回路基板の端子接続構造
【課題】回路基板と端子とを電気的に接続しつつ、部品点数を増加させることなく、回路基板に端子を機械的に接続することができる回路基板の端子接続構造を提供すること。
【解決手段】回路基板100と金属材料からなる端子200との接続構造であって、回路基板100は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材30と、絶縁基材30に設けられ、積層された導体パターン10と少なくとも一部が導体パターン10と電気的に接続される層間接続部20とを含む配線部と、を備える。そして、絶縁基材30の内部には端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続される。
【解決手段】回路基板100と金属材料からなる端子200との接続構造であって、回路基板100は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材30と、絶縁基材30に設けられ、積層された導体パターン10と少なくとも一部が導体パターン10と電気的に接続される層間接続部20とを含む配線部と、を備える。そして、絶縁基材30の内部には端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の端子接続構造の一例として、特許文献1に開示されるものがあった。
【0003】
この特許文献1においては、回路基板(プリント基板)と端子(ピン部)とは、弾性構造体を介して電気的に接続される。この弾性構造体は、電気抵抗の小さな材料からなり先端部が回路基板に電気的に接続される構造体と、この構造体の内部に設置されるものであり電気抵抗の小さな材料からなる弾性体とを備える。そして、この弾性体に端子を挿入することにより、回路基板と端子とが電気的に接続されるものである。このように、弾性体が弾性的に端子に嵌合するので、回路基板と端子との電気的な接続を確実に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−214340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、回路基板と端子とを電気的に接続するために弾性構造体が必要であり、部品点数が増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、回路基板と端子とを電気的に接続しつつ、部品点数を増加させることなく、回路基板に端子を機械的に接続することができる回路基板の端子接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、
回路基板と金属材料からなる端子との接続構造であって、
回路基板は、
少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
絶縁基材に設けられ、積層された導体パターンと、少なくとも一部が導体パターンと電気的に接続される層間接続部とを含む配線部と、を備え、
絶縁基材の内部には端子の一部が配置され、端子と配線部の一部とが電気的に接続されるとともに、端子における絶縁基材内に配置された部位に絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続されることを特徴とするものである。
【0008】
このようにすることによって、端子と配線部の一部とが電気的に接続しつつ、端子における絶縁基材内に配置された部位に絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板に端子を機械的に接続することができる。
【0009】
なお、この絶縁基材としては、熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなるものを採用することができる。また、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを交互に積層接着してなるものを採用することができる。また、このような回路基板は、例えば、加圧・加熱工程によって、一括で製造することができる。なお、この加圧・加熱工程時に端子における絶縁基材内に配置された部位に対して、絶縁基材内における熱可塑性樹脂を密着して接続することができる。
【0010】
また、請求項2に示すように、配線部における絶縁基材の内部に配置された部位と端子における絶縁基材の内部に配置された部位とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0011】
このようにすることによって、端子と配線部との接続部を熱可塑性樹脂にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。また、回路基板は、一方の面に端子が露出しない構造とすることができる。よって、表面に電子部品を実装する際の設計自由度や実装密度の向上を図ることができる。また、表面にべたの配線パターンを設けやすくすることもできる。
【0012】
なお、上述のように端子の一部が内部に配置された回路基板を被取付体(取付対象)に取り付ける場合、被取付体における回路基板の取付位置と端子の取付位置との位置ズレや、回路基板における端子の取付位置の位置ズレなどによって、回路基板に応力が加わる可能性がある。
【0013】
そこで、請求項3に示すように、絶縁基材は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部を端子の周辺に備えるようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、肉薄部によって上述のような応力を緩和することができる。
【0015】
また、請求項4に示すように、端子は、鉛直部と、鉛直部における端子の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した凸部とを備えるものであり、凸部を含む鉛直部の一部は、絶縁基材内に配置されるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、端子における絶縁基材内に配置された部位と絶縁基材との接触面積を増やすことができ、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0017】
また、請求項5に示すように、凸部は、前記鉛直部から垂直な方向に伸びる鍔部を含むようにしてもよい。また、請求項6に示すように、凸部は、らせん状に設けられたらせん状部を含むようにしてもよい。また、請求項7に示すように、端子は、凸部が複数設けられるようにしてもよい。
【0018】
さらに、請求項8に示すように、端子は、鉛直部と、鉛直部における端子の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部とを備えるものであり、粗面部を含む鉛直部の一部は、絶縁基材内に配置されるようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、端子における絶縁基材内に配置された部位と絶縁基材との接触面積を増やすことができ、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0020】
なお、この粗面部としては、請求項9に示すように、粗化めっき膜を採用することができる。
【0021】
また、請求項10に示すように、回路基板は、絶縁基材の内部に配置された端子の少なくとも側壁を囲い、所定電位に電気的に固定されるシールド部材を絶縁基材の内部に備えるようにしてもよい。
【0022】
このようにすることによって、端子から発生するノイズが回路基板内に伝達されることを抑制することができる。
【0023】
このシールド部材は、請求項11に示すように、配線部における導体パターンと層間接続部とによって構成されるようにしてもよい。
【0024】
このようにすることによって、回路基板を構成する部材(導体パターンと層間接続部)によってシールド部材を構成することができるので好ましい。
【0025】
しかしながら、シールド部材は、請求項12に示すように、金属材料からな筒状部材によって構成されるようにしてもよい。
【0026】
このようにすることによって、シールド効果をより一層向上させることができる。
【0027】
また、請求項13に示すように、絶縁基材は、端子が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚くなるようにしてもよい。
【0028】
このようにすることによって、端子における熱可塑性樹脂と密着して接続する部位を増やすことができるので、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0029】
また、請求項14に示すように、回路基板は、配線部と端子とを電気的に接続するノイズフィルター素子を含む接続部材を備えるものであり、
端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0030】
このように、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とを接続部材を介して電気的に接続し、その接続部材としてノイズフィルター素子を含むようにすることによって、端子とノイズフィルターとの距離を短くすることができるので好ましい。
【0031】
また、請求項15に示すように、回路基板は、配線部と端子とを電気的に接続するボンディングワイヤーを含む接続部材を備えるものであり、
端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0032】
このように、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とを接続部材を介して電気的に接続し、その接続部材としてボンディングワイヤーを含むようにすることによって、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と任意の配線部とを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における回路基板の製造方向を示す分解断面図である。
【図3】変形例1における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図4】変形例2における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図5】変形例3における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図6】変形例3における回路基板の部分断面図である。
【図7】変形例4における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図8】変形例4における回路基板の部分断面図である。
【図9】変形例5における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図10】変形例6における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図11】変形例7における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図12】(a),(b)は、変形例8における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図13】変形例9における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図14】変形例10における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図15】変形例11における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図16】変形例11における端子の概略構成を示す斜視図である。
【図17】変形例12における端子の概略構成を示す斜視図である。
【図18】変形例13における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図19】変形例14における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図20】変形例15における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図21】(a)〜(e)は、変形例16における端子の概略構成を示す側面図である。
【図22】変形例17における端子の概略構成を示す側面図である。
【図23】(a)〜(e)は、変形例18における端子の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、絶縁基材30の厚み方向(換言すれば、複数枚の樹脂フィルムの積層方向)を単に厚み方向と示し、該厚み方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。また、特に断りのない限り、厚さとは、厚み方向に沿う厚さを示すものとする。
【0036】
図1に示す回路基板100は、基本的な構成要素として、絶縁基材30、及び絶縁基材30に多層に設けられた導体パターン10(つまり、絶縁基材30を介して積層された導体パターン10)と、少なくとも一部が導体パターン10と電気的に接続される層間接続部20(つまり、異なる層の導体パターン10を接続する層間接続部20)とを含む配線部を備えている。また、回路基板100は、絶縁基材30の内部に端子200の一部を保持している。換言すると、回路基板100は、端子200の一部を絶縁基材30内に内蔵(埋設、配置)している。この端子200における絶縁基材30の内部に配置された部位(ここでは、先端面200a)と、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とが電気的に接続されている。
【0037】
なお、この回路基板100は、絶縁基材30の内部に埋設、すなわち内蔵され、配線部に電気的に接続された電子部品を備えることもできる。この絶縁基材30に内蔵する電子部品としては、例えば、縦型のMOSFETやIGBT、抵抗などを採用することができる。
【0038】
絶縁基材30は、電気絶縁材料からなり、この絶縁基材30以外の構成要素、図1に示す例では導体パターン10、層間接続部20、及び後ほど説明する端子200を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、端子200と配線部(層間接続部20)との接続部をその内部に保持(封止)して保護する機能を果たすものである。また、絶縁基材30は、上記構成要素に加えて、電子部品を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、電子部品をその内部に保持(封止)して保護する機能を果たすこともできる。
【0039】
この絶縁基材30は、主として樹脂を含むとともに、この樹脂として少なくとも熱可塑性樹脂を含むものであり、熱可塑性樹脂フィルムを含む複数枚の樹脂フィルムが積層され、加圧・加熱により接着・一体化されてなる。熱可塑性樹脂を含む理由は、後述する加圧・加熱工程にて一括で絶縁基材30を形成する際に、軟化した熱可塑性樹脂を接着材として利用するためである。
【0040】
このため、複数枚の樹脂フィルムとしては、積層状態で、少なくとも1枚おきに位置するように熱可塑性樹脂フィルム(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルム)を含めば良い。例えば熱可塑性樹脂フィルムのみを含む構成としても良いし、熱可塑性樹脂フィルムとともに熱硬化性樹脂フィルム(例えば、熱硬化性ポリイミド(PI))を含む構成としても良い。
【0041】
熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。同様に、熱硬化性樹脂フィルムとしては、熱硬化性樹脂とともに、上記無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱硬化性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。
【0042】
本実施の形態に係る絶縁基材30は、図2に示すように、厚み方向において、一面(表面30b)側から、熱可塑性樹脂フィルム31、熱可塑性樹脂フィルム32、熱可塑性樹脂フィルム33、熱可塑性樹脂フィルム34、熱可塑性樹脂フィルム35の順に計5枚の樹脂フィルムが積層されてなる。すなわち、熱可塑性樹脂フィルムが積層されて絶縁基材30が構成されている。
【0043】
また、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じた貫通孔を有する。つまり、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて型抜きされている。換言すると、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて部分的に切断(除去)されている。なお、この端子200の外形とは、端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の形状に相当するものである。つまり、図2に示すように、端子200を厚み方向に沿って配置する場合は、端子200における垂直方向の断面形状、すなわち端子200を垂直方向に切断した切断面の形状に相当するものである。また、この貫通孔を形成する樹脂フィルムの枚数は、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の長さに応じて決定されるものである。本実施の形態においては、図2に示すように、熱可塑性樹脂フィルム33〜35に貫通孔331,341,351が形成されている。
【0044】
配線部としての導体パターン10は、導体箔をパターニングしてなるものである。本実施の形態においては、導体パターン10として銅(Cu)箔を採用する例を用いて説明する。一方、配線部としての層間接続部20は、樹脂フィルムにおいて、厚み方向に沿って設けられたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストが充填され、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結してなるものである。つまり、この層間接続部20は、焼結体である。また、層間接続部20は、絶縁基材30の内部に配置されるものである。本実施の形態においては、層間接続部20として、Ag−Sn合金を採用する例を用いて説明する。
【0045】
また、層間接続部20は、回路基板100に複数設けられている。この複数の層間接続部20の一部の層間接続部20は、端子200とも電気的に接続されている。図1に示すように、本実施の形態においては、層間接続部20は、端子200における絶縁基材30内に配置された先端面200aと電気的に接続されている。なお、層間接続部20と端子200とは、直接電気的に接続されている。つまり、層間接続部20と端子200とは、電気的かつ機械的に接続されている。
【0046】
このように、層間接続部20を端子200における絶縁基材30内に配置された先端面200aと電気的に接続することによって、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部を熱可塑性樹脂にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0047】
なお、Cuからなる導体パターン10とAg−Sn合金からなる層間接続部20との界面には、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、導体パターン10と層間接続部20との接続信頼性が向上されている。
【0048】
一方、この回路基板100(層間接続部20)に接続される端子200は、例えば、円柱形状や四角柱形状などを有するとともに、先端面200a(層間接続部20と接続する部位)が平坦面をなし、鉄−ニッケル合金などの金属材料によって構成されるものを採用することができる。ただし、端子200の形状及び構成材料は、これに限定されるものではない。また、端子200の先端面200a(層間接続部20と接続する部位)は、層間接続部20との金属結合(金属拡散接合)ができるように、Ni(ニッケル)メッキなどの表面処理が施されていると好ましい。
【0049】
このような回路基板100と端子200においては、図1に示すように、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続される。換言すると、回路基板100と端子200とは、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されてなる接続構造をなすものである。具体的には、端子200における絶縁基材30内に配置された部位であって、層間接続部20が接続されている部分(先端面200aの少なくとも一部)を除く表面全体に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0050】
つまり、端子200は、自身の一部が回路基板100(絶縁基材30)の内部に配置(内蔵、埋設)されるとともに回路基板100(絶縁基材30)の一方の面(裏面30a)から厚み方向に回路基板100(絶縁基材30)の外部に突出している。また、端子200(先端面200aの少なくとも一部)と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0051】
このようにすることによって、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続しつつ、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。
【0052】
次に、図2に基づいて、上記した回路基板100と端子200との製造方法(つまり、回路基板の端子接続方法)について説明する。なお、図2においては、符号20は、層間接続部を構成する導電性ペーストであるが、便宜上、層間接続部と同じ符号を付与している。
【0053】
先ず、積層体を加圧・加熱して回路基板100を形成すべく、積層体を構成する要素を準備する。本実施形態では、上記したように、熱可塑性樹脂フィルム(樹脂フィルム)31〜35として、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用する。
【0054】
この準備工程では、PALAP(登録商標)として知られる一括積層法で周知のごとく、一括積層する前に、絶縁基材30を構成する熱可塑性樹脂フィルム31〜35に対して、導体パターン10を形成したり、焼結により層間接続部20となる導電性ペースト20をビアホールに充填したりしておく。また、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の熱可塑性樹脂フィルム(ここでは、熱可塑性樹脂フィルム33〜35)には、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の外形に応じた貫通孔331,341,351を形成しておく。この導体パターン10、貫通孔331,341,351、及び導電性ペースト20が充填されるビアホールの配置は、上記した端子200を設ける位置などに応じて適宜決定される。
【0055】
特に、貫通孔331,341,351は、この貫通孔331,341,351に配置される端子200に電気的に接続させる導電性ペースト20に対応する位置に設けられる。つまり、熱可塑性樹脂フィルム31〜35を積層した状態で、貫通孔331〜351に配置される端子200に電気的に接続させる導電性ペースト20に対向する位置に設けられる。換言すると、後ほど説明する積層工程において、貫通孔331,341,351に配置した端子200と、この端子200の先端面200aに電気的に接続させる導電性ペースト20とが対向するように位置決めして設けられる。
【0056】
なお、PALAPは株式会社デンソーの登録商標である。また、回路基板100の基本的な構成や製造方法は、特に断りのない限り、本出願人がこれまで出願してきたPALAPに関する構成を適宜採用することができる。
【0057】
導体パターン10は、樹脂フィルムの表面に貼り付けた導体箔をパターニングすることで形成することができる。絶縁基材30を構成する複数枚の樹脂フィルムとしては、導体パターン10を有する樹脂フィルムを含めばよく、例えば全ての樹脂フィルムが導体パターン10を有する構成や、一部の樹脂フィルムが導体パターン10を有さない構成も採用することができる。また、導体パターン10を有する樹脂フィルムとしては、片面のみに導体パターン10を有する樹脂フィルム、積層方向における両面に導体パターン10を有する樹脂フィルムのいずれも採用することができる。
【0058】
一方、導電性ペースト20は、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。そして、炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペースト20をビアホール内に充填する。ビアホールは、上記導体パターン10を底面として形成しても良いし、導体パターン10の無い位置に、ビアホールを形成しても良い。
【0059】
導体パターン10上にビアホールを形成する場合、導体パターン10が底となるため、ビアホール内に導電性ペースト20を留めることができる。一方、導体パターン10を有さない樹脂フィルム、又は、導体パターン10を有しながらも、導体パターン10の形成位置とは異なる位置にビアホールを形成する場合には、底のないビアホール内に導電性ペースト20を留めるために、本出願人による特願2008-296074号に記載の導電性ペースト20を用いる。また、この導電性ペースト20を充填する装置(方法)としては、本出願人による特願2009−75034号に記載の装置(方法)を採用すると良い。
【0060】
この導電性ペースト20は、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト20も固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
【0061】
次に、積層体を形成する積層工程を実施する。この工程では、図2に示すように、貫通孔331,341,351内に端子200を配置した状態で、上述のように準備した熱可塑性樹脂フィルム31〜35を積層方向における一端側からこの順番で積層して積層体とする。このとき、貫通孔331,341,351内に配置された端子200の先端面200aと、この端子200に電気的に接続される導電性ペースト20とが対向する。また、貫通孔331,341,351が設けられた熱可塑性樹脂フィルム33〜35は、貫通孔331,341,351に端子200を配置するために表層から順番に積層される。つまり、熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、貫通孔331,341,351が外部に露出するような順番で積層される。
【0062】
なお、樹脂フィルムとして熱硬化性樹脂フィルムを含む場合は、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムが、少なくとも1枚おきに位置するように積層する。つまり、熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとを交互に位置するように積層する。
【0063】
次いで、真空熱プレス機を用いて積層体を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。つまり、積層体における熱可塑性樹脂フィルム31〜35及び端子200を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。なお、本実施の形態においては、回路基板100から端子200が突出した構造を有するため、真空熱プレス機の上下のプレス型300の一方には、端子200が挿入される貫通孔310を備える。
【0064】
この工程では、熱可塑性樹脂を軟化させて複数枚の熱可塑性樹脂フィルム31〜35を一括で一体化するとともに端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位に熱可塑性樹脂を密着して接続しつつ、導電性ペースト20中の導電性粒子を焼結体として、該焼結体と導体パターン10を有した配線部を形成するとともに導電性ペースト20と端子200の先端面200aとを電気的に接続する。つまり、軟化した熱可塑性樹脂を接着材として利用する。
【0065】
なお、この加圧・加熱工程では、樹脂フィルムを一括で一体化して絶縁基材30とするとともに、導電性ペースト20中の導電性粒子を焼結体とするために、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度、数MPaの圧力を所定時間保持する。本実施形態では、280℃〜330℃のプレス温度、4〜5MPaの圧力を5分以上(例えば10分)保持する。
【0066】
ここで、加圧・加熱工程における、樹脂フィルム部分の接続について説明する。積層された熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、隣接する熱可塑性樹脂フィルム31〜35に密着する。これにより、複数の熱可塑性樹脂フィルムが一括で一体化し、絶縁基材30が形成される。
【0067】
また、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位に隣接する熱可塑性樹脂フィルム32〜35は、加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動し、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位であって、層間接続部20が接続されている部位を除く表面全体に密着する。
【0068】
つまり、加圧・加熱工程前においては、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位と熱可塑性樹脂フィルム32〜35との間は隙間がある。しかしながら、この隙間は、加圧・加熱工程後には熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)によって埋められる。このようにして、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部など、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位を熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0069】
なお、熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとを交互に位置するように積層する場合は、1枚おきに配置された熱可塑性樹脂フィルムは、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルムは、隣接する熱硬化性樹脂フィルムに密着する。これにより、複数の樹脂フィルム(熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルム)が一括で一体化し、絶縁基材30が形成される。また、この場合、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位と熱硬化性樹脂との間の隙間は、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂が加圧・加熱工程時に加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動して、この熱可塑性樹脂によって埋められる。
【0070】
次に、加圧・加熱工程において、端子200(先端面200a)、導体パターン10、層間接続部20の接続について説明する。上記加熱により、導電性ペースト20中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト20中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト20に圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続部20がビアホール内に形成される。
【0071】
さらに、溶融したSnは、導体パターン10を構成するCuとも相互拡散する。これにより、層間接続部20と導体パターン10の界面に金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成される。また、溶融したSnは、端子200(先端面200a)を構成するNi、又は表面処理(ニッケルメッキ)によって端子200(先端面200a)に形成されたNiとも相互拡散する。これにより、層間接続部20と端子200との界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
【0072】
以上により、図1に示すように、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されてなる回路基板100の端子200接続構造を得ることができる。
【0073】
このようにすることによって、回路基板100を製造する工程(積層工程及び加圧・加熱工程)において、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続しつつ、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。つまり、回路基板100を製造する際に、一括で端子200と配線部の一部(層間接続部20)とを電気的に接続しつつ、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。よって、回路基板100の端子200接続方法を簡素化することができ、製造時間を短縮することができる。
【0074】
さらに、回路基板100を製造する工程(積層工程及び加圧・加熱工程)において、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部など、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位を熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0075】
(変形例1)
また、図3に示すように、変形例1として、回路基板101は、表面30b(一方の面)に電子部品50(例えば、ノイズフィルター素子(フィルター素子))を実装するようにしてもよい。変形例1は、表面30b(一方の面)に電子部品50を実装されている点が上述の実施の形態と異なる。
【0076】
なお、変形例1においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0077】
上述のように、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、回路基板101は、表面30b(一方の面)に端子200が露出しない構造とすることができる。従って、図3に示すように、表面30bに電子部品50を実装する際の設計自由度や実装密度の向上を図ることができる。なお、電子部品50は、接続部51を介して絶縁基材30の表面に露出した導体パターン10に電気的に接続する。
【0078】
(変形例2)
また、図4に示すように、変形例2として、回路基板102は、表面30b(一方の面)にべたの配線パターン(広範囲に形成され、所定電位(例えば、グランド)に電気的に固定された配線パターン)を設けるようにしてもよい。変形例2は、表面30b(一方の面)にべたの配線パターンを有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0079】
なお、変形例2においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0080】
上述のように、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、回路基板101は、表面30b(一方の面)に端子200が露出しない構造とすることができる。従って、図4に示すように、表面30bにべたの配線パターンを設けやすくすることができる。このように、回路基板102の表面30b(一方の面)にべたの配線パターン(所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定された配線パターン)を設けることによって、シールド性を向上させることができる。
【0081】
(変形例3)
また、図5,6に示すように、変形例3として、回路基板103は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の少なくとも側壁を囲い、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定されたシールド部材を絶縁基材30の内部に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板103は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の周囲に、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定されたシールド部材を絶縁基材30の内部に備えるようにしてもよい。また、このシールド部材は、絶縁基材30によって端子200と絶縁されている。変形例3は、このシールド部材を有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0082】
なお、変形例3においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0083】
回路基板103は、シールド部材として、複数層(ここでは、3層)積層されたシールド用導体パターン11と、このシールド用導体パターン11を層間接続する複数(ここでは、各層間に8個で合計16個)のシールド用層間接続部21と、シールド用導体パターン11をグランドに接続するための複数層(ここでは、3層)積層されたグランド接続用導体パターン12と、シールド用導体パターン11とグランド接続用導体パターン12及びグランド接続用導体パターン12間を接続するグランド接続用層間接続部22とを備える。そして、シールド用導体パターン11とシールド用層間接続部21は、グランド接続用層間接続部22を介して、グランド電位に固定されたグランド接続用導体パターン12に接続されている。
【0084】
また、図6に示すように、変形例3における、シールド用導体パターン11は、所定の幅(垂直方向における幅)を有して環状に形成されている。そして、シールド用導体パターン11は、環状の内部に絶縁基材30を介して端子200が位置して、その端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。なお、シールド用導体パターン11の形状は、これに限定されるものではない。
【0085】
また、シールド用層間接続部21は、シールド用導体パターン11に等間隔に接続されている。そして、シールド用層間接続部21は、絶縁基材30を介して端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。ただし、シールド用層間接続部21の配置は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、これらのシールド用導体パターン11、シールド用層間接続部21、グランド接続用導体パターン12、グランド接続用層間接続部22は、上述の実施の形態と同様な材料、方法で形成することができる。
【0087】
なお、このシールド用導体パターン11の層数やグランド接続用導体パターン12の層数は、上述の層数に限定されるものではない。また、シールド用導体パターン11間に設けられるシールド用層間接続部21の個数やグランド接続用層間接続部22の個数は、上述の個数に限定されるものではない。シールド用導体パターン11間に設けられるシールド用層間接続部21の個数は、多ければ多いほどシールド性を向上させることができる。
【0088】
このようにすることによって、端子200から発生するノイズが回路基板103内に伝達されることを抑制することができる。また、このようにすることによって、回路基板103を構成する部材(導体パターンと層間接続部)によってシールド部材を構成することができるので好ましい。
【0089】
(変形例4)
また、図7,8に示すように、変形例4として、シールド部材は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の少なくとも側壁を囲い、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定された筒状部材60を含むようにしてもよい。また、この筒状部材60は、絶縁基材30によって端子200と絶縁されている。変形例4は、シールド部材の構造が上述の変形例3と異なる。
【0090】
なお、変形例4においては、上述の変形例3と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態や変形例3と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0091】
回路基板103は、シールド部材として、筒状部材60と、この筒状部材60をグランドに接続するためのグランド接続用導体パターン12と、筒状部材60とグランド接続用導体パターン12を接続するグランド接続用層間接続部22とを備える。そして、この筒状部材60は、図7に示すように、グランド接続用層間接続部22を介して、グランド電位に固定されたグランド接続用導体パターン12に接続されている。
【0092】
この筒状部材60は、内部に絶縁基材30を介して端子200が位置して、その端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。つまり、筒状部材60は、絶縁基材30の厚み方向(つまり、筒状部材60の長手方向、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向)に貫通する穴が設けられている。そして、この穴には、端子200が配置されている。また、この穴に配置された端子200と、筒状部材60との間は、絶縁基材30で埋められている。
【0093】
また、図8に示すように、変形例4における、筒状部材60は、絶縁基材30の厚み方向(つまり、筒状部材60の長手方向、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向)に連続的に開口部61が設けられている。すなわち、連続的に切れ目が設けられている。換言すると、筒状部材60は、断面C字形状を有している。
【0094】
このように、筒状部材60に開口部61を設けるのは、端子200に接続された層間接続部20と他の配線部と電気的に接続するためである。つまり、回路基板104における配線の引き回しをしやすくするためである。
【0095】
また、上述のような方法によって回路基板104を製造する場合、樹脂フィルムに筒状部材60が配置される貫通孔を設ける必要がある。そこで、筒状部材60に開口部61を設けることによって、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムにおいて、筒状部材60と端子200との間に配置される部分とその他の部分とを一体にすることができる。
【0096】
なお、筒状部材60は、必ず開口部61を設けなくてはいけないというわけではない。つまり、開口部61を有さない筒状部材とすることもできる。この場合、筒状部材の先端部(つまり、絶縁基材30の厚み方向の先端部、筒状部材60の長手方向の先端部、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向の先端部)と絶縁基材30の一面(例えば、表面30b)との間において、端子200に接続された層間接続部20と他の配線部とを接続する。また、端子200と筒状部材との間に配置される絶縁基材は、積層工程時に、端子200が配置される貫通孔を有した樹脂フィルムを筒状部材の内部に配置しておくことによって設けることがでる。
【0097】
このようにすることによって、端子200から発生するノイズが回路基板104内に伝達されることを抑制することができる。また、このようにすることによって、導体パターンと層間接続部で端子200を囲う場合よりも(変形例3よりも)、シールド効果を向上させることができる。
【0098】
(変形例5)
また、図9に示すように、変形例5として、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の一方の表面(ここでは、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の表面が凹んだ凹部36が形成されることによって、肉薄部36aが端子の周辺に形成されるようにしてもよい。変形例5は、この肉薄部36aを有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0099】
なお、変形例5においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0100】
上述のように端子200の一部が内部に配置された回路基板100を被取付体(取付対象)に取り付ける場合、被取付体における回路基板100の取付位置と端子200の取付位置との位置ズレや、回路基板100における端子200の取付位置の位置ズレなどによって、回路基板100に応力が加わる可能性がある。また、絶縁基材30を構成する材料と端子200を構成する材料との熱膨張係数の差によっても回路基板100に応力が加わる可能性がある。
【0101】
そこで、図9に示すように、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。本実施の形態においては、回路基板105(絶縁基材30)における端子200が突出している方の面(裏面30a)のみに凹部36を形成して肉薄部36aを設けている。また、凹部36は、端子200と隣り合う配線部(すなわち、垂直方向において端子200と隣り合う配線部)との間に設けると好ましい。
【0102】
また、肉薄部36aは、回路基板105(絶縁基材30)の複数の側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に連続的に設けると好ましい。また、肉薄部36aは、回路基板105(絶縁基材30)の対向する側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に直線状かつ連続的に設けるようしてもよいし、対向しない側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に屈曲部(垂直方向に屈曲した部分)を含みかつ連続的に設けるようしてもよい。
【0103】
なお、このような肉薄部36aは、加圧・加熱工程前において、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムのうち、絶縁基材30の凹ませる側の表層(つまり、凹部36を形成する側の表層であり、ここでは裏面30a)から所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に(凹部36の形成位置及び形状に応じて)除去することによって形成することができる。つまり、所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に(凹部36の形成位置及び形状に応じて)厚さ方向に貫通させることによって形成することができる。なお、部分的に除去する樹脂フィルムの枚数(上記所定枚数)は、凹ませる深さによって決定されるものである。また、凹ませる深さが一枚の樹脂フィルムの厚さよりも浅い場合は、樹脂フィルムに貫通孔を設ける必要はなく、絶縁基材30の表層となる樹脂フィルムを凹ませるようにしてもよい。また、加圧・加熱工程後において、絶縁基材30を穿つことによって形成するようにしてもよい。このようにすることによって、肉薄部36aによって上述のような応力を緩和することができる。
【0104】
(変形例6)
また、図10に示すように、変形例6として、回路基板106(絶縁基材30)は、自身の両面(表面30b、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板106(絶縁基材30)は、自身の裏面30aが凹んだ裏面側凹部361、自身の表面30bが凹んだ表面側凹部362が形成されることによって、肉薄部36aが端子の周辺に形成されるようにしてもよい。このようにすることによっても、肉薄部36aによって上述のような応力を緩和することができる。
【0105】
なお、変形例6は、回路基板106(絶縁基材30)の両面(表面30b、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを備える点が変形例5と異なる。その他の点に関しては、変形例5と同様であるため図面において同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0106】
(変形例7)
また、図11に示すように、変形例7として、回路基板107(絶縁基材30)は、端子200が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚くなるようにしてもよい。換言すると、回路基板107(絶縁基材30)は、自身の少なくとも一方の表面(ここでは、裏面30a)が部分的に厚み方向に突出して肉厚となった肉厚部37に端子200が配置されるようにしてもよい。変形例7は、この肉厚部37を有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0107】
なお、変形例7においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0108】
この肉厚部37は、回路基板107(絶縁基材30)における端子200が突出する側に設けられる。また、端子200の断面積(端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の面積)よりも広い範囲に設けられる。
【0109】
また、肉厚部37の平面形状(垂直方向に切断した切断面の形状)は、例えば、端子200の断面形状(端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の形状)と同一とすることができる。ただし、特にこれに限定されるものではない。
【0110】
そして、端子200における絶縁基材30(肉厚部37を含む)内に配置された部位は、層間接続部20が接続されている部分を除く表面全体に絶縁基材30(肉厚部37を含む)内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0111】
なお、このような肉厚部37は、加圧・加熱工程前において、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムのうち、絶縁基材30を突出させる側の表層(つまり、肉厚部37を形成する側の表層であり、ここでは裏面30a)から所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に除去(肉厚部37とする部分以外の部分を除去)することによって形成することができる。なお、部分的に除去する樹脂フィルムの枚数(上記所定枚数)は、突出せる高さによって決定されるものである。
【0112】
このようにすることによって、端子200における熱可塑性樹脂と密着して接続する部位を増やすことができるので、端子200が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0113】
(変形例8)
また、変形例8として、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、図12(a)に示すように、回路基板108は、厚み方向における端子200の上側に導体パターン10が複数層積層(ここでは、4層)されていてもよいし、回路基板109は、図12(b)に示すように、厚み方向における端子200の上側に導体パターン10が1層だけ配置されていてもよい。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板110の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の樹脂フィルムに対して、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0114】
よって、端子200は、絶縁基材30への内蔵深さを用途に応じて自由に変更することができる。換言すると、端子200における絶縁基材30の内部に配置される長さを自由に変更することができる。なお、変形例8においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0115】
(変形例9)
また、図13に示すように、変形例9として、回路基板110は、複数の端子(ここでは、端子201〜203)が接続されるようにしてもよい。換言すると、回路基板110は、複数の端子(ここでは、端子201〜203)が一方の面(ここでは、裏面30a)から突出するように設けられるにしてもよい。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板110の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の各樹脂フィルムには、接続する端子の個数に応じて、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0116】
なお、変形例9は、この複数の端子が設けられている点が上述の実施の形態と異なる。また、変形例9においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0117】
(変形例10)
また、図14に示すように、変形例10として、回路基板111は、複数の端子が両面(表面30b,裏面30a)に接続されるようにしてもよい。換言すると、回路基板111は、複数の端子(ここでは、端子201〜205)が両面(表面30b,裏面30a)から突出するように設けられるようにしてもよい。ここでは、端子201〜203が裏面30aから突出しており、端子204,205が表面30bから突出している。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板111の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の各樹脂フィルムには、接続する端子の個数に応じて、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0118】
なお、変形例10は、この複数の端子が回路基板111の両面から突出するように設けられている点が上述の実施の形態と異なる。また、変形例10においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0119】
(変形例11)
また、図15,16に示すように、変形例11として、回路基板112(絶縁基材30)は、端子206に設けられた鍔部2062を内部に配置するようにしてもよい。変形例11は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例11においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0120】
図16に示すように、端子206は、鉛直部2061と、この鉛直部2061から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2061の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2062とを備える。換言すると、端子206は、釘形状をなすものである。この鉛直部2061、鍔部2062は、ともに円柱形状をしている。しかし、鍔部2062の直径は、鉛直部2061の直径よりも大きい。また、鍔部2062の先端の平面(先端面200a)は、層間接続部20が電気的に接続される部位である。
【0121】
なお、ここでは、鍔部2062は、鉛直部2061の先端から垂直な方向に伸びる例を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。鍔部2062は、鉛直部2061の先端以外の部位から垂直な方向に伸びるようにしてもよい。この場合、鉛直部2061の先端の平面(先端面200a)が、層間接続部20が電気的に接続される部位となる。
【0122】
そして、図15に示すように、回路基板112(絶縁基材30)は、この端子206における鉛直部2061の一部と鍔部2062が内部に配置される。このように、鍔部2062を絶縁基材30内に配置することによって、端子206が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0123】
(変形例12)
また、図17に示すように、変形例12として、端子206は、四角柱形状の鉛直部2061と、この鉛直部2061から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2061に対する垂直な方向である)に伸びる四角柱形状の鍔部2062とを備えるようにしてもよい。このようにしても、鍔部2062を絶縁基材30内に配置することによって、端子206が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0124】
なお、変形例12は、端子の形状が変形例11と異なる。その他の点に関しては、変形例11と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0125】
(変形例13)
また、図18に示すように、変形例13として、回路基板113は、配線部と端子200とを電気的に接続する接続部材(ここでは、電子部品であるフィルター素子(ノイズフィルター素子)50と接続部51)を備えるものであり、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(絶縁基材30の外部に露出した導体パターン10)とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。このようにすることによって、端子200とフィルター素子50との距離を短くすることができるので好ましい。
【0126】
なお、変形例13は、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(導体パターン10)とがフィルター素子50と接続部51とを介して電気的に接続される点が上述の実施の形態と異なる。その他の点に関しては、上述の実施の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0127】
(変形例14)
また、図19に示すように、変形例14として、回路基板114は、配線部と端子200とを電気的に接続する接続部材(ここでは、ボンディングワイヤー70)を備えるものであり、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(絶縁基材30の外部に露出した導体パターン10)とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。このようにすることによって、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と任意の配線部(導体パターン10)とを接続することができる。
【0128】
なお、変形例14は、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(導体パターン10)とがボンディングワイヤー70を介して電気的に接続される点が上述の実施の形態と異なる。その他の点に関しては、上述の実施の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0129】
(変形例15)
なお、上述の実施の形態、及び変形例1〜14においては、回路基板100〜114の裏面30a、又は表面30bと裏面30aから端子が突出する例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図20に示すように、変形例15として、回路基板115の側壁から端子200が突出するようにしてもよい。この場合、端子200における絶縁基材30の内部に配置された側壁200bと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とが電気的に接続される。
【0130】
なお、ここまで説明した実施の形態、及びその変形例1〜15は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0131】
(変形例16)
また、図21(a)〜(e)に示すように、変形例16として、端子207〜211は、鉛直部2071〜2111と、この鉛直部2071〜2111における端子207〜211の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に隣り合う部位より突出した凸部を備えるようにしてもよい。また、回路基板100(絶縁基材30)は、端子207〜211に設けられた凸部を内部に配置する。変形例16は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例16においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態と同様な点については説明を省略する。
【0132】
一例として、図21(a)に示すように、端子207は、鉛直部2071と、この鉛直部2071における端子207の軸周りの側壁に隣り合う部位よりらせん状に突出して設けられた凸部(らせん状部)207aとを備える。つまり、端子207は、らせん状の凸部207aを備える。換言すると、らせん状の凸部207aは、端子207の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、らせん状の凸部207aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、らせん状の凸部207a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0133】
そして、端子207は、らせん状の凸部207aを含む鉛直部2071の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0134】
このようにすることによって、端子207における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子207が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0135】
なお、鉛直部2071における端子207の軸周りの側壁にらせん状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、らせん状の凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0136】
また、その他の例として、図21(b)に示すように、端子208は、鉛直部2081と、この鉛直部2081における端子208の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の四角錐形状の凸部208aとを備える。換言すると、凸部208aは、端子208の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、凸部208aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部208a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0137】
なお、この凸部208aの形状は、四角錐に限定されるものではない。三角錐、四角柱、又は三角柱など様々な形状を採用することもできる。
【0138】
そして、端子208は、凸部208aを含む鉛直部2081の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0139】
このようにすることによっても、端子208における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子208が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0140】
なお、鉛直部2081における端子208の軸周りの側壁に四角錐、三角錐、四角柱、又は三角柱などの形状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0141】
また、その他の例として、図21(c)に示すように、端子209は、鉛直部2091と、この鉛直部2091における端子209の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の鍔状の凸部209aとを備える。つまり、凸部209aは、端子209の鉛直部2091と同軸となるように突出した環状の部位である。換言すると、鍔状(環状)の凸部209aは、端子209の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、鍔状の凸部209aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部209a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0142】
そして、端子209は、鍔状の凸部209aを含む鉛直部2091の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0143】
このようにすることによっても、端子209における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子209が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0144】
なお、鉛直部2091における端子209の軸周りの側壁に環状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0145】
また、その他の例として、図21(d)に示すように、端子210は、鉛直部2101と、この鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の直線状の凸部210aとを備える。この各凸部210aは、端子210の軸方向に伸びるものである。換言すると、直線状の凸部210aは、端子210の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、端子210は、鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁にストライプ状の凸部210aを備えると言い換えることができる。さらに、直線状の凸部210aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部210a)より窪んだ凹部とも言い換えることもできる。
【0146】
そして、端子210は、直線状の凸部210aを含む鉛直部2101の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0147】
このようにすることによっても、端子210における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子210が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0148】
なお、鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁に直線状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0149】
また、その他の例として、図21(e)に示すように、端子211は、鉛直部2111と、この鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁の隣り合う部位より突出した一つの凸部2112とを備える。この凸部2112は、鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁から垂直方向(この垂直な方向は、鉛直部2111の軸に対する垂直な方向である)に突出している。換言すると、直線状の凸部210aは、端子210の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、この凸部2112は、端子211の先端部位から突出している例を採用しているが、その他の部位から突出するようにしてもよい。また、凸部210aは、鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁から傾斜して突出するようにしてもよい。
【0150】
そして、端子211は、凸部2112を含む鉛直部2111の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0151】
このようにすることによっても、端子211における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子211が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0152】
なお、このように端子207〜211は、凸部207a〜210a、2112を備えるものである。よって、端子207〜211は、鉛直部2071〜2111と、鉛直部2071〜2111における端子207〜211の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に凸凹形状に形成された凸凹部を備えると言い換えることもできる。
【0153】
また、この変形例16における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜15に適用することができる。なお、以下で説明する変形例18において、この変形例16における端子と、変形例11,12における端子とを組み合わせた一例を示す。
【0154】
(変形例17)
また、図22に示すように、変形例17として、端子212は、鉛直部2121と、この鉛直部2121における端子212の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に粗化処理された粗面部212aを備えるようにしてもよい。つまり、回路基板100(絶縁基材30)は、端子212に設けられた粗面部212aを内部に配置するようにしてもよい。変形例17は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例17においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態と同様な点については説明を省略する。
【0155】
図22に示すように、端子212は、粗面部212aを含む鉛直部2121の一部が絶縁基材30内に配置される。この粗面部212aは、端子212における粗面部212a以外の部位よりも粗化された部位であり、例えば、粗化めっき処理によって粗化された粗化めっき膜や、サンドブラストによって粗化された粗面部を採用することができる。この粗化めっき処理やサンドブラスなどは、周知技術であるため詳しい説明は省略する。
【0156】
なお、粗面部212aは、微視的には凸凹した部位である。よって、端子212は、鉛直部2121と、この鉛直部2071における端子212の軸周りの側壁に凸凹形状に形成された凸凹部を備えると言い換えることもできる。
【0157】
そして、端子212は、粗面部212aを含む鉛直部2121の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0158】
このようにすることによって、端子212における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子207が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0159】
なお、上述の変形例11や16における端子においても、粗面部を設けるようにしてもよい。例えば、鍔部を粗化処理することによって、鍔部の表面を粗面部としたり、凸部及び凸部の周辺を粗化処理することによって、凸部及び凸部の周辺を粗面部としたりしてもよい。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0160】
また、この変形例17における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜15に適用することができる。なお、以下で説明する変形例18において、この変形例17における端子と、変形例11,12における端子とを組み合わせた一例を示す。
【0161】
(変形例18)
また、変形例18として、端子は、上述の変形例11で示した鍔部と変形例16で示した凸部、又は上述の変形例11で示した鍔部と変形例17で示した粗面部を備えるようにしてもよい。つまり、変形例11における端子と変形例16における端子、又は、変形例11における端子と変形例17における端子を組み合わせて実施するようにしてもよい。なお、変形例18においては、上述の実施の形態や変形例と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態や変形例と同様な点については説明を省略する。
【0162】
例えば、図23(a)に示すように、端子213は、鉛直部2131と、この鉛直部2131における端子213の軸周りの側壁に隣り合う部位よりらせん状に突出して設けられた凸部(らせん状部)213aと、鉛直部2131から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2131の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2132とを備える。
【0163】
そして、端子213は、鍔部2132及び凸部213aを含む鉛直部2131の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0164】
また、図23(b)に示すように、端子214は、鉛直部2141と、この鉛直部2141における端子214の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の凸部214aと、鉛直部2141から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2141の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2142とを備える。なお、凸部214aは、上述のように、四角錐、三角錐、四角柱、又は三角柱など様々な形状とすることができる。
【0165】
そして、端子214は、鍔部2142及び凸部214aを含む鉛直部2141の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0166】
また、図23(c)に示すように、端子215は、鉛直部2151と、この鉛直部2151における端子215の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の鍔状(環状)の凸部215aと、鉛直部2151から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2151の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2152とを備える。
【0167】
そして、端子215は、鍔部2152及び凸部215aを含む鉛直部2151の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0168】
また、図23(d)に示すように、端子216は、鉛直部2161と、この鉛直部2161における端子216の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の直線状の凸部216aと、鉛直部2161から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2161の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2162とを備える。この各凸部216aは、上述のように端子216の軸方向に伸びるものである。
【0169】
そして、端子216は、鍔部2162及び凸部216aを含む鉛直部2161の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0170】
また、図23(e)に示すように、端子217は、鉛直部2171と、この鉛直部2171における端子217の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部212aと、鉛直部2171から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2171の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2172とを備える。
【0171】
そして、端子217は、鍔部2172及び粗面部217aを含む鉛直部2171の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0172】
なお、変形例16における図21(e)の例の場合、端子211の先端部位(鍔部と同一箇所)から凸部2112が突出している例を採用しているため、鍔部と組み合わせることはできない。しかしながら、端子211の先端部位以外から凸部2112が突出している場合は、鍔部と組み合わせることができる。
【0173】
また、上述の鍔部は、鉛直部における端子の軸周りの側壁から傾斜して突出するようにしてもよい。
【0174】
また、変形例12における端子と変形例16における端子、又は、変形例12における端子と変形例17における端子を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0175】
また、この変形例18における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜10、13〜15に適用することができる。
【0176】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0177】
10 導体パターン、11 シールド用導体パターン(シールド部材)、12 グランド接続用導体パターン(シールド部材)、20 層間接続部、21 シールド用層間接続部(シールド部材)、22 グランド接続用層間接続部(シールド部材)、30 絶縁基材、30a 裏面、30b 表面、31〜35 熱可塑性樹脂フィルム、331〜351 端子用貫通孔、36 凹部、361 裏面側凹部、362 表面側凹部、36a 肉薄部、37 肉厚部、50 フィルター素子、51 接続部、60 シールド部材、61 開口部、70 ボンディングワイヤー、100〜115 回路基板、端子200、第1端子201、第2端子202、第3端子203、第4端子204、第5端子205、第6端子206、鉛直部2061、鍔部2062
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の端子接続構造の一例として、特許文献1に開示されるものがあった。
【0003】
この特許文献1においては、回路基板(プリント基板)と端子(ピン部)とは、弾性構造体を介して電気的に接続される。この弾性構造体は、電気抵抗の小さな材料からなり先端部が回路基板に電気的に接続される構造体と、この構造体の内部に設置されるものであり電気抵抗の小さな材料からなる弾性体とを備える。そして、この弾性体に端子を挿入することにより、回路基板と端子とが電気的に接続されるものである。このように、弾性体が弾性的に端子に嵌合するので、回路基板と端子との電気的な接続を確実に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−214340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、回路基板と端子とを電気的に接続するために弾性構造体が必要であり、部品点数が増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、回路基板と端子とを電気的に接続しつつ、部品点数を増加させることなく、回路基板に端子を機械的に接続することができる回路基板の端子接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、
回路基板と金属材料からなる端子との接続構造であって、
回路基板は、
少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
絶縁基材に設けられ、積層された導体パターンと、少なくとも一部が導体パターンと電気的に接続される層間接続部とを含む配線部と、を備え、
絶縁基材の内部には端子の一部が配置され、端子と配線部の一部とが電気的に接続されるとともに、端子における絶縁基材内に配置された部位に絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続されることを特徴とするものである。
【0008】
このようにすることによって、端子と配線部の一部とが電気的に接続しつつ、端子における絶縁基材内に配置された部位に絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板に端子を機械的に接続することができる。
【0009】
なお、この絶縁基材としては、熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなるものを採用することができる。また、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを交互に積層接着してなるものを採用することができる。また、このような回路基板は、例えば、加圧・加熱工程によって、一括で製造することができる。なお、この加圧・加熱工程時に端子における絶縁基材内に配置された部位に対して、絶縁基材内における熱可塑性樹脂を密着して接続することができる。
【0010】
また、請求項2に示すように、配線部における絶縁基材の内部に配置された部位と端子における絶縁基材の内部に配置された部位とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0011】
このようにすることによって、端子と配線部との接続部を熱可塑性樹脂にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。また、回路基板は、一方の面に端子が露出しない構造とすることができる。よって、表面に電子部品を実装する際の設計自由度や実装密度の向上を図ることができる。また、表面にべたの配線パターンを設けやすくすることもできる。
【0012】
なお、上述のように端子の一部が内部に配置された回路基板を被取付体(取付対象)に取り付ける場合、被取付体における回路基板の取付位置と端子の取付位置との位置ズレや、回路基板における端子の取付位置の位置ズレなどによって、回路基板に応力が加わる可能性がある。
【0013】
そこで、請求項3に示すように、絶縁基材は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部を端子の周辺に備えるようにしてもよい。
【0014】
このようにすることによって、肉薄部によって上述のような応力を緩和することができる。
【0015】
また、請求項4に示すように、端子は、鉛直部と、鉛直部における端子の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した凸部とを備えるものであり、凸部を含む鉛直部の一部は、絶縁基材内に配置されるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、端子における絶縁基材内に配置された部位と絶縁基材との接触面積を増やすことができ、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0017】
また、請求項5に示すように、凸部は、前記鉛直部から垂直な方向に伸びる鍔部を含むようにしてもよい。また、請求項6に示すように、凸部は、らせん状に設けられたらせん状部を含むようにしてもよい。また、請求項7に示すように、端子は、凸部が複数設けられるようにしてもよい。
【0018】
さらに、請求項8に示すように、端子は、鉛直部と、鉛直部における端子の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部とを備えるものであり、粗面部を含む鉛直部の一部は、絶縁基材内に配置されるようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、端子における絶縁基材内に配置された部位と絶縁基材との接触面積を増やすことができ、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0020】
なお、この粗面部としては、請求項9に示すように、粗化めっき膜を採用することができる。
【0021】
また、請求項10に示すように、回路基板は、絶縁基材の内部に配置された端子の少なくとも側壁を囲い、所定電位に電気的に固定されるシールド部材を絶縁基材の内部に備えるようにしてもよい。
【0022】
このようにすることによって、端子から発生するノイズが回路基板内に伝達されることを抑制することができる。
【0023】
このシールド部材は、請求項11に示すように、配線部における導体パターンと層間接続部とによって構成されるようにしてもよい。
【0024】
このようにすることによって、回路基板を構成する部材(導体パターンと層間接続部)によってシールド部材を構成することができるので好ましい。
【0025】
しかしながら、シールド部材は、請求項12に示すように、金属材料からな筒状部材によって構成されるようにしてもよい。
【0026】
このようにすることによって、シールド効果をより一層向上させることができる。
【0027】
また、請求項13に示すように、絶縁基材は、端子が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚くなるようにしてもよい。
【0028】
このようにすることによって、端子における熱可塑性樹脂と密着して接続する部位を増やすことができるので、端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0029】
また、請求項14に示すように、回路基板は、配線部と端子とを電気的に接続するノイズフィルター素子を含む接続部材を備えるものであり、
端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0030】
このように、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とを接続部材を介して電気的に接続し、その接続部材としてノイズフィルター素子を含むようにすることによって、端子とノイズフィルターとの距離を短くすることができるので好ましい。
【0031】
また、請求項15に示すように、回路基板は、配線部と端子とを電気的に接続するボンディングワイヤーを含む接続部材を備えるものであり、
端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0032】
このように、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と配線部とを接続部材を介して電気的に接続し、その接続部材としてボンディングワイヤーを含むようにすることによって、端子における絶縁基材の外部に露出した部位と任意の配線部とを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における回路基板の製造方向を示す分解断面図である。
【図3】変形例1における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図4】変形例2における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図5】変形例3における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図6】変形例3における回路基板の部分断面図である。
【図7】変形例4における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図8】変形例4における回路基板の部分断面図である。
【図9】変形例5における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図10】変形例6における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図11】変形例7における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図12】(a),(b)は、変形例8における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図13】変形例9における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図14】変形例10における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図15】変形例11における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図16】変形例11における端子の概略構成を示す斜視図である。
【図17】変形例12における端子の概略構成を示す斜視図である。
【図18】変形例13における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図19】変形例14における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図20】変形例15における回路基板の概略構成を示す断面図である。
【図21】(a)〜(e)は、変形例16における端子の概略構成を示す側面図である。
【図22】変形例17における端子の概略構成を示す側面図である。
【図23】(a)〜(e)は、変形例18における端子の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、絶縁基材30の厚み方向(換言すれば、複数枚の樹脂フィルムの積層方向)を単に厚み方向と示し、該厚み方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。また、特に断りのない限り、厚さとは、厚み方向に沿う厚さを示すものとする。
【0036】
図1に示す回路基板100は、基本的な構成要素として、絶縁基材30、及び絶縁基材30に多層に設けられた導体パターン10(つまり、絶縁基材30を介して積層された導体パターン10)と、少なくとも一部が導体パターン10と電気的に接続される層間接続部20(つまり、異なる層の導体パターン10を接続する層間接続部20)とを含む配線部を備えている。また、回路基板100は、絶縁基材30の内部に端子200の一部を保持している。換言すると、回路基板100は、端子200の一部を絶縁基材30内に内蔵(埋設、配置)している。この端子200における絶縁基材30の内部に配置された部位(ここでは、先端面200a)と、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とが電気的に接続されている。
【0037】
なお、この回路基板100は、絶縁基材30の内部に埋設、すなわち内蔵され、配線部に電気的に接続された電子部品を備えることもできる。この絶縁基材30に内蔵する電子部品としては、例えば、縦型のMOSFETやIGBT、抵抗などを採用することができる。
【0038】
絶縁基材30は、電気絶縁材料からなり、この絶縁基材30以外の構成要素、図1に示す例では導体パターン10、層間接続部20、及び後ほど説明する端子200を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、端子200と配線部(層間接続部20)との接続部をその内部に保持(封止)して保護する機能を果たすものである。また、絶縁基材30は、上記構成要素に加えて、電子部品を所定位置に保持する基材としての機能を果たすとともに、電子部品をその内部に保持(封止)して保護する機能を果たすこともできる。
【0039】
この絶縁基材30は、主として樹脂を含むとともに、この樹脂として少なくとも熱可塑性樹脂を含むものであり、熱可塑性樹脂フィルムを含む複数枚の樹脂フィルムが積層され、加圧・加熱により接着・一体化されてなる。熱可塑性樹脂を含む理由は、後述する加圧・加熱工程にて一括で絶縁基材30を形成する際に、軟化した熱可塑性樹脂を接着材として利用するためである。
【0040】
このため、複数枚の樹脂フィルムとしては、積層状態で、少なくとも1枚おきに位置するように熱可塑性樹脂フィルム(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイミド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルム)を含めば良い。例えば熱可塑性樹脂フィルムのみを含む構成としても良いし、熱可塑性樹脂フィルムとともに熱硬化性樹脂フィルム(例えば、熱硬化性ポリイミド(PI))を含む構成としても良い。
【0041】
熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂とともに、ガラス繊維、アラミド繊維などの無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。同様に、熱硬化性樹脂フィルムとしては、熱硬化性樹脂とともに、上記無機材料を含むフィルム、及び、無機材料を含まない熱硬化性樹脂からなるフィルムの少なくとも一方を採用することができる。
【0042】
本実施の形態に係る絶縁基材30は、図2に示すように、厚み方向において、一面(表面30b)側から、熱可塑性樹脂フィルム31、熱可塑性樹脂フィルム32、熱可塑性樹脂フィルム33、熱可塑性樹脂フィルム34、熱可塑性樹脂フィルム35の順に計5枚の樹脂フィルムが積層されてなる。すなわち、熱可塑性樹脂フィルムが積層されて絶縁基材30が構成されている。
【0043】
また、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じた貫通孔を有する。つまり、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて型抜きされている。換言すると、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムの少なくとも一枚は、端子200における回路基板100の内部に配置されている部分の外形に応じて部分的に切断(除去)されている。なお、この端子200の外形とは、端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の形状に相当するものである。つまり、図2に示すように、端子200を厚み方向に沿って配置する場合は、端子200における垂直方向の断面形状、すなわち端子200を垂直方向に切断した切断面の形状に相当するものである。また、この貫通孔を形成する樹脂フィルムの枚数は、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の長さに応じて決定されるものである。本実施の形態においては、図2に示すように、熱可塑性樹脂フィルム33〜35に貫通孔331,341,351が形成されている。
【0044】
配線部としての導体パターン10は、導体箔をパターニングしてなるものである。本実施の形態においては、導体パターン10として銅(Cu)箔を採用する例を用いて説明する。一方、配線部としての層間接続部20は、樹脂フィルムにおいて、厚み方向に沿って設けられたビアホール(貫通孔)に導電性ペーストが充填され、この導電性ペースト中の導電性粒子を加圧・加熱により焼結してなるものである。つまり、この層間接続部20は、焼結体である。また、層間接続部20は、絶縁基材30の内部に配置されるものである。本実施の形態においては、層間接続部20として、Ag−Sn合金を採用する例を用いて説明する。
【0045】
また、層間接続部20は、回路基板100に複数設けられている。この複数の層間接続部20の一部の層間接続部20は、端子200とも電気的に接続されている。図1に示すように、本実施の形態においては、層間接続部20は、端子200における絶縁基材30内に配置された先端面200aと電気的に接続されている。なお、層間接続部20と端子200とは、直接電気的に接続されている。つまり、層間接続部20と端子200とは、電気的かつ機械的に接続されている。
【0046】
このように、層間接続部20を端子200における絶縁基材30内に配置された先端面200aと電気的に接続することによって、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部を熱可塑性樹脂にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0047】
なお、Cuからなる導体パターン10とAg−Sn合金からなる層間接続部20との界面には、CuとSnとが相互に拡散してなる金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成され、これにより、導体パターン10と層間接続部20との接続信頼性が向上されている。
【0048】
一方、この回路基板100(層間接続部20)に接続される端子200は、例えば、円柱形状や四角柱形状などを有するとともに、先端面200a(層間接続部20と接続する部位)が平坦面をなし、鉄−ニッケル合金などの金属材料によって構成されるものを採用することができる。ただし、端子200の形状及び構成材料は、これに限定されるものではない。また、端子200の先端面200a(層間接続部20と接続する部位)は、層間接続部20との金属結合(金属拡散接合)ができるように、Ni(ニッケル)メッキなどの表面処理が施されていると好ましい。
【0049】
このような回路基板100と端子200においては、図1に示すように、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続される。換言すると、回路基板100と端子200とは、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されてなる接続構造をなすものである。具体的には、端子200における絶縁基材30内に配置された部位であって、層間接続部20が接続されている部分(先端面200aの少なくとも一部)を除く表面全体に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0050】
つまり、端子200は、自身の一部が回路基板100(絶縁基材30)の内部に配置(内蔵、埋設)されるとともに回路基板100(絶縁基材30)の一方の面(裏面30a)から厚み方向に回路基板100(絶縁基材30)の外部に突出している。また、端子200(先端面200aの少なくとも一部)と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0051】
このようにすることによって、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続しつつ、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。
【0052】
次に、図2に基づいて、上記した回路基板100と端子200との製造方法(つまり、回路基板の端子接続方法)について説明する。なお、図2においては、符号20は、層間接続部を構成する導電性ペーストであるが、便宜上、層間接続部と同じ符号を付与している。
【0053】
先ず、積層体を加圧・加熱して回路基板100を形成すべく、積層体を構成する要素を準備する。本実施形態では、上記したように、熱可塑性樹脂フィルム(樹脂フィルム)31〜35として、ガラス繊維などの無機材料や線膨張係数などを調整するための無機フィラーを含まない、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)30重量%とポリエーテルイド(PEI)70重量%からなる樹脂フィルムを採用する。
【0054】
この準備工程では、PALAP(登録商標)として知られる一括積層法で周知のごとく、一括積層する前に、絶縁基材30を構成する熱可塑性樹脂フィルム31〜35に対して、導体パターン10を形成したり、焼結により層間接続部20となる導電性ペースト20をビアホールに充填したりしておく。また、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の熱可塑性樹脂フィルム(ここでは、熱可塑性樹脂フィルム33〜35)には、端子200における回路基板100の内部に配置される部分の外形に応じた貫通孔331,341,351を形成しておく。この導体パターン10、貫通孔331,341,351、及び導電性ペースト20が充填されるビアホールの配置は、上記した端子200を設ける位置などに応じて適宜決定される。
【0055】
特に、貫通孔331,341,351は、この貫通孔331,341,351に配置される端子200に電気的に接続させる導電性ペースト20に対応する位置に設けられる。つまり、熱可塑性樹脂フィルム31〜35を積層した状態で、貫通孔331〜351に配置される端子200に電気的に接続させる導電性ペースト20に対向する位置に設けられる。換言すると、後ほど説明する積層工程において、貫通孔331,341,351に配置した端子200と、この端子200の先端面200aに電気的に接続させる導電性ペースト20とが対向するように位置決めして設けられる。
【0056】
なお、PALAPは株式会社デンソーの登録商標である。また、回路基板100の基本的な構成や製造方法は、特に断りのない限り、本出願人がこれまで出願してきたPALAPに関する構成を適宜採用することができる。
【0057】
導体パターン10は、樹脂フィルムの表面に貼り付けた導体箔をパターニングすることで形成することができる。絶縁基材30を構成する複数枚の樹脂フィルムとしては、導体パターン10を有する樹脂フィルムを含めばよく、例えば全ての樹脂フィルムが導体パターン10を有する構成や、一部の樹脂フィルムが導体パターン10を有さない構成も採用することができる。また、導体パターン10を有する樹脂フィルムとしては、片面のみに導体パターン10を有する樹脂フィルム、積層方向における両面に導体パターン10を有する樹脂フィルムのいずれも採用することができる。
【0058】
一方、導電性ペースト20は、導電性粒子にエチルセルロース樹脂やアクリル樹脂などを保形性付与のため添加し、テルピネオールなどの有機溶剤を加えた状態で混練することで得ることができる。そして、炭酸ガスレーザなどにより、樹脂フィルムを貫通するビアホールを形成し、スクリーン印刷などによって、導電性ペースト20をビアホール内に充填する。ビアホールは、上記導体パターン10を底面として形成しても良いし、導体パターン10の無い位置に、ビアホールを形成しても良い。
【0059】
導体パターン10上にビアホールを形成する場合、導体パターン10が底となるため、ビアホール内に導電性ペースト20を留めることができる。一方、導体パターン10を有さない樹脂フィルム、又は、導体パターン10を有しながらも、導体パターン10の形成位置とは異なる位置にビアホールを形成する場合には、底のないビアホール内に導電性ペースト20を留めるために、本出願人による特願2008-296074号に記載の導電性ペースト20を用いる。また、この導電性ペースト20を充填する装置(方法)としては、本出願人による特願2009−75034号に記載の装置(方法)を採用すると良い。
【0060】
この導電性ペースト20は、導電性粒子に対し、導電性粒子の焼結温度よりも低い温度で分解または揮発するとともに、該温度よりも低く、室温よりも高い温度で溶融状態となり、室温で固体状態となる低融点室温固体樹脂が添加されている。低融点室温固体樹脂としては、例えばパラフィンがある。これによれば、充填時には加温することで、低融点室温固体樹脂が溶融してペースト状となり、充填後の冷却において、低融点室温固体樹脂が固化することで導電性ペースト20も固まって、ビアホール内に保持することができる。なお、充填する際には、ビアホールの一端を平坦な部材にて塞いでおけば良い。
【0061】
次に、積層体を形成する積層工程を実施する。この工程では、図2に示すように、貫通孔331,341,351内に端子200を配置した状態で、上述のように準備した熱可塑性樹脂フィルム31〜35を積層方向における一端側からこの順番で積層して積層体とする。このとき、貫通孔331,341,351内に配置された端子200の先端面200aと、この端子200に電気的に接続される導電性ペースト20とが対向する。また、貫通孔331,341,351が設けられた熱可塑性樹脂フィルム33〜35は、貫通孔331,341,351に端子200を配置するために表層から順番に積層される。つまり、熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、貫通孔331,341,351が外部に露出するような順番で積層される。
【0062】
なお、樹脂フィルムとして熱硬化性樹脂フィルムを含む場合は、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムが、少なくとも1枚おきに位置するように積層する。つまり、熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとを交互に位置するように積層する。
【0063】
次いで、真空熱プレス機を用いて積層体を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。つまり、積層体における熱可塑性樹脂フィルム31〜35及び端子200を加熱しつつ、積層方向上下から加圧する加圧・加熱工程を実施する。なお、本実施の形態においては、回路基板100から端子200が突出した構造を有するため、真空熱プレス機の上下のプレス型300の一方には、端子200が挿入される貫通孔310を備える。
【0064】
この工程では、熱可塑性樹脂を軟化させて複数枚の熱可塑性樹脂フィルム31〜35を一括で一体化するとともに端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位に熱可塑性樹脂を密着して接続しつつ、導電性ペースト20中の導電性粒子を焼結体として、該焼結体と導体パターン10を有した配線部を形成するとともに導電性ペースト20と端子200の先端面200aとを電気的に接続する。つまり、軟化した熱可塑性樹脂を接着材として利用する。
【0065】
なお、この加圧・加熱工程では、樹脂フィルムを一括で一体化して絶縁基材30とするとともに、導電性ペースト20中の導電性粒子を焼結体とするために、樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上融点以下の温度、数MPaの圧力を所定時間保持する。本実施形態では、280℃〜330℃のプレス温度、4〜5MPaの圧力を5分以上(例えば10分)保持する。
【0066】
ここで、加圧・加熱工程における、樹脂フィルム部分の接続について説明する。積層された熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルム31〜35は、隣接する熱可塑性樹脂フィルム31〜35に密着する。これにより、複数の熱可塑性樹脂フィルムが一括で一体化し、絶縁基材30が形成される。
【0067】
また、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位に隣接する熱可塑性樹脂フィルム32〜35は、加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動し、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位であって、層間接続部20が接続されている部位を除く表面全体に密着する。
【0068】
つまり、加圧・加熱工程前においては、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位と熱可塑性樹脂フィルム32〜35との間は隙間がある。しかしながら、この隙間は、加圧・加熱工程後には熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)によって埋められる。このようにして、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部など、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位を熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0069】
なお、熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとを交互に位置するように積層する場合は、1枚おきに配置された熱可塑性樹脂フィルムは、上記加熱により軟化する。このとき、圧力を受けているため、軟化した熱可塑性樹脂フィルムは、隣接する熱硬化性樹脂フィルムに密着する。これにより、複数の樹脂フィルム(熱硬化性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルム)が一括で一体化し、絶縁基材30が形成される。また、この場合、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位と熱硬化性樹脂との間の隙間は、熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂が加圧・加熱工程時に加熱により軟化するとともに圧力を受けて流動して、この熱可塑性樹脂によって埋められる。
【0070】
次に、加圧・加熱工程において、端子200(先端面200a)、導体パターン10、層間接続部20の接続について説明する。上記加熱により、導電性ペースト20中のSn(融点232℃)が溶融し、同じく導電性ペースト20中のAg粒子に拡散して、Ag−Sn合金(融点480℃)を形成する。また、導電性ペースト20に圧力が加えられているため、焼結により一体化した合金からなる層間接続部20がビアホール内に形成される。
【0071】
さらに、溶融したSnは、導体パターン10を構成するCuとも相互拡散する。これにより、層間接続部20と導体パターン10の界面に金属拡散層(Cu−Sn合金層)が形成される。また、溶融したSnは、端子200(先端面200a)を構成するNi、又は表面処理(ニッケルメッキ)によって端子200(先端面200a)に形成されたNiとも相互拡散する。これにより、層間接続部20と端子200との界面に金属拡散層(Ni−Sn合金層)が形成される。
【0072】
以上により、図1に示すように、回路基板100の絶縁基材30の内部に端子200の一部が配置され、端子200と配線部の一部である層間接続部20とが電気的に接続されるとともに、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続されてなる回路基板100の端子200接続構造を得ることができる。
【0073】
このようにすることによって、回路基板100を製造する工程(積層工程及び加圧・加熱工程)において、端子200と配線部の一部(層間接続部20)とが電気的に接続しつつ、端子200における絶縁基材30内に配置された部位に絶縁基材30内における熱可塑性樹脂が密着して接続することで、従来技術に示される弾性構造体などを用いることなく、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。つまり、回路基板100を製造する際に、一括で端子200と配線部の一部(層間接続部20)とを電気的に接続しつつ、回路基板100に端子200を機械的に接続することができる。よって、回路基板100の端子200接続方法を簡素化することができ、製造時間を短縮することができる。
【0074】
さらに、回路基板100を製造する工程(積層工程及び加圧・加熱工程)において、端子200と層間接続部20(配線部)との接続部など、端子200における貫通孔331〜351内に配置された部位を熱可塑性樹脂フィルム32〜35(熱可塑性樹脂)にて封止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0075】
(変形例1)
また、図3に示すように、変形例1として、回路基板101は、表面30b(一方の面)に電子部品50(例えば、ノイズフィルター素子(フィルター素子))を実装するようにしてもよい。変形例1は、表面30b(一方の面)に電子部品50を実装されている点が上述の実施の形態と異なる。
【0076】
なお、変形例1においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0077】
上述のように、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、回路基板101は、表面30b(一方の面)に端子200が露出しない構造とすることができる。従って、図3に示すように、表面30bに電子部品50を実装する際の設計自由度や実装密度の向上を図ることができる。なお、電子部品50は、接続部51を介して絶縁基材30の表面に露出した導体パターン10に電気的に接続する。
【0078】
(変形例2)
また、図4に示すように、変形例2として、回路基板102は、表面30b(一方の面)にべたの配線パターン(広範囲に形成され、所定電位(例えば、グランド)に電気的に固定された配線パターン)を設けるようにしてもよい。変形例2は、表面30b(一方の面)にべたの配線パターンを有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0079】
なお、変形例2においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0080】
上述のように、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、回路基板101は、表面30b(一方の面)に端子200が露出しない構造とすることができる。従って、図4に示すように、表面30bにべたの配線パターンを設けやすくすることができる。このように、回路基板102の表面30b(一方の面)にべたの配線パターン(所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定された配線パターン)を設けることによって、シールド性を向上させることができる。
【0081】
(変形例3)
また、図5,6に示すように、変形例3として、回路基板103は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の少なくとも側壁を囲い、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定されたシールド部材を絶縁基材30の内部に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板103は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の周囲に、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定されたシールド部材を絶縁基材30の内部に備えるようにしてもよい。また、このシールド部材は、絶縁基材30によって端子200と絶縁されている。変形例3は、このシールド部材を有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0082】
なお、変形例3においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0083】
回路基板103は、シールド部材として、複数層(ここでは、3層)積層されたシールド用導体パターン11と、このシールド用導体パターン11を層間接続する複数(ここでは、各層間に8個で合計16個)のシールド用層間接続部21と、シールド用導体パターン11をグランドに接続するための複数層(ここでは、3層)積層されたグランド接続用導体パターン12と、シールド用導体パターン11とグランド接続用導体パターン12及びグランド接続用導体パターン12間を接続するグランド接続用層間接続部22とを備える。そして、シールド用導体パターン11とシールド用層間接続部21は、グランド接続用層間接続部22を介して、グランド電位に固定されたグランド接続用導体パターン12に接続されている。
【0084】
また、図6に示すように、変形例3における、シールド用導体パターン11は、所定の幅(垂直方向における幅)を有して環状に形成されている。そして、シールド用導体パターン11は、環状の内部に絶縁基材30を介して端子200が位置して、その端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。なお、シールド用導体パターン11の形状は、これに限定されるものではない。
【0085】
また、シールド用層間接続部21は、シールド用導体パターン11に等間隔に接続されている。そして、シールド用層間接続部21は、絶縁基材30を介して端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。ただし、シールド用層間接続部21の配置は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、これらのシールド用導体パターン11、シールド用層間接続部21、グランド接続用導体パターン12、グランド接続用層間接続部22は、上述の実施の形態と同様な材料、方法で形成することができる。
【0087】
なお、このシールド用導体パターン11の層数やグランド接続用導体パターン12の層数は、上述の層数に限定されるものではない。また、シールド用導体パターン11間に設けられるシールド用層間接続部21の個数やグランド接続用層間接続部22の個数は、上述の個数に限定されるものではない。シールド用導体パターン11間に設けられるシールド用層間接続部21の個数は、多ければ多いほどシールド性を向上させることができる。
【0088】
このようにすることによって、端子200から発生するノイズが回路基板103内に伝達されることを抑制することができる。また、このようにすることによって、回路基板103を構成する部材(導体パターンと層間接続部)によってシールド部材を構成することができるので好ましい。
【0089】
(変形例4)
また、図7,8に示すように、変形例4として、シールド部材は、絶縁基材30の内部に配置された端子200の少なくとも側壁を囲い、所定電位(例えば、グランド(GND))に電気的に固定された筒状部材60を含むようにしてもよい。また、この筒状部材60は、絶縁基材30によって端子200と絶縁されている。変形例4は、シールド部材の構造が上述の変形例3と異なる。
【0090】
なお、変形例4においては、上述の変形例3と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態や変形例3と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0091】
回路基板103は、シールド部材として、筒状部材60と、この筒状部材60をグランドに接続するためのグランド接続用導体パターン12と、筒状部材60とグランド接続用導体パターン12を接続するグランド接続用層間接続部22とを備える。そして、この筒状部材60は、図7に示すように、グランド接続用層間接続部22を介して、グランド電位に固定されたグランド接続用導体パターン12に接続されている。
【0092】
この筒状部材60は、内部に絶縁基材30を介して端子200が位置して、その端子200の周囲を囲うように(すなわち、端子200の側壁を囲うように)配置されている。つまり、筒状部材60は、絶縁基材30の厚み方向(つまり、筒状部材60の長手方向、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向)に貫通する穴が設けられている。そして、この穴には、端子200が配置されている。また、この穴に配置された端子200と、筒状部材60との間は、絶縁基材30で埋められている。
【0093】
また、図8に示すように、変形例4における、筒状部材60は、絶縁基材30の厚み方向(つまり、筒状部材60の長手方向、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向)に連続的に開口部61が設けられている。すなわち、連続的に切れ目が設けられている。換言すると、筒状部材60は、断面C字形状を有している。
【0094】
このように、筒状部材60に開口部61を設けるのは、端子200に接続された層間接続部20と他の配線部と電気的に接続するためである。つまり、回路基板104における配線の引き回しをしやすくするためである。
【0095】
また、上述のような方法によって回路基板104を製造する場合、樹脂フィルムに筒状部材60が配置される貫通孔を設ける必要がある。そこで、筒状部材60に開口部61を設けることによって、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムにおいて、筒状部材60と端子200との間に配置される部分とその他の部分とを一体にすることができる。
【0096】
なお、筒状部材60は、必ず開口部61を設けなくてはいけないというわけではない。つまり、開口部61を有さない筒状部材とすることもできる。この場合、筒状部材の先端部(つまり、絶縁基材30の厚み方向の先端部、筒状部材60の長手方向の先端部、又は端子200の電流が流れる方向に沿う方向の先端部)と絶縁基材30の一面(例えば、表面30b)との間において、端子200に接続された層間接続部20と他の配線部とを接続する。また、端子200と筒状部材との間に配置される絶縁基材は、積層工程時に、端子200が配置される貫通孔を有した樹脂フィルムを筒状部材の内部に配置しておくことによって設けることがでる。
【0097】
このようにすることによって、端子200から発生するノイズが回路基板104内に伝達されることを抑制することができる。また、このようにすることによって、導体パターンと層間接続部で端子200を囲う場合よりも(変形例3よりも)、シールド効果を向上させることができる。
【0098】
(変形例5)
また、図9に示すように、変形例5として、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の一方の表面(ここでは、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の表面が凹んだ凹部36が形成されることによって、肉薄部36aが端子の周辺に形成されるようにしてもよい。変形例5は、この肉薄部36aを有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0099】
なお、変形例5においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0100】
上述のように端子200の一部が内部に配置された回路基板100を被取付体(取付対象)に取り付ける場合、被取付体における回路基板100の取付位置と端子200の取付位置との位置ズレや、回路基板100における端子200の取付位置の位置ズレなどによって、回路基板100に応力が加わる可能性がある。また、絶縁基材30を構成する材料と端子200を構成する材料との熱膨張係数の差によっても回路基板100に応力が加わる可能性がある。
【0101】
そこで、図9に示すように、回路基板105(絶縁基材30)は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。本実施の形態においては、回路基板105(絶縁基材30)における端子200が突出している方の面(裏面30a)のみに凹部36を形成して肉薄部36aを設けている。また、凹部36は、端子200と隣り合う配線部(すなわち、垂直方向において端子200と隣り合う配線部)との間に設けると好ましい。
【0102】
また、肉薄部36aは、回路基板105(絶縁基材30)の複数の側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に連続的に設けると好ましい。また、肉薄部36aは、回路基板105(絶縁基材30)の対向する側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に直線状かつ連続的に設けるようしてもよいし、対向しない側壁(厚み方向に垂直な方向の端面)間に屈曲部(垂直方向に屈曲した部分)を含みかつ連続的に設けるようしてもよい。
【0103】
なお、このような肉薄部36aは、加圧・加熱工程前において、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムのうち、絶縁基材30の凹ませる側の表層(つまり、凹部36を形成する側の表層であり、ここでは裏面30a)から所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に(凹部36の形成位置及び形状に応じて)除去することによって形成することができる。つまり、所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に(凹部36の形成位置及び形状に応じて)厚さ方向に貫通させることによって形成することができる。なお、部分的に除去する樹脂フィルムの枚数(上記所定枚数)は、凹ませる深さによって決定されるものである。また、凹ませる深さが一枚の樹脂フィルムの厚さよりも浅い場合は、樹脂フィルムに貫通孔を設ける必要はなく、絶縁基材30の表層となる樹脂フィルムを凹ませるようにしてもよい。また、加圧・加熱工程後において、絶縁基材30を穿つことによって形成するようにしてもよい。このようにすることによって、肉薄部36aによって上述のような応力を緩和することができる。
【0104】
(変形例6)
また、図10に示すように、変形例6として、回路基板106(絶縁基材30)は、自身の両面(表面30b、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを端子の周辺に備えるようにしてもよい。換言すると、回路基板106(絶縁基材30)は、自身の裏面30aが凹んだ裏面側凹部361、自身の表面30bが凹んだ表面側凹部362が形成されることによって、肉薄部36aが端子の周辺に形成されるようにしてもよい。このようにすることによっても、肉薄部36aによって上述のような応力を緩和することができる。
【0105】
なお、変形例6は、回路基板106(絶縁基材30)の両面(表面30b、裏面30a)が厚み方向に凹んで肉薄となった肉薄部36aを備える点が変形例5と異なる。その他の点に関しては、変形例5と同様であるため図面において同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0106】
(変形例7)
また、図11に示すように、変形例7として、回路基板107(絶縁基材30)は、端子200が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚くなるようにしてもよい。換言すると、回路基板107(絶縁基材30)は、自身の少なくとも一方の表面(ここでは、裏面30a)が部分的に厚み方向に突出して肉厚となった肉厚部37に端子200が配置されるようにしてもよい。変形例7は、この肉厚部37を有する点が上述の実施の形態と異なる。
【0107】
なお、変形例7においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。また、上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0108】
この肉厚部37は、回路基板107(絶縁基材30)における端子200が突出する側に設けられる。また、端子200の断面積(端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の面積)よりも広い範囲に設けられる。
【0109】
また、肉厚部37の平面形状(垂直方向に切断した切断面の形状)は、例えば、端子200の断面形状(端子200を電流が流れる方向に対して垂直に切断した切断面の形状)と同一とすることができる。ただし、特にこれに限定されるものではない。
【0110】
そして、端子200における絶縁基材30(肉厚部37を含む)内に配置された部位は、層間接続部20が接続されている部分を除く表面全体に絶縁基材30(肉厚部37を含む)内における熱可塑性樹脂が密着して接続されている。
【0111】
なお、このような肉厚部37は、加圧・加熱工程前において、絶縁基材30を構成する樹脂フィルムのうち、絶縁基材30を突出させる側の表層(つまり、肉厚部37を形成する側の表層であり、ここでは裏面30a)から所定枚数の樹脂フィルムを、部分的に除去(肉厚部37とする部分以外の部分を除去)することによって形成することができる。なお、部分的に除去する樹脂フィルムの枚数(上記所定枚数)は、突出せる高さによって決定されるものである。
【0112】
このようにすることによって、端子200における熱可塑性樹脂と密着して接続する部位を増やすことができるので、端子200が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0113】
(変形例8)
また、変形例8として、端子200における絶縁基材30の内部に配置された先端面200aと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とを電気的に接続する場合、図12(a)に示すように、回路基板108は、厚み方向における端子200の上側に導体パターン10が複数層積層(ここでは、4層)されていてもよいし、回路基板109は、図12(b)に示すように、厚み方向における端子200の上側に導体パターン10が1層だけ配置されていてもよい。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板110の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の樹脂フィルムに対して、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0114】
よって、端子200は、絶縁基材30への内蔵深さを用途に応じて自由に変更することができる。換言すると、端子200における絶縁基材30の内部に配置される長さを自由に変更することができる。なお、変形例8においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0115】
(変形例9)
また、図13に示すように、変形例9として、回路基板110は、複数の端子(ここでは、端子201〜203)が接続されるようにしてもよい。換言すると、回路基板110は、複数の端子(ここでは、端子201〜203)が一方の面(ここでは、裏面30a)から突出するように設けられるにしてもよい。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板110の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の各樹脂フィルムには、接続する端子の個数に応じて、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0116】
なお、変形例9は、この複数の端子が設けられている点が上述の実施の形態と異なる。また、変形例9においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0117】
(変形例10)
また、図14に示すように、変形例10として、回路基板111は、複数の端子が両面(表面30b,裏面30a)に接続されるようにしてもよい。換言すると、回路基板111は、複数の端子(ここでは、端子201〜205)が両面(表面30b,裏面30a)から突出するように設けられるようにしてもよい。ここでは、端子201〜203が裏面30aから突出しており、端子204,205が表面30bから突出している。この場合、積層体を構成する要素を準備する段階においては、端子200における回路基板111の内部に配置される部分の長さに応じた枚数の各樹脂フィルムには、接続する端子の個数に応じて、端子が挿入される貫通孔を設けておく。
【0118】
なお、変形例10は、この複数の端子が回路基板111の両面から突出するように設けられている点が上述の実施の形態と異なる。また、変形例10においては、上述の実施の形態と同様な点については図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0119】
(変形例11)
また、図15,16に示すように、変形例11として、回路基板112(絶縁基材30)は、端子206に設けられた鍔部2062を内部に配置するようにしてもよい。変形例11は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例11においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。上述の実施の形態と同様な点については、図面において上述の実施の形態と同じ符号を付与するとともに、詳しい説明を省略する。
【0120】
図16に示すように、端子206は、鉛直部2061と、この鉛直部2061から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2061の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2062とを備える。換言すると、端子206は、釘形状をなすものである。この鉛直部2061、鍔部2062は、ともに円柱形状をしている。しかし、鍔部2062の直径は、鉛直部2061の直径よりも大きい。また、鍔部2062の先端の平面(先端面200a)は、層間接続部20が電気的に接続される部位である。
【0121】
なお、ここでは、鍔部2062は、鉛直部2061の先端から垂直な方向に伸びる例を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。鍔部2062は、鉛直部2061の先端以外の部位から垂直な方向に伸びるようにしてもよい。この場合、鉛直部2061の先端の平面(先端面200a)が、層間接続部20が電気的に接続される部位となる。
【0122】
そして、図15に示すように、回路基板112(絶縁基材30)は、この端子206における鉛直部2061の一部と鍔部2062が内部に配置される。このように、鍔部2062を絶縁基材30内に配置することによって、端子206が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0123】
(変形例12)
また、図17に示すように、変形例12として、端子206は、四角柱形状の鉛直部2061と、この鉛直部2061から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2061に対する垂直な方向である)に伸びる四角柱形状の鍔部2062とを備えるようにしてもよい。このようにしても、鍔部2062を絶縁基材30内に配置することによって、端子206が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0124】
なお、変形例12は、端子の形状が変形例11と異なる。その他の点に関しては、変形例11と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0125】
(変形例13)
また、図18に示すように、変形例13として、回路基板113は、配線部と端子200とを電気的に接続する接続部材(ここでは、電子部品であるフィルター素子(ノイズフィルター素子)50と接続部51)を備えるものであり、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(絶縁基材30の外部に露出した導体パターン10)とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。このようにすることによって、端子200とフィルター素子50との距離を短くすることができるので好ましい。
【0126】
なお、変形例13は、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(導体パターン10)とがフィルター素子50と接続部51とを介して電気的に接続される点が上述の実施の形態と異なる。その他の点に関しては、上述の実施の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0127】
(変形例14)
また、図19に示すように、変形例14として、回路基板114は、配線部と端子200とを電気的に接続する接続部材(ここでは、ボンディングワイヤー70)を備えるものであり、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(絶縁基材30の外部に露出した導体パターン10)とが接続部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。このようにすることによって、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と任意の配線部(導体パターン10)とを接続することができる。
【0128】
なお、変形例14は、端子200における絶縁基材30の外部に露出した部位(先端面200a)と配線部(導体パターン10)とがボンディングワイヤー70を介して電気的に接続される点が上述の実施の形態と異なる。その他の点に関しては、上述の実施の形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0129】
(変形例15)
なお、上述の実施の形態、及び変形例1〜14においては、回路基板100〜114の裏面30a、又は表面30bと裏面30aから端子が突出する例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図20に示すように、変形例15として、回路基板115の側壁から端子200が突出するようにしてもよい。この場合、端子200における絶縁基材30の内部に配置された側壁200bと、配線部における絶縁基材30の内部に配置された部位(層間接続部20)とが電気的に接続される。
【0130】
なお、ここまで説明した実施の形態、及びその変形例1〜15は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0131】
(変形例16)
また、図21(a)〜(e)に示すように、変形例16として、端子207〜211は、鉛直部2071〜2111と、この鉛直部2071〜2111における端子207〜211の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に隣り合う部位より突出した凸部を備えるようにしてもよい。また、回路基板100(絶縁基材30)は、端子207〜211に設けられた凸部を内部に配置する。変形例16は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例16においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態と同様な点については説明を省略する。
【0132】
一例として、図21(a)に示すように、端子207は、鉛直部2071と、この鉛直部2071における端子207の軸周りの側壁に隣り合う部位よりらせん状に突出して設けられた凸部(らせん状部)207aとを備える。つまり、端子207は、らせん状の凸部207aを備える。換言すると、らせん状の凸部207aは、端子207の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、らせん状の凸部207aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、らせん状の凸部207a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0133】
そして、端子207は、らせん状の凸部207aを含む鉛直部2071の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0134】
このようにすることによって、端子207における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子207が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0135】
なお、鉛直部2071における端子207の軸周りの側壁にらせん状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、らせん状の凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0136】
また、その他の例として、図21(b)に示すように、端子208は、鉛直部2081と、この鉛直部2081における端子208の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の四角錐形状の凸部208aとを備える。換言すると、凸部208aは、端子208の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、凸部208aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部208a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0137】
なお、この凸部208aの形状は、四角錐に限定されるものではない。三角錐、四角柱、又は三角柱など様々な形状を採用することもできる。
【0138】
そして、端子208は、凸部208aを含む鉛直部2081の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0139】
このようにすることによっても、端子208における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子208が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0140】
なお、鉛直部2081における端子208の軸周りの側壁に四角錐、三角錐、四角柱、又は三角柱などの形状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0141】
また、その他の例として、図21(c)に示すように、端子209は、鉛直部2091と、この鉛直部2091における端子209の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の鍔状の凸部209aとを備える。つまり、凸部209aは、端子209の鉛直部2091と同軸となるように突出した環状の部位である。換言すると、鍔状(環状)の凸部209aは、端子209の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、鍔状の凸部209aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部209a)より窪んだ凹部とも言い換えることができる。
【0142】
そして、端子209は、鍔状の凸部209aを含む鉛直部2091の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0143】
このようにすることによっても、端子209における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子209が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0144】
なお、鉛直部2091における端子209の軸周りの側壁に環状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0145】
また、その他の例として、図21(d)に示すように、端子210は、鉛直部2101と、この鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した複数の直線状の凸部210aとを備える。この各凸部210aは、端子210の軸方向に伸びるものである。換言すると、直線状の凸部210aは、端子210の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、端子210は、鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁にストライプ状の凸部210aを備えると言い換えることができる。さらに、直線状の凸部210aと隣り合う部位(周辺の部位)は、自身の隣り合う部位(周辺の部位、すなわち、凸部210a)より窪んだ凹部とも言い換えることもできる。
【0146】
そして、端子210は、直線状の凸部210aを含む鉛直部2101の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0147】
このようにすることによっても、端子210における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子210が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0148】
なお、鉛直部2101における端子210の軸周りの側壁に直線状の凹部(隣り合う部位よりも凹んだ部位)を設けて、この凹部に隣り合う部位(周辺の部位)を凸部とすることもできる。
【0149】
また、その他の例として、図21(e)に示すように、端子211は、鉛直部2111と、この鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁の隣り合う部位より突出した一つの凸部2112とを備える。この凸部2112は、鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁から垂直方向(この垂直な方向は、鉛直部2111の軸に対する垂直な方向である)に突出している。換言すると、直線状の凸部210aは、端子210の軸周りの側壁において、自身の周辺よりも突出した部位である。また、この凸部2112は、端子211の先端部位から突出している例を採用しているが、その他の部位から突出するようにしてもよい。また、凸部210aは、鉛直部2111における端子211の軸周りの側壁から傾斜して突出するようにしてもよい。
【0150】
そして、端子211は、凸部2112を含む鉛直部2111の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0151】
このようにすることによっても、端子211における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子211が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0152】
なお、このように端子207〜211は、凸部207a〜210a、2112を備えるものである。よって、端子207〜211は、鉛直部2071〜2111と、鉛直部2071〜2111における端子207〜211の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に凸凹形状に形成された凸凹部を備えると言い換えることもできる。
【0153】
また、この変形例16における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜15に適用することができる。なお、以下で説明する変形例18において、この変形例16における端子と、変形例11,12における端子とを組み合わせた一例を示す。
【0154】
(変形例17)
また、図22に示すように、変形例17として、端子212は、鉛直部2121と、この鉛直部2121における端子212の軸周りの側壁(すなわち、表面、外周面)に粗化処理された粗面部212aを備えるようにしてもよい。つまり、回路基板100(絶縁基材30)は、端子212に設けられた粗面部212aを内部に配置するようにしてもよい。変形例17は、この点が上述の実施の形態と異なる。なお、変形例17においては、上述の実施の形態と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態と同様な点については説明を省略する。
【0155】
図22に示すように、端子212は、粗面部212aを含む鉛直部2121の一部が絶縁基材30内に配置される。この粗面部212aは、端子212における粗面部212a以外の部位よりも粗化された部位であり、例えば、粗化めっき処理によって粗化された粗化めっき膜や、サンドブラストによって粗化された粗面部を採用することができる。この粗化めっき処理やサンドブラスなどは、周知技術であるため詳しい説明は省略する。
【0156】
なお、粗面部212aは、微視的には凸凹した部位である。よって、端子212は、鉛直部2121と、この鉛直部2071における端子212の軸周りの側壁に凸凹形状に形成された凸凹部を備えると言い換えることもできる。
【0157】
そして、端子212は、粗面部212aを含む鉛直部2121の一部が絶縁基材30内に配置される。
【0158】
このようにすることによって、端子212における絶縁基材30内に配置された部位と絶縁基材30との接触面積を増やすことができ、端子207が絶縁基材30から抜けにくくすることができる。
【0159】
なお、上述の変形例11や16における端子においても、粗面部を設けるようにしてもよい。例えば、鍔部を粗化処理することによって、鍔部の表面を粗面部としたり、凸部及び凸部の周辺を粗化処理することによって、凸部及び凸部の周辺を粗面部としたりしてもよい。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0160】
また、この変形例17における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜15に適用することができる。なお、以下で説明する変形例18において、この変形例17における端子と、変形例11,12における端子とを組み合わせた一例を示す。
【0161】
(変形例18)
また、変形例18として、端子は、上述の変形例11で示した鍔部と変形例16で示した凸部、又は上述の変形例11で示した鍔部と変形例17で示した粗面部を備えるようにしてもよい。つまり、変形例11における端子と変形例16における端子、又は、変形例11における端子と変形例17における端子を組み合わせて実施するようにしてもよい。なお、変形例18においては、上述の実施の形態や変形例と異なる点を中心に説明し、上述の実施の形態や変形例と同様な点については説明を省略する。
【0162】
例えば、図23(a)に示すように、端子213は、鉛直部2131と、この鉛直部2131における端子213の軸周りの側壁に隣り合う部位よりらせん状に突出して設けられた凸部(らせん状部)213aと、鉛直部2131から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2131の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2132とを備える。
【0163】
そして、端子213は、鍔部2132及び凸部213aを含む鉛直部2131の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0164】
また、図23(b)に示すように、端子214は、鉛直部2141と、この鉛直部2141における端子214の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の凸部214aと、鉛直部2141から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2141の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2142とを備える。なお、凸部214aは、上述のように、四角錐、三角錐、四角柱、又は三角柱など様々な形状とすることができる。
【0165】
そして、端子214は、鍔部2142及び凸部214aを含む鉛直部2141の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0166】
また、図23(c)に示すように、端子215は、鉛直部2151と、この鉛直部2151における端子215の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の鍔状(環状)の凸部215aと、鉛直部2151から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2151の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2152とを備える。
【0167】
そして、端子215は、鍔部2152及び凸部215aを含む鉛直部2151の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0168】
また、図23(d)に示すように、端子216は、鉛直部2161と、この鉛直部2161における端子216の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出して設けられた複数の直線状の凸部216aと、鉛直部2161から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2161の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2162とを備える。この各凸部216aは、上述のように端子216の軸方向に伸びるものである。
【0169】
そして、端子216は、鍔部2162及び凸部216aを含む鉛直部2161の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0170】
また、図23(e)に示すように、端子217は、鉛直部2171と、この鉛直部2171における端子217の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部212aと、鉛直部2171から垂直な方向(この垂直な方向は、鉛直部2171の軸に対する垂直な方向である)に伸びる鍔部2172とを備える。
【0171】
そして、端子217は、鍔部2172及び粗面部217aを含む鉛直部2171の一部が絶縁基材30内に配置される。このようにすることによって、より一層端子が絶縁基材から抜けにくくすることができる。
【0172】
なお、変形例16における図21(e)の例の場合、端子211の先端部位(鍔部と同一箇所)から凸部2112が突出している例を採用しているため、鍔部と組み合わせることはできない。しかしながら、端子211の先端部位以外から凸部2112が突出している場合は、鍔部と組み合わせることができる。
【0173】
また、上述の鍔部は、鉛直部における端子の軸周りの側壁から傾斜して突出するようにしてもよい。
【0174】
また、変形例12における端子と変形例16における端子、又は、変形例12における端子と変形例17における端子を組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0175】
また、この変形例18における端子は、上述の実施の形態、及びその変形例1〜10、13〜15に適用することができる。
【0176】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0177】
10 導体パターン、11 シールド用導体パターン(シールド部材)、12 グランド接続用導体パターン(シールド部材)、20 層間接続部、21 シールド用層間接続部(シールド部材)、22 グランド接続用層間接続部(シールド部材)、30 絶縁基材、30a 裏面、30b 表面、31〜35 熱可塑性樹脂フィルム、331〜351 端子用貫通孔、36 凹部、361 裏面側凹部、362 表面側凹部、36a 肉薄部、37 肉厚部、50 フィルター素子、51 接続部、60 シールド部材、61 開口部、70 ボンディングワイヤー、100〜115 回路基板、端子200、第1端子201、第2端子202、第3端子203、第4端子204、第5端子205、第6端子206、鉛直部2061、鍔部2062
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と金属材料からなる端子との接続構造であって、
前記回路基板は、
少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられ、積層された導体パターンと、少なくとも一部が前記導体パターンと電気的に接続される層間接続部とを含む配線部と、を備え、
前記絶縁基材の内部には前記端子の一部が配置され、前記端子と前記配線部の一部とが電気的に接続されるとともに、前記端子における当該絶縁基材内に配置された部位に前記絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続されることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項2】
前記配線部における前記絶縁基材の内部に配置された部位と前記端子における前記絶縁基材の内部に配置された部位とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項3】
前記絶縁基材は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部を前記端子の周辺に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項4】
前記端子は、鉛直部と、当該鉛直部における当該端子の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した凸部とを備えるものであり、
前記凸部を含む前記鉛直部の一部は、前記絶縁基材内に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項5】
前記凸部は、前記鉛直部から垂直な方向に伸びる鍔部を含むことを特徴とする請求項4に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項6】
前記凸部は、らせん状に設けられたらせん状部を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項7】
前記端子は、前記凸部が複数設けられることを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項8】
前記端子は、鉛直部と、当該鉛直部における当該端子の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部とを備えるものであり、
前記粗面部を含む前記鉛直部の一部は、前記絶縁基材内に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項9】
前記粗面部は、粗化めっき膜からなることを特徴とする請求項8に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項10】
前記回路基板は、前記絶縁基材の内部に配置された前記端子の少なくとも側壁を囲い、所定電位に電気的に固定されるシールド部材を当該絶縁基材の内部に備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項11】
前記シールド部材は、前記配線部における前記導体パターンと前記層間接続部とによって構成されることを特徴とする請求項10に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項12】
前記シールド部材は、金属材料からな筒状部材によって構成されることを特徴とする請求項10に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項13】
前記絶縁基材は、前記端子が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項14】
前記回路基板は、前記配線部と前記端子とを電気的に接続するノイズフィルター素子を含む接続部材を備えるものであり、
前記端子における前記絶縁基材の外部に露出した部位と前記配線部とが前記接続部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項15】
前記回路基板は、前記配線部と前記端子とを電気的に接続するボンディングワイヤーを含む接続部材を備えるものであり、
前記端子における前記絶縁基材の外部に露出した部位と前記配線部とが前記接続部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項1】
回路基板と金属材料からなる端子との接続構造であって、
前記回路基板は、
少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、
前記絶縁基材に設けられ、積層された導体パターンと、少なくとも一部が前記導体パターンと電気的に接続される層間接続部とを含む配線部と、を備え、
前記絶縁基材の内部には前記端子の一部が配置され、前記端子と前記配線部の一部とが電気的に接続されるとともに、前記端子における当該絶縁基材内に配置された部位に前記絶縁基材内における熱可塑性樹脂が密着して接続されることを特徴とする回路基板の端子接続構造。
【請求項2】
前記配線部における前記絶縁基材の内部に配置された部位と前記端子における前記絶縁基材の内部に配置された部位とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項3】
前記絶縁基材は、自身の表面が凹んで肉薄となった肉薄部を前記端子の周辺に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項4】
前記端子は、鉛直部と、当該鉛直部における当該端子の軸周りの側壁に隣り合う部位より突出した凸部とを備えるものであり、
前記凸部を含む前記鉛直部の一部は、前記絶縁基材内に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項5】
前記凸部は、前記鉛直部から垂直な方向に伸びる鍔部を含むことを特徴とする請求項4に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項6】
前記凸部は、らせん状に設けられたらせん状部を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項7】
前記端子は、前記凸部が複数設けられることを特徴とする請求項4又は5に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項8】
前記端子は、鉛直部と、当該鉛直部における当該端子の軸周りの側壁に粗化処理された粗面部とを備えるものであり、
前記粗面部を含む前記鉛直部の一部は、前記絶縁基材内に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項9】
前記粗面部は、粗化めっき膜からなることを特徴とする請求項8に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項10】
前記回路基板は、前記絶縁基材の内部に配置された前記端子の少なくとも側壁を囲い、所定電位に電気的に固定されるシールド部材を当該絶縁基材の内部に備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項11】
前記シールド部材は、前記配線部における前記導体パターンと前記層間接続部とによって構成されることを特徴とする請求項10に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項12】
前記シールド部材は、金属材料からな筒状部材によって構成されることを特徴とする請求項10に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項13】
前記絶縁基材は、前記端子が配置される領域の厚さがその他の領域の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項14】
前記回路基板は、前記配線部と前記端子とを電気的に接続するノイズフィルター素子を含む接続部材を備えるものであり、
前記端子における前記絶縁基材の外部に露出した部位と前記配線部とが前記接続部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【請求項15】
前記回路基板は、前記配線部と前記端子とを電気的に接続するボンディングワイヤーを含む接続部材を備えるものであり、
前記端子における前記絶縁基材の外部に露出した部位と前記配線部とが前記接続部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の端子接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−15474(P2012−15474A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197039(P2010−197039)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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