説明

商品供給装置及び該装置を備えた包装装置

【課題】バックヤード等の狭い空間でも包装作業を効率よく実現できる商品供給装置及び該装置を備えた包装装置を提供する。
【解決手段】商品Wを包装機Bの搬入部18に供給する商品供給装置Aであって、商品Wを多段状で且つ略水平に支持するストック部A1と、前記ストック部A1に載承支持された商品を支持面の外側に排出する供給部A2と、を備え、前記ストック部に支持された商品を上下移動し、前記供給部A2により、所定位置に位置した商品Wを支持面の外側に排出し、前記搬入部18に商品を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装装置の商品搬入部に商品を供給する商品供給装置、及び該装置を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の商品売場に陳列される商品、例えば精肉売場に陳列する商品はバックヤードでトレイに盛り付けた後、包装装置でフィルム包装して商品が形成される。
そして、包装装置による包装作業は、オペレータが、精肉等が盛り付けられたトレイを包装装置の搬入部に置くことで包装作業が行われる。
【0003】
しかし、包装作業を行なうオペレータは、商品が盛り付けられたトレイを一つ一つ搬入部に置かなければならないので、トレイを搬入部に置く作業をしている間は他の作業が出来ず、作業効率が悪いという問題があった。
【0004】
上記問題に対して、例えば工場等で使用される機長の長い自動搬入コンベアを用い、該コンベアに多数のトレイを載せて搬入部に搬送供給することも考えられるが、一般的にスーパーマーケットのバックヤードは狭く、前記機長の長い自動搬入コンベアを設置することはできない。
【0005】
又、前記のように包装装置を操作する場合、肉を加工しトレイに盛り付ける担当者と、トレイを包装装置の搬入部に置くオペレータは、それぞれその作業に縛られるので、どうしてもそれぞれのポジションには作業者が必要で、人件費の削減(抑制)、例えば、加工職人が包装装置のオペレータも兼ねる、或いは包装装置を操作するオペレータは他の仕事にも従事する等、思うようにできないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−120108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、スーパーマーケット等の狭いバックヤード等の空間でも包装作業を効率よく実現できる商品供給装置及び該装置を備えた包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明が講じた商品(被包装物)を包装機の搬入部に供給する商品供給装置は、商品を多段状で且つ略水平に支持するストック部と、前記ストック部に載承支持された商品を支持面の外側に排出する供給部と、を備え、前記ストック部に支持された商品を上下移動し、前記供給部により、所定位置に位置した商品を支持面の外側に排出し、前記搬入部に商品を供給する構成を特徴とする(請求項1)。
前記商品供給装置は、包装機の搬入部(インフィードコンベヤ)に対して略直角に交差して配置し、商品を搬入部に対して左右方向から供給する、或いは搬入部の搬送方向前段(手前位置)に配置し、商品を搬入部の搬送方向に沿って供給する等、何れでもよい。
前記供給部は、略水平に支持された商品を、支持領域からその支持面に沿って外側に排出することができればよく、その形態としては、例えば、商品を支持面に沿って押し出し排出するプッシャタイプ、或いはコンベアに載せて搬送するコンベアタイプ等、何れでもよい。
【0009】
前記供給部は、前記包装機の搬入部の高さ位置近傍に配置されている(請求項2)。これにより、商品が供給部により搬入部へ供給される時に、両者の高さ位置が略同じになるので、商品を安定して供給することができる。
又、ストック部に支持された商品の移動方向は、上方から下方へ、或いは下方から上方への何れでもよい。
本発明で言う商品(被包装物)とは、樹脂製或いは紙製等のトレイ(舟形トレイ、平板トレイ、蓋付きトレイ等)に品物を盛り付けた商品、あるいは箱詰めした商品、トレイや箱等に盛りつけない品物単体等の形態が挙げられる。
また、商品の上下方向の移動は、ストック部そのものが移動してもよいし、或いは、略水平に支持されている商品だけを上下方向へ移動させる構造にしてもよい。
【0010】
上記手段によれば、鉛直方向に沿って多段状に支持されたストック部の商品を、上下方向に移動し、供給部によって順次搬入部へ排出することができる。つまり、商品を鉛直方向に沿って多段状に配置するので、自動搬入コンベアのように平面的に場所を占有することがなく、狭い場所でも十分に使用できる。又、加工された複数の商品を纏めてストック部にセットすれば包装装置の搬入部に順次供給されるので、ストック部にセットした商品が排出されて無くなるまでの時間は、包装装置を操作するオペレータは他の作業をすることが可能となり、効率よく包装作業を行なうことが可能となる。
【0011】
前記商品だけを上下方向に移動するタイプの具体的構成としては、例えば、商品を略水平に載承支持する商品支持手段を複数個、上下方向に所定間隔を置いて備え、前記商品支持手段が上下方向に移動する構成とする(請求項3)。
前記商品支持手段は、例えば、商品の底面全面を載承支持する平板タイプ、或いは商品の底面四隅部を支持する4点支持タイプ(爪タイプ)等、何れでもよい。
【0012】
上記手段によれば、多段状に配置された各商品支持手段に商品を載せ、駆動部を作動させることで、商品支持手段は上方から下方へ(又は下方から上方へ)移動し、商品が供給部と略同じ高さ位置に位置する毎に、供給部の作動で商品支持手段に支持された商品は確実に排出される。
【0013】
又、前記供給部はその移動路に、前記ストック部に載承支持される商品の排出方向に沿った長さ寸法を計測する長さ計測手段を備えた構成としてもよい(請求項4)。
前記長さ計測手段は、透過型または反射型の長さ検出センサを用い、供給部の作動で商品が排出され、その排出時に前記長さ検出センサで商品の先端が検出されてから後端が検出されるまでの時間と、該商品の移動速度(例えば、供給部(プッシャ)の速度)とから商品の排出方向の長さ寸法が測定される。
【0014】
上記手段によれば、商品の排出動作によって、該商品の排出方向に沿った長さ寸法(包装機の搬入部に供給された時の横幅寸法)を計測することができる。それにより、包装装置の搬入部に装備していた横幅測定装置は不要となる。
【0015】
また、前記供給部は、前記長さ計測手段の計測値に応じて商品排出時の移動量が制御されるようにしてもよい(請求項5)。即ち、計測した商品の長さ寸法に応じて、該商品を供給装置から包装機の搬入部へ排出する時の供給部の移動量(押し出し量)を制御する。
【0016】
上記手段によれば、商品のサイズ(横幅)に応じて、供給部(例えばプッシャ)の移動量を調整することで、商品のサイズの大小に関係なく、商品を搬入部の略中央位置に供給載置することが可能となる。それにより、包装機において商品を包装するフィルムの左右の折り返し代の長さが略同じ長さとなり、包装仕上がりが綺麗になる。
【0017】
そして、前記商品供給装置の供給部は、前記包装機からの信号に基づき駆動するように制御する(請求項6)。
前記包装機からの信号としては、例えば、包装機の搬入部を構成するインフィードコンベアの爪部が商品を搬送可能な所定位置に位置していることを検出した信号が挙げられる。
更に、前記商品供給装置は、包装機の搬入部の側部に一体的に備えてもよい(請求項7)。
【0018】
商品供給装置のストック部に載置された商品を供給部の作動で搬入部へ供給するが、上記手段によれば、該供給部が作動するタイミングを、包装機からの信号、例えば、搬入部を構成するインフィードコンベアの爪部が所定位置に位置することを検知する信号により作動するようにした場合は、正しいタイミングで商品を搬入部へ供給する事ができる。
そして、包装機への商品(被包装物)の供給を、商品供給装置の作動で効率よく行なう事ができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の商品供給装置は請求項1記載の構成により、上下方向の空間を利用することで従来のコンベアのように平面的に広い場所を占有することがなく、狭い場所でも効率よく商品を包装機に供給できる装置を提供できる。そして、この商品供給装置は、複数の商品をまとめてストック部にセットすれば、そのセットした商品が排出完了するまでの時間は、オペレータは他の作業をすることが可能となり、効率よく作業を行なうことが可能となり、人員の削減、人件費の抑制等に貢献できる。
そして、請求項2記載の構成により、供給部の高さ位置が包装機の搬入部の高さ位置と略同じ高さとした場合は、商品を安定して供給することができる。
又、請求項3記載の構成により、商品支持手段が上下動するので、ストック部全体が移動するのと比べて簡単な構造で済み、また、移動による退避の為の位置確保も少なくてすむ。
又、請求項4記載の構成により、商品の排出動作によって、該商品の排出方向に沿った長さ寸法(包装機の搬入部に供給された時の横幅寸法)を計測することができる。それにより、包装機の搬入部に装備していた横幅測定装置を不要とすることができる。
【0020】
また、請求項5記載の構成により、商品のサイズ(横幅)に応じて、供給部の移動量を調整することで、商品のサイズの大小に関係なく、商品を搬入部の略中央位置に供給載置することが可能となる。それにより、包装機において商品を包装するフィルムの左右の折り返し代の長さを略同じ長さにでき、包装仕上がりを綺麗にすることができる。
更に、請求項6記載の構成により、商品供給装置から包装機の搬入部への商品の供給を、正しいタイミングで効率よく行うことができる。
そして、請求項7記載の構成により、商品の供給を効率よく行うことができる包装機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る商品供給装置を包装機の搬入部側近に組み合わせ配置した状態を示す斜視図。
【図2】商品供給装置の一例を示す斜視図。
【図3】(a)は図2に示した装置の一部切欠平面図、(b)は同正面図。
【図4】同一部切欠正面図。
【図5】商品供給装置から包装機の搬入部に商品を供給する供給部の動作を示し、(a)は商品の横幅寸法が搬入部の横幅の1/2より小さい場合、(b)は商品の横幅寸法が搬入部の横幅の1/2より大きい場合を示す。
【図6】商品供給装置の他の例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図7】商品供給装置の更に他の例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図8】商品供給装置の電気ブロック図。
【図9】商品の供給動作を示すフローチャート図。
【図10】商品供給装置の供給部の動作タイミングを制御する包装機側の搬入部に設置されたセンサを示す一部側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る商品供給装置及び該装置を備えた包装機について説明する。
図1は商品供給装置を包装機の搬入部に一体的に組み合わせ配置した状態を示し、図中、Aは商品供給装置、Bは包装機で、前記商品供給装置Aは包装機Bの手前側に配置された搬入部の側部に近接して配置されている。
【0023】
前記商品供給装置Aは、商品(例えば、トレイに載置された肉等である被包装物)Wを包装機Bの搬入部に供給排出するもので、該装置は側面略L字形に形成された基台1に、商品Wを鉛直方向に多段状に載承支持し、且つ上下方向に移動するストック部A1と、そのストック部A1が載承支持する商品Wを包装装置の搬入部に向けて排出する供給部A2とを備えて構成されている。
【0024】
前記基台1は、台板1aの上面に支持板1bが鉛直に起立固定されて側面略L字形に形成され、前記台板1aの四隅下面にはアジャスター機能を備えた脚部材2が取り付けられている。
そして、前記支持板1bに沿って手前側にストック部A1が設置され、そのストック部A1の手前位置に供給部A2が支柱3を介して配置されている。
【0025】
前記ストック部A1は、図2〜図4に示すように、商品Wを略水平に載承支持する商品支持手段4と、前記商品支持手段4を略水平に支持したまま上下方向に移動させる駆動部5とで構成されている。
前記商品支持手段4は、商品Wの底面全面を載承支持し得る面積を備えた平板4aで構成され、その平板4aの一側部(支持板1b寄り)の左右側部が駆動部5に片持ち構造で支持されている。
【0026】
商品支持手段4を構成する平板4aは、合成樹脂製平板、木製平板、或いは軽量金属製平板等、商品Wを載せて変形しないだけの強度を備えていればよい。
そして、前記商品支持手段4を構成する平板4aは駆動部5に対して上下方向に所定の間隔を置いて複数個(図示の実施例では3個)取り付けられている。尚、商品支持手段4相互の上下方向の間隔は、取り扱う商品Wの高さ寸法に応じて決定される。
【0027】
前記商品支持手段4を略水平状態に保持して上下方向に移動させる駆動部5は、定位置で駆動回転するネジ軸と、該ネジ軸に螺合し周り止めされたナット部材とからなるボールネジ機構5aと、そのボールネジ機構5aのネジ軸を駆動回転させる電動モータ等の動力源5bとで構成されている。
そして、前記ボールネジ機構5aのネジ軸の回転で該ネジ軸に沿って上下方向に移動するナット部材に前記商品支持手段4が固着されている。それにより、所定間隔をおいて多段状に配置した商品支持手段4はネジ軸の正回転で上方から下方へ、ネジ軸の逆回転で下方から上方へ移動する。
【0028】
又、前記ボールネジ機構5aに対する商品支持手段4の取り付けは、ネジ軸の全長の略半分(上半部)内に所定個数の商品支持手段4を、所定間隔をおいて配置する。即ち、全ての商品支持手段4が上限位置に位置する場合、最下段の商品支持手段4より下方側に全ての商品支持手段4が移動し得るだけの空間が存在するようにする。従って、商品支持手段4に載承された商品Wを、該商品支持手段4上から搬入部へ排出する供給部A2はボールネジ機構5aを構成するネジ軸の全長の略中央位置付近に配置する。
【0029】
更に、ボールネジ機構5aで上下される商品支持手段4は、供給部A2と対応する位置に位置して商品支持手段4上の商品Wが排出されると、前記ボールネジ機構5aの駆動で順次一段分宛下方に移動して各商品支持手段4の商品が排出され、最上位の商品支持手段が載承する商品Wの排出が完了した後、全ての商品支持手段4を上方へ移動させて初期位置に戻す。この最上位の商品支持手段4が供給部A2と対応する位置に位置したことの検出と、全ての商品支持手段(検知は最上位の商品支持手段)が初期位置に戻ったことの検出を行う上限位置センサ6a、下限位置センサ6bが支持板1bに設置され、上限位置センサ6aを遮ることで位置検出を行うフラグ7aが最上位の商品支持手段4に、下限位置センサ6bを遮ることで最上位の商品支持手段4が供給部A2と対応する位置に位置することが検出されるフラグ7bが最下位の商品支持手段4に設置されている。
【0030】
前記供給部A2は、商品支持手段4に載置された商品Wを押圧移送するプッシャ8と、該プッシャ8を水平移動させる駆動部9とで構成されている。
前記駆動部9は、所定間隔を置いて配置した一対のスプロケット9a,9bに亘ってチェーン9cが巻回され、そのチェーン9cにブラケットを介して前記プッシャ8が連結され、スプロケット9aの回動によりプッシャ8がガイド9dに沿って水平移動される。9eはスプロケット9aを駆動するモータである。
【0031】
又、前記供給部A2の駆動部9には、プッシャ8が往動(前進)して商品Wを排出後、該プッシャ8は次の上位に位置する商品支持手段4の下降を阻止しないよう原点位置(G)へ復動(後退)するが、その原点位置(G)への復動(後退)を検出するプッシャ原点位置センサ10が設けられている。
【0032】
更に、駆動部9を収容するケース11、或いはケース11にブラケットを介して、前記商品支持手段4に商品Wが載置されているか否かを検出する商品有無検出センサ12が取り付けられている。尚、この商品有無検出センサ12の取り付け位置は、商品支持手段4への商品Wの載置、或いはプッシャ8の移動等の妨げになら位置であればどこでもよい。
【0033】
また、前記基台1の支持板1bにおける商品排出方向に沿った前端には、商品支持手段4に載承された商品Wの排出方向に沿った長さ(包装装置の搬入部に供給された状態での横幅)を計測する商品長さ検出センサ13が取り付けられている。
商品Wの長さ(横幅)計測は、商品支持手段4に載承された商品Wが、供給部A2のプッシャ8で押され、商品Wの先端が商品長さ検出センサ13を遮って(先端検出)から商品Wの後端が商品長さ検出センサ13を抜ける(後端検出)までの時間と、商品の移動速度(プッシャの速度)により計測される。
【0034】
商品Wの長さ(横幅)の計測値は、該商品Wを包装機Bの搬入部の略中央位置に供給排出する時の、前記供給部A2のプッシャ8の移動量の制御、及び商品Wを包装するフィルムの切断長さの決定に使用される。プッシャ8の移動量の制御については後段で説明する。
【0035】
図9は前記商品供給装置Aの制御部の電気ブロック図で、各ブロックを制御するCPU14にバスを介してRAM22、ROM23、商品支持手段4を上下方向に移動させる駆動部5(動力源5b)、商品支持手段4に載承された商品Wを排出するプッシャ8を水平移動させる駆動部9(モータ9e)、商品支持手段4に商品Wが載承されているか否かを検出する商品有無検出センサ12、商品支持手段4に載承された商品Wの排出方向の長さ(横幅)を検出する商品長さ検出センサ13、及び前記プッシャ8が原点位置(G)に復帰したか否かを検出するプッシャ原点位置センサ10が接続されている。
そして、前記商品供給装置Aの制御部はINF(インターフェース)15を介して包装装置Bの制御部(図示省略)と接続され、相互に信号のやり取りが行われて供給装置Aの作動が制御される。
前記CPU14は、ROM23の制御プログラムに従って、RAM22のワークエリアを用いて処理を行なうことにより各ブロックを制御する。
前記RAM22は、複数の記憶領域を有し、商品長さ検出センサ13が計測した横幅を記憶するファイル、或いは各ファイルから読み出されたデータが一時的に格納される。
【0036】
図7及び図8は、前記商品供給装置Aの他の例を示し、図7に示す商品供給装置A’は、ストック部A1の商品Wを載承する商品支持手段16を、商品の底面四隅部を支持する4点支持タイプ(爪タイプ)としたもので、商品Wの隅部底面を支持する4箇所の爪部16aは、無端回動するチェーン16bに所定間隔をおいて取り付けられ、各チェーン16bに取り付けられた各段の爪部16aが同じレベル(水平)を保ち、商品Wの四隅底面を支持して上下し得るように制御されている。
そして、前後の爪部16aの間には爪部16aで支持された商品Wを受け取り支持する受け板16cが水平に架設されている。それにより、商品Wを略水平に載承支持した同じレベルの4個の爪部16aがチェーン16bの回動で受け板16c上方から受け板16c下方に移動することで、爪部16aで支持されていた商品Wは受け板16cに乗り移り、供給部A2の作動で搬入部へ排出可能な状態となる。
尚、前記受け板16cは、包装機Bの搬入部と同じレベル(高さ)に支持され、受け板16cに乗り移った商品Wが供給部A2のシリンダ形プッシャ8’の押動で搬入部上に排出される。
【0037】
図8に示す商品供給装置A”は、図7に示した商品供給装置A’の供給部A2を搬送コンベア17で構成したもので、具体的には、前示実施例における受け板16cの位置に搬送コンベア17を配置し、搬送コンベア17に乗り移った商品Wを、該搬送コンベア17の駆動で包装機Bの搬入部へ排出する。
前記搬送コンベア17は、ベルトコンベア、ローラコンベアの何れでもよい。尚、ストック部の構成は、前示実施例と同じである為、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0038】
前記商品供給装置A(又はA’、A”)から商品Wの供給を受ける包装機Bは、搬入部に供給された商品Wを、包装部に張架したフィルムに対して下方から突き上げて包装する今日周知のストレッチフィルム包装機で、図5に搬入部の構成を簡単に説明する。
搬入部18は、細幅ベルト19aを複数本、並列配置した搬送コンベア19の始端側に、計量器を兼ねた載置台20を配置して構成され、細幅ベルト19aの外周面には該ベルトの長さ方向に所定間隔をおいて商品を押圧移送するプッシャ19bが固着されており、そうした搬送コンベア19は間欠駆動されるように構成されている。その間欠駆動は、搬送コンベア19のベルト19aに取り付けられたプッシャ19bが載置台20の手前下方のプッシャ初期位置センサ21によって検知されることにより停止し、載置台20に商品Wが載置されて計量が行われ、計量が完了した場合に起動されるようになっている。
【0039】
そして、前記商品供給装置Aは、図1に示すように、包装機Bの搬入部18の側部、即ち、搬送コンベア19の搬送方向と略直角に交差する左右側部に、商品供給装置Aの供給部A2におけるプッシャ8の移動方向が略直角に交差するように配置され、図9に示すようにその制御部はINF(インターフェース)15を介して包装機の制御部と接続される。
以下に、商品供給装置Aの動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、以下に示すフローチャートは、図示の商品供給装置Aが備える3個の商品支持手段4に商品Wが載せられている状態からスタートする場合について説明する。
【0040】
S1…商品有無検出センサ12により、供給部A2と対応する位置に位置する商品支持手
段4(最下段の商品支持手段4)上に商品Wが載っているか否かを判断する。商品
Wが載っている(有り)と判断した場合(YES)はS2へ進み、商品Wが載ってい
ない(無し)と判断した場合(NO)は商品Wが載っている(有り)と判断されるま
で繰り返し行われる。
S2…包装機Bの搬入部18に配置された搬送コンベア19に装備したインフィードプッ
シャ19bが初期位置に位置することを示す信号(プッシャ初期位置センサ21の
検出信号)を、商品供給装置Aの制御部(CPU14)が受信したか否かにより判
断する。受信した場合(YES)はS3へ進み、受信していない場合(NO)は一定の
時間間隔で前記判断を繰り返す。
S3…供給部A2のプッシャ8を移動させる駆動部9(モータ9e)を駆動し、プッシャ
8を水平移動させる。
S4…プッシャ8によって商品支持手段4上の商品Wが搬入部18に向けて押されると、
該商品Wはその移動時に先端で商品長さ検出センサ13の光路を遮り始めてから、
商品Wの後端が前記検出センサ13の光路から抜けるまでの時間により、該商品W
における排出方向に沿った長さL1(搬入部18に供給された状態での横幅)が計
測され、該計測された長さL1がINF15を介して包装装置制御部へ送信される

【0041】
S5…前記S4で商品Wの排出方向の長さL1(横幅)が計測され、その計測値L1に基
づいて該商品Wを、包装機Bの搬入部18の幅方向における略中央位置に位置する
よう供給部A2のプッシャ8の移動量が制御され、プッシャ8の移動が停止される

以下に、商品Wの長さL1が、搬入部18の横幅L2の半分(L2/2)に対して
小さい場合(L2/2>L1)(図6(a)参照)、及び大きい場合(L2/2<
L1)(図6(b)参照)何れの場合でも、プッシャ8の移動量Xは、以下の式に
より算出できる。尚、図6中の移動量Xは、プッシャ8が包装機Bの搬入部18の
側端(商品支持手段4の先端との接続位置)から搬入部18方向への移動量を表す

X=L2/2−L1/2
上記移動量Xの制御により、商品Wは搬入部18の横幅の略中央位置に供給配置さ
れる。
S6…商品Wを搬入部18の所定位置に排出したプッシャ8は、初期位置である原点位置
(G)へ復動(後退)する。プッシャ8が原点位置(G)に戻ったか否かは、プッ
シャ原点位置センサ10で検知され、その検知信号で駆動部9(モータ9e)が停
止される。
【0042】
S7…多段に配置された商品支持手段の上下移動を制御する下限位置センサ6bが、フラ
グで遮られているか否かを判断する。具体的には、図示の場合であれば、最下位の
商品支持手段4に取り付けられたフラグ7bが下限位置センサ6bを遮っているか
否かを判断する。下限位置センサ6bが最下位の商品支持手段4に取り付けたフラ
グ7bで遮られている(OFF)場合(YES)はS8へ進み、下限位置センサ6bが未
だフラグで遮られていない場合(NO)はS9へ進む。
S8…最上位の商品支持手段4が供給部A2と対応する位置に位置したと判断され、商品
支持手段4上の商品Wの排出及びプッシャ8の原点位置(G)への復帰後、上限位
置まで商品支持手段4を移動させる。最上位の商品支持手段が上限位置に戻ったか
否かは、上限位置センサ6aが最上位の商品支持手段4に装備のフラグ7aで遮ら
れているか否かで判断される。上限位置センサ6aがフラグ7aで遮られると、ボ
ールネジ機構の駆動が停止される。
S9…未だ、最上位の商品支持手段4が供給部A2と対応する位置に位置していないと判
断され、駆動部5のボールネジ機構5aが作動して次の商品支持手段4を供給部A
2と対応するように一段分降下させる
【0043】
上記構成により、商品供給装置Aの多段状のストック部A1の商品支持手段4に載置した全ての商品Wが、包装機Bの搬入部18に排出供給されるまでの間は、商品供給に従事するオペレータは他の作業に従事することが可能となる。従って、人件費の抑制に貢献できる。尚、商品Wを排出した後、空の各商品支持手段4に商品Wを載せるが、該商品Wの載置は各段の商品支持手段4の商品が排出された後、その都度商品Wを載せてもよいが、全ての商品支持手段4の商品を排出し、全ての商品支持手段を上限位置に戻した後、全ての商品支持手段4に商品Wを載せる方が、前記時間の有効利用(効率的な作業)が可能となる。
そして、プッシャ8は搬入部18と略同じ高さに配置されていて移動されるので、商品の搬入部18への乗り移り位置には大きな段差が生じない。このように乗り移り位置に大きな段差が生じないので、搬入部18への乗り移り時に、例えば前記トレイに載置された肉等の商品が移動する場合でも、肉等の商品が崩れることがなく、またトレイに載った転倒し易い商品の場合でも転倒することなくスムーズな商品の移動が可能になる。
また、プッシャ8と、搬入部18との高さは略同じでなく、プッシャ8が位置する高さが若干高いとしても、商品の乗り移りに支障が生じる程大きな段差でなければよい。つまり、商品の乗り移り時にスムーズな商品の移動ができ、前記商品の崩れや転倒等が生じない程度の段差であればよい。なお、搬入部18には計量部が備わっており、該位置に商品が位置した時商品の重量が計量されるので、前記乗り移り位置での段差が小さい方が、乗り移り時の重量の振れ幅が少なくなるので、より早く重量を安定させることができる。そして、より早く重量が安定するので、包装開始の為に細幅ベルト19aをより早いタイミングでスタートさせることができるので、一包装に掛かる時間をより短くすることができるのでより好ましい。
【0044】
本発明に係る商品供給装置、及び商品供給装置を組み込んだ包装装置は、図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、商品供給装置のストック部を構成する商品支持手段の段数は3段であるが、商品支持手段の数は3個に限らず、3個以上でもよい。
(2)実施の形態では、商品支持手段が鉛直方向上方から下方へ移動する例を示したが、商品支持手段は下方から上方へ移動するタイプでもよい。
(3)実施の形態では、商品供給装置を包装装置の搬入部に対して直交する側部(左右側部)に配置した例を示したが、商品供給装置は前記搬入部の搬送方向前段(搬送コンベアの始端側手前位置)に連接配置してもよい。
(4)実施の形態では、商品支持手段に商品が載っているか否かを判断する商品有無検出センサを供給部に配置した例を示したが、これに限定されず、各商品支持手段に商品有無検出センサを配置し、各商品支持手段で商品の有無を判断するようにしてもよい。この場合、全ての商品支持手段に商品が載置されたことが各支持手段のセンサで検出された後、前記フローチャートのS1以降のステップが実行されるようにしてもよい。このように、全ての商品支持手段に商品を置いてからスタートした方が、他の作業に利用できる時間が長くなり、効率良く作業を行なうことが可能となる。
(5)実施の形態では、下限位置センサが商品支持手段を検知することで最上位の商品支持手段が供給部と同じ高さ位置に位置し、商品の排出後、上限位置に戻されれば、全ての商品は包装機へ排出供給されたことを意味するので、その旨をランプの点灯、或いはブザーの鳴動で知らせるようにしてもよい。それにより、作業員は他の作業に従事していても、商品供給装置の各商品支持手段への商品の供給タイミングが遅れるのを防止できる。
(6)実施の形態は、商品供給装置を包装機の搬入部に対して側部に配置し、商品を横方向(図示は右方向)から供給する例を示したが、商品供給装置の配置は図示例に限らず、例えば、搬入部の搬送方向に沿った前段(手前位置)に配置し、商品を搬送方向に沿って供給するようにしてもよい。
(7)実施の形態では、商品長さ検出センサ13で商品の横幅を計測する例で示したが、商品長さ検出センサ13の他に、包装機の搬入部18に商品の横幅を計測するセンサを更に設けるようにしてもよい。つまり、包装作業をする際の1商品目についてはオペレータが搬入部18に商品を置くことで、商品の横幅が計測されて包装が開始され、2商品目以降はストック部から商品が供給され、その供給過程にて商品の横幅が計測されるようにしてもよい。
つまり、供給部により商品が供給され、その供給過程にて商品の横幅が計測される場合は、該計測された商品の横幅データが、包装装置へ送信されて、包装装置制御部の所定エリアに一時記憶され、搬入部18にて商品の横幅が計測された場合も、該包装装置制御部の所定エリアに同様に一時記憶される。
そして、前記のように1商品目が搬入部18に置かれ重量が安定した際に、既に横幅データが一時記憶されているかを判断し、この場合、横幅は未だ計測されていないので、搬入部18にて商品の横幅を計測するよう制御する。そして、供給部により商品が供給される場合は、商品が搬入部18に到達する前に既に横幅データが計測され一時記憶されているので、包装機の搬入部18にて商品の横幅計測をスキップするようにしてもよい。これにより、商品を直接搬入部18に置く場合と、供給部から供給する場合と使い分けすることができ、また、重複して横幅を計測することなく、包装に掛かる時間を短くすることができる。
(8)上記実施の形態での商品供給装置の底部にキャスタ等を設けて移動可能とし、商品を包装機へ搬送するワゴンとして利用してもよい。
(9)上記実施の形態での商品供給装置のプッシャに相当する供給部は、包装機側から突出して設けられて、該プッシャにより商品を搬入部へ供給するようにしてもよい。
(10)上記実施の形態でのストック部は縦一列に限らず、縦複数列にし、供給時に最初の一列分が終了すると、ストック部が移動し次の列のストック部から商品を供給するようにしてもよい。
(11)上記実施の形態の計量器で計量された重量値や品名や値段等が印字されたラベルを発行するラベル発行装置を包装装置に備えるようにしてもよい。また、そのラベルの商品への貼付の仕方は自動或いは手動何れでもよい。
【符号の説明】
【0045】
A…商品供給装置 A1…ストック部
A2…供給部 B…包装機
W…商品(被包装物) 1…基台
4…商品支持手段 5…商品支持手段の駆動部
6a…上限位置センサ 6b…下限位置センサ
8…プッシャ 9…プッシャの駆動部
10…プッシャ原点位置センサ 12…商品有無検出センサ
13…商品長さ検出センサ(長さ計測手段) A’…商品供給装置
A”…商品供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を包装機の搬入部に供給する商品供給装置であって、
商品を多段状で且つ略水平に支持するストック部と、
前記ストック部に載承支持された商品を支持面の外側に排出する供給部と、
を備え、
前記ストック部に支持された商品を上下移動し、前記供給部により、所定位置に位置した商品を支持面の外側に排出し、前記搬入部に商品を供給することを特徴とする商品供給装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記包装機の搬入部の高さ位置と略同じ高さ位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の商品供給装置
【請求項3】
前記ストック部は、商品を略水平に載承支持する商品支持手段を複数個、上下方向に所定間隔を置いて備え、前記商品の移動は前記商品支持手段が上下方向に移動することにより移動されることを特徴とする請求項2記載の商品供給装置。
【請求項4】
前記供給部の移動路に、前記ストック部に載承支持される商品の排出方向に沿った長さ寸法を計測する長さ計測手段を備えていることを特徴とする請求項2又は3記載の商品供給装置。
【請求項5】
前記供給部は、前記長さ計測手段の計測値に応じて商品排出時の移動量が制御されることを特徴とする請求項4記載の商品供給装置。
【請求項6】
前記商品供給装置の供給部は、前記包装機からの信号に基づき駆動するよう制御されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の商品供給装置。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れか1項記載の商品供給装置を、包装機の搬入部の側部に備えたことを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−11836(P2011−11836A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155659(P2009−155659)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】