説明

地上デジタルテレビジョン放送における緊急速報の受信機及び送信装置、並びに伝送システム

【課題】地上デジタルテレビジョン放送における緊急速報の受信機及び送信装置並びに伝送システムを提供する。
【解決手段】本発明の受信機1は、緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報が、伝送制御信号にて伝送されるように予め規定されており、地上デジタルテレビジョン放送波を受信して前記伝送制御信号を抽出する伝送制御信号抽出手段9と、伝送制御信号に含まれる電文情報の放送事業者識別情報を判別して緊急速報の内容を解析する情報解析手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタルテレビジョン放送において、緊急警報放送や緊急地震速報などの緊急速報を送受信する技術に関し、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を伝送する受信機及び送信装置並びに伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地上デジタルテレビジョン放送の伝送システムとして、例えば、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial、ARIB規格STD‐B31)方式が実用化されている。
【0003】
そこでは、アナログ放送から引き続き、大規模地震や津波警報、地方自治体からの要請に応じて、放送局が緊急警報放送を実施した場合に、電源が入っていない地上デジタルテレビジョン放送の受信機を起動するための仕組みが設けられている。
【0004】
例えば、受信機の復調動作に関わる情報を伝送するために設けられている、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control: 伝送制御)信号と呼ばれる信号がある。
【0005】
このTMCC信号には、緊急警報放送用起動フラグと呼ばれる、緊急警報放送に基づきビットの値を変更される情報が記載されている。この緊急警報放送用起動フラグを検出して、その値が1である場合、緊急警報放送が行われることから、この緊急警報放送用起動フラグにより受信機を立ち上げることができる。
【0006】
これを、待機消費電力を抑えて動作し、受信機の電源が入っていない受信機を起動して受信機に知らせる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、緊急警報放送用起動フラグを検出する伝送制御信号受信回路を備えることにより、緊急警報放送用起動フラグが1のとき、地上デジタルテレビジョン放送の受信機の電源を投入し、受信機に緊急警報放送の視聴を促す技術である。
【0007】
一方、気象庁は、平成19年10月1日から緊急地震速報(例えば、非特許文献1参照)の一般への提供を開始した。これに伴い、テレビジョン並びにラジオの各放送局も前記速報が発表される際には、チャイム音とともにテレビジョン画面に表示または音声で伝えるなどの放送を実施することを開始した。尚、緊急地震速報のラジオ放送の一部は、平成20年4月1日から開始している。
【0008】
また、緊急地震速報を含む災害、防災情報等の地上デジタルテレビジョン放送における伝送のため、TMCC信号による起動フラグの送受信に加え、AC(Auxiliary Channel)キャリアを利用する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。TMCCキャリアの緊急警報放送用起動フラグと、例えば部分受信セグメント内の特定のACキャリアに置かれた信号種別ビットとの組み合わせにより、緊急速報の種別及び開始又は終了を提示する。その他ARIB規格STD‐B10の緊急速報記述子及び緊急速報の映像・音声を、ACキャリアを用いて伝送する。この緊急速報記述子は、信号種別ビットを含み部分受信セグメントのAC信号に格納され、映像・音声は他のセグメントのAC信号に格納されて伝送される。
【0009】
特許文献2の技術においても、受信機の電源が入っていない場合、又は他のチャンネルを受信している場合に、電源投入やチャンネル切り替えを促すことが開示されており、この制御のため部分受信セグメント内のTMCC信号及びAC信号を受信し、電源投入後又はチャンネル切り替え後に、その他の災害・防災情報並びに映像・音声の再生を行う技術が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−319771号公報
【特許文献2】特開2007−243936号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料”、気象庁地震火山部、[平成20年1月31日検索]、インターネット〈URL:http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/Whats_EEW/reference.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
地上デジタルテレビジョン放送を用いて緊急情報を伝送する場合、受信機が緊急情報を受信して、警報を発するまでの時間を短縮することが必要である。従来の映像信号に緊急地震速報情報をスーパーインポーズして伝送する方法では、映像符号化、変調器・復調器のインターリーブ処理時間等が必要となるため、地震発生時に揺れが到達する前に緊急地震速報を受信機に届けることが困難だった。そこで、単にTMCCやAC信号を用いて、緊急速報を伝送するとしても、データの伝送速度が遅いため、一般向け緊急地震速報のような詳細な地震情報を伝送しようとすると情報量が長くなり、遅延時間が大きくなるという問題がある。例えば、一般向け緊急地震速報に定義されている地域情報は187地域であるが、地上デジタル放送のAC信号1フレームで伝送可能な情報量は203ビットであるため、一地域の情報を伝送するのに1フレームを専有してしまうことになる。
【0013】
地上デジタルテレビジョン放送を用いて緊急速報を伝送する場合、受信機が、緊急速報を受信して、警報を発するまでの時間を如何にして短縮するかが重要な問題である。従来の映像信号に緊急地震速報情報をスーパーインポーズして伝送する方式では、映像符号化、変調器、復調器のインターリーブ処理時間等が必要となるため、地震発生時に揺れが到達する前に緊急地震速報を受信機に届けることが困難であった。映像符号化、インターリーブ処理時間の遅れを回避するために、TMCC信号やAC信号を用いる場合、データ伝送速度が遅いため、一般向け緊急地震速報のような詳細な地震速報を伝送しようとすると情報量が長くなり、これが遅延時間の要因となるという問題も生じる。
【0014】
本発明の目的は、少ない情報量で、受信者が必要とする緊急地震速報情報を伝送するために、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を伝送する受信機及び送信装置並びに伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
地上デジタルテレビジョン放送を送信する送信装置は、現在放送している放送地域の情報をTMCCやAC信号に多重して伝送する。限られた情報量の伝送により、受信機において放送地域の情報を取得させ、緊急地震速報が発令された際に、放送波を受信している地域が一般向け緊急地震速報の地域に含まれるかどうかを速やかに判断させる。なお、緊急地震速報は、地震動警報とも称される。
【0016】
即ち、本発明による受信機は、地上デジタルテレビジョン放送波から伝送制御信号を受信する受信機であって、緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報が、伝送制御信号にて伝送されるように予め規定されており、地上デジタルテレビジョン放送波を受信して前記伝送制御信号を抽出する伝送制御信号抽出手段と、前記伝送制御信号に含まれる電文情報の放送事業者識別情報を判別して当該緊急速報の内容を解析する情報解析手段と、を備えることを特徴とする。また、本発明による受信機において、前記情報解析手段が解析した当該緊急速報の情報に応じて警告を発する警告手段を備えるのが好適である。尚、本発明による受信機において、前記情報解析手段は、前記放送事業者識別情報を解析した結果として特定した地域情報に応じて、緊急速報の種別を識別可能な信号種別に対応する緊急速報があるか否かを判断し、前記信号識別で緊急速報が発報されたと判断した場合に、前記警告手段は、警告を発するのが好適である。更に、本発明による受信機において、前記情報解析手段が解析した当該放送事業者識別情報に応じて当該地上デジタルテレビジョン放送波のチャンネル設定を自動設定する放送波チャンネル設定手段を備えるのが好適である。
【0017】
また、本発明による受信機において、前記放送事業者識別情報が、気象庁の緊急地震速報用の電文フォーマットの地方及び地域のコードに対応していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による受信機において、受信した複数の情報を照合させて、その情報の確からしさを検証した後、警告を発するように制御する制御手段を更に備えることを特徴とする。また、本発明による受信機において、当該受信機の現在位置を検出する位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記情報解析手段が判別した当該放送地域に対応する緊急速報の情報と、前記位置検出手段が判別した位置情報とを照合し、受信した信号の確からしさを検証した後に、警告を発するように制御するのが好適である。
【0019】
また、本発明の地上デジタルテレビジョン放送用の送信装置は、受信機側で地上デジタルテレビジョン放送波を受信して伝送制御信号内の緊急速報を受信可能とするために、緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を、伝送制御信号にて伝送することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の伝送システムは、地上デジタルテレビジョン放送の伝送システムであって、緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を、伝送制御信号にて伝送する送信装置と、地上デジタルテレビジョン放送波から伝送制御信号を受信する受信機とを備え、前記受信機は、受信した地上デジタルテレビジョン放送波から前記伝送制御信号を抽出する伝送制御信号抽出手段と、前記伝送制御信号に含まれる電文情報の放送事業者識別情報を判別して当該緊急速報の内容を解析する情報解析手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、地上デジタルテレビジョン放送の受信者へ緊急情報を伝送する場合、放送事業者識別情報によって、放送地域に含まれる緊急速報の地域情報と全国の地方情報を伝送することで、迅速に緊急情報を伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機を示す図である。
【図2】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機に用いるACキャリアを表す図である。
【図3】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機に用いるTMCCキャリアを表す図である。
【図4】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機における起動フラグ監視のための間欠受信モードを表す図である。
【図5】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機における信号識別別の動作を表すフローチャートである。
【図6】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機における概略電文情報の構成例を表す図である。
【図7】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機における電文情報の構成例を表す図である。
【図8】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機に用いる一般向け緊急地震速報の地域の区分の例を示す図である。
【図9】本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機に用いる一般向け緊急地震速報の地域の区分の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機について説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機1は、緊急速報(以下、緊急警報放送及び緊急地震速報を含む情報を総括して、緊急速報と称する)を伝送する地上デジタルテレビジョン放送のサービスにおいて、伝送制御信号(即ち、TMCC信号又はAC信号)により伝達される緊急速報を受信する装置であり、緊急速報の情報を速やかに受信機1のユーザに通知することを可能にする装置である。
【0025】
図1に本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機1を示す。受信機1を構成する伝送制御信号の受信部分は、主に、伝送制御信号同期確立部2、緊急速報解析部3、及び、警告発生部14から構成される。また、伝送制御信号同期確立部2、緊急速報解析部3、及び、警告発生部14の電源供給を制御するために、受信機1は、同期保持・電源制御部4と、電源21と、電源スイッチ22,23,25とを備える。また、伝送制御信号同期確立部2は、周波数変換部6と、AD変換部7と、FFT8と、伝送制御信号抽出部9と、フレーム同期検出部15と、起動フラグ復調部16とを備える。更に、緊急速報解析部3は、緊急情報抽出判定部11と、誤り訂正部12と、詳細情報解析部13とを備える。更に、同期保持・電源制御部4は、フレーム同期保持部17と、タイミング制御部18と、起動フラグ監視部19と、電源制御部20とを備える。
【0026】
AC信号は、1フレームが204シンボルで構成され、例えば、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)のモード3の同期変調部の場合、キャリア番号#7、#89、#206、#209、#226、#244、#377及び#407の8箇所にあるACキャリアによって運ばれる信号である(図2参照)。AC信号を用いて緊急速報を伝送する場合には、TMCC信号と同一フレーム長であることから、例えば、TMCC信号と同一の「差動復調の基準[1]」(図2及び図3に示す「基準」)及び「同期信号[16]」を設け、更に、「緊急情報データ[105]」および「リザーブビット[82]」を設けた電文情報の一例として、送信装置から伝送されるように予め規定されている([]は、ビット数を表す)。ここで、「リザーブビット[82]」は、「緊急情報データ[105]」の情報の誤り訂正のための「パリティビット」として利用して伝送することもできる。「緊急情報データ[105]」の一例とともに詳細な例は後述する。
【0027】
TMCC信号は、204シンボルで構成され、例えば、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)のモード3の同期変調部の場合、キャリア番号#101、#131、#286及び#349の4箇所にあるTMCCキャリアによって運ばれる、受信機1の復調動作に関わる情報を伝送するために設けられている信号として知られている(図3参照)。TMCC信号を用いて緊急速報を伝送する場合には、TMCC信号は、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の規格に定められている「TMCC情報」内の「リザーブ[12]」を利用して情報を伝送する。ここで、AC信号と比して、任意に使用できる伝送情報枠が少なくなるため、より多くの情報を短時間に伝送できるように、例えば後述する信号識別[3]を伝送して、他の詳細な緊急速報の詳細情報をAC信号に割り当てるようにしてもよい。
【0028】
従って、例えば放送事業者は、気象庁から緊急地震速報を受信した場合、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送に係る送信装置によって、緊急速報の有無を識別するフラグと、緊急速報の種別を識別可能な信号識別とを含む緊急速報を格納する電文情報(例えば後述する緊急地震速報(地震動警報)の情報)を、4か所のTMCCキャリアが運ぶTMCC情報のリザーブ、及び/又は8箇所のACキャリアが運ぶAC情報に格納して、受信機1に向けて送信する。尚、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送に係る送信装置のハードウェア構成は既知であり、図示しない。しかしながら、伝送制御情報(TMCC又はAC)を用いて電文情報を伝送する送信装置、及びこの電文情報を受信して特有の動作を行う受信機1、並びにこれらの送信装置及び受信機1から構成される伝送システムは、以下に説明するように、特有の機能を発揮する。
【0029】
尚、本発明の理解を容易とするために、以下においてはISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送におけるモード3を用いる場合について説明するが、他のモードにおいても適用可能であることに留意する。
【0030】
図1を再び参照して、本発明による実施例1の伝送システムにおける受信機1を説明する。
【0031】
周波数変換部6は、アンテナ5から入力された地上デジタルテレビジョン放送波のうち所定のフィルタにより不要な周波数成分を除去した後、指定されたチャンネルを選択し、中間周波信号に周波数変換するとともに適宜増幅して出力する。このチャネル選択は、受信機1にて予め定めておくこともできる。
【0032】
AD変換部7は、周波数変換部6から出力される中間周波信号をデジタルに変換し、デジタルベースバンド信号を送出する。
【0033】
FFT8は、OFDMシンボルの有効シンボル期間についてFFT(Fast Fourier Transform)演算を行い、OFDM形式のストリームに復調する。尚、有効シンボル期間は、ガードインターバル相関などによりシンボル同期を行って規定することができ、予め定めた伝送モードに従ったFFTサンプル周波数でFFT演算を行う。
【0034】
伝送制御信号抽出部9は、受信信号のOFDM形式のストリームから伝送制御信号のキャリア(8本のACキャリア又は4本のTMCCキャリア)を抽出して復調し、OFDM形式のストリームからDBPSKで遅延検波した後、0又は1のレベル判定を行い、伝送制御信号(AC信号又はTMCC信号)のビットストリームを得る。抽出されたACキャリア又はTMCCキャリアは、フレーム同期検出部15及び起動フラグ復調部16に供給され、同期確立後のAC信号又はTMCC信号内の信号は、緊急情報抽出判定部11に供給される。
【0035】
尚、伝送制御信号抽出部9によって、OFDMフレーム中の全てのACキャリア及び全てのTMCCキャリアの双方を抽出する場合には、ACキャリアから抽出した連続するAC信号のフレームを構成するとともに、TMCCキャリアから抽出した連続するTMCC信号のフレームを構成して、8フレームのAC信号のフレームと4フレームTMCC信号のフレームを交互に組み合わせた連続フレーム構成とすることができるが、それ以外にも8フレームのAC信号のフレームと4フレームTMCC信号のフレームを予め規定した任意の組み合わせの連続フレームとして構成することもできる。
【0036】
フレーム同期検出部15は、伝送制御信号抽出部9が復調した伝送制御信号(AC信号又はTMCC信号)のビットストリームと、伝送制御信号(対応するAC信号又はTMCC信号)に「同期信号」の予め定めた例えばモード3のパターンとの一致検出を行って、両者が一致したとき復調された伝送制御信号の先頭のタイミングでフレーム同期信号(リセットパルス)を発生する。また、フレーム同期信号に基づいて緊急速報のフレーム同期確率の有無を示す緊急速報同期確率情報を生成する。
【0037】
誤り訂正部12は、フレーム同期検出部15によって生成されたフレーム同期信号に同期して、緊急速報の情報を、例えば差集合巡回符号方式のパリティビットを有する場合はその符号に基づき、誤り訂正する。尚、誤り訂正部12は、複数の誤り訂正を組み合わせて用いることができ、例えば、パリティ方式、チェックサム方式、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)方式などが挙げられる。ここで云うパリティ方式とは、データ列の合計が偶数か奇数かを判定することで誤り検出する方式である。また、チェックサム方式とは、ビット単位のデータ列をバイト単位のデータ列に変換し、その総和の下位1バイトを抽出、判定する方式である。更に、巡回冗長検査(CRC)方式とは、別途定められた生成多項式にて求めたCRCパリティビットを判定する方式である。以上、それぞれの方式の概要について説明したが、詳細な説明は既知なので割愛する。
【0038】
起動フラグ復調部16は、フレーム同期検出部15が検出したフレームタイミングに従い伝送制御信号抽出部9で抽出された、8本のAC信号(又は4本のTMCC信号)のビットストリームから起動フラグ信号の値を検出し、起動フラグ監視部19に出力する。
【0039】
同期保持・電源制御部4におけるフレーム同期保持部17とタイミング制御部18、起動フラグ監視部19と電源制御部20は、常時、電源21から給電されている。
【0040】
フレーム同期保持部17は、フレーム同期検出部15が検出したフレームタイミングでフレーム同期信号を発生してこのタイミングを保持する。例えば、フレーム同期保持部17は、クロック発生器とカウンタで構成され、フレーム同期検出部15が出力するフレーム同期信号に基づき制御される、クロック発生器で発生したクロックをカウンタでカウントし、カウント値が所定値となる毎にフレームパルスを発生すると共にカウント値をフレーム同期信号(リセットパルス)に従ってリセットし、このフレームパルスをタイミング制御部18に供給する。これにより、フレーム同期保持部17は自己保持したフレームパルスを発生することができる。
【0041】
タイミング制御部18は、フレーム同期保持部17から送出されるフレームパルスと、フレーム同期検出部15から送出される緊急速報同期確立情報に基づき、後述するフレーム間間欠受信モード、フレーム内間欠受信モード、これらの組み合わせの間欠受信モードのいずれかを決定し、各間欠受信モードのタイミングでオン/オフ(0又は1の値)の制御信号を送出する。
【0042】
起動フラグ監視部19は、起動フラグ復調部16が出力する起動フラグ信号の値を取得して、その値をサンプル&ホールドするとともに、電源制御部20にそのサンプル&ホールド値を出力する。
【0043】
なお、起動フラグ監視部19が前述のように起動フラグの値を取得して監視する際の起動フラグ信号を検出するタイミングも、フレーム同期保持部17が出力するフレームパルスを基準に制御されている。
【0044】
電源制御部20は、起動フラグ監視部19の出力値が起動フラグ信号の‘11’(後述の図7参照するに起動フラグ信号を2ビットで記載。緊急速報が無い通常の状態であること)を検出している間は、伝送制御信号同期確立部2の電源供給を起動フラグ信号の期間(前述したフレーム同期を行う際には同期信号の期間も含む期間)のみ供給するように第1の電源スイッチ22をON/OFF制御する。一方で、起動フラグ監視部19が、起動フラグ信号の‘00’(図7参照。緊急速報が発報された状態であること)を出力している間、電源制御部20は、伝送制御信号同期確立部2への電源供給を継続して行うように第1の電源スイッチ22をONに制御するとともに、緊急速報解析部2への電源供給を開始するように第2の電源スイッチ23をONに制御する。より具体的には、起動フラグ監視部19は、起動フラグ信号が示す緊急速報の有無を毎フレームにおいて監視し、通常の状態(緊急速報が出ていない状態が継続)の場合には、図示しないフレームカウンタがフレームの値を計数(n++、整数nの値を1ずつ加算)し、フレーム数Nfに達する度に、n=0に戻す一方、電源制御部20は、同期信号を再検出するように伝送制御信号同期確立部2への電源供給の切り替えを行う第1の電源スイッチ22をオン/オフする。
【0045】
従って、電源制御部20は、緊急速報がある旨を示す起動フラグ信号値‘00’から、平常時の‘11’の状態に変更されるのを判別した場合には、タイミング制御部18からの同期確立した制御信号のタイミングで、起動フラグ信号の値のみを起動フラグ監視部19にて常時監視することができるように、伝送制御信号同期確立部2への電源供給を第1の電源スイッチ22によって制御するとともに、緊急速報解析部3への電源供給を遮断するように第2の電源スイッチ23の切り替えを行う。
【0046】
以上がフレーム内間欠受信モードであり、その一例を図4を参照しながら説明する。
図4(A)は、TMCC信号の連続フレームを構成した場合の例を示しており、図4(B)は、AC信号の連続フレームを構成した場合の例を示している。TMCC方式における起動フラグ信号の監視状態にある場合には、「同期情報」とTMCC情報内の「起動信号」とが1フレーム内で離れた位置にあるものの、電源制御部20は、適切な立ち上がり時間(図示P)を確保して、起動フラグ信号の監視時(図示T)及び同期確立時(図示T)のみ電源供給するように間欠的に伝送制御信号同期確立部2の電源供給を制御することができる。また、AC方式における起動フラグ信号の監視状態にある場合には、「同期情報」とAC情報内の「起動信号」とが1フレーム内で図4(B)に示すように隣接位置にあるため、電源制御部20は、適切な立ち上がり時間(図示P)を確保して、同期確立兼起動フラグ信号の監視時(図示T’)及び起動フラグ信号監視時(図示T’)のみ電源供給するように間欠的に伝送制御信号同期確立部2の電源供給を制御することができる。いずれの方式を用いても、極めて消費電力を節約しながら、緊急速報の情報を確実に、且つ即時に取得できる。尚、連続するTMCC信号又はAC信号の監視フレーム(Nfフレーム)の制御は、毎フレームで行うことなく、所定のフレーム間隔で間欠的に行う(いわゆるフレーム間間欠受信モード)ようにすれば、フレーム内間欠受信モードとフレーム間間欠受信モードとの併用で、より消費電力を節約して、緊急速報の情報を確実に、且つ即時に取得できるようになる。
【0047】
前述したように、電源制御部20は、緊急速報の全ての情報のみを取得するように、フレーム内間欠受信動作又はフレーム間間欠受信モードで、緊急速報解析部3に電源供給するように制御することもでき、特に、フレーム間間欠受信動作で動作する場合に、複数のフレーム間で多数決判定した結果を送出するように動作させることもできる。
【0048】
フレーム間間欠受信モードは、例えば、AC信号の同期が未確立を示す緊急速報同期確立情報を供給されている場合に決定される。この場合、第1の電源スイッチ又は第2の電源スイッチのオン継続時間は、最低1フレーム以上とする。例えば、オン継続時間として1フレームのみを用いる場合には、常時ONにする場合と比較して受信機1の消費電力を大幅に低減することができる。更に、例えば2フレームを用いる場合には、偶数パリティを利用して、受信信号の信頼性を高めるように受信機1を構成することができる。或いは又、例えば3フレームを用いる場合には、多数決判定して、受信信号の信頼性を高めるように受信機1を構成することができる。
【0049】
尚、地上デジタルテレビジョン放送の送信モードがモード3でガードインターバル比(GI比)1/8の場合、1フレームは231.336msecである。また、フレーム間間欠受信モードでは伝送制御信号同期確立部20の電源投入タイミングの制約はなく、例えばオン/オフ間隔は所定値(例えば10秒間隔)とする。
【0050】
また、フレーム内間欠受信モードは、例えば、AC信号の同期が確立していることを示す緊急速報同期確立情報を供給されている場合に決定される。この場合、第1の電源スイッチ22又は第2の電源スイッチ23のオン継続時間は、図4に示す1フレームを例えば20.412msec=(18/204)フレームとし、前のフレームの最後のシンボルから電源を投入し、所要のビットのみを受信し、例えば更新フラグの受信を開始する時点で電源を遮断する。あるいは、フレーム同期保持部17がある程度高い精度を保てる状態であるならば、「同期信号」の一致を検出する周期を伸ばして、大半は、2.268msec=(2/204)とし、「起動フラグ信号」のみの期間電源を投入し、それ以外は電源を遮断することもできる。
【0051】
このように、AC信号の同期確立時の伝送制御信号同期確立部2への電源供給時間を18シンボル(同期確立時)あるいは2シンボル(起動フラグ監視時)とすることで、待機消費電力を低減することができる。なお、図1には図示しないAGC(自動利得制御)回路などの立ち上がり動作を考慮する必要のある場合には、該当する時間分早く電源を投入する。
【0052】
また、FFT8及び起動フラグ復調部16の動作において、一定シンボル分メモリ等に保持する必要がある。そのため、後述のフレーム内間欠受信モードにより動作する場合には、消費電力の大きい前段の処理部の動作を節約するために、周波数変換部6やAD変換部7とそれ以降の処理部との間で電源投入及び電源遮断のタイミングをずらすことで消費電力を抑えることが可能である。
【0053】
よって、伝送制御信号同期確立部2への電源供給の切り替えを行う第1の電源スイッチ22は、複数の系統(例えば2系統)の処理部の各々に接続して個別に電源供給することができる。
【0054】
例えば、FFT8の動作においては、時間軸の受信信号を周波数軸に変換するにあたり、少なくとも1シンボル分のサンプルを一旦メモリ等に保持して、積算演算などを行うことから、当該処理時間に相当する遅延が発生する。そのため、フレーム内間欠受信モードにより動作する場合には、消費電力の大きいRF部(即ち、周波数変換部6の受信部)の電源投入(オン)時間を効果的に減ずる目的で、電源投入、電源遮断のタイミングを後続のFFT8などの処理部と少なくとも1シンボルずらして動作させる。
【0055】
また、例えば前述したように間欠受信モードで起動フラグがオン(緊急速報がある状態)である場合など、緊急速報解析部3への電源供給が為された場合には、緊急情報抽出判定部11、誤り訂正部12、及び詳細情報解析部13が起動する。フレーム同期保持部17によって生成されたフレーム同期信号に同期して、まず緊急情報抽出判定部11は、伝送制御信号のビットストリームを得て、必要であれば、伝送制御信号をダイバーシティ合成した後、伝送制御信号内の起動フラグを判別し、起動フラグに緊急速報が有る旨を表す場合には、受信した伝送制御信号のビットストリームを誤り訂正部12に送出する。
【0056】
また、例えば起動フラグがオン(緊急速報がある状態)である場合などで前述したように間欠受信モードで、緊急速報解析部3への電源供給が為された場合には、緊急情報抽出判定部11、誤り訂正部12、及び詳細情報解析部13が起動する。フレーム同期検出部15によって生成されたフレーム同期信号に同期して、まず緊急情報抽出判定部11は、伝送制御信号のビットストリームを得て、必要であれば、伝送制御信号をダイバーシティ合成した後、伝送制御信号内の起動フラグを判別し、起動フラグに緊急速報が有る旨を表す場合には、受信した伝送制御信号のビットストリームを誤り訂正部12に送出する。
【0057】
誤り訂正部12は、前述したように、受信した伝送制御信号のビットストリーム(緊急情報データ)をパリティビットの値に基づき例えば差集合巡回符号方式を用いて誤り訂正し、訂正した緊急情報データを詳細情報解析部13に送出する。
【0058】
このとき、誤り訂正部12は、伝送制御信号のビットストリームの誤り訂正の可否を確認する。このビットストリームの訂正ができないような誤りがあった場合には、詳細情報解析部13へのデータ送出を行わず、詳細情報解析部13に、受信誤りがあったことを知らせる制御信号を出力し、伝送制御信号同期確立部2に対して起動フラグ信号の監視を継続する。このために、例えば、誤り訂正部12は、フレーム同期検出部15及び起動フラグ復調部16に対して再同期又は再復調させる旨の制御信号を送出することができる。
【0059】
詳細情報解析部13は、「信号識別」により電文情報の複数種類の情報を判別し、判別した信号種別に対応する緊急情報データの内容を解析する。詳細情報解析部13は、解析した結果に応じて、信号種別に対応する緊急速報があると判断した場合には、第3の電源スイッチ25をONにする制御信号を送出し、警告発生部14の電源供給がない場合に、強制的に電源21から警告発生部14への電源供給を行うようにする。尚、詳細情報解析部13による警告発生部14への電源供給制御は、別の態様で構成してもよく、ソフトウェアスイッチなどの他の任意の態様で実現することもできる。尚、詳細情報解析部13の更なる機能は、図5を参照して詳細に説明する。
【0060】
警告発生部14は、受信機1が備える表示器に文字で表示するか、受信機1が備えるスピーカーから音で発生させるか、受信機1が備えるバイブレータによる振動警告を発するか、又は通常動作時とは異なる動作で知覚的に警告を発生する。或いは又、受信機1が携帯電話、携帯情報端末(PDA)、腕時計、置時計、パーソナルコンピュータ等の何らかの機器に具備される場合には、これらの機器の機能を用いて、スピーカーから音で発生させるか、バイブレータによる振動警告を発するか、又は通常動作時とは異なる動作で知覚的に警告を発生するようにすることもできる。
【0061】
次に、本発明による伝送システムにおける受信機1の基本動作について説明する。図5は、緊急速報を受信する受信機1の基本動作を説明するフローチャートである。また、本発明に係る緊急速報用の電文は、大別して「放送事業者識別情報」、「緊急地震速報地域情報」、及び「緊急地震速報地方情報」からなり(図6参照)、これは、それぞれ図7に示すより詳細な電文例における「放送事業者識別情報」、「放送エリア内地域情報」、及び「地方情報」に対応し、図7についての詳細は後述する。
【0062】
図1に記載されているように、受信機1は、伝送制御信号同期確立部2により、伝送制御信号(AC信号又はTMCC信号)に多重された伝送制御信号(AC信号又はTMCC信号)を抽出してフレーム同期を行い(ステップS1,S2)、緊急速報の起動フラグの有無に関わらず、伝送制御信号に含まれる「放送事業者識別情報」を抽出し(ステップS3)、詳細情報解析部13により、この放送事業者識別情報から受信機1が現在受信している地域の放送地域を特定する(ステップS4)。放送地域の特定には予め受信機1内に予め保持している緊急速報用の「放送事業者識別テーブル」を参照することで実現する。この放送事業者識別テーブルは、受信機1に予め設定保持されたものか、又は別の通信手段等で更新されるようなテーブルを用いることができる。尚、例えば受信機が移動端末である場合など、この「放送事業者識別情報」に基づいて「放送事業者識別テーブル」を参照することで、各地域に応じた放送事業者の放送を取得することができ、当該地域のチャンネル情報の検出する際の時間を短縮させることができる。
【0063】
続いて、詳細情報解析部13は、「放送事業者識別情報」を解析した結果として特定した地域情報を保持する。尚、受信機が移動端末である場合には、定期的に「放送事業者識別情報」の解析を行うようにしてもよい。受信機1は、伝送制御信号同期確立部2により、緊急速報の起動フラグの有を経て、緊急情報抽出判定部11により解析した情報が真であると判断して、信号識別で緊急速報が発報されたと判断した場合に(ステップS5)、緊急速報の詳細情報中の地域情報を抽出して、事前に解析して保持していた自身の放送地域の情報に含まれる地域のうち、「強い揺れが推定される地方」及び/又は「強い揺れが推定される地域」をそれぞれ特定する(ステップS6,S7)。
【0064】
地域の特定には予め受信機1内に設定された緊急速報用の「地域情報テーブル」を参照することで実現する。また、地方の特定には予め受信機内に設定された緊急速報用の「地方情報テーブル」を参照することで実現する。この緊急速報用の「地域情報テーブル」及び「地方情報テーブル」は、受信機1に予め設定されたものか、又は別の通信手段等で更新されるテーブルを用いることも可能である。強い揺れが推定される地域及び/又は地方を特定した受信機1は、予め定められた所定の動作、例えば、警告発生部14により、受信機1が表示装置を備える場合には、緊急速報の「地域情報」及び/又は「地方情報」を表示する(ステップS8,S9)。
【0065】
受信機1は、これらの「放送事業者識別テーブル」、「地域情報テーブル」、及び「地方情報テーブル」を、個別のテーブルとしてメモリ(図示せず)に保持するようにしてもよいし、図8及び図9に示すように、1つのテーブルとして保持するようにしてもよい。1つのテーブルとして保持する場合、例えば気象庁からの新たな情報に基づいて更新するのに利便性が高くなることが予想される。
【0066】
受信機1の詳細情報解析部13には、受信機1が現在受信している地域を把握するのに、位置検出部(図示せず)を設けることも好適である。位置検出部は、当該受信機1の地域的な位置を表す位置情報を検出する。特に、受信機1の詳細情報解析部13が位置検出部を有する場合には、受信機1が受信したAC信号からの地域情報と、位置検出部が検出した位置情報を比較して、受信信号が受信した情報の確からしさを判定することもできる。例えば、当該受信機1の現在位置を検出する位置検出部を備える場合、当該受信機1は、詳細情報解析部13が判別した電文情報に記載の当該「放送事業者識別情報」に基づく放送地域と、位置検出部が判別した当該受信機1の位置情報とを照合し、受信した信号の確からしさを検証した後に、警告発生部14に対して警告を発するように指示することができる。
好適に、位置検出部は、固定受信においては、設置時に受信機を常設する位置情報を設定入力する機能を付加してもよい。或いはGPS(GlobalPositioning System)による位置検出などを備えてもよい。常設タイプの装置(置時計など)に、本実施例の受信機を組み入れる場合にも同様である。移動又は携帯受信においては、GPSによる位置検出を付加するか、或いは、無線LANなどの他の無線通信機能を備えホットスポット情報(場所を認識可能な場合、場所の手入力も含む)などにより自身の位置を検出することもできる。更に、携帯電話に本実施例の受信機1を組み入れる場合、携帯電話の接続する基地局情報を用いて、位置情報を得ることができる。
更に、移動端末(携帯電話など)に本実施例の受信機を組み入れる場合に、複数地域に跨る緊急速報を受信する場合には、受信した複数の情報を照合させて、その情報の確からしさを検証した後、警告を発するように制御する機能を付加することもできる。
なお、本実施例1を含み本発明の各実施例の説明において、緊急速報の情報はISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)内のAC信号により送出されるとしている。携帯電話など移動・携帯端末の多くでは、この部分受信セグメント(セグメント番号#0)を受信して番組を視聴する(ワンセグサービス)。よって、携帯電話などに具備される本発明の各実施例の受信機1は、緊急速報の情報を伝送するAC信号を受信できる。
一方、他のセグメントを受信する固定受信向けのデジタルテレビなどに具備される本発明の各実施例の受信機1においても、AC信号については部分受信セグメント内のものを受信することにより、緊急速報の情報を受信できる。
【0067】
また、受信機1の詳細情報解析部13には、受信機1が現在受信している現在時刻を把握するのに、現在時刻検出部を設けることも好適である。現在時刻検出部は、当該受信機の現在時刻を表す現在時刻情報を検出する。好適に、現在時刻検出部は、後述の図7に示すより詳細な電文例における電文情報に記載の「地震詳細情報(震源の情報)」内の地震発生時刻を把握する。より詳細には、例えば、当該受信機1は、詳細情報解析部13が判別した電文情報に記載の当該「地震詳細情報(震源の情報)」に基づく地震発生時刻と、現在時刻検出部が判別した当該受信機1の現在時刻情報とを照合し、受信した信号の確からしさを検証した後に、警告発生部14に対して警告を発するように指示することができる。
好適に、現在時刻検出部は、受信機の入力による時刻設定、標準電波(電波時計、JJY)、GPS、或いは受信している地上デジタル放送波の受信信号に含まれるTDT(Time Date Table)或いはTOT(Time Offset Table)などから現在時刻情報を検出することができる。或いは、現在時刻検出部は、受信機が携帯電話に具備される場合、基地局からの信号により現在の時刻を検出することができる。
【0068】
図1に記載されているように、本実施例の受信機1は、平常時、起動フラグ監視部19によって、決められた起動フラグの有無(以下、「有」は、緊急速報があることを意味する。上記説明では「オン」或いはビットの値‘00’)を監視することができる。起動フラグが「有」と判定した場合に、緊急情報抽出判定部11により起動フラグが「有」であることが真であると判断した場合に、詳細情報解析部13によって、起動フラグの後に伝送される「信号種別」の有無を判定する。この「信号種別」がある場合に、詳細情報解析部13によって、「信号種別」によって定義される種別に従う詳細情報を解析し、解析した結果を警告発生部14によって警告を発する。例えば、警告発生部14で受信機1が具備する表示装置に詳細情報を表示する。
【0069】
尚、緊急速報を階層型の信号フォーマットで伝送することもできる。AC信号やTMCC信号は、OFDMの1フレーム単位(モード3、ガードインターバル1/8の場合、約231ミリ秒)で伝送される。例えば、重要度の高い「起動フラグ」及び「信号種別」を全てのフレームで伝送し、緊急速報の基本情報及び詳細情報の順に信号を階層的に構成する。
【0070】
図7に、緊急地震速報(地震動警報)の情報をAC信号で伝送する場合の信号フォーマットを示す。AC信号は、204シンボルで構成されており、「差動復調の基準」、「同期信号」、「誤り訂正符号」をTMCCと同じ構成にした場合の例を示している。フレーム先頭からTMCCと同様、「差動基準[1]」及び「同期信号[16]」を伝送する。
【0071】
「差動復調の基準」及び「同期信号」は、TMCC信号と同一とし、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送の場合、そのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の1シンボルを基準に、TMCC信号と同じ204シンボルにDBPSK信号の204ビットを割り振り、1フレームとする構成とする。
【0072】
「同期信号」は、TMCC信号と同様に同期を取るのに用いれられ、1フレーム毎に16ビット送信され、奇数フレームと偶数フレームとで位相が反転する。その値は奇数フレームの表記で「0011010111101110」である。
【0073】
「差動復調の基準」は、TMCC信号と同様に、キャリア番号iのSP(Scattered Pilot)信号に割り当てられるBPSK信号の値Wと同じ生成多項式(x11+ x+1)に基づく値であるが、本電文情報の伝送には、ACキャリアを用いる。例えば、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)におけるACキャリアは、モード3の同期変調部の場合、キャリア番号#7、#89、#206、#209、#226、#244、#377及び#407の8箇所にある。この8箇所のACキャリアが運ぶAC情報に記述の「差動復調の基準」として格納されるWは、各々0、0、0、0、0、1、1及び0である。尚、BPSK以外の変調方式を用いることもでき、前述の差集合巡回符号方式とともに、送信側及び受信側で利用する方式は、予め定めておくようにする。
【0074】
送信装置は、「同期信号」の次に「起動フラグ[2]」を伝送する。受信機1は、前述したように、この起動フラグの部分のみを間欠受信して監視することができる。「起動フラグ」には、例えば‘00’が「緊急速報あり」を示し、‘11’が「緊急速報なし」を示すようにビットの値を割り当てる。従って、起動フラグは、緊急速報(例えば、地震動警報情報)の伝送の開始/終了を示すフラグ(開始/終了フラグ)として機能する。「起動フラグ」の次に配置した「更新フラグ[2]」は、情報内容の更新に用いる。
【0075】
送信装置は、「更新フラグ[2]」の次に、「信号識別[3]」を伝送する。本例では、以下のように定義した「信号識別」を伝送する。
【0076】
“000”:緊急地震速報(該当地域有)
“001”:緊急地震速報(該当地域無)
“010”:緊急地震速報(該当地域有)の試験信号
“011”:緊急地震速報(該当地域無)の試験信号
“100”:緊急警報放送
“101”:第1プッシュ型サービス起動信号
“110”:第2プッシュ型サービス起動信号
“111”:緊急速報無し
【0077】
受信機1の詳細情報解析部13は、詳細情報解析部13によって判定した信号識別に応じて、それぞれの「信号識別」毎に定義された動作を実行する。概略的には、詳細情報解析部13は、「信号識別」の000〜110を識別した場合、「緊急地震速報(地震動警報情報あり)」か、「緊急警報放送」か、「プッシュ型コンテンツ配信」を識別する。「信号識別」の111を識別した場合、前述の起動フラグ検出が誤動作であることを把握でき、詳細情報の解析を行わずに起動フラグの監視を再継続する動作に移行して、誤検知を防止することができる。尚、緊急速報における該当地域の有無の相違は、現在受信中の放送エリアに強い揺れが推定される地域が含まれている場合に,以降の詳細情報の解析を待たずに所定の動作を実行するためである。また、緊急地震速報の試験信号は、試験的な送信であることを受信機側に知らしめるためである。さらに、プッシュ型サービス起動信号を2つ用意しているのは、任意のコンテンツサービスを提供するのに異なるコンテンツ配信を識別して同時に送信するような場合を想定しているためである。
【0078】
詳細情報解析部13は、「緊急警報放送」であると識別した場合は、対応する放送信号を受信すべく受信機1を制御し、「プッシュ型コンテンツ配信」であると識別した場合は、対応するコンテンツを受信すべく受信機1を制御する。従って、「緊急警報放送」又は「プッシュ型コンテンツ配信」の場合には、電文情報内の詳細情報は任意の態様で利用できるため、スタッフィングビットとして用いることができる。以下の図7に関する説明は、詳細情報解析部13が、「緊急地震速報(地震動警報情報あり)」であると識別し、その詳細情報を解析する場合である。
【0079】
詳細情報解析部13は、次に伝送される「放送事業者識別[11]」を解析して放送信号の送信元(放送事業者)を特定することができる。これは、「放送地域識別」、「県複フラグ」及び「地域事業者識別」から構成され、現在受信している放送信号の送信元(放送事業者)を特定する。
【0080】
尚、「放送事業者識別[11]」は、非特許文献(ARIB TR−B14地上デジタル放送運用規定)に示されている「地域識別[6]」、「県複フラグ[1]」、「地域事業者識別[4]」を用いることで、全国の放送地域及び放送事業者を特定することが可能となる。放送事業者の識別は、放送地域の識別を可能とするのみならず、受信機1に更なる機能を追加することができる。例えば、受信機1に、緊急地震速報の受信時に係わらず、あるいは、緊急地震速報のない平常時にAC信号を受信する場合、詳細情報解析部13が解析した当該放送地域の情報に応じて当該地上デジタルテレビジョン放送波のチャンネル設定を自動設定する機能を設けることができる。これにより、受信機1がその位置を移動したときなど、新たに放送波スキャンを必要とするときに、受信機1が放送TSを受信してネットワーク識別を行うようよりも速く、放送波のチャンネル情報と放送事業者の識別並びに放送地域との対応関係を確認することができるようになる。
【0081】
詳細情報解析部13は、次に伝送される「地震情報[88]」を解析する。「地震情報[88]」は、「地震基本情報[22]」及び「地震詳細情報[66]」から構成される。
【0082】
「地震基本情報[22]」は、「発報中の地震情報総数」、「地震情報No.」、「地震ID」、「緊急地震速報情報番号」、及び「電文種別コード」からなる。
【0083】
「発報中の地震情報総数」は、例えば階層構造で地域別に電文情報を送信する場合の同時発報されている地震情報の総数を表す。
【0084】
「地震情報No.」は、現在のフレームが何番目の地震情報を示しているかを表す。
【0085】
「地震ID」は、気象庁が発信する一般向け緊急地震速報のうち、下位4ビットを伝送する。
【0086】
「電文種別コード」は、一般向け緊急地震速報の場合は、“0”で表され、情報キャンセルの場合は、“1”で表される。
【0087】
「地震詳細情報[66]」は、奇数フレームと偶数フレームの2フレーム構成とし、奇数フレームでは、「強い揺れが推定される地域の情報[59]」を伝送し、偶数フレームでは「震源の情報」を伝送する。
【0088】
「強い揺れが推定される地域の情報[59]」に関して、「ページ番号[1]」には、例えば「強い揺れが推定される地域の情報」を伝送する奇数フレームの場合には“1”で表わされ、「震源の情報[59]」を伝送する偶数フレームの場合には“0”で表わされる。
【0089】
「放送エリア内地域情報[40]」には、「放送事業者識別」で特定される放送エリア内で強い揺れが予想される地域が含まれている場合にはその情報が伝送される。例えば、「放送事業者識別[11]」で特定される放送地域の中に含まれる一般向け緊急地震速報の地域の区分の例を図8及び図9に示す。図8及び図9に示すように、地域情報が最も多く含まれるのは「北海道域」の広域放送の放送エリアでその地域数は38である。本例では、2bitの予備を付加して「放送エリア内地域情報」に40bitを使用している。
【0090】
「地方情報[16]」には、一般向け緊急地震速報の「強い揺れが推定される地方」の情報が伝送される。一般向け緊急地震速報の地方の区分を図8及び図9に示す。図8及び図9に示す通り、地方情報の地方数は14である。本例では、2bitの予備を付加して「地方情報」に16bitを使用している。
尚、「信号識別」において、“000”を「緊急地震速報(該当地域有)」、“001”を「緊急地震速報(該当地域無)」と定義しているので、この「該当地域有」と「該当地域無」の区別により「放送エリア内地域情報」を伝送したものと扱い、図8及び図9に示す「一般向け緊急地震速報」の都道府県単位の地域区分を「地方情報[56]」とする運用としてもよい。
【0091】
「震源の情報[59]」には、以下の詳細情報が含まれる。
【0092】
送信装置は、「ページ番号[1]」にて、例えば「強い揺れが推定される地域の情報」を伝送する奇数フレームの場合には“1”を伝送し、「震源の情報」を伝送する偶数フレームの場合には“0”を伝送する。
【0093】
送信装置は、「地震発生時刻[17]」にて、一般向け緊急地震速報の地震発生時刻のうちの時[5]、分[6]、及び秒[6]の部分を伝送する。
【0094】
送信装置は、「震源の緯度[10]」にて、一般向け緊急地震速報の「震源の緯度情報」を伝送する。
【0095】
送信装置は、「震源の経度[11]」にて、一般向け緊急地震速報の「震源の経度情報」を伝送する。
【0096】
送信装置は、「震源の深さ[10]」にて、一般向け緊急地震速報の「震源の深さ」を伝送する。
【0097】
送信装置は、「マグニチュード[7]」にて、一般向け緊急地震速報(高度利用者向け緊急地震速報コード電文部分に記載)の「マグニチュード」を伝送する。
【0098】
送信装置は、「最大予測震度[3]」にて、一般向け緊急地震速報(高度利用者向け緊急地震速報コード電文部分に記載)の「最大予測震度」を伝送する。例えば、「最大予測震度」として定義する例は、以下の通りである。
【0099】
“000”:最大予測震度3
“001”:最大予測震度4
“010”:最大予測震度5−(5弱)
“011”:最大予測震度5+(5強)
“100”:最大予測震度6−(6弱)
“101”:最大予測震度6+(5強)
“110”:最大予測震度7
“111”:予測不明などの非通知
【0100】
送信側が緊急地震速報を配信するためには、受信機にとって最小限必要な情報を的確に、且つ、迅速、確実に伝送する必要がある。例えば、強い揺れ(震度5弱以上)が推定される場合に、その規模及び震度4以上が推定される地域名を受信側で知ることを可能とする情報を発信することが所望される。そこで、放送事業者は地上デジタルテレビジョン放送の送信装置によって、上記の「震源の情報」を含む電文情報を多重して伝送する。例えば、放送事業者は地上デジタルテレビジョン放送の送信装置によって、「地震発生時刻」、発生場所(震源の位置情報:「震源の緯度」、「震源の経度」、「震源の深さ」)、及び地震の規模(「マグニチュード」)を、緊急速報を識別する起動フラグ信号とともに伝送する。
【0101】
この場合、詳細情報解析部13は、図7に示すような緊急地震速報の電文情報、即ち地震源の位置情報(緯度、経度、深さ)及び地震の規模(マグニチュード)と、予め規定することができる地盤増幅度との情報から、予測震度及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する。更に、詳細情報解析部13は、地震の発生時刻との足し算で、到達予測時刻の絶対時刻も算出することもできる。
【0102】
具体的には、詳細情報解析部13は、次のように予測震度及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する。
【0103】
予測震度は、計測震度IINSTRとして次式の非特許文献1に記載の計算式により算出される。
【0104】
IINSTR=2.68+1.72 log(PGV)±0.21 (1)
【0105】
ここで、PGVは地表面での各地点の最大速度[cm/s]であり、非特許文献1に記載されるように、最大速度減衰式で計算される基準基盤(硬質基盤、S波速度600m/s)での最大速度PGV600と国土数値情報にある各対象となる地点での地盤増幅度ARViとの乗算で求められる値である。
【0106】
PGV=1.31 PGV600×ARVi (2)
【0107】
尚、非特許文献1に記載されるように、最大速度減衰式は、式(3)で表され、PGV600[cm/s]の算出に必要となる情報は、マグニチュードM、震源の深さD[km]と断層最短距離x[km]のみである。
【0108】
log(PGV600)=0.58 (M−0.171)+0.0038 D−1.29
−log(x+0.028×100.50(M−0.171))−0.002x (3)
【0109】
受信機1がその位置情報を取得する前述の位置検出部を有し、現在受信機1が存在する地点が分かっているとすると、震源の位置情報と受信機1の位置情報によりxを容易に算出することができる。
【0110】
また、ARViは地点に依存する値であるので、予め受信機1に記憶されていることで、位置情報に基づき選択利用することができる。
【0111】
よって、計測震度IINSTRは、受信機1において未知数である震源の位置情報とマグニチュードを送信側から取得することにより、当該受信機1において容易に算出できる。
【0112】
尚、計測震度IINSTRは小数点を含む数値として計算されるので、例えば表1に示すように、震度階級における最大予測震度に変換する。
【0113】
【表1】

【0114】
一方、受信機のいる地点への地震の発生時刻からの到達予測時刻(到達所要時刻)は、震央距離Δ[km]と震源の深さD[km]をもとに気象庁が示す走時表(例えばJMA2001)を用いて算出することができる。震央距離Δは震源の位置情報(緯度、経度)と当該受信機1の位置情報から算出することができる値である。
【0115】
よって、主要動の到達予測時刻は、受信機1において未知数である震源の位置情報と地震の発生時刻が伝達されることにより、当該受信機1において容易に算出することができる。
【0116】
再び図7を参照するに、送信装置は、「CRC[8]」を伝送することができる。ここでは、緊急地震速報情報(地震動警報情報)に関連した情報を多重している18番目(起動フラグ)、20番目から114番目(信号識別の他の情報)を生成多項式g(x)=x+x+x+x+x+1で求めたCRCパリティビットを伝送する。
【0117】
送信装置は、次に「誤り訂正符号[82]」を伝送する。ここでは、差集合巡回符号等の誤り訂正符号を伝送し、緊急速報伝送の信頼性を向上させる。
【0118】
受信機1は、前述と同様に起動フラグを監視して、信号識別を検出し、緊急地震速報であれば、図7で説明した詳細情報を解析し、警報を発報することができる。「信号種別[3]」が、“100”(緊急警報放送起動信号)であった場合、受信機1は、警報動作を行うと共に受信機1を起動して、放送信号を受信する。
【0119】
また、受信機1は、「信号種別[3]」が、“101”(第1プッシュ型サービス起動信号)か、又は“110”(第2プッシュ型サービス起動信号)を識別した場合、受信機1を起動して各プッシュ型サービスのコンテンツを受信する。
【0120】
このように、「信号種別」の判定の結果、「緊急警報放送」と判定した場合には、別途定められた警告発生部14で情報を伝達するとともに、受信機の表示画面も起動する。また、緊急速報の伝送とは別の利用用途として、「信号種別」の判定識別の対象に「プッシュ型コンテンツ配信」の識別子を定めることで、緊急速報とは別に、受信機1を強制起動させて個別のサービスを提供可能に実現することもできる。
【0121】
このように、本発明によれば、送信装置は、必要とされる詳細情報を効率よく伝送し、受信機は、信号種別に応じて適切な受信動作をするように機能させることができ、緊急速報が出て、放送局が電波に載せる時間並びに送信と受信のタイミングのずれを考慮しても、1〜2秒程度の短時間での速やかな緊急速報の伝送が可能となる。
【0122】
尚、以上の説明においては、ACキャリアを用いて行う、緊急速報の情報を含めた伝送事例を紹介したが、警報のみを主眼においてTMCC信号のリザーブビットなどに適用することも可能である。
【0123】
上述の実施例については特定の符号化方式を代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換をすることができることは当業者に明らかである。例えば、上述した実施例では、本発明の理解を容易にするために、本発明に係る受信機を、例えば携帯電話に具備させることが可能であるとして説明したが、当該携帯電話が予め有する復調及び復号機能に本発明に係る受信機の機能を統合させることもできる。例えば、当該携帯電話が待機モードである場合には、上述の実施例と同様に動作させることができ、或いは又、当該携帯電話が通常動作モードである場合には、電文情報におけるフラグの値の判定に応じて、電源供給制御を行うことなく、緊急速報を復号し、当該携帯電話の位置する地域の震度及び到達時間の予測情報を計算し、警告を発するようにしてもよい。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明による受信機及び送信装置は、迅速、且つ、確実な緊急地震速報の伝達を可能とするので、所定の伝送制御信号を用いる伝送方式の用途に有用である。
【符号の説明】
【0125】
1 受信機
2 伝送制御信号同期確立部
3 緊急速報解析部
4 電源制御部
5 アンテナ
6 周波数変換部
7 AD変換部
8 FFT
9 伝送制御信号抽出部
11 緊急情報抽出判定部
12 誤り訂正部
13 詳細情報解析部
14 警告発生部
15 フレーム同期検出部
16 起動フラグ復調部
17 フレーム同期保持部
18 タイミング制御部
19 起動フラグ監視部
20 電源制御部
21 電源
22 第1の電源スイッチ
23 第2の電源スイッチ
25 第3の電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタルテレビジョン放送波から伝送制御信号を受信する受信機であって、
緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報が、伝送制御信号にて伝送されるように予め規定されており、
地上デジタルテレビジョン放送波を受信して前記伝送制御信号を抽出する伝送制御信号抽出手段と、
前記伝送制御信号に含まれる電文情報の放送事業者識別情報を判別して当該緊急速報の内容を解析する情報解析手段と、
を備えることを特徴とする受信機。
【請求項2】
前記情報解析手段が解析した当該緊急速報の情報に応じて警告を発する警告手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記情報解析手段は、前記放送事業者識別情報を解析した結果として特定した地域情報に応じて、緊急速報の種別を識別可能な信号種別に対応する緊急速報があるか否かを判断し、前記信号識別で緊急速報が発報されたと判断した場合に、前記警告手段は、警告を発することを特徴とする、請求項2に記載の受信機。
【請求項4】
前記情報解析手段が解析した当該放送事業者識別情報に応じて当該地上デジタルテレビジョン放送波のチャンネル設定を自動設定する放送波チャンネル設定手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項5】
前記放送事業者識別情報が、気象庁の緊急地震速報用の電文フォーマットの地方及び地域のコードに対応していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項6】
受信した複数の情報を照合させて、その情報の確からしさを検証した後、警告を発するように制御する制御手段を更に備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の受信機。
【請求項7】
当該受信機の現在位置を検出する位置検出手段を備え、
前記制御手段は、前記情報解析手段が判別した当該放送地域に対応する緊急速報の情報と、前記位置検出手段が判別した位置情報とを照合し、受信した信号の確からしさを検証した後に、警告を発するように制御することを特徴とする、請求項6に記載の受信機。
【請求項8】
受信機側で地上デジタルテレビジョン放送波を受信して伝送制御信号内の緊急速報を受信可能とするために、
緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を、伝送制御信号にて伝送することを特徴とする送信装置。
【請求項9】
地上デジタルテレビジョン放送の伝送システムであって、
緊急速報の有無を識別するフラグと、放送地域別の緊急速報の情報を識別可能とする放送事業者識別情報を含むフォーマットの電文情報を、伝送制御信号にて伝送する送信装置と、
地上デジタルテレビジョン放送波から伝送制御信号を受信する受信機とを備え、
前記受信機は、
受信した地上デジタルテレビジョン放送波から前記伝送制御信号を抽出する伝送制御信号抽出手段と、
前記伝送制御信号に含まれる電文情報の放送事業者識別情報を判別して当該緊急速報の内容を解析する情報解析手段と、
を備えることを特徴とする、地上デジタルテレビジョン放送の伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−136353(P2010−136353A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249438(P2009−249438)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【Fターム(参考)】