説明

圧電振動子、及び圧電発振器

【課題】圧電振動子を小型化すると共に耐衝撃性を改善した圧電振動子を得る。
【解決手段】圧電振動素子1と、これを収容するパッケージ30と、を備えた圧電振動子2である。圧電振動素子1は、複数の振動腕10、これらを連接する基部7、各振動腕10の他方の端部に設けた錘部14を備えた圧電基板と、各振動腕の表裏面に形成され励振電極と、を備えている。更に、各錘部14の表裏に形成された電極膜と、各電極膜の少なくとも一部に設けられた無電極部18と、を有している。パッケージ30は、素子搭載パッド37、及び実装端子35を備えた絶縁基板と、気密封止する蓋体40と、絶縁基板上面に形成された干渉防止用凹部38と、を備えている。無電極部18は、干渉防止用凹部38の素子搭載パッド37寄り角部と接する部位を中心とした領域に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子の小型化を図ると共に、耐衝撃性を改善した圧電振動子、及びそれを用いた圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子の一種としての音叉型水晶振動子は、時計用の基準周波数源や、圧電ジャイロ装置用の角速度センサなどに用いられ、これらを搭載した電子機器等の小型化が進んでいる。これに伴い、圧電振動子の更なる小型化が求められている。
特許文献1には、図8に示すような耐衝撃性を改善した圧電デバイス(圧電振動子)が開示されている。図8(a)は平面図であり、同図(b)はP−P断面図である。圧電デバイス110は、圧電振動素子114と、この圧電振動素子114を収容するパッケージ本体111と、蓋体124と、を備えている。
【0003】
圧電振動素子114は、圧電基板と、該圧電基板上に形成された励振電極とから構成されている。圧電基板は、基部116と、基部116の一端縁からほぼ並行に突出された一対の振動腕115と、各振動腕115よりも外側の基部一端縁から各振動腕115と夫々離間しつつ並行に延びる一対の支持腕117と、各支持腕の先端に一体化された錘層121と、を備えている。振動腕115の夫々の表裏面には、基部116の近傍から中央部付近まで溝部118が形成されている。更に、溝部118と先端の錘層121との間には、各振動腕115を励振するための励振電極が形成されている。
パッケージ本体111は、上面に圧電振動素子114を収容する収容凹部113と、収容凹部113の内底面に形成された底面凹部122と、を備えている。更に、収容凹所の内底面の他の箇所には、各支持腕117の底面のリード電極と電気的に接続するための接続パッド119が形成されている。接続パッド119の上面には、圧電振動素子114の支持腕117が載置され、導電性接着剤120などから成る接合部125により接続されている。
圧電デバイス110に落下などの衝撃が加わると、圧電振動素子114は、接合部125を支点として基部116側が内底面112に向かって変形する一方で、振動腕115の先端側が底面112に向かって変形する。この時、先端錘層121を含む振動腕115の先端部が底面凹部122内に入り、溝部118と錘層121との間に位置する振動腕底面が底面凹部122の接触縁123に接触するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、音叉型圧電振動素子の振動腕の長さをLとしたとき、振動腕の先端から基部に向かって0.01×L離れた位置に、周波数調整用金属膜の端部を設ける例が示されている。落下による衝撃を受けても、周波数調整用金属膜は、パッケージ本体、又は蓋体に接触しないので、周波数の変動が軽減されると開示されている。
また、特許文献3には、振動腕の先端部に対応する位置に、矩形状の凹部が設けられたパッケージ本体に、音叉型圧電振動素子を収容した例が、開示されている。凹部を設けたことにより、外部からの衝撃により音叉型圧電振動素子の振動腕が下向きに振れても、振動腕の中間部が凹部の角に当接する。このため、振動腕の先端が破損して欠落したり、欠落した材料が音叉型圧電振動素子に再付着する虞がなく、周波数の変動に与える影響が少ないと開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−118501公報
【特許文献2】特開2009−290778公報
【特許文献3】特開2010−93859公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の圧電振動素子114では、振動腕115の先端側がパッケージ本体の内底面に向かって変形し、その結果、底面凹部122内に振動腕115の錘層121が入り、振動腕下面が底面凹部122の接触縁123と接触する。しかし、振動腕下面とパッケージ本体内底面との接触部の幅は振動腕の幅であり、接触部の近辺には溝部118も形成されているので、衝撃により接触縁123に激突する際に、振動腕が破損したり、一部が欠落する虞があった。
また、特許文献2、3に開示の音叉型圧電振動素子では振動腕方向の寸法が大きく、小型化に問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、圧電振動素子の小型化を図ると共に、耐衝撃性を改善した圧電振動子、及びそれを用いた発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本発明の圧電振動子は、圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容するパッケージと、を備えた圧電振動子であって、前記圧電振動素子は、複数の振動腕、各振動腕の一方の端部間を連接すると共に複数の電極パッドを備えた基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心に沿った表面及び裏面の少なくとも一方の面に形成された溝部、を備えた圧電基板と、前記各溝部内を含めた前記各振動腕の表裏面の少なくとも一方の面に夫々形成され、且つ前記複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、前記各錘部の表裏の少なくとも一部に形成された電極膜と、前記各電極膜の少なくとも一部に設けられた無電極部と、を有し、前記パッケージは、前記圧電振動素子の前記各電極パッドと夫々電気的機械的に接続される素子搭載パッド、及び実装端子を備えた絶縁基板と、前記素子搭載パッド上に搭載された前記圧電振動素子を含む前記絶縁基板上面を気密封止する蓋体と、前記絶縁基板上面に形成された干渉防止用凹部と、を備え、前記無電極部は、前記干渉防止用凹部の前記素子搭載パッド寄り角部と接する部位を中心とした領域に形成されていることを特徴とする圧電振動子である。
【0009】
各振動腕の端部に夫々各振動腕よりも幅広の錘部を連接し、各錘部の一部に無電極部を設けた圧電振動素子を形成する。一方、絶縁基板(パッケージ)は、その上面に素子搭載パッドと干渉防止用凹部と、を有し、圧電振動素子の支持腕を素子搭載パッドに接着・固定し、絶縁基板の主面に直交方向の衝撃が加えられた際に、各錘部に設けた無電極部が干渉防止用凹部の素子搭載パッド寄り角部と接触するように構成する。
錘部の無電極部が干渉防止用凹部の角部(接触縁)に当たるので、錘部に形成した電極膜の剥離等が生じる虞がなく、しかも、角部(接触縁)の先端に当たるのは、溝部が形成された振動腕ではなく、振動腕の幅より幅広の錘部である。そのため、衝撃に対し強く、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0010】
[適用例2]また、圧電振動子は、前記基部が、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする適用例1の圧電振動子である。
【0011】
圧電振動素子の基部が、基部本体と、連結部と、L字状及び逆L字状の各支持腕と、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、この連接部を連結部を介して基部本体の一方の端部中央に連接して構成されている。そのため、振動腕より各支持腕に漏洩する振動エネルギーは極めて小さくできるので、圧電振動子のQ値を大きく、つまりCI値を小さくすることが可能となると共に、耐衝撃性が改善され、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0012】
[適用例3]また、圧電振動子は、前記各錘部が、前記各振動腕の振動中心線に対し左右対称形状であり、前記各振動腕に近い部位よりも該各振動腕から離間した部位の方が幅広に形成されていることを特徴とする適用例1又は2に記載の圧電振動子である。
【0013】
各振動腕の端部に連接される各錘部が、各振動腕の振動中心線に対し対称であり、且つ振動腕より離れる部位の方が幅広に形成されているので、音叉振動が安定し、圧電振動素子(音叉型圧電振動素子)を小型化できると共に、耐衝撃性が改善され、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0014】
[適用例4]また、圧電振動子は、前記無電極部の幅員が、前記振動腕の長手方向と直交する幅方向両端部が最大で、幅方向中央部が最小となるように構成されていることを特徴とする適用例1乃至3の何れか1項に記載の圧電振動子である。
【0015】
無電極部は、その幅員が、振動腕の長手方向と直交する幅方向両端部が最大で、幅方向中央部が最小となるように構成されている。このような形状であると、振動腕が励振されているときに、圧電振動子の主面と直交する方向の衝撃が加えられても、無電極部が干渉防止用凹部の角部(接触縁)に当たるので、錘部に形成した電極膜が剥離して圧電振動子の周波数が変動する虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
【0016】
[適用例5]また、圧電振動子は、前記絶縁基板は上面にキャビティーを備えると共に、該キャビティー内に前記圧電振動素子を収容し、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線、及び前記各無電極部の中心部間を結ぶ直線に直交する直交線の長さをL0とし、前記素子搭載パッド上の固定部の厚さをtとし、前記錘部の先端部と前記干渉防止用凹部の外寄りの端縁との距離をw1とし、前記基部の外寄りの端縁と該外寄りの端縁と対向する前記キャビティーの内壁との距離をw2としたときに、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と直交し、前記無電極部の形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線の長さLが、
(t+(L0−w1)1/2<L<(t+(L0+w2)1/2
の範囲となるように、前記無電極部の形成領域が形成されていることを特徴とする適用例1乃至4の何れか1項に記載の圧電振動子である。
【0017】
パッケージ本体(絶縁基板)の素子搭載パッド中心と、基部本体のみを有する圧電振動素子の基部本体の支持点と、を合致するように圧電振動子を構成する。載置位置に多少の誤差が生じても上記の式に基づく範囲に無電極部を形成しておけば、無電極部が干渉防止用凹部の角部(接触縁)に当たるので、錘部に形成した電極膜が剥離して周波数が変動する虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。その上、小型化が可能な圧電振動子が得られるという効果がある。
【0018】
[適用例6]また、圧電振動子は、前記絶縁基板は上面にキャビティーを備えると共に、該キャビティー内に前記圧電振動素子を収容し、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線、及び前記各無電極部の中心部間を結ぶ直線に直交する直交線の長さをL0とし、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と前記基部本体の端縁と並行な前記支持腕の中心線との距離をL1とし、前記素子搭載パッド上の固定部の厚さをtとし、前記錘部の先端部と前記干渉防止用凹部の外寄りの端縁との距離をw1とし、前記基部の外寄りの端縁と該外寄りの端縁と対向する前記キャビティーの内壁との距離をw2としたときに、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と直交し、前記無電極部の形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線の長さLが、
(t+(L0+2×L1−w1)1/2−L1<L<(t+(L0+2×L1+w2)1/2−L1
の範囲となるように、前記無電極部の形成領域が形成されていることを特徴とする適用例1乃至4の何れか1項に記載の圧電振動子である。
【0019】
パッケージ本体(絶縁基板)の素子搭載パッド中心と、2つのL字状支持腕を有する圧電振動素子の支持点と、を合致するように圧電振動子を構成する。載置位置に多少の誤差が生じても上記の式に基づく範囲に無電極部を形成すれば、無電極部が干渉防止用凹部の角部(接触縁)に当たるので、錘部に形成した電極膜が剥離して周波数が変動する虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。その上、小型化が可能であり、CI値の小さな圧電振動子が得られるという効果がある。
【0020】
[適用例7]また、圧電発振器は、適用例1乃至6の何れか1項に記載の圧電振動子と、前記圧電振動素子を励振するIC部品と、を備えたことを特徴とする圧電発振器である。
【0021】
記の圧電振動素子と、該圧電振動素子を励振するIC部品と、これらを収容するパッケージと、を備えた圧電発振器を構成すると、小型で、且つ耐衝撃性に強い圧電発振器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る圧電振動素子の構成を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)はP−P断面図。
【図2】本発明に係る圧電振動子の構成を示す概略縦断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る圧電振動子を構成する圧電振動素子の構成を示す平面図。
【図4】(a)は圧電振動子の平面図であり、(b)はP−P断面図。
【図5】(a)は圧電振動子の平面図であり、(b)はP−P断面図、(c)は各部の位置関係を説明するための断面図。
【図6】(a)は錘部に形成する無電極部の変形例の平面図であり、(b)は振動腕要部の屈曲振動の説明図。
【図7】本発明に係る圧電発振器の構成を示す概略断面図。
【図8】従来の圧電振動子の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る圧電振動素子1の構成を示す平面図であり、同図(b)はP−P断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る圧電振動子2の構成を示す断面図である。
圧電振動子2は、圧電振動素子(音叉型圧電振動素子)1と、圧電振動素子1を収容するパッケージ本体30と、パッケージ本体30を気密封止する蓋部材40と、を概略備えている。
圧電振動素子(音叉型圧電振動素子)1は、圧電基板5と、圧電基板5の複数の振動腕10a、10bを励振するための励振電極20、22、24、26と、を概略備えている。
【0024】
圧電基板5は、複数の棒状の振動腕10a、10bと、各振動腕10a、10bの一方の端部(基端部)間を連接すると共に複数の電極パッド(図示せず)を備えた基部7と、各振動腕10a、10bの他方の端部(先端部)に夫々形成され、各振動腕10a、10bよりも幅広の錘部14(14a、14b、14c、14d)と、各振動腕10a、10bの振動中心線Bに沿った表面及び裏面の少なくとも一方の面に形成された溝部12a、12bと、を備えている。図1は、各振動腕10a、10bの表裏面に溝部12a、12b形成した例を示している。なお、圧電基板の外形及び溝部12a、12bは、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工で形成されている。
励振電極20、22、24、26は、蒸着法、又はスパッタリング法を用いて、各溝部12a、12b内を含めた各振動腕10a、10bの表裏面の少なくとも一方の面に夫々形成され、各励振電極20、22、24、26と、複数の電極パッド(図示せず)との間を夫々電気的に接続するリード電極と、が形成されている。
錘部14(14a、14b、14c、14d)は、表裏面の少なくとも一面の一部に形成された周波数調整用の電極膜と、各電極膜の少なくとも一部に設けられた電極が存在しない領域である無電極部18a、18bと、を有している。錘部14の先端側に周波数調整用の金属膜を形成すると、周波数の粗調が行い易くなるが、蓋部材と対面する錘部の上面側の先端部には金属膜を設けない方がよい。
【0025】
基部7の一例は、図1(a)に示したように、略矩形状の基部本体7aと、基部本体7aの他端縁中心部(連結部7d)を介して基部本体7aと連結されたL字状及び逆L字状の支持腕7b、7cと、連結部7dと、を備えている。L字状支持腕7bと、逆L字状の支持腕7cとの各端部とが連接され、この連接部分が連結部7dを介して基部本体7aの一方の端縁7a1の中央部に連結され、基部本体7aの他方の端縁7a2には各振動腕10a、10bの各端部が連結されて対称形状を構成している。L字状支持腕7bと、逆L字状の支持腕7cとの各自由端寄りには、例えば十字マークで示した支持中心7e、7fが形成されている。支持中心7e、7fを後述するパッケージ本体の内底面に配置される素子搭載パッド37の中心部と対応させた状態で、各支持腕は素子搭載パッド上に接続固定される。
各振動腕10a、10bは、基部本体7aの他端縁7a2上に所定の間隔を隔てて互いに平行に突設され、各振動腕10a、10bの先端部には振動腕10a、10bよりも幅広の各錘部14(14a、14b、14c、14d)が連接されている。
【0026】
錘部14は、各振動腕10a、10bの夫々先端部に連接される錘部14a、14b及び14c、14dを備え、各振動腕10a、10bの振動中心線Bに対し左右対称の形状である。錘部14は、各振動腕10a、10bに近い部位14b、14dよりも離間した部位14a、14cの方が幅広に形成されている。つまり、錘部14は、段差状に幅が漸増するように形成されている。なお、錘部14を設けることにより振動腕の長手方向長を短縮することが可能であり、圧電振動素子の小型化が図られる。
溝部12a、12bは、各振動腕10a、10bの表裏面の少なくとも一方の面に各振動中心線Bに対して対称に、各振動腕10a、10bの長手方向に沿って形成されている。つまり、各振動腕10a、10b、各溝部12a、12b、及び各錘部14は、互いに同一形状に形成され、音叉振動が安定的に励振されるよう圧電基板5の重心を通る中心線に対し対称に形成されている。これは振動腕10a、10bが屈曲振動で励振される際に、力学的バランスがよく、振動の安定度が保持されるためである。
【0027】
図1(b)は、各振動腕10a、10bに夫々形成された励振電極20、22、24、26の配置を示す断面図である。励振電極20、24は、各溝部12a、12bを含めた振動腕10a、10bの表裏面、及び各溝部12a、12bの側面に形成され、励振電極22、26は各振動腕10a、10bの夫々両側面に形成されている。
励振電極20、26と、励振電極22、24とに対しては、互いに異符号の電圧が基部に設けた複数の電極パッドを介して印加される。つまり、励振電極20、26に+電圧が印加されるとき、励振電極22、24には−電圧が印加され、図1(b)の矢印で示すような電界が生じ、圧電振動素子1の重心を通る中心線に対し対称な音叉振動が励振される。
なお、溝部12a、12bを形成することにより電界強度が強まり、音叉振動をより効率的に励振することができる。即ち、圧電振動素子のCI(クリスタルインピーダンスー)を小さくすることができる。
【0028】
図2は、圧電振動素子1と、これを収容するパッケージと、を備えた圧電振動子2の構成を示す断面図である。パッケージは、矩形の箱状に形成されているパッケージ本体(絶縁基板)30と、ガラス等からなる窓部材40aを有する蓋部材40と、を備えている。蓋部材40はパッケージ本体30の上面に形成されたキャビティ(凹陥部)を封止する。
パッケージ本体(絶縁基板)30は、図2に示すように、絶縁基板である第1の基板31と、第2の基板32と、環状の第3の基板33とを順次積層して形成されている。各基板31、32、33は、絶縁材料としての酸化アルミニウム質のセラミック・グリーンシートから成り、これらを箱状に成形した後で、焼結して形成されている。表面実装用の実装端子35は、第1の基板31の外部底面に複数形成されている。
第3の基板33は中央部が除去された環状体であり、第3の基板33の上部周縁に例えばコバール等の金属シールリング34が焼成されている。
【0029】
第2の基板32の上面と第3の基板33とにより、圧電振動素子1を収容するキャビティー(凹部)が形成されている。第2の基板32の上面の所定の位置には、導体により各実装端子35と電気的に導通する複数の素子搭載パッド37が設けられている。また、第2の基板32上面(キャビティー内底面)の一端部寄りには干渉防止用凹部38が形成されている。干渉防止用凹陥部38は、圧電振動素子1の先端部と対応する位置に形成されている。
素子搭載パッド37の中心は、圧電振動素子1を載置した際に、各L字状の支持腕7b、7cに形成したパッド電極(図示せず)の各支持中心7e、7f(例えば十字マーク)に対応するように配置されている。
【0030】
圧電振動子2を製造する場合は、まず、パッケージ本体30の素子搭載パッド37上に導電性接着剤42、例えばエポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤、ビスマレイミド系接着剤の何れかを適量塗布し、その上に圧電振動素子1の各支持腕7b、7cの遊端部を載置して荷重をかける。
パッケージ本体30内の素子搭載パッド37と圧電振動素子1とを接続する際には、導電性接着剤42を硬化させるために所定温度の高温炉内に所定時間入れる。アニール処理を施した後、上方から錘部14に形成した周波数調整用金属膜にレーザー光を照射して、金属膜の一部を蒸散させて周波数粗調を行う。ガラス窓部材40aを備えた蓋部材40を、パッケージ本体120の上面に形成したシールリング34に、シーム溶接する。
パッケージ本体底面の貫通孔39を封止する前に、加熱処理を施す。パッケージ本体の上下を逆にして、貫通孔39内の段差部上に金属球の充填材39aを載置する。充填材39aとしては金−ゲルマニウム合金等がよい。充填材39aにレーザー光を照射して溶融させ、貫通孔39を封止すると共にパッケージ内部を真空とする。
次に、パッケージの外部から窓部材40aを介してレーザー光をパッケージ内に照射し、振動腕に形成した周波数調整用金属膜を蒸散させて周波数微調整を行い、圧電振動子2を完成する。
【0031】
図3は、圧電振動素子(音叉型圧電振動素子)1の変形例(第2の実施例)である。圧電振動素子3は、圧電基板5と、圧電基板5の複数の振動腕10a、10bを励振するための励振電極20、22、24、26と、を概略備えている。
圧電基板5は、複数の棒状の振動腕10a、10bと、各振動腕10a、10bの一方の端部(基端部)間を連接すると共に複数の電極パッド(図示せず)を備えた基部本体7aと、各振動腕10a、10bの他方の端部(先端部)に夫々形成され、各振動腕10a、10bよりも幅広の錘部14(14a、14b、14c、14d)と、各振動腕10a、10bの振動中心線Bに沿った表裏面の少なくとも一方の面に形成された溝部12a、12bを備えている。
本実施形態では、図1の実施形態とは異なり、基部本体7aが支持腕を備えておらず、基部本体7aに設けたパッド電極の支持中心7e、7fが素子搭載パッドと接続される。
励振電極20、22、24、26については、図1で説明したものと同様であるので、重複した説明は省略する。
【0032】
図4(a)は、図3に示した圧電振動素子3が、パッケージ本体30上面のキャビティーCに収容された圧電振動子2の平面図であり、同図(b)はP−P断面図である。図4(b)の破線は、パッケージ主面に対し直交方向の衝撃が加えられる前の圧電振動素子を示し、実線は衝撃が加えられ湾曲した圧電振動素子3を示す。
図4(a)に示すように、基部本体7aのパッド電極(図示せず)に設けた支持中心7e、7f(例えば十字マーク)は、パッケージ本体30のキャビティーC内に配設した素子搭載パッド37の中心に合致するように載置され、導電性接着剤で接着・固定される。パッケージ本体30の内底面に形成された干渉防止用凹部38は、圧電振動子2に衝撃が加えられ、振動腕10a、10b及び錘部14が支持中心7e、7fを支点として湾曲した際に、錘部14の先端が干渉防止用凹部38内に入り込み、錘部14先端とパッケージ本体30の底面との激突を防止するための凹部である。
【0033】
本発明に係る圧電振動子(音叉型圧電振動子)2の動作について説明する。各素子搭載パッド37の中心部間を結ぶ直線Aと、各無電極部18a、18bの中心部間を結ぶ直線Dとの間の距離(直線Aと直線Dと直交する直線の長さ)をL0とし、素子搭載パッド37の厚さと、導電性接着剤42の厚さとの和である固定部の厚さをtとする。錘部14の先端部と干渉防止用凹部の外寄りの端縁38bとの距離をw1とし、基部本体7aの外寄りの端縁7a1と該外寄りの端縁7a1と対向するキャビティーCの内壁Caとの距離をw2とする。
衝撃等が印加されると振動腕10a(10b)及び錘部14は、固定部42を支点として湾曲するが、湾曲が微小なので、振動腕10a(10b)及び錘部14を直線で近似することができる。各素子搭載パッド37の中心部間を結ぶ直線Aと、接触部38p、つまり干渉防止用凹部38の中央寄りの接触縁38aに対応する部位と、の距離L2は、
L2=(t+L01/2
で表わされる。圧電振動素子3をパッケージ本体30のキャビティーC内に収容する際に、載置誤差や導電性接着剤42が硬化するときにズレが生じる虞がある。これらの誤差の最大は、図4(b)の図中右方へw1、左方へw2である。これらの誤差を考慮に入れ、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線Aと直交し、無電極部18a、18bの形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線(図示を省略した)の長さLが、
(t+(L0−w1)1/2<L<(t+(L0+w2)1/2 ・・・(1)
の範囲になるように、無電極部18a、18bの形成領域が配設されていれば、衝撃が加えられた際に、錘部14に形成した電極膜が干渉防止用凹部38の接触縁38aに当たる虞はない。
【0034】
無電極部18a、18bが式(1)の範囲に形成されていると、圧電振動子2に衝撃が加えられた際に、錘部14の無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の接触縁38aの先端に当たるので電極膜の剥離等が生じる虞がない。しかも、接触縁38aの先端に当たるのは、溝部12a、12bが形成された振動腕10a、10bではなく、振動腕10a、10bの幅より幅広の錘部14であるので、衝撃に対し強く、衝撃による破損の虞もない。
【0035】
図1乃至図3に示すように、各振動腕10a、10bの端部に夫々各振動腕よりも幅広の錘部14を連接し、各錘部の一部に無電極部18a、18bを設けた圧電振動素子2を形成する。一方、絶縁基板(パッケージ)30は、その上面に素子搭載パッド37と干渉防止用凹部38と、を有する。圧電振動素子1の支持腕7b、7c、或いは基部本体7aを素子搭載パッド37に接着、固定し、絶縁基板30の主面と直交する方向の衝撃が加えられた際に、各錘部14に設けた無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の素子搭載パッド37寄りの角部(接触縁)38aと接触するように構成する。
錘部14の無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の角部(接触縁)に当たるので、錘部14に形成した電極膜の剥離等が生じる虞がなく、しかも、角部(接触縁)に当たるのは、溝部が形成された振動腕10a、10bではなく、振動腕の幅より幅広の錘部14である。そのため、衝撃に対し強く、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子2が得られるという効果がある。
【0036】
図1の例では、各振動腕10a、10bの端部に連接される各錘部14が、各振動腕の振動中心線Bに対し対称であり、且つ振動腕より離れる部位の方が幅広に形成されているので、音叉振動が安定し、圧電振動素子(音叉型圧電振動素子)1を小型化できると共に、耐衝撃性が改善され、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子1が得られるという効果がある。
図4の例では、パッケージ本体(絶縁基板)30の素子搭載パッド37中心と、基部本体の支持点7e、7fとを合致するように圧電振動子2を構成する。載置位置に多少の誤差が生じても式(1)に基づく範囲内に無電極部18a、18bを形成すれば、無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の角部(接触縁)38aに当たるので、錘部14に形成した電極膜が剥離して周波数が変動する虞のない圧電振動子2が得られるという効果がある。その上、小型化が可能な圧電振動子が得られるという効果がある。
【0037】
図5(a)は、図1に示す圧電振動素子1をパッケージ本体30のキャビティーC内に収容した圧電振動子2の構成を示す要部平面図である。圧電振動素子1の支持腕7b、7cのパッド電極(図示せず)に設けた支持中心7e、7f(例えば十字マーク)は、パッケージ本体30のキャビティーC内に配設した素子搭載パッド37の中心に合致するように載置され、導電性接着で接着・固定(固定部)されている。パッケージ本体30のキャビティーC上面に形成された干渉防止用凹部38は、錘部14先端とパッケージ本体30の底面との激突を防止するための凹部である。
次に、図5(a)の構成の圧電振動子2に、落下などの衝撃が加えられたときの圧電振動素子1の変形状態について説明する。
圧電振動子2のパッケージの主面に直交方向に衝撃力が加えられると、圧電振動素子1は、固定部37を支点として変形し易い支持腕7b、7c側がパッケージの底面に向かって変形する。次に、この変形が基部の外側端縁で反射し、変形が基部7の中央部に伝搬し、振動腕10a、10bはその先端側がパッケージ底面に向かって変形する。そして、錘部14の先端が干渉防止用凹部38に入り、錘部14に形成した無電極部18a、18bの接触部の位置で干渉防止用凹部38の中央寄りの角部(接触縁)38aに接触する。
【0038】
図5(b)は、同図(a)と構造力学的に等価な平面図であり、同図(c)は構造力学的に等価な断面図である。つまり、基部本体7aの外寄りの端縁7a1と並行な支持腕7b、7cの一部(7b1、7c1)の中心線をEとすると、中心線Eに対し支持腕7b、7c自由端部7b2、7c2を、外側に折り曲げた形状は、図1(a)に示す圧電素子1と構造力学的に等価である。
従って、支持中心7e、7f(例えば十字マーク)は、図5(a)に示した元の位置から中心線Eに対し対称に外側に離れることになる。図5(a)に示した圧電振動素子の振動時の動作は、同図(b)、(c)に示した構成の圧電振動素子と同様となる。
【0039】
次に、圧電振動素子1を用いた圧電振動子(音叉型圧電振動子)2の動作について説明する。各素子搭載パッド37の中心部間を結ぶ直線Aと、各無電極部18a、18bの中心部間を結ぶ直線Dと夫々直交する直線の長さ(直線A、D間の距離)をL0とし、素子搭載パッド37の厚さと、導電性接着剤42の厚さとの和である固定部の厚さをtとする。錘部14の先端部と干渉防止用凹部の外寄りの端縁38bとの距離をw1とし、基部の外寄りの端縁7a1と該外寄りの端縁7a1と対向するキャビティーCの内壁Caとの距離をw2とする。
衝撃等が印加されると振動腕10a(10b)及び錘部14は、固定部42を支点として湾曲するが、湾曲が微小なので、振動腕10a(10b)及び錘部14を直線として近似することができる。支持中心7e、7fと、接触部38p、つまり干渉防止用凹部38の中央寄りの端縁である接触縁38aに対応する部位との距離L2は、
L2=(t+(L0+2×L1)1/2−L1
で表わされる。圧電振動素子1をパッケージ本体30のキャビティーC内に載置するに際して、載置誤差や導電性接着剤42が硬化するときにズレが生じる虞がある。これらの誤差の最大は、図5(a)の図中右方へw1、左方へw2である。これらの誤差を考慮に入れ、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線Aと直交し、無電極部18a、18bの形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線(図示を省略した)の長さLが、
(t+(L0+2×L1−w1)1/2−L1<L<(t+(L0+2×L1+w2)1/2−L1 ・・・(2)
の範囲になるように、無電極部18a、18bの形成領域が配設されていれば、落下等の衝撃が加えられた際に、錘部14に形成した電極膜が干渉防止用凹部38の端縁38a上部に当たる虞はない。
【0040】
無電極部18a、18bが、式(2)の範囲に形成されていると、圧電振動子2に衝撃が加えられて際に、錘部14の無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の接触縁38aの先端に当たるので、電極膜の剥離等が生じる虞がない。しかも、接触縁38aの先端に当たるのは、溝部12a、12bが形成された振動腕10a、10bではなく、振動腕10a、10bの幅より幅広の錘部14であるので、衝撃に対し強く、衝撃による破損の虞もない。
以上の説明の中の圧電基板としては、水晶基板、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板、ランガサイト基板等がある。また、セラミック圧電基板を用いてもよい。
【0041】
図1、図5に示した実施形態では、圧電振動素子1の基部7は、基部本体7aと、連結部7dと、L字状及び逆L字状の各支持腕7b、7cと、を有し、L字状及び逆L字状の各端部同志を連接し、この連接部を、連結部7dを介して基部本体7aの一方の端部中央に連接して構成されている。そのため、振動腕10a、10bから各支持腕7b、7cに漏洩する振動エネルギーを極めて小さくできるので、圧電振動子のQ値を大きく、つまりCI値を小さくすることが可能となると共に、耐衝撃性が改善され、衝撃による欠損、破損等による周波数変動の虞のない圧電振動子が得られるという効果がある。
パッケージ本体(絶縁基板)30の素子搭載パッド37中心と、2つのL字状支持腕7b、7cを有する圧電振動素子1の支持点7e、7fと、を合致するように圧電振動子2を構成する。載置位置に多少の誤差が生じても、無電極部18a、18bの形成領域を上記の式(2)に基づいて決めれば、無電極部18a、18bが干渉防止用凹部38の角部(接触縁)38aに当たるので、錘部14に形成した電極膜が剥離して周波数が変動する虞のない圧電振動子2が得られるという効果がある。その上、小型化が可能であり、CI値の小さな圧電振動子が得られるという効果がある。
【0042】
次に、図6(a)は、錘部14に形成する無電極部18a(18b)の変形例である。無電極部18a(18b)の幅員は、振動腕10a(10b)の長手方向と直交する幅方向両端部が最大で、幅方向中央部が最小となるように構成する。この理由は、振動腕10a(10b)が絶縁基板30の面内で、図6(b)に示すように、屈曲振動をしているときに、絶縁基板30底面に対し直交方向の衝撃等が印加された際に、無電極部18a(18b)が干渉防止用凹部38の接触縁(角部)38aに当たるようにするためである。
無電極部18a(18b)が上記の形状に形成されていると、錘部14に形成した電極膜が剥離して周波数が変動する虞のない圧電振動子2が得られるという効果がある。
図1、図5では、各支持腕7b、7cの支持中心7e、7fを夫々1カ所で説明したが、各支持腕7b、7cに複数の支持点を設けてもよい。複数の支持点がある場合は、夫々を支点として無電極領域を設定する。
【0043】
図7は、圧電発振器4の構成を示す断面図である。
圧電発振器4は、圧電振動素子1(3)と、圧電振動素子1(3)を励振するIC部品68と、圧電振動素子1(3)を真空封止すると共にIC部品68を収容するパッケージ本体50及び窓部材65a有する蓋部材65と、を備えている。圧電振動素子にレーザー光を照射して粗調製、微調整する手法、また、パッケージの内部を真空にして貫通孔28の封止する手法等は、圧電振動子2の場合と同様であるので省略する。IC部品68はパッケージ50のIC部品搭載パッド59に、金属バンプ66等を用いて電気的に導通接続する。
なお、図7に示した圧電発振器4の断面図では、IC部品68が気密封止されていない例を示したが、IC部品68をパッケージ内部に配置し、気密封止してもよい。
図1、図3に示す圧電振動素子1、3と、圧電振動素子1、3を励振するIC部品68と、これらを収容するパッケージ50と、を備えた圧電発振器4を構成すると、小型で、且つ耐衝撃性に強い圧電発振器が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0044】
1…圧電振動素子、2…圧電振動子、5…圧電基板、7…基部、7a…基部本体、7b、7c…支持腕、7d…連結部、7e、7f…支持中心、8…基部端縁、10a、10b…振動腕、12a、12b…溝部、14、14a、14b、14c、14d…錘部、18a、18b…無電極部、20、22、24、26…励振電極、30、50…パッケージ本体、31、32、33…セラミック基板、34…シールリング、35、55…実装端子、36、56導体、37、57…素子搭載パッド、38…干渉防止用凹部、38a…接触縁、39b…端縁、39、58…貫通孔、39a、58a…充填材、40、65…蓋部材、65a…窓部材、42、60…導電性接着剤、59…IC部品搭載パッド、66…金属バンプ、68…IC部品、A、D、E…中心線、B…振動中心線、Ca…端縁、w1、w2…水平距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子と、該圧電振動素子を収容するパッケージと、を備えた圧電振動子であって、
前記圧電振動素子は、複数の振動腕、各振動腕の一方の端部間を連接すると共に複数の電極パッドを備えた基部、前記各振動腕の他方の端部に夫々形成され該各振動腕よりも幅広の錘部、及び、前記各振動腕の振動中心に沿った表面及び裏面の少なくとも一方の面に形成された溝部、を備えた圧電基板と、前記各溝部内を含めた前記各振動腕の表裏面の少なくとも一方の面に夫々形成され、且つ前記複数の電極パッドとの間を夫々電気的に接続される励振電極と、前記各錘部の表裏の少なくとも一部に形成された電極膜と、前記各電極膜の少なくとも一部に設けられた無電極部と、を有し、
前記パッケージは、前記圧電振動素子の前記各電極パッドと夫々電気的機械的に接続される素子搭載パッド、及び実装端子を備えた絶縁基板と、前記素子搭載パッド上に搭載された前記圧電振動素子を含む前記絶縁基板上面を気密封止する蓋体と、前記絶縁基板上面に形成された干渉防止用凹部と、を備え、
前記無電極部は、前記干渉防止用凹部の前記素子搭載パッド寄り角部と接する部位を中心とした領域に形成されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項2】
前記基部は、基部本体と、該基部本体の前記振動腕とは反対側の他端縁中間部に設けた連結部と、該連結部を介して連接され且つ前記基部本体とは離間して延びる左右一対の支持腕と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項3】
前記各錘部は、前記各振動腕の振動中心線に対し左右対称形状であり、前記各振動腕に近い部位よりも該各振動腕から離間した部位の方が幅広に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電振動子。
【請求項4】
前記無電極部の幅員は、前記振動腕の長手方向と直交する幅方向両端部が最大で、幅方向中央部が最小となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の圧電振動子。
【請求項5】
前記絶縁基板は上面にキャビティーを備えると共に、該キャビティー内に前記圧電振動素子を収容し、
前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線、及び前記各無電極部の中心部間を結ぶ直線に直交する直交線の長さをL0とし、前記素子搭載パッド上の固定部の厚さをtとし、前記錘部の先端部と前記干渉防止用凹部の外寄りの端縁との距離をw1とし、前記基部の外寄りの端縁と該外寄りの端縁と対向する前記キャビティーの内壁との距離をw2としたときに、
前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と直交し、前記無電極部の形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線の長さLが、
(t+(L0−w1)1/2<L<(t+(L0+w2)1/2
の範囲となるように、前記無電極部の形成領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧電振動子。
【請求項6】
前記絶縁基板は上面にキャビティーを備えると共に、該キャビティー内に前記圧電振動素子を収容し、
前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線、及び前記各無電極部の中心部間を結ぶ直線に直交する直交線の長さをL0とし、前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と前記基部本体の端縁と並行な前記支持腕の中心線との距離をL1とし、前記素子搭載パッド上の固定部の厚さをtとし、前記錘部の先端部と前記干渉防止用凹部の外寄りの端縁との距離をw1とし、前記基部の外寄りの端縁と該外寄りの端縁と対向する前記キャビティーの内壁との距離をw2としたときに、
前記各素子搭載パッドの中心部間を結ぶ直線と直交し、前記無電極部の形成領域内のいずれかの点を始点とする直交線の長さLが、
(t+(L0+2×L1−w1)1/2−L1<L<(t+(L0+2×L1+w2)1/2−L1
の範囲となるように、前記無電極部の形成領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧電振動子。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の圧電振動子と、前記圧電振動素子を励振するIC部品と、を備えたことを特徴とする圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120075(P2012−120075A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270014(P2010−270014)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】