説明

圧縮機の運転制御装置及びその方法

【課題】 圧縮機を安定に運転させることができ、圧縮機の運転モード変更時に不要な電流消耗及び過電流を防止し、圧縮機の運転モードを迅速に変更することができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供する。
【解決手段】 圧縮機の運転制御装置は、圧縮機の運転負荷によって圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器(図示せず)と、メインコイル19及びサブコイル20により構成されたモータ18に連結され、制御信号によって、メインコイル19を選択するか、またはメインコイル19及びサブコイル20を選択する第1のスイッチング部17と、第1のスイッチング部17に電気的に連結された第1のキャパシタ16及び第2のキャパシタ21と、第1のキャパシタ16に連結され、制御信号によって、選択的に第1のキャパシタ16を第2のキャパシタ21と並列に連結させる第2のスイッチング部22とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関し、特に、往復動式圧縮機の運転制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、往復動式圧縮機は、回転運動を直線運動に変換するクランクシャフトがないため摩擦損失が少なく、これにより、一般の圧縮機より圧縮効率が高い。
前記往復動式圧縮機を冷蔵庫やエアコンに使用する場合、前記往復動式圧縮機に印加されるストローク電圧を変化させて、前記往復動式圧縮機の圧縮比を変化させることにより、冷力を制御することができる。
以下、このような従来の往復動式圧縮機について、図3を参照して説明する。
【0003】
図3は、従来の往復動式圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、従来の往復動式圧縮機の運転制御装置は、前記往復動式圧縮機13のストロークが変化する際に、前記往復動式圧縮機13に印加される電圧を検出する電圧検出器14と、前記ストロークが変化する際、前記往復動式圧縮機13に印加される電流を検出する電流検出器12と、前記電圧検出器14により検出された電圧値、及び前記電流検出器12により検出された電流値に基づいてストロークを計算し、前記計算されたストロークとストローク指令値とを比較し、その比較結果によるスイッチング制御信号を発生するマイクロコンピュータ15と、前記マイクロコンピュータ15により発生したスイッチング制御信号によって、前記往復動式圧縮機13に供給される交流電源を内部のトライアックTr1にターンオン/ターンオフ制御することにより、ストローク電圧を前記往復動式圧縮機13に供給する電源供給部11とから構成される。
【0004】
ここで、前記往復動式圧縮機13は、使用者により予め設定されたストローク指令値により内部のモータ(図示せず)に提供されるストローク電圧の入力を受けてストロークを変化させ、内部のピストン(図示せず)を往復運動させる。
【0005】
以下、このように構成された従来の往復動式圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
まず、前記往復動式圧縮機13は、使用者により設定されたストローク指令値により前記内部のモータに電圧が供給されると、前記ストロークを変化させ、前記ピストンを往復運動させる。ここで、ストロークとは、前記往復動式圧縮機13のピストンが往復運動しながら動く距離をいう。
前記電源供給部11のトライアックTr1は、前記マイクロコンピュータ15から出力されるスイッチング制御信号によりターンオン周期が長くなり、ターンオン周期が長くなることによって交流電源が前記往復動式圧縮機13に供給されて、前記往復動式圧縮機31が駆動する。このとき、前記電圧検出器14及び前記電流検出器12は、前記往復動式圧縮機13に印加される電圧及び電流をそれぞれ検出し、前記検出された電圧値及び電流値を前記マイクロコンピュータ15にそれぞれ出力する。
【0006】
前記マイクロコンピュータ15は、前記電圧検出器14及び前記電流検出器12によりそれぞれ検出された電圧値及び電流値に基づいて前記往復動式圧縮機13のストロークを計算し、前記計算されたストローク値を前記ストローク指令値と比較し、その比較結果によるスイッチング制御信号を発生する。
【0007】
例えば、前記マイクロコンピュータ15は、前記計算されたストローク値が前記ストローク指令値より小さいと、前記トライアックTr1のターンオン周期を長くするスイッチング制御信号を前記電源供給部11に出力して、前記往復動式圧縮機13に印加されるストローク電圧を増加させ、前記計算されたストローク値が前記ストローク指令値より大きいと、前記トライアックTr1のターンオン周期を短くするスイッチング制御信号を前記電源供給部11に出力して、前記往復動式圧縮機13に印加されるストローク電圧を減少させる。
ここで、前記往復動式圧縮機13内部のモータに直列に連結された単一のキャパシタ16は、前記内部のモータに巻かれたコイルのインダクタンスを相殺させる。
【0008】
しかしながら、このような従来の往復動式圧縮機の運転制御装置においては、圧縮機のストロークを制御するために電圧をトライアックTr1を通して往復動式圧縮機13のモータに印加するときにノイズが発生した。そこで、ノイズを除去するために、図4に示すようなリレー17と、メインコイル19及びサブコイル20により構成されたモータ18が必要となった。
【0009】
前記リレー17は、圧縮機に入力される電圧の変動及び圧縮機の運転負荷の変動によって、メインコイル19のみを選択するか、またはメインコイル19及びサブコイル20を選択することにより、モータ18の容量を変化させる。
例えば、前記マイクロコンピュータ15は、圧縮機に入力される電圧が増加するか、または圧縮機の運転負荷が予め設定された基準負荷より大きいと(過負荷時)、前記リレー17を制御して前記メインコイル19のみを選択することにより、前記モータ18の逆起電力常数を小さくし、圧縮機に入力される電圧が減少する。また、圧縮機の運転負荷が予め設定された基準負荷より小さいと(低負荷時)、前記リレー17を制御して前記メインコイル19とサブコイル20を両方とも選択することにより、前記モータ18の逆起電力常数を増加させる。
【0010】
ここで、圧縮機に入力される電圧の変動及び圧縮機の運転負荷の変動によって、圧縮機の運転モードは、パワーモードまたは安全モードに変更される。パワーモードとは、メインコイル19を通してのみモータ18を運転するモードで、安全モードとは、メインコイル19及びサブコイル20を通してモータ18を運転するモードである。
前記往復動式圧縮機13のモータ18に巻かれるコイルの巻線数Nは、モータ18の逆起電力常数と比例関係があるので、一定の電圧が圧縮機に印加されるとき、圧縮機のストロークとコイルの巻線数Nとは反比例し、これは下記式(1)のように示される。
【0011】
【数1】

【0012】
よって、圧縮機に印加される電源の変動及び圧縮機の運転負荷の変動によってリレー17を制御してモータ18の容量を変化させることによりモータ18を制御する。
その他にも、従来の往復動式圧縮機については、2003年11月11日付けで特許登録された米国特許番号6,644,943に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来の往復動式圧縮機の運転制御装置においては、圧縮機の運転モードがパワーモードまたは安全モードのとき、モータに連結された1つのキャパシタを通してのみ前記圧縮機のモータに電源を印加するため、圧縮機が不安定に動作するという問題点があった。例えば、圧縮機の運転モードがパワーモードから安全モードに変更されるか、または安全モードからパワーモードに変更されることによって、即ち、モータの巻線数が変更されることによってモータコイルのインダクタンスが変化されるにもかかわらず、1つのキャパシタを通してのみ圧縮機を運転するため、圧縮機が不安定に動作するという問題点があった。
【0014】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、圧縮機の運転負荷によってモータコイルのインダクタンスの値が変化されたとき、圧縮機のモータに電気的に連結されたキャパシタのキャパシタンスを変化させることにより、圧縮機を安定に運転させることができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の他の目的は、圧縮機の運転モードが変更されるとき、不要な電流消耗を防止することにより消費電力を減少させることができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、圧縮機の運転モードを変更するとき、過電流を防止し、圧縮機の運転モードを迅速に変更することができる圧縮機の運転制御装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機の運転負荷によって前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器と、メインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタに連結され、前記制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部とから構成されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機の運転負荷によって前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器と、メインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタに連結され、前記制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部と、前記第1のスイッチング部と並列に連結される第3のスイッチング部と、前記第3のスイッチング部と直列に連結される正温度係数サーミスタ(PTCサーミスタ)とを含み、ここで、前記第3のスイッチング部は、前記制御信号によって前記PTCサーミスタを制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、ストロークが変化する前記往復動式圧縮機に印加される電圧を検出する電圧検出器と、前記ストロークが変化する前記往復動式圧縮機に印加される電流を検出する電流検出器と、前記電圧検出器により検出された電圧値、及び前記電流検出器により検出された電流値に基づいてストロークを計算し、前記計算されたストロークとストローク指令値とを比較し、その比較結果によるスイッチング制御信号を発生し、前記往復動式圧縮機の運転負荷によって前記往復動式圧縮機の運転モードを選択するためのモード制御信号を発生するマイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータにより発生したスイッチング制御信号によって、前記往復動式圧縮機に印加される交流電源を内部のトライアックにオン/オフ制御することにより、ストローク電圧を前記往復動式圧縮機に供給する電源供給部と、前記往復動式圧縮機内に設置されたメインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記モード制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、前記第1のキャパシタに連結され、前記モード制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部と、前記第1のスイッチング部と並列に連結される第3のスイッチング部と、前記第3のスイッチング部と直列に連結される正温度係数サーミスタとを含み、ここで、前記第3のスイッチング部は、前記制御信号によって前記正温度係数サーミスタを制御することを特徴とする。
【0019】
また、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機の運転モードを変更するための制御信号を出力する制御器と、前記圧縮機のモータに連結され、前記圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記モータに印加される過電流を遮断する正温度係数サーミスタと、前記正温度係数サーミスタに連結され、前記制御信号によって、前記正温度係数サーミスタに電流を印加するか、または前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断するスイッチング部とを含み、ここで、前記制御器は、前記圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記スイッチング部をターンオンさせた後、予め決定された時間が経過すると、前記スイッチング部をターンオフさせることを特徴とする。
【0020】
そして、本発明による圧縮機の運転制御方法は、圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記圧縮機のモータに電気的に連結された正温度係数サーミスタに電流を印加する段階と、予め決定された時間が経過するときに、前記正温度係数サーミスタに連結されたスイッチング部を通して、前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断する段階とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明による圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、圧縮機に設置されたモータコイルのインダクタンス値が変更されるとき、前記モータに連結されたキャパシタのキャパシタンス値を変化させることにより、圧縮機を安定に駆動させることができるという効果がある。
また、本発明による圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、圧縮機の運転モードが変更されるとき、不要な電流消耗を防止することにより、消費電力を減少させることができるという効果がある。
また、本発明による圧縮機の運転制御装置及びその方法においては、圧縮機の運転モードを変更するとき、過電流を防止し、圧縮機の運転モードを迅速に変更することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、圧縮機を安定に運転させることができ、圧縮機の運転モード変更時に不要な電流消耗を防止し、圧縮機の運転モードを迅速に変更することができる圧縮機の運転制御装置及びその方法の好ましい実施形態を図1及び図2を参照して説明する。本発明において、電圧検出器14、電流検出器12、マイクロコンピュータ15及び電源供給部11は従来技術と同様であるので、これらに関する説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明による圧縮機の運転制御装置を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明による圧縮機の運転制御装置は、圧縮機の運転負荷によって前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器(図示せず)と、メインコイル19及びサブコイル20により構成されたモータ18に電気的に連結され、前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号によって、前記メインコイル19を選択するか、または前記メインコイル19及び前記サブコイル20を選択する第1のリレー17と、前記第1のリレー17に並列に連結された第1のキャパシタ16及び第2のキャパシタ21と、前記第1のキャパシタ16に連結され、前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号に基づいて、前記第1のキャパシタ16に電源を印加するか、または前記第1のキャパシタ16に印加される電源を遮断する第2のリレー22とから構成される。
【0024】
前記制御器は、圧縮機に印加される電圧が変動するか、または圧縮機の運転負荷が変動することによって、圧縮機の運転モードをパワーモードまたは安全モードに変更する。例えば、前記制御器は、圧縮機に印加される電圧が増加するか、または圧縮機の運転負荷が予め設定された基準負荷より大きいとき、圧縮機の運転モードをパワーモードに変更するための制御信号を、前記第1のリレー17及び第2のリレー22に出力し、圧縮機に印加される電圧が減少するか、または圧縮機の運転負荷が予め設定された基準負荷より小さいとき、圧縮機の運転モードを安全モードに変更するための制御信号を、前記第1のリレー17及び第2のリレー21に出力する。ここで、パワーモードとは、メインコイル19を通してのみ圧縮機内に設置されたモータ18を運転するためのモードで、安全モードとは、メインコイル19及びサブコイル20を通して圧縮機内に設置されたモータ18を運転するためのモードである。
【0025】
前記メインコイル19の巻線数と前記サブコイル20の巻線数とは、互いに異なるように構成されることもでき、同様に構成されることもできる。また、前記第1のキャパシタ16及び第2のキャパシタ21のキャパシタンスは、前記モータコイル19、20のインダクタンス値に基づいて決定することが好ましい。
【0026】
一方、本発明による圧縮機の運転制御装置は、前記第1のリレー17に並列に連結され、前記制御器の制御信号によってターンオン/ターンオフされる第3のリレー23と、前記第3のリレー23と直列に連結され、前記圧縮機の初期起動時、または前記圧縮機の運転モード変更時に発生する過電流を遮断して、前記往復動式圧縮機の損傷を防止する正温度係数サーミスタ24とをさらに含んで構成される。
【0027】
前記第3のリレー23は、前記制御器の制御信号によって、前記正温度係数サーミスタ24に電流を印加するか、または前記正温度係数サーミスタ24に印加される電流を遮断する。このとき、前記制御器は、過電流を遮断すると共に前記圧縮機の運転モードを迅速に変更するために、前記圧縮機の運転モードが変更されるとき、前記第3のリレー23をターンオンさせた後、予め決定された時間(例えば、2秒)が経過すると、前記第3のリレー23をターンオフさせる。
【0028】
このように、前記正温度係数サーミスタ24を前記往復動式圧縮機の運転制御装置に追加することにより、往復動式圧縮機の初期駆動時、または往復動式圧縮機の運転モード変更時に発生する過電流を遮断することができる。また、前記第3のリレー23を前記正温度係数サーミスタ24に直列に連結させることにより、前記圧縮機の運転モードを迅速に変更することができる。例えば、前記正温度係数サーミスタ24の自体抵抗値が上昇すると、前記正温度係数サーミスタ24は、約1分の時間が経過しなければ自体的にターンオフされない。従って、前記正温度係数サーミスタ24が自体的にターンオフされる時間(1分)を待機せずに、前記第3のリレー23を通して前記正温度係数サーミスタ24を迅速にターンオフさせることにより、前記正温度係数サーミスタ24に1分間流れる不要な電流を遮断して電流消耗を防止することができ、圧縮機の運転モードを迅速に変更することができる。
【0029】
以下、このように構成された本発明による圧縮機の運転制御装置の動作を詳細に説明する。
まず、前記制御器は、圧縮機の運転負荷によって圧縮機を運転する。例えば、圧縮機がエアコンに設置された場合、使用者により予め設定された希望温度及び室内温度に基づいて圧縮機を運転する。このとき、前記予め設定された希望温度及び室内温度に基づいて、圧縮機の運転モードをパワーモードまたは安全モードに変更する。即ち、圧縮機に入力される電圧が増加するか、または圧縮機の運転負荷が予め設定された基準負荷より大きいとき、圧縮機の運転モードをパワーモードに変更する。
【0030】
前記制御器は、圧縮機の運転負荷により、圧縮機の運転モードをパワーモードに変更すべきとき、即ち、圧縮機の運転負荷が基準負荷より大きいと、前記圧縮機の運転モードをパワーモードに変更するための第1の制御信号を発生し、前記第1の制御信号を前記第1のリレー17及び前記第2のリレー22に出力する。本発明においては、前記リレーの代りに多様なスイッチング部を使用することもできる。
【0031】
以下、前記圧縮機の運転モードがパワーモードに変更されたとき、圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
まず、前記第1のリレー17は、前記制御器から出力される第1の制御信号により、前記メインコイル19のみを選択する。このとき、電源は前記メインコイル19を通してのみ流れ、前記メインコイル19のみに電源が流れるのでモータの逆起電力常数が減少する。
【0032】
前記第2のリレー22は、電源が前記第1のキャパシタ16及び前記第2のキャパシタ21を通して前記メインコイル19に印加されるように、前記制御器の第1の制御信号により、前記第1のキャパシタ16に電源を印加する。即ち、前記制御器は、前記メインコイル19のみが選択されたとき、キャパシタンスを増加させてLC共振運転を行うために、前記第1のキャパシタ16と前記第2のキャパシタ21とを並列に連結させる。
一方、前記制御器は、圧縮機の運転負荷により、圧縮機の運転モードを安全モードに変更すべきとき、即ち、圧縮機の運転負荷が基準負荷より小さいと、前記圧縮機の運転モードを安全モードに変更するための第2の制御信号を発生し、前記第2の制御信号を前記第1のリレー17及び前記第2のリレー22に出力する。
【0033】
以下、前記圧縮機の運転モードが安全モードに変更されたとき、圧縮機の運転制御装置の動作を説明する。
まず、前記第1のリレー17は、前記制御器から出力される第2の制御信号により、前記メインコイル19及びサブコイル20を選択する。このとき、電源は前記メインコイル19及びサブコイル20を通して流れ、前記メインコイル19及びサブコイル20に電源が流れるのでモータの逆起電力常数が増加する。
【0034】
前記第2のリレー22は、電源が前記第2のキャパシタ21を通してのみ前記メインコイル19及びサブコイル20に印加されるように、前記制御器の第2の制御信号により、前記第1のキャパシタ16を開放させて、前記第1のキャパシタ16に印加される電源を遮断する。即ち、前記制御器は、前記メインコイル19及びサブコイル20が選択されたとき、キャパシタンスを減少させてLC共振運転を行うために、前記第1のキャパシタ16に印加される電源を遮断する。
従って、本発明は、圧縮機の運転負荷によってモータコイルのインダクタンス値が変わるとき、モータに連結された共振用キャパシタのキャパシタンス値を変化させることにより、圧縮機を安定に駆動させることができる。
【0035】
以下、本発明による圧縮機の運転制御装置に追加して構成した正温度係数サーミスタ24及び第3のリレー23の動作について、図2を参照して説明する。
まず、前記制御器は、過電流を遮断するために、前記往復動式圧縮機の初期起動時、または前記往復動式圧縮機の運転モード変更時に、前記第3のリレー23をターンオンさせる(ステップS11、S12)。前記第3のリレー23がターンオンされると、前記正温度係数サーミスタ24に電流が流れるようになる(ステップS13)。即ち、前記制御器は、前記往復動式圧縮機の初期起動時、または前記往復動式圧縮機の運転モード変更時に、前記第3のリレー23をターンオンさせて過電流を遮断すると共に、電圧の変動及び負荷の変動によって、前記圧縮機の運転モードをパワーモードまたは安全モードに変更する。前記正温度係数サーミスタ24は、前記圧縮機の初期起動時、または前記圧縮機の運転モード変更時に、前記圧縮機のモータ18に印加される過電流を遮断することにより、前記圧縮機を過負荷から保護する。また、前記往復動式圧縮機内部のモータMに印加される電流により前記正温度係数サーミスタ24の抵抗値が上昇すると、前記正温度係数サーミスタ24はターンオフされ、このとき、前記電流は前記第1のキャパシタ16、または前記第1及び第2のキャパシタ16、21を通して前記モータ18に印加される。
【0036】
一方、前記圧縮機の運転モードをパワーモードまたは安全モードに変更しても前記正温度係数サーミスタ24がターンオフされないと、前記圧縮機はパワーモードまたは安全モードで動作しない。即ち、前記正温度係数サーミスタ24が自体的にターンオフされるまで、前記圧縮機はパワーモードまたは安全モードで動作しない。ここで、前記正温度係数サーミスタ24が自体的にターンオフされるまでの時間は約1分である。
【0037】
従って、前記制御器は、前記圧縮機の運転モードをパワーモードまたは安全モードに変更するとき、前記第3のリレー23をターンオンさせた後、予め決定された時間(例えば、2秒)が経過すると(ステップS14)、前記正温度係数サーミスタ24をターンオフさせる。即ち、前記正温度係数サーミスタ24が自体的にターンオフされるまで待機することなく、前記予め決定された時間が経過したとき、前記第3のリレー23を迅速にターンオフさせることにより、前記正温度係数サーミスタ24に1分間流れる不要な電流を遮断して消費電力を減少させ、迅速に圧縮機をパワーモードまたは安全モードで動作させる(ステップS15、S16)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による圧縮機の運転制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明による圧縮機の運転制御方法を示すフローチャートである。
【図3】従来の圧縮機の運転制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】従来のメインコイル及びサブコイルにより構成されたモータを有する圧縮機の運転制御装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
16 第1のキャパシタ
17 第1のリレー
18 モータ
21 第2のキャパシタ
22 第2のリレー
23 第3のリレー
24 正温度係数サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の運転負荷によって前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器と、
メインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタに連結され、前記制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項2】
圧縮機の運転負荷によって前記圧縮機の運転モードを選択するための制御信号を発生する制御器と、
メインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタに連結され、前記制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング部と並列に連結される第3のスイッチング部と、
前記第3のスイッチング部と直列に連結される正温度係数サーミスタとを含み、
ここで、前記第3のスイッチング部は、前記制御信号によって前記正温度係数サーミスタを制御することを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項3】
前記制御器は、予め決定された時間が経過するときに、前記第3のスイッチング部をターンオフさせることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項4】
前記制御器は、前記圧縮機の運転モード変更時、または前記圧縮機の初期駆動時に、前記第3のスイッチング部をターンオンさせ、予め決定された時間が経過するときに、前記第3のスイッチング部をターンオフさせることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項5】
前記制御器は、前記圧縮機の運転負荷が基準負荷より大きいと、前記メインコイルを選択するための第1の制御信号を発生することを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記圧縮機の運転負荷が前記基準負荷より小さいと、前記メインコイル及び前記サブコイルを選択するための第2の制御信号を発生することを特徴とする請求項5に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項7】
前記第2のスイッチング部は、前記第1のスイッチング部により前記メインコイルが選択されたとき、前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタに並列に連結させることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項8】
前記第2のスイッチング部は、前記第1のスイッチング部により前記メインコイル及び前記サブコイルが選択されたとき、前記第1のキャパシタに印加される電源を遮断することを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項9】
前記第1のキャパシタ及び前記第2のキャパシタは、前記第1のスイッチング部により前記メインコイルが選択されたとき、前記第2のスイッチング部により互いに並列に連結されることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項10】
前記第1のキャパシタ及び前記第2のキャパシタの何れか1つは、前記第1のスイッチング部により前記メインコイル及び前記サブコイルが選択されたとき、前記第2のスイッチング部により開放されることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の運転制御装置。
【請求項11】
ストロークが変化する往復動式圧縮機に印加される電圧を検出する電圧検出器と、
前記ストロークが変化する前記往復動式圧縮機に印加される電流を検出する電流検出器と、
前記電圧検出器により検出された電圧値、及び前記電流検出器により検出された電流値に基づいてストロークを計算し、前記計算されたストロークとストローク指令値とを比較し、その比較結果によるスイッチング制御信号を発生し、前記往復動式圧縮機の運転負荷によって前記往復動式圧縮機の運転モードを選択するためのモード制御信号を発生するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータにより発生したスイッチング制御信号によって、前記往復動式圧縮機に印加される交流電源を内部のトライアックにオン/オフ制御することにより、ストローク電圧を前記往復動式圧縮機に供給する電源供給部と、
前記往復動式圧縮機内に設置されたメインコイル及びサブコイルにより構成されたモータに連結され、前記モード制御信号によって、前記メインコイルを選択するか、または前記メインコイル及び前記サブコイルを選択する第1のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング部に電気的に連結された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、
前記第1のキャパシタに連結され、前記モード制御信号によって、選択的に前記第1のキャパシタを前記第2のキャパシタと並列に連結させる第2のスイッチング部と、
前記第1のスイッチング部と並列に連結される第3のスイッチング部と、
前記第3のスイッチング部と直列に連結される正温度係数サーミスタとを含み、
ここで、前記第3のスイッチング部は、前記制御信号によって前記正温度係数サーミスタを制御することを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項12】
圧縮機の運転モードを変更するための制御信号を出力する制御器と、
前記圧縮機のモータに連結され、前記圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記モータに印加される過電流を遮断する正温度係数サーミスタと、
前記正温度係数サーミスタに連結され、前記制御信号によって、前記正温度係数サーミスタに電流を印加するか、または前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断するスイッチング部とを含み、
ここで、前記制御器は、前記圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記スイッチング部をターンオンさせた後、予め決定された時間が経過すると、前記スイッチング部をターンオフさせることを特徴とする圧縮機の運転制御装置。
【請求項13】
圧縮機の運転モードが変更されたときに、前記圧縮機のモータに電気的に連結された正温度係数サーミスタに電流を印加する段階と、
予め決定された時間が経過するときに、前記正温度係数サーミスタに連結されたスイッチング部を通して、前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断する段階と、
を含むことを特徴とする圧縮機の運転制御方法。
【請求項14】
前記正温度係数サーミスタに電流を印加する段階は、前記圧縮機の運転モードが変更されたときに発生する過電流を遮断するために、前記正温度係数サーミスタに電流を印加することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御方法。
【請求項15】
前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断する段階は、前記圧縮機の運転モードを迅速に変更するために、前記予め決定された時間が経過するときに、前記正温度係数サーミスタに印加される電流を遮断することを特徴とする請求項13に記載の圧縮機の運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−189021(P2006−189021A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145267(P2005−145267)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(590001669)エルジー電子株式会社 (296)
【Fターム(参考)】