説明

圧電体支持構造、圧電体取付方法、触覚機能付きの入力装置及び電子機器

【課題】 部品点数の削減化、組み立て工程の簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図れるようにすると共に、振動伝播機構の設計制約を軽減できるようにする。
【解決手段】 フレーム61で圧電アクチュエータ100を支持する構造であって、内側両面に凹部63a,63bを有してフレーム61に設けられた部品収納部62と、この部品収納部62に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子4a,4bを接合した基板を有して当該圧電素子4a,4bの両側に延びた基板3の凸部が弾性を有する圧電アクチュエータ100とを備え、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bと圧電アクチュエータ100の両側の凸部とが係合されることで、当該部品収納部62に圧電素子4a,4bが振動可能な状態で取り付けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適な圧電体支持構造、圧電体取付方法、触覚機能付きの入力装置及び電子機器に関する。詳しくは、筐体部材で圧電体を支持する(取り付ける)場合に、その筐体部材の部品収納部の内側両面に凹部を設け、圧電体の両側に凸部を設け、これらの凹凸部を係合し、圧電素子を部品収納部に振動可能な状態に取り付けて、部品点数の削減化、組み立ての簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図れるようにすると共に、振動伝播機構の設計制約を軽減できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ(操作者)は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらの携帯端末装置には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。
【0003】
また、アクチュエータを組み合わせた入出力装置も開発されている。アクチュエータは、2層以上のひずみ量の異なる圧電素子、又は、圧電素子と非圧電素子とを貼り合わせ、この貼合体の圧電素子に振動制御電圧を印加したとき、双方のひずみ量の差によって生じる貼合体の曲げ変形を力学的に利用するものである(振動体機能)。反対に、圧電素子に力を加えると電圧を発生することが知られている(力検出センサ機能)。アクチュエータには、いわゆるバイモルフアクチュエータや、ユニモルフアクチュエータ、円盤アクチュエータ(これらを総括して、以下、単に圧電アクチュエータという)等が使用される場合が多い。
【0004】
この種の圧電アクチュエータを備えた電子機器に関して、特許文献1には、入力出力装置及び電子機器が開示されている。この電子機器によれば、多層圧電バイモルフ型圧電アクチュエータ及びタッチパネルを有する入出力装置を備え、多層圧電バイモルフ型圧電アクチュエータは、情報の種類に応じてタッチパネルを通じて異なる触覚を使用者にフィードバックする。入出力装置は、支持フレーム上に支持部を介して圧電アクチュエータを取り付けた圧電体支持構造を有している。圧電アクチュエータの中央上部には、支持部が貼り付けられ、この支持部がタッチパネルに当接される。圧電アクチュエータ振動制御電圧を供給すると、タッチパネルに振動を伝達するようになされる。
【0005】
このように電子機器を構成すると、使用者に対して、情報の種類に応じた入力操作に対する触覚フィードバックを確実に提供できるというものである。これらの圧電アクチュエータを用いた触覚フィードバック制御では、タッチパネルが外部からの入力(位置および、加圧力 )を検出し、制御系がタッチパネルからの入力情報をトリガーにして、当該タッチパネルまたは筺体を振動させるようになされる。
【0006】
また、この種の触覚フィードバック制御に関連して、特許文献2には、キースイッチ及びその触覚フィードバック回路が開示されている。このキースイッチによれば、キーパッドの下部に圧電セラミックを電極及び金属円盤で挟み込んだ円形状のバイモルフ圧電素子が設けられる。この金属円盤の縁部は、支持部材の凹部に支持される構造を有している。キーパッドを押下すると圧電素子がたわむが、この電極と金属円盤との間に電圧信号が発生する。この電圧信号は触覚フィードバック回路に出力される。触覚フィードバック回路は、電圧信号に応答して、圧電素子を振動させる。このようなスイッチと回路を組み合わせると、知覚可能な強さとタイミングでオペレータに対して触覚を提示できるというものである。
【0007】
なお、特許文献3には点字ディスプレイ装置が開示されている。この点字ディスプレイ装置によれば、圧電素子を有する複数のセルがマトリクス状に情報表示器に配置されている。点字情報の1単位ブロックのセルは、圧電素子、連結板及び突起部から構成される。圧電素子の一端は、情報表示器を構成する平板部材の凹部に取り付けられる。圧電素子の他端には、連結板が接合される。連結板の所定の位置には突起部が設けられる。連結板は、筐体部材の凹部内で上下に可動可能な構造となされている。突起部は平板部材全体を覆うカバーフィルムにより保護されている。マトリクス状に配置された複数のセルは、中央処理装置に接続される。中央処理装置は、点字情報に基づいて圧電素子に振動制御信号を供給するようになされる。このように装置を構成すると、より簡単、かつ、安価な構成でプライバシーも保護できる点字ディスプレイ装置を提供できるというものである。
【0008】
【特許文献1】特開2004−94389号公報(第9頁 図4)
【特許文献2】特開平10−307661号公報(第3頁 図1)
【特許文献3】実開平07−029560号公報(第6頁 図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きの情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
【0010】
i.特許文献1に見られるような入出力装置の圧電体支持構造によれば、圧電アクチュエータに対する支点となる2つの支持部が支持フレーム上において、当該圧電アクチュエータに接着部材(粘着材)を使用して貼り付けられる。また、圧電アクチュエータの作用点を成す支持部は、その圧電アクチュエータの中央上部において、当該圧電アクチュエータに接着部材を使用して貼り付けられる。このような接合処理が圧電体取付け時の作業性を低下させ、その圧電アクチュエータの取り付けに手間がかかる事態を招いている。
【0011】
ii.上述の圧電アクチュエータを支持する構造を採用した場合、圧電アクチュエータは、支持フレーム上の2つの突起状の支持部に設置されているのみであり、位置精度が非常に悪く、圧電アクチュエータが支持体から”浮き上がる“という現象が高い確率で発生するおそれがある。従って、圧電アクチュエータが”浮いた“場合、当然に目的とする変位が得られず、振動特性が著しく損なわれる原因となる。
【0012】
iii.また、圧電アクチュエータの位置精度は、高温試験および振動試験等において、接着部材の接着力に依存するところが大きい。接着力が弱いと、これらの試験に耐えきれず、圧電アクチュエータから支持部が剥がれ落ちてしまうおそれがある。
【0013】
iv.圧電アクチュエータを接着部材を使用して貼り付ける方法は、圧電アクチュエータの素子変形に対して、その変形を妨げる方向に力が働いてしまい、十分な振動特性を引き出すことの妨げとなる。因みに、特許文献2及び3に記載の圧電体支持構造を採ることもできるが、組み立て時間の短縮化を妨げるおそれがある。
【0014】
v.上記の全ての理由により、圧電アクチュエータの支持部に関しては、高い寸法精度が要求されており、電子機器の圧電体支持構造設計の大きな制約となっている。
【0015】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、部品点数の削減化、組み立て工程の簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図れるようにすると共に、振動伝播機構の設計制約を軽減できるようにした圧電体支持構造、圧電体取付方法、触覚機能付き入力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題は、筐体部材で圧電体を支持する構造であって、内側両面に凹部を有して筐体部材に設けられた部品収納部と、この部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有して当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体を備え、部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該部品収納部に圧電素子が振動可能な状態で取り付けられることを特徴とする圧電体支持構造によって解決される。
【0017】
本発明に係る圧電体支持構造によれば、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、筐体部材に設けられた部品収納部は、その内側の両面に凹部を有している。例えば、内側両面の凹部には受け側電極が設けられる。圧電体は、部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有している。更に、圧電体は、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有している。また、両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成している。これを前提にして、筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合され、圧電素子が当該部品収納部に振動可能な状態で取り付けられる。
【0018】
従って、部品点数の削減化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、部品収納部の受け側電極と圧電体の電極とが自己整合的に接続されるので、組み立て工程の簡素化を図ることができる。従来方式に比べて振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。
【0019】
本発明に係る圧電体取付方法は、筐体部材に圧電体を取り付ける方法であって、内側両面に凹部を有する部品収納部を筐体部材に形成する工程と、部品収納部に収納可能な大きさの圧電素子を基板に接合し、当該圧電素子の両側から延びる基板の凸部に弾性を付与して圧電体を形成する工程と、部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とを係合することにより、当該部品収納部に圧電素子を振動可能な状態で取り付ける工程とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係る圧電体取付方法によれば、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とを係合することにより、当該部品収納部に圧電素子を振動可能な状態で取り付けるようになされる。従って、組み立て工程の簡素化及び寸法精度の向上を図ることができる。
【0021】
本発明に係る入力装置は、情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚機能付きの入力装置であって、入力検出手段と、この入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示する圧電体支持構造とを備え、この圧電体支持構造は、内側両面に凹部を有して筐体部材に設けられた部品収納部と、この部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有し、かつ、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体とを含み、部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該部品収納部に圧電素子が振動可能な状態で取り付けられることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る触覚機能付きの入力装置によれば、本発明に係る圧電体支持構造が応用される。これを前提にして、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、筐体部材に設けられた部品収納部は、その内側両面に凹部を有している。例えば、内側両面の凹部には受け側電極が設けられる。圧電体は、部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有している。
【0023】
更に、圧電体は、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有している。また、両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成している。筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合され、圧電素子が当該部品収納部に振動可能な状態で取り付けられる。
【0024】
従って、圧電体実装時の部品点数の削減化、その寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、部品収納部の受け側電極と圧電体の電極とが自己整合的に接続されるので、組み立て工程の簡素化を図ることができる。また、従来方式に比べて振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。情報入力操作時には、入力検出手段の操作に基づいて操作体に再現性良く触覚を提示できるようになる。
【0025】
本発明に係る電子機器は、情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、入力検出手段と、この入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示する圧電体支持構造とを有する触覚機能付きの入力装置を備え、圧電体支持構造は、内側両面に凹部を有して筐体部材に設けられた部品収納部と、この部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有し、かつ、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体とを含み、部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該部品収納部に圧電素子が振動可能な状態で取り付けられることを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置が応用される。これを前提にして、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、筐体部材に設けられた部品収納部は、その内側両面に凹部を有している。例えば、内側両面の凹部には受け側電極が設けられる。圧電体は、部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有している。
【0027】
更に、圧電体は、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が受け側電極を有している。また、両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成している。筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合され、圧電素子が当該部品収納部に振動可能な状態で取り付けられる。
【0028】
従って、圧電体実装時の部品点数の削減化、その寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、部品収納部の受け側電極と圧電体の電極とが自己整合的に接続されるので、組み立て工程の簡素化を図ることができる。また、従来方式に比べて振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。情報入力操作時には、入力検出手段の操作に基づいて操作体に再現性良く触覚を提示できるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る圧電体支持構造によれば、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、その筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とが係合されることで、圧電素子が部品収納部に振動可能な状態で取り付けられるものである。
【0030】
この構造によって、部品点数の削減化、組み立て工程の簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。
【0031】
本発明に係る圧電体取付方法によれば、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、筐体部材の部品収納部の内側両面の凹部と圧電体の両側の凸部とを係合することにより、当該部品収納部に圧電素子を振動可能な状態で取り付けるようになされる。
【0032】
この構成によって、組み立て工程の簡素化及び寸法精度の向上を図ることができる。従って、製造コストを低減できるようになる。
【0033】
本発明に係る触覚機能付きの入力装置によれば、本発明に係る圧電体支持構造が応用されるので、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、部品点数の削減化、組み立て工程の簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、入力装置における振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。
【0034】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置が応用されるので、筐体部材に圧電体を取り付ける場合に、部品点数の削減化、組み立て工程の簡素化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、電子機器における振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
続いて、この発明に係る圧電体支持構造、圧電体取付方法、触覚機能付き入力装置及び電子機器の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明に係る第1の実施例としての圧電体支持構造例(取付前)、図2は、その圧電体支持構造例(取付後)を各々示す斜視図である。図1に示す圧電体支持構造60は、携帯電話機や情報携帯端末装置等の筐体部材61に圧電体(以下圧電アクチュエータ100という)を支持する構造であって、この圧電アクチュエータ100による振動を利用して触覚を提示できるようにした構造である。
【0037】
筐体部材61は、例えば、L型を有しており、その一辺には、長さがl[mm]で、幅がw[mm]で、深さ(高さ)がh[mm]程度の部品収納部62が設けられる。筐体部材61は、部品収納部62の内側両面に凹部(スリット部)63a,63bを有している。筐体部材61には合成樹脂部材や、アルミニウム、鉄、銅又はこれらの合金等の金属部材が使用される。
【0038】
この部品収納部62には圧電アクチュエータ100が収納される。圧電アクチュエータ100は、当該部品収納部62に収納可能な大きさを有している。圧電アクチュエータ100は、積層型の圧電素子4a,4bを接合した基板(以下で支持板又はシムともいう)3を有して当該圧電素子4a,4bの両側に延びた基板3の両側(凸部)が弾性を有している。この基板3の凸部の弾性を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。凸部は、バネ構造を得るために、基板3の剛性を和らげる構造に加工される。例えば、基板凸部に穴開け処理、切り欠き処理、折り曲げ処理等を施して弾性を保有するようになされる。
【0039】
この例では、圧電素子4a,4bの両側に延びた基板3が当該圧電アクチュエータ100の電極(以下中央電極3a,3bともいう)を成している。これは、中央電極3a,3bを介して、圧電素子4a,4bに振動制御電圧を供給するためである。圧電素子4a,4bは振動制御電圧に基づいて振動する。この振動は、例えば、筐体部材61上に取り付けられるタッチパネル等の入力手段に伝播するようになされる。この結果、入力手段に触れている操作者の指等に触覚を提示できるようになる。
【0040】
また、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bには、図示しない受け側電極が設けられ、当該受け側電極に圧電アクチュエータ100の中央電極3a,3bが接続される。このような構造を採るようにしたのは、受け側電極と中央電極3a,3bの電気的な接続と、筐体部材61と圧電アクチュエータ100との機械的な係合とを同時、かつ、簡単にできるようにしたためである。圧電アクチュエータ100は、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bと圧電アクチュエータ100の両側の凸部とが係合されることで、図2に示すように圧電素子4a,4bが当該部品収納部62内で振動可能な状態に取り付けられる。
【0041】
この圧電アクチュエータ100において、圧電素子4a,4bの中央部上には突起部8aが設けられ、この突起部8aは、当該圧電素子4a,4bの最上層と同一の部材により一体成形されて成る。突起部8aは、筐体部材61上の図示しないタッチパネル等の入力手段に当接され、当該入力手段を突き上げるように振動を伝播するようになされる。従来方式では、圧電素子4a,4bの最上層に突起部8aを設ける場合に、スペーサー部材等を接着剤により貼付していた。これに対して、本発明方式では、突起部8aを最上層と同一の部材により一体成形するようにしたので、圧電体組み立て時のスペーサー接合工程を省略することができる。
【0042】
続いて、本発明に係る圧電体取付方法について説明をする。この実施例では、携帯電話機や情報携帯端末装置等の筐体部材61に圧電アクチュエータ100を取り付ける場合を前提とする。圧電体取付方法に関しては、大きく分けて、筐体部材61の加工工程と、圧電アクチュエータ100の形成工程と、筐体部材61への圧アクチュエータ100の組み立て工程の3つに分かれる。
【0043】
[筐体部材の加工工程]
この例では、携帯電話機や情報携帯端末装置等の入力手段を支持するための、部品収納部付きの枠型(窓枠型)を有する筐体部材61を準備する。筐体部材61は、例えば、内側両面に凹部63a,63bを有する部品収納部62を象った所定の金型を作成し、その金型に合成樹脂を射出して成形する。部品収納部62の大きさは、長さがl[mm]で、幅がw[mm]で、深さがh[mm]程度となるように金型を設計する。この金型の両面には、部品収納部62の凹部63a,63bを型抜きするための凸部が設けられる。
【0044】
この例で、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bには、受け側電極を設けるための加工がなされる。受け側電極は、例えば、凹部63a,63b内の上面で露出するように、電極挿入穴が開口される。受け側電極は、例えば、一方が中央電極接触面となされ、他方がリード線接続端子となされる。この例で、電極挿入穴に受け側電極が係合され、リード線接続端子が枠内側又は枠下方に引き出される。この受け側電極には、圧電体部品取付時に、その圧電アクチュエータ100の中央電極3a,3bが接続される(図10A,B参照)。筐体部材61には、射出成形品の他に、アルミニウム、鉄、銅又はこれらの合金等の金属部材を折り曲げ加工処理又は切削加工処理により作成したものを用いてもよい。
【0045】
[圧電アクチュエータの形成工程]
次に、部品収納部62に収納可能な大きさを有した圧電アクチュエータ100を準備する。図3A〜Cは、基板(以下でシム3という)の形成工程例を示す上面図である。この例で、圧電アクチュエータ100には、所定の長さのシム3の中央部の両面に圧電素子4a,4bを接合したものを準備する。
【0046】
図3Aにおいて、シム3は、予め所定の長さL[mm]、幅W[mm]及び厚さt[mm]を有した金属板3’をパターニングして当該圧電素子4a,4bの中央電極3a,3bを形成するように処理する。金属板3’には、銅板、燐青銅板や、白銅板、黄銅板等が使用される。この例で、図3Bに示すように1枚の金属板3’をけがいて、L型のプラス側の中央電極3a及びL型のマイナス側の中央電極3bに割り当てる。また、シム3の両側(圧電素子4a,4bの両側から延びるシム凸部に相当)には、予め弾性を付与するように加工される。シム3の両側は、バネ構造とするために、金属板3’の剛性を和らげる構造に加工することが好ましい。
【0047】
例えば、金属板3’の両側に穴開け処理を施して開口部5a〜5dを形成する。バネ構造とするための加工処理は、穴開け処理に限られることはなく、切り欠き処理、折り曲げ処理等を施して弾性を保持するようにしてもよい。このシム3の両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。このシム3の開口部5a〜5dと、その端部との間には突起部6a,6bが設けられ、圧電部品取付時、部品収納部62の内側凹部63a,63bにおいて、受け側電極と中央電極3a,3bとの電気的接触状態を良好にするようになされる。
【0048】
このような開口部5a〜5dと突起部6a,6bとが金属板3’に形成できたら、図3Cに示すように金属板3’を切断処理してL型の中央電極3aとL型の中央電極3bとに分離する。この電極分離は、プラス側の中央電極3aとマイナス側の中央電極3bとを絶縁して使用するためである。この2つの中央電極3a,3bはシム3を構成する。中央電極3a,3bは、圧電素子4a,4bに振動制御電圧を供給するために設けられる。
【0049】
なお、シム3をエッチング方法による作成する場合は、厚さt=1mm程度のステンレス板(SUS304等)を準備する。まず、ステンレス板上に感光フィルム(レジスト)を載置し、更に、所定形状の中央電極を象ったこの版(ステッテ)を被せる。その上から所定波長の光源より光を照射する。この光照射によって、感光フィルムは、版の空いているところ、つまり、中央電極を象った部位が除去される。その後、版を取外した後、中央電極を象った部位上に耐食性皮膜を形成する。そして、耐食性皮膜をマスクにして、余分なステンレス板を金属溶解液(エッチング液)によって除去する。このとき、中央電極を象った部位以外の感光フィルムも一緒に除去される。この除去によって、所定形状の中央電極を形成することができる。もちろん、形状が画定された中央電極上の耐食性皮膜を除去する。
【0050】
次に、圧電アクチュエータ100の形成例について説明をする。図4〜図7は、圧電アクチュエータ100の形成例(その1〜4)を示す工程図である。図4Aにおいて、まず、粉末状のセラミック等の圧電体材料と溶媒とバインダーと分散材等とを所定の混合機101に投入して混合し、混合スラリー102を形成する。溶媒には、アセトン、トルエン、エタノール、MEK等を使用し、バインダーにはポリビニール、アルコール、ポリエタレン等を使用する。バインダーには10w%程度のものを使用する。
【0051】
次に、図4Bにおいて、ドクターブレード103を使用して、混合スラリー102を一様な厚さに流し出す。例えば、膜厚が30乃至50μm程度になるようにする。その後、溶媒を蒸発乾燥させてグリーンシートを生成する。例えば、乾燥室104を常温又は室内温度を50℃乃至80℃程度に維持して、一様な厚さに流し出された混合スラリー102を数十分間程度放置して乾燥する。溶媒が抜けた混合スラリー102は、フィルム状圧電体(グリーンシート)100’となる。
【0052】
その後、所定の大きさにフィルム状圧電体100’をカットし、図4Cにおいて、そのフィルム状圧電体100’を所定のフレーム105に装着する。カットする形状は正方形であって、その大きさは200mm×200mm程度である。もちろん、長方形であってもよい。
【0053】
次に、図5Aにおいて、先にフレーム105に装着されたフィルム状圧電体100’の所定の位置を開口して、図示しないスルーホールを形成する。このスルーホールは、各層にある主電極IEを中央部に設けられるL型の中央電極(ランド)3aと、L型の中央電極3bとに、電気的に接合するために開口される。開口径は0.1μmφ乃至0.2μmφ程度である。
【0054】
更に、図5Bにおいて、先にスルーホールが開口されたフィルム状圧電体100’の所定の位置に電極材料を印刷する。電極印刷はスクリーン印刷によって施される。電極材料には、Ag−Pd合金ペーストが使用される。各層の電極印刷に関しては、複数種類の電極パターンが得られるようなスクリーンが準備される。
【0055】
各スクリーンには、基本的に1枚の主電極と、例えば、プラス側の中央電極用のランド及びマイナス側の中央電極用のランドとが配置される。ランドは、層間の接続用の開口部(スルーホール)に位置合わせするようになされる。主電極は、各層でそれぞれ異なる位置にあるマイナス側の中央電極用のランドとプラス側の中央電極用のランドとを接続するようになスクリーンが形成されている。なお、電極の印刷の際には、このスルーホール内部にも、十分な量の電極材料を供給するため、複数回印刷を繰り返すとよい。
【0056】
その後、図5Cにおいて、先に電極材料が印刷されたフィルム状圧電体100’を所定の枚数だけ貼合面と平行に層状に積層する。この例では、電極材料が印刷された9枚のフィルム状圧電体100’によって積層圧電体群(以下で単に圧電素子という)4aを形成し、同様にして、9枚のフィルム状圧電体100’によって圧電素子4bを形成する。
【0057】
次に、図6Aにおいて、先に電極材料が印刷された9枚のフィルム状圧電体100’を熱圧着して積層状のグリーンシート(積層素材)100”を形成する。なお、圧電素子4aの中央部上に突起部8aを形成する。この突起部8aを形成する際に、圧電素子4aの最上層と同一の絶縁部材により一体成形する。例えば、圧電素子4aの最上層に絶縁性の膜を形成した後に、レジストを塗布し、その後、突起部形成領域のレジストを感光して除去する。ここに残留したレジスト膜をマスクにして突起部形成領域に絶縁性の部材を堆積する。その後、熱処理する。
【0058】
突起部8aは、絶縁性部材の堆積又はレジスト自体を堆積する方法に限られることはなく、何らかの硬度を有する物質を印刷により高く形成して作用部としてもよい。突起部8aは、筐体部材61上の図示しないタッチパネル等の入力手段に当接され、当該入力手段突き上げ時の作用部となされる。このときの熱加圧条件は、温度が60℃乃至100℃程度であって、加圧力は100kg/cm2程度であって、熱圧着時間は数十分程度である。
【0059】
その後、図6Bにおいて、先に熱圧着された積層状のグリーンシート100”を所定の大きさに切断する。例えば、図示しない切断装置を使用してグリーンシート100”を短冊状に切断する。これは圧電素子4a及び圧電素子4b等を得るためである。そして、図6Cにおいて、積層状のグリーンシート100”を乾燥室104に搬入し、その乾燥室104でグリーンシート100”の中からバインダーを除去するようになされる。このときの乾燥条件は、常温又は室内温度を400℃乃至500℃程度に維持して、グリーンシート100”を数十分間程度放置して脱脂する。実際には、炉内で昇温レートをコントロールして数日を要して温度を400℃乃至500℃程度にまで温度を上げる。
【0060】
また、図7Aにおいて、先にバインダーが除去された突起部付きの積層状のグリーンシート100”を焼成装置106に搬入して焼成する。このときの焼成条件は、焼成温度が1000℃乃至1200℃程度で、焼成時間は60分程度である。このときも脱脂処理を同様にして、焼成炉内で昇温レートをコントロールして数日を要して温度を1000℃乃至1200℃程度にまで温度を上げる。
【0061】
その後、図7Bにおいて、先に焼成された突起部付きの積層状のグリーンシート100”を砥石107で切断して個々の圧電素子4a、4bを形成する。40は砥石107の軌跡である。砥石107はグリーンシート100”の表裏を一周りするようにして切断される。これにより、図7Cに示すような圧電素子4aが得られる。圧電素子4bには、突起部が設けられていない圧電素子が使用される。各層のランドは、スルーホール内に充填される電極材料によって接続される。このようにすると、各層の主電極IEへの給電点を中央部のL型のプラス側の中央電極3aとマイナス側の中央電極3bとに引き出すことができる。
【0062】
[圧電素子とシムの接合]
図8は、圧電アクチュエータ100の形成例を補足するフィルム状圧電体の積層例を示す拡大断面図である。図9A及びBは、圧電アクチュエータ100の構成例を示す平面図及びX1−X2矢視断面図である。
図8に示すフィルム状圧電体の積層例において、圧電素子4a,4bとシム3とを接合する。この例では、突起部付きの積層状の圧電素子4aと、突起部無しの積層状の圧電素子4bとが図3Cに示した平面L型の中央電極3a,3bを挟んで接合するように処理される。この接合処理では、中央電極3a,3bの表裏面側に圧電素子4a,4bを接着剤7を介して接着する。このとき、中央電極3a,3bの一方の面に圧電素子4aを接着し、中央電極3a,3bの他方の面に圧電素子4bを接着する。接着剤7には、エポキシ樹脂やUV接着剤が使用される。
【0063】
図8に示す圧電アクチュエータ(積層体)100は、電極と電極との間に圧電素子を積層する形態で、合計16層の圧電素子#1〜#16と、上部電極1と、下部電極2と、プラス側及びマイナス側の中央電極3a,3bと、16層の電極IE1〜IE16とを有して形成される。積層圧電素子4aにおいて、上部電極1は、図示しないスルーホールを介して主電極IE2、IE4、IE6及びIE8に接続されて中央電極3bに接続される。各層の電極は、スルーホール内に充填された電極材料によって接続される。積層圧電素子4bにおいて、下部電極2は、図示しないスルーホールを介して同様にして、主電極IE9、IE11、IE13及びIE15に接続されて中央電極3bに接続される。
【0064】
また、圧電素子4aにおいて、主電極IE1は、図示しないスルーホールを介して主電極IE3、IE5及びIE7に接続されて中央電極3aに接続される。圧電素子4bにおいて、主電極IE10は、図示しないスルーホールを介して主電極IE12、IE14及びIE16に接続されて中央電極3aに接続される。これにより、16層の圧電素子#1〜#16が並列に駆動するようになる。
【0065】
なお、上部電極1を覆うように上部絶縁膜8が設けられる。上部電極1の中央部には突起部8aが上部絶縁膜8と同じ絶縁性の部材により一体化形成されている。この突起部8aは、図6Aで説明した圧電素子4aの最上層に形成された絶縁部材が硬化して上部絶縁膜8と一体化したものである。これにより、図9A及びBに示すような弾性機能付きの圧電アクチュエータ100が完成する。その後、必要に応じて圧電素子4a,4bの分極処理を行う。
【0066】
[組み立て工程]
図10Aは、部品収納部付きの筐体部材61への圧電アクチュエータ100の組立例を示す一部破砕の上面図である。図10Bは、筐体部材61の部品収納部付近の構成例を示す正面図である。
【0067】
図10Aに示す筐体部材61によれば、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bには、受け側電極64a,64bが設けられる。受け側電極64a,64bは、筐体部材61に開口された電極挿入穴にセットされ、図10Bに示す凹部63a,63b内の上面で露出するように取り付けられる。受け側電極64a,64bは、一方が中央電極接触面となされ、他方がリード線接続端子となされている。
【0068】
図10Aに示したような部品収納部付きの筐体部材61と、弾性を有する圧電アクチュエータ100が形成できたら、この部品収納部62に圧電アクチュエータ100を取り付ける。図10Cは、図10Aに示した筐体部材61のY1−Y2矢視断面図である。この例では、部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bと圧電アクチュエータ100の両側の凸部とを係合するように位置合わせする。その後、図10Cに示すように右横側から左方向へ圧電アクチュエータ100をスライドするように圧入する。これにより、当該圧電アクチュエータ100を部品収納部62に圧電素子4a,4bを振動可能な状態で取り付けることができる(図2参照)。しかも、圧電アクチュエータ100の中央電極3a,3bは、その突起部6a及び6bによって導電性良く受け側電極64a,64bに接続できるようになる。
【0069】
このように、第1の実施例としての圧電体支持構造及び圧電体取付方法によれば、筐体部材61に圧電アクチュエータ100を取り付ける場合に、受け側電極64a,64b付きの筐体部材61の部品収納部62の内側両面の凹部63a,63bと、中央電極付きの圧電アクチュエータ100の両側の凸部とが係合され、圧電素子4a,4bが当該部品収納部62に振動可能な状態で取り付けられる。
【0070】
従って、受け側電極64a,64bと中央電極3a,3bの電気的な接続と、筐体部材61と圧電アクチュエータ100との機械的な係合とを同時に、かつ、簡単にできるようになる。つまり、筐体部材61に圧電アクチュエータ100を取り付けることで、部品収納部62の受け側電極64a,64bと圧電アクチュエータ100の中央電極3a,3bとが自己整合的に接続される。これにより、部品点数の削減化、寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。組み立て工程の簡素化が図られ、従来方式に比べて振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。
【0071】
図11A〜Dは、弾性機能付きのシム3等の構造例を示す拡大上面図である。図11A〜Dにおいて、波線で区切って示した領域Iは、筐体部材61の凹部63aに挿入される部分である。この領域I内であって、受け側電極64aに当接する部分には、突起部6aが設けられ、圧電部品取付時、部品収納部62の内側凹部63aにおいて、受け側電極64aと中央電極3aとの電気的接触状態を良好にするようになされる。図示せずも、反対側の中央電極3bにも、突起部6bが設けられ、圧電部品取付時、部品収納部62の内側凹部63bにおいて、受け側電極64bと中央電極3bとの電気的接触状態を良好にするようになされる。
【0072】
図11Aに示すシム3の構造例は、第1の実施例で説明した中央電極3a等の凸部に相当している。シム3の圧電素子4a等から延びる凸部には、開口部5a,5bが設けられる。この開口部5a,5bは、シム3の凸部をバネ構造とするためである。図示せずも、反対側の中央電極3bの凸部にも、開口部5a,5bが設けられている。このシム3の両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。
【0073】
図11Bは、弾性機能付きのシム301の構造例を示す拡大上面図である。図11Bに示すシム301は、楕円状の2つの開口部51a,51bを有している。開口部51a,51bは、シム301の長手方向に沿うように設けられている。この開口部51a,51bは、シム301の凸部をバネ構造とするためである。図示せずも、反対側の中央電極3bの凸部にも、開口部51c,51dが設けられている。このシム301の両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。シム301は、開口部51a,51bを楕円状にしたことで、シム3に比べて基板の剛性を和らげる構造となされている。
【0074】
図11Cは、弾性機能付きのシム302の構造例を示す拡大上面図である。図11Cに示すシム302は、楕円状の7つの開口部52a〜52gを有している。開口部52a〜52gは、シム302の長手方向に沿うように設けられている。この開口部52a〜52gは、シム302の凸部をバネ構造とするためである。図示せずも、反対側の中央電極3bの凸部にも、開口部52h〜52nが設けられている。このシム302の両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。シム302は、楕円状の開口部52a〜52gを小さくしその設置数を増やしたことで、シム301に比べて基板の剛性を更に和らげる構造となされている。
【0075】
図11Dは、弾性機能付きのシム303の構造例を示す拡大上面図である。図11Dに示すシム303は、シム303の長手方向と直交する方向に、2つの切り欠き部53a,53bを設けたものである。
【0076】
このシム33をエッチング方法による作成する場合は、厚さt=1mm程度のステンレス板(SUS304等)を準備する。まず、ステンレス板上に感光フィルム(レジスト)を載置し、更に、2つの切り欠き部53a,53bをその左右に有した所定形状の中央電極を象ったこの版(ステッテ)を被せる。その上から所定波長の光源より光を照射する。この光照射によって、感光フィルムは、版の空いているところ、つまり、中央電極本体と、その弾性を付与する切り欠き部53a,53bを象った部位が除去される。
【0077】
その後、版を取外した後、中央電極本体及び切り欠き部53a,53bを象った部位上に耐食性皮膜を形成する。そして、耐食性皮膜をマスクにして、余分なステンレス板を金属溶解液(エッチング液)によって除去する。このとき、中央電極本体及び切り欠き部53a,53bを象った部位以外の感光フィルムも一緒に除去される。この除去によって、図11Dに示すような弾性機能付きのシム303を形成することができる。もちろん、形状が画定されたシム303上の耐食性皮膜を除去する。
【0078】
上述の切り欠き部53a,53bは、シム303の凸部をバネ構造とするためである。図示せずも、反対側の中央電極3bの凸部にも、切り欠き部53c,53dが設けられている。このシム303の両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。シム303は、基板を楕円状に切り欠いたことで、シム3に比べて基板の剛性を和らげる構造となされている。
【実施例2】
【0079】
図12は、第2の実施例としての圧電体支持構造例を示す正面図である。図12に示す圧電体支持構造602によれば、筐体部材61の部品収納部62に弾性機能付きの圧電アクチュエータ110が取り付けられる。圧電アクチュエータ110は、弾性機能付きの中央電極3a’及び3b’を有している。中央電極3a’及び3b’は、圧電素子4a、4bの両側で、その長手方向に基板をU字(凸)形状に曲げ加工を1回施して構成されたものである。このU字形状付きの中央電極3a’及び3b’は、シム凸部をバネ構造とするためである。このシム両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。第2の実施例では、基板を折り曲げ加工したことで、第1の実施例に比べて基板の剛性を和らげる構造とすることができる。
【実施例3】
【0080】
図13は、第3の実施例としての圧電体支持構造例を示す正面図である。図13に示す圧電体支持構造603によれば、筐体部材61の部品収納部62に弾性機能付きの圧電アクチュエータ120が取り付けられる。圧電アクチュエータ120は、弾性機能付きの中央電極3a”及び3b”を有している。中央電極3a”及び3b”は、圧電素子4a、4bの両側で、その長手方向の表裏面で基板をU字(凸)形状に曲げ加工を1回ずつ施して構成されたものである。このU字形状付きの中央電極3a”及び3b”は、シム凸部をバネ構造とするためである。このシム両側の弾性構造を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。第3の実施例では、基板を表裏面において折り曲げ加工したことで、第2の実施例に比べて基板の剛性を和らげる構造とすることができる。
【実施例4】
【0081】
図14は、第4の実施例としての触覚入力機能付き携帯電話機200の構成例を示す斜視図である。
この実施例では、第1〜3の実施例に係る圧電体支持構造60、602又は603を備えると共に、表示手段上の入力検出面において、操作体が押下した位置の加圧力に対応した振動パターンに基づいて当該入力検出面を振動する振動手段を備え、その入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を付与できるようにすると共に、表示手段に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようにしたものである。
【0082】
図14に示す携帯電話機200は電子機器の一例であり、表示画面上の入力検出面を摺動接触操作される触覚機能付きの入力装置90を有している。携帯電話機200は下部筐体10及び上部筐体20を備え、これらの筐体10及び20間は、回転レンジ機構11によって可動自在に係合されている。この回転レンジ機構によれば、下部筐体10の操作面の一端に設けられた図示しない軸部と、下部筐体10の裏面の一端に設けられた図示しない軸受け部とが回転自在に係合され、上部筐体20は下部筐体10に対して角度±180°の回転自由度を有して面結合されている。
【0083】
下部筐体10には、複数の押しボタンスイッチ12から成る操作パネル18が設けられる。押しボタンスイッチ12は、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。下部筐体10において、操作パネル面の下方には、通話用のマイクロフォン13が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
【0084】
また、下部筐体10の下端部には、モジュール型のアンテナ16が取り付けられ、その上端内部側面には、大音響用のスピーカー36aが設けられ、着信メロディ等を放音するようになされる。下部筐体10には、バッテリー16や回路基板17等が設けられ、下部筐体10の裏面にはカメラ34が取り付けられている。
【0085】
上述の下部筐体10に対して、回転レンジ機構11によって可動自在に係合された上部筐体20には、その表面の上方に通話用のスピーカー36bが取り付けられ、受話器として機能するようになされる。上部筐体20のスピーカー取付け面の下方には、触覚機能付き入力装置90が設けられる。入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与えるものである。表示手段29には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示される。
【0086】
図15は、触覚機能付きの入力装置90の構造例を示す斜視図である。図15に示す入力装置90は、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のアイコンの1つに接触して当該表示画面上で入力操作される装置であって、このような情報入力操作時に操作者の指(操作体)に触覚を提示するものである。入力装置90は、入力検出手段45と、この入力検出手段45の入力操作に基づいて操作者の指に触覚を提示する圧電体支持構造60とを備えている。入力検出手段45は入力手段24及び力検出手段55a〜55dを有して構成される。
【0087】
入力手段24は、操作者によるアイコンの選択接触位置を検出して位置検出情報を出力するようになされる。入力手段24は、長さがL’cm程度で、幅がW’cm程度の大きさを有している。入力手段24には入力操作面の大きさがW’=64mm×L’=88mmで厚みが1.0mm程度で、蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置したタッチパネルが使用される。タッチパネルは、静電容量シートとしての静電容量方式の入力デバイスである。
【0088】
入力手段24の下方には第1のフレーム(筐体部材)61’が配設されている。フレーム61’は、厚さ5mm□程度の樹脂製の枠体から構成され、圧電体支持構造60を有している。フレーム61’の両側二辺には、長さがl’[mm]で、幅がw’[mm]で、深さ(高さ)がh’[mm]程度の振動手段取付用の部品収納部62a,62bが設けられる。フレーム61’は、部品収納部62a,62bの各々の内側両面に凹部63a,63bを有している。
【0089】
一方の部品収納部62aには圧電アクチュエータ100aが収納される。例えば、圧電アクチュエータ100aは、部品収納部62aの凹部63a、63bに圧入して取り付けられる。同様にして、他方の部品収納部62bには圧電アクチュエータ100bが収納される。圧電アクチュエータ100bも部品収納部62bの凹部63c、63d(図示せず)に圧入して取り付けられる。圧電アクチュエータ100a及び100bには、第1〜第3の実施例で説明した圧電アクチュエータ100、110及び120が使用される。圧電アクチュエータ100a及び100bには、図11に示したシム301〜303を有する圧電アクチュエータも含まれる。
【0090】
圧電アクチュエータ100aは、当該部品収納部62aに収納可能な大きさを有している。圧電アクチュエータ100aは、図9Bに示したように、積層型の圧電素子4a,4bを接合したシム3を有して当該圧電素子4a,4bの両側に延びたシム3の両側(凸部)が弾性を有している。このシム3の凸部の弾性を利用することで、圧電本体が上下に振動できるようになる。この例で、シム凸部は、バネ構造を得るために、穴開け処理が施され、弾性を保有するようになされている。
【0091】
この例では、圧電素子4a,4bの両側に延びたシム3が当該圧電アクチュエータ100aの中央電極3a,3bを成している。これは、中央電極3a,3bを介して、圧電素子4a,4bに振動制御電圧を供給するためである。圧電素子4a,4bは振動制御電圧に基づいて表示画面(入力操作面)を振動するようになされる。この振動は、例えば、フレーム61’上の入力手段24に伝播するようになされる。この結果、入力手段24に触れている操作者の指等に触覚を提示できるようになる。他方の部品収納部62bに収納された圧電アクチュエータ100bにおいても同様に機能するようになされる。
【0092】
また、部品収納部62aの内側両面の凹部63a,63bには、図10Aに示したような受け側電極64a,64bが設けられ、当該受け側電極64a,64bに圧電アクチュエータ100aの中央電極3a,3bが接続される。このような構造を採るようにしたのは、受け側電極64a,64bと中央電極3a,3bの電気的な接続と、フレーム61’と圧電アクチュエータ100aとの機械的な係合とを同時、かつ、簡単にできるようにしたためである。圧電アクチュエータ100aは、部品収納部62aの内側両面の凹部63a,63bと圧電アクチュエータ100aの両側の凸部とが係合されることで、圧電素子4a,4bが当該部品収納部62a内で振動可能な状態に取り付けられる(図2参照)。他方の部品収納部62bに圧電アクチュエータ100bを収納する際にも同様に機能するようになされる。
【0093】
この圧電アクチュエータ100aにおいて、圧電素子4a,4bの中央部上には突起部8aが設けられ、この突起部8aは、当該圧電素子4a,4bの最上層と同一の部材により一体成形されて成る。突起部8aは、フレーム61’上の入力手段24に当接され、当該入力手段24を突き上げるように振動を伝播するようになされる。
【0094】
従来方式では、圧電素子4a,4bの最上層に突起部8aを設ける場合に、スペーサー部材等を接着剤により貼付していた。これに対して、本発明方式では、突起部8aを最上層と同一の部材により一体成形するようにしたので、圧電体組み立て時のスペーサー接合工程を省略することができる。他方の部品収納部62bに収納された圧電アクチュエータ100bにおいても同様に機能するようになされる。突起部付きの圧電アクチュエータ100a及び100bは、モジュール型の振動伝達機構を構成する。
【0095】
フレーム61’上の四隅には、正方形状の力検出手段55a〜55dが設けられ、入力手段24に対する操作者の指の押圧力(加圧力)を検出して力検出情報を出力すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を確定する。この例で、フレーム61’において、部品収納部62a,62bが設けられていない他の二辺には、長方形状のサポータ66a、66bが設けられる。サポータ66a、66bには、発泡ゴムやKGゲル等が使用される。なお、上述した突起部8aは、フレーム61’の上面から飛び出る程度の高さを有していればよい。突起部8aの高さは、力検出種55a〜55dやサポータ66a、66b等と面位置に揃えることが好ましい。
【0096】
フレーム61’の内側には、入力手段24よりも一回り小さな液晶表示ディスプレイから成る表示手段29が収納され、その入力手段24から得られる位置検出情報及び表示情報D4に基づいてアイコンを表示するように動作する。
【0097】
表示手段29及びフレーム61’は、第2のフレーム65に収納されて使用される。フレーム65は表示手段抜け止め加工がなされており、フレーム61’及び65は筐体部材を構成する。フレーム65は、厚さ0.3mm程度のステンレスの枠体から構成され、フレーム61’及び表示手段29を保護するようになされる。フレーム65は、表示手段29及びフレーム61’と組み合わされて使用される。
【0098】
図16は、触覚機能付きの入力装置90の制御系の構成例を示す斜視図である。
図16に示す入力装置90は制御手段15及び記憶手段35を有している。制御手段15には、入力手段24及び4個の力検出手段55a〜55dが接続される。この例では、入力検出手段45の入力検出面の一方をX方向とし、当該X方向と直交する他方をY方向とし、X及びY方向と直交する方向をZ方向とする。入力手段24はボタンアイコンの選択位置を検出するようになされる。入力手段24から得られる入力情報には位置検出情報が含まれる。位置検出情報はボタンアイコン押下時の位置検出信号S1により得られ、制御手段15に出力される。
【0099】
力検出手段55a〜55dは、表示手段29の同一平面において、フレーム61’の四隅に設けられ、当該入力検出面における操作体の押下位置の加圧力を検出する。力検出手段55aは、右下隅の入力量(Z方向の押圧力)として、例えば、当該アイコン選択時の力検出信号Sfaを検出する。同様にして、力検出手段55bは、右上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfbを検出し、力検出手段55cは、左上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfcを検出し、力検出手段55dは、左下隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfdを各々検出する。これら4個の力検出手段55a〜55dは、並列に接続され、これら4つの力検出信号Sfa+Sfb+Sfc+Sfdを制御手段15に出力する。以下、この合算した信号を入力検出信号S2とする。
【0100】
表示手段29を収納したフレーム61’の両側には、2個の圧電アクチュエータ100a,100bが取り付けられ、表示手段29に表示されるボタンアイコンの選択操作に基づいて表示画面を振動するようになされる。圧電アクチュエータ100aには制御手段15から振動制御信号Saが供給される。圧電アクチュエータ100bには同様にして振動制御信号Sbが各々供給される。振動制御信号Sa及びSbは、複数の振動パターンを発生するための信号であって、表示手段29に表示されたアイコンの1つに操作者が接触(タッチ)すると、圧電アクチュエータ100a及び100bに供給される。
【0101】
圧電アクチュエータ100a,100bは、力検出手段55a〜55dによって検出された操作者の指の加圧力Fに対応する振動パターンに基づいて入力検出面を振動する。この例で、圧電アクチュエータ100a,100bは、予め準備された加圧力Fに対応する振動パターンにより異なった触覚を与えるようになされる。
【0102】
上述の制御手段15には記憶手段35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示情報D4や、当該表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。制御情報Dcには、表示手段29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。
【0103】
この例で制御手段15は、入力手段24から出力される位置情報に基づいて表示手段29の表示制御及び圧電アクチュエータ100a及び100bの出力制御をする。例えば、制御手段15は、入力手段24から得られる位置検出信号S1及び力検出手段55a〜55dから得られる入力検出信号S2に基づいて記憶手段35から制御情報Dcを読み出して圧電アクチュエータ100a及び100bに振動制御信号Sa,Sbを供給する。
【0104】
また、制御手段15は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して3次元的に表示するように表示手段29を表示制御する。このように構成された入力装置90は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で入力手段24をZ方向に押下すると触覚を伴って画面入力操作されるものである。
【0105】
次に、触覚入力機能付きの携帯電話機200の内部構成例及び感触フィードバック入力方法について説明をする。図17は、触覚入力機能付き携帯電話機200の内部構成例を示すブロック図である。
【0106】
図17に示す携帯電話機200は、下部筐体10の回路基板17に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図14〜図16に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。携帯電話機200は、制御手段15、操作パネル18、受信部21、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出手段45、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34、記憶手段35、圧電アクチュエータ100a及び100bを有している。
【0107】
図17に示す入力検出手段45は、図16では静電容量方式の入力デバイスを説明したが、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と力検出情報を制御手段15に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。上述の入力検出手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力される。
【0108】
制御手段15は、画像処理部26、A/Dドライバ31、CPU32及びアクチュエータ駆動回路37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出手段45からの位置検出信号S1および入力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および入力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置検出情報D1または入力検出情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0109】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。記憶手段35には当該電話器全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの入力データD1〜D3を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、アクチュエータ駆動部37、映像&音声処理部44等のデバイスに供給したり、受信部21からの受信データを取り込んだり、送信部2へ送信データを転送するように制御する。
【0110】
この例で、CPU32は、入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいて圧電アクチュエータ100a及び100b等を振動制御するようにアクチュエータ駆動部37を制御する。例えば、入力検出手段45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚をA及びBとすると、触覚Aは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって得られる。また、触覚Bは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって得られる。
【0111】
CPU32は、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚Aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚Bを起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。このようにすると、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる。
【0112】
CPU32には、アクチュエータ駆動部37が接続され、CPU32からの制御情報Dcに基づいて振動制御信号Sa,Sbを発生する。振動制御信号Sa,Sbは、正弦波形からなる出力波形を有している。アクチュエータ駆動部37には2個の圧電アクチュエータ100a、100bが接続され、各々の振動制御信号Sa,Sbに基づいて振動するようになされる。
【0113】
この例で、アクチュエータ駆動部37は、各アプリケーションに対応する押下判定閾値Fthを記憶する。例えば、押下判定閾値Fthはトリガーパラメータとしてアクチュエータ駆動回路37に設けられたROM等に予め格納される。アクチュエータ駆動回路37は、CPU32の制御を受けて、入力検出情報D2を入力し、予め設定された押下判定閾値Fthと、入力検出情報D2から得られる加圧力Fとを比較し、Fth>Fの判定処理や、Fth≦F等の判定処理を実行する。
【0114】
この例で、押下判定閾値Fth=100[gf]を設定すると、クラシックスイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。また、押下判定閾値Fth=20[gf]を設定すると、サイバースイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。
【0115】
CPU32にはアクチュエータ駆動部37の他に画像処理部26が接続され、ボタンアイコン29a等を3次元的に表示するための表示情報D4を画像処理するようになされる。画像処理後の表示情報D4を表示手段29に供給するようになされる。
【0116】
操作者30は、指30aに振動を受けて触感として、ボタンアイコン毎の振動を感じる。また、表示手段29の表示内容は操作者の目による視覚により、スピーカー36a、36b等からの放音は、操作者の耳による聴覚により各機能を判断するようになされる。上述のCPU32には操作パネル18が接続され、例えば、相手方の電話番号を手動入力する際に使用される。表示手段29には上述のアイコン選択画面の他に映像信号Svに基づいて着信映像を表示するようにしてもよい。
【0117】
また、図17に示すアンテナ16は、アンテナ共用器23に接続され、着呼時、相手方からの無線電波を基地局等から受信する。アンテナ共用器23には受信部21が接続され、アンテナ16から導かれる受信データを受信して映像や音声等を復調処理し、復調後の映像及び音声データDinをCPU32等に出力するようになされる。受信部21には、CPU32を通じて映像&音声処理部44が接続され、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力したり、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力するようになされる。
【0118】
映像&音声処理部44には大音響用及び受話器を構成するスピーカー36a、36bが接続される。スピーカー36aは、着呼時、着信音や着信メロディ等を鳴動するようになされる。スピーカー36bは、音声信号Sinを入力して相手方の話声30d等を拡大するようになされる。この映像&音声処理部44にはスピーカー36a、36bの他に、送話器を構成するマイクロフォン13が接続され、操作者の声を集音して音声信号Soutを出力するようになされる。映像&音声処理部44は、発呼時、相手方へ送るためのアナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換してデジタルの音声データを出力したり、アナログの映像信号Svをアナログ/デジタル変換してデジタルの映像データを出力するようになされる。
【0119】
CPU32には受信部21の他に、送信部22が接続され、相手方へ送るための映像及び音声データDout等を変調処理し、変調後の送信データをアンテナ共用器23を通じアンテナ16に供給するようになされる。アンテナ16は、アンテナ共用器23から供給される無線電波を基地局等に向けて輻射するようになされる。
【0120】
上述のCPU32には送信部22の他に、カメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報を送信部22を通じて相手方に送信するようになされる。電源ユニット33は、バッテリー14を有しており、CPU3215、操作パネル18、受信部21、送信部22、入力検出手段45、圧電アクチュエータ100a及び100b、表示手段29、カメラ34及び記憶手段35にDC電源を供給するようになされる。
【0121】
図18A及びBは、触覚A及びBに係る振動パターン例を示す波形図である。図18A及びBにおいて、いずれも横軸は、時間tである。縦軸は振動制御信号Sa,Sb等の電圧(振幅Ax)[V]である。この例では、ボタンアイコン29a等において、それを押し込む時は触覚Aを与え、それを離す時は触覚Bを与える場合を前提とする。
【0122】
図18Aに示す第1の振動パターンPaは触覚Aを与える波形である。その触覚Aの駆動条件aは、ボタンアイコン29a等が押し込まれたとき、押下判定閾値Fthと加圧力Fとの関係がFth<Fとなる場合であって、第1段階iで約0.1秒間、周波数fx=50Hz、振幅Ax=5μm、回数Nx=2回の振動パターンで振動する。以下[fx Ax Nx]=[50 5 2]と表記する。同様にして、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[100 10 2]の振動パターンで振動するようになされる。
【0123】
図18Bに示す第2の振動パターンPbは触覚Bを与える波形である。その触覚Bの駆動条件bは、ボタンアイコン29a等が押し込まれた後に、そのボタンアイコン29aが放されたとき、押下判定閾値Fthと加圧力Fとの関係がFth>Fとなる場合であって、第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[80 8 2]で振動し、同様にして、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[40 8 2]の振動パターンで振動する。このような振動パターンに基づいて入力検出面を振動すると、サイバースイッチ等の触覚を得ることができる。
【0124】
図19A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その1)を示す図である。図19Aにおいて、縦軸は加圧力Fであり、入力検出信号S2(二値化後は入力検出情報D2)から得られる。図19Bにおいて、縦軸は振動制御信号Sa等の電圧(振幅)である。図19A及びBにおいて、横軸はいずれも時間tである。
【0125】
一般に、ボタンスイッチ操作等において、入力モーションピークが存在する。設計通りの押下速度(操作入力速度)である場合、その加圧力Fは30[gf]乃至240[gf]程度であることが知られている。図19Aに示す加圧力分布波形Iは、入力装置設計時に基準とした、Z方向への押下速度による加圧力Fを反映したものである。
【0126】
この例で入力検出手段45から得られる入力検出信号S2に対して予め押下判定閾値Fthが設定され、CPU32は、入力検出信号S2の立ち上がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t11に第1の振動パターンPaを発生し、入力検出信号S2の立ち下がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t21に第2の振動パターンPbを発生するようにアクチュエータ振動回路37を制御する。
【0127】
このようにすると、入力検出手段45が入力装置設計時に基準とした加圧力Fを検出し、CPU32等が押下判定閾値Fth<加圧力Fを検出したとき、触覚Aを起動することができ、押下判定閾値Fth>加圧力Fを検出したとき、触覚Bを起動することができる。なお、振動パターンPaと振動パターンPbとの間には、無振動の空白期間Tx=T1が設けられる。この空白期間Txは、Z方向への押圧速度に応じて可変するようになされる。
【0128】
図20A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その2)を示す図である。図20Aにおいて、縦軸は加圧力Fであり、入力検出信号S2(二値化後は入力検出情報D2)から得られる。図20Bにおいて、縦軸は振動制御信号Sa等の電圧(振幅)である。図20A及びBにおいて、横軸はいずれも時間tである。
【0129】
図20Aに示す加圧力分布波形IIは、図19Aに示した基準押下速度よりも早くボタンアイコン等を押下した場合の加圧力Fを反映したものである。この例でも、図19Aと同様にして、入力検出手段45から得られる入力検出信号S2に対して予め押下判定閾値Fthが設定され、CPU32は、入力検出信号S2の立ち上がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t12に振動パターンPaを発生し、入力検出信号S2の立ち下がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t22に振動パターンPbを発生するようにアクチュエータ振動回路37を制御する。
【0130】
このようにすると、入力検出手段45が基準押下速度よりも早くボタンアイコン等が押下された場合の加圧力Fを検出し、CPU32等が押下判定閾値Fth<加圧力Fを検出したとき、触覚Aを起動することができる。また、CPU32等が押下判定閾値Fth>加圧力Fを検出したとき、触覚Bを起動することができる。なお、振動パターンPaと振動パターンPbとの間には、無振動の空白期間Tx=T2(T2<T1)が設けられる。
【0131】
このように、設計時の押下速度よりも早い押下速度である場合であっても、前半で触覚Aが伝わり、クリック感のある荷重に到達させることができ、その後半で、触覚Bが伝わり、クリック感のあるストロークに到達させることができる。この例で押下判定閾値Fth=100[gf]を設定すると、クラシックスイッチの触覚を得ることができる。
【0132】
続いて、携帯電話機200における情報処理例について説明をする。図21は、第4の実施例に係る携帯電話機200における情報処理例を示すフローチャートである。
この例では、携帯電話機200において、第1〜3の実施例に係る圧電体支持構造のいずれかを備えると共に、操作者の指30aで当該携帯電話機200の表示画面上の入力検出面を押下操作して情報を入力する場合を前提とする。携帯電話機200には、例えば、同一振動モード内において、操作者の指30a等による加圧力Fをパラメータにして波形を加工する機能(アルゴリズム)が備えられる。CPU32は、入力検出情報D2から加圧力Fを算出し、図19Aに示したような駆動条件a,bに対応して判別を行ない、その判別結果で、同一の振動モード内において、いかなる種類の入力に対しても、入力動作中の動きに対応した触覚を発生できるようにした。
【0133】
これらを情報処理条件にして、CPU32は、図21に示すフローチャートのステップG1で電源オンを待機する。例えば、CPU32は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯電話機等の電源スイッチをオンされたときに発生する。
【0134】
そして、ステップG2に移行してCPU32は、アイコン画面を表示するように表示手段29を制御する。例えば、CPU32は、表示手段29に表示データD4を供給して表示画面に入力情報を表示する。表示画面に表示された入力情報は、入力検出面を有した入力検出手段45を通じて目視可能になされる。そして、ステップG3に移行してCPU32は、ボタンアイコン入力モード又はその他の処理モードに基づいて制御を分岐する。ボタンアイコン入力モードとは、ボタンアイコン選択時に入力検出面上のアイコンボタン29a等を押下する入力操作をいう。
【0135】
ボタンアイコン入力モードが設定された場合、ボタンアイコン29a等が押し込まれるので、ステップG4に移行してCPU32は入力検出情報D2に基づいて加圧力Fを算出する。このとき、力検出手段55a〜55dは、入力検出面における操作者の指30aの押下位置の加圧力Fを検出し、入力検出信号S2をA/Dドライバ31に出力する。A/Dドライバ31は入力検出信号S2をA/D変換し、そのA/D変換後の入力検出情報D2をCPU32に転送する。
【0136】
そして、ステップG5に移行して、CPU32は加圧力Fと押下判定閾値Fthとを比較し、これらの関係がF>Fthとなるか否かを判別する。これらの関係がF>Fthとなる場合は、ステップG6に移行して触覚Aを起動する。触覚Aは、圧電アクチュエータ100a及び100bによって、操作者の指30aの加圧力Fに対応した振動パターンPaに基づいて入力検出面を振動することで得られる。例えば、触覚Aは、図18Aに示した周波数fx、振幅Ax及び回数Nxに関して、第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[50 5 2]の振動パターンで振動し、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[100 10 2]の振動パターンで振動する。このようにすると、操作者の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる(駆動条件a)。
【0137】
その後、ステップG7に移行してCPU32は更に加圧力Fを検出する。加圧力Fは、力検出手段55a〜55dによってボタンアイコン29aの押し込みに続いてボタンアイコン29aから離れる状態が検出される。このとき、力検出手段55a〜55dは、入力検出面における操作者の指30aの押下位置から離れるときの加圧力Fを検出し、入力検出信号S2をA/Dドライバ31に出力する。A/Dドライバ31は入力検出信号S2をA/D変換し、そのA/D変換後の入力検出情報D2をCPU32に転送する。
【0138】
そして、ステップG8に移行してCPU32は、加圧力Fと押下判定閾値Fthとを比較し、これらの関係がF<Fthか否かを判別する。これらの関係がF<Fthとなる場合は、触覚Bを起動する。触覚Bは、圧電アクチュエータ100a及び100bによって、操作者の指30aの加圧力Fに対応した振動パターンPbに基づいて入力検出面を振動することで得られる。そのボタンアイコン29aが放された触覚Bは、例えば、図18Bに示した第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[80 8 2]の振動パターンで振動し、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[40 8 2]の振動パターンで振動する。このようにすると、操作者の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる(駆動条件b)。
【0139】
その後、ステップG10に移行して入力を確定する。このとき、CPU32は、入力操作面で当該押下位置に表示された入力情報を確定する。そして、ステップG12に移行する。なお、ステップG3で他の処理モードが選択された場合は、ステップG11に移行して他の処理モードを実行する。他の処理モードには、電話モードやメール作成、送信表示モード等が含まれる。電話モードには、相手方に電話を発信する操作が含まれる。ボタンアイコン29a等は、電話モード選択時の文字入力項目が含まれる。他の処理モードを実行した後は、ステップG12に移行する。
【0140】
ステップG12でCPU32は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出して情報処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップG2に戻って、メニュー等のアイコン画面を表示し、上述した処理を繰り返すようになされる。
【0141】
このように、第4の実施例としての触覚機能付き入力装置を応用した携帯電話機によれば、本発明に係る圧電体支持構造60、602又は603が応用される。これを前提にして、フレーム61’に圧電アクチュエータ100a,100bを取り付ける場合に、フレーム61’に設けられた部品収納部62a,62bは、その内側両面に凹部63a,63b、63c,63d(図示せず)を有している。しかも、各々の部品収納部62a,62bの内側両面の凹部63a〜63dには受け側電極64a,64b等が設けられる。
【0142】
また、フレーム61’の部品収納部62aの内側両面の凹部63a,63bと圧電アクチュエータ100aの両側の凸部とが係合され、圧電素子4a,4bが当該部品収納部62aに振動可能な状態でセットされる。同様にして、部品収納部62bの内側両面の凹部63c,63dと圧電アクチュエータ100bの両側の凸部とが係合され、圧電素子4a,4bが当該部品収納部62bに振動可能な状態でセットされる。
【0143】
従って、圧電アクチュエータ100a,100bの実装時の部品点数の削減化、その寸法精度の向上及び信頼性の向上を図ることができる。しかも、部品収納部62aの受け側電極64a,64bと圧電アクチュエータ100aの中央電極3a,3bとが自己整合的に接続されるので、組み立て工程の簡素化を図ることができる。
【0144】
また、従来方式に比べて振動伝播機構の設計制約を軽減できるようになる。情報入力操作時には、入力検出手段45の操作に基づいて操作者の指30aに再現性良く触覚を提示できるようになる。例えば、操作者の指30a等による押下操作に対応した振動パターン(振幅と周波数と振動回数)により複数種類の振動を発生させることができる。これにより、表示手段29上の入力検出面における操作者の指30aの押下操作に対応した、アナログスイッチや、サイバースイッチ等の触覚を取得できるようになる。触覚入力機能付きの電子機器のコストダウンに寄与するところが大きい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
この発明は予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明に係る第1の実施例としての圧電体支持構造例(取付前)を示す斜視図である。
【図2】圧電体支持構造例(取付後)を示す斜視図である。
【図3】A〜Cは、シムの形成工程例を示す上面図である。
【図4】圧電アクチュエータ100の形成例(その1)を示す工程図である。
【図5】圧電アクチュエータ100の形成例(その2)を示す工程図である。
【図6】圧電アクチュエータ100の形成例(その3)を示す工程図である。
【図7】圧電アクチュエータ100の形成例(その4)を示す工程図である。
【図8】圧電アクチュエータ100の形成例を補足するフィルム状圧電体の積層例を示す拡大断面図である。
【図9】A及びBは、圧電アクチュエータ100の構成例を示す平面図及びY1−Y2矢視断面図である。
【図10】A及びBは、部品収納部付きの筐体部材61への圧電アクチュエータ100の組立例及びその部品収納部付近の構成例を示す図である。
【図11】A〜Dは、弾性機能付きのシム3等の構造例を示す拡大上面図である。
【図12】第2の実施例としての圧電体支持構造例を示す正面図である。
【図13】第3の実施例としての圧電体支持構造例を示す正面図である。
【図14】第4の実施例としての触覚入力機能付きの携帯電話機200の構成例を示す斜視図である。
【図15】触覚機能付きの入力装置90の構造例を示す斜視図である。
【図16】触覚機能付きの入力装置90の制御系の構成例を示す斜視図である。
【図17】触覚入力機能付きの携帯電話機200の内部構成例を示すブロック図である。
【図18】A及びBは、触覚A及びBに係る振動パターン例を示す波形図である。
【図19】A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その1)を示す図である。
【図20】A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その2)を示す図である。
【図21】携帯電話機200における情報処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
3,3a,3b・・・中央電極(基板,シム)、8a・・・突起部、10・・・下部筐体、11・・・回転レンジ機構、15・・・制御手段、20・・・上部筐体、21・・・受信部、22・・・送信部、24・・・入力手段、29・・・表示手段、32・・・CPU(制御手段)、35・・・記憶手段、60,602,603・・・圧電体支持構造、61,61’・・・筐体部材、62,62a,62b・・・部品収納部、90・・・触覚機能付きの入力装置、100,100a,100b・・・圧電アクチュエータ(圧電体)、200・・・携帯電話機(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体部材で圧電体を支持する構造であって、
内側両面に凹部を有して前記筐体部材に設けられた部品収納部と、
前記部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有して当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体とを備え、
前記部品収納部の内側両面の凹部と前記圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該圧電体が部品収納部に振動可能な状態で取り付けられることを特徴とする圧電体支持構造。
【請求項2】
前記圧電体の圧電素子の中央部上に突起部が設けられ、前記突起部は、当該圧電素子の最上層と同一の部材により一体成形されて成ることを特徴とする請求項1に記載の圧電体支持構造。
【請求項3】
前記圧電素子の両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成すことを特徴とする請求項1に記載の圧電体支持構造。
【請求項4】
前記部品収納部の内側両面の凹部に受け側電極が設けられ、当該受け側電極に前記圧電体の電極が接続されることを特徴とする請求項1に記載の圧電体支持構造。
【請求項5】
筐体部材に圧電体を取り付ける方法であって、
内側両面に凹部を有する部品収納部を前記筐体部材に形成する工程と、
前記部品収納部に収納可能な大きさの圧電素子を基板に接合し、当該圧電素子の両側から延びる基板の凸部に弾性を付与して圧電体を形成する工程と、
前記部品収納部の内側両面の凹部と前記圧電体の両側の凸部とを係合することにより、当該部品収納部に圧電素子を振動可能な状態で取り付ける工程とを有することを特徴とする圧電体取付方法。
【請求項6】
前記圧電体の圧電素子の中央部上に突起部を形成する工程を有し、
前記突起部を形成する際に、前記圧電素子の最上層と同一の部材により一体成形することを特徴とする請求項5に記載の圧電体取付方法。
【請求項7】
前記圧電素子の両側に延びる基板を予めパターニングして当該圧電体の電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項5に記載の圧電体取付方法。
【請求項8】
前記部品収納部の内側両面の凹部に受け側電極を形成する工程と、
前記受け側電極に前記圧電体の電極を接続する工程とを有することを特徴とする請求項5に記載の圧電体取付方法。
【請求項9】
情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚機能付きの入力装置であって、
入力検出手段と、
前記入力検出手段の入力操作に基づいて前記操作体に触覚を提示する圧電体支持構造とを備え、
前記圧電体支持構造は、
内側両面に凹部を有して筐体部材に設けられた部品収納部と、
前記部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有し、かつ、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体とを含み、
前記部品収納部の内側両面の凹部と前記圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該部品収納部に圧電素子が振動可能な状態で取り付けられることを特徴とする触覚機能付きの入力装置。
【請求項10】
前記圧電体の圧電素子の中央部上に突起部が設けられ、前記突起部は、当該圧電素子の最上層と同一の部材により一体成形されて成ることを特徴とする請求項9に記載の触覚機能付きの入力装置。
【請求項11】
前記圧電素子の両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成すことを特徴とする請求項9に記載の触覚機能付きの入力装置。
【請求項12】
前記部品収納部の内側両面の凹部に受け側電極が設けられ、当該受け側電極に前記圧電体の電極が接続されることを特徴とする請求項9に記載の触覚機能付きの入力装置。
【請求項13】
前記入力検出手段によって操作される入力項目選択用の表示画面を表示する表示手段を備え、
前記入力検出手段は、
前記表示画面上で入力操作する前記操作者の接触位置を検出し、
前記圧電体は、
前記入力検出手段から得られる位置情報に基づいて前記表示画面を振動することを特徴とする請求項9に記載の触覚機能付き入力装置。
【請求項14】
情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、
入力検出手段と、
前記入力検出手段の入力操作に基づいて前記操作体に触覚を提示する圧電体支持構造とを有する触覚機能付きの入力装置を備え、
前記圧電体支持構造は、
内側両面に凹部を有して筐体部材に設けられた部品収納部と、
前記部品収納部に収納可能な大きさを有し、かつ、圧電素子を接合した基板を有し、かつ、当該圧電素子の両側に延びた基板の凸部が弾性を有する圧電体とを含み、
前記部品収納部の内側両面の凹部と前記圧電体の両側の凸部とが係合されることで、当該圧電体が部品収納部に振動可能な状態で取り付けられることを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記圧電体の圧電素子の中央部上に突起部が設けられ、前記突起部は、当該圧電素子の最上層と同一の部材により一体成形されて成ることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記圧電素子の両側に延びた基板が当該圧電体の電極を成すことを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項17】
前記部品収納部の内側両面の凹部に受け側電極が設けられ、当該受け側電極に前記圧電体の電極が接続されることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項18】
前記入力検出手段によって操作される入力項目選択用の表示画面を表示する表示手段を備え、
前記入力検出手段は、
前記表示画面上で入力操作する前記操作体の接触位置を検出し、
前記圧電体は、
前記入力検出手段から得られる位置情報に基づいて前記表示画面を振動することを特徴とする請求項14に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2006−119849(P2006−119849A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306091(P2004−306091)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】