回転電機
【課題】固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、回転電機は、固定子枠12と、固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心32と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイル34と、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子30と、固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子40と、回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバー60a、60bと、ファンカバーに形成され回転子と同軸的に位置する吸気口62a、62bと、を備えている。ファンカバーの吸気口の外径D1と冷却ファンのフィンの内径dとが略同一寸法に形成されている。
【解決手段】実施形態によれば、回転電機は、固定子枠12と、固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心32と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイル34と、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子30と、固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子40と、回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバー60a、60bと、ファンカバーに形成され回転子と同軸的に位置する吸気口62a、62bと、を備えている。ファンカバーの吸気口の外径D1と冷却ファンのフィンの内径dとが略同一寸法に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機は、円筒状の固定子鉄心と、この固定子鉄心の内側に回転自在に支持された回転子と、を備えている。固定子鉄心には、複数のスリットが形成され、これらのスリットに固定子コイルが埋め込まれている。
【0003】
近年、回転子の発熱を抑え、よりコンパクトな回転電機を実現するために、かご型回転子に代わって、永久磁石を回転子鉄心に挿入して構成する永久磁石形回転電機も増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−029150号公報
【特許文献2】特開2008−099491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、巻上機等に用いる回転電機は、設置スペースに制約がある反面、より容量の拡大が望まれている。回転電機を小型、軽量化、および大容量化とする場合、単位体積あたりの発熱密度が増大する。特に、固定子鉄心コイルの温度が上昇し、耐久性および信頼性に影響を与える。
【0006】
そこで、この発明の課題は、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、回転電機は、固定子枠と、固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、前記固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子と、前記回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファンと、前記固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバーと、前記ファンカバーに形成され前記回転子と同軸的に位置する吸気口と、を備え、前記ファンカバーの吸気口の外径と前記冷却ファンのフィンの内径とが略同一寸法に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【図2】図2は、前記回転電機の冷却風の流れを示す縦断面図。
【図3】図3は、前記回転電機の縦断面図。
【図4】図4は、前記回転電機の固定子枠を示す斜視図。
【図5】図5は、前記固定子枠と固定子鉄心との間に配置されるスペーサ(リブ)を示す斜視図。
【図6】図6は、前記回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図7】図7は、前記回転電機の固定子枠および固定子鉄心を示す側面図。
【図8】図8は、前記回転電機の回転子を示す斜視図。
【図9】図9は、ファンカバーの吸気口の直径Dと冷却ファンの内径dとの比と、冷却温度との関係を示す図。
【図10】図10は、鉄心コイルの突出長さCと冷却ファンのフィン弦長さLとの比と、冷却温度との関係を示す図。
【図11】図11は、第2の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転電機10を示し、図2および図3は、回転電機10の縦断面を示し、図4ないし図8は回転電機10の種々の構成要素を示している。
図1ないし図3に示すように、回転電機10は、固定子枠12と、固定枠内に支持された円筒状の固定子30と、固定子の内側に回転自在に設けられた回転子40と、回転子40に形成された冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の両側を覆った一対のファンカバー60a、60bと、を備えている。
【0011】
図1、図4、および図7に示すように、固定子枠12は、円筒フレーム14と円筒フレームの外周部に一体に形成された環状のフランジ部16を備えている。フランジ部16の下部には一対の脚座18が一体に形成されている。円筒フレーム14には、複数の排気孔20、例えば、矩形状の排気孔20が形成され、円周方向に沿って間隔をおいて設けられている。また、円筒フレーム14の上端部、すなわち、鉛直方向の上端部には、小径の円形の排気孔22が形成されている。脚座18の近傍で円筒フレーム14の下部外面に、複数の補強リブ24が一体に形成されている。
【0012】
図1ないし図7に示すように、固定子30は、円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。固定子鉄心32の内周部には、それぞれ軸方向に延びた複数のスロットが形成され、これらのスロットに固定子鉄心コイル34が埋め込まれている。鉄心コイル34のコイルエンドは固定子鉄心32の両端面から軸方向に張り出している。固定子鉄心32および固定子鉄心コイル34により固定子30が構成されている。
【0013】
固定子鉄心32の外径Q2は、円筒フレーム14の内径Q1よりも僅かに小さく形成されている。固定子鉄心32は円筒フレーム14内に同軸的に配置され、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14との間に複数のスペーサ36が嵌合されている。各スペーサ36は、細長い円柱形状(リブ形状)に形成されている。大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。凹所36aを有するスペーサ36は、例えば、凹所36a側が円筒フレーム14の内周面に対向した状態で設置されている。
【0014】
実施形態では、図6に示すように、複数のスペーサ36は、固定子鉄心32の外周面に固定され、この固定子鉄心32を圧入あるいは焼ばめによって円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。また、固定子鉄心32は、図示しない鉄心押えにより円筒フレーム14内に固定保持されている。
【0015】
図2および図7に示すように、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間の隙間により、後述する冷却風が流れる冷却通風路37が形成されている。ここで、隣合うスペーサ36により仕切られた空間は、スペーサ36の凹所36aを通して互いに連通している。そして、複数の排気孔20、22は、冷却通風路37に開口および連通している。なお、大部分の排気孔20は、隣接する2つのスペーサ36間で円筒フレーム14に設けられ、一部の排気孔20は、スペーサと重なって、円筒フレームに形成されているの
図2、図3、図8に示すように、回転子40は、回転軸42と、回転軸の軸方向ほぼ中央部に固定された円筒状の回転子鉄心44と、回転軸に固定された図示しない鉄心押さえと、を有している。回転軸42は固定子鉄心32と同軸的に延在し、その軸方向両端部は、図示しない軸受により回転自在に支持されている。回転子鉄心44は、固定子鉄心32の内側に、隙間を置いて、同軸的に位置している。回転軸42の駆動側端部42aは、後述するファンカバーを貫通し、機外に延出している。
【0016】
回転子鉄心44は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成され、その内部に図示しない永久磁石が配置されている。固定子鉄心コイル34に通電することにより、回転子鉄心44が回転し、回転軸42が固定子鉄心と一体に回転される。これにより、永久磁石型の回転電機が構成されている。なお、回転子40は、かご型回転ことし、誘導型の回転電機を構成してもよい。
【0017】
図2、図3、図8に示すように、回転子鉄心44の軸方向両端面に、複数のフィン52が固定され、それぞれ冷却ファン50a、50bを構成している。フィン52は、それぞれ矩形板状に形成され、複数のフィン52は、回転子鉄心44の回転中心に対して放射状に延在され、かつ、円周方向に等間隔を置いて配置されている。冷却ファン50a、50bの内径、すなわち、複数のフィン52の内径は、dに設定され、また、各フィン52の弦長、すなわち、回転子鉄心44の軸方向に沿った長さはLに設定されている。冷却ファン50a、50bは、回転子40と共に回転し、後述するように、外気を吸引して放射方向外方に噴出す。
【0018】
図1ないし図3に示すように、ファンカバー60a、60bは、外周部が内側に湾曲して折り曲げられた円盤状(ほぼ皿状)に形成されている。ファンカバー60a、60bは、金属、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板により形成されている。ファンカバー60aは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の一端側を覆っている。ファンカバー60aと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に円形の吸気口62aが形成されている。この吸気口62aは、回転子40と同軸的に位置している。回転軸42の出力側端部は、吸気口62aを通って機外に延出している。吸気口62aの径は、D1に設定されている。
【0019】
他方のファンカバー60bは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の他端側を覆っている。ファンカバー60bと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に環状の吸気口62bが形成されている。この吸気口62bは、回転子40と同軸的に位置している。吸気口62bの内径はD2、外径はD1に設定されている。
【0020】
図2に示すように、回転子40と共に冷却ファン50a、50bが回転すると、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bから外気(冷却空気)が機内に吸い込まれ、冷却ファン50a、50bにより放射方向外方に送られる。この冷却風は、固定子鉄心コイル34のコイル端部を通りこれを冷却した後、固定子鉄心32と円筒フレーム14との間の冷却通風路37を流れて固定子鉄心32を冷却する。その後、冷却風は、排気孔20から機外に排気される。このように、発生熱源である鉄心コイル(銅損)34と固定子鉄心(鉄損)32に冷却風を当てることにより、外気へ放熱し、これらの熱源の温度上昇が抑制する。
【0021】
1)本実施形態において、図3に示すように、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bの径D1と冷却ファン50a、50bの内径dは、ほぼ等しい径に形成されている。例えば、吸気口62a、62bの径D1を300mmとした場合、冷却ファン50a、50bの内径dは、±20mm(1〜6%)程度の誤差で、径D1と等しく形成されている。
【0022】
このように、吸気口62a、62bの径D1と冷却ファン50a、50bの内径dを略同一寸法とすることにより、冷却ファン50a、50bの内径dから遠心力により周りの空気が吸い込まれる。その際、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bの直径Dの大きさにより、風量が左右される。この現象を解明するため実験検証とコンピュークシミュレーションの流れ解析した結果、図9に示すように、吸気口62a、62bの直径Dと冷却ファンの内径dを同一寸法(d/D=1)にすると、風量が最大限となり、回転電機の全体の温度が低減する。冷却風が最大限に流れることから、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を効率よく冷却風に放熱し、これらの温度上昇を抑制することができる。
【0023】
2)本実施形態によれば、図3に示すように、固定子鉄心32から軸方向に張り出した鉄心コイル34のコイルエンドとファンカバー60a、60bとの距離Bは、約10cmに設定され、また、冷却ファン50a、50bのフィン52とファンカバー内面との距離Eは、フィン52の弦長さLよりも小さく(L>E)、例えば、長さLの20%以下に設定されている。
【0024】
ファンカバー60a、60bに、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板を使用した場合、コイルエンドとの絶縁距離を保つには略10cm以上が必要となる。コイルエンドと冷却ファン50a、50bの位置関係は、半径方向に離れている。そこで、冷却ファン50a、50bとファンカバー60a、60bの距離Eは、離しすぎると風量が少なくなる。
【0025】
3)本実施形態によれば、固定子鉄心32の軸方向に張り出したコイルエンドの長さCは、フィン52の弦長さLに対して、L/C=0.8〜0.7に設定されている。この場合、冷却ファン50a、50bからの遠心カにより周りの空気が吸い込まれ、コイルエンドに冷却風が当たる。その際、冷却ファン50a、50bの外形からコイルエンドに向かうまでに冷却風が広がり、およそ1.25〜1.40倍の範囲となる。この範囲で風量が最大限になり、回転電機の全体の温度が低減する。図10は、L/Cと鉄心コイル温度との関係についてシュミレーションした結果を示している。この図から、L/C=0.8〜0.7とすることにより、冷却風が最大限に流れ、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を冷却風に放熱し、これらの温度上昇を抑制できることが分かる。
【0026】
4)本実施形態によれば、図3に示すように、ファンカバー60bに形成された吸気口62bの外径D1および内径D2により規定される吸気口62bの吸込み面積Sに対して、固定子鉄心の外径Q2と円筒フレーム14の内径Q1により規定される冷却通風路37の面積Gとの関係が、G=1.1〜1.3Sとなるように、スペーサ36の厚さhが設定されている。この場合、冷却ファン50a、50bからの遠心力により周りの空気が吸い込まれ、冷却通風路37を通って排気孔20から排出される。
【0027】
ここで、流入側の面積(吸気口62bの面積)に対して、排気側の面積(冷却通風路37の面積)を約1.1〜1.3倍に設定する。この範囲で冷却空気の風量が最大限になり、回転電機10の全体の温度が低減することが分かった。冷却風が最大限に流れることから、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を冷却風に放熱し、固定子鉄心32および鉄心コイルの温度上昇を抑制することができる。
【0028】
5)本実施形態によれば、図1ないし図4に示すように、固定子枠12の円筒フレーム14に複数の排気孔20、22を配置したことにより、固定子枠12のフランジ部16と円筒フレーム14との円環曲げ剛性のバランスが取れる。円筒フレーム14に排気孔20、22を設けると、円筒フレームの円環曲げ剛性が小さくなる。しかし、2つのフランジ部16の間は円環曲げ剛性が大きいことから、フランジ部16の強度の高い位置と、排気孔20の円周方向の位置が一致していれば、排気孔20により円筒フレームの強度低下が補われ、固定子枠12の円環曲げ剛性はバランヌがとれてトータル的に大きくなる。したがって、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を向上することができる。
【0029】
また、回転電機10の停止時、排気孔からゴミが入る可能性があるが、円筒フレーム14の鉛直方向上部に設けられた排気孔22は小径に形成されているため、ゴミの侵入を抑制することができる。
【0030】
以上のように構成された回転電機では、上述した1)〜5)のように各部の構成を最適化することにより、冷却ファン50a、50bの風量特性を向上し、回転電機全体の温度上昇を抑制することができる。コイルエンドおよび固定子鉄心の外形周りを冷却ファンから発生された冷却風が、ファンカバーとの距離により、効果的に流れることから、温度上昇する固定子鉄心、鉄心コイルに対して冷却性能が向上し、温度上昇が抑制される。これにより、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0031】
また、温度が低下する分、鉄心コイルに流す電流を増すことができ、回転電機の出力をより増すことができることから、大容量化が可能であるにも拘わらず、単位体積当たりの発熱密度を低減し小形の回転電機を提供することができる。更に、排気孔の位置、排気孔の個数を最適化することにより、固定子鉄心の剛性を向上することができ、構造剛性を保った上で冷却性が向上する。
【0032】
なお、第1の実施形態では、回転電機10は、上述した1)ないし5)の全てを満たす構成としているが、これに限らず、上記1)ないし4)の少なくとも1つの構成を備えていれば良く、この場合でも、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0033】
次に、他の実施形態に係る回転電機について説明する。
以下に述べる実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0034】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る回転電機を示している。第2の実施形態では、回転電機10は、少なくとも1つの排気孔20に接続された強制吸引用のブロワー70を備えている。ブロワー70は、例えば、風道72を介して固定子枠12の円筒フレーム14に取り付けられ、風道72を介して排気孔20に連通している。
【0035】
ブロワー70により回転電機10の機内から強制的に冷却空気を吸引することにより、より多くの冷却風を固定子鉄心32および鉄心コイル34に供給し、これらの温度上昇をより抑制することができる。従って、回転電機の一層の大容量化を図ることが可能となる。回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態に係る回転電機と同一である。
【0036】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、冷却ファンを構成するフィンの形状は、上述した実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。冷却ファンにおいて、複数のフィンは固定子鉄心に直接、固定する構成としたが、別途、支持円板にフィンを固定して冷却ファンを構成するようにしてもよい。冷却ファンは、回転子の軸方向両端に限らず、少なくも一方に設けられていればよい。この発明に係る回転電機は、昇降機の巻上げ機に限らず、種々の回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…回転電機、12…固定子枠、14…円筒フレーム、16…フランジ部、
20、22…排気孔、30…固定子、32…固定子鉄心、34…鉄心コイル、
36…スペーサ、37…冷却通風路、40…回転子、42…回転軸、
44…回転子鉄心、50a、50b…冷却ファン、52…フィン、
60a、60b…ファンカバー、62a、62b…吸気口
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、昇降機の巻上機等に用いる回転電機は、円筒状の固定子鉄心と、この固定子鉄心の内側に回転自在に支持された回転子と、を備えている。固定子鉄心には、複数のスリットが形成され、これらのスリットに固定子コイルが埋め込まれている。
【0003】
近年、回転子の発熱を抑え、よりコンパクトな回転電機を実現するために、かご型回転子に代わって、永久磁石を回転子鉄心に挿入して構成する永久磁石形回転電機も増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−029150号公報
【特許文献2】特開2008−099491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、巻上機等に用いる回転電機は、設置スペースに制約がある反面、より容量の拡大が望まれている。回転電機を小型、軽量化、および大容量化とする場合、単位体積あたりの発熱密度が増大する。特に、固定子鉄心コイルの温度が上昇し、耐久性および信頼性に影響を与える。
【0006】
そこで、この発明の課題は、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、回転電機は、固定子枠と、固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、前記固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子と、前記回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファンと、前記固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバーと、前記ファンカバーに形成され前記回転子と同軸的に位置する吸気口と、を備え、前記ファンカバーの吸気口の外径と前記冷却ファンのフィンの内径とが略同一寸法に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【図2】図2は、前記回転電機の冷却風の流れを示す縦断面図。
【図3】図3は、前記回転電機の縦断面図。
【図4】図4は、前記回転電機の固定子枠を示す斜視図。
【図5】図5は、前記固定子枠と固定子鉄心との間に配置されるスペーサ(リブ)を示す斜視図。
【図6】図6は、前記回転電機の固定子鉄心を示す斜視図。
【図7】図7は、前記回転電機の固定子枠および固定子鉄心を示す側面図。
【図8】図8は、前記回転電機の回転子を示す斜視図。
【図9】図9は、ファンカバーの吸気口の直径Dと冷却ファンの内径dとの比と、冷却温度との関係を示す図。
【図10】図10は、鉄心コイルの突出長さCと冷却ファンのフィン弦長さLとの比と、冷却温度との関係を示す図。
【図11】図11は、第2の実施形態に係る回転電機を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る回転電機10を示し、図2および図3は、回転電機10の縦断面を示し、図4ないし図8は回転電機10の種々の構成要素を示している。
図1ないし図3に示すように、回転電機10は、固定子枠12と、固定枠内に支持された円筒状の固定子30と、固定子の内側に回転自在に設けられた回転子40と、回転子40に形成された冷却ファン50a、50bと、固定子および回転子の両側を覆った一対のファンカバー60a、60bと、を備えている。
【0011】
図1、図4、および図7に示すように、固定子枠12は、円筒フレーム14と円筒フレームの外周部に一体に形成された環状のフランジ部16を備えている。フランジ部16の下部には一対の脚座18が一体に形成されている。円筒フレーム14には、複数の排気孔20、例えば、矩形状の排気孔20が形成され、円周方向に沿って間隔をおいて設けられている。また、円筒フレーム14の上端部、すなわち、鉛直方向の上端部には、小径の円形の排気孔22が形成されている。脚座18の近傍で円筒フレーム14の下部外面に、複数の補強リブ24が一体に形成されている。
【0012】
図1ないし図7に示すように、固定子30は、円筒状の固定子鉄心32を備えている。固定子鉄心32は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成されている。固定子鉄心32の内周部には、それぞれ軸方向に延びた複数のスロットが形成され、これらのスロットに固定子鉄心コイル34が埋め込まれている。鉄心コイル34のコイルエンドは固定子鉄心32の両端面から軸方向に張り出している。固定子鉄心32および固定子鉄心コイル34により固定子30が構成されている。
【0013】
固定子鉄心32の外径Q2は、円筒フレーム14の内径Q1よりも僅かに小さく形成されている。固定子鉄心32は円筒フレーム14内に同軸的に配置され、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14との間に複数のスペーサ36が嵌合されている。各スペーサ36は、細長い円柱形状(リブ形状)に形成されている。大多数のスペーサ36は、その中央部に凹所36aが形成されている。これらのスペーサ36は、それぞれ固定子鉄心32の軸方向に延在しているとともに、固定子鉄心32の円周方向に一定の間隔を置いて並んで配置されている。凹所36aを有するスペーサ36は、例えば、凹所36a側が円筒フレーム14の内周面に対向した状態で設置されている。
【0014】
実施形態では、図6に示すように、複数のスペーサ36は、固定子鉄心32の外周面に固定され、この固定子鉄心32を圧入あるいは焼ばめによって円筒フレーム14内に嵌合することにより、固定子鉄心32が円筒フレーム14内に同軸的に固定されている。また、固定子鉄心32は、図示しない鉄心押えにより円筒フレーム14内に固定保持されている。
【0015】
図2および図7に示すように、固定子鉄心32の外周面と円筒フレーム14の内周面との間の隙間により、後述する冷却風が流れる冷却通風路37が形成されている。ここで、隣合うスペーサ36により仕切られた空間は、スペーサ36の凹所36aを通して互いに連通している。そして、複数の排気孔20、22は、冷却通風路37に開口および連通している。なお、大部分の排気孔20は、隣接する2つのスペーサ36間で円筒フレーム14に設けられ、一部の排気孔20は、スペーサと重なって、円筒フレームに形成されているの
図2、図3、図8に示すように、回転子40は、回転軸42と、回転軸の軸方向ほぼ中央部に固定された円筒状の回転子鉄心44と、回転軸に固定された図示しない鉄心押さえと、を有している。回転軸42は固定子鉄心32と同軸的に延在し、その軸方向両端部は、図示しない軸受により回転自在に支持されている。回転子鉄心44は、固定子鉄心32の内側に、隙間を置いて、同軸的に位置している。回転軸42の駆動側端部42aは、後述するファンカバーを貫通し、機外に延出している。
【0016】
回転子鉄心44は、磁性材、例えば、珪素鋼板からなる環状の金属板を多数枚積層して構成され、その内部に図示しない永久磁石が配置されている。固定子鉄心コイル34に通電することにより、回転子鉄心44が回転し、回転軸42が固定子鉄心と一体に回転される。これにより、永久磁石型の回転電機が構成されている。なお、回転子40は、かご型回転ことし、誘導型の回転電機を構成してもよい。
【0017】
図2、図3、図8に示すように、回転子鉄心44の軸方向両端面に、複数のフィン52が固定され、それぞれ冷却ファン50a、50bを構成している。フィン52は、それぞれ矩形板状に形成され、複数のフィン52は、回転子鉄心44の回転中心に対して放射状に延在され、かつ、円周方向に等間隔を置いて配置されている。冷却ファン50a、50bの内径、すなわち、複数のフィン52の内径は、dに設定され、また、各フィン52の弦長、すなわち、回転子鉄心44の軸方向に沿った長さはLに設定されている。冷却ファン50a、50bは、回転子40と共に回転し、後述するように、外気を吸引して放射方向外方に噴出す。
【0018】
図1ないし図3に示すように、ファンカバー60a、60bは、外周部が内側に湾曲して折り曲げられた円盤状(ほぼ皿状)に形成されている。ファンカバー60a、60bは、金属、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板により形成されている。ファンカバー60aは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の一端側を覆っている。ファンカバー60aと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に円形の吸気口62aが形成されている。この吸気口62aは、回転子40と同軸的に位置している。回転軸42の出力側端部は、吸気口62aを通って機外に延出している。吸気口62aの径は、D1に設定されている。
【0019】
他方のファンカバー60bは、その周縁部が固定子枠12に固定され、固定子30および回転子40と同軸的に配置されているとともに、固定子30および回転子40の他端側を覆っている。ファンカバー60bと固定子30および回転子40との間に、冷却風を流す空間が形成されている。また、ファンカバー60の中心部に環状の吸気口62bが形成されている。この吸気口62bは、回転子40と同軸的に位置している。吸気口62bの内径はD2、外径はD1に設定されている。
【0020】
図2に示すように、回転子40と共に冷却ファン50a、50bが回転すると、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bから外気(冷却空気)が機内に吸い込まれ、冷却ファン50a、50bにより放射方向外方に送られる。この冷却風は、固定子鉄心コイル34のコイル端部を通りこれを冷却した後、固定子鉄心32と円筒フレーム14との間の冷却通風路37を流れて固定子鉄心32を冷却する。その後、冷却風は、排気孔20から機外に排気される。このように、発生熱源である鉄心コイル(銅損)34と固定子鉄心(鉄損)32に冷却風を当てることにより、外気へ放熱し、これらの熱源の温度上昇が抑制する。
【0021】
1)本実施形態において、図3に示すように、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bの径D1と冷却ファン50a、50bの内径dは、ほぼ等しい径に形成されている。例えば、吸気口62a、62bの径D1を300mmとした場合、冷却ファン50a、50bの内径dは、±20mm(1〜6%)程度の誤差で、径D1と等しく形成されている。
【0022】
このように、吸気口62a、62bの径D1と冷却ファン50a、50bの内径dを略同一寸法とすることにより、冷却ファン50a、50bの内径dから遠心力により周りの空気が吸い込まれる。その際、ファンカバー60a、60bの吸気口62a、62bの直径Dの大きさにより、風量が左右される。この現象を解明するため実験検証とコンピュークシミュレーションの流れ解析した結果、図9に示すように、吸気口62a、62bの直径Dと冷却ファンの内径dを同一寸法(d/D=1)にすると、風量が最大限となり、回転電機の全体の温度が低減する。冷却風が最大限に流れることから、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を効率よく冷却風に放熱し、これらの温度上昇を抑制することができる。
【0023】
2)本実施形態によれば、図3に示すように、固定子鉄心32から軸方向に張り出した鉄心コイル34のコイルエンドとファンカバー60a、60bとの距離Bは、約10cmに設定され、また、冷却ファン50a、50bのフィン52とファンカバー内面との距離Eは、フィン52の弦長さLよりも小さく(L>E)、例えば、長さLの20%以下に設定されている。
【0024】
ファンカバー60a、60bに、例えば、板厚3.2mmの薄板鋼板を使用した場合、コイルエンドとの絶縁距離を保つには略10cm以上が必要となる。コイルエンドと冷却ファン50a、50bの位置関係は、半径方向に離れている。そこで、冷却ファン50a、50bとファンカバー60a、60bの距離Eは、離しすぎると風量が少なくなる。
【0025】
3)本実施形態によれば、固定子鉄心32の軸方向に張り出したコイルエンドの長さCは、フィン52の弦長さLに対して、L/C=0.8〜0.7に設定されている。この場合、冷却ファン50a、50bからの遠心カにより周りの空気が吸い込まれ、コイルエンドに冷却風が当たる。その際、冷却ファン50a、50bの外形からコイルエンドに向かうまでに冷却風が広がり、およそ1.25〜1.40倍の範囲となる。この範囲で風量が最大限になり、回転電機の全体の温度が低減する。図10は、L/Cと鉄心コイル温度との関係についてシュミレーションした結果を示している。この図から、L/C=0.8〜0.7とすることにより、冷却風が最大限に流れ、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を冷却風に放熱し、これらの温度上昇を抑制できることが分かる。
【0026】
4)本実施形態によれば、図3に示すように、ファンカバー60bに形成された吸気口62bの外径D1および内径D2により規定される吸気口62bの吸込み面積Sに対して、固定子鉄心の外径Q2と円筒フレーム14の内径Q1により規定される冷却通風路37の面積Gとの関係が、G=1.1〜1.3Sとなるように、スペーサ36の厚さhが設定されている。この場合、冷却ファン50a、50bからの遠心力により周りの空気が吸い込まれ、冷却通風路37を通って排気孔20から排出される。
【0027】
ここで、流入側の面積(吸気口62bの面積)に対して、排気側の面積(冷却通風路37の面積)を約1.1〜1.3倍に設定する。この範囲で冷却空気の風量が最大限になり、回転電機10の全体の温度が低減することが分かった。冷却風が最大限に流れることから、固定子鉄心32および鉄心コイル34の熱を冷却風に放熱し、固定子鉄心32および鉄心コイルの温度上昇を抑制することができる。
【0028】
5)本実施形態によれば、図1ないし図4に示すように、固定子枠12の円筒フレーム14に複数の排気孔20、22を配置したことにより、固定子枠12のフランジ部16と円筒フレーム14との円環曲げ剛性のバランスが取れる。円筒フレーム14に排気孔20、22を設けると、円筒フレームの円環曲げ剛性が小さくなる。しかし、2つのフランジ部16の間は円環曲げ剛性が大きいことから、フランジ部16の強度の高い位置と、排気孔20の円周方向の位置が一致していれば、排気孔20により円筒フレームの強度低下が補われ、固定子枠12の円環曲げ剛性はバランヌがとれてトータル的に大きくなる。したがって、固定子鉄心32の円環曲げ剛性を向上することができる。
【0029】
また、回転電機10の停止時、排気孔からゴミが入る可能性があるが、円筒フレーム14の鉛直方向上部に設けられた排気孔22は小径に形成されているため、ゴミの侵入を抑制することができる。
【0030】
以上のように構成された回転電機では、上述した1)〜5)のように各部の構成を最適化することにより、冷却ファン50a、50bの風量特性を向上し、回転電機全体の温度上昇を抑制することができる。コイルエンドおよび固定子鉄心の外形周りを冷却ファンから発生された冷却風が、ファンカバーとの距離により、効果的に流れることから、温度上昇する固定子鉄心、鉄心コイルに対して冷却性能が向上し、温度上昇が抑制される。これにより、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0031】
また、温度が低下する分、鉄心コイルに流す電流を増すことができ、回転電機の出力をより増すことができることから、大容量化が可能であるにも拘わらず、単位体積当たりの発熱密度を低減し小形の回転電機を提供することができる。更に、排気孔の位置、排気孔の個数を最適化することにより、固定子鉄心の剛性を向上することができ、構造剛性を保った上で冷却性が向上する。
【0032】
なお、第1の実施形態では、回転電機10は、上述した1)ないし5)の全てを満たす構成としているが、これに限らず、上記1)ないし4)の少なくとも1つの構成を備えていれば良く、この場合でも、固定子鉄心コイルの温度上昇を抑制し、大容量化を図ることが可能な回転電機が得られる。
【0033】
次に、他の実施形態に係る回転電機について説明する。
以下に述べる実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0034】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る回転電機を示している。第2の実施形態では、回転電機10は、少なくとも1つの排気孔20に接続された強制吸引用のブロワー70を備えている。ブロワー70は、例えば、風道72を介して固定子枠12の円筒フレーム14に取り付けられ、風道72を介して排気孔20に連通している。
【0035】
ブロワー70により回転電機10の機内から強制的に冷却空気を吸引することにより、より多くの冷却風を固定子鉄心32および鉄心コイル34に供給し、これらの温度上昇をより抑制することができる。従って、回転電機の一層の大容量化を図ることが可能となる。回転電機10の他の構成は、前述した第1の実施形態に係る回転電機と同一である。
【0036】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、冷却ファンを構成するフィンの形状は、上述した実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。冷却ファンにおいて、複数のフィンは固定子鉄心に直接、固定する構成としたが、別途、支持円板にフィンを固定して冷却ファンを構成するようにしてもよい。冷却ファンは、回転子の軸方向両端に限らず、少なくも一方に設けられていればよい。この発明に係る回転電機は、昇降機の巻上げ機に限らず、種々の回転電機に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…回転電機、12…固定子枠、14…円筒フレーム、16…フランジ部、
20、22…排気孔、30…固定子、32…固定子鉄心、34…鉄心コイル、
36…スペーサ、37…冷却通風路、40…回転子、42…回転軸、
44…回転子鉄心、50a、50b…冷却ファン、52…フィン、
60a、60b…ファンカバー、62a、62b…吸気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子枠と、
固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
前記固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子と、
前記回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファンと、
前記固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバーと、
前記ファンカバーに形成され前記回転子と同軸的に位置する吸気口と、を備え、
前記ファンカバーの吸気口の外径と前記冷却ファンのフィンの内径とが略同一寸法に形成されている回転電機。
【請求項2】
前記鉄心コイルは、前記固定子鉄心の軸方向端から軸方向に突出するコイルエンドを有し、前記コイルエンドと前記ファンカバーとの距離は10cm以上に形成され、
前記冷却ファンのフィンと前記ファンカバー内面との距離は、前記フィンの弦長さ以下に形成されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記鉄心コイルは、前記固定子鉄心の軸方向端から軸方向に突出するコイルエンドを有し、前記コイルエンドの軸方向の突出長さCと前記フィンの弦長さLとは、
L/C=0.8〜0.7の関係を満たすように形成されている請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ファンカバーの吸気口の面積と前記冷却通風路の面積Sと前記冷却通風路の面積Gとは、G=1.1〜1.3Sの関係を満たすように形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記固定子鉄心の外周面と前記固定子枠の内周面との間に円周方向に間隔をおいて設けられた複数のスペーサを備え、
前記固定子枠は、前記複数のスペーサ間に形成され前記冷却通風路に開口する排気孔を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項1】
固定子枠と、
固定子枠内に同軸的に配置された環状の固定子鉄心と、固定子鉄心に取付けられた複数の鉄心コイルと、を有し、前記固定子鉄心の外周と固定子枠の内面との間に冷却通風路を規定している固定子と、
前記固定子鉄心の内側に同軸的に設けられた回転自在な回転子と、
前記回転子に取付けられ、回転子と一体に回転する冷却ファンと、
前記固定子および回転子の軸方向端、並びに、前記冷却ファンを覆って前記固定子枠に固定されたファンカバーと、
前記ファンカバーに形成され前記回転子と同軸的に位置する吸気口と、を備え、
前記ファンカバーの吸気口の外径と前記冷却ファンのフィンの内径とが略同一寸法に形成されている回転電機。
【請求項2】
前記鉄心コイルは、前記固定子鉄心の軸方向端から軸方向に突出するコイルエンドを有し、前記コイルエンドと前記ファンカバーとの距離は10cm以上に形成され、
前記冷却ファンのフィンと前記ファンカバー内面との距離は、前記フィンの弦長さ以下に形成されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記鉄心コイルは、前記固定子鉄心の軸方向端から軸方向に突出するコイルエンドを有し、前記コイルエンドの軸方向の突出長さCと前記フィンの弦長さLとは、
L/C=0.8〜0.7の関係を満たすように形成されている請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ファンカバーの吸気口の面積と前記冷却通風路の面積Sと前記冷却通風路の面積Gとは、G=1.1〜1.3Sの関係を満たすように形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記固定子鉄心の外周面と前記固定子枠の内周面との間に円周方向に間隔をおいて設けられた複数のスペーサを備え、
前記固定子枠は、前記複数のスペーサ間に形成され前記冷却通風路に開口する排気孔を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−46554(P2013−46554A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184893(P2011−184893)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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