説明

圧電振動装置、発振回路素子及び電子装置

【課題】Qが高く、かつ耐電力性に優れた、輪郭振動モードを利用した圧電振動装置であって、しかも、比帯域を容易に調整し得る圧電振動装置を提供する。
【解決手段】輪郭振動モードを利用する圧電振動装置1は、基板10と、基板10の上方に配置された圧電薄膜23と、圧電薄膜23上に形成された上部電極24と、上部電極24と圧電薄膜23を介して重なり合うように形成されており、上部電極24と共に圧電薄膜23に交流電圧を印加し、圧電薄膜23及び上部電極24と共に圧電振動部20を構成する下部電極25と、基板10に対してギャップDを隔てて浮かされた状態で圧電振動部20を支持する支持部30とを備えている。平面視された際に、上部電極24と下部電極25とが、圧電振動部20の主たる振動方向における端部において重なり合っていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動装置に関し、より詳細には、圧電薄膜を備え、バルク波の内の拡がり振動モード、長さ振動モードまたは幅振動モードなどの輪郭振動モードを利用した圧電振動装置、それを備える発振回路素子及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バルク波を利用した圧電振動装置は、弾性表面波を利用した弾性表面波装置に比べてQが高く、耐電力性が高いという利点を有する。このため、従来、例えば特許文献1などにおいて、バルク波として輪郭振動モードを利用した圧電振動装置が種々提案されている。
【0003】
図33は、特許文献1に記載された圧電振動装置100の模式的平面図、図34は、図33中のN-N線に沿った断面図、図35は、図33中のO-O線に沿った断面図である。図34に示すように、圧電振動装置100はフィルム状の圧電体101を備えている。圧電体101は、対向し合う第1の主面101aと第2の主面101bとを備えている。圧電体101の第1の主面101aには、第1の電極102が形成されている。一方、圧電体101の第2の主面101bには、第2の電極103が形成されている。第1の電極102と第2の電極103とは、圧電体101を介して重なり合うように配置されている。圧電体101と第1の電極102と第2の電極103とを含む積層体106の一部は、基体105から浮かされた状態で支持されている。圧電振動装置100では、この積層体106のうち、基体105から浮かされた状態で支持されている部分が圧電振動部104を構成している。
【特許文献1】WO2007/088696 A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にも記載されているような、圧電振動装置100では、帯域幅を中心周波数で除算して得られる比帯域の大きさを調整しようとした場合、材料や圧電振動装置100自体の外形寸法を変更しなければならないため、比帯域の大きさの調整が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、Qが高く、かつ耐電力性に優れ、輪郭振動モードを利用した圧電振動装置であって、しかも、比帯域を容易に調整し得る圧電振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、基体と、基体の上方に配置され、対向し合う第1,第2の主面を有する圧電薄膜と、圧電薄膜の第1の主面に形成された上部電極と、圧電薄膜を介して上部電極と重なり合うように圧電薄膜の第2の主面に形成されており、上部電極と共に圧電薄膜に交流電圧を印加し、圧電薄膜及び上部電極と共に圧電振動部を構成している下部電極と、基体に固定されており、基体に対してギャップを隔てて浮かされた状態で圧電振動部を支持する支持部とを備え、圧電振動部の輪郭振動モードを利用しており、平面視された際に、上部電極と下部電極とは、圧電振動部の主たる振動方向における端部において重なり合っていないことを特徴とする、圧電振動装置が提供される。
【0007】
ここで、「圧電振動部」とは、基体に対して浮かされた状態で支持されており、上部電極と下部電極との間に交流電圧が印加されたときに振動する部分をいう。圧電振動部は圧電駆動部と圧電被駆動部とを有する。
【0008】
「圧電駆動部」とは、上部電極と下部電極とが重なり合った部分であり、上部電極と下部電極との間に交流電流が印加されたときに実際に励振される部分をいう。
【0009】
「圧電被駆動部」とは、上部電極と下部電極との間に交流電流が印加されることにより、その部分自体は励振されないものの、圧電駆動部が励振されることによって圧電駆動部と共に振動する部分をいう。
【0010】
本発明に係る圧電振動装置のある特定の局面では、上部電極と下部電極とが重なり合っていない圧電薄膜の部分の平面視された際の面積は、圧電振動部の面積の45%以下である。
【0011】
本発明に係る圧電振動装置の別の特定の局面では、圧電振動部と支持部とは、同一の部材により構成されている。
【0012】
圧電振動部は、圧電振動部のノードにおいて支持されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る圧電振動装置のさらに別の特定の局面では、上部電極と下部電極とが重なり合っていない圧電薄膜の部分は、輪郭振動モードにおける振動の腹部を含んでいる。
【0014】
本発明に係る圧電振動装置の他の特定の局面では、平面視された際に、圧電振動部は、対向し合う第1及び第2の辺と、対向し合う第3及び第4の辺とを有する略矩形状であり、圧電振動部は第1及び第2の辺の延びる方向に主として振動し、圧電振動部が第1及び第2の辺において支持されており、上部電極と下部電極とが重なり合っていない圧電薄膜の部分は、第3及び第4の辺に接する部分の少なくとも一方に形成されている。
【0015】
本発明において、上部電極と下部電極とが重なり合っていない圧電薄膜の部分には、下部電極のみが形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る圧電振動装置のさらに他の特定の局面では、上部電極と下部電極とが重なり合っていない圧電薄膜の部分において、第1及び第2の主面の少なくとも一部に形成され、上部電極及び下部電極に対して絶縁された導電層をさらに備えている。この本発明に係る圧電振動装置のさらに他の特定の局面では、上部電極及び下部電極は圧電薄膜よりも音速が遅いことが好ましい。
【0017】
本発明に係る発振回路素子は、本発明に係る圧電振動装置を備えている。
【0018】
本発明に係る電子装置は、本発明に係る発振回路素子を備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧電振動部の主たる振動方向における端部に、上部電極と下部電極とが重なっていない部分が設けられているので、上部電極と下部電極とが重なっていない圧電薄膜の部分の面積の圧電振動部全体の面積に対する割合を調節することで、比帯域を容易に調節することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動装置1の平面図である。図2は、図1中のA−A線に沿う断面図である。図3は、図1中のB−B線に沿う断面図である。図4は、図1中のC−C線に沿う断面図である。図5は、第1の実施形態に係る圧電振動装置1が搭載された電子装置3を示す概略構成図である。
【0022】
図5に示すように、電子装置3は発振回路素子2を備えている。発振回路素子2は第1の実施形態に係る圧電振動装置1を用いて構成されている。圧電振動装置1の一端がコンデンサC1を介してグラウンド電極に接続されており、他端がコンデンサC2を介してグラウンド電極に接続されている。圧電振動装置1に並列にインバータQとバイアス抵抗Rとが接続されている。
【0023】
本実施形態において、圧電振動装置1は、輪郭振動モード、具体的には、拡がり振動モードを利用するものである。より詳細には、圧電振動装置1では、後に詳述する圧電振動部20の幅と長さとの比が約1:1.5に設定されているため、幅方向の振動を主とする拡がり振動モードが利用される。
【0024】
圧電振動装置1は、基体としての基板10と、第1の付加膜26と、第1の導電層28と、圧電薄膜23と、第2の導電層29と、第2の付加膜27とを備えている。
【0025】
基板10は、Si系半導体などの半導体や、ガラスなどの絶縁体により形成されている。
【0026】
図2及び図6に示すように、基板10の上には第1の付加膜26が形成されている。第1の付加膜26は、中央に位置する平面視略矩形状の中央部と、中央部に連なる両端部とを備えている。中央部は、基板10からギャップDを隔てて浮かされた状態で保持されている。両端部は、基板10に固定された部分と、その固定部と中央部とを連結する傾斜部とを備えている。
【0027】
この第1の付加膜26と、後述する第2の付加膜27とは、内部を保護する保護膜として機能するものであってもよく、補強膜として機能するものであってもよい。また、第1及び第2の付加膜26,27は、温度特性を補償する膜であってもよい。さらに、第1及び第2の付加膜26,27は、質量付加により共振周波数を調整するためのものであってもよい。なお、これら第1及び第2の付加膜26,27は、本発明において必須の構成ではない。圧電振動装置1は、第1及び第2の付加膜26,27を備えていなくてもよい。
【0028】
第1及び第2の付加膜26,27は、第1及び第2の付加膜26,27により付加しようとする機能に応じた材料により形成することができる。例えば、第1及び第2の付加膜26,27により温度補償を行ったり、圧電振動部を保護したりする場合は、SiOやSiNなどの誘電体薄膜により第1及び第2の付加膜26,27を構成することができる。また、第1及び第2の付加膜26,27は、Al、Cu、エリンバーまたはインバーなどの導電性材料により形成されていてもよい。その場合、第1及び第2の付加膜26,27と第1の導電層28及び第2の導電層29との間に絶縁膜を形成しておくことが好ましい。さらに、第1及び第2の付加膜26,27は、ZnOやAlNのような圧電材料により形成されていてもよく、Siのような半導体材料により形成されていてもよい。
【0029】
図2及び図7に示すように、第1の導電層28は第1の付加膜26上に形成されている。第1の導電層28は、圧電振動部20を構成する平面視略矩形状の下部電極25と、下部電極25に連ねられた第1の端子電極31を有している。
【0030】
第1の導電層28及び第2の導電層29の材料は特に限定されない。第1の導電層28及び第2の導電層29の形成には、適宜の導電性材料を用いることができる。導電性材料としては、Al、Cu、Au、Pt、Ni、Mo、Ru、Ir、Wまたはこれらの合金が挙げられる。導電性の合金の具体例としてはエンリバーやインバーなどが挙げられる。
【0031】
図2及び図8に示すように、圧電薄膜23は、第1の導電層28の中央部と、第1の付加膜26の端部との上に形成されている。圧電薄膜23は、その厚み方向に分極されている。圧電薄膜23は対向し合う第1の主面23aと第2の主面23bとを有する。第1の主面23aが第2の導電層29に接している。一方、第2の主面23bが第1の導電層28に接している。
【0032】
圧電薄膜23は、幅と長さとの比が1:1.5の平面視略矩形状であり、圧電振動部20を構成する中央部と、中央部に連ねられた両端部とを備えている。
【0033】
圧電薄膜23は、適宜の圧電材料により形成することができる。圧電材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス(PZT系圧電セラミックス)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、水晶などが挙げられる。すなわち、圧電薄膜23は、圧電単結晶及び圧電セラミックスのうちのいずれにより形成されていてもよい。
【0034】
図2及び図9に示すように、第2の導電層29は、圧電薄膜23と第1の付加膜26の端部との上に形成されている。第2の導電層29は、圧電振動部20を構成する平面視略矩形状の上部電極24と、上部電極24に連ねられた第2の端子電極32とを有する。上部電極24は、下部電極25と共に、圧電薄膜23に交流電圧を印加し、圧電振動部20の圧電駆動部21を励振させる。
【0035】
ここで、「圧電振動部20」とは、基板10に対して浮かされた状態で支持されており、上部電極24と下部電極25との間に交流電圧が印加されたときに振動する部分をいい、上部電極24、圧電薄膜23及び下部電極25により構成されている。
【0036】
「圧電駆動部21」とは、上部電極24と下部電極25とが重なり合った部分であり、上部電極24と下部電極25との間に交流電流が印加されたときに実際に励振される部分をいう。
【0037】
「圧電被駆動部22」とは、上部電極24と下部電極25との間に交流電流が印加されることにより、その部分自体は励振されないものの、圧電駆動部21が励振されることにより、圧電駆動部21と共に振動する部分をいう。
【0038】
図9に示すように、上部電極24は、圧電振動部20の上面全体に及んでいない。具体的には、上部電極24の幅は、圧電振動部20の幅よりも狭く設定されている。このため、圧電振動部20の幅方向両端部(図1においてハッチングを附した部分)は、上部電極24により覆われておらず、圧電被駆動部22を構成している。ここで、圧電振動部20の主たる振動方向が圧電振動部20の幅方向であるため、圧電被駆動部22は、圧電振動部20の主たる振動方向における端部に設けられていることとなる。具体的に、圧電被駆動部22は、圧電振動部20の主たる振動方向における端部において、長さ方向にわたって、平面視略矩形状に設けられている。
【0039】
図1及び図2に示すように、第2の付加膜27は、第2の導電層29と圧電薄膜23との上に形成されている。第2の付加膜27は、圧電振動部20の上面を被覆する中央部と、その中央部に連なる両端部とを有している。なお、本実施形態では、第1及び第2の付加膜26,27も設けられているが、第1及び第2の付加膜26,27は圧電振動部20にとって必須の構成部材ではない。
【0040】
圧電振動部20は、平面視された際に、対向し合う第1及び第2の辺20a,20bと、対向し合う第3及び第4の辺20c,20dとを有する矩形状に形成されている。本実施形態では、第1及び第2の辺20a,20bが短辺であり、第3及び第4の辺20c,20dが長辺である。
【0041】
圧電振動装置1は、第1及び第2の辺20a,20bの延びる方向、すなわち圧電振動部20の幅方向の振動を主とする拡がり振動モードを利用するものである。具体的には、図10に示すように、圧電振動部20は、実線で示す当初の状態から、第3及び第4の辺20c,20dが幅方向に沿って大きく変位すると共に、第1及び第2の辺20a,20bが長さ方向に沿ってはあまり変位しない。特に、第1及び第2の辺20a,20bの中央部においては、ほとんど変位せず、第1及び第2の辺20a,20bの中央部は実質的にノードとなる。すなわち、圧電振動部20は、破線で示す幅方向に膨張した状態と、実線で示す幅方向に収縮した状態とのの間で変位を繰り返す。このような拡がり振動モードが励振される圧電振動部20においては、第3及び第4の辺20c,20dに接する幅方向端部が振動の腹部となる。このため、圧電被駆動部22は、輪郭振動モードにおける振動の腹部を含んでいる。
【0042】
図1及び図2に示すように、圧電振動部20は基板10に固定された支持部30によって基板10からギャップDだけ離れた位置に支持されている。支持部30は、第1の付加膜26の両端部と、第1の端子電極31と、圧電薄膜23の両端部と、第2の端子電極32と、第2の付加膜27の両端部とにより構成されている。すなわち、本実施形態では、圧電振動部20と支持部30とは、同一の薄膜部材によって構成されている。
【0043】
但し、第1及び第2の付加膜26,27は、支持部30にとって必須の構成部材ではない。支持部30は、圧電薄膜23、上部電極24及び下部電極25のみにより構成されていてもよい。その場合、上部電極24及び下部電極25は、圧電薄膜23に対して非常に薄いものであるため、支持部30としての機能は、圧電薄膜23が実質的に担うこととなる。
【0044】
また、本実施形態のように、第1及び第2の付加膜26,27が設けられている場合は、圧電薄膜23の両端部を設ける必要は必ずしもない。但し、圧電薄膜23の両端部を設けない場合は、第1及び第2の付加膜26,27を、圧電振動部20を支持するのに十分な強度に形成する必要がある。
【0045】
支持部30は、圧電振動部20を、第1及び第2の辺20a,20bのほぼ中央、つまり、圧電振動部20の長さ方向端部のほぼ中央において支持している。上述のように、幅と長さとの比が1:1.5で、幅方向の振動が主となる拡がり振動モードが利用される本実施形態では、この圧電振動部20の長さ方向端部のほぼ中央は、ほとんど変位しないノードである。従って、支持部30は、そのノードにおいて圧電振動部20を支持している。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、上部電極24と下部電極25とは、輪郭振動モードにおける振動の腹部となる、圧電振動部20の主たる振動方向における端部において重なり合っていない。つまり、圧電振動部20は圧電振動部20の主たる振動方向における端部に位置する圧電被駆動部22を有する。このため、この圧電被駆動部22の圧電振動部20に占める割合(圧電被駆動部占有率)を調節することにより、容易に比帯域の大きさを調節することが可能となり、圧電振動装置1の設計自由度が向上する。
【0047】
また、圧電被駆動部占有率を45%以下に設定した場合には、比帯域を大きくことができる。このため、最大位相角を大きくすることができ、よって、容易かつ確実に発振させることができる。
【0048】
上記のように、発振容易性の観点からは、比帯域が大きいことが好ましい。その反面、比帯域が大きいと外部回路の影響を受けやすくなるため、周波数公差が厳しくなる。よって、周波数公差を緩和する観点からは比帯域が小さい方が好ましい。従って、圧電振動装置1にとって、帯域幅が大きいほど好ましいとは必ずしもいえず、用いられる発振回路素子、電子装置によって好ましい比帯域の大きさが異なる。このため、圧電振動装置1においては、本実施形態のように比帯域の大きさの調整が容易であることが好ましい。
【0049】
なお、圧電薄膜振動装置1において、圧電被駆動部22の圧電振動部20に占める割合を調節することにより比帯域の大きさが調節可能であることは、本発明者らの鋭意研究の結果により、初めて見出されたものである。
【0050】
以下に示す要件において、上部電極24の幅方向寸法を種々変化させた場合の圧電被駆動部占有率と比帯域(帯域幅を中心周波数で除算して得られる値)との関係を有限要素法によりシミュレーションした結果を図11に示す。図11の横軸は、圧電被駆動部22の圧電振動部20に占める割合(圧電被駆動部占有率)を示す。縦軸は、比帯域を示す。
第1の付加膜26:材料:SiO、厚み:1.7μm
下部電極25:材料:Pt、厚み:0.1μm
圧電薄膜23:材料:AlN、厚み:1.6μm
上部電極24:材料:Pt、厚み:0.1μm
第2の付加膜27:SiO層とAlN層との積層、SiO層の厚み:3.3μm、AlN層の厚み:0.8μm
第1及び第2の付加膜26,27を含む圧電振動部20の厚み:7.6μm
圧電振動部20の寸法:幅140μm×長さ210μm
図11に示すように、圧電被駆動部占有率を変化させることにより、圧電振動装置1の比帯域の大きさを変化させることができることがわかった。具体的に、圧電被駆動部占有率が0より大きく0.45(45%)以下である場合は、圧電被駆動部22が設けられていない場合と比べて比帯域を大きくすることができることがわかった。一方、圧電被駆動部占有率が0.45を超えると、圧電被駆動部22が設けられていない場合と比べて比帯域が小さくなる傾向にあることがわかった。圧電被駆動部占有率が0〜0.25の範囲においては、比帯域は、圧電被駆動部占有率の増加と共に大きくなり、圧電被駆動部占有率が0.25であるときに最大となった。圧電被駆動部占有率が0.25より大きい範囲においては、比帯域は圧電被駆動部占有率の増加と共に小さくなることがわかった。
【0051】
圧電被駆動部占有率を変化させることにより圧電振動装置1の比帯域の大きさを変化させることができるのは、以下の理由によるものであると考えられる。すなわち、幅方向の振動を主とする拡がり振動モードが励振される圧電振動部20においては、第3及び第4の辺20c,20dに接する幅方向端部が振動の腹部となる。このため、圧電振動部20の幅方向端部では、電束密度が弱く(すなわち、発生電荷量が少ないので)、圧電振動に対する励振効率が低い。すなわち、圧電振動部20の幅方向端部は、圧電的な寄与が小さい部分である。このことから、圧電被駆動部占有率を変化させることで励振効率が低い幅方向端部における圧電駆動部21の面積を調節することで、図12に示す圧電振動装置1の等価回路において、圧電効果に起因するC4をなるべく変化させることなく、電気容量に起因するC3を変化させることができる。その結果、C4/C3に比例する比帯域の大きさを調整することができるものと考えられる。特に、圧電被駆動部占有率が0〜0.25の範囲においては、C3を小さくすることができるので、比帯域を大きくすることができるものと考えられる。
【0052】
また、本実施形態では、バルク波内の輪郭振動モードに属する拡がり振動モードが利用されるため、Q値が高く、体電力性に優れた圧電振動装置1を実現することができる。加えて、圧電振動部20は、基板10からギャップDを隔て浮かされた状態で配置されている。このため、圧電振動部20は圧電効果により基板10に束縛されることなく自由に振動する。よって、良好な共振特性を得ることができる。
【0053】
特に、本実施形態では、圧電振動部20は、そのノードにおいて支持されている。このため、支持されることによる振動の阻害が抑制され、より良好な共振特性が得られる。
【0054】
本実施形態では、圧電振動部20と支持部30とは、同一の薄膜部材により構成されている。このため、圧電振動部20を形成する工程とは別に、支持部30を形成する工程を設ける必要がなく、共通の薄膜形成工程で圧電振動部20と支持部30とを同時に形成することができる。よって、圧電振動装置1の製造工程を簡略化することができる。
【0055】
なお、圧電振動装置1の作製方法は、特に限定されない。例えば、圧電振動装置1は、基板10上に、第1の付加膜26、第1の導電層28、圧電薄膜23、第2の導電層29及び第2の付加膜27を、薄膜形成法で順次形成していくことにより作製することができる。薄膜形成法の具体例としては、例えば、PVD法や、CVD法などが挙げられる。
【0056】
下部電極25よりも上部電極24を幅狭にする方法としては、例えば、上部電極24のパターニング時に下部電極25のパターニング時に使用したマスクよりも狭いパターンを有するマスクを使用する方法や、レーザー、収束イオンビームなどを用いて形成された上部電極24を再加工する方法が挙げられる。
【0057】
ギャップDの形成方法も特に限定されない。ギャップDは例えば以下の要領で形成することができる。基板10上に、第1の付加膜26、第1の導電層28、圧電薄膜23、第2の導電層29及び第2の付加膜27を溶解しない溶剤により除去可能な溶剤除去性材料層を形成する。その後、第1の付加膜26、第1の導電層28、圧電薄膜23、第2の導電層29及び第2の付加膜27を順次形成する。最後に、溶剤除去性材料層を除去することによりギャップDを形成することができる。
【0058】
(第1及び第2の変形例)
図13は、第1の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。図14は、第2の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。図13に示すように、圧電被駆動部22に、下部電極25を形成せず、上部電極24のみを形成するようにしてもよい。図14に示すように、圧電被駆動部22に、上部電極24と下部電極25の両方を形成しないようにしてもよい。
【0059】
しかしながら、第1及び第2の変形例の場合、下部電極25の上に形成される圧電薄膜23や上部電極24に凹凸が生じる。圧電薄膜23に凹凸が生じると、その凹凸部において、結晶成長に不連続性が生じるため、圧電薄膜23の凹凸部は結晶性の悪い領域となる。このため、この結晶性が悪い凹凸部が起点となって、衝撃などによる圧電振動装置1の破壊や静電耐圧の劣化による耐サージ性の劣化などの不良が発生するおそれがある。従って、上記第1の実施形態のように、圧電被駆動部22には、下部電極25を形成し、上部電極24を形成しないようにすることが好ましい。そうすることにより、圧電薄膜23に大きな凹凸が生じることを規制することができる。従って、上述のような圧電振動装置1の破壊や静電耐圧の劣化による耐サージ性の劣化などの不良を抑制することができる。
【0060】
(第3の変形例)
上記第1の実施形態では、平面視した際の圧電駆動部21の形状が略矩形状である例について説明したが、本発明において、平面視した際の圧電駆動部21の形状は特に限定されない。圧電振動の励起効率は電束密度分布によって決まるため、有限要素法などを用いて電束密度の等高線を計算し、圧電駆動部21の形状を電束密度の等高線に沿った形状にすることが好ましい。例えば、図15に示すように、圧電駆動部21の平面視した際の形状を、長さ方向における中央部が拡幅した樽状にしてもよい。
【0061】
このように、圧電駆動部21の平面視した際の形状を電束密度の等高線に沿った形状にすることで、圧電駆動部21を電束密度が低い部分からより厳密に遠ざけることができる。このため、比帯域をより大きくすることが可能となる。
【0062】
(第4の変形例)
図16は、第4の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。図17は、図16中のE−E線に沿う断面図である。図18及び図19は、図16中のF−F線及びG−G線に沿う各断面図である。
【0063】
第4の変形例の圧電振動装置1aは、圧電振動部20を浮かされた状態とするためのギャップを設けるための構造が異なることを除いては第1の実施形態の圧電振動装置1と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、詳細な説明を省略する。
【0064】
本変形例の圧電振動装置1aは基板10aを備えている。基板10aの上面には、凹部10bが形成されている。この凹部10bによりギャップHが形成されている。すなわち、上記第1の実施形態では、ギャップDが基板10の上面と、基板10の上面から浮かされた圧電振動部20との間に形成されていたのに対して、本変形例では、基板10aに凹部10bが形成されることで、ギャップHが形成されている。
【0065】
なお、基板10aに凹部10bを形成することにより、ギャップHを形成する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、第1の付加膜26などの形成前に、基板10aに、エッチングなどの加工により凹部10bを形成する。この凹部10b内に第1の実施形態で用いた溶剤除去性材料層を形成する。しかる後、第1の付加膜28などを、薄膜形成法により順次形成する。最後に、溶剤により溶剤除去性材料層を除去することにより、ギャップHを形成することができる。
【0066】
(第5の変形例)
図20は、第5の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。図21は、図20中のI−I線に沿う断面図である。図22及び図23は、図20中のJ−J線及びK−K線に沿う各断面図である。
【0067】
第5の変形例の圧電振動装置1bは、圧電振動部20を浮かされた状態とするためのギャップを設けるための構造が異なることを除いては第1の実施形態の圧電振動装置1と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、詳細な説明を省略する。
【0068】
本変形例の圧電振動装置1bは基板10cを備えている。本変形例では、基板10cと第1の付加膜26との間に、ギャップ形成用材料層40が形成されている。そして、そのギャップ形成用材料層40を介して、圧電振動部20が基板10cに対して支持されている。ギャップ形成用材料層40の圧電振動部20の下に位置する部分には、上面に開口する凹部40aが形成されている。これにより、圧電振動部20が基板10cからギャップLだけ浮かされた状態で保持されている。
【0069】
ギャップLの形成方法は特に限定されないが、例えば以下のような方法によりギャップLを形成することができる。すなわち、まず、基板10c上にギャップ形成用材料層40を成膜する。このギャップ形成用材料層40は、圧電振動部20及び支持部30を溶解しない溶剤により除去される溶剤除去性材料を用いて、蒸着等の適宜の薄膜形成方法により形成される。その後、ギャップ形成用材料層40上に圧電振動部20及び支持部30を、薄膜形成法により順次形成する。続いて、ギャップ形成用材料層40を側方から等方性サイドエッチングすることにより凹部40aを形成する。これによりギャップLを形成することができる。
【0070】
本第5の変形例や第4の変形例において例示したように、圧電振動部20を浮かされた状態とするためのギャップは、上記第1の実施形態に記載の方法のみならず、種々の方法により形成することができる。
【0071】
(第6〜第8の変形例)
図24は、第6の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。図25は、図20中のM−M線に沿う断面図である。図26は、第7の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。図27は、第8の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。
【0072】
本発明においては、上部電極24や下部電極25と絶縁されている限りにおいて、圧電被駆動部22に他の導電層をさらに設けてもよい。その場合であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
例えば、図24及び図25に示すように、圧電被駆動部22に上部電極24が形成されていない場合において、圧電被駆動部22に、上部電極24とは電気的に絶縁された導電層41をさらに設けてもよい。また、図26に示すように、圧電被駆動部22に下部電極25が形成されていない場合において、圧電被駆動部22に、下部電極25とは電気的に絶縁された導電層42をさらに設けてもよい。さらに、図27に示すように、圧電被駆動部22に上部電極24と下部電極25との両方が形成されていない場合において、圧電被駆動部22に、上部電極24及び下部電極25とは電気的に絶縁された導電層41と導電層42とをさらに設けてもよい。
【0074】
但し、上述のように、圧電薄膜23に凹凸を生じさせない観点からは、図24及び図25に示すように、圧電被駆動部22に下部電極25のみを形成すると共に、導電層41をさらに形成することが特に好ましい。
【0075】
導電層41を形成する方法としては、例えば、圧電薄膜23の上面の全面に第2の導電層29を形成し、その後、レーザーや収束イオンビームなどによりスリットを形成することで、第2の導電層29から上部電極24と導電層41とを同時に形成する方法が挙げられる。同様に、導電層42も、第1の導電層28にレーザーや収束イオンビームなどによりスリットを形成することで、第1の導電層28から下部電極25と導電層42とを同時に形成することができる。
【0076】
上記のレーザーや収束イオンビームを用いた方法により、導電層41や導電層42を形成するのであれば、導電層41や導電層42を設けない場合よりも加工面積が小さくなる。このため、加工時間を短くすることができ、圧電振動装置1の製造に要する時間を短くすることができる。
【0077】
また、圧電薄膜23よりも上部電極24及び下部電極25の方が音速が遅い場合は、導電層41や導電層42を形成した方が、全体として平均的な音速が小さくなる。従って、同じ周波数で圧電振動装置1を作製する場合、圧電振動装置1を小型化することができる。なお、圧電薄膜23の音速よりも上部電極24及び下部電極25の音速を遅くする方法としては、例えば、圧電薄膜23をAlNで形成すると共に、上部電極24及び下部電極25をPtで形成する方法が挙げられる。
【0078】
(第9の変形例)
図28は、第9の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【0079】
上記第1の実施形態では、幅方向の振動を主とする拡がり振動モードを利用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図28に示す圧電振動装置1cのように、長さ振動モードを利用するものであってもよい。図29に示すように、圧電振動装置1cでは、圧電振動部20eは長辺方向に伸縮する。すなわち、圧電振動部20eは、図29に示す当初の圧電振動部20eの状態から、破線で示す長辺方向に伸びた状態と、長さ方向に縮んだ状態との間を繰り返し変位する。
【0080】
本変形例の場合は、主たる振動方向が長さ方向となるため、振動の腹部となる圧電振動部20eの長さ方向における端部に圧電被駆動部22aを形成することが好ましい。
【0081】
また、本発明に係る圧電振動装置は、図30に示すような幅振動モードを利用するものであってもよい。この場合は、第1の実施形態と同様に、主たる振動方向が幅方向となるため、圧電被駆動部は、振動の腹部となる圧電振動部の幅方向における端部に形成されることが好ましい。
【0082】
また、本発明に係る圧電振動装置は、図31に示すように、圧電振動部20fが平面視略正方形状であり、幅方向の振動と長さ方向との振動との両方がほぼ均等に生じる拡がり振動モードを利用するものであってもよい。この場合は、主たる振動方向が幅方向と長さ方向との両方となるため、図31に示すように、圧電被駆動部22bを圧電振動部20fの周縁部に、圧電駆動部21aを包囲するように額縁状に形成することが好ましい。その場合、図31に示すように、圧電被駆動部22bにより囲まれる領域が略矩形状となるように圧電被駆動部22bを構成してもよいし、図32に示すように、圧電被駆動部22bにより囲まれる領域が、各辺の中央部が膨出した矩形状となるように圧電被駆動部22bを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動装置の平面図である。
【図2】図2は、図1中のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、図1中のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図1中のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係る圧電振動装置が搭載された電子装置を示す概略構成図である。
【図6】図6は、第1の付加膜の平面形状を説明するための模式的平面図である。
【図7】図7は、第1の導電層の平面形状を説明するための模式的平面図である。
【図8】図8は、圧電薄膜の平面形状を説明するための模式的平面図である。
【図9】図9は、第2の導電層の平面形状を説明するための模式的平面図である。
【図10】図10は、第1の実施形態で利用される、幅方向の振動を主とする拡がり振動モードにおける振動姿態の変化を説明するための模式的平面図である。
【図11】図11は、シミュレーションにより求めた、圧電被駆動部占有率と比帯域との関係を表すグラフである。
【図12】図12は、圧電振動装置の等価回路図である。
【図13】図13は、第1の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。
【図14】図14は、第2の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。
【図15】図15は、第3の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【図16】図16は、第4の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【図17】図17は、図16中のE−E線に沿う断面図である。
【図18】図18は、図16中のF−F線に沿う断面図である。
【図19】図19は、図16中のG−G線に沿う断面図である。
【図20】図20は、第5の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【図21】図21は、図20中のI−I線に沿う断面図である。
【図22】図22は、図20中のJ−J線に沿う断面図である。
【図23】図23は、図20中のK−K線に沿う断面図である。
【図24】図24は、第6の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【図25】図25は、図20中のM−M線に沿う断面図である。
【図26】図26は、第7の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。
【図27】図27は、第8の変形例に係る圧電振動装置の横断面図である。
【図28】図28は、第9の変形例に係る圧電振動装置の模式的平面図である。
【図29】図29は、第9の変形例で利用される、長さ振動モードにおける振動姿態の変化を説明するための模式的平面図である。
【図30】図30は、長さ振動モードにおける振動姿態の変化を説明するための模式的平面図である。
【図31】図31は、幅方向の振動と長さ方向との振動との両方がほぼ均等に生じる拡がり振動モードにおける振動姿態の変化を説明するための模式的平面図である。
【図32】図32は、図31に要部を示す拡がり振動モードを利用した圧電振動装置の変形例に係る圧電振動装置の要部を示す模式的平面図である。
【図33】図33は、特許文献1に記載された圧電振動装置の模式的平面図である。
【図34】図34は、図33中のN-N線に沿った断面図である。
【図35】図35は、図33中のO-O線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1…圧電振動装置
2…発振回路素子
3…電子装置
10…基板(基体)
11…積層体
20…圧電振動部
20a…第1の端部
20b…第2の辺
20c…第3の端部
20d…第4の辺
21…圧電駆動部
22…圧電被駆動部
23…圧電薄膜
23a…第1の主面
23b…第2の主面
24…上部電極
25…下部電極
30…支持部
41、42…導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の上方に配置され、対向し合う第1,第2の主面を有する圧電薄膜と、
前記圧電薄膜の第1の主面に形成された上部電極と、
前記圧電薄膜を介して前記上部電極と重なり合うように前記圧電薄膜の第2の主面に形成されており、前記上部電極と共に前記圧電薄膜に交流電圧を印加し、前記圧電薄膜及び前記上部電極と共に圧電振動部を構成している下部電極と、
前記基体に固定されており、前記基体に対してギャップを隔てて浮かされた状態で前記圧電振動部を支持する支持部とを備え、
前記圧電振動部の輪郭振動モードを利用しており、
平面視された際に、前記上部電極と前記下部電極とは、前記圧電振動部の主たる振動方向における端部において重なり合っていないことを特徴とする、圧電振動装置。
【請求項2】
平面視された際に、前記上部電極と前記下部電極とが重なり合っていない前記圧電薄膜の部分の面積は、前記圧電振動部の面積の45%以下である、請求項1に記載の圧電振動装置。
【請求項3】
前記圧電振動部と前記支持部とは、同一の部材により構成されている、請求項1または2に記載の圧電振動装置。
【請求項4】
前記圧電振動部は前記圧電振動部のノードにおいて支持されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電振動装置。
【請求項5】
前記上部電極と前記下部電極とが重なり合っていない前記圧電薄膜の部分は、輪郭振動モードにおける振動の腹部を含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電振動装置。
【請求項6】
平面視された際に、前記圧電振動部は、対向し合う第1及び第2の辺と、対向し合う第3及び第4の辺とを有する略矩形状であり、
前記圧電振動部は前記第1及び第2の辺の延びる方向に主として振動し、
前記圧電振動部が前記第1及び第2の辺において支持されており、
前記上部電極と前記下部電極とが重なり合っていない前記圧電薄膜の部分は、前記第3及び第4の辺に接する部分の少なくとも一方に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電振動装置。
【請求項7】
前記上部電極と前記下部電極とが重なり合っていない前記圧電薄膜の部分には、前記下部電極のみが形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧電振動装置。
【請求項8】
前記上部電極と前記下部電極とが重なり合っていない前記圧電薄膜の部分において、前記第1及び第2の主面の少なくとも一部に形成され、前記上部電極及び下部電極に対して絶縁された導電層をさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電振動装置。
【請求項9】
前記上部電極及び前記下部電極は前記圧電薄膜よりも音速が遅い、請求項8に記載の圧電振動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の圧電振動装置を備える、発振回路素子。
【請求項11】
請求項10に記載の発振回路素子を備える、電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2009−94560(P2009−94560A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260124(P2007−260124)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】