシダーゼ活性のパーセントとして表す。有機抽出物による阻害のパーセントは、30%から90%の範囲であった。
【0104】
【表2】
【0105】
COX−1およびCOX−2のアイソフォームの相対的な阻害を比較するには、これら各酵素のIC50値を得る必要がある。IC50は、特定の阻害薬によりコントロールとの関係において酵素活性の50%の阻害が達成される濃度、として定義される。これらの実験において、IC50値は表3に示したように、COX−2およびCOX−1の酵素に対して、各々6から50μg/mLおよび7から80μg/mLであった。COX−2およびCOX−1のIC50値の比較は、これら各酵素に対する多様な植物由来の有機抽出物の特異性を示す。スカルキャップ の有機抽出物は例えば、COX−2のCOX−1を上回る選択的阻害を示し、各々30および80μg/mLのIC50値を有する。一部の抽出物ではCOX−2の選択的阻害が実証されたが、他は示していない。HTP分画およびこれらの分画から精製された化合物を検討するには、これらの抽出物および化合物に関する阻害の厳密な特異性を決定する必要がある。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例3. COX−1およびCOX−2のペルオキシダーゼ活性の阻害
COX−1およびCOX−2の活性を阻害する化合物をスクリーニングするため、双方の酵素のペルオキシダーゼ活性の阻害を利用した、ハイスループットのin vitro のアッセイが開発された。(Needliman et al. (1986) Annu Rev Biochem. 55:69)。手短には、検討する組成物または化合物を、固定された量のCOX−1およびCOX−2の酵素に対して滴定した。結合することのできるペルオキシド発色団をアッセイに含めて、補因子としてのアラキドン酸の存在下で各酵素のペルオキシダーゼ活性を視覚化した。典型的にはアッセイは96ウェルのフォーマットにて行った。100%DMSO中の10mg/mLストック溶液から採取した各阻害剤を、以下の濃度範囲:0、0.1、1、5、10、20、50、100および500μg/mLを用いて、室温にてトリプルで検査した。各ウェルに100mM Tris−HCl、pH7.5 150μLを、トリスバッファー中に希釈した22μM ヘマチン 10μL、DMSO中に希釈した阻害薬 10μL、およびCOX−1またはCOX−2のいずれかの酵素 25ユニットと共に添加した。回転式プラットフォーム上で成分を10秒間撹拌した後、2mM N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(TMPD)20μL、および1.1mM アラキドン酸 20μLを加えて、反応を開始させた。プレートを10秒間振盪した後、5分間インキュベーションし、570nmの吸収を読んだ。阻害薬の濃度 vs 阻害%をプlotし、等温式に沿って最大値の1/2のポイントを取り、X軸に下ろして濃度を読み取ることにより、IC50を決定した。その後IC50を、アッセイの酵素ユニットの数値に対して正規化した。結果を表4にまとめる。
【0108】
【表4】
【0109】
標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物である、バイカリン、およびコガネバナの根から単離したバイカレインに関する用量応答性およびIC50値を、図1、2および3に各々提供する。アセンヤクノキ の芯材から単離した2種の標準化したフラバン抽出物(各々50%および>90%のフラバン)に関する用量応答性およびIC50値を、各々図4および5に提供する。フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの異なる組成の3つの製剤に関する用量応答性およびIC50値を、各々図6(80:20の混合)、図7(50:50の混合)および図8(20:80の混合)に提供する。
【0110】
実施例4. アセンヤクノキから単離されたカテキンによる5−リポキシゲナーゼの阻害
炎症応答に関与する最も重要な経路の1つは、非ヘム鉄を含有するリポキシゲナーゼ(5−LO、12−LO、および15−LO)により生成されるが、この酵素は脂肪酸、例えばAA(AA)への酸素分子の添加を触媒して、ヒドロペルオキシドの5−、12−および15−HPETEを生成し、これが次にロイコトリエンに変換する。A. catechu由来のフラバン抽出物がLOXのある程度の阻害を提供し、それにより5−HPETEの形成を妨げるのかもしれないという示唆は早期になされた。Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit (リポキシゲナーゼ阻害薬スクリーニングアッセイキット)(Cayman Chemical, Inc., Ca# 760700)を使用して、>90%のフラバンを含有するA. catechuから単離された抽出物がin vitro でLOXを直接阻害するかどうかを評価した。精密濾過を用いてリン酸バッファーからトリスベースのバッファーにバッファーを変換した後、同キットで規定で使用される大豆由来の15−LOをポテトLOXに置き換えた。本アッセイは、酸素を探知する発色団を通してヒドロペルオキシドの形成を検出する。手短にはアッセイは、0.17ユニット/μL ポテト5−LO 90μL、1.1mM AA 20μL、酸素を探知する発色団 100μL、および最終濃度を0から500μg/mLの範囲とする精製したフラバン阻害薬 10μLを加えることにより、トリプルで行った。本組成物による5−LOの阻害に関するIC50は、1.38μg/mL/酵素ユニットであると決定された。結果を図9に示す。
【0111】
実施例5. スクテラリア・オルトカリクス(根)、コガネバナ(根)およびソリザヤノキ(Oroxylum indicum)(種子)から単離された活性抽出物中のフリーのB環のフラボノイドのHPLCによる定量化
実施例1および2に記載したような、3つの異なる植物種から単離した5つの活性抽出物中のフリーのB環のフラボノイドの存在および定量をHPLCにより決定し、結果を以下の表5に示す。フリーのB環のフラボノイドを、HPLCにより、Luna C−18カラム(250×4.5mm、5μm)にて、22分で1%リン酸およびアセトニトリルの80%から20%の濃度勾配を用いて、定量的に分析した。フリーのB環のフラボノイドは、254nmでUV検出器を用いて検出し、バイカリン、バイカレイン、およびその他のフリーのB環のフラボノイドのスタンダードとの比較により、保持時間に基づいて同定した。
【0112】
【表5】
【0113】
実施例6. アセンヤクノキ由来の活性抽出物のHPLCによる定量化
実施例1および2に示したようにアセンヤクノキから単離した有機抽出物および水性抽出物中のフラバンを、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)およびLuna C−18カラム(250×4.6mm)を用いて定量した。フラバンは、20分間にわたるアセトニトリルの10%から30%ACNの濃度勾配、続いて5分間の60%ACNを用いて、カラムから溶出させた。結果を表6に示す。フラバンは、カテキンおよびエピカテキンをスタンダードとして使用して保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。2つの主要なナフラバンの保持時間は、各々12.73分および15.76分であった。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例7. アセンヤクノキ由来の標準化した抽出物の調製
アセンヤクノキ(地中の根 500mg)から、以下の溶媒系 25mLで2回(2×25mL)抽出した。(1)100%水、(2)80:20 水:メタノール、(3)60:40 水:メタノール、(4)40:60 水:メタノール、(5)20:80 水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20 メタノール:THF、(8)60:40 メタノール:THF。各々の個別の抽出から2回の抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。各抽出物中の化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて達成した。化学成分は、スタンダードとしてカテキンおよびエピカテキンを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表7に示す。表7に示すように、80%メタノール/水による溶媒抽出から生成されたフラバン抽出物が、最も高濃度のフラバン成分を提供した。
【0116】
【表7】
【0117】
より高純度の材料は、再結晶溶媒としてアルコール/水および/または水性溶媒を用いて、8%−15%の間のカテキン含有量を有する抽出物の再結晶化により得ることができる。抽出物の加熱した飽和溶液に活性炭またはその他の脱色剤を加えることにより、再結晶化の前に脱色することが必要かもしれない。その後加熱した飽和溶液を冷却して、高純度のカテキンを結晶化させた。その後結晶を濾過して溶媒を除去し、乾燥させ、微細な粉末に挽いた。再結晶化は必要なら繰り返し行い、所望のレベルの純度(60%−100%のカテキンフラバン)を達成することができる。
【0118】
実施例8. 多様なスクテラリア 種由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物の調製
スクテラリア・オルトカリクス(地中の根 500mg)を、以下の溶媒系 25mLで2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20 水:メタノール、(3)60:40 水:メタノール、(4)40:60 水:メタノール、(5)20:80 水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20 メタノール:THF、(8)60:40 メタノール:THF。抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。各抽出物中の化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて行った。化学成分は、スタンダードとしてバイカレイン、バイカリン、スクテラレイン、およびオウゴニンを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表8に示す。
【0119】
【表8】
【0120】
コガネバナ(地中の根 1000mg)を、以下のような水およびメタノールの混合液 50mLを用いて2回抽出した:(1)100%水、(2)70:30 水:メタノール、(3)50:50 水:メタノール、(4)30:70 水:メタノール、(5)100%メタノール。抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて行った。各抽出物中の化学成分は、バイカレイン、バイカリン、スクテラレイン、およびオウゴニンのスタンダードを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表9に示す。
【0121】
【表9】
【0122】
高純度のフリーのB環のフラボノイドは、再結晶溶媒としてアルコール/水を用いて、8%−15%の間のフリーのB環のフラボノイド含有量を有する抽出物の再結晶化により得ることができる。抽出物の加熱した飽和溶液に活性炭またはその他の脱色剤を加えることにより、再結晶化の前に脱色することが必要かもしれない。冷却下でフリーのB環のフラボノイドを結晶化させた。結晶を濾過、乾燥させ、微細な粉末に挽いた。再結晶化は必要なら繰り返し行い、所望のレベルの純度(60%−100%のフリーのB環のフラボノイド)を達成することができる。
【0123】
実施例9. コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を含む製剤の調製
当明細書においてソリプリン(登録商標)と言う、ここで問題とする新規組成物は、アカシア属およびスクテラリア属から各々単離した2つの標準化した抽出物を用いて、1つまたはそれより多くの賦形剤と共に製剤化した。このような組成物を調製するための一般的な実施例を以下に述べる。本実施例で使用したアカシアの抽出物は、カテキンおよびエピカテキンとして>80%のフラバンの総計を含有し、スクテラリア属の抽出物は、主にバイカリンである>80%のフリーのB環のフラボノイドを含有していた。スクテラリア属の抽出物はまた、表11に示すように他の少量のフリーのB環のフラボノイドも含有していた。1つまたはそれより多くの賦形剤/保存剤もまた、ここで問題とする組成物に加えた。フラバンおよびフリーのB環のフラボノイドの比率は、COX vs LOの阻害、皮膚透過性の必要性、および製品の効能の必要性、例えば必要とされる効能の期間、等に関する適応および具体的な必要性に基づいて調整することができる。賦形剤の量は、各成分の実際の活性含有量に基づいて調整することができる。製品の各々個々のバッチに関する混合表は、成分の個々のバッチに関する製品の明細およびQCの結果に基づいて作成しなくてはならない。2−5%の範囲での活性成分の量の付加も、製品の明細に見合うためには推奨される。
【0124】
フリーのB環のフラボノイド含有量 82.2%(バイカリン)を有するコガネバナの根の抽出物(38.5kg)(lot#RM052302−01);フラバン含有量の総計 80.4%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(6.9kg)(lot#RM052902−01);および賦形剤(カンデックス(Candex) 5.0kg)を合わせて、活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの重量による混合比 85:15を有するソリプリン(登録商標)製剤(50.4kg)を提供した。表10に、実施例6および8に提供した方法を用いて決定した、ソリプリン(登録商標)(Lot#G1702−COX−2)のこの特定のバッチの活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの定量化した値を提供する。表10に関して、ソリプリン(登録商標)のこの特定のバッチは、75.7%のフリーのB環のフラボノイドおよび10.3%のフラバンを含む、86%の活性成分の総計を含有する。図10は、活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの重量による混合比 80:20を有する、代表的なソリプリン(登録商標)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0125】
【表10】
【0126】
同じアプローチを用いてソリプリン(登録商標)の以下のバッチを、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物の、各々12:88および15:85の混合比を有する組み合わせを用いて調製した。
【0127】
フリーのB環のフラボノイド含有量 87.9%(バイカリンとして)を有するコガネバナの根の抽出物(58.0g)(lot#RM021203−01)、およびフラバン含有量の総計 84.9%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(442.0g)(lot#050603−01)を混合して、重量による混合比 12:88を有するソリプリン(登録商標)組成物(500g、lot#QJ205−19)を提供した。実施例6および8に提供した方法を使用したところ、ソリプリン(登録商標)(lot#QJ205−19)のこの特定のバッチにおいてフリーのB環のフラボノイド含有量(バイカリン)は9.65%であり、フラバン含有量(カテキンおよびエピカテキンの総計)は73.2%であった。
【0128】
フリーのB環のフラボノイド含有量 82.9%(バイカリンとして)を有するコガネバナの根の抽出物(300g)(lot#RM060403−01)、およびフラバン含有量の総計 90.8%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(1700g)(lot#050603−01)を混合して、重量による混合比 15:85を有するソリプリン(登録商標)組成物(2000g、lot#A1904)を提供した。実施例6および8に提供した方法を使用したところ、ソリプリン(登録商標)(lot#A1904)のこの特定のバッチにおけるフリーのB環のフラボノイド(バイカリン)含有量は15.6%であり、フラバン含有量(カテキンおよびエピカテキンの総計)は75.0%であった。
【0129】
実施例10. ソリプリン(登録商標)の製剤による5−LO酵素の阻害の用量応答性およびIC50値の測定
ソリプリン(登録商標)製剤(80:20)は実施例9に記載したように(“COX−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号の実施例14もまた参照のこと、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する)コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。THP−1またはHT−29の細胞;COX−1、COX−2および5−LOXを発現する単核細胞株、を含有する組織培養培地にて、サンプルを滴定した。ロイコトリエンB4(LTB4;Neogen, Inc., Cat#406110)の競合的ELISAを使用して、5−LOX経路におけるソリプリン(登録商標)の阻害効果の測定として、各細胞株に存在するLTB4の新たに合成されたレベルにおける本ソリプリン(登録商標)製剤の効果を評価した。本アッセイは、6ウェルプレートにて1ウェルあたり160,000から180,000の細胞を加えることにより、ダブルで行った。ソリプリン(登録商標)製剤をTHP−1培養に3、10および100μg/mLで加え、37℃、5%CO2にて加湿した環境下で一晩(〜12−15時間)インキュベーションした。結果を図11に示すが、新たにLPSに誘導されるLTB4の産生が、THP−1培養への3および10μg/mLの間のソリプリン(登録商標)の添加により、ほぼ完全に阻害されたことを示す。
【0130】
ソリプリン(登録商標)、およびもう1つの公知の5−LOX阻害薬であるイブプロフェンを、HT−29細胞に3μg/mLで加え、37℃、5%CO2にて加湿した環境下で48時間インキュベーションした。その後処理した各細胞株を遠心して集め、生理学的バッファー中でドウンス(dounce)型ホモゲナイザーの緩やかな溶菌により破壊した。図12に示すように、ソリプリン(登録商標)はHT−29細胞において新たに合成されるLTB4の80%の産生を阻害した。イブプロフェンは、同じ時間でLTB4の量の20%の低減を示しただけであった。
【0131】
実施例11. in vivo のマウス耳介腫脹モデルを用いてのソリプリン(登録商標)の効能の評価
実施例9に記載したように、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物の、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。本組成物を使用してin vivo の炎症を治療することができるかどうかを検査するため、該組成物を4−5週齢ICRマウス(Harlan Labs)に、アラキドン酸(AA)によるマウスの耳介の処置前1日に、経口胃管栄養により投与した。検査用マウスにはオリーブオイルに懸濁させたソリプリン(登録商標)50、100および200mg/kgの均等な用量を与え、コントロール用マウスにはオリーブオイルのみを与えた。翌日、95%アルコール中の330mM AA 20μLを各マウスの片側耳介に塗布し、対側耳介にはコントロールとしてアルコールを塗布した。ソリプリン(登録商標)で治療したマウスは図13に示したように、ソリプリン(登録商標)の用量の増加に伴って測定可能な用量応答性を示した。図13に関して、200mg/kg用量は、“未治療”のコントロールに比して50%以上まで腫脹を低減させている。ソリプリン(登録商標)の50mg/kg用量は、もう1つの強力な抗炎症薬であるインドメタシンの50mg/kg用量と同程度の有効性であった。
【0132】
ソリプリン(登録商標)の抗炎症活性を実証するためにデザインされたもう1つの動物モデルにおいて、4−5週齢ICRマウス(Harlan Labs)の後脚足首関節内への95%エタノール中の100mM AA 20μL注入前〜12時間に、上に記載した80:20製剤を、オリーブオイルに懸濁させた100mg/kgの用量でマウスに経口投与した。検査群にはソリプリン(登録商標)製剤を与え、もう一方の群には製剤を与えなかった。コントロール群は、アラキドン酸注入を受けなかったマウス(ネガティブコントロール)、およびAAを含まない95%エタノールを注入した群(媒体コントロール)を含むものとした。これらの群にはソリプリン(登録商標)も与えなかった。結果を図14に示す。図14に関して、AAを注入したソリプリン(登録商標)を与えたマウスは、(2つの)コントロールおよび未治療のアラキドン酸注入群と比較して、バックグラウンドレベルの腫脹を示した。これらの結果は、作用部位である関節の腫脹を低減するためのソリプリン(登録商標)の有効性を実証している。
【0133】
実施例12. UV放射への皮膚の暴露に起因する損傷の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)の効能の評価
無毛メスマウスの6群(1群当たりマウス5頭)(Stain SKH-1, Harlan Labs)を、麻酔している間に0.626mW/cm2で3分間を3日間連続して照射し、UV放射への皮膚の暴露に起因する損傷の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)製剤の有効性を検査した。ソリプリン(登録商標)製剤は実施例9に記載したように、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。6治療群は以下の通りとした:
群#
1 コントロール群:UV照射前または後に治療なし
2 ポジティブコントロール:UV照射後にスース・ア・カイン(Sooth-A-Caine )(Banana Boat)の局所塗布にて治療
3 ソリプリン(登録商標)治療B−1:UV照射前に、水中の1mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
4 ソリプリン(登録商標)治療A−1:UV照射後に、水中の1mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
5 ソリプリン(登録商標)治療B−2:UV照射前に、水中の5mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
6 ソリプリン(登録商標)治療A−2:UV照射後に、水中の5mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
UV暴露および治療の3日後、マウスは以下のスケールを用いて紅斑(赤み)のレベルでスコア表示した;0−紅斑が認められない;1−非常にわずかな紅斑;2−十分に定義される紅斑;3−重篤な紅斑、4−腫瘍形成。紅斑は、各群について目で見てスコア表示した。結果を図15に示す。図15に関して、コントロール群(1群)は第3日(UV放射への3日間暴露後の72時間)に重篤な赤みを有していたことがわかる。スース・ア・カイン群(2群)もまた第3日に最大の赤みを有した。ソリプリン(登録商標)治療群(3−6群)の赤みは、スコア2を越えることは全くなかった。これらのスコアは主観的ではあるが、ソリプリン(登録商標)がUVを原因とする皮膚の紅斑の予防および治療の双方において有効であることを示す。
【0134】
第4日の代表的なマウスの写真は、コントロール群、スース・ア・カイン(登録商標)治療群、およびソリプリン(登録商標)治療群間の差異を明確に示す(データ未発表)。コントロール群およびスース・ア・カイン(登録商標)治療の動物は、UV暴露前および後の双方にソリプリン(登録商標)製剤で治療した動物と比較して、紅斑の非常に広範囲なパターンおよび赤みを示した。UV照射前に5mg/mL ソリプリン(登録商標)で治療した動物が、他の動物すべてと比較して最小量の紅斑を示した。
【0135】
実施例13. クリーム中へのソリプリン(登録商標)組成物の製剤化
2つの異なる濃度のソリプリン(登録商標)(ソリプリン(登録商標)の重量にて0.5%および1.5%)(lot#A1904 実施例9に記載した通り)を、以下の方法および表11および12に示すようにクリームとして製剤化した。
【0136】
ソリプリン(登録商標)(lot#A1904)を室温で水中に溶かし、溶液中に完全に分散するまでブレンダーで均一にした(およそ5分)。室温で溶液を撹拌したり振動させたりせずに、ウルトレツ21カーボマー(Ultrez-21 carbomer) を溶液の表面上に振りかけることにより加え、完全に湿らせ(白色の部分が見えなくなる)、溶液中に沈ませた。その後、緩やかに撹拌しながら溶液を40℃に加熱し、グリセリンを加えた(パートA)。その後混合液をさらに5分間撹拌した。残りの成分(パートB)の重さを量り、撹拌しながら40℃に加熱した。40℃で残りの成分(パートB)をパートAに加え、得られる組成物を均一になるまで(およそ5分間)十分に混合した。このエマルジョンを30℃に冷却し、撹拌棒および/またはスパチュラで撹拌しながら、中和剤にて滴定することにより、pHをおよそ5.5(5.3から5.7)に調整した。中和剤に誘導されるカーボマーの立体配座の変化により、エマルジョンは非常に粘性が増加した。エマルジョンは最終的には、エマルジョンクリーム用に適する粘性に達した。その後エマルジョンクリームを一様になるまで混合し、その後清浄な保存容器に注ぎ、2から8℃で1ヶ月間保存した。
【0137】
【表11】
【0138】
【表12】
【0139】
実施例14. ヒトの皮膚への繰り返し塗布による刺激および接触感作の誘導に関するソリプリン(登録商標)の評価
Draize Patch Test(Draizeパッチ検査) (Marzulli and Maibach (1977) Contact Allergy: Predictive Testing in Humans. Advances in Modern Texicology, Dermatotoxilogy and Pharmacology.にて 、Mauzulli, F.N. and Maibaci, H. I.編、 4, 353-372)に準じて、ヒトの皮膚でソリプリン(登録商標)を検査した。検査部位は上腕または背中の脊柱傍の位置とした。各検査剤は誘導部位およびチャレンジ部位にて行うものとした。誘導部位は、2つのサブ部位:オリジナル部位および移動部位、で構成される。ソリプリンクリーム0.2mlを各パッチ上に含有するパッチを、移動部位にパッチを塗布することが必要になるほど強い刺激反応を発症しなければ、オリジナル部位に繰りかえし塗布した。パッチは臨床研究施設により塗布し、およそ24または48/72時間後に被験者がはずして廃棄した。誘導段階(phase)において、皮膚の同じ部位への検査剤の繰り返し塗布および合計9回の誘導パッチを、4週の期間内に塗布した。休止期間は、最後の誘導パッチの塗布およびチャレンジパッチの塗布の間の、10から21日とした。この期間中検査剤またはいかなる他の材料も検査領域に塗布しないものとした。チャレンジ段階では、検査剤を体の反対側の本来の部位に塗布し、およそ24または48時間後に被験者が廃棄した。
【0140】
各パッチの塗布に対する皮膚の応答を検討し、100ワット白熱blue bulbの採光下、デザインされたスコアのスケールにより段階表示した。強い刺激反応により検査剤の移動部位への塗布が認られた場合、先に暴露させた全ての部位について、誘導の終了時まで(または誘導後の反応の持続が完了しているかどうかが決定されるまで)、残りの期間のスコアを記録するものとした。チャレンジ段階の間、皮膚の応答は、パッチ塗布後およそ48および72または96時間に評価した。誘導された感作に関しての結論は、主としてチャレンジの評価より導いた。
【0141】
実施例13で調製した0.5%および1.5% ソリプリン(登録商標)濃度の2つのソリプリン(登録商標)クリームを、上のプロトコルに従って評価した。各群に総計120名の被験者が参加した。0.5% ソリプリン(登録商標)群に関しては97名の被験者が試験を完了し、1.5 % ソリプリン(登録商標)群に関しては101名の被験者が完了した。0.5%および1.5% ソリプリン(登録商標)クリームのいずれかについて、感作反応のエビデンスは認められなかった。0.5% ソリプリン(登録商標)について、誘導中16名の被験者が微小から軽度の紅斑の時折の発症(スコア +および/または1)を示した。チャレンジ時には、4名の被験者が48時間に微小から軽度の紅斑を示したが、96時間までに消失した。1.5%ソリプリン(登録商標)について、誘導中に26名の被験者が微小から軽度の紅斑の時折の発症(スコア+および/または1)を示した。チャレンジ時には、1名の被験者が48時間に微小から軽度の紅斑を示したが、96時間までに消失した。
【0142】
本試験は、ソリプリン(登録商標)が刺激または感作の原因となることなく、効能ある濃度でヒトの皮膚に局所的に塗布することができる安全な成分であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】コガネバナ から単離された、標準的なフリーのB環のフラボノイド抽出物(HPLCに基づき83%バイカリン)による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該抽出物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(ざ)のペルオキシダーゼ活性の同抽出物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.24μg/mL/酵素ユニットと算出され、一方COX−2に関するIC50は、0.48μg/mL/ユニットと算出された。
【図2】コガネバナ から単離された、精製成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該化合物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同化合物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.44μg/mL/酵素ユニットであると決定され、COX−2に関するIC50は、0.28μg/mL/ユニットであると決定された。
【図3】コガネバナ から単離された、精製された成分のバイカレインによる、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該化合物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同化合物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.18μg/mL/酵素ユニットであると決定され、COX−2に関するIC50は、0.28μg/mL/ユニットであると決定された。
【図4】アセンヤクノキから単離された、50%のフラバンの総計を含有する標準化したフラバンの抽出物による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該抽出物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同抽出物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.17μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.41μg/mL/ユニットと算出された。
【図5】アセンヤクノキから単離された、90%より多くのフラバンで構成されるここで問題とする組成物による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(ざ)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.11μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.42μg/mL/ユニットと算出された。
【図6】コガネバナ の根から単離された、フリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、80:20の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。当明細書においてソリプリン(登録商標)とも言うここで問題とする組成物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同製剤による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.76μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.80μg/mL/ユニットと算出された。
【図7】コガネバナ の根から単離された、フリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、約50:50の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物、すなわちソリプリン(登録商標)を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.38μg/mL/酵素ユニットと算出され、一方COX−2に関するIC50は、0.84μg/mL/ユニットと決定された。
【図8】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、約20:80の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物、すなわちソリプリン(登録商標)を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関する本組成物のIC50は、0.18μg/mL/酵素ユニットであり、一方COX−2に関するIC50は、0.41μg/mL/ユニットであった。
【図9】アセンヤクノキから抽出されたフラバンによる5−LOの阻害の概要をグラフにて表す。該組成物を、実施例4に述べたようにリコンビナントのポテト5−リポキシゲナーゼ活性(◆)の同組成物による阻害について検討した。データは阻害薬を加えなかった場合のアッセイの阻害のパーセントとして表す。5−LOに関するIC50は、1.38μg/mL/酵素ユニットであった。
【図10】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの80:20の比率の混合物で構成される典型的な製剤の、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)のクロマトグラムを示す。
【図11】実施例10に記載したようにTHP−1細胞またはHT−29細胞(ATCC)において、ELISAにより決定された場合の、LPSに誘発された新たに合成されたLTB4(◆)の量におけるソリプリン(登録商標)の濃度の増加の効果を、グラフにて表す。ソリプリン(登録商標)は、コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造した。ソリプリン(登録商標)製剤の活性は、誘発されるLTB4の合成の阻害の%として表す。
【図12】実施例10に記載したように、ELISAにより決定された場合の、誘発されていない細胞における3μg/mL ソリプリン(登録商標)での処理後のHT−29細胞に残存するLTB4レベルを、3μg/mL イブプロフェンでの処理と比較する。ソリプリン(登録商標)製剤は、処理の2日後にHT−29細胞におけるLTB4産生の80%阻害を示した。
【図13】実施例11に記載したように炎症の阻害の測定として、耳介腫脹のータをグラフにて表す。コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせたることにより製造したソリプリン(登録商標)を、未治療のマウス、および経口胃管栄養にてインドメタシン(1.5μg/kg)を与えたマウスと比較した。データは、各マウスの未治療の耳たぶ 対 治療した耳たぶのミクロン単位の測定における差異として表す。
【図14】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造したソリプリン(登録商標)の100mg/kgの効果を、AAを注入したマウスの足首(ソリプリン(登録商標)+アラキドン酸)にて、未治療のマウス(未治療+アラキドン酸)、AA注入をしないマウス(ネガティブコントロール)、または液体の担体を注入したマウス(媒体コントロール)と比較した。
【図15】実施例12に記載したようにUV光によるマウスへの照射後の時間の関数として、種々の治療群における無毛マウスの皮膚の紅斑のスコアの変化をグラフにて表す。B−1,A−1、B−2およびA−2群のマウスは、照射前(B−1およびB−2群)または照射後(A−1およびA−2群)のいずれかにソリプリン(登録商標)で治療を行った。ソリプリン(登録商標)は、コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造した。図15に関して、UV照射の前後双方でのソリプリン(登録商標)の局所塗布は、コントロール群および標準的な治療薬スース・ア・カインを投与した群と比較して、紅斑のスコアを有意に低減したとみなすことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)により仲介される疾患および状態の予防および治療のための方法に関する。具体的には本発明は、COXおよびLOX経路により仲介される皮膚の疾患および状態の予防および治療に使用するための、化合物の2つの特定のクラス−−フリーのB環のフラボノイドおよびフラバン−−を混合したものの混合物で構成される、ここで問題とする新規組成物に関する。本発明に含まれるのは、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ (wrinkles)、皮膚のたるみ、目の周囲のしわ(lines)およびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した疾患および状態の予防および治療のための方法である。当明細書に記載する組成物の使用はまた、弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさという利点を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(発明の背景)
日光は、早発性老化、皮膚癌、およびホストのその他の皮膚の変化、例えば紅斑および皮膚の黒化の原因となる、皮膚への著明な影響を有する。日光が原因となる損傷の大半は、200nmから400nmの波長を有する紫外線(UV)放射による。紫外線の放射は波長に依存して3つの分類、UVA、UVBまたはUVCに分けられる。320−400nmの範囲の波長を有するUVAは、皮膚の黒化および軽度の日光皮膚炎の原因となり得る。290−320nmの範囲の波長を有するUVBは、日光皮膚炎の原因となり色素沈着を刺激し得る。100−290nmの範囲の波長を有するUVCは損傷の原因となり得るが皮膚の黒化の原因とはならない。UV放射への皮膚の暴露は、二段階の反応を誘導する。したがって最初の暴露で即時の紅斑の反応が起こるが、これは30分以内に消失する弱い反応である。遅れての紅斑の反応は暴露の2−5時間後に起こり、10−24時間位にピークになる。増強されたプロスタグランジンおよびロイコトリエンの産生が、UV、日光、および化学的/熱的原因の紅斑に関する作用の主な機序である(Wang (2002) Adv. Dermatol. 18: 247)。
【0003】
細胞膜からのアラキドン酸(AA)の遊離および代謝は、いくつかの異なる経路により前炎症代謝の生成をもたらす。論証できることとして炎症への最も重要な経路の2つは、酵素のリポキシゲナーゼ(LOX)およびシクロオキシゲナーゼ(COX)により仲介される。これらは各々ロイコトリエンおよびプロスタグランジンの生成をもたらす平行する経路であり、炎症応答の開始および進行に重要な役割を担っている。これらの血管に作用する化合物は走化性因子(chemotaxin)であり、双方とも炎症細胞の組織内への浸潤を促進し、炎症応答の長期化を助長する。結果的にはこれらの炎症の仲介物質の生成の原因となる酵素を本発明の標的として、疾患および状態、例えば日光による熱傷、熱による熱傷、湯焼、ざ瘡、局所的創傷、紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、および哺乳類の他の皮膚癌の生理学的および病理学的過程に寄与する双方の経路に起因する炎症の二重の阻害を目的とする、局所的に投与する療法薬を開発した。
【0004】
COX酵素の阻害は、ほとんどの非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による作用機序である。COX酵素の2つの別個のアイソフォーム(COX−1およびCOX−2)があり、およそ60%の配列の相同性を共有するが、発現の概要および機能は異なる。COX−1は生理学的に重要なプロスタグランジンの産生にリンクしていた酵素の構成的な形であり、正常な生理学的機能、例えば血小板の凝集、胃における細胞機能の保護、および正常な腎臓機能の維持を調節する手助けをする(Dannhardt and Kiefer (2001) Eur. J. Med. Chem. 36: 109-26)。第2のアイソフォームであるCOX−2は、前炎症のサイトカイン、例えばインターロイキン−1β(IL−1β)およびその他の成長因子により誘導され得る酵素の形である(Herschmann (1994) Cancer Metastasis Rev. 134: 241-56; Xie et al. (1992) Drugs Dev. Res. 25: 249-65)。このアイソフォームは、アラキドン酸(AA)からのプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を触媒する。COXを阻害することが、従来のNSAIDの抗炎症活性の要因となる。
【0005】
COXおよびLOXに対して二重の特異性を示す阻害薬は、アラキドン酸代謝の複数の経路を阻害するという明確な利点を有することになるだろう。このような阻害薬はプロスタグランジン(PG)の炎症効果、ならびに複数のロイコトリエン(LT)の炎症効果を、それらの産生を制限することにより遮断することになる。この効果には、アナフィラキシー遅延反応物質としても知られるPEG2、LTB4、LTD4およびLTE4の血管拡張、血管透過性および白血球走化性の効果を含む。これらの内、LTB4が最も強い白血球走化性および化学運動性の効果を有する。(Moore (1985) Prostanoids: pharmacological, physiological and clinical relevanceにて、 Cambridge University Press, N.Y., pp. 229-230)。
【0006】
COX阻害薬の作用機序は、ほとんどの従来のNSAIDの作用機序にオーバーラップするため、COX阻害薬は、炎症が決定的な役割を担う一過性の状態および慢性疾患における炎症に伴う疼痛および腫脹を含む多くの同様の症状を治療するために使用される。一過性の状態には、軽症の擦傷または接触性皮膚炎に伴う炎症、ならびにプロスタグランジンおよびロイコトリエン経路に直接関連付けられる皮膚の状態、例えば皮膚の色素増加症、加齢性色素斑、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、および哺乳類のその他の皮膚癌の治療を含む。COX阻害薬の使用は、疾患、例えば全身性紅斑性狼瘡(SLE)(Goebel et al. (1999) Chem. Res. Toxicol. 12: 488-500; Patrono et al. (1985) J. Clin. Invest. 76: 1011-1018)、ならびにリウマチ性の皮膚の状態、例えば強皮症を含むまでに拡大してきた。COX阻害薬はまた、リウマチ由来ではない炎症性の皮膚の状態、例えば乾癬の軽減のためにも使用され、これらの場合プロスタグランジンの過剰産生に起因する炎症を低減することで、直接的な利益を提供することができる。(Fogh et al. (1993) Acta Derm Venerologica 73: 191-193)。近年、全身性硬化症の患者の皮膚における5−リポキシゲナーゼの過剰発現が報告された。このことから、LOX経路が全身性硬化症の病因において有意であると考えられ、有効な治療標的を意味すると考えられるという示唆が導かれた。(Kowal-Bielecka (2001) Arthritis Rheum. 44(8): 1865)。最後に、アレルゲン注入部位でのCOX−2および5−LOX双方の増加した酵素活性は、皮膚のアレルギー性応答の早期および後期双方の段階の症状を治療するために、二重のCOX/LOX阻害薬を使用することの可能性を示唆する。(Church (2002) Clin. Exp. Allergy. 32(7): 1013)。
【0007】
選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬の局所塗布は、急性および長期的暴露双方の後のUVBを介した皮膚の炎症を抑制することが示された。加えて浮腫、真皮の好中球の浸潤および活性化、PGE2レベル、および日光皮膚炎の細胞の形成は、COX阻害薬の局所塗布により低減された。(Wilgus (2000) Prostaglandins Other Lipid Mediat. 62(4): 367)。COX阻害薬のセレブレックス(Celebrex)(登録商標)は、全身投与 (Wilgus et al. (2002) Adv. Exp. Med. Biol. 507: 85)、および局所的投与(Wilgus et al. (2000) Prostaglandins Other Lipid Mediat. 62: 367)した場合に、UVに誘発される炎症の効果を低減することが示された。動物モデルにおいて、公知のCOX阻害薬であるアスピリンおよび様々なリポオキシゲナーゼ阻害薬は、UV照射に起因する炎症および血管抑制に対して血管保護活性を示した(Kuhn (1988) Biomed. Biochim. Acta. 47: S320)。急性および長期的な慢性的UV暴露は、真皮表面におけるコラーゲンの変性および異常なエラスチンの蓄積を特徴とする皮膚の損傷および日光による老化の原因となる。二重のCOX/LOX阻害薬を使用して、走化性因子−プロスタグランジン(PG)の血管拡張、血管透過性、白血球走化性、ならびに複数のロイコトリエン(LT)のこれらの作用を有意に低減することにより、炎症性浸潤を原因とするコラーゲンの変性を予防および治療することができる。(Bosset (2003) Br. J. Dermatol. 149(4): 826; Hase (2000) Br. J. Dermatol. 142(2): 267)。加えて口の皮膚における化学的に誘発される酸化的ストレスを、COXおよびLOXの阻害薬を別々に投与することにより阻害し、白血球の接着、浸潤およびH2O2の生成を低減することができる。(Nakamura (2003) Free Radical Biol. Med. 35(9): 997)。
【0008】
抗炎症薬としてのそれらの使用に加えて、COX阻害薬のもう1つの可能性のある役割は癌の治療におけるものである。COXの過剰発現が様々なヒトの悪性腫瘍で示されており、COXの阻害薬が皮膚の腫瘍を有する動物の治療に効能があることが示された。作用機序は完全には理解されていないが、COXの過剰な発現がアポトーシスを阻害し、腫瘍形成の細胞のタイプの侵襲性を増加することが示された。(Dempke et al. (2001) J. Can. Res. Clin. Oncol. 127: 411-17; Moore and Simmons (2000) Current Med. Chem. 7: 1131-1144)。アップレギュレーションしたCOXの産生は、皮膚の光線性角化症および扁平上皮癌の生成に関係していた。COXの増加した量はまた、DNA損傷により産生される病変にも見出された。(Buckman et al. (1998) Carcinogenesis 19: 723)。このためCOXの発現またはタンパク質機能をコントロールすることは、炎症応答そして結果的には癌への進行の低減をもたらすものと思われる。事実COX阻害薬、例えばインドメタシンおよびセレブレックス(登録商標)は、UVに誘発される紅斑および腫瘍形成の治療に有効であることが見出された。(Fischer (1999) Mol. Carcinog.25: 231; Pentland (1999) Carcinogenesis 20: 1939)。近年、リポオキシゲナーゼの過剰な発現はまた、表皮の腫瘍の発症(Muller (2002) Cancer Res. 62(16): 4610)および黒色腫の発癌(Winer (2002) Melanoma Res. 12(5): 429)に関連することが示された。リポオキシゲナーゼ経路から生成されるアラキドン酸(AA)の代謝は、シグナル伝達に関連する腫瘍の成長に重要な役割を担っており、リポオキシゲナーゼ経路の阻害が癌の進行を予防するための有効な標的であるはずであることを示唆する。(Cuendet (2000) Drug Metabol Drug Interact 17(4): 109; Steele (2003) Mutat Res.523-524: 137)。このように二重のCOX/LOX阻害活性を有する療法薬の使用は、癌の化学的予防において有意な有利性を提供する。
【0009】
プロスタグランジンおよびロイコトリエンはまた、創傷、熱傷、湯焼、ざ瘡、細菌感染、皮膚炎、および多くの他の皮膚の疾患および状態の、生理学的および病理学的過程においても重要な役割を担っている。有意に上昇したシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼの活性を伴う、熱的または化学的熱傷後の前炎症カスケードの活性化は十分に実証されており、多臓器不全をもたらすかもしれない、続いて起こる重篤な症状および免疫機能不全の発症に重要な役割を担う。(Schwacha (2003) Burns 29(1): 1; He (2001) J. Burn Care Rehabil. 22(1): 58)。
【0010】
ざ瘡は、皮脂産生の異常、小胞性の上皮剥離、細菌増殖および炎症を伴う毛包脂腺単位の疾患である。ざ瘡の炎症の特性は偏光写真により検出し、ざ瘡の範囲の評価および治療の有効性の決定も含む臨床的診断に利用することができる。(Phillips (1997) J. Am. Acad. Dermatol. 37(6): 948)。ざ瘡の予防および治療のための現行の療法薬は、レチノイドのような抗炎症薬、抗生剤およびホルモン剤を含む。(Leyden (2003) J. Am. Acad. Dermatol. 49(3 Suppl): S200)。抗炎症薬、例えばレチノイド (Millikan (2003) J. Am. Acad. Dermatol. 4(2): 75)およびCOX阻害薬であるサリチル酸(Lee (2003) Dermatol Surg 29(12): 1196)の局所塗布は、ざ瘡の治療のための有効で安全な療法として臨床的に示された。加えて非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の使用は、ざ瘡、乾癬、日光による熱傷、結節性紅斑、クリオグロブリン血症、スイート症候群、全身性肥満細胞症、蕁麻疹様血管炎、皮斑様血管炎、および結節性脈管炎を含む一般的なおよび一般的はでない皮膚病用の療法薬として、十分に実証されている。(Friedman (2002) J. Cutan Med. Surg. 6(5): 449)。
【0011】
フラボノイドまたはバイオフラボノイドは広く分布している天然の生成物の群であり、抗菌、抗炎症、抗アレルギー、突然変異抑制、抗ウイルス、抗新形成、抗トロンビン、および血管弛緩の活性を有することが報告されている。この化合物の群に共通する構造ユニットは、以下の一般構造式:
【0012】
【化1】
【0013】
により示すような3−炭素環の両サイドに2つのベンゼン環を含む。この3環の一般構造に結合する、ヒドロキシル基、糖、酸素およびメチル基の多様な組み合わせが、フラバノール、フラボノン、フラバン−3−オル(カテキン)、アントシアニン、およびイソフラボンを含む、フラボノイドの多様なクラスを形成する。
【0014】
フリーのB環のフラボンおよびフラボノールは、フラボノイドの特定のクラスであリ、これらは以下の一般構造:
【0015】
【化2】
【0016】
により示すように、芳香族のB環に置換基を有していない(当明細書においてフリーのB環のフラボノイドと言う)、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0017】
フリーのB環のフラボノイドは比較的稀である。合成されたまたは天然の材料から単離された9,396のフラボノイドの内、わずか231のフリーのB環のフラボノイドが知られているに過ぎない(The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall/CRC, Version 5:1 June 2001)。フリーのB環のフラボノイドは、別種の生物学的活性を有することが報告された。例えばガランギン(3,5,7−トリヒドロキシフラボン)は、抗酸化物質およびフリーのラジカルスカベンジャーとして作用し、抗遺伝毒性および癌の化学的予防のための有望な候補物質であると考えられている。(Heo et al. (2001) Mutat. Res. 488(2): 135-150)。同物質はチロシナーゼモノフェノラーゼの阻害薬(Kubo et al. (2000) Bioorg. Med. Chem. 8(7): 1749-1755)、ウサギ心臓のカルボニル還元酵素の阻害薬(Imamura et al. (2000) J. Biochem. 127(4): 653-658)であり、抗菌活性(Afolayan and Meyer (1997) Ethnopharmacol. 57(3): 177-181)、および抗ウイルス活性(Meyer et al. (1997) J. Ethnopharmacol. 56(2): 165-169)を有する。バカレインおよび2つの他のフリーのB環のフラボノイドは、ヒト乳癌細胞に対する抗増殖活性を有する(So et al. (1997) Cancer Lett. 112(2): 127-133)。
【0018】
典型的にはフラボノイドは、それらの利用可能性に基づいて無作為に生物学的活性について検討されてきた。時にはB環の置換の必要性が、特異的な生物学的活性のため、例えばp−糖タンパク質への高いアフィニティー結合 (Boumendjel et al. (2001) Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(1): 75-77);強心性の効果(Itoigawa et al. (1999) J. Ethnopharmacol. 65(3): 267-272)、リノール酸のヒドロペルオキシド誘発性の毒性に対する内皮細胞における保護効果(Kaneko and Baba (1999) Biosci Biotechnol. Biochem 63(2): 323-328)、COX−1阻害活性(Wang (2000) Phytomedicine 7: 15-19)およびプロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacology 44(1): 1-12)、のために必要なB環の置換が強調された。いくつかの公開公報のみが、フリーのB環のフラボノイドの置換されていないB環の有意性を述べているに過ぎない。一例は、NADPHによるキノンを受容体とする酸化還元酵素を阻害する、可能性のある抗凝固薬としての2−フェニルフラボンの使用である。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。
【0019】
様々なフリーのB環のフラボノイドの抗炎症活性に関する作用機序は、議論の的となってきた。フリーのB環のフラボノイドであるクリシン(Liang et al. (2001) FEBS Lett. 496(1): 12-18)、オウゴニン(Chi et al. (2001) Biochem, Pharmacol. 61: 1195-1203)およびハランギン(halangin)(Raso et al. (2001) Life Sci. 68(8): 921-931)の抗炎症活性は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)の活性化を経ての誘導型シクロオキシゲナーゼおよび一酸化窒素合成酵素の抑制、および脱顆粒およびAA放出への影響に関係付けられた。(Tordera et al. (1994) Z, Naturforsch [C] 49: 235-240)。オロキシリン、バイカレインおよびオウゴニンは、シクロオキシゲナーゼに影響を及ぼすことなく12−リポオキシゲナーゼ活性を阻害することが報告された。(You et al. (1999) Arch. Pharm. Res. 22(1): 18-24)。より最近ではオウゴニン、バイカリン、バイカレインの抗炎症活性は、一酸化窒素阻害薬およびリポ多糖により誘導される、誘導型一酸化窒素合成酵素およびcox−2遺伝子発現の阻害を通して起こるものとして報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。オロキシリンは、NFκB活性化の抑制により作用することもまた報告された。(Chen et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 61(11): 1417-1427)。最後にオウゴニンは報告によれば、マクロファージにおける誘導型PGE2の産生を阻害する。(Wakabayashi and Yasui (2000) Eur. J. Pharmacol. 406(3): 477-481)。
【0020】
バイカレインによるマイトジェン活性化プロテインキナーゼのリン酸化の阻害、およびCa2+イオノフォアA23187に誘導されるPGE2放出の阻害が、オウゴン(Scutellariae radix)の抗炎症活性の機序として報告された。(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11: 215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26: 311-323)。コガネバナ(Scutellaria baicalensis)由来のバイカリンは、報告によればスーパー抗原であるブドウ球菌の外毒素に刺激されるT細胞の増殖およびIL−1β、IL−6、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、およびインターフェロン−γ(IFN−γ)の産生を阻害する(Krakauer et al. (2001) FEBS Lett. 500: 52-55)。このようにバイカリンの抗炎症活性は、スーパー抗原により活性化される前炎症サイトカインを介してのシグナル経路を阻害することに関係付けられた。しかしバイカリンの抗炎症活性は、様々なケモカインの結合によるものであり、そのことがそれらの生物学的活性を制限することもまた提案された。(Li et al. (2000) Immunopharmacology 49: 295-306)。近年、トロンビンおよびトロンビン受容体アゴニストのペプチドにより誘導される接着分子の発現におけるバイカリンの効果(Kimura et al. (2001) Planta Med. 67: 331-334)、ならびにマイトジェン活性化プロテインキナーゼカスケード(MAPK)の阻害(Nakahata et al. (1999) Nippon Yakurigaku Zasshi, 114, Supp. 11: 215P-219P; Nakahata et al. (1998) Am. J. Chin Med. 26: 311-323)が報告された。
【0021】
漢方医学の植物であるコガネバナは、バイカレイン、バイカリン、オウゴニンおよびバイカレノシド(baicalenoside)を含むフリーのB環のフラボノイドの有意な量を含有する。伝統的にこの植物は、clearing away heat、purging fire(発熱)、dampness-warm、およびsummer fever症候群;高熱に起因する煩渇多飲;カルブンケル、びらん、およびその他の化膿性皮膚感染;上気道感染、例えば扁桃炎、咽頭喉頭炎および猩紅熱;ウイルス性肝炎;腎炎;骨盤炎;赤痢;吐血および鼻出血を含む多数の状態を治療するために使用されてきた。この植物はまた伝統的に流産の予防にも使用されてきた。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。臨床的にはスクテラリア属は今日、小児肺炎、小児細菌性下痢、ウイルス性肝炎、急性胆嚢炎、高血圧、切創および手術に起因する局所的な急性の炎症、気管支喘息および上気道感染を治療するために使用される。(Encyclopedia of Chinese Traditional Medicine, ShangHai Science and Technology Press, ShangHai, China, 1998)。気管支喘息の治療のためのスクテラリア属の根の薬理学的効能は、報告によればフリーのB環のフラボノイドの存在、および好酸球の漸増にかかわるエオタキシンのそれらによる抑制に関する。(Nakajima et al. (2001) Planta Med. 67(2): 132-135)。
【0022】
今日までに、天然に生成されるフリーのB環のフラボノイドの多数が、様々な用途で市販されてきた。例えばスクテラリア属の抽出物のリポソーム製剤は、スキンケアに使用された(米国特許第5,643,598号;5,443,983号)。バイカリンは、腫瘍形成遺伝子におけるその阻害効果により、癌の予防に使用された(米国特許第6,290,995号)。バイカリンおよびその他の化合物は、抗ウイルス、抗菌および免疫調節の薬剤として(米国特許第6,083,921号およびWO98/42363)、そして天然の抗酸化体として(WO98/49256およびポーランド公開公報第9,849,256号)使用された。コガネバナの根の抽出物は、局所製剤中の各々の個別の成分による累加的なSPFの付加効果を有する補足的なサンスクリーン剤として製剤化された(WO98/19651)。クリシンは、その不安の低減特性に関して使用された(米国特許第5,756,538号)。抗炎症フラボノイドは、肛門直腸および結腸の疾患のコントロールおよび治療(米国特許第5,858,371号)、ならびにリポキシゲナーゼの阻害(米国特許第6,217,875号)のために使用されている。これらの化合物はまた、結合組織の補修および維持のため、グルコサミンコラーゲンおよびその他の成分と共に製剤化された(米国特許第6,333,304号)。フラボノイドエステルは美容組成物用の活性成分を構成する(米国特許第6,235,294号)。“効能あるCOX−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号、および“療法薬としてのフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の製剤”という表題の、2003年7月22日に提出された米国特許出願第10/427,746号の双方は、フリーのB環のフラボノイドを包含する組成物、またはフリーのB環のフラボノイドの混合物を含有する組成物を、それを必要とするホストに投与することによる、シクロオキシゲナーゼ酵素のCOX−2を阻害するための方法を開示している。これは、フリーのB環のフラボノイドおよびCOX−2阻害活性との間のリンクに関する最初の報告である。これらの出願を特定的にそれらの全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0023】
日本特許第63027435号は、バイカレインの抽出および強化について記載しており、日本特許第61050921号は、バイカリンの精製について記載している。
フラバンは以下の一般構造:
【0024】
【化3】
【0025】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステル、ならびにそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、記載した置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0026】
カテキンは、最初に緑茶中に発見された、以下の構造:
【0027】
【化4】
【0028】
を有するフラバンである。カテキンは単独で、および茶葉中に見出される他のフラボノイドと共にのいずれでも作用し、抗ウイルス活性および抗酸化活性の双方を有する。カテキンは、ウイルス性肝炎の治療に有効であることが示された。カテキンはまた、心臓、腎臓、肺および脾臓への酸化的損傷を予防すると考えられており、胃癌細胞の成長を阻害することが示された。
【0029】
カテキンおよびその異性体のエピカテキンは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼを40μMのIC50値で阻害する。(Kalkbrenner et al. (1992) Pharmacol. 44: 1-12)。以下の4種の植物:アツナ・ラセモサ(Atuna racemosa)、シジギューム・カリノカルプム(Syzygium carynocarpum)、マレーフトモモ(Syzygium malaccense)およびバンタネア・ペルビアナ(Vantanea peruviana)から単離された、(+)−カテキンおよびガロカテキンを含む5つのフラバン−3−オル誘導体は、3.3μMから138μMの範囲のIC50値で、COX−1との関連においてCOX−2に対して等しいからより弱い阻害活性を示す(Noreen et al. (1988) Planta Med. 64: 520-524)。バンヤノキ(Ceiba pentandra )の樹皮から単離された(+)−カテキンは、80μMのIC50値でCOX−1を阻害する(Noreen et al. (1988) J. Nat. Prod. 61: 8-12)。市販品より入手可能な純粋な(+)−カテキンは、実験条件に依存しておよそ183から279μMのIC50値でCOX−1を阻害し、COX−2への選択性はない (Noreen et al. (1998) J. Nat. Prod. 61: 1-7)。
【0030】
緑茶カテキンは、スップラーグ・ダウレイ(Sprague dawley) 雄ラットの食餌に補充した場合、血小板PLA2の活性レベルを低下させ、血小板シクロオキシゲナーゼレベルを有意に低下させた。(Yang et al. (1999) J. Nutr. Sci. Vitaminol. 45: 337-346)。カテキンおよびエピカテキンは報告によれば、ヒト結腸癌DLD−1細胞におけるcox−2遺伝子の転写を軽度に抑制する(IC50=415.3μM)。(Mutoh et al. (2000) Jpn. J. Cancer Res. 91: 686-691)。赤ワイン由来の(+)−カテキンの神経保護能力は、細胞内酵素、例えばシクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、または一酸化窒素合成酵素への阻害効果よりむしろ、カテキンの抗酸化特性に起因する(Bastianetto et al. (2000) Br. J. Pharmacol. 131: 711-720)。緑茶および紅茶から精製されたカテキン誘導体、例えばエピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン−3−ガレート(ECG)、およびテアフラビンは、ヒト結腸粘膜および結腸腫瘍組織におけるシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼに依存するAAの代謝 の阻害(Hong et al. (2001) Biochem. Pharmacol. 62: 1175-1183)、ならびにcox−2発現およびPGE2産生の誘導 の阻害(Park et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 286: 721-725)を示した。ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)の地上に出ている部分から単離されたエピアフゼレチン(epiafzelechin)は、15μMのIC50値で用量依存性のCOX−1活性の阻害を示し、100mg/kgの投与量での経口投与後のカラゲニン誘発性マウス足底浮腫に対する抗炎症活性もまた示した。(Min et al. (1999) Planta Med. 65: 460-462)。
【0031】
アカシアは、マメ科の木および低木の属である。アカシア属は、マメ科のファミリーおよびネムノキ亜科のサブファミリーに属する1000種以上を含む。アカシアは中央アメリカおよび南部アメリカ、アフリカ、アジアの一部、ならびにオーストラリアの熱帯地域および亜熱帯地域において世界的に広く分布し、固有種の最大数を有する。アカシアは経済的に非常に重要であり、タンニン、ゴム、材木、燃料および家畜の飼料の原料を提供する。タンニンは主として樹皮から単離され、獣の皮および皮膚のなめしに広く使用される。一部のアカシアの樹皮はまた、地酒の風味付けにも使用される。エダウチクサネム(A. sinuate) のような一部の自生種はまたサポニンを産するが、これは水と混合し激しく撹拌すると石鹸の泡を形成する多様な植物性グルコシドのいずれかである。サポニンは、洗剤、発泡剤およびエマルジョン化剤中に使用される。一部のアカシア種の花は香りがよく、香水を製造するために使用される。多くのアカシアの芯材は、農機具を製造するために使用され、薪の原料もまた提供する。アカシアゴムは薬剤および製菓中に、そして繊維産業におけるにじみ止め剤および仕上げ剤として広範囲な使用が認められている。
【0032】
今日まで、およそ330の化合物が様々なアカシア種から単離された。フラボノイドは、アカシアから単離される化合物の主要なクラスである。およそ180の異なるフラボノイドが同定され、そのうち111がフラバンである。テルペノイドはアカシア属の種から単離される化合物の第2の大きなクラスであり、48の化合物が同定されている。アカシアから単離される化合物のその他のクラスには、アルカノイド(28)、アミノ酸/ペプチド(20)、タンニン(16)、炭水化物(15)、酸素の複素環(15)、および脂肪族化合物(10)を含む。(Buckingham, The Combined Chemical Dictionary, Chapman & Hall CRC, version 5:2、2001年12月)。
【0033】
フェノール化合物、特にフラバンは、すべてのアカシア種において中程度から高い濃度で見出される。(Abdulrazak et al. (2000) Journal of Animal Sciences. 13: 935-940)。歴史的には、アカシア属の植物および抽出物のほとんどは、胃腸障害、下痢、消化不良を治療するため、および止血のための収斂剤として利用されてきた。(Vautrin (1996) Universite Bourgogne (France) European abstract 58-01C: 177; Saleem et al. (1998) Hamdard Midicus. 41: 63-67)。アラビアゴムモドキ(Acacia arabica Willd.)の樹皮およびさやは、多量のタンニンを含有し、収斂剤および去痰剤として利用されてきた。(Nadkarni (1996) India Materia Medica, Bombay Popular Prakashan, pp. 9-17)。ソマリア産のアカシア・トルティリス(Acacia tortilis) の幹の樹皮から単離されたジアリールプロパノール誘導体は、平滑筋弛緩効果を有することが報告された。(Hagos et al. (1987) Planta Medica. 53: 27-31, 1987)。アカシア・ビクトリア(Acacia victoriae) から単離されたテルペノイドサポニンは、ジメチルベンゾアントラセンに誘発されるハツカネズミの皮膚の発癌において阻害効果を有し(Hanausek et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meetig 41: 663)、アポトーシスを誘発する(Haridas et al. (2000) Proceedings American Association for Cancer Research Annual Meetig 41: 600)ことがまた報告された。アカシア・ニロティカ(Acacia nilotica)由来の植物抽出物は、痙縮薬、血管収縮薬、および降圧薬の活性を有し (Amos et al. (1999) Phytotherapy Research 13: 683-685; Gilani et al. (1999) Phytotherapy Research. 13: 665-669)、抗血小板凝集活性を有する(Shah et al. (1997) General Pharmacology. 29: 251-255)ことが報告された。抗炎症活性がアカシア・ノルティカについて報告された。フラボノイド、多糖および有機酸は潜在的な活性成分であることが推測された。(Dafallah and Al-Mustafa (1996) American Journal of Chinese Medicine. 24: 263-269)。今日までに唯一報告された、アカシアから単離された5−リポキシゲナーゼ阻害薬はモノテルペノイドのカルボキサミドである(Seikine et al. (1997) Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 45: 148-11)。
【0034】
アカシア の樹皮由来の抽出物は、ホワイトニング剤(Abe、日本特許10025238)として、歯科での適用のためのグルコシルトランスフェラーゼ阻害薬(Abe、日本特許07242555)として、タンパク質合成阻害薬(Fukai、日本特許07165598)として、皮膚外用調製剤用の活性酸素掃徐剤(Honda、日本特許07017847、Bindra 米国特許第6,1266,950号)として、および炎症、花粉症および咳を予防するための経口消費用ヒアルロンダーゼ阻害薬(Ogura、日本特許07010768)として、外用の使用について日本で特許が取得されている。
【0035】
今日までに、哺乳動物の皮膚の状態に有意な利益をもたらすCOX/LOX酵素の二重の阻害のための、主な生物学的活性成分としてフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンのみを組み合わせている製剤に関するいかなる報告も目にしてはいない。
【課題を解決するための手段】
【0036】
(発明の概要)
本発明は、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するための、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の酵素の双方を同時に阻害する上で有効である方法を含む。COXおよびLOXの酵素を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される組成物を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。ここで問題とする組成物を、当明細書においてソリプリン (Soliprin)(登録商標)と言う。本方法の効能は、異なる細胞株にて、複数の動物モデルにて、そして最終的にはヒトの臨床試験にて、精製された酵素を用いて示した。本組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、80:20である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0037】
本発明はまた、COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、および医薬的に受容可能な担体を包含する組成物の有効量を、好ましくは局所的に投与することで構成される。該組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、80:20である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0038】
以下の発明に従って使用することのできるフリーのB環のフラボノイドは、当明細書においてフリーのB環のフラボンおよびフラボノールとも言うが、以下の一般構造:
【0039】
【化5】
【0040】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基から選択される;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0041】
本発明のフリーのB環のフラボノイドは合成法により得てもよいし、以下のバンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) を含むがこれに限定されない植物のファミリーから抽出してもよい。フリーのB環のフラボノイドは、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) を含むがこれに限定されないhigh plantsの属から抽出、濃縮、および精製することができる。
【0042】
以下の発明に従って使用することのできるフラバンは、以下の一般構造:
【0043】
【化6】
【0044】
により示す化合物を含み、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルを含むがこれに限定されない、記載した置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基から選択される;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッカ物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0045】
本発明のフラバンはアカシア属から選択される1つまたは複数の植物から得てもよい。好ましい態様において該植物は、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される。
【0046】
1つの態様において本発明は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した多数の皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法を含む。もう1つの態様において本発明は、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷を予防および治療するための方法を含む。なおもう1つの態様において本発明は、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含む。
【0047】
本発明はさらに、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。上に記載した皮膚の疾患および状態の予防および治療のためのそれらの使用に加えて、当明細書に記載する療法組成物はまた、過敏な皮膚を和らげるため、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0048】
本発明に従っての予防法および治療法は、単一の材料または複数の材料から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを製剤化したものの療法的有効量を、それを必要とするホストに、局所的に投与することを包含する。個々のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバン、ならびに/または複数のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の純度は、該化合物(単数または複数)を得るために使用する方法に依存して、0.01%から100%を含むがこれに限定されない。好ましい態様において、該化合物を含有するフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の用量は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される、効能のある非毒性の量である。ルーチーンの臨床検査を使用する当業者は、治療する特定の病気に関する至適用量を決定することができるだろう。
【0049】
本発明は、製剤を至適化し、所望の生理学的活性を得るための、酵素モデルおよびin vivoのモデルを使用しての、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの種々の組成物の評価を含む。本製剤の効能および安全性はまた、ヒトの臨床試験においても示す。本発明の組成物は、当業者に知られているあらゆる技術により投与することができる。投与の形式は、腸溶性(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与、ならびに局所塗布を含むがこれに限定されない。好ましい態様において本発明に従っての治療法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の療法有効量を、局所的に投与することを包含する。
【0050】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載の双方とも、代表的および説明的なものに過ぎず、請求項のように本発明を制限する訳ではないことと、理解されなければならない。
(発明の詳細な説明)
本発明の側面に言及するため、様々な用語を当明細書において使用する。本発明の構成要素の記載を明確にする手助けとなるよう、以下の定義を提供する。
【0051】
“a”“an”という用語を冠詞とする実体は、1つまたはそれより多くのその実体を言うことに注意しなければならない;例えばa flavonoid(フラボノイド)は、1つまたはそれより多くのフラボノイドを言う。このように“a”または“an”、“1つまたはそれより多く”、および“少なくとも1つ”と言う用語は、当明細書において互変性を持って使用する。
【0052】
“フリーのB環のフラボノイド”は当明細書で使用する場合フラボノイドの1つの特定のクラスであり、以下の一般構造:
【0053】
【化7】
【0054】
により示すように、芳香族のB環に置換基を有していない、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチル−アルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0055】
“フラバン”は当明細書で使用する場合フラボノイドの1つの特定のクラスを言い、以下の一般構造:
【0056】
【化8】
【0057】
により一般的に表すことができる、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステル、ならびにそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含むがこれに限定されない、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネート等を含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される。
【0058】
“療法的”は当明細書で使用する場合、治療および/または予防を含む。同用語を使用する場合、療法的という用語は、ヒトならびにその他の動物に対して言う。
“医薬的にまたは療法的に有効な用量または量”は、所望の生物学的結果を誘導するのに十分な投与量レベルを言う。この結果は、疾患の兆候、症状または原因の軽減でもよいし、所望される生物学的な系のあらゆるその他の変化でもよい。
【0059】
“プラセボ”は、疾患の兆候、症状または原因を軽減すると思われる所望の生物学的(系)を誘導するのに十分な、医薬的または療法的に有効な用量または投与量の代替物で活性物質を含まないものを言う。
【0060】
“ホスト”または“患者”は、当明細書に記載した組成物を投与する、生きている被験者、すなわちヒトまたは動物である。したがって当明細書に記載する本発明は、獣医学的にならびにヒトへの適用として使用してよく、“患者”または“ホスト”という用語は、限定するものと解釈されるべきではない。獣医学的適用のケースでは、投与量の範囲は動物の体重を考慮して後述するように決定することができる。
【0061】
本出願を通して様々な引用文献を提供していることに注目されたい。各引用文献をその全内容において当明細書にて参照として特定して援用する。
当発明は、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを含有する植物の、有機溶媒および水性溶媒による抽出法(実施例1、表1)を提供する。粗抽出物を、シクロオキシゲナーゼの阻害活性についてアッセイした(実施例2、表2および3)。精製したフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンは、各々実施例3および4に示すように、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)に対する阻害活性を示した。抽出物を分析および定量する方法は実施例5および6に記載し、植物の材料から標準化したフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを生成する方法は、実施例7および8に提供する。
【0062】
本発明の1つの態様において、標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物は、実施例1、2、5および8に定義するようにフリーのB環のフラボノイドの総計で1−99%(重量比)の間の純度を有する活性化合物で構成される。バイカリンは抽出物中の主要な活性成分であり、これはフリーのB環のフラボノイドの総計のおよそ50−90%(重量比)を占める。好ましい態様においてこの標準化した抽出物は、フリーのB環のフラボノイドの総計で>70%を含有し、その内、フリーのB環のフラボノイドの総計の>75%はバイカリンである。
【0063】
1つの態様において標準化したフラバン抽出物は、実施例1、4,6および7に定義するように、フラバンの総計で1−99%(重量比)の間の純度を有する活性化合物で構成される。カテキンは抽出物中の主要な活性成分であり、フラバンの総計の50−95%(重量比)を占める。好ましい態様において標準化したフラバン抽出物は、フラバンの総計で>80%を含有し、その内、フラバンの>70%はカテキンである。
【0064】
1つの態様においてソリプリン(登録商標)は、上の2つの抽出物または合成化合物を99:1から1:99の比率で混合することにより製造する。フリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの好ましい比率は、実施例9および表10に定義するように80:20であり、そして実施例9に定義するように15:85である。
【0065】
ソリプリン(登録商標)中のフリーのB環のフラボノイドの濃度は約1%から99%とすることができ、ソリプリン(登録商標)中のフラバンの濃度は99%から1%とすることができる。本発明の好ましい態様において、ソリプリン(登録商標)中のフリーのB環のフラボノイドの総計の濃度は、ソリプリン(登録商標)の総重量のおよそ15%のバイカリン含有量を含むおよそ20%である;そしてソリプリン(登録商標)中のフラバンの総計の濃度は、およそ70%のカテキン含有量を含むおよそ75%である。本態様において、ソリプリン(登録商標)中の活性成分の総計(フリーのB環のフラボノイド+フラバン)は、総重量の>90%である。
【0066】
本発明は、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するための、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)の酵素の双方を同時に阻害する上で有効である方法を含む。COXおよびLOXの酵素を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される組成物を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。ここで問題とする本組成物を当明細書においてソリプリン(登録商標)と言う。本方法の効能は、異なる細胞株にて、複数の動物モデルにて、そして最終的にはヒトの臨床試験にて、精製された酵素を用いて示した。組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0067】
本発明はまた、COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、および医薬的に受容可能な担体で構成される組成物の有効量を、それを必要とするホストに、好ましくは局所的に投与することで構成される。該組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99.9:0.1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、0.1:99.9のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0068】
1つの態様において本発明は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌を含むがこれに限定されない、COXおよびLOXを介した多数の皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法を含む。もう1つの態様において本発明は、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷を予防および治療するための方法を含む。なおもう1つの態様において本発明は、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含む。
【0069】
本発明はさらに、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。上に記載した皮膚の疾患および状態の予防および治療のためのそれらの使用に加えて、当明細書に記載する療法組成物は、過敏な皮膚を和らげるために、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0070】
当発明に従って使用することのできるフリーのB環のフラボノイドは、前述の一般構造により示した化合物を含む。本発明のフリーのB環のフラボノイドは合成法により得てもよいし、バンレイシ科、キク科、ノウゼンカズラ科、シクシン科、キク科、トウダイグサ科、シソ科、ラウランセアエ、マメ科、クワ科、マツ科、ワラビ科、シノプテリダセアエ、ニレ科およびジンギベラセアエを含むがこれに限定されない植物のファミリーから抽出してもよい。フリーのB環のフラボノイドは、デスモス、キク科、オロキシルム、ブケナビア、アナファリス、コツラ、キク科ヤマハハコグサ属、ヘリクリサム属、キク科セントウレア属、キク科ヒヨドリバナ属、キク科サワギク属、トウダイグサ科、スクテラリア属、モルサ、コレブロッケア、シソ科スタキス属、シソ科オリガナム属、ジジフォラ、クスノキ科クロモジ属、クスノキ科カゴノキ属、アカシア属、マメ科デリス属、マメ科カンゾウ属、マメ科ナツフジ属、マメ科クロヨナ属、テフォロシア、クワ科アルトカルプス属、フィクス、キンシダ科、ノトラエナ、マツ科マツ属、ニレ科ニレ属およびショウガ科アルピニア属を含むがこれに限定されないhigh plantsの属から抽出、濃縮、および精製することができる。
【0071】
フラボノイドは、茎、茎の皮(bark)、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分を含むがこれに限定されない、植物の種々の部分に発見することができる。フリーのB環のフラボノイドの単離および精製のための方法は、“効能あるCox−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号に記載されており、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0072】
本発明の方法に従って使用することのできるフラバンは、前述の一般構造により示した化合物を含む。本発明のフラバンは、植物のアカシア属から選択される1つまたは複数の植物から単離する。好ましい態様において、該植物はアセンヤクノキ、アカシア・コンシナ、キンゴウカン、アカシア・セネガル、アカシア・スペシオサ、アカシア・アラビカ、アカシア・カエシア、アカシア・ペンナタ、アカシア・シヌアテ、モリシマアカシア、アカシア・ピクナンタ、ミモザ、カマバアカシア、アカシア・ホロセレシアおよびアカシア・マンギュームから成る群から選択される。
【0073】
フラバンは、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分を含むがこれに限定されない、植物の種々の部分に発見することができる。フラバンの単離および精製のための方法は、“アカシアからのCox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号に記載されており、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0074】
本発明は、一連のin vivo の炎症および毒性の試験ならびにin vitroの生化学、細胞、および遺伝子発現のスクリーニングを結びつけて、COXおよびLOXの酵素活性を特異的に阻害し、mRNAの遺伝子発現に影響を与え、炎症を低減する活性な植物抽出物を同定する戦略を与える。COXおよびLOXを特異的に阻害する活性な植物抽出物を同定するために、当明細書にて使用する方法は、実施例1および2に、ならびに“効能のあるcox−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号;“アカシアからのCox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号、および“Cox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号に記載されており、これら各文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する。
【0075】
COXの阻害を測定するために使用する生化学的アッセイは、ヘムおよびアラキドン酸の存在下でのタンパク質のペルオキシダーゼ活性による。実施例3に記載する本試験は、精製されたフリーのB環のフラボノイド、すなわちコガネバナから単離されたバイカリンおよびバイカレイン、ならびにアセンヤクノキから単離されたフラバン抽出物、そして高濃度のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンを含有する各々の個々の標準化した抽出物は、COX活性を阻害することを示した(図1−5)。加えて、実施例9に示すように調製した、個々の標準化した抽出物の各々の異なる比率を有する組成物(すなわち80:20、50:50、20:80のフリーのB環のフラボノイド:フラバン)は、in vitro でのCOX活性の阻害においてすべて非常に有効であった(図6−8)。アセンヤクノキから単離されたフラバン抽出物によるLOX活性の阻害は、実施例4に記載するようにin vitroのリポキシゲナーゼのスクリーニングアッセイを用いて評価した。結果を図9に示す。加えて、LOX経路でのアラキドン酸の分解、すなわちロイコトリエンB4における化合物による阻害を標的とする細胞アッセイは、実施例10に記載するようにソリプリン(登録商標)サンプルを用いて行った。ソリプリン(登録商標)によるLTB4の阻害の結果は、図11および12に示す。
【0076】
in vivoの効能は、実施例11に記載するようにマウスの耳介および足首関節に皮膚刺激物質、例えばAAを塗布し、ソリプリン(登録商標)で治療したマウスにおける腫脹の低減を測定することにより示した。結果を図13および14に示す。最後に、UVに誘発される皮膚の紅斑の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)の局所塗布の効能を、実施例12および図15に示す。実施例12に記載する試験において、フリーのB環のフラボノイド:フラバンの80:20の混合比のソリプリン(登録商標)を水に溶かし、各々UV暴露前および暴露後の双方に無毛マウスの皮膚に2種類の濃度で局所的に塗布した。ソリプリン(登録商標)の4群の無毛マウスの紅斑のスコアは、双方の濃度においてそしてUV暴露前または暴露後の塗布時間にかかわりなく、コントロール群およびSooth-A Cain で処置した群の双方における紅斑の重症度および範囲と比較して、すべてのマウスがより小さな皮膚領域にはるかに少ない赤みを示した。
【0077】
実施例13(表11および12)は、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な賦形剤を用いたソリプリン(登録商標)クリームの調製のための一般的な方法を記載する。説明を目的として、本実施例は0.5重量%および1.5重量% ソリプリン(登録商標)クリーム双方の調製に関する詳細な方法を提供する。最後に実施例13に記載するように調製したソリプリン(登録商標)クリームの双方を、刺激の可能性および接触感作の誘導についてヒトの皮膚で評価した。総計97および101名の被験者が、各々0.5%および1.5%のソリプリン(登録商標)クリームを用いての誘導およびチャレンジを完了した。検査結果は、0.5%および1.5%濃度のソリプリン(登録商標)クリームは最小の刺激にとどまり、誘導された接触感作のエビデンスは認められなかった。
【0078】
まとめとして、本発明は、COXおよびLOXの酵素双方を同時に阻害することにおいて有効である方法を含む。COXおよびLOXの経路を同時に二重に阻害するための方法は、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離された、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物を包含する組成物を、それを必要とするホストに投与することで構成される。組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、およそ20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0079】
本発明はさらにCOXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態の予防および治療のための方法を含む。COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物を医薬的に受容可能な担体と共に包含する組成物の有効量を、投与することで構成される。フリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲とすることができる。本発明の具体的な態様においてフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率は、およそ90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80および10:90から成る群から選択される。本発明の好ましい態様において、ここで問題とする組成物におけるフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率は、およそ20:80である。好ましい態様においてフリーのB環のフラボノイドは、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、フラバンは、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される。
【0080】
“アカシアからのCOX−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害薬の単離”という表題の、2002年3月22日に提出された米国特許出願第10/104,477号が、COXおよびLOXに対する二重の特異性を示す、植物のアカシア属から単離されたここで問題とする組成物の最初の報告であり、“効能あるCOX−2阻害薬としてのフリーのB環のフラボノイドの同定”という表題の、2002年3月1日に提出された米国特許出願第10/091,362号が、フリーのB環のフラボノイド構造およびCOX阻害活性との間の相関についての最初の報告であると、筆者は思う。これらの発見が、特異的な化合物の2つのクラス−−フリーのB環のフラボノイドおよびフラバン−−の新規混合へと導き、当明細書にてソリプリン(登録商標)として言うここで問題とする組成物を形成するに至ったが、本組成物は、“Cox−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号に記載されているように、COXおよびLOXを介した疾患および状態の予防および治療のために使用することができる。COXおよびLOXを介しての疾患および状態は、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、UV放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態を含むがこれに限定されない、皮膚の疾患および状態を含むがこれに限定されない。理論により限定する訳ではないが、化合物の本クラスの作用機序は、COXおよびLOX双方の酵素活性の直接的な二重の阻害であると考えられる。
【0081】
本発明はさらに、その多様な製剤を含む、本発明の療法薬を包含する療法組成物を含む。これら組成物の調整法を、それらの純度および具体的な組成の決定法と合わせて、実施例5−9および図10に記載する。
【0082】
好ましい態様において、本発明に従ってのCOXおよびLOXを介した皮膚に関連する疾患および状態の予防法および治療法は、それを必要とするホストに、単一の材料または複数の材料から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよび/またはフラバンの製剤化されたものの療法的有効量を、局所的に投与することを包含する。個々のおよび/または混合物のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの純度は、化合物(単数または複数)を得るために使用する方法に依存して、0.01%から100%を含むがこれに限定されない。好ましい態様において、該化合物を含有するフリーのB環のフラボノイドおよび/またはフラバンの混合物の用量は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される、効能のある非毒性の量である。ルーチーンの臨床検査を使用する当業者は、治療する特定の病気に関する至適用量を決定することができるだろう。
【0083】
本発明は、以下に記載するように製剤を至適化し、最大の効能を得るための、酵素モデルおよびin vivoの抗炎症モデルを使用してのフリーのB環のフラボノイドおよびフランの種々の組成物の評価を含む。本発明は、所望の生理学的活性を有するここで問題とする組成物を得るための、単離、精製、およびアカシアのフラバンとフリーのB環のフラボノイドとの組み合わせに関する市販レベルで実行可能な過程を提供する。上記記載の皮膚の疾患および状態の予防および治療へのそれらの使用に加えて、当明細書に記載の療法的組成物はまた、過敏な皮膚を和らげるため、そして弾力性の改善された滑らかな若々しい皮膚、低減され遅延された老化、高められた若々しい外観および皮膚のきめ、ならびに増加された柔軟性、はり、滑らかさおよびしなやかさを提供するために使用することができる。
【0084】
本発明の組成物は、他の成分、例えば医薬的および/または美容的に受容可能な賦形剤、アジュバント、および/または担体を含む医薬組成物として製剤化することができる。例えば本発明の組成物は、治療するホストが耐えることのできる賦形剤中に製剤化することができる。賦形剤は、薬剤用の希釈剤または媒体として使用される不活性な物質である。このような賦形剤の例は、水、バッファー、食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、マンニトール、ハンクス溶液、保存剤およびその他の水性の生理学的に平衡な塩溶液を含むがこれに限定されない。非水性媒体、例えば固定油、ゴマ油、オレイン酸エチル、またはトリグリセリドもまた使用してよい。他の有用な製剤化物質は、粘性を高める物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有する懸濁液を含む。賦形剤はまた少量の添加剤、例えば等張性および化学的安定性を高める物質を含有することができる。バッファーの例は、リン酸バッファー、重炭酸バッファー、トリスバッファー、ヒスチジン、クエン酸塩、およびグリシン、またはそれらの混合物を含み、保存剤の例はチメロサル、m−またはo−クレゾール、ホルマリン、およびベンジルアルコールを含むがこれに限定されない。標準的な製剤は液体または固体のいずれかとすることができ、これらは投与用の懸濁液または溶液として適切な液体中に溶解させることができる。したがって非液体製剤では、賦形剤はデキストロース、ヒト血清アルブミン、保存剤等を包含することができ、投与前にこれらに滅菌した水または食塩水を加えることができる。
【0085】
本発明の1つの態様において、組成物はまたアジュバントまたは担体を含むことができる。アジュバントは典型的には、特異的な生物活性物質に対する哺乳動物の生物学的応答を一般に高める物質である。適切なアジュバントは、フロイントアジュバント;他の細菌細胞壁成分;アルミニウムベースの塩;カルシウムベースの塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清蛋白質;ウイルスのコートタンパク質;他の細菌由来の調製物質;ガンマインターフェロン;ブロックコポリマーアジュバント、例えばHunter’s Titermax アジュバント(Vaxcel.TM., Inc. Norcross, Ga.);Ribi アジュバント(Ribi Immuno Chem Research, Inc., Hmilton, Mont.より入手可能);およびサポニンおよびそれらの誘導体、例えばQuil A (Superfos Biosector A/S, Dnmark より入手可能)を含むが、これに限定されない。担体は典型的には、治療するホストの体内で療法組成物の半減期を延長させる化合物である。適切な担体は、ポリマーのコントロールされた放出の製剤、生体内で分解可能なインプラント、リポソーム、細菌、ウイルス、油、エステル、およびグリコールを含むがこれに限定されない。
【0086】
1つの態様において組成物は、ホストの体内に本発明の組成物をゆっくり放出する、コントロールされた放出の製剤として調製する。当明細書において使用する場合、コントロールされた放出の製剤は、コントロールされた放出媒体中に本発明の組成物を包含する。適切なコントロールされた放出媒体は、当業者の知るところであろう。好ましいコントロールされた放出の製剤は、生体内で分解可能(すなわち生体内で侵食可能)である。
【0087】
当発明の療法薬は、軟膏、ゲル、ローション、またはクリームベースとして、またはエマルジョンとして、パッチ、ドレッシングまたはマスク、くっつかないタイプの(nonsticking)ガーゼ、バンデージ、綿棒または拭き取り用の布(cloth wipe)として、を含むがこれに限定されない療法組成物を局所的に投与するための、当業者に知られているあらゆる適切な方法により、好ましくは局所的に投与する。このような局所塗布は、局所投与用に知られているあらゆる標準的な方法を用いて、あらゆる患部に局部的に投与することができる。療法組成物は、投与法に依存して様々なユニット投与剤形で投与することができる。送達の特定の形式用に、本発明の療法組成物を本発明の賦形剤中に製剤化することができる。本発明の療法試薬は、あらゆるホストに、好ましくは哺乳動物に、より好ましくはヒトに投与することができる。投与の特定の形式は、治療する状態に依存することになるだろう。
【0088】
1つの態様において適切な軟膏は、局所用製剤の総重量を基準として0.001%から100%の範囲から一般に選択される効能のある非毒性の量である、所望の濃度のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、65から100%(好ましくは75から96%)の白色軟性パラフィン(soft paraffin)、0から15%の流動パラフィン、および0から7%(好ましくは3から7%)のラノリンまたはその合成均等物の誘導体で構成される。もう1つの態様において軟膏は、ポリエチレン−流動パラフィンマトリックスを包含してもよい。
【0089】
1つの態様において適切なクリームは、上に提供したようなフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の所望の濃度を共に含むエマルジョン化の系で構成される。エマルジョン化の系は好ましくは、2から10%のポリオキシエチレンアルコール(例えば登録商標セトマクロゴール(Cetomacrogol)(登録商標)1000にて入手可能な混合物)、10から25%のステアリルアルコール、20から60%の流動パラフィン、および10から65%の水;それと共に1つまたはそれより多くの保存剤、例えば0.1から1%のN,N”−メチレンビス[N’−[3−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル]ウレア](Imidurea USNF という名称にて入手可能)、0.1から1%のアルキル4−ヒドロキシベンゾエート(例えば登録商標Nipastat にてNipa Laboratories より入手可能な混合物)、0.01から0.1%のナトリウムブチル4−ヒドロキシベンゾエート(登録商標Nipabutyl sodium にてNipa Laboratories より入手可能)、および0.1から2%のフェノキシエタノール、で構成される。実施例13は、クリームとしての本発明の組成物の2つの異なる濃度の製剤について記載しており、実施例14は、皮膚の刺激および感作についてクリームを評価するために施行した試験について記載している。本試験より、ソリプリン(登録商標)は、皮膚の刺激または感作の原因となることなく、効能のある濃度で局所的に塗布することのできる安全な組成物であることが決定された。
【0090】
1つの態様において適切なゲルは、高度の架橋を伴う3次元のポリマーマトリックス内に液層を閉じ込めている半固体の系で構成される。この液相は、水、それと共に所望の量のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、0から20%の水混和性の添加物、例えばグリセロール、ポリエチレングリコール、またはプロピレングリコール、および0.1から10%、好ましくは0.5から2%の増粘剤、すなわち天然成分、例えばトラガカント、ペクチン、トチャカ、アガーおよびアルギン酸、または合成もしくは半合成化合物、例えばメチルセルロースおよびカルボキシポリメチレン(カルボポール)としてよい;それと共に1つまたはそれより多くの保存剤、例えば0.1から2%のメチル4−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)またはフェノキシエタノール-differentialで構成されてよい。もう1つの適切なベースは、所望の量のフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物、それと共に70から90%のポリエチレングリコール(例えば米国処方規定(U.S. National Formulary (USNF))に従って調製された、40%のポリエチレングリコール3350および60%のポリエチレングリコール400を含有するポリエチレングリコール軟膏)、5から20%の水、0.02から0.25%の抗酸化剤(例えばブチル化したヒドロキシトルエン)、ならびに0.005から0.1%のキレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA))で構成される。
【0091】
上で使用したような軟性パラフィンという用語は、クリームまたは軟膏ベースの白色軟性パラフィンおよび黄色軟性パラフィンを包含する。ラノリンという用語は、天然の羊毛脂肪および精製された羊毛脂肪を包含する。ラノリンの誘導体は特に、それらの物理的または化学的特性を変えるために化学的に修飾されたラノリンを含み、ラノリンの合成均等物は特に、医薬および美容の技術分野において、ラノリンの代替物質として知られ使用されている、例えばラノリンの代用品と言ってもよい、合成または半合成の化合物および混合物を含む。
【0092】
使用してよい1つの適切なラノリンの合成均等物は、ソフチサン(Softisan )649 として知られている登録商標ソフチサン(登録商標)にて入手可能な材料である。ソフチサン649は、Dynamit Nobel Aktiengesellschaft より入手できるが、天然の植物性脂肪酸、すなわちイソステアリン酸およびアジピン酸のグリセリンエステルである;その特性はH.HermsdorfによりFett, Seifen, Anstrichmittel, Issue No. 84, No.3 (1982), pp. 3-6 に考察されている。
【0093】
適切な軟膏またはクリームベースの構成成分として、当明細書にて先に述べたその他の物質およびそれらの特性は、標準的な参考文献、例えば薬局方(pharmacopoeia)に考察されている。セトマクロゴール1000は、式CH3(CH2)m(OCH2CH2)nOHを有し、式中mは15または17としてよく、nは20から24としてよい。ブチル化したヒドロキシトルエンは2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールである。ニパスタット(Nipastat)は、メチル、エチル、プロピルおよびブチル4−ヒドロキシベンゾエートの混合物である。
【0094】
本発明の組成物は従来の医薬的技術により生成してよい。したがって前述の組成物は、例えば高い温度で、好ましくは60−70℃で、軟性パラフィン、存在する場合には流動パラフィン、およびラノリンまたはその誘導体またはその合成均等物を合わせて混合することにより従来どおり調製してよい。その後混合物を室温に冷却し、ムピロシンのカルシウム含水塩の結晶を、コルチコステロイドおよびあらゆるその他の成分と共に添加後、撹拌して確実に十分に分散させる。
【0095】
投与方法にかかわりなく具体的な用量はホストのおよその体重に従って計算される。上述の各製剤を伴う治療のための適当な投与量を決定するのに必要なさらに厳密な計算は、特に当明細書に開示した投与量の情報およびアッセイを照らし合わせて、過度の実験を行うことなく当業者によりルーチーンに施行される仕事の範疇である。これらの投与量は、適当な用量−応答データと共に利用される投与量の決定に関する確立されたアッセイを使用することで、確認してもよい。
【0096】
当明細書に記載した発明は、獣医ならびにヒトへの適用として使用してよく、“ホスト”という用語は限定するものと解釈されるべきではないことは、注目すべきであろう。獣医的に適用するケースでは、投与量の範囲は、動物の体重を考慮して上に記載したように決定することができる。
【0097】
本発明の組成物は、当業者に知られているあらゆる方法により投与することができる。投与の形式は、腸溶性(経口)投与、非経口(静脈内、皮下および筋肉内)投与、ならびに局所投与を含むがこれに限定されない。本発明に従っての治療法は、それを必要とするホストに、合成されたおよび/または単一の植物もしくは複数の植物から単離されたフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物の療法有効量を、経口的または局所的に投与することを包含する。好ましい態様において本組成物は局所的に投与する。
【0098】
以下の実施例は説明を目的として提供しているに過ぎず、発明の範疇を限定する意図はない。
【実施例】
【0099】
実施例1. アカシア 属およびスクテラリア属の植物からの有機抽出物および水性抽出物の調製
アラビアゴムモドキ(Acacia catechu (L) Willd. )の樹皮、スクテラリア・オルトカリクス(Scutellaria orthocalyx)の根、コガネバナの根、またはスカルキャップ(Scutellaria lateriflora)の植物全体由来の植物の材料を、2mmより大きくない粒度に挽いた。次に挽いた植物の材料を乾燥させたもの(60g)を 三角フラスコに移し、メタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)を加えた。混合物を1時間振盪し、濾過して、バイオマスからメタノール:ジクロロメタン(1:1)(600mL)で再度抽出した。有機抽出液を合わせて真空下で蒸発させ、有機抽出物を提供した(下の表1参照)。有機抽出の後、バイオマスを空気乾燥し、超純水(600mL)で1回抽出した。水溶液を濾過、凍結乾燥して、水性抽出物を提供した(下の表1参照)。
【0100】
【表1】
【0101】
実施例2. アセンヤクノキ、様々なスクテラリア種、およびその他の植物由来の植物抽出物による、COX−2およびCOX−1のペルオキシダーゼ活性の阻害
特異的なCOX−2阻害薬の同定に関するスクリーニング法への方向付けを行うバイオアッセイをデザインし、以下に記載するように酵素のペルオキシダーゼ活性のアッセイを行った。
【0102】
ペルオキシダーゼアッセイ COX−2の阻害薬を検出するためのアッセイを、ハイスループットプラットホーム(Raz)用に修飾した。手短には、ペルオキシダーゼバッファー(100mM TBS、5mM EDTA、1μM ヘム、1mg エピネフリン、0.094% フェノール)中のリコンビナントヒツジCOX−2(Cayman)を、抽出物(1:500希釈)と共に15分間インキュベーションした。クアンタブル(Quantablu )(Pierce)基質を加え、45分間25℃で反応を進行させた。その後発光をWallac Victor 2プレートリーダーを用いて読み取った。結果を表2に示す。
【0103】
表2は、構造的に類似するフリーのB環のフラボノイドで構成される、アセンヤクノキの樹皮、2種のスクテラリアの根、および3種の他の植物種由来の抽出物を含む5種の植物種から得られた有機抽出物および水性抽出物による、酵素の阻害について示す。データは、リコンビナントヒツジCOX−2酵素および基質のみのものとの関連における、ペルオキシダーゼ活性のパーセントとして表す。有機抽出物による阻害のパーセントは、30%から90%の範囲であった。
【0104】
【表2】
【0105】
COX−1およびCOX−2のアイソフォームの相対的な阻害を比較するには、これら各酵素のIC50値を得る必要がある。IC50は、特定の阻害薬によりコントロールとの関係において酵素活性の50%の阻害が達成される濃度、として定義される。これらの実験において、IC50値は表3に示したように、COX−2およびCOX−1の酵素に対して、各々6から50μg/mLおよび7から80μg/mLであった。COX−2およびCOX−1のIC50値の比較は、これら各酵素に対する多様な植物由来の有機抽出物の特異性を示す。スカルキャップ の有機抽出物は例えば、COX−2のCOX−1を上回る選択的阻害を示し、各々30および80μg/mLのIC50値を有する。一部の抽出物ではCOX−2の選択的阻害が実証されたが、他は示していない。HTP分画およびこれらの分画から精製された化合物を検討するには、これらの抽出物および化合物に関する阻害の厳密な特異性を決定する必要がある。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例3. COX−1およびCOX−2のペルオキシダーゼ活性の阻害
COX−1およびCOX−2の活性を阻害する化合物をスクリーニングするため、双方の酵素のペルオキシダーゼ活性の阻害を利用した、ハイスループットのin vitro のアッセイが開発された。(Needliman et al. (1986) Annu Rev Biochem. 55:69)。手短には、検討する組成物または化合物を、固定された量のCOX−1およびCOX−2の酵素に対して滴定した。結合することのできるペルオキシド発色団をアッセイに含めて、補因子としてのアラキドン酸の存在下で各酵素のペルオキシダーゼ活性を視覚化した。典型的にはアッセイは96ウェルのフォーマットにて行った。100%DMSO中の10mg/mLストック溶液から採取した各阻害剤を、以下の濃度範囲:0、0.1、1、5、10、20、50、100および500μg/mLを用いて、室温にてトリプルで検査した。各ウェルに100mM Tris−HCl、pH7.5 150μLを、トリスバッファー中に希釈した22μM ヘマチン 10μL、DMSO中に希釈した阻害薬 10μL、およびCOX−1またはCOX−2のいずれかの酵素 25ユニットと共に添加した。回転式プラットフォーム上で成分を10秒間撹拌した後、2mM N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(TMPD)20μL、および1.1mM アラキドン酸 20μLを加えて、反応を開始させた。プレートを10秒間振盪した後、5分間インキュベーションし、570nmの吸収を読んだ。阻害薬の濃度 vs 阻害%をプlotし、等温式に沿って最大値の1/2のポイントを取り、X軸に下ろして濃度を読み取ることにより、IC50を決定した。その後IC50を、アッセイの酵素ユニットの数値に対して正規化した。結果を表4にまとめる。
【0108】
【表4】
【0109】
標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物である、バイカリン、およびコガネバナの根から単離したバイカレインに関する用量応答性およびIC50値を、図1、2および3に各々提供する。アセンヤクノキ の芯材から単離した2種の標準化したフラバン抽出物(各々50%および>90%のフラバン)に関する用量応答性およびIC50値を、各々図4および5に提供する。フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの異なる組成の3つの製剤に関する用量応答性およびIC50値を、各々図6(80:20の混合)、図7(50:50の混合)および図8(20:80の混合)に提供する。
【0110】
実施例4. アセンヤクノキから単離されたカテキンによる5−リポキシゲナーゼの阻害
炎症応答に関与する最も重要な経路の1つは、非ヘム鉄を含有するリポキシゲナーゼ(5−LO、12−LO、および15−LO)により生成されるが、この酵素は脂肪酸、例えばAA(AA)への酸素分子の添加を触媒して、ヒドロペルオキシドの5−、12−および15−HPETEを生成し、これが次にロイコトリエンに変換する。A. catechu由来のフラバン抽出物がLOXのある程度の阻害を提供し、それにより5−HPETEの形成を妨げるのかもしれないという示唆は早期になされた。Lipoxygenase Inhibitor Screening Assay Kit (リポキシゲナーゼ阻害薬スクリーニングアッセイキット)(Cayman Chemical, Inc., Ca# 760700)を使用して、>90%のフラバンを含有するA. catechuから単離された抽出物がin vitro でLOXを直接阻害するかどうかを評価した。精密濾過を用いてリン酸バッファーからトリスベースのバッファーにバッファーを変換した後、同キットで規定で使用される大豆由来の15−LOをポテトLOXに置き換えた。本アッセイは、酸素を探知する発色団を通してヒドロペルオキシドの形成を検出する。手短にはアッセイは、0.17ユニット/μL ポテト5−LO 90μL、1.1mM AA 20μL、酸素を探知する発色団 100μL、および最終濃度を0から500μg/mLの範囲とする精製したフラバン阻害薬 10μLを加えることにより、トリプルで行った。本組成物による5−LOの阻害に関するIC50は、1.38μg/mL/酵素ユニットであると決定された。結果を図9に示す。
【0111】
実施例5. スクテラリア・オルトカリクス(根)、コガネバナ(根)およびソリザヤノキ(Oroxylum indicum)(種子)から単離された活性抽出物中のフリーのB環のフラボノイドのHPLCによる定量化
実施例1および2に記載したような、3つの異なる植物種から単離した5つの活性抽出物中のフリーのB環のフラボノイドの存在および定量をHPLCにより決定し、結果を以下の表5に示す。フリーのB環のフラボノイドを、HPLCにより、Luna C−18カラム(250×4.5mm、5μm)にて、22分で1%リン酸およびアセトニトリルの80%から20%の濃度勾配を用いて、定量的に分析した。フリーのB環のフラボノイドは、254nmでUV検出器を用いて検出し、バイカリン、バイカレイン、およびその他のフリーのB環のフラボノイドのスタンダードとの比較により、保持時間に基づいて同定した。
【0112】
【表5】
【0113】
実施例6. アセンヤクノキ由来の活性抽出物のHPLCによる定量化
実施例1および2に示したようにアセンヤクノキから単離した有機抽出物および水性抽出物中のフラバンを、HPLCにより、PhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)およびLuna C−18カラム(250×4.6mm)を用いて定量した。フラバンは、20分間にわたるアセトニトリルの10%から30%ACNの濃度勾配、続いて5分間の60%ACNを用いて、カラムから溶出させた。結果を表6に示す。フラバンは、カテキンおよびエピカテキンをスタンダードとして使用して保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。2つの主要なナフラバンの保持時間は、各々12.73分および15.76分であった。
【0114】
【表6】
【0115】
実施例7. アセンヤクノキ由来の標準化した抽出物の調製
アセンヤクノキ(地中の根 500mg)から、以下の溶媒系 25mLで2回(2×25mL)抽出した。(1)100%水、(2)80:20 水:メタノール、(3)60:40 水:メタノール、(4)40:60 水:メタノール、(5)20:80 水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20 メタノール:THF、(8)60:40 メタノール:THF。各々の個別の抽出から2回の抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。各抽出物中の化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて達成した。化学成分は、スタンダードとしてカテキンおよびエピカテキンを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表7に示す。表7に示すように、80%メタノール/水による溶媒抽出から生成されたフラバン抽出物が、最も高濃度のフラバン成分を提供した。
【0116】
【表7】
【0117】
より高純度の材料は、再結晶溶媒としてアルコール/水および/または水性溶媒を用いて、8%−15%の間のカテキン含有量を有する抽出物の再結晶化により得ることができる。抽出物の加熱した飽和溶液に活性炭またはその他の脱色剤を加えることにより、再結晶化の前に脱色することが必要かもしれない。その後加熱した飽和溶液を冷却して、高純度のカテキンを結晶化させた。その後結晶を濾過して溶媒を除去し、乾燥させ、微細な粉末に挽いた。再結晶化は必要なら繰り返し行い、所望のレベルの純度(60%−100%のカテキンフラバン)を達成することができる。
【0118】
実施例8. 多様なスクテラリア 種由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物の調製
スクテラリア・オルトカリクス(地中の根 500mg)を、以下の溶媒系 25mLで2回抽出した。(1)100%水、(2)80:20 水:メタノール、(3)60:40 水:メタノール、(4)40:60 水:メタノール、(5)20:80 水:メタノール、(6)100%メタノール、(7)80:20 メタノール:THF、(8)60:40 メタノール:THF。抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。各抽出物中の化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて行った。化学成分は、スタンダードとしてバイカレイン、バイカリン、スクテラレイン、およびオウゴニンを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表8に示す。
【0119】
【表8】
【0120】
コガネバナ(地中の根 1000mg)を、以下のような水およびメタノールの混合液 50mLを用いて2回抽出した:(1)100%水、(2)70:30 水:メタノール、(3)50:50 水:メタノール、(4)30:70 水:メタノール、(5)100%メタノール。抽出物を合わせて、濃縮し、減圧下で乾燥させた。化学成分の同定は、HPLCによりPhotoDiode Array 検出器(HPLC/PDA)および250mm×4.6mm C18カラムを用いて行った。各抽出物中の化学成分は、バイカレイン、バイカリン、スクテラレイン、およびオウゴニンのスタンダードを用いて、保持時間およびPDAデータに基づいて定量した。結果を表9に示す。
【0121】
【表9】
【0122】
高純度のフリーのB環のフラボノイドは、再結晶溶媒としてアルコール/水を用いて、8%−15%の間のフリーのB環のフラボノイド含有量を有する抽出物の再結晶化により得ることができる。抽出物の加熱した飽和溶液に活性炭またはその他の脱色剤を加えることにより、再結晶化の前に脱色することが必要かもしれない。冷却下でフリーのB環のフラボノイドを結晶化させた。結晶を濾過、乾燥させ、微細な粉末に挽いた。再結晶化は必要なら繰り返し行い、所望のレベルの純度(60%−100%のフリーのB環のフラボノイド)を達成することができる。
【0123】
実施例9. コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を含む製剤の調製
当明細書においてソリプリン(登録商標)と言う、ここで問題とする新規組成物は、アカシア属およびスクテラリア属から各々単離した2つの標準化した抽出物を用いて、1つまたはそれより多くの賦形剤と共に製剤化した。このような組成物を調製するための一般的な実施例を以下に述べる。本実施例で使用したアカシアの抽出物は、カテキンおよびエピカテキンとして>80%のフラバンの総計を含有し、スクテラリア属の抽出物は、主にバイカリンである>80%のフリーのB環のフラボノイドを含有していた。スクテラリア属の抽出物はまた、表11に示すように他の少量のフリーのB環のフラボノイドも含有していた。1つまたはそれより多くの賦形剤/保存剤もまた、ここで問題とする組成物に加えた。フラバンおよびフリーのB環のフラボノイドの比率は、COX vs LOの阻害、皮膚透過性の必要性、および製品の効能の必要性、例えば必要とされる効能の期間、等に関する適応および具体的な必要性に基づいて調整することができる。賦形剤の量は、各成分の実際の活性含有量に基づいて調整することができる。製品の各々個々のバッチに関する混合表は、成分の個々のバッチに関する製品の明細およびQCの結果に基づいて作成しなくてはならない。2−5%の範囲での活性成分の量の付加も、製品の明細に見合うためには推奨される。
【0124】
フリーのB環のフラボノイド含有量 82.2%(バイカリン)を有するコガネバナの根の抽出物(38.5kg)(lot#RM052302−01);フラバン含有量の総計 80.4%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(6.9kg)(lot#RM052902−01);および賦形剤(カンデックス(Candex) 5.0kg)を合わせて、活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの重量による混合比 85:15を有するソリプリン(登録商標)製剤(50.4kg)を提供した。表10に、実施例6および8に提供した方法を用いて決定した、ソリプリン(登録商標)(Lot#G1702−COX−2)のこの特定のバッチの活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの定量化した値を提供する。表10に関して、ソリプリン(登録商標)のこの特定のバッチは、75.7%のフリーのB環のフラボノイドおよび10.3%のフラバンを含む、86%の活性成分の総計を含有する。図10は、活性なフリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの重量による混合比 80:20を有する、代表的なソリプリン(登録商標)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0125】
【表10】
【0126】
同じアプローチを用いてソリプリン(登録商標)の以下のバッチを、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物の、各々12:88および15:85の混合比を有する組み合わせを用いて調製した。
【0127】
フリーのB環のフラボノイド含有量 87.9%(バイカリンとして)を有するコガネバナの根の抽出物(58.0g)(lot#RM021203−01)、およびフラバン含有量の総計 84.9%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(442.0g)(lot#050603−01)を混合して、重量による混合比 12:88を有するソリプリン(登録商標)組成物(500g、lot#QJ205−19)を提供した。実施例6および8に提供した方法を使用したところ、ソリプリン(登録商標)(lot#QJ205−19)のこの特定のバッチにおいてフリーのB環のフラボノイド含有量(バイカリン)は9.65%であり、フラバン含有量(カテキンおよびエピカテキンの総計)は73.2%であった。
【0128】
フリーのB環のフラボノイド含有量 82.9%(バイカリンとして)を有するコガネバナの根の抽出物(300g)(lot#RM060403−01)、およびフラバン含有量の総計 90.8%を含むアセンヤクノキの樹皮の抽出物(1700g)(lot#050603−01)を混合して、重量による混合比 15:85を有するソリプリン(登録商標)組成物(2000g、lot#A1904)を提供した。実施例6および8に提供した方法を使用したところ、ソリプリン(登録商標)(lot#A1904)のこの特定のバッチにおけるフリーのB環のフラボノイド(バイカリン)含有量は15.6%であり、フラバン含有量(カテキンおよびエピカテキンの総計)は75.0%であった。
【0129】
実施例10. ソリプリン(登録商標)の製剤による5−LO酵素の阻害の用量応答性およびIC50値の測定
ソリプリン(登録商標)製剤(80:20)は実施例9に記載したように(“COX−2および5−リポキシゲナーゼの二重の阻害活性を有する製剤”という表題の、2003年4月30日に提出された米国特許出願第10/427,746号の実施例14もまた参照のこと、同文献をその全内容において当明細書にて参照として援用する)コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。THP−1またはHT−29の細胞;COX−1、COX−2および5−LOXを発現する単核細胞株、を含有する組織培養培地にて、サンプルを滴定した。ロイコトリエンB4(LTB4;Neogen, Inc., Cat#406110)の競合的ELISAを使用して、5−LOX経路におけるソリプリン(登録商標)の阻害効果の測定として、各細胞株に存在するLTB4の新たに合成されたレベルにおける本ソリプリン(登録商標)製剤の効果を評価した。本アッセイは、6ウェルプレートにて1ウェルあたり160,000から180,000の細胞を加えることにより、ダブルで行った。ソリプリン(登録商標)製剤をTHP−1培養に3、10および100μg/mLで加え、37℃、5%CO2にて加湿した環境下で一晩(〜12−15時間)インキュベーションした。結果を図11に示すが、新たにLPSに誘導されるLTB4の産生が、THP−1培養への3および10μg/mLの間のソリプリン(登録商標)の添加により、ほぼ完全に阻害されたことを示す。
【0130】
ソリプリン(登録商標)、およびもう1つの公知の5−LOX阻害薬であるイブプロフェンを、HT−29細胞に3μg/mLで加え、37℃、5%CO2にて加湿した環境下で48時間インキュベーションした。その後処理した各細胞株を遠心して集め、生理学的バッファー中でドウンス(dounce)型ホモゲナイザーの緩やかな溶菌により破壊した。図12に示すように、ソリプリン(登録商標)はHT−29細胞において新たに合成されるLTB4の80%の産生を阻害した。イブプロフェンは、同じ時間でLTB4の量の20%の低減を示しただけであった。
【0131】
実施例11. in vivo のマウス耳介腫脹モデルを用いてのソリプリン(登録商標)の効能の評価
実施例9に記載したように、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物の、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。本組成物を使用してin vivo の炎症を治療することができるかどうかを検査するため、該組成物を4−5週齢ICRマウス(Harlan Labs)に、アラキドン酸(AA)によるマウスの耳介の処置前1日に、経口胃管栄養により投与した。検査用マウスにはオリーブオイルに懸濁させたソリプリン(登録商標)50、100および200mg/kgの均等な用量を与え、コントロール用マウスにはオリーブオイルのみを与えた。翌日、95%アルコール中の330mM AA 20μLを各マウスの片側耳介に塗布し、対側耳介にはコントロールとしてアルコールを塗布した。ソリプリン(登録商標)で治療したマウスは図13に示したように、ソリプリン(登録商標)の用量の増加に伴って測定可能な用量応答性を示した。図13に関して、200mg/kg用量は、“未治療”のコントロールに比して50%以上まで腫脹を低減させている。ソリプリン(登録商標)の50mg/kg用量は、もう1つの強力な抗炎症薬であるインドメタシンの50mg/kg用量と同程度の有効性であった。
【0132】
ソリプリン(登録商標)の抗炎症活性を実証するためにデザインされたもう1つの動物モデルにおいて、4−5週齢ICRマウス(Harlan Labs)の後脚足首関節内への95%エタノール中の100mM AA 20μL注入前〜12時間に、上に記載した80:20製剤を、オリーブオイルに懸濁させた100mg/kgの用量でマウスに経口投与した。検査群にはソリプリン(登録商標)製剤を与え、もう一方の群には製剤を与えなかった。コントロール群は、アラキドン酸注入を受けなかったマウス(ネガティブコントロール)、およびAAを含まない95%エタノールを注入した群(媒体コントロール)を含むものとした。これらの群にはソリプリン(登録商標)も与えなかった。結果を図14に示す。図14に関して、AAを注入したソリプリン(登録商標)を与えたマウスは、(2つの)コントロールおよび未治療のアラキドン酸注入群と比較して、バックグラウンドレベルの腫脹を示した。これらの結果は、作用部位である関節の腫脹を低減するためのソリプリン(登録商標)の有効性を実証している。
【0133】
実施例12. UV放射への皮膚の暴露に起因する損傷の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)の効能の評価
無毛メスマウスの6群(1群当たりマウス5頭)(Stain SKH-1, Harlan Labs)を、麻酔している間に0.626mW/cm2で3分間を3日間連続して照射し、UV放射への皮膚の暴露に起因する損傷の予防および治療におけるソリプリン(登録商標)製剤の有効性を検査した。ソリプリン(登録商標)製剤は実施例9に記載したように、コガネバナの根由来の標準化したフリーのB環のフラボノイド抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮由来の標準化したフラバン抽出物を、混合比 80:20で合わせたものを用いて調製した。6治療群は以下の通りとした:
群#
1 コントロール群:UV照射前または後に治療なし
2 ポジティブコントロール:UV照射後にスース・ア・カイン(Sooth-A-Caine )(Banana Boat)の局所塗布にて治療
3 ソリプリン(登録商標)治療B−1:UV照射前に、水中の1mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
4 ソリプリン(登録商標)治療A−1:UV照射後に、水中の1mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
5 ソリプリン(登録商標)治療B−2:UV照射前に、水中の5mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
6 ソリプリン(登録商標)治療A−2:UV照射後に、水中の5mg/mL ソリプリン(登録商標)の局所塗布にて治療
UV暴露および治療の3日後、マウスは以下のスケールを用いて紅斑(赤み)のレベルでスコア表示した;0−紅斑が認められない;1−非常にわずかな紅斑;2−十分に定義される紅斑;3−重篤な紅斑、4−腫瘍形成。紅斑は、各群について目で見てスコア表示した。結果を図15に示す。図15に関して、コントロール群(1群)は第3日(UV放射への3日間暴露後の72時間)に重篤な赤みを有していたことがわかる。スース・ア・カイン群(2群)もまた第3日に最大の赤みを有した。ソリプリン(登録商標)治療群(3−6群)の赤みは、スコア2を越えることは全くなかった。これらのスコアは主観的ではあるが、ソリプリン(登録商標)がUVを原因とする皮膚の紅斑の予防および治療の双方において有効であることを示す。
【0134】
第4日の代表的なマウスの写真は、コントロール群、スース・ア・カイン(登録商標)治療群、およびソリプリン(登録商標)治療群間の差異を明確に示す(データ未発表)。コントロール群およびスース・ア・カイン(登録商標)治療の動物は、UV暴露前および後の双方にソリプリン(登録商標)製剤で治療した動物と比較して、紅斑の非常に広範囲なパターンおよび赤みを示した。UV照射前に5mg/mL ソリプリン(登録商標)で治療した動物が、他の動物すべてと比較して最小量の紅斑を示した。
【0135】
実施例13. クリーム中へのソリプリン(登録商標)組成物の製剤化
2つの異なる濃度のソリプリン(登録商標)(ソリプリン(登録商標)の重量にて0.5%および1.5%)(lot#A1904 実施例9に記載した通り)を、以下の方法および表11および12に示すようにクリームとして製剤化した。
【0136】
ソリプリン(登録商標)(lot#A1904)を室温で水中に溶かし、溶液中に完全に分散するまでブレンダーで均一にした(およそ5分)。室温で溶液を撹拌したり振動させたりせずに、ウルトレツ21カーボマー(Ultrez-21 carbomer) を溶液の表面上に振りかけることにより加え、完全に湿らせ(白色の部分が見えなくなる)、溶液中に沈ませた。その後、緩やかに撹拌しながら溶液を40℃に加熱し、グリセリンを加えた(パートA)。その後混合液をさらに5分間撹拌した。残りの成分(パートB)の重さを量り、撹拌しながら40℃に加熱した。40℃で残りの成分(パートB)をパートAに加え、得られる組成物を均一になるまで(およそ5分間)十分に混合した。このエマルジョンを30℃に冷却し、撹拌棒および/またはスパチュラで撹拌しながら、中和剤にて滴定することにより、pHをおよそ5.5(5.3から5.7)に調整した。中和剤に誘導されるカーボマーの立体配座の変化により、エマルジョンは非常に粘性が増加した。エマルジョンは最終的には、エマルジョンクリーム用に適する粘性に達した。その後エマルジョンクリームを一様になるまで混合し、その後清浄な保存容器に注ぎ、2から8℃で1ヶ月間保存した。
【0137】
【表11】
【0138】
【表12】
【0139】
実施例14. ヒトの皮膚への繰り返し塗布による刺激および接触感作の誘導に関するソリプリン(登録商標)の評価
Draize Patch Test(Draizeパッチ検査) (Marzulli and Maibach (1977) Contact Allergy: Predictive Testing in Humans. Advances in Modern Texicology, Dermatotoxilogy and Pharmacology.にて 、Mauzulli, F.N. and Maibaci, H. I.編、 4, 353-372)に準じて、ヒトの皮膚でソリプリン(登録商標)を検査した。検査部位は上腕または背中の脊柱傍の位置とした。各検査剤は誘導部位およびチャレンジ部位にて行うものとした。誘導部位は、2つのサブ部位:オリジナル部位および移動部位、で構成される。ソリプリンクリーム0.2mlを各パッチ上に含有するパッチを、移動部位にパッチを塗布することが必要になるほど強い刺激反応を発症しなければ、オリジナル部位に繰りかえし塗布した。パッチは臨床研究施設により塗布し、およそ24または48/72時間後に被験者がはずして廃棄した。誘導段階(phase)において、皮膚の同じ部位への検査剤の繰り返し塗布および合計9回の誘導パッチを、4週の期間内に塗布した。休止期間は、最後の誘導パッチの塗布およびチャレンジパッチの塗布の間の、10から21日とした。この期間中検査剤またはいかなる他の材料も検査領域に塗布しないものとした。チャレンジ段階では、検査剤を体の反対側の本来の部位に塗布し、およそ24または48時間後に被験者が廃棄した。
【0140】
各パッチの塗布に対する皮膚の応答を検討し、100ワット白熱blue bulbの採光下、デザインされたスコアのスケールにより段階表示した。強い刺激反応により検査剤の移動部位への塗布が認られた場合、先に暴露させた全ての部位について、誘導の終了時まで(または誘導後の反応の持続が完了しているかどうかが決定されるまで)、残りの期間のスコアを記録するものとした。チャレンジ段階の間、皮膚の応答は、パッチ塗布後およそ48および72または96時間に評価した。誘導された感作に関しての結論は、主としてチャレンジの評価より導いた。
【0141】
実施例13で調製した0.5%および1.5% ソリプリン(登録商標)濃度の2つのソリプリン(登録商標)クリームを、上のプロトコルに従って評価した。各群に総計120名の被験者が参加した。0.5% ソリプリン(登録商標)群に関しては97名の被験者が試験を完了し、1.5 % ソリプリン(登録商標)群に関しては101名の被験者が完了した。0.5%および1.5% ソリプリン(登録商標)クリームのいずれかについて、感作反応のエビデンスは認められなかった。0.5% ソリプリン(登録商標)について、誘導中16名の被験者が微小から軽度の紅斑の時折の発症(スコア +および/または1)を示した。チャレンジ時には、4名の被験者が48時間に微小から軽度の紅斑を示したが、96時間までに消失した。1.5%ソリプリン(登録商標)について、誘導中に26名の被験者が微小から軽度の紅斑の時折の発症(スコア+および/または1)を示した。チャレンジ時には、1名の被験者が48時間に微小から軽度の紅斑を示したが、96時間までに消失した。
【0142】
本試験は、ソリプリン(登録商標)が刺激または感作の原因となることなく、効能ある濃度でヒトの皮膚に局所的に塗布することができる安全な成分であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】コガネバナ から単離された、標準的なフリーのB環のフラボノイド抽出物(HPLCに基づき83%バイカリン)による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該抽出物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(ざ)のペルオキシダーゼ活性の同抽出物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.24μg/mL/酵素ユニットと算出され、一方COX−2に関するIC50は、0.48μg/mL/ユニットと算出された。
【図2】コガネバナ から単離された、精製成分バイカリンによる、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該化合物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同化合物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.44μg/mL/酵素ユニットであると決定され、COX−2に関するIC50は、0.28μg/mL/ユニットであると決定された。
【図3】コガネバナ から単離された、精製された成分のバイカレインによる、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該化合物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同化合物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.18μg/mL/酵素ユニットであると決定され、COX−2に関するIC50は、0.28μg/mL/ユニットであると決定された。
【図4】アセンヤクノキから単離された、50%のフラバンの総計を含有する標準化したフラバンの抽出物による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該抽出物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同抽出物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.17μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.41μg/mL/ユニットと算出された。
【図5】アセンヤクノキから単離された、90%より多くのフラバンで構成されるここで問題とする組成物による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(ざ)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.11μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.42μg/mL/ユニットと算出された。
【図6】コガネバナ の根から単離された、フリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、80:20の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。当明細書においてソリプリン(登録商標)とも言うここで問題とする組成物を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同製剤による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.76μg/mL/酵素ユニットと算出され、COX−2に関するIC50は、0.80μg/mL/ユニットと算出された。
【図7】コガネバナ の根から単離された、フリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、約50:50の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物、すなわちソリプリン(登録商標)を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関するIC50は、0.38μg/mL/酵素ユニットと算出され、一方COX−2に関するIC50は、0.84μg/mL/ユニットと決定された。
【図8】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイドの抽出物、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの抽出物を、約20:80の比率で合わせることにより製造された製剤による、COX−1およびCOX−2の阻害の概要をグラフにて表す。該組成物、すなわちソリプリン(登録商標)を、リコンビナントのヒツジCOX−1(◆)およびヒツジCOX−2(■)のペルオキシダーゼ活性の同組成物による阻害について検討した。データは阻害のパーセントvs阻害薬の濃度(μg/mL)として表す。COX−1に関する本組成物のIC50は、0.18μg/mL/酵素ユニットであり、一方COX−2に関するIC50は、0.41μg/mL/ユニットであった。
【図9】アセンヤクノキから抽出されたフラバンによる5−LOの阻害の概要をグラフにて表す。該組成物を、実施例4に述べたようにリコンビナントのポテト5−リポキシゲナーゼ活性(◆)の同組成物による阻害について検討した。データは阻害薬を加えなかった場合のアッセイの阻害のパーセントとして表す。5−LOに関するIC50は、1.38μg/mL/酵素ユニットであった。
【図10】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの80:20の比率の混合物で構成される典型的な製剤の、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)のクロマトグラムを示す。
【図11】実施例10に記載したようにTHP−1細胞またはHT−29細胞(ATCC)において、ELISAにより決定された場合の、LPSに誘発された新たに合成されたLTB4(◆)の量におけるソリプリン(登録商標)の濃度の増加の効果を、グラフにて表す。ソリプリン(登録商標)は、コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造した。ソリプリン(登録商標)製剤の活性は、誘発されるLTB4の合成の阻害の%として表す。
【図12】実施例10に記載したように、ELISAにより決定された場合の、誘発されていない細胞における3μg/mL ソリプリン(登録商標)での処理後のHT−29細胞に残存するLTB4レベルを、3μg/mL イブプロフェンでの処理と比較する。ソリプリン(登録商標)製剤は、処理の2日後にHT−29細胞におけるLTB4産生の80%阻害を示した。
【図13】実施例11に記載したように炎症の阻害の測定として、耳介腫脹のータをグラフにて表す。コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせたることにより製造したソリプリン(登録商標)を、未治療のマウス、および経口胃管栄養にてインドメタシン(1.5μg/kg)を与えたマウスと比較した。データは、各マウスの未治療の耳たぶ 対 治療した耳たぶのミクロン単位の測定における差異として表す。
【図14】コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造したソリプリン(登録商標)の100mg/kgの効果を、AAを注入したマウスの足首(ソリプリン(登録商標)+アラキドン酸)にて、未治療のマウス(未治療+アラキドン酸)、AA注入をしないマウス(ネガティブコントロール)、または液体の担体を注入したマウス(媒体コントロール)と比較した。
【図15】実施例12に記載したようにUV光によるマウスへの照射後の時間の関数として、種々の治療群における無毛マウスの皮膚の紅斑のスコアの変化をグラフにて表す。B−1,A−1、B−2およびA−2群のマウスは、照射前(B−1およびB−2群)または照射後(A−1およびA−2群)のいずれかにソリプリン(登録商標)で治療を行った。ソリプリン(登録商標)は、コガネバナ の根から単離されたフリーのB環のフラボノイド、およびアセンヤクノキの樹皮から単離されたフラバンの、標準化した抽出物を80:20の比率で合わせることにより製造した。図15に関して、UV照射の前後双方でのソリプリン(登録商標)の局所塗布は、コントロール群および標準的な治療薬スース・ア・カインを投与した群と比較して、紅斑のスコアを有意に低減したとみなすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)を介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法であって、それを必要とするホストに、少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物を包含する医薬的組成物の有効量を投与することを包含する前記方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率が、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率が約20:80である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーのB環のフラボノイドが以下の構造:
【化1】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含む、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが以下の構造:
【化2】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルから成る群から独立して選択される置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが有機合成により得られる、または植物から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分からなる群から選択される植物の部分から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーのB環のフラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) から成る群から選択される植物のファミリーから単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーのB環のフラボノイドが、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) から成る群から選択される植物の属から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される植物の種から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーのB環のフラボノイドが、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、前記フラバンが、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、0.001から200mg/kg体重から選択される投与量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
投与経路が局所的である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態が、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態から成る群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物で構成される、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するためのここで問題とする医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率が、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率が約20:80である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記フリーのB環のフラボノイドが以下の構造:
【化3】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含む、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記フラバンが以下の構造:
【化4】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルから成る群から独立して選択される置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネートを含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが有機合成により得られる、または植物から単離される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分からなる群から選択される植物の部分から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記フリーのB環のフラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) から成る群から選択される植物のファミリーから単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記フリーのB環のフラボノイドが、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) から成る群から選択される植物の属から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記フラバンが、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される植物の種から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記フリーのB環のフラボノイドが、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、前記フラバンが、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
医薬的に受容可能な賦形剤、および所望によりアジュバントまたは担体をさらに包含する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物を局所塗布用に製剤化する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物を規定のまたはコントロールされた放出媒体中に製剤化する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項33】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび1つのフラバンの混合物で構成される医薬組成物の有効量を、それを必要とするホストに投与することで構成される、皮膚におけるCOXおよびLOXの酵素の酵素活性を同時に阻害するための方法。
【請求項34】
医薬組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
投与経路が局所的である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
医薬組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物を包含する組成物の有効量を、それを必要とするホストに投与することを包含する、COXおよびLOX経路により仲介される哺乳動物の皮膚の外観を改善するための方法。
【請求項40】
医薬組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
投与経路が局所的である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
医薬組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項39に記載の方法。
【請求項1】
シクロオキシゲナーゼ(COX)およびリポキシゲナーゼ(LOX)を介した皮膚の疾患および状態を予防および治療するための方法であって、それを必要とするホストに、少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物を包含する医薬的組成物の有効量を投与することを包含する前記方法。
【請求項2】
前記組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率が、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率が約20:80である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フリーのB環のフラボノイドが以下の構造:
【化1】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含む、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フラバンが以下の構造:
【化2】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルから成る群から独立して選択される置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが有機合成により得られる、または植物から単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分からなる群から選択される植物の部分から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フリーのB環のフラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) から成る群から選択される植物のファミリーから単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フリーのB環のフラボノイドが、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) から成る群から選択される植物の属から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記フラバンが、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される植物の種から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記フリーのB環のフラボノイドが、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、前記フラバンが、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、0.001から200mg/kg体重から選択される投与量で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
投与経路が局所的である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
COXおよびLOXを介した皮膚の疾患および状態が、日光による熱傷、熱による熱傷、ざ瘡、局所的創傷、真菌、細菌およびウイルスの感染を原因とする軽症の炎症の状態、白斑、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、癌、黒色腫、ならびにその他の哺乳動物の皮膚癌、紫外線(UV)放射、化学物質、熱、風および乾燥の環境への暴露に起因する皮膚の損傷、小じわ、皮膚のたるみ、目の周囲のしわおよびくま、皮膚病およびその他のアレルギーに関連する皮膚の状態から成る群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物で構成される、皮膚に関連する疾患および状態の予防および治療に使用するためのここで問題とする医薬組成物。
【請求項20】
前記組成物中のフリーのB環のフラボノイド 対 フラバンの比率が、99:1のフリーのB環のフラボノイド:フラバンから、1:99のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの範囲から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ここで問題とする組成物中のフリーのB環のフラボノイド:フラバンの比率が約20:80である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記フリーのB環のフラボノイドが以下の構造:
【化3】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、−H、−OH、−SH、−OR、−SR、−NH2、−NHR、−NR2、−NR3+X−;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソース、およびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物およびカルボネートを含む、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記フラバンが以下の構造:
【化4】
を有する化合物の群から選択され、
式中
R1、R2、R3、R4およびR5は、H、−OH、−SH、−OCH3、−SCH3、−OR、−SR、−NH2、−NRH、−NR2、−NR3+X−;ガレート、アセテート、シンナモイルエステルおよびヒドロキシル−シンナモイルエステル、トリヒドロキシベンゾイルエステル、およびカフェオイルエステルから成る群から独立して選択される置換基のエステル;アルドペントース、メチルアルドペントース、アルドヘキソース、ケトヘキソースおよびそれらの化学的誘導体を含む、単一の糖または複数の糖の組み合わせの炭素、酸素、窒素またはイオウのグリコシド;ダイマー、トリマーおよびその他のポリマー化したフラバン、から成る群から独立して選択される;
式中
Rは1ないし10の炭素原子を有するアルキル基である;そして
Xは、ヒドロキシル、塩化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、アセテート、フッ化物、カルボネートを含むがこれに限定されない、医薬的に受容可能な対アニオンの群から選択される、
請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが有機合成により得られる、または植物から単離される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記フリーのB環のフラボノイドおよび前記フラバンが、茎、茎の皮、幹、幹の樹皮、小枝、塊茎、根、根の皮、若芽、種子、根茎、花およびその他の生殖器官、葉およびその他の地上に出ている部分からなる群から選択される植物の部分から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記フリーのB環のフラボノイドが、バンレイシ科(Annonaceae)、キク科(Asteraceae)、ノウゼンカズラ科(Bignoniaceae)、シクシン科(Combretaceae)、キク科(Compositae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、シソ科(Labiatae)、ラウランセアエ(Lauranceae)、マメ科(Leguminosae)、クワ科(Moraceae)、マツ科(Pinaceae)、ワラビ科(Pteridaceae)、シノプテリダセアエ(Sinopteridaceae)、ニレ科(Ulmaceae)およびジンギベラセアエ(Zingiberacea) から成る群から選択される植物のファミリーから単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記フリーのB環のフラボノイドが、デスモス(Desmos )、キク科(Achyrocline)、オロキシルム(Oroxylum)、ブケナビア(Buchenavia)、アナファリス (Anaphalis)、コツラ(Cotula)、キク科ヤマハハコグサ属(Gnaphalium)、ヘリクリサム属(Helichrysum)、キク科セントウレア属(Centaurea)、キク科ヒヨドリバナ属(Eupatorium)、キク科サワギク属(Baccharis)、トウダイグサ科(Sapium)、スクテラリア属(Scutellaria)、モルサ(Molsa)、コレブロッケア(Colebrookea)、シソ科スタキス属(Stachys)、シソ科オリガナム属(Origanum)、ジジフォラ(Ziziphora)、クスノキ科クロモジ属(Lindera)、クスノキ科カゴノキ属(Actinodaphne)、アカシア属(Acacia)、マメ科デリス属(Derris)、マメ科カンゾウ属(Glycyrrhiza)、マメ科ナツフジ属(Millettia)、マメ科クロヨナ属(Pongamia)、テフォロシア(Tephrosia)、クワ科アルトカルプス属(Artocarpus)、フィクス(Ficus)、キンシダ科(Pityrogramma)、ノトラエナ(Notholaena)、マツ科マツ属(Pinus)、ニレ科ニレ属(Ulmus)およびショウガ科アルピニア属(Alpinia) から成る群から選択される植物の属から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記フラバンが、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アカシア・コンシナ(Acacia concinna)、キンゴウカン(Acacia farnesiana)、アカシア・セネガル(Acacia Senegal)、アカシア・スペシオサ(Acacia speciosa)、アカシア・アラビカ(Acacia Arabica)、アカシア・カエシア(A. caesia)、アカシア・ペンナタ(A.pennata)、アカシア・シヌアテ(A. sinuate)、モリシマアカシア(A. mearnsii)、アカシア・ピクナンタ(A. picnantha)、ミモザ(A. dealbata)、カマバアカシア(A. auriculiformis)、アカシア・ホロセレシア(A. holoserecia)およびアカシア・マンギューム(A. mangium)から成る群から選択される植物の種から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記フリーのB環のフラボノイドが、植物のスクテラリア 属の1つまたは複数の植物から単離され、前記フラバンが、植物のアカシア属の1つまたは複数の植物から単離される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項30】
医薬的に受容可能な賦形剤、および所望によりアジュバントまたは担体をさらに包含する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物を局所塗布用に製剤化する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物を規定のまたはコントロールされた放出媒体中に製剤化する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項33】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび1つのフラバンの混合物で構成される医薬組成物の有効量を、それを必要とするホストに投与することで構成される、皮膚におけるCOXおよびLOXの酵素の酵素活性を同時に阻害するための方法。
【請求項34】
医薬組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
投与経路が局所的である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
医薬組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つのフリーのB環のフラボノイドおよび少なくとも1つのフラバンの混合物を包含する組成物の有効量を、それを必要とするホストに投与することを包含する、COXおよびLOX経路により仲介される哺乳動物の皮膚の外観を改善するための方法。
【請求項40】
医薬組成物を、医薬的、皮膚科的および美容的に受容可能な担体中の、およそ0.001重量パーセント(wt%)から40.0wt%の、フリーのB環のフラボノイドおよびフラバンの混合物で構成される医薬的、皮膚科的および美容的製剤において投与する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
投与経路が、局所、エアゾール、坐剤、皮膚内、筋肉内、および静脈内の投与から成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
投与経路が局所的である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
医薬組成物を、くっつかないタイプのガーゼ、バンデージ、綿棒、拭き取り用の布、パッチ、マスク、保護剤、クレンジング剤、消毒剤、溶液、クリーム、ローション、軟膏、ゲルまたはエマルジョン、リキッド、ペースト、石鹸、または粉末剤を用いて投与する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
医薬組成物がさらに、局所塗布用に医薬的、皮膚科的および美容的に適する従来の賦形剤、ならびに所望によりアジュバント、および/または担体、および/または規定のまたはコントロールされた放出媒体で構成される、請求項39に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−522150(P2006−522150A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509660(P2006−509660)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/010279
【国際公開番号】WO2004/089392
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/010279
【国際公開番号】WO2004/089392
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504000568)ユニゲン・ファーマシューティカルス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
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