説明

地図表示方法および地図表示装置

【目的】表示する地図の縮尺率を大きく(広域表示に)した場合にも、道路アイコンに対応した道路が分かりやすい「地図表示方法および地図表示装置」を提供することにある。
【構成】地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶し、表示部に表示される地図の縮尺率を検出し、該表示部の表示画面内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断し、表示すべきアイコンが存在する場合には、該地図の縮尺率に対応したアイコンを読み出し、該表示部に表示される地図上の所定の位置に読み出したアイコンを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図表示方法および地図表示装置に係り、特に、表示部に表示した地図上に道路の路線番号を表わすアイコンを表示する地図表示方法および地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のナビゲーション装置に代表される地図表示装置は、現在位置周辺の地図や、スクロールした所望の地点の周辺の地図(道路を含む)を表示し、道路が表示されている地図上の施設が存在する位置にこの施設に対応した施設アイコンを表示する。これによりユーザはどの位置にどのような施設が存在するのかを知ることができる。しかし、施設が多く存在する地域を表示している場合に、地図の縮尺率を大きく(広域表示に)すると、これらの施設のアイコン同士が重なってしまい、見え難くなってしまう。
【0003】
そこで、複数のアイコンの重なりがあるか否か検出し、重なりがある場合には重ならないように表示態様を変更する技術(特許文献1)がある。この従来技術より、施設が多く存在する地域を表示している場合にでも、アイコンが重ならないように表示態様を変更させて、アイコンを見易くし、スクロールや目的地検索、等の操作性を改善することができる。
【0004】
ところで、地図表示装置には、道路、施設を表示するだけでなく、道路の路線番号(例えば、国道○○号線、県道○○号線、等)を表わすアイコン(以下、道路アイコンと呼ぶ)も表示され、ユーザは道路に対応する道路アイコンを見ることで道路の路線番号を知ることができる。具体的には図6(a)に示すように、ナビゲーション装置は地図画面61上に道路62a〜62c、方位を表わす方位マーク63a、縮尺率を示す縮尺マーク63b、道路62aに対応する道路アイコン64a、道路62bに対応する道路アイコン64b、道路62cに対応する道路アイコン64cをそれぞれ表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−86633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている従来技術では、縮尺率を大きく(広域表示に)すると、アイコンの視認性およびスクロールや目的地検索等の操作性を改善することができるが、上記道路アイコンは施設アイコンのように複数表示されず、しかも、道路アイコンと複数の道路が重なってしまい、どの道路アイコンがどの道路の路線番号を示しているかが判らないという問題がある。
【0007】
具体的には、図6(b)に示すように、地図画面61上に道路62a〜62c、方位を表わす方位マーク63a、縮尺率を示す縮尺マーク63b、道路アイコン64a〜64cが表示され、道路アイコン64aは道路64aと道路65aと、道路アイコン64bは道路64bと道路65bと、両方に重なるように表示されてしまう。
以上より本発明の目的は、縮尺率を大きく(広域表示に)した場合にも、道路アイコンに対応した道路を判りやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は地図上に道路の路線番号を表わすアイコンを表示する地図表示方法および地図表示装置に関する。
・地図表示方法
地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶するステップ、前記表示部に表示される地図の縮尺率を検出するステップ、前記表示部の表示画面内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断するステップ、表示すべきアイコンが存在する場合には、前記地図の縮尺率に対応したアイコンを読み出すステップ、前記表示部に表示される地図上の所定の位置に該読み出したアイコンを表示するステップ、を備えている。
【0009】
・地図表示装置
地図データを記憶する地図データ記憶部と、該地図データを読み出す地図データ読み出し部と、地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶するアイコン記憶部と、該アイコンを読み出すアイコン読み出し部と、前記表示部に表示される地図の縮尺率を検出する縮尺率検出部と、前記表示部に表示される地図内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断し、該アイコンが存在する場合には、該地図の縮尺率に対応したアイコンを前記アイコン記憶部より読み出し、前記表示部に表示される地図上の所定の位置に読み出したアイコンを表示するように制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明では地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶し、表示する領域内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断し、表示すべきアイコンが存在する場合には、該アイコンを表示される地図の縮尺率に基づいて読み出し、該領域の所定の位置に該読み出したアイコンを表示するようにしたので、縮尺率を大きく(広域表示に)した場合にでも、道路アイコンに対応した道路が判りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の概略説明図である。
【図2】本発明の地図表示装置を搭載したナビゲーション装置の構成図である。
【図3】路線番号に関するデータのテーブルの詳細説明図である。
【図4】個別コードと道路アイコンの対応テーブルの詳細説明図である。
【図5】本発明の地図表示装置の処理フローである。
【図6】従来技術の地図表示装置の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)
本発明の概要
図1は本発明の概略説明図である。
1は地図画面、2a〜2cは道路、3aは方位を表わすアイコン、3bは縮尺率を示す縮尺マーク、4aは道路2aに対応する道路アイコン、4bは道路2bに対応する道路アイコン、4cは道路2cに対応する道路アイコン、図1(b)において5a〜5cは縮尺率が変更になった場合の道路アイコンであり、道路アイコン5aは道路2aに対応したアイコン、道路アイコン5bは道路2bに対応した道路アイコン、道路アイコン5cは道路アイコン2cに対応する道路アイコンである。
【0013】
本発明の概要について説明する。尚、図示しない表示部に図1(a)に示す画面が表示されており、地図画面1上に道路2a〜2c、方位を表わす方位マーク3a、縮尺率を示す縮尺マーク3b、道路アイコン4a〜4cをそれぞれ表示しているものとする。
【0014】
まず、ナビゲーション装置は、ユーザからの地図の縮尺率の変更の指示があったか否かの監視を行い、図示しない操作部もしくはタッチパネルを介して表示している地図の縮尺率変更指示があった場合には、指示された縮尺率の地図データを読み出し、読み出した地図データに表示する道路アイコンがあるか否かの判断を行う。
【0015】
次に読み出した地図データに表示する道路アイコンがある場合には、一つの道路アイコンを選択し、該指示された縮尺率に対応した道路アイコンを読み出す。表示する道路アイコン全てについて処理が終了したら、図1(b)に示すように、地図画面1上に道路2a〜2c、方位マーク3a、縮尺マーク3b、道路アイコン5a〜5cを表示した地図画像を表示する。
【0016】
以上より、従来技術では道路アイコンと複数の道路が重なってしまい、どの道路アイコンがどの道路の路線番号を示しているかが判らなかったが、本発明では地図の縮尺率に応じた道路アイコンを該縮尺率に基づいて読み出し表示するようにしたので、縮尺率を大きく(広域表示に)した場合にも、道路アイコンに対応した道路が判りやすくなる。
【0017】
(B)実施例
図2は本発明の地図表示装置を搭載したナビゲーション装置の構成図である。
GPS受信部21は衛星航法システムを利用しており、衛星より受信した信号を現在位置算出部23に入力する。自律航法センサ22は、角度センサ22aと車速センサ22bとを備えており、角度センサ22aと車速センサ22bより取得した信号を現在位置算出部23に入力する。現在位置算出部23はGPS受信部21と自律航法センサ22とから入力された信号に基づいて、自車の現在位置を算出する。
【0018】
記録媒体24は地図データを記憶する地図記憶媒体(DVD、HDD、半導体メモリ等)であり、地図データは、図葉毎に、誘導経路探索やマップマッチングに際して使用する道路レイヤ情報、地図上のオブジェクトに表示するための背景レイヤ情報等を備えており、後述する路線番号に関するデータのテーブルも記憶している。
【0019】
地図データ読出部25は現在位置算出部23が算出した現在位置もしくはユーザが指定した地点に基づいて、記録媒体24に記憶されている現在位置周辺もしくはユーザが指定した地点周辺の地図データを読み出し、地図データ記憶部26は該読み出した地図データを一時的に記憶する。地図画像発生部27は地図データ記憶部26が記憶している地図データに応じた地図画像を発生する。
【0020】
アイコン記憶部28は後述する個別コードと該個別コードに対応する道路アイコンのデータのテーブルを記憶している。縮尺率検出部29は表示する地図画像の縮尺率を検出する。制御部30はナビゲーション装置全体を制御すると共に、後述する縮尺率に応じた道路アイコンの読み出し制御、等を行う。
【0021】
アイコン読出部31は制御部30のアイコン読み出し制御に基づいて、アイコン記憶部28が記憶している道路アイコンを読み出す。ROM32は、各種ソフトウェアを記憶するものであり、上記制御用のソフトウェアのほかに、(1)誘導経路探索用ソフトウェア、(2)経路誘導ソフトウェア、等の様々な制御プログラムが記憶されている。RAM33は誘導経路データ等の各種処理結果を一時的に記憶する。
【0022】
画像合成部34は少なくとも地図画像発生部27が発生した地図画像と、アイコン読出部31が読み出した道路アイコンと、を合成する。表示部35は画像合成部34により入力された合成画像を表示する。操作部36aおよびタッチパネル36bは、地図のスクロールや地図の縮尺率の変更等の様々操作を行う。案内音声部37は経路誘導を行うための案内音声を発生し、スピーカ38に入力する。スピーカ38は案内音声発生部37から入力された案内音声を出力する。
【0023】
図3は記録媒体24が記憶している路線番号に関するデータのテーブルの詳細説明図であり、記録媒体24は図3に示すように少なくともそれぞれの路線番号、該路線番号に対応する道路アイコンの表示位置(経緯度)、縮尺率に応じたアイコンの個別コードをそれぞれ記憶している。
図4はアイコン記憶部28が記憶している個別コードと道路アイコンの対応テーブルの詳細説明図であり、アイコン記憶部28はそれぞれの個別コードと該個別コードに対応するそれぞれの道路アイコンを記憶している。
【0024】
図5は本発明の地図表示装置の処理フローであり、以下該処理フローと図1の概略説明図、図2の構成図に沿って説明する。尚、表示部35には図1(a)に示す画面が表示されており、地図画面1上に道路2a〜2c、方位を表わす方位マーク3a、縮尺マーク3b、道路アイコン4a〜4cが表示されているものとする。
【0025】
制御部30は、ユーザが操作部36aもしくはタッチパネル36bを介して表示している地図の縮尺率の変更を指示したか否か監視し(501)、縮尺率の変更を指示した場合にはステップ502に進む。
【0026】
ステップ501において、縮尺率の変更を指示した場合には、縮尺率検出部29はユーザが指示した縮尺率を検出し、地図データ読出部25はユーザが指示した縮尺率の地図データを読み出し、地図データ記憶部26に一時的に記憶する(502)。
【0027】
制御部30は、地図データ記憶部26が記憶している地図データ内に、表示部35の地図画面1に表示する道路アイコンが存在するか否か判断し(503)、存在する場合には504に進み、存在しない場合には507に進む。ここで、表示する道路アイコンが存在するか否かの判断は、例えば、表示部35の地図画面1に表示する地図の外郭の4点のうち対角関係にある2点の経緯度データと、記録媒体24から読み出した路線番号に関するデータのテーブル中の経緯度データとに基づいて、表示する道路アイコンが存在するか否か判断する。
【0028】
ステップ503において、表示する道路アイコンが存在する場合には、制御部30は一つの道路アイコンについて選択し(504)、制御部30は地図データ記憶部26に記憶されている路線番号に関するデータのテーブルのコードを読み出し、アイコン読出部31は該コードに基づいてアイコン記憶部28に記憶されている道路アイコンを読み出す(505)。
【0029】
次に、制御部30は読み出していない道路アイコンが存在するか否か判断し(506)、読み出していない道路アイコンが存在する場合には、504に戻り、上記処理を行い、読み出していない道路アイコンが存在しない場合には、507に進む。
【0030】
ステップ506において、読み出していない道路アイコンが存在しない場合には、地図画像発生部27は地図データ記憶部26に記憶されている地図データに基づいて地図画像を発生し、画像合成部34は地図画像発生部27が発生した地図画像とアイコン読出部31が読み出した道路アイコンを合成し、表示部35に合成画像を入力し、表示部35は入力された合成画像に基づいて表示する(507)。
【0031】
以上、従来技術では道路アイコンと複数の道路が重なってしまい、どの道路アイコンがどの道路の路線番号を示しているかが判らなかったが、本発明では地図の縮尺率に応じたアイコンを該縮尺率に基づいて読み出し表示するようにしたので、縮尺率を大きく(広域表示に)した場合にも、道路アイコンに対応した道路が判りやすくなる。
【符号の説明】
【0032】
1 地図画面
2a〜2c 道路
3a 方位マーク
3b 縮尺マーク
4a〜4c 図1(a)の縮尺率における道路アイコン
5a〜5b 図1(b)の縮尺率における道路アイコン
28 アイコン記憶部
29 縮尺率検出部
30 制御部
31 アイコン読出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に表示した地図上に道路の路線番号を表わすアイコンを表示する地図表示方法において、
地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶するステップ、
前記表示部に表示される地図の縮尺率を検出するステップ、
前期表示部の表示画面内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断するステップ、
表示すべきアイコンが存在する場合には、前記地図の縮尺率に対応したアイコンを読み出すステップ、
前記表示部に表示される地図上の所定の位置に読み出したアイコンを表示するステップ、
を備えたことを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
表示部に表示した地図上に道路の路線番号を表わすアイコンを表示する地図表示装置において、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
該地図データを読み出す地図データ読み出し部と、
地図の縮尺率に応じたアイコンを記憶するアイコン記憶部と、
該アイコンを読み出すアイコン読み出し部と、
前記表示部に表示される地図の縮尺率を検出する縮尺率検出部と、
前記表示部に表示される地図内に表示すべきアイコンが存在するか否か判断し、該アイコンが存在する場合には、該地図の縮尺率に対応したアイコンを前記アイコン記憶部より読み出し、前記表示部に表示される地図上の所定の位置に読み出したアイコンを表示するように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−43371(P2011−43371A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190764(P2009−190764)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】