説明

圧縮符号化装置、および復号装置

【課題】ライン単位で画像処理を行う画像処理デバイスに非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両方のデコードを行わせることを可能にする。
【解決手段】RGB形式の画像データをYCbCr形式の画像データに変換し、そのCb成分の画像データおよびCr成分の画像データに対して一定の割合で画素を間引く縮小処理と当該縮小処理にて間引かれなかった画素で当該縮小処理にて間引かれた画素を補間する拡張処理、および何れかの成分の画像データの構成ビット数を削減する量子化処理からなる非可逆変換処理を施す。そして、Y成分、Cb成分およびCr成分の画像データの各々に対して、処理対象画素をラスタスキャン順に1画素ずつ選択し、予測符号化処理と可変長符号化処理とを組み合わせた可逆圧縮符号化処理を行って非可逆圧縮データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを圧縮符号化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機などに用いられる画像処理デバイスの一例としてラインバッファ方式の画像処理LSI(Large Scale Integration)が挙げられる。この種の画像処理LSIでは、ゲームキャラクタなどのスプライト画像を表す画像データが予め格納されたスプライトパターンメモリから、ゲームの進行に合わせて画像データを読み出し、拡大や縮小、回転などの編集を施してライン(水平走査線)単位でバッファ(以下、ラインバッファ)に書き込み、そのラインバッファの格納内容に応じた画像をLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置に順次表示させる、といった処理が行われる。
【0003】
この種の画像処理LSIの商品価値はスプライト描画性能(各ラインにて表示可能なスプライト画像の総ドット数)によって大きく左右される。各ラインにて表示可能なスプライト画像の総ドット数は、単位時間当たりに画像処理LSIで処理可能な画像データのデータ量に依存するので、画像処理LSIのスプライト描画性能はスプライトパターンメモリとの間のデータ転送量に一部依存することとなる。しかし、現状ではスプライトパターンメモリと画像処理LSIとの間のデータ転送量には限界があり、充分なスプライト描画性能を得られないことが多い。そこで、このようなデータ転送量の限界があることを前提として充分なスプライト描画性能を得られるようにするために、スプライトの画像データに圧縮符号化(例えば、フレーム単位での圧縮符号化)を施してスプライトパターンメモリに格納し、スプライト1つ当たりのデータ転送量を削減することが行われている。
【0004】
画像データの圧縮符号化技術は、可逆圧縮符号化技術と非可逆圧縮符号化技術とに大別される。可逆圧縮符号化技術の一例としては予測符号化とハフマン符号化などの可変長符号化とを併用したものが挙げられ、非可逆圧縮符号化技術の一例としては直交変換を利用したものが挙げられる。可逆圧縮符号化技術には、高い圧縮率は得られないものの、圧縮符号化前の画像データを完全に復元することができるといった特徴があり、逆に、非可逆圧縮符号化技術には、元の画像データを完全には復元できないものの、高い圧縮率が得られる、といった特徴がある。一般にゲーム機などに組み込まれる画像処理LSIにおいては、可逆圧縮符号化技術が採用されることが多い。これは、ゲームキャラクタはグラフィックデザイナ等によってデザインされたデザイン性の高いものが多く、元の画像データを完全に復元することが望まれる場合が多いからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−175066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、この種の画像処理デバイスは静止画の表示に用いられることが一般的であったが、近年では、静止画を利用した簡単な動画の表示にも利用したいといったニーズが高まっている。このように静止画を利用して動画を表現する場合、画像に動きがあるため、多少画質が劣化したとしても人の目では殆ど感知することができない。したがって、静止画を用いて表現される動画の場合、外部メモリ容量及びデータ転送量を削減するという観点からは非可逆圧縮符号化アルゴリズムを用いることが好ましい場合も多い。そこで、可逆圧縮符号化された画像データ(例えば、静止画の画像データ)と非可逆圧縮符号化された画像データ(例えば、動画を表現するための静止画の画像データ)の両方のデコードを行えるような画像処理デバイス(或いは、そのような画像処理デバイスにおける画像処理アルゴリズム)を創出することができれば、市場における商品価値も非常に高いものとなると考えられる。従来、フレーム単位で画像処理を行う画像処理アルゴリズムにおいては、可逆圧縮符号化および非可逆圧縮符号化の両者に対応するものもあったが、ライン単位で画像処理を行う画像処理アルゴリズムにおいては、このようなものはなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、ライン単位で画像処理を行う画像処理デバイスに非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両方のデコードを行わせることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、画像を構成する複数の画素の各々の第1色成分〜第3色成分を示す各画素データを取得し、各画素について前記各色成分の画素データの一次結合で表される3種類の新たな画素データを生成する座標変換手段と、前記座標変換手段により得られる3種類の画素データを受け取り、それら画素データのうちの少なくとも1種類に対して、一定の割合で画素データを間引く縮小処理、および当該縮小処理にて間引かれなかった画素データで当該縮小処理にて間引かれた画素データを補間する拡張処理を施して出力する非可逆変換手段と、前記非可逆変換手段より出力される前記3種類の画素データの各々について、ラスタスキャン順に1つずつ処理対象画素を選択し、当該処理対象画素についての画素データの予測値を当該処理対象画素の近傍に位置する周辺画素の画素データから算出し当該予測値と実際の画素データとの差分である予測誤差を算出する予測符号化処理と当該予測誤差を可変長符号化する可変長符号化処理とを施して圧縮符号化データに変換する可逆圧縮符号化手段とを具備することを特徴とする圧縮符号化装置を提供する。なお、本発明の別の態様においては、コンピュータを上記各手段として機能させることを特徴とする圧縮符号化プログラムを提供しても良い。
【0008】
このような圧縮符号化装置または圧縮符号化プログラムによって行われる演算のうち、予測符号化処理と可変長符号化処理とを組み合わせた可逆圧縮符号化処理では、前述したように圧縮符号化前の画像データを完全に復元することができる可逆圧縮符号化データが生成される。しかし、可逆圧縮符号化処理の前段で行われる画素の間引きおよび補間は非可逆演算であるため、本発明に係る圧縮符号化装置またはプログラムによる画像データの圧縮符号化全体としては非可逆圧縮符号化である。このような非可逆圧縮符号化により得られた圧縮符号化データの復号化については、以下の手順で行えば良い。すなわち、当該非可逆圧縮符号化データに対して可変長符号化処理の逆演算である可変長復号化処理、予測符号化処理の逆演算である逆予測符号化処理、座標変換処理の逆演算である逆座標変換処理を順次施して第1色成分から第3色成分の各画素データを復元すれば良い。
【0009】
ここで注目すべき点は、本発明に係る圧縮符号化装置または圧縮符号化プログラムによって行われる画像データの圧縮符号化処理を構成する演算のうちの可逆圧縮符号化処理は、従来のラインバッファ方式の画像処理デバイスにおける可逆圧縮符号化処理と共通するという点である。このため、本発明によれば、非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両者のデコードを以下の要領で1つの画像処理デバイスに行わせることが可能になる。まず、スプライトパターンメモリには、予測符号化処理と可変長符号化処理とを併用した可逆圧縮符号化処理により得られた可逆圧縮符号化データと本発明に係る圧縮符号化装置により得られる非可逆圧縮符号化データの各々を格納しておく。そして、これらの圧縮符号化データのデコードを行う画像処理デバイスには以下の処理を行わせるのである。すなわち、スプライトパターンメモリから読み出した圧縮符号化データが可逆圧縮符号化データである場合には、従来と同様に可変長復号化処理と逆予測符号化処理とを順次行ってそのデコードを行う。これに対して、非可逆圧縮符号化データである場合には、可変長復号化処理、逆予測符号化処理、および逆座標変換処理を順次行って第1色成分から第3色成分の各画像データを復元するのである。なお、特許文献1には、直交変換と量子化と符号化とを併用した非可逆圧縮符号化技術において、圧縮符号化対象の画像を表す原画像信号に直交変換、量子化、逆量子化および逆直交変換を施して得られる画像信号(以下、準原画像信号)と上記原画像信号との差が小さい場合に、原画像信号に代えて準原画像信号を非可逆圧縮符号化し、この非可逆圧縮符号化による画質の劣化を最小限に抑える技術が開示されている。しかし、この特許文献1に開示された技術は、非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両方のデコードを一つの装置で実現するものではない。
【0010】
より好ましい態様においては、前記非可逆変換手段は、水平走査線方向に並んだ複数の画素についての前記予測誤差が少なくとも1つおきにゼロ(0)となるように前記縮小処理および前記拡張処理を実行することを特徴とする。詳細については後述するが、このような態様によれば、予測符号化処理にて予測誤差が連続して0となる可能性が高くなる。可変長符号化処理にてゼロランレングス符号化を採用するような態様においては、0となる予測誤差の連続数が大きくなるほど画像データの圧縮率を更に高めることが可能になる。
【0011】
また、別の好ましい態様においては、前記非可逆変換手段は、前記縮小処理および前記拡張処理を施した画素データと前記縮小処理および前記拡張処理を施さなかった画素データの少なくとも1種類に対してビット数を削減する量子化処理を更に施すとともに、当該量子化処理を施した画素データの種類および削減したビット数を示す量子化モード信号を出力することを特徴とする。このような量子化処理を施すことによって、画像データの圧縮率を更に高めることが可能になる。なお、このような態様の圧縮符号化装置により圧縮符号化された圧縮符号化データを復号する復号装置の構成としては、以下のものが考えられる。すなわち、上記圧縮符号化データと前記量子化モード信号とを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された圧縮符号化データに前記可変長符号化処理の逆演算である可変長復号化処理と前記予測符号化処理の逆演算である逆予測符号化処理とを施し、圧縮符号化前の前記3種類の画素データを復号する可逆復号手段と、前記可逆復号手段により得られた前記3種類の画素データのうち前記量子化モード信号の示す種類のものに対して、当該量子化モード信号の示すビット数分だけビット数を補間する逆量子処理を施して出力する逆量子化手段と、前記逆量子化手段による処理を経た前記3種類の画素データに対して、前記座標変換手段における演算の逆演算を施して第1色成分〜第3色成分を示す各画素データを復元する逆座標変換手段とを有することを特徴とする復号装置、である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態である圧縮符号化装置100および復号装置200を含む画像データの圧縮符号化伝送システムの一例を示す図である。
【図2】同圧縮符号化装置100が実行する縮小処理131における画素の間引き、および拡張処理132における画素の補完について説明するための図である。
【図3】同圧縮符号化装置100が実行する予測符号化処理141の内容を示す図である。
【図4】同予測符号化処理141にて算出される予測誤差の一例を示す図である。
【図5】同圧縮符号化装置100が実行する予測誤差変換処理142の内容を示す図である。
【図6】予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)が6ビットである場合を例に予測誤差変換処理142の処理内容を詳細に示す図である。
【図7】同圧縮符号化装置100が実行する可変長符号化処理143にて使用される変換テーブルを示す図である。
【図8】本実施形態の効果を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態である画像処理LSI300の構成例を示す図である。
【図10】圧縮符号化情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である圧縮符号化装置100と復号装置200とを含み、画像データの非可逆圧縮符号化伝送を行うシステムの構成例を示す図である。圧縮符号化装置100は、入力された画像データに非可逆圧縮符号化を施して非可逆圧縮符号化データを生成する。ここで、画像データとは、画像を構成する複数の画素の各々の色を第1色成分から第3色成分(本実施形態では、R、GおよびBの3つの色成分)の強度で表す画素データの集合体であり、本実施形態では、各色成分の強度を0から255の値(すなわち、8ビットのデータ:したがって、1画素あたり3×8=24ビットのデータ)で表現するものが用いられる。図1に示すシステムにおいては、圧縮符号化装置100により生成される非可逆圧縮符号化データをCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などの記録媒体に書き込んで配布したり、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードで配布したりすることで画像データの非可逆圧縮符号化伝送が実現される。図1の復号装置200は、上記のようにして伝送される非可逆圧縮符号化データに復号化を施し、画像データを復元する装置である。
【0014】
まず、圧縮符号化装置100について説明する。
図1の圧縮符号化装置100は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などのコンピュータである。この圧縮符号化装置100には、本実施形態の非可逆圧縮符号化処理をコンピュータに実行させるプログラム(以下、非可逆圧縮符号化プログラム)が予めインストールされている。圧縮符号化装置100は、この非可逆圧縮符号化プログラムにしたがって、本実施形態の特徴を顕著に示す非可逆圧縮符号化処理を実行する。図1に示すように、この非可逆圧縮符号化処理は、色成分分離処理110、座標変換処理120、非可逆変換処理130、および、可逆圧縮符号化処理140を含んでいる。なお、本実施形態では、これら各処理をソフトウェアで実現するが、色成分分離処理110を実行する色成分分離手段、座標変換処理120を実行する座標変換手段、非可逆変換処理130を実行する非可逆変換手段、および可逆圧縮符号化処理140を実行する可逆圧縮符号化手段の各々を電子回路で構成し、これら各手段を組み合わせて圧縮符号化装置100を構成しても勿論良い。
【0015】
色成分分離処理110は、圧縮符号化装置100による圧縮符号化の対象となる画像データ(以下、原画像データ)をR、GおよびBの各色成分の画像データに分離する処理である。R成分の画像データとは、原画像データの表す画像(以下、原画像)を構成する各画素のR成分の強度を表す8ビットの画素データの集合体であり、G成分の画像データは、原画像を構成する各画素のG成分の強度を表す8ビットの画素データの集合体、B成分の画像データは、原画像を構成する各画素のB成分の強度を表す8ビットの画素データの集合体である。
【0016】
本実施形態の座標変換処理120は、RGB表色系の画像データからYCbCr表色系の画像データへの変換(すなわち、色空間の変換)処理である。この座標変換処理120では、R成分、G成分およびB成分の各画像データから、以下の式(1)にしたがってY成分、Cb成分およびCr成分の画像データが生成される。なお、以下の式(1)において、R,GおよびBの各々は、R成分、G成分およびB成分の各画素データであり、Y,CbおよびCrの各々は、Y成分、Cb成分およびCr成分の各画素データである。このような変換を行う理由については後に明らかにする。
Y = 0.257×R+0.504×G+0.098×B+16
Cb=−0.148×R−0.291×G+0.439×B+128
Cr= 0.439×R−0.368×G−0.071×B+128
・・・(1)
【0017】
非可逆変換処理130は、可逆圧縮符号化処理140における圧縮率を高めるためにその前段で行われる処理である。図1に示すように、非可逆変換処理130は、縮小処理131、拡張処理132、および量子化処理133を含んでいる。
図1に示すように、縮小処理131および拡張処理132においては、座標変換処理120により生成される3種類の新たな画像データのうちCb成分およびCr成分の画像データのみが処理対象となる。縮小処理131は、図2(A)に示すように、Cb成分およびCr成分の画像データを2×2画素のマトリクス状に区分けし、各マトリクスにて左上隅の画素に対応する画素データを除く3つの画素データを削除する処理(すなわち、4画素当たり3画素の割合で画素を間引く処理)である。一方、拡張処理132は、図2(B)に示すように、縮小処理131にて間引かれなかった画素データ(上記2×2画素のマトリクスにて左上隅に位置する画素の画素データ)を用いて上記間引いた画素データを補間する処理である。ここで注目すべき点は、画像データの圧縮率を向上させるという観点から言えば、図2(A)に示すYCbCr411形式の画像データを圧縮符号化する場合のほうが、図2(B)に示すYCbCr444形式の画像データを圧縮符号化する場合に比較して圧縮率が高くなるにも関わらず拡張処理132を行ってYCbCr411形式の画像データをYCbCr444形式の画像データに変換している点である。このような変換を行う理由については、復号装置200における処理の説明にて明らかにする。なお、非可逆変換処理130においてY成分の画像データに対して縮小処理131および拡張処理132を施さないのは、Y成分の画像データは各画素の輝度を表すものであり、画素データの間引きを行ってしまうと画質の劣化が顕著に現れるからである。また、本実施形態にてRGB表色系の画像データを座標変換処理120によりYCbCr表色系の画像データに変換した後に非可逆変換処理130を施すようにしたのも、上記縮小処理131、拡張処理132および量子化処理133による画質の劣化を回避するためである。
【0018】
量子化処理133は、Y成分、Cb成分およびCr成分の画像データの何れか、或いは全てを処理対象とし、処理対象の画像データを構成する各画素データのビット数を削減する処理である。表1は量子化処理133にて参照される量子化モードテーブルの一例を示すものである。この量子化モードテーブルについては、非可逆圧縮符号化プログラムに予め埋め込んでおいても良く、また、非可逆圧縮符号化プログラムとは別個に圧縮符号化装置100に記憶させておいても良い。表1に示すように量子化モードテーブルには、量子化モードを示すモード値(本実施形態では、0〜6までの6種類の値、なお、モード値=0は量子化処理133を施さないことを示す)に対応付けてそのモード値の示す量子化モードにおける各成分の削減ビット数を規定する量子化係数(表1では、Y成分量子化係数、Cb成分量子化係数およびCr成分量子化係数)が格納されている。量子化処理133では、予め設定されたモード値(或いは、外部から与えられる量子化モード信号の示すモード値)に対応する量子化係数が量子化モードテーブルから読み出され、その量子化係数に応じたビット数分の右論理シフトを該当する成分の画素データに施すことで、そのモード値に応じた量子化が実現される。
【表1】

【0019】
例えば、モード値=1が予め設定されている場合には、Y成分の画像データに対してのみ、画素データのビット数を1ビット削減する処理(1ビットの右論理シフト)が施され、モード値=2が予め設定されている場合には、Y成分、Cb成分およびCr成分の各画像データに対して画素データのビット数を1ビット削減する処理が施される。図1に示すように、本実施形態では、非可逆変換処理130を経た画像データに対して可逆圧縮符号化処理140が施され、その処理結果である非可逆圧縮符号化データが復号装置200による復号化の対象となる。後述するように可逆圧縮符号化処理140は予測符号化と可変長符号化とを併用した典型的な可逆演算であるが、その前段で各々非可逆演算からなる非可逆変換処理130が施されるため、圧縮符号化装置100における圧縮符号化演算は全体として非可逆演算となるのである。また、本実施形態では、図1に示すように、量子化処理133における量子化モードのモード値を示す量子化モード信号が圧縮符号化装置100から復号装置200に与えられる。この量子化モード信号は、復号装置200にて上記量子化処理の逆演算である逆量子化処理を行う際に利用される。
【0020】
可逆圧縮符号化処理140は、図1に示すように、予測符号化処理141、予測誤差変換処理142、および、可変長符号化処理143を含んでいる。予測符号化処理141では、図3に示すように、圧縮符号化対象の画像を構成する各画素の中から対象画素Xがラスタスキャン順に選択される。そして、対象画素Xの近傍の画素の画素データから対象画素についての画素データの予測値Mxが算出され、この予測値Mxと対象画素の画素データの実際値との差分である予測誤差X−Mxが算出される。
【0021】
具体的には、予測符号化処理141では、次のアルゴリズムに従って、予測値Mxが算出される。まず、対象画素Xの左隣の画素Xaの画素データがXa、対象画素の直上の画素Xbの画素データがXb、対象画素の左上の画素Xcの画素データがXcである場合において、これらの3つの画素データの最大値max(Xa、Xb、Xc)を求め、Xc=max(Xa、Xb、Xc)であるか否かを判断する。この判断結果が肯定的である場合において、Xb<Xaであれば、予測値MxをXbとし、Xa<Xbであれば予測値MxをXaとする。一方、Xc=max(Xa、Xb、Xc)でない場合、3つの画素データの最小値min(Xa、Xb、Xc)を求め、Xc=min(Xa、Xb、Xc)であるか否かを判断する。この判断結果が肯定的である場合において、Xb>Xaであれば、予測値MxをXbとし、Xa>Xbであれば予測値MxをXaとする。そして、Xc=max(Xa、Xb、Xc)でもなく、Xc=min(Xa、Xb、Xc)でもない場合、すなわち、Xc>min(Xa、Xb、Xc)であり、かつ、Xc<max(Xa、Xb、Xc)である場合、Mx=Xa+Xb−Xcを予測値Mxとする。そして、このようにして得られる予測値Mxと対象画素Xの画素データの実際値との差分である予測誤差X−Mxを算出するのである。
【0022】
さて、予測符号化処理141においては、上記の要領で予測誤差の算出が行われるのであるが、本実施形態では、前述した非可逆変換処理130により、Cb成分の画像データとCr成分の画像データは、図4に示すように、同一の値を有する4個の画素データがマトリクス状に並ぶように変換されている。このため、上記マトリクス状に並んだ4つの画素のうち右下隅に位置するものの予測誤差は必ずゼロとなる。詳細については後述するが、予測誤差がゼロとなる画素が多いほど、圧縮符号化データのデータサイズは小さくなる(換言すれば、圧縮率は高くなる)。
【0023】
予測誤差変換処理142は、予測符号化処理141により算出される予測誤差の符号ビットを反転すると当該予測誤差の絶対値が減少する場合に当該予測誤差の符号ビットを反転させる処理である。この予測誤差変換処理142が行う変換処理の内容は、予測誤差の構成ビット数、すなわち、圧縮符号化の対象となる画像データを構成する各画素データの構成ビット数により異なったものとなる。図5は、予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)が8ビット、6ビット、5ビット、4ビットの各場合について、入力データである予測誤差と予測誤差変換処理142を経た出力データとの関係を示したものである。なお、図5では、符号を反転した場合に絶対値が小さくなる入力データのみについて入力データと出力データとの関係が示されており、符号を反転した場合に絶対値が小さくならない入力データ(すなわち、符号反転されることなくそのまま出力データとなる入力データ)については、入力データと出力データとの関係の図示は省略されている。
【0024】
図6は、予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)が6ビットである場合について、予測誤差変換処理142の入力データと出力データとの関係を示している。この図において、矢印は変換の方向を示している。本実施形態において取り扱う各成分の画素データおよび予測誤差等の2進の数値データは、2の補数形式で負の数の表現を行う。この場合において、予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)が6ビットであるとすると、正の値では絶対値が32以上の予測誤差は符号ビットを反転したときの絶対値が元の絶対値以下になる。そこで、絶対値が26−1=32以上の正の予測誤差は符号ビットの反転を行う。また、負の値でも絶対値が32以上の予測誤差(すなわち、−32以下の負の値)は符号ビットを反転したときの絶対値が元の絶対値以下となる。そこで、絶対値が32以上の負の予測誤差は符号ビットの反転を行う。予測誤差の構成ビット数が異なる他の場合についても同様であり、図5に示すように、予測誤差の構成ビット数が8ビットである場合には絶対値が28−1=128以上である予測誤差が符号反転の対象となり、予測誤差の構成ビット数が5ビットである場合には絶対値が25−1=16以上である予測誤差が符号反転の対象となり、予測誤差の構成ビット数が4ビットである場合には絶対値が24−1=8以上である予測誤差が符号反転の対象となる。
【0025】
可変長符号化処理143は、予測誤差変換処理142を経た予測誤差を可変長符号に変換する処理である。上述したように、予測符号化処理141では、圧縮符号化の対象となる画像を構成する各画素の中からラスタスキャン順に対象画素Xが選択され、予測誤差が算出される。本実施形態では、予測符号化処理141によりラスタスキャン順に算出される予測誤差に対してそのままの順序で予測誤差変換処理142および可変長符号化処理143が施され、可変長符号に変換される。このようにして得られる可変長符号の集合体が、圧縮符号化装置100の出力データたる非可逆圧縮符号化データとなるのである。
【0026】
図7は、可変長符号化処理143において、予測誤差を可変長符号に変換する際に参照される変換テーブルの内容を示す図である。この変換テーブルについても、前述した量子化モードテーブルと同様に非可逆圧縮符号化プログラムに埋め込んでおいても良く、また、非可逆圧縮符号化プログラムとは別個に圧縮符号化装置100に記憶させておいても良い。図7において、符号化対象は、予測誤差変換処理142を経た予測誤差である。Sは符号長が同じである可変長符号に割り当てられた可変長符号のグループ番号である。1つの可変長符号は、符号と付加ビットとにより構成されている。ここで、符号は、その可変長符号が属するグループを他のグループと区別するための識別情報である。また、付加ビットは、ある符号を持った可変長符号のグループ内において、各可変長符号を他の可変長符号と区別するための識別情報である。
【0027】
図7に示すように、0以外の絶対値を持った符号化対象は、絶対値が小さいもの程、少ないビット長の符号および付加ビットからなる可変長符号に変換される。例えば絶対値が1である2種類の符号化対象−1、1は、符号01が割り当てられたグループ番号S=1の可変長符号に変換され、2種類の符号化対象−1、1の各々付加ビット0、1により区別される。また、絶対値が2〜3の範囲に属する4種類の符号化対象−3、−2、2、3は、符号10が割り当てられたグループ番号S=2の可変長符号に変換され、4種類の符号化対象−3、−2、2、3は各々付加ビット00、01、10、11により区別される。以下、同様であり、符号化対象は、各々連続した絶対値を持ったグループに分けられ、大きな絶対値を持った符号化対象のグループ程、ビット長の大きな符号が割り当てられる。また、絶対値が256である符号化対象のグループを除き、大きな絶対値を持った符号化対象のグループ程、グループを構成する符号化対象の個数は大きくなり、それらを区別するための付加ビットのビット長も長くなる。なお、本実施形態で取り扱う予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)は最大8ビットであり、−256および256は、いずれもオーバーフロー状態を表わす。従って、−256および256は、符号が111111110であり、付加ビットのない同じ可変長符号に変換される。
【0028】
絶対値が0である符号化対象は、ZRL(Zero Run Length)、すなわち、0の連続長が可変長符号に変換される。例えばZRL=1は、符号000が割り当てられたグループ番号S=9の可変長符号に変換される。また、2〜3の範囲に属する2種類のZRL=2、3は、符号0010が割り当てられたグループ番号S=10の可変長符号に変換され、2種類のZRL=2、3は各々付加ビット0、1により区別される。また、4〜7の範囲に属する4種類のZRL=4、5、6、7は、符号00110が割り当てられたグループ番号S=11の可変長符号に変換され、4種類のZRL=4、5、6、7は各々付加ビット00、01、10、11により区別される。以下、同様であり、ZRLは、各々連続したZRLからなるグループに分けられ、大きなZRLのグループ程、ビット長の大きな符号が割り当てられる。また、大きなZRLのグループ程、グループを構成するZRLの個数は大きくなり、それらを区別するための付加ビットのビット長も長くなる。さらに本実施形態では、圧縮率を高めるために、ALL0という予測誤差の発生形態が想定されている。このALL0は、着目している画素の予測誤差が0であり、かつ、その画素が属するラインのその画素以降の全ての画素の予測誤差が0である状態である。本実施形態においてこのALL0は、符号が001110であり、付加ビットのない可変長符号に変換される。前述したように、本実施形態では、Cb成分画像データおよびCr成分画像データについては縮小処理131および拡張処理132を施すことによって、水平走査線方向に並んだ複数の画素の予測誤差は、必ず1つおきに0になり、0の連続長が長くなり易くなっている。このため、本実施形態では、ZRLを利用して効率的に可変長符号化を行い、圧縮率を高めることができると期待されるのである。
以上が本実施形態による圧縮符号化装置100の詳細である。
【0029】
図8は、幾つかのサンプル動画像を用いて行った圧縮符号化装置100についての圧縮性能評価の評価結果を示す図である。図8(A)から図8(C)では、24ビットフルカラーのサンプル動画像(各画素の色をR、GおよびBの各成分の強度で表し、各成分の強度を各々8ビット、合計24ビットで表した動画)を可逆圧縮(図8では、「24LS」と表記)した場合、モード値=0〜6の各量子化モードで本実施形態の非可逆圧縮符号化を行った場合、および24ビットフルカラーの動画像を8ビットに減色して可逆圧縮符号化を施した場合の各々における動画の進行に伴う圧縮率の推移が表されている。図8(A)は、サンプル動画像が人物と器物を含む動画像(本性能評価では、走行中のバイクについての動画)である場合の圧縮率の推移を、図8(B)はサンプル動画像が所謂アニメメーション的な絵柄の動画像である場合の圧縮率の推移を、図8(C)はサンプル動画像が風景画のような動画像(本性能評価では、さんご礁を泳ぎ回る魚の動画)である場合の圧縮率の推移を表すグラフである。なお、図8(A)、図8(B)および図8(C)の各グラフにおいて縦軸は圧縮率であり、横軸は動画を構成するフレームのフレーム番号である。
【0030】
図8(A)、図8(B)および図8(C)の各々を参照すれば明らかなように、何れの場合においても、24ビットフルカラーの動画像を各画素の色を8ビットで表す動画に減色して可逆圧縮符号化を施した場合(図8では、「24→8LS」と表記)と、モード値=2の量子化(表1を参照すれば明らかように、Y成分およびCb成分の各画素データを1ビット削減する量子化)を施した場合とでは、サンプル動画を構成する全てのフレームに亘って略等しい圧縮率が得られていることが判る。ここで、24ビットフルカラーの動画像を8ビットに減色して可逆圧縮符号化を施した場合を評価基準としたのは、液晶ディスプレイなどの一般的な表示装置で表示可能な階調数は、8ビット256階調であることが多く、上記のような減色が行われる頻度は非常に高いと考えられるからである。また、本実施形態の非可逆圧縮符号化方式を画質面から評価すると、上記各サンプル動画像に対してモード値=2の量子化を施した場合には、原画像に対して殆ど画質の劣化が感知されないことが判明した。つまり、本実施形態の圧縮符号化装置100によれば、画質の劣化を最小限に抑えつつ、24ビット→8ビット減色+可逆圧縮符号化を行った場合と同等の圧縮率を実現することができるのである。もっとも、24ビット→8ビット減色+可逆圧縮符号化の場合は、カラーパレットデータが必要になるため、このカラーパレットデータも含めて圧縮符号化後の画像データのデータサイズを計算すると、モード値=2の本実施形態の非可逆圧縮符号化のほうが高い圧縮率を得られると言える。
【0031】
次に復号装置200について説明する。
復号装置200も、圧縮符号化装置100と同様のDSPなどのコンピュータに本実施形態の復号処理を実現するプログラム(以下、復号プログラム)をインストールしたものである。復号装置200は、この復号プログラムにしたがって、可逆復号処理210、逆量子化処理220、逆座標変換処理230、および色成分結合処理240を実行する。なお、本実施形態では、これら各処理をソフトウェアで実現するが、可逆復号処理210を実行する可逆復号手段、逆量子化処理220を実行する逆量子化手段、逆座標変換処理230を実行する逆座標変換手段、および、色成分結合処理240を実行する色成分結合手段の各々を電子回路で構成し、これら各手段を組み合わせて復号装置200を構成しても勿論良い。
【0032】
図1に示すように、可逆復号処理210は、可変長復号化処理211と逆予測符号化処理212とを含んでいる。可変長復号化処理211は、前述した可変長符号化処理143の逆演算であり、可変長符号化処理143にて用いているものと同じ変換テーブルを使用し、符号と付加ビットとからなる可変長符号を可変長符号化前の予測誤差に戻す処理である。一方、逆予測符号化処理212は、予測符号化処理141の逆演算に相当する処理である。この逆予測符号化処理212では、可変長復号化処理211により得られる予測誤差から、その予測誤差に応じた成分の画像データ(すなわち、Y成分、Cb成分およびCr成分の各画像データ)への変換が行われる。さらに詳述すると、Y成分、Cb成分およびCr成分のうちのある成分に関し、図3に示す3個の画素Xc、Xb、Xaの画素データが既に復号化されている状態において、画素Xの予測誤差が可変長復号化処理211により得られた場合、この逆予測符号化処理212では、予測符号化処理141と同様なアルゴリズムに従い、画素Xc、Xb、Xaの各画素データから画素Xの画素データの予測値MXが算出される。そして、この予測値MXに画素Xの予測誤差を加算することにより画素Xの画素データが算出されるのである。圧縮符号化装置100から出力される非可逆圧縮符号化データに対して可逆復号処理210を施すことにより、圧縮符号化装置100にて可逆圧縮符号化処理140が施される前の画像データ(すなわち、量子化処理133を経たYCbCr表色系の画像データ)が完全に復元されるのである。
【0033】
本実施形態では、前掲式(1)にしたがって生成されるY成分、Cb成分およびCr成分の各画素データは正の値を有し、これら各画素データに量子化処理133を施して得られるデータも0以上の値を有する。そこで、逆予測符号化処理212では、予測符号化前の各成分の画素データが正の値であることを前提とし、予測値MXと予測誤差の加算結果において符号ビットを除く部分を復号結果たる各成分の画素データとする。従って、本実施形態では、予測誤差における符号ビットを除く部分の内容が同じであれば、予測誤差が符号ビット“0”を有する正の値であるか符号ビット“1”を有する負の値であるかによらず、その予測誤差から同じ画素データが復元される。圧縮符号化装置100にて予測誤差変換処理142を行うのは、予測誤差の符号ビットの“1”/“0”が復号結果に影響を与えないという点を利用し、可変長符号化処理143における符号化対象(予測誤差)をより絶対値の小さな値とし、変換後の可変長符号のビット長を短くする(すなわち、圧縮符号化データのデータ量を削減し、圧縮率を高める)ためである。この点に関し、一例を挙げて説明すると、次のようになる。
【0034】
まず、Y成分、Cb成分およびCr成分の各画像データおよび予測誤差の構成ビット数(符号ビットを除く)が6ビットであり、図7における対象画素Xの画素データが59d(dは10進)、予測値が10d、予測誤差が49d=0110001b(bは2進。先頭の“0”は符号ビット)であったとする。ここで、仮に予測誤差変換処理142を行わなかったとすると、圧縮符号化装置100および復号装置200の処理内容は次のようになる。まず、圧縮符号化装置100が実行する可変長符号化処理143では、図7に示す変換テーブルに従い、予測誤差49dはグループ番号S=6のグループに属する符号111110および付加ビット110001からなる12ビットの可変長符号に変換されて出力される。復号装置200が実行する可変長復号化処理211においては、この可変長符号が予測誤差49dに変換される。そして、逆予測符号化処理212では、次式に示すように、予測値である10d=0001010bと予測誤差である49d=0110001bの2進加算が行われ、対象画素Xの画素データ59dが復元される。
0001010b+0110001b=0111011b
=59d
……(2)
【0035】
これに対し、予測誤差変換処理142を含む圧縮符号化を行う場合の圧縮符号化装置100と復号装置200の処理内容は次のようになる。まず、図6に示すように、予測誤差である49dは、2進数に変換すると、0110001b(bは2進。先頭の“0”は符号ビット)となる。この2進数の先頭の符号ビットを“0”から“1”に反転すると、図7に示すように、符号ビットの反転後の2進数1110001bに対応した10進数は−15dとなり、符号ビットの反転前の49dよりも絶対値の小さな値となる。そこで、圧縮符号化装置100が実行する予測誤差変換処理142の出力データは、符号ビットを反転した予測誤差1110001b=−15dとなる。この予測誤差変換処理142に後続する可変長符号化処理143は、図7の変換テーブルに従い、この予測誤差1110001b=−15dは、グループ番号S=4のグループに属する符号1110および付加ビット0000からなる8ビットの可変長符号に変換され、出力される。復号装置200が実行する可変長復号化処理211では、この可変長符号が予測誤差1110001b=−15dに変換される。そして、この可変長復号化処理211に後続する逆予測符号化処理212では、次式に示すように、予測値である10d=0001010bと予測誤差である−15d=1110001bの2進加算が行われる。
0001010b+1110001b=1111011b ……(3)
【0036】
そして、逆予測符号化処理212では、この加算結果1111011bの先頭の符号ビット“1”が無視され、対象画素Xの画素データを、111011b=59dとする。このように、復号結果である画素データは予測値と予測誤差の構成ビットのうち符号ビットを除く部分のみにより決定される。そこで、本実施形態における圧縮符号化装置100では、予測誤差の符号ビットを反転させた場合において予測誤差の絶対値が小さくなる場合には、予測誤差変換処理142にて予測誤差の符号反転を行った後に可変長符号化処理143を施し、圧縮符号化データを構成する可変長符号のビット長を短縮しているのである。
以上が可逆復号処理210の処理内容である。
ここで、注目すべき点は、可逆復号処理210は、予測符号化と可変長符号化とを併用した圧縮符号化アルゴリズムにより可逆圧縮符号化された画像データを復号する処理と何ら変わらないという点である。このため、可逆復号処理210を実行するデコード回路(図1では図示略)としては、予測符号化と可変長符号化とを併用した圧縮符号化アルゴリズムにより可逆圧縮符号化された画像データのデコードを行う従来のものをそのまま用いることができる。したがって、本実施形態の復号装置200によれば、圧縮符号化装置100により得られた非可逆圧縮符号化データのデコードと上記可逆圧縮符号化データのデコードの両方を行うことができるのである。仮に圧縮符号化装置100側で拡張処理132が行われていないとしたならば、この拡張処理132に相当する処理を復号装置200側で行う必要があり、従来のデコード回路をそのまま用いることはできず、何らかの変更を加えなければならない。また、ラインバッファ方式の画像処理LSIに組み込まれる場合のように、ライン単位でデコードを行う必要がある場合には、ラインをまたぐ拡張処理は複雑なものとなるため、デコード回路に加える変更も複雑なものとなってしまう。本実施形態では、圧縮符号化装置100側で拡張処理132を行うようにしたため、予測符号化と可変長符号化とを併用した圧縮符号化アルゴリズムにより可逆圧縮符号化された画像データのデコードを行うデコード回路をそのまま用いて復号装置200を構成することができ、これが圧縮符号化装置100にて拡張処理132を行う理由である。
【0037】
逆量子化処理220は、前述した量子化処理133の逆演算であり、量子化処理133にて構成ビットの削減が行われた画素データについてその構成ビットを補間する処理である。前述したように、圧縮符号化装置100で行われる量子化処理133にて構成ビットの削除が行われる画素データおよび削除されるビット数は、圧縮符号化装置100から復号装置200へ送られる量子化モード信号の信号値で表される。この逆量子化処理220では、上記量子化モード信号の信号値に応じて、以下の表2に示す要領で各成分の画像データの補間が行われる。
【表2】

【0038】
例えば、モード値=1の場合、圧縮符号化装置100が実行する量子化処理133では、Y成分の画素データの構成ビット数は、1ビット削減され、7ビットとなっている(表2では、Y[6:0]と表記)。これに対して、復号装置200が実行する逆量子化処理220では、Y成分の画素データの最上位ビットから上記削除したビット数分のビット(この例では、Y[6])を、その最下位ビットの後ろに付加することで、Y成分の画素データの構成ビット数は8ビットに復元されるのである。
【0039】
逆量子化処理220に後続して実行される逆座標変換処理230は、前述した座標変換処理120の逆演算であり、YCbCr表色系の画像データをRGB表色系の画像データに変換する処理である。この逆座標変換処理230では、逆量子化処理220を経たY成分、Cb成分およびCr成分の各画像データを用いて以下の式(4)に示す演算を行うことにより、R成分、G成分およびB成分の各画像データへの変換が行われる。
R=1.164×(Y−16)+1.596×(Cr−128)
G=1.164×(Y−16)−0.391×(Cb−128)−0.813×(Cr−128)
B=1.164×(Y−16)+2.018×(Cb−128)
・・・(4)
【0040】
そして、色成分結合処理240は、色成分分離処理110の逆演算であり、逆座標変換処理230を経たR成分、G成分およびB成分の各画像データから、原画像データと同一形式の画像データを復元する処理である。
以上が本実施形態による圧縮符号化装置100および復号装置200の詳細である。
【0041】
次いで、圧縮符号化装置100により圧縮符号化された画像データのデコードを行う他の実施形態について説明する。
図9は、本発明の他の実施形態であるラインバッファ方式の画像処理LSI300の構成例を示すブロック図である。この画像処理LSI300は、例えばゲーム機などに組み込まれ、そのゲーム機の制御中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)402による制御下でゲームキャラクタ等を表すスプライト画像をモニタ403に表示させるものである。より詳細に説明すると、図9のスプライトパターンメモリ401には、スプライトの画像データに可逆圧縮符号化(本実施形態では、予測符号化処理141、予測誤差変換処理142および可変長符号化処理143を併用した圧縮符号化処理)を施して得られる可逆圧縮符号化データと、スプライトの画像データに圧縮符号化装置100による非可逆圧縮符号化を施して得られる非可逆圧縮符号化データが格納されている。画像処理LSI300は、CPU402による制御の下、可逆圧縮符号化データ或いは非可逆圧縮符号化データ(以下、両者を「圧縮符号化データ」と総称する場合がある)をスプライトパターンメモリ401から読み出し、その圧縮符号化方式に対応したデコード方式で復号し、その復号結果である画像データに応じたスプライト画像をライン単位でモニタ403に表示させるものである。なお、図9では、画像処理LSI300を構成する要素のうち、圧縮符号化データの復号化および再生に関与している部分のみが図示されており、それ以外の要素の図示は省略されている。
【0042】
スプライトパターンメモリ401は、複数種類のスプライト画像の各々の圧縮符号化データを記憶したメモリであり、例えばROM(Read Only Memory)により構成されている。
【0043】
画像処理LSI300において、CPUI/F(インタフェース)301は、CPU402から制御情報を受け取る装置である。記憶部302は、CPUI/F301を介してCPU402から与えられる制御情報を記憶する装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)により構成されている。CPU402から記憶部302に与えられる制御情報には、復号化および再生の対象であるスプライト画像の圧縮符号化データのスプライトパターンメモリ401内の格納先アドレス、モニタ403の表示画面におけるスプライト画像の表示位置、スプライト画像の拡大・縮小に関する指示、圧縮符号化情報等が含まれる。図10に示すように、圧縮符号化情報には、その圧縮符号化情報に対応する圧縮符号化データの圧縮符号化方式を示す符号化方式識別子が含まれている。また、非可逆圧縮符号化データについての圧縮符号化情報には、その非可逆圧縮符号化データを得る際の量子化処理133における量子化モードを示すモード識別子も含まれている。
【0044】
制御部303は、記憶部302に記憶された制御情報に従って画像処理LSI300内の各部の制御を行う制御中枢である。パターンメモリI/F304は、制御部303による制御の下、記憶部302に記憶された制御情報に含まれている格納先アドレスの示す記憶領域に格納されている圧縮符号化データをスプライトパターンメモリ401から取得する取得手段の役割を果たす。パターンデータデコーダ305は、前述した可逆復号処理210を実行する装置である。このパターンデータデコーダ305は、制御部303による制御の下、スプライトパターンメモリ401からパターンメモリI/F304を介してスプライト画像の圧縮符号化データを受け取り、可変長復号化処理211および逆予測符号化処理212を行う。例えば、スプライトパターンメモリ401からパターンデータデコーダ305に与えられる圧縮符号化データが可逆圧縮符号化データである場合には、可変長復号化処理211および逆予測符号化処理212を経て可逆圧縮符号化前の画像データ(RGB表色系の画像データ)が完全に復元され出力されることとなる。一方、非可逆圧縮符号化データがパターンデータデコーダ305に与えられる場合には、オリジナルの画像データ(RGB表色系の画像データ)に色成分分離処理110、座標変換処理120、非可逆変換処理130および量子化処理133を順次施して得られる画像データ(YCbCr表色系の画像データ)が復元されることになる。
【0045】
パターンデータデコーダ305から出力される画像データがRGB表色系のものである場合、この画像データはスプライトレンダリングプロセッサ308によるレンダリングを経て1ライン分ずつラインバッファ309A(或いは、309B)に格納される。一方、パターンデータデコーダ305から出力される画像データがYCbCr表色系のものである場合は、この画像データは、逆量子化部306および逆座標変換部307による処理を経てRGB表色系の画像データに変換され、スプライトレンダリングプロセッサ308に与えられる。図9の逆量子化部306は、圧縮符号化情報に含まれているモード識別子にしたがって前述した逆量子化処理220を実行する装置であり、逆座標変換部307は、前述した逆座標変換処理230を実行する装置である。
【0046】
前述したように、パターンデータデコーダ305から出力される画像データがRGB表色系のものか、それとも、YCbCr表色系のものかについては、デコード元となった圧縮符号化データが可逆圧縮符号化データであるのか、それとも非可逆圧縮符号化データであるのかにより定まる。そして、デコード対象の圧縮符号化データが可逆圧縮符号化データであるのか、それとも、非可逆圧縮符号化データであるのかについては、記憶部302から取得される圧縮符号化情報を参照して判定することができる。このため、制御部303は、記憶部302から取得した圧縮符号化情報に含まれている符号化方式識別子により、可逆圧縮符号化データであると判定される場合には、スプライトレンダリングプロセッサ308と、ラインバッファ309Aおよび309Bとを制御することにより、モニタ403に表示させるスプライト画像の画像データを1ライン単位(1水平走査線単位)で生成しモニタ403の表示画面に反映させる処理を行う。一方、上記符号化方式識別子により、非可逆圧縮符号化データであると判定される場合には、制御部303は、さらに、逆量子化部306および逆座標変換部307の制御を行い、モニタ403に表示させるスプライト画像の画像データを1ライン単位(1水平走査線単位)で生成しモニタ403の表示画面に反映させる処理を行う。
【0047】
さらに詳述すると、ラインバッファ309Aおよび309Bは、モニタ403の1ライン分の画像データを記憶する容量を各々有している。制御部303は、これらのラインバッファ309Aおよび309Bを交互に使用し、例えばラインバッファ309A内の1ライン分の画像データがモニタ403に表示される期間には、ラインバッファ309Bに次の1ライン分の画像データを書き込むレンダリングをスプライトレンダリングプロセッサ308に実行させ、ラインバッファ309B内の1ライン分の画像データがモニタ403に表示される期間には、ラインバッファ309Aに次の1ライン分の画素データを書き込むレンダリングをスプライトレンダリングプロセッサ308に実行させる。また、制御部303は、スプライトレンダリングプロセッサ308が行うレンダリングに間に合うように、レンダリングの対象となる1ライン分のスプライト画像の画像データをパターンデータデコーダ305(或いは、パターンデータデコーダ305、逆量子化部306および逆座標変換部307)に出力させるための制御を行う。ここで、モニタ403の1ラインに複数種類のスプライト画像を表示させる場合もある。そのような場合、制御部303は、表示対象である全てのスプライト画像の1ライン分の画像データを得るために必要な圧縮符号化データをスプライトパターンメモリ401から読み出してパターンデータデコーダ305に供給し、その復号化を行わせるための制御を行う。
【0048】
表示コントローラ311、画像データコントローラ310およびモニタI/F312は、ラインバッファ309Aおよび309Bから交互に1ライン分の画像データを読み出してモニタ403に供給し、モニタ403に画像を表示させる手段である。さらに詳述すると、表示コントローラ311は、垂直同期信号および水平同期信号をモニタI/F312を介してモニタ403に供給するとともに、水平同期信号に同期して、画像データコントローラ310に画像データの読み出し指令を送る。画像データコントローラ310は、画像データの読み出し指令を受け取る毎に、ラインバッファ309Aおよび309Bを交互に選択し、選択したラインバッファから1ライン分の画像データを読み出し、モニタI/F312を介してモニタ403に送るのである。
以上が画像処理LSI300の構成である。
【0049】
以上のような構成としたため、本実施形態によれば、非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両方を一つの画像処理LSI300によりデコードすることが可能になる。加えて、画像処理LSI300の構成のうち、逆量子化部306と逆座標変換部307を除いた部分については、可逆圧縮符号化データのデコードを行う既存の画像処理LSIにおけるものをそのまま流用することができる。つまり、本実施形態によれば、既存の画像処理LSIの構成要素を最大限に利用しつつ、非可逆圧縮符号化データと可逆圧縮符号化データの両方を一つの画像処理LSIでデコードすることが可能になるのである。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態に以下に述べる変形を加えても勿論良い。
(1)上述した実施形態では、スプライトパターンメモリ401に可逆圧縮符号化データと非可逆圧縮符号化データの両者が格納されていたが、非可逆圧縮符号化データのみを格納しておいても勿論良い。スプライトパターンメモリ401に非可逆圧縮符号化データのみを格納しておく態様においては、圧縮符号化情報に符号化方式識別子を含めておく必要はない。また、非可逆圧縮符号化データを得るための量子化処理における量子化モードが予め固定されている場合には、モード識別子を圧縮符号化情報に含めておく必要はない。また、圧縮符号化データと対応付けて圧縮符号化情報をスプライトパターンメモリ401に格納しておいても良く、この場合、CPU402から制御部303に与える制御情報に圧縮符号化情報を含めておく必要はない。
【0051】
(2)上述した実施形態では、量子化処理133を施しておくことで、可逆圧縮符号化処理140を施す画像データの何れかの成分の構成ビット数を削減したが、このような量子化処理は必ずしも必須ではなく、省略しても勿論良い。なお、量子化処理133を省略して得られた非可逆圧縮符号化データのデコードにおいては逆量子化処理を行う必要がないことは勿論である。また、本実施形態では、予測符号化処理141により得られた予測誤差に予測誤差変換処理142を施した後に可変長符号化処理143を施したが、予測誤差変換処理142を省略しても勿論良い。
【0052】
(3)上述した実施形態では、非可逆変換処理130(特に、縮小処理131および拡張処理132)を施すことによる画質の劣化を最小限に抑えるために、その前段においてRGB表色系からYCbCr表色系への座標変換処理120を行ったが、LUV表色系への座標変換であっても勿論良い。他にも、RGB→YUV、RGB→YIQ、RGB→Lab、RGB→HLS、RGB→HSV、RGB→CMY、RGB→CMYKなどの各種座標変換を利用することが考えられる。これらの座標変換は、前掲式(1)を参照すれば明らかなように、一般に、変換前の表色系における第1色成分から第3色成分の各画素データの一次結合で変換後の表色系における各成分を表す演算である。つまり、座標変換処理120における演算は、画像を構成する複数の画素の各々について、変換前の表色系における第1色成分から第3色成分の各画素データの一次結合で新たな3種類の画素データを算出するような演算に一般化することができる。例えば、RGBの各成分の画素データから、R成分の画素データ、G成分とR成分の差分(G−R)を表す画素データ、およびB成分とR成分の差分(B−R)を表す画素データに変換する演算であっても良く、同様に、G成分、R成分とG成分の差分(R−G)およびB成分とG成分の差分(B−G)の各々を表す画素データに変換する演算や、B成分、R成分とB成分の差分(R−B)、G成分とB成分の差分(G−B)の各々を表す画素データに変換する演算であっても良い。
【0053】
なお、第1色成分から第3色成分の各画素データの一次結合で新たな3種類の画素データを算出するような演算の内容によっては、上記新たな画素データが0以上の値になるとは限らず、負の値となることも考えられる。しかし、本実施形態の逆予測符号化処理212では、予測符号化前の画素データが0以上の値であることを前提としているため、上記新たな画素データが負の値となることは不都合である。そこで、座標変換処理120により得られる新たな画素データが負の値となり得る場合には、上記新たな画素データに対してレベルシフト処理(例えば、一定の正の値の加算)を施し、画素データが必ずゼロ以上の値となるようにすれば良い。また、このようなレベルシフト処理を行う場合には、画質の劣化が顕著となることを避けるため、非可逆変換処理130の前段で行っておくことが望ましい。
【0054】
(4)上述した実施形態では、圧縮符号化装置100に本発明の特徴を顕著に示す非可逆圧縮符号化処理(図1の色成分分離処理110、座標変換処理120、非可逆変換処理130、および可逆圧縮符号化処理140)を実行させた。しかし、圧縮符号化対象の画像データに対して可逆圧縮符号化処理140のみを圧縮符号化装置100に実行させて可逆圧縮符号化データを生成させることができることは言うまでもない。そこで、圧縮符号化対象の画像データに対して上記非可逆圧縮符号化処理を施すのか、それとも、可逆圧縮符号化処理140を施すのかを圧縮符号化装置100の利用者に指示させ、その指示内容に応じた処理を圧縮符号化装置100に実行させるようにしても良い。このような態様によれば、可逆圧縮符号化データと非可逆圧縮符号化データの両方を1つの圧縮符号化装置100で生成することが可能になる。
【0055】
(5)上述した実施形態では、本実施形態の特徴を顕著に示す画像データの非可逆圧縮処理を実現するための非可逆圧縮符号化プログラムが圧縮符号化装置100に予めインストールされていたが、例えばCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に上記非可逆圧縮プログラムを書き込んで配布しても良く、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。復号プログラムについても同様に、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布しても良く、また、電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。
【符号の説明】
【0056】
100…圧縮符号化装置、110…色成分分離処理、120…座標変換処理、130…非可逆変換処理、131…縮小処理、132…拡張処理、133…量子化処理、140…可逆圧縮符号化処理、141…予測符号化処理、142…予測誤差変換処理、143…可変長符号化処理、200…復号装置、210…可逆復号処理、211…可変長復号化処理、212…逆予測符号化処理、220…逆量子化処理、230…逆座標変換処理、240…色成分結合処理、300…画像処理LSI、301…CPUI/F、302…記憶部、303…制御部、304…パターンメモリI/F、305…パターンデータデコーダ、306…逆量子化部、307…逆座標変換部、308…スプライトレンダリングプロセッサ、309A,309B…ラインバッファ、310…画像データコントローラ、311…表示コントローラ、312…モニタI/F、401…スプライトパターンメモリ、402…CPU、403…モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を構成する複数の画素の各々の第1色成分〜第3色成分を示す各画素データを取得し、各画素について前記各色成分の画素データの一次結合で表される3種類の新たな画素データを生成する座標変換手段と、
前記座標変換手段により得られる3種類の画素データを受け取り、それら画素データのうちの少なくとも1種類に対して、一定の割合で画素データを間引く縮小処理、および当該縮小処理にて間引かれなかった画素データで当該縮小処理にて間引かれた画素データを補間する拡張処理を施して出力する非可逆変換手段と、
前記非可逆変換手段より出力される前記3種類の画素データの各々について、ラスタスキャン順に1つずつ処理対象画素を選択し、当該処理対象画素についての画素データの予測値を当該処理対象画素の近傍に位置する周辺画素の画素データから算出し当該予測値と実際の画素データとの差分である予測誤差を算出する予測符号化処理と当該予測誤差を可変長符号化する可変長符号化処理とを施して圧縮符号化データに変換する可逆圧縮符号化手段と
を具備することを特徴とする圧縮符号化装置。
【請求項2】
前記非可逆変換手段は、水平走査線方向に並んだ複数の画素についての前記予測誤差が少なくとも1つおきにゼロとなるように前記縮小処理および前記拡張処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の圧縮符号化装置。
【請求項3】
前記非可逆変換手段は、前記縮小処理および前記拡張処理を施した画素データと前記縮小処理および前記拡張処理を施さなかった画素データの少なくとも1種類に対してビット数を削減する量子化処理を更に施すとともに、当該量子化処理を施した画素データの種類および削減したビット数を示す量子化モード信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮符号化装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧縮符号化装置により生成された圧縮符号化データと前記量子化モード信号とを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された圧縮符号化データに前記可変長符号化処理の逆演算である可変長復号化処理と前記予測符号化処理の逆演算である逆予測符号化処理とを施し、圧縮符号化前の前記3種類の画素データを復号する可逆復号手段と、
前記可逆復号手段により得られた前記3種類の画素データのうち前記量子化モード信号の示す種類のものに対して、当該量子化モード信号の示すビット数分だけビット数を補間する逆量子処理を施して出力する逆量子化手段と、
前記逆量子化手段による処理を経た前記3種類の画素データに対して、前記座標変換手段における演算の逆演算を施して第1色成分〜第3色成分を示す各画素データを復元する逆座標変換手段と、
を有することを特徴とする復号装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−15140(P2011−15140A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156991(P2009−156991)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】