説明

固体撮像装置およびカメラ

【課題】低ノイズの固体撮像装置およびカメラを提供する。
【解決手段】2次元状に配列された複数の単位セル3を備える固体撮像装置100であって、単位セル3は、入射光を光電変換する光電変換素子121aと、光電変換素子121aの信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する複数の増幅トランジスタ123aおよび123bとを有し1つの光電変換素子121aは、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに電気的に共通に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置およびカメラに関し、特に、CMOSイメージセンサ等のMOS型の固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高機能、多機能、および低消費電力を実現する固体撮像装置としてCMOS技術で製造される固体撮像装置が知られている。このような固体撮像装置は、CMOSイメージセンサとも呼ばれる。特許文献1には、4つの画素(光電変換素子)を含む単位セルの平面パターン(レイアウト)図が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270299号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固体撮像装置の小型化に伴い単位セルのサイズ(セルサイズ)の微細化が進むと感度が低下する。セルサイズの微細化に伴う感度低下を抑制するためには、単位セルの光電変換素子以外の素子の領域を小さくする必要がある。光電変換素子以外の素子としては、増幅トランジスタとリセットトランジスタとがある。
【0005】
しかしながら、増幅トランジスタのゲートサイズが小さくなると、増幅トランジスタで発生する熱ノイズおよび1/fノイズが大きくなり、単位セルで発生するランダムノイズ特性が劣化する。
【0006】
また、増幅トランジスタのゲート幅が狭くなると、単位セルからの出力信号が定電流トランジスタのゲート電極に供給されるバイアス電源のノイズの影響を受けやすくなり、横線状のランダムノイズ特性が劣化する。横線状のノイズが発生する原因は、バイアス電源が単位セルの列毎に設けられた定電流トランジスタのゲート電極に共通に入力されるためである。横線状のノイズは単位セルで発生する点状のランダムノイズに対して線状にノイズが発生するため目立ちやすく、単位セル毎の点状のランダムノイズに対して1/5から1/10に抑制することが好ましい。
【0007】
このとき、特許文献1に示されるように、光電変換素子の水平方向のサイズと増幅トランジスタのゲート電極の水平方向のサイズ(ゲート幅)とはトレードオフの関係にあるため、増幅トランジスタのゲート幅を大きくしてランダムノイズを抑制することが困難である。
【0008】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、低ノイズの固体撮像装置およびカメラを提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、本発明は、高感度でかつ小型の固体撮像装置およびカメラを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る固体撮像装置は、2次元状に配列された複数の単位セルを備える固体撮像装置であって、前記単位セルは、入射光を光電変換する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積する信号電荷に応じた電圧がゲートに与えられる複数の増幅トランジスタとを有することを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、増幅トランジスタを並列に設けることにより熱ノイズを低減することができるため、低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。また、1つの増幅トランジスタのサイズを大きくする場合と比較して、単位セルにおける増幅トランジスタのレイアウトの自由度を高くすることができ、光電変換素子の面積を犠牲にすることなく、つまり感度を維持しつつ低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。
【0012】
ここで、前記単位セルは、複数の前記光電変換素子を有し、前記複数の光電変換素子が前記複数の増幅トランジスタを共有してもよい。また、前記単位セルは、前記光電変換素子と前記増幅トランジスタのゲートとの間に配置された転送トランジスタを有してもよい。
【0013】
本態様によれば、複数の光電変換素子で増幅トランジスタを共用することができるため、小型の固体撮像装置を実現することができる。
【0014】
また、前記複数の増幅トランジスタは、ソース領域又はドレイン領域を共有してもよい。
【0015】
本態様によれば、1つの単位セルに2つの増幅トランジスタを設ける場合において、単位セルの面積増大を抑えることができる。その結果、小型の固体撮像装置を実現することができる。また、ソース領域を単位セル内で共有した場合には、ソース領域を縮小して増幅トランジスタと垂直信号線との接続を容易にすることができる。
【0016】
また、前記複数の増幅トランジスタでは、共有するソース領域又はドレイン領域を中心として、ソース領域とドレイン領域との間を流れる電流の向きが対称であってもよい。
【0017】
本態様によれば、複数の単位セルでの増幅トランジスタの特性のバラツキを抑えることができるため、更に低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。
【0018】
また、隣接する前記単位セルにおいて、前記増幅トランジスタのソース領域又はドレイン領域が共有されてもよい。
【0019】
本態様によれば、単位セルの面積を小さくすることができるので、小型の固体撮像装置を実現することができる。
【0020】
また、前記複数の増幅トランジスタでは、全てのドレイン領域およびソース領域が直線状に配置されてもよい。
【0021】
本態様によれば、光電変換素子が設けられる領域に影響を与えることなく、増幅トランジスタを並列に複数個設けることができる。
【0022】
また、前記複数の増幅トランジスタのゲート幅は、同じ寸法であってもよい。また、前記複数の増幅トランジスタのゲート長は、同じ寸法であってもよい。
【0023】
本態様によれば、単位セル内での増幅トランジスタの特性のバラツキを抑えることができるため、更に低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。
【0024】
また、前記複数の増幅トランジスタは、ゲート電極を共有してもよい。
本態様によれば、単位セル内の複数の増幅トランジスタのゲート電極のうちの1つについて信号線とのコンタクト不良が生じた場合でも、フローティングディフージョンとの接続を維持することができる。また、増幅トランジスタのゲート電極について設計の自由度を高くすることができる。
【0025】
また、前記複数の増幅トランジスタのゲート電極は、互いに信号線で接続されていてもよい。
【0026】
本態様によれば、複数の増幅トランジスタのゲート電極を接続する信号線を光電変換素子の上方に重ねて設けて、単位セルにおける光電変換素子の面積を大きくとることができる。その結果、高感度でかつ小型の固体撮像装置を実現することができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係るカメラは、2次元状に配列された複数の単位セルと、前記単位セルから出力される電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換回路とを備える固体撮像装置が形成された第1のチップと、前記第1のチップから出力されるデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路が形成された第2のチップとを備え、前記単位セルは、入射光を光電変換する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積した信号電荷を読み出すための転送トランジスタと、前記光電変換素子に蓄積する信号電荷に応じた電圧がゲートに与えられる複数の増幅トランジスタとを有することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、撮像部および処理部の製造工程を分離することができるので、使用の自由度を高くし、かつ低コスト化を実現できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、単位セル内の光電変換素子のサイズを維持しつつ増幅トランジスタのゲートサイズ、特にゲート幅を大きくとることが可能となり、単位セルおよび定電流回路で発生するランダムノイズを抑制することができる。その結果、高感度でかつ低ノイズの固体撮像装置およびカメラを実現することができる。動画撮影においては静止画撮影と比べて時間的制約があるため、監視カメラおよび車載カメラ等の動画モードを持つカメラでは補正によりノイズの影響を低減することは困難である。従って、補正を行うことなくノイズ自体を低減できる本発明の実用的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態のカメラの概略構成を示す図である。
【図2】同実施の形態の固体撮像装置の詳細な構成を示す図である。
【図3】同実施の形態のカラムアンプの構成例を示す回路図である。
【図4】同実施の形態の信号保持容量および信号保持スイッチの構成例を示す回路図である。
【図5】同実施の形態の1つの単位セルの構成例を示す回路図である。
【図6】同実施の形態の単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図7】同実施の形態の単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第2層目の平面パターン図である。
【図8】同実施の形態の単位セルの断面図(図6のA−A’’における断面図)である。
【図9】同実施の形態の固体撮像装置の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】同実施の形態の変形例1に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図11】同実施の形態の変形例2に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図12】同実施の形態の変形例3に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図13】同実施の形態の変形例4に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図14】同実施の形態の変形例5に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図15】同実施の形態の変形例5に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第2層目の平面パターン図である。
【図16】同実施の形態の変形例5に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図17】同実施の形態の変形例6に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図18】同実施の形態の変形例6に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第2層目の平面パターン図である。
【図19】同実施の形態の変形例6に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第3層目の平面パターン図である。
【図20】同実施の形態の変形例7に係る単位セルの断面図(図6のA−A’’における断面図)である。
【図21】同実施の形態の変形例8に係る単位セルの断面図(図6のA−A’’における断面図)である。
【図22】本発明の第2の実施の形態の1つの単位セルの構成例を示す回路図である。
【図23】同実施の形態の単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図24】同実施の形態の変形例9に係る単位セルの素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【図25】第1および第2の実施の形態に係る単位セルの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態のカメラの概略構成を示す図である。図2は、本実施の形態の固体撮像装置100の詳細な構成を示す図である。
【0033】
このカメラは、固体撮像装置100、レンズ110、DSP(デジタル信号処理回路)120、画像表示デバイス130および画像メモリ140から構成される。
【0034】
このカメラでは、レンズ110を介して外部から光が入射し、入射した光は固体撮像装置100によりデジタル信号に変換されて出力される。そして、出力されたデジタル信号はDSP120により処理されて映像信号として画像メモリ140に出力されて記録され、また画像表示デバイス130に出力されて画像表示される。
【0035】
DSP120は、固体撮像装置100の出力信号に対してノイズ除去等の処理を行って映像信号を生成する画像処理回路121と、固体撮像装置100における画素の走査タイミングおよびゲインの制御を行うカメラシステム制御部122とから構成される。DSP120は、例えば固体撮像装置100の単位セル内で共有される画素間での特性差に関する補正を行う。
【0036】
固体撮像装置100は1チップで形成され、固体撮像装置100が形成されたチップとDSP120が形成されたチップとは別チップとされる。これにより、固体撮像装置100の形成工程とDSP120の形成工程とを分離することで撮像部および処理部の製造工程を分離できるので、製造工程を削減して低コスト化を実現できる。また、タイミング制御、ゲイン制御および画像処理をユーザー毎に事由に設定することが可能となるため、使用の自由度を高くすることができる。
【0037】
固体撮像装置100は、CMOS型の固体撮像装置であり、画素部(画素アレイ)10と、垂直走査回路(行走査回路)14と、通信・タイミング制御部30と、AD変換(アナログ/デジタルコンバーター)回路25と、参照信号生成部27と、出力I/F28と、信号保持スイッチ263と、信号保持容量262と、カラムアンプ42とを備える。
【0038】
画素部10は、複数の単位セル3が半導体基板のウェルに2次元状(行列状)に配列されて構成される。各単位セル3は、複数の画素(光電変換素子)を含んで構成される。各単位セル3は、垂直走査回路14で制御される信号線および単位セル3からの電圧信号をAD変換回路25に伝達する垂直信号線19と接続される。
【0039】
垂直走査回路14は、単位セル3を垂直方向に行単位で走査し、垂直信号線19に電圧信号を出力させる単位セル3の行を選択する。
【0040】
通信・タイミング制御部30は、外部端子を介して入力されたマスタークロックCLK0およびデータDATAを受け取り、種々の内部クロックを生成し参照信号生成部27および垂直走査回路14などを制御する。
【0041】
参照信号生成部27は、AD変換回路25のカラムAD回路26にAD変換用の参照電圧RAMPを供給するDAC(デジタル/アナログコンバーター)27aを有する。
【0042】
カラムアンプ42、信号保持スイッチ263および信号保持容量262は、単位セル3の列に対応して設けられている。カラムアンプ42は単位セル3から出力された電圧信号を増幅し、信号保持容量262は信号保持スイッチ263を介して伝達されてきた増幅された電圧信号を保持する。カラムアンプ42を設けることで、単位セル3の電圧信号を増幅することが可能となり、S/Nの改善およびゲインの切り替え等が可能となる。
【0043】
カラムアンプ42は、例えば図3の回路図に示されるソース接地型のアンプであり、容量素子276および277の比でアンプのゲインを決める構成を持つ。なお、図3は回路の一例であり、単位セル3の電圧信号を増幅するアナログアンプであればこの構成にとらわれない。
【0044】
信号保持容量262および信号保持スイッチ263は、例えば図4の回路図に示されるように、NchおよびPchのペアトランジスタで構成される。NchおよびPchのペアトランジスタで構成することで、垂直信号線19の電圧信号をグランドレベルから電源レベルまで電圧降下なしに通すことができる。なお、図4は回路の一例であり、例えば垂直信号線19の電圧レベルがグランドレベルから電源レベルまで振れない場合は、電圧レベルに応じてNchトランジスタのみの構成であっても、Pchトランジスタのみの構成であってもよい。
【0045】
AD変換回路25は、単位セル3の列に対応して設けられたカラムAD(カラムアナログ/デジタルコンバーター)回路26を複数有する。カラムAD回路26は、DAC27aで生成される参照電圧RAMPを用いて、単位セル3から出力された信号保持容量262のアナログの電圧信号をデジタル信号に変換する。
【0046】
カラムAD回路26は、電圧比較部252、スイッチ258およびデータ記憶部256から構成される。電圧比較部252は、単位セル3から垂直信号線19(H0、H1、・・・)および信号保持容量262を経由し得られるアナログの電圧信号を参照電圧RAMPと比較する。データ記憶部256は、電圧比較部252が比較処理を完了するまでの時間とカウンタ部254を利用してカウントした結果とを保持するメモリとして構成される。
【0047】
電圧比較部252の一方の入力端子には、他の電圧比較部252の入力端子と共通に、DAC27aで生成される階段状の参照電圧RAMPが入力され、他方の入力端子には、それぞれ対応する列の信号保持容量262が接続され、画素部10から電圧信号が入力される。電圧比較部252の出力信号はカウンタ部254に供給される。
【0048】
電圧比較部252は、例えば図4の回路図に示されるように、差動入力型のアンプ構成を持つ。なお、電圧比較部252は、単位セル3の電圧信号をAD変換する構成であれば、図4の構成にとらわれない。
【0049】
カラムAD回路26は、電圧比較部252に参照電圧RAMPが供給されると同時にクロック信号でのカウント(計数)を開始し、信号保持容量262を介して入力されたアナログの電圧信号を参照電圧RAMPと比較することによってパルス信号が得られるまでカウントすることでAD変換を行う。
【0050】
この際、カラムAD回路26は、AD変換とともに、信号保持容量262を介して入力された電圧モードの画素信号(電圧信号)に対して、画素リセット直後の信号レベル(ノイズレベル)と真の(受光光量に応じた)信号レベルVsigとの差分をとる処理を行う。これによって、固定パターンノイズ(FPN:Fixed Pattern Noise)およびリセットノイズ等と呼ばれるノイズ信号成分を電圧信号から取り除くことができる。
【0051】
なお、カラムAD回路26は、ノイズレベルをダウンカウントし、信号レベルをアップカウントすることで真の信号レベルVsigのみを取り出す構成であり、このカラムAD回路26でデジタル化された信号は、水平信号線18を介して出力I/F28に入力される。
【0052】
この構成により、固体撮像装置100は、画素部10からは、単位セル3の行ごとに電圧信号が順次出力される。そして、画素部10に対する1枚分の画像すなわちフレーム画像が、画素部10全体の電圧信号の集合で示されることとなる。
【0053】
図5は、1つの単位セル3の構成例を示す回路図である。
各単位セル3は、回路要素として、例えば、複数の光電変換素子121aおよび121b、複数の転送トランジスタ122aおよび122b、1つのフローティングディフュージョン(以下、FD)125、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bおよび1つのリセットトランジスタ124を含む。ここでは、各単位セル3が2個の光電変換素子121aおよび121d、即ち、2画素を含む構成を例示する。本発明の特徴は増幅トランジスタ123aおよび123bを並列に設けていることである。
【0054】
各単位セル3は、導電線としての垂直信号線19と、転送制御信号線130aおよび130b、リセット信号線131ならびに電源線132と接続されている。垂直信号線19は、同一列内の複数の単位セル3によって共用される。転送制御信号線130aおよび130bならびにリセット信号線131は、行方向に沿って配列された複数の単位セル3によって共用される。
【0055】
光電変換素子121aおよび121bは、アノードがグランドに接続されており、入射光をその光量に応じた電荷(電子又は正孔)に光電変換して蓄積する。1つの光電変換素子121a又は121bは、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに電気的に共通に接続されている。
【0056】
複数の転送トランジスタ122aおよび122bは、複数の光電変換素子121aおよび121bのそれぞれに対応する形で、光電変換素子121aおよび121bとFD125との間に配置されている。複数の転送トランジスタ122aおよび122bは、それぞれ対応する複数の光電変換素子121aおよび121bのいずれかで発生した信号電荷を読み出してFD125に転送する。複数の転送トランジスタ122aおよび122bそれぞれは、ソースが対応する複数の光電変換素子121aおよび121bのいずれかのカソードに接続され、ゲートが対応する複数の転送制御信号線130aおよび130bのいずれかに接続され、ドレインがFD125および複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに接続されている。
【0057】
転送トランジスタ122aは、光電変換素子121aと複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートとの間に配置されている。転送トランジスタ122bは、光電変換素子121bと複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート電極との間に配置されている。転送トランジスタ122aは、転送制御信号線130aの電位がハイレベルになると、光電変換素子121a内に蓄積された電荷をFD125に転送する。転送トランジスタ122bは、転送制御信号線130bの電位がハイレベルになると、光電変換素子121b内に蓄積された電荷をFD125に転送する。
【0058】
FD125は、複数の光電変換素子121aおよび121bから選択される1つの光電変換素子からそれに対応する複数の転送トランジスタ122aおよび122bのいずれかを介して転送される信号電荷を蓄積する。FD125の電位は、転送された信号電荷の量によって定まる。1つのFD125は、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに電気的に共通に接続されていると同時に、複数の光電変換素子121aおよび121bに電気的に共通に接続されている。
【0059】
また、光電変換素子121に蓄積した信号電荷がFD125に読み出され、FD125の電圧が入射した光の強さに相当するぶん変化し、その電圧が増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに与えられる。増幅トランジスタ123aおよび123bでは、光電変換素子に蓄積する信号電荷に応じた電圧がゲートに与えられる。
【0060】
複数の増幅トランジスタ123aおよび123bは、ゲートがFD125に接続され、ドレインが電源線132に接続され、ソースが垂直信号線19に接続されていて、光電変換素子121a又は121bに蓄積された信号電荷の量に応じた信号電圧を垂直信号線19に出力する。すなわち、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bは、1つのFD125の電位に応じた信号電圧を出力する。
【0061】
リセットトランジスタ124は、ソースがFD125および複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートに接続され、ドレインが電源線132に接続され、ゲートがリセット信号線131に接続されている。リセットトランジスタ124は、リセット信号線131がハイレベルになると、FD125の電位、つまり、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートの電位を電源線132の電位にリセット(初期化)する。
【0062】
転送トランジスタ122aおよび122b、増幅トランジスタ123aおよび123bならびにリセットトランジスタ124は、N型MOSトランジスタで構成される。なお、転送トランジスタ122aおよび122b、増幅トランジスタ123aおよび123bならびにリセットトランジスタ124は、P型MOSトランジスタで構成されてもよい。
【0063】
図5の単位セル3では、複数の転送トランジスタ122aおよび122bのそれぞれのドレインが相互に接続されて1つのFD125が形成されている。すなわち、複数の光電変換素子121aおよび121bによってFD125、リセットトランジスタ124ならびに増幅トランジスタ123aおよび123bが共有化されている。
【0064】
画素部10中の読み出し対象行の画素の選択は、垂直走査回路14によりなされ、読み出し対象行の画素が属する単位セル3内のFD125の電位を複数の増幅トランジスタ123aおよび123bが共にオンするようにリセットトランジスタ124を通して制御し、読み出し対象行の画素に対応する転送トランジスタを活性化することによってなされる。読み出し対象行の画素が属する単位セル3内の他の画素は、それに対応する転送トランジスタが非活性状態に維持されるので選択されない。また、読み出し対象行の画素が属しない単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bがオンしないようにFD125の電位がリセットトランジスタ124を通して制御される。
【0065】
垂直信号線19には、半導体基板のウェルに2次元的に配列された単位セル3のうち同列に配置された複数の単位セル3が並列に接続されている。垂直信号線19は、複数の単位セル3から出力される信号電圧を伝達する。垂直信号線19には、定電流トランジスタ137が接続されている。定電流トランジスタ137は、そのゲートがバイアス電源135によって定電圧でバイアスされ、定電流源として動作する。
【0066】
上記の構成の単位セル3において、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bがオンする電位にFD125の電位がセットされると、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bと定電流トランジスタ137とがソースフォロアを構成する。これにより、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲートの電位からソース・ゲート間電圧分だけ降下した電位が垂直信号線19に出力される。
【0067】
本実施の形態の固体撮像装置100によれば、図5に示すように2つの増幅トランジスタ123aおよび123bを1つの単位セル3で並列に設けることで、例えば単位セル3における増幅トランジスタのゲート幅Wを2倍にすることができる。その結果、増幅トランジスタで発生する熱ノイズは、Vn^2=8k×T/(3gm)、gm=(μ×Cox)W/L×(Vgs−Vth)と表すことができ、1/fノイズはVn^2=K/(Cox×W×L×f)と表すことができて、熱ノイズおよび1/fノイズを1/√2倍に低減することができる。ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、gmは相互コンダクタンス、μは移動度、Coxは単位面積あたりのゲート酸化膜容量、Wはトランジスタのゲート幅、Lはトランジスタのゲート長、Vgsはゲートとソース間の電位、Vthはトランジスタの閾値電圧。Kはトランジスタのトラップ密度に関する係数、fは周波数である。
【0068】
また、定電流トランジスタ137およびバイアス電源135で発生する横線状のランダムノイズに対しても1/√2倍に低減することができる。すなわち、定電流トランジスタ137のゲートに発生するノイズをΔVとすると、ノイズ発生による電流変化ΔIは定電流トランジスタ137の相互コンダクタンスgm1を用いて、ΔI=gm1×ΔVとあらわすことができる。ΔIの電流変化に対して、増幅トランジスタの出力換算ノイズΔVnは、増幅トランジスタの相互コンダクタンスgm2を用いて、ΔVn=ΔI/gm2=gm1/gm2×ΔV、gm=(μ×Cox)W/L×(Vgs−Vth)=√(2×β×I)よりΔVn=√(β1/β2)×ΔV、β2=(μ×Cox)×W/Lとあらわすことができる。従って、増幅トランジスタのゲート幅Wを2倍にすることで、定電流源起因の横線状のランダムノイズを1/√2倍に低減することができる。横線状のノイズは線状にノイズが発生するため、単位セル3で発生する点状のランダムノイズに対して目立ちやすく、イメージセンサの特性上、点状のランダムノイズに対して1/10程度に抑制する必要がある。従って、横線状のランダムノイズ低減の効果は高い。
【0069】
図6および図7は、図5に示す単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す平面パターン図である。なお、図6および図7はそれぞれ第1層目の平面パターン図およびその上の第2層目の平面パターン図を示している。
【0070】
FD125は、FD領域143により構成されている。転送トランジスタ122aのゲート電極141aが、光電変換素子121aの光電変換領域(活性領域)142aとFD領域143との間に配置されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bが、光電変換素子121bの光電変換領域142bとFD領域143との間に配置されている。
【0071】
増幅トランジスタ123aは、ゲート電極146a、ソース領域147およびドレイン領域145bにより構成されている。同様に、増幅トランジスタ123bは、ゲート電極146b、ソース領域147およびドレイン領域145cにより構成されている。
【0072】
リセットトランジスタ124は、ゲート電極144、FD領域143およびドレイン領域145aにより構成されている。
【0073】
複数のゲート電極141a、141b、144、146aおよび146bは、例えばポリシリコンで構成されている。
【0074】
転送トランジスタ122aのゲート電極141aは、コンタクト部152aを通して転送制御信号線130aに接続されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bは、コンタクト部152bを通して転送制御信号線130bに接続されている。
【0075】
リセットトランジスタ124のゲート電極144は、コンタクト部153を介してリセット信号線131に接続されている。
【0076】
FD領域143、増幅トランジスタ123aのゲート電極146aおよび増幅トランジスタ123bのゲート電極146bは、コンタクト部150、151aおよび151b、ならびに導電線134を介して電気的に接続されている。
【0077】
リセットトランジスタ124のドレイン領域145aと増幅トランジスタ123aのドレイン領域145bおよび増幅トランジスタ123bのドレイン領域145cとは、複数のコンタクト部154a、154bおよび154cを介して導電線である電源線132に接続されている。
【0078】
複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのソース領域147は、コンタクト部155を介して同じ垂直信号線19に接続されている。
【0079】
1つの単位セル3に対して1つの割合でウェルコンタクト領域148が配置されている。ウェルコンタクト領域148は、ウェル電圧、例えばグランドレベルを供給するための列方向に延びるウェル電圧供給線157に対してウェルコンタクト部156を介して電気的に接続されている。これによって、ウェルの電圧を固定することができる。
【0080】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの配置に関して、全てのドレイン領域およびソース領域、つまりドレイン領域145bおよび145cとソース領域147とを結ぶ直線状に設けることにより、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの配置領域を縮小することができる。
【0081】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bはソース領域147を共有していることから、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの領域を広く確保することができる。これにより、複数の増幅トランジスタのゲート幅Wのサイズを大きくとることができ、ランダムノイズの抑制効果を高めることができる。
【0082】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート幅Wおよびゲート長Lの寸法が同じであるため、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのトランジスタサイズバラツキに起因する閾値電圧Vthのばらつきを抑制することができる。すなわち、ソースフォロア回路の入力をVin、出力をVout、αをソースフォロアの回路ゲイン(0.9倍程度)とすると、Vout=α(Vin−Vth)であらわすことができる。閾値電圧Vthのばらつきを抑制することで、垂直信号線19に出力される電圧Voutの電圧ばらつきを抑制することができる。その結果、ソースフォロア回路のダイナミックレンジの確保およびダイナミックレンジのばらつきの抑制を実現することができる。
【0083】
なお、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート幅Wおよびゲート長Lの寸法が共に同じであるとしたが、ゲート幅Wおよびゲート長Lのいずれかの寸法のみが同じであってもよい。
【0084】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bについて、共有するソース領域147を中心として、ソース領域147およびドレイン領域145bの間を流れる電流の向きと、ソース領域147およびドレイン領域145cの間を流れる電流の向きとが対称である。これにより、垂直信号線19に出力される電圧Voutの電圧ばらつきを抑制することができる。その場合、偏りをなくすため、複数のトランジスタのW/Lサイズは均等が良い。
【0085】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート電極146aおよび146bが金属配線である信号線で電気的に接続されている。これにより、複数のゲート電極146aおよび146bのそれぞれについて垂直方向の長さを小さく抑えることができ、増幅トランジスタのゲート幅Wを大きくとることができる。また、コンタクト部155の周りは上下にゲート電極が配置されないレイアウトとすることが可能となるため、コンタクト部155を安定してとることができる。
【0086】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bは転送トランジスタ122aおよび122bのゲート電極141aおよび142bに対して画素をまたぐように離して配置されている。これにより、複数の転送トランジスタ122aおよび122bによる画素からの信号電荷の読み出し特性に影響を与えることなく、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの閾値電圧Vthの調整を行うことができる。例えば、熱ノイズはVn^2=8k×T/(3gm)、gm=(μ×Cox)W/L×(Vgs−Vth)で表すことができるが、閾値電圧Vthを小さくすることで、gmを高くし、熱ノイズを抑制することができる。
【0087】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのチャネルは埋め込みチャネルで形成されるため、電圧信号は酸化膜とシリコン界面での結晶欠陥の影響を受けにくくなり、1/fノイズの1種といわれるランダムテレグラフシグナルノイズ(RTSノイズ)などを抑制することができる。
【0088】
水平方向に隣接する単位セル3において、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bはドレイン領域145bを共有していることから、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの領域を広く確保することができる。これにより、複数の増幅トランジスタのゲート幅Wのサイズを大きくとることができ、ランダムノイズの抑制効果を高めることができる。
【0089】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bが設けられ、増幅トランジスタのゲート面積を増やすことができるため、画素の読み出し特性に影響を与えることなく、増幅トランジスタのレイアウトおよびプロセス(製造)条件の自由度を高めることができる。
【0090】
図8は、単位セル3の断面図(図6のA−A’’における断面図)である。
単位セル3を構成する光電変換素子およびトランジスタは、N型基板161内にPウェル162内に形成されている。複数の増幅トランジスタの123aおよび123bのソース領域147、ドレイン領域145bおよび145cならびにFD領域143はN型の活性領域で構成され、ゲート電極141a、141b、144、146aおよび146bは例えばポリシリコンで構成されている。
【0091】
単位セル3において、信号線およびコンタクト部150、154b、151a、151bおよび151cが形成された層間絶縁膜167の上には、光電変換領域142bの上方に位置するように、カラーフィルタ168およびマイクロレンズ169が形成されている。マイクロレンズ169により集光された入射光は、カラーフィルタ168によりRGBの各色成分に分離されて光電変換領域142bに入射する。
【0092】
単位セル3において、光電変換素子およびトランジスタ間には、STI(Shallow Trench Isolation)やLOCOS(Local Oxidization On Silicon)等の素子分離領域166が形成されている。
【0093】
図9は、本実施の形態に係る固体撮像装置100の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【0094】
まず、1回目の読み出しのため、通信・タイミング制御部30は、カウンタ部254のカウント値を初期値"0"にリセットさせるとともに、カウンタ部254をダウンカウントモードに設定する。そして、任意の行の単位セル3から垂直信号線19(H1、H2、・・・)への1回目の読み出しが安定した後、t4のタイミングで、信号保持スイッチ263の制御信号CN11を印加し、信号保持スイッチ263をONさせて、信号保持容量262に単位セル3のリセット信号を入力する。
【0095】
また、信号保持容量262への信号入力安定した後、t6のタイミングで、信号保持スイッチ263の制御信号CN11の印加を解除し、信号保持スイッチ263をOFFさせて、信号保持容量262に単位セル3のリセット信号(リセット成分ΔVの信号電圧)を保持させる。
【0096】
また、通信・タイミング制御部30は、参照信号生成部27に向けて、参照電圧RAMP生成用の制御データCN4を供給する。これを受けて、参照信号生成部27は、電圧比較部252の一方の入力端子RAMPに、全体として鋸歯状(RAMP状)に時間変化させた階段状の波形(RAMP波形)の比較電圧(参照電圧)を入力する。電圧比較部252は、この比較電圧と信号保持容量262に保持されたリセット成分ΔVの信号電圧とを比較する。
【0097】
また、電圧比較部252の入力端子RAMPへの参照電圧入力と同時に、電圧比較部252における比較時間を、行ごとに配置されたカウンタ部254で計測する。これは、参照信号生成部27から発せられる参照電圧に同期して(t10)、カウンタ部254のクロック端子に通信・タイミング制御部30からカウントクロックCK0を入力し、1回目のカウント動作として、初期値"0"からダウンカウントを開始することにより行われる。
【0098】
また、電圧比較部252は、参照信号生成部27からの参照電圧とリセット成分の信号電圧とを比較し、双方の電圧が同じになったときに、電圧比較部252の出力をHレベルからLレベルへ反転させる(t12)。つまり、リセット成分ΔVに応じた信号電圧と参照電圧を比較して、リセット成分ΔVの大きさに対応した時間軸方向の大きさをカウントクロックCK0でカウント(計数)することで、リセット成分ΔVの大きさに対応したカウント値を得る。言い換えれば、カウンタ部254は、RAMP波形の変化の開始時点をカウンタ部254のダウンカウント開始時点として、電圧比較部252の出力が反転するまでダウンカウントすることにより、リセット成分ΔVの大きさに対応したカウント値を得る。
【0099】
また、通信・タイミング制御部30は、所定のダウンカウント期間を経過すると(t14)、電圧比較部252への制御データの供給と、カウンタ部254へのカウントクロックCK0の供給とを停止する。これにより、電圧比較部252は、ランプ状の参照電圧RAMPの生成を停止する。
【0100】
この1回目の読み出し時は、単位セル3の信号電圧におけるリセットレベルを電圧比較部252で検知してカウント動作を行っているので、単位セル3のリセット成分ΔVを読み出していることになる。
【0101】
さらに、t10のタイミングにてダウンカウントを開始し、リセット成分ΔVのAD変換動作を行うと同時に、単位セル3に蓄積された信号成分を読み出す画素読み出しパルスφTRを印加し、垂直信号線19へ画素の信号成分Vsigを出力させる。
【0102】
このとき、信号保持スイッチ263の制御信号CN11の印加は解除されており、信号保持スイッチ263はOFF状態であり、信号成分Vsigが読み出される垂直信号線19とリセット成分ΔVが保持されている信号保持容量262は電気的に遮断されている。したがって、垂直信号線19に信号成分Vsigを読み出しても、リセット成分ΔVは信号保持容量262に保持させることが出来る。さらに、信号成分Vsigの読み出し動作をリセット成分ΔVのAD変換動作と並列して行うこと出来る。
【0103】
さらに、信号成分Vsigの読み出し動作およびリセット成分ΔVのAD変換が終了すると、続いて2回目の読み出し動作を開始する。また、2回目の読み出し時には、単位セル3ごとの入射光量に応じた信号成分Vsigを読み出す動作を行う。1回目の読み出しと異なる点は、カウンタ部254をアップカウントモードに設定する点である。
【0104】
また、2回目の読み出し動作のため、t14のタイミングにて、まずカウンタ部254のカウント値を初期値"0"にリセットする。続いて、任意の行の単位セル3から垂直信号線19(H1、H2、・・・)への2回目の読み出しが安定した後、t16のタイミングで、信号保持スイッチ263の制御信号CN11を印加し、信号保持スイッチ263をONさせて、信号保持容量262に信号成分Vsigを入力する。信号保持容量262への信号入力が安定した後、t18のタイミングで、信号保持スイッチ263の制御信号CN11の印加を解除し、信号保持スイッチ263をOFFさせて、信号保持容量262に信号成分Vsigを保持させる。
【0105】
また、信号保持容量262への信号成分Vsigの読み出しが安定した後、参照信号生成部27により概ねランプ状となるように階段状に時間変化させた参照電圧を入力し、この参照電圧と信号保持容量262に保持された信号成分Vsigの信号電圧との比較を電圧比較部252にて行う。
【0106】
このとき、電圧比較部252の一方の入力端子RAMPへの参照電圧の入力と同時に、電圧比較部252における比較時間をカウンタ部254を利用して計測するために、参照信号生成部27から発せられる参照電圧に同期して(t20)、カウンタ部254は、2回目のカウント動作として、初期値"0"からアップカウントを開始する。
【0107】
また、電圧比較部252は、参照信号生成部27からの参照電圧と信号保持容量262に保持された信号成分Vsigの信号電圧とを比較し、双方の電圧が同じになったときに、電圧比較部252の出力をHレベルからLレベルへ反転させる(t22)。つまり、信号成分Vsigに応じた信号電圧と参照電圧を比較して、信号成分Vsigの大きさに対応した時間軸方向の大きさをカウントクロックCK0でカウント(計数)することで、信号成分Vsigの大きさに対応したカウント値を得る。言い換えれば、カウンタ部254は、RAMP波形の変化の開始時点をカウンタ部254のアップカウント開始時点として、電圧比較部252の出力が反転するまでアップカウントすることにより、信号成分Vsigの大きさに対応したカウント値を得る。
【0108】
また、AD変換されたデータをデータ記憶部256に転送および保持することで、カウンタ部254の動作前(t30)に、通信・タイミング制御部30からメモリ転送指示パルスCN8に基づき、前行のカウント結果をデータ記憶部256に転送する。これにより、データ記憶部256から出力I/F28を経たDSP120への信号出力動作と、読み出し動作およびカウンタ部254のカウント動作とを並行して行うことができる。
【0109】
以上のように、上記駆動方法では、カウンタ部254におけるカウント動作を、1回目の読み出し時にはダウンカウント、2回目の読み出し時にはアップカウントとしている。従って、カウンタ部254内で自動的に減算が行われ、カウンタ値0に対して、Vsig信号成分のみをカウント値として取り出すことが出来る。
【0110】
また、上記駆動方法では、カラムAD回路26は、アナログ画素信号をデジタルの画素信号データに変換するデジタル変化部としてだけではなく、CDS(Correlated Double Sampling)処理機能部としても動作させることが出来る。
【0111】
以上のように、本実施の形態の固体撮像装置100は、単位セル3において複数の光電変換素子121aおよび121bが複数の増幅トランジスタ123aおよび123bを共有する構造を備え、より具体的には、単位セル3において複数の転送トランジスタ122aおよび122bのそれぞれのドレインが相互に接続されて1つのFD125が形成されており、複数の光電変換素子121aおよび121bによってFD125、リセットトランジスタ124ならびに増幅トランジスタ123aおよび123bを共有する。
【0112】
したがって、1つの単位セル3あたりのトランジスタが占める面積を小さくなり開口率(1つの単位セル3の面積に対する光電変換素子の開口面積の比率)を高くすることができ、単位面積当たりの光の入射量が増えて固体撮像装置の感度特性を向上させることが出来る。また、開口率が向上することにより、必要波長に対する光入射量の制御が容易となるため、固体撮像装置の分光特性を向上させることも出来る。
【0113】
特に、本発明を単板式カメラに用いる場合には、固体撮像装置にカラーフィルタが備わり、例えば、RGBそれぞれの色要求特性を満たすことが求められるため、分光特性が重要となる。
【0114】
さらに、本実施の形態の固体撮像装置100は、単位セル3において光電変換素子121aおよび121bに蓄積する信号電荷に応じた電圧をゲートに与えられる複数の増幅トランジスタ123aおよび123bを備えており、より具体的には、1つの単位セル3において複数の増幅トランジスタ123aおよび123bを並列に設けられているため、低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。
【0115】
すなわち、本発明は、固体撮像装置の感度特性、分光特性と低ノイズ特性を高い次元で両立させることが出来る。
【0116】
(変形例1)
ここで、本実施の形態における変形例1について説明する。
【0117】
上記実施の形態では、単位セルで複数の増幅トランジスタがソース領域を共有するとしたが、本変形例では、単位セルで複数の増幅トランジスタがソース領域を共有する。
【0118】
また、上記実施の形態では、単位セルで2つの増幅トランジスタが並列に設けられるとした。しかし、単位セルで4つの増幅トランジスタが並列に設けることにより増幅トランジスタのゲート長Lのサイズを小さくし、横線状のランダムノイズを更に低減することができる。従って、本変形例では、単位セルで複数の増幅トランジスタがソース領域を共有する。
【0119】
図10は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0120】
4つの増幅トランジスタは、ゲート電極146aおよび146b、ソース領域147aおよび147bならびにドレイン領域145、145bおよび145cにより構成されている。
【0121】
4つの増幅トランジスタのソース領域147aおよび147bは、それぞれ対応する複数のコンタクト部155aおよび155bのいずれかを介して垂直信号線19に接続されている。4つの増幅トランジスタのドレイン領域145、145bおよび145cは、コンタクト部154、154bおよび154cを介して導電線である電源線132に接続されている。
【0122】
なお、水平方向に隣接する単位セル3では、複数の増幅トランジスタはソース領域を共有してもよい。
【0123】
(変形例2)
また、本実施の形態における変形例2について説明する。
【0124】
上記実施の形態では、水平方向に隣接する単位セル3で複数の増幅トランジスタがドレイン領域を共有するとした。しかし、大判の半導体基板を用いることのできる固体撮像装置などの小型化が特に要求されない用途においては、水平方向に隣接する単位セル3でドレイン領域は共有されなくてもよい。
【0125】
図11は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0126】
水平方向に隣接する単位セル3において、複数の増幅トランジスタはドレイン領域145bを共有していない。
【0127】
(変形例3)
また、本実施の形態における変形例3について説明する。
【0128】
上記実施の形態では、増幅トランジスタのゲート電極は別々に設けられて信号線で電気的に接続されるとした。しかし、増幅トランジスタでゲート電極が共有された場合には、共通のゲート電極とFD領域とをつなぐ信号線の配線が容易となる。また、共通のゲート電極と信号線との間で複数のコンタクトを設けることができ、コンタクト不良率を抑制することができる。従って、本変形例では、単位セルで複数の増幅トランジスタがゲート電極を共有する。
【0129】
図12は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0130】
単位セル3において、複数の増幅トランジスタのゲート電極146は共有されている。FD領域143および増幅トランジスタのゲート電極146は、コンタクト部150、151aおよび151b、ならびに導電線134を介して電気的に接続されている。
【0131】
(変形例4)
また、本実施の形態における変形例4について説明する。
【0132】
上記実施の形態では、複数の増幅トランジスタのゲート電極のコンタクトが対応するソース領域およびドレイン領域を結ぶ直線上に設けられている。しかし、コンタクトがチャネル上を避けて設けることにより、チャネルへのダメージを抑え、リーク特性等の劣化を抑えることができる。従って、本変形例では、複数の増幅トランジスタのコンタクトが対応するソース領域およびドレイン領域を結ぶ直線上に設けられない。
【0133】
図13は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0134】
単位セル3において、複数の増幅トランジスタのゲート電極146は共有されている。増幅トランジスタのゲート電極146と導電線134を電気的に接続するコンタクト部151aおよび151bは、ソース領域およびドレイン領域を結ぶ直線上、つまり増幅トランジスタのチャネル上方以外の領域に設けられている。
【0135】
(変形例5)
また、本実施の形態における変形例5について説明する。
【0136】
上記実施の形態では、単位セルの複数の増幅トランジスタは水平方向(行方向)に並べられている。しかし、単位セルの複数の増幅トランジスタを垂直方向(列方向)に並べることにより、画素を横長に形成することができる。画素部は横長であるため、画素を水平方向に長くすることで画素への斜め光の入射角特性が向上する。この効果は、例えば、4:3の画素のイメージセンサよりもハイビジョン(16:9)のイメージセンサに用いる場合の方が顕著となる。従って、本変形例では、単位セルの複数の増幅トランジスタは垂直方向(列方向)に並べられる。
【0137】
また、上記実施の形態では、垂直方向に並ぶ画素が1つの単位セルを構成するとしたが、本変形例では、斜め方向に並ぶ画素が1つの単位セルを構成する。
【0138】
図14および図15は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す平面パターン図である。なお、図14および図15はそれぞれ第1層目の平面パターン図およびその上の第2層目の平面パターン図を示している。
【0139】
単位セル3において、複数の増幅トランジスタのゲート電極146aおよび146b、ソース領域147ならびにドレイン領域145bおよび145cは垂直方向に並んでいる。
【0140】
リセットトランジスタ124は、ゲート電極144、ソース領域147cおよびドレイン領域145aにより構成されている。ソース領域147cはコンタクト部150bおよび150cを介してFD領域143と電気的に接続されている。
【0141】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bとFD領域143aとはゲート電極141aを挟んで隣り合うように設けられている。従って、FD領域143と増幅トランジスタのゲート電極146aおよび146bとを接続する配線を短くできるので、FDの寄生容量の増加を抑制し、FDの電圧変換ゲインの低下を抑制することができる。
【0142】
なお、図16の第1層目の平面パターン図に示されるように、単位セル3の複数の増幅トランジスタは、ドレイン領域を共有してもよい。この場合、単位セル3の複数の増幅トランジスタは、ゲート電極146aおよび146b、ソース領域147aおよび147bならびにドレイン領域145により構成される。そして、ソース領域147aおよび147bは、それぞれ対応する複数のコンタクト部155aおよび155bのいずれかを介して垂直信号線19に接続され、ドレイン領域145はコンタクト部154を介して導電線である電源線132に接続される。
【0143】
(変形例6)
また、本実施の形態における変形例6について説明する。
【0144】
上記実施の形態では、単位セルは選択トランジスタを有しない3トランジスタの構成を持つとしたが、本変形例では、単位セル3は選択トランジスタを有する4トランジスタの構成を持つ。
【0145】
図17、図18および図19は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す平面パターン図である。なお、図17、図18および図19はそれぞれ第1層目の平面パターン図、その上の第2層目の平面パターン図および更にその上の第3層目の平面パターン図を示している。
【0146】
FD125は、FD領域143aおよび123bにより構成されている。転送トランジスタ122aのゲート電極141aが、光電変換素子121aの光電変換領域142aとFD領域143aとの間に配置されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bが、光電変換素子121bの光電変換領域142bとFD領域143bとの間に配置されている。
【0147】
FD領域143aは光電変換領域142aの真横に配置され、またFD領域143bは光電変換領域142bの真横に配置されている。FD領域が光電変換領域の真横にある場合には、斜めにある場合と比較してFD領域から光電変換領域の位置一番深い位置までの距離が短くなるため、残像が残り難くなる。また、配線のパターニング(リソグラフィ工程)が用意になるため、製造が容易になる。さらに、1つの単位セル内で光電変換領域からFD領域に信号電荷を読み出す方向を揃えることができるので、共有する画素での特性ずれを小さくすることができる。
【0148】
増幅トランジスタ123aは、ゲート電極146、ソース領域147aおよびドレイン領域145により構成されている。同様に、増幅トランジスタ123bは、ゲート電極146、ソース領域147bおよびドレイン領域145により構成されている。
【0149】
リセットトランジスタ124は、ゲート電極144、ソース領域147cおよびドレイン領域145aにより構成されている。
【0150】
選択トランジスタは、ゲート電極149、ソース領域147dおよびドレイン領域145dにより構成されている。
【0151】
(変形例7)
また、本実施の形態における変形例7について説明する。
【0152】
上記実施の形態では、単位セルは図8に示されるような断面構造を有するとしたが、本変形例では、単位セルは入射光を光電変換素子に導く導波路構造を有する。
【0153】
図20は、単位セル3の断面図(図6のA−A‘における断面図)である。
光電変換領域142b上方の部分において、層間絶縁膜167の表面に凹部が形成されており、さらに層間絶縁膜167の表面上には反射防止膜170が形成されている。これにより、入射光を光電変換領域142bに導く導波路構造が形成されるため、高感度の固体撮像装置を実現することができる。
【0154】
(変形例8)
また、本実施の形態における変形例8について説明する。
【0155】
上記実施の形態では、単位セルは図8に示されるような表面照射型の構造を有し、信号線などが形成された基板の表面から入射光が光電変換素子に入るとしたが、本変形例では、単位セルは裏面照射型の構造を有し、基板の表面と反対側の裏面から入射光が光電変換素子に入る。裏面照射型の単位セルの場合は、基板の信号線が形成された領域に対して裏面から光電変換素子に光が入射されるため、導電線を形成する領域の自由度が表面照射型の単位セルに対して向上する。
【0156】
図21は、単位セル3の断面図(図6のA−A’’における断面図)である。
カラーフィルタ168およびマイクロレンズ169は、N型基板161の裏面上に形成されている。これにより、入射光はカラーフィルタ168およびマイクロレンズ169を通過し、N型基板161の裏面から光電変換領域142bに入る。
【0157】
(実施の形態2)
本実施の形態の単位セル3は、2画素1セルではなく4画素1セルの構成を有するという点で第1の実施の形態の単位セル3と異なる。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0158】
図22は、1つの単位セル3の構成例を示す回路図である。
各単位セル3は、回路要素として、例えば、複数の光電変換素子121aおよび121b、複数の転送トランジスタ122aおよび122b、1つのフローティングディフュージョン(以下、FD)125、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bおよび1つのリセットトランジスタ124を含む。ここでは、各単位セル3が2個の光電変換素子121aおよび121d、即ち、2画素を含む構成を例示する。本発明の特徴は増幅トランジスタ123aおよび123bを並列に設けていることである。
【0159】
各単位セル3は、垂直信号線19と、転送制御信号線130a、130b、130cおよび130d、リセット信号線131ならびに電源線132と接続されている。転送制御信号線130a、130b、130cおよび130dならびにリセット信号線131は、行方向に沿って配列された複数の単位セル3によって共用される。
【0160】
光電変換素子121a、121b、121cおよび121dは、アノードがグランドに接続されており、入射光をその光量に応じた電荷(電子又は正孔)に光電変換して蓄積する。4つの光電変換素子121a、121b、121cおよび121dは、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲートに電気的に共通に接続されている。
【0161】
複数の転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122dは、複数の光電変換素子121a、121b、121cおよび121dのそれぞれに対応する形で、光電変換素子121a、121b、121cおよび121dとFD125との間に配置されている。複数の転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122dは、それぞれ対応する複数の光電変換素子121a、121b、121cおよび121dのいずれかで発生した信号電荷をFD125に転送する。複数の転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122dそれぞれは、ソースが対応する複数の光電変換素子121a、121b、121cおよび121dのいずれかのカソードに接続され、ゲートが対応する複数の転送制御信号線130a、130b、130cおよび130dのいずれかに接続され、ドレインがFD125および複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲートに接続されている。
【0162】
1つのFD125は、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲートに電気的に共通に接続されていると同時に、複数の光電変換素子121a、121b、121cおよび121dに電気的に共通に接続されている。
【0163】
複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dは、ゲートがFD125に接続され、ドレインが電源線132に接続され、ソースが垂直信号線19に接続されていて、光電変換素子121a、121b、121c又は121dに蓄積された信号電荷の量に応じた信号電圧を垂直信号線19に出力する。すなわち、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dは、1つのFD125の電位に応じた信号電圧を出力する。
【0164】
転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122d、増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dならびにリセットトランジスタ124は、N型MOSトランジスタで構成される。なお、転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122d、増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dならびにリセットトランジスタ124は、P型MOSトランジスタで構成されてもよい。
【0165】
図22の単位セル3では、複数の転送トランジスタ122a、122b、122cおよび122dのそれぞれのドレインが相互に接続されて1つのFD125が形成されている。すなわち、複数の光電変換素子121a、121b、121cおよび121dによってFD125、リセットトランジスタ124ならびに増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dが共有化されている。
【0166】
上記の構成の単位セル3において、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dがオンする電位にFD125の電位がセットされると、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dと定電流トランジスタ137とがソースフォロアを構成する。これにより、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲートの電位からソース・ゲート間電圧分だけ降下した電位が垂直信号線19に出力される。
【0167】
図23は、図22に示す単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0168】
FD125は、複数のFD領域143aおよび143bにより構成されている。転送トランジスタ122aのゲート電極141aが、光電変換素子121aの光電変換領域142aとFD領域143aとの間に配置されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bが、光電変換素子121bの光電変換領域142bとFD領域143aとの間に配置されている。また、転送トランジスタ122cのゲート電極141cが、光電変換素子121cの光電変換領域142cとFD領域143bとの間に配置されている。さらに、転送トランジスタ122dのゲート電極141dが、光電変換素子121dの光電変換領域142dとFD領域143bとの間に配置されている。
【0169】
FD領域143aはコンタクト部150aを介してゲート電極146aおよび146bと接続され、FD領域143bはコンタクト部150bを介してゲート電極146cおよび146dと接続されている。
【0170】
増幅トランジスタ123aは、ゲート電極146a、ソース領域147eおよびドレイン領域145bにより構成されている。同様に、増幅トランジスタ123bは、ゲート電極146b、ソース領域147eおよびドレイン領域145cにより構成されている。また、増幅トランジスタ123cは、ゲート電極146c、ソース領域147fおよびドレイン領域145eにより構成されている。さらに、増幅トランジスタ123dは、ゲート電極146d、ソース領域147fおよびドレイン領域145fにより構成されている。
【0171】
転送トランジスタ122aのゲート電極141aは、コンタクト部152aを通して転送制御信号線130aに接続されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bは、コンタクト部152bを通して転送制御信号線130bに接続されている。また、転送トランジスタ122cのゲート電極141cは、コンタクト部152cを通して転送制御信号線130cに接続されている。さらに、転送トランジスタ122dのゲート電極141dは、コンタクト部152dを通して転送制御信号線130dに接続されている。
【0172】
リセットトランジスタ124は、ゲート電極144、ソース領域147cおよびドレイン領域145aにより構成されている。ソース領域147cはコンタクト部150bおよび150cを介してFD領域143bと電気的に接続されている。
【0173】
複数のゲート電極141a、141b、141c、141d、144、146a、146b、146cおよび146dは、例えばポリシリコンで構成されている。
【0174】
複数のFD領域143aおよび143b、リセットトランジスタ124のソース領域147cならびに増幅トランジスタのゲート電極146a、146b、146cおよび146dは、コンタクト部150、151a、151b、151eおよび151fを介して電気的に接続されている。
【0175】
リセットトランジスタ124のドレイン領域145aと複数の増幅トランジスタのドレイン領域145b、145c、145eおよび145fとは、コンタクト部154b、154c、154dおよび154eを介して導電線である電源線132に接続されている。
【0176】
複数の増幅トランジスタのソース領域147eおよび147fは、コンタクト部155cおよび155dを介してそれぞれ垂直信号線19に接続されている。
【0177】
1つの単位セル3に対して1つの割合でウェルコンタクト領域148が配置されている。ウェルコンタクト領域148は、ウェル電圧、例えばグランドレベルを供給するための行方向に延びるウェル電圧供給線157に対してウェルコンタクト部156を介して電気的に接続されている。これによって、ウェルの電圧を固定することができる。
【0178】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dの配置に関して、全てのドレイン領域およびソース領域を結ぶ直線状に設けることにより、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dの配置領域を縮小することができる。
【0179】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bはソース領域147eを共有し、複数の増幅トランジスタ123cおよび123dはソース領域147fを共有していることから、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dの領域を広く確保することができる。これにより、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲート幅Wのサイズを大きくとることができ、ランダムノイズの抑制効果を高めることができる。
【0180】
なお、本実施の形態の単位セル3においても、図16に示したように、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bならびに複数の増幅トランジスタ123cおよび123dのぞれぞれでドレイン領域が共有されてもよい。
【0181】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのゲート幅Wおよびゲート長Lの寸法が同じであるため、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのトランジスタサイズバラツキに起因する閾値電圧Vthのばらつきを抑制することができる。すなわち、ソースフォロア回路の入力をVin、出力をVout、αをソースフォロアの回路ゲイン(0.9倍程度)とすると、Vout=α(Vin−Vth)であらわすことができる。閾値電圧Vthのばらつきを抑制することで、垂直信号線19に出力される電圧Voutの電圧ばらつきを抑制することができる。その結果、ソースフォロア回路のダイナミックレンジの確保およびダイナミックレンジのばらつきの抑制を実現することができる。
【0182】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dのチャネルは埋め込みチャネルで形成されるため、電圧信号は酸化膜とシリコン界面での結晶欠陥の影響を受けにくくなり、1/fノイズの1種といわれるランダムテレグラフシグナルノイズ(RTSノイズ)などを抑制することができる。
【0183】
単位セル3では、増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dは4個並列に配置されている。従って、単位セル3および定電流源起因のランダムノイズを1/√4倍に抑制することができる。
【0184】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート電極146aおよび146bが金属配線である信号線で電気的に接続されている。同様に、複数の増幅トランジスタ123cおよび123dのゲート電極146cおよび146dが金属配線である信号線で電気的に接続されている。これにより、複数のゲート電極146a、146b、146cおよび146dのそれぞれについて垂直方向の長さを小さく抑えることができ、増幅トランジスタのゲート幅Wを大きくとることができる。また、コンタクト部155cおよび155dの周りは左右にゲート電極が配置されないレイアウトとすることが可能となるため、コンタクト部155cおよび155dを安定してとることができる。
【0185】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bと転送トランジスタ122aおよび122bのゲート電極141aおよび141bとは、増幅トランジスタ123aのドレイン領域145bを介して隣接する。従って、増幅トランジスタ123aおよび123bの閾値電圧Vthを調整するゲート電極146aおよび146b下の拡散領域(チャネル領域)と転送トランジスタ122aおよび122bのゲート電極141aおよび141b下の領域チャネルとを電源線に接続された拡散領域を介して電気的に分断することができる。その結果、転送トランジスタ122aおよび122bによる画素からの読み出し特性に影響を与えることなく、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの閾値電圧Vthの調整を行うことができる。例えば、熱ノイズはVn^2=8k×T/(3gm)、gm=(μ×Cox)W/L×(Vgs−Vth)で表すことができるが、閾値電圧Vthを小さくすることで、gmを高くし、熱ノイズを抑制することができる。
【0186】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dが設けられ、増幅トランジスタのゲート面積を増やすことができるため、画素の読み出し特性に影響を与えることなく、増幅トランジスタのレイアウトおよびプロセス(製造)条件の自由度を高めることができる。
【0187】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bとFD領域143aとはゲート電極141aを挟んで隣り合うように設けられている。従って、FD領域143aと増幅トランジスタのゲート電極146aおよび146bとを接続する配線を短くできるので、FDの寄生容量の増加を抑制し、FDの電圧変換ゲインの低下を抑制することができる。
【0188】
以上のように、本実施の形態の固体撮像装置100によれば、1つの単位セル3において複数の増幅トランジスタ123a、123b、123cおよび123dを並列に設けることによりノイズを低減することができるため、低ノイズの固体撮像装置を実現することができる。
【0189】
また、実施形態1と同じ特徴も備えているため、本発明は、固体撮像装置の感度特性、分光特性と低ノイズ特性を高い次元で両立させることが出来る。
【0190】
(変形例9)
ここで、本実施の形態における変形例9について説明する。
【0191】
上記実施の形態では、1つの単位セルは斜め方向に隣接する4つの画素を含むとしたが、本変形例では、1つの単位セルは垂直方向および水平方向に隣接する画素を含む。
【0192】
また、上記実施の形態では、1つの単位セルは並列に配置された4個の増幅トランジスタを含むとしたが、本変形例では、1つの単位セルは並列に配置された2個の増幅トランジスタを含む。
【0193】
図24は、本変形例に係る単位セル3の素子配置および配線レイアウトの一例を示す第1層目の平面パターン図である。
【0194】
FD125は、FD領域143により構成されている。転送トランジスタ122aのゲート電極141aが、光電変換素子121aの光電変換領域142aとFD領域143との間に配置されている。同様に、転送トランジスタ122bのゲート電極141bが、光電変換素子121bの光電変換領域142bとFD領域143との間に配置されている。また、転送トランジスタ122cのゲート電極141cが、光電変換素子121cの光電変換領域142cとFD領域143との間に配置されている。さらに、転送トランジスタ122dのゲート電極141dが、光電変換素子121dの光電変換領域142dとFD領域143との間に配置されている。
【0195】
増幅トランジスタ123aは、ゲート電極146a、ソース領域147およびドレイン領域145bにより構成されている。同様に、増幅トランジスタ123bは、ゲート電極146b、ソース領域147およびドレイン領域145cにより構成されている。
【0196】
リセットトランジスタ124は、ゲート電極144、FD領域143およびドレイン領域145aにより構成されている。
【0197】
複数の増幅トランジスタのソース領域147は、垂直信号線19に接続されている。
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの配置に関して、全てのドレイン領域およびソース領域を結ぶ直線状に設けることにより、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bの配置領域を縮小することができる。
【0198】
単位セル3では、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bはソース領域147を共有していることから、複数の増幅トランジスタ123aおよび123b、123cおよび123dの領域を広く確保することができる。これにより、複数の増幅トランジスタ123aおよび123bのゲート幅Wのサイズを大きくとることができ、ランダムノイズの抑制効果を高めることができる。
【0199】
単位セル3では、増幅トランジスタ123aおよび123bは2個並列に配置されている。従って、単位セル3および定電流源起因のランダムノイズを1/√2倍に抑制することができる。
【0200】
以上、本発明の固体撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0201】
例えば、上記実施の形態において、A/D変換回路25は、固体撮像装置100の外部に備えられてもよい。
【0202】
また、上記実施の形態において、単位セル3は、2層の配線構造を有するとしたが、3層以上の配線構造を有していても構わない。この場合には、電源線132を強化することができる。また、電源線132の熱抵抗を下げることができるので、電源線からのノイズを抑制することができる。例えば、2層目の電源線132にコンタクトを設け、電源線132を複数の光電変換領域142aおよび142bで開口するよう格子状にレイアウトすることで、上下方向および左右方向に対して電源線132の抵抗を下げることができる。
【0203】
また、上記実施の形態において、固体撮像装置は積層型イメージセンサであってもよい。この場合、単位セル3では、図25の断面図に示されるように、画素電極180、有機光電変換膜181、対向電極182、カラーフィルタ168およびマイクロレンズ169が層間絶縁膜167上に形成される。
【0204】
また、上記実施の形態において、単位セル3は、転送トランジスタを含む構成であるとしたが、転送トランジスタを含まない構成であってもよい。この場合には、例えば、光電変換領域142a上にコンタクトを設け、導電線を介してこのコンタクトを増幅トランジスタのゲート電極146aのコンタクト部151aに接続すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明は、固体撮像装置に利用でき、例えばデジタルカメラ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0206】
3 単位セル
10 画素部(画素アレイ)
14 垂直走査回路(行走査回路)
18 水平信号線
19 垂直信号線
25 AD変換(アナログ/デジタルコンバーター)回路
26 カラムAD回路
27 参照信号生成部
27a DAC(デジタル/アナログコンバーター)
28 出力I/F
30 通信・タイミング制御部
42 カラムアンプ
100 固体撮像装置
110 レンズ
120 DSP(デジタル信号処理回路)
121a、121b、121c、121d 光電変換素子
122a、122b、122c、122d 転送トランジスタ
123a、123b、123c、123d 増幅トランジスタ
124 リセットトランジスタ
125 フローティングディフュージョン(FD)
130 画像表示デバイス
130a、130b、130c、130d 転送制御信号線
131 リセット信号線
132 電源線
134 導電線
135 バイアス電源
137 定電流トランジスタ
140 画像メモリ
141a、141b、141c、141d、144、146、146a、146b、146c、146d、149 ゲート電極
142a、142b、142c、142d 光電変換領域
143、143a、143b FD領域
145、145a、145b、145c、145d、145e、145f ドレイン領域
147、147a、147b、147c、147d、147e、147f ソース領域
148 ウェルコンタクト領域
150、150a、150b、150c、151a、151b、151e、151f、152a、152b、152c、152d、153、154、154a、154b、154c、154d、154e、155、155a、155b、155c、155d コンタクト部
156 ウェルコンタクト部
157 ウェル電圧供給線
161 N型基板
162 Pウェル
166 素子分離領域
167 層間絶縁膜
168 カラーフィルタ
169 マイクロレンズ
170 反射防止膜
180 画素電極
181 有機光電変換膜
182 対向電極
252 電圧比較部
254 カウンタ部
256 データ記憶部
258 スイッチ
262 信号保持容量
263 信号保持スイッチ
276、277 容量素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配列された複数の単位セルを備える固体撮像装置であって、
前記単位セルは、
入射光を光電変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積する信号電荷に応じた電圧がゲートに与えられる複数の増幅トランジスタとを有する
固体撮像装置。
【請求項2】
前記単位セルは、複数の前記光電変換素子を有し、
前記複数の光電変換素子が前記複数の増幅トランジスタを共有する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記単位セルは、前記光電変換素子と前記増幅トランジスタのゲートとの間に配置された転送トランジスタを有する
請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記複数の増幅トランジスタは、ソース領域又はドレイン領域を共有する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記複数の増幅トランジスタでは、共有するソース領域又はドレイン領域を中心として、ソース領域とドレイン領域との間を流れる電流の向きが対称である
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
隣接する前記単位セルにおいて、前記増幅トランジスタのソース領域又はドレイン領域が共有される
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記単位セルは、前記増幅トランジスタのゲートの電位をリセットするリセットトランジスタを有する
請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記複数の増幅トランジスタでは、全てのドレイン領域およびソース領域が直線状に配置される
請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記複数の増幅トランジスタのゲート幅は、同じ寸法である
請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記複数の増幅トランジスタのゲート長は、同じ寸法である
請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記複数の増幅トランジスタは、ゲート電極を共有する
請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記複数の増幅トランジスタのゲート電極は、互いに信号線で接続されている
請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記固体撮像装置は、さらに、前記複数の単位セルに接続され、前記複数の単位セルから出力される信号電圧を伝達する信号線を備え、
前記複数の増幅トランジスタのソース領域は、同じ前記信号線に接続されている
請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
2次元状に配列された複数の単位セルと、前記単位セルから出力される電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換回路とを備える固体撮像装置が形成された第1のチップと、
前記第1のチップから出力されるデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路が形成された第2のチップとを備え、
前記単位セルは、
入射光を光電変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積した信号電荷を読み出すための転送トランジスタと、
前記光電変換素子に蓄積する信号電荷に応じた電圧がゲートに与えられる複数の増幅トランジスタとを有する
カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−181595(P2011−181595A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42494(P2010−42494)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】