圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置
【課題】 圧電振動子を半導体素子等の他の電子部品とともに収容しても小型化が可能であり、かつ圧電振動子の発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れた圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を提供すること。
【解決手段】 上面に３つの凹部が形成された絶縁基体１と、絶縁基体１の上面の３つの凹部５の周囲に全周にわたって形成された枠部１０と、枠部１０の内側から絶縁基体１の外表面にかけて形成された配線導体６と、絶縁基体１の上面に３つの凹部５を塞ぐように取着される蓋体７とを具備しており、３つの凹部５のうちの２つにそれぞれ圧電振動子２，３が収容されるとともに他の１つに電子部品４が収容され、蓋体７の上面に半導体素子８が搭載されている。および電子部品４が収容され、蓋体７の上面に半導体素子８が搭載されている。
【解決手段】 上面に３つの凹部が形成された絶縁基体１と、絶縁基体１の上面の３つの凹部５の周囲に全周にわたって形成された枠部１０と、枠部１０の内側から絶縁基体１の外表面にかけて形成された配線導体６と、絶縁基体１の上面に３つの凹部５を塞ぐように取着される蓋体７とを具備しており、３つの凹部５のうちの２つにそれぞれ圧電振動子２，３が収容されるとともに他の１つに電子部品４が収容され、蓋体７の上面に半導体素子８が搭載されている。および電子部品４が収容され、蓋体７の上面に半導体素子８が搭載されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を絶縁基体の内部に収容する圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置に関するものであり、特に、圧電振動子を、半導体素子等の他の電子部品とともに気密に収容する圧電振動子収納用パッケージおよびその圧電振動子収納用パッケージを用いた圧電装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
携帯電話や自動車電話等の通信機器、コンピュータ、ＩＣカード等の情報機器等の電子機器において、周波数や時間の基準となる発振器として、水晶振動子等の圧電振動子を圧電振動子収納用パッケージ（以下、単にパッケージともいう）内に気密に収納して成る圧電装置が広く使用されている。
【０００３】
このような圧電装置として、近年、圧電振動子としてＡＴカット型水晶振動子と音叉型水晶振動子とを１つのパッケージ内に収納するとともに、そのパッケージに、発振回路を有する半導体素子等の制御用の電子部品を搭載し収納した構造の、複数の発振源を有する圧電装置、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が提案されている。
【０００４】
なお、ＡＴカット型水晶振動子は例えばＭＨz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子は例えばｋＨｚ帯でサブクロック用（例えば待機動作用等）として機能する。
【０００５】
図３（ａ）は、従来の圧電装置の構成を概略的に示した平面図であり、図３（ｂ）は、その断面図である。同図において、５１は基板、５２は圧電振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する半導体素子、５３は圧電振動子としてのＡＴカット型水晶振動子、５４は圧電振動子としての音叉型水晶振動子である。発振回路を有する半導体素子５２は、基板５１上に導電性接着剤により固定され、さらにボンディングワイヤ５６等の電気的接続手段により接続用パッド５７に電気的に接続され、基板５１の外周部下面に配置された入出力用端子６０と電気的に接続されている。
【０００６】
また、所定周波数で発振するＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４は、基板５１の上面に形成された凹部５５内の搭載部にそれぞれ接合され、基体５１の上面に凹部５５を取り囲むように形成された封止用メタライズ層５８に蓋体６２等を半田等のロウ材で接合することによりＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４が気密に封止され、圧電装置が構成されている。
【０００７】
このような圧電装置は、例えば、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板６１の所定位置に入出力用端子６０を半田等を介して接続することにより実装され、メインクロック用の発振源であるＡＴカット型水晶振動子５３から電子機器の電気回路に通信周波数等の基準信号が送信される。また、電子機器の主電源を切断したときにはサブクロック用（待機動作用）の音叉型水晶振動子５４が作動し続け、例えば計時やタイマーを継続する等の機能をなす。
【０００８】
なお、５９は、圧電振動子５３，５４や半導体素子５２とともに発振回路を形成する容量素子やインダクタ素子等の電子部品である。
【特許文献１】特開平６−２３２６３１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、このように１つのパッケージに複数の圧電振動子５３，５４と、半導体素子５２等の他の電子部品５９とを搭載し、収納した場合、それらの実装面積が大きくなるためにパッケージの外形が大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
【００１０】
また、圧電装置の凹部５５に収容するＡＴカット型水晶振動子５３と音叉型水晶振動子５４等の圧電振動子は、長期間の使用において安定した特定周波数の発振のために、凹部５５内に真空封止されることが一般的であり、基板５１上の半導体素子５２の搭載部以外に圧電振動子５３，５４を気密封止するための封止用メタライズ層５８を設けなければならず、それらの実装面積が大きくなるためパッケージの外形がさらに大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
【００１１】
特に、上記デュアルクロックモジュールタイプの圧電装置のように、基板５１にＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４を同時に搭載すると、圧電装置として非常に大きなものとなる。
【００１２】
また、基板５１に半導体素子５２、ＡＴカット型水晶振動子５３や音叉型水晶振動子５４等の圧電振動子、および電子部品５９を同時に搭載し、収容する場合、圧電振動子においては、例えばＡＴカット型水晶振動子５３はＭＨz帯の高い周波数で機能し、音叉型水晶振動子５４は、例えばｋＨｚ帯の比較的低い周波数で機能することになり、凹部５５内に収容されて隣り合う箇所に搭載された圧電振動子５３，５４のそれぞれに発生する電磁波が圧電振動子５３，５４の発振周波数特性に悪影響を与えるという問題点があった。
【００１３】
また、半導体素子５２や容量素子、インダクタ素子等の電子部品５９においても、凹部５５内に収容された圧電振動子５３，５４とともに発振回路を形成することになり、それぞれの電子部品で発生する電磁波が圧電振動子５３，５４の発振周波数特性に悪影響を与えるという問題点があった。
【００１４】
また、圧電装置の基板５１の外周部下面に配置された入出力用端子６０が接続される外部回路基板６１は、一般に、その材質がガラスエポキシ等からなる樹脂製であり、基板５１の材質として多用されるセラミックス（アルミナセラミックス等）とは熱膨張係数が異なることから、基板５１の外形寸法が大きくなるに伴って接続後の温度サイクルによって基板５１の下面の外周部に配置された入出力用端子６０と、外部回路基板６１の主面に形成された接続パッドとの間に熱応力が生じ易くなり、この熱応力により入出力用端子６０の接続部分において、半田クラックや断線等の不具合が発生するという問題点があった。
【００１５】
本発明は、かかる従来の技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、圧電振動子を半導体素子等の他の電子部品とともに収容しても小型化が可能であり、かつ圧電振動子の発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れた圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明の圧電振動子収納用パッケージは、上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、該絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、前記絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とするものである。
【００１７】
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、３つの前記凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する前記凹部にそれぞれ前記圧電振動子が収容され、中央に位置する前記凹部に前記電子部品が収容されることを特徴とするものである。
【００１８】
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることを特徴とするものである。
【００１９】
本発明の圧電装置は、上記本発明の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の圧電振動子収納用パッケージによれば、上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、枠部の内側から絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、蓋体の上面に半導体素子が搭載されることから、圧電振動子と半導体素子とを、一定の間隔をおいて上下に並べて収容することができるので、例えば、半導体素子を搭載するのに最小限必要な絶縁基体の平面面積で、半導体素子だけでなく圧電振動子および電子部品も上下に配置して収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
【００２１】
また、絶縁基体の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
【００２２】
さらに、圧電振動子や電子部品を収容する空間と半導体素子が搭載された空間とを蓋体によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子等で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子の特性（例えば、圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。
【００２３】
また、２つの圧電振動子および電子部品が、それぞれ３つの凹部に分かれて収容され、各凹部は蓋体で塞がれているので、２つの圧電振動子および電子部品を、凹部を仕切る壁および蓋体により効果的に個別に電磁的に遮断することができ、電子部品で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響や、２つの圧電振動子同士の間で互いに振動や電磁波等が干渉して影響を与え合うようなことを有効に防止し、圧電振動子の特性（例えば、圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。
【００２４】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、３つの凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する凹部にそれぞれ圧電振動子が収容され、中央に位置する凹部に前記電子部品が収容されることから、中央の凹部の電子部品を収容する空間により、圧電振動子同士をそれぞれ間隔を大きくして隔離することができ、圧電振動子のそれぞれに発生する電磁波によりそれぞれの圧電振動子の発振周波数特性に悪影響を与えることをより効果的に防止することができる。
【００２５】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることから、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置を小型に形成することができ、このような圧電装置が部品として使用される携帯電話等の電子機器の小型化を効果的に行なうことができる。さらに小型化により配線経路を短くすることができるため、消費電力を低減することができ、電子機器の低消費電力化を効果的に行なうことができる。
【００２６】
また、本発明の圧電装置によれば、上記構成の圧電振動子収納用パッケージと、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された圧電振動子と、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された電子部品と、蓋体の上面に搭載されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された半導体素子とを具備していることから、小型化が可能であり、かつ圧電振動子の発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２７】
次に、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を添付の図面を基に説明する。図１（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、図１（ｂ）はその断面図である。
【００２８】
図１（ａ），（ｂ）において、１は絶縁基体、２は圧電振動子としてのＡＴカット型水晶振動子、３は圧電振動子としての音叉型水晶振動子、４は電子部品、１０は枠部、６は枠部の内側から絶縁基体１の外表面にかけて形成された配線導体、７は蓋体、８は半導体素子である。
【００２９】
絶縁基体１、配線導体６、枠部１０および蓋体７により本発明の圧電素子収納用パッケージが主に構成され、絶縁基体１の上面に形成されている３つの凹部５内に圧電振動子であるＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および電子部品４を収納するとともに、絶縁基体１の上面の凹部５を塞ぐように蓋体７を取着することにより、絶縁基体１の各凹部５と蓋体７とで形成される各容器の内側にＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および電子部品４が気密に収納され、さらに蓋体７の上面に半導体素子８を搭載することにより、本発明の圧電装置が基本的に形成される。この圧電装置は、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板（図示せず）に実装されて使用される。なお、圧電振動子２，３は、３つの凹部５のうち２つに分けて収容され、他の１つの凹部５に電子部品４が収容される。
【００３０】
絶縁基体１は、上面に圧電振動子２，３および電子部品４を収容するための凹部５を３つ有し、この凹部５と蓋体７とで圧電振動子（ＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３等）および電子部品４を気密に封止することができる。
【００３１】
ここで、絶縁基体１は、酸化アルミニウム質焼結体（アルミナセラミックス）や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミックスやガラスエポキシ樹脂等の樹脂系材料等から成る電気絶縁材料から成り、例えば一辺の長さが５〜２０ｍｍ程度で厚みが１〜５ｍｍ程度の直方体状である。
【００３２】
絶縁基体１は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、以下のようにして作製される。まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バンイダ、溶剤、可塑剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクタブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形し、複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して四角板状のものと四角形状の打ち抜き部が中央部に３つ形成されたものを形成し、四角板状のものが下層に位置するとともに四角形状の打ち抜き部を有するものが上層に位置するように上下に積層することにより上面に３つの凹部５を有する積層体を形成し、その積層体を高温（約１６００℃）で焼成することにより作製される。
【００３３】
この場合、グリーンシートのうち各打ち抜き部の間に残っている帯状等の部分が、それぞれの凹部５の間を区切る壁になる。
【００３４】
なお、絶縁基体１の中央部に大きな凹部を形成しておいて、その大きな凹部の底面に壁材を取着して３つの凹部５に区切るようにしてもよい。
【００３５】
好ましくは、複数の凹部５同士を区切る壁の内部や表面に蓋体７に接合されるビアや側面導体が形成されているのがよい。これにより、蓋体７に搭載された半導体素子８から発生する熱を蓋体７、複数の凹部５同士を区切る壁に形成されたビア、および複数の凹部５同士を区切る壁に形成された側面導体よって良好に放散させることができ、半導体素子８を長期にわたり良好に作動させることができるとともに、複数の凹部５に収容された圧電振動子２，３および電子部品４をこのビアや側面導体によって良好に電磁的に遮断することができる。より好ましくは、複数の凹部５同士を区切る壁が金属から成るのがよい。これにより、半導体素子８から発生する熱の放熱性や電磁的遮断の効果がより向上する。
【００３６】
絶縁基体１の上面には、３つの凹部５を塞ぐようにして蓋体７が取着される。蓋体７は、凹部５を塞いで圧電振動子２、３および電子部品４を気密封止する機能をなす。また、蓋体７は、上面に半導体素子８が搭載される搭載部として機能したり、半導体素子８から発生する熱を外部に逃がすための放熱板としても機能する。
【００３７】
蓋体７は、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属や、酸化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミック材料、金属粉末を含む有機樹脂等により形成される。
【００３８】
蓋体７の凹部５の上面に対する取着は、例えば、ろう材や半田、ガラス、有機樹脂接着剤等の接合材を介して接合すること等により行なうことができる。
【００３９】
この蓋体７の上面に半導体素子８が搭載される。半導体素子８は、例えば、リアルタイムクロック用の水晶振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する制御用の素子等であり、蓋体７の上面に半田や接着剤などによって取着される。特に金属製の蓋体７に半田や銀ペースト等の導電性，熱伝導性に優れた接着剤で接合固定すると、半導体素子８で発生した熱を良好に放散させることができ、半導体素子８の温度上昇による誤動作を有効に防止することができる。蓋体７は、例えば、鉄−ニッケル−コバルト合金から成る場合であれば、鉄−ニッケル−コバルト合金の板材に切削加工やエッチング加工等の所定の金属加工を施すことにより形成される。
【００４０】
絶縁基体１の上面には、３つの凹部５の全体を取り囲むようにして枠部１０が形成されている。枠部１０は、絶縁基体１の上面に接着剤等で接合されてもよく、絶縁基体１と一体に形成されてもよい。なお、枠部１０は、蓋体７が取着される部位よりも外側に形成される。
【００４１】
枠部１０は、封止用の樹脂９で半導体素子８を覆う場合に、封止用の樹脂９が絶縁基体１の側面等に流れ出さないようにするダム部材として機能するとともに、次に説明する配線導体６を引き回して形成するための絶縁体等として機能する。半導体素子８を封止用の樹脂９で封止することにより、外部の温度や湿度に対する耐久性を向上させ、より一層長期信頼性に優れた構造とすることができる。
【００４２】
なお、枠部１０の上面に金属やセラミック材料、樹脂等から成る蓋体を取着することにより半導体素子８を気密に封止してもよい。
【００４３】
また、枠部１０の内側から絶縁基体１の下面や側面等の外表面にかけて配線導体６が形成されている。配線導体６は、蓋体７の上面に搭載される半導体素子８や、凹部５に収容される圧電振動子２，３および電子部品４を互いに電気的に接続したり、これらを絶縁基体１の外表面に導出して外部回路基板と電気的に接続したりするための導電経路として機能する。
【００４４】
この配線導体６のうち絶縁基体１の外表面に導出された部位（図１の例では絶縁基体１の下面の外周部に露出している部位）を外部回路基板の電気回路に半田や導電性接着剤等の導電性接合材を介して接合することにより、圧電装置が外部回路基板に電気的、機械的に接続され、配線導体６が外部回路基板の電気回路と電気的に接続される。
【００４５】
そして、絶縁基体１の凹部５内に圧電振動子２，３および電子部品４を収容するとともにそれぞれの電極を配線導体６に半田やボンディングワイヤ等の導電性接続材（図示せず）を介して電気的に接続し、その後、凹部５を蓋体７で塞いでから蓋体７の上面に半導体素子８を搭載し、半導体素子８の電極を配線導体６の露出部位にボンディングワイヤ等を介して接続し、必要に応じて半導体素子８を封止用の樹脂９で封止することにより圧電装置が製作される。この場合、圧電振動子２，３と電子部品４および半導体素子８等の間で共振回路が形成される。
【００４６】
なお、配線導体６は、凹部５の内側の絶縁基体１の上面に形成されていてもよく、図１に示すように、枠部１０の内周面に段差を形成し、この段差の上面に形成してもよい。
【００４７】
上記の構成により、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置においては、３つの凹部５は列状に並んで形成されており、両端に位置する凹部５にそれぞれ圧電振動子であるＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とが収容され、中央に位置する凹部５に電子部品４が収容されるので、例えば、半導体素子８を搭載するのに最小限必要な絶縁基体１の平面面積で、半導体素子８だけでなく圧電振動子２，３および電子部品４も収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
【００４８】
また、絶縁基体１の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体１との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
【００４９】
さらに、圧電振動子２，３や電子部品４を収容する空間と、半導体素子８が搭載された空間とを蓋体７によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子８や電子部品４等で発生する電磁波が圧電振動子２，３に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子２，３の特性（例えば、ＡＴカット型水晶振動子２や音叉型水晶振動子３等の圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。なお、このような電磁的遮断をより向上させる場合、蓋体７は、上述した電磁的な遮断を有効なものとするために、また温度サイクル時の絶縁基体１との線膨張係数の違いによる熱応力を考慮して、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料、またはセラミック板の全面にメタライズ層が形成された材料、または樹脂に金属粉を含有分散させて形成された材料で形成することが好ましい。
【００５０】
なお、圧電振動子は、例えば、上述のようなＡＴカット型水晶振動子２や音叉型水晶振動子３等であり、所定周波数で発振して時間や通信用等の周波数等の基準信号を発振する機能をなす。この基準信号が、配線導体６を介して外部の電気回路に供給される。また、外部の電気回路から水晶振動子２，３や半導体素子８等の作動に要する電流が圧電装置内に供給される。圧電振動子２，３と配線導体６との接続は、導電性接着剤を介して接着すること等により行なわれる。
【００５１】
また、電子部品４は、例えば、容量素子（周知のセラミックコンデンサ等）やインダクタ素子等の表面実装型の受動素子等であり、圧電振動子２，３や半導体素子８とともに発振回路を形成する。電子部品４の中央に位置する凹部５内への実装は、例えば、電極を配線導体６の露出部分に半田等を介して電気的、機械的に接続することにより行なわれる。
【００５２】
本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子は、ＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とから成ることが好ましい。この場合、ＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、電子部品４および半導体素子８の間で共振回路が形成され、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が形成される。
【００５３】
なお、ＡＴカット型水晶振動子２は例えばＭＨz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子３は例えばＫＨｚ帯でサブクロック用（例えば待機動作用等）として機能する。
【００５４】
本発明の圧電装置は、ＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とを搭載したデュアルクロックモジュールタイプとした場合に、同一の圧電装置内に半導体素子８とＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および周辺の電子部品４を配線導体６とともに高密度に配置することができ、配線経路を短くとれるため、待機時の消費電力が極めて小さく、例えば、携帯電話に用いれば、長期にわたって充電することなく使用することが可能な使い勝手に優れたものを提供することができる。そして、このような圧電装置が部品として使用される携帯電話等の電子機器の小型化、低消費電力化等を効果的に行なわせることができる。
【００５５】
また、上述したように、金属材料、またはセラミック板の全面にメタライズ層が形成された材料、または樹脂に金属粉を含有分散させて形成された材料で蓋体７を形成することにより、半導体素子８の作動時に流れる高周波電流による電磁波がＡＴカット型水晶振動子２、および音叉型水晶振動子３側へ漏れることが効果的に防止されるので、ＡＴカット型水晶振動子２、および音叉型水晶振動子３が収容される絶縁基体１の凹部５内で相互干渉を引き起こして発振が不安定になることを防止することができる。
【００５６】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子２，３および電子部品４の配置は、３つの凹部５のうち中央に位置する凹部５に電子部品を収容し、両端に位置する凹部５にそれぞれ圧電振動子２，３することにより、振幅の小さい振動を発生させるＡＴカット型水晶振動子２と、振幅の大きい振動を発生させる音叉型水晶振動子３とを最も外側の部分に配置して中央に位置する凹部５によりＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３との干渉を抑制することが可能となる。
【００５７】
また、本発明において、図２（ｂ）の圧電振動子２，３の平面配置図に示すように、圧電振動子２，３が、長方形状のＡＴカット型水晶振動子２と長方形状の音叉型水晶振動子３とから成り、これらの長辺方向が互いに平行になるようにして両端に位置する凹部５に別々に収容されることが好ましい。圧電振動子２，３を、長辺方向が互いに平行になるようにして両端に位置する凹部５に別々に収容することにより、絶縁基体１上面に形成した３つの凹部５に圧電振動子２，３と電子部品４とを実装面積を小さく有効に収容することができる。
【００５８】
このように、圧電振動子２，３が、長方形状のＡＴカット型水晶振動子２と長方形状の音叉型水晶振動子３とから成り、これらの長辺方向が互いに平行になるようにして両端の凹部５に別々に収容されていることから、圧電振動子２，３を同時に別々の凹部５に真空封止することができ、長期間にわたり圧電振動子２，３を安定して発振させることが可能となる。
【００５９】
ここで、圧電振動子２，３の長辺方向が互いに平行になるようにして両端の凹部５に別々に収容する場合、圧電振動子２，３の導電性接着剤等により接続される端部は、それぞれ離間するように配置（例えば、図２の（ｂ）で示すようにＡＴカット型水晶振動子２の接続される端部と音叉型水晶振動子３の接続される端部とをそれぞれ上下に設けて離間させる）する構造となっていることが望ましい。このような構造とすることにより、自由端が上下方向に振動するＡＴカット型水晶振動子２の最も振動の大きい部位と、左右方向に振動する音叉型水晶振動子３の最も振動の大きい部位との間の間隔を広くすることができることから、共振作用により発振周波数の変化（発振ノイズ）が生じることを有効に防止することができ、より一層発振周波数の精度に優れた圧電装置を提供することができる。
【００６０】
また、図２（ａ）の圧電装置の断面図に示すように、凹部５の圧電振動子２，３のどちらかを収容する側の凹部５の底面に段差を設け、圧電振動子２，３をそれぞれ高さが異なるように搭載することが好ましい。これにより、圧電振動子２，３の振動面の高さをそれぞれ異なるものとすることができ、互いの干渉をより有効に抑制して圧電振動子２，３の発振周波数特性をより一層優れたものとすることができる。凹部５の底面の段差は、例えば、絶縁基体１となるセラミックグリーンシートのうち凹部５の底面となる部位に、絶縁基体１を形成するのと同様のセラミックグリーンシートを所定寸法に切断したものを積層すること等により形成することができる。
【００６１】
さらにまた、一方の圧電振動子２，３の振動波が凹部５の内面や蓋体７で反射して他方の圧電振動子２，３に影響するのを有効に防止するために、凹部５の内面や蓋体７の上面に凹凸を形成したり、凹部５の内面や蓋体７の下面に低弾性率材料や多孔質体を被着したりして、振動波の共振が生じるのを抑制してもよい。このような低弾性率材料としては、ゴム成分を含む樹脂材料等が挙げられ、また、多孔質体としては、多孔質セラミックスやゾルゲルガラス等の多孔質ガラス、シリカゲル等の多孔質粉末を含む樹脂材料等が挙げられる。
【００６２】
また、同様に振動波の共振を抑制するために蓋体７の内部に空洞を形成し、この空洞内に高分子ゲルやグリースなどのゲル状物質を充填して振動波を吸収するようにしてもよい。さらに、このゲル状物質に球状セラミックや球状樹脂などの粒子を分散させてもよい。これにより、振動波をより有効に吸収できる。
【００６３】
また、半導体素子８からの電磁波が圧電振動子２，３に影響を与えるのを防止するため、蓋体７の主面や枠部１０の内面に凹凸を形成したり、メタライズ層やめっき層、薄膜金属層、導電性樹脂層などの金属層１１を形成してシールドしてもよい。また、同様の目的で、絶縁基体１内部の凹部５の直下に金属層等のシールド層１２を形成してもよい。
【００６４】
さらに、圧電振動子２，３の振動波の反射防止、および半導体素子８からの電磁波が圧電振動子２，３に影響を与えるのを防止するため、蓋体７を金属粉末および多孔質粉末を含む樹脂で形成してもよく、これにより、蓋体７で振動波および電磁波を有効に吸収することができる。
【００６５】
また、圧電振動子２，３と電子部品４との電磁的な影響をさらに軽減するために、圧電振動子２,３を収容する凹部５と電子部品４を収容する凹部５との間の壁部分を２重構造としても良い。
【００６６】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えても何ら差し支えない。例えば、図１では半導体素子８の電極と配線導体６との接続をボンディングワイヤにより行なう例を示しているが、半田バンプ等を介して行なうフリップチップ接続としても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００６７】
【図１】（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図である。
【図２】（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の他の例を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図である。
【図３】（ａ）は従来の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の断面図である。
【符号の説明】
【００６８】
１・・・・・絶縁基体
２・・・・・圧電振動子（ＡＴカット型水晶振動子）
３・・・・・圧電振動子（音叉型水晶振動子）
４・・・・・電子部品
５・・・・・凹部
６・・・・・配線導体
７・・・・・蓋体
８・・・・・半導体素子
１０・・・・枠部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子を絶縁基体の内部に収容する圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置に関するものであり、特に、圧電振動子を、半導体素子等の他の電子部品とともに気密に収容する圧電振動子収納用パッケージおよびその圧電振動子収納用パッケージを用いた圧電装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
携帯電話や自動車電話等の通信機器、コンピュータ、ＩＣカード等の情報機器等の電子機器において、周波数や時間の基準となる発振器として、水晶振動子等の圧電振動子を圧電振動子収納用パッケージ（以下、単にパッケージともいう）内に気密に収納して成る圧電装置が広く使用されている。
【０００３】
このような圧電装置として、近年、圧電振動子としてＡＴカット型水晶振動子と音叉型水晶振動子とを１つのパッケージ内に収納するとともに、そのパッケージに、発振回路を有する半導体素子等の制御用の電子部品を搭載し収納した構造の、複数の発振源を有する圧電装置、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が提案されている。
【０００４】
なお、ＡＴカット型水晶振動子は例えばＭＨz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子は例えばｋＨｚ帯でサブクロック用（例えば待機動作用等）として機能する。
【０００５】
図３（ａ）は、従来の圧電装置の構成を概略的に示した平面図であり、図３（ｂ）は、その断面図である。同図において、５１は基板、５２は圧電振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する半導体素子、５３は圧電振動子としてのＡＴカット型水晶振動子、５４は圧電振動子としての音叉型水晶振動子である。発振回路を有する半導体素子５２は、基板５１上に導電性接着剤により固定され、さらにボンディングワイヤ５６等の電気的接続手段により接続用パッド５７に電気的に接続され、基板５１の外周部下面に配置された入出力用端子６０と電気的に接続されている。
【０００６】
また、所定周波数で発振するＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４は、基板５１の上面に形成された凹部５５内の搭載部にそれぞれ接合され、基体５１の上面に凹部５５を取り囲むように形成された封止用メタライズ層５８に蓋体６２等を半田等のロウ材で接合することによりＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４が気密に封止され、圧電装置が構成されている。
【０００７】
このような圧電装置は、例えば、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板６１の所定位置に入出力用端子６０を半田等を介して接続することにより実装され、メインクロック用の発振源であるＡＴカット型水晶振動子５３から電子機器の電気回路に通信周波数等の基準信号が送信される。また、電子機器の主電源を切断したときにはサブクロック用（待機動作用）の音叉型水晶振動子５４が作動し続け、例えば計時やタイマーを継続する等の機能をなす。
【０００８】
なお、５９は、圧電振動子５３，５４や半導体素子５２とともに発振回路を形成する容量素子やインダクタ素子等の電子部品である。
【特許文献１】特開平６−２３２６３１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、このように１つのパッケージに複数の圧電振動子５３，５４と、半導体素子５２等の他の電子部品５９とを搭載し、収納した場合、それらの実装面積が大きくなるためにパッケージの外形が大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
【００１０】
また、圧電装置の凹部５５に収容するＡＴカット型水晶振動子５３と音叉型水晶振動子５４等の圧電振動子は、長期間の使用において安定した特定周波数の発振のために、凹部５５内に真空封止されることが一般的であり、基板５１上の半導体素子５２の搭載部以外に圧電振動子５３，５４を気密封止するための封止用メタライズ層５８を設けなければならず、それらの実装面積が大きくなるためパッケージの外形がさらに大きくなり、情報通信機器の小型化が困難であるという問題点があった。
【００１１】
特に、上記デュアルクロックモジュールタイプの圧電装置のように、基板５１にＡＴカット型水晶振動子５３および音叉型水晶振動子５４を同時に搭載すると、圧電装置として非常に大きなものとなる。
【００１２】
また、基板５１に半導体素子５２、ＡＴカット型水晶振動子５３や音叉型水晶振動子５４等の圧電振動子、および電子部品５９を同時に搭載し、収容する場合、圧電振動子においては、例えばＡＴカット型水晶振動子５３はＭＨz帯の高い周波数で機能し、音叉型水晶振動子５４は、例えばｋＨｚ帯の比較的低い周波数で機能することになり、凹部５５内に収容されて隣り合う箇所に搭載された圧電振動子５３，５４のそれぞれに発生する電磁波が圧電振動子５３，５４の発振周波数特性に悪影響を与えるという問題点があった。
【００１３】
また、半導体素子５２や容量素子、インダクタ素子等の電子部品５９においても、凹部５５内に収容された圧電振動子５３，５４とともに発振回路を形成することになり、それぞれの電子部品で発生する電磁波が圧電振動子５３，５４の発振周波数特性に悪影響を与えるという問題点があった。
【００１４】
また、圧電装置の基板５１の外周部下面に配置された入出力用端子６０が接続される外部回路基板６１は、一般に、その材質がガラスエポキシ等からなる樹脂製であり、基板５１の材質として多用されるセラミックス（アルミナセラミックス等）とは熱膨張係数が異なることから、基板５１の外形寸法が大きくなるに伴って接続後の温度サイクルによって基板５１の下面の外周部に配置された入出力用端子６０と、外部回路基板６１の主面に形成された接続パッドとの間に熱応力が生じ易くなり、この熱応力により入出力用端子６０の接続部分において、半田クラックや断線等の不具合が発生するという問題点があった。
【００１５】
本発明は、かかる従来の技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、圧電振動子を半導体素子等の他の電子部品とともに収容しても小型化が可能であり、かつ圧電振動子の発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れた圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
本発明の圧電振動子収納用パッケージは、上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、該絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、前記絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とするものである。
【００１７】
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、３つの前記凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する前記凹部にそれぞれ前記圧電振動子が収容され、中央に位置する前記凹部に前記電子部品が収容されることを特徴とするものである。
【００１８】
本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることを特徴とするものである。
【００１９】
本発明の圧電装置は、上記本発明の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の圧電振動子収納用パッケージによれば、上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、枠部の内側から絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、蓋体の上面に半導体素子が搭載されることから、圧電振動子と半導体素子とを、一定の間隔をおいて上下に並べて収容することができるので、例えば、半導体素子を搭載するのに最小限必要な絶縁基体の平面面積で、半導体素子だけでなく圧電振動子および電子部品も上下に配置して収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
【００２１】
また、絶縁基体の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
【００２２】
さらに、圧電振動子や電子部品を収容する空間と半導体素子が搭載された空間とを蓋体によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子等で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子の特性（例えば、圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。
【００２３】
また、２つの圧電振動子および電子部品が、それぞれ３つの凹部に分かれて収容され、各凹部は蓋体で塞がれているので、２つの圧電振動子および電子部品を、凹部を仕切る壁および蓋体により効果的に個別に電磁的に遮断することができ、電子部品で発生する電磁波が圧電振動子に与える悪影響や、２つの圧電振動子同士の間で互いに振動や電磁波等が干渉して影響を与え合うようなことを有効に防止し、圧電振動子の特性（例えば、圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。
【００２４】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、３つの凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する凹部にそれぞれ圧電振動子が収容され、中央に位置する凹部に前記電子部品が収容されることから、中央の凹部の電子部品を収容する空間により、圧電振動子同士をそれぞれ間隔を大きくして隔離することができ、圧電振動子のそれぞれに発生する電磁波によりそれぞれの圧電振動子の発振周波数特性に悪影響を与えることをより効果的に防止することができる。
【００２５】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージにおいて、好ましくは、前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることから、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置を小型に形成することができ、このような圧電装置が部品として使用される携帯電話等の電子機器の小型化を効果的に行なうことができる。さらに小型化により配線経路を短くすることができるため、消費電力を低減することができ、電子機器の低消費電力化を効果的に行なうことができる。
【００２６】
また、本発明の圧電装置によれば、上記構成の圧電振動子収納用パッケージと、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された圧電振動子と、凹部内に収納されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された電子部品と、蓋体の上面に搭載されるとともに電極が配線導体に電気的に接続された半導体素子とを具備していることから、小型化が可能であり、かつ圧電振動子の発振周波数特性等の特性に優れるとともに、外部の電気回路等に対する電気的な接続の信頼性に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２７】
次に、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置を添付の図面を基に説明する。図１（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、図１（ｂ）はその断面図である。
【００２８】
図１（ａ），（ｂ）において、１は絶縁基体、２は圧電振動子としてのＡＴカット型水晶振動子、３は圧電振動子としての音叉型水晶振動子、４は電子部品、１０は枠部、６は枠部の内側から絶縁基体１の外表面にかけて形成された配線導体、７は蓋体、８は半導体素子である。
【００２９】
絶縁基体１、配線導体６、枠部１０および蓋体７により本発明の圧電素子収納用パッケージが主に構成され、絶縁基体１の上面に形成されている３つの凹部５内に圧電振動子であるＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および電子部品４を収納するとともに、絶縁基体１の上面の凹部５を塞ぐように蓋体７を取着することにより、絶縁基体１の各凹部５と蓋体７とで形成される各容器の内側にＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および電子部品４が気密に収納され、さらに蓋体７の上面に半導体素子８を搭載することにより、本発明の圧電装置が基本的に形成される。この圧電装置は、携帯電話等の電子機器を構成する外部回路基板（図示せず）に実装されて使用される。なお、圧電振動子２，３は、３つの凹部５のうち２つに分けて収容され、他の１つの凹部５に電子部品４が収容される。
【００３０】
絶縁基体１は、上面に圧電振動子２，３および電子部品４を収容するための凹部５を３つ有し、この凹部５と蓋体７とで圧電振動子（ＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３等）および電子部品４を気密に封止することができる。
【００３１】
ここで、絶縁基体１は、酸化アルミニウム質焼結体（アルミナセラミックス）や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミックスやガラスエポキシ樹脂等の樹脂系材料等から成る電気絶縁材料から成り、例えば一辺の長さが５〜２０ｍｍ程度で厚みが１〜５ｍｍ程度の直方体状である。
【００３２】
絶縁基体１は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、以下のようにして作製される。まず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バンイダ、溶剤、可塑剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクタブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形し、複数枚のセラミックグリーンシートを得る。しかる後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して四角板状のものと四角形状の打ち抜き部が中央部に３つ形成されたものを形成し、四角板状のものが下層に位置するとともに四角形状の打ち抜き部を有するものが上層に位置するように上下に積層することにより上面に３つの凹部５を有する積層体を形成し、その積層体を高温（約１６００℃）で焼成することにより作製される。
【００３３】
この場合、グリーンシートのうち各打ち抜き部の間に残っている帯状等の部分が、それぞれの凹部５の間を区切る壁になる。
【００３４】
なお、絶縁基体１の中央部に大きな凹部を形成しておいて、その大きな凹部の底面に壁材を取着して３つの凹部５に区切るようにしてもよい。
【００３５】
好ましくは、複数の凹部５同士を区切る壁の内部や表面に蓋体７に接合されるビアや側面導体が形成されているのがよい。これにより、蓋体７に搭載された半導体素子８から発生する熱を蓋体７、複数の凹部５同士を区切る壁に形成されたビア、および複数の凹部５同士を区切る壁に形成された側面導体よって良好に放散させることができ、半導体素子８を長期にわたり良好に作動させることができるとともに、複数の凹部５に収容された圧電振動子２，３および電子部品４をこのビアや側面導体によって良好に電磁的に遮断することができる。より好ましくは、複数の凹部５同士を区切る壁が金属から成るのがよい。これにより、半導体素子８から発生する熱の放熱性や電磁的遮断の効果がより向上する。
【００３６】
絶縁基体１の上面には、３つの凹部５を塞ぐようにして蓋体７が取着される。蓋体７は、凹部５を塞いで圧電振動子２、３および電子部品４を気密封止する機能をなす。また、蓋体７は、上面に半導体素子８が搭載される搭載部として機能したり、半導体素子８から発生する熱を外部に逃がすための放熱板としても機能する。
【００３７】
蓋体７は、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属や、酸化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミック材料、金属粉末を含む有機樹脂等により形成される。
【００３８】
蓋体７の凹部５の上面に対する取着は、例えば、ろう材や半田、ガラス、有機樹脂接着剤等の接合材を介して接合すること等により行なうことができる。
【００３９】
この蓋体７の上面に半導体素子８が搭載される。半導体素子８は、例えば、リアルタイムクロック用の水晶振動子の発振周波数を制御するための発振回路を有する制御用の素子等であり、蓋体７の上面に半田や接着剤などによって取着される。特に金属製の蓋体７に半田や銀ペースト等の導電性，熱伝導性に優れた接着剤で接合固定すると、半導体素子８で発生した熱を良好に放散させることができ、半導体素子８の温度上昇による誤動作を有効に防止することができる。蓋体７は、例えば、鉄−ニッケル−コバルト合金から成る場合であれば、鉄−ニッケル−コバルト合金の板材に切削加工やエッチング加工等の所定の金属加工を施すことにより形成される。
【００４０】
絶縁基体１の上面には、３つの凹部５の全体を取り囲むようにして枠部１０が形成されている。枠部１０は、絶縁基体１の上面に接着剤等で接合されてもよく、絶縁基体１と一体に形成されてもよい。なお、枠部１０は、蓋体７が取着される部位よりも外側に形成される。
【００４１】
枠部１０は、封止用の樹脂９で半導体素子８を覆う場合に、封止用の樹脂９が絶縁基体１の側面等に流れ出さないようにするダム部材として機能するとともに、次に説明する配線導体６を引き回して形成するための絶縁体等として機能する。半導体素子８を封止用の樹脂９で封止することにより、外部の温度や湿度に対する耐久性を向上させ、より一層長期信頼性に優れた構造とすることができる。
【００４２】
なお、枠部１０の上面に金属やセラミック材料、樹脂等から成る蓋体を取着することにより半導体素子８を気密に封止してもよい。
【００４３】
また、枠部１０の内側から絶縁基体１の下面や側面等の外表面にかけて配線導体６が形成されている。配線導体６は、蓋体７の上面に搭載される半導体素子８や、凹部５に収容される圧電振動子２，３および電子部品４を互いに電気的に接続したり、これらを絶縁基体１の外表面に導出して外部回路基板と電気的に接続したりするための導電経路として機能する。
【００４４】
この配線導体６のうち絶縁基体１の外表面に導出された部位（図１の例では絶縁基体１の下面の外周部に露出している部位）を外部回路基板の電気回路に半田や導電性接着剤等の導電性接合材を介して接合することにより、圧電装置が外部回路基板に電気的、機械的に接続され、配線導体６が外部回路基板の電気回路と電気的に接続される。
【００４５】
そして、絶縁基体１の凹部５内に圧電振動子２，３および電子部品４を収容するとともにそれぞれの電極を配線導体６に半田やボンディングワイヤ等の導電性接続材（図示せず）を介して電気的に接続し、その後、凹部５を蓋体７で塞いでから蓋体７の上面に半導体素子８を搭載し、半導体素子８の電極を配線導体６の露出部位にボンディングワイヤ等を介して接続し、必要に応じて半導体素子８を封止用の樹脂９で封止することにより圧電装置が製作される。この場合、圧電振動子２，３と電子部品４および半導体素子８等の間で共振回路が形成される。
【００４６】
なお、配線導体６は、凹部５の内側の絶縁基体１の上面に形成されていてもよく、図１に示すように、枠部１０の内周面に段差を形成し、この段差の上面に形成してもよい。
【００４７】
上記の構成により、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置においては、３つの凹部５は列状に並んで形成されており、両端に位置する凹部５にそれぞれ圧電振動子であるＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とが収容され、中央に位置する凹部５に電子部品４が収容されるので、例えば、半導体素子８を搭載するのに最小限必要な絶縁基体１の平面面積で、半導体素子８だけでなく圧電振動子２，３および電子部品４も収容することができ、圧電振動子収納用パッケージを小型化することができる。
【００４８】
また、絶縁基体１の平面面積が小さくなるため、外部回路基板に圧電振動子収納用パッケージを接続した際に、外部回路基板と絶縁基体１との間で熱応力が生じたとしても、実装領域面積が小さいので外部回路基板の寸法変化による応力を低減することができ、圧電振動子収納用パッケージと外部回路基板との接続部に半田クラックや断線等の不具合が生じるのを効果的に防止して外部回路基板に対する接続を長期にわたって良好に維持することができる。
【００４９】
さらに、圧電振動子２，３や電子部品４を収容する空間と、半導体素子８が搭載された空間とを蓋体７によって効果的に電磁的に遮断することができ、半導体素子８や電子部品４等で発生する電磁波が圧電振動子２，３に与える悪影響を有効に防止し、圧電振動子２，３の特性（例えば、ＡＴカット型水晶振動子２や音叉型水晶振動子３等の圧電振動子の発振周波数特性）を良好に維持することができる。なお、このような電磁的遮断をより向上させる場合、蓋体７は、上述した電磁的な遮断を有効なものとするために、また温度サイクル時の絶縁基体１との線膨張係数の違いによる熱応力を考慮して、鉄−ニッケル−コバルト合金や鉄−ニッケル合金等の金属材料、またはセラミック板の全面にメタライズ層が形成された材料、または樹脂に金属粉を含有分散させて形成された材料で形成することが好ましい。
【００５０】
なお、圧電振動子は、例えば、上述のようなＡＴカット型水晶振動子２や音叉型水晶振動子３等であり、所定周波数で発振して時間や通信用等の周波数等の基準信号を発振する機能をなす。この基準信号が、配線導体６を介して外部の電気回路に供給される。また、外部の電気回路から水晶振動子２，３や半導体素子８等の作動に要する電流が圧電装置内に供給される。圧電振動子２，３と配線導体６との接続は、導電性接着剤を介して接着すること等により行なわれる。
【００５１】
また、電子部品４は、例えば、容量素子（周知のセラミックコンデンサ等）やインダクタ素子等の表面実装型の受動素子等であり、圧電振動子２，３や半導体素子８とともに発振回路を形成する。電子部品４の中央に位置する凹部５内への実装は、例えば、電極を配線導体６の露出部分に半田等を介して電気的、機械的に接続することにより行なわれる。
【００５２】
本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子は、ＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とから成ることが好ましい。この場合、ＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、電子部品４および半導体素子８の間で共振回路が形成され、いわゆるデュアルクロックモジュールタイプの圧電装置が形成される。
【００５３】
なお、ＡＴカット型水晶振動子２は例えばＭＨz帯でメインクロック用の発振源として機能し、また音叉型水晶振動子３は例えばＫＨｚ帯でサブクロック用（例えば待機動作用等）として機能する。
【００５４】
本発明の圧電装置は、ＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３とを搭載したデュアルクロックモジュールタイプとした場合に、同一の圧電装置内に半導体素子８とＡＴカット型水晶振動子２、音叉型水晶振動子３、および周辺の電子部品４を配線導体６とともに高密度に配置することができ、配線経路を短くとれるため、待機時の消費電力が極めて小さく、例えば、携帯電話に用いれば、長期にわたって充電することなく使用することが可能な使い勝手に優れたものを提供することができる。そして、このような圧電装置が部品として使用される携帯電話等の電子機器の小型化、低消費電力化等を効果的に行なわせることができる。
【００５５】
また、上述したように、金属材料、またはセラミック板の全面にメタライズ層が形成された材料、または樹脂に金属粉を含有分散させて形成された材料で蓋体７を形成することにより、半導体素子８の作動時に流れる高周波電流による電磁波がＡＴカット型水晶振動子２、および音叉型水晶振動子３側へ漏れることが効果的に防止されるので、ＡＴカット型水晶振動子２、および音叉型水晶振動子３が収容される絶縁基体１の凹部５内で相互干渉を引き起こして発振が不安定になることを防止することができる。
【００５６】
また、本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置において、圧電振動子２，３および電子部品４の配置は、３つの凹部５のうち中央に位置する凹部５に電子部品を収容し、両端に位置する凹部５にそれぞれ圧電振動子２，３することにより、振幅の小さい振動を発生させるＡＴカット型水晶振動子２と、振幅の大きい振動を発生させる音叉型水晶振動子３とを最も外側の部分に配置して中央に位置する凹部５によりＡＴカット型水晶振動子２と音叉型水晶振動子３との干渉を抑制することが可能となる。
【００５７】
また、本発明において、図２（ｂ）の圧電振動子２，３の平面配置図に示すように、圧電振動子２，３が、長方形状のＡＴカット型水晶振動子２と長方形状の音叉型水晶振動子３とから成り、これらの長辺方向が互いに平行になるようにして両端に位置する凹部５に別々に収容されることが好ましい。圧電振動子２，３を、長辺方向が互いに平行になるようにして両端に位置する凹部５に別々に収容することにより、絶縁基体１上面に形成した３つの凹部５に圧電振動子２，３と電子部品４とを実装面積を小さく有効に収容することができる。
【００５８】
このように、圧電振動子２，３が、長方形状のＡＴカット型水晶振動子２と長方形状の音叉型水晶振動子３とから成り、これらの長辺方向が互いに平行になるようにして両端の凹部５に別々に収容されていることから、圧電振動子２，３を同時に別々の凹部５に真空封止することができ、長期間にわたり圧電振動子２，３を安定して発振させることが可能となる。
【００５９】
ここで、圧電振動子２，３の長辺方向が互いに平行になるようにして両端の凹部５に別々に収容する場合、圧電振動子２，３の導電性接着剤等により接続される端部は、それぞれ離間するように配置（例えば、図２の（ｂ）で示すようにＡＴカット型水晶振動子２の接続される端部と音叉型水晶振動子３の接続される端部とをそれぞれ上下に設けて離間させる）する構造となっていることが望ましい。このような構造とすることにより、自由端が上下方向に振動するＡＴカット型水晶振動子２の最も振動の大きい部位と、左右方向に振動する音叉型水晶振動子３の最も振動の大きい部位との間の間隔を広くすることができることから、共振作用により発振周波数の変化（発振ノイズ）が生じることを有効に防止することができ、より一層発振周波数の精度に優れた圧電装置を提供することができる。
【００６０】
また、図２（ａ）の圧電装置の断面図に示すように、凹部５の圧電振動子２，３のどちらかを収容する側の凹部５の底面に段差を設け、圧電振動子２，３をそれぞれ高さが異なるように搭載することが好ましい。これにより、圧電振動子２，３の振動面の高さをそれぞれ異なるものとすることができ、互いの干渉をより有効に抑制して圧電振動子２，３の発振周波数特性をより一層優れたものとすることができる。凹部５の底面の段差は、例えば、絶縁基体１となるセラミックグリーンシートのうち凹部５の底面となる部位に、絶縁基体１を形成するのと同様のセラミックグリーンシートを所定寸法に切断したものを積層すること等により形成することができる。
【００６１】
さらにまた、一方の圧電振動子２，３の振動波が凹部５の内面や蓋体７で反射して他方の圧電振動子２，３に影響するのを有効に防止するために、凹部５の内面や蓋体７の上面に凹凸を形成したり、凹部５の内面や蓋体７の下面に低弾性率材料や多孔質体を被着したりして、振動波の共振が生じるのを抑制してもよい。このような低弾性率材料としては、ゴム成分を含む樹脂材料等が挙げられ、また、多孔質体としては、多孔質セラミックスやゾルゲルガラス等の多孔質ガラス、シリカゲル等の多孔質粉末を含む樹脂材料等が挙げられる。
【００６２】
また、同様に振動波の共振を抑制するために蓋体７の内部に空洞を形成し、この空洞内に高分子ゲルやグリースなどのゲル状物質を充填して振動波を吸収するようにしてもよい。さらに、このゲル状物質に球状セラミックや球状樹脂などの粒子を分散させてもよい。これにより、振動波をより有効に吸収できる。
【００６３】
また、半導体素子８からの電磁波が圧電振動子２，３に影響を与えるのを防止するため、蓋体７の主面や枠部１０の内面に凹凸を形成したり、メタライズ層やめっき層、薄膜金属層、導電性樹脂層などの金属層１１を形成してシールドしてもよい。また、同様の目的で、絶縁基体１内部の凹部５の直下に金属層等のシールド層１２を形成してもよい。
【００６４】
さらに、圧電振動子２，３の振動波の反射防止、および半導体素子８からの電磁波が圧電振動子２，３に影響を与えるのを防止するため、蓋体７を金属粉末および多孔質粉末を含む樹脂で形成してもよく、これにより、蓋体７で振動波および電磁波を有効に吸収することができる。
【００６５】
また、圧電振動子２，３と電子部品４との電磁的な影響をさらに軽減するために、圧電振動子２,３を収容する凹部５と電子部品４を収容する凹部５との間の壁部分を２重構造としても良い。
【００６６】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えても何ら差し支えない。例えば、図１では半導体素子８の電極と配線導体６との接続をボンディングワイヤにより行なう例を示しているが、半田バンプ等を介して行なうフリップチップ接続としても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００６７】
【図１】（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の一例を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図である。
【図２】（ａ）は本発明の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の実施の形態の他の例を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図である。
【図３】（ａ）は従来の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の平面図、（ｂ）は（ａ）の圧電振動子収納用パッケージおよび圧電装置の断面図である。
【符号の説明】
【００６８】
１・・・・・絶縁基体
２・・・・・圧電振動子（ＡＴカット型水晶振動子）
３・・・・・圧電振動子（音叉型水晶振動子）
４・・・・・電子部品
５・・・・・凹部
６・・・・・配線導体
７・・・・・蓋体
８・・・・・半導体素子
１０・・・・枠部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、該絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、前記絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とする圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項２】
３つの前記凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する前記凹部にそれぞれ前記圧電振動子が収容され、中央に位置する前記凹部に前記電子部品が収容されることを特徴とする請求項１記載の圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項３】
前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることを特徴とする請求項２記載の圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項４】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とする圧電装置。
【請求項１】
上面に３つの凹部が形成された絶縁基体と、該絶縁基体の上面の前記３つの凹部の周囲に全周にわたって形成された枠部と、前記枠部の内側から前記絶縁基体の外表面にかけて形成された配線導体と、前記絶縁基体の上面に前記３つの凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記３つの凹部のうちの２つにそれぞれ圧電振動子が収容されるとともに他の１つに電子部品が収容され、前記蓋体の上面に半導体素子が搭載されることを特徴とする圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項２】
３つの前記凹部は列状に並んで形成されており、両端に位置する前記凹部にそれぞれ前記圧電振動子が収容され、中央に位置する前記凹部に前記電子部品が収容されることを特徴とする請求項１記載の圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項３】
前記圧電振動子は、一方がＡＴカット型水晶振動子であり、他方が音叉型水晶振動子あることを特徴とする請求項２記載の圧電振動子収納用パッケージ。
【請求項４】
請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の圧電振動子収納用パッケージと、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記圧電振動子と、前記凹部内に収納されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記電子部品と、前記蓋体の上面に搭載されるとともに電極が前記配線導体に電気的に接続された前記半導体素子とを具備していることを特徴とする圧電装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００６−４１９２５（Ｐ２００６−４１９２５Ａ）
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２１８９０６（Ｐ２００４−２１８９０６）
【出願日】平成１６年７月２７日（２００４．７．２７）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【出願人】（０００１０４７２２）京セラキンセキ株式会社 (870)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月９日（２００６．２．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月２７日（２００４．７．２７）
【出願人】（０００００６６３３）京セラ株式会社 (13,660)
【出願人】（０００１０４７２２）京セラキンセキ株式会社 (870)
【Ｆターム（参考）】
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