説明

回路基板の検査装置および回路基板の検査方法

【課題】被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキを良好に吸収し、被検査電極が微細ピッチであっても隣接する検査電極間の絶縁性を確保できる回路基板の検査装置および回路基板の検査方法の提供。
【解決手段】第1検査治具11aと第2検査治具11bの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、第1異方導電性シート71、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77、第5異方導電性シート42のゴム弾性圧縮に加えて、中継ピンユニット31における第1絶縁板34と、第2絶縁板35と、第1絶縁板34と第2絶縁板35の間に配置された中間保持板36のバネ弾性により、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキ(ハンダボール電極の高さバラツキ)に対して、圧力集中を分散させ局部的な応力集中を回避する。中間保持板36は、第2絶縁板35の方向に撓むとともに、第1絶縁板34の方向に撓む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気検査を行う検査対象である回路基板(以下、「被検査回路基板」という。)を、一対の第1検査治具と第2検査治具で両面から挟圧することにより、被検査回路基板の両面に形成された電極をテスターに電気的に接続された状態として、被検査回路基板の電気的特性を検査する回路基板の検査装置および回路基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などを実装するためのプリント回路基板は、集積回路などを実装する前に、回路基板の配線パターンが所定の性能を有することを確認するために電気的特性が検査される。
【0003】
このような検査装置として、特許文献1(特開平6−94768号公報)には、回路基板の搬送機構を備えた検査用テスターに検査ヘッドを組み込み、検査ヘッド部分を交換することにより異なる回路基板の検査を行う方法としては、被検査回路基板の被検査電極に接して電気的に導通する金属の検査ピンを基板に植設した構造の検査治具を用いる方法が開示されている。
【0004】
また特許文献2(特開平5−159821号公報)には、導電ピンを有する検査ヘッドと、オフグリットアダプターと呼ばれるピッチ変換用の回路基板と、異方導電性シートとを組み合わせた検査治具を用いる方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1(特開平6−94768号公報)のように、金属検査ピンを直接に被検査回路基板の被検査電極に接触させる検査治具を用いる方法では、金属からなる導電ピンとの接触により被検査回路基板の電極が損傷する可能性がある。
【0006】
特に近年では回路基板における回路の微細化、高密度化が進み、このようなプリント回路基板を検査する場合、多数の導電ピンを被検査回路基板の被検査電極に同時に導通接触させるため、高い圧力で検査治具を加圧することが必要となり、被検査電極が損傷しやすくなる。
【0007】
そしてこのような微細化、高密度化されたプリント回路基板を検査するための検査治具では、高密度で多数の金属ピンを基板に植設することが技術的に困難になりつつある。
また製造コストも高価となり、さらに一部の金属ピンが損傷した場合に修理、交換することが困難である。
【0008】
一方、特許文献2(特開平5−159821号公報)のように、異方導電性シートを使用する検査治具では、被検査回路基板の被検査電極が異方導電性シートを介してピッチ変換用基板の電極と接触することになるため、被検査回路基板の被検査電極が損傷しにくいという利点がある。
【0009】
またピッチ変換を行う基板を使用しているため、基板に植設する検査ピンを被検査回路基板の被検査電極のピッチよりも広いピッチで植設することができるため、微細ピッチで検査ピンを植設する必要がなく、検査治具の製造コストを節約できるという利点もある。
【0010】
しかしながらこの検査治具では、検査対象である被検査回路基板ごとにピッチ変換用基板と、検査ピンを植設する検査治具と、を作成する必要があるため、検査される被検査回路基板であるプリント回路基板と同数の検査治具が必要となる。
【0011】
このため、複数のプリント回路基板を生産している場合では、それに対応して複数の検査治具を保有しなければならないという問題がある。
特に、近年では電子機器の製品サイクルが短縮し、製品に使用されるプリント回路基板の生産期間の短縮化が進んでいるが、これに伴って検査治具を長期間使用することができなくなり、プリント回路基板の生産が切り替わる度に検査治具を生産しなければならないという問題が生じている。
【0012】
このような問題への対策として、特許文献3(特開平7−248350号公報)、特許文献4(特開平8−271569号公報)、特許文献5(特開平8−338858号公報)のような中継ピンユニットを用いる、いわゆるユニバーサルタイプの検査治具を用いた検査装置が提案されている。
【0013】
図36は、このようなユニバーサルタイプの検査治具を用いた検査装置の断面図である。
この検査装置は、一対の第1検査治具111aと第2検査治具111bとを備え、これらの検査治具は、回路基板側コネクタ121a、121bと、中継ピンユニット131a、131bと、テスター側コネクタ141a、141bとを備えている。
【0014】
回路基板側コネクタ121a、121bは、ピッチ変換用基板123a、123bと、その両面側に配置される異方導電性シート122a、122b、126a、126bとを有している。
【0015】
中継ピンユニット131a、131bは、一定ピッチ(例えば2.54mmピッチ)で格子点上に多数(例えば5000ピン)配置された導電ピン132a、132bと、この導電ピン132a、132bを上下へ移動可能に支持する一対の絶縁板134a、134bとを有している。
【0016】
テスター側コネクタ141a、141bは、被検査回路基板101を第1検査治具111a、第2検査治具111bで挟圧した際に、テスターと導電ピン132a、132bとを電気的に接続するコネクタ基板143a、143bと、コネクタ基板143a、143bの導電ピン132a、132b側に配置される異方導電性シート142a、142bと、ベース板146a、146bとを有している。
【0017】
この中継ピンユニット131a、131bを使用した検査治具は、異なる被検査対象であるプリント回路基板を検査する際に、回路基板側コネクタ121a、121bを被検査回路基板101に対応するものに交換するだけでよく、中継ピンユニット131a、131bとテスター側コネクタ141a、141bは共通で使用できる。
【0018】
ところで、被検査回路基板101であるプリント配線基板は、多層高密度化してきており、実際には厚み方向に、例えばBGAなどのハンダボール電極などの被検査電極102、103による高さバラツキや基板自体の反りが生じている。
【0019】
そのため、被検査回路基板101上の検査点である被検査電極102、103に電気的接続を達成するためには、第1検査治具111aと第2検査治具111bとを高い圧力で加圧して、被検査回路基板101を平坦に変形し、被検査電極102、103の高さバラツキに対しては、第1検査治具111a側と第2検査治具111b側の被検査電極102、103の高さに対する追従性が必要となる。
【0020】
このようなユニバーサルタイプの検査治具では、被検査電極102、103の高さに対
する追従性を確保するために導電ピン132a、132bの軸方向移動により追従していたが、この導電ピン132a、132bの軸方向移動量にも限界があるため追従性が良好でない場合があり、導通不良が発生して正確な検査ができないことがある。
【0021】
また、このようなユニバーサルタイプの検査治具では、第1検査治具111aと第2検査治具111bによって、被検査回路基板101を挟圧した際のプレス圧力は、その上下の異方導電性シート122a、122b、126a、126b、142a、142bにて吸収している。
【0022】
このためピッチ変換用基板123a、123bを支持しプレス圧を分散させるため、一定間隔で導電ピン132a、132bを配置する必要がある。
また、プレス圧力は導電ピン132a、132bで受けるようになっているため、一定間隔で多数の導電ピン132a、132bを配置する必要がある。
【0023】
このため被検査回路基板101の電極の微細化に対応して、例えば0.75mmピッチで10000以上の貫通孔を有する絶縁板134a、134bを形成する場合、絶縁板134a、134bの基板の厚さが薄いと強度が低くなり、曲げた時に割れることもあるため、絶縁板134a、134bの厚さを厚めにする必要があった。
【0024】
しかしながら形成する貫通孔の径が、例えば直径0.5mm程度と微細になり絶縁板134a、134bの厚さが5mm以上になると、一回のドリル加工で貫通孔を形成しようとする場合にドリルの刃の強度の関係で、ドリルの刃の欠損、折れが生じ、絶縁板の加工に失敗する場合が多くなる。
【0025】
このため、絶縁板の片面から厚みの半分程度までドリル加工し、さらに他面側から同一部分にドリル加工を行うことにより貫通孔を形成し絶縁板の加工を行っている。
しかしながらこの場合、絶縁板に形成する貫通孔数の2倍のドリル加工作業が必要となり、加工工程が煩雑となる
また、こうしたユニバーサルタイプの検査治具では、回路基板側コネクタを構成する異方導電性シート122a、122bとして、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有されて面方向に不均一に分散され、シート片面側に導電路形成部が突出した偏在型の異方導電性シートを使用していた。
【0026】
この異方導電性シートは、検査での繰り返し使用により導電路形成部が劣化(抵抗値の上昇)し、異方導電性シートを交換する場合、交換の度に異方導電性シートとピッチ変換用基板との位置合わせ、および回路基板側コネクタと中継ピンユニットとの位置合わせが必要であり、この位置合わせ作業が煩雑で検査効率の低下の要因となっていた。
【0027】
また、回路基板の電極が例えば200μm以下のような微少ピッチの異方導電性シートを用いて複数の回路基板について検査を連続して行った場合、回路基板と繰り返し接触することにより異方導電性シートの位置ずれが生じやすくなる。
【0028】
すると、異方導電性シートの導電路形成部と回路基板の電極位置とが一致しなくなり、良好な電気的接続が得られなくなるため過大な抵抗値が測定され、本来は良品と判断されるべきプリント回路基板が不良品と誤判断されやすくなる。
【0029】
また、被検査電極間の離間距離が100μm以下であるような、被検査電極が狭ピッチで配置された回路基板を検査するための偏在型異方導電性シートを得る場合、隣接する導電路形成部間を相互に絶縁する絶縁部の幅が100μm以下となるように形成する必要が
ある。
【0030】
しかしながら、特許文献6(特開平3−196416号公報)に開示されているような金型成形によりシートを製造する方法では、隣接する金型磁極との磁場作用の影響により100μm以下の絶縁部の形成は困難である。
【0031】
このため、検査可能な回路基板の電極間距離は約80〜100μmであった。
また、被検査電極の離間距離が50μm以下である回路基板を検査するための偏在型異方導電性シートは、金型によって成形することがきわめて困難であるため、実質的には得られていない。
【0032】
一方、導電性粒子が厚み方向に配列され面方向に均一に分散された分散型の異方導電性シートでは、厚みを小さくすることにより高い分解能が得られるため厚みを30μm程度とすることにより、被検査電極の離間距離が50μm以下である回路基板を検査することが分解能としては可能となる。
【0033】
しかし、厚みが30μm程度の薄い分散型異方導電性シートは、異方導電性シートの特性の一つである、シート本体の弾性による機械的衝撃の吸収や、電極同士のソフトな接触による電気的接続を構成する能力がほとんど無くなってしまう。
【0034】
このため、多数の高さバラツキを含む被検査電極を有する被検査回路基板を検査装置に接続する場合に、異方導電性シートの段差吸収能力の低下により多数の被検査電極を同時に接続することが困難となる。
【0035】
例えば、メッキにより多数の電極が形成される回路基板では、電極高さのバラツキが約20μm程度となる。
分散型異方導電性シートでは、厚み方向に圧縮された際に安定して導通を達成できる圧縮率は約20%以下である。
【0036】
例えば20%を超えて圧縮を行うと、横方向の電気的導通が大きくなり導通の異方性が損なわれるばかりでなく、基材となるエラストマーの永久変形が生じ繰り返し使用が困難となる。
【0037】
このため、約20μmの高さバラツキを含む電極を有する回路基板の検査を行う場合、厚みが100μm以上の分散型異方導電性シートを使用することが必要となる。
しかし厚みが100μm以上の分散型異方導電性シートを使用すると、被検査電極が50μm以下の小さい回路基板を検査することが、実質的に不可能となってしまう。
【0038】
さらに厚みの小さい分散型異方導電性シートは、シート本体の弾性が低いため機械的衝撃の吸収能力が小さく、回路基板検査用アダプターを用いて回路基板の繰り返し検査を行った場合、異方導電性シートの劣化が早く頻繁に分散型異方導電性シートを交換しなければならず、交換作業が繁雑となり回路基板の検査効率が低くなってしまう。
【0039】
以上のことから、被検査電極が50μm以下の回路基板を検査するための異方導電性シートを用いた回路基板検査用アダプターでは、分解能、段差吸収能、繰り返し使用耐久性を全て満足するものが得られていなかった。
【0040】
さらに、高い精度で回路基板の潜在的な電気的欠陥を検出するために4端子検査を行う場合、被検査回路基板の被検査電極1つに対して検査用回路基板の2つの検査電極(電圧用および電流用)を接続することになり、検査用回路基板の対となる検査電極間の離間距
離が小さくなる。
【0041】
例えば、被検査回路基板の被検査電極間ピッチが200μmである場合、被検査電極の直径が約100μmとなり、この直径約100μmの被検査電極に対して2個の検査用回路基板の検査電極が接続されるので、検査用回路基板の検査電極間の離間距離は30〜40μm程度しか設けることができない。
【0042】
以上のように、従来の偏在型異方導電性シートや分散型異方導電性シートでは、多数の被検査電極を有する回路基板を検査する検査装置に対しては分解能や段差吸収能、クッション性、耐久性でその性能が充分なものは得られていなかった。
【0043】
また、図37に示した回路基板の検査装置では、被検査回路基板200の互いに電気的に接続された2つの被検査電極202、204の各々に対し、電流供給用プローブPA、PDおよび電圧測定用プローブPB、PCを押圧して接触させ、この状態で電流供給用プローブPA、PDの間に電源装置206から電流を供給し、このときに電圧測定用プローブPB、PCによって検出される電圧信号を、電気信号処理装置208において処理することにより、被検査電極202、204間の電気抵抗の大きさを求める四端子法が採用されている。
【0044】
しかしながらこの方法においては、電流供給用プローブPA、PDおよび電圧測定用プローブPB、PCを被検査電極202、204に対して相当に大きい押圧力で接触させることが必要であり、しかもプローブは金属製であってその先端は尖頭状とされているため、プローブが押圧されることによって被検査電極202、204の表面が損傷してしまい、回路基板は使用することが不可能なものとなってしまう。
【0045】
このような事情から電気抵抗の測定は、製品とされる全ての回路基板について行うことができず、いわゆる抜き取り検査とならざるを得ないため、結局、製品の歩留りを大きくすることはできない。
【0046】
このような問題を解決するため、従来より被検査電極に接触する接続用部材が、導電性エラストマーから構成された検査装置が提案されている。
特許文献7(特開平9−26446号公報)には、エラストマーにより導電性粒子が結着された導電ゴムよりなる弾性接続用部材を、電流供給用電極および電圧測定用電極の個々に配置してなる検査装置が開示されている。
【0047】
また、特許文献8(特開2000−74965号公報)には、同一の被検査電極に電気的に接続される電流供給用電極および電圧測定用電極の両方の表面に接するよう設けられた、異方導電性エラストマーよりなる共通の弾性接続用部材を有する検査装置が開示されている。
【0048】
さらに、特許文献9(特開2000−241485号公報)には、表面に複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の表面に設けられた導電性エラストマーよりなる弾性接続用部材とを有し、被検査電極が接続部材を介して複数の検査電極に電気的に接続された状態でそれらの検査電極のうち2つを選択し、その一方を電流供給用電極、他方を電圧測定用電極として電気抵抗を測定する検査装置が開示されている。
【0049】
このような検査装置によれば、被検査回路基板の被検査電極に対し、弾性接続用部材を介して電流供給用電極および電圧測定用電極が対接されることによって電気的接続が達成されるため、被検査電極を損傷させることなく電気抵抗の測定を行うことができる。
【0050】
しかしながら、特許文献7および特許文献8の構成の検査装置によって電極間における電気抵抗の測定を行う場合には、以下のような問題がある。
近年、回路基板においては、高い集積度を得るために電極のサイズおよびピッチもしくは電極間距離が小さくなる傾向がある。
【0051】
すなわち、特許文献7および特許文献8の構成の検査装置においては、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板における被検査電極の各々に、弾性接続用部材を介して電流供給用電極および電圧測定用電極の両方を同時に電気的に接続させる必要がある。
【0052】
従って、小さいサイズの被検査電極が高密度で配置された被検査回路基板についての電気抵抗の測定を行うための検査装置においては、小さなサイズの被検査電極の各々に対応して、この被検査電極が占有する領域と同等、またはそれ以下の面積の領域内に、互いに離間した状態で電流供給用電極および電圧測定用電極を形成すること、すなわち被検査電極よりもさらに小さいサイズの電流供給用電極および電圧測定用電極を極めて小さい距離で離間した状態で形成することが必要である。
【0053】
また回路基板の製造方法としては、生産性を向上させるために、一つの基板材料によって複数の回路基板が連結されてなる回路基板連結体を製造し、その状態で回路基板連結体における各回路基板についての電気的検査を一括して行い、その後、回路基板連結体を切断することにより、分離された複数の回路基板を製造する方法が採用されている。
【0054】
そして、検査対象である回路基板連結体はその面積が相当に大きく、また被検査電極の数も極めて多いものであり、特に多層回路基板を製造する場合にはその製造プロセスにおける工程数が多く、加熱処理による熱履歴を受ける回数が多いため、被検査電極が初期の配置位置から位置ずれした状態で形成されることが少なくない。
【0055】
このように位置ずれした状態で形成された被検査回路基板について、特許文献7および特許文献8の構成の検査装置によって電気抵抗の測定を行う場合には、被検査電極の各々に電流供給用電極および電圧測定用電極の両方を、同時に電気的に接続させることは極めて困難である。
【0056】
具体的な例として図38に示したように、直径Lが300μmの被検査電極300に係る電気抵抗を測定する場合、被検査電極300に電気的に接続される電流供給用電極302および電圧測定用電極304の離間距離Dは150μm程度である。
【0057】
しかしながら図39(a)および図39(b)に示したように、被検査回路基板の位置合わせにおいて、電流供給用電極302および電圧測定用電極304に対する被検査電極300の位置が、図38に示した位置から電流供給用電極302および電圧測定用電極304が並ぶ方向に75μmずれたときには、電流供給用電極302および電圧測定用電極304のいずれか一方と被検査電極300との電気的接続が達成されず、電気抵抗測定を行うことができない。
【0058】
このような問題を解決するため、電流供給用電極302および電圧測定用電極304の離間距離Dを小さくする(例えば100μm以下)ことが考えられるが、そのような検査装置を作製することは極めて困難である。
【0059】
一方、特許文献9(特開2000−241485号公報)の検査装置によれば、被検査電極の各々に対応して、電流供給用電極および電圧測定用電極を形成することが不要であるため、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板が大面積で多数の被検査電極を有し、かつ小さいサイズの被検査電極が高密度で配置されてなるものであっても、被検査回路基板と
の位置ずれに対する許容度が大きく検査装置の作製が容易である。
【0060】
しかしながらこのような検査装置は、擬似四端子法による測定装置であるため、測定誤差範囲が大きいものである。
従って電極間における電気抵抗の低い回路基板について、その電気抵抗の測定を高い精度で行うことは困難である。
【0061】
このような問題を解決するため、特許文献10(特開2003−322665号公報)では、絶縁性基板の表面にコア電極およびコア電極を包囲するよう設けられたリング状電極よりなる複数の接続電極対が形成された回路基板側コネクタが提案されている。
【0062】
このような回路基板側コネクタによれば、電気抵抗を測定すべき回路基板における被検査電極上に、コア電極の少なくとも一部が位置されるよう位置合わせをすれば、被検査電極上にはリング状電極の少なくとも一部が位置されるようになる。
【0063】
従って、回路基板が大面積でサイズの小さい多数の被検査電極を有するものであっても、被検査電極に対するコア電極およびリング状電極の両方の電気的接続が確実に達成されるので、コア電極およびリング状電極のいずれか一方を電流供給用電極とし、他方を電圧測定用電極として使用することにより、回路基板の電気抵抗の測定を高い精度で確実に行うことができる。
【0064】
しかしながらこのような回路基板側コネクタは、全体の構造が複雑で高い歩留りで製造することが困難である。
【特許文献1】特開平6−94768号公報
【特許文献2】特開平5−159821号公報
【特許文献3】特開平7−248350号公報
【特許文献4】特開平8−271569号公報
【特許文献5】特開平8−338858号公報
【特許文献6】特開平3−196416号公報
【特許文献7】特開平9−26446号公報
【特許文献8】特開2000−74965号公報
【特許文献9】特開2000−241485号公報
【特許文献10】特開2003−322665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0065】
本発明は、このような現状に鑑み、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板が大面積で、サイズの小さい多数の被検査電極を有するものであっても、被検査回路基板に対する所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも電気抵抗の測定を高い精度で確実に行うことができ、さらに小コストで製造することが可能な回路基板側コネクタを使用した回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0066】
また、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対しても、高さに対する追従性が良好で導通不良が発生せず、正確な検査を実施することが可能な回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0067】
また、異方導電性シートに対する検査時の応力集中が良好に分散され、繰り返し使用耐久性に優れた回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【0068】
また、一定間隔で導電ピンを配置する必要がなく、導電ピンを保持する絶縁板への貫通孔のドリル加工による穿設作業が少なく、コストを低減することが可能な回路基板の検査装置を提供することを目的とする。
【0069】
また、高い分解能で検査が可能であり、被検査回路基板の被検査電極による段差を良好に吸収するとともに、異方導電性シートの繰り返し使用耐久性にも優れた回路基板の検査装置および回路基板の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0070】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の回路基板の検査装置は、
一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行う回路基板の検査装置であって、
前記第1検査治具と前記第2検査治具がそれぞれ、
第1異方導電性シートと、
前記第1異方導電性シートの被検査回路基板側に配置され、基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板と、
前記ピッチ変換用基板の被検査回路基板側に配置された第2異方導電性シートと、
前記第2異方導電性シートの被検査回路基板側に配置され、リング状電極に電気的に接続される検査用コア電極と中継電極に電気的に接続される接続用コア電極を有する絶縁性支持シートからなる中継基板と、
前記中継基板の被検査回路基板側に配置され、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔を有する第3異方導電性シートと、
前記第3異方導電性シートの被検査回路基板側に、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を包囲するよう複数の前記リング状電極が形成されるとともに前記リング状電極に電気的に接続された前記中継電極を裏面に有する柔軟な電極シートと、
前記電極シートの被検査回路基板側に設けられた第4異方導電性シートと、
を備えた回路基板側コネクタと、
一定ピッチで配置された複数の導電ピンと、
前記導電ピンを上下へ移動可能に支持する絶縁板と、
を備えた中継ピンユニットと、
テスターと前記中継ピンユニットとを電気的に接続するコネクタ基板と、
前記コネクタ基板の中継ピンユニット側に配置される第5異方導電性シートと、
前記コネクタ基板の中継ピンユニットとは逆側に配置されるベース板と、
を備えたテスター側コネクタと、
から構成されていることを特徴とする。
【0071】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記回路基板側コネクタの前記中継基板における前記検査用コア電極および前記接続用コア電極が、
前記絶縁性支持シートの厚み方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0072】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記回路基板側コネクタが、
前記被検査回路基板における両面の前記被検査電極の各々に、前記回路基板側コネクタにおける前記電極シートの前記リング状電極および前記中継基板の前記検査用コア電極が同時に電気的に接続されて測定可能状態とされ、
この測定可能状態において、指定された1つの前記被検査電極に電気的に接続された前
記検査用コア電極および前記リング状電極のうち、一方を電流供給用電極とし、他方を電圧測定用電極として用いることにより、指定された1つの前記被検査電極に係る電気抵抗の測定が実行されることを特徴とする。
【0073】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記中継ピンユニットが、
所定のピッチで配置された複数の前記導電ピンと、
前記導電ピンを軸方向へ移動可能に支持する一対の離間した第1絶縁板と第2絶縁板と、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間に配置された中間保持板と、
前記第1絶縁板と中間保持板との間に配置された第1支持ピンと、
前記第2絶縁板と中間保持板との間に配置された第2支持ピンと、
から構成されていることを特徴とする。
【0074】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記中継ピンユニットが、
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置と、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置とが、
中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0075】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧した際に、
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第2絶縁板の方向に撓むとともに、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第1絶縁板の方向に撓むように構成されていることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置が、
前記中間保持板投影面において格子状に配置され、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置されており、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第1の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第2の当接支持位置が配置されるとともに、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第2の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第1の当接支持位置が配置されるように構成されていることを特徴とする。
【0077】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記中継ピンユニットが、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間に所定間隔離間して配置された複数個の中間保持板と、
隣接する前記中間保持板同士の間に配置された保持板支持ピンと、
を備えるとともに、
少なくとも1つの前記中間保持板において、前記中間保持板に対して一面側から当接する前記保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置と、
前記中間保持板に対して他面側から当接する第1支持ピン、第2支持ピン、または前記保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置とが、
前記中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0078】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
全ての前記中間保持板において、
前記中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置と、
前記中間保持板に対して他面側から当接する第1支持ピン、第2支持ピン、または保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置とが、
前記中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0079】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記第1異方導電性シートが、
厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、
これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部と、
からなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより前記導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする。
【0080】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記第5異方導電性シートが、
厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、
これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部と、
からなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより前記導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする。
【0081】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記複数の導電ピンは、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間の間隔よりも短い棒状の中央部と、
前記中央部の両端側に形成され前記中央部よりも径が小さい一対の端部とからなり、
前記一対の端部がそれぞれ、前記第1絶縁板と第2絶縁板とに形成された前記中央部よりも径が小さく前記一対の端部よりも径が大きい貫通孔に挿通され、
これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0082】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記第1絶縁板と中間保持板との間、前記第2絶縁板と中間保持板との間、または中間保持板同士の間に、
前記導電ピンが挿通される貫通孔が形成された屈曲保持板が設けられ、
前記複数の導電ピンは、
前記第1絶縁板および第2絶縁板に形成された貫通孔と、
前記屈曲保持板に形成された貫通孔と、
を支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて前記屈曲保持板の貫通孔の位置で屈曲され、これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0083】
また、本発明の回路基板の検査装置は、
前記被検査基板における両面の前記被検査電極が、ハンダボール電極であることを特徴とする。
【0084】
また、本発明の回路基板の検査方法は、
上記のいずれかに記載の回路基板の検査装置を用いた回路基板の検査方法であって、
一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0085】
本発明の回路基板側コネクタを使用した回路基板の検査装置および回路基板の検査方法によれば、回路基板が大面積でサイズの小さい多数の被検査電極を有するものであっても、被検査電極に対する検査用コア電極およびリング状電極の両方の電気的接続を確実に達成することができる。
【0086】
また、本発明によれば、検査用コア電極およびリング状電極は、互いに電気的に独立したものであるため、被検査電極に電気的に接続された検査用コア電極およびリング状電極のうち一方を電流供給用電極とし、他方を電圧測定用電極として用いることにより、被検査回路基板についての電気抵抗を高い精度で測定することができる。
【0087】
さらに、本発明によれば、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板が大面積で、サイズの小さい多数の被検査電極を有するものであっても、被検査回路基板に対する所要の電気的接続を確実に達成することができ、しかも電気抵抗の測定を高い精度で確実に行うことができ、さらにコストを抑えて製造することができる。
【0088】
また、本発明によれば、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対しても、高さに対する追従性が良好で導通不良が発生せず、正確な検査を実施することができる。
【0089】
さらに、本発明によれば、検査対象である被検査回路基板が微細ピッチの微小電極を有するものであっても、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができる。
また、本発明によれば、検査対象である被検査回路基板の被検査電極の高さバラツキに対しても、高さに対する追従性が良好で、導通不良が発生せず、正確な検査を実施することが可能である。
【0090】
さらに、本発明によれば、異方導電性シートに対する検査時の応力集中が良好に分散され、その繰り返し使用耐久性を向上させることができる。
また、本発明によれば、導電ピンを保持する絶縁板への貫通孔のドリル加工による穿設作業が少なく、コストを低減することが可能である。
【0091】
また、本発明によれば、特に両面の被検査電極がハンダボール電極である被検査基板に対し、正確な検査を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
なお、以降の記述において、第1検査治具と第2検査治具における一対の同一の構成要素(例えば回路基板側コネクタ21aと回路基板側コネクタ21b)を総称する場合には、記号「a」、「b」を省略することがある(例えば、回路基板側コネクタ21aと回路基板側コネクタ21bとを総称して「回路基板側コネクタ21」と記述することがある)。
<検査装置>
図1は、本発明の検査装置の実施形態を説明する断面図、図2は、図1の検査装置の検査使用時における積層状態を示した断面図である。
【0093】
この検査装置は、集積回路などを実装するためのプリント回路基板などの検査対象である被検査回路基板1において、被検査電極間の電気抵抗を測定することにより被検査回路基板の電気検査を行うものである。
【0094】
そして、この検査装置には、図1および図2に示したように、被検査回路基板1の上面側に配置される第1検査治具11aと、下面側に配置される第2検査治具11bとが、上下に互いに対向するように配置されている。
【0095】
なお、第1検査治具11aと第2検査治具11bとは、その構成が同一であるため、第2検査治具11bについては、その詳細な説明を省略する。
第1検査治具11aは、回路基板側コネクタ21aと、中継ピンユニット31aと、テスター側コネクタ41aと、から構成されている。
【0096】
回路基板側コネクタ21aは、第1異方導電性シート71aと、第1異方導電性シート71aの被検査回路基板側に配置され、基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板72aと、ピッチ変換用基板72aの被検査回路基板側に配置された第2異方導電性シート73aと、第2異方導電性シート73aの被検査回路基板側に配置され、リング状電極13に電気的に接続される検査用コア電極7と中継電極14に電気的に接続される接続用コア電極60を有する絶縁性支持シートからなる中継基板76aと、中継基板76aの被検査回路基板側に配置され、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板1の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔19を有する第3異方導電性シート75aと、第3異方導電性シート75aの被検査回路基板側に、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板1の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔12を有し、貫通孔12を包囲するよう複数のリング状電極13が形成されるとともにリング状電極13に電気的に接続された中継電極を裏面に有する柔軟な電極シート74aと、電極シート74aの被検査回路基板側に設けられた第4異方導電性シート77aと、を備えている。
【0097】
また中継ピンユニット31aは、所定のピッチで配置された複数の導電ピン32aと、導電ピン32aを軸方向へ移動可能に支持する一対の離間した第1絶縁板34aと第2絶縁板35aと、第1絶縁板34aと第2絶縁板35aとの間に配置された中間保持板36aと、第1絶縁板34aと中間保持板36aとの間に配置された第1支持ピン33aと、第2絶縁板35aと中間保持板36aとの間に配置された第2支持ピン37aと、を備えている。
【0098】
さらに、テスター側コネクタ41aは、テスターと中継ピンユニット31aとを電気的
に接続するコネクタ基板43aと、コネクタ基板43aの中継ピンユニット31a側に配置される第5異方導電性シート42aと、コネクタ基板43aの中継ピンユニット31aとは逆側に配置されるベース板46aと、を備えている。
【0099】
また、被検査回路基板1は、上面に被検査用の一面側被検査電極2が形成され、その下面には他面側被検査電極3が形成されており、これらは互いに電気的に接続されている。
なお、被検査回路基板1の一面側被検査電極2と他面側被検査電極3は、特に限定されるものではないが、本実施例では、一面側被検査電極2と他面側被検査電極3にハンダボール電極を用いた被検査回路基板1を用いるものとする。
<ピッチ変換用基板72>
図3は、ピッチ変換用基板72の回路基板側の表面を示した図、図4は、ピッチ変換用基板72のピン側表面を示した図、図5は、ピッチ変換用基板72と中継基板76と被検査回路基板1とを積層した状態を示した部分断面図である。
【0100】
図3に示したように、ピッチ変換用基板72の一方の表面(被検査回路基板1側)には
、被検査回路基板1の一面側被検査電極2と他面側被検査電極3とに電気的に接続される複数の接続電極25が形成されている。
【0101】
これらの接続電極25は、被検査回路基板1の一面側被検査電極2、他面側被検査電極3のパターンに対応するように配置されている。
また接続電極25は、被検査回路基板1における一個の一面側被検査電極2(他面側被検査電極3)に対して接続される、一対の離間した電流用端子電極27および電圧用端子電極28から構成されている。
【0102】
一方、ピッチ変換用基板72の他方の表面には、図4に示したように中継ピンユニット31の導電ピン32に電気的に接続される複数の端子電極24が形成されている。
これらの端子電極24は、例えばピッチが2.54mm、1.8mm、1.27mm、1.06mm、0.8mm、0.75mm、0.5mm、0.45mm、0.3mmまたは0.2mmの一定ピッチの格子点上に配置されており、そのピッチは中継ピンユニットの導電ピン32a、32bの配置ピッチと同一である。
【0103】
また、図5に示したようにそれぞれの接続電極25は、図3の配線52と、絶縁基板51の厚み方向に貫通する内部配線53によって、対応する図4の端子電極24に電気的に接続されている。
【0104】
ピッチ変換用基板72は、絶縁基板の表面にそれぞれの接続電極25が露出するように形成された絶縁層54で構成され、絶縁層54の厚みは好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜60μmである。
【0105】
この厚みが過大である場合、接続電極25と異方導電性シートとの電気的接続が困難となることがある。
ピッチ変換用基板72の絶縁層54を形成する材料としては、一般にプリント回路基板の基材として使用されるものを用いることができる。
【0106】
具体的にはポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂などを挙げることができる。<ピッチ変換用基板72の製造方法>
ピッチ変換用基板72は、次のようにして製造することができる。
【0107】
まず、平板状の絶縁基板の両面に金属薄層を積層した積層材料を用意し、この積層材料に対して、形成すべき端子電極に対応するパターンに対応して積層材料の厚み方向に貫通する複数の貫通孔を、数値制御型ドリリング装置、フォトエッチング処理、レーザー加工処理などにより形成する。
【0108】
次いで、積層材料に形成された貫通孔内に無電解メッキおよび電解メッキを施すことによって、基板両面の金属薄層に連結されたバイアホールを形成する。
その後、金属薄層に対してフォトエッチング処理を施すことにより、絶縁基板の表面に配線パターンおよび接続電極を形成するとともに、反対側の表面に端子電極を形成する。
【0109】
そして絶縁基板の表面に、それぞれの接続電極25が露出するように絶縁層54を形成するとともに、反対側の表面にそれぞれの端子電極24を露出させることによりピッチ変換用基板72が得られる。
【0110】
なお、絶縁層54の厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜60μmである。
<電極シート74>
図6は、電極シート74の要部を拡大して示した平面図であり、図7は、電極シート74の要部を拡大して示した説明用断面図である。
【0111】
この電極シート74は図6および図7に示したように、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って複数の貫通孔12が形成された柔軟な絶縁性シート11を有する。
【0112】
この絶縁性シート11の表面には、貫通孔12の各々を包囲するよう複数のリング状電極13が形成されている。また、絶縁性シート11の裏面には、適宜のパターンに従って複数の中継電極14が形成されている。
【0113】
また中継電極14は、絶縁性シート11の貫通孔12の間の中間に位置するよう配置されている。
そして中継電極14の各々は、絶縁性シート11をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部15および絶縁性シート11の表面に形成された配線部16Bを介して、リング状電極13に電気的に接続されている。
【0114】
絶縁性シート11を構成する材料としては、高い機械的強度を有する樹脂材料を用いることが好ましく、液晶ポリマー、ポリイミドなどが挙げられる。
またリング状電極13、中継電極14、短絡部15および配線部16Bを構成する材料としては銅、ニッケル、金またこれらの金属の積層体などを用いることができる。
【0115】
絶縁性シート11の厚みは、絶縁性シート11が柔軟性を有するものであれば特に限定されるものではないが、好ましく5〜50μm、より好ましくは8〜25μmである。
絶縁性シート11の貫通孔12の径は、後述する中継基板76の検査用コア電極7が移動可能に挿入できる大きさであればよく、好ましくは検査用コア電極7の径の1.05〜2倍、より好ましくは1.1〜1.7倍である。
【0116】
リング状電極13の内径は、電気的に接続される被検査電極の径に応じて設定され、被検査電極に対する電気的接続を確実に達成することができる点で、被検査電極の径の50〜110%であることが好ましく、より好ましくは70〜100%である。
【0117】
またリング状電極13の内径は、後述する中継基板76における検査用コア電極7との絶縁性を確保する点から、検査用コア電極7の径の1.1〜2倍であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.7倍である。
<電極シート74の製造方法>
電極シート74は、以下のようにして製造することができる。
【0118】
先ず、図8(a)に示したように、絶縁性シート11の表面に金属層16Aが形成されてなる積層材料10Aを用意し、この積層材料10Aに図8(b)に示したように、絶縁性シート11および金属層16Aの各々をその厚み方向に貫通する複数の貫通孔10Hを、形成すべき電極シート74の短絡部15のパターンに従って形成する。
【0119】
次いで、貫通孔10Hが形成された積層材料10Aに対してフォトリソグラフィーおよびメッキ処理を施すことにより、図8(c)に示したように、絶縁性シート11の裏面に中継電極14を形成するとともに、中継電極14と金属層16Aとを電気的に接続する絶縁性シート11の厚み方向に伸びる短絡部15を形成する。
【0120】
その後、金属層16Aに対してフォトリソグラフィーおよびエッチンク処理を施してそ
の一部を除去することにより、図8(d)に示したように、絶縁性シート11の表面にリング状電極13および配線部16Bを形成する。
【0121】
そして、リング状電極13をマスクとして絶縁性シート11にレーザー加工を施すことにより、絶縁性シート11に貫通孔12を形成し、電極シート74が得られる。
<第1異方導電性シート71(第5異方導電性シート42)>
図9(a)は、第1異方導電性シート71の部分断面図である。
【0122】
なお、基本的に第1異方導電性シート71と第5異方導電性シート42とは同一のため、第5異方導電性シート42の説明は、第1異方導電性シート71の説明によってその詳細な説明を省略する。
【0123】
ピッチ変換用基板23の中継ピンユニット31側に配置される第1異方導電性シート71は、図9(a)に示したように、絶縁性の弾性高分子材料中に多数の導電性粒子80が厚み方向に配列して形成された導電路形成部79と、それぞれの導電路形成部79を離間する絶縁部78から構成されている。
【0124】
このように、導電性粒子80は導電路形成部79中にのみ、面方向に不均一に分散されている。
導電路形成部79の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.2〜1.5mmである。
【0125】
この厚みが0.1mm未満である場合、厚み方向の加圧に対する吸収能力が低く、検査時において検査治具による加圧力の吸収が小さくなり、回路基板側コネクタ21への衝撃を緩和する効果が減少する。このため、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77の劣化を抑制しにくくなり、被検査回路基板1の繰り返し検査時におけるこれら異方導電性シートの交換回数が増加して、検査の効率が低下する。
【0126】
一方、この厚みが2mmを超える場合、厚み方向の電気抵抗が大きくなりやすく電気検査が困難となることがある。
絶縁部78の厚みは、導電路形成部79の厚みと実質的に同一か、それよりも小さいことが好ましい。このように絶縁部78の厚みを導電路形成部79の厚みよりも小さくして導電路形成部79が絶縁部78より突出した突出部87を形成することにより、厚み方向の加圧に対して導電路形成部79の変形が容易になり、加圧力の吸収能力が増大する。
【0127】
これにより、検査時において検査治具の加圧力を吸収し、回路基板側コネクタへ21の衝撃を緩和することができる。
第1異方導電性シート71を構成する導電性粒子80に、磁性導電性粒子を使用する場合、数平均粒子径は好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μm、さらに好ましくは10〜100μmである。
【0128】
ここで、「磁性導電性粒子の数平均粒子径」とは、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
磁性導電性粒子の数平均粒子径が5μm以上であると、第1異方導電性シート71の導電路形成部79の加圧変形が容易になる。
【0129】
また、その製造工程において磁場配向処理によって磁性導電性粒子を配向させる場合、磁性導電性粒子の配向が容易である。磁性導電性粒子の数平均粒子径が200μm以下であると、異方導電性シートの導電路形成部79の弾性が良好で加圧変形が容易になる。
【0130】
導電路形成部79の厚みW(μm)と、磁性導電性粒子の数平均粒子径D(μm)との比率W/Dは1.1〜10であることが好ましい。
比率W/Dが1.1未満である場合、導電路形成部79の厚みに対して磁性導電性粒子の直径が同等かそれよりも大きくなるため、導電路形成部79の弾性が低くなり、その厚み方向の加圧力の吸収能力が小さくなる。
【0131】
このため、検査時における検査治具の加圧力を吸収する能力が低くなり、回路基板側コネクタ21への衝撃を緩和する効果が減少するため、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77の劣化を抑制しにくくなり、結果として被検査回路基板1の繰り返し検査時においてこれら異方導電性シートの交換回数が増加し、検査の効率が低下しやすくなる。
【0132】
一方、比率W/Dが10を超える場合、導電路形成部79に多数の導電性粒子が配列して連鎖を形成し、導電性粒子同士の接点が多数存在することになるため、電気的抵抗値が高くなりやすい。
【0133】
導電路形成部79の基材である弾性高分子は、そのタイプAデュロメータによって測定されたデュロメータ硬さが好ましくは15〜60、より好ましくは20〜50、さらに好ましくは25〜45である。
【0134】
弾性高分子のデュロメータ硬さが15よりも小さい場合、厚み方向に押圧された際のシートの圧縮、変形が大きく、大きな永久歪が生じるためシート形状が早期に変形して検査時の電気的接続が困難となりやすい。
【0135】
弾性高分子のデュロメータ硬さが60よりも大きい場合、厚み方向に押圧された際の変形が小さくなるため、その厚み方向への加圧力に対する吸収能力が小さくなる。
導電路形成部79の基材となる弾性高分子としては、上記のデュロメータ硬さを示すものであれば特に限定されないが、加工性および電気特性の点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0136】
第1異方導電性シート71の絶縁部78は、実質的に導電性粒子を含有しない絶縁材料により形成される。
絶縁材料としては、例えば絶縁性の高分子材料、無機材料、表面を絶縁化処理した金属材料などを用いることができるが、導電路形成部に使用した弾性高分子と同一の材料を用いると生産が容易である。
【0137】
絶縁部の材料として弾性高分子を使用する場合、デュロメータ硬さが上記の範囲であるものを使用することが好ましい。
磁性導電性粒子としては、後述する第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77に用いられる導電性粒子と同じものを用いることができる。
<第1異方導電性シート71(第5異方導電性シート42)の製造方法>
第1異方導電性シート71は、次の方法で製造することができる。
【0138】
先ず、それぞれ全体の形状が略平板状であって、互いに対応する上型と下型とからなり、上型と下型との間の成形空間内に充填された材料層に磁場を作用させながら材料層を加熱硬化することができる構成の異方導電性シート成形用金型を用意する。
【0139】
この異方導電性シート成形用金型には、材料層に磁場を作用させて適正な位置に導電性
を有する部分を形成するために、金型内の磁場に強度分布を生じさせるための鉄、ニッケルなどからなる強磁性体部分と、銅などの非磁性金属もしくは樹脂からなる非磁性体部分とが互いに隣接するように交互に配置されたモザイク状の層を有する基板が用いられる。
【0140】
強磁性体部分は、形成すべき導電路形成部のパターンに対応して配列されている。
上型の成形面は平坦であり、下型の成形面は形成すべき第1異方導電性シート71の導電路形成部79に対応してわずかに凹凸を有している。
【0141】
次いで、異方導電性シート成形用金型の成形空間内に、硬化されて弾性高分子物質となる高分子物質材料中に磁性を示す導電性粒子80が含有された成形材料を注入して成形材料層を形成する。
【0142】
そして、上型および下型の強磁性体部分および非磁性体部分を利用し、形成された成形材料層に対してその厚み方向に強度分布を有する磁場を作用させることにより、導電性粒子80を、上型における強磁性体部分と、その直下に位置する下型における強磁性体部分との間に集合させ、導電性粒子80を厚み方向に並ぶように配向させる。
【0143】
そして、その状態で成形材料層を硬化処理することにより、複数の柱状の導電路形成部79が、絶縁部78によって互い絶縁された第1異方導電性シート71が製造される。
<第2異方導電性シート73>
第2異方導電性シート73は、図9(b)に示したように、絶縁部78の厚みが導電路形成部79の厚みと実質的に同一であること以外は、基本的に第1異方導電性シート71(第5異方導電性シート42)と同様の構成である。
<第2異方導電性シート73の製造方法>
第2異方導電性シート73の製造方法は、使用される異方導電性シート成形用金型に導電路形成部79に対応した凹凸が設けられていないこと以外は、基本的に第1異方導電性シート71(第5異方導電性シート42)の製造方法と同様である。
<第4異方導電性シート77>
図10は、第4異方導電性シート77の一部を拡大して示した説明用断面図である。
【0144】
この第4異方導電性シート77は、絶縁性の弾性高分子物質中に、磁性を示した導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向して連鎖が形成された状態で、かつ導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなるものである。
【0145】
第4異方導電性シート77を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する高分子物質が好ましい。
このような弾性高分子物質を得るために用いることのできる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができる。
【0146】
その具体例としては、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、スチレン−ブタジエン−ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのブロック共重合体ゴムおよびこれらの水素添加物、クロロプレン、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0147】
これらの中では耐久性、成形加工性および電気特性の観点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。
シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムを架橋または縮合したものが好ましい。
【0148】
液状シリコーンゴムは、その粘度が歪速度10-1secで105ポアズ以下のものが好
ましく、縮合型のもの、付加型のもの、ビニル基やヒドロキシル基を含有するものなどのいずれであってもよい。
【0149】
具体的には、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルビニルシリコーン生ゴム、メチルフェニルビニルシリコーン生ゴムなどを挙げることができる。
またシリコーンゴムは、その分子量Mw(標準ポリスチレン換算重量平均分子量をいう。以下同じ。)が10000〜40000のものであることが好ましい。
【0150】
また、得られる第4異方導電性シート77に良好な耐熱性が得られることから、分子量分布指数(標準ポリスチレン換算重量平均分子量Mwと標準ポリスチレン換算数平均分子量Mnとの比Mw/Mnの値をいう。以下同じ。)が2以下のものが好ましい。
【0151】
第4異方導電性シート77に含有される導電性粒子Pとしては、後述する方法により粒子を容易に厚み方向に配向させることができることから、磁性を示した導電性粒子Pが用いられる。
【0152】
このような導電性粒子Pとしては、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性を有する金属の粒子、もしくはこれらの合金の粒子またはこれらの金属を含有する粒子、またはこれらの粒子を芯粒子とし芯粒子の表面に金、銀、パラジウム、ロジウムなどの導電性の良好な金属のメッキを施したもの、あるいは非磁性金属粒子もしくはガラスビーズなどの無機物質粒子またはポリマー粒子を芯粒子とし、芯粒子の表面にニッケル、コバルトなどの導電性磁性金属のメッキを施したものなどが挙げられる。
【0153】
これらの中ではニッケル粒子を芯粒子とし、その表面に導電性の良好な金のメッキを施したものを用いることが好ましい。
芯粒子の表面に導電性金属を被覆する手段としては、例えば化学メッキまたは電解メッキ法、スパッタリング法、蒸着法などが用いられる。
【0154】
導電性粒子Pとして、芯粒子の表面に導電性金属が被覆されてなるものを用いる場合には、良好な導電性が得られることから粒子表面における導電性金属の被覆率(芯粒子の表面積に対する導電性金属の被覆面積の割合)が40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45%以上、特に好ましくは47〜95%である。
【0155】
また導電性金属の被覆量は、芯粒子の0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜30質量%、さらに好ましくは3〜25質量%、特に好ましくは4〜20質量%である。
【0156】
さらに被覆される導電性金属が金である場合には、その被覆量は芯粒子の0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0157】
また導電性粒子Pの数平均粒子径は3〜20μmであることが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。
この数平均粒子径が過小である場合には、後述する製造方法において導電性粒子Pを厚み方向に配向させることが困難となることがある。
【0158】
一方、この数平均粒子径が過大である場合には、分解能の高い第4異方導電性シート77を得ることが困難となることがある。
また、導電性粒子Pの粒子径分布(Dw/Dn)は1〜10であることが好ましく、より好ましくは1.01〜7、さらに好ましくは1.05〜5、特に好ましくは1.1〜4である。
【0159】
さらに導電性粒子Pの形状は、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で球状のもの、星形状のもの、あるいはこれらが凝集した2次粒子であることが好ましい。
【0160】
また導電性粒子Pとして、その表面がシランカップリング剤などのカップリング剤や潤滑剤で処理されたものを適宜用いることができる。カップリング剤や潤滑剤で粒子表面を処理することにより、得られる第4異方導電性シート77の耐久性が向上する。
【0161】
このような導電性粒子Pは、第4異方導電性シート77中に体積分率で10〜40%、特に15〜35%となる割合で含有されていることが好ましい。
この割合が過小である場合には、厚み方向に十分に高い導電性を有する第4異方導電性シート77が得られないことがある。
【0162】
一方、この割合が過大である場合には、得られる第4異方導電性シート77は脆弱なものとなりやすく、必要な弾性が得られないことがある。
また、第4異方導電性シート77の厚みは、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜70μmである。
【0163】
この厚みが過小である場合には、十分な凹凸吸収能が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、高い分解能が得られないことがある。
<第4異方導電性シート77の製造方法>
第4異方導電性シート77は、以下のようにして製造することができる。
【0164】
先ず図11(a)に示したように、それぞれシート状の一面側成形部材30および他面側成形部材62と、目的とする第4異方導電性シート77の平面形状に適合する形状の開口32Kを有するとともに、厚みに対応する厚みを有する枠状のスペーサー63とを用意する。
【0165】
さらに、硬化されて弾性高分子物質となる液状の高分子物質形成材料中に導電性粒子が含有されてなる導電性シート用材料17Bを調製する。
そして、図11(b)に示したように、他面側成形部材62の成形面(図11(b)において上面)上にスペーサー63を配置し、他面側成形部材62の成形面上におけるスペーサー63の開口32K内に、調製した導電性シート用材料17Bを塗布し、この導電性シート用材料17B上に一面側成形部材30をその成形面(図11(b)において下面)が導電性シート用材料17Bに接するよう配置する。
【0166】
以上において、一面側成形部材30および他面側成形部材62としては、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などよりなる樹脂シートを用いることができる。
また、一面側成形部材30および他面側成形部材62の厚みは50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは75〜300μmである。
【0167】
この厚みが50μm未満である場合には、成形部材として必要な強度が得られないことがある。
一方、この厚みが500μmを超える場合には、後述する導電性シート用材料層に所要の強度の磁場を作用させることが困難となることがある。
【0168】
次いで図12に示したように、加圧ロール65および支持ロール66よりなる加圧ロール装置67を用い、一面側成形部材30および他面側成形部材62によって導電性シート用材料17Bを挟圧することにより、一面側成形部材30と他面側成形部材62との間に、所要の厚みの導電性シート用材料層17Aを形成する。
【0169】
この導電性シート用材料層17Aにおいては、図13(a)に拡大して示したように、導電性粒子Pが均一に分散した状態で含有されている。
その後、一面側成形部材30の裏面および他面側成形部材62の裏面に、一対の電磁石を配置し、この電磁石を作動させることにより、導電性シート用材料層17Aの厚み方向に平行磁場を作用させる。
【0170】
その結果、導電性シート用材料層17A中に分散されている導電性粒子Pが、図13(b)に示したように、面方向に分散された状態を維持しながら厚み方向に並ぶように配向する。
【0171】
これにより、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電性粒子Pによる連鎖が、面方向に分散した状態で形成される。
そして、導電性シート用材料層17Aを硬化処理することにより、弾性高分子物質中に導電性粒子Pが厚み方向に配向した状態で、かつ導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散された状態で含有されてなる第4異方導電性シート77が製造される。
【0172】
以上において、導電性シート用材料層17Aの硬化処理は、平行磁場を作用させたままの状態で行うこともできるが、平行磁場の作用を停止させた後に行うこともできる。
導電性シート用材料層17Aに作用される平行磁場の強度は、平均で0.02〜2.5テスラとなる大きさが好ましい。
【0173】
導電性シート用材料層17Aの硬化処理は、使用される材料によって適宜選定されるが、通常、加熱処理によって行われる。
具体的な加熱温度および加熱時間は、導電性シート用材料層17Aを構成する高分子物質用材料などの種類、導電性粒子Pの移動に要する時間などを考慮して適宜選定される。<第3異方導電性シート75>
図14は、第3異方導電性シート75の要部を拡大して示した説明用断面図である。
【0174】
この第3異方導電性シート75は、絶縁性の弾性高分子物質中に、磁性を示した導電性粒子Pが厚み方向に配向して連鎖が形成された状態で、かつ導電性粒子Pによる連鎖が面方向に分散した状態で含有されてなるものであり、それぞれ厚み方向に貫通する複数の貫通孔19が形成されていることを除き、第4異方導電性シート77と同様の構成である。
【0175】
第3異方導電性シート75の貫通孔19は、被検査回路基板における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成されている。
第3異方導電性シート75の貫通孔19の径は、後述する中継基板76の検査用コア電極7が移動可能に挿入される大きさであればよく、例えば検査用コア電極7の径の1.1〜2倍、好ましくは1.2〜1.7倍である。
<第3異方導電性シート75の製造方法>
第3異方導電性シート75は、第4異方導電性シート77と同様の方法によって製造し、その後レーザー加工または抜き打ち加工を施すことによって貫通孔19を形成することにより得られる。
<中継基板76>
図15は、中継基板76の要部を拡大して示した説明用断面図である。
【0176】
この中継基板76は、被検査回路基板1の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の検査用コア電極7と、電極シート74における中継電極14のパターンに対応するパターンに従って配置された複数の接続用コア電極60と、検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々を支持する絶縁性支持シート9とにより構成されている。
【0177】
絶縁性支持シート9には、厚み方向に伸びる複数の貫通孔4が、被検査回路基板の被検査電極のパターンに対応するパターンおよび電極シート74における中継電極14のパターンに対応するパターンに従って形成されている。
【0178】
この絶縁性支持シート9の各貫通孔4に、検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々が絶縁性支持シート9の両面の各々から突出するよう配置されている。
検査用コア電極7の各々は、絶縁性支持シート9の貫通孔4に挿通された円柱状の胴部25aと、この胴部25aの両端の各々に一体に連結されて形成された絶縁性支持シート9の表面に露出する端子部25bとにより構成されている。
【0179】
検査用コア電極7における胴部25aの長さは、絶縁性支持シート9の厚みより大きく、また胴部25aの径は、絶縁性支持シート9の貫通孔4の径より小さいものとされており、これにより検査用コア電極7は絶縁性支持シート9の厚み方向に移動可能とされている。
【0180】
また、検査用コア電極7における端子部25bの径は、絶縁性支持シート9の貫通孔4の径より大きいものとされている。
また接続用コア電極60の各々も検査用コア電極7と同様に形成されており、胴部61と端子部26bとから構成されている。
【0181】
絶縁性支持シート9を構成する材料としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂等の繊維補強型樹脂材料、エポキシ樹脂等にアルミナ、ポロンナイトライド等の無機材料をフィラーとして含有した複合樹脂材料などを用いることができる。
【0182】
また、絶縁性支持シート9の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μmである。
さらに絶縁性支持シート9の貫通孔4の径は、20〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜60μmである。
【0183】
検査用コア電極7と接続用コア電極60を構成する材料としては、剛性を有する金属材料を好適に用いることができ、特に後述する製造方法において、絶縁性支持シート9に形成される金属薄層よりエッチングされにくいものを用いることが好ましい。
【0184】
このような金属材料の具体例としては、ニッケル、コバルト、金、アルミニウムなどの単体金属またはこれらの合金などを挙げることができる。
検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々における胴部25a、61の径は18μm以上であることが好ましく、より好ましくは25μm以上である。
【0185】
この径が過小である場合には、検査用コア電極7および接続用コア電極60に必要な強度が得られないことがある。
また、絶縁性支持シート9の貫通孔4の径と検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々における胴部25a、60の径との差は、1μm以上であることが好ましく、よ
り好ましくは2μm以上である。
【0186】
この差が過小である場合には、絶縁性支持シート9の厚み方向に対して検査用コア電極7および接続用コア電極60を移動させることが困難となることがある。
検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々における端子部25b、26bの径は、被検査電極の径の70〜150%であることが好ましい。また、検査用コア電極7および接続用コア電極60の端子部25b、26bの径と貫通孔4の径との差は、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。
【0187】
この差が過小である場合には、検査用コア電極7および接続用コア電極60が絶縁性支持シート9から脱落する恐れがある。
絶縁性支持シート9の厚み方向における検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々の移動可能距離、すなわち検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々における胴部25a、61の長さと絶縁性支持シート9の厚みとの差は、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
【0188】
これらの移動可能距離が過小である場合には、十分な凹凸吸収能を得ることが困難となることがある。
一方、これらの移動可能距離が過大である場合には、絶縁性支持シート9の貫通孔4から露出する検査用コア電極7の胴部25aおよび接続用コア電極60の胴部61の長さが大きくなり、検査に使用したときに、検査用コア電極7の胴部25aおよび接続用コア電極60の胴部61が座屈または損傷するおそれがある。
<中継基板76の製造方法>
中継基板76は、以下のようにして製造することができる。
【0189】
図16(a)に示したように、絶縁性支持シート9の一面に易エッチング性の金属層23Aが一体的に積層されてなる積層材料20Bを用意し、この積層材料20Bにおける金属層23Aに対してエッチング処理を施してその一部を除去する。
【0190】
これにより図16(b)に示したように、金属層23Aに接続すべき電極のパターンに対応するパターンに従って複数の開口23Kを形成する。
次に図16(c)に示したように、積層材料20Bにおける絶縁性支持シート9に、それぞれ金属層23Aの開口23Kに連通して厚み方向に伸びる貫通孔4を形成する。
【0191】
そして図17(a)に示したように、絶縁性支持シート9の貫通孔4の内壁面および金属層23Aの開口縁を覆うよう、易エッチング性の筒状の金属薄層23Bを形成する。
このようにして、厚み方向に伸びる複数の貫通孔4が形成された絶縁性支持シート9と、この絶縁性支持シート9の一面に積層された、それぞれ絶縁性支持シート9の貫通孔4に連通する複数の開口23Kを有する易エッチング性の金属層23Aと、絶縁性支持シート9の貫通孔4の内壁面および金属層23Aの開口縁を覆うよう形成された易エッチング性の金属薄層23Bと、を有してなる複合積層材料20Aが製造される。
【0192】
絶縁性支持シート9の貫通孔4を形成する方法としては、レーザー加工法、ドリル加工法、エッチング加工法などを利用することができる。
金属層23Aおよび金属薄層23Bを構成する易エッチング性の金属材料としては銅、ニッケルなどを用いることができる。
【0193】
また金属層23Aの厚みは、目的とする検査用コア電極7および接続用コア電極60の移動可能距離などを考慮して設定され、好ましくは5〜25μm、より好ましくは8〜20μmである。
【0194】
また金属薄層23Bの厚みは、絶縁性支持シート9の貫通孔4の径と形成すべき検査用コア電極7および接続用コア電極60の各々における胴部25a、61の径とを考慮して設定される。
【0195】
さらに、金属薄層23Bを形成する方法としては、無電解メッキ法などを利用することができる。
そして、この複合積層材料20Aに対してフォトメッキ処理を施すことにより、絶縁性支持シート9の貫通孔4の各々に検査用コア電極7および接続用コア電極60を形成する。
【0196】
具体的には図17(b)に示したように、絶縁性支持シート9の一面に形成された金属層23Aの表面および絶縁性支持シート9の他面の各々に、形成すべき検査用コア電極7および接続用コア電極60における端子部25b、26bのパターンに対応するパターンに従ってそれぞれ絶縁性支持シート9の貫通孔4に連通する複数のパターン孔24Kが形成されたレジスト膜6を形成する。
【0197】
次いで、金属層23Aを共通電極として電解メッキ処理を施して金属層23Aにおける露出した部分および金属薄層23Bの表面に金属を堆積させ、絶縁性支持シート9の貫通孔4内およびレジスト膜6のパターン孔24K内に金属を充填することにより、図17(c)に示したように、それぞれ絶縁性支持シート9の厚み方向に伸びる検査用コア電極7および接続用コア電極60を形成する。
【0198】
このようにして検査用コア電極7および接続用コア電極60を形成した後、金属層23Aの表面からレジスト膜6を除去することにより、図18(a)に示したように金属層23Aを露出させる。
【0199】
そして、エッチング処理を施して金属層23Aおよび金属薄層23Bを除去することにより、図15に示したような中継基板76が得られる。
<回路基板側コネクタ21による被検査回路基板1との接続>
上記の回路基板側コネクタ21においては、図19に示したように、被検査回路基板1の一面に、回路基板側コネクタ21における各検査用コア電極7が被検査回路基板1の各一面側被検査電極2上に位置するよう配置され、さらに適宜の手段によって回路基板側コネクタ21が押圧される。
【0200】
そしてこの状態においては、図20に示したように、電極シート74におけるリング状電極13の各々は、第4異方導電性シート77を介して被検査回路基板1の一面側被検査電極2の各々に電気的に接続される。
【0201】
また、中継基板76における検査用コア電極7の各々は、第3異方導電性シート75の貫通孔19および電極シート74の貫通孔12に進入し、第4異方導電性シート77を介して、被検査回路基板1の一面側被検査電極2の各々に電気的に接続される。
【0202】
さらに、中継基板76の接続用コア電極60の各々は、第3異方導電性シート75を介して、電極シート74における中継電極14に電気的に接続される。
このとき、電極シート74におけるリング状電極13は、絶縁性シート11の貫通孔12を包囲するよう形成されているため図21に示したように、絶縁性シート11の貫通孔12に進入する検査用コア電極7の中心位置が一面側被検査電極2の中心位置から位置ずれした場合であっても、一面側被検査電極2に検査用コア電極7が電気的に接続されていれば、リング状電極13も必ず一面側被検査電極2に電気的に接続される。
【0203】
このような状態において、被検査回路基板1における複数の一面側被検査電極2のうち、1つの一面側被検査電極2に電気的に接続されている検査用コア電極7およびリング状電極13のうち一方を電流供給用電極とし、他方を電圧測定用電極として用いることにより、指定された一面側被検査電極2の電気抵抗の測定が行われる。
【0204】
ここで被検査回路基板1としては、図22(a)に示したように、一面に形成された一面側被検査電極2のみを有し、一面側被検査電極2間に形成された回路8aのみを有するもの、図22(b)に示したように、一面に形成された一面側被検査電極2および他面に形成された他面側被検査電極3を有し、一面側被検査電極2と他面側被検査電極3との間に形成された回路8bのみを有するもの、図22(c)に示したように、一面に形成された一面側被検査電極2および他面に形成された他面側被検査電極3を有し、一面側被検査電極2間に形成された回路8aおよび一面側被検査電極2と他面側被検査電極3との間に形成された回路8bの両方を有するもの、のいずれであってもよい。
【0205】
上記の構成の回路基板側コネクタ21によれば、電極シート74における絶縁性シート11には、中継基板76における検査用コア電極7が進入する貫通孔12が形成され、この貫通孔12の周囲には、貫通孔12を包囲するようリング状電極13が形成されているため、被検査回路基板1における一面側被検査電極2上に、検査用コア電極7の少なくとも一部が位置されるよう位置合わせをすれば、一面側被検査電極2上にはリング状電極13の少なくとも一部が位置されるようになる。
【0206】
従って、被検査回路基板1が大面積でサイズの小さい多数の一面側被検査電極2を有するものであっても、一面側被検査電極2に対する検査用コア電極7およびリング状電極13の両方の電気的接続を確実に達成することができる。
【0207】
しかも、検査用コア電極7およびリング状電極13は互いに電気的に独立されているので、一面側被検査電極2に電気的に接続された検査用コア電極7およびリング状電極13のうち一方を電流供給用電極、他方を電圧測定用電極として用いることにより、被検査回路基板1についての電気抵抗を高い精度で測定することができる。
【0208】
また、電極シート74および中継基板76は簡単な構造であるため、回路基板側コネクタ21全体を小コストで製造することが可能である。従って、検査コストの低減化を図ることができる。
<中継ピンユニット31>
中継ピンユニット31は、図1、図2、図23(図23は説明の便宜上、中継ピンユニット31aについて示している)、および図29〜32に示したように、上下方向を向くように並列に、所定のピッチで設けられた多数の導電ピン32a、32bを備えている。
【0209】
また中継ピンユニット31は、これらの導電ピン32a、32bの両端側に設けられ、導電ピン32a、32bを挿通支持する被検査回路基板1側に配置された第1絶縁板34a、34bと、被検査回路基板1側とは反対側に配置された第2絶縁板35a、35bの2枚の絶縁板を備えている。
【0210】
導電ピン32は図24に示したように、直径の大きい中央部82と、これよりも直径の小さい端部81a、81bとからなる。
第1絶縁板34と第2絶縁板35には、導電ピン32の端部81が挿入される貫通孔83が形成されている。そして貫通孔83の直径が、導電ピン32の端部81a、81bの直径よりも大きく、かつ中央部82の直径よりも小さく形成され、これにより導電ピン32が脱落しないように保持されている。
【0211】
第1絶縁板34および第2絶縁板35は、図1の第1支持ピン33および第2支持ピン37によって、これらの間隔が導電ピン32の中央部82の長さよりも長くなるように固定され、これにより導電ピン32が上下へ移動可能に保持されている。
【0212】
導電ピン32の端部81の長さは、第1絶縁板34および第2絶縁板35の厚みよりも長くなるように形成され、これにより第1絶縁板34および第2絶縁板35のうち少なくとも一方から導電ピン32が突出するようになっている。
【0213】
中継ピンユニットは、多数の導電ピンが2.54mm、1.8mm、1.27mm、1.06mm、0.8mm、0.75mm、0.5mm、0.45mm、0.3mm、0.2mmのピッチの格子点上に配置されている。
【0214】
中継ピンユニット31の導電ピン32の配置ピッチと、ピッチ変換用基板72に設けられた端子電極24の配置ピッチとを同一とすることにより、導電ピン32を介してピッチ変換用基板72がテスター側に電気的に接続されるようになっている。
【0215】
また、図1および図23に示したように、中継ピンユニット31には第1絶縁板34a、34bと、第2絶縁板35a、35bとの間に、中間保持板36a、36bが配置されている。
【0216】
そして、第1絶縁板34a、34bと中間保持板36a、36bとの間には、第1支持ピン33a、33bが配置され、これによって第1絶縁板34a、34bと中間保持板36a、36bとの間を固定している。
【0217】
同様に、第2絶縁板35a、35bと中間保持板36a、36bとの間には、第2支持ピン37a、37bが配置され、これによって第2絶縁板35a、35bと中間保持板36a、36bとの間を固定している。
【0218】
第1支持ピン33と第2支持ピン37の材質としては、真鍮、ステンレスなどの金属が使用される。
なお、図23における第1絶縁板34と中間保持板36との間の距離L1と、第2絶縁板35と中間保持板36との間の距離L2としては、後述するように第1絶縁板34、中間保持板36、第2絶縁板35の弾性による被検査回路基板1における一面側被検査電極2、他面側被検査電極3の高さバラツキの吸収性を考慮すれば、2mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上である。
【0219】
そして図23に示したように、第1支持ピン33の中間保持板36に対する第1の当接支持位置38Aと、第2支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置38Bとは、検査装置を中間保持板の厚さ方向に(図1において上方から下方に向かって)投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されている。
【0220】
この場合、異なる位置としては第1の当接支持位置38Aと第2の当接支持位置38Bは、図28に示したように中間保持板投影面A上において格子上に形成されていることが好ましい。
【0221】
具体的には、中間保持板投影面A上において隣接する4個の第1の当接支持位置38Aからなる単位格子領域R1に、1個の第2の当接支持位置38Bが配置される。
また中間保持板投影面Aにおいて、隣接する4個の第2の当接支持位置38Bからなる単位格子領域R2に、1個の第1の当接支持位置38Aが配置される。なお図28では、
第1の当接支持位置38Aを黒丸、第2の当接支持位置38B群を白丸で示している。
【0222】
また、第1の当接支持位置38Aにおける単位格子領域R1の対角線Q1の中央に、1個の第2の当接支持位置38Bを配置するとともに、第2の当接支持位置38Bにおける単位格子領域R2の対角線Q2の中央に、1個の第1の当接支持位置38Aを配置している。
【0223】
しかしながら、これらの相対的な位置は特に限定されるものではなく、検査装置を中間保持板36の厚さ方向に投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されていればよい。
【0224】
すなわち格子状に配置されない場合には、このような相対位置関係に拘束されるものではなく、検査装置を中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面A上において異なる位置に配置されていればよい。
【0225】
またこの場合、互いに隣接する第1の当接支持位置38Aの間の離間距離、第2の当接支持位置38Bの間の離間距離は、好ましくは10〜100mm、より好ましくは12〜70mm、特に好ましくは15〜50mmである。
【0226】
第1絶縁板34、中間保持板36、第2絶縁板35の形成材料は、可撓性を有するものが用いられる。これらの板の可撓性は、第1絶縁板34、中間保持板36、第2絶縁板35の両端部を、それぞれ10cm間隔で支持した状態で水平に配置した場合において、上方から50kgfの圧力で加圧することによって生ずる撓みが、これらの幅の0.02%以下であり、かつ上方から200kgfの圧力で加圧することによっても破壊および永久変形が生じない程度であることが好ましい。
【0227】
第1絶縁板34、中間保持板36、第2絶縁板35の材料としては、固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性材料、例えばポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポチエチレンテレフタレート樹脂、シンジオタクチック・ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエチルケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の機械的強度の高い樹脂材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型ポリエステル樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強フェノール樹脂、ガラス繊維補強型フッ素樹脂等のガラス繊維型複合樹脂材料、カーボン繊維補強型エポキシ樹脂、カーボン繊維補強型ポリエステル樹脂、カーボン繊維補強型ポリイミド樹脂、カーボン繊維補強型フェノール樹脂、カーボン繊維補強型フッ素樹脂等のカーボン繊維型複合樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等にシリカ、アルミナ、ボロンナイトライド等の無機材料を充填した複合樹脂材料、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等にメッシュを含有した複合樹脂材料などが挙げられる。
【0228】
また、これらの材料からなる板材を複数積層して構成された複合板材等も用いることができる。
第1絶縁板34、中間保持板36、および第2絶縁板35の厚みは、構成する材料の種類に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜10mmである。
【0229】
例えば、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂からなり、厚みが2〜5mmであるものを使用することができる。
第1絶縁板34および第2絶縁板35に導電ピン32を移動可能に支持する方法としては図24に示した方法の他に、図25〜図27に示した方法を挙げることができる。
【0230】
この例では、第1絶縁板34と第2絶縁板35との間に屈曲保持板84が設けられている。
導電ピン32として、円柱形状である金属ピンを用いている。
【0231】
また、屈曲保持板84には導電ピン32が挿通される貫通孔85が形成されている。
導電ピン32は、第1絶縁板34に形成された貫通孔83aおよび第2絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84に形成された貫通孔85とを支点として、互いに逆方向に横方向へ押圧されて、屈曲保持板84の貫通孔85の位置で屈曲され、これにより導電ピン32が軸方向に移動可能に支持されている。
【0232】
なお中間保持板36には、導電ピン32と接触しない程度に径を大きくした貫通孔86が形成され、この貫通孔86に導電ピン32が挿通されている。
導電ピン32は、図26(a)〜図26(c)に示した手順で第1絶縁板34および第2絶縁板35に支持される。
【0233】
図26(a)に示したように、第1絶縁板34の貫通孔83aおよび第2絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84の貫通孔85とが軸方向に位置合わせされた位置に屈曲保持板84を配置する。
【0234】
次に図26(b)に示したように、導電ピン32を第1絶縁板34の貫通孔83aから屈曲保持板84の貫通孔85を通して第2絶縁板35の貫通孔83bまで挿入する。
さらに図26(c)に示したように、屈曲保持板84を導電ピン32の軸方向と垂直な横方向(水平方向)に移動し、適宜の手段によって屈曲保持板84の位置を固定する。
【0235】
これによって導電ピン32は、第1絶縁板34の貫通孔83aおよび第2絶縁板35に形成された貫通孔83bと、屈曲保持板84の貫通孔85とを支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて、屈曲保持板84の貫通孔85の位置で屈曲され、これにより導電ピン32が軸方向に移動可能に支持される。
【0236】
このように構成することで、導電ピン32が第1絶縁板34と第2絶縁板35との間に軸方向へ移動可能に、かつ脱落しないように保持することができるとともに、導電ピン32として円柱状である簡易な構造のピンを使用できるため、導電ピン32およびそれを保持する部材の全体としてのコストを抑えることができる。
【0237】
なお、屈曲保持板84が配置される位置は、第1絶縁板34と中間保持板36との間であってもよい。
このように構成された本実施形態の検査装置では、図2に示したように、被検査回路基板1の一面側被検査電極2が第4異方導電性シート77、電極シート74、第3異方導電性シート75、中継基板76、第2異方導電性シート73、ピッチ変換用基板72、第1異方導電性シート71、導電ピン32、第5異方導電性シート42、コネクタ基板43aを介して、最外側に配置されたベース板46をテスターの加圧機構により規定の圧力で押圧することによってテスター(図示せず)に電気的に接続され、被検査回路基板1の電極間における電気抵抗測定などの電気検査が行われる。
【0238】
測定時に被検査回路基板1に対して上側および下側の第1検査治具11a、第2検査治具11bから押圧する圧力は、例えば100〜250kgfである。
<検査治具による圧力吸収作用および圧力分散作用についての説明>
以下、図29〜図32を参照しながら(便宜的に、第2検査治具11bのみ示した)、第1検査治具11aと第2検査治具11bとの間で被検査回路基板1の両面を挟圧した際
における圧力吸収作用および圧力分散作用について説明する。
【0239】
図30に示したように、第1検査治具11aと第2検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1の両面を挟圧して電気検査を行う際に、加圧の初期段階では中継ピンユニット31の導電ピン32の厚み方向への移動と、第1異方導電性シート71、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77、第5異方導電性シート42のゴム弾性圧縮により圧力を吸収して、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキをある程度吸収することができる。
【0240】
そして、第1支持ピン33の中間保持板36に対する第1の当接支持位置38Aと、第2支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置38Bとが、中間保持板36の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されているので、図31の矢印で示したように上下方向に力が作用し、図32に示したように、第1検査治具11aと第2検査治具11bの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、第1異方導電性シート71、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77、第5異方導電性シート42のゴム弾性圧縮に加えて、中継ピンユニット31における第1絶縁板34と、第2絶縁板35と、第1絶縁板34と第2絶縁板35の間に配置された中間保持板36のバネ弾性により、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキ(例えばハンダボール電極の高さバラツキ)に対して、圧力集中を分散させ局部的な応力集中を回避することができる。
【0241】
すなわち図31および図32に示したように、第1の支持ピン33の中間保持板36に対する第1の当接支持位置38Aを中心として、中間保持板36が、第2絶縁板35の方向に撓むとともに(図32のE部分参照)、第2支持ピン37の中間保持板36に対する第2の当接支持位置38Bを中心として、中間保持板36が第1絶縁板34の方向に撓むことになる(図32のD部分参照)。
【0242】
なお、ここで「撓む」および「撓み方向」とは中間保持板36が凸状になる方向に突出するように撓むことおよびその突出方向を言う。
このように、中間保持板36が第1の当接支持位置38A、第2の当接支持位置38Bを中心として相互に反対方向に撓むので、第1検査治具11aと第2検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、中間保持板36のバネ弾性力が発揮されることになる。
【0243】
また、図32のB部分で示したように、第1異方導電性シート71における導電路形成部の突出部の圧縮によって導電ピン32の高さが吸収されるが、この突出部の圧縮によって吸収しきれない圧力が、第1絶縁板34に加わることになる。
【0244】
したがって、図32のC部分で示したように、第1絶縁板34と第2絶縁板35も第1支持ピン33、第2支持ピン37との当接位置で相互に反対方向に撓むので、第1検査治具11aと第2検査治具11bとの間で検査対象である被検査回路基板1をさらに加圧した際に、第1絶縁板34と第2絶縁板35のバネ弾性力が発揮されることになる。
【0245】
これにより、高さバラツキを有する被検査回路基板1の被検査電極のそれぞれに対して安定的な電気的接触が確保され、さらに応力集中が低減されるので、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77の局部的な破損が抑制される。
【0246】
その結果、第2異方導電性シート73、第3異方導電性シート75、第4異方導電性シート77の使用耐久性が向上するため交換回数が減り、検査作業効率が向上する。
図33は、本発明の検査装置における他の実施形態を説明する図29と同様な断面図(便宜的に第2の検査治具のみ示している)、図34は、その中継ピンユニットの拡大断面図である。この検査装置は、図1に示した検査装置と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付している。
【0247】
この検査装置では、図33および図34に示したように、第1絶縁板34と第2絶縁板35との間に、複数個(本実施形態では3個)の中間保持板36が所定間隔離間して配置され、これらの隣接する中間保持板36同士の間に保持板支持ピン39が配置されている。
【0248】
この場合、少なくとも1つの中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置と、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1支持ピン33b、第2支持ピン37b、または保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置とが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることが必要である。
【0249】
最も好ましくは、全ての中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置と、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1支持ピン33b、第2支持ピン37b、または保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置とが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置される。
【0250】
この場合「異なる位置」とは、前述した実施形態において第1支持ピン33と中間保持板36との第1の当接支持位置38Aと、第2支持ピン37と中間保持板36との第2の当接支持位置38Bとの間の関係で説明した相対位置と同様な配置とすることが可能である。
【0251】
本実施例では、3つの中間保持板36bのうち上側の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する第1支持ピン33bの中間保持板36bに対する当接支持位置38Aとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0252】
また、3つの中間保持板36bのうち中央の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0253】
また、3つの中間保持板36bのうち下側の中間保持板36bにおいて、中間保持板36bに対して一面側から当接する保持板支持ピン39bの中間保持板36bに対する当接支持位置39Aと、中間保持板36bに対して他面側から当接する第2の支持ピン37bの中間保持板36bに対する当接支持位置38Bとが、中間保持板36bの厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されている。
【0254】
このように構成することによって、これらの複数個の中間保持板36によってバネ弾性がさらに発揮されることになり、被検査回路基板1の被検査電極の高さバラツキに対して、圧力集中を分散させて、局部的な応力集中をさらに回避することができ、異方導電性シートからの局部的な破損が抑制され、使用耐久性が向上するので、異方導電性シートの交
換回数が減り検査作業効率が向上する。
【0255】
なお中間保持板36の個数としては、複数個であればよく、特に限定されるものではない。
また、導電ピン32を保持するための前述した屈曲保持板84を用いる場合、場合に応じて、第2絶縁板35と中間保持板36との間、第1絶縁板34と中間保持板36との間、あるいは2枚の中間保持板36の間に配置することができる。
【0256】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変形、変更が可能である。
例えば被検査回路基板1は、プリント回路基板以外にパッケージIC、MCM、CSPなどの半導体集積回路装置、ウェハに形成された回路装置であってもよい。
【0257】
また、プリント回路基板は、両面プリント回路基板だけではなく片面プリント回路基板であってもよい。
第1検査治具11aと第2検査治具11bは、使用材料、部材構造などにおいて必ずしも同一である必要はなく、これらが異なるものであってもよい。
【0258】
テスター側コネクタ41は、コネクタ基板のような回路基板と異方導電性シートを複数積層して構成してもよい。
上記の実施例では、第1異方導電性シート71および第5異方導電性シート42として、厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部とからなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出しているものを用いたが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0259】
また、図1、図2、図29〜図32に示したように、テスター側コネクタ41におけるコネクタ基板43とベース板46との間に、支持ピン49を配置してもよい。
これらの支持ピン49によって、第1支持ピン33、第2支持ピン37(図33、図34では第1支持ピン33、第2支持ピン37および保持板支持ピン39)が与える作用と同様にして、面圧を分散させる作用を与えることも可能である。
【0260】
この面圧分散作用を与えるためには、支持ピン49の位置と、第2支持ピン37の位置とが面方向において互いに異なるようにこれらを配置することが好ましい。
なお、本発明の回路基板の検査装置においては、上記のような中継ピンユニット31を用いることが望ましいが、本発明の回路基板側コネクタ21を用いることによって、多数の検査電極を有する被検査回路基板1の検査を良好に行えるだけのクッション性、耐久性が充分に確保できる場合には、このような中継ピンユニット31以外にも、図35に示したような従来型の中継ピンユニットを用いて検査を行ってもよいものである。
<実施例および比較例>
以下、本発明の具体的な実施例および比較例を示した。
[実施例1]
レール搬送型回路基板自動検査機(日本電産リード社製、品名:STARREC V5)の検査部に適合する、図1に示したような、下記の評価用回路基板を検査するための検査装置を作製した。
(1)被検査回路基板1
下記の仕様の被検査回路基板1を用意した。
【0261】
寸法:100mm(縦)×100mm(横)×0.8mm(厚み)
上面側の被検査電極の数:3600個
上面側の被検査電極の径:0.1mm
上面側の被検査電極の最小配置ピッチ:0.225mm
下面側の被検査電極の数:2600個
下面側の被検査電極の径:0.1mm
下面側の被検査電極の最小配置ピッチ:0.225mm
(2)回路基板側コネクタ21
上記のピッチ変換用基板72の一面側に、第1異方導電性シート71aと、第1異方導電性シート71aの被検査回路基板側に配置され、基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板72aと、ピッチ変換用基板72aの被検査回路基板側に配置された第2異方導電性シート73aと、第2異方導電性シート73aの被検査回路基板側に配置され、リング状電極13に電気的に接続される検査用コア電極7と中継電極14に電気的に接続される接続用コア電極60を有する絶縁性支持シートからなる中継基板76aと、中継基板76aの被検査回路基板側に配置され、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板1の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔19を有する第3異方導電性シート75aと、第3異方導電性シート75aの被検査回路基板側に、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板1の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔12を有し、貫通孔12を包囲するよう複数のリング状電極13が形成されるとともにリング状電極13に電気的に接続された中継電極を裏面に有する柔軟な電極シート74aと、電極シート74aの被検査回路基板側に設けられた第4異方導電性シート77aと、を備え回路基板側コネクタ21とした。
【0262】
なお、第1異方導電性シート71は、図9に示される形状であり、具体的には以下の構成のものを使用した。
〔第1異方導電性シート71〕
寸法:110mm×150mm
導電路形成部の厚み:0.6mm
導電路形成部の外径:0.35mm
導電路形成部の突出高さ:0.05mm
導電性粒子:材質;金メッキ処理を施したニッケル粒子、平均粒子径;35μm、導電路形成部における導電性粒子の含有率;30体積%
弾性高分子物質:材質;シリコーンゴム、硬度;30
(W/D=17)
第2異方導電性シート73は、図9(b)に示される形状であり、具体的には以下の構成のものを使用した。
〔第2異方導電性シート73〕
寸法:110mm×110mm
導電路形成部の厚み:0.12mm
導電路形成部の外径:0.08mm
導電路形成部の突出高さ:0mm
導電性粒子:材質;金メッキ処理を施したニッケル粒子、平均粒子径;20μm、導電路形成部における導電性粒子の含有率;30体積%
弾性高分子物質:材質;シリコーンゴム、硬度;30
〔第4異方導電性シート77〕
導電性粒子が厚み方向に配列するとともに面方向に均一に分散された下記の第4異方導電性シート77を作製した。
寸法:110mm×110mm、厚み0.05mm
導電性粒子:材質;金メッキ処理を施したニッケル粒子、平均粒子径;20μm、含有率;18体積%
弾性高分子物質:材質;シリコーンゴム(硬度40)
さらに、第3異方導電性シート75は、第4異方導電性シート77と同じ構成のものに
、UVレーザー加工にて被検査回路基板1の被検査電極の位置に対応する位置に複数の貫通候を形成した。
〔第3異方導電性シート75〕
寸法:100mm(縦)×100mm(横)×0.3mm(厚み)
上面側の第3異方導電性シート75a
貫通孔の数:3600個(被検査回路基板1の上面側の被検査電極の位置に形成した)
貫通孔の径:65μm
下面側の第3異方導電性シート75b
貫通孔の数:2600個(被検査回路基板1の下面側の被検査電極の位置に形成した)
貫通孔の径:65μm
〔ピッチ変換用基板72〕
ガラス繊維補強型エポキシ樹脂からなる厚さ0.5mmの絶縁基板の両面全面に、厚みが18μmの銅からなる金属薄層を形成した積層材料(松下電工社製、品名:R−1766)に、数値制御型ドリリング装置によって、それぞれ積層材料の厚み方向に貫通する直径0.1mmの円形の貫通孔を合計で7200個形成した。
【0263】
この場合、貫通孔の形成は2個を一組として、1個は評価用回路基板の上面側の被検査電極に対応する位置に形成し、もう一個の貫通孔は中心間距離で160μm離間した位置に形成した。
【0264】
その後、貫通孔が形成された積層材料に対し、EDTAタイプ銅メッキ液を用いて無電解メッキ処理を施すことにより、各貫通孔の内壁に銅メッキ層を形成し、さらに、硫酸銅メッキ液を用いて電解銅メッキ処理を施すことにより、各貫通孔内に、積層材料表面の各金属薄層を互いに電気的に接続する、厚さ約10μmの円筒状のバイアホールを形成した。
【0265】
次いで、積層材料表面の金属薄層上に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東京応化製、品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成するとともに、この積層材料の他面側の金属薄層上に保護シールを配置した。
【0266】
このレジスト層上にフォトマスクフィルムを配置し、レジスト層に対して、平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、エッチング用のレジストパターンを形成した。
【0267】
そして、レジストパターンを形成した面の金属薄層に対してエッチング処理を施すことにより、絶縁基板の表面に、直径が60μmである円形の7200個の接続電極と、各接続電極とバイアホールとを電気的に接続する線幅が100μmのパターン配線部を形成し、次いで、レジストパターンを除去した。
【0268】
次に、積層材料の接続電極とパターン配線部を形成した側の面に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東京応化製、品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成し、このレジスト層の上にフォトマスクフィルムを配置して、レジスト層に対して平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、それぞれの接続電極を露出する、直径が60μmである円形の7200個の開口を形成した。
【0269】
そして、硫酸銅メッキ液を用い、積層材料の他面側の金属薄層を共通電極として用い、それぞれの接続電極に対して電解銅メッキ処理を施すことにより7200個の接続電極を
形成した。
【0270】
次いでレジストパターンを除去した。
さらに積層材料の他面側の金属薄層上の保護シールを除去し、この面の金属薄層上に、厚みが25μmのドライフィルムレジスト(東京応化製、品名:FP−225)をラミネートしてレジスト層を形成した。
【0271】
その後、このレジスト層上にフォトマスクフィルムを配置し、レジスト層に対して、平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理を行うことにより、積層材料における金属薄層上にエッチング用のレジストパターンを形成した。
【0272】
次いで、積層材料の接続電極を形成した側の面に保護シールを施した後に、エッチング処理を施すことにより、絶縁性基板の裏面に7200個の端子電極と、各端子電極とバイアホールとを電気的に接続するパターン配線部を形成し、レジストパターンを除去した。
【0273】
次いで、端子電極およびパターン配線部が形成された絶縁基板の裏面に、厚みが38μmのドライフィルムソルダーレジスト(ニチゴーモートン製、品名:コンフォマスク2015)をラミネートして絶縁層を形成し、この絶縁層上にフォトマスクフィルムを配置し、次いで、絶縁層に対して平行光露光機(オーク製作所製)を用いて露光処理を施した後、現像処理することにより、電極を露出する直径0.4mmの開口を7200個形成した。
【0274】
以上のようにして、ピッチ変換用基板72を作製した。
このピッチ変換用基板72は、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5mm、接続電極25の絶縁層表面から露出した部分の寸法が直径約60μm、接続電極25の絶縁層表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続電極25間の離間距離が160μm(中心間距離)、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmであった。
【0275】
また上記と同様にして、表面に5200個の接続電極25を有するとともに裏面に5200個の端子電極24を有する、第2検査治具11b用のピッチ変換用基板72bを作製した。
【0276】
このピッチ変換用基板72bは、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5mm、接続電極25における絶縁層の表面に露出した部分の直径が約60μm、接続電極25における絶縁層の表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続電極間の離間距離が160μm(中心間距離)、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmのものである。
〔中継基板76〕
先ず、電極構造体を7200個有する第1検査治具11a用の中継基板76aを次のようにして製造した。
【0277】
厚みが50μmの液晶ポリマーよりなる絶縁性支持シート9の一面に厚みが約40μmの銅よりなる金属層23Aが一体的に積層されてなる積層材料20B(新日鐵化学社製「エスパネックス LC18−50−00NE」の厚み18μmの銅層を銅によるパネルメッキを行い厚み約40μmの銅層とした)を用意し(図16(a)参照)、この積層材料20Bにおける金属層23A上にドライフィルムレジストをラミネートすることによりレジスト膜を形成した。
【0278】
次いで、形成されたレジスト膜に対して露光処理および現像処理を施すことにより、上
記の評価用回路装置における上面側被検査電極に対応するパターンに従ってレジスト膜に直径が40μmの円形のパターン孔を3600個形成するとともに、このパターン孔から中心間距離で160μm離間したパターン孔を3600個形成した。
【0279】
そして、金属層23Aに対してエッチング処理を行うことにより、金属層23Aにレジスト膜のパターン孔と同一のパターンの開口23Kを形成し、その後、レジスト膜を除去した(図16(b)参照)。
【0280】
その後、積層材料20Bにおける絶縁性支持シート9に対して、金属層23Aに形成された開口23Kを介してCO2レーザー加工機を用いてレーザー加工を施すことにより、
金属層23Aの開口23Kに連通する貫通孔4を形成した(図16(c)参照)。
【0281】
そして、絶縁性支持シート9の貫通孔4の内壁面に無電解銅メッキ処理を施し、さらに金属層23Aを共通電極として電解銅メッキ処理を施すことにより、絶縁性支持シート9の貫通孔4の内壁面および金属層23Aの開口縁を覆うように、厚みが5μmの銅よりなる筒状の金属薄層23Bを形成し、図17(a)に示したような複合積層材料20Aを製造した。
【0282】
ここで、金属薄層23Bを形成した後の貫通孔4の直径は約30μmであった。
次いで、複合積層材料20Aの両面(絶縁性支持シート9の一面に形成された金属層23Aの表面および絶縁性支持シート9の他面)の各々に、厚みが25μmのドライフィルムレジストをラミネートして露光処理および現像処理を施すことにより、図17(b)に示したような、形成すべき検査用コア電極7および接続用コア電極60における端子部25b、26bのパターンに従って直径50μmの円形のパターン孔24Kが形成されたレジスト膜6を形成した。
【0283】
その後、金属層23Aを共通電極としてスルファミン酸ニッケルが溶解されたメッキ液を用いて電解メッキ処理を施すことにより、図17(c)に示したように、ニッケルよりなる検査用コア電極7および接続用コア電極60を形成した。
【0284】
そして、検査用コア電極7および接続用コア電極60の端子部25b、26bの表面を研磨することにより、これらの表面を平坦化するとともに端子部25b、26bの厚みをレジスト膜6の厚みに一致させた。
【0285】
次いで、複合積層材料20Aの両面からレジスト膜6を除去した後、複合積層材料20Aに対して、塩化第二鉄が溶解されたエッチング液を用いて、60℃、3時間のエッチング処理を施すことにより、金属層23Aおよび金属薄層23Bを除去し、中継基板76aを製造した。
【0286】
得られた中継基板76aは材質が液晶ポリマーで、縦横の寸法が190mm×130mm、厚みdが50μm、貫通孔4の直径r1が40μm、検査用コア電極7および接続用コア電極60は総数が7200で、胴部25a、61の径r2が30μm、端子部25b、26bの径r3が50μm、胴部25a、61の長さLが95μm、検査用コア電極7および接続用コア電極60の移動距離(L−d)が45μmで、対をなす検査用コア電極7および接続用コア電極60の離間距離は160μmである。
【0287】
また上記と同様にして、検査用コア電極7および接続用コア電極60を5200個有する第2検査治具11b用の中継基板76bを製造した。
得られた中継基板76bは材質が液晶ポリマーで、縦横の寸法が190mm×130mm、厚みdが50μm、貫通孔4の直径r1が40μm、検査用コア電極7および接続用
コア電極60は総数が7200で、胴部25a、61の径r2が30μm、端子部25b、26bの径r3が50μm、胴部25a、61の長さLが95μm、検査用コア電極7および接続用コア電極60の移動距離(L−d)が45μmで、対をなす検査用コア電極7および接続用コア電極60の離間距離は160μmである。
(3)中継ピンユニット31
第1絶縁板34、中間保持板36、第2絶縁板35の材料として、固有抵抗が1×1010Ω・cm以上の絶縁性材料、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂よりなり、その厚みが1.9mmのものを用いた。
【0288】
そして、第1絶縁板34と中間保持板36との間の距離L1が36.3mm、第2絶縁板35と中間保持板36との間の距離L2が3mmとなるように、第1支持ピン33(直径2mm、長さ36.3mm)と、第2支持ピン37(直径2mm、長さ3mm)によって固定支持するようにするとともに、第1絶縁板34と第2絶縁板35との間に、下記の構成からなる図25の導電ピン32を移動自在となるように貫通孔83(直径0.4mm)に配置して作製した。
〔導電ピン〕
材質:金メッキ処理を施した真鍮
端部81aの寸法:外径0.35mm、全長2.1mm
中央部64の寸法外径0.45mm、全長41mm
基端部81bの寸法:外径0.35mm、全長2.1mm
この場合、第1支持ピン33の中間保持板36との第1の当接支持位置38Aと、第2支持ピン37の中間保持板36との第2の当接支持位置38Bは、図29に示したように格子状に配置した。
【0289】
なお、互いに隣接する第1の当接支持位置38Aの間の離間距離、第2の当接支持位置38Bの間の離間距離を17.5mmとした。
(4)テスター側コネクタ41
テスター側コネクタ41を、図1に示したように第5異方導電性シート42と、コネクタ基板43と、ベース板46とから構成した。
【0290】
なお、第5異方導電性シート42には、前述した第1異方導電性シート71と同様のものを用いた。
性能試験
1.最低プレス圧力の測定
作成した検査装置をレール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットし、検査装置に対して用意した被検査回路基板1をセットして、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力を100〜210kgfの範囲内において段階的に変化させ、各プレス圧力条件毎に各10回づつ、被検査回路基板1の被検査電極について、電流供給用電極を通じて1ミリアンペアの電流を印加したときの導通抵抗値を電圧測定用電極で測定した。
【0291】
測定された導通抵抗値が10Ω以上となった検査点(以下、「NG検査点」という。)を導通不良と判定し、総検査点におけるNG検査点の割合(以下、「NG検査点割合」という。)を算出し、NG検査点割合が0.01%以下となった最も低いプレス圧力を最低プレス圧力とした。
【0292】
この導通抵抗値の測定においては、一の導通抵抗値の測定が終了した後に測定に係るプレス圧力を開放して検査装置を無加圧状態に戻し、次の導通抵抗値の測定は再度、所定の大きさのプレス圧力を作用させることによって行った。
【0293】
NG検査点割合は、被検査回路基板1の上面被検査電極数は3600点、下面被検査電極数は2600点であり、各プレス圧力条件において10回の測定を行ったことから、式(3600+2600)×10=62000によって算出される62000点の検査点に占めるNG検査点の割合を示した。
【0294】
この場合、「最低プレス圧が小さい」とは、低いプレス圧力で被検査回路基板の電気的検査が行えることを意味している。
検査装置においては検査時の加圧圧力を低く設定できれば、検査時の加圧圧力による被検査回路基板および異方導電性シート並びに検査用回路基板の劣化が抑制できるばかりでなく、検査装置の構成部材として耐久強度の低い部品を使用することが可能となることから、検査装置の構造を小さくコンパクトにすることができる。
【0295】
その結果、検査装置の耐久性の向上および検査装置の製造のコスト削減が達成されることから、最低プレス圧は小さいことが好ましい。
最低プレス圧の測定結果を表1に示した。
2.異方導電性シートの耐久性の測定
作成した検査装置をレール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットし、検査装置に対して用意した被検査回路基板1をセットして、レール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力条件を110kgfとし、所定回数の加圧を行った後、被検査回路基板1の被検査電極について、プレス圧力110kgfの条件下にて、電流供給用電極を通じて1ミリアンペアの電流を印加したときの導通抵抗値を10回測定し、次いで所定回数の加圧を行い、同様に導通抵抗値を電圧測定用電極にて10回測定する作業を繰り返した。
【0296】
測定された導通抵抗値が10Ω以上となった検査点(NG検査点)を導通不良と判定し、総検査点におけるNG検査点の割合(NG検査点割合)を算出した。
次いで、検査装置における異方導電性シートを新しいものに交換し、プレス圧力条件を130kfgに変更したこと以外は上記と同様の条件によって所定回数の加圧を行い、上記と同様の手法でNG検査点割合を算出した。
【0297】
この異方導電性シートの耐久性に関する導通抵抗値の測定では、一の導通抵抗値の測定が終了した後に、測定に係るプレス圧力を開放して検査装置を無加圧状態に戻し、次の導通抵抗値の測定は再度、所定の大きさのプレス圧力を作用させることによって行った。
【0298】
この検査装置においては実用上、NG検査点割合が0.01%以下であることが必要とされている。
すなわち、NG検査点割合が0.01%を超える場合には、良品である被検査回路基板に対して不良品であるとの誤った検査結果が得られる場合があることから、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができなくなるおそれがある。
【0299】
異方導電性シートの耐久性の測定結果を表2に示した。
3.絶縁性の評価
以下のようにして、回路基板側コネクタ21におけるピッチ変換用基板72の対をなす接続電極25(電流用端子電極27および電圧用端子電極28)の間の絶縁抵抗を評価した。
【0300】
接続電極間の絶縁性の評価には、縦方向の長さ100mm、横方向の長さ100mm、厚さ0.8mmである、表面に絶縁性コートを施したガラスエポキシ基板を使用した。
作成した検査装置をレール搬送型回路基板自動検査機「STARREC V5」の検査部にセットし、検査装置に対して上記のガラスエポキシ基板をセットして、レール搬送型
回路基板自動検査機「STARREC V5」のプレス圧力を100〜210kgfの範囲内において段階的に変化させ、プレス圧力条件ごとに10回づつ、第1検査治具11a用のピッチ変換用基板72aに設けられた各々の対をなす接続電極25の間の絶縁抵抗を測定した。
【0301】
具体的には、対をなす接続電極25に対応する端子電極24を通じて1ミリアンペアの電流を印加しつつ、対をなす接続電極25の導通抵抗値を測定することによって、絶縁抵抗値を得た。
【0302】
測定された絶縁抵抗値が100Ω以上となった接続電極の対を絶縁良好と判定し、総検査点数に対する絶縁良好と判定された点の割合(以下「絶縁性合格点割合」という。)を算出した。
【0303】
第1検査治具11aにおけるピッチ変換用基板72aの接続電極25は、7200個が3600個の対となっている。すなわち3600個の接続電極の対が存在し、各プレス圧力条件において10回の測定を行ったことから、絶縁性合格点割合は、具体的には式(3600)×10=36000によって算出される36000点の検査点に占めるNG検査点の割合を示した。
【0304】
この検査装置においては、実用上は絶縁性合格点割合が99.9%以上であることが必要とされている。
すなわち、絶縁性合格点割合が99.9%未満の場合には、検査時において電流供給用電極として使用する接続電極から電圧測定用電極として使用する接続電極へリーク電流が流れることにより、良品である被検査回路基板に対して不良品であるとの誤った検査結果が得られる場合がある。
【0305】
このため、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができなくなるおそれがある。
絶縁性評価の結果を表3に示した。
[比較例1]
上記のピッチ変換用基板72の代わりに、
ガラス繊維補強型エポキシ樹脂からなる厚さ0.5mmの絶縁基板の両面全面に、厚みが18μmの銅からなる金属薄層を形成した積層材料(松下電工社製、品名:R−1766)に、数値制御型ドリリング装置によって、それぞれ積層材料の厚み方向に貫通する直径0.1mmの円形の貫通孔を合計で7200個形成した。
【0306】
この場合、貫通孔の形成は2個を一組として、評価用回路基板の上面側の被検査電極に対応する位置に形成し、一組の貫通孔は0.1mmの間隙を設けて形成した(すなわち、貫通孔A=0.1mmと貫通孔B=0.1mmの間の間隙=0.1mmとなるように設定することを意味する)。
【0307】
それ以外は実施例1のピッチ変換用基板と同様にして比較例用のピッチ変換用基板を製造した。
このピッチ変換用基板72は、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5mm、接続電極25の絶縁層表面から露出した部分の寸法が60μm×30μm、接続電極25の絶縁層表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続電極25間の離間距離が30μm、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmであった。
【0308】
また上記と同様にして、表面に5200個の接続電極25を有するとともに裏面に52
00個の端子電極24を有する、第2検査治具11b用のピッチ変換用基板72bを作製した。
【0309】
このピッチ変換用基板72bは、縦横の寸法が120mm×160mm、厚みが0.5mm、接続電極25における絶縁層の表面に露出した部分の寸法が60μm×30μm、接続電極25における絶縁層の表面からの突出高さが約30μm、対をなす接続電極間の離間距離が30μm、端子電極24の直径が0.4mm、端子電極24の配置ピッチが0.75mmのものである。
【0310】
そして、第1異方導電性シート71bとピッチ変換用基板72bに厚さ50μmの第2異方導電性シーと73のみを積層して回路基板側コネクタ21bとした以外は実施例1と同様の構成である検査装置を作製した。
【0311】
作製した比較用検査装置について、実施例1と同様な方法により、最低プレス圧および異方導電性シートの耐久性を測定した。
最低プレス圧の測定結果を表1に、異方導電性シートの耐久性の測定結果を表2に、絶縁性評価の結果を表3に示した。
【0312】
【表1】

【0313】
【表2】

【0314】
【表3】

【0315】
表1および表2から明らかなように、比較例の検査装置と比べて、実施例1の検査装置は最低プレス圧が低く、また異方導電性シートの耐久性も格段と向上した。
そして、表3の結果から明らかなように、実施例1の検査装置は接続電極間のリーク電流の発生がほとんど無い。
【0316】
したがって、信頼性の高い回路基板の電気的検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0317】
【図1】図1は、本発明の検査装置の実施形態を説明する断面図である。
【図2】図2は、図1の検査装置の検査使用時における積層状態を示した断面図である。
【図3】図3は、ピッチ変換用基板の回路基板側の表面を示した図である。
【図4】図4は、ピッチ変換用基板のピン側表面を示した図である。
【図5】図5は、ピッチ変換用基板、中継基板および被検査回路基板を積層した状態を示した部分断面図である。
【図6】図6は、図5に示した回路基板側コネクタにおける電極シートの要部を拡大して示した平面図である。
【図7】図7は、図5に示した回路基板側コネクタにおける電極シートの要部を拡大して示した説明用断面図である。
【図8】図8は、電極シートの製造方法を説明する概略断面図である。
【図9】図9(a)は、第1異方導電性シート(第5異方導電性シート)の部分断面図、図9(b)は、第2異方導電性シートの部分断面図である。
【図10】図10は、第4異方導電性シートの要部を拡大して示した説明用断面図である。
【図11】図11は、第4異方導電性シートの製造方法を説明する概略断面図である。
【図12】図12は、第4異方導電性シートの製造方法を説明する概略断面図である。
【図13】図13は、第4異方導電性シートを説明する概略断面図である。
【図14】図14は、第3異方導電性シートの要部を拡大して示した概略断面図である。
【図15】図15は、中継基板の要部を拡大して示した概略用断面図である。
【図16】図16は、中継基板の製造方法を説明する概略断面図である。
【図17】図17は、中継基板の製造方法を説明する概略断面図である。
【図18】図18は、中継基板の製造方法を説明する概略断面図である。
【図19】図19は、本発明の回路基板側コネクタを被検査回路基板の一面に配置した状態を説明する概略断面図である。
【図20】図20は、本発明の回路基板側コネクタを押圧した状態を説明する概略断面図である。
【図21】図21は、被検査電極と接続電極対との間に位置ずれが生じた状態を示した説明図である。
【図22】図22は、被検査回路基板の構成を示した説明用断面図である。
【図23】図23は、中継ピンユニットの断面図である。
【図24】図24は、中継ピンユニットの導電ピン、中間保持板および絶縁板の一部を示した断面図である。
【図25】図25は、中継ピンユニットの構成における他の例を示した図24と同様の断面図である。
【図26】図26は、図25の構成において第1絶縁板と第2絶縁板との間に導電ピンを配置するまでの工程を示した断面図である。
【図27】図27は、屈曲保持板を配置した中継ピンユニットの断面図である。
【図28】図28は、中継ピンユニットの中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面の部分拡大図である。
【図29】図29は、本発明の検査装置の実施形態を説明する部分拡大断面図である。
【図30】図30は、本発明の一実施形態における検査装置の使用状態を説明する部分拡大断面図である。
【図31】図31は、本発明の検査装置における中継ピンユニットの使用状態を説明する部分拡大断面図である。
【図32】図32は、本発明の一実施形態における検査装置の使用状態を説明する部分拡大断面図である。
【図33】図33は、本発明の検査装置における他の実施形態を説明する図29と同様な断面図である。
【図34】図34は、図33の中継ピンユニットの拡大断面図である。
【図35】図35は、本発明の検査装置の他の実施形態を説明する断面図である。
【図36】図36は、従来の検査装置の断面図である。
【図37】図37は、回路基板における電極間の電気抵抗を測定する従来の装置の構成図である。
【図38】図38は、従来の検査装置を説明する概略図である。
【図39】図39は、従来の検査装置を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0318】
1・・・被検査回路基板
2・・・一面側被検査電極
3・・・他面側被検査電極
4・・・貫通孔
6・・・レジスト膜
7・・・検査用コア電極
8a・・回路
8b・・回路
9・・・絶縁性支持シート
10A・・積層材料
10H・・貫通孔
11・・・絶縁性シート
11a・・第1検査治具
11b・・第2検査治具
12・・・貫通孔
13・・・リング状電極
14・・・中継電極
15・・・短絡部
16A・・金属層
16B・・配線部
17A・・導電性シート用材料層
17B・・導電性シート用材料
19・・・貫通孔
20A・・複合積層材料
20B・・積層材料
21・・・回路基板側コネクタ
21a・・回路基板側コネクタ
21b・・回路基板側コネクタ
23A・・金属層
23K・・開口
23B・・金属薄層
24・・・端子電極
24K・・パターン孔
25・・・接続電極
25a・・胴部
25b・・端子部
26b・・端子部
27・・・電流用端子電極
28・・・電圧用端子電極
30・・・一面側成形部材
31・・・中継ピンユニット
31a・・中継ピンユニット
31b・・中継ピンユニット
32・・・導電ピン
32a・・導電ピン
32b・・導電ピン
32K・・開口
33・・・第1支持ピン
33a・・第1支持ピン
33b・・第1支持ピン
34・・・第1絶縁板
34a・・第1絶縁板
34b・・第1絶縁板
35・・・第2絶縁板
35a・・第2絶縁板
35b・・第2絶縁板
36・・・中間保持板
36a・・中間保持板
36b・・中間保持板
37・・・第2支持ピン
37a・・第2支持ピン
37b・・第2支持ピン
38A・・第1の当接支持位置
38B・・第2の当接支持位置
39・・・保持板支持ピン
39b・・保持板支持ピン
41・・・テスター側コネクタ
41a・・テスター側コネクタ
41b・・テスター側コネクタ
42・・・第5異方導電性シート
42a・・第5異方導電性シート
42b・・第5異方導電性シート
43・・・コネクタ基板
43a・・コネクタ基板
43b・・コネクタ基板
46・・・ベース板
49・・・支持ピン
51・・・絶縁基板
52・・・配線
53・・・内部配線
54・・・絶縁層
60・・・接続用コア電極
61・・・胴部
62・・・他面側成形部材
63・・・スペーサー
64・・・中央部
65・・・加圧ロール
66・・・支持ロール
67・・・加圧ロール装置
71・・・第1異方導電性シート
71a・・第1異方導電性シート
71b・・第1異方導電性シート
72・・・ピッチ変換用基板
72a・・ピッチ変換用基板
72b・・ピッチ変換用基板
73・・・第2異方導電性シート
73a・・第2異方導電性シート
73b・・第2異方導電性シート
74・・・電極シート
74a・・電極シート
74b・・電極シート
75・・・第3異方導電性シート
75a・・第3異方導電性シート
75b・・第3異方導電性シート
76・・・中継基板
76a・・中継基板
76b・・中継基板
77・・・第4異方導電性シート
77a・・第4異方導電性シート
77b・・第4異方導電性シート
78・・・絶縁部
79・・・導電路形成部
80・・・導電性粒子
81・・・端部
81a・・端部
81b・・基端部
82・・・中央部
83・・・貫通孔
83a・・貫通孔
83b・・貫通孔
84・・・屈曲保持板
85・・・貫通孔
86・・・貫通孔
87・・・突出部
90A・・積層材料
90B・・複合積層材料
91・・・絶縁基板
91H・・貫通孔
92・・・剛性導体電極
92a・・胴部
92b・・端子部
93A・・金属層
93B・・金属薄層
93K・・開口
94・・・レジスト膜
94H・・パターン孔
101・・・被検査回路基板
102・・・被検査電極
111a・・検査治具
111b・・検査治具
121a・・回路基板側コネクタ
122a・・異方導電性シート
123a・・ピッチ変換用基板
131a・・中継ピンユニット
132a・・導電ピン
134a・・絶縁板
141a・・テスター側コネクタ
142a・・異方導電性シート
143a・・コネクタ基板
146a・・ベース板
200・・・被検査回路基板
202・・・被検査電極
206・・・電源装置
208・・・電気信号処理装置
300・・・被検査電極
302・・・電流供給用電極
304・・・電圧測定用電極
A・・・中間保持板投影面
B・・・貫通孔
D・・・離間距離
L・・・直径
L1・・距離
L2・・距離
P・・・導電性粒子
PA・・・電流供給用プローブ
PB・・・電圧測定用プローブ
PC・・・電圧測定用プローブ
PD・・・電流供給用プローブ
Q1・・対角線
Q2・・対角線
R1・・単位格子領域
R2・・単位格子領域
r1・・直径
r2・・径
r3・・径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行う回路基板の検査装置であって、
前記第1検査治具と前記第2検査治具がそれぞれ、
第1異方導電性シートと、
前記第1異方導電性シートの被検査回路基板側に配置され、基板の一面側と他面側との間で電極ピッチを変換するピッチ変換用基板と、
前記ピッチ変換用基板の被検査回路基板側に配置された第2異方導電性シートと、
前記第2異方導電性シートの被検査回路基板側に配置され、リング状電極に電気的に接続される検査用コア電極と中継電極に電気的に接続される接続用コア電極を有する絶縁性支持シートからなる中継基板と、
前記中継基板の被検査回路基板側に配置され、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔を有する第3異方導電性シートと、
前記第3異方導電性シートの被検査回路基板側に、電気抵抗を測定すべき被検査回路基板の被検査電極に対応するパターンに従って複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を包囲するよう複数の前記リング状電極が形成されるとともに前記リング状電極に電気的に接続された前記中継電極を裏面に有する柔軟な電極シートと、
前記電極シートの被検査回路基板側に設けられた第4異方導電性シートと、
を備えた回路基板側コネクタと、
一定ピッチで配置された複数の導電ピンと、
前記導電ピンを上下へ移動可能に支持する絶縁板と、
を備えた中継ピンユニットと、
テスターと前記中継ピンユニットとを電気的に接続するコネクタ基板と、
前記コネクタ基板の中継ピンユニット側に配置される第5異方導電性シートと、
前記コネクタ基板の中継ピンユニットとは逆側に配置されるベース板と、
を備えたテスター側コネクタと、
から構成されていることを特徴とする回路基板の検査装置。
【請求項2】
前記回路基板側コネクタの前記中継基板における前記検査用コア電極および前記接続用コア電極が、
絶縁性支持シートの厚み方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の検査装置。
【請求項3】
前記回路基板側コネクタが、
前記被検査回路基板における両面の前記被検査電極の各々に、前記回路基板側コネクタにおける前記電極シートの前記リング状電極および前記中継基板の前記検査用コア電極が同時に電気的に接続されて測定可能状態とされ、
この測定可能状態において、指定された1つの前記被検査電極に電気的に接続された前記検査用コア電極および前記リング状電極のうち、一方を電流供給用電極とし、他方を電圧測定用電極として用いることにより、指定された1つの前記被検査電極に係る電気抵抗の測定が実行されることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板の検査装置。
【請求項4】
前記中継ピンユニットが、
所定のピッチで配置された複数の前記導電ピンと、
前記導電ピンを軸方向へ移動可能に支持する一対の離間した第1絶縁板と第2絶縁板と、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間に配置された中間保持板と、
前記第1絶縁板と中間保持板との間に配置された第1支持ピンと、
前記第2絶縁板と中間保持板との間に配置された第2支持ピンと、
から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項5】
前記中継ピンユニットが、
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置と、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置とが、
中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の回路基板の検査装置。
【請求項6】
前記一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧した際に、
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第2絶縁板の方向に撓むとともに、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置を中心として、前記中間保持板が、前記第1絶縁板の方向に撓むように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の回路基板の検査装置。
【請求項7】
前記第1支持ピンの中間保持板に対する第1の当接支持位置が、
前記中間保持板投影面において格子状に配置され、
前記第2支持ピンの中間保持板に対する第2の当接支持位置が、前記中間保持板投影面において格子状に配置されており、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第1の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第2の当接支持位置が配置されるとともに、
前記中間保持板投影面において、隣接する4個の第2の当接支持位置からなる単位格子領域に、1個の第1の当接支持位置が配置されるように構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の回路基板の検査装置。
【請求項8】
前記中継ピンユニットが、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間に所定間隔離間して配置された複数個の中間保持板と、
隣接する前記中間保持板同士の間に配置された保持板支持ピンと、
を備えるとともに、
少なくとも1つの前記中間保持板において、前記中間保持板に対して一面側から当接する前記保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置と、
前記中間保持板に対して他面側から当接する第1支持ピン、第2支持ピン、または前記保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置とが、
前記中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項9】
全ての前記中間保持板において、
前記中間保持板に対して一面側から当接する保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置と、
前記中間保持板に対して他面側から当接する第1支持ピン、第2支持ピン、または保持板支持ピンの前記中間保持板に対する当接支持位置とが、
前記中間保持板の厚さ方向に投影した中間保持板投影面において異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の回路基板の検査装置。
【請求項10】
前記第1異方導電性シートが、
厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、
これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部と、
からなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより前記導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項11】
前記第5異方導電性シートが、
厚み方向に延びる複数の導電路形成部と、
これらの導電路形成部を互いに絶縁する絶縁部と、
からなり、導電性粒子が導電路形成部中にのみ含有され、これにより前記導電性粒子は面方向に不均一に分散されるとともに、シート片面側に導電路形成部が突出していることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項12】
前記複数の導電ピンは、
前記第1絶縁板と第2絶縁板との間の間隔よりも短い棒状の中央部と、
前記中央部の両端側に形成され前記中央部よりも径が小さい一対の端部とからなり、
前記一対の端部がそれぞれ、前記第1絶縁板と第2絶縁板とに形成された前記中央部よりも径が小さく前記一対の端部よりも径が大きい貫通孔に挿通され、
これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項13】
前記第1絶縁板と中間保持板との間、前記第2絶縁板と中間保持板との間、または中間保持板同士の間に、
前記導電ピンが挿通される貫通孔が形成された屈曲保持板が設けられ、
前記複数の導電ピンは、
前記第1絶縁板および第2絶縁板に形成された貫通孔と、
前記屈曲保持板に形成された貫通孔と、
を支点として互いに逆方向に横方向へ押圧されて前記屈曲保持板の貫通孔の位置で屈曲され、これにより前記導電ピンが軸方向へ移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項14】
前記被検査基板における両面の前記被検査電極が、ハンダボール電極であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の回路基板の検査装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の回路基板の検査装置を用いた回路基板の検査方法であって、
一対の第1検査治具と第2検査治具によって、両検査治具の間で検査対象である被検査回路基板の両面を挟圧して電気検査を行うことを特徴とする回路基板の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2007−64936(P2007−64936A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254970(P2005−254970)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】