説明

固体撮像装置、撮像装置

【課題】色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を提供する。
【解決手段】表面側が回路形成面とされた半導体層11と、半導体層11内に積層されて形成された2層以上の光電変換部PD1,PD2と、ゲート電極21が半導体層11の表面15から内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタTr1とを含み、2層以上のうちの1層の光電変換部PD1は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体層11に埋め込まれた部分21Aにまでわたって形成され、縦型トランジスタTr1によって形成されるチャネルに接続されている固体撮像装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、縦方向分光イメージセンサーに用いて好適な固体撮像装置、及びこの固体撮像装置を備えた撮像装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来のイメージセンサーでは、カラーフィルターがベイヤー配列に形成されていることが一般的であった。
しかし、ベイヤー配列では、各カラーフィルターによって吸収される光を光電変換に利用できないため、カラーフィルターの分、光の利用効率が低下してしまう。
【0003】
そこで、ベイヤー配列のカラーフィルターよりも光の利用効率を高めて、高感度化や高解像度化を図る目的で、同一画素に複数のフォトダイオードを積層した、縦方向分光イメージセンサーが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0004】
シリコン基板を用いた縦方向分光イメージセンサーでは、シリコン基板中の深さによって光の吸収波長が異なることを利用して色分離を行うために、シリコン内の異なる深さにフォトダイオードを積層することが特徴である。
そして、シリコン基板の深い部分に形成されたフォトダイオードから電荷を読み出すためには、不純物インプラで形成された電荷勾配をもった電荷転送経路(以下、「インプラプラグ」と称する)を介して、シリコン基板の表面まで電荷を転送している。
一方、シリコン基板の表面近傍のフォトダイオードに蓄積された電荷は、転送ゲートを用いて、フローティングディフュージョンに読み出している。
【0005】
上述した構造の縦方向分光イメージセンサーでは、インプラプラグや表面近傍の電界蓄積領域に光が漏れ込んでも、漏れ込んだ光により光電変換が発生する。
しかしながら、漏れこんだ光の波長成分は、インプラプラグに接続されたフォトダイオードで光電変換される光の波長成分とは異なるので、異なる波長成分の光による電荷が混合されて、混色を生じることになる。
従って、混色を防止して良好な色分離を行うために、インプラプラグ上に遮光膜を形成する必要がある。
【0006】
一方、インプラプラグ上に遮光膜を形成することにより、インプラプラグを形成しない単層のフォトダイオードの構成と比較して、インプラプラグの分、フォトダイオード上の開口率が小さくなり、感度が下がる。
つまり、縦方向分光イメージセンサーの従来の構造では、光の利用効率が良いというメリットと共に、開口率を下げて感度を下げる方向の構造も併せ持っており、縦方向分光のメリットを生かしきれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−12007号公報
【特許文献2】特開2005−151077号公報
【特許文献3】特開2006−278446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
縦方向分光イメージセンターのメリットを生かしきるためには、フォトダイオード上の開口率を下げないで、混色を防ぐことができる構造が望まれる。
【0009】
本技術の目的は、色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置、及び固体撮像装置を備えた撮像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の固体撮像装置は、表面側が回路形成面とされた半導体層と、この半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、ゲート電極が半導体層の表面から半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含む。
そして、2層以上の光電変換部のうちの1層の光電変換部は、縦型トランジスタのゲート電極の半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている。
【0011】
本技術の撮像装置は、光学系と、上記本技術の固体撮像装置と、固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路を備えたものである。
【0012】
上述の本技術の固体撮像装置の構成によれば、2層以上のうちの1層の光電変換部が、縦型トランジスタのゲート電極の半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、かつ、縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている。
これにより、縦型トランジスタをオン状態にすれば、縦型トランジスタのチャネルに接続された光電変換部で光電変換された信号電荷を、回路形成面である、半導体層の表面側に読み出すことができる。
また、縦型トランジスタがオフ状態となる電荷蓄積期間には、光電変換部と、縦型トランジスタの周りにチャネルが形成されないため、波長の異なる光による電荷が混ざることがなく、混色を生じない。そのため、ゲート電極の部分を遮光膜で覆わなくても混色を防ぐことができる。これにより、インプラプラグの部分を遮光膜で覆った構造と比較して、遮光膜の開口を広げて開口率を上げることが可能になる。
そして、この光電変換部が、ゲート電極の半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成されているので、インプラプラグを形成した構造と比較して、光電変換部の面積を大きくして感度を向上することが可能になる。
【0013】
上述の本技術の撮像装置の構成によれば、本技術の固体撮像装置を含むので、固体撮像装置において、ゲート電極の部分を遮光膜で覆わなくても混色を防ぐことができ、また、光電変換部の面積を大きくして感度を向上することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
上述の本技術によれば、混色を生じないので、色分離が良好であり、画質の良好な画像が得られる。
また、本技術によれば、光電変換部の面積を大きくして感度を向上することが可能になるため、高い感度が得られる。
従って、画質が良好であり、高い感度を有する固体撮像装置及び撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(平面図)である。
【図2】第1の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図3】第2の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図4】第3の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図5】第4の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図6】第5の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図7】第6の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図である。
【図8】第6の実施の形態のカラーフィルターの平面配置である。
【図9】第7の実施の形態の撮像装置の概略構成図(ブロック図)である。
【図10】A、B 半導体基板内に複数の光電変換部を積層して設けた、従来構造の断面図である。
【図11】図10Aの構成において斜めに光が入射した場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(固体撮像装置)
2.第2の実施の形態(固体撮像装置)
3.第3の実施の形態(固体撮像装置)
4.第4の実施の形態(固体撮像装置)
5.第5の実施の形態(固体撮像装置)
6.第6の実施の形態(固体撮像装置)
7.固体撮像装置の変形例
8.第7の実施の形態(撮像装置)
【0017】
<1.第1の実施の形態(固体撮像装置)>
第1の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(平面図)を、図1に示す。
また、第1の実施の形態の固体撮像装置の要部の断面図を、図2に示す。
本実施の形態は、CMOS型固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)に、本技術を適用したものである。
【0018】
本実施の形態の固体撮像装置1は、図1に示すように、半導体基板11、例えばシリコン基板に、光電変換部を含む画素2が多数規則的に2次元配列された画素部(所謂撮像領域)3と、駆動回路等を含む周辺回路部とが形成されて成る固体撮像素子によって構成される。
【0019】
画素2は、光電変換部と、MOSトランジスタから成る画素トランジスタとを有する。
画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ、の少なくとも1つ以上を有する。
【0020】
周辺回路部は、垂直駆動回路4と、カラム信号処理回路5と、水平駆動回路6と、出力回路7と、制御回路8等を有して構成されている。
【0021】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線を選択して、選択された画素駆動配線に画素を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素を駆動する。即ち、垂直駆動回路4は、画素部3の画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線9を通して各画素2の光電変換素子(例えばフォトダイオード)において、受光量に応じて生成した信号電荷に基づいた画素信号を、カラム信号処理回路5に供給する。
【0022】
カラム信号処理回路5は、画素2の例えば一列毎に配置されており、一行分の画素から出力される信号に対し、画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。即ち、カラム処理回路5は、画素2に特有の固定パターンノイズを除去するためのCDSや、信号増幅、AD変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路5の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線10との間に接続されている。
【0023】
出力回路7は、カラム信号処理回路5のそれぞれから水平信号線10を通して順次供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。
入出力端子12は、外部と信号のやり取りを行う。
【0024】
図2は、図1の固体撮像装置1の1つの画素2の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置では、受光部が形成された半導体基板に対して、回路や配線とは逆の側から光を入射させる、所謂裏面照射型構造としている。
【0025】
本実施の形態では、図2に示すように、1つの画素において、半導体基板11の深さ方向に積層した、2つの光電変換部PD1及びPD2が形成されている。
光電変換部PD1,PD2は、それぞれ、半導体基板11の内部に形成されたフォトダイオードによって構成されている。
そして、半導体基板11の裏面16側に、光が入射する受光面が形成されている。
一方、半導体基板11の表面15側に、図示しないが、所謂読み出し回路等を含む回路が形成される。
【0026】
2つの光電変換部PD1,PD2のうち、半導体基板11の裏面16側の第1の光電変換部PD1では、波長の短い、青Bの光を光電変換する。表面15側の第2の光電変換部PD2では、波長の長い、赤Rの光を光電変換する。これにより、縦方向分光イメージセンサーが構成される。
半導体基板11の表面15側の第2の光電変換部PD2には、転送ゲート23を介して、左側にフローティングディフュージョン(FD)24が設けられている。
【0027】
本実施の形態では、特に、半導体基板11の裏面16側の第1の光電変換部PD1に、縦型トランジスタTr1が接続されている。
縦型トランジスタTr1は、半導体基板11の表面15側から半導体基板11の内部にまで埋め込まれて形成されたゲート電極21を有して構成されている。
これにより、第1の光電変換部PD1が、縦型トランジスタTr1によって形成されるチャネルに接続されている。
そして、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の右側の半導体基板11の表面15に、フローティングディフュージョン(FD)22が設けられている。
また、第1の光電変換部PD1は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって形成されている。
【0028】
さらに、半導体基板11の裏面(光入射面)16のうち、第1の光電変換部PD1が形成されていない部分を覆って、遮光膜25が形成されている。
【0029】
ここで、本技術に対する比較対照として、半導体基板内に複数の光電変換部を積層して設けた、従来構造の固体撮像装置について、図10〜図11を参照して説明する。
この従来構造の固体撮像装置の断面図を、図10A及び図10Bに示す。
【0030】
図10Aに示すように、この固体撮像装置では、半導体基板51の深い所に形成された、赤R用の第2の光電変換部PD2からの電荷転送には、半導体基板51の上下に延びて形成された、インプラプラグ60を使用している。
このインプラプラグ60は、不純物のイオンインプラによって、第2の光電変換部PD2の不純物領域から連続して、かつ、半導体基板51の上下に延びるように形成された、不純物領域で構成されている。
そして、第2の光電変換部PD2で得られた電荷は、このインプラプラグ60を通って移動して、半導体基板51の表面上にある転送ゲート52の電界で読み出しが可能な部分に蓄積される。
一方、半導体基板51の浅い所に形成された、青B用の第1の光電変換部PD1からの電荷転送には、半導体基板51の表面上にある転送ゲート54を使用している。
また、第1の光電変換部PD1以外の部分を覆って、半導体基板51の上方に、遮光膜56が形成されている。
【0031】
次に、電荷を読み出す際の動作を、図10Bに示す。
電荷を読み出す際には、左の転送ゲート54をオンにして、図10Bに矢印で示すように、第1の光電変換部PD1の電荷を左のフローティングディフュージョン(FD)55に読み出す。
また、右の転送ゲート52をオンにして、図10Bに矢印で示すように、第2の光電変換部PD2のインプラプラグ60の電荷を右のフローティングディフュージョン(FD)53に読み出す。
【0032】
インプラプラグ60は、半導体基板51の深い所から浅い所に延びて形成されているので、浅い所に向かうに従い、吸収する光波長が短くなっていく。
このため、電荷蓄積中にインプラプラグ60に光が漏れこむと、赤Rの光電変換部PD2の信号に青色等の短波長の信号が混ざることになる。
従って、良好な色分離を行うために、遮光膜56でインプラプラグ60の上を覆っている。
【0033】
しかしながら、固体撮像素子の微細化や多画素化が進むことにより、画素サイズが小さくなると、斜めに入射する光が増える。
斜めに入射する光が増えると、図11に示すように、斜めに入射する光が遮光膜56の下のインプラプラグ60に入射するようになり、インプラプラグ60では赤Rの光から生じた電荷と、波長の短い青B等の光により生じた電荷とが混ざってしまう。これにより、信号電荷に混色を生じて、色分離特性が劣化する。
また、インプラプラグ60上をも覆って遮光膜56を形成するため、インプラプラグ60の分、遮光膜56の開口が狭くなり、開口率が低下する。この開口率の低下に伴って、感度が低下する。
【0034】
図10〜図11に示した従来の構造では、半導体基板51の深い所に形成された第2の光電変換部PD2から、インプラプラグ60が半導体基板51の表面近傍まで形成されており、異なる吸収波長帯を持つ構造が繋がっている。このため、開口率低下の原因となる遮光膜56をインプラプラグ60上にも形成する必要がある。
【0035】
これに対して、本実施の形態の構造では、半導体基板11の深い所に形成された第1の光電変換部PD1において生じた電荷を、縦型トランジスタTr1で読み出す。
裏面照射型構造であるので、半導体基板11の裏面(光入射面)16側に形成された第1の光電変換部PD1は、回路形成面である表面15とは反対側に形成されている。
光入射面である裏面16側には、転送ゲートが設けられていないため、第1の光電変換部PD1を広く形成して、開口率、即ち画素サイズに対する開口幅の比を最大にすることが可能になる。これにより、感度を最大化することが可能である。
また、半導体基板11の表面15側に形成される第2の光電変換部PD2も、従来構造のインプラプラグ60がなくなる分だけ、面積を大きくすることができる。
【0036】
そして、読み出しに縦型トランジスタTr1を用いることにより、半導体基板11の深い部分に形成された第1の光電変換部PD1は、深さを一定として、一定の波長吸収帯を持つのみとすることができる。これにより、図10に示した従来構造のインプラプラグ60で発生していた混色を防ぐことができる。
ただし、厳密には、縦型トランジスタTr1を用いてフローティングディフュージョン21に電荷を転送する電荷転送期間では、半導体基板11の深い部分に形成された第1の光電変換部PD1と縦型トランジスタTr1の周りに形成されるチャネル部分とが繋がる。そのため、この電荷転送期間では、従来構造と同様に、半導体基板11内の深さの異なる部分の光電変換成分が加わる。
しかし、縦型トランジスタTr1がオン状態である電荷転送期間は、電荷蓄積期間に対して十分に短いため、電荷転送期間中の混色成分は無視することができる。
電荷蓄積期間では、縦型トランジスタTr1がオフ状態であり、第1の光電変換部PD1と縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、半導体基板11内の深さの異なる部分の光電変換成分が加わることがない。
【0037】
また、縦型トランジスタTr1を用いることにより、図10に示した従来構造ではインプラプラグ60が形成されていて光電変換に寄与させられなかった領域にも、光電変換部を拡大することが可能になる。
また、縦型トランジスタTr1の部分には、混色抑制のための遮光膜25を形成する必要がなくなるため、開口率を向上することが可能になる。
【0038】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内の裏面16側に形成された第1の光電変換部PD1で光電変換された信号電荷を、縦型トランジスタTr1を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1がオフ状態である電荷蓄積期間には、第1の光電変換部PD1と縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、波長の異なる光による信号電荷が混ざらない。即ち、混色を生じない。
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の部分を遮光膜25で覆わなくても混色を生じないので、遮光膜25の開口率を広げて感度の向上を図ることが可能になる。
【0039】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって、第1の光電変換部PD1を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第1の光電変換部PD1の面積を大きくして、感度を向上することができる。
【0040】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0041】
<2.第2の実施の形態(固体撮像装置)>
第2の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(要部の断面図)を、図3に示す。図3は、図2と同様に、固体撮像装置の1つの画素の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置は、固体撮像素子の構造を、受光部が形成された半導体基板に対して、回路や配線と同じ側から光を入射させる、所謂表面照射型構造としている。
【0042】
本実施の形態では、図3に示すように、半導体基板11内の表面15側の部分に、青Bの光を光電変換する第1の光電変換部PD1が形成され、半導体基板11内の裏面16側の部分に、赤Rの光を光電変換する第2の光電変換部PD2が形成されている。即ち、第1の光電変換部PD1及び第2の光電変換部PD2の、半導体基板11の表面15側と裏面16側との配置が、図2とは逆になっている。
そして、半導体基板11の表面15側に、光が入射する受光面が形成されている。
さらに、半導体基板11の表面15側に、図示しないが、所謂読み出し回路等を含む回路が形成される。
【0043】
半導体基板11の表面15側の第1の光電変換部PD1には、転送ゲート23を介して、左側にフローティングディフュージョン(FD)24が設けられている。
【0044】
本実施の形態では、特に、半導体基板11の裏面16側の第2の光電変換部PD2に、縦型トランジスタTr1が接続されている。
縦型トランジスタTr1は、半導体基板11の表面15側から半導体基板11の内部にまで埋め込まれて形成されたゲート電極21を有して構成されている。
これにより、第2の光電変換部PD2が、縦型トランジスタTr1によって形成されるチャネルに接続されている。
そして、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の右側の半導体基板11の表面15に、フローティングディフュージョン(FD)22が設けられている。
また、第2の光電変換部PD2は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にまでわたって形成されている。
【0045】
さらに、半導体基板11の表面(光入射面かつ回路形成面)15のうち、第1の光電変換部PD1が形成されていない部分を覆って、遮光膜25が形成されている。
【0046】
本実施の形態の構造では、半導体基板11の深い所に形成された第2の光電変換部PD2において生じた電荷を、縦型トランジスタTr1で読み出す。
この構造により、図10に示した従来構造と比較して、第1の光電変換部PD1及び第2の光電変換部PD2の面積を拡大することが可能になる。
即ち、半導体基板11の表面15側に形成される第1の光電変換部PD1は、図10に示した従来構造のインプラプラグ60がなくなる分だけ、従来構造よりも領域を拡大して面積を大きくすることができる。
一方、裏面16側に形成される第2の光電変換部PD2は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にまでわたって形成されており、遮光膜25の開口とほぼ同じ面積にまで拡大されている。これにより、画素サイズに対する光電変換部の幅の比を最大にすることが可能になり、高い感度を得ることが可能になる。
【0047】
なお、その他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、図1の平面図に示した構造を採用することができる。
【0048】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内の裏面16側に形成された第2の光電変換部PD2で光電変換された信号電荷を、縦型トランジスタTr1を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1がオフ状態である電荷蓄積期間には、第2の光電変換部PD2と縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、混色を生じない。
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の部分を遮光膜25で覆わなくても混色を生じないので、遮光膜25の開口率を広げて感度の向上を図ることが可能になる。
【0049】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって、第2の光電変換部PD2を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第2の光電変換部PD2の面積を大きくして、感度を向上することができる。
【0050】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0051】
<3.第3の実施の形態(固体撮像装置)>
第3の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(要部の断面図)を、図4に示す。図4は、図2〜図3と同様に、固体撮像装置の1つの画素の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置は、半導体基板内に3層の光電変換部を積層した、裏面照射型構造としている。
【0052】
本実施の形態では、図4に示すように、半導体基板11の裏面(光入射面)16側から、3層の光電変換部が積層されており、第1の実施の形態の2つの光電変換部PD1,PD2の間に、緑Gの第3の光電変換部PD3が設けられた構成となっている。
【0053】
第1の光電変換部PD1からの電荷の読み出しには、第1の実施の形態と同様に、縦型トランジスタTr1を用いている。
本実施の形態では、第3の光電変換部PD3からの電荷の読み出しに、第2の縦型トランジスタTr2を用いている。即ち、この第3の光電変換部PD3は、第2の縦型トランジスタTr2によって形成されるチャネルに接続されている。
第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26は、半導体基板11に埋め込まれた部分26Aの長さが、第1の縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aよりも短くなっている。
なお、第2の光電変換部PD2からの電荷の読み出しには、半導体基板11の表面15上の図示しない部分に形成された、転送ゲートを用いる。この転送ゲートは図2の転送ゲート23と同様の構成とされ、信号電荷を第2の光電変換部PD2から図示しないフローティングディフュージョン(FD)に読み出す。
第3の光電変換部PD3は、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板に埋め込まれた部分26Aの裏面16側にまでわたって形成されている。
第1の光電変換部PD1は、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板に埋め込まれた部分26Aの裏面16側から、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側まで形成されている。
【0054】
その他の構成は、図1及び図2に示した第1の実施の形態と同様であるので、重複説明を省略する。
【0055】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内に形成された第1の光電変換部PD1と第3の光電変換部PD3で光電変換された信号電荷を、それぞれ縦型トランジスタTr1,Tr2を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1,Tr2がオフ状態である電荷蓄積期間には、第1の光電変換部PD1や第3の光電変換部PD3と、縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、混色を生じない。
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の部分を遮光膜25で覆わなくても混色を生じないので、遮光膜25の開口率を広げて感度の向上を図ることが可能になる。
【0056】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって第1の光電変換部PD1を形成している。そして、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板11に埋め込まれた部分26Aの裏面16側にもわたって第3の光電変換部PD3を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第1の光電変換部PD1及び第3の光電変換部PD3の面積を大きくして、感度を向上することができる。
【0057】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0058】
<4.第4の実施の形態(固体撮像装置)>
第4の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(要部の断面図)を、図5に示す。図5は、図2〜図4と同様に、固体撮像装置の1つの画素の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置は、図4に示した第3の実施の形態と同様に、半導体基板内に3層の光電変換部を積層した、裏面照射型構造としている。
【0059】
本実施の形態は、ほとんどの部分が図4に示した第3の実施の形態の構成と同様の構成となっているが、一部の構成が第3の実施の形態の構成とは異なっている。
即ち、本実施の形態では、図5に示すように、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板11に埋め込まれた部分26Aの長さが、第1の縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aとほぼ等しい。
また、第1の光電変換部PD1は、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板11に埋め込まれた部分26Aと重ならないように、形成されている。
【0060】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内に形成された第1の光電変換部PD1と第3の光電変換部PD3で光電変換された信号電荷を、それぞれ縦型トランジスタTr1,Tr2を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1,Tr2がオフ状態である電荷蓄積期間には、第1の光電変換部PD1や第3の光電変換部PD3と、縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、混色を生じない。
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の部分を遮光膜25で覆わなくても混色を生じないので、遮光膜25の開口率を広げて感度の向上を図ることが可能になる。
【0061】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって第1の光電変換部PD1を形成している。そして、第2の縦型トランジスタTr2のゲート電極26の半導体基板11に埋め込まれた部分26Aにもわたって第3の光電変換部PD3を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第1の光電変換部PD1及び第3の光電変換部PD3の面積を大きくして、感度を向上することができる。
【0062】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0063】
ここで、第3の実施の形態の構成と第4の実施の形態の構成とを比較すると、それぞれの構成の利点は、以下の通りである。
第3の実施の形態は、第1の光電変換部PD1の面積が広いので、その分、赤Rの光の感度を向上することができる。
第4の実施の形態は、2つの縦型トランジスタTr1,Tr2のゲート電極21,26の半導体基体内の深さがほぼ等しいので、これらのゲート電極21,26を半導体基体11に埋め込む穴を、同時に形成することができる。これにより、半導体基板11に深さの異なる穴を順次形成する必要がある、第3の実施の形態の構造と比較して、製造工程数を削減することが可能になる。
【0064】
なお、半導体基板内に3層の光電変換部を積層する構成は、第3の実施の形態や第4の実施の形態のような裏面照射型構造に限定されるものではなく、表面照射型構造に適用することも可能である。
【0065】
<5.第5の実施の形態(固体撮像装置)>
第5の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(要部の断面図)を、図6に示す。図6は、図2〜図5と同様に、固体撮像装置の1つの画素の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置は、半導体基板内に2層の光電変換部を積層して縦型トランジスタを用いて電荷を読み出す構造と、光入射面側に配置された、カラーフィルター機能及び光電変換機能を有する積層型光電変換層とを組み合わせた構成である。
【0066】
本実施の形態は、図6に示すように、半導体基板11内に第1の光電変換部PD1及び第2の光電変換部PD2が形成され、半導体基板11の表面15側から内部に埋め込まれて、縦型トランジスタTr1のゲート電極21が形成されている。
また、青Bの第1の光電変換部PD1は半導体基板11内の裏面16側に形成され、赤Rの第2の光電変換部PD2は半導体基板11内の表面15側に形成されている。
第1の光電変換部PD1は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11内に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって形成されている。
これらの構成は、図2に示した第1の実施の形態とほぼ同様な構成となっている。
【0067】
本実施の形態では、さらに、半導体基板11の裏面16側に、緑Gの光を受光検出する、1つの有機光電変換部が設けられている。
この有機光電変換部は、有機光電変換材料から成る有機光電変換層32が、光入射側の第1の電極31と、半導体基板11側の第2の電極33とに挟まれて構成されている。
有機光電変換層32は、緑Gの光を吸収して光電変換を行うと共に、青Bと赤Rの光を透過するカラーフィルターの機能を有する。
【0068】
第1の電極31及び第2の電極33は、透明導電材料によって形成する。
第1の電極31及び第2の電極33の透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物等を使用することができる。
【0069】
有機光電変換層32の、緑Gの光で光電変換する有機光電変換材料としては、例えば、ローダミン系色素、メラシアニン系色素、キナクリドン等を含む有機光電変換材料を使用することができる。
【0070】
有機光電変換部の第2の電極33は、断面が十字形状の配線層34を介して、半導体基板11に電気的に接続されている。
半導体基板11の裏面16側の配線層34に接続された部分には、コンタクト領域30が形成されている。
さらに、このコンタクト領域30に接続して、半導体基板11の内部に電荷蓄積領域29が形成されている。
有機光電変換層32で光電変換された電荷は、第2の電極33及び配線層34を経て、コンタクト領域30を通り、半導体基板11内の電荷蓄積領域29に蓄積される。
この電荷蓄積領域29に蓄積された電荷は、転送ゲート27によって、半導体基板11の表面15側に形成されたフローティングディフュージョン(FD)28に読み出される。
【0071】
配線層34は、電荷蓄積領域29に対する遮光膜としても作用するように、タングステン等の遮光性を有する金属材料によって形成することが望ましい。
【0072】
有機光電変換部の有機光電変換層32は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の裏面16側の部分、及び、電荷蓄積領域29の裏面16側の部分を含み、第1の光電変換部PD1よりも広い面積で形成されている。これにより、有機光電変換層を半導体基板内の光電変換部とほぼ同じ広さで形成した構成と比較して、有機光電変換層32における緑Gの光の感度を向上することができる。
【0073】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内の裏面16側に形成された第1の光電変換部PD1で光電変換された信号電荷を、縦型トランジスタTr1を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1がオフ状態である電荷蓄積期間には、第1の光電変換部PD1と縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、混色を生じない。
【0074】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって第1の光電変換部PD1を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第1の光電変換部PD1の面積を大きくして、感度を向上することができる。
さらに、有機光電変換部の有機光電変換層32が第1の光電変換部PD1よりも広い面積で形成されている。これにより、有機光電変換層を第1の光電変換部とほぼ同じ広さで形成した構成と比較して、有機光電変換層32における緑Gの光の感度を向上することができる。
【0075】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0076】
上述の実施の形態では、色の組み合わせとして、有機光電変換部を緑G、第1の光電変換部を青B、第2の光電変換部を赤Rとしたが、その他の色の組み合わせも可能である。
例えば、有機光電変換部を赤R或いは青Bとして、半導体基板内の2つの光電変換部を、その他の対応する色に設定することが可能である。
赤Rの光で光電変換する有機光電変換材料としては、フタロシアニン系色素を含む有機光電変換材料を使用することができる。
青Bの光で光電変換する有機光電変換材料としては、クマリン系色素、メラシアニン系色素等を含む有機光電変換材料を使用することができる。
【0077】
また、有機光電変換層と本技術の光電変換部との組み合わせは、表面照射型構造に適用することも可能である。
その場合は、半導体基板内に形成する光電変換部は、光入射面側から青Bの第1の光電変換部PD1、赤Rの第2の光電変換部PD2を配置して、縦型トランジスタを用いて読み出すのは、第2の実施の形態と同様に、赤Rの第2の光電変換部PD2になる。
【0078】
<6.第6の実施の形態(固体撮像装置)>
第6の実施の形態の固体撮像装置の概略構成図(要部の断面図)を、図7に示す。図7は、固体撮像装置の隣接する2つの画素の断面図を示している。
本実施の形態の固体撮像装置は、半導体基板内に2層の光電変換部を積層して縦型トランジスタを用いて電荷を読み出す構造と、従来の半導体基板内に1層の光電変換部を形成して転送ゲートを用いて電荷を読み出す構造とを組み合わせた構成である。
【0079】
本実施の形態は、図7に示すように、半導体基板11内に第1の光電変換部PD1及び第2の光電変換部PD2が形成され、半導体基板11の表面15側から内部に埋め込まれて、縦型トランジスタTr1のゲート電極21が形成されている。
また、青Bの第1の光電変換部PD1は半導体基板11内の裏面16側に形成され、赤Rの第2の光電変換部PD2は半導体基板11内の表面15側に形成されている。
第1の光電変換部PD1は、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11内に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって形成されている。
さらに、半導体基板11の裏面16側の第1の光電変換部PD1以外の部分を覆って、遮光膜25が形成されている。
これらの構成は、図2に示した第1の実施の形態とほぼ同様な構成となっている。
【0080】
本実施の形態では、さらに、第1の光電変換部PD1及び第2の光電変換部PD2が形成された第1の画素では、遮光膜25よりも光入射側に、Magenta(Mg)のカラーフィルター35が設けられている。
また、この第1の画素に隣接する第2の画素では、半導体基板11の内部に、緑Gの第3の光電変換部PD3が形成され、遮光膜25よりも光入射側に、Green(G)のカラーフィルター36が設けられている。そして、半導体基板11の表面15側に、第3の光電変換部PD3で光電変換された電荷を転送する転送ゲート27と、転送ゲート27によって転送された電荷が送られるフローティングディフュージョン(FD)28が設けられている。
【0081】
また、本実施の形態におけるカラーフィルターの平面配置を、図8に示す。
図8に示すように、Magenta(Mg)のカラーフィルターと、Green(G)のカラーフィルターとを、市松状に配列している。
【0082】
カラーフィルターの平面配置は、図8に示した市松配列に限定されず、その他の平面配置とすることも可能である。
また、使用するカラーフィルターの色の種類も、MagentaとGreenの2種類に限定されず、他の組み合わせも可能である。
【0083】
上述の本実施の形態の固体撮像装置の構成によれば、半導体基板11内の裏面16側に形成された第1の光電変換部PD1で光電変換された信号電荷を、縦型トランジスタTr1を用いて読み出す構成としている。
これにより、縦型トランジスタTr1がオフ状態である電荷蓄積期間には、第1の光電変換部PD1と縦型トランジスタTr1の周りにチャネルが形成されないため、混色を生じない。
【0084】
また、縦型トランジスタTr1のゲート電極21の半導体基板11に埋め込まれた部分21Aの裏面16側にもわたって第1の光電変換部PD1を形成している。
これにより、インプラプラグを形成した構造と比較して、第1の光電変換部PD1の面積を大きくして、感度を向上することができる。
【0085】
従って、本実施の形態の構成により、混色を生じないので色分離が良好であり、かつ、高い感度を有する固体撮像装置を実現することができる。
【0086】
<7.固体撮像装置の変形例>
本技術の固体撮像装置において、画素部及び周辺回路部の構成は、図1に示した構成に限定されるものではなく、その他の構成とすることも可能である。
【0087】
上述の各実施の形態では、フォトダイオードから成る光電変換部PD1,PD2,PD3を、シリコン基板等の半導体基板に形成していた。
本技術において、積層される複数層の光電変換部を形成する半導体層は、半導体基板に限定されるものではなく、半導体基板上に半導体エピタキシャル層を形成した半導体基体や、SOI基板の酸化膜上のシリコン層等を用いることも可能である。
また、本技術において、半導体層の材料としては、シリコンの他、Geや化合物半導体等の半導体を使用することも可能である。
【0088】
本技術に係る固体撮像装置は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話、撮像機能を備えた他の機器等に適用することができる。
【0089】
<8.第7の実施の形態(撮像装置)>
第7の実施の形態の撮像装置の概略構成図(ブロック図)を、図9に示す。
図9に示すように、この撮像装置121は、固体撮像装置122、光学系123、シャッタ装置124、駆動回路125、信号処理回路126を有する。
【0090】
光学系123は、光学レンズ等により構成され、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置122の画素部に結像させる。これにより、固体撮像装置122内に、一定期間信号電荷が蓄積される。光学系123は、複数個の光学レンズから構成された光学レンズ系としても良い。
固体撮像装置122としては、前述した各実施の形態の固体撮像装置等、本技術に係る固体撮像装置を使用する。
シャッタ装置124は、固体撮像装置122への光照射期間及び遮光期間を制御する。
駆動回路125は、固体撮像装置122の転送動作及びシャッタ装置124のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路125から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置122の信号転送を行う。
信号処理回路126は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリ等の記憶媒体に記憶され、或いは、モニタに出力される。
【0091】
上述の本実施の形態の撮像装置121の構成によれば、固体撮像装置122として、前述した各実施の形態の固体撮像装置等、本技術に係る固体撮像装置を使用することにより、混色を防ぐことができ、また、感度を向上することが可能になる。
【0092】
本技術において、撮像装置の構成は、図9に示した構成に限定されるものではなく、本技術に係る固体撮像装置を使用する構成であれば、図9に示した以外の構成とすることも可能である。
【0093】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)表面側が回路形成面とされた半導体層と、前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている固体撮像装置。
(2)前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有する、前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)電荷蓄積期間では、前記縦型トランジスタがオフ状態であって、前記縦型トランジスタの前記チャネルが形成されず、フローティングディフュージョンと前記光電変換部とが繋がっていない、前記(1)又は(2)に記載の固体撮像装置。
(4)前記半導体層に3層の前記光電変換部が積層されており、3層の前記光電変換部のうち、前記半導体層の裏面側から1層目の前記光電変換部及び2層目の前記光電変換部に対して、それぞれ1つずつ前記縦型トランジスタが設けられている、前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(5)前記半導体層の光入射面側に配置された、有機光電変換層から成る光電変換部をさらに有する、前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)前記有機光電変換層が、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の光入射面側にもわたって形成されている、前記(5)に記載の固体撮像装置。
(7)積層されて形成された2層の前記光電変換部を有する第1の画素と、前記第1の画素の2層の前記光電変換部とは異なる色の光を光電変換する光電変換部を有する第2の画素とを含み、前記第1の画素と前記第2の画素とが規則的に平面配置されて画素部が構成され、前記第1の画素と前記第2の画素の上にそれぞれ吸収波長の異なるカラーフィルターが設けられている、前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(8)光学系と、前記(1)から(7)のいずれかに記載の固体撮像装置と、前記固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路を備えた撮像装置。
【0094】
本技術は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0095】
1,122 固体撮像装置、2 画素、3 画素部、4 垂直駆動回路、5 カラム信号処理回路、6 水平駆動回路、7 出力回路、8 制御回路、9 垂直信号線、10 水平信号線、11 半導体基板、12 入出力端子、15 表面、16 裏面、21,26 ゲート電極、22,24,28 フローティングディフュージョン、23,27 転送ゲート、25 遮光膜、29 電荷蓄積領域、30 コンタクト領域、31 第1の電極、32 有機光電変換層、33 第2の電極、34 配線層、35,36 カラーフィルター、121 撮像装置、123 光学系、124 シャッタ装置、125 駆動回路、126 信号処理回路、PD1 第1の光電変換部、PD2 第2の光電変換部、PD3 第3の光電変換部、Tr1 縦型トランジスタ、Tr2 第2の縦型トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側が回路形成面とされた半導体層と、
前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、
ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、
2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成される前記チャネルに接続されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記半導体層の裏面側が光入射面とされた、裏面照射型構造を有する、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
電荷蓄積期間では、前記縦型トランジスタがオフ状態であって、前記縦型トランジスタの前記チャネルが形成されず、フローティングディフュージョンと前記光電変換部とが繋がっていない、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記半導体層に3層の前記光電変換部が積層されており、3層の前記光電変換部のうち、前記半導体層の裏面側から1層目の前記光電変換部及び2層目の前記光電変換部に対して、それぞれ1つずつ前記縦型トランジスタが設けられている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記半導体層の光入射面側に配置された、有機光電変換層から成る光電変換部をさらに有する、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記有機光電変換層が、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の光入射面側にもわたって形成されている、請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
積層されて形成された2層の前記光電変換部を有する第1の画素と、前記第1の画素の2層の前記光電変換部とは異なる色の光を光電変換する光電変換部を有する第2の画素とを含み、前記第1の画素と前記第2の画素とが規則的に平面配置されて画素部が構成され、前記第1の画素と前記第2の画素の上にそれぞれ吸収波長の異なるカラーフィルターが設けられている、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
光学系と、
表面側が回路形成面とされた半導体層と、前記半導体層内に、積層されて形成された2層以上の光電変換部と、ゲート電極が前記半導体層の表面から前記半導体層の内部に埋め込まれて形成された、縦型トランジスタとを含み、2層以上の前記光電変換部のうちの1層の光電変換部は、前記縦型トランジスタの前記ゲート電極の前記半導体層に埋め込まれた部分にまでわたって形成され、前記縦型トランジスタによって形成されるチャネルに接続されている固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路を備えた
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−84785(P2013−84785A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223856(P2011−223856)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】