説明

土壌仕分装置、土壌仕分方法及び土壌浄化設備

【課題】連続的に運転することが可能な汚染土壌仕分け装置を備えた土壌浄化設備を提供する。
【解決手段】洗浄処理後の汚染土壌を搬入コンベア107で分割シュート111を介して主シュート112に供給するとともに、搬送中の土壌からサンプルシュート113を介して土壌試料を採取し、計測判定部116で土壌試料中に含有される汚染物質を計測し、計測された汚染物質の含有度に応じて仕分シュート119及び120を制御して土壌の仕分経路を選択し、このとき、土壌試料採取及び計測判定部による計測の間も土壌の搬送を継続して行い、継続搬送される土壌が前記仕分シュートに到達する時刻よりも前に計測判定部による判定が終了するようにした土壌仕分装置を備えた土壌浄化設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油や重金属等の汚染物質で汚染された土壌を汚染物質の含有度に応じて仕分ける土壌仕分装置、土壌仕分方法及び土壌浄化設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市街地のガソリンスタンド、工場跡地、射撃場などにおいて、操業時の操作や槽類の亀裂等による有機溶剤、重金属、油類の漏出によって土壌が汚染され、土地の再利用に支障を来たす例が顕在化している。従来はこれらの汚染土壌は産業廃棄物として処分場に廃棄されてきたが、近年の処分場の処理容量は長年の埋め立てによって減少しており、一方で新規処分場の建設は種々の制約によって遅滞することが多く、処分場の処理容量を増加することは困難になっている。このため、汚染土壌を浄化して大半を再利用し、容量を減じた汚染土壌の細粒を処分場に廃棄して埋め立て処理する手法が一般的に採用されている。
【0003】
そして、土壌浄化設備で汚染土壌を浄化して再利用する際には、汚染物質の含有度に応じて土壌を仕分ける工程が行われるのが通常であるが、土壌仕分工程では、土壌の主搬送ラインに土壌の汚染物質の含有度を計測する蛍光X線分析計のような計測判定部を設け、主搬送ラインのコンベア等を停止して計測判定部で汚染物質の含有度を計測して判定し、その判定結果に応じて土壌を仕分けることが多い。しかし、この土壌仕分工程では、汚染物質の含有度を計測判定する時間、主搬送ラインを停止することが必要となり、主搬送ライン及びその前後の大型装置を頻繁に停止・再起動する断続運転が行われる。斯様な大規模な大型装置の頻繁な断続運転は、効率性の低下と、装置に大きな負荷を与えると共に、装置の停止・再起動に要する消費エネルギーも大きくなる。
【0004】
また、主搬送ラインの土壌の汚染物質の含有度を直接計測するものの他に、主搬送ラインの中から試料を採取して試料の汚染物質の含有度を計測する土壌仕分装置もある。斯様な土壌仕分装置として、特許文献1には、主搬送ラインの中から汚染物質を計測する少量の試料を採取し、試料について汚染物質を計測判定し、その判定結果に応じて主搬送ラインの土壌を仕分する装置が開示されている。この土壌仕分装置は、第1ホッパーから送出される土壌から試料であるサンプル土壌を抽出し、サンプル土壌の汚染物質を計測判定すると共に、その計測判定時間の間だけ第1ホッパーから送出される土壌を第2ホッパーで一時貯留し、その判定結果に応じて第2ホッパーの土壌を仕分けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−61851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の様に、単に主搬送ラインの中から試料を採取して汚染物質の含有度を計測判定する構成としても、計測判定時間の間は土壌を一時貯留して搬送を停止することになるため、主搬送ラインの停止や前後の大型装置を停止・再起動する断続運転が行われ、効率性の低下と、大型装置への負荷増大と、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーの増加が生ずる。そのため、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続的に運転することができる土壌仕分装置が求められている。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み提案するものであって、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続的に運転することが可能であり、効率性の向上と、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を低減することができると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを低減することができる土壌仕分装置、土壌仕分方法及び土壌浄化設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の土壌仕分装置は、土壌を搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送された土壌を仕分ける仕分部と、前記搬送部で搬送中の土壌から試料を採取する試料採取部と、前記試料に含有される汚染物質を計測し、前記汚染物質の含有度を判定する計測判定部と、前記汚染物質の含有度に応じて前記仕分部を制御して前記土壌の仕分経路を選択する仕分経路選択部とを備え、少なくとも、前記試料を採取した前記土壌の前記搬送部による搬送を前記試料の採取時から前記計測判定部による判定終了時までの間継続して行い、前記継続搬送される土壌が前記仕分部に到達する時刻よりも前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする。
前記構成では、試料の採取時から計測判定部による試料に対する判定終了時までの間土壌の搬送を継続して行って仕分けることができることから、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続的に運転することが可能であり、効率性の向上と、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を低減することができると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを低減することができる。また、土壌の試料をリアルタイムに分析し、試料の判定結果に応じて試料と対応する土壌を仕分けることが可能であるから、混錬均質化が不十分で汚染物質が高濃度である汚染土壌が部分的に投入された場合にも、汚染濃度の高い土壌が汚染濃度の低い土壌に混入することを防止し、細分化された多用な用途・処理に合わせて土壌を仕分けることができる。
【0009】
また、本発明の土壌仕分装置は、前記継続搬送される土壌が前記仕分部に到達する時刻と前記仕分経路選択の時刻を略同期させることを特徴とする。
前記構成では、継続搬送される土壌を間断なく搬送して仕分けることが可能となり、主搬送ライン及びその前後の大型装置で断続的な運転をするものを完全になくし、主搬送ライン及びその前後の大型装置を確実に連続的に運転することができる。従って、効率性の向上と、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を確実に低減することができると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを確実に低減することができる。また、試料が搬送される搬送ラインでも装置の断続的な運転を無くすことが可能となる。また、土壌が仕分部に到達する時刻と仕分経路選択の時刻のズレによって発生する、汚染物質の含有度の異なる土壌の混入を確実に防止できる。
【0010】
また、本発明の土壌仕分装置は、前記試料採取部で採取した前記試料を前記計測判定部に移送するまでの経路を、前記採取した試料を一時貯留する中継ホッパーと、前記中継ホッパーから前記計測判定部まで前記試料を移動するベルトフィーダーとで構成し、前記中継ホッパーに貯留する前記試料の量を略一定量に調整し、前記ベルトフィーダーによって前記中継ホッパーから単位時間当たりに移動する前記試料の量を略一定とすることを特徴とする。
前記構成では、試料の貯留量と貯留されている試料の移動量を略一定にして汚染物質の含有度を計測判定される試料を略一定量にし、汚染物質の含有度の計測判定結果をより正確に得ることができる。また、中継ホッパーにおける試料の貯留時間や中継ホッパーから計測判定部に至る移動時間を容易に想定する時間にすることができる。
【0011】
また、本発明の土壌仕分装置は、前記ベルトフィーダーの移動速度を調整して、前記試料の前記中継ホッパーの受入時から前記汚染物質の含有度を判定して前期仕分経路を選択するまでの時間と前記試料を採取した土壌が前記仕分部に到達するまでの時間とを略同一とすることを特徴とする。
前記構成では、ベルトフィーダーの移動速度の調整のみで汚染物質の含有度の分析、制御時間と試料が仕分部に到達する時間を揃えることができるので、容易に且つ確実に双方を同期させることができる。
【0012】
また、本発明の土壌仕分装置は、前記仕分部として、第1の仕分部と、前記第1の仕分部で仕分された土壌を仕分ける第2の仕分部とを備え、前記第1の仕分部に土壌が到達する時刻よりも前記第1の仕分部の前記仕分経路選択の時刻を以前とし、前記第1の仕分部で仕分された土壌が前記第2の仕分部に到達する時刻よりも前記第2の仕分部の前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする。
前記構成では、試料の汚染物質の含有度に応じて試料に対応する土壌を段階的に仕分することが可能であり、再洗浄又は系外への排出・廃棄と再利用土壌、更に再利用土壌の用途別の仕分など、用途や必要とされる処理等に応じて適切に土壌を仕分け、細分化して高度に有効利用することができる。例えば修復土壌として埋め戻す場合の汚染度の基準と、セメントなどの原料として再利用する場合の汚染度の基準に対応して土壌を細かく仕分け、それぞれ最適な用途に土壌を利用することができる。また、段階的な仕分けを、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続運転しつつ行うことができる。
【0013】
また、本発明の土壌仕分方法は、土壌を搬送し、前記搬送中の前記土壌から試料を採取し、前記試料に含有される汚染物質を計測して前記汚染物質の含有度を判定し、前記汚染物質の含有度に応じて前記土壌の仕分経路を選択する土壌仕分方法であって、少なくとも、前記試料を採取した前記土壌の前記搬送部による搬送を前記試料の採取時から前記計測判定部による判定終了時までの間継続して行い、前記継続搬送される汚染土壌が前記仕分経路の選択箇所に到達する時刻より前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする。
前記構成では、試料の採取時から計測判定部による試料に対する判定終了時までの間土壌の搬送を継続して行って仕分けることができることから、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続的に運転することが可能であり、効率性の向上と、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を低減することができると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを低減することができる。また、土壌の試料をリアルタイムに分析し、試料の判定結果に応じて試料と対応する土壌を仕分けることが可能であるから、混錬均質化が不十分で汚染物質が高濃度である汚染土壌が部分的に投入された場合にも、汚染濃度の高い土壌が汚染濃度の低い土壌に混入することを防止し、細分化された多用な用途・処理に合わせて土壌を仕分けることができる。
【0014】
また、本発明の土壌浄化設備は、浄化され分級された土壌の細粒を本発明の土壌仕分装置に投入して仕分けると共に、前記汚染物質の計測後の試料を前記土壌仕分装置への投入前の浄化され分級された土壌に細粒に混入することを特徴とする。
前記構成では、一般的に汚染物質の含有度が高い土壌の細粒について適切に仕分けることができると共に、試料として用いられた土壌も最適な用途に仕分けて有効利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の土壌仕分装置、土壌仕分方法或いは土壌浄化設備は、主搬送ライン及びその前後の大型装置を連続的に運転することが可能であり、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を低減することができると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の土壌仕分装置を備える土壌浄化設備の処理工程を示すフローチャート。
【図2】本発明の実施形態の土壌仕分装置による仕分処理を説明する縦断説明図。
【図3】図2の土壌仕分装置における搬出コンベア及び仕分シュートの詳細を説明する縦断説明図。
【図4】図2の土壌仕分装置における制御部の制御を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態の土壌仕分装置及び土壌浄化設備〕
本発明の実施形態の土壌仕分装置及び土壌浄化設備について、図に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態の土壌仕分装置を備える土壌浄化設備の処理工程を示すフローチャート、図2は本発明の実施形態の土壌仕分装置による仕分処理を説明する縦断説明図である。
【0018】
先ず、実施形態の土壌仕分装置を備える土壌浄化設備は、図1に示すように、グリズリー101、受入れホッパー102、トロンメル103、湿式振動篩104、アトリションマシーン105、スパイラル分級機106とを備える。更に、スパイラル分級機106で分級された汚染スラリーを処理するための凝集沈殿装置108、浄澄水受槽109、脱水装置110を備えると共に、スパイラル分級機106で分級された細粒を処理或いは仕分けるための分割シュート111、中継ホッパー114、ベルトフィーダー115、計測判定部116、制御部117、仕分シュート119、120を備える。
【0019】
グリズリー101は、投入される汚染土壌を解砕或いは篩分けによって粗塊とそれ以外の土壌とに分級するものであり、前記分級した粗塊以外の土壌は受入れホッパー102に送られ、受入れホッパー102に一時貯留されると共に、汚染の極めて少ない前記分級した粗塊は洗浄水による洗浄が施されて再利用される。トロンメル103は、湿式分級を行う回転篩であり、受入れホッパー102から送られてきた土壌を洗浄水で洗浄しながら第1の所定粒径超の粗粒と第1の所定粒径以下の土壌とに分級し、汚染の極めて少ない第1の所定粒径超の粗粒は再利用され、それ以下の土壌は湿式振動篩104に送られる。湿式振動篩104は、第1の所定粒径よりも小さい第2の所定粒径に対応する網目で湿式分級を行う振動篩であり、トロンメル103から送られてきた土壌を洗浄水で洗浄しながら第2の所定粒径超の粗粒と第2の所定粒径以下の細粒とに分級し、汚染の極めて少ない第2の所定粒径超の粗粒は再利用され、それ以下の細粒は後述するアトリションマシーン105に送られる。尚、汚染物質は土壌粒子の表面積に比例して付着し、洗浄後もより細粒側に濃縮され、更に、汚染濃度は土壌との重量比で評価されるため、洗浄後に大粒径側土壌で管理値を超えることは殆ど無いため、汚染度は主に土壌の細粒部に注目して管理される。
【0020】
アトリションマシーン105は、土壌を攪拌及び混合して土壌粒子を互いに擦り合わせ、表面に付着している汚染物質を剥離するアトリション処理を行うものであり、湿式振動篩104から送られてきた細粒に対してアトリション処理を行い、その処理後の細粒はスパイラル分級機106に送られる。スパイラル分級機106は、沈降分離で湿式分級を行うものであり、湿式振動篩104から送られた細粒に加水して第2の所定粒径より小さい第3の所定粒径で分級する。スパイラル分級機106で分級した第3の所定粒径超の細粒は搬入コンベア107で分割シュート111に搬送されると共に、第3の所定粒径以下の汚染スラリーは凝集沈殿装置108に送られる。
【0021】
凝集沈殿装置108は、汚染スラリーに対して凝集沈澱処理を施すものであり、スパイラル分級機106から送られる汚染スラリーに対して凝集沈殿処理を行う。凝集沈殿装置108の沈澱処理で発生した澱物の濃縮スラリーは脱水装置110に送られ、脱水装置110は澱物の濃縮スラリーを脱水ケーキにし産業廃棄物として系外に排出する。また、凝集沈殿装置108のオーバーフロー水の浄澄水は浄澄水受槽109に送られ、土壌浄化設備の浄化処理工程の洗浄水として再利用され循環される。
【0022】
分割シュート111には、図2に示すように、両側の側壁としてコンベアカバー107aがそれぞれ設けられている搬入コンベア107により搬送される細粒の土壌200が投入される。分割シュート111は、主シュート112及びサンプルシュート113の2つの経路を有し、サンプルシュート113の経路にはロータリーフィーダー113aが設けられている。分割シュート111に投入された土壌200の大部分は、主シュート112の経路を通って搬出コンベア118に投入され、搬出コンベア118で搬送される。118aは搬出コンベア118の両側の側壁であるコンベアカバーである。また、分割シュート111に投入された土壌200の一部は、サンプルシュート113の経路を通って中継ホッパー114に投入される。
【0023】
この際、サンプルシュート113の経路のロータリーフィーダー113aは、図4に示す制御部117の制御に応じて、その経路から土壌200を取り出して単位時間当たり所定量ずつ中継ホッパー114に供給するようになっている。前記制御では、中継ホッパー114内の土壌試料200aの量が常に一定になるように中継ホッパー114に供給する土壌量を設定して供給する。尚、土壌浄化設備或いは土壌仕分装置が連続的に運転されている場合には、中継ホッパー114に供給される土壌量は後述するベルトフィーダー115で中継ホッパー114から取り出される土壌試料200aの量と対応することになる。
【0024】
中継ホッパー114は、サンプルシュート113から供給される土壌200を、汚染物質を計測して汚染物質の含有度が判定される土壌試料200aとして一時貯留する。中継ホッパー114は、中継ホッパー114内に貯留されている土壌試料200aの高さ等から貯留されている土壌試料200aの貯留容積を計測するホッパーレベル計141を有し、ホッパーレベル計141で計測された土壌試料200aの貯留容積は、図4に示す制御部117に送られる。そして、制御部117は、その記憶部に記憶している基準貯留容積或いは基準貯留容積範囲と入力された貯留容積とを対比し、入力された貯留容積が基準貯留容積或いは基準貯留容積範囲を超える場合には、ロータリーフィーダー113aを駆動する図示しない可変速電動機の回転速度を制御してロータリーフィーダー113aの速度を一定に保ち、土壌200の供給量を一定に保つ。また、制御部117は、入力された貯留容積が基準貯留容積或いは基準貯留容積範囲を超える場合にはロータリーフィーダー113aを減速して土壌200の供給量を減少させ、入力された貯留容積が基準貯留容積或いは基準貯留容積範囲未満の場合にはロータリーフィーダー113aを加速して土壌200の供給量を増加させることが可能になっている。即ち、中継ホッパー114は、貯留する土壌試料200aの量を略一定量或いは略一定範囲内の量に調整することが可能になっている。
【0025】
ベルトフィーダー115は、図4に示す制御部117の制御に応じて、中継ホッパー114の切出ゲート114a(図4参照)から中継ホッパー114に一時貯留されている土壌試料200aを取り出し、単位時間当たり所定量ずつ搬送するようになっている。ベルトフィーダー115は、図4に示すように、可変速電動機142とベルト速度計143とを有し、可変速電動機142の駆動で動作するようになっていると共に、ベルト速度計143でベルトの速度を計測し、その計測速度を制御部117に送るようになっている。制御部117は、その記憶部に記憶している基準速度或いは基準速度範囲と入力された計測速度を対比し、計測速度が基準速度或いは基準速度範囲を超える場合には可変速電動機142の出力を落し、ベルトフィーダー115を減速して土壌試料200aの搬送量を減少させ、計測速度が基準速度或いは基準速度範囲未満の場合にはベルトフィーダー115を加速して土壌試料200aの搬送量を増加させることが可能になっている。即ち、ベルトフィーダー115は、中継ホッパー114から単位時間当たりに移動する試料の量を略一定或いは略一定範囲内に調整することが可能になっている。
【0026】
計測判定部116は、図4に示すように、ベルトフィーダー115の下流側近傍に設けられ、その計測部をベルトフィーダー115で搬送される土壌試料の表面200bに近接する等により汚染物質の含有度を計測し、その内部制御部により、その記憶部に記憶する複数の汚染物質の基準含有度範囲と計測した含有度とを対比し、計測含有度が含まれる基準含有度範囲を特定して制御部117に送る。制御部117は、計測判定部116から入力された基準含有度範囲に応じて、後述する仕分シュート119、120の仕分経路の選択を制御する。ここでは、例えば汚染物質の含有度が高濃度の基準含有度範囲A、汚染物質の含有度がAよりも低い基準含有度範囲B、汚染物質の含有度がBよりも低く微小である基準含有度範囲Cを設定し、図1に示すように、制御部117は、計測含有度が基準含有度範囲Aである場合に、管理値外の細粒として仕分シュート119で仕分し、トロンメル103、湿式振動篩104、アトリションマシーン105又はスパイラル分級機106等に再度投入して再洗浄されるようにするか、産業廃棄物として廃棄されるようにし、計測含有度が基準含有度範囲B又はCである場合に、管理値内の細粒として仕分シュート119で仕分する。更に、管理値内の細粒に対しては、制御部117は、計測含有度が基準含有度範囲Bである場合に、汚染物質の含有度がある程度高いものでも許容される用途の目的Aの再利用細粒として仕分シュート120で仕分し、計測含有度が基準含有度範囲Cである場合に、汚染物質の含有度が微小であることを要求される用途の目的Bの再利用細粒として仕分シュート120で仕分する。
【0027】
計測判定部116は、単一の汚染物質の含有度を計測して判定する構成の他に、複数種の汚染物質の含有度を同時に計測して判定する構成とすることも可能である。この場合、計測判定部116は、例えば上記と同様の処理で、各汚染物質の含有度が含まれる各基準含有度範囲を特定して制御部117に送り、制御部117は、入力された各種類の汚染物質の各基準含有度範囲のうちで最も汚染度合の高いものに応じて仕分経路の選択を制御する構成、或いは制御部117は、入力された各種類の汚染物質の各基準含有度範囲のうちで一種の汚染物質の基準含有度範囲に応じて仕分シュート119の仕分経路の選択を制御し、別の一種の汚染物質の基準含有度範囲に応じて仕分シュート119の仕分経路の選択を制御する構成等とすることが可能である。
【0028】
尚、計測判定部116による土壌試料200aの汚染物質の含有度計測時には、ベルトフィーダー115の動作を継続しながら計測し、必要に応じて図示省略する移動機構により計測判定部116の計測部をベルトフィーダー115の移動速度と同一速度で並走するようにして移動させ、土壌試料200aの表面200bの同一箇所に対して計測を行うようにする構成、或いはベルトフィーダー115を間欠的に運転し、ベルトフィーダー115を一旦停止して計測する構成とすることが可能である。また、計測判定部16による汚染物質の計測を終えた土壌試料200aは、後述する土壌仕分装置への投入前の浄化され分級された土壌の細粒に混入されるようになっており、搬入コンベア107よりも上流の処理工程に再度投入され、本実施形態では、図1の点線で示す経路の図示しない搬送手段によってアトリションマシーン105に再度投入されるようになっている。
【0029】
仕分シュート119は、図3に示すように、搬出コンベア118の出口に配置され、二股の排出路135、136を選択的に開放・閉塞する切替ゲート131、切替ゲート131の一方の端部を回転可能に支持する支持部132、切替ゲート131をリンク134を介して回動する駆動シリンダー133を有する。駆動シリンダー133は、計測判定部116の判定結果に基づく制御部117の制御に応じて駆動し、図3の実線と二点鎖線で示すように切替ゲート131を回動して排出路135又は136を選択的に開放・閉塞するようになっている。更に、切替ゲート131が排出路135又は136を閉塞している時には図示で上方に向かって外側に傾斜するように配置され、傾斜状態の切替ゲート131により、開放側の排出路136又は135への土壌200の流入を容易にする構成である。また、仕分シュート120は、仕分シュート119の一方の排出路135の出口に配置され、仕分シュート119と同一構成になっている。
【0030】
本実施形態の土壌浄化設備において、その土壌仕分装置は、土壌を搬送する搬送部である搬入コンベア107、分割シュート111の主シュート112及び搬出コンベア118と、搬送部で搬送された土壌を仕分ける仕分部を構成する第1の仕分部である仕分シュート119と、仕分シュート119で仕分された土壌を仕分ける第2の仕分部である仕分シュート120と、搬送部で搬送中の土壌から土壌試料200aを採取する試料採取部であるサンプルシュート113及びロータリーフィーダー113aと、土壌試料200aに含有される汚染物質を計測し、汚染物質の含有度を判定する計測判定部116と、汚染物質の含有度に応じて仕分シュート119、120を制御して土壌の仕分経路を選択する仕分経路選択部である制御部117と、サンプルシュート113及びロータリーフィーダー113aで採取した試料を一時貯留する中継ホッパー114と、中継ホッパー114から計測判定部116まで土壌試料200aを移動するベルトフィーダー115とから構成され、中継ホッパー114とベルトフィーダー115はサンプルシュート113及びロータリーフィーダー113aで採取した土壌試料200aを計測判定部116まで移送する経路を構成する。土壌仕分装置には、それより上流の処理工程で浄化され分級された土壌の細粒を投入して仕分けるようになっている。
【0031】
そして、土壌試料200aを採取した土壌の主シュート112及び搬出コンベア118による搬送を、土壌試料200aの採取時から計測判定部116による判定が終了し、更に仕分シュート119、120の仕分経路選択が終了するまでの間継続して行い、計測判定部116の判定結果に応じて制御部117の制御により、仕分シュート119の切替ゲート131を回動或いは切替ゲート131の状態を維持して排出路135、136の何れか一方を開放、他方を閉塞して仕分経路を選択し、土壌試料200aに対応する土壌を仕分シュート119で仕分する。図2の例では、切替ゲート131は排出路135側を閉塞し、排出路136側を開放しており、土壌は排出路136を通って再洗浄又は廃棄される細粒に仕分けられ、又切替ゲート131が反対に排出路136側を閉塞し、排出路135側を開放すると、土壌は排出路135を通って利用目的別等に土壌を仕分ける仕分シュート120に投入されるように仕分けられる。この仕分経路選択の時刻は、継続搬送される土壌が仕分シュート119に到達する時刻よりも以前とし、本例では継続搬送される土壌が仕分シュート119に到達する時刻と第1の仕分部である仕分シュート119による仕分経路選択の時刻を略同期させるようにしている。
【0032】
さらに、本実施形態では、計測判定部116の判定結果に応じて制御部117の制御により、仕分シュート120の切替ゲート131を回動或いは切替ゲート131の状態を維持して排出路135、136の何れか一方を開放、他方を閉塞して仕分経路を選択し、土壌試料200aに対応する土壌を仕分シュート120で利用目的別等で仕分する。前記利用目的は、例えばセメント原料用と埋め戻し用等である。この仕分経路選択の時刻は、仕分シュート119で仕分されて送られる土壌が仕分シュート120に到達する時刻よりも以前とし、本例では土壌が仕分シュート120に到達する時刻と第2の仕分部である仕分シュート120による仕分経路選択の時刻を略同期させるようにしている。
【0033】
上述の如く本実施形態では、ベルトフィーダー115の移動速度を調整して、土壌試料200aの中継ホッパー114の受入時から汚染物質の含有度を判定して仕分経路を選択するまでの時間と、土壌試料200aを採取した土壌200が仕分シュート119、120に到達するまでの時間とを略同一としている。即ち、中継ホッパー114の出口である切出ゲート114aから分析計である計測判定部116までの距離をL、ベルトフィーダー115の速度をv、中継ホッパー114の切出ゲート114aの断面積をA、中継ホッパー114内の一定である試料容積をQ、中継ホッパー114から計測判定部116までの土壌試料200aの移動時間をt1、中継ホッパー114内に一時貯留される土壌試料200aの滞留時間をt2、土壌試料200aの汚染物質の含有度の計測判定時間をt3、制御部117が計測判定部116から計測判定結果を受け入れて仕分シュート119を制御するまでの制御時間をt4とし、ベルトフィーダー115を連続運転すると、移動時間t1と滞留時間t2は下記(1)式、(2)式、中継ホッパー114に採取された土壌試料200aの計測判定が終了するまでの時間T1は下記(3)式のようになり、時間T1が略一定となるようにしている。
t1=L/v …(1)
t2=Q/Av …(2)
T1=t1+t2+t3+t4
=L/v+Q/Av+t3+t4
=(L+Q/A)/v+t3+t4 …(3)
【0034】
そして、分割シュート111の主シュート112から排出された土壌が搬出コンベア118で搬送され、仕分シュート119に到達するまでの搬送時間をT2とすると、T1=T2となるようにベルトフィーダー115の速度vを制御すれば、土壌試料200aの中継ホッパー114の受入時から、その土壌試料200aの汚染物質の含有度の計測判定部116による判定を終了し、仕分シュート119の経路選択終了時までの時間T1と、仕分シュート119に仕分される土壌が到着するまでの時間T2を同期させ、仕分シュート119の切替ゲート131の動作時刻と仕分シュート119に仕分される土壌が到達する時刻を同期させることができる。尚、土壌試料200aの土壌の性状に起因して切出ゲート114aの高さを変更して断面積Aを変更する場合、計測判定部116に蛍光X線計測計を使用した場合等に分析精度に関係して分析時間を変更する場合等にも、制御部117でベルトフィーダー115の速度vを制御することにより、常に仕分シュート119の切替ゲート131の動作時刻と仕分シュート119に仕分される土壌が到達する時刻を同期させることができる。また、本実施形態では、仕分シュート119で仕分シュート120側に排出された土壌200は即時に仕分シュート120に至ることから、仕分シュート120の動作制御も仕分シュート119と同様に行い、仕分シュート119の切替ゲート131と仕分シュート120の切替ゲート131の切替動作を同時刻で行っている。尚、ベルトフィーダー115を間欠的に運転する場合にも、中継ホッパー114の容量、ベルトフィーダー115の切出量或いは速度v等を調節して時間T1=T2を同期させることが可能である。
【0035】
本実施形態の土壌浄化設備及びその土壌仕分装置は、主搬送ライン及びその前後の大型装置を確実に連続的に運転することが可能であり、効率性の向上と、土壌浄化設備を構成する大型装置の負荷を確実に低減できると共に、大型装置の停止・再起動に要する消費エネルギーを確実に低減できる。また、土壌試料200aが搬送される搬送ラインでも装置の断続的な運転を無くすことが可能となる。また、土壌の土壌試料200aをリアルタイムに分析し、土壌試料200aの判定結果に応じて土壌試料200aと対応する土壌200を仕分けること、更には仕分シュート119、120に土壌200が到達する時刻と仕分シュート119、120による仕分経路選択の時刻の同期が可能であるから、混錬均質化が不十分で汚染物質が高濃度である汚染土壌が部分的に投入された場合にも、汚染濃度の高い土壌が汚染濃度の低い土壌に混入することを確実に防止し、細分化された多用な用途・処理に合わせて土壌200を仕分けることができる。
【0036】
また、中継ホッパー114内の土壌試料の貯留量200aと貯留されている試料のベルトフィーダー115による移動量を略一定にして汚染物質の含有度を計測判定される試料を略一定量にすることにより、汚染物質の含有度の計測判定結果をより正確に得ることができる。また、中継ホッパー114における土壌試料200aの貯留時間や中継ホッパー114から計測判定部116に至る移動時間を容易に想定する時間にすることができる。また、ベルトフィーダー115の移動速度の調整のみで汚染物質の含有度の分析、制御時間と試料が仕分部に到達する時間を揃えることができるので、容易に且つ確実に双方を同期させることができる。また、段階的に仕分シュート119、120を設けることにより、土壌試料200aの汚染物質の含有度に応じて土壌試料200aに対応する土壌200を段階的に仕分することが可能であり、再洗浄又は系外への排出・廃棄と再利用土壌、更に再利用土壌の用途別の仕分など、用途や必要とされる処理等に応じて適切に土壌を仕分け、細分化して高度に有効利用することができる。
【0037】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含み、下記の変形例等も包含する。
【0038】
例えば上記実施形態では計測判定及び制御等の時間T1=搬送時間T2となるようにベルトフィーダー115の速度vを制御する構成等について説明したが、本発明にはT1<T2とする場合も包含される。T1<T2とする場合には双方の時間の差T2−T1は10秒以内とすると好適である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は例えば汚染土壌の土壌浄化設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
101…グリズリー 102…受入れホッパー 103…トロンメル 104…湿式振動篩 105…アトリションマシーン 106…スパイラル分級機 107…搬入コンベア 107a…コンベアカバー 108…凝集沈殿装置 109…浄澄水受槽 110…脱水装置 111…分割シュート 112…主シュート 113…サンプルシュート 113a…ロータリーフィーダー 114…中継ホッパー 114a…切出ゲート 115…ベルトフィーダー 116…計測判定部 117…制御部 118…搬出コンベア 118a…コンベアカバー 119…仕分シュート 120…仕分シュート 131…切替ゲート 132…支持部 133…駆動シリンダー 134…リンク 141…ホッパーレベル計 142…可変速電動機 143…ベルト速度計 200…土壌 200a…土壌試料 200b…土壌試料の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌を搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送された土壌を仕分ける仕分部と、
前記搬送部で搬送中の土壌から試料を採取する試料採取部と、
前記試料に含有される汚染物質を計測し、前記汚染物質の含有度を判定する計測判定部と、
前記汚染物質の含有度に応じて前記仕分部を制御して前記土壌の仕分経路を選択する仕分経路選択部とを備え、
少なくとも、前記試料を採取した前記土壌の前記搬送部による搬送を前記試料の採取時から前記計測判定部による判定終了時までの間継続して行い、
前記継続搬送される土壌が前記仕分部に到達する時刻よりも前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする土壌仕分装置。
【請求項2】
前記継続搬送される土壌が前記仕分部に到達する時刻と前記仕分経路選択の時刻を略同期させることを特徴とする請求項1記載の土壌仕分装置。
【請求項3】
前記試料採取部で採取した前記試料を前記計測判定部に移送するまでの経路を、前記採取した試料を一時貯留する中継ホッパーと、前記中継ホッパーから前記計測判定部まで前記試料を移動するベルトフィーダーとで構成し、
前記中継ホッパーに貯留する前記試料の量を略一定量に調整し、
前記ベルトフィーダーによって前記中継ホッパーから単位時間当たりに移動する前記試料の量を略一定とすることを特徴とする請求項1又は2記載の土壌仕分装置。
【請求項4】
前記ベルトフィーダーの移動速度を調整して、
前記試料の前記中継ホッパーの受入時から前記汚染物質の含有度を判定して前期仕分経路を選択するまでの時間と前記試料を採取した土壌が前記仕分部に到達するまでの時間とを略同一とすることを特徴とする請求項3記載の土壌仕分装置。
【請求項5】
前記仕分部として、第1の仕分部と、前記第1の仕分部で仕分された土壌を仕分ける第2の仕分部とを備え、
前記第1の仕分部に土壌到達する時刻よりも前記第1の仕分部の前記仕分経路選択の時刻を以前とし、
前記第1の仕分部で仕分された土壌が前記第2の仕分部に到達する時刻よりも前記第2の仕分部の前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の土壌仕分装置。
【請求項6】
土壌を搬送し、前記搬送中の前記土壌から試料を採取し、前記試料に含有される汚染物質を計測して前記汚染物質の含有度を判定し、前記汚染物質の含有度に応じて前記土壌の仕分経路を選択する土壌仕分方法であって、
前記試料を採取した前記土壌の前記搬送部による搬送を前記試料の採取時から前記計測判定部による判定終了時までの間継続して行い、
前記継続搬送される汚染土壌が前記仕分経路の選択箇所に到達する時刻より前記仕分経路選択の時刻を以前とすることを特徴とする土壌仕分方法。
【請求項7】
浄化され分級された土壌の細粒を請求項1〜5の何れかに記載の土壌仕分装置に投入して仕分けると共に、
前記汚染物質の計測後の試料を前記土壌仕分装置への投入前の浄化され分級された土壌に細粒に混入することを特徴とする土壌浄化設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−98297(P2011−98297A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254954(P2009−254954)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】