説明

圧電発振器

【課題】圧電振動素子が搭載された圧電発振器の小型化が進んでも、圧電発振器に設ける電極端子数を増やすことなく、圧電振動素子の測定を容易に行うことができる圧電発振器を提供する。
【解決手段】第1のインバータを含む発振回路部と、第2のインバータを含む増幅回路部と、基準電圧生成回路部と、比較器を有する切替回路部と、圧電振動素子の一端と第1のインバータの入力側との接続間に配置される第1のスイッチと、圧電振動素子の他端と第1のインバータの出力側との接続間に配置される第2のスイッチと、第2のインバータの出力側と、前記出力端子との接続を切り替える第3のスイッチと、圧電振動素子の一端又は増幅回路部の第2のインバータの入力側と、インヒビット端子との接続を切り替える第4のスイッチとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の圧電発振器の一形態を示す分解斜視図である。図6に示すように従来の圧電発振器200は、凹部空間205を有するパッケージ201と圧電振動素子202と集積回路素子203と蓋体204とから主に構成されている。
前記パッケージ201は、セラミック材料等から成る概略直方体からなり、一方の主面に開口する凹部空間205が形成され、前記凹部空間205内には前記凹部空間205内底面より高い位置となる搭載部206が形成されている。
前記圧電振動素子202は、前記搭載部206に形成された圧電振動素子搭載パッド207上に搭載されている。
前記集積回路素子203は、前記パッケージ201の凹部空間内底面に形成された集積回路素子搭載パッド208上に搭載されている。
前記蓋体204は、前記パッケージ201の凹部空間205上に載置し、前記パッケージ201の側壁頂部と固着することにより、凹部空間205内を気密封止される。
このような圧電発振器200において、前記パッケージ201の他方の主面の4隅には、それぞれ外部接続用電極端子209である電源電圧端子、グランド端子、出力端子、インヒビット端子が一端子ずつ形成されている構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、前記パッケージ201の側面には、上下に延びる2本の溝部が形成され、前記各溝部内の中央部分にモニタ用電極端子210が設けられている。このモニタ用電極端子は、前記圧電振動素子を電気的に接続されている。
圧電振動素子202の特性を測定する場合は、一対のコンタクトプローブを一方向から並列させてモニタ用電極端子210に接触させることによって、圧電振動素子201のCI(クリスタルインピーダンス)値、周波数等の特性を測定する(例えば、特許文献2を参照)。
図7は、従来の圧電発振器の回路構成を示すブロック図である。図7に示した圧電発振器は、圧電振動素子Xtalと前記集積回路素子には、発振回路部Xと、増幅回路部Yと、温度補償用制御データを記憶するためのメモリ部Mと、温度補償用制御データに基づき、温度補償を行なう温度補償信号制御回路部Tとを有するものである。
圧電振動素子Xtalの一端であるXM1と前記圧電振動素子Xtalの他端であるXM2をモニタ用電極端子として用いている。
【0004】
図8は、従来の圧電発振器の回路構成を示すブロック図である。図8に示した圧電発振器は、圧電発振器を構成するパッケージに、電源電圧端子302と周波数制御端子303とグランド端子304と出力端子305と書込端子306と調整端子307が設けられている。又、パッケージ308内には、圧電振動素子301が搭載されている。
更に、パッケージ308内には集積回路素子が搭載されている。
この集積回路素子313には、前記各端子と電気的に接続し、且つ圧電振動素子301からの信号を制御処理する電子回路が設けられている。電子回路としては、温度補償回路を有し、圧電振動素子301からの信号を制御処理し、出力端子305に出力する、電源電圧端子302より電源電圧を供給される発振回路309と、書込端子306より入力された温度補償データを記憶する、電源電圧端子302より電源電圧を供給される記憶手段310と、第1の切替手段311a及び311bと、第2の切替手段312a及び312bとから構成されている。ここで第1の切替手段311a及び311bは、調整端子307から入力された選択信号により、圧電振動素子301と発振回路309との間に切断と接続を切り替える。又、第2の切替手段312aは、調整端子307から入力された選択信号により、電源電圧端子302の接続を、発振回路309及び記憶手段310との接続又は圧電振動素子301との接続のどちらかに切り替える。
このような構成の回路において、圧電発振器300を発振器として機能させる場合は、調整端子307から入力された選択信号により、第1の切替手段311a及び311bを圧電振動素子301と発振回路309を接続する側に切り替え、第2の切替手段312bを周波数制御端子303と発振回路309とを接続する側に切り替える。
又、圧電発振器300に搭載された圧電振動素子の周波数特性を測定する場合は、調整端子307から入力された選択信号により、第1の切替手段311a及び311bを圧電振動素子301と発振回路309とを切断する側に切り替え、第2の切替手段312aを電源電圧端子302と圧電振動素子301を接続する側に切り替え、第2の切替手段312bを周波数制御端子303と圧電振動素子301とを接続する側に切り替える。
この各切替手段による切断と接続により、圧電振動素子301は発振回路309や記憶手段310と完全に切り離された状態で、電源電圧端子302と周波数制御端子303に接続することになり、この電源電圧端子302と周波数制御端子303を圧電振動素子301のモニタ用電極端子として用いることができる(例えば、特許文献3を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−42096号公報
【特許文献2】特開2003−163542号公報
【特許文献3】特開2006−25336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の圧電発振器200では、小型化が進むと、モニタ用電極端子210を形成するエリアを圧電発振器表面に確保できなくなり、モニタ用電極端子210を圧電発振器200に設けることが困難になる。モニタ用電極端子210を設けた場合でも、一方の側面に形成する2本の溝部の間隔が狭くなり、溝部内に形成するモニタ用電極端子210の形成面積も小さくなってしまう。これにより溝部に接触されるプローブ同士が接触してしまったり、モニタ用電極端子210に正しく接触することができないといった課題があった。
また、コンタクト不良を防ぐ為に、何度もコンタクトプローブを溝部内のモニタ用電極端子210に接触させることによって、溝部内のモニタ用電極端子以外の部分にもコンタクトプローブの先端が接触してしまいパッケージ201に割れやカケ等が生じてしまうといった課題があった。
また、パッケージ201の側面にモニタ用電極端子210を形成する場合、フィル材等の異物が付着してしまうと圧電振動素子202の周波数が変動してしまうといった課題もあった。
【0007】
また、従来の圧電発振器300では、圧電振動素子202の測定用端子として電源電圧端子302と周波数制御端子303を使用ために、調整端子307という新たな電極端子をパッケージに設けなければならないため、電極端子数が増えてしまい、小型化されるパッケージで面積を小さくしなければ各電極端子を設けることができないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は前記課題に鑑みてなされたもので、圧電振動素子が搭載された圧電発振器の小型化が進んでも、圧電発振器に設ける電極端子数を増やすことなく、圧電振動素子の測定を容易に行うことができる圧電発振器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧電発振器は、圧電振動素子と、集積回路素子と、外部接続用電極端子である電源電圧端子と出力端子とグランド端子とインヒビット端子を有し、圧電振動素子と集積回路素子を収容するパッケージと、パッケージを気密封止するための蓋体とを備えた圧電発振器であって、集積回路素子には、圧電振動素子の共振周波数に基づいて発振信号を出力する第1のインバータを含む発振回路部と、発振信号を増幅する第2のインバータを含む増幅回路部と、基準電圧を発生させる基準電圧生成回路部と、基準電圧生成回路部から入力される基準電圧と、電源電圧端子から入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となる場合に出力信号を出力する比較器を有する切替回路部と、圧電振動素子の一端と発振回路部の第1のインバータの入力側との接続間に配置され、比較器からの出力信号により動作する第1のスイッチと、圧電振動素子の他端と発振回路部の第1のインバータの出力側との接続間に配置され、比較器からの出力信号により動作する第2のスイッチと、圧電振動素子の他端と増幅回路部の第2のインバータの出力側と出力端子との接続間に配置され、比較器からの出力信号により、圧電振動素子の他端又は増幅回路部の第2のインバータの出力側と、前記出力端子との接続を切り替える第3のスイッチと、圧電振動素子の一端と増幅回路部の第2のインバータとインヒビット端子との接続間に配置され、比較器からの出力信号により、圧電振動素子の一端又は増幅回路部の第2のインバータの入力側と、インヒビット端子との接続を切り替える第4のスイッチと、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の圧電発振器は、圧電振動素子と、集積回路素子と、外部接続用電極端子である電源電圧端子と出力端子とグランド端子と周波数制御端子とを有し、圧電振動素子と集積回路素子を収容するパッケージと、パッケージを気密封止するための蓋体とを備えた圧電発振器であって、集積回路素子には、圧電振動素子の共振周波数に基づいて発振信号を出力する第1のインバータを含む発振回路部と、発振信号を増幅する第2のインバータを含む増幅回路部と、温度補償データを記憶するためのメモリ部と、温度補償データに基づき、温度補償を行なう温度補償信号発生回路部と、基準電圧を発生させる基準電圧生成回路部と、基準電圧生成回路部から入力される基準電圧と、電源電圧端子から入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となる場合に出力信号を出力する比較器を有する切替回路部と、圧電振動素子の一端と発振回路部の第1のインバータの入力側との接続間に配置され、比較器からの出力信号により動作する第1のスイッチと、圧電振動素子の他端と発振回路部の第1のインバータの出力側との接続間に配置され、比較器からの出力信号により動作する第2のスイッチと、圧電振動素子の他端と増幅回路部の第2のインバータの出力側と出力端子との接続間に配置され、比較器からの出力信号により、圧電振動素子の他端又は増幅回路部の第2のインバータの出力側と、出力端子との接続を切り替える第3のスイッチと、圧電振動素子の一端と増幅回路部の第2のインバータと周波数制御端子との接続間に配置され、比較器からの出力信号により、圧電振動素子の一端又は増幅回路部の第2のインバータの入力側と、周波数制御端子との接続を切り替える第4のスイッチと、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧電発振器によれば、切替回路部の比較器は電源電圧端子と接続されていることにより、電源電圧端子に印加される電源電圧が、比較器に接続されている基準電圧生成回路部からの基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となることによって、比較器から出力信号が出力され、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、第4のスイッチが切り替えられる。
圧電振動素子が第1のスイッチと第2のスイッチによって、発振回路部と切断され、圧電振動素子が第3のスイッチと第4のスイッチによって、出力端子とインヒビット端子と接続される。これにより、出力端子とインヒビット端子を圧電振動素子のモニタ用電極端子として用いることができ、この出力端子とインヒビット端子にプローブを接触させて、圧電振動素子の周波数特性を測定することができる。
よって、モニタ用電極端子をパッケージの側面に形成する必要がなく、外部接続用電極端子と兼用することできる。これにより、離れた位置にある外部接続用電極端子にプローブをあてて測定するため、プローブ同士が接触することがなくなり、安定して測定することが可能となる。
また、従来のように狭い溝部にモニタ用電極端子を形成せずに、パッケージの他方の主面上に形成されている外部接続用電極端子と兼用することによって、コンタクト不良を防ぐ為に、何度もプローブを接触させる必要がないため、外部接続用電極端子以外部分にコンタクトプローブの先端が接触することがないので、パッケージの割れやカケ等が防止することが可能となる。
また、モニタ用電極端子をパッケージの側面に形成する必要がないため、フィル等の異物がモニタ用電極端子に付着することで生じた圧電振動素子の周波数の変動を防止することが可能となる。
【0012】
また、本発明の圧電発振器によれば、切替回路部の比較器は電源電圧端子と接続されていることにより、電源電圧端子に印加される電源電圧が、比較器に接続されている基準電圧生成回路部からの基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となることによって、比較器から信号が出力され、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、第4のスイッチが切り替えられる。これにより、圧電振動素子が第1のスイッチと第2のスイッチによって、発振回路部と切断され、圧電振動素子が第3のスイッチと第4のスイッチによって、出力端子と周波数制御端子と接続される。これにより、出力端子と周波数制御端子を圧電振動素子のモニタ用電極端子として用いることができ、この出力端子と周波数制御端子にプローブを接触させることによって、圧電振動素子の周波数特性を測定することができる。
よって、従来の圧電発振器のように調整端子のような新たな電極端子を設けることなく、スイッチを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
尚、説明を明りょうにするため説明に不必要な構造体の一部を図示していない。さらに図示した寸法も一部誇張して示している。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る圧電発振器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る圧電発振器100は、圧電振動素子20と、集積回路素子30と、外部接続用電極端子である電源電圧端子と出力端子とグランド端子とインヒビット端子とを備え、前記圧電振動素子と前記集積回路素子を収容するパッケージ10と、前記パッケージ10を気密封止するための蓋体50とによって主に構成されている。
【0015】
圧電振動素子20は、例えば水晶素板が用いられ、前記水晶素板の表裏両主面に励振用電極21が被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極21を介して水晶素板に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
このような圧電振動素子20は、その両主面に被着されている励振用電極21と凹部空間11内の搭載部16の開口側表面に形成されている圧電振動素子搭載パッド15とを、導電性接着剤40を介して電気的且つ機械的に接続することによって凹部空間11の搭載部16に搭載される。また、前記搭載部16は、前記凹部空間11の底面よりも高くなるように形成されている。また、前記圧電振動素子搭載パッド15は、前記パッケージ10の内部の配線導体やビアホール導体等及び凹部空間内底面に形成された集積回路素子接続用電極パッド14を介して、集積回路素子30に電気的に接続される。
【0016】
導電性接着剤40は、シリコーン樹脂の中に導電性フィラーが含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、またはこれらのうちのいずれかの組み合わせを含むものが用いられている。
【0017】
集積回路素子30は、その回路形成面に圧電振動素子20からの発振出力を生成する発振回路等から成る電子回路が設けられており、この発振回路で生成された出力信号は外部接続用電極端子13のうちの出力端子を介して圧電発振器外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。また集積回路素子30は、パッケージ10の凹部空間11内に形成された集積回路素子搭載パッド14に搭載されている。
【0018】
パッケージ10は、例えば、アルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料から成る絶縁層を複数積層することよって形成されており、前記パッケージ10の一方の主面には、中央域に開口する矩形状の凹部空間11が形成されている。また、凹部空間11を囲繞するパッケージ10の側壁部の開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターン12が形成されている。凹部空間11内には、前記凹部空間11の底面からの段差により高い位置に設けられる搭載部16と、前記搭載部16に形成される圧電振動素子搭載パッド15と、前記凹部空間11の底面に設けられる集積回路素子搭載パッド12を備えている。更に、前記パッケージ10の他方の主面には外部接続用電極端子13である電源電圧端子、グランド端子、出力端子、インヒビット端子が形成されている。
【0019】
集積回路素子搭載パッド14は、前記パッケージ10の前記凹部空間11内底面に形成されている。
また、集積回路素子搭載パッド14は、集積回路素子30に形成されている接続パッドが電気的且つ機械的に接続され、前記パッケージ10内部に形成されている配線導体やビアホール導体等を介して外部接続用電極端子13のうちの出力端子、インヒビット端子、電源電圧端子に電気的に接続される。
【0020】
前記外部接続用電極端子13は、電源電圧端子、グランド端子、出力端子、インヒビット端子により構成されており、これらの外部接続用電極端子13は、圧電発振器100をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際、半田付け等によって外部電気回路の回路配線と電気的に接続されることとなる。
また、パッケージ10の側壁部の頂面に形成された封止用導体パターン12は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等から成る基層の表面にニッケル(Ni)層及び金(Au)層を順次、前記パッケージ10の環状に囲繞する形態で被着させることによって10μm〜25μmの厚みに形成されており、その封止用導体パターン12は、後述する蓋体50を、蓋体50に形成された封止部材51を介して、前記パッケージ10の側壁部の頂面に接合させるためのものであり、かかる封止用導体パターン12に、W若しくはMoから成る基層の表面にNi層及びAu層を順次被着させた構成となしておくことにより、封止用導体パターン12に対する封止部材51の濡れ性を良好とし、圧電発振器100の気密信頼性及び生産性を向上させる。
【0021】
また蓋体50は従来周知の金属加工法を採用し、42アロイ等の金属を所定形状に成形することによって製作され、前記蓋体50の上面には、ニッケル(Ni)層が形成され、更にニッケル(Ni)層の上面の封止用導体パターン12に対応する箇所に封止部材51である金錫(Au−Sn)層が形成される。金錫(Au−Sn)層の厚みは、10μm〜40μmである。例えば、成分比率が、金が80%、錫が20%のものが使用されている。また、このような封止部材51は、封止用導体パターン12の凹凸を緩和し、気密性の低下を防ぐことが可能となる。また、封止部材51が薄すぎると当該機能を充分に発揮しない。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器として機能している状態を示すブロック図である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の圧電振動素子の周波数特性を測定する状態を示すブロック図である。
第1の実施形態は、圧電振動素子20と、前記集積回路素子30には、発振回路部Xと、増幅回路部Yと、第1のスイッチSW1と、第2のスイッチSW2と、第3のスイッチSW3と、第4のスイッチSW4と、前記第1のスイッチSW1、前記第2のスイッチSW2、前記第3のスイッチSW3、前記第4のスイッチSW4と接続されている比較器COMP1を含む切替回路部Zと、比較器COMP1に基準電圧Vrefを印加するための基準電圧生成回路部とを備えたものである。
尚、集積回路素子30は、発振回路部Xと、増幅回路部Yと、第1のスイッチSW1と、第2のスイッチSW2と、第3のスイッチSW3と、第4のスイッチSW4と、切替回路部Zと、基準電圧生成回路部等を集積した電子回路を内部に有する。
【0023】
図2及び図3に示すように、電源電圧端子Vddに印加された電源電圧によって発振回路部Xと増幅回路部Yに定電圧が印加される。
尚、図2及び図3に示した発振回路部X及び増幅回路部Yでは、電源電圧端子Vddと第1のインバータINV1、第2のインバータINV2が接続される構成として表している。
【0024】
図2及び図3に示すように、発振回路部Xは、第1のインバータINV1、抵抗R3、コンデンサC1、C2によって構成されている。
抵抗R3は、前記第1のインバータINV1の入出力間に並列に接続されている。
圧電振動素子20の一端であるXT1は、第1のインバータINV1の入力側及び抵抗R3の一端、負荷容量となるコンデンサC1の一端が接続されている。コンデンサC1の他端はグランド端子GNDと接続されている。
圧電振動素子20の他端であるXT2は、第1のインバータINV1の出力側及び抵抗R3の他端、負荷容量となるコンデンサC2の一端が接続されている。コンデンサC2の他端はグランド端子GNDと接続されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、増幅回路部Yは、第2のインバータINV2によって構成されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の入力側は、前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側と接続されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側は、出力端子OUTと接続されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2と電源電圧端子Vddは、第5のスイッチSW5を介して接続されている。
インヒビット端子INHと第5のスイッチSW5が接続されており、インヒビット端子INHに定電圧が印加されることにより、第5のスイッチSW5が、増幅回路部Yの第2のインバータINV2と電源電圧端子Vddが接続された状態から増幅回路部Yの第2のインバータINV2と電源電圧端子Vddが切り離された状態になり、電源電圧端子Vddからの定電圧が、前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2に印加されなくなるので、出力端子OUTからの発振信号の出力が停止することになる。
つまり、インヒビット端子INHへの所定の電圧の印加により、圧電振動素子20を振動させつつ、圧電発振器としての出力を停止できるので、圧電発振器の出力が必要な場合には、インヒビット端子INHへの所定の電圧の印加をやめることにより、第5のスイッチSW5が接続された状態になり、すぐに圧電発振器として出力することができる。よって、圧電発振器の立ち上がり時間を短縮することができる。
【0026】
図2及び図3に示すように、基準電圧発生回路部Rは、切替回路部Zの比較器COMP1のマイナス入力側と接続されており、設定された基準電圧Vrefを比較器COMP1に印加する。
【0027】
図2及び図3に示すように、切替回路部Zは、抵抗R1、R2と比較器COMP1によって回路構成されている。
前記抵抗R1の一端は、電源電圧端子Vddと接続されており、前記抵抗R1の他端は、前記抵抗R2の一端と接続されている。前記抵抗R2の他端は、グランド端子GNDと接続されている。
比較器COMP1のプラス入力側は、前記抵抗R1の他端及び前記抵抗R2の一端と接続されている。また、比較器COMP1のマイナス入力側は、基準電圧Vrefを印加するための基準電圧発生回路部と接続されている。
比較器COMP1の出力側は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、第3のスイッチSW3及び第4のスイッチSW4と接続されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、第1のスイッチSW1は、前記圧電振動素子20の一端であるXT1と前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側との接続間に配置されている。
第2のスイッチSW2は、前記圧電振動素子20の他端であるXT2と前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側との接続間に配置されている。
第3のスイッチSW3は、前記圧電振動素子20の他端であるXT2と前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子OUTとの接続間に配置されており、圧電振動素子の他端であるXT2と第2のインバータINV2と、出力端子OUTとの接続を切り替える機能を備えている。
第4のスイッチSW4は、前記圧電振動素子20の一端であるXT1と前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2とインヒビット端子INHとの接続間に配置されており、水晶振動素子の一端であるXT1と第2のインバータINV2と、インヒビット端子INHとの接続を切り替える機能を備えている。
【0029】
図2に示すように、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2は接続された状態で圧電振動素子20は、発振回路部Xの第1のインバータINV1に並列に接続されている。また、第3のスイッチSW3は、増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子Outが接続するように切り替えられている。
また、第4のスイッチSW4は、増幅回路部Yの第2のインバータINV2とインヒビット端子INHが接続するように切り替えられている。
また、図3に示すように、基準電圧生成回路部Rから入力される基準電圧Vrefと、電源電圧端子Vddから入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧Vrefよりも大きい値又は、電源電圧が基準電圧Vrefと同じ値になる場合に、比較器COMP1から信号S1、S2、S3、S4が出力され、また、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2は切り離された状態となり、第3のスイッチSW3は、圧電振動素子20の他端であるXT2と出力端子OUTが接続するように切り替えられ、第4のスイッチSW4は、圧電振動素子20の一端であるXT1とインヒビット端子INHが接続するように切り替えられ、圧電振動素子20は、発振回路部X、増幅回路部Y、切替回路部Zと完全に切り離される。この切り離された圧電振動素子20の両端は、それぞれ出力端子OUTとインヒビット端子INHと接続されているので、この出力端子OUTとインヒビット端子INHとなる外部接続用電極端子から圧電振動素子20の周波数特性を測定することが可能になる。
【0030】
第1のスイッチSW1に信号S1が入力されて、第1のスイッチSW1が圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側と切り離された状態になる。
第2のスイッチSW2に信号S2が入力されて、第2のスイッチSW2が圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側と切り離された状態になる。
第3のスイッチSW3に信号S3が入力されて、第3のスイッチSW3が圧電振動素子の他端となるXT2と出力端子OUTが接続された状態になる。
第4のスイッチSW4に信号S4が入力されて、第4のスイッチSW4が圧電振動素子の一端となるXT1とインヒビット端子INHが接続された状態になる。
【0031】
例えば、抵抗R1と抵抗R2の抵抗値が同じであり、比較器COMP1のマイナス入力側に印加される基準電圧Vrefを2.0(V)に設定した場合、電源電圧端子Vddに印加される電源電圧が3.0(V)の時には、比較器のプラス入力側には、1.5(V)が入力されるため、比較器からの信号S1、S2、S3、S4は出力されず、発振回路部X、増幅回路部Yは動作し、出力端子OUTから信号が出力される。
又、電源電圧端子Vddに印加される電源電圧が4.0(V)の時には、比較器40のプラス入力側には、2.0(V)が入力されるため、比較器から信号S1、S2、S3、S4が出力され、出力端子OUTとインヒビット端子INHに圧電振動素子20が接続した状態となる。
【0032】
尚、信号S1〜S4は、異なる信号となっている。信号S1は、第1のスイッチSW1に入力される。これにより、第1のスイッチSW1が圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側が接続された状態から圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側が切り離された状態になる。
信号S2は、第2のスイッチSW2に入力される。これにより、第2のスイッチSW2が圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側が接続された状態から圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側が切り離なされた状態になる。
信号S3は、第3のスイッチSW3に入力される。これにより、第3のスイッチSW3が増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子OUTが接続されている状態から圧電振動素子20の他端となるXT2と出力端子OUTが接続された状態になる。 信号S4は、第4のスイッチSW4に入力される。これにより、第4のスイッチSW4が第5のスイッチSW5とインヒビット端子INHが接続された状態から圧電振動素子20の一端となるXT1とインヒビット端子INHが接続された状態になる。
【0033】
このように本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器により、切替回路部Zの比較器は電源電圧端子Vddと接続されていることにより、電源電圧端子Vddに印加される電源電圧が、比較器COMP1に接続されている基準電圧生成回路部Rからの基準電圧Vrefよりも大きい値又は、電源電圧と基準電圧Vrefが同じ値となることによって、比較器COMP1から出力信号S1、S2、S3、S4が出力され、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、第3のスイッチSW3、第4のスイッチSW4が切り替えられる。
圧電振動素子20が第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2によって、発振回路部Xと切断され、圧電振動素子20が第3のスイッチSW3と第4のスイッチSW4によって、出力端子OUTとインヒビット端子INHと接続される。これにより、出力端子OUTとインヒビット端子INHを圧電振動素子のモニタ用電極端子として用いることができ、この出力端子OUTとインヒビット端子INHにプローブを接触させて、圧電振動素子の周波数特性を測定することができる。
よって、モニタ用電極端子をパッケージの側面に形成する必要がなく、外部接続用電極端子と兼用することできる。
これにより、離れた位置にある外部接続用電極端子にプローブをあてて測定するため、プローブ同士が接触することがなくなり、安定して測定することが可能となる。
また、従来のように狭い溝部にモニタ用電極端子を形成せずに、パッケージの他方の主面上に形成されている外部接続用電極端子と兼用することによって、コンタクト不良を防ぐ為に、何度もプローブを接触させる必要がないため、外部接続用電極端子以外部分にコンタクトプローブの先端が接触することがないので、パッケージの割れやカケ等が防止することが可能となる。
また、モニタ用電極端子をパッケージの側面に形成する必要がないため、フィル等の異物がモニタ用電極端子に付着することで生じた圧電振動素子の周波数の変動を防止することが可能となる。
よって、従来の圧電発振器のように調整端子のような新たな電極端子を設けることなく、スイッチを切り替えることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
パッケージ10に設けられた外部接続用電極端子のインヒビット端子INHが周波数制御端子Vcontである点が異なる。また、集積回路素子には、メモリ部と温度補償信号制御回路部が設けられている点が異なる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器として機能している状態を示すブロック図であり、図5は、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器の圧電振動素子の周波数特性を測定する状態を示すブロック図である。
第2の実施形態は、圧電振動素子20と前記集積回路素子に発振回路部Xと、増幅回路部Yと、温度補償用制御データを記憶するためのメモリ部Mと、温度補償用制御データに基づき、温度補償を行なう温度補償信号制御回路部Tと、第1のスイッチSW1と、第2のスイッチSW2と、第3のスイッチSW3と、第4のスイッチSW4と、前記第1のスイッチSW1、前記第2のスイッチSW2、前記第3のスイッチSW3、前記第4のスイッチSW4と接続されている比較器COMP1を含む切替回路部Zと、比較器COMP1に基準電圧Vrefを印加するための基準電圧生成回路部Rとを有するものである。
【0035】
図4及び図5に示すように、電源電圧端子Vddに印加された電源電圧によって発振回路部Xと増幅回路部Yに定電圧が印加される。
尚、図4及び図5に示すように、発振回路部X及び増幅回路部Yでは、電源電圧端子Vddと第1のインバータINV1、第2のインバータINV2が接続される構成として表している。
【0036】
図4及び図5に示すように、発振回路部Xは、第1のインバータINV1、抵抗R3、可変容量ダイオードCv1、Cv2によって構成されている。
前記発振回路部Xの第2のインバータINV2と電源電圧端子Vddは接続されている。 抵抗R3は、前記第2のインバータINV2の入出力間に並列に接続されている。
圧電振動素子20の一端であるXT1は、第1のインバータINV1の入力側及び抵抗R3の一端と負荷容量となる可変容量ダイオードCv1のカソードが接続されている。可変容量ダイオードCv1のアノードはグランド端子GNDと接続されている。
圧電振動素子20の他端であるXT2は、第1のインバータINV1の出力側及び抵抗R3の他端と負荷容量となる可変容量ダイオードCv2のカソードが接続されている。可変容量ダイオードCv2のアノードはグランド端子GNDと接続されている。
周波数制御端子Vcontと可変容量ダイオードCv1、Cv2のカソードが接続されている。周波数制御端子Vcontに定電圧が印加されることにより、負荷容量が調整される。このように、負荷容量を調整することによって、圧電振動素子20(Xtal)の発振特性を基準周波数に補償する。
即ち、広い温度範囲領域においては、可変容量ダイオードCv1、Cv2に供給される電圧が制御され、圧電振動素子20が有する固有の温度周波数特性を広い温度範囲で平坦化することができる。
【0037】
図4及び図5に示すように、増幅回路部Yは、第2のインバータINV2によって構成されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の入力側は、前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側と接続されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側は、出力端子OUTと接続されている。
前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2と電源電圧端子Vddは接続されている。
【0038】
図4及び図5に示すように、温度補償用制御データを記憶するためのメモリ部Mは、PROM及びEEPROMにより構成されている。
温度補償関数である下記の式1に示す3次関数のもととなるパラメータ、例えば3次成分調整値α、1次成分調整値β、0次成分調整値γの各値の温度補償用制御データが書込読込端子INPUT/OUTPUTから入力され、メモリ部Mに保存される。
f=α(T−T)+β(T−T)+γ・・・(式1)
尚、fは周波数を示し、αは3次成分の定数を示し、βは1次成分の定数を示し、γは0次成分の定数を示し、T、Tは、温度を示す。
【0039】
温度補償信号制御回路部Tは、3次関数発生回路や5次関数発生回路等によって構成されている。例えば、3次関数発生回路の場合は、そのメモリ部Mに入力された温度補償用制御データを読出して、温度補償用制御データから各温度に対して3次関数で導き出された電圧を発生させる。尚、この時の外部の周囲温度は、集積回路素子内の温度センサ(不図示)より得られる。
温度補償信号制御回路部Tは、可変容量ダイオードCv1、Cv2のカソードと接続されており、温度補償信号制御回路部Tからの電圧が印加される。
このように、可変容量ダイオードCv1、Cv2に温度補償信号制御回路部Tからの電圧を印加することよって、圧電振動素子20の周波数温度特性を補正することにより、周波数温度特性が平坦化される。
【0040】
図4及び図5に示すように、基準電圧発生回路部Rは、切替回路部Zの比較器COMP1のマイナス入力側と接続されており、比較器COMP1に設定された基準電圧Vrefを印加する。
【0041】
図4及び図5に示すように、切替回路部Zは、抵抗R1、R2と比較器COMP1によって構成されている。
前記抵抗R1の一端は、電源電圧端子Vddと接続されており、前記抵抗R1の他端は、前記抵抗R2の一端と接続されている。前記抵抗R2の他端は、グランド端子GNDと接続されている。
比較器COMP1のプラス入力側は、前記抵抗R1の他端及び前記抵抗R2の一端と接続されている。また、比較器COMP1のマイナス入力側は、基準電圧Vrefを印加するための基準電圧生成回路部Rと接続されている。
比較器COMP1の出力側は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2、第3のスイッチSW3及び第4のスイッチSW4と接続されている。
【0042】
図4及び図5に示すように、第1のスイッチSW1は、前記圧電振動素子20の一端であるXT1と前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側との接続間に配置されている。第1のスイッチSW1に信号S1が入力されて、第1のスイッチSW1が圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側と切り離された状態になる。
第2のスイッチSW2は、前記圧電振動素子20の他端であるXT2と前記発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側との接続間に配置されている。第2のスイッチSW2に信号S2が入力されて、第2のスイッチSW2が圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側と切り離された状態になる。
第3のスイッチSW3は、前記圧電振動素子20の他端であるXT2と前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子OUTとの接続間に配置されており、圧電振動素子20の他端であるXT2と第2のインバータINV2と、出力端子OUTとの接続を切り替える機能を備えている。
第4のスイッチSW4は、前記圧電振動素子20の一端であるXT1と前記増幅回路部Yの第2のインバータINV2と周波数制御端子Vcontとの接続間に配置されており、水晶振動素子の一端であるXT1と第2のインバータINV2と、周波数制御端子Vcontとの接続を切り替える機能を備えている。
第4のスイッチSW4に信号S4が入力されて、第4のスイッチSW4が圧電振動素子の一端となるXT1と周波数制御端子Vcontが接続された状態になる。
【0043】
図4に示すように、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2は接続された状態で圧電振動素子20は、発振回路部Xの第1のインバータINV1に並列に接続されている。 また、第3のスイッチSW3は、増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子OUTが接続するように切り替えられている。
また、第4のスイッチSW4は、増幅回路部Yの第2のインバータINV2と周波数制御端子Vcontが接続されている。
また図5に示すように、基準電圧生成回路部Rから入力される基準電圧Vrefと、電源電圧端子Vddから入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧Vrefよりも大きい値又は電源電圧が基準電圧Vrefと同じ値となる場合に、比較器COMP1から信号S1、S2、S3、S4が出力され、第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2は切り離された状態となり、第3のスイッチSW3は、圧電振動素子20の他端であるXT2と出力端子OUTが接続するように切り替えられ、第4のスイッチSW4は、圧電振動素子20の一端であるXT1と周波数制御端子Vcontが接続するように切り替えられ、圧電振動素子20は、発振回路部X、増幅回路部Y、切替回路部Zと完全に切り離される。この切り離された圧電振動素子20の両端は、それぞれ出力端子OUTと周波数制御端子Vcontと接続されているので、この出力端子OUTと周波数制御端子Vcontとなる外部接続用電極端子から圧電振動素子20の周波数特性を測定することが可能になる。
【0044】
例えば、抵抗R1と抵抗R2の抵抗値が同じであり、比較器COMP1のマイナス入力側に印加される基準電圧Vrefを2.0(V)に設定した場合、電源電圧端子Vddに印加される電源電圧が3.0(V)の時には、比較器COMP1のプラス入力側には、1.5(V)が入力されるため、比較器COMP1からの信号S1、S2、S3、S4は出力されず、発振回路部X、増幅回路部Yは動作し、出力端子OUTから信号が出力される。 又、電源電圧端子Vddに印加される電源電圧が4.0(V)の時には、比較器40のプラス入力側には、2.0(V)が入力されるため、比較器COMP1から信号S1、S2、S3、S4が出力され、出力端子OUTと周波数制御端子Vcontに圧電振動素子20が接続した状態となる。
【0045】
尚、信号S1〜S4は、異なる信号となっている。信号S1は、第1のスイッチSW1に入力される。これにより、第1のスイッチSW1が圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側が接続された状態から圧電振動素子20の一端となるXT1と発振回路部Xの第1のインバータINV1の入力側と切り離された状態になる。
信号S2は、第2のスイッチに入力される。これにより、第2のスイッチSW2が圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側が接続された状態から第2のスイッチSW2が圧電振動素子20の他端となるXT2と発振回路部Xの第1のインバータINV1の出力側が切り離なされた状態になる。
信号S3は、第3のスイッチSW3に入力される。これにより、第3のスイッチSW3が増幅回路部Yの第2のインバータINV2の出力側と出力端子OUTが接続された状態から圧電振動素子20の他端となるXT2と出力端子OUTが接続された状態になる。
信号S4は、第4のスイッチSW4に入力される。これにより、第4のスイッチSW4が発振回路部Xの可変容量ダイオードCv1、Cv2のカソードと周波数制御端子Vcontが接続された状態から圧電振動素子20の一端となるXT1と周波数制御端子Vcont接続された状態になる。
【0046】
このように本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器により、圧電振動素子20が第1のスイッチSW1と第2のスイッチSW2によって、発振回路部Xと切断され、圧電振動素子20が第3のスイッチSW3と第4のスイッチSW4によって、出力端子OUTと周波数制御端子Vcontと接続されることによって、出力端子OUTと周波数制御端子Vcontにプローブを接触させることによって、圧電振動素子30の測定をすることができる。
【0047】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子20を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【0048】
本発明の圧電発振器100は、パッケージ10の凹部空間内11に圧電振動素子20と、集積回路素30が収容されて蓋体40で気密封止されているが、パッケージの一方の主面に形成されている第1の凹部空間内に、圧電振動素子が搭載され、前記パッケージの他方の主面に形成される第2の凹部空間内に集積回路素子が搭載された圧電発振器としても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電発振器を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の機能している状態を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の圧電振動素子の周波数特性を測定する状態を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器の機能している状態を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器の圧電振動素子の周波数特性を測定する状態を示すブロック図である。
【図6】従来の圧電発振器を示す分解斜視図である。
【図7】従来の圧電発振器を示すブロック図である。
【図8】従来の圧電発振器を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
10・・・パッケージ
11・・・凹部空間
12・・・封止用導体パターン
13・・・外部接続用電極端子
14・・・圧電振動素子搭載パッド
15・・・集積回路素子搭載パッド
20・・・圧電振動素子
21・・・励振用電極
30・・・集積回路素子
40・・・導電性接着剤
50・・・蓋体
51・・・封止部材
100・・・圧電発振器
X・・・発振回路部
Y・・・増幅回路部
Z・・・切替回路部
C1、C2・・・コンデンサ
Cv1、Cv2・・・可変容量ダイオード
R1、R2、R3・・・抵抗
INV1・・・第1のインバータ
INV2・・・第2のインバータ
SW1・・・第1のスイッチ
SW2・・・第2のスイッチ
SW3・・・第3のスイッチ
SW4・・・第4のスイッチ
COMP1・・・比較器
Vdd・・・電源電圧端子
INH・・・インヒビット端子
Vcont・・・周波数制御端子
OUT・・・出力端子
GND・・・グランド端子
INPUT/OUTPUT・・・書込読込端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子と、集積回路素子と、外部接続用電極端子である電源電圧端子と出力端子とグランド端子とインヒビット端子を有し、前記圧電振動素子と前記集積回路素子を収容するパッケージと、前記パッケージを気密封止するための蓋体とを備えた圧電発振器であって、
前記集積回路素子には、前記圧電振動素子の共振周波数に基づいて発振信号を出力する第1のインバータを含む発振回路部と、
発振信号を増幅する第2のインバータを含む増幅回路部と、
基準電圧を発生させる基準電圧生成回路部と、
前記基準電圧生成回路部から入力される基準電圧と、電源電圧端子から入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となる場合に出力信号を出力する比較器を有する切替回路部と、
前記圧電振動素子の一端と前記発振回路部の第1のインバータの入力側との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により動作する第1のスイッチと、
前記圧電振動素子の他端と前記発振回路部の第1のインバータの出力側との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により動作する第2のスイッチと、
前記圧電振動素子の他端と前記増幅回路部の第2のインバータの出力側と出力端子との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により、前記圧電振動素子の他端又は前記増幅回路部の第2のインバータの出力側と、前記出力端子との接続を切り替える第3のスイッチと、
前記圧電振動素子の一端と前記増幅回路部の第2のインバータとインヒビット端子との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により、前記圧電振動素子の一端又は前記増幅回路部の第2のインバータの入力側と、前記インヒビット端子との接続を切り替える第4のスイッチと、を備えることを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
圧電振動素子と、集積回路素子と、外部接続用電極端子である電源電圧端子と出力端子とグランド端子と周波数制御端子とを有し、前記圧電振動素子と前記集積回路素子を収容するパッケージと、前記パッケージを気密封止するための蓋体とを備えた圧電発振器であって、
前記集積回路素子には、前記圧電振動素子の共振周波数に基づいて発振信号を出力する第1のインバータを含む発振回路部と、
前記発振信号を増幅する第2のインバータを含む増幅回路部と、
温度補償データを記憶するためのメモリ部と、
前記温度補償データに基づき、温度補償を行なう温度補償信号発生回路部と、
基準電圧を発生させる基準電圧生成回路部と、
前記基準電圧生成回路部から入力される基準電圧と、電源電圧端子から入力される電源電圧を比較し、電源電圧が基準電圧よりも大きい値又は電源電圧と基準電圧が同じ値となる場合に出力信号を出力する比較器を有する切替回路部と、
前記圧電振動素子の一端と前記発振回路部の第1のインバータの入力側との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により動作する第1のスイッチと、
前記圧電振動素子の他端と前記発振回路部の第1のインバータの出力側との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により動作する第2のスイッチと、
前記圧電振動素子の他端と前記増幅回路部の第2のインバータの出力側と出力端子との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により、前記圧電振動素子の他端又は前記増幅回路部の第2のインバータの出力側と、前記出力端子との接続を切り替える第3のスイッチと、
前記圧電振動素子の一端と前記増幅回路部の第2のインバータと周波数制御端子との接続間に配置され、前記比較器からの出力信号により、前記圧電振動素子の一端又は前記増幅回路部の第2のインバータの入力側と、前記周波数制御端子との接続を切り替える第4のスイッチと、を備えることを特徴とする圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−44606(P2009−44606A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209214(P2007−209214)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】