説明

圧電振動デバイスの本体筐体部材、圧電振動デバイス、および圧電振動デバイスの製造方法

【課題】本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材の接合を行える。
【解決手段】水晶振動子1では、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4が、接合材5および緩衝材6を介して低温低圧により接合されて本体筐体11が構成され、本体筐体11の内部空間12において水晶振動片2の励振電極24,25の励振が行なわれる。接合材5は、結晶構造が面心立方形であり、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合時に塑性変形するとともに拡散接合する。また、緩衝材6は、接合材5の塑性変形による応力を緩衝する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスの本体筐体部材、圧電振動デバイス、および圧電振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスが挙げられる。これら各製品では、いずれも水晶振動片の主面に励振電極が形成され、この励振電極を外的環境から保護するために励振電極は圧電振動デバイスの本体筐体により気密封止されている。
【0003】
圧電振動デバイスは、基本的にベースとキャップとからその本体筐体が構成されてなる。この圧電振動デバイスは、ベースとキャップとを金属膜などの接合材を用いてシーム接合することで本体筐体の内部空間を形成するとともに内部空間を気密封止し、内部空間に圧電振動片を保持する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示の圧電振動デバイスの本体筐体は、水晶振動片を収容する断面が凹形のセラミックパッケージと、このベースの開口部に接合する金属製のリッドとからなる。そして、ベースに金属膜(例えばタングステン−ニッケル−金の多層構成)を形成し、キャップに例えば銀ろうを形成して、ベースの金属膜部分とキャップの銀ろうとをシーム溶接法により接合を行い、内部空間を気密封止する。この方法では、金属リングを用いずに金属膜を用いてシーム接合を行なっているために、本体筐体の低背化をはかることができる。
【特許文献1】特開2000−236035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シーム接合では、キャップのシーム接合を行う箇所に、シーム溶接装置の部材(溶接に直接係わる1対のシームローラ部)を直接接触させる必要がある。そのため、シーム接合によりベースとキャップとの接合を行うためには、キャップに、1対のシームローラ部を直接接触させる接触箇所を確保しなければならない。
【0006】
しかしながら、現在、圧電振動デバイスは、電子部品の小型化にともなって小型化がすすんでおり、キャップに1対のシームローラ部を直接接触させる接触箇所を確保する余裕がなく(接触箇所の確保が難しく)、小型の圧電振動デバイスに関してキャップとベースとの接合にシーム接合を用いることが難しい。
【0007】
また、小型の圧電振動デバイスのキャップとベースとの接合にシーム接合を用いた場合、シーム溶接装置の部材(一対のシームローラ部)が相互に干渉(短絡)したり、キャップの所望の領域外の箇所に接触してしまい、その結果、キャップとベースとの接合を効率よく行うことができなくなり、効率的な製造の阻害となる。
【0008】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材の接合を行える圧電振動デバイスの本体筐体部材、圧電振動デバイス、および圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの本体筐体部材は、複数の本体筐体部材が接合材により接合されて本体筐体が構成される圧電振動デバイスの本体筐体部材において、当該本体筐体部材の接合面に、結晶構造が面心立方形であり、他の本体筐体部材との接合時に塑性変形するとともに拡散接合する接合材と、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材と、が設けられ、前記緩衝材上に前記接合材が積層されたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材の接合を行うことが可能となり、その結果、圧電振動デバイスの製造を効率的に行うことが可能となる。また、本発明によれば、当該本体筐体部材を用いて前記複数の本体筐体部材を前記緩衝材と前記接合材とを介して低温低圧により接合することが可能となり、この接合の際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となる。その結果、前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合を確実にすることが可能となり、前記複数の本体筐体部材の間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記緩衝材で緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって前記接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記複数の本体筐体部材の接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材の緩衝作用により、当該本体筐体部材の接合面の表面粗さに関係なく前記複数の本体筐体部材の接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記接合材と前記緩衝材の構成から、前記接合面の表面が粗い場合であっても前記接合材の拡散により接合を行うことが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記緩衝材は、前記接合材よりも容量が多くてもよい。
【0012】
この場合、前記接合材の接合領域を小さくして、接合圧力を集中させることが可能となり、接合強度をあげることが可能となる。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、複数の本体筐体部材が接合材を介して低温低圧により接合されて本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間において圧電振動片の励振が行なわれる圧電振動デバイスにおいて、前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記複数の本体筐体部材の接合時に塑性変形するとともに拡散接合し、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材が、前記本体筐体部材の接合面に設けられ、前記緩衝材上に接合材が積層して設けられたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、前記本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに前記本体筐体部材の接合を行うことが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスの製造を効率的に行うことが可能となる。また、シーム接合やレーザ接合による溶接封止や金錫等のろう材封止では、金属溶融時に発生する金属ガスの影響により圧電振動デバイスの経時特性が劣化することが懸念されるが、本発明の拡散接合による封止では溶融ガスの悪影響がなく、極めて安定した経時特性が得られ、より信頼性の高い当該圧電振動デバイスを提供することができる。また、本発明によれば、前記複数の本体筐体部材を前記緩衝材と前記接合材とを介して低温低圧により接合することが可能となり、この接合の際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となる。その結果、前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合を確実にすることが可能となり、前記複数の本体筐体部材の間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記緩衝材で緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって前記接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記複数の本体筐体部材の接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材の緩衝作用により、前記本体筐体部材の接合面の表面粗さに関係なく前記複数の本体筐体部材の接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記接合材と前記緩衝材の構成から、前記接合面の表面が粗い場合であっても前記接合材の拡散により接合を行うことが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記本体筐体部材は、絶縁性材料であってもよい。
【0016】
この場合、前記本体筐体部材を導電部材として用いることができないので、シーム封止を行うことを除外した構成となる。また、絶縁性材料からなる前記本体筐体によれば、導電性材料を本体筐体部材に用いた場合と比較してショートなどの不具合が起こり難く、電極パターンの配線設計が容易に行なえる。
【0017】
前記構成において、前記本体筐体部材はセラミックからなり、前記本体筐体の高さは0.2〜0.3mmの範囲内に設定されてもよい。
【0018】
この場合、前記本体筐体の小型化を図るのに好ましい。
【0019】
前記構成において、前記本体筐体部材は水晶、シリコンまたはガラスからなり、前記本体筐体の高さは0.2mm以下に設定されてもよい。
【0020】
この場合、現状のセラミックでは採用できない更に小型サイズの圧電振動デバイスを製造することが可能となる。また、本体筐体部材に薄いセラミック(例えば0.08mm以下)を用いた場合、前記複数の本体筐体部材の接合の際にセラミックに低温低圧をかけることでセラミックは反り、また表面の面精度が粗くなるが、本構成によればこのような不具合が生じ難くなる。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスの製造方法は、複数の本体筐体部材を接合材を介して低温低圧により接合して本体筐体を構成し、前記本体筐体の内部空間において圧電振動片の励振を行なう圧電振動デバイスの製造方法において、前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記複数の本体筐体部材の接合時に塑性変形するとともに拡散接合し、前記接合材を前記複数の本体筐体部材それぞれの接合面に形成するとともに、前記複数の本体筐体部材の少なくとも1つの接合面と前記接合材との間に前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材を介在させることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、前記本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材の接合を行うことが可能となり、その結果、当該圧電振動デバイスの製造を効率的に行うことが可能となる。また、シーム接合やレーザ接合による溶接封止や金錫等のろう材封止では、金属溶融時に発生する金属ガスの影響により圧電振動デバイスの経時特性が劣化することが懸念されるが、本発明の拡散接合による封止では溶融ガスの悪影響がなく、極めて安定した経時特性が得られ、より信頼性の高い前記圧電振動デバイスを提供することができる。また、本発明によれば、前記複数の本体筐体部材を前記緩衝材と前記接合材とを介して低温低圧により接合することが可能となり、この接合の際に前記接合材の塑性変形による応力を前記緩衝材で緩衝させることが可能となる。その結果、前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合を確実にすることが可能となり、前記複数の本体筐体部材の間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても前記緩衝材で緩衝(吸収)させることが可能となる。すなわち、本発明によれば、低温低圧によって前記接合材を拡散し易い(すべり易い)状態にして前記複数の本体筐体部材の接合を行うことが可能となる。また、本発明によれば、前記緩衝材の緩衝作用により、前記本体筐体部材の接合面の表面粗さに関係なく前記複数の本体筐体部材の接合を良好にすることが可能となる。また、本発明によれば、前記接合材と前記緩衝材の構成から、前記接合面の表面が粗い場合であっても前記接合材の拡散により接合を行うことが可能となる。
【0023】
前記方法において、前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材を、ナノ粒子の緩衝材料の吐出より形成してもよい。
【0024】
この場合、マスクを用いて前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材の形成位置を位置決めすることなく、所望の形成位置に前記緩衝材を形成することが可能となり、その結果、前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材の形成領域が小さくなったとしても所望の形成位置に前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材を形成することが可能となる。また、前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材をナノ粒子による吐出形成法により形成することで、非常に低温(例えば約25℃)で前記複数の本体筐体部材への接合を行うことが可能となる。
【0025】
前記方法において、前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合は、真空雰囲気で行ってもよい。
【0026】
この場合、前記複数の本体筐体部材の接合の際の温度や圧力などの接合条件が雰囲気に左右されることなく安定した状態で、前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合を行うことが可能となる。具体的に、窒素ガスなどの不活性ガスによる雰囲気において前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合を行った場合、圧電振動片の振動が雰囲気ガスによって邪魔されて動きにくくなり、その結果、直列共振抵抗値などの圧電振動デバイスの特性が劣化する。
【発明の効果】
【0027】
本発明にかかる圧電振動デバイスの本体筐体部材、圧電振動デバイス、および圧電振動デバイスの製造方法によれば、本体筐体の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材の接合を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、圧電振動デバイスとしてATカット水晶振動子(以下、水晶振動子という)に本発明を適用した場合を示す。しかしながら、これらの実施例は好適な例であり、圧電振動を行う材料であれば圧電振動材料は水晶に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
本実施例1にかかる水晶振動子1には、図1,2に示すように、複数の本体筐体部材(下記する符号2,3,4)から本体筐体11が構成される。具体的に、実施例1では、本体筐体部材に、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持する第1パッケージ3と、第1パッケージ3に保持した水晶振動片2の励振電極24,25を気密封止するための第2パッケージ4とを用いている。なお、本実施例では、第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2とを、本体筐体部材とし、これら本体筐体部材(符号2,3,4)のうち少なくとも1つは、絶縁性材料からなる。また、水晶振動子1のパッケージサイズは、1.6×1.2mmである。
【0030】
本実施例1にかかる水晶振動子1では、図1,2に示すように、第1パッケージ3と第2パッケージ4とが、その間に水晶振動片2を介在させて、接合材5を用いて低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。この接合材5による第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2との接合により本体筐体11の内部空間12が形成されるととともに、水晶振動片2に形成される励振電極24,25が気密封止される。
【0031】
水晶振動子1の各構成について、図3,4を用いて以下に説明する。なお、以下の各構成の説明では、図3,4に示すように、本体筐体部材(水晶振動片2、第1パッケージ3、第2パッケージ4)が接合される前の夫々単一部材について説明する。
【0032】
水晶振動片2は、図3,4に示すように、ATカット水晶板(図示省略)からなり、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されている。なお、水晶振動片2の高さは、0.2mm以下(本実施例では0.08mm)に設定されている。この水晶振動片2の両主面21、22の平面視外周23はそれぞれ第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合する接合部位(接合面)となる。この接合部位には、当該ATカット水晶板より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層した接合材5が形成される。なお、接合材5は、図3に示すように、断面視矩形状に成形され、その厚さは1〜3μm(本実施例では2μm)に設定される。また、上記したように、水晶振動片2の両主面21、22の平面視外周23が、第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合面とされるので、本実施例にかかる水晶振動片2は、本体筐体部材の一つとされる。
【0033】
また、水晶振動片2の両主面21、22には、それぞれ励振電極24,25と、これらの励振電極24,25を外部電極(図示しない第1パッケージ3の電極パッド)と電気的に接続するために励振電極24,25から引き出された引出電極26,27と、一方の主面21に形成された引出電極26を他方の主面22に引回すスルーホール28と、励振電極24,25による振動が外部端子(本実施例では電極パッド(図示省略)との接続部位である平面視外周23に伝播するのを抑制する伝播抑制部29が形成されている。励振電極24,25及び引出電極26,27は、例えば、水晶振動板側からクロム、金の順に、あるいはクロム、金、クロムの順に、あるいはクロム、銀、クロムの順に積層して形成されている。また、伝播抑制部29は、両主面21、22間を貫通した貫通部であり、この伝播抑制部29により、引出電極26,27の形成箇所を除いて励振電極24,25と平面視外周23との間が伝播遮断される。具体的に、本実施例1では、スルーホール28が水晶振動片2の主面21(22)の平面視隅部に形成され、伝播抑制部29は、平面視外周23の各辺に沿って合計4つ形成されている。これら4つの伝播抑制部29の貫通形状は、それぞれ、平面視外周23に沿って形成された外周部位と、スルーホール28近傍を貫通部位の両端からそれぞれ平面視直角方向に折曲された2つの折曲部位との三辺の部位からなる。なお、水晶振動片2の周波数は、励振電極62間の水晶振動片2の厚みに関係する。
【0034】
第1パッケージ3は、図3に示すように、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に形成され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、水晶振動片2との接合面33である。この接合面33には、接合材5の塑性変形(下記参照)による応力を緩衝する緩衝材6と、水晶振動片2との接合に用いる接合材5とが設けられ、緩衝材6上に接合材5が積層して形成されている。なお、第1パッケージ3の高さは、0.1〜0.3mmの範囲内(本実施例では0.1mm)に設定されている。また、本実施例では、緩衝材6には第1パッケージ3より柔らかい材料である洋白やアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。また、接合材5は、緩衝材6より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、水晶振動片2に形成した接合材5と同一材料からなる。この接合材5では、ニッケルめっきが、金めっきと緩衝材6との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材5が金めっきからなってもよい。また、第1パッケージ3に形成された緩衝材6と接合材5は、図3に示すように、断面視台形状に成形され、緩衝材6は接合材5よりも容量(体積)が多い。また、緩衝材6の厚さは3〜9μm(本実施例では9μm)に設定され、接合材5の厚さは1〜3μm(本実施例では3μm)に設定され、緩衝材6の厚みは接合材5の厚みの約3倍に設定されている。
【0035】
また、第1パッケージ3の表面には、水晶振動片2の励振電極24,25と電気的に接続する複数の電極パッド(図示省略)が形成され、第1パッケージ3の平面視外周の四隅(隅部)にはキャスタレーションがそれぞれ設けられている。電極パッドは、第1パッケージ3の裏面に形成される端子電極(図示省略)にキャスタレーションやスルーホール28のビアを介して電気的に接続され、これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これら電極パッドおよび端子電極は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベースと一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド、端子電極のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルコバルトメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0036】
第2パッケージ4は、図3に示すように、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部41と、この底部41上に積層したセラミック材料の堤部42とから構成される箱状体に形成され、これら底部41と堤部42とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部42は、底部41の上面外周に沿って成形されている。この堤部42の上面(端面)は、水晶振動片2との接合面43である。この接合面43には、接合材5の塑性変形(下記参照)による応力を緩衝する緩衝材6と、水晶振動片2との接合に用いる接合材5とが設けられ、緩衝材6上に接合材5が積層して形成されている。なお、第2パッケージ4の高さは、0.1〜0.3mmの範囲内(本実施例では0.1mm)に設定されている。また、本実施例では、緩衝材6には第2パッケージ4より柔らかい材料である洋白やアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。また、接合材5は、緩衝材6より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、水晶振動片2と第1パッケージ3とに形成した接合材5と同一材料からなる。この接合材5では、ニッケルめっきが、金めっきと緩衝材6との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材5が金めっきからなってもよい。また、第2パッケージ4に形成された緩衝材6と接合材5は、図3に示すように、断面視台形状に成形され、緩衝材6は接合材5よりも容量(体積)が多い。また、緩衝材6の厚さは3〜9μm(本実施例では9μm)に設定され、接合材5の厚さは1〜3μm(本実施例では3μm)に設定され、緩衝材6の厚みは接合材5の厚みの約3倍に設定されている。
【0037】
上記した水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4とに形成した接合材5は、結晶構造が面心立方形からなり、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0038】
次に、上記した構成を用いた水晶振動子1の製造方法について、図1〜4を用いて説明する。
【0039】
第1パッケージ3の底部31と堤部32とを一体的に焼成して箱状体の第1パッケージ3を成形し、この第1パッケージ3の表面に、複数の電極パッドを形成する。なお、第1パッケージ3の他の構成(例えばキャスタレーションやスルーホール28など)の製造についての説明は省略する。箱状体に焼成した第1パッケージ3の接合面33に、ナノ粒子の吐出形成法により緩衝材料を吐出し、第1パッケージ3の接合面33に断面視台形の緩衝材6を形成する。この緩衝材6の形成後、緩衝材6の断面視台形の天面に接合材5を、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視台形の接合材5を形成し、第1パッケージ3を製造する。すなわち、すなわち、水晶振動片2の平面視外周23(接合面)に緩衝材6を設け、緩衝材6上に接合材5を積層して設ける。そして、第1パッケージ3と同様にして、第2パッケージ4を製造する。そのため、第2パッケージ4の製造工程は省略する。
【0040】
そして、上記したように構成された第1パッケージ3を、その箱状体に形成された第1パッケージ3の開口を上方に向けて配する。そして、この開口を封止するように水晶振動片2を、第1パッケージ3上に載置する。具体的に、第1パッケージ3の接合面33に形成された接合材5上に水晶振動片2の主面21の平面視外周23に形成された接合材5を接するように、水晶振動片2を第1パッケージ3上に載置する。
【0041】
第1パッケージ3上への水晶振動片2の載置を終えると、上記したように構成された第2パッケージ4を、箱状体に形成された第2パッケージ4の開口を下方に向けて配する。そして、この開口を封止するように第2パッケージ4を、水晶振動片2上に載置する。具体的に、水晶振動片2の主面22の平面視外周23に形成された接合材5上に第2パッケージ4の接合面43に形成された接合材5を接するように、第2パッケージ4を水晶振動片2上に載置する。
【0042】
上記したように、第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を順に積層した後に、これら第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を接合材5および緩衝材6を介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合する。この接合は真空雰囲気で行い、接合時に接合材5が塑性変形するとともに拡散接合し、緩衝材6では接合材5の塑性変形による応力を緩衝し、図3に示す接合材5および緩衝材6は、図1,2に示すように変形した状態で接合する。そして、これら接合材5および緩衝材6を接合することで、第1パッケージ3、水晶振動片2、および第2パッケージ4を接合し、内部空間12を気密封止して図1に示す水晶振動子1を製造する。
【0043】
上記した本実施例によれば、本体筐体11の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材(第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2)の接合を行うことができ、その結果、水晶振動子1の製造を効率的に行うことができる。また、シーム接合やレーザ接合による溶接封止や金錫等のろう材封止では、金属溶融時に発生する金属ガスの影響により水晶振動子1の経時特性が劣化することが懸念されるが、本実施例の金属拡散接合による封止では金属溶融ガスの悪影響がなく、極めて安定した経時特性が得られ、より信頼性の高い水晶振動子1を提供することができる。
【0044】
また、本実施例によれば、本体筐体部材(符号2,3,4)を緩衝材6と接合材5とを介して低温低圧により接合することができ、この接合の際に接合材5の塑性変形による応力を緩衝材6で緩衝させることができる。その結果、接合材5による本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を確実にすることができ、本体筐体部材(符号2,3,4)の間に異物やコンタミネーション、または金属欠陥などがあったとしても緩衝材6で緩衝(吸収)させることができる。すなわち、本実施例によれば、低温低圧によって接合材5を拡散し易い(すべり易い)状態にして本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を行うことができる。
【0045】
また、本実施例によれば、緩衝材6の緩衝作用により、本体筐体部材(第1パッケージ3と第2パッケージ4)の接合面33、43の表面粗さに関係なく本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を良好にすることができる。また、本実施例によれば、接合材5と緩衝材6の構成から、接合面33、43の表面が粗い場合であっても接合材5の拡散により接合を行うことができる。
【0046】
また、本実施例によれば、第1パッケージ3の堤部32の接合面33や、第2パッケージ4の堤部42の接合面43や、水晶振動片2の平面視外周23を接合部位としているので、接合材5と緩衝材6を介した第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2との低温低圧による接合がし易い。すなわち、接合時に低い圧力をかけるが、接合面33,43が第1パッケージ3と第2パッケージ4の堤部32,42であるので、この圧力が内部空間12内の構成(水晶振動片2の励振電極24,25など)に直接影響することはない。
【0047】
また、本実施例によれば、緩衝材6は接合材5よりも容量が多いので、接合材5の接合領域を小さくして、接合圧力を集中させることができ、接合強度をあげることができる。
【0048】
また、本実施例によれば、本体筐体部材(符号2,3,4)は絶縁性材料であるので、前記本体筐体部材を導電部材として用いることができないので、シーム封止を行うことを除外した構成となる。
【0049】
また、本実施例によれば、第1パッケージ3と第2パッケージ4はセラミックからなり、その高さを0.1mmに設定することで本体筐体11の高さを0.3mm以下に設定することが可能となり、本体筐体11の小型化を図るのに好ましい。
【0050】
また、本実施例によれば、緩衝材6または接合材5および緩衝材6をナノ粒子の緩衝材料の吐出より形成するので、マスクを用いて緩衝材6または接合材5および緩衝材6の形成位置を位置決めすることなく、所望の形成位置に緩衝材6または接合材5および緩衝材6を形成することができる。その結果、緩衝材6または接合材5および緩衝材6の形成領域が小さくなったとしても所望の形成位置に緩衝材6または接合材5および緩衝材6を形成することができる。また、緩衝材6または接合材5および緩衝材6をナノ粒子による吐出形成法により形成することで、非常に低温(例えば約25℃)で本体筐体部材(符号2,3,4)への接合を行うことができる。
【0051】
また、本実施例によれば、接合材5による複数の本体筐体部材(符号2,3,4)の接合は真空雰囲気で行うので、複数の本体筐体部材(符号2,3,4)の接合の際の温度や圧力などの接合条件が雰囲気に左右されることなく安定した状態で、接合材5による本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を行うことができる。具体的に、窒素ガスなどの不活性ガスによる雰囲気において接合材5による本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を行った場合、水晶振動片2の振動が雰囲気ガスによって邪魔されて動きにくくなり、その結果、直列共振抵抗値などの水晶振動子1の特性が劣化する。
【0052】
なお、本実施例では、第1パッケージ3および第2パッケージ4はともにセラミック材料からなり、その高さが0.1mmに設定されているが、この範囲は材料がセラミックである時に限定されるものであり、第1パッケージ3および第2パッケージ4の材料に水晶、シリコンやガラス用いた場合、特に水晶では各パッケージ(第1パッケージ3と第2パッケージ4)と水晶振動片2の高さを夫々0.05mm程度に設定することができ、その結果、これらを重ね合わせた本体筐体11の高さを0.2mm以下に設定することができ、さらに当該水晶振動子1の小型化に好適である。また、この場合、現状のセラミックでは採用できない更に小型サイズ(1.6×1.2mm未満のパッケージサイズ)の水晶振動子1を製造することができる。また、本体筐体部材(符号2,3,4)に薄いセラミック(例えば0.08mm以下)を用いた場合、本体筐体部材(符号2,3,4)の接合の際にセラミックに低温低圧をかけることでセラミックは反り、また表面の面精度が粗くなるが、本構成によればこのような不具合が生じ難くなる。
【0053】
また、本実施例では、接合材5の主構成に金めっきを用いているがメッキ形成は好適な一実施例でありこれに限定されるものではない。また、金以外であっても、結晶構造が面心立方形であり、第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2との接合時に塑性変形するとともに拡散接合するものであれば、他の材料(例えば、銅やアルミニウムなど)であってもよい。
【0054】
また、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを形成して接合材5を構成しているが、これに限定されるものではなく、金めっきのみで接合材5を構成してもよい。また、ニッケルめっきの代わりに、クロムメッキやタングステンメッキやこれらの組み合わせなどを用いてもよい。
【0055】
また、本実施例では、低温低圧の設定を、200℃、100kg/cm2としているが、これは最適な例であり、温度が25〜360℃、圧力が1〜500kg/cm2に設定されることが好適である。
【0056】
また、本実施例では、緩衝材6の材料に洋白やキュプロニッケル等を用いているが、これに限定されるものではなく、接合材7の塑性変形による応力を緩衝する材料であれば、他の材料であってもよい。具体的に、モース硬さが3.0以下のものであることが好ましく、材料として亜鉛、アルミニウ、アンチモン、銀、すず、銅、マグネシウムなどが挙げられる。
【0057】
また、本実施例では、圧電振動片に、ATカット水晶振動片を用いているが、これに限定されるものではなく、圧電振動を行うデバイスであればよい。例えば、音叉型水晶振動子であってもよい。また、圧電材料に水晶を用いているが、これに限定されるものではなく、セラミックなどの他の圧電材料であってもよい。
【0058】
また、本実施例では、複数の本体筐体部材(符号2,3,4)を接合材5を介して低温低圧により接合する。すなわち、外部からの圧力により複数の本体筐体部材(符号2,3,4)を接合する。そのため、本実施例に、超音波による複数の本体筐体部材の接合を追加方法として組み合わせることは可能である。ここでいう超音波による複数の本体筐体部材の接合は、分子の内部エネルギを高めて振動させて接合する方法である。
【実施例2】
【0059】
次に、本実施例2にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例2にかかる水晶振動子1は、上記した実施例1に対して、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4の構成で異なる。そこで、本実施例2では、上記した実施例1と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0060】
本実施例2にかかる水晶振動子1では、図5に示すように、本体筐体部材に、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持する第1パッケージ3と、第1パッケージ3に保持した水晶振動片2の励振電極24,25を気密封止するための第2パッケージ4とを用いている。なお、水晶振動子1のパッケージサイズは、1.6×1.2mmである。
【0061】
本実施例2にかかる水晶振動子1では、図5に示すように、第1パッケージ3と第2パッケージ4とが、その間に水晶振動片2を介在させて、接合材5を用いて低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。この接合材5による第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2との接合により本体筐体11の内部空間12が形成されるととともに、水晶振動片2に形成される励振電極24,25が気密封止される。
【0062】
水晶振動子1の各構成について、図5を用いて以下に説明する。
【0063】
水晶振動片2は、図5に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体のATカット水晶板(図示省略)からなり、両主面21、22の中央部が逆メサ状に凹部形成されている。また、この水晶振動片2の両主面21、22の凹部形成されていない平面視外周23はそれぞれ第1パッケージ3、第2パッケージ4と接合する接合部位(接合面)となる。この接合部位には、第1パッケージ3および第2パッケージ4との接合に用いる接合材5と、接合材5の塑性変形(下記参照)による応力を緩衝する緩衝材6と、が設けられ、緩衝材6上に接合材5が積層して形成されている。なお、水晶振動片2の高さは、0.03〜0.12mmの範囲内(本実施例では0.08mm)に設定され、両主面21、22の凹部底面間の厚さは、0.002〜0.03mmの範囲内(本実施例では0.016mm)に設定されている。また、本実施例では、緩衝材6に第1パッケージ3より柔らかい材料である洋白やアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。また、接合材5は、緩衝材6より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、水晶振動片2に形成した接合材5と同一材料からなる。この接合材5では、ニッケルめっきが、金めっきと緩衝材6との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材5が金めっきからなってもよい。また、緩衝材6と接合材5は、図5に示すように、断面視台形状に成形され、緩衝材6は接合材5よりも容量(体積)が多い。また、緩衝材6の厚さは3〜9μm(本実施例では9μm)に設定され、接合材5の厚さは1〜3μm(本実施例では3μm)に設定され、緩衝材6の厚みは接合材5の厚みの約3倍に設定されている。
【0064】
第1パッケージ3は、図5に示すように、一枚板の直方体のセラミック材料からなる。また、この第1パッケージ3の平面視外周は、水晶振動片2との接合面33である。この接合面33には、当該セラミック材料より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層した接合材5が形成される。なお、接合材5は、図5に示すように、断面視矩形状に成形され、その厚さは1〜3μm(本実施例では2μm)に設定される。
【0065】
第2パッケージ4は、図5に示すように、一枚板の直方体のセラミック材料からなる。また、この第2パッケージ4の平面視外周は、水晶振動片2との接合面43である。この接合面43には、当該セラミック材料より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層した接合材5が形成される。なお、接合材5は、図5に示すように、断面視矩形状に成形され、その厚さは1〜3μm(本実施例では2μm)に設定される。
【0066】
上記した水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4とに形成した接合材5は、結晶構造が面心立方形からなり、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0067】
次に、上記した構成を用いた水晶振動子1の製造方法について、図5を用いて説明する。
【0068】
一枚板の直方体の第1パッケージ3の表面に、複数の電極パッドを形成する。なお、ここでは、第1パッケージ3の他の構成(例えばキャスタレーションやスルーホール28など)の製造についての説明は省略する。第1パッケージ3の接合面33に、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視矩形の接合材5を形成し、第1パッケージ3を製造する。また、同様にして、第2パッケージ4を製造する。
【0069】
水晶振動片2の両主面21、22に逆メサ状の凹部を形成し、逆メサ状の凹部を形成した後に両主面21、22に励振電極24,25と引出電極(図示省略)を形成する。また、水晶振動片2の両主面21、22の平面視外周23に、ナノ粒子の吐出形成法により緩衝材料を吐出し、両主面21、22の平面視外周23に断面視台形の緩衝材6を形成する。この緩衝材6の形成後、緩衝材6の断面視台形の天面に接合材を、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視台形の接合材5を形成し、水晶振動片2を製造する。すなわち、水晶振動片2の平面視外周23(接合面)に緩衝材6を設け、緩衝材6上に接合材5を積層して設ける。
【0070】
そして、上記したように構成された第1パッケージ3を、接合材5を形成した面を上方に向けて配する。そして、この第1パッケージ上に水晶振動片2を載置する。具体的に、第1パッケージ3の接合面33に形成された接合材5上に水晶振動片2の主面21の平面視外周23に形成された接合材5を接するように、水晶振動片2を第1パッケージ3上に載置する。
【0071】
第1パッケージ3上への水晶振動片2の載置を終えると、上記したように構成された第2パッケージ4を、接合材5を形成した面を下方に向けて配する。そして、この水晶振動片2上に第2パッケージ4を載置する。具体的に、水晶振動片2の主面22の平面視外周23に形成された接合材5上に第2パッケージ4の接合面43に形成された接合材5を接するように、第2パッケージ4を水晶振動片2上に載置する。
【0072】
上記したように、第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を順に積層した後に、これら第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を接合材5および緩衝材6を介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合する。この接合は真空雰囲気で行い、接合時に接合材5が塑性変形するとともに拡散接合し、緩衝材6では接合材5の塑性変形による応力を緩衝し、図5に示す接合材5および緩衝材6は変形した状態で接合する。そして、これら接合材5および緩衝材6を接合することで、第1パッケージ3、水晶振動片2、および第2パッケージ4を接合し、内部空間12を気密封止して水晶振動子1を製造する。
【0073】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、上記した実施例1と同様に、本体筐体11の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を行うことができ、その結果、水晶振動子1の製造を効率的に行うことができる。そのため、上記した実施例1およびその変形例と同様の作用効果に関する記載は省略する。
【実施例3】
【0074】
次に、本実施例3にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例3にかかる水晶振動子1は、上記した実施例1,2に対して、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4の構成で異なる。そこで、本実施例3では、上記した実施例1,2と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1,2と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0075】
本実施例3にかかる水晶振動子1では、図6に示すように、本体筐体部材に、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持する第1パッケージ3と、第1パッケージ3に保持した水晶振動片2を気密封止するための第2パッケージ4とを用いている。なお、水晶振動子1のパッケージサイズは、1.6×1.2mmである。
【0076】
本実施例3にかかる水晶振動子1では、図6に示すように、第1パッケージ3と第2パッケージ4とが、その間に水晶振動片2を介在させて、接合材5を用いて低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。この接合材5による第1パッケージ3と第2パッケージ4と水晶振動片2との接合により本体筐体11の内部空間12が形成されるととともに、水晶振動片2に形成される励振電極24,25が気密封止される。
【0077】
水晶振動子1の各構成について、図6を用いて以下に説明する。
【0078】
水晶振動片2は、図6に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体のATカット水晶板(図示省略)からなり、両主面21、22の中央部がメサ状に凸部形成されている。具体的に、両主面21、22の中央部に2段の段部が形成されている。また、この水晶振動片2の両主面21、22の凸部形成されていない平面視外周23はそれぞれ第1パッケージ3、第2パッケージ4と接合する接合部位(接合面)となる。この接合部位には、第1パッケージ3および第2パッケージ4との接合に用いる接合材5と、接合材5の塑性変形(下記参照)による応力を緩衝する緩衝材6と、が設けられ、緩衝材6上に接合材5が積層して形成されている。なお、水晶振動片2の高さ(平面視外周23の厚さ)は、0.01〜0.05mmの範囲内(本実施例では0.032mm)に設定され、両主面21、22の凸部天面間の厚さは、0.03〜0.12mmの範囲内(本実施例では0.04mm)に設定されている。このように、本実施例にかかる水晶片2では、平面視外周23の厚さが両主面21、22の凸部天面間の厚さよりも低いために、本体筐体11の薄型化に適している。しかしながら、これは好適な例であってこれに限定されるものではなく、平面視外周23の厚さが両主面21、22の凸部天面間の厚さよりも高く設計されてもよい。また、本実施例では、緩衝材6に第1パッケージ3より柔らかい材料である洋白やアルミニウムや銅やマグネシウムを用いている。また、接合材5は、緩衝材6より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層したものであり、主構成を金メッキとし、水晶振動片2に形成した接合材5と同一材料からなる。この接合材5では、ニッケルめっきが、金めっきと緩衝材6との接合を良好にするために用いている。そのため、本実施例では、ニッケルめっき上に金めっきを積層しているが、これに限定されるものではなく、接合材5が金めっきからなってもよい。また、緩衝材6と接合材5は、図6に示すように、断面視台形状に成形され、緩衝材6は接合材5よりも容量(体積)が多い。また、緩衝材6の厚さは3〜9μm(本実施例では9μm)に設定され、接合材5の厚さは1〜3μm(本実施例では3μm)に設定され、緩衝材6の厚みは接合材5の厚みの約3倍に設定されている。
【0079】
第1パッケージ3は、図6に示すように、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部31と、この底部31上に積層したセラミック材料の堤部32とから構成される箱状体に形成され、これら底部31と堤部32とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、底部31の上面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面(端面)は、水晶振動片2との接合面33である。この接合面33には、当該セラミック材料より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層した接合材5が形成される。なお、接合材5は、図6に示すように、断面視矩形状に成形され、その厚さは1〜3μm(本実施例では2μm)に設定される。また、第1パッケージ3の高さは、0.1〜0.3mmの範囲内(本実施例では0.1mm)に設定されている。
【0080】
第2パッケージ4は、図6に示すように、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部41と、この底部41上に積層したセラミック材料の堤部42とから構成される箱状体に形成され、これら底部41と堤部42とが断面凹状に一体的に焼成されている。また、堤部42は、底部41の上面外周に沿って成形されている。この堤部42の上面(端面)は、水晶振動片2との接合面43である。この接合面43には、当該セラミック材料より柔らかい材料であって、ニッケルめっき上に金めっきを積層した接合材5が形成される。なお、接合材5は、図6に示すように、断面視矩形状に成形され、その厚さは1〜3μm(本実施例では2μm)に設定される。また、第2パッケージ4の高さは、0.1〜0.3mmの範囲内(本実施例では0.1mm)に設定されている。
【0081】
上記した水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4とに形成した接合材5は、結晶構造が面心立方形からなり、水晶振動片2と第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0082】
次に、上記した構成を用いた水晶振動子1の製造方法について、図6を用いて説明する。
【0083】
第1パッケージ3の底部31と堤部32とを一体的に焼成して箱状体の第1パッケージ3を成形し、この第1パッケージ3の表面に、複数の電極パッドを形成する。なお、ここでは、第1パッケージ3の他の構成(例えばキャスタレーションやスルーホール28など)の製造についての説明は省略する。第1パッケージ3の接合面33に、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視矩形の接合材5を形成し、第1パッケージ3を製造する。また、同様にして、第2パッケージ4を製造する。
【0084】
水晶振動片2の両主面21、22にメサ状の凸部を形成し、メサ状の凸部を形成した後に両主面21、22に励振電極24,25と引出電極(図示省略)を形成する。また、水晶振動片2の両主面21、22の平面視外周23に、ナノ粒子の吐出形成法により緩衝材料を吐出し、両主面21、22の平面視外周23に断面視台形の緩衝材6を形成する。この緩衝材6の形成後、緩衝材6の断面視台形の天面に接合材を、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視台形の接合材5を形成し、水晶振動片2を製造する。すなわち、水晶振動片2の平面視外周23(接合面)に緩衝材6を設け、緩衝材6上に接合材5を積層して設ける。
【0085】
そして、上記したように構成された第1パッケージ3を、その箱状体に形成された第1パッケージ3の開口を上方に向けて配する。そして、この開口を封止するように水晶振動片2を、第1パッケージ3上に載置する。具体的に、第1パッケージ3の接合面33に形成された接合材5上に水晶振動片2の主面21の平面視外周23に形成された接合材5を接するように、水晶振動片2を第1パッケージ3上に載置する。
【0086】
第1パッケージ3上への水晶振動片2の載置を終えると、上記したように構成された第2パッケージ4を、箱状体に形成された第2パッケージ4の開口を下方に向けて配する。そして、この開口を封止するように第2パッケージ4を、水晶振動片2上に載置する。具体的に、水晶振動片2の主面22の平面視外周23に形成された接合材5上に第2パッケージ4の接合面43に形成された接合材5を接するように、第2パッケージ4を水晶振動片2上に載置する。
【0087】
上記したように、第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を順に積層した後に、これら第1パッケージ3、水晶振動片2、第2パッケージ4を接合材5および緩衝材6を介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合する。この接合は真空雰囲気で行い、接合時に接合材5が塑性変形するとともに拡散接合し、緩衝材6では接合材5の塑性変形による応力を緩衝し、図6に示す接合材5および緩衝材6は変形した状態で接合する。そして、これら接合材5および緩衝材6を接合することで、第1パッケージ3、水晶振動片2、および第2パッケージ4を接合し、内部空間12を気密封止して水晶振動子1を製造する。
【0088】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子3およびその製造方法によれば、上記した実施例1,2と同様に、本体筐体11の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材(符号2,3,4)の接合を行うことができ、その結果、水晶振動子1の製造を効率的に行うことができる。そのため、上記した実施例1,2およびその変形例と同様の作用効果に関する記載は省略する。
【実施例4】
【0089】
次に、本実施例4にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例4にかかる水晶振動子1は、上記した実施例1〜3に対して、水晶振動片2と第2パッケージ4の構成で異なる。そこで、本実施例4では、上記した実施例1〜3と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1〜3と同様の作用効果及び変形例を有する。
【0090】
本実施例4にかかる水晶振動子1では、図7に示すように、本体筐体部材に、平面視矩形に成形されたATカット水晶振動片2(以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を内部空間12内で保持する第1パッケージ3と、第1パッケージ3に保持した水晶振動片2を気密封止するための第2パッケージ4(リッド)とを用いている。なお、水晶振動子1のパッケージサイズは、1.6×1.2mmである。
【0091】
本実施例4にかかる水晶振動子1では、図7に示すように、第1パッケージ3と第2パッケージ4とが接合材5を用いて低温低圧(25〜360℃、1〜100kg/cm2)により接合されている。この接合材5による第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合により本体筐体11の内部空間12が形成されるととともに、内部空間12内に水晶振動片2が気密封止される。なお、接合材5は、結晶構造が面心立方形からなり、第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合時に塑性変形するとともに拡散接合される。
【0092】
水晶振動子1の各構成について、図7を用いて以下に説明する。
【0093】
水晶振動片2は、図7に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体のATカット水晶板(図示省略)からなり、その両主面21、22に励振電極24,25と引出電極(図示省略)とが形成されている。なお、水晶振動片2の高さは、0.03〜0.12mmの範囲内(本実施例では0.08mm)に設定されている。
【0094】
第1パッケージ3は、実施例1と同様の構成からなり、ここでの説明を省略する。また、第2パッケージ4は、実施例2,3と同様の構成からなり、ここでの説明を省略する。
【0095】
次に、上記した構成を用いた水晶振動子1の製造方法について、図7を用いて説明する。
【0096】
第1パッケージ3の底部31と堤部32とを一体的に焼成して箱状体の第1パッケージ3を成形し、この第1パッケージ3の表面に、複数の電極パッドを形成する。なお、第1パッケージ3の他の構成(例えばキャスタレーションやスルーホール28など)の製造についての説明は省略する。箱状体に焼成した第1パッケージ3の接合面33に、ナノ粒子の吐出形成法により緩衝材料を吐出し、第1パッケージ3の接合面33に断面視台形の緩衝材6を形成する。この緩衝材6の形成後、緩衝材6の断面視台形の天面に接合材5を、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視台形の接合材5を形成し、第1パッケージ3を製造する。すなわち、水晶振動片2の平面視外周23(接合面)に緩衝材6を設け、緩衝材6上に接合材5を積層して設ける。
【0097】
そして、上記したように構成された第1パッケージ3に、上記した構成からなる水晶振動片2を搭載保持する。具体的に、第1パッケージ3に形成された電極パッド(図示省略)上に導電性接合材5(例えば導電性バンプ)を介して超音波接合などにより水晶振動片2の引出電極を電気的に接続するとともに水晶振動片2を接合する。
【0098】
第2パッケージ4の製造について、一枚板の直方体の第2パッケージ4の表面に、複数の電極パッドを形成する。なお、第2パッケージ4の他の構成の製造についての説明は省略する。第1パッケージ3の接合面33に、ナノ粒子の吐出形成法もしくはスクリーン印刷法により、断面視矩形の接合材5を形成し、第2パッケージ4を製造する。
【0099】
第1パッケージ3上への水晶振動片2の保持(載置)を終えると、上記したように構成された第2パッケージ4を、上記したように構成された第2パッケージ4を、接合材5を形成した面を下方に向けて第1パッケージ3上に載置する。具体的に、第1パッケージ3の接合面33に形成された接合材5上に第2パッケージ4の接合面43に形成された接合材5を接するように、第2パッケージ4を水晶振動片2上に載置する。
【0100】
上記したように、第1パッケージ3上に第2パッケージ4を載置した後に、これら第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合材5および緩衝材6を介して低温低圧(本実施例では200℃、100kg/cm2)により接合する。この接合は真空雰囲気で行い、接合時に接合材5が塑性変形するとともに拡散接合し、緩衝材6では接合材5の塑性変形による応力を緩衝し、接合材5および緩衝材6は変形した状態で接合する。そして、これら接合材5および緩衝材6を接合することで、第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合し、内部空間12に配された水晶振動片2を気密封止して水晶振動子1を製造する。
【0101】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1およびその製造方法によれば、上記した実施例1と同様に、本体筐体11の小型化が進んでも、シーム接合を用いずに本体筐体部材(第1パッケージ3と第2パッケージ4)の接合を行うことができ、その結果、水晶振動子1の製造を効率的に行うことができる。そのため、上記した実施例1およびその変形例と同様の作用効果に関する記載は省略する。
【0102】
なお、上記した実施例1〜4では、接合材5と緩衝材6との積層構造が、断面視形状が台形となるよう構成されているが、これに限定されるものではなく、緩衝材6上に接合材5が積層された構成であれば他の形態であってもよい。具体的に、図8〜11に示す形態であってもよい。なお、これら図8〜11は、夫々実施例4の水晶振動子1の製造後の接合材5および緩衝材6の部位を拡大した図である。そのため、実施例4と同一構成についての説明は省略し、異なる構成について説明する。
【0103】
図8に示す形態では、第1パッケージ3に形成される接合前の緩衝材6が断面半円形に形成され、その外周縁に沿って接合材5が形成される。そして、第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合した際に、図8に示すように、圧力をかける方向(図8では下方)に緩衝材6が変形する。なお、図8に示す黒丸は異物を示し、異物が混入された状態であっても、第1パッケージ3と第2パッケージ4との接合を行うことができる。
【0104】
図9に示す形態では、第1パッケージ3に形成される接合前の緩衝材6が断面三角形に形成され、その一辺が第1パッケージ3の接合面33に接し、その他の二辺に沿って接合材5が形成される。そして、第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合した際に、図9に示すように、圧力をかける方向(図9では下方)に緩衝材6が変形する。
【0105】
図10に示す形態では、上記した他の実施例や形態と異なり第2パッケージ4に洋白や銅やアルミニウムなどを用い、第2パッケージ4の接合面43に突出部44が設けられ、この突出部44の突出端面(平坦面)を接合面43として構成されている。そのため、突出部44が緩衝材6として用いられる。また、この接合面43に接合前の形状が断面矩形の接合材5が形成されている。このように、図10に示す形態では、接合材5の塑性変形による応力を緩衝する突出部44上に、接合材5が積層して形成されている。また、第1パッケージ3には、その接合面33にニッケルとタングステンとのメタライズ層7が形成され、このメタライズ層7上に断面矩形の接合材5が積層して形成されている。なお、第1パッケージ3の接合材5は、第2パッケージ4の接合材5より、その断面面積が小さい。そして、第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合した際に、図10に示すように、圧力をかける方向(図10では下方)に第2パッケージ4の突出部44がその主面方向(幅方向)に塑性変形し、また、接合材5の金メッキ部分が幅方向に膨張するように変形する。
【0106】
図11に示す形態では、上記した他の実施例や形態と異なり第2パッケージ4に洋白や銅やアルミニウムなどを用い、第2パッケージ4の接合面43に突出部44が設けられ、この突出部44の突出端面(平坦面)を接合面43として構成されている。そのため、突出部44が緩衝材6として用いられる。また、この接合面43に接合前の形状が断面矩形の接合材5が形成されている。このように、図11に示す形態では、接合材5の塑性変形による応力を緩衝する突出部44上に、接合材5が積層して形成されている。また、第1パッケージ3に形成される接合前の緩衝材6は断面台形に形成され、この緩衝材6上に断面矩形の接合材5が積層して形成されている。なお、第1パッケージ3の接合材5は、第2パッケージ4の接合材5より、その断面面積が小さい。そして、第1パッケージ3と第2パッケージ4とを接合した際に、図11に示すように、圧力をかける方向(図11では下方)に第2パッケージ4の突出部44がその主面方向(幅方向)に塑性変形し、加えて第1パッケージ3の緩衝材6が変形する。また、圧力をかけることで、第2パッケージ4の接合材5の金メッキ部分が幅方向に膨張するように変形する。以上により、図11に示す形態では緩衝機能がさらに向上する。
【0107】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、水晶振動子に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、実施例1にかかる水晶振動子の内部空間を公開した概略側面断面図である。
【図2】図2は、図1に示す接合材と緩衝材とによる接合部位の概略拡大図である。
【図3】図3は、実施例1にかかる水晶振動片と第1パッケージと第2パッケージとの概略構成図である。
【図4】図4は、実施例1にかかる水晶振動片の概略平面図である。
【図5】図5は、実施例2にかかる水晶振動片と第1パッケージと第2パッケージとの概略構成図である。
【図6】図6は、実施例3にかかる水晶振動片と第1パッケージと第2パッケージとの概略構成図である。
【図7】図7は、実施例4にかかる水晶振動片と第1パッケージと第2パッケージとの概略構成図である。
【図8】図8は、実施例4の他の例にかかる接合材と緩衝材とによる接合部位の概略拡大図である。
【図9】図9は、実施例4の他の例にかかる接合材と緩衝材とによる接合部位の概略拡大図である。
【図10】図10は、実施例4の他の例にかかる接合材と緩衝材とによる接合部位の概略拡大図である。
【図11】図11は、実施例4の他の例にかかる接合材と緩衝材とによる接合部位の概略拡大図である。
【符号の説明】
【0110】
1 水晶振動子
11 本体筐体
2 ATカット水晶振動片
23 平面視外周
3 第1パッケージ
33 接合面
4 第2パッケージ
43 接合面
5 接合材
6 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の本体筐体部材が接合材により接合されて本体筐体が構成される圧電振動デバイスの本体筐体部材において、
当該本体筐体部材の接合面に、結晶構造が面心立方形であり、他の本体筐体部材との接合時に塑性変形するとともに拡散接合する接合材と、前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材と、が設けられ、
前記緩衝材上に前記接合材が積層されたことを特徴とする圧電振動デバイスの本体筐体部材。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスの本体筐体部材において、
前記緩衝材は、前記接合材よりも容量が多いことを特徴とする圧電振動デバイスの本体筐体部材。
【請求項3】
複数の本体筐体部材が接合材を介して低温低圧により接合されて本体筐体が構成され、前記本体筐体の内部空間において圧電振動片の励振が行なわれる圧電振動デバイスにおいて、
前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記複数の本体筐体部材の接合時に塑性変形するとともに拡散接合し、
前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材が、前記本体筐体部材の接合面に設けられ、前記緩衝材上に接合材が積層して設けられたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記本体筐体部材は、絶縁性材料であることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項3または4に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記本体筐体部材はセラミックからなり、前記本体筐体の高さは0.2〜0.3mmの範囲内に設定されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項6】
請求項3または4に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記本体筐体部材は水晶、シリコンまたはガラスからなり、前記本体筐体の高さは0.2mm以下に設定されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項7】
複数の本体筐体部材を接合材を介して低温低圧により接合して本体筐体を構成し、前記本体筐体の内部空間において圧電振動片の励振を行なう圧電振動デバイスの製造方法において、
前記接合材は、結晶構造が面心立方形であり、前記複数の本体筐体部材の接合時に塑性変形するとともに拡散接合し、
前記接合材を前記複数の本体筐体部材それぞれの接合面に形成するとともに、前記複数の本体筐体部材の少なくとも1つの接合面と前記接合材との間に前記接合材の塑性変形による応力を緩衝する緩衝材を介在させることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記緩衝材または前記接合材および前記緩衝材を、ナノ粒子の緩衝材料の吐出より形成することを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記接合材による前記複数の本体筐体部材の接合は、真空雰囲気で行うことを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−10864(P2009−10864A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172315(P2007−172315)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】