説明

圧縮成形方法及び装置

【課題】 半導体チップの圧縮成形装置1全体の設置スペースを効率良く縮小し、装置1に設けられる金型5、6における型締力を効率良く減少させ、更に、厚さの異なる基板2(2a、2b)を用いたときに、基板2の厚さに対して効率良く調整して型締めする。
【解決手段】 半導体チップの圧縮成形装置1を2個の半導体チップの圧縮成形用金型5、6(上下両型)を積層配置して構成すると共に、この装置1に、上下配置の金型5、6の夫々における上型5a、6aの型面と下型5b、6bの型面とを閉じ合わせる型開閉手段12を設け、型開閉手段12を、2個のラック15、16と1個のピニオン17とを有する型開閉機構13と、上下配置の金型5、6の夫々に供給される基板2の厚さに対応して調整する厚さ調整機構14を設けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に装着した半導体チップを樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形方法及び圧縮成形装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンプレッションモールド法にて、基板に装着した半導体チップを樹脂材料にて圧縮成形することが行われているが、この方法は、次のようにして行われている。
即ち、半導体チップの圧縮成形装置に搭載された半導体チップの圧縮成形用金型(上型と下型)において、まず、上型に設けた基板セット部に、半導体チップを装着した基板(インサート部材)を、半導体チップ装着面側を下方に向けた状態で供給セットし、且つ、下型に設けた圧縮成形用キャビティ内に樹脂材料(例えば、顆粒状の樹脂材料)を供給して加熱溶融化すると共に、上下両型を型締めする。
このとき、下型キャビティ内の加熱溶融化した樹脂材料中に基板に装着した半導体チップを浸漬することになる。
次に、下型キャビティの底面に設けたキャビティ底面部材を上動することにより、下型キャビティ内の樹脂を加圧する。
硬化に必要な所要時間の経過後、上下両型を型開きすることにより、下型キャビティ内で下型キャビティの形状に対応した樹脂成形体内に基板に装着した半導体チップを圧縮成形(樹脂封止成形)することができると共に、樹脂成形体と基板とからなる成形品(成形済基板)を得ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−307766号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体チップの圧縮成形装置(半導体チップの圧縮成形用金型)を用いて、基板に装着した半導体チップを圧縮成形する場合において、成形品の生産性を効率良く向上させることが要求されている。
このために、金型面上に平面的に2枚(複数枚)の基板を配置した構成の圧縮成形用金型を備えた圧縮成形装置を用いて、基板に装着した半導体チップを圧縮成形することにより、成形品の生産性を効率良く向上させることが検討されている。
しかしながら、例えば、平面的に2枚の基板を配置した構成の圧縮成形用金型に基板を供給する場合、当該インロード機構が平面的に大きくなるなど圧縮成形装置の全体が大きくなる。
また、近年、生産環境にクリーン状態が要求される半導体生産工場において、半導体関連の生産装置における平面的な設置スペース(占有床面積)に限界がある。
また、生産装置が大きくなると、装置自体の消費エネルギー及び昨今の生産環境クリーン化による工場維持エネルギーが増大し易くなり、工場の単位面積当たりの生産性が大きく問題となる。
このため、半導体チップの圧縮成形装置全体の設置スペースを効率良く縮小することが課題となっている。
従って、例えば、2枚の基板を圧縮成形する場合において、半導体チップの圧縮成形装置の設置スペースを効率良く縮小することが求められている。
【0005】
また、金型の型面上に平面的に2枚の基板を配置した構成の圧縮成形用金型において、必要最小限の型締圧力で型締めした場合、1枚の基板を必要最小限の型締圧力で型締した場合に比べて、単純計算で約2倍の型締力(エネルギ−)が必要になる。
そのため、金型面に平面的に2枚の基板を配置して型締めする場合、金型の型締めに用いられる金型の型締力が増加することになる。
従って、2枚の基板を圧縮成形する場合において、半導体チップの圧縮成形用金型の型締力を効率良く減少させることが課題となっている。
【0006】
即ち、本発明は、半導体チップの圧縮成形装置に2個の半導体チップの圧縮成形用金型を上下方向に積層することにより、当該装置に、上方配置の半導体チップの圧縮成形用金型と、下方配置の半導体チップの圧縮成形用金型とを備えさせ、これらの課題を解決するものである。
従って、本発明は、平面的に2枚の基板を配置した圧縮成形用金型に比べて、単純計算で、金型の設置スペースを1枚の基板を配置する分だけ減少させることができるので、圧縮成形装置(金型)の設置スペースを効率良く縮小することができるものである。
また、本発明は、同じ型締圧力で金型を型締めすることを前提とした場合において、平面的に2枚の基板を配置した圧縮成形用金型を型締めする型締力に比べて、1枚の基板を配置した金型を上下方向に配置する構成であるため、概ね、1枚の基板を配置した金型を型締めする型締力で型締めすることができるので、金型の型締力を効率良く減少させることができるものである。
なお、本発明に係る型締力について、概略的に言い換えると、本発明において、基板を型締めする(加圧する)と云う点から見ると、1枚の基板当たりに必要な(最小限の)型締圧力で、2枚の基板を型締するために、立体的に、2枚の基板を見かけ上1枚で配置した状態で、1枚の基板を圧縮成形する圧縮成形用金型を2個、上下方向に配置した構成が用いられることになる。
【0007】
また、本発明において、上方配置の半導体チップの圧縮成形用金型と下方配置の半導体チップの圧縮成形用金型とを備えた半導体チップの圧縮成形装置(圧縮成形方法)を採用したことにより、上方配置の半導体チップの圧縮成形用金型と下方配置の半導体チップの圧縮成形用金型とを効率良く型締めすることが求められている。
また、半導体チップの圧縮成形装置に設けた上下配置の2個の積層金型の夫々に基板を供給して型締めした場合、基板厚さが異なる基板を供給することがある。
この場合、2個の金型における一方の金型に隙間が発生して2個の金型を効率良く型締めできないことがあり、また、基板を過剰な型締圧力で型締めすることがあり、本発明はこの課題を合わせて解決するものである。
従って、本発明において、基板厚さの異なる基板を用いた場合に、半導体チップの圧縮成形装置(金型)を基板の厚さを効率良く調整して型締めすることが求められている。
【0008】
即ち、本発明は、圧縮成形装置全体の設置スペースを効率良く縮小することができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、圧縮成形装置(金型)における型締力を効率良く減少させることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、圧縮成形装置に2個の圧縮成形用金型を積層配置して構成した場合において、2個の圧縮成形用金型を効率良く型締めすることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は、半導体チップの圧縮成形装置に2個の圧縮成形用金型を積層配置して構成した場合において、基板厚さの異なる基板(インサート部材)を用いたときに、半導体チの圧縮成形装置に設けた2個の圧縮成形用金型を基板(インサート部材)の厚さに対応して効率良く調整して型締めすることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形方法は、2個の圧縮成形用金型を上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とを有する積層モールド機構部を備えた圧縮成形装置を用意する工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々にインサート部材を各別に供給する工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に所要量の樹脂材料を各別に供給する工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々を型締めする工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々において、前記したインサート部材を樹脂材料で圧縮成形して成形品を形成する工程とからなることを特徴とする。
【0012】
また、前記技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形方法は、2個の圧縮成形用金型を上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とを有する積層モールド機構部を備えた圧縮成形装置を用意する工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に、上型と下型とを設ける工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における上型に設けたインサート部材セット部にインサート部材を各別に供給セットする工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における下型に設けた圧縮成形用キャビティ内に所要量の樹脂材料を各別に供給して加熱する工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における上型と下型とを型締めする工程と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における圧縮成形用キャビティ内の樹脂を加圧することにより、前記した圧縮成形用キャビティ内で前記したインサート部材を圧縮成形する工程と備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形方法は、前記した積層配置した2個の圧縮成形用金型を各別に型締めするとき、上方配置の金型における下型を距離Lにて移動させ、且つ、下方配置の金型における下型を距離2Lで移動させる工程とからなることを特徴とする。
【0014】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形方法は、前記した積層配置した2個の圧縮成形用金型の夫々を型締めするとき、前記した2個の金型の夫々に供給される基板の厚さを調整した状態で型締する工程を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形方法は、前記した積層配置した2個の圧縮成形用金型の夫々における圧縮成形用キャビティ内に離型フィルムを被覆する工程と、前記した離型フィルムを被覆したキャビティの夫々に樹脂材料を供給して加熱する工程と備えたことを特徴とする。
【0016】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置に積層モールド機構部を設けると共に、前記した積層モールド機構部を、インサート部材を圧縮成形する圧縮成形用金型を2個、上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とをから構成し、且つ、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に上型と下型とを設けると共に、前記した2個の金型の夫々における上型の型面と下型の型面とを開閉する型開閉手段を設けて構成したことを特徴とする。
【0017】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形用金型を2個、上下方向に積層配置して形成した上方配置の圧縮成形用金型及び下方配置の圧縮成形用金型と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に設けた上型と下型と、前記した上方配置の上型を固設する上部固定盤と、前記した上部固定盤の下方位置に設けた下部固定盤と、前記した上部固定盤と下部固定盤とを連結する所要数本のポストと、前記した上方配置の上型と前記した下方配置の上型との間に当該両者を固定した状態で設けられ且つ前記したポストに上下摺動自在に設けた中間プレートと、前記した下方配置の下型を固設し且つ前記したポストに上下摺動自在に設けたスライドプレートと、前記した圧縮成形用金型における夫々に設けた上型の型面と下型の型面とを各別に閉じ合わせる型開閉手段と、前記したスライドプレートと下部固定盤との間に設けられ且つ前記した2個の圧縮成形用金型に前記したスライドプレートの下方側から所要の型締圧力を加える加圧機構と、前記した上型の型面の夫々に設けられ且つインサート部材を供給セットするインサート部材セット部と、前記した各下型の型面に各別に設けられた圧縮成形用キャビティと、前記した圧縮成形用キャビティ内に供給した樹脂材料を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、前記した型開閉手段の型開閉機構を、2個のラックと1個のピニオンとから形成されたラック・ピニオン機構にて構成したことを特徴とする。
【0019】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、前記した型開閉手段の型開閉機構を、ポストに固設した一方のラックと、スライドプレートに立設したラック立設部材に固設した他方のラックと、前記した2個のラックの間に回転自在にギヤ係合して設けたピニオンと、前記したピニオンに設けた回転軸と、前記した回転軸を回転する回転機構と、前記した回転軸を回転自在に受ける軸受部と、中間プレートに垂下した状態で設けられ且つ前記した軸受部を下端に設けたピニオン垂下部材とから構成したことを特徴とする。
【0020】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、前記した型開閉手段に、上方配置の圧縮成形用金型及び下方配置の圧縮成形用金型の夫々に供給された基板の厚さを各別に調整する厚さ調整機構を設けて構成したことを特徴とする。
【0021】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、前記した型開閉手段の厚さ調整機構に、他方のラックを固設したピニオン垂下部材に固設した軸受部の本体と、前記した軸受部本体に形成された摺動孔と、前記した摺動孔内を上下弾性摺動し且つピニオンの回転軸を回転自在に受ける軸受部の摺動体と、前記した摺動孔内で摺動体を上下弾性摺動する弾性部材とを設けて構成したことを特徴とする。
【0022】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る圧縮成形装置は、前記した圧縮成形用キャビティ内を被覆する離型フィルムを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、半導体チップの圧縮成形装置(半導体チップの圧縮成形方法)に、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を上下方向に積層配置した積層モールド機構部を設けて構成することができるので、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を平面的に配置した構成に比べて、圧縮成形装置全体の設置スペースを効率良く縮小することができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、前述したように、半導体チップの圧縮成形装置(半導体チップの圧縮成形方法)に、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を上下方向に積層配置した積層モールド機構部を設けて構成することができるので、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を平面的に配置した構成に比べて、圧縮成形装置(金型)における型締力を効率良く減少させることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することができると云う優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明は、半導体チップの圧縮成形装置(半導体チップの圧縮成形方法)に、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を上下方向に積層配置した積層モールド機構部を設けて構成すると共に、2個の圧縮成形用金型の夫々を型締めする型開閉手段(型開閉機構)として、2個のラックと1個のピニオンとからなるラック・ピニオン機構を設けて構成したものである。
従って、半導体チップの圧縮成形装置に2個の圧縮成形用金型を積層配置して構成した場合において、2個の圧縮成形用金型を効率良く型締めすることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することができると云う優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、半導体チップの圧縮成形装置に2個の圧縮成形用金型を積層配置して構成した場合において、基板厚さの異なる基板(インサート部材)を用いたときに、半導体チの圧縮成形装置に設けた2個の圧縮成形用金型を基板(インサート部材)の厚さに対応して効率良く調整して型締めすることができる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することができると云う優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、実施例図を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置である。
図2、図3は、図1に示す装置の積層モールド機構部(上下方向に半導体チップの圧縮成形用金型を配置した構成)である。
図4は、図3に示す積層モールド機構部の型開閉手段(型開閉機構)である。
図5は、図3に示す積層モールド機構部の型開閉手段(厚さ調整機構)である。
【0027】
(半導体チップの圧縮成形装置の構成について)
即ち、図1に示すように、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置1には、半導体チップを装着した基板2(インサート部材)を樹脂材料で圧縮成形(樹脂封止成形)するモールドユニットAと、モールドユニットAにインロード機構D(搬送機構)で半導体チップを装着した基板2(成形前基板)と樹脂材料(例えば、顆粒状の樹脂材料)とを供給するインロードユニットBと、モールドユニットAで圧縮成形された成形品3(基板2と樹脂成形体35)をアウトロード機構E(成形前材料の搬送機構)で取り出して収容するアウトロードユニットCとが設けられて構成されている。
また、成形装置1の装置前面1a側には、インロード機構の移動領域Fと、アウトロード機構の移動領域Gとが設けられて構成されている。
従って、図1に示すように、まず、インロード機構Dにて、基板2と樹脂材料とをインロードユニットBからモールドユニットAに供給して成形品3に圧縮成形し、次に、アウトロード機構Eにて、成形品3をモールドユニットAから取り出してアウトロードユニットCに収容することができるように構成されている。
なお、インロードユニットBとモールドユニットAとアウトロードユニットCとがこの順番でユニット連結具Hにて一列に互いに着脱自在に構成されている。
【0028】
(モールドユニットの構成について)
また、図1に示すように、モールドユニットAにおける装置背面1b側には、半導体チップを装着した基板2を圧縮成形する積層モールド機構部4(ダブルレイヤー構造を有する金型装置)が設けられて構成されている。
従って、この積層モールド機構部(積層金型機構部)4にて、基板2に装着した半導体チップを圧縮成形して成形品(成形済基板)3を形成することができるように構成されている。
【0029】
(積層モールド機構部の構成について)
また、図2、図3に示すように、積層モールド機構部4には、半導体チップの圧縮成形用金型(圧縮成形型)が2個、上下方向に積層した状態で設けられて構成されている。
即ち、積層モールド機構部4には、当該機構部の上方に配置した上方配置の半導体チップの圧縮成形用金型(圧縮成形型)5と、当該機構部の下方に配置した下方配置の半導体チップの圧縮成形用金型(圧縮成形型)6とが設けられて構成されている。
また、上方配置の圧縮成形用金型5には、上型5aと、上型5aに対向した下型5bとが設けられて構成されると共に、下方配置の圧縮成形用金型6には、上型6aと、上型6aに対向した下型6bとが設けられて構成されている。
従って、積層モールド機構部4における上下方向に積層した2個の金型5、6(上下両型5a、5b、上下両型6a、6b)の夫々において、半導体チップを装着した基板2を、例えば、顆粒状の樹脂材料(顆粒樹脂)にて、各別に(金型ごとに)圧縮成形して成形品3を形成することができるように構成されている。
なお、上方配置の圧縮成形用金型5及び下方配置の圧縮成形用金型6(上下配置の金型5、6)の夫々には、後述するように、上型基板セット部19と圧縮成形用の下型キャビティ21とが設けられて構成されている。
【0030】
また、積層モールド機構部4には、上部固定盤7と、その下方側に設けた下部固定盤8とが設けられて構成されると共に、上部固定盤7と下部固定盤8とは所要数本のポスト(タイバー)9にて固設されて構成されている(図例では4本のポスト)。
また、上部固定盤7と下部固定盤8との間には、中間プレート(中間移動板)10が所要数本のポスト9に対して上下摺動自在に設けられて構成されている。
また、中間プレート0と下部固定盤8との間には、中間プレート10と同様に、スライドプレート(底部移動板)11が所要数本のポスト9に対して上下摺動自在に設けられて構成されている。
また、上部固定盤7の下面側には上方配置の金型5における上型5aが(不動状態で)装設されて構成されている。
また、中間プレート10の上面側には上方配置の圧縮成形用金型5における下型5bが装設されて構成されると共に、中間プレート10の下面側には下方配置の圧縮成形用金型6における上型6aが装設されて構成されている。
また、下部固定盤8の上面側には下方配置の金型6における下型6bが装設されて構成されている。
また、上方配置の下型5bと中間プレート10と下方配置の上型6aとを一体にした状態で上下動することができるように構成されている。
また、下方配置の下型6bとスライドプレート11とを一体にした状態で上下動することができるように構成されている。
【0031】
即ち、図2、図3に示すように、積層モールド機構部4において、後述するように、上方配置の圧縮成形用金型5と下方配置の圧縮成形用金型6の夫々において(上下配置の金型5、6において)、上型5aの型面と下型5bの型面とを、また、上型6aの型面と下型6bの型面とを、各別に連動して同時に開閉する型開閉手段12が設けられて構成されている。
従って、積層モールド機構部4において、型開閉手段12を用いて、中間プレート10とスライドプレートレート11とを各別に上動させることにより、上方配置の金型5において、上型5aの型面と下型5bの型面とを閉じ合わせることにより、上下両型5a、5bを型締めすることができるように構成されている(図2、図3を参照)。
また、このとき、下方配置の金型6において、上型6aの型面と下型6bの型面とを閉じ合わせることにより、上下両型6a、6bを型締めすることができるように構成されている。
なお、図例では、前述した型開閉手段12が4個、4本のポスト9に各別に装設されて構成されている。
【0032】
また、型開閉手段12には、後述するように、上下配置の金型5、6において、上型5a、6aの型面と下型5b、6bの型面とを開閉する型開閉機構13と、上型5a、6aの型面と下型5b、6bの型面とに挟持される2枚の基板2(2a、2b)の厚さを調整するフローティング構造を有する厚さ調整機構14とが設けられて構成されている。
即ち、型開閉機構13には、後述するように、ラック・ピニオン機構が採用され、2個のラック15、16と、この2個のラック15、16の間にギヤ係合した1個のピニオン17とが設けられて構成されている。
また、後述するように、型開閉機構13のラック・ピニオン機構においては、一方のラック15がポスト9側に固設されて構成され、且つ、他方のラック16がスライドプレート11側に装設されて構成されると共に、2個のラックの間にギヤ係合したピニオン17は中間プレート10側に装設されて構成されている(図4を参照)。
また、後述するように、上下配置の金型5、6の夫々に供給される基板2の厚さが異なったとき(例えば、図5に示す厚さの厚い基板2a及び厚さの薄い基板2b)、厚さ調整機構14にて中間プレート10(下型5b及び上型6aを含む)を弾性上下動させることにより、上下配置の金型5、6の夫々において、基板2(2a、2b)の厚さを効率良く調整することができるように構成されている。
従って、後述するように、型開閉手段12(型開閉機構13)において、ピニオン17を回転させることにより、ピニオン17(中間プレート10)を上動させ、且つ、他方のラック16(スライドプレート11)を上動させることにより、上下配置の金型5、6の夫々において、上型5a(6a)の型面と下型5b(6b)の型面とを閉じ合わせて型締めすることができる。
このとき、ピニオン17(中間プレート10)は距離Lにて上動し、他方のラック16(スライドプレート11)は距離2Lにて上動することになる。
なお、他方のラック16(スライドプレート11)の移動距離はピニオン17に対して相対的に距離Lである。
また、このとき、後述するように、上下配置の金型5、6の夫々において、厚さ調整機構14にて基板2(2a、2b)の厚さを効率良く調整することができる。
【0033】
また、スライドプレート11と下部固定盤8との間には、型開閉手段12による上方配置及び下方配置の金型5、6の型締時に(積層モールド機構部4の型締時に)、上下配置の金型5、6を所要の型締圧力(所要の型締力)にて加圧する加圧機構18(スライドプレートの上下加圧機構)が設けられて構成されている。
従って、積層モールド機構部4(上下配置の金型5、6)において、型開閉手段12(型開閉機構13)にて上下配置の金型5、6の夫々を各別に型面を閉じ合わせて型締めすると共に、加圧機構18にて上下配置の金型5、6の夫々を各別に所要の型締圧力(型締力)にて加圧することができるように構成されている。
また、型開閉手段12(型開閉機構13)による上下配置の金型5、6の型締時に、加圧機構18にて補助的にスライドプレート11を上下動させることができるように構成されている。
従って、型開閉手段12(型開閉機構13)と加圧機構18とで、上下配置の金型5、6の夫々を所要の型締圧力にて型締めすることができるように構成されている。
【0034】
(積層モールド機構部における金型積層の作用効果について)
即ち、本発明によれば、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置1(モールドユニットA)に、2個の半導体チップの圧縮成形用金型5、6を上下方向に積層した積層モールド機構部4を設けて構成することができる。
このため、2枚の基板を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形用金型を設けた半導体チップの圧縮成形装置に比べて、本発明による半導体チップの圧縮成形装置1は、実質的に1枚の基板を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形用金型を設けた半導体チップの圧縮成形装置1の構成となる。
従って、本発明によれば、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置1において、装置全体の設置スペースを効率良く縮小することができる。
また、本発明による半導体チップの圧縮成形装置1において、2個の半導体チップの圧縮成形用金型5、6を積層する構成を採用したことにより、2枚の基板を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形用金型を設けた半導体チップの圧縮成形装置に比べて、実質的に1枚の基板を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形用金型(装置1)を所要の型締圧力にて型締めすることになる。
従って、本発明によれば、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置1(金型5、6)における型締力を効率良く減少させることができる。
【0035】
(上方配置及び下方配置の圧縮成形用金型の構成について)
また、本発明における積層モールド機構部4の上方配置の圧縮成形用金型5と下方配置の圧縮成形用金型6とについて説明する。
なお、前述した上方配置の圧縮成形用金型5と下方配置の圧縮成形用金型6の夫々は(上下配置の金型5、6の夫々は)同じ金型構成にて形成されている。
【0036】
即ち、図2、図3に示すように、上方配置の圧縮成形用金型(圧縮成形型)5の上型の型面には、半導体チップを装着した基板2を、半導体チップ装着面側を下方に向けた状態で供給する上型5aの基板セット部19(インサート部材セット部)と、基板セット部19に基板2(2a、2b)を固定する基板固定手段として吸着孔20(基板吸着手段)が設けられて構成されている。
また、図2、図3に示すように、上方配置の圧縮成形用金型5の下型5bの型面には、上方に開口したキャビティ開口部を有する下型5bの圧縮成形用キャビティ21と、下型キャビティ21の底面に設けられた樹脂加圧用のキャビティ底面部材22とが設けられて構成されている。
また、図示はしていないが、上方配置の圧縮成形用金型5には、金型5を所要の温度にまで加熱する加熱手段が設けられて構成されている。
【0037】
即ち、インローダ機構Dにて、上型5aの基板セット部19に半導体チップを装着した基板2を供給セットすると共に、上型5aの型面に設けた吸引孔20から空気を強制的に吸引排出することにより、基板セット部19に基板2を吸着固定することができるように構成されている。
また、インローダ機構Dにて、所要量の樹脂材料(顆粒樹脂)を下型キャビティ21内に供給して加熱溶融化することができるように構成されている。
従って、上方配置の圧縮成形用金型5(上下両型5a)を型締めすることにより、上型基板セット部19に供給セットした基板2に装着した半導体チップを下型キャビティ21内の加熱溶融した樹脂材料内に浸漬すると共に、下型キャビティ21内の樹脂にキャビティ底面部材22にて所要の樹脂圧を加えることができるように構成されている。
このため、下型キャビティ21内でキャビティ21の形状に対応した樹脂成形体35内に半導体チップを圧縮成形(樹脂封止成形)することにより、上方配置の圧縮成形用金型5で成形品30(樹脂成形体35と基板2)を形成することができるように構成されている。
【0038】
また、下方配置の圧縮成形用金型(圧縮成形型)6において、上方配置の圧縮成形用金型5と同様に、上型6aに設けた基板セット部19と、下型6bに設けた圧縮成形用キャビティ21と、キャビティ底面部材22と、加熱手段(図示なし)とが設けられて構成されている。
従って、下方配置の圧縮成形用金型6において、上方配置の圧縮成形用金型5と同様に、下型キャビティ21内でキャビティ21の形状に対応した樹脂成形体35内に基板2に装着した半導体チップを圧縮成形(樹脂封止成形)することにより、成形品3(樹脂成形体35と基板2)を形成することができるように構成されている。
【0039】
(インローダ機構の構成について)
図2に示すように、インローダ機構Dには、例えば、上部インロード部23と、上部インロード部23の下方に設けた下部インロード部24と、上部インロード部23と下部インロード部24とを連結するインロード連結部25とが設けられて構成されている。
また、図1に示すように、インローダ機構Dは、インロードユニットBとモールドユニットAとの間をインローダ機構の移動領域Fで往復移動することができるように構成されている。
また、インロードユニットBにおいて、上部インロード部23と下部インロード部24との夫々に対して、各別に、基板2及び樹脂材料(顆粒樹脂)を係着(或いは載置)セットすることができるように構成されている。
即ち、まず、インロードユニットBにおいて、インローダ機Dにおける上部インロード部23と下部インロード部24との夫々に、各別に、基板2及び樹脂材料を係着セットし、当該インローダ機構Dをインローダ機構の移動領域F内をインロードユニットB側からモールドユニットA側に移動させることができる。
次に、モールドユニットAにおける積層モールド機構部4において、上方配置の金型5(上下両型5a、5b)間に上部インロード部23を進入させることができる。
また、このとき、下方配置の金型6(上下両型6a、6b)間に下部インロード部24を進入させることができる。
従って、上方配置の金型5において、上部インロード部23にて、上型5aの基板セット部19に基板2を供給セットし且つ下型5bのキャビティ21内に樹脂材料を供給することができる。
また、このとき、下方配置の金型6において、下部インロード部24にて、上型6aの基板セット部19に基板2を供給セットし且つ下型6bのキャビティ21内に樹脂材料を供給することができる。
【0040】
(アウトローダ機構の構成について)
また、図示はしていないが、アウトローダ機構Eには、(インローダ機構Dと同様に、)例えば、上部アウトロード部と、上部アウトロード部の下方に設けた下部アウトロード部と、上部アウトロード部と下部アウトロード部とを連結するアウトロード連結部とが設けられて構成されている。
また、図1に示すように、アウトローダ機構Eは、アウトロードユニットCとモールドユニットAとの間をアウトローダ機構の移動領域G内を往復移動することができるように構成されている。
また、アウトロードユニットCにおいて、上部アウトロード部と下部アウトロード部との夫々から各別に成形品3を取り出して収容することができるように構成されている。
即ち、まず、モールドユニットAにおける積層モールド機構部4において、上方配置の上下両型5a、5b間に上部アウトロード部を進入させて下型5bの型面から成形品3を(係着して)取り出すことができる。
また、このとき、下方配置の上下両型6a、6b間に下部アウトロード部を進入させて下型6bの型面から成形品3を(係着して)取り出すことができる。
次に、当該アウトローダ機構Eをアウトローダ機構の移動領域G内をモールドユニットA側からアウトロードユニットC側に移動させることができる。
従って、次に、アウトロードユニットCにおいて、アウトローダ機構Eにおける上部アウトロード部と下部アウトロード部とから成形品3を各別に取り出して収容することができる。
【0041】
(型開閉手段の構成について)
また、型開閉手段12には、前述したように、上下配置の金型5、6を各別に開閉する型開閉機構13と、上下配置の金型5、6で各別に型締めされる(挟持される)基板2の厚さに対応して調整する厚さ調整機構14とが設けられて構成されている。
従って、型開閉手段12を用いることにより、型開閉機構13で上下配置の金型5、6を各別に型締めすると共に、厚さ調整機構14で上下配置の金型5、6に挟持される基板2の厚さを各別に調整することができるように構成されている。
【0042】
(型開閉手段における型開閉機構について)
即ち、図4、図5に示すように、型開閉手段12の型開閉機構13においては、中間プレート10とスライドプレート11との間におけるポスト9の所要個所に上下方向に固定した状態でラック15(一方のラック)が設けられて構成されている。
また、型開閉機構13においては、スライドプレート11に(垂直状態で)立設したラック立設部材26の所要個所に上下方向に固定した状態でラック16(他方のラック)が設けられて構成されている。
また、二つのラック15、16の間にはピニオン17が二つのラック15、16に対してギヤにて係合した状態で設けられて構成されている。
また、型開閉機構13においては、ピニオン17には回転軸27が軸装されると共に、回転軸27にはモータ等の回転機構28が設けられて構成されている。
従って、回転機構28にて回転軸27を介してピニオン17を正方向或いは逆方向に回転させることができるように構成されている。
また、ピニオン17と回転機構28との間には回転軸27を回転自在に受けるフローティング構造を備えた軸受部29(後述する厚さ調整機構14を含む)が設けられて構成されている。
また、型開閉機構13においては、ピニオン垂下部材30が中間プレート10に垂下した状態で設けられると共に、ピニオン垂下部材30の下端にピニオン17(回転軸27)を回転自在に設けた軸受部29が固設されて構成されている。
【0043】
次に、図2、図3、図4、図5を用いて、型開閉機構13(ラック・ピニオン機構)の開閉動作について説明する。
まず、上下配置の金型5、6を型締めする場合について述べる。
即ち、図4に示す図例においては、正方向は図面に向かって左回り(時計回りとは反対)であって、ポスト9に固設したラック(ポスト固設ラック)15に対して、ピニオン(中間プレート垂下ピニオン)17を回転させた状態で上動させることになる。
このため、ピニオン17とピニオン垂下部材30と中間プレート10とを一体となって上動させる(押し上げる)ことができるように構成されている(図5を参照)。
また、このとき、ラック立設部材26(スライドプレート11)に固設したラック(スライドプレート立設ラック)16を、正方向に回転して上動するピニオン17にて上動させる(引き上げる)ことができる。
このため、ラック立設部材26とスライドプレート立設ラック16とスライドプレート11とを一体にて上動させることができるように構成されている。
また、図4に示す図例においては、逆方向は図面に向かって右回り(時計回り)であって、ポスト固設ラック15に対してピニオン17を回転させた状態で下動させることになる。
このため、ピニオン17とピニオン垂下部材30と中間プレート10とを一体となって下動させることができるように構成されている。
また、このとき、ラック立設部材26(スライドプレート11)に固設したラック(スライドプレート立設ラック)16を、逆方向に回転して下動するピニオン17にて下動させることができる。
このため、ラック立設部材26とスライドプレート立設ラック16とスライドプレート11とを一体にて下動させることができるように構成されている。
即ち、型開閉機構13における回転機構28(回転軸27)にてピニオン17を正逆方向に回転させることにより、中間プレート10及びスライドプレート11の夫々を連動して同時に上下動させることができるように構成されている。
従って、上下配置の金型5、6の夫々において、上型5a、6aの型面と下型5b、6bの型面とを各別に閉じ合わせることができるように構成されている。
【0044】
(型開閉機構による移動距離について)
次に、ラック・ピニオン機構を採用した型開閉機構13による中間プレート10の移動距離(ストローク)とスライドプレート11の移動距離(ストローク)とについて説明する(図3を参照)。
即ち、例えば、(所要時間において、)ピニオン17が正方向にその外周を(円弧換算距離で)距離Lにて回転した場合、この円弧(距離)Lにて回転するピニオン17はポスト固設ラック15を距離Lにて上動することになる。
このため、ピニオン17にピニオン垂下部材30を介して固設した中間プレート10に装設された下型5bの型面は距離Lにて上動することになる。
また、このとき、ラック立設部材26に固設されたラック16をピニオン17の位置に対して相対的に距離Lにて上動することになる。
即ち、スライドプレート11に装設した下型6bの型面をピニオン17に対して相対的に距離Lにて上動させることになる。
従って、ラック立設部材26に固設されたラック16は、実質的に、ピニオンがポスト固設ラックを上動する距離Lと、当該ラック16自体がピニオン17にて相対的に移動する距離Lとを加算した距離2Lにて上動することになる。
また、このため、中間プレート10(ピニオン17)を距離Lにて上動させた場合、スライドプレート11(ラック16)は距離2Lにて上動することになる。
また、このとき、当然ではあるが、上方配置の金型5における下型5bの型面を距離Lで上動させることができると共に、下方配置の金型6における下型6bの型面を距離2Lにて上動させることができる。
なお、型開閉機構13にて上下配置の金型5、6を各別に型開きする場合、前述した型締めの構成と同様に、中間プレート10(ピニオン17)を距離Lにて下動させたとき、スライドプレート11(ラック16)は距離2Lにて下動することになる。
【0045】
(型開閉手段の厚さ調整機構について)
また、前述したように、軸受部29にはフローティング構造を有する厚さ調整機構14が設けられて構成されている。
即ち、厚さ調整機構14には、ピニオン垂下部材30の下端に設けた軸受部29に設けた軸受部の本体31と、回転軸27を受ける軸受部の摺動体(スライダー)32と、摺動体32を弾性上下摺動させる軸受部本体の摺動孔33とが設けられて構成されている。
また、本体摺動孔33内において、摺動体32を弾性上下摺動させる圧縮スプリング等の弾性部材34が摺動体32における上部側と下部側とに各別に設けられて構成されている。
従って、本体摺動孔33内において、弾性部材34にて摺動体32を弾性上下摺動させることができるように構成されている。
また、軸受部本体31における摺動孔33内において、ピニオン17と回転軸27とを含む摺動体32を弾性部材34にて弾性上下摺動させる(フローティングさせる)ことができるように構成されている。
即ち、開閉手段12の型開閉機構13にて、上下配置の金型5、6の夫々に基板厚さの異なる2枚の基板2(2a、2b)を各別に供給セットして型締めする場合に、厚さ調整機構14(弾性部材34)にて、2枚の厚さの異なる基板の厚さ(所謂、基板の厚さの厚い薄い)に対応して2枚の厚さの異なる基板2(2a、2b)を各別に効率良く型面で挟持することができる(図5を参照)。
従って、厚さ調整機構14(弾性部材34)を用いて、2枚の厚さの異なる基板2(2a、2b)に対応して効率良く型面間の距離(間隔)を各別に調整することができる。
このため、積層モールド機構部4における上下配置の金型5、6の型締時に、上下配置の金型5、6の夫々において、型面(下型面)と基板2(半導体チップ装着面)とに隙間が発生することを効率良く防止することができる。
また、上下配置の金型5、6の型締時に、上下配置の金型5、6の夫々において、基板2に過剰な型締圧力が加えられることを効率良く防止することができる。
【0046】
(厚さ調整機構による基板厚さの調整作用について)
次に、図5を用いて、厚さ調整機構14(弾性部材34)による基板における厚さの調整作用について説明する。
なお、図5においては、上方配置の金型5において、基板厚さが厚い基板2a(2)を型締めし、下方配置の金型6において、基板厚さの薄い基板2b(2)を型締めする状態が例示されている。
【0047】
即ち、図5に示すように、積層モールド機構部4の型締時において、上方配置の上型5aを含む上部固定盤7と、ポスト9と、ポスト側ラック15とが一体となる固定状態にあり、ポスト側グループが形成されることになる。
また、積層モールド機構部4の型締時において、上方配置の下型5b及び下方配置の上型6aを含む中間プレート10と、ピニオン垂下部材30と、摺動孔33を有する軸受部29の本体31とが一体となる固定状態にあり、中間プレート側グループが形成されることになる。
また、積層モールド機構部4の型締時において、下方配置の下型6bを含むスライドプレート1と、ラック立設部材26と、スライドプレート側ラック16と、ピニオン17と、回転軸27(回転機構28)を含む摺動体32とが一体となる固定状態にあり、スライドプレート側グループが形成されることになる。
従って、厚さ調整機構14の弾性部材34にて、ポスト側グループとスライドプレート側グループとの間で、中間プレート側グループを弾性上下動することができるように構成されている。
このため、厚さ調整機構14で基板2(2a、2b)の厚さを調整することにより、ポスト側グループの上型5aの型面と中間プレート側グループの下型5bの型面との間に、或いは、中間プレート側グループの上型の型面とスライドプレート側グループの下型の型面との間に、基板厚さの異なる2枚の基板2(2a、2b)を各別に効率良く挟持して型締めすることができるように構成されている。
なお、言い換えれば、積層モールド機構部4における上下配置の金型5、6を型締する場合において、基板2(2a、2b)の厚さに対応して型締めを調整するとき、ポスト側グループ(ラック15)とスライドプレート側グループ(ラック16)とはピニオン17(回転軸27を含む摺動体32)を介して固定された状態にあり、ポスト側グループとスライドプレート側グループとの間にある中間プレート側グループを弾性部材34で弾性上下動した状態で(弾性緩衝した状態で)調整することができる。
【0048】
(厚さの厚い基板と厚さの薄い基板とを型締めする場合について)
更に、図5を用いて、上方配置の金型5(上型5aの基板セット部19)に厚さの厚い基板2aを供給し、且つ、下方配置の金型6(上型6aの基板セット部19)に厚さの薄い基板2bを供給する場合を詳述する。
即ち、積層モールド機構部4における上下配置の金型5、6を型締めした場合、前述したように、ピニオン17を正方向に回転させることにより、正回転するピニオン17(中間プレート10)はポスト側ラック15を距離Lにて上動し、且つ、回転上動ピニオン17にてスライドプレート側ラック16(スライドプレート11)を距離Lにて上動させることになり、上下配置の金型5、6の夫々において、均等な型締速度で型面を閉じ合わせて型締めすることができる。
即ち、まず、上方配置の金型5において、上下両型5a、5bの型面間に、上型5aの基板セット部19に供給セットされた厚さの厚い基板2aを挟持することになる。
このとき、下方配置の金型6において、上型6aの基板セット部19に供給された厚さの薄い基板2bの下面(半導体チップ装着面)と下型6bの型面とには隙間が存在することになる。
更に、ピニオン17を正方向に回転させることにより、下方配置の金型6において、上下両型6a、6bの型面間に、上型6aの基板セット部19に供給セットされた厚さの薄い基板2bを挟持することになる。
このとき、スライドプレート11(下方配置における下型6bの型面)と、中間プレート10(上方配置における下型5bの型面)とについて、スライドプレート11が更に上動したとしても、スライドプレート11に実質的に固設した摺動体32が本体の摺動孔33内で弾性部材34に逆らって弾性上動することになるので、摺動体32を弾性部材34(厚さ調整機構14)にて弾性緩衝させることができる。
従って、厚さ調整機構14(弾性部材34)にて、厚さの厚い基板2aと厚さの薄い基板2bとに対応して効率良く調整することができる。
【0049】
(インロードユニットの構成について)
インロードユニットBには、例えば、図1に示すように、基板の供給機構部Jと、樹脂材料の供給機構部Kとが設けられて構成されている。
また、基板の供給機構部Jには、例えば、図1に示すように、基板の装填部(ストッカ)81と、基板の装填部81からの基板2を所要の方向に整列してインロード機構D(上部インロード部23、下部インロード部24)に供給セットする基板の整列部82とが設けられて構成されている。
従って、基板の装填部81からの基板2を、基板の整列部82で所要の方向に整列すると共に、整列された基板2を、インロード機構Dにおける上部インロード部23と下部インロード部24とに各別に係着載置セットすることができるように構成されている。
また、樹脂材料の供給機構部Kには、例えば、図1に示すように、樹脂材料(例えば、顆粒樹脂)を装填する樹脂材料の装填部83と、樹脂材料の装填部からの樹脂材料(顆粒樹脂)をインロード機構D(上部インロード部23、下部インロード部24)に平坦化して配布する樹脂材料の配布部84とが設けられて構成されている。
従って、樹脂材料の装填部83からの顆粒樹脂を樹脂材料の配布部84にて(例えば、樹脂容器に)平坦化して供給配布すると共に、インロード機構Dにおける上部インロード部23と下部インロード部24とに各別に所要量の平坦化樹脂材料を係着載置セットすることができる。
【0050】
(アウトロードユニットの構成について)
アウトロードユニット(成形品の収容機構部)Cには、例えば、図1に示すように、アウトロード機構E(上部アウトロード部、下部アウトロード部)の成形品3を載置する成形品の載置部85と、成形品の載置部からの成形品3を収容する成形品の収容部86(ストッカ)とが設けられて構成されている。
従って、アウトロード機構E(上部アウトロード部、下部アウトロード部)から成形品の載置部85に載置された成形品3を成形品の収容部86に収容することができるように構成されている。
【0051】
(本発明における半導体チップの圧縮成形方法について)
即ち、図1に示すように、インロードユニットBでインロード機構Dに基板2と樹脂材料(例えば、顆粒樹脂)とを係着セットすると共に、インローダ機構DをインロードユニットB側からモールドユニットA側にインロード機構の移動領域F内を移動させる。
次に、図2に示すように、モールドユニットAの積層モールド機構部4における上方配置金型5の上下両型5a、5b間にインロード機構Dの上部インロード部23を進入させることにより、上型5aの基板セット部19に半導体チップを装着した基板2を供給し且つ下型キャビティ21内に所要量の平坦化顆粒樹脂を供給して加熱溶融化する。
また、上方配置の金型5と同様に、下方配置6の金型の上下両型6a、6b間にインロード機構Dの下部インロード部24を進入させることにより、上型6aの基板セット部19に半導体チップを装着した基板2を供給し且つ下型キャビティ21内に所要量の平坦化顆粒樹脂を供給して加熱溶融化する。
【0052】
次に、インロード機構Dを退出せると共に、型開閉手段12(型開閉機構13)及び加圧機構18にて、積層モールド機構部4における上下配置の金型5、6の夫々において、各金型5、6(上下両型5a、5b、6a、6b)の型面を各別に閉じ合わせる型締めを行う。
このとき、加圧機構18にて、所要の型締圧力にて、上下配置の金型5、6の夫々を各別に型締めすることができる。
また、このとき、型開閉手段12における厚さ調整機構14にて、上下配置の金型5、6の夫々に供給された各基板2(2a、2b)の厚さに対応させると共に、中間プレート10側を弾性上下動させた状態で(弾性緩衝した状態で)、上下配置金型5、6の夫々における型面間に各基板2(2a、2b)を挟持して効率良く型締めすることができる。
また、このとき、上下配置の金型5、6の夫々において、下型キャビティ21内の加熱溶融化した樹脂材料に基板2に装着した半導体チップを浸漬することができる。
また、このとき、上下配置の金型5、6の夫々において、下型キャビティ21内の樹脂をキャビティ底面部材(22)にて所要の樹脂圧にて加圧することができる。
硬化に必要な所要時間の経過後、上下配置の金型5、6の夫々を各別に型開きすることにより、上下配置の金型5、6の夫々において、下型キャビティ21の形状に対応した樹脂成形体35内に基板2に装着した半導体チップを各別に圧縮成形して成形品3を得ることができる。
【0053】
また、次に、上方配置の金型5における上下両型5a、5b間にアウトロード機構Eの上部アウトロード部を進入させることにより、下型5bの型面から成形品3を取り出すことになる。
また、上方配置の金型5と同様に、下方配置の金型6における上下両型6a、6b間にアウトロード機構Eの下部アウトロード部を進入させることにより、下型6bの型面から成形品3を取り出すことになる。
また、次に、アウトローダ機構Eを退出させて、アウトローダ機構の移動領域GをモールドユニットAからアウトロードユニットCに移動させると共に、アウトロードユニットCで成形品3を収容することができる。
【0054】
(本発明の作用効果について)
即ち、本発明によれば、2個の半導体チップの圧縮成形用金型5、6を上下方向に積層した積層モールド機構部4を備えた半導体チップの圧縮成形装置1を形成することができる。
従って、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形装置に比べて、本発明による半導体チップの圧縮成形装置全体の設置スペースを効率良く縮小することができる。
また、本発明による半導体チップの圧縮成形装置1において、2個の半導体チップの圧縮成形用金型5、6を積層する構成を採用したことにより、2個の半導体チップの圧縮成形用金型を平面的に配置した半導体チップの圧縮成形装置(金型)に比べて、半導体チップの圧縮成形装置1(金型5、6)における型締力を効率良く減少させることができる。
【0055】
本発明によれば、圧縮成形装置に2個の圧縮成形用金型5、6を上下方向に積層配置して構成した場合において、ラック・ピニオン機構を利用した型開閉手段12にて、2個の上下配置の圧縮成形用金型5、6を効率良く型締めすることができる。
また、上方配置の圧縮成形用金型5(中間プレート10)を距離Lにて上動させて型締めした場合、下方配置の圧縮成形用金型6(スライドプレート11)は距離2Lにて上動して型締めすることができる。
なお、下方配置の圧縮成形用金型6における中間プレート10を基準とした相対的な距離はLである。
また、本発明によれば、基板厚さの異なる基板2(2a、2b)を用いた場合に、半導体チップの圧縮成形装置1(金型5、6)を基板2の厚さに対応して効率良く調整して型締めすることができる。
【0056】
本発明は、前述した実施例のものに限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意且つ適宜に変更・選択して採用できるものである。
【0057】
また、前記した実施例において、圧縮成形用の下型キャビティ21に(吸着)被覆させる離型フィルムを用いても良い。
例えば、前記した実施例において、離型フィルムを被覆した下型キャビティ21内に平坦化した顆粒樹脂を供給して加熱溶融化し、基板に装着した半導体チップを圧縮成形することができる。
なお、下型キャビティ21内に離型フィルムを被覆させる場合、上下両型間に中間型を装設し、下型と中間型とで離型フィルムを挟持する構成を用いることができる。
【0058】
前記した実施例における型開閉手段12(型開閉機構13)として、ラック・ピニオン機構を採用したが、例えば、リンク機構、巻きかけ伝動機構、液圧伝動機構を採用することができる。
【0059】
また、前記した実施例では、インロードユニットB、モールドユニットA、アウトロードユニットCをこの順で一例に着脱自在に装設する構成を例示したが、3種のユニットA、B、Cを任意の順で一列に互いに着脱自在に装設して構成することができる。
【0060】
また、インロードユニットBにおいて、基板の供給機構部Jを基板の供給ユニットとし、樹脂材料の供給機構部Kを樹脂材料の供給ユニットとして夫々ユニット化することができる。
この場合、基板の供給ユニット(J)、樹脂材料の供給ユニット(K)、アウトロードユニットC、モールドユニットAを任意の順で一列に互いに着脱自在に装設して構成することができる。
【0061】
また、前記した実施例では、積層モールド機構部4にインロード機構D(搬送機構)で基板2と樹脂材料とを同時に搬送する構成を例示したが、前記した実施例において、積層モールド機構部4に基板2と樹脂材料とを各別に専用の搬送機構(ローダ)で搬送する構成を採用することができる。
また、前記した実施例において、成形前基板2の積層モールド機構部4への搬送と、積層モールド機構部4からの成形品3の取り出しとを、同一の搬送機構(ローダ)で行うことができる。
【0062】
また、前記した実施例において、インロードユニットとアウトロードユニットとの間に所要複数個のモールドユニットを一列に互いに着脱自在に装設して構成することができる。
また、所要複数個のモールドユニットAを一列に互いに着脱自在に装設した構成における一方の側に、インロードユニットBとアウトロードユニットCとを任意の順で一列に互いに着脱自在に装設して構成することができる。
従って、前述したように、所要複数個のモールドユニットAを一列に互いに着脱自在に装設した構成を採用することにより、モールドユニットAで圧縮成形される成形品(製品)の生産性を効率良く向上させることができる。
【0063】
また、前記した実施例において、顆粒状の樹脂材料に代えて、液状の樹脂材料、粉末状の樹脂材料を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本発明に係る半導体チップの圧縮成形装置を概略的に示す概略平面図である。
【図2】図2は、図1に示す圧縮成形装置におけるモールドユニットの要部となる積層モールド機構部を概略的に示す概略正面図であって、前記した積層モールド機構部に上下方向に配置した2個の半導体チップの圧縮成形用金型の型開状態を示している。
【図3】図3は、図2に対応する装置における積層モールド機構部(2個の半導体チップの圧縮成形用金型)を概略的に示す概略正面図であって、前記した金型の型締状態を示している。
【図4】図4は、図3に示す金型の要部を拡大して概略的に示す拡大概略正面図である。
【図5】図5は、図3に示す金型の要部を拡大して概略的に示す拡大概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 半導体チップの圧縮成形装置
1a 装置前面
1b 装置背面
2 基板(成形前基板)
2a 厚さの厚い基板
2b 厚さの薄い基板
3 成形品(成形済基板)
4 積層モールド機構部
5 上方配置の圧縮成形用金型
5a 上型
5b 下型
6 下方配置の圧縮成形用金型
6a 上型
6b 下型
7 上部固定盤
8 下部固定盤
9 ポスト
10 中間プレート
11 スライドプレート
12 型開閉手段
13 型開閉機構
14 厚さ調整機構
15 ラック(ポスト側)
16 ラック(スライドプレート側)
17 ピニオン
18 加圧機構
19 基板セット部
20 吸引孔
21 キャビティ
22 キャビティ底面部材
23 上部インロード部
24 下部インロード部
25 インロード連結部
26 ラック立設部材
27 回転軸
28 回転機構
29 軸受部
30 ピニオン垂下部材
31 軸受部の本体
32 摺動体
33 摺動孔
34 弾性部材
35 樹脂成形体
81 基板の装填部
82 基板の整列部
83 樹脂材料の装填部
84 樹脂材料の配布部
85 成形品の載置部
86 成形品の収容部
A モールドユニット
B インロードユニット
C アウトロードユニット
D インロード機構
E アウトロード機構
F インロード機構の移動領域
G アウトロード機構の移動領域
H ユニット連結具
J 基板の供給機構部
K 樹脂材料の供給機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の圧縮成形用金型を上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とを有する積層モールド機構部を備えた圧縮成形装置を用意する工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々にインサート部材を各別に供給する工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に所要量の樹脂材料を各別に供給する工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々を型締めする工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々において、前記したインサート部材を樹脂材料で圧縮成形して成形品を形成する工程とからなることを特徴とする圧縮成形方法。
【請求項2】
2個の圧縮成形用金型を上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とを有する積層モールド機構部を備えた圧縮成形装置を用意する工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に、上型と下型とを設ける工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における上型に設けたインサート部材セット部にインサート部材を各別に供給セットする工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における下型に設けた圧縮成形用キャビティ内に所要量の樹脂材料を各別に供給して加熱する工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における上型と下型とを型締めする工程と、
前記した2個の圧縮成形用金型の夫々における圧縮成形用キャビティ内の樹脂を加圧することにより、前記した圧縮成形用キャビティ内で前記したインサート部材を圧縮成形する工程と備えたことを特徴とする圧縮成形方法。
【請求項3】
積層配置した2個の圧縮成形用金型を各別に型締めするとき、上方配置の金型における下型を距離Lにて移動させ、且つ、下方配置の金型における下型を距離2Lで移動させる工程とからなることを特徴とする請求項1に、又は、請求項2に記載の圧縮成形方法。
【請求項4】
積層配置した2個の圧縮成形用金型の夫々を型締めするとき、前記した2個の金型の夫々に供給される基板の厚さを調整した状態で型締する工程を備えたことを特徴とする請求項1に、又は、請求項2記載の圧縮成形方法。
【請求項5】
積層配置した2個の圧縮成形用金型の夫々における圧縮成形用キャビティ内に離型フィルムを被覆する工程と、前記した離型フィルムを被覆したキャビティの夫々に樹脂材料を供給して加熱する工程と備えたことを特徴とする請求項2に記載の圧縮成形方法。
【請求項6】
インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置に積層モールド機構部を設けると共に、前記した積層モールド機構部を、インサート部材を圧縮成形する圧縮成形用金型を2個、上下方向に積層配置することにより、上方配置の圧縮成形用金型と下方配置の圧縮成形用金型とをから構成し、且つ、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に上型と下型とを設けると共に、前記した2個の金型の夫々における上型の型面と下型の型面とを開閉する型開閉手段を設けて構成したことを特徴とする圧縮成形装置。
【請求項7】
インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形用金型を2個、上下方向に積層配置して形成した上方配置の圧縮成形用金型及び下方配置の圧縮成形用金型と、前記した2個の圧縮成形用金型の夫々に設けた上型と下型と、前記した上方配置の上型を固設する上部固定盤と、前記した上部固定盤の下方位置に設けた下部固定盤と、前記した上部固定盤と下部固定盤とを連結する所要数本のポストと、前記した上方配置の上型と前記した下方配置の上型との間に当該両者を固定した状態で設けられ且つ前記したポストに上下摺動自在に設けた中間プレートと、前記した下方配置の下型を固設し且つ前記したポストに上下摺動自在に設けたスライドプレートと、前記した圧縮成形用金型における夫々に設けた上型の型面と下型の型面とを各別に閉じ合わせる型開閉手段と、前記したスライドプレートと下部固定盤との間に設けられ且つ前記した2個の圧縮成形用金型に前記したスライドプレートの下方側から所要の型締圧力を加える加圧機構と、前記した上型の型面の夫々に設けられ且つインサート部材を供給セットするインサート部材セット部と、前記した各下型の型面に各別に設けられた圧縮成形用キャビティと、前記した圧縮成形用キャビティ内に供給した樹脂材料を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする圧縮成形装置。
【請求項8】
型開閉手段の型開閉機構を、2個のラックと1個のピニオンとから形成されたラック・ピニオン機構にて構成したことを特徴とする請求項6に、又は、請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項9】
型開閉手段の型開閉機構を、ポストに固設した一方のラックと、スライドプレートに立設したラック立設部材に固設した他方のラックと、前記した2個のラックの間に回転自在にギヤ係合して設けたピニオンと、前記したピニオンに設けた回転軸と、前記した回転軸を回転する回転機構と、前記した回転軸を回転自在に受ける軸受部と、中間プレートに垂下した状態で設けられ且つ前記した軸受部を下端に設けたピニオン垂下部材とから構成したことを特徴とする請求項6に、又は、請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項10】
型開閉手段に、上方配置の圧縮成形用金型及び下方配置の圧縮成形用金型の夫々に供給された基板の厚さを各別に調整する厚さ調整機構を設けて構成したことを特徴とする請求項6に、又は、請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項11】
型開閉手段の厚さ調整機構に、他方のラックを固設したピニオン垂下部材に固設した軸受部の本体と、前記した軸受部本体に形成された摺動孔と、前記した摺動孔内を上下弾性摺動し且つピニオンの回転軸を回転自在に受ける軸受部の摺動体と、前記した摺動孔内で摺動体を上下弾性摺動する弾性部材とを設けて構成したことを特徴とする請求項6に、又は、請求項7に記載の圧縮成形装置。
【請求項12】
圧縮成形用キャビティ内を被覆する離型フィルムを設けたことを特徴とする請求項6に、又は、請求項7に記載の圧縮成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−94931(P2010−94931A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269336(P2008−269336)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】