説明

回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置

【課題】ブレーキ装置において、急ブレーキ時の制動力の応答性を向上させる。
【解決手段】運転者が操作するブレーキペダル22と、ペダル反力を生成する反力バネ23と、インプットロッド24と、インプットロッド24の変位量に応じて液圧を生成するマスタシリンダ25と、ブレーキペダル22の変位速度に応じてインプットロッド24に伝達する力の大きさを可変するダンパ26と、ペダル変位量を検出するペダル変位センサ27と、液圧を生成する液圧アクチュエータ28と、液圧アクチュエータ28以下の液圧を検出する液圧センサ29と、で構成されている。急ブレーキ時にはダンパ26を介してブレーキペダル22に入力された力がインプットロッド24に伝達され、マスタシリンダ25に液圧が生じるため、液圧アクチュエータ28単独の作動より早く、大きな制動力を出力できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよび発電機として機能する回転電機を搭載した車両に使用するブレーキ装置に関し、特に前記回転電機による回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンと回転電機の両方を使用して車両の走行を行うハイブリット車両や、エンジンを使用しないで回転電機で車両の走行を行う純粋な電気車両では、液圧アクチュエータによる摩擦ブレーキを使用した制動と回転電機による回生ブレーキを使用した制動とが使用される。例えば運転者がブレーキペダルを操作すると、運転者の操作量に基づいて運転者が要求する車両の要求制動力が求められ、前記要求制動力を回生制動力で賄うのか、それとも摩擦制動力で賄うのか、あるいは両方の制動力で賄うのかが演算により決められる。運転者が要求する要求制動力を回生制動力、あるいは摩擦制動力、あるいは両方の制動力を利用する技術は、例えば以下に記載する特許文献1(特表2005−532220号公報)に開示されている。
【0003】
なお、本明細書では、ハイブリット車両や純粋な電気車両を総称して電気車両と記し、ハイブリット自動車やエンジンを使用しない純粋な電気自動車を総称して電気自動車と記す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−532220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電気車両、特に電気自動車においては急ブレーキに対する応答性の更なる改善が望ましい。
【0006】
一例として、前記特許文献1に開示の技術について説明する。特許文献1のシステムはブレーキペダルと液圧経路との間に空隙が設けられているブレーキバイワイヤシステムである。空隙はブレーキペダルの変位に伴って減少し、ブレーキペダルの変位量が所定量以上になるとブレーキペダルと液圧経路の入力部材が接触することで液圧経路にブレーキペダルからの力が伝達される。ブレーキペダルと入力部材が接触していない空隙がある状態ではブレーキペダルの変位量などに基づいて液圧経路上に設けられたアクチュエータが液圧を生成し、その液圧で摩擦制動力を発生させている。そのため、制動力に高い応答性が要求される急ブレーキ操作に対応するためには応答性の高いアクチュエータが必要になる。
【0007】
本発明の目的は、回生ブレーキと摩擦ブレーキを協調制御するブレーキシステムに使用でき、ブレーキ操作に対する制動力発生の応答性を向上したブレーキ装置を提供することである。
【0008】
以下に説明の実施の形態では、上述の応答性向上以外に幾つかの課題を更に解決している。これらについては、以下の実施の形態の中で説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するため、本発明では、ブレーキペダルとアクチュエータの間を、速度に応じて伝達力が変化する継手部材によって接続する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブレーキ操作に対する制動力発生の応答性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第一〜第六の実施の形態としての液圧発生装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る第一の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る第一〜第六の実施の形態としての流体式継手部材の基本動作結果を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第一の実施の形態としての液圧発生装置の流体式継手部材に伝達力を可変する装置を設けた構成を示す説明図である。
【図5】本発明に係る第一〜第四の実施の形態としての液圧発生装置の基本動作結果を示す説明図である。
【図6】本発明に係る第一〜第五の実施の形態としての反力バネと液圧によるペダル踏力変化を示す説明図である。
【図7】本発明に係る第一〜第五の実施の形態としての反力バネによるペダル踏力変化を示す説明図である。
【図8】本発明に係る第二の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図9】本発明に係る第三の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図10】本発明に係る第四の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図11】本発明に係る第五の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図12】本発明に係る第六の実施の形態としての液圧発生装置の構成を示す説明図である。
【図13】本発明に係る第六の実施の形態としての液圧発生装置の緩ブレーキ時の基本動作を示す説明図である。
【図14】本発明に係る第六の実施の形態としての液圧発生装置の急ブレーキ時の基本動作を示す説明図である。
【図15】本発明に係る第六の実施の形態としてのターンオーバ機構の基本動作結果を示す説明図である。
【図16】本発明に係る第六の実施の形態としての液圧発生装置の基本動作結果を示す説明図である。
【図17】第一乃至第六の実施の形態の基本となる制御ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車両の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
[第一の実施の形態]
本発明に係る車両の第一の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。本実施の形態は、FF(エンジン前置き前輪駆動方式)車両に本発明を適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく4WD車両(4輪駆動方式)やFR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)等にも適用可能である。
【0014】
図1において、本実施の形態の車両10は、エンジン11と、トルクコンバータ12と、トランスミッション13と、ドライブシャフト14a,14bと、車輪15a〜15dと、ディスクロータ20a〜20dと、ブレーキキャリパ21a〜21dと、ブレーキキャリパ21a〜21dを動作させるための液圧を発生する液圧発生装置100と、ブレーキ制御装置200と、蓄電装置16と、後輪20c,20dに制動力を加える回生制動装置17と、を備えている。
【0015】
前記エンジン11は燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生させる内燃機関である。爆発により得られるピストンの運動はクランクシャフトの回転運動に変換される。クランクシャフトは、トルクコンバータ12,トランスミッション13,ドライブシャフト14aを介して、前輪20a,20bに動力を伝達する。トルクコンバータ12は、エンジン11とトランスミッション13との間に設けられている。前記トルクコンバータ12は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン11から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション13へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション13へ伝達する機能とを有する。前記トランスミッション13は、トルクコンバータ12とドライブシャフト14との間に設けられ、例えば、前進5段(第1速〜第5速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギアなどを有する。前記ドライブシャフト14aは、トランスミッション13と前輪20a,20bとを連結する回転軸で、エンジン11の回転駆動力を前輪20aおよび20bへ伝達する。
【0016】
液圧発生装置100は摩擦制動力を発生するための液圧を発生し、前記液圧はブレーキキャリパ21a〜21dへ伝わり、このブレーキキャリパ21a〜21dを動作させる。摩擦ブレーキ装置は、ディスクロータ20a〜20dとブレーキキャリパ21a〜21dとを有していて、前記各ディスクロータ20a〜20dは、各車輪15a〜15dと一体的に回転するように、各車輪15a〜15dに対して機械的に固定されている。
【0017】
前記各ブレーキキャリパ21a〜21dは、図示しないが、シリンダと前記シリンダの内部に設けられたピストンと前記ピストンによって移動するパッド等から構成されている。前記シリンダ内の前記ピストンは、前記液圧発生装置100が発生した作動油の液圧に基づいて移動し、推力を発生する。前記ピストンが発生した推力に基づいて前記パッドはディスクロータ20a〜20dを押圧する。このパッドがディスクロータ20a〜20dを押圧することで、ディスクロータ20a〜20dと間に摩擦力を発生する。この摩擦力が各車輪15a〜15dに制動力として働き、各車輪15a〜15dと路面の間に制動力が発生する。
【0018】
回生制動装置17は、左右の後輪20c,20dのそれぞれから伸びるドライブシャフト14bに接続され、制動過程においてドライブシャフト14bの回転により発電し、発電した電力を蓄電装置16に供給して前記蓄電装置16を充電すると共に、発電により生じた回転負荷が左右の後輪20c,20dに制動力として働く。前記回生制動装置17は、モータおよび発電機として動作する回転電機と、前記蓄電装置16からの直流電力を三相交流電力に変換して前記回転電機に供給しあるいは前記回転電機が発生する三相交流電力を直流電力に変換する電力変換装置とを備えている。前記電力変換装置は直流電力と三相交流電力との間の電力変換を行うインバータ装置と前記インバータ装置を制御するインバータ制御装置を有している。前記インバータ制御装置は前記回転電機の回転子の磁極位置に対して固定子の回転磁界の位相を制御することにより、回転電機はモータとしてあるいは発電機として動作し、発電機として動作する状態では発電電力に応じた負荷が発生し、この負荷に基づいて回生制動力が発生する。
【0019】
前記蓄電装置16は、前記電力変換装置に直流電力を供給し、あるいは前記電力変換装置から直流電力を受け、電力を蓄える働きをし、例えばニッケル水素電池あるいはリチウム電池、などの電力を蓄える高電圧用の電池を有している。一方図示していないが、液圧発生装置100やブレーキ制御装置200や回生制動装置17が有する制御回路を動作させる14ボルト系等の定電圧系のバッテリを備えている。前記バッテリからの直流電圧は、定電圧回路により例えば5Vの定電圧に電圧変換され、前記制御回路に供給される。
【0020】
液圧発生装置100と、回生制動装置17と、蓄電装置16は、ブレーキ制御装置200のインタフェースと電気的に接続されており、液圧発生装置100と、回生制動装置17は、ブレーキ制御装置200の指令に基づいて制動力を制御する。
【0021】
本実施の形態では、以上で説明した車両の構成要素のうち、ディスクロータ20a〜20dと、ブレーキキャリパ21a〜21dと、液圧発生装置100と、ブレーキ制御装置200と、蓄電装置16と、回生制動装置17とで、ブレーキシステムを構成している。その内、ディスクロータ20a〜20dと、ブレーキキャリパ21a〜21dと、液圧発生装置100とを摩擦ブレーキシステム、蓄電装置16と、回生制動装置17とを回生ブレーキシステムとして分類する。
【0022】
次に以下に説明の実施の形態の背景となる、基本的な制御方法を図17を使用して説明する。図17のプログラムは、非常に短時間毎に繰り返し実行される。まず実行タイミングとなるとブレーキ制御装置200は実行を開始する〔ステップS2〕。次にステップS4で、後述するペダル変位センサ27により運転者の操作量を測定し、車両全体の要求制動力を演算により求める。ステップS6で、回生ブレーキシステムによる制動力により制動可能かどうかを演算し、不足する場合には不足分を摩擦ブレーキシステムにより行うようにして、回生ブレーキシステムによる制動力と摩擦ブレーキシステムによる制動力とを演算により求める。ステップS8で、摩擦ブレーキシステムによる制動力をブレーキ制御装置200から液圧発生装置100へ伝送回路を介して指令する。なお、回生ブレーキシステムによる制動力はブレーキ制御装置200から回生制動装置17へ伝送回路を介して指令する。この指令により、プログラムの実行を終了する。上記実行を一定時間毎に繰り返し行うことで、運転者の要求に対応した制動力を発生する。回生ブレーキシステムの制動力を優先的に利用することにより、車両の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収でき、エネルギー効率を向上できる。
【0023】
図2以降では、摩擦ブレーキシステムの構成と動作について説明する。図2において、液圧発生装置100は、運転者が操作するブレーキペダル22と、ペダル反力を生成する反力バネ23と、インプットロッド24と、インプットロッド24の変位量に応じて液圧を生成するマスタシリンダ25と、ブレーキペダル22の変位速度に応じてインプットロッド24に伝達する力の大きさを可変するダンパ26と、ブレーキペダル22の変位量、つまりペダル変位量を検出するペダル変位センサ27と、液圧を生成する液圧アクチュエータ28と、液圧アクチュエータ28より下流側の液圧を検出する液圧センサ29とで構成される。
【0024】
マスタシリンダ25と液圧アクチュエータ28で生成された液圧により、上述のようにディスクロータ20a〜20dと、ブレーキキャリパ21a〜21dで制動力が発生する。液圧アクチュエータ28は図1に示すブレーキ制御装置200の指令に基づいて動作する。ブレーキペダル22は運転者の踏力、つまりペダル踏力により変位し、ブレーキ制御装置200は、ペダル変位センサ27で検出したペダル変位量から算出される運転者の要求制動力と、回生制動装置17で出力可能な制動力に基づいて必要な摩擦制動力と、液圧センサ29で検出した液圧から、必要な摩擦制動力を発生するために必要な液圧を算出し、液圧アクチュエータ28へ液圧指令を送信する。
【0025】
ブレーキペダル22とインプットロッド24は、ダンパ26を継手部材として接続される。ダンパ26は、ピストンロッド26aとピストンバルブ26b、外筒26c、オイル26dから構成される流体式の継手部材であり、外筒26cをブレーキペダル22に、ピストンロッド26aをインプットロッド24にそれぞれ固定しており、ブレーキペダル22とインプットロッド24の相対速度に応じて伝達力が変化する。
【0026】
ダンパ26は、図3に示す特性を有しており、ブレーキペダル22の操作速度である変位速度、つまりペダル変位速度が速度Va1未満の緩ブレーキ操作の領域ではブレーキペダルの操作力を伝達せず、ペダル変位速度がVa1以上の急ブレーキ領域では図3に示す力をインプットロッド24へ伝達する。また、ダンパ26は伸縮方向で発生する伝達力が異なり、圧縮時は曲線A1、伸長時は曲線A2の伝達力が発生する。伸縮方向によって発生する伝達力が異なることで、ブレーキペダル22を戻す際に不要な力を伝達せず、ブレーキペダル22が初期位置まで迅速に戻るため、ペダルフィーリングが向上する。図3に示す特性は、オイルが通過するピストンバルブのオリフィス、バルブ、ポートの組み合わせによって任意に変更することができる。
【0027】
また、ダンパ26に図4に示す可変装置30を設け、前記可変装置30によりピストンバルブ26bを通過するオイルの量を制御することでダンパ26の伝達力を可変化しても良く、ダンパ26のオイルに印加電力によって粘性が変化する磁性流体を混ぜ、印加電力を制御することでダンパ26伝達力を可変化しても良い。ダンパ26による伝達力の生成方法これら実施の形態の具体的内容に限定されるものではない。
【0028】
図3に示すペダル変位速度の閾値Va1と伝達力の特性は一例であり、必要な伝達力に応じて任意に変更しても良い。また、ダンパ26の構造はピストンロッドとピストンバルブ、外筒、オイルだけでなく、図3のような特性を実現できるものであればガスやバネなどを含んでいても良く、これら実施例と同じ構成に限定されるものではない。
【0029】
ブレーキペダル22とインプットロッド24との間は、運転者がブレーキペダル22を踏んでいない状態では空隙があり、この空隙はペダル変位量の増加に伴って減少する。ブレーキペダル22とインプットロッド24の接触後、ブレーキペダル22に入力されたペダル踏力はインプットロッド24を介してマスタシリンダ25に伝達され、一般的なブレーキ装置と同様にマスタシリンダ25内のピストンでペダル踏力は液圧に変換される。
【0030】
図3に示す緩ブレーキ操作の領域では、ブレーキペダル22とインプットロッド24が接触するまでマスタシリンダ25にペダル踏力が伝達されず、ペダル変位センサ27で検出したペダル操作量から運転者の要求制動力が算出される。回生制動装置17で出力可能な制動力に基づいて、前記要求制動力から必要な目標摩擦制動力が演算され、液圧センサ29で検出した実際の液圧を基に、演算で求めた前記目標摩擦制動力を発生するために、液圧アクチュエータ28を制御する。液圧アクチュエータ28が供給する液圧がキャリパ21a〜21dに送くられ、摩擦制動力を発生させる。前記液圧アクチュエータ28は、電動モータで駆動される油圧ポンプと油圧を制御する電磁弁および作動油を溜めておくリザーバを有しており、前記油圧ポンプによりブレーキキャリパ21a〜21dに供給する油圧を上昇させ、また前記リザーバへ作動油を戻すように前記電磁弁を動作させることにより、油圧を下げる。このようにして、液圧センサ29で検出した実際の液圧が前記目標摩擦制動力に近づくように、前記油圧ポンプと前記電磁弁が制御される。
【0031】
図3に示す急ブレーキ操作の領域では、ダンパ26を介して伝達された力によってインプットロッド24が変位し、その変位量によってマスタシリンダ25内に液圧が生成される。ペダル変位センサ27で検出したペダル変位量から算出される運転者の要求制動力と、回生制動装置17で出力可能な制動力に基づいて必要な摩擦制動力と、液圧センサ29で検出した液圧から算出した必要な摩擦制動力を発生するために必要な液圧を液圧アクチュエータ28で生成し、キャリパ21a〜21dに送ることで摩擦制動力を発生させる。
【0032】
図5は急ブレーキ操作を行った時のペダル変位量に対するブレーキキャリパ21a〜21dへ送られる液圧を示したものである。図5の曲線B1は操作量を表しており、この実施の形態ではペダル変位量である。曲線B2と曲線B3は時間Tb1から時間Tb2までの間にペダル変位量をXb1にした時に発生する液圧特性であり、曲線B2は図3あるいは図4でダンパ26を使用していない状態での液圧発生装置100の液圧特性を示しており、曲線B3は本実施形態の液圧発生装置100の液圧特性である。曲線B2の液圧特性を発生する液圧発生装置100は、マスタシリンダではなく液圧アクチュエータ28で作動油の液圧を発生するように構成した場合の特性で、ブレーキペダルの操作量を検出するためのセンサである、ペダル変位センサ27の出力により、液圧アクチュエータ28の油圧ポンプを駆動するようにした場合である。この場合、マスタシリンダ25が出力している作動液には、液圧が全くあるいはほとんど発生しない。
【0033】
曲線B2と曲線B3は液圧アクチュエータ28の性能に応じて変化するが、ここでは同じ性能の液圧アクチュエータ28を用いており、同じ液圧指令がブレーキ制御装置200から送信されているものとしている。急ブレーキの操作ではブレーキペダル22の操作速度が速いので、ブレーキペダル22の変位速度によってダンパ26を介してマスタシリンダ25のインプットロッド24に推力が加えられ、マスタシリンダ25の内部のピストンが押される。この結果、マスタシリンダ25から供給される作動油の圧力が上昇する。マスタシリンダ25が発生する液圧の応答性は、液圧アクチュエータ28が発生する液圧より応答性が早いため、応答性の優れた液圧が液圧アクチュエータ28に供給され、液圧アクチュエータ28はマスタシリンダ25が発生した液圧を利用して、目標の制動力を発生するのに適した液圧をブレーキキャリパ21a〜21dに供給する。
【0034】
上記構成により、液圧発生装置100の液圧特性である曲線B3は目標の液圧Pb1に達するまでの時間がダンパ26を用いない構成の特性である曲線B2より短い特性となり、応答性が向上する。
【0035】
ダンパ26のような操作速度に応じて伝達力が変化する機構を使用しないで、曲線B3の応答性に優れた液圧特性を得ようとした場合、液圧アクチュエータ28が有する液圧ポンプを駆動するためのモータの高出力化やポンプ自体の効率向上などの高コストな手法が必要になる。上述の実施の形態に示す構成では、例えば、上述の液圧発生装置100のようにブレーキペダル22とインプットロッド24をダンパ26で接続するというシンプルな構成で、望ましい特性を得ることができる。構成がシンプルなため、低コスト化にも繋がり易い。
【0036】
運転者はペダル変位量に相当する反力があるものとしてブレーキペダル22を操作するため、運転者に違和感を与えないようにするためには、すなわちフィーリングを浴するためには、ブレーキペダル22とインプットロッド24の接触、非接触に関わらず、一般的な摩擦ブレーキ装置と略等しい図6に示す曲線C1のような反力をブレーキペダル22に出力することが望ましい。
【0037】
望ましい反力を発生する手法としては反力バネ23を用いる構成がシンプルであり適切である。反力バネ23の一端をブレーキペダル22に、もう一端を反力バネ23がブレーキペダルの面に対してほぼ直角になる方向の延長線上にあるボディフレームなどの非動作部品に固定した場合、ペダル変位量に対してブレーキペダル22への反力がほぼ線形に増加する図7に示す曲線D2のような特性になる。本実施の形態のブレーキペダル22は前述のように変位量の増加に伴ってインプットロッド24との間の空隙が減少し、ブレーキペダル22とインプットロッド24が接触するとマスタシリンダ25の液圧が反力としてブレーキペダル22に加わることになる。反力バネ23によるブレーキペダル22に対する反力特性を上述の曲線D2として、ブレーキペダル22とインプットロッド24が図6に示すペダル変位量Xd1で接触した場合、ほぼ線形な反力バネ23の特性にマスタシリンダ25の液圧の反力が加算されるため、図6に示す曲線C2のような特性になる。この曲線C2の特性は前述の曲線C1の特性より反力が大きくなるため、同じ制動力を発生するためにも曲線C2の特性を有する液圧発生装置は曲線C1の特性を有する液圧発生装置より大きな力をブレーキペダル22に加える必要があり、安全性の面から改善が望ましい。また、逆に曲線C1の特性より反力が小さくなる場合は同じ制動力を発生するためにペダル踏力が小さくて済むものの、ペダル変位量の微調整が難しくなるため、制御性の面から改善が望ましい。そのため、反力バネ23による反力が図7に示す曲線D1のようにブレーキペダル22とインプットロッド24が接触する時のペダル変位量Xd1以上で反力の変化率を負にする方がより好ましい特性となる。
【0038】
ここで変化率とはペダルの操作量に対する反力の変化の割合であり、この実施の形態ではペダルの変位量に対する反力の変化の割合である。反力バネ23の長さと、反力バネ23を取付けるブレーキペダル22上のブレーキペダル22の回転中心からの長さと、反力バネ23を取付けるボディフレームなどの非動作部品とブレーキペダル22の回転中心までの長さとを最適化することでペダル変位量Xd1以上の反力の変化率が負になる曲線D3のような反力特性を得ることができる。反力バネ23による反力特性が前述の曲線D3である時、マスタシリンダ25の液圧の反力を加算すると図6に示す曲線C3となり、目標とする曲線C1に略等しい特性を得ることができる。
【0039】
以上は反力バネ23を用いたペダル反力の制御方法で、構成がシンプルで、信頼性においても優れている。上述の構成に対し、ややコストアップや信頼性の点での工夫が望ましいが、ペダル反力を得る構成として、例えばブレーキペダル22の回転中心にモータを取付け、モータのトルクによりペダル反力を模擬する手法であっても良い。
【0040】
[第二の実施の形態]
本発明に係る車両の第ニの実施の形態について、図8を用いて説明する。第ニの実施の形態は第一の実施の形態における図2の液圧発生装置100のダンパ26をロータリダンパ31に変更したものであり、それ以外は第一の実施の形態の図2と同じであるので、基本的な構成や動作の説明を省略する。また、第一の実施形態で説明した、効果や課題解決についても、同様に可能であるが、煩雑さを避けるために省略する。
【0041】
本実施の形態で使用するロータリダンパ31は、筐体31aとマスタシリンダ25のインプットロッド24が機械的に接続され、ロータリダンパ31の内部のベーン31bとブレーキペダル22が接続されている。ベーン31bはブレーキペダル22の操作量である変位に応じてロータリダンパ31の内部で回転する。なお、図8では筐体31aの回転をインプットロッド24にスムーズに伝達するため、筐体31aとインプットロッド24が直動および回転する継手により接続されているが、この継手と同様の効果が得られるものであればマスタシリンダ25に内蔵されていても良く、本発明では筐体とインプットロッド24を接続する継手の構造を限定しない。
【0042】
一般的なロータリダンパは筐体に力が伝達されないが、本実施の形態のロータリダンパ31は筐体31aの内部に圧力を受けるフィンを設けており、ベーン31bの回転によって生じる圧力によって筐体31aが回転する。ロータリダンパ31の伝達力は第一の実施例のダンパ26と同様にペダル変位速度に応じて変化し、ペダル変位速度が図3に示すVa1以上の急ブレーキ領域では筐体に力を伝達することで第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ロータリダンパ31には図示しないが第一の実施の形態の図4に示す可変装置30を設けて伝達力を可変化しても良い。図8の液圧発生装置100は回転機構であるため、リンク機構を用いる第一の実施形態より滑らかなペダルフィーリングを得ることができる。
【0043】
[第三の実施の形態]
本発明に係る車両の第三の実施の形態について、図9を用いて説明する。図9は第一の実施の形態における図2の液圧発生装置100のダンパ26や、第二の実施の形態のロータリダンパ31を直動ダンパ32に変更したものであり、直動ダンパ32の基本的な内部構造は、第一の実施の形態のダンパ26と同じである。従って、上の実施の形態で述べた、基本的な構成や動作の説明を省略する。また、第一の実施の形態で説明した、効果や課題解決についても、同様に可能であるが、煩雑さを避けるために省略する。
【0044】
本実施の形態の液圧発生装置100のブレーキペダル22とインプットロッド24は、ブレーキペダル22の変位をインプットロッド24にスムーズに伝達するため、図9に示すようにブレーキペダル22とインプットロッド24が直動および回転する継手により接続されているが、この継手と同様の効果が得られるものであればマスタシリンダ25に内蔵されていても良く、本実施の形態では、ブレーキペダル22とインプットロッド24を接続する継手の構造を限定しない。直動ダンパ32は、ピストンロッド32aとマスタシリンダ25のインプットロッド24が接続され、直動ダンパ32のピストンロッド32aとインプットロッド24は同じ変位をする。直動ダンパ32はマスタシリンダ25と同様に液圧配管で液圧アクチュエータ28と接続されており、直動ダンパ32で生成した液圧が液圧アクチュエータ28へ伝達される。また、本実施の形態の液圧発生装置100はマスタシリンダ25と液圧アクチュエータ28の間にバルブ33を備えている。このバルブ33は、ペダル変位速度が図3に示すVa1未満の緩ブレーキ領域では液圧を液圧アクチュエータ28以下へ伝達しないようにするため、図示しないが液圧をバルブ内部やマスタシリンダのリザーバタンクなどの別経路に伝達する。ペダル変位速度が図3に示すVa1以上の急ブレーキ操作の領域では、マスタシリンダ25と液圧アクチュエータ28の液圧経路を直結し、マスタシリンダ25で生成した液圧を液圧アクチュエータ28へ伝達する。なお、本実施形態の液圧発生装置100ではブレーキペダル22とインプットロッド24は直接接続されており、ペダル踏力がインプットロッド24へ直接伝達される。また、直動ダンパ32には図示しないが第一の実施の形態の図4に示す可変装置30を設けて伝達力を可変化しても良い。
【0045】
本実施の形態の液圧発生装置100は、バルブ33の制御が必要になるものの、ブレーキペダル22にダンパなどの部材を設ける必要が無いため、足元などの室内空間が限られている車両にも搭載することが可能である。
【0046】
[第四の実施の形態]
本発明に係る車両の第四の実施の形態について、図10を用いて説明する。図10は第三の実施の形態における図9の液圧発生装置100のマスタシリンダ25と同径化した直動ダンパ32をマスタシリンダ25に内蔵したものであり、それ以外の構造は第一の実施の形態の液圧発生装置100などと同じである。従って、上の実施の形態で述べた、基本的な構成や動作の説明を省略する。また、第一の実施の形態で説明した、効果や課題解決についても、同様に可能であるが、煩雑さを避けるために省略する。
【0047】
なお、ダンパピストン34はインプットロッド24を介してブレーキペダル22と接続されており、ペダル変位速度が図3に示すVa1未満の緩ブレーキ領域では力をマスタシリンダ25内のピストンに伝達せず、ペダル変位速度がVa1以上の急ブレーキ操作の領域では力をマスタシリンダ25内のピストンに伝達する構造になっている。また、ダンパピストン34はペダル変位量が所定量以上になるとマスタシリンダ25内のピストンに接触し、ブレーキペダル22に入力された力を直接マスタシリンダ25内のピストンに伝達する。
【0048】
本実施の形態の液圧発生装置100は、ダンパピストンがある分だけ一般的なマスタシリンダよりサイズが大きくなるものの、複雑なリンク機構やバルブの制御などが不要なシンプルな構造であるため、全体的に小型化が可能であり、動作不良などの失陥が生じ難い信頼性の高いブレーキシステムを構築することができる。
【0049】
[第五の実施形態]
本発明に係る車両の第五の実施の形態について、図11を用いて説明する。図11は第二の実施の形態における図8の液圧発生装置100のロータリダンパ31をモータアクチュエータ35に変更し、マスタシリンダ25にブースタ36を設けたものであり、それ以外の構造は第一の実施の形態の液圧発生装置100などと同じである。従って、上の実施の形態で述べた、基本的な構成や動作の説明を省略する。また、第一の実施の形態で説明した、効果や課題解決についても、同様に可能であるが、煩雑さを避けるために省略する。
【0050】
ブレーキペダル22とモータアクチュエータ35は接続されておらず、それぞれ独立に動作する。また、図11ではブレーキペダル22とモータアクチュエータ35の回転中心が同じ支点になっているが、異なる支点を回転中心としても良い。本実施の形態で使用するモータアクチュエータ35は、出力軸とインプットロッド24が接続されており、ペダル変位速度が図3に示すVa1未満の緩ブレーキ領域では力をインプットロッド24に伝達せず、ペダル変位速度がVa1以上の急ブレーキ領域では力をインプットロッド24に伝達する構造になっている。また、ペダル変位量が所定量以上になるとブレーキペダル22がインプットロッド24に接触し、ペダル踏力が直接インプットロッド24に伝達される。なお、図11では回転軸の回転をインプットロッド24にスムーズに伝達するため、回転軸とインプットロッド24が直動および回転する継手により接続されているが、この継手と同様の効果が得られるものであればマスタシリンダ25に内蔵されていても良く、本発明ではモータアクチュエータ35とインプットロッド24を接続する継手の構造を限定しない。
【0051】
ブースタ36は、大気圧と負圧の差圧によって推進力を得る負圧ブースタや負圧を電子制御する電制ブースタであり、インプットロッド24に伝達される力を増幅するものである。このブースタ36を設けることによってモータアクチュエータ35で発生する必要がある出力を低減でき、モータアクチュエータ35の低コスト化,小型化などが可能になる。
【0052】
本実施の形態の液圧発生装置100は、モータアクチュエータ35により木目細かい伝達力の制御を行うことができる。
【0053】
[第六の実施の形態]
本発明に係る車両の第六の実施の形態について、図12〜図16を用いて説明する。図12〜図14は第四の実施の形態における図10の液圧発生装置100にターンオーバ機構を追加したものである。ターンオーバ機構とは、自動車のクラッチペダルなどに使われているリンク機構であり、ペダルの変位量が所定量以上になるとバネなどの反力がアシスト力に反転し、ペダル踏力を軽減および液圧アクチュエータ28の液圧の立ち上がり遅れを補うものである。
【0054】
本実施の形態のターンオーバ機構は、引張バネ41と、ターンオーバアーム42と、起点ダンパ43と、ストッププレート44とから構成されており、引張バネ41は所定の引張力が負荷された状態になっており、ストッププレート44によってターンオーバ機構が反時計回り方向に動かないようにしている。引張バネ41は片側を回転自由な支点51、ターンオーバアーム42は片側を回転自由な支点52でボディフレームなどの非動作部品に固定される。起点ダンパ43は片側を回転自由な支点でブレーキペダル22に固定される。
【0055】
なお、図12〜図14において起点ダンパ43のピストンロッド43aとブレーキペダル22が接続されているが、起点ダンパ43の向きを逆にし、起点ダンパ43の外筒43bとブレーキペダル22を接続しても良い。引張バネ41とターンオーバアーム42、起点ダンパ43は、もう一方を回転自由な支点53で接続されている。なお、支点53の回転中心はターンオーバアーム42の片側が固定されている支点52であり、引張バネ41はこの支点53の変位に応じて伸縮する。起点ダンパ43のピストンは、第一の実施形態のダンパ26などと同様にペダル変位速度に応じて伝達する力が変化し、ペダル踏力は起点ダンパ43の外筒を介して支点53へ伝達される。例えば図3のようにペダル変位速度がVa1未満の緩ブレーキ領域では力が伝達されず、図13に示すように起点ダンパ43のピストンロッドとピストンのみがブレーキペダル22と共に変位する。ペダル変位速度がVa1以上の急ブレーキ領域では、ペダル踏力が起点ダンパ43の外筒を介して支点53へ伝達されるため、図14に示すように支点53がブレーキペダル22と共に変位する。この時、支点51と支点53を結ぶ直線が支点51を中心に時計回りに回転して支点52を越えると、引張バネ41に負荷されている引張力がブレーキペダル22に対してアシストする方向に働き、急ブレーキの操作時のペダル踏力を軽減する。
【0056】
急ブレーキの操作時のペダル変位量に対するペダル踏力およびターンオーバ機構の反力、アシスト力の一例を図15に示す。曲線E1はターンオーバ機構を備えていない実施の形態の液圧発生装置100のペダル変位量に対するペダル踏力である。曲線E2はペダル変位量に対してターンオーバ機構が発生する力を示したものである。ターンオーバ機構は上述のように引張バネ41が所定の引張力が負荷され、ストッププレート44によってターンオーバ機構が反時計回り方向に動かないようになっているが、引張バネ41に負荷されている引張力をブレーキペダル22に対してアシストする方向に反転させるためには、ターンオーバ機構のリンク機構を時計回りに動かす力Fe1が必要であり、このFe1は引張バネ41に負荷されている所定の引張力より僅かに大きな力である。以降ではターンオーバ機構がブレーキペダル22に対して発生する力が反転する位置をターンオーバ点と称する。図15ではペダル変位量Xe1においてターンオーバ機構に力Fe1が加わり、ブレーキペダル22に対して最大でFe2の力がターンオーバ機構からアシスト力として加わる。このアシスト力はペダル変位量が大きくなるに伴って引張バネ41が収縮するために減少し、ペダル変位量Xe2の時点で0になる。曲線E3は曲線E1と曲線E2の合力であり、この曲線E3が本実施形態の図12の液圧発生装置100において必要なペダル踏力となる。曲線E3のペダル踏力はペダル変位量Xe1までは曲線E1より大きいものの、ペダル変位量Xe1〜Xe2までは曲線E1より小さいため、液圧アクチュエータ28の液圧の立ち上がり遅れを補うことができる。図16にターンオーバ機構を備えていない場合の液圧発生装置100と、本実施形態の液圧発生装置100において同じペダル踏力でブレーキペダル22を操作した場合のペダル変位量とマスタシリンダ25で発生する液圧の一例を示す。曲線F1と曲線F2はそれぞれターンオーバ機構を備えていない実施の形態の液圧発生装置100のペダル変位量と液圧、曲線F3と曲線F4はそれぞれ本実施の形態の液圧発生装置100のペダル変位量と液圧である。時間Tf1はペダル変位の開始時間、時間Tf2はターンオーバ点を通過した時間、時間Tf3は曲線F3が目標ペダル変位量Xf1に達した時間、時間Tf4は曲線F4が目標液圧Pf1に達した時間、時間Tf5は曲線F1が目標ペダル変位量Xf1に達した時間、時間Tf6は曲線F2が目標液圧Pf1に達した時間である。前述のように本実施形態の液圧発生装置100はターンオーバ機構の作動に力を必要とするため、同じペダル踏力で操作している図14では時間Tf1〜時間Tf2において曲線F3は曲線F1よりペダル変位量が少なく、曲線F4は曲線F2より液圧が低くなる。しかし、前述のように時間Tf2において本実施の形態の液圧発生装置100はターンオーバ点を通過するため、ブレーキペダル22にターンオーバ機構からのアシスト力が加わり、目標ペダル変位量に達する時間はTf5からTf3に、目標液圧に達するまでの時間はTf6からTf4に短縮することができる。
【0057】
以上の実施形態により、急ブレーキの操作時の制動力の応答性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 車両
11 エンジン
12 トルクコンバータ
13 トランスミッション
14a,14b ドライブシャフト
15a〜15d 車輪
16 蓄電装置
17 回生制動装置
20a〜20d ディスクロータ
22 ブレーキペダル
23 反力バネ
24 インプットロッド
25 マスタシリンダ
26 ダンパ
27 ペダル変位センサ
28 液圧アクチュエータ
29 液圧センサ
30 可変装置
31 ロータリダンパ
32 直動ダンパ
33 バルブ
34 ダンパピストン
35 モータアクチュエータ
36 ブースタ
41 引張バネ
42 ターンオーバアーム
43 起点ダンパ
44 ストッププレート
51〜53 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルの操作量の検出値に基づいて演算された摩擦ブレーキの制動動力を受け、前記摩擦ブレーキの制動動力に基づき液圧を発生する液圧アクチュエータと、
ブレーキペダルの操作力に基づき液圧を発生し前記液圧アクチュエータへ発生した液圧を供給するマスタシリンダと、を有し、さらに、
ブレーキペダルと前記マスタシリンダとの間を、ブレーキペダルの速度に応じて伝達力が変化する継手部材によって機械的に接続する構成を有することを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ装置において、前記継手部材は流体式の継手部材であることを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブレーキ装置において、前記継手部材は伝達力を任意に変更可能であることを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1から3の請求項の内の一に記載のブレーキ装置において、前記継手部材をマスタシリンダと同軸に設けたこと特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項5】
請求項1から4の請求項の内の一に記載のブレーキ装置において、前記継手部材はマスタシリンダと同径であることを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項6】
請求項1から5の請求項の内の一に記載のブレーキ装置において、前記ブレーキペダルの変位量が所定量以上の時、前記ブレーキペダルと前記マスタシリンダのインプットロッド、あるいは前記継手部材と前記マスタシリンダのピストンが接触することを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項7】
請求項1から6の請求項の内の一に記載のブレーキ装置において、前記ブレーキペダルは前記ブレーキペダルの変位量が所定量以上の時、発生する弾性力の変化率が負になる弾性部材によって支持することを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項8】
請求項1から7の請求項の内の一に記載のブレーキ装置において、前記ブレーキペダルの変位速度が所定値以上の時、前記弾性部材とは逆向きの力を発生するアシスト機構を備えることを特徴とする、回生ブレーキ機能を備えたシステムに用いるブレーキ装置。
【請求項9】
請求項1から8の請求項の内の一に記載のブレーキ装置を搭載した車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−46317(P2011−46317A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197568(P2009−197568)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】